薬物の局所眼内投与の達成には直接注入又は塗布が要求される場合があるが、薬物溶出インプラントの使用もまた考えられる。薬物溶出インプラントの一部は、標的部位が位置する眼内又は眼房内の作用の標的部位に近接して配置され得る(例えば、前房、後房又は両方同時に)。薬物溶出インプラントの使用により、例えば、黄斑、網膜、毛様体、視神経又は眼の特定領域の支配血管などの特定の眼組織を標的とする薬物の送達も可能になる。薬物溶出インプラントの使用により、病状に応じて、制御された量の薬物を所望の時間量で投与する機会も提供することができる。例えば、いくつかの病状では、数日間一定速度で薬物放出が要求される場合があり、他の病状では、最大数か月間一定速度で薬物放出が要求される場合があり、更に他の病状では、定期的又は経時的に変化する放出速度が要求される場合があり、更に別の病状では、放出がない期間(例えば、「休薬期間」)が要求される場合がある。更に、インプラントは、薬物の送達が完了すると更なる機能を果たしてもよい。インプラントは眼腔(ocular cavity)内の流体流通路の開存性を維持してもよく、それらは同じ又は異なる治療薬を将来投与するための貯蔵部として機能しても、また、第1の位置から第2の位置までの流体流経路又は通路の開存性を維持するように機能してもよく、例えば、ステントとして機能してもよい。これとは逆に、薬物が急性的にのみ必要とされる場合、インプラントは、また、完全に生物分解性としてもよい。
薬物の放出に浸透圧又はイオン勾配を好ましくは用いない本明細書中に開示される実施形態によるインプラントは、眼の健康な組織への外傷を最小にすることにより眼の罹患率を低下するデバイスによって植え込まれ、且つ/又は、複数の眼の病状又は単一の病状及びその症状を治療するために、1つ以上の薬物を標的化され且つ制御された放出手法で送達するのに使用されてもよい。しかしながら、特定の実施形態において、浸透圧又はイオン勾配は、インプラントからの(1つ又は複数の)薬物の放出を開始、(全体的に又は部
分的に)制御、又は、調節するために使用される。いくつかの実施形態では、浸透圧はインプラントの内部部分と眼内液との間で平衡し、明確な勾配は(浸透圧又はイオンのいずれにおいても)生じない。そのような実施形態において、圧力平衡のために可変量の溶質がデバイス内の薬物に添加される。
本明細書で使用する場合、「薬物」とは、一般に、単体で、組み合わせて投与されてもよい1つ以上の薬物、及び/又は、本明細書中に記載されるインプラント内に収容されてもよい1つ以上の薬剤的に許容可能な賦形剤(例えば、結合剤、崩壊剤、充填剤、希釈剤、潤滑剤、薬物放出制御ポリマー又は他の薬剤等)、補助剤又は化合物と配合されてもよい1つ以上の薬物を意味する。用語「薬物」は、「治療薬」及び「医薬品」又は「薬物(pharmacological agent)」と区別なく使用してもよい広義な用語であり、いわゆる小分子薬物だけではなく、高分子薬物、及びタンパク質、核酸、抗体等を含むが、これらに限定されない生物学的製剤を含み、このような薬物が天然であるか、合成であるか、遺伝子組換え型であるかどうかについては関係ない。薬物とは、薬物単体又は上述の賦形剤との組み合わせを意味してもよい。「薬物」は、また、活性薬物自体又はプロドラック又は活性薬物の塩を意味してもよい。
本明細書で使用する場合、「患者」にはその通常の意味が与えられるとともに、哺乳動物全般も意味する。用語「哺乳動物」としては、更には、とりわけ、ヒト、イヌ、ネコ、ウサギ、齧歯類、ブタ、ヒツジ及び霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本明細書全体にわたり、特定のパラメータの数値のリストとともに、数値範囲が記載される。これらの場合において、そのような開示には、記載される数値のみならず、記載された数値の任意の2つの間の整数値及び分数値を含む数値範囲も含むことに留意されたい。
いくつかの実施形態において、眼房に放出するための薬物を収容する少なくとも1つの内部ルーメンを画定するような形状の外部シェルを含む生体適合性薬物送達眼内インプラントが提供される。いくつかの実施形態では、外部シェルは、高分子であり、特定の実施形態において、薬物が内部ルーメンから標的組織へとより容易に通過する厚みが低減された領域を除いて、ほぼ均一な厚みである。換言すると、薬物放出領域は低減された厚みのおかげで形成されてもよい。いくつかの他の実施形態において、インプラントのシェルは、(例えば、材料、オリフィス等のようなシェルの部分の異なる特性に基づく)1つ以上の薬物透過性増加領域を含み、これにより、画定領域を形成し、この画定領域から薬物が優先的に放出される。他の実施形態において、外部シェルの材料が実質的に薬物透過性である場合、外部シェル全体を薬物放出領域とすることができる。更に別の実施形態において、デバイスの内部ルーメン又は間隙内の薬物が配置される場所を取り囲む外部シェルの部分を薬物放出領域とみなしてもよい。例えば、デバイスの先端部に向かって又は先端側部分(例えば、デバイスの先端側半分又は先端側2/3)に薬物が装填される場合、デバイスの先端側部分が薬物放出領域となるが、これは薬物が、薬物の近傍にある外部シェルの部分を優先的に通って溶出する傾向にあることが理由である。したがって、本明細書で使用する場合、用語「薬物放出領域」は、その通常の意味を与えられ、材料の特性及び/又は材料の厚みに基づく薬物透過性又は薬物透過性増加領域、(同じく以下に記載される)インプラントを通る1つ以上のオリフィス又は他の通路、薬物の近傍にあるデバイスの領域及び/又はインプラントからの薬物の放出を制御するために使用される1つ以上の付加された材料層と組み合わせたこれら特徴のいずれかを含む、この段落に開示される実施形態を含む。状況に応じて、これら用語及び語句は本開示全体にわたり区別なく又は明示的に使用される場合がある。
いくつかの実施形態では、外部シェルは、インプラントの(1つ又は複数の)ルーメン内の薬物に眼内液を接触させ、薬物放出を生じさせるようにするための1つ以上のオリフ
ィスを含む。いくつかの実施形態では、以下により詳細に記載されるように、透過性又は半透過性材料の1つ又は複数の層を、インプラント(全体的に又は部分的に)及びオリフィス(全体的に又は部分的に)を覆うために使用し、これにより、インプラントからの薬物放出の速度の制御を可能にする。加えて、いくつかの実施形態では、インプラントからの薬物放出の速度を調節するために、1つ以上のオリフィス、1つ以上のオリフィスを被覆する1つ又は複数の層、及び厚みが低減された領域を併用する。
更に他の実施形態において、インプラント(例えば、異なる材料を含む外部シェルに接着されるか、そうでなければ接続される、結合される又は取り付けられる外部シェルの高分子部分)を作製するために材料を組み合わせたものを使用してもよい。
更に他の実施形態において、送達されるべき薬物は外部シェル内に収容されない。いくつかの実施形態において、薬物は圧縮ペレット(又は他の形態)として作製され、圧縮ペレット(又は他の形態)はインプラントが留置される環境に暴露される。例えば、薬物の圧縮ペレットはインプラント本体に結合され、その後、眼房内に挿入される(例えば、図19Tを参照のこと)。いくつかの実施形態では、インプラント本体は流体流経路を含む。いくつかの実施形態では、インプラントは、任意選択的に、保持機能部を含む。いくつかの実施形態では、薬物は、薬物の初期放出のタイミングがコーティングの生分解速度によって制御されるように、生物分解性コーティングでカプセル化、コーティング又はそうでなければ被覆される。いくつかの実施形態では、このようなインプラントは、行われる治療の種類及び所要時間に応じて様々な量の薬物の導入を可能にする(例えば、インプラントシェルの寸法の制約を受けない)ことから有利である。シャント特徴部を有するいくつかの実施形態では(全般的に図19Tに示される)、シャント特徴部は薬物とともに機能し、疾患又は患者に影響を及ぼす状態の1つ以上の症状を治療する。例えば、いくつかの実施形態では、シャントは前房から流体を除去する一方で、薬物が眼内液の生成を低減する。他の実施形態において、本明細書中に記載されるように、シャントは、特定の薬物の投与による1つ以上の副作用を相殺する(例えば、シャントは、薬物の作用によって生成された眼内液を排出する)。
いくつかの実施形態では、生体適合性薬物送達インプラントは、保持用突起(例えば、アンカー要素、グリッパ、爪又は眼球内組織にシート又はディスクを永久的に又は一時的に固定するための他の機構)に可撓的に任意選択的に対応付けられた(例えば、繋ぎ止められた)可撓性シート又はディスクを含む。そのような特定の実施形態において、治療薬はシート又はディスクに配合され、及び/又は、シート又はディスク上にコーティングされる。いくつかの実施形態では、可撓性シート又はディスクインプラントは、丸められて又は折りたたまれて、例えば、小径中空針のような送達器具のルーメン内に配置され得るような寸法にされる。
眼内の所望の部位における植え込み後、薬物が、インプラントの種々の態様の設計に基づき、標的化され且つ制御された状態で好ましくは長期間インプラントから放出される。本明細書中に開示されるインプラント及び関連の方法は、眼の後房、眼の前房、又は黄斑、毛様体若しくは他の眼内標的組織などの眼内の特定の組織への薬物投与を必要とする病状の治療に使用されてもよい。
図1は、角膜輪部21において角膜12に接合する強膜11、虹彩13、及び虹彩13と角膜12との間の前房20を含む眼の解剖学的構造を示す。眼は、また、虹彩13の後ろに位置する水晶体26、毛様体16、及びシュレム管22を含む。眼は、また、流体の一部を前房から排除するように機能するぶどう膜強膜路、及び脈絡膜28と強膜11との間に位置する脈絡膜上腔を含む。眼は、また、黄斑32を含む眼の後領域30を含む。
<概要>
薬物送達デバイス単体として機能するいくつかの実施形態では、インプラントは、眼の前領域に1つ以上の薬物を制御された状態で送達するように構成され、その一方で、他の実施形態において、インプラントは、眼の後領域に1つ以上の薬物を制御された状態で送達するように構成される。更に他の実施形態において、インプラントは、眼の前領域及び後領域の両方に制御された状態で薬物を送達するように構成される。更に他の実施形態において、インプラントは、特定の眼球内組織、例えば、黄斑又は毛様体に薬物が標的化された状態で放出されるような構成である。特定の実施形態において、インプラントは、毛様体突起及び/又は後房に薬物を送達する。特定の他の実施形態において、インプラントは、毛様体筋及び/又は腱(又は線維帯)の1つ以上に薬物を送達する。いくつかの実施形態では、インプラントは、シュレム管、強角膜線維柱帯、上強膜静脈、水晶体皮質、水晶体上皮、水晶体被膜、強膜、強膜棘突起、脈絡膜、脈絡膜上腔、網膜動脈及び静脈、視神経乳頭、網膜中心静脈、視神経、黄斑、中心窩並びに/又は網膜の1つ以上に薬物を送達する。更に他の実施形態において、インプラントからの薬物の送達は、眼房全体を対象とする。本明細書中に記載される実施形態のそれぞれはこれら領域の1つ以上を標的としてもよく、また、任意選択的に、シャント特徴部(以下に記載される)と組み合わせてもよいことは理解されよう。
いくつかの実施形態において、インプラントは外部シェルを含む。いくつかの実施形態では、外部シェルは管状及び/又は長尺状であり、その一方で、他の実施形態において、他の形状(例えば、丸形、楕円形、円筒形等)が使用される。特定の実施形態において、外部シェルは生物分解性ではないが、他の実施形態では、シェルは、任意選択的に、生物分解性である。いくつかの実施形態において、シェルは、少なくとも第1の内部ルーメンを有するように形成される。特定の実施形態において、第1の内部ルーメンはデバイスの先端部に又はその近辺に配置される。他の実施形態において、ルーメンは外部シェルの長さ全体に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ルーメンは更に分割される。特定の実施形態において、第1の内部ルーメンはデバイスの基端部に又はその近辺に配置される。シャントとして付加的に機能する実施形態において、シェルは、シャントとして機能するデバイスの部分内に1つ以上の更なるルーメンを有してもよい。
いくつかの実施形態において、(1つ又は複数の)薬物はインプラントシェルの(1つ又は複数の)内部ルーメン内に配置される。いくつかの実施形態において、薬物はルーメンのより先端側の部分内に優先的に配置される。いくつかの実施形態では、(1つ又は複数の)インプラントルーメンの最も先端側の15mmが、放出される(1つ又は複数の)薬物を収容する。いくつかの実施形態では、内部ルーメンの1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm及び9mmを含む最も先端側の10mmが、放出される薬物を収容する。
いくつかの実施形態では、薬物はシェルを通じて拡散し、眼球内環境に入る。いくつかの実施形態において、外部シェル材料は内部ルーメン内に配置された(1つ又は複数の)薬物に対して透過性又は半透過性であるため、薬物の全溶出の少なくとも一部はシェル自体を通じて起こり、それに加え、透過性が増加した任意の領域、厚みが低減された任意の領域、オリフィス等を通じて起こる。いくつかの実施形態では、薬物の溶出の約1%〜約50%はシェル自体を通じて起こる。いくつかの実施形態では、薬物の溶出の約10%〜約40%又は約20%〜約30%はシェル自体を通じて起こる。いくつかの実施形態では、薬物の溶出の約5%〜約15%、約10%〜約25%、約15%〜約30%、約20%〜約35%、約25%〜約40%、約30%〜約45%、又は約35%〜約50%はシェル自体を通じて起こる。特定の実施形態において、(1つ又は複数の)薬物の全溶出の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%及び14%を含む約1%〜15%はシェルを通じて起こる。用語「透過性」及び関連用語(例
えば「不透過性」又は「半透過性」)は、本明細書中では、1つ以上の薬物又は治療薬及び/又は眼内液をある程度透過可能な(又は透過可能でない)材料を意味するものとして使用される。用語「不透過性」は材料における薬物の溶出又は透過がないことを必ずしも意味せず、その代わりとして、そのような溶出又は他の透過がごくわずかであるか、非常に微量であり、例えば、約2%未満及び約1%未満を含む、総量の約3%未満である。
いくつかの実施形態では、インプラントシェルは1つ以上の薬物透過性増加領域を有し、そこを通じて、標的眼組織に制御された状態で薬物が放出される。
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の薬物はインプラントの1つ又は複数の内部ルーメン内に配置される。インプラントシェルは、1つ又は複数の薬剤に眼内液を接触させて、薬物放出を生じさせるようにするための1つ以上のオリフィスを含む。いくつかの実施形態では、インプラントは、シェルの外部表面に高分子コーティングを含む。他の実施形態において、インプラントは、シェルの内部表面に高分子コーティングを含む。更に他の実施形態において、高分子コーティングは内部表面及び外部表面の両方にある。更に他の実施形態において、高分子コーティングは生物分解性である。いくつかの実施形態は、高分子コーティングの代わりに又は高分子コーティングに加えて、非高分子コーティング(例えばへパリン)を含む。加えて、いくつかの実施形態では、インプラントからの薬物放出の速度を調節するために、1つ以上のオリフィス、1つ以上のオリフィスを被覆する1つ又は複数の層、及び厚みが低減された領域が併用される。
いくつかの実施形態では、薬物を収容する内部ルーメンは、眼の前部への薬物の溶出を防止する内部ルーメン内の基端側バリアによってインプラントの基端側部分から分離される。いくつかの実施形態では、薬物を収容する内部ルーメンは、眼の前部への薬物の溶出を防止するが眼の前部の眼内液が薬物を収容する内部ルーメンに到達することを可能にする内部ルーメン内の一方向弁によって、インプラントの基端側部分から分離される。
いくつかの実施形態では、インプラントは、同じ又は更なる治療薬物、複数の薬物、又は1つ若しくは複数のアジュバント化合物をインプラントに再充填する/補充するように構成された基端側部分を更に含む。
シャントを含むいくつかの実施形態では、シャント部は、植え込み部位における植え込み後、眼房から生理的流出空間(physiologic outflow space)へと流体を排出し、眼圧を低下させる。いくつかの実施形態では、インプラントは、インプラントの基端部又は先端部のいずれかが薬物送達の標的組織近傍の植え込み部位にあるとき、インプラントの流出口が離れた領域及び/又は生理学的流出経路に眼内液を排出するような寸法にされる。
例えば、いくつかの実施形態では、インプラントは、植え込み後、インプラントの先端部が黄斑に十分に接近して配置され、インプラントによって送達される薬物が黄斑に到達するような寸法にされる。シャント特徴部を組み込んだいくつかの実施形態では、インプラントは、インプラントの先端部が黄斑の十分に近傍に配置されると、インプラントの基端部が眼の前房内に延出するような寸法にされる。それらの実施形態において、以下に更に詳細に記載されるように、インプラントの流出口は、房水がぶどう膜強膜路又は他の生理学的流出経路へと排出されるように配置される。
更に他の実施形態において、薬物送達とシャントを組み合わせたインプラントは、第1の生理的部位から第2の部位(生理的であっても患者の外部であってもよい)への薬物送達及び流体の輸送がともに引き起こされる任意の生理学的位置に配置してもよい。いくつかの実施形態では、シャント特徴部は薬物送達機能とともに機能し、送達された薬剤の治
療的効果を増強する。他の実施形態において、流体蓄積又は腫脹などの、送達された薬剤の治療的効果に不要な副作用が伴う場合がある。いくつかの実施形態では、シャント特徴部機能は、送達された薬剤の副作用を改善する。本明細書中に開示されるインプラントの寸法及び特徴は、生理学的流出経路との連通を可能にする一方で、眼の種々の領域への標的化された及び/又は制御された送達を達成ように調整してもよいことは理解されよう。
以下に更に詳細に記載される送達器具は眼の所望の位置への薬物送達インプラントの送達及び/又は植え込みを容易にするために使用されてもよい。連続的な植え込み力を印加すること、送達器具の先端側部分を使用してインプラントを所定の位置に打ち込むこと、又はこれら方法の組み合わせによって、虹彩の下部、黄斑近傍の脈絡膜上腔又は他の眼球内領域などの所望の位置にインプラントを配置するのに送達器具が用いられてもよい。送達器具の設計は、例えば、切開に対するインプラントの植え込み角度及び位置を考慮に入れてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、送達器具は固定された幾何学的形状を有してもよく、形状記憶であっても、作動させてもよい。いくつかの実施形態では、送達器具は、例えば、色素及び/又は粘弾性流体の注入、切離又はガイドワイヤとしての使用などの付属的又は補助的な機能を有してもよい。本明細書で使用する場合、用語「切開」は、その通常の意味を与えられ、また、切目、開口部、細隙、切痕、穿刺部等を意味してもよい。
特定の実施形態において、薬物送達インプラントは、生体内分解性ポリマー又は生体内分解性ポリマーと少なくとも1つの更なる薬剤を配合してもしなくてもよい1つ以上の薬物を含んでもよい。更に他の実施形態において、薬物送達インプラントは、複数の薬物を経時的に送達するために使用される。加えて、特定の実施形態は、調整された薬物溶出プロファイルを生成するために、異なる外部シェル材料及び/又は様々な透過性を有する材料を用いて構成される。特定の実施形態は、調整された薬物溶出プロファイルを生じさせるために、インプラントシェルにおける異なる数、寸法及び/又は位置のオリフィスを用いて構成される。特定の実施形態は、調整された薬物溶出プロファイルを生じさせるために、異なるポリマーコーティング及びインプラント上の異なるコーティング位置を用いて構成される。いくつかの実施形態は薬物を一定速度で溶出し、他の実施形態は、固定された順序の放出プロファイルを生じさせる。更に別の実施形態は、可変溶出プロファイルを生じさせる。更に別の実施形態は、所定の期間溶出を完全に又はほぼ完全に停止し(例えば、「休薬期間」)、後に、同じ若しくは異なる溶出速度又は溶出濃度で溶出を再開するように設計されている。いくつかのそのような実施形態は、休薬期間の前及び後に同じ治療薬を溶出する一方で、他の実施形態は休薬期間の前及び後に異なる治療薬を溶出する。
<薬物送達インプラント>
本開示は、植え込み部位における植え込み後、眼内の所望の標的部位への1つ以上の薬物の制御された放出を行い、制御された放出が長期間である眼薬物送達インプラントに関する。インプラントの種々の実施形態は図2〜図20に示され、本明細書中で言及される。
図2は、本明細書の記載によるインプラントの一実施形態の断面概略図を示す。インプラントは、1種以上の生体適合性材料で作製された外部シェル54を含む。インプラントの外部シェルは、押出、延伸、射出成形、焼結、微細加工、レーザー加工及び/又は放電加工、又はこれらの任意の組み合わせによって製造される。当技術分野で知られる他の適切な製造及び組立方法もまた使用してもよい。いくつかの実施形態において、外部シェルは管状形状であり、少なくとも1つの内部ルーメン58を含む。いくつかの実施形態では、内部ルーメンは外部シェル及び隔壁64によって画定される。いくつかの実施形態では、隔壁は不透過性であるが、他の実施形態では、隔壁は透過性又は半透過性である。いくつかの実施形態では、隔壁は、新たな用量の薬物によるインプラントの再充填を可能とす
る。いくつかの他の実施形態において、他のシェル形状が用いられるが、少なくとも1つの内部ルーメンはなお作製される。いくつかの実施形態において、インプラント54の外部シェルは、インプラントが先端側部分50及び基端側部分52を有するように製造される。いくつかの実施形態において、外部シェル54の厚みは実質的に均一である。他の実施形態において、この厚みはシェルの特定領域において変化する。眼内の所望の植え込み部位に応じて、外部シェル54のより厚い領域はインプラントの構造保全性を維持するのに必要な位置に配置される。
いくつかの実施形態では、インプラントは可撓性材料で作製される。他の実施形態において、インプラントの一部は可撓性材料で作製される一方で、インプラントの別の部分は剛性材料で作製される。いくつかの実施形態では、インプラントは1つ以上の屈曲部(例えば、ヒンジ)を含む。いくつかの実施形態では、薬物送達インプラントは予め曲げられるが、送達デバイスの直線状のルーメン内に収容されるほど十分に可撓性がある。
他の実施形態において、インプラントの少なくとも一部(例えば、内部突起又はアンカー)は形状記憶可能な材料で作製される。形状記憶可能な材料は、圧縮されてもよく、放出時に軸方向若しくは径方向に又は軸方向及び径方向の双方に展開し、特定の形状を取ってもよい。いくつかの実施形態では、インプラントの少なくとも一部は予め形成された形状を有する。他の実施形態において、インプラントの少なくとも一部は超弾性材料で作製される。いくつかの実施形態では、インプラントの少なくとも一部はニチノールで構成される。他の実施形態において、インプラントの少なくとも一部は変形可能な材料で作製される。
いくつかの実施形態において、インプラントの外部シェルの表面の大部分は眼内液に対して実質的に不透過性である。いくつかの実施形態において、インプラントの外部シェルの表面の大部分もまた、インプラントの内部ルーメン内に収容された薬物62(以下で記載される)に対して実質的に不透過性である。他の実施形態において、外部シェルは薬物及び/又は眼内液に対して半透過性であり、インプラントの特定領域は、コーティング又は層、又は外部シェル内又は上に配置された不透過性(又はより透過性でない)材料によって、透過性をより低く又は透過性をより高くされる。
いくつかの実施形態において、外部シェルは、また、1つ以上の薬物放出領域56を有する。いくつかの実施形態では、薬物放出領域は、外部シェルの隣接する及び周囲の厚みと比較して低減された厚みのものである。いくつかの実施形態では、低減された厚みの領域は、切除、延伸、エッチング、研削、成形及び外部シェルから材料を除去する他の類似の技術の1つ以上によって形成される。他の実施形態において、薬物放出領域は周囲の外部シェルと比較して異なる厚み(例えば、いくつかの実施形態はより薄く、他の実施形態はより厚い)のものであるが、薬物62及び眼内液の1つ以上に対し増加した透過性を備えて製造される。更に他の実施形態において、外部シェルは厚みが均一又はほぼ均一であっても、眼内液及びルーメン内の薬物に対する透過性が異なる材料で構成される。したがって、これら実施形態は、インプラントからの薬物放出の画定された領域を有する。
薬物放出領域は、眼の特定の標的組織への薬物の十分な送達を実施するのに必要な任意の形状のものであってもよい。例えば、図2では、領域56は画定されたより薄い材料の領域として示される。図3Aは、他の実施形態で使用される薬物放出領域、すなわち、低減された厚みの螺旋形状56を示す。いくつかの実施形態では、螺旋部はインプラントの実質的に先端部に配置される一方で、他の実施形態において、螺旋部は内部ルーメンの長さに及んでもよい。更に他の実施形態において、螺旋薬物放出領域は、インプラントの基端側部分に配置される。いくつかの実施形態では、螺旋部はインプラントシェルの内側にある(すなわち、シェルに旋条がつけられる。図3Aを参照のこと)。他の実施形態にお
いて、螺旋部はシェルの外側にある(図3Bを参照のこと)。他の実施形態において、薬物放出領域はインプラントシェル周囲の周方向帯としての形を取る。
図4は、薬物放出領域がインプラントの最先端側部分に配置されている他の実施形態を示す。特定のそのような実施形態は眼のより後領域を治療する場合に使用される。これに代えて、又は、図4の実施形態とともに、インプラントの基端側部分もまた、最基端側部分に又はその近傍に薬物放出領域を有してもよい。他の実施形態において、薬物放出領域は、インプラントの先端側部分及び/又は基端側部分に沿って均等に又は実質的に均等に分配される。いくつかの実施形態では、薬物放出領域はインプラントの先端部に又はその近傍に配置される。特定の実施形態において、インプラントは、植え込み後に治療される標的組織に応じて、(薬物放出領域に基づき(厚み/透過性、オリフィス、層等に基づき))インプラントからの薬物溶出の異なるパターンを形成するように戦略的に配置される。いくつかの実施形態では、薬物放出領域は、薬物をインプラントの先端部から優先的に溶出するように構成されている。いくつかのそのような実施形態において、薬物放出領域は、植え込み工程の完了後、眼のより後領域の標的組織に又はその近傍に戦略的に配置される。以下により詳細に記載されるように、いくつかの実施形態において、薬物放出領域は、インプラントの内部ルーメンと、インプラントが植え込まれる環境との間の連通を可能にする1つ(又は複数)のオリフィスを含む。また、本明細書中の開示から、特定の実施形態において、薬物放出プロファイルを調節するために、薬物放出領域の組み合わせ(上記のような)を、1つ以上のオリフィス及び/又はコーティング(以下に記載)と組み合わせてもよいことは理解されよう。
いくつかの実施形態において、ルーメンはインプラントの基端側部分及び先端側部分の双方に存在する(図5の、それぞれ58a及び58を参照のこと)。そのような実施形態において、インプラントの基端側部分52及び先端側部分50の双方が1つ以上の薬物放出領域を有する。いくつかのそのような実施形態において、インプラントの基端側部分及び先端側部分はルーメン内に2つの異なる薬物62a(基端側)及び62(先端側)を収容する。図5を参照のこと。他の実施形態において、インプラントの基端側部分及び先端側部分は、同じ薬物又は異なる濃度の同じ薬物を収容しても、別の賦形剤と組み合わせてもよい。薬物放出領域の配置は、インプラントの基端側部分、先端側部分又は両部分内であっても、特定の眼球内組織を特に標的化するのに有用であることは理解されよう。例えば、インプラントの最先端側部分における薬物放出領域の配置は、いくつかの実施形態では、黄斑などの特定の眼球内領域を特に標的とする薬物放出において有用である。他の実施形態において、薬物放出領域は、特に、毛様体、網膜、眼の血管系、又は上記の若しくは当技術分野で周知の眼内標的のいずれかなどの他の標的組織への薬物放出のために配置される。いくつかの実施形態では、薬物放出領域の特定の配置による組織の特定の標的化により、治療的効果の達成に必要な薬物の量を低減する。いくつかの実施形態では、薬物放出領域の特定の配置による組織の特定の標的化により、溶出薬物の非特異的副作用を低減する。いくつかの実施形態では、薬物放出領域の特定の配置による組織の特定の標的化により、インプラントからの薬物送達の全体的な潜在所要時間を増加する。
インプラントの外部シェル上のそれらの形状及び位置にかかわらず、薬物放出領域は画定された既知のエリアのものである。画定されたエリアは、インプラントからの薬物溶出の速度の計算を補助する(以下に記載される)。薬物放出領域は、いくつかの実施形態において、特定の画定されたエリアにおいて外部シェルの厚みを低減することによって及び/又は外部シェルの特定領域の透過性を制御することによって形成される。図6A〜図6Iは、薬物放出領域の特定の実施形態を示す。図6A及び図6Bは、外部シェル材料のより厚い部分54とより薄い部分54aとの重なった領域により、結果として、実際的により薄い材料領域である、薬物放出領域56が形成されることを示す。図6C及び図6Dは、外部シェル材料のより厚い部分54とより薄い部分54aとの接合を示す。得られたよ
り薄い材料領域は薬物放出領域56である。より厚い領域とより薄い領域との接合は、例えば、突き合わせ溶接、生体適合性接着剤による接着又は他の手法での付着、様々な厚みを有する単一ユニットとしてのシェルの鋳造、加熱溶接、熱融合、加圧による融合、又は熱と圧力の併用による領域の融合によって実施してもよいことは理解されよう。当技術分野で周知の他の適切な接合方法も使用してもよい。
図6Eは、より薄いシェル材料と少なくとも部分的に重なっている外部シェル材料のより厚いスリーブを示す。より薄い、重なっていないエリア56が薬物放出領域である。材料の重なりの程度は、重なっていないシェルの領域が所望の溶出プロファイルの所望のエリアのものとなるように制御可能であることは理解されよう。
図6Fは、切除、延伸、エッチング、研削、成形及び外部シェルから材料を除去する他の類似の技術の1つ以上によって形成された薄いエリア56を備える外部シェル材料を示す。
図6Gは、第1の厚みを有するチューブ54が第2の厚みを有する第2のチューブ54a内に収容される「チューブ内チューブ」設計を示す。第1のチューブは、重ねられたより薄いシェル54aが切れ目又は隙間を覆い、それによって、薬物放出領域を形成するように、シェル内に1つ以上の切れ目又は隙間を有する。図6Gに示される実施形態及び特定の他の実施形態において、第1の厚みを有するシェル54内の切れ目又は隙間は外部環境と直接連通しない。
図6Hは、薬物放出領域が外部シェル54、及び不透過性マトリックス内に分散させた連通用粒子状物質(communicating particulate matter)57を有する実質的に不透過性のマトリックス材料55の両方によって境界を定められる実施形態を示す。いくつかの実施形態において、インプラント製造時、連通用粒子状物質に不透過性マトリックス材料が配合される。インプラントは、その後、溶媒と接触させてもよく、溶媒は、その後、連通用粒子状物質内において運ばれ、インプラントのルーメン内に収容された薬物に到達する。好ましい溶媒としては、水、生理食塩水若しくは眼内液、又は不透過性マトリックスの構造若しくは透過性特性に影響を及ぼさない生体適合性溶媒が挙げられる。
ルーメン内の薬物が溶媒中に溶解するにつれて、薬物は、連通用粒子状物質内を、インプラントのルーメンから眼内標的組織へと移動する。いくつかの実施形態では、植え込み中又は直後の薬物の即時放出に備えられるように、インプラントは眼への植え込み前に溶媒にさらされる。他の実施形態において、インプラントを眼内液のみに暴露させ、眼内液がインプラントのルーメンへと連通用粒子状物質内を移動する間、短時間インプラントから薬物が放出されないようにする。
いくつかのそのような実施形態において、連通用粒子状物質は、ヒドロゲル粒子、例えば、ポリアクリルアミド、架橋ポリマー、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリエチレンオキシド、ポリAMPS及びポリビニルピロリドン、又は天然由来のヒドロゲル、例えば、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロン酸を含む。当技術分野で周知の他のヒドロゲルを使用してもよい。いくつかの実施形態では、不透過性材料はシリコーンである。他の実施形態において、不透過性材料は、テフロン(登録商標)、可撓性グラファイト、シリコーンゴム、ガラス繊維強化シリコーンゴム、neoprene(登録商標)、ガラス繊維、布入りゴム、ビニル、ニトリル、ブチル、天然ゴムラバー(natural gum rubber)、ウレタン、炭素繊維、フルオロエラストマー、及び又は当技術分野で周知の他のそのような不透過性材料又は実質的に不透過性材料であってもよい。この実施形態及び本明細書中に開示される他の実施形態において、「実
質的に不透過性」又は「不透過性」等の用語は目的薬物に関する材料の相対的不透過性に関するものと解釈すべきである。これは、特定の薬物への材料の透過性が、材料の特性(例えば、結晶化度、親水性、疎水性、含水量、気孔率)及びまた薬物の特性に依存するからである。
図6Iは、薬物放出領域が、外部シェル54と、不透過性マトリックス内に分散させた連通用粒子状物質57を有するシリコーンなどの不透過性マトリックス材料55との両方によって境界を定められる別の実施形態を示す。他の実施形態において、不透過性材料は、テフロン(登録商標)、可撓性グラファイト、ポリジメチルシロキサン及び他のシリコーンエラストマー、neoprene(登録商標)、ガラス繊維、布入りゴム、ビニル、ニトリル、ブチル、天然ゴムラバー、ウレタン、炭素繊維、フルオロエラストマー及び又は当技術分野で周知の他のそのような不透過性材料又は実質的に不透過性材料であってもよい。いくつかの実施形態において、インプラント製造時、連通用粒子状物質に不透過性マトリックス材料が配合される。生じるマトリックスは、連通用粒子状物質の溶解を引き起こす溶媒中に配置されるまで不透過性である。いくつかの実施形態において、連通用粒子は塩結晶(例えば、炭酸水素ナトリウム結晶又は塩化ナトリウム結晶)である。他の実施形態において、他の可溶性材料及び生体適合性材料を連通用粒子状物質として使用してもよい。好ましい連通用粒子状物質は、水、生理食塩水、眼内液などの溶媒、又は不透過性マトリックスの構造若しくは透過性特性に影響を及ぼさない別の生体適合性溶媒に可溶性である。特定の実施形態では、連通用粒子状物質を配合した不透過性マトリックス材料がインプラントの外部シェルを形成するのに十分な構造保全性を有する(すなわち追加のシェル材料は必要ない)ことは理解されよう。
特定の実施形態において、連通用粒子は植え込み前に溶媒により抽出される。したがって、連通用粒子の抽出により不透過性材料内に連通通路が作製される。不透過性材料内の孔(又は他の経路)により、粒子に眼内液を送ることが可能になり、これにより流体がインプラントのルーメン内に伝えられる。同様に、粒子により薬物がインプラントのルーメンから出て、標的眼組織へと伝えられる。
従来の孔又はオリフィス(以下に更に詳細に記載される)とは対照的に、図6H及び図6Iに示されるような実施形態は、粒子の溶解後、連通用粒子又は不透過性マトリックス中に生じた空孔を通じてインプラントのルーメンから眼組織に薬物を伝える。これら実施形態は、したがって、インプラントのルーメンから眼への間接経路(すなわち、経路のう回路又は蛇行路)を形成する。したがって、粒子状材料の意図的な設計、その流体伝達速度又は溶媒中における溶解速度により、薬物放出の速度及び動力学の更なる制御が可能になる。
いくつかの実施形態において、薬物放出領域は1つ以上のオリフィスを含む。特定の実施形態は、想定される治療に適した、制御され且つ標的化された薬物放出プロファイルを実現するために、オリフィスではない薬物放出領域を、単体で又は1つ以上のオリフィスとの組み合わせのいずれかにおいて用いることは理解されよう。図7は、本明細書の記載によるインプラントの一実施形態の断面概略図を示す。上記のように、インプラントは、先端側部分50と、基端側部分52と、1種以上の生体適合性材料で作製された外部シェル54と、シェルを貫通する1つ以上のオリフィス56aとを含む。いくつかの実施形態では、インプラントの外部シェルは眼内液に対して実質的に不透過性である。いくつかの実施形態において、インプラントは、インプラントの内部ルーメン58内に薬物62を収容する。
以下により詳細に記載されるように、いくつかの実施形態では、薬物は、特定の眼の病状に対して治療的に有効な薬物と、当該薬物が適合可能な形態で治療薬を準備するために
用いられる任意の追加の化合物とを含む。いくつかの実施形態では、治療薬は薬物含有ペレットの形態である。治療薬のいくつかの実施形態は、高分子製剤を配合した薬物を含む。特定の実施形態において、高分子製剤は、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGAコポリマー又は他の生物分解性若しくは生体内分解性ポリマーを含む。図7において薬物はルーメン58内に配置された状態で示されるが、薬物はいくつかの他の図から省略されており、これは、それら実施形態の他の特徴を明確にするためである。しかしながら、本明細書中のすべての実施形態は、任意選択的に、1つ以上の薬物を含むことは理解すべきである。
いくつかの実施形態において、以下に記載されるように、インプラントは、インプラント内又はインプラント上の様々な位置に配置されてもよいコーティング60を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティング60は高分子コーティングである。図8は、コーティング60がインプラント内に配置されているが、ルーメン内に収容された治療薬を取り囲んでいる、インプラントを示し、図9は、シェル54の外側にあるコーティング60を示す。いくつかの他の実施形態は、高分子コーティングの代わりに又は高分子コーティングに加えて、非高分子コーティングを備えるインプラントを含んでもよい。コーティングは、任意選択的に、生物分解性である。いくつかの他の実施形態は、インプラント全体が経時的に分解するように全体が生物分解性材料で作製されたインプラントを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コーティングはインプラント全体に(例えば、インプラントを取り囲んで)配置される一方で、他の実施形態において、インプラントの一部のみが被覆される。いくつかの実施形態では、コーティングはインプラントの外部表面上にある。いくつかの実施形態では、コーティングはインプラント内のルーメン壁に配置される。同様に、コーティングがインプラント内に配置されるいくつかの実施形態では、コーティングはルーメンの内部表面全体を被覆する一方で、他の実施形態において、内部表面の一部のみが被覆される。上述の薬物放出領域に加えて、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態によるインプラントでは、薬物放出特性を制御するために、薬物放出領域を1つ以上のコーティングと組み合わせることは理解されよう。
いくつかの実施形態において、外部シェル54の厚みを横切る1つ以上のオリフィス56aは、インプラント外部の環境と、インプラントの内部ルーメン58(図7〜図9)との間に連通路を設ける。1つ以上のオリフィスは、特定のインプラントの種々のシェルに穴を開けること、又は当技術分野で周知の任意の他の手法によってインプラントシェル内に作製される。オリフィスは、球形、立方体、楕円形等のような任意の形状のものであってもよい。特定のインプラントにおいて形成されるオリフィスの数、位置、大きさ及び形状は、インプラント表面積に対するオリフィスの比率を決定する。以下に記載されるように、この比率は、インプラントの特定実施形態によって送達されるべき薬物の所望の放出プロファイルに応じて異なってもよい。いくつかの実施形態では、オリフィスとインプラント表面積との比率は約1:100を超える。いくつかの実施形態では、オリフィスとインプラント表面積との比率は、約1:10〜約1:50、約1:30〜約1:90、約1:20〜約1:70、約1:30〜約1:60、約1:40〜約1:50の範囲である。いくつかの実施形態では、オリフィスとインプラント表面積との比率は、約1:60〜約1:100の範囲であり、約1:70、1:80及び1:90を含む。
他の実施形態において、外部シェルは、図10A及び図10Bに示すように、インプラントの先端側先端に1つ以上のオリフィス56bを含んでもよい。オリフィスの形状及び大きさは所望の溶出プロファイルに基づき選択され得る。更に別の実施形態は、先端側オリフィスと、外部シェルのより基端側に配置された複数のオリフィスとの組み合わせを含む。更なる実施形態は、外部シェルの先端側オリフィス、基端側オリフィス及び/又は上記の薬物放出領域(及び任意選択的に、1つ又は複数のコーティング)の組み合わせを含む。更なる実施形態は閉じた先端部を有する。そのような実施形態において、薬物放出領
域は(シェルの厚み/透過性、オリフィス、コーティング、薬物の配置等に基づき)インプラントの長軸に沿って配置される。このような構成は、本明細書中に開示される植え込み工程のいくつかの実施形態の最中に発生する先端部の前進に起因する組織損傷の量を低減するために有利である。
いくつかの実施形態では、先端側オリフィスは、挿入/植え込み中、1つ以上のオリフィスに組織が詰まった場合にインプラントからの薬物溶出を維持する複数のオリフィス56bを有する生物分解性又は生体内分解性プラグ61を含む。他の実施形態において、オリフィスは、透過性又は半透過性膜、多孔質フィルム又はシート等を含み得る。いくつかのそのような実施形態において、透過性又は半透過性膜、フィルム又はシートはシェルの外側に配置してオリフィスを被覆してもよく、シェルの内側に配置してオリフィスを被覆してもよく、或いはその両方であってもよい。材料の透過性はインプラントからの薬物の放出速度を一部規定する。これについては以下に更に詳細に記載する。このような膜、シート又はフィルムは外部シェルに長尺状のオリフィスを有する実施形態において有用である。図10Bの矢印は、インプラントからの薬物の流出を示す。
いくつかの実施形態において、ルーメン内部内の1つ又は複数の更なる構造により、インプラントからの薬物の溶出が部分的に制御される。いくつかの実施形態では、基端側バリア64aが薬物62に対して基端側に配置される(図7及び図10C)。インプラントの基端側領域52にある基端側流入ルーメン68と連通する流出アパーチャ66を含む任意のシャント特徴部もまた、含まれてもよい。上述したように薬物を被覆するために使用してもよい透過性又は半透過性材料の1つ又は複数の層に加えて、図10Cは、特定の実施形態において、薬物62と種々のオリフィス56a及び56bとの間に配置される内部プラグ210を示す。このような実施形態において、内部プラグは薬物を完全に取り囲む必要はない。いくつかの実施形態では、内部プラグ210の材料はシェル54の材料とは異なる一方で、いくつかの実施形態では、内部プラグ210の材料はシェル54の材料と同じ材料である。内部プラグに好適な材料としては、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル又はHEMA(ヒドロキシエチルメタクリラート)などのアガロース又はヒドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本明細書中に開示される、シェル又はインプラントの他の部分で使用するための任意の材料は、特定の実施形態において、内部プラグに好適であってもよい。
材料が同じであるそのような実施形態において、210の構成に使用される材料の物理的特性は、任意選択的に、シェル54の材料とは異なる。例えば、210の材料のサイズ、密度、気孔率又は透過性はシェル54のものとは異なってもよい。いくつかの実施形態では、内部プラグは、例えば、分注される液体、粉末又はゲルをその場で重合、成形又は固化することによって所定の位置(すなわち、インプラントの内部ルーメン内)に形成される。他の実施形態において、内部プラグはシェルの外部で予め形成され、植え込み前にシェル内に配置される。そのような実施形態において、予め形成された内部プラグの選択が特定の薬物、患者、インプラント又は治療される疾患に基づき最適化されてもよいという点において調整されたインプラントが構成される。いくつかの実施形態において、内部プラグは生物分解性又は生体内分解性である一方で、いくつかの他の実施形態において、内部プラグには耐久性(例えば、生物分解性でも生体内分解性でもない)がある。
いくつかの実施形態において、内部プラグはシェルの内壁に近接して取り付けても結合させてもよい。そのような実施形態において、内部プラグは好ましくは薬物に対して透過性であり、それによって、薬物がプラグを通過し、オリフィスを通過し、標的組織に達することを可能にする。いくつかの実施形態では、内部プラグは、また、インプラント外部からの流体が薬物に到達してもよいように、体液に対して透過性である。デバイスからの薬物の全体的な放出速度は、この場合、オリフィスの面積及び容積、任意の薬物放出領域
の表面積、薬物並びにオリフィス及び/又は薬物放出領域の両方に対する内部プラグの大きさ及び位置、並びに薬物及び体液に対する内部プラグの透過性を含むが、これらに限定されない、インプラント構成要素のいくつかの態様の物理的特性によって制御されてもよい。加えて、いくつかの実施形態において、内部プラグにより薬物と、オリフィス及び/又は薬物放出領域との間の経路の長さが増加し、それによって、薬物の放出速度の更なる制御箇所を設ける。
いくつかの他の実施形態において、内部プラグ210はシェルの内部ルーメンにより緩く取り付けてもよく、これにより、プラグの周囲における薬物の流れ又は輸送を可能にしてもよい。図10Dを参照のこと。更に他の実施形態において、内部プラグは2つ以上の部品又は断片を含んでもよい。図10Eを参照のこと。より緩い取り付け又は断片化プラグを備えるそのような実施形態において、薬物は、内部プラグとシェルの内部壁との間の隙間を通過することによってインプラントから溶出してもよい。薬物は、また、内部プラグの部品又は断片間の隙間を通過することによってインプラントから溶出してもよい。薬物は、また、透過性のインナープラグを通過することによってインプラントから溶出してもよい。同様に、体液がインプラントの外部からインプラント内へと通過し、これら経路のいずれか又はその他の経路によって薬物に到達してもよい。薬物の溶出はこれら通過ルート又は透過性のいずれかの組み合わせの結果として起こり得ることは理解されよう。
いくつかの実施形態において、オリフィス56aは、インプラントシェル54の内部ルーメン58からの薬物62の放出に対するバリアを設ける1つ以上の溶出膜100によって(全体的に又は部分的に)被覆される。図10Fを参照のこと。いくつかの実施形態において、溶出膜は治療薬、体液又はその両方に対して透過性である。いくつかの実施形態では、膜はエラストマーであり、シリコーンを含む。他の実施形態において、膜に生物分解性又は生体内分解性材料を全体的に又は部分的にコーティングし、体液の進入又はインプラントからの治療薬の放出の開始を制御することを可能にする。特定の実施形態において、膜に、有利な更なる薬剤、例えば、抗線維化薬、血管拡張薬、抗血栓薬又は透過性制御剤を含浸させる。加えて、特定の実施形態において、膜は、図10Gにおいて、例えば、特定の透過性が生じることを可能にする1つ以上の層100a、100b及び100cを含む。
上述の内部プラグ及び薬物放出領域と同様に、溶出膜の特性はインプラントからの治療薬の放出速度を少なくとも一部規定する。したがって、インプラントからの薬物の全体的な放出速度は、オリフィスの面積及び容積、任意の薬物放出領域の表面積、薬物並びにオリフィス及び/又は薬物放出領域の両方に対する任意の内部プラグの大きさ及び位置、並びに任意のオリフィス又は薬物放出領域に重なる任意の層の、薬物及び体液に対する透過性を含むが、これらに限定されないインプラントの物理的特性によって制御されてもよい。
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の薬物の複数のペレット62が、インプラントの内部ルーメン内に端と端とを付けて配置される(図11A)。いくつかのそのような実施形態において、オリフィス56a(又は薬物放出領域)はインプラントシェルのより先端側の位置に配置される。他のそのような実施形態において、オリフィス56a(又は薬物放出領域)は、標的とする眼組織に応じて、インプラントシェルのより基端側の位置に配置される。いくつかの他の実施形態において、同じインプラントインナールーメン内に収容される場合に治療薬を互いに密閉するために隔壁64が用いられる。いくつかの実施形態では、隔壁64は特定速度で生体分解する。いくつかの実施形態では、隔壁64は薬物ペレットに組み込まれ、望ましくない方向への薬物の溶出を防止するために、インプラント54のシェルの内寸に対してシールを形成する。シャントを更に含む特定の実施形態において、隔壁はシャント排出穴の先端側に配置されてもよい。これについては以下に更
に詳細に記載される。
特定の代替的実施形態において、オリフィス又は薬物放出領域は内部ルーメンを取り囲む外部シェルの一部又はほぼ長さ全体に沿って配置されてもよく、1つ以上の隔壁が、送達されるべき薬物を分離してもよい。
薬物ペレット収容インプラントの更なる非限定的な追加の実施形態が図11Bに(断面で)示される。特定の実施形態において、ペレットは以下により詳細に記載される特性を備えたマイクロペレット62’(例えば、マイクロタブレット)である。いくつかの実施形態では、そのような1つ以上のそのようなマイクロペレットは所望の厚さの壁54’を有するポリマーチューブ内に収容される。いくつかの実施形態では、ポリマーチューブは押出成形され、任意選択的に、円形断面を有する。他の実施形態において、他の形状(例えば、楕円形、矩形、八角形等)が形成される。いくつかの実施形態では、このポリマーは以下により詳細に記載するような生分解性ポリマーである。材料又は形状にかかわらず、インプラントのいくつかの実施形態は、被検者の眼に植え込むための寸法にされている(例えば、21ゲージ、23ゲージ、25ゲージ、27ゲージ、又はそれよりも細い針を通るようなサイズにされている)。
それに関連して、そのようなデバイスのいくつかの実施形態の寸法は、マイクロペレット内の治療薬の所望の放出時間を提供するために変更してもよい。例えば、ポリマーチューブの壁厚を調節して、治療薬に対するポリマーチューブの透過性を変更することができる。更に、生分解性ポリマーの場合、壁厚は、また、デバイスの全体的な分解速度を制御するために変更することができる。本明細書中でより詳細に記載される他の変動因子、例えば、ポリマーの化学的性質及び使用されるポリマーの分子量と組み合わせると、インプラントからの治療薬の溶出は高度に制御可能である。
図11Bに全体的に示されるように、マイクロペレット62’は、末端部又は隔壁64’によって画定される隔室内に収容され得る。いくつかの実施形態では、各ルーメン又は隔室を画定する末端部64’はチューブ54’と同じ材料から熱成形される。他の実施形態において、末端部64’はポリマーフィラメントの切片で形成されてもよい。更に他の実施形態において、末端部は、少量の熱硬化性ポリマー、接着剤、揮発性溶媒中のポリマー溶液等を注入する又は他の手法で適用することによってチューブの内部内に形成される。別法として、末端部は、硬質ポリマー、金属又は他の材料から機械加工され、溶剤又は接着剤結合を用いてチューブ内に配置及び保持されてもよい。末端部がポリマーである実施形態では、いくつかの実施形態は、生分解性ポリマーを用いる。生分解性ポリマーは、マイクロペレット状治療薬が放出される前、最中又は後に分解するように設計されてもよい。更に、高分子末端部は押出成形高分子チューブ54’と同じポリマーを含んでも、異なるポリマーであってもよい。
図11Bでは治療薬62’の1つのマイクロタブレットを保持するような寸法で示されるが、いくつかの実施形態では、ルーメン58’は、同じ又は異なる治療薬を含む複数のマイクロタブレットを保持するような寸法にしてもよいことは理解されよう。有利には、押出成形シェル及び1つ以上のマイクロペレットを用いるそのような実施形態は、多くの場合押出成形で必要とされる高温に治療薬がさらされることなく、インプラントからの治療薬の放出を制御された状態で可能にする。むしろ、シェルをまず押出成形し、その後、温度が正常に戻るとマイクロペレットを装填してもよい。
本明細書中により詳細に記載されるように、各タブレットは、任意選択的に1つ以上の賦形剤と組み合わされた治療薬(本明細書中では医薬品有効成分(API)とも呼ばれる)を含む。賦形剤は、チューブ54’の壁に浸透圧勾配を形成するために、とりわけ、遊
離水溶性小分子(freely water soluble small molecules)(例えば、塩)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、そのような勾配は壁にかかる応力を増加し、薬物を放出する時間を減少させる。
本明細書中に開示されるインプラントのいくつかの実施形態の生体内環境は、水系溶液(房水若しくは血漿など)又はゲル(硝子体液など)から成ってもよい。周囲生体環境の水は、いくつかの実施形態では、半透性又は有窓のステント壁を通り、薬物貯蔵部(実施形態に応じて、例えば内部ルーメンの1つ以上)へと拡散してもよい。薬物収容内部ルーメン内に集められた水は、その後、少量のタブレット又は薬物賦形剤粉末を溶解し始める。溶解プロセスは、生体内環境と浸透平衡の溶液がルーメン内に形成されるまで継続する。
更なる実施形態において、水の進入及び等浸透圧溶液の形成を促進するために糖類又は塩類などの浸透圧剤が薬物に添加される。比較的不溶性の薬物、例えば、コルチコステロイドでは、特定の実施形態において、等浸透圧溶液は薬物に対して飽和してもよい。特定のそのような実施形態において、飽和は薬物供給がほぼなくなるまで維持され得る。いくつかの実施形態において、フィックの法則によれば溶出速度は実質的に一定となる傾向があることから飽和状態の維持は特に有利である。
大抵の場合、図11Bに示されるもののようなインプラントは、単独で(例えば、単一のインプラント)植え込まれても、任意選択的に、複数のマルチプルデバイスとして植え込まれてもよい。いくつかの実施形態では、複数のインプラントは(例えば、端と端とを付けて)接合され、単一のより大きなインプラントを形成してもよい。上記のように、及び以下により詳細に記載するように、異なる薬物放出時間を有するそのようなインプラントは、例えば、押出成形細管54’の時間又は分解特性を変更することによって得られてもよい。異なる放出時間を有する複数の異なるデバイスの植え込みにより、特定の時間における複数のインプラントからの薬物の連続する(又は同時の)放出に基づき所望の全体的な薬物放出プロファイルを得ることができる。例えば、放出時間は、薬物放出の第1の期間が発生し、その後、第2の薬物放出期間の前の「休薬期間」が続くように設計され得る。
インプラントのいくつかの実施形態は、薬物送達デバイスとして機能することに加え、さらに、シャントを含んでもよい。用語「シャント」は、本明細書で使用する場合、広義な用語であり、当業者にとってはその通常の及び慣用的な意味が与えられ(及び特殊の又は特別の意味に限定されるものではない)、限定されることなく、多くの場合は望ましくない第1の位置から、1つ以上の他の位置に流体を輸送するための1つ以上の流体通路を画定するインプラントの部分を意味する。いくつかの実施形態では、シャントは、全般的には図12に示されるような、眼の前房から流出経路に房水を排出し、眼圧を低下させるための流体流路を提供するように構成され得る。他の実施形態において、シャントは、流出経路に房水を排出するための流体流路を提供するように構成され得る。更に別の実施形態は、眼内及び周囲の領域から離れた位置へと眼内液又は間質液を排出するように構成され得る。更に別の、薬物送達とシャントを組み合わせたインプラントは、第1の生理的部位から第2の部位(生理的であっても患者の外部であってもよい)に生理流体を排出するように構成してもよい。別の更なる実施形態において、シャントは、付加的に(又は代替的に)薬物の希釈及び/又は溶出を促進するために大量の流体環境を提供するように機能する。
インプラントのシャント部は、流入部68及び1つ以上の流出部66を有し得る。上述のように、流出部は、インプラントの基端部52に又はその近傍に配置してもよい。図示しないが、いくつかの実施形態では、シャント流出部はインプラントの先端部に又はその
近傍に配置してもよく、流入部はインプラントの(1つ又は複数の)異なる位置に配置される。いくつかの実施形態では、インプラントが留置される場合に、流入部は眼の前房に配置されるような大きさに構成されてもよく、流出部は眼窩上又は脈絡膜上腔に配置されるような大きさに構成されてもよい。いくつかの実施形態では、流出部は、ぶどう膜強膜路の眼窩上領域、脈絡膜上腔、眼の他の部分、又は流体堆積に適用可能な他の生理学的空間内に配置されるような大きさにされ且つ構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルーメンがインプラントのシャント部内に延出する。いくつかの実施形態では、インプラントのシャント部内に流体を導くように動作する少なくとも1つのルーメンがある。特定の実施形態において、各ルーメンはルーメン軸線に沿って流入端から流出端まで延在する。いくつかの実施形態では、ルーメンはシャントの長手方向中心を通過して実質的に延在する。他の実施形態において、ルーメンはシャントの長手方向中心からずらすことができる。
デバイスの基端側部分にシャントを付加的に含むインプラントでは、インプラントの第1の(最基端側)流出オリフィスは被検者の前房から1〜10mmに配置される。デバイスの基端側部分にシャントを付加的に含むいくつかの実施形態では、インプラントの第1の(最基端側)流出オリフィスは、被検者の前房から好ましくは2〜5mmに配置される。更なる流出オリフィスが、薬物又は治療薬を収容する内部ルーメンが開始する箇所まで又はそこを越えて、より先端側の位置に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、インプラントは外部シェル内に長手方向に配置された1つ以上の仕切りを備えて形成され、シェルの内部ルーメン内に複数の更なるサブルーメンを形成する。仕切りは、インプラント内に取り付けられ、2つ以上のサブルーメンを形成するような任意の形状(例えば、矩形、円筒状)又は大きさのものとすることができ、また、1種以上のポリマー、コポリマー、金属又はこれらの組み合わせを含む、外部シェルと同じ材料又は異なる材料で作製してもよい。一実施形態において、仕切りは生物分解性又は生体内分解性材料で作製される。複数のサブルーメンは互いに対し任意の構成であってもよい。いくつかの実施形態では、インプラントシェル内に2つのサブルーメンを形成するために1つの仕切りを用いてもよい。例えば、図13Aを参照のこと。いくつかの実施形態では、2つのサブルーメンは等しい寸法のものである。他の実施形態において、仕切りは、等しくない寸法のサブルーメンを作成するために使用してもよい。更に他の実施形態において、シェルの内部内に2つ以上のサブルーメンを形成するために複数の仕切りを用いてもよい。いくつかの実施形態では、ルーメンは等しい寸法のものであってもよい。例えば、図13Bを参照のこと。別法として、仕切りは、サブルーメンが等しい寸法のものとならないように配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、仕切りによって形成されるサブルーメンの1つ以上がインプラントの長さ全体を横断してもよい。いくつかの実施形態では、サブルーメンの1つ以上は、横方向に又は斜めに配置された仕切り又は隔壁によって遮断するように画定してもよい。遮断されたサブルーメンは、特定の用量又は濃度の薬物を収容するのに必要な任意の寸法で形成してもよい。
他の実施形態において、インプラントは、図13Cに示すように、互いに入れ子状となっており、「チューブ内チューブ」設計を形成する、眼内液に対して実質的に不透過性の1つ以上の管状シェル構造54の組み合わせとして形成される。別の実施形態において、インプラントの内部を入れ子状の「チューブ」に仕切るために円筒状の仕切りが使用される。そのような実施形態において、任意選択的にポリマー系とされ得るコーティング60が管状インプラント内又は上に配置され得る。そのような実施形態において、少なくとも第1の内部ルーメン58が形成されるとともに眼内液流ルーメン70が形成される。いく
つかの実施形態では、眼内液流ルーメン70は中心に配置される。他の実施形態において、眼内液流ルーメン70はインプラントシェルのより近傍に偏らせて配置されてもよい。更に他の実施形態において、インプラント内に更なるルーメンを形成するために更なるシェル構造が追加される。薬物62は前記形成されたルーメンの1つ以上の内部に配置されてもよい。オリフィス又は薬物放出領域は治療薬に眼内液を接触させるために必要に応じて配置してもよい。特定の実施形態において、コーティングが外部シェルの外部表面に配置される。特定の実施形態において、1つのインプラントに2つ以上の生物分解性コーティングが使用され、それぞれのコーティングがインプラントの別個の又は重なった部分を被覆する。生物分解性コーティングを用いる実施形態において、それぞれのコーティングは、任意選択的に、眼内液中における固有の生分解速度を有する。
いくつかの実施形態では、芯82がインプラントに含まれる(図14)。芯は、薬物放出領域のオリフィスのみを通じて実施されるものに比べてより迅速にデバイスの外側から内部ルーメンへと眼内液を輸送するのを補助する任意の形態を取ってもよい。図14はオリフィスを貫通する芯を示すが、薬物放出領域のみを有するインプラントもまた芯を用いることができることは理解されよう。そのような実施形態において、オリフィスが形成されないように、インプラントの製造時、外部シェルを貫通するように芯を配置してもよい。いくつかの実施形態では、オリフィス内又は外部シェル内に繊維を配置し、芯のそのような部分がインプラントのルーメン内の薬物に隣接して配置される。他の実施形態において、眼内液が薬剤の内部部分に直接送達されるように、芯の周囲に薬物が形成される。更に他の実施形態において、上述のように、1つ以上の芯が使用され、したがって、ペレットの外部部分及び内部部分又は薬物の塊体からの薬剤の溶解を可能にする。
図15は、インプラントを眼組織に固定するための保持用突起359を更に含む、本明細書の記載によるインプラントの一実施形態の断面概略図を示す。図15及び他の図には、インプラント端部である先端側部分と、保持用突起359端部である基端側部分とを有するものとして示されるが、いくつかの実施形態では、植え込みの部位及び方向に応じて、先端側部分と基端側部分とを図15の方向に対し逆にしてもよい。加えて、図示されるインプラントでは外部シェルを貫通するオリフィスの存在を示すが、シェル材料の厚み及び/又は透過性に基づく薬物放出領域を含むインプラントの実施形態もまた、保持機能部とともに使用され得ることは理解されよう。更に、いくつかの実施形態において、1つ以上のオリフィス、透過性及び/又は半透過性材料の1つ以上の層、並びにシェル材料の厚み及び/又は透過性に基づく1つ以上の薬物放出エリアの組み合わせを含むインプラントが使用される。
いくつかの実施形態において、インプラントは、シート400及び保持用突起359を含む。図16を参照のこと。いくつかの実施形態では、シートは保持用突起に接合されない。シートは、ポリマー、繊維又は複合材料を含むが、これらに限定されない任意の生体適合性材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、シートには1つ以上の治療薬が配合される。いくつかの実施形態では、シートには、1つ以上の治療薬を配合した材料がコーティングされる。他の実施形態において、第1の治療薬を配合したシートは、第1の治療薬とは異なる濃度の第2の治療薬又は補助剤を配合した材料でコーティングされる。いくつかの実施形態では、シートは生物分解性であるが、他の実施形態では生物分解性ではない。他の実施形態において、ディスク402(図17)がシートの代わりに用いられる。いくつかの実施形態において、シート又はディスクは可撓性である。
シート又はディスクインプラントのいくつかの実施形態の送達のために、シート又はディスクは、丸める、折りたたむ又は他の手法で送達器具内に収めることができるような寸法にされる。いくつかの実施形態では、インプラント全体が可撓性である。いくつかの実施形態では、インプラントは予め湾曲される又は予め曲げられるが、送達装置の非湾曲ル
ーメン内に配置されるほどなお十分に可撓性である。いくつかの実施形態では、可撓性シート又はディスクは約0.01mm〜約1.0mmの範囲の厚みを有する。好ましくは、送達器具は、眼から器具を抜去すると挿入部位が縫合なしに自己で塞がるように十分に小さな断面、例えば、好ましくは約18ゲージ以下及び約27又は30ゲージ以上の外寸を有する。そのような実施形態において、丸められた又は折りたたまれたシート又はディスクは、眼組織への取り付け及び送達器具の抜去後、それらのほぼ元の寸法に戻ることができる。特定の実施形態において、約50〜200ミクロン、約100〜150ミクロン、約25〜100ミクロン、及び約100〜250ミクロンを含む、約25〜250ミクロンの厚みが使用される。
インプラントは、いくつかの実施形態では、虹彩に固定され(例えば、繋ぎ止められる)、前房水内で浮遊するような寸法にされる。これに関連して、用語「浮遊」は、インプラントの浮揚性を意味するものではなく、むしろ、インプラントのシート表面が前房の眼内液内において保持用突起により許容される程度まで移動可能であることを意味するものである。特定の実施形態において、そのようなインプラントは眼球内組織に繋ぎ止められず、眼内を自由に浮遊する。特定の実施形態において、インプラントは生体適合性接着剤により虹彩に接着的に固定され得る。いくつかの実施形態では、生体適合性接着剤は予め活性化させてもよい一方で、他の実施形態において、眼内液との接触により接着剤を活性化させてもよい。更に別の実施形態は、インプラントの配置後であるが、送達装置の抜去前の外部刺激による接着剤の活性化を含んでもよい。外部刺激の例としては、熱、超音波及び高周波、又はレーザーエネルギーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、虹彩の大きな表面積のため、虹彩にインプラントを固定することが好ましい。他の実施形態において、インプラントは虹彩に固定された保持用突起に対して可撓性であるが、自由に浮遊しない。本明細書中に開示される実施形態は瞳孔における正常な光の通過を可能にする状態で虹彩に固定される。
上記のように、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態は、インプラントからの薬物放出の速度を制御するために、異なる透過性を有する複数の材料を用いる。図18A〜図18Qは、インプラントからの薬物放出の速度を制御するために、異なる透過性を備えた材料を用いる更なるインプラント実施形態を示す。図18Aは、図18Bに示されるインプラント本体53の頂面図を示す。インプラント本体53は、外部シェル54及び保持用突起359を含む。明示的に図示しないが、いくつかの実施形態において、本体及びキャップを含むインプラントが、また、保持用突起なしに構成されることは理解されよう。図18Cは、いくつかの実施形態では、外部シェル54と同じ材料で作製されるインプラントキャップ53aを示す。他の実施形態において、キャップ53は、外部シェルとは異なる材料で作製される。シェル54の透過性とは異なる透過性を備える材料を使用することにより、薬物放出領域56がキャップ内に形成される。本体及びキャップ(及び任意選択的に保持用突起)を含むインプラントは、本体又はキャップ内にオリフィスを備えて構成してもよく、任意のオリフィスの全体又は一部を被覆する透過性又は半透過性材料の層又はコーティングで構成してもよく、また、上記とシェル材料の厚み及び/又は透過性に基づく薬物放出領域との組み合わせで構成してもよいことも理解されよう。図18E〜図18Fを参照のこと。
図18G〜図18Jは、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態による組み立て済みのインプラントを示す。インプラント本体53はインプラントキャップ53aと接合され、それによって、薬物62が充填されたルーメン58を形成する。いくつかの実施形態では、インプラント本体54の材料はキャップ54aの材料とは異なる。したがって、異なる材料のキャップと本体との組み立てにより、薬物放出領域56を形成する。
キャップの更なる非限定的な実施形態が図18K及び図18Lに示される。図18Kで
は、薬物放出領域56を有するOリングキャップ53aが断面で示される。他の実施形態において、キャップ内に1つ以上の薬物放出領域があってもよい。組み立てられると、流体不透過性シールがインプラントのキャップと本体との間に作製されるように、Oリング99(又は他のシーリング機構)がキャップの周りに配置される。図18Lでは、クリンプキャップが示される。キャップがインプラントの本体に確実に配置され、密閉されるように、キャップの外部シェルは圧縮可能な領域98を含む。上記のように、特定の実施形態は、シェル材料の厚み及び/又は透過性に基づく薬物放出領域の代わりに又はそれに加えて、オリフィス及び層を用いる。図18Mは、断面で示されるOリングキャップ53aを示す。コーティング60がキャップの外部シェル54内に配置され、オリフィス56aを被覆する。他の実施形態において、キャップ内に1つ以上のオリフィスがあってもよい。いくつかの実施形態では、コーティング60は、半透過性ポリマーの膜又は層を含む。いくつかの実施形態では、コーティング60は規定の厚さを有し、したがって、種々の薬物及び眼内液に対する規定及び既知の透過性を有する。図18Nでは、オリフィス及びコーティングを含むクリンプキャップが示される。キャップ内に配置されたコーティングが示されるが、いくつかの実施形態では、キャップの外側、オリフィス内又はこれらの組み合わせを含む他の位置が使用されることは理解されよう(図18Oを参照のこと)。
加えて、図18P及び図18Qに示すように、特定の実施形態において、層が形成されるように、薬物材料内にコーティングが用いられる。コーティングはルーメン内の異なる薬物62a、62b、62c、62dを隔てることができる(図18P)。特定の実施形態において、コーティングは異なる濃度の同じ薬物を隔てるために用いられる(図18Q)。そのような内層は、また、薬物放出領域(単体か、又は本明細書中に開示される他の薬物放出要素、例えば、オリフィスと組み合わせるかのいずれか)を含む実施形態において有用であることは理解されよう。特定の実施形態において、層は特に所望の薬物溶出プロファイルを形成する。例えば、遅く侵食される層の使用は、薬物放出の低減期間又は「休薬期間」を設けるために用いられる。別法として、以下により詳細に記載されるように、層は、ゼロ次(又は他の動力学プロファイル)を設けるために作製してもよい。
図に示される実施形態のそれぞれ及び他の実施形態において、コーティング又はシェル材料の外層は噴霧、浸漬によって形成しても、当技術分野において周知のいくつかの他の同等の手段によって付加してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、薬物放出領域又はオリフィスを被覆する層の透過性(したがって、溶出速度)は、インプラントの製造に用いられる材料、インプラントのコーティング(もしあれば)及びインプラント外部シェルの有効厚さによって少なくとも一部規定される。
特定の実施形態のインプラントの製造中、1つ以上の内部ルーメン58がインプラントの外部シェル内に形成される。いくつかの実施形態では、内部ルーメンはインプラントの基端側部分内に局在する一方で、他の実施形態において、内部ルーメンはインプラントの長さ全体又は任意の中間長さに及ぶ。いくつかの実施形態は1つの内部ルーメンを含む一方で、他の実施形態は2つ以上の内部ルーメンを含む。いくつかの実施形態では、内ルーメンの1つ以上は眼房又は領域、例えば、前房と連通してもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、2つ以上の眼房又は領域に連通するような寸法にされている。いくつかの実施形態では、インプラントの基端側及び先端部の両方が1つの眼房又は領域内に配置される一方で、他の実施形態において、インプラントの端部は異なる眼房又は領域に配置される。
インプラントの内部ルーメン58内に薬物62が収容される。薬物62は、特定の眼の病状に対して治療的に有効な薬剤と、薬物を適合可能な形態に調製するのに必要な任意の追加の化合物とを含む。いくつかの実施形態では、内ルーメンの1つ以上は、同時に(併用療法)又は別々に送達されてもよい異なる薬物又は異なる濃度の薬物を収容してもよい
。いくつかの好適な実施形態において、内部ルーメンはインプラント内に配置される所望の量の薬物に応じた大きさに作られる。特定実施形態の内部ルーメンの最終寸法は、送達されるべき薬物の種類、量及び所望の放出プロファイル並びに薬物の組成によって決定される。
いくつかの実施形態では、薬物は薬物含有ペレットの形態である一方で、他の実施形態において、薬物は、液体、スラリー、マイクロペレット(例えば、マイクロタブレット)又は粉末である。特定のそのような実施形態において、薬物の形態により、インプラントを可撓性にすることが可能になる。いくつかの実施形態では、薬物は高分子製剤を配合する。いくつかの実施形態では、ルーメン内に配置される薬物は純薬である。特定の実施形態において、高分子製剤は、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGAコポリマー又は他の生物分解性若しくは生体内分解性ポリマーを含む。更に他の実施形態において、内部ルーメンは薬物のみを含む。
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の薬物の複数のペレット62はインプラントの内部ルーメン内に配置される。いくつかの実施形態では、インプラントからの唯一の出口経路が薬物放出領域を通過するものであるように、不透過性隔壁64を用いて薬物をルーメン内に密閉する。いくつかの実施形態では、不透過性隔壁64は特定速度で生体分解してもよい。いくつかの実施形態では、不透過性隔壁64は薬物ペレットに組み込まれ、インプラント54のシェルの内寸に対してシールを形成する。他の実施形態において、2つ以上の不透過性隔壁がルーメン内に使用され、それにより、異なる薬物、異なる濃度の同じ薬物、又は種々の賦形剤を配合した同じ若しくは別の薬物等を含んでもよいサブルーメンを形成する。そのような実施形態において、連続的な薬物放出、又はインプラント内で不活性であり、それら各サブルーメンの外で混合されたときに活性化する2つの薬剤の放出を実施してもよい。
いくつかの実施形態では、治療薬はマイクロペレット又はマイクロタブレットとして作製される。加えて、いくつかの実施形態では、マイクロタブレットにより、より多くの量の治療薬をインプラント内で用いることが可能になる。これは、いくつかの実施形態では、タブレット化により、デバイスの充填によって実現され得る密度に比べてより高い密度のペレットが得られることが理由である。特定の容量に対する薬物の量の増加もまた、タブレット全体の重量パーセントとして用いられる賦形剤の量を削減することによって実施してもよく、これは、タブレットの完全性を保持しつつ、非常に小さなサイズのタブレットを作製する場合に可能であることが本発明者によって判明している。いくつかの実施形態では、治療の(重量)パーセントは約70%以上である。本明細書中に記載されるように、治療薬は、当技術分野で周知の賦形剤又は結合剤と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、治療薬の割合は、約70%〜約95%、約75%〜85%、約75%〜90%、約70%〜75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約95%〜約99%、約99%〜約99.9%の範囲、及びそれらの重なった範囲である。いくつかの実施形態では、治療薬の割合は約80%〜約85%の範囲であり、81重量%、82重量%、83重量%及び84重量%を含む。
いくつかの実施形態において、マイクロタブレットは、充填され得る、突き固められ得る又は本明細書中に開示されるインプラント内に他の手法で配置され得る薬剤の量に関して利点を提供する。マイクロタブレットを含む結果として作製されるインプラントは、いくつかの実施形態では、したがって、非マイクロタブレット形態で達成され得る密度よりもより高い密度の治療薬を含む。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント内のマイクロペレット形態の薬剤の密度は、約0.7g/cc〜約1.6g/ccの範囲である。いくつかの実施形態では、インプラント内で用いられる密度は、約0.7g/cc〜約0.9g/cc、約0.9g/cc〜約1.1g/cc、約1.1g/cc〜約1.3g
/cc、約1.1g/cc〜約1.5g./cc、約1.3g/cc〜約1.5g/cc、約1.5g/cc〜約1.6g/ccの範囲及びそれらの重なった範囲である。いくつかの実施形態では、1.6g/cc超の治療薬の密度が用いられる。
本明細書中に記載されるように、本明細書中に開示されるデバイスのいくつかの実施形態は再充填可能であり、したがって、マイクロタブレットのサイズが有利である。いくつかの実施形態では、デバイスの装填及び/又は再充填はシリンジ/針によって行われ、それらを介して治療薬が送達される。いくつかの実施形態では、マイクロタブレットは、23〜25ゲージ、25〜27ゲージ、27〜29ゲージ、29〜30ゲージ、30〜32ゲージ及びそれらの重なった範囲を含む約23ゲージ〜約32ゲージの針を通じて送達される。いくつかの実施形態では、針は23ゲージ、25ゲージ、27ゲージ、30ゲージ又は32ゲージである。いくつかの実施形態では、マイクロタブレットは、シリンジ又はカニューレを用いて眼に、硝子体腔などに直接導入してもよい。
一実施形態において、上記特性又はこれらの任意の組み合わせを備えるマイクロタブレットは、タブレット化、凍結乾燥、粒状化(湿式又は乾式)、薄片化、直接圧縮、成形、押出等を含む当技術分野において周知の技術を用いて作製される。更に、以下に記載されるように、上記特性の変更を用いて、インプラントからのマイクロタブレット治療薬の放出プロファイルを調節することができる。
いくつかの実施形態において、マイクロペレット化工程の前に治療薬の凍結乾燥が使用される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥はマイクロタブレットに組み込まれた治療薬の安定性を向上させる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥により、マイクロペレット化の前により高い濃度の治療を得ることを可能とし、それによって、いくつかの実施形態において望まれる高い割合の治療薬を実現する能力が高まる。例えば、眼疾患の治療に有用な多くの市販されている治療薬は、他の疾患の第一選択薬として開発されたものである。したがって、それらの本来の配合は、マイクロペレット化、或いは本明細書中に開示されるもののような眼内インプラントによる眼内標的への投与に適していない、或いは理想的でない場合がある。例えば、いくつかの抗VEGF化合物は、単回使用バイアル内に、静脈内に投与されることを意図した無菌液として供給される(例えば、ベバシズマブ)。その結果、そのような液体製剤は固体と比較するとマイクロペレットの形成にあまり好ましくないが、いくつかの実施形態では、液体治療薬を任意選択的に使用してもよい。高い割合の治療薬のマイクロペレット化を実現するために、そのような液体製剤は、凍結させ(例えば、−20〜−80Cの温度で16〜24時間以上保管される)、その後、乾燥するまで凍結乾燥を実施してもよい。或いは、治療薬を乾燥させるために空気噴霧、結晶化又は他の手段を任意選択的に用いてもよい。
乾燥すると、凍結乾燥(又は他の手法で乾燥された)治療薬は任意選択的に純度に関して試験される。いくつかの実施形態では、非治療的成分(例えば、賦形剤又は不活性結合剤)を(蒸発により)溶解及び除去するために、液体(又は固体)製剤に溶媒を添加してもよい。いくつかの実施形態では、治療薬は凍結乾燥の前に従来の方法(例えば、抗体ベースのクロマトグラフィ、HPLC等)によって精製される。そのような実施形態において、凍結乾燥は、多くの場合、回収される精製試料中における治療薬の濃度を増加するように機能する。
いくつかの実施形態では、乾燥させた治療薬(効率のため、任意選択的にバルクで乾燥される)は、粉砕され、ふるいにかけられ、浸軟され、凍結破壊される、又は他の手段によって既知量へと小分けされ、その後、マイクロペレット化される。
凍結乾燥及び又は小分け後、治療薬はマイクロペレット化工程へと供給される。いくつ
かの実施形態では、標準的手法(例えば、圧縮、押出、成形又は他の手段)が用いられる。しかしながら、高い割合の治療薬を用いるいくつかの実施形態において、より専門的な手法が用いられる。
いくつかの実施形態において、治療薬はタンパク質であり、そのような実施形態において、乾燥及び/又はタブレット化は治療薬の生物学的活性に不利に影響しない条件(例えば、温度、酸/塩基等)下で完了されるべきである。マイクロペレット状治療薬の生物学的活性の維持を支援するために、いくつかの実施形態では、治療的タンパク質の構造(したがって、活性)を維持するための安定化剤(例えば、マンニトール、トレハロース、デンプン又は他のポリ−ヒドロキシポリマー)を用いてタンパク質治療薬が作製される。
図19A〜図19Wは、薬物の実施形態保持用突起の種々の実施形態を示す。本明細書で使用する場合、保持用突起にはその通常の意味が与えられ、また、インプラントを、適切な標的眼球内組織(全体として図19A〜図19Gに15で示される)に永久的又は一時的のいずれかにおいて固着する、固定する又は他の手法で取り付けることを可能にする任意の機構又はアンカー要素を意味してもよい。例えば、生体適合性接着剤を含むインプラントの部分は、保持用突起、逆棘、穴を有する逆棘、ねじ様要素、刻み付き要素等とみなしてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは標的組織に縫合される。例えば、いくつかの実施形態では、インプラントは虹彩の好ましくは下部に縫合される。任意の図示される(及び/又は記載される)インプラントとともに任意の保持手段を用いてもよいことは理解すべきである(そのように明示的に示されない又は記載されない場合であっても)。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインプラントは特定の望ましい眼房内におけるそれらの形状及び/又はサイズに基づき(永久的に又は一時的に)留められる又は捕捉される。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント(例えば、脈絡膜上のステント)は、眼組織に対し十分な量の摩擦をもたらしインプラントを所定の位置に保持するインプラントの外寸に基づき眼房(例えば、脈絡膜上腔)内に留められる。
インプラントを固定するための眼球内標的としては、眼の線維組織が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、インプラントは毛様体筋及び/又は腱(又は線維帯)に固定される。いくつかの実施形態では、インプラントは、シュレム管、強角膜線維柱帯、上強膜静脈、虹彩、虹彩根、水晶体皮質、水晶体上皮、水晶体被膜、強膜、強膜棘突起、脈絡膜、脈絡膜上腔、前房壁に固定される、又は前房隅角内に配置される。本明細書で使用する場合、用語「脈絡膜上腔」にはその通常の意味を与えられ、用語「脈絡膜上腔」に包含されてもよい他の可能となり得る眼房が眼の種々の領域内に存在することは理解されよう。例えば、眼の前領域に位置する脈絡膜上腔は眼窩上腔としても知られ、したがって、本明細書中の特定の状況において、「脈絡膜上腔」の使用は眼窩上腔を包含することを意図する。
保持用突起は外部シェルと同じ生体適合性材料で作製してもよい。いくつかの実施形態では、生物分解性保持用突起が使用される。別の実施形態において、保持用突起の1つ以上は外部シェルと異なる材料で形成してもよい。異なるタイプの保持用突起も、1つのデバイスに含まれてもよい。
いくつかの実施形態では(例えば、図19Aを参照のこと)、保持用突起359は、基部部分130の表面に形成された隆起部128又は一連の隆起部を含むねじ切りされたピン126を含んでもよい。そのような隆起部は、インプラントの表面に、インプラントの長軸から片寄って、インプラントの周囲に螺旋状で、又はインプラントを取り囲んで(例えば、図19Bを参照のこと)を含むが、これらに限定されない任意の方向で形成してもよい。同様に、隆起部は互いに別個のものであっても連続してもよい。上昇した隆起;円筒;図19Cに示すような深いねじ山134;図19Dに示すようなリブ140;図19
Eに示すようなリベット形状の基部部分146;図19Fに示すような、保持要素359を、眼組織を通る位置において取り囲む生体適合性接着剤150;又は図19Gに示すような逆棘170などの他のアンカー要素もまた使用してもよい。いくつかの実施形態では、保持用突起は、全体として20で示される予め存在する眼球内腔又は空間内に配置される。例えば、図19Hに示されるように、長尺状のブレード34はシュレム管22内にあり、強角膜線維柱帯21を横断する基部部分130に取り付けられる。他の実施形態において、図19Iに示されるように、当技術分野で周知の眼球内空間の寸法に基づき、より短い基部130aが使用され、シュレム管22内に配置された長尺状のブレード34に取り付けられる。
特定の実施形態において、物理的保持用突起とともに又は物理的保持用突起の代わりに、膨張可能な材料100が使用される。例えば、図19Jでは、基部130の特定の領域が、膨張可能な材料100によって被覆される。眼内液を含む適切な溶媒と接触すると、材料は(矢印により示されるように)膨張し、したがって、周囲組織、例えば、図19Jにおいて強角膜線維柱帯21及びシュレム管22の基部に圧力をかける。
いくつかの実施形態では、膨張可能な材料100の膨張を引き起こすために外部刺激が用いられる。図19Kに示されるように、基部130の特定の領域が、膨張可能な材料100によって被覆される。外部刺激hvによる刺激により、材料は(矢印により示されるように)膨張し、したがって、周囲組織、例えば、図19Kにおいて強角膜線維柱帯21及びシュレム管22の基部に圧力をかける。適切な外部刺激としては、光エネルギー、電磁エネルギー、熱、超音波、高周波又はレーザーエネルギーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの他の実施形態において、膨張可能な材料100は外部シェル54にコーティング又は積層され、溶媒との接触に応答して膨張する。図19L〜図19Qを参照のこと。いくつかの実施形態では、インプラントが完全に所望の眼球内空間内に配置されると、体液との接触により膨張可能な材料が膨潤する、固化する又はゲル化する又はそうでなければ膨張する。(図19L〜図19Qの寸法DとD1を比較されたい)。結果として、膨張した材料が周囲眼組織に圧力をかけ、これによりインプラントを所定の位置に固定する。
いくつかの実施形態では、膨張する材料がインプラントシェルと周囲眼球内組織との間の任意の間隙を埋める。いくつかのそのような実施形態において、膨張した材料がインプラントの1つの部分を封止し、インプラント外部シェル周囲の容積を埋めるかそうでなければ密閉するため、流体はインプラントの周りを流れることを妨げられ、インプラント内を流れなければならなくなる。
図19P及び図19Qに概略的に示されるもののような他の実施形態において、膨張した材料が周囲の眼組織に圧力をかけるが、インプラントシェル及び膨張可能な材料の周囲に流体流れ区域102を形成することによって天然眼内液通路の開存性も維持するように、膨張可能な材料100はインプラントシェル54の選択された領域に配置される。更に他の実施形態において、材料の膨張により、ルーメンが開存状態に維持されるのを補助する又はルーメンの開存状態への維持を生じさせるように、膨張可能な材料はインプラントのルーメン内に配置され得る。
膨張可能な材料は浸漬、成形、コーティング、噴霧又は当技術分野で周知の他の適切なプロセスによってインプラント上に配置され得る。
いくつかの実施形態では、膨張可能な材料はヒドロゲル又は類似の材料である。ヒドロ
ゲルは架橋親水性ポリマー鎖の3次元網目構造である。ポリマー鎖の親水性により、十分な量の流体の存在下でヒドロゲルの膨潤が生じる。他の実施形態において、膨張可能な材料は、発泡体、コラーゲン、又は膨潤する、固化する若しくはゲル化する若しくはそうでなければ膨張する任意の他の類似の生体適合性材料である。いくつかの実施形態では、膨張可能な材料は適切な溶媒と接触すると即座に膨張し始める。他の実施形態において、インプラントが材料の膨張前に所望の標的部位に完全に配置され得るように、膨張は短時間の通過後に生じる。膨張を引き起こす好ましい溶媒としては、水、生理食塩水、眼内液、房水、又は外部シェルの構造若しくは透過性特性に影響を及ぼさない別の生体適合性溶媒が挙げられる。
いくつかの実施形態では、膨張可能な材料の膨張は異なる。いくつかの実施形態では、上記のように、膨張した材料が周囲の眼組織に圧力をかけ、それにより、インプラントを所定の位置に固定するように、材料はインプラントの外部シェルに配置される。他の実施形態において、膨張可能な材料は、膨張可能な材料の膨張により、アンカー要素が第1の引込まれた状態から、第2の膨張した状態へと移行するように、(上述のものなどの)別のアンカー要素に隣接して、それを取り囲んで、又はその下に配置されてもよい。アンカー要素はインプラントを眼構造に対して膨張した状態で固定する。いくつかの実施形態では、膨張可能な材料は2次元にのみ膨張するように設計されている一方で、他の実施形態において、材料は3次元に膨張する。
図19L及び図19Mでは膨張可能な材料を矩形の断面として示すが、断面形状は様々とすることができ、特定の実施形態において、円形、楕円形、不規則形及び他の形状を含んでもよいことは理解されよう。いくつかの実施形態において、材料の相対的膨張(寸法DからD1への変化)もまた制御される。特定の実施形態において、DからD1への変化は他の実施形態よりも大きい一方で、いくつかの実施形態では、材料の膨張時によりより小さなDからD1への変化が実現される。
図19P及び図19Qは、インプラントの本体から径方向外側に延出する突起を含む膨張可能なアンカー要素100を有するインプラントの側面図を示す。いくつかのそのような実施形態において、アンカー要素はインプラント本体に個々に連結される一方で、他の実施形態において、アンカー要素はインプラント本体上に取り付けるシース領域によって相互連結される。
選択される実施形態において、インプラント及び/又は保持用突起は、付加的に、シャント特徴部を含む。用語「シャント」は、本明細書で使用する場合、広義な用語であり、その通常の及び当業者にとって慣用的な意味が与えられ(特殊の又は特別の意味に限定されない)、限定されることなく、多くの場合望ましくない第1の位置から、1つ以上の他の位置への流体の輸送のための1つ以上の流体通路を画定するインプラントの部分を意味する。用語「ステント」は、また、シャントを意味するために使用してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、図19R〜図19Tと同様に、シャントは、眼の前房から流出経路に房水を排出し、眼圧を低下させるための流体流路を提供するように構成され得る。更に他の実施形態において、インプラントのシャント特徴部は、第1の生理的部位から第2の部位(生理的であっても患者の外部であってもよい)への同時の薬物送達及び流体の輸送を必要とする任意の生理学的位置に配置されてもよい。
インプラントのシャント部は、流入部38k及び1つ以上の流出部56kを有し得る。いくつかの実施形態では、流入部及び流出部はそれらが配置される生理学的空間に応じて、インプラントの種々の位置に配置される。図19Rに示すように、流出部はインプラントの基端部52に又はその近傍に配置されてもよい。インプラントが留置されると、流入部は眼の前房に配置されるような大きさにされてもよく、流出部は強角膜線維柱帯23又
はシュレム管22内に配置されるような大きさにされてもよい。他の実施形態において、流出部は、ぶどう膜強膜路の眼窩上領域、脈絡膜上腔、眼の他の部分、又は流体堆積に適用可能な他の生理学的空間内に配置されるような大きさにされてもよい。
少なくとも1つのルーメンがインプラントのシャント部内に延在し得る。いくつかの実施形態では、インプラントのシャント部内に流体を導くように動作する少なくとも1つのルーメンがある。特定の実施形態において、各ルーメンはルーメン軸線に沿って流入端から流出端まで延在する。いくつかの実施形態では、ルーメンはシャントの長手方向中心を通過して実質的に延在する。他の実施形態において、ルーメンはシャントの長手方向中心からずらすことができる。
上記のように、いくつかの実施形態では、外部シェル62によって被覆されていない薬物の圧縮ペレットが、シャント及び保持機能部を含むインプラントに取り付けられるかそうでなければ結合される。図19Tに示されるように、インプラントのシャント部は、1つ以上の流入部38kと、1つ以上の流出部56kとを含む。いくつかの実施形態では、流入部は流出部とは異なる生理学的空間内に配置される。いくつかの実施形態では、そのような位置決めにより、第1の位置から第2の位置への流体輸送が可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、眼内に展開されると、流入部は前房に配置され、流出部はシュレム管22に配置される。このようにして、前房内に蓄積する眼内液は前房からシュレム管へと排出され、それによって、前房内の圧力を低下させる。他の実施形態において、流出部は、ぶどう膜強膜路の眼窩上領域、脈絡膜上腔、眼の他の部分、又は流体堆積に適用可能な他の生理学的空間内に配置されるような大きさにされ且つ構成されてもよい。
シャントを含む更なる実施形態を使用して、眼内液を第1の位置から異なる位置へと排出してもよい。図19Uに示されるように、シャント30pは房水を前房20から回収路29へと直接誘導し、房水静脈へと流入させる。シャント30pはシュレム管の後壁に載置される先端部160を有する。取り外し可能な位置合わせピン158を用いて、シャントルーメン42pを回収路29と位置合わせする。使用時、ピン158はインプラントルーメン及びシャントルーメン42pを貫通し、基部160から突出して回収路29へと延び、シャント30pを回収路29上において中心に配置及び/又は位置合わせする。シャント30pは、その後、シュレム管22の後壁92に確実に押し付けられる。シャント30pを所定の位置に着座させ、確実に保持するために、シャント基部とシュレム管22の後壁92との間に永久バイオグルー162が使用される。配置されると、ピン158はシャント及びインプラントルーメン42pから取り外され、房水は前房20からインプラントを通過し、シャントを通過し、回収ダクト29へと流れることが可能になる。回収ダクトは直径が名目で20〜100マイクロメートルであり、シャント30pの配置の案内を提供するために適切な顕微鏡検査法(超音波生体顕微鏡検査法(UBM)など)又はレーザーイメージングにより可視化される。別の実施形態において、ピン158はインプラントから手で除去する必要がないように眼内液中で生物分解可能である。
いくつかの実施形態では、シャント30pは強角膜線維柱帯23に予め作製された切開を通じて挿入される。他の実施形態において、シャント30pはブレード構成で形成して自己穿孔能力を提供してもよい。これらの場合において、強角膜線維柱帯23の切開は、その基部に又は基部の近傍にブレードを有する自己穿孔シャントデバイスによって作製される。
図19Vに示すように、眼の前房20間において、強角膜線維柱帯23を通過し、眼のシュレム管22へと延びるシャントは、そこを通る房水の流れに関して軸対称になるように構成され得る。例えば、図19Vに示すように、シャント229Aは、前房20内に配置され、本明細書中に開示される実施形態による薬物送達インプラントと対応付けられる
ように構成された入口端部230を含む。シャント特徴部を明確にするため、インプラントは図示されていない。シャント229Aの第2端部231はシュレム管22に配置されるように構成される。少なくとも1つのルーメン239が入口端部230と出口端部232との間のシャント229Aを貫通する。ルーメン239は入口端部230に開口部232、及び出口端部231に出口233を画定する。
図示される実施形態において、シャント229Aの外部表面238は円錐形状である。したがって、入口端部230に隣接する外部表面238の周囲は出口端部231における外部表面238の周囲よりも小さい。
シャント229Aが強角膜線維柱帯23を貫通している状態で、強角膜線維柱帯23の組織は、シャント229Aを、その入口端部230が前房にあり、その出口端部231がシュレム管にある状態で保持するための更なる固定力(anchoring force)を提供する。例えば、強角膜線維柱帯23はシャント229Aにより塞がれた開口を自然に閉じる傾向がある。したがって、強角膜線維柱帯23はシャント229Aを圧迫する傾向がある。外部表面238が円錐形であることから、強角膜線維柱帯23によって印加される圧迫力によりシャント229Aがシュレム管22に向かって引き込まれる傾向がある。図示される実施形態において、シャント229Aは、入口端部230に隣接するシャント229の部分234が前房20内に留まる一方で、出口端部231に隣接するシャント229の部分235がシュレム管22内に留まるような大きさに作られる。
図示される実施形態において、シャント229Aの外部表面238は滑らかである。或いは、外部表面238は、例えば、湾曲状又は階段状などであるが、これらに限定されない他の輪郭を有し得る。一実施形態において、外部表面238はトランペット様形状を形成するように凹状に湾曲し得る。或いは、外部表面238は凸状とされ得る。
特定の実施形態において、シャント229Aは、好ましくは、出口開口部233とシュレム管22の壁との間に空間を維持するように構成された1つ又は複数の柱又は脚236を含む。したがって、脚236により、シュレム管の壁がシャント229Aの出口開口部233を完全に封鎖することを防止する。図示される実施形態において、脚236はシャント229Aの最先端側表面に結合され、シャント229Aを貫通し、前房20とシュレム管22との間に延びるインプラント軸線に実質的に平行である。
この脚236及び出口233の配置はシャント229Aに軸対称の流れ特性を付与する。例えば、房水は、出口233から任意の方向に流れることができる。したがって、シャント229Aはそのインプラント軸線に対する任意の角度位置でシュレム管に植え込むことができる。したがって、シャント229Aの角度方向を植え込み前に決定する必要はなく、植え込み工程時に特定の方向を保持する必要もない。
図19Wは、全体として参照符号229Bによって示されるシャント229Aの変更形態を示す。この実施形態において、シャント229Bは、部分234から径方向に延出するフランジ237を含む。好ましくは、フランジ237は前房20内に第1部分234を保持するように構成される。概して、房水は前房20からシュレム管22に向かって流れるが、シャント229A、229B又は上記シャントのいずれか及び以下に記載される他のシャントは、房水の全方向の流れを提供することができることは理解すべきである。
図19Xは、全体として参照符号229Cによって示されるシャント229Aの別の変更形態を示す。この実施形態において、外部表面238Cは円錐形ではない。むしろ、外部表面238Cは円筒状である。シャント229Cは、フランジ237と同じ大きさ及び形状とされ得るフランジ240を含む。脚236Cはフランジ240から延出する。
そのように構成すると、強角膜線維柱帯21の組織によりシャント229Cが配置される穴が閉鎖されるという自然な傾向によりシャント229Cが所定の位置に固定されることが補助される。加えて、脚236Cにより、シュレム管の壁がルーメン239Cの出口233Cが完全に閉鎖されないようにすることを補助する。
図19Yを参照すると、この図では、軸対称柱状シャントデバイスの別の実施形態が示され、全体として参照符号229Fによって示される。
シャント229Fは、第1のフランジ240Fを有する入口(基端側)セクションと、第2のフランジ237Fを有する出口(先端側)セクションと、入口セクションと出口セクションとを連結する中間セクション284とを含む。デバイス229Fのルーメン239Fは、入口セクションと出口セクションとの間において房水、液体又は治療薬を輸送するように構成されている。
シャント229Fの入口セクションは少なくとも1つの入口開口部286を有し、出口セクションは少なくとも1つの出口開口部287を含む。いくつかの実施形態では、インプラントのルーメン内を流れる眼内液がシャントのルーメン239Fに送られるように、入口開口部286はインプラントの基端部と直接組み合わされる。他の実施形態において、最初にインプラントを通過する必要なしに入口開口部286が眼腔から眼内液を直接受け入れるように、シャントはインプラントと接合される又は組み合わされる。更に他の実施形態において、シャントは両方の源からの(例えば、眼及びインプラントルーメンから)流体を運ぶ。
出口セクション237Fが房水、液体又は治療薬を実質的に軸対称に排出するように適切に配置された少なくとも1つの開口部287、288を含み、開口部287、288がデバイス281のルーメン285と流体連通する実施形態の更なる利点が提供される。図示される実施形態において、開口部288はルーメン285から径方向に延出し、出口フランジ237Fの周縁部の周りの外側に面する表面において開口する。
すべてのそのようなアンカー要素及び保持用突起は、また、可撓性にしてもよいことは理解すべきである。また、他の適切な形状を使用することができ、このリストは限定されないことは理解すべきである。図に示されるデバイスのいくつかが可撓性であるように見えない場合であっても、デバイスは可撓性であってもよいことは更に理解すべきである。再充填式デバイスを含む実施形態において、保持用突起はインプラントを固定するように機能するだけでなく、動きに対する抵抗も提供し、インプラントが、再充填時、眼内においてより高い位置的安定性を有することを可能とする。
明確にするために、種々の保持用突起を備えるインプラントの少数の可能な実施形態のみを示した。任意のインプラント実施形態を本明細書中に開示される保持用突起のいずれかと、及びその逆において容易に組み合わせてもよいことは理解すべきである。
更に、上述のいくつかの実施形態は、場合によっては、特定の眼球内組織内又は特定の眼球内組織に固定されるものとして示されるが、各実施形態は、本明細書中に開示される標的眼球内組織のいずれか内若しくは上に、若しくは当技術分野で周知の他の眼組織へと固定される又は展開されるように容易に適合されてもよいことは理解されよう。
加えて、上記及び下記の実施形態は両方とも保持用突起の説明を含むが、本明細書中に開示されるインプラントのいくつかの実施形態は特定の保持用突起を含む必要はないことは理解されよう。特定の固定点を必要としないそのような実施形態は薬物を眼内標的に送
達するために使用され、インプラントは所望の眼球内空間へと単に展開してもよい。そのような標的は、硝子体液、毛様体筋、毛様体腱、毛様体線維帯、シュレム管、強角膜線維柱帯、上強膜静脈、前房及び前房隅角、水晶体皮質、水晶体上皮、及び水晶体被膜、毛様体突起、後房、脈絡膜、及び脈絡膜上腔を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるいくつかの実施形態によるインプラントは(針又は他の貫通用送達デバイスにより)特定の解剖学部位(例えば、毛様体扁平部)の強膜を通じて硝子体液へと注入される。そのような実施形態は保持用突起を備えて構成される必要はないため、特定の実施形態では、特定の標的組織における保持用突起の使用は任意であることは理解されよう。
本明細書中に開示されるいくつかの実施形態は被検者の眼内に完全に収容されるような寸法にされ、その寸法は標準的な眼科技術によって被検者ごとに得ることができる。植え込み工程が完了すると、いくつかの実施形態において、デバイスの基端部は眼の前房内又はその近郷に配置されてもよい。インプラントの先端部は、脈絡膜上腔内のいずれの箇所に配置してもよい。いくつかの実施形態では、インプラントの先端部は縁の近傍にある。他の実施形態において、インプラントの先端部は眼の後領域内の黄斑近傍に配置される。他の実施形態において、デバイスの基端部は眼のその他の領域内又はその近傍に配置してもよい。いくつかのそのような実施形態において、デバイスの先端部もまた、眼のその他の領域内又はその近傍に配置してもよい。本明細書で使用する場合、用語「近傍(near)」は時として「にて(at)」と同義として用いられるが、他の使用では、文脈上、薬物がインプラントから標的組織に拡散することを可能にするほどの十分に隣接する距離を示す。更に他の実施形態において、インプラントは第1の非眼内生理的空間(non−ocular physiologic space)と第2の非眼内生理的空間との間の距離に及ぶような寸法にされる。
一実施形態において、薬物送達インプラントは、強膜棘突起の後方にある毛様体付着組織内を前進させることによって脈絡膜上腔内に配置される。毛様体付着組織は、通常、線維性又は多孔性であり、本明細書中に開示される送達器具又は他の外科用デバイスによる突刺、切除又は強膜棘突起からの分離が比較的容易である。そのような実施形態において、インプラントがぶどう膜強膜路内に延出すると、インプラントはこの組織内において前進し、強膜に隣接して配置される又は当接する。インプラントは、ぶどう膜強膜路の後部内の所望の植え込み部位に達するまでぶどう膜強膜路内を強膜の内壁に沿って前進する。
いくつかの実施形態では、インプラントの全長は2〜30mmの長さである。いくつかの実施形態では、インプラント長さは、2〜25mm、6〜25mm、8〜25mm、10〜30mm、15〜25mm又は15〜18mmである。いくつかの実施形態では、インプラントの長さは、約8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm又は25mmである。インプラントを収容する送達デバイスを角膜内に挿入し虹彩へと前進させ、角膜に自己密封穴のみを作製することができるため、いくつかの実施形態では、インプラントの外径は約100〜600ミクロンである。いくつかの実施形態では、インプラント直径は約150〜500ミクロン、約125〜550ミクロン、又は約175〜475ミクロンである。いくつかの実施形態では、インプラントの直径は、約100ミクロン、125ミクロン、150ミクロン、160ミクロン、170ミクロン、180ミクロン、190ミクロン、200ミクロン、225ミクロン、250ミクロン、275ミクロン、300ミクロン、325ミクロン、350ミクロン、375ミクロン、400ミクロン、425ミクロン、450ミクロン、460ミクロン、470ミクロン、475ミクロン、480ミクロン、490ミクロン又は500ミクロンである。いくつかの実施形態では、インプラントの内径は約50〜500ミクロンである。いくつかの実施形態では、内径は約100〜450ミクロン、150〜500ミクロン
又は75〜475ミクロンである。いくつかの実施形態では、内径は、約80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、110ミクロン、125ミクロン、150ミクロン、175ミクロン、200ミクロン、225ミクロン、250ミクロン、275ミクロン、300ミクロン、325ミクロン、350ミクロン、375ミクロン、400ミクロン、410ミクロン、420ミクロン、425ミクロン、430ミクロン、440ミクロン、又は450ミクロンである。デバイスがディスク又はウェーハ形状のものを含むが、これらに限定されないいくつかの実施形態では、厚さは約25〜250ミクロンであり、約50〜200ミクロン、約100〜150ミクロン、約25〜100ミクロン、及び約100〜250ミクロンを含む。
更なる実施形態において、インプラントの製造時に形成される内部ルーメンの一部又は全体を親水性材料の層でコーティングし、それにより、ルーメン内に配置される治療薬又は薬剤と眼内液の接触比率を増加してもよい。一実施形態において、親水性材料は眼内液及び/又は薬物に対して透過性である。逆に、内部ルーメンの一部又は全体を疎水性材料の層でコーティングし、ルーメン内に配置される治療薬又は薬剤と眼内液の接触を協調的に低減してもよい。一実施形態において、疎水性材料は眼内液及び/又は薬物に対して透過性である。
本明細書中に記載される薬物送達インプラントの選択された実施形態は、インプラントの再充填、すなわち、更なる(同じ又は異なる)治療薬をインプラントに補充することを可能にする。図20A〜図20Cに示される実施形態において、インプラントの基端部52は開口し、再充填デバイス80と相互作用する。再充填デバイス80は、インプラントの基端部52と相互作用する可撓性クランプグリッパ74を収容するクランプスリーブ72を含む。ばね荷重式であってもよい可撓性プッシャチューブ76は、インプラントルーメン58に送達するための新たな治療薬62を保持する小さな内部凹部78を収容する。図20Aでは、シェル内でコーティングされ、基端側バリアでキャップされた新たな用量の薬剤がインプラントのルーメンに挿入される。図20B及び図20Cは、複数の薬物ペレットのインプラントへの再充填を示す。そのような実施形態において、一方向通路70により、薬物ペレットを担持する再充填デバイスをインプラントのルーメンに挿入することが可能になるが、再充填デバイスを除去すると、通路は閉じて薬物がルーメンから出るのを防止する。インプラント内の薬物の用量を一新する機能を設けることに加えて、インプラントに複数のペレットを再充填することで、1つ以上の他の利点をもたらしてもよい。いくつかの実施形態では、ペレットは、(固体薬物コアが充填されるインプラントと比較して)眼内液にさらされる薬物の表面積を増加することができるような大きさに作られる。眼内液への暴露は薬物の全体的な溶出速度における1つの変動因子であるため、そのような実施形態において、ペレットのサイズを必要に応じて調節し、特定の所望の放出速度を提供してもよい。更に、特定の実施形態において、完全に薬物が装填されている場合であっても、複数のペレットのサイズを調節することで、インプラントのルーメン内を流体が流れるほどのより高い速度又は能力を提供する。更に、複数のペレットの1つ以上は、特定の実施形態において、薬物の溶解又は溶出を調整するためにコーティングされる。インプラント自体に関するコーティングにおいて記載したように、ペレットは、ペレット自体からの薬物放出の速度を制御するために、種々の厚さ、組成、開口あり又はなし等のコーティングでコーティングしてもよいことは理解されよう。いくつかの実施形態では、コーティングされたペレットをコーティングされていないデバイスで使用する一方で、他の実施形態において、コーティングされたペレット及びコーティングされていないペレットの組み合わせをコーティングされたデバイスで使用する。例えば、眼の状態が、眼内液の除去/分流に加えて薬物療法を必要とすることが判明している場合、ペレットは、十分な量の薬物を送達して治療的効果を提供し、同時に、眼内液がインプラントのルーメン内を第1の位置から第2の位置に流れることができるような大きさにすることができる。加えて、1つの薬物固体コアに比べて、複数のペレット又は複数の粒子が存在すると、特定
の実施形態において、インプラントを可撓性とすることが可能になる。そのような実施形態において、ペレットの形状は、インプラントが、必要に応じて関節運動し、この関節運動をペレット間の接触で妨げることなく所望の生理学的空間内に適合する又は隣接することができるように、ペレットの周縁部の周囲に空間を設けるように設計してもよい。そのような実施形態において、ペレットは互いにある程度接触してもよく、依然としてインプラントに薬物を充填するにあたり高度の効率を可能にすることは理解されよう。インプラントの可撓性が必要ない又は望ましくない特定の実施形態において、ペレットは互いにより全体的に接触するような形状にし、それによって、インプラントの剛性を補足してもよいことも理解されよう。
上記の要素はインプラントを記載される特定の組み合わせ又は実施形態に限定するものと解釈されるべきではないことは理解されよう。むしろ、記載される特徴は自由に交換可能であり、本開示による薬物送達インプラントの構造における柔軟性を可能にする。
<送達器具>
本明細書中に記載されるシステム及び方法の別の態様は、眼に薬物を送達し、及び任意選択的に、流体を前房から生理的流出空間へと排出するためのインプラントを植え込むための送達器具に関する。いくつかの実施形態では、インプラントは、植え込み部位から経眼的に位置する部位から眼に挿入される。送達器具は、インプラントを挿入部位から経眼的に前房を横断して植え込み部位まで前進させるほど十分に長い。器具の少なくとも一部は可撓性であってもよい。器具は、互いに関連して長手方向に動くことができる複数の部材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の部材は、1つ以上の摺動可能なガイドチューブを含む。いくつかの実施形態では、送達器具の少なくとも一部は湾曲している。いくつかの実施形態では、送達器具の一部は剛性であり、器具の別の部分は可撓性である。
いくつかの実施形態では、送達器具は先端側湾曲部を有する。送達器具の先端側湾曲部は、いくつかの実施形態では、約10〜30mmの半径を特徴としてもよい。いくつかの実施形態では、先端側湾曲部は約20mmの半径を有する。
いくつかの実施形態では、送達器具は先端側角度88(測定値は図21にχで示される)を有する。角度測定値χは送達器具の基端側セグメント94に対し約90度〜180度を特徴としてもよい。いくつかの実施形態では、角度測定値χは、約145度〜約170度を特徴としてもよい。いくつかの実施形態では、角度測定値は、約150度〜約170度、又は約155度〜約165度である。送達器具の基端側セグメントから先端側セグメントへの滑らかな移行部を形成するために、「肘部」にて角度に小さな曲率半径を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、先端側セグメントの長さは約0.5mm〜7mmであってもよい一方で、いくつかの他の実施形態では、先端側セグメントの長さは約2mm〜3mmである。
他の実施形態において、湾曲先端部が好適である。そのような実施形態において、いくつかの実施形態では、送達器具/シャントアセンブリの高さ(図22の寸法90)は約3mm未満であり、他の実施形態において2mm未満である。
いくつかの実施形態では、切開、穴又は開口を予め形成することなく組織を通過するために、器具は前方端部に鋭利な特徴を有し、自己穿孔する、すなわち、自己貫通する。いくつかの実施形態では、自己穿孔する器具は角膜及び/又は縁の組織のみを貫通するように構成されている。他の実施形態において、自己穿孔する器具は、インプラントを送達するために、前房隅角内の組織などの内部眼組織を貫通するように構成されている。或いは、別個のトロカール、メス、スパチュラ又は類似の器具を用いて、眼組織(角膜/強膜又
はより内部の組織のいずれか)にインプラントを送る前にそのような組織に切開を予め形成することができる。いくつかの実施形態では、インプラントは先端部がとがっておらず、眼組織の鈍い切開を促進する(したがって、組織外傷のリスクを低減する)。他の実施形態において、しかしながら、インプラントは、また、植え込みを補助するために、鋭利である、テーパ状である、又はそうでなければ眼組織を貫通するように構成されている。
薬物溶出眼内インプラントのいくつかの実施形態の送達のために、器具は、眼から器具を抜去すると挿入部位が縫合なしに自己で塞がるように十分に小さな断面を有する。送達器具の外寸は好ましくは約18ゲージ以下であり、約27又は30ゲージ以上である。
薬物溶出眼内インプラントのいくつかの実施形態の送達のために、中空針によって角膜組織内に切開が作製され、それを通じてインプラントを通過させる。切開が自己密封し、粘弾性を有する又は有しない密閉された腔内で植え込みが行われるように、針は、小径サイズ(例えば、18ゲージ又は19ゲージ又は20ゲージ又は21ゲージ又は22ゲージ又は23ゲージ又は24ゲージ又は25ゲージ又は26ゲージ又は27ゲージ)を有する。自己密封切開は、また、スパチュラ形メスを使用して角膜に略逆V字形の切開を作製する従来の「トンネリング」法を用いて形成されてもよい。好適なモードにおいて、角膜に切開を形成するために使用される器具は、処置時、所定の位置に留まり(すなわち、角膜切開を貫通する)、植え込み後まで抜去されない。そのような切開形成器具は、眼内インプラントを配置するために使用しても、切開形成器具を抜去することなく送達器具と協働させて同じ切開を通じた植え込みを可能にしてもよい。当然のことながら、他のモードにおいて、種々の外科用器具を1つ以上の角膜切開に複数回通してもよい。
いくつかの実施形態はばね荷重式プッシャシステムを含む。いくつかの実施形態では、ばね荷重式プッシャは、ヒンジ式ロッドデバイスに動作的に連結されたボタンを含む。ヒンジ式ロッドデバイスのロッドはプッシャの表面のくぼみに係合し、プッシャのばねを圧縮された形態に維持する。使用者がボタンを押すと、ロッドはくぼみから係脱し、それによって、ばねが復元することを可能にし、それによって、プッシャを前進させる。
いくつかの実施形態では、インプラントを送達するためにオーバーザワイヤシステムが使用される。インプラントをワイヤ上で送達してもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤは自己穿孔する。ワイヤは、また、トロカールとして機能してもよい。ワイヤは、インプラントに対し超弾性であっても、可撓性であっても、比較的可撓性がなくてもよい。ワイヤは特定の形状を有するように予め形成されてもよい。ワイヤは湾曲させてもよい。ワイヤは形状記憶を有しても、弾性であってもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤはプルワイヤである。ワイヤは、また、先端可動カテーテル(steerable catheter)であってもよい。
いくつかの実施形態では、ワイヤはインプラント内のルーメン内に配置される。ワイヤはルーメン内を軸方向に移動可能であってもよい。ルーメンはバルブ又は他のフロー制御デバイスを含んでも含まなくてもよい。
いくつかの実施形態では、送達器具はトロカールである。トロカールは角度をなしても湾曲してもよい。いくつかの実施形態では、トロカールは可撓性である。他の実施形態において、トロカールは比較的剛性である。他の実施形態において、トロカールは剛性である。トロカールが剛性である実施形態において、インプラントは比較的可撓性である。トロカールの直径は約0.001インチ〜約0.01インチである。いくつかの実施形態では、トロカールの直径は、0.001インチ、0.002インチ、0.003インチ、0.004インチ、0.005インチ、0.006インチ、0.007インチ、0.008インチ、0.009インチ又は0.01インチである。
いくつかの実施形態では、インプラントの送達はインプラントの基端部に又はその近傍に推進力を印加することによって達成される。推進力は、インプラントの端部に印加される引く力であっても押す力であってもよい。
器具は、器具が眼内にあるときに房水が送達器具及び/又は器具の部材間を通過することを防止するためにシール又はコーティングを含んでもよい。シールは、逆流の防止を促進する。いくつかの実施形態では、器具はコーティング及び親水性剤又は疎水性剤でコーティングされる。いくつかの実施形態では、器具の1つの領域はコーティングと親水性剤でコーティングされ、器具の別の領域はコーティングと疎水性剤でコーティングされる。送達器具は、付加的に、器具に含まれる種々の部材間にシールを含んでもよい。シールは、器具の部材の滑合表面間の疎水性又は親水性コーティングを含んでもよい。送達器具によって担持されているとき、シールはインプラントの近傍に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、シールは、互いに密に適合するように機械加工された2つのデバイスそれぞれの少なくとも1つのセクション上に存在する。
送達器具は、ベベル形状を有する先端部を含んでもよい。送達器具は、スパチュラ形状を有する先端部を含んでもよい。ベベル形状又はスパチュラ形状はインプラントを収容するための凹部を含んでも含まなくてもよい。凹部は、インプラントを押し出す若しくは射出するためのプッシャ又は他の適切な手段を含み得る。
送達器具は、複数のインプラントを送達するように構成してもよい。いくつかのそのような実施形態において、インプラントはデバイス内に縦に連結して(又は3つ以上の数のインプラントにおいて直列に)配置してもよい。
<手順>
眼内インプラントのいくつかの実施形態の送達のために、植え込みは粘弾性を有する又は有しない密閉された腔内で行われる。
インプラントはプッシャなどのアプリケータを用いて配置しても、2002年8月28日に出願された米国特許出願公開第2004/0050392号明細書(現在、2008年2月19日に出願の米国特許第7,331,984号明細書)(これらの全体は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書及び本開示の一部をなす)に開示されるような、器具内にエネルギーを保存した送達器具を用いて配置してもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータを通じて流体を注入し、インプラントの前方端部に高い圧力を生成し、植え込みを容易にしてもよい。
本発明の一実施形態において、眼の強角膜線維柱帯を介して柱状ステントを配置するために使用されるものに類似する送達装置(又は「アプリケータ」)が使用される。そのような送達装置の特定の実施形態については、各々を参照によって援用し、本明細書及び本開示の一部とする、2002年8月28日に出願された米国特許出願公開第2004/0050392号明細書、現在、2008年2月19日に発行された米国特許第7,331,984号明細書;緑内障処置のため柱状シャントを留置するためのアプリケータ及び方法(APPLICATOR AND METHODS FOR PLACING A TRABECULAR SHUNT FOR GLAUCOMA TREATMENT)という名称の米国特許出願公開第2002/0133168号明細書、現在は放棄;及び2001年3月16日に出願された、緑内障処置のため柱状シャントを留置するためのアプリケータ及び方法(APPLICATOR AND METHODS FOR PLACING A TRABECULAR SHUNT FOR GLAUCOMA TREATMENT)という名称の米国仮特許出願第60/276,609号明細書、現在は期間
満了、に開示されている。
送達装置は、ハンドピース、長尺状のチップ、ホルダ及びアクチュエータを含む。ハンドピースは先端部及び基端部を有する。長尺状のチップはハンドピースの先端部に連結される。長尺状のチップは先端側部分を有し、角膜切開を通じて眼の前房に配置されるように構成されている。ホルダは長尺状のチップの先端側部分に取り付けられる。ホルダは、薬物送達インプラントを保持し、放出するように構成されている。アクチュエータがハンドピース上にあり、ホルダを作動してホルダから薬物送達インプラントを放出する。一実施形態において、送達装置内の留置機構は、プッシュプル型プランジャを含む。
いくつかの実施形態では、ホルダはクランプを含む。いくつかの実施形態では、装置は、ハンドピース内に、薬物送達インプラントがホルダによって保持されているときに荷重がかけられるように構成されたばねを更に含み、アクチュエータが作動するとばねに少なくとも一部負荷がかけられず、ホルダからの薬物送達インプラントの放出を可能にする。
種々の実施形態において、クランプは、薬物送達インプラントの少なくとも基端側部分にクランプ力を作用するように構成された複数の爪を含む。ホルダは、また、複数のフランジを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、長尺状のチップの先端側部分は可撓性材料で作製される。これはフレキシブルワイヤとされ得る。先端側部分はハンドピースの長軸から好ましくは約45度のたわみ範囲(deflection range)を有し得る。送達装置は長尺状のチップに洗浄ポートを更に含み得る。
いくつかの実施形態では、方法は、先端部及び基端部を有するハンドピースと、ハンドピースの先端部に連結された長尺状のチップとを含む送達装置を使用することを含む。長尺状のチップは先端側部分を有し、角膜切開を通じて眼の前房に配置されるように構成されている。装置は、長尺状のチップの先端側部分に取り付けられたホルダであって、ホルダは、薬物送達インプラントを保持し、放出するように構成されているホルダと、ホルダを作動させてホルダから薬物送達インプラントを放出するハンドピース上のアクチュエータとを更に有する。
送達器具は、角膜内の挿入部位を通じて前進させ、経眼的に又は後側からのいずれかにおいて前房隅角に前進させ、前房隅角の基部に配置してもよい。前房隅角を基準点として用い、送達器具を略後方向に更に前進させ、前房隅角の内側の虹彩にインプラントを打ち込むことができる。
任意選択的に、インプラント構造に基づき、インプラントは、前房隅角の環状形状に合うような湾曲した形状を取り、前房隅角内に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、インプラントは前房隅角の組織又は虹彩組織に隣接する位置に配置してもよく、プッシャチューブを送達器具の先端部に向かって軸方向に前進させてもよい。プッシャチューブを前進させるにつれて、インプラントも前進する。インプラントが送達器具のルーメン内にもはや存在しなくなるようにインプラントを組織内において前進させると、送達器具が引き込まれ、インプラントが眼組織内に残る。
インプラントの配置及び植え込みはゴニオスコープ又は他の従来のイメージング機器を用いて実施してもよい。いくつかの実施形態では、送達器具を用いて、連続的な植え込み力の印加によって、送達器具の先端側部分を使用してインプラントを所定の位置に打ち込むことによって、又はこれら方法の組み合わせによってインプラントを所望の位置に押し
やる。インプラントが所望の位置に達すると、更に、送達器具の先端側部分を用いて打ち込むことによってインプラントを止め付けてもよい。
一実施形態において、薬物送達インプラントは虹彩の更なる部分又は他の眼球内組織に固定されて、インプラントの固定を補助する。一実施形態において、この更なる固定は生体適合性接着剤によって実施してもよい。他の実施形態において、1つ以上の縫合糸を使用してもよい。別の実施形態において、薬物送達インプラントはインプラント本体の外部表面と前房隅角の周囲組織との相互作用により実質的に所定の位置に保持される。
図23は、本明細書中の実施形態に記載されるように、薬物送達インプラントを眼に植え込むための外科的方法の一実施形態を示す。角膜輪部21の後方、すなわち、不透明な白い強膜11が透明な角膜12になり始める強膜11の領域の後方の位置において結膜及び強膜11に第1の切開又は細隙が作製される。いくつかの実施形態では、第1の切開は、角膜輪部の後方約3mmを含む、角膜輪部21の後方にある。いくつかの実施形態では、図23に示すように、切開は、外科用ツールを(前後方向の軸線に対して)浅い角度で前房に挿入してもよいように作製される。他の実施形態において、第1の切開は器具挿入のより大きな角度を可能にするように作製してもよい(例えば、図24〜図26を参照のこと)。また、第1の切開は薬物送達インプラントの幅よりもわずかに大きく作製される。一実施形態において、従来の毛様体解離用スパチュラを第1の切開を通じて眼窩上腔に挿入し、正しい解剖学的位置を確認してもよい。
インプラントの前方端部が適切に方向付けられるように、薬物送達インプラントの上面及び下面の一部は、外科用ツール、例えば、鉗子によって確実に把持され得る。インプラントは、また、粘弾性又は機械的インターロックによってプッシャチューブ又はインプラント送達デバイスの壁に固定されてもよい。一実施形態において、インプラントは、インプラントの長手方向の軸線が外科用ツールの把持端部の長手方向の軸線と実質的に同軸の状態で方向付けられる。薬物送達インプラントは第1の切開を通して配置される。
送達器具は挿入部位から経眼的に前房隅角に前進させ、強膜棘突起近傍の位置に配置してもよい。強膜棘突起を基準点として用い、送達器具を更に略後方向に前進させ、インプラントを、強膜棘突起のちょうど内側の位置の眼組織に、虹彩に向かって打ち込むことができる。
任意選択的に、インプラント構造に基づき、インプラントの挿入頭部の先端(shearing edge)は強膜棘突起と、強角膜線維柱帯後方の毛様体16との間を通すことができる。
薬物送達インプラントはその挿入頭部の一部及び導管の第1端部が眼の前房20内に配置されるまで後方に連続的に前進させてもよい。したがって、導管の第1端部は眼の前房20と流体連通状態にされる。導管の第2端部が脈絡膜上腔と流体連通状態にされるように、薬物送達インプラントの長尺状の本体の先端部は眼の脈絡膜上腔に配置され得る。或いは、インプラントは前房隅角の組織に隣接する位置に配置してもよく、プッシャチューブは送達器具の先端部に向かって軸方向に前進させてもよい。プッシャチューブを前進させるにつれて、インプラントも前進する。インプラントが送達器具のルーメン内にもはや存在しなくなるようにインプラントを組織内において前進させると、送達器具が引き込まれ、インプラントが眼組織内に残る。
インプラントの配置及び植え込みはゴニオスコープ又は他の従来のイメージング機器を用いて実施してもよい。いくつかの実施形態では、送達器具を用いて、連続的な植え込み力の印加によって、送達器具の先端側部分を使用してインプラントを所定の位置に打ち込
むことによって、又はこれら方法の組み合わせによってインプラントを所望の位置に押しやる。インプラントが所望の位置に達すると、更に、送達器具の先端側部分を用いて打ち込むことによってインプラントを止め付けてもよい。
一実施形態において、薬物送達インプラントは強膜11の一部に縫合されてインプラントの固定を補助する。一実施形態において、第1の切開は、その後、縫合閉鎖される。理解されるように、薬物送達インプラントを固定するために用いられる縫合糸は、また、第1の切開を閉鎖するために使用してもよい。別の実施形態において、薬物送達インプラントは、インプラント本体の外部表面と、強膜11及び毛様体16及び/又は脈絡膜12の組織との相互作用により、インプラントを強膜11に縫合することなく実質的に所定の位置に保持される。加えて、一実施形態において、第1の切開は、薬物送達インプラントの植え込み後に外科用ツールを抜去すると切開の縫合なしに切開が自己密封するほど十分に小さい。
本明細書中に記載されるように、いくつかの実施形態では、薬物送達インプラントは、付加的に、前房20と脈絡膜上腔との間に排出デバイスを提供するように構成されたルーメンを含むシャントを含む。植え込み時、排出デバイスは、インプラントがその長手方向に、シャントを介した房水の永久的な開存連通(patent communication)を提供し、毛様体解離を形成してもよい。房水は、したがって、脈絡膜上腔に送達され、そこで吸収されることが可能であり、眼内の更なる圧力の低下を達成することができる。
いくつかの実施形態では、薬物送達インプラントを角膜輪部の又はその近傍の小さな切開を通じて内部から眼を横断して送達することが望ましい(図24)。システムの全体的幾何学的形状は、送達器具が先端側湾曲部又は先端側角度を組み込むことを有利にする。前者のケースでは、薬物送達インプラントは湾曲部に沿った送達を容易にするほど可撓性であっても、正確な経路に沿って容易に移動するようにより緩く保持されてもよい。後者のケースでは、インプラントは比較的剛性であってもよい。送達器具は、先端側角度を通過するほど十分に可撓性のインプラント前進要素(例えばプッシャ)を組み込んでもよい。
いくつかの実施形態では、インプラントと送達器具とを、角膜輪部21又はその近傍の切開から、前房20を通し、虹彩13を横断させ、毛様体筋付着部を通過させ、薬物送達インプラント出口部がぶどう膜強膜路に配置される(例えば、強膜11と脈絡膜12との間に画定される脈絡膜上腔に露出される)まで、前進させる。図24は、送達器具を角膜輪部21のかなり上方に挿入した状態で使用してもよい経眼的植え込みアプローチを示す。他の実施形態において(例えば、図25を参照のこと)、切開はより後方且つ角膜輪部21のより近傍に作製されてもよい。一実施形態において、切開は眼の鼻側に配置され、薬物送達インプラント40の植え込み位置は眼の耳側である。別の実施形態において、切開は、薬物送達インプラントの植え込み位置が眼の鼻側となるように一時的に作製してもよい。いくつかの実施形態では、図26に示されるように、薬物送達インプラント出口部がその位置を黄斑34近傍の脈絡膜上腔の後領域に維持するように、手術者は、同時に、送達器具を引き戻しながらプッシャデバイスを押す。インプラントは送達器具から放出され、送達器具は基端側に引き込まれる。送達器具は前房から切開を通じて抜去される。
いくつかの実施形態では、緑内障の患者の眼圧を低下させるために、線維性付着領域を通じた連続的な房水の流出があるようにすなわち、前房20がぶどう膜強膜路に連結するように薬物送達インプラントを植え込むことが望ましい。いくつかの実施形態では、角膜輪部21の小さな切開を通じて眼の内部を(内部から)横断するデバイスによって薬物送達インプラントを送達することが望ましい。
いくつかの実施形態において、薬物送達インプラントを植え込む小侵襲性(microinvasive)の方法が提供される。いくつかのそのような実施形態において、外側からの手法が用いられる。いくつかの実施形態では、この手法は非貫通性のため、植え込み法の侵撃性を制限する。本明細書中に記載されるように、いくつかの実施形態では、植え込まれる薬物送達デバイスにはシャントを含む。いくつかの実施形態では、そのようなインプラントは、第1の位置からの流体の除去を容易にする一方で、同時に薬物送達を提供する。いくつかの実施形態では、インプラントは前房からの流体を脈絡膜上腔に伝え、これにより、前房からの流体(例えば、房水)の除去及び前房内の圧力増加の低減を補助する。
いくつかの実施形態では(例えば図27を参照のこと)、結膜及び強膜11を通り、脈絡膜28の表面に(穿通することなく)窓(例えば、細隙又は他の小さな切開)が外科的に作製される。いくつかの実施形態では、細隙は眼の光軸に垂直に作製される。いくつかの実施形態では、深さ停止具(depth stop)が切開デバイスとともに使用される。特定の実施形態において、切開デバイスは、ダイヤモンドブレード又は金属ブレード、レーザー等のうちの1つである。いくつかの実施形態では、最初の切開は鋭利なデバイスで作製される一方で、脈絡膜表面の切開の最終部分はより鋭利でない器具により作製され、それによって、非常に血管に富む脈絡膜を損傷するリスクを低下させる。いくつかの実施形態では、インプラントの進入及び操作を容易にするために、細隙は強膜の接線に又はほぼ接線に形成される。
いくつかの実施形態では、強膜の小さなコアが毛様体扁平部において又はその近傍において、この場合も、脈絡膜を穿通することなく除去される。脈絡膜の穿通を回避するために、強膜の厚さは、任意選択的に、外科的プロセス時に光干渉断層計(OCT)、超音波又は眼上の視覚取付具を用いて測定され得る。そのような実施形態において、強膜のコアは、任意選択的に、切開を確実に適切な深さにするための深さ停止ゲージを含む穿孔器具(例えば、回転式又は静的穿孔器(trephintor))によって除去される。他の実施形態において、レーザー、ダイヤモンドブレード、金属ブレード、又は他の類似の切開デバイスが使用される。
強膜に窓又は細隙を作製し、脈絡膜上腔を露出させた後、インプラント40を窓又は細隙に導入し、器具38aの使用により複数の方向に前進させることができる(例えば、図27B〜図27Cを参照のこと)。器具38aの使用により、インプラント40を後方、前方、上方又は下方に操作することができる。器具38aは、特に、脈絡膜又は他の構造を傷つけることなくインプラントを適切な位置に前進させるように設計される。器具38aは、その後、抜去することができ、インプラント40は残すことができる。いくつかの実施形態では、結膜及び強膜内の窓は自己密封切開となるほど十分に小さい。いくつかの実施形態では、窓は、縫合糸、ステープル、組織共通の創傷接着剤等によって密封され得るより大きな窓又は細隙とすることができる。これら実施形態による細隙又は窓は長さ又は直径は、例えば、1mm以下とすることができる。いくつかの実施形態では、切開の長さは、約0.2〜約0.4mm、約0.4〜約0.6mm、約0.6mm〜約0.8mm、約0.8mm〜約1.0mm、約1.0〜約1.5mmの範囲及びそれらの重なった範囲である。いくつかの実施形態では、より大きな切開(細隙又は窓)の寸法が使用される。
いくつかの実施形態において、インプラント40は管状又は楕円管状の形状である。いくつかの実施形態では、そのような形状は、小さな開口部を通じたインプラントの通過を容易にする。いくつかの実施形態では、インプラント40は丸みのある閉じた先端部を有する一方で、他の実施形態において、先端部が開口している。開口端インプラントが使用
されるいくつかの実施形態において、(例えば、脈絡膜上腔への)インプラントの前進時における組織の詰まりを防ぐために、開端部は挿入器具の一部によって塞がれる(例えば、一時的に閉鎖される)。いくつかの実施形態において、このインプラントは本明細書中に記載されるインプラントであり、インプラントの穴、孔又は薬物放出領域を通じて溶出する薬物を収容するルーメンを含む。本明細書中に記載されるように、薬物溶出は、いくつかの実施形態では、眼の後方(例えば、黄斑又は視神経)を標的とし、網膜又は視神経疾患の治療のための治療薬(例えば、ステロイド又は抗VEGF)を送達する。
いくつかの実施形態において、インプラント40及び植え込み器具38aは、インプラントを前方に前進させ、強膜の切開なしに前房を貫通できるようにするための適切なチップを備えて設計される。いくつかの実施形態では、前房を貫通するチップはインプラントの一部である一方で、いくつかの実施形態では、チップは挿入器具の一部である。そのような実施形態において、インプラントは、房水を前房から脈絡膜上腔に送り、緑内障又は高眼圧症を治療するための導管(例えば、シャント)として機能する。いくつかの実施形態において、インプラントは、薬物を前房に送達して緑内障を治療するように構成される。いくつかの実施形態では、薬物は比較的長期間(例えば、数週間から数か月又は更には数年)にわたり溶出するように構成される(例えば、生成される)。そのような薬剤の非限定的な例は、β遮断薬又はプロスタグランジンである。いくつかの実施形態では、1つのインプラントが挿入される一方で、他の実施形態において、2つ以上のインプラントが、この手法で、同じ又は異なる位置に、房水導管又は薬物送達機構の任意の組み合わせにおいて植え込まれる。
図28は、本明細書中で教示される又は推奨される種々のインプラント実施形態のいずれかを眼10内の植え込み部位に配置するための例示的な経眼的方法を示す。送達装置100bは、概して、シリンジ部116及びカニューレ部118を含む。カニューレ118の先端側セクションは、任意選択的に、少なくとも1つの洗浄用穴120と、薬物送達インプラント30を保持するための先端側空間122とを有する。先端側空間122のルーメンの基端部124はカニューレ部118の残りのルーメンから密閉される。図28の送達装置では、本明細書中で教示される又は推奨される種々の薬物送達インプラント実施形態のいずれを用いてもよい。いくつかの実施形態では、標的インプラント部位は虹彩の下部である。図28に示される送達装置の角度は例示的であり、いくつかの実施形態では、示される角度よりもより浅い又はより浅くない角度が好ましい場合があることは理解すべきである。
図29は、本明細書中で教示される又は推奨される種々のインプラント実施形態のいずれかを眼の同じ側の植え込み部位に配置するための例示的な方法を示す。一実施形態において、薬物送達インプラントは、外側から眼に小さな穿刺孔を形成するアプリケータ又は送達装置100cの補助により、眼10の前房20に挿入され、虹彩へと進められる。いくつかの実施形態では、標的インプラント部位は虹彩の下部である。
図30は、本明細書中に開示されるいくつかの植え込み方法に適合する、眼10の虹彩13に固定される、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態に適合する薬物送達インプラントを示す。しかし、虹彩は本明細書で記載されるインプラントを固定してもよい多くの組織のうちの1つであることは理解されよう。
図31は、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態に適合する薬物送達インプラントの配置の別の可能な実施形態を示す。一実施形態において、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態に適合する、前房隅角に配置されたインプラント54の外部シェルが(断面で)示される。一実施形態において、経眼的送達方法及び装置を用いて、薬物送達インプラントを完全に前房隅角内に配置してもよく、薬物送達インプラントは前方角度(a
nterior angle)の湾曲に実質的に追従する。いくつかの実施形態では、インプラントは前房隅角の実質的に内部に虹彩の下部に沿って配置される。
いくつかの実施形態では、インプラントの配置により、薬物標的が眼内の房水の自然流の上流側となってもよい。例えば、房水は毛様体突起から前房隅角へと流れ、特定の実施形態における植え込み部位に基づき、インプラントから放出される薬物が標的組織と接触するのに移動しなければならないのとは逆の流体の流れを形成する場合がある。したがって、特定の実施形態において、例えば、標的組織が毛様体突起である場合、溶出する薬物は虹彩組織を通じて拡散し、前房から後房の毛様体突起内の標的受容体に到達しなければならない。虹彩を通じて薬物が拡散するという要件及び房水の流れにより、特定の例において、毛様体に到達する溶出薬物の量を制限してもよい。
これらの課題を克服するため、特定の実施形態には、薬物溶出インプラントの近傍の位置における周辺虹彩切開(PI)又はデバイスステントPI(device−stented PI)の配置を含み、目的作用部位(すなわち標的組織)に直接薬物を送達することを容易にする。PIの形成により、後房と前房との間に比較的大きな連通路が開口する。後房から前房への房水の正味の流れは依然として存在するものの、PIの比較的大きな直径により流れの線速度が大幅に低下する。したがって、溶出する薬物は房水の流れによる大きな抵抗なくPIを通じて拡散することができる。特定のそのような実施形態において、インプラントの一部は、虹彩を貫通し、毛様体において後房に直接薬物を溶出するように構成される。他の実施形態において、インプラントは虹彩に植え込まれ、及び/又は固定され、後房及び近傍の毛様体に直接薬物を溶出する。
図22は、ヒトの眼の前区の経線断面を示し、また、本明細書中に記載される薬物送達インプラントの実施形態とともに使用してもよい送達器具38の別の実施形態を概略的に示す。図22では、矢印82は、強膜11への毛様体筋84の線維性付着領域を示す。毛様体筋84は脈絡膜28と同一領域を占める。脈絡膜上腔は脈絡膜28と強膜11との間の境界面である。眼の他の構造には、水晶体26、角膜12、前房20、虹彩13及びシュレム管22を含む。
送達器具/インプラントアセンブリは虹彩13と角膜12との間を通り、虹彩角膜角に達することができる。したがって、送達器具/シャントアセンブリの高さ(図22の寸法90)は、いくつかの実施形態では約3mm未満であり、他の実施形態では2mm未満である。
脈絡膜28と強膜11との間の脈絡膜上腔は、概して、眼の光軸98と約55°の角度96をなす。この角度は、上記段落に記載した高さ要件に加えて、送達器具/インプラントアセンブリの幾何学的設計において考慮すべき特徴である。
薬物送達インプラントシステムの全体的幾何学的形状は、送達器具38が、図22に示すような先端側湾曲部86、図21に示すような先端側角度88、又はこれらの組み合わせを組み込むことを有利にする。先端側湾曲部(図23)は角膜輪部における角膜又は強膜の切開をより滑らかに通過することが予想される。この実施形態において、薬物送達インプラントは湾曲していても可撓性であってもよい。或いは、図21の設計において、薬物送達インプラントは、「肘部」又は角度88の先端側の、送達器具の直線のセグメントに取り付けられてもよい。この場合、薬物送達インプラントは直線状であり、且つ比較的可撓性がなくてもよく、送達器具は、角度全体にわたり前進するほど十分に可撓性がある送達機構を組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラントが先端側セグメント92の長さよりも長くないことを条件として、薬物送達インプラントは剛性のチューブであってもよい。
送達器具38の先端側湾曲部86は、いくつかの実施形態では、約10〜30mm、特定の実施形態において、約20mmの半径を特徴としてもよい。図21に示される実施形態における送達器具の先端側角度は、送達器具の基端側セグメント94の軸線に対して約90〜170度を特徴としてもよい。他の実施形態において、角度は約145度〜約170度であってもよい。角度は、送達器具の基端側セグメント94から先端側セグメント92への滑らかな移行部を形成するために「肘部」にて小さな曲率半径を組み込む。先端側セグメント92の長さはいくつかの実施形態では約0.5〜7mmであってもよく、特定の実施形態において約2〜3mmであってもよい。
いくつかの実施形態では、粘弾性又は他の流体を脈絡膜上腔に注入し、脈絡膜と強膜との間に、薬物送達インプラントがアクセス可能な房又はポケットを設ける。そのようなポケットはより多くの脈絡膜及び強膜組織領域を露出させ、植え込み時に組織の潤滑及び保護を提供し、薬物送達インプラントがシャントを含む実施形態においてぶどう膜強膜路を増加し、眼圧(IOP)の低下を生じさせる。いくつかの実施形態では、粘弾性物質は、25又は27Gカニューレによって、例えば、毛様体筋付着部の切開を通じて又は強膜を通じて(例えば、眼の外側から)注入される。粘弾性物質は、また、植え込み完了前、最中又は後のいずれかにインプラント自体を通じて注入してもよい。
いくつかの実施形態では、高浸透圧剤が脈絡膜上腔に注入される。そのような注入によりIOP低下を遅延させることができる。したがって、術後急性期における低眼圧を、脈絡膜の吸収を一時的に低減することによって回避してもよい。高浸透圧剤は、例えば、グルコース、アルブミン、HYPAQUE(商標)媒体、グリセリン又はポリ(エチレングリコール)であってもよい。高浸透圧剤は患者が治癒するにつれて分解する又は洗い出すことができ、結果として、安定した許容可能な程度の低IOPとなり、一過性低眼圧が回避される。
<制御された薬物放出>
本明細書中に記載される薬物送達インプラントは薬物を収容するように機能し、インプラントからの薬物溶出を、インプラントの種々の構成要素の設計に基づき長期間、制御された状態で提供する。インプラント構成物の種々の要素、インプラントの物理的特性、眼内におけるインプラントの位置、及び薬物の組成はともに機能し、所望の薬物放出プロファイルを生成する。
上述のように、薬物送達インプラントは、所望の特性を有する任意の生物学的に不活性な、生体適合性材料から作製してもよい。望ましい特性としては、いくつかの実施形態では、液体水又は水蒸気に対する透過性、インプラントを製造し、薬物を装填し、乾燥状態で滅菌し、後の植え込み時に薬物の再水和が可能であることが挙げられる。同じく望ましいのは、ポリマー鎖間に顕微鏡的孔を含む材料で構成されたインプラントである。これら孔は相互連結してもよく、インプラント材料内に水路を形成する。いくつかの実施形態において、結果として生じる水路は回旋状であり、そのため、溶出プロセス時に移動する薬物を溶解する蛇行路を形成する。インプラント材料は、有利には、インプラントが植え込みに実用的な大きさとなり得るように、薬物に対する十分な透過性も有する。したがって、いくつかの実施形態において、インプラント材料は送達されるべき薬物に対して十分に透過性があり、インプラントは被検者の眼内に完全に収容されて存在するような寸法にされている。インプラント材料は、また、理想的には、植え込み中及び植え込み後、標的解剖学的構造に合致するだけでなく、また、植え込み中及び植え込み後、ねじれず、引き裂かれず、穴が開かず、開存したルーメンを有する状態を維持するための十分な弾性、可撓性及び潜在的伸張性を有する。いくつかの実施形態において、インプラント材料は、有利には、実用的な手法で、例えば、成形、押出、熱成形等などによって加工できる。
外部シェルの好適な材料の例示的な例としては、ポリプロピレン、ポリイミド、ガラス、ニチノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コラーゲン、化学的処理されたコラーゲン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(スチレン−イソブチル−スチレン)、ポリウレタン、エチル酢酸ビニル(EVA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Kynar(ポリフッ化ビニリデン;PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ペバックス、アクリル、ポリオレフィン、ポリジメチルシロキサン及び他のシリコーンエラストマー、ポリプロピレン、ハイドロキシアパタイト、チタン、金、銀、白金、他の金属材料及び合金、セラミックス、プラスチック、並びにこれらの混合物又は組み合わせが挙げられる。インプラントの特定の実施形態を構成するために用いられる更なる好適な材料としては、ポリ(乳酸)、ポリ(チロシンカルボナート)、ポリエチレン−酢酸ビニル、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D,L−乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)、コラーゲン、ヘパリン化コラーゲン、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)及び/又は他のポリマー、コポリマー又はブロックコポリマー、ポリエステルウレタン、ポリエステルアミド、ポリエステルウレア、ポリチオエステル、熱可塑性ポリウレタン、シリコーン変性ポリエーテルウレタン、ポリ(カルボナートウレタン)又はポリイミドが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性ポリウレタンは、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、ポリウレタンヒドロゲル形成材料、親水性ポリウレタン(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,428,123号明細書に記載されているものなど)又はこれらの組み合わせを含んでもよいポリマー又はコポリマーである。非限定的な例としては、エラスタン(elasthane)(ポリ(エーテルウレタン))、例えば、Elasthane(商標)80A、Lubrizol、Tecophilic(商標)、Pellethane(商標)、carbothane(商標)、Tecothane(商標)、Tecoplast(商標)及びEstane(商標)が挙げられる。いくつかの実施形態では、Carbosil(商標)20又はPursil(商標)20 80A、Elast−Eon(商標)等を含むポリシロキサン含有ポリウレタンエラストマーが用いられる。親水性及び/又は疎水性材料を用いてもよい。そのようなエラストマーの非限定的な例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,627,724号明細書に記載されている。ポリ(カルボナートウレタン)には、Bionate(商標)80A又は類似のポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、そのようなシリコーン変性ポリエーテルウレタンは、シリコーンの含有によって付与されるポリマーの改良された生体内安定性に基づき、特に有利である。加えて、いくつかの実施形態では、酸化安定性及び抗血栓性も非変性ポリウレタンに比べて改善する。いくつかの実施形態では、シリコーン変性ポリエーテルウレタンによる血管新生、細胞接着、炎症及び/又はタンパク質吸着の減少がある。他の実施形態において、(例えば、インプラントの固定を補助するために)血管新生、細胞接着又はタンパク質吸着が好まれる場合、シリコーン(又は他の改質剤)の程度は適宜調整してもよい。更に、いくつかの実施形態では、シリコーン変性によりポリマーの摩擦係数を低下し、本明細書中に記載されるデバイスの植え込み時における外傷を低減する。いくつかの実施形態では、シリコーン変性は、本明細書中に記載される他の機構に加え、ポリマーの透過性を調節するために用いることができる別の変動因子である。更に、いくつかの実施形態では、ポリマーのシリコーン変性は、ベースポリマーへのシリコーン含有表面変性末端基の添加により実施される。他の実施形態において、フルロロカーボン(flurorocarbon)又はポリエチレンオキシド表面変性末端基がベースポリマーに添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上の生物分解性材料を用いて、インプラントの全体若しくは一部又は本明細書中に開示される任意の他のデバイスを構成する。そのような材料には、特定の化学反応若しくは酵素的プロセスによるものであっても、又はそのような反応若しくはプロセスがなくても、ヒト又は動物の体内に配置されると経時的に分解又は腐食する任意の適切な材料を含む。したがって、この用語が本明細
書中で使用される場合、生物分解性材料には生体内分解性材料を含む。そのような生物分解性実施形態において、生物分解性外部シェルの分解速度は、インプラントからの薬物溶出速度を調節するために使用してもよい(多くの)別の変動因子である。
例えば、薬物が水分(例えば、液体水、水蒸気、湿気)に敏感である、又は薬物の長期間安定度が水分への暴露によって不利な影響を受ける可能性のあるいくつかの実施形態では、特にヒトの体温若しくはその近辺において(例えば、約35〜40℃若しくは37℃)液体水及び/又は水蒸気の進入に対する有効なバリアを呈するように、インプラント又はインプラントの少なくとも一部に、耐水性、水不透過性若しくは防水性の材料を用いることが望ましい場合がある。これは、それ自体が耐水性、水不透過性又は防水性である材料を使用することによって実現してもよい。
いくつかの状況において、しかしながら、一般に水不透過性とみなされる材料であってもなお、インプラント内の薬物にマイナスに影響するほど十分な水を許容してもよい。例えば、1年にわたり薬物の5重量%以下の水の進入を有することが望ましい場合がある。インプラントの一実施形態において、これは、約1×10−3g/m2/日以下の材料の水蒸気透過速度に匹敵する。これは、一般に耐水性又は水不透過性であるとみなされるいくつかのポリマーの水透過速度の10分の1とされ得る。したがって、材料の耐水性又は水不透過性を増加することが望ましい場合がある。
材料の耐水性又は水不透過性は任意の適切な方法によって増加させてもよい。そのような処理の方法としては、材料のコーティング(積層によるものを含む)を設けること、又は耐水性を付加する又は不透過性を増加する成分を材料に配合することによるものが挙げられる。例えば、そのような処理は、インプラント(又はインプラントの一部)自体の上で実施しても、製造前に材料に対して実施しても(例えば、高分子チューブのコーティング)、或いは(例えば、樹脂をチューブ又はシートに形成する前に材料に樹脂を配合することによって)材料自体の形成時に実施してもよい。そのような処理としては、以下、すなわち、材料を疎水性ポリマー又は他の材料でコーティング又は積層し、耐水性又は不透過性を増加する;材料に疎水性又は他の材料を配合し、耐水性又は不透過性を増加する;水又は水蒸気の進入を可能にする材料内の顕微鏡的隙間又は孔を埋める物質を材料に配合する又はそのような物質で材料を処理する;材料の耐水性若しくは不透過性を増加するように、水を吸収する、吸着する又は水と反応することができる水捕捉剤若しくは吸湿性材料を材料にコーティングする及び/又は配合することの1つ以上が挙げられ得るが、これらに限定されない。
耐水性及び/又は水不透過性を増加するためのコーティングとして用いてもよい材料の種類の1つは無機材料である。無機材料としては、金属、金属酸化物及び他の金属化合物(例えば、金属硫化物、金属水素化物)、セラミックス、並びに典型元素材料(main
group materials)及びそれらの化合物(例えば、炭素(例えば、カーボンナノチューブ)、ケイ素、酸化ケイ素)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な材料の例としては、酸化アルミニウム(例えばAl2O3)及び酸化ケイ素(例えばSiO2)が挙げられる。無機材料は、有利には、(材料又はインプラントの任意の製造段階において)蒸着、原子層堆積、プラズマ蒸着等によるものを含む当技術分野で周知の技術などを用いて材料上にコーティングし、基材上に極めて薄いコーティングを形成してもよい。そのような技術により、高分子基材を含む基材上への非常に薄いコーティング(例えば、厚さ約20nm〜40nm、厚さ約25nm、厚さ約30nm及び厚さ約35nmを含む)の堆積を実施することができるとともに、本明細書中に開示されるインプラントにおける使用に好適なサイズのものを含む小型細管の外部及び/又は内部管腔表面にコーティングを施すことができる。そのようなコーティングは、水又は水蒸気の透過に対する優れた耐性をもたらすことができる一方で、可撓性が所望されるインプラントの性能を
不必要に損なわないように、なお、少なくとも適度な可撓性がある。
用量又は治療の継続時間を制御するために、治療薬が可撓性係留式インプラントにより送達される実施形態において(例えば、図16〜17を参照のこと)、1つ以上の可撓性シート又はディスクを同時に使用してもよい。同じく、以下に記載されるものと同様に、シート若しくはディスクを構成するために使用される材料及び/又はそれらを被覆するコーティングは薬物の放出速度を制御するように調製してもよい。
薬物送達インプラントによって担持される薬物は、デバイス内に無理なく保持され得る任意の形態であってもよく、1つ又は複数の格納された薬物を、少なくとも数日及びいくつかの実施形態では数週間以下、特定の好適な実施形態において数年以下継続するある期間にわたって制御された状態で溶出する。特定の実施形態は眼内液に容易に可溶な薬物を用いる一方で、他の実施形態は眼内液に一部可溶の薬物を用いる。
例えば、治療薬は、圧縮ペレット、固体、カプセル、多粒子、液体、ゲル、懸濁液、スラリー、エマルジョン等を含むが、これらに限定されない任意の形態であってもよい。特定の実施形態において、薬物粒子は、マイクロペレット(例えば、マイクロタブレット)、微粉又はスラリーの形態であり、そのそれぞれは流体様の特性を有し、インナールーメンに注入することによる再充填を可能にする。上記のように、いくつかの実施形態では、デバイスの装填及び/又は再充填はシリンジ/針によって行われ、それらを通じて治療薬が送達される。いくつかの実施形態では、マイクロタブレットは、23〜25ゲージ、25〜27ゲージ、27〜29ゲージ、29〜30ゲージ、30〜32ゲージ及びそれらの重なった範囲を含む約23ゲージ〜約32ゲージの針を通じて送達される。いくつかの実施形態では、針は、23ゲージ、24ゲージ、25ゲージ、26ゲージ、27ゲージ、28ゲージ、29ゲージ、30ゲージ、31ゲージ又は32ゲージである。
特定の病状の治療のために2つ以上の薬物が所望される場合、又は第1の薬物の副作用を相殺するなどのために第2の薬物が投与される場合、いくつかの実施形態では同形態の2つの薬剤を用いてもよい。他の実施形態において、異なる形態の薬剤を用いてもよい。同様に、1つ以上の薬物において、例えば、安定性を高めるため、又は溶出プロファイルを調節するためにアジュバント、賦形剤又は補助化合物用いる場合、1つ又は複数のその化合物もまた、薬物と融和性があり、インプラントにより無理なく保持され得る任意の形態であってもよい。
いくつかの実施形態では、インプラントから放出される薬物による特定の病状の治療は病状を治療するだけでなく、特定の望ましくない副作用を引き起こす場合がある。場合によっては、特定の薬物の送達により病的状態を治療することができるが、間接的に眼圧が増加する場合がある。ステロイドは、例えば、そのような効果を有し得る。特定の実施形態において、薬物送達シャントにより、本明細書中に記載される網膜又は他の標的組織などの眼内標的組織にステロイドを送達し、それによって、網膜病変を治療するだけでなく、局所的炎症又は流体蓄積に起因し得る眼圧の増加を引き起こす可能性がある。そのような実施形態において、シャント特徴部は蓄積された流体を搬出することによって望ましくない眼圧の増加を低減する。したがって、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス及びシャントの両方として機能するインプラントは、治療薬を送達するように機能するだけでなく、同時に、蓄積された流体を排出することができ、それによって、薬物の副作用を軽減する。そのような実施形態は、眼環境において、又は薬物の送達により、インプラントのシャント特徴部によって低減することが必要な流体蓄積が協調的に引き起こされる任意の他の生理学的環境において展開され得る。いくつかのそのような実施形態において、蓄積された流体の排出は、特に、標的組織が圧力に敏感であるか、蓄積された流体に応じて膨張するのに限られた空間若しくは容量を有する場合に、組織損傷又は機能喪失を回避
するために必要となる。眼及び脳はそのような組織の2つの非限定的な例である。
本明細書中に記載される実施形態は、生物分解性材料、賦形剤又は薬物の放出特性を調整する他の薬剤を混合した又は配合した薬物を含んでもよいことは理解されよう。好適な生物分解性材料としては、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はPLGAとしても知られる乳酸とグリコール酸とのコポリマーが挙げられる。当業者には、本明細書中のいくつかの開示はPLGAの使用について特に記載するが、そのような実施形態において他の適切な生物分解性材料をPLGAの代わりに使用しても、PLGAと併せて使用してもよいことは理解されよう。本明細書中に記載される特定の実施形態において、インプラントのルーメン内に配置される薬物は任意の他の化合物又は材料を配合も混合もされず、このため、ルーメン内に配置される薬物の量が最大になることもまた理解されよう。
いくつかの実施形態では、PLGAコポリマー又は他の高分子材料からの特定の薬物放出速度を設けることが望ましい場合がある。ポリマーからの薬物の放出速度はそのポリマーの分解速度に相関するため、分解速度の制御により、治療薬内に収容された薬物の送達速度を制御するための手段を提供する。PLGAコポリマー又は他のポリマーを構成するポリマー又はコポリマー鎖の平均分子量の変更を用いてコポリマーの分解速度を制御し、それによって、眼への治療薬送達の所望の継続時間又は他の放出プロファイルを実現してもよい。
PLGAコポリマーを用いる特定の他の実施形態において、PLGAコポリマーの生分解速度はコポリマー中における乳酸とグリコール酸単位の比率を変更することによって制御してもよい。
更に別の実施形態は、コポリマーの成分の平均分子量の変更と、コポリマー中における乳酸とグリコール酸の比率の変更との組み合わせを用いて所望の生分解速度を実現してもよい。
上述のように、いくつかの実施形態では、インプラントの外部シェルはポリマーを含む。加えて、シェルは、インプラント上又はインプラント内の種々の位置に1つ以上の高分子コーティングを更に含んでもよい。外部シェル及び任意の高分子コーティングは任意選択的に生物分解性である。生物分解性外部シェル及び生分解性ポリマーコーティングは、ポリ(乳酸)、ポリエチレン−酢酸ビニル、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)、コラーゲン、ヘパリン化コラーゲン、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)及び/又は他のポリマー若しくはコポリマーを含むが、これらに限定されない任意の適切な材料であってもよい。
上述のように、インプラントのいくつかの実施形態は、シェルの形成に使用された成分に応じて眼内液を制御された状態で透過可能な高分子外部シェルを含む。例えば、高分子サブユニットの濃度は得られるシェルの透過性に影響する。したがって、高分子シェルを構成するポリマーの組成によりポリマー中における眼内液通過速度が決定され、生物分解性の場合は、眼内液中における生分解速度が決定される。シェルの透過性もまた、シェルからの薬物の放出に影響する。また、上述のように、シェル上に形成された薬物放出領域はインプラントからの薬物の放出プロファイルを変化させる。薬物の放出の制御は、薬物放出領域を形成するか、薬物放出領域の特性を変化する(例えば、薬物放出領域上のコーティングによりその領域を厚くし、これにより、薬物放出速度を遅延させる)のいずれかであるシェル内又は上のコーティングによって更に制御され得る。
例えば、薬物及びポリマーの特定の組み合わせにより、以下のような固有の拡散係数D
が得られる。
したがって、薬物放出領域の面積及び厚みは、インプラントからの薬物溶出の速度を一部決定する変動因子であり、また、インプラント製造プロセス時に制御され得る変動因子である。高度に不溶性の薬物を用いるいくつかの実施形態では、薬物放出領域は、薄くなる(dが小さい)ように、又は大きな全体面積(Aが大きい)を有して、又はこれら2つの組み合わせ(外部シェルの構造充足性(structural sufficiency)に左右される)において製造され得る。いずれの場合においても、最終的な結果は、インプラントの構造及び設計に基づき、薬物の溶出速度を増加すると薬物の低溶解性を補うことができることである。
対照的に、可溶性の高い薬物を用いるいくつかの実施形態では、薬物放出領域は外部シェルの残部と実質的に同じ厚みで作製される、小さな面積で作製される、又はこれらの組み合わせである。
加えて、特定の実施形態では、更なるポリマーコーティングを用いて、(i)薬物放出領域の有効厚さ(d)を増加させる、又は(ii)インプラントのその部分の全体的な透過性を低下させる(薬物放出領域とコーティング)のいずれかとし、結果的に、薬物溶出を低減する。更に他の実施形態において、複数の更なるポリマーコーティングが使用される。インプラントの別個の部分又は重なった部分のいずれか及び外部シェル上の対応する薬物放出領域を被覆することによって、インプラントの種々の領域からの薬物放出が制御され、インプラント全体からの薬物放出のパターンの制御につながる。例えば、少なくとも2つの薬物放出領域を備えたインプラントは2つの更なるポリマーで被覆してもよく、更なるポリマーは両方とも放出領域上を被覆し、1つのポリマーのみがその他の領域を被覆する。したがって、2つの薬物放出領域からの薬物の溶出速度は異なり、例えば、薬物が2つの領域から順次放出されるように制御可能である。他の実施形態において、2つの領域は異なる速度で放出してもよい。複数の内部ルーメンを備える実施形態では、異なる濃度又は異なる薬物もまた放出してもよい。これら変動因子は、所望の溶出プロファイル又は治療計画が作成され得るように、インプラントからの薬物放出の速度又は継続時間に変更されるように制御できることは理解されよう。
本明細書中に記載されるいくつかの実施形態において、特に薬物溶出を容易にするために又は制御するために必要とされる又は用いられる直接スルーホール又は貫通孔はない。したがって、これらの実施形態において、薬物コア(非常に高濃度のものであってもよい)と、インプラントが配置される部位に隣接する眼組織との間の直接接触はない。場合によっては、眼組織のインプラント内にある高濃度の薬物との直接接触により、局所的細胞毒性及び局所的な細胞死のおそれがある。
しかしながら、本明細書中に開示されるいくつかの他の実施形態において、インプラン
トの外部シェルにおける1つ以上のオリフィスの数、大きさ及び配置は所望の薬物溶出プロファイルを生成するために変更してもよいことは理解されよう。オリフィスの数、大きさ又はこの両方がインプラントの表面積に対し増加するにつれて、外部シェルを通過し、インプラントの内部において治療薬に接触する眼内液の量が増加する。同様に、オリフィス:外部シェル面積の比率を低下させると、インプラントに入る眼内液が減少し、それによって、インプラントからの薬物放出速度の低下をもたらす。加えて、複数のオリフィスは、植え込み時又は眼内に配置後に1つ以上のオリフィスが遮断された場合、インプラントが植え込まれる眼環境とインプラントの内部との間に冗長な伝達手段を提供する。他の実施形態において、外部シェルは、インプラントの先端側先端に1つの(又はそれを超える)オリフィスを含んでもよい。上述のように、このオリフィスの形状及び大きさは所望の溶出プロファイルに基づき選択される。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマープラグが先端側オリフィス内に配置され、そのため、合成コルクとして機能する。植え込みプロセス時における組織外傷又は眼組織のコアリングもまた減少し、先端側オリフィスの詰まり又は部分閉塞を防止することができる。加えて、ポリマープラグは既知の時間内に生分解するように調整してもよいことから、プラグにより、薬物の任意の溶出が起こる前にインプラントを完全に配置できるようになる。更に別の実施形態は、上述のように、先端側オリフィスと、外部シェルのより基端側に配置された複数のオリフィスとの組み合わせを含む。
更に、インプラント(オリフィス又は薬物放出領域のいずれかを有する)への1つ以上の透過性又は半透過性コーティングの付加も用いて、溶出プロファイルを調節してもよい。加えて、いくつかの実施形態では、これら種々の要素の組み合わせも用いて、薬物放出プロファイルを制御する複数の方法を提供してもよい。
更に、本明細書中に記載される実施形態を有利にするのは、いくつかの眼治療薬物の使用可能範囲の拡大である。例えば、眼内液中において高度に可溶の薬物は治療計画における適用性が狭い場合があるが、この理由は、その効能が急性薬物投与によって治療可能な病態に限定されるからである。しかしながら、本明細書中に開示されるインプラントと組み合わされると、そのような薬物は長期間の治療計画で用いることができる。1つ以上の薬物放出領域を含むインプラントの先端側部分内に配置される高度に可溶の薬物は、特定の長期間制御された放出プロファイルを生じるように作製してもよい。
1つ以上の薬物放出領域の代わりに又はそれに加えて、1つ以上の高分子コーティングを、インプラントシェル外部又は薬物を取り囲む若しくは部分的に取り囲む内部ルーメン内に配置してもよい。1つ以上のオリフィスを含むいくつかの実施形態では、高分子コーティングは眼内液に接触するインプラントの最初の部分であり、したがって、インプラントの薬物収容内部ルーメンに眼内液が進入する速度の主要制御因子である。ポリマーコーティングの組成、生分解速度(生物分解性である場合)及びポリマーコーティングの気孔率を変更することによって、薬物が眼内液にさらされ、可溶化される速度を制御してもよい。したがって、インプラントのそのような実施形態から眼の標的組織に薬物が放出される速度が高度に制御される。同様に、眼内液溶解性が低い薬物は、急速に生物分解可能な又は高度に多孔質のポリマーコーティングで被覆されたインプラント内に配置し、インプラント内の薬物上において眼内液の流れを増加させてもよい。
本明細書中に記載される特定の実施形態において、ポリマーコーティングはインプラントのルーメン内の治療薬を取り囲む。いくつかのそのような実施形態において、眼内液はインプラントの外部シェルを通過し、ポリマー層に接触する。そのような実施形態は、インプラントが1つ以上のオリフィスを含む及び/又は送達されるべき薬物が液体、スラリー、エマルジョン又は粒子である場合に特に有用となり得る。これは、ポリマー層が、薬物の溶出の制御をもたらすだけでなく、薬物がオリフィスを通じて外側に制御されない状
態で漏れる又は失われることを防止するための構造的バリアの提供を促進することが理由である。ポリマー層の内部位置決めは、しかしながら、薬物が任意の形態である場合のインプラント内でも使用され得る。
いくつかの眼疾患では、治療において、眼への薬物投与の規定された動力学プロファイルを必要とする場合がある。種々の実施形態の上記説明から、インプラントからの薬物の放出速度を調節する機能は、同様に、所望の動力学プロファイルを達成する実現するために使用できることは理解されよう。例えば、外部シェル及び任意のポリマーコーティングの組成を操作して、薬物の放出の特定の動力学プロファイルを提供することができる。加えて、シェル材料の厚み、薬物放出領域におけるシェルの厚み、薬物放出領域の面積、並びにシェルの任意のオリフィスの面積及び/又は数を含むインプラント自体の設計により、特定の薬物放出プロファイルを作製するための手段が提供される。同様に、PLGAコポリマー並びに/又は他の放出制御材料及び賦形剤の使用により、配合薬放出の特定の動力学プロファイルを提供してもよい。コポリマー中の乳酸とグリコール酸との比率及び/又は中に薬物を有するポリマー又はコポリマーの平均分子量(任意選択的に、1つ以上のその他賦形剤を有する)を調整することによって、薬物の持続的放出又は他の望ましい放出プロファイルを実現してもよい。
特定の実施形態において、インプラントの特性が、インプラントからの薬物放出を制御する主要因子となるように、上述の特徴及び/又は変動因子のいずれかを単独で又は組み合わせて操作することによって薬物のゼロ次放出を実現してもよい。同様に、薬物を配合したPLGAを用いる実施形態において、乳酸とグリコール酸との比率及び/又はコポリマー−薬物組成物の平均分子量を調整すると、放出動力学をインプラント構造とPLGAコポリマーの生分解との組み合わせに基づいて調節することができる。
他の実施形態において、インプラントシェルの組成、薬物放出領域の構造及び寸法、組成任意のポリマーコーティングの調整、並びに特定の賦形剤又は配合製剤(PLGAコポリマー)の使用、真のゼロ次動力学を複製した経時的な相加効果により、擬ゼロ次放出(又は他の所望の放出プロファイル)を実現してもよい。
例えば、一実施形態において、インプラントへの眼内液の進入を既知の速度で可能にするポリマーコーティングを有するインプラントは、PLGAと1つ以上の薬物とを配合した一連のペレットを含んでもよく、ペレットには、少なくとも2つの異なるPLGAコポリマー製剤を組み込む。第1の治療薬の製剤に基づき、後の薬剤はそれぞれ、既知量の薬物を特定の時間単位内に放出することを可能にするようにPLGAと配合してもよい。各コポリマーはその個々の及び所望の速度で生分解する又は腐食することから、経時的に眼に放出される薬物の総量は事実上ゼロ次動力学で放出される。複数のPLGA製剤を有するペレットとともに動作する、本明細書中に記載される薬物隔壁を付加的に用いる実施形態により、得られる薬物の放出速度及び動力学プロファイルに対する更なるレベルの制御が付加されることは理解されよう。
非連続的又は律動的放出もまた望ましい場合がある。これは、例えば、複数のサブルーメンを有し、そのそれぞれが1つ以上の薬物放出領域に対応付けられたインプラントの製造によって実現してもよい。いくつかの実施形態では、更なるポリマーコーティングを用いて、特定時間に特定の薬物放出領域からの薬物放出を防止する一方で、その時間、他の薬物放出領域から薬物を溶出させる。他の実施形態は、上記のような1つ以上の生物分解性隔壁を付加的に用いてインプラント内に永久的又は一時的な物理的バリアを設け、インプラントからの薬物の放出低下若しくは非放出の程度又は継続時間を更に調節する。加えて、隔壁の生分解速度を制御することによって、休薬期間の長さを制御してもよい。いくつかの実施形態では、隔壁の生分解は外部刺激によって開始しても強化してもよい。いく
つかの実施形態では、流体の眼球内注入はバリアの生分解を刺激する又は強化する。いくつかの実施形態では、外部発生刺激は、熱、超音波及び高周波、又はレーザーエネルギーの印加の1つ以上である。
薬物放出領域が開口したオリフィスではないことから植え込みプロセス時の組織外傷又は眼組織のコアリングが最小になることが理由で、特定の実施形態は特に有利である。加えて、この領域は既知の厚み及び面積(したがって、既知の薬物放出プロファイル)のものであることから、それらは任意選択的に、薬物の任意の溶出が起こる前にインプラントを完全に配置できるように製造され得る。
薬物放出を制御するための機構として外部シェルの内部内における薬物の配置もまた用いてもよい。いくつかの実施形態では、治療されるべき病態に応じて、ルーメンは先端側位置にあってもよい一方で、他の実施形態では、ルーメンはより基端側の位置にあってもよい。入れ子状又は同心のチューブデバイスを用いる実施形態において、1つ又は複数の薬剤は、入れ子状又は同心の高分子シェル間に形成されたルーメンのいずれかの内部に配置されてもよい。
薬物放出に対する更なる制御は、複数のルーメンを有する特定の実施形態における薬物の配置位置により得られる。例えば、植え込み直後に薬物の放出が望まれる場合、薬物は、植え込みと治療薬の眼内液への暴露との間の時間が短い第1の放出ルーメン内のインプラント内に配置される。これは、例えば、薄い外部シェル厚さ(又は広い面積又はその両方)を有する薬物放出領域に第1の放出ルーメンを隣接させることによって実現される。眼内液暴露までの時間がより長い第2の放出ルーメン内に配置される第2の薬剤は、第1の薬物の放出開始後、眼に薬物を溶出する。これは、より厚いシェル又はより小さな面積(又はその両方)を有する薬物放出領域に第2の放出ルーメンを隣接させることによって実現され得る。任意選択的に、この第2の薬物は第1の薬物の放出及び活性に起因する副作用を治療する。
また、上記の複数のルーメンは、放出される薬物の特定の濃度プロファイルの実現においても有用であることは理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、第1の放出ルーメンは第1の薬物濃度の薬物を収容してもよく、第2の放出ルーメンは異なる濃度の同じ薬物を収容する。所望の濃度プロファイルは、異なる薬物濃度を有する薬物を用い、それらをインプラント内に配置することによって、薬物溶出開始までの時間、したがって、眼組織内における濃度が制御されるような手法で調整してもよい。
更に、薬物の配置位置を用いて、薬物放出期間の後に薬物を放出しない期間を実現してもよい。例として、植え込み直後に眼内に薬物が放出されるように薬物を第1の放出ルーメン内に配置してもよい。第2の放出ルーメンは薬物を含まないままであっても、不活性な生体内分解性物質を収容してもよく、これにより、薬物が放出されない期間を生じさせる。薬物を収容する第3の放出ルーメンが、その後、眼内液に暴露されることにより第2の薬物放出期間が開始される。
シェル特性、任意のポリマーコーティングの特性、任意のポリマー−薬物混合物、薬物放出領域の寸法及び数、オリフィスの寸法及び数、並びにインプラント内における薬物の位置の任意の1つ又は組み合わせを変更する機能により、インプラントによる薬物送達の速度の制御において極めて大きな柔軟性を提供することは理解されよう。
薬物溶出プロファイルは、また、1つ以上のプラグによって隔てられたインプラントの同じ内部ルーメン内に収容される複数の薬物を用いることによって制御されてもよい。例として、インプラントの先端側先端に1つの薬物放出領域を含むインプラントにおいて、
インプラントに入る眼内液は主として、最も先端側の薬物が実質的に腐食され、溶出する時点まで最も先端側の薬物に接触する。その時間の間、眼内液は第1の半透過性隔壁を通過し、プラグの基端側に配置された第2の薬物を腐食し始める。以下に記載するように、これら最初の2つの薬物及び第1のプラグの組成並びに薬物放出領域の特性をそれぞれ制御し、経時的な濃度の増加又は2つの異なる用量の薬物の時間依存送達などの全体的に所望される溶出プロファイルを得てもよい。また、類似のインプラント実施形態を用いて種々の薬物を順次配置してもよい。
2つの薬物の隔離が望まれる場合には隔壁を使用してもよい。隔壁は、任意選択的に、インプラントによって送達されるべき薬物の速度に等しい又はそれよりも遅い速度で生物分解可能である。隔壁は、隔壁がインプラントの内部ルーメン内の所定の位置にあるときにルーメンのより基端側の部分をルーメンの先端側部分から密閉するように、特定のインプラント実施形態の内寸に合わせて設計される。隔壁は、したがって、内部ルーメン内に個々の隔室を形成する。第1の薬物はより基端側の隔室内に配置してもよい一方で、第2の薬物又は第2の濃度の第1の薬物又はアジュバント剤はより先端側の隔室内に配置してもよい。上述のように、眼内液の進入及び薬物放出の速度は、制御可能であり、薬物は、並行して、順に又は経時的に時間をずらして放出され得る。
また、隔壁を用いて、治療薬又は化合物のための別個の隔室を形成してもよい。この化合物は互いに反応し得るが、この反応は、単にインプラントルーメン内ではなく、眼組織又はその近傍において望まれる。実際的な例として、2つの化合物のそれぞれが、もう一方が存在するまで不活性である場合(例えば、プロドラック及び調整剤)、これら2つの化合物をそれでも、1つの薬物収容ルーメンのみと対応する少なくとも1つの薬物放出領域を有する1つのインプラントで送達してもよい。インプラントから眼房に化合物が溶出後、化合物は混合され、標的組織の非常に近傍において活性になる。上記から判断できるように、3つ以上の薬物がこのようにして送達される場合、適切に数を増加した隔壁を用いて薬物を隔離することが望ましい。
特定の実施形態において、基端側バリアは、インプラントの先端側に位置する内部ルーメン内に治療薬を密閉する役割を果たす。そのようなバリアの目的は、任意のより先端側に位置する眼内液進入箇所からの眼内液が治療薬に接触する主要な眼内液源となるようにすることである。同様に、前方への薬物の溶出を防ぐ薬物不透過性シールが形成される。前方溶出を防止すると、眼の前部から生じる眼内液による薬物の希釈を防止するだけでなく、デバイスによって送達される薬物の起こり得る効果の側も低減する。薬物の溶出をインプラントの先端側領域において開始する部位に限定することで、眼のより後領域の標的部位への薬物の送達が強化される。完全に生物分解性の実施形態において、基端側キャップ又はバリアは、そのインプラントによって送達されるすべての薬物よりも遅い生分解速度を特徴とする生体適合性生分解性ポリマーを含んでもよい。基端側キャップは、インプラントの長さに及び第1の用量の薬物が完全に溶出した後にインプラントの再充填を可能にする1つの中心ルーメンを有する実施形態において有用であることは理解されよう。それらの実施形態において、デバイスの先端側部分内に新たな薬物を配置することを可能にするが、好ましくは、前側に誘導された薬物の希釈又は溶出を回避するために基端部又はその近傍が密閉されている1つの中心ルーメンが存在する。
インプラント内に形成してもよい複数の長手方向に配置された隔室と同様に、薬物は、また、互いに入れ子状の1つ以上のルーメン内に配置してもよい。特に望ましい薬物又は濃度の薬物を入れ子状のルーメン内で順序付けることによって、上述のような同様に制御された放出プロファイル又は動力学プロファイルを実現してもよい。
また、上述の芯を用いてインプラント内の種々の薬物の放出特性を制御してもよい。イ
ンプラントの別個の内部ルーメンに引き入れられた1つ以上の芯は、眼内液を、それが薬物と相互作用してもよいルーメン内に迅速に移動させるのを補助する。その放出のためにより多くの眼内液を必要とする薬物は、任意選択的に、オリフィス単体により可能となるのに比べてより多くの眼内液を芯が取り込むルーメン内に配置してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の芯を使用してもよい。
いくつかの実施形態では、薬物は、薬物と内部ルーメンの壁との間の空間への眼内液の流れを増加する又は制限することによって放出プロファイルを更に調節するような様々な寸法にされる。例えば、第1の固体又は半固体薬物を、別の固体又は半固体薬物に比べてより迅速に溶出させることが最も適切な場合、インプラントに入る眼内液を薬物により広い表面積にわたって接触させるために、第1の薬物を、薬物と内部ルーメンの壁との間に大きな隙間を与えるような寸法に形成することが望ましい場合がある。そのような薬物の寸法は特定の薬物の溶出及び溶解性特性に基づき容易に変更可能である。逆に、治療薬と内部ルーメンの壁との間に最小量の残留空間が残るような寸法にされた薬物を有する実施形態において初期の薬物溶出を遅延させてもよい。更に他の実施形態において、薬物放出の継続時間を最大化する又はインプラントを再充填する必要を制限することのいずれかのために、インプラントルーメンの全体に薬物が充填される。
特定の実施形態は、インプラントの薬物送達部に加え、シャントを含んでもよい。例えば、インプラントが所望の眼球内空間内に(前後方向に)配置されると、少なくとも1つの流出路を含むインプラントのシャント部は、生理学的流出空間(例えば、強角膜線維柱帯に固定され、流体をシュレム管に放出する)へと挿入され得る。いくつかの実施形態では、したがって、複数の開口が、インプラントの排出シャント部の開存性及び動作性の維持を補助する。更に、上述のように、複数の開口により、インプラントによって送達される治療薬の作用により生じ得る過剰な流体生成又は蓄積に伴う任意の不要な副作用の緩和を補助することができる。
上述のように、長期間にわたる薬物放出の継続時間が所望される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される実施形態によるインプラントは、数(すなわち少なくとも3)か月の期間にわたり、制御された速度で標的組織に薬物を送達することができる。特定の実施形態において、インプラントは、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、12か月、15か月、18か月及び24か月を含む、約6か月又はそれよりも長い間、再充填を必要とすることなく制御された速度で標的組織に薬物を送達することができる。更に他の実施形態において、制御された薬物放出(インプラントの再充填なし)の継続時間は2年を超える(例えば、3年、4年、5年又はそれを超える年数)。特定の実施形態において、上記数値の2つ以上に隣接する、重なる又は包含する範囲を含む更なる時間枠もまた使用されることは理解されよう。
特定の実施形態において、標的組織への薬物の制御された放出とともに、特定用量の(1つ又は複数の)薬物が時経的に望まれる。したがって、いくつかの実施形態では、総薬物装填量、例えば、インプラントの寿命にわたって標的組織に送達されるステロイドの総装填量は、約10〜約1000μgの範囲である。特定の実施形態において、総薬物装填量は、約100〜約900μg、約200〜約800μg、約300〜約700μg又は約400〜約600μgの範囲である。いくつかの実施形態では、総薬物装填量は、約10〜約300μg、約10〜約500μg又は約10〜約700μgの範囲である。他の実施形態において、総薬物装填量は、約200〜約500μg、400〜約700μg又は約600〜約1000μgの範囲である。更に他の実施形態において、総薬物装填量は、約200〜約1000μg、約400〜約1000μg又は約700〜約1000μgの範囲である。いくつかの実施形態では、総薬物装填量は、575、590、600、610及び625μgを含む、約500〜約700μg、約550〜約700μg又は約5
50〜約650μgの範囲である。特定の実施形態において、上記範囲に隣接する、重なる又は包含する、薬物の更なる範囲もまた使用されることは理解されよう。
同様に、他の実施形態において、制御された薬物送達はインプラントからの薬物溶出速度に基づき計算される。特定のそのような実施形態において、薬物、例えば、ステロイドの溶出速度は、約0.05μg/日〜約10μg/日が実現される。他の実施形態において、約0.05μg/日〜約5μg/日、約0.05μg/日〜約3μg/日又は約0.05μg/日〜約2μg/日の溶出速度が実現される。他の実施形態において、約2μg/日〜約5μg/日、約4μg/日〜約7μg/日又は約6μg/日〜約10μg/日の溶出速度が実現される。他の実施形態において、約1μg/日〜約4μg/日、約3μg/日〜約6μg/日又は約7μg/日〜約10μg/日の溶出速度が実現される。更に他の実施形態において、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9μg/日を含む、約0.05μg/日〜約1μg/日の溶出速度が実現される。特定の実施形態において、上記の範囲に隣接する、重なる又は包含する薬物の更なる範囲もまた使用されることは理解されよう。
上記パラメータの1つ以上の代わりに又はそれに加えて、インプラントからの薬物の放出は標的組織における薬物の所望の濃度に基づき制御してもよい。いくつかの実施形態では、標的組織における薬物、例えばステロイドの所望の濃度は、約1nM〜約100nMの範囲である。他の実施形態において、作用部位における薬物の所望の濃度は、約10nM〜約90nM、約20nM〜約80nM、約30nM〜約70nM又は約40nM〜約60nMの範囲である。更に別の実施形態において、作用部位における薬物の所望の濃度は、約1nM〜約40nM、約20nM〜約60nM、約50nM〜約70nM又は約60nM〜約90nMの範囲である。更に他の実施形態において、作用部位における薬物の所望の濃度は、約1nM〜約30nM、約10nM〜約50nM、約30nM〜約70nM又は約60nM〜約100nMの範囲である。いくつかの実施形態では、作用部位における薬物の所望の濃度は、46、47、48、49、50、51、52、53、及び54nMを含む、約45nM〜約55nMの範囲である。特定の実施形態において、上記の範囲に隣接する、重なる又は包含する薬物の更なる範囲もまた使用されることは理解されよう。
上述の特定の実施形態は最充填可能である。いくつかのそのような実施形態において、再充填は新たな薬物をルーメン内に注入することによって実施される。いくつかの実施形態では、植え込まれた薬物送達インプラントの補充には再充填デバイスを前房内においてインプラントの基端部へと前進させることを伴い、そこでクランプスリーブをインプラントの基端部上にスライドさせてもよい。例えば、図20Aを参照のこと。手術者は、その後、可撓性クランプグリッパでインプラントの基端部を把持してそれを確実に保持してもよい。治療薬の薬物の新たな用量又は新たな薬物が、その後、ばね荷重式であってもよい可撓性プッシャチューブによって、そのインプラント内の位置へと押される。いくつかの実施形態では、プッシャチューブは、インプラントへの送達の準備中に治療薬を確実に保持するための小さな内部凹部を含む。他の実施形態において、平面により治療薬をインプラント内の所定の位置へと推進させる。
プッシャのばね移動量は、任意選択的に、治療薬を、インプラントの内部ルーメンの最先端側部分へと既知の距離押すように予め規定されている。或いは、ばね移動量は、例えば、存在する治療薬がインプラントから完全に溶出する時間より先に新たな治療薬が配置される場合には手動で設定することができ、それによって、新たな治療薬を前進させる必要がある距離を低減する。任意のアンカー要素と連係して、再充填プロセスはインプラントをその本来の位置から大幅に移動させることなく実施してもよい。
任意選択的に、再充填時の漏れを防止するためのシールを再充填デバイスに含めてもよい。そのようなシールは、例えば、補充される薬物の形態が液体である場合に望ましい場合がある。漏れを防止するための適切なシールとしては、例えば、Oリング、コーティング、親水性剤、疎水性剤及びこれらの組み合わせが挙げられる。コーティングは、例えば、MDX(商標)シリコーン流体などのシリコーンコートとされ得る。
他の実施形態において、再充填には、前房内における、一方向弁による再充填デバイスの前進を伴う。図20B及び図20Cを参照のこと。この弁は、基端部において開き、先端部において可逆的に閉じる2つ以上のフラップ70を含む。再充填デバイスの前進により、後端部におけるフラップが開き、後房への薬物の堆積が可能になる。再充填デバイスを除去すると、フラップはその閉鎖位置(先端部の)に戻り、それによって、ルーメン内に堆積された薬物を保持する。いくつかの実施形態では、ルーメンからの液体(液体様の流れ特性を有する粉末又はマイクロペレットを含む)薬物の逆流を防止するためのシールが形成されるように、一方向弁が形成される。他の実施形態において、流体密シールは形成されない。
新たに配置される薬物ペレットを所定の位置に保持するために他の適切な保持方法を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、新たに配置されるペレットよりも小さな内径を有する変形可能なOリングが使用される。そのような実施形態において、再充填デバイスは、Oリング内における薬物ペレットの通過を可能にするほど十分にOリングを変位させる。しかしながら、デバイスを除去すると、Oリングはその本来の直径に戻り、それによって、ペレットをルーメン内に保持する。
更に他の実施形態において、再充填デバイスによって貫通可能な「自己回復」材料で作製されたプラグが使用される。そのような実施形態において、再充填デバイスによる圧力により、デバイスがプラグを貫通し、内部ルーメン内に新たな薬物を堆積させることを可能にする。再充填デバイスを抜去すると、プラグは再度密閉され、ルーメン内に薬物が保持される。
一方向弁は、ルーメンへの新たな薬物の挿入及び保持を可能にするほど十分に可撓性のある任意の材料で作製してもよい。そのような材料としては、シリコーン、テフロン(登録商標)、可撓性グラファイト、スポンジ、シリコーンゴム、ガラス繊維強化シリコーンゴム、neoprene(登録商標)、レッドラバー(red rubber)、ワイヤ挿入レッドラバー、コルク及びneoprene(登録商標)、植物繊維、コルク及びゴム、コルク及びニトリル、ガラス繊維、布入りゴム、ビニル、ニトリル、ブチル、天然ゴムラバー、ウレタン、炭素繊維、フルオロエラストマー等が挙げられるが、これらに限定されない。
<薬物>
薬物送達インプラントとともに用いられる治療薬は、以下に記載される1つ以上の薬物を単独又は組み合わせのいずれかにおいて含んでもよい。用いられる薬物は、また、以下に記載される薬物の1つ以上の等価物、誘導体又は類似体であってもよい。薬物としては、抗緑内障薬、眼用薬、抗菌薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、駆虫薬、抗真菌薬)、抗炎症薬(ステロイド又は非ステロイド性抗炎症薬を含む)、ホルモン、酵素又は酵素関連成分、抗体又は抗体関連成分、オリゴヌクレオチド(DNA、RNA、低分子干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド等を含む)、DNA/RNAベクター、ウイルス(野生型又は遺伝子組み換えのいずれか)又はウイルスベクター、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外基質成分を含む生物学的薬剤、並びに1つ以上の生物学的成分を生成するように構成された生細胞を含む医薬品が挙げられ得るが、これに限定されない。任意の特定の薬物の使用は、その一次作用又は規制機関に承認された治療指示又は使用法に限定さ
れない。薬物には、また、別の薬物又は治療薬の1つ以上の副作用を低減する又は治療する化合物又は他の材料を含む。多くの薬物は2つ以上の作用機序を有するため、以下の任意の1つの治療クラス内における任意の特定の薬物の列挙は、薬物の1つの可能な用途の単なる代表例であり、眼インプラントシステムにおけるその使用範囲を限定することを意図するものではない。
いくつかの実施形態において、特定の治療用途に一般的でない薬物の形態、例えば、非定型剤形(atypical dosage form)を用いてもよい。例えば、特定の薬物の現在の一般的な使用は薬物が第1の形態にあるときが好ましいとされ得る。しかしながら、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態は、少なくとも部分的にそのような現在の薬物の使用に基づくあまり好適でない第2の薬物形態を用いるという点で有利である。例えば、いくつかの薬物はプロドラッグ形態及び活性薬物形態で存在し、活性薬物が好適である。他のそのような薬物はプロドラッグ形態で投与される場合に好適である。いくつかの状況において、投与に好適な形態は、薬物が体に摂取される経路、例えば、局所、経口、前房内注入、硝子体内注入等によって異なってもよい。実施形態に応じて(薬物、標的及び所望の効力の時間を考慮に入れて)、プロドラッグ形態又は活性薬物形態のいずれかが投与される。
本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、その通常の意味を与えられ、当初不活性又はあまり活性でない構成の薬物も意味する。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、薬物の遊離酸(例えば、活性)形態のエステル化形態である。いくつかの実施形態において、プロドラッグは活性薬物の塩である。実施形態に応じて、例えば、リン酸化又は脱リン酸化を必要とするもの、加水分解を必要とするもの、種々の酵素による代謝によって生物活性化されるもの、アルキル化又は脱アルキル化されるもの、エステル化されるもの等のような他のプロドラッグ形態もまた使用される。プロドラッグは細胞内又は細胞外いずれかの作用機序により活性薬物に変換され得る。いくつかの実施形態において、プロドラッグ形態は代謝されるか、そうでなければプロドラッグが配置される環境内で変換される(例えば、環境の酸度又はアルカリ度が薬物の変換を誘発する)。いくつかの実施形態では、プロドラッグ形態は、例えば、エステラーゼなどの特定の酵素(又は経路)によって代謝される。実施形態及び関与する薬物に応じて他の化学的機序及び/又は酵素的機序が用いられることは理解されよう。
いくつかの実施形態において、安定性の点において特定のプロドラッグがもたらす利点が理由で、少なくとも一部、プロドラッグが投与される。いくつかのプロドラッグの安定性の増加により、より長期間の治療プロファイルを有するプロドラッグをデバイスにおいて使用することが可能になる(例えば、プロドラッグが装填された1つのデバイスは、薬物のいくつかがデバイスから溶出し得る前に分解する場合、薬物の活性形態が装填されたデバイスと比較してより長期間にわたる治療的利点をもたらしてもよい)。いくつかの実施形態では、プロドラッグは、少なくとも一部、薬物送達デバイスに対応付けられた(1つ又は複数の)膜全体におけるその良好な拡散プロファイルが理由で好適である。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される薬物デバイスでは、1つ以上の膜(例えば、疎水性膜、例えば、EVA、シリコーン、ポリエチレン、Purasil等を含むもの、親水性膜、セラミック膜等)を用いて、デバイスから標的組織への薬物の溶出を調整する。本明細書中に開示される薬物送達インプラント(例えば、デバイス)のいくつかの実施形態により、インプラントから標的組織へのプロドラッグ(又は実施形態に応じて、活性薬物)の溶出が可能になる一方で、デバイスへの体液/間質液の大量の流れを防止する。例えば、一実施形態において、プロスタグランジンアナログなどの薬物のエステル化プロドラッグ形態を含む薬物送達デバイスが眼内標的部位に植え込まれ、エステル化プロドラッグ製剤は制御された状態でデバイス内の貯蔵部からデバイスの疎水性膜を通じて拡散する(デバイスに入る又はデバイスから出る大量の流れがない状態において)
。デバイスから拡散されると、生理学的及び/又は治療的効果が実現されるように、プロドラッグ形態は活性形態の薬物に変換される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスに活性薬物ではなくプロドラッグを装填するという選択は、薬物送達デバイスと対応付けられた1つ以上の膜を通過する薬物形態の拡散プロファイルに左右される。換言すると、いくつかの実施形態において、プロドラッグ形態は、活性(例えば、遊離酸、遊離塩基、保護されていない)形態の薬物に比べてより容易に及び/又はより制御可能な状態でのいずれかにおいて拡散する。いくつかの実施形態では、薬物によっては、薬物の活性形態はプロドラッグ形態に比べてより安定しており有利である。
いくつかの実施形態では、薬物は、薬物を含むデバイスの植え込みの前、最中又は後にプロドラッグから活性薬物形態へと変換される。いくつかの実施形態において、プロドラッグから薬物への変換は、植え込まれたデバイスからプロドラッグが放出される際に又はその後間もなく起こる。そのような場合において、形態間における薬物の変換は、選択した投与経路の一側面の結果である。例えば、緑内障の治療用のプロスタグランジンアナログは眼の外部表面(例えば、角膜)に配置される点眼薬の形態で送達され得る。酵素を含む角膜の特定の生理学的側面により、プロドラッグが角膜を輸送される際にプロドラッグの活性薬物への変換が促進される。上記のように、プロドラッグ形態は薬物の安定度の増加に役立つ(薬物による)ことから、特定種類のプロドラッグの使用が好まれてもよい。しかしながら、標的内又はその周囲の組織について、プロドラッグを活性薬物に変換する能力に疑いのある特定の生理的標的(又はこれらの標的に到達するために使用される投与経路)がある。例えば、エステラーゼ及び眼の前房内の他の化学成分の、前房内から送達されたプロドラッグを活性薬物に変換する能力は、本発明者による実験以前には未知であった。その結果、当業者はエステル分解を必要とするプロドラッグを前房に投与することを選択するには至らず、むしろ、活性形態(変換を必要としない)の使用に至るであろう。更に、この特定の眼球内標的には直接投与又は局所投与のいずれかを必要とする。局所的に投与された活性薬物(この非限定的な例においてプロスタグランジンアナログなど)は治療的効果をもたらすほどの十分な量が角膜を通過しない場合がある。これらの制約を鑑み、1つの手法は、活性形態の薬物を直接前房に直接投与し、それによって、プロドラッグの活性薬物への変換及び角膜における活性薬物の通過などの変動因子を排除することである。しかしながら、本出願人は、有利には、特定の薬物(トラボプロスト、ラタノプロスト又はビマトプロストを含むが、それらに限定されないプロスタグランジンアナログなど)のプロドラッグ形態を含むデバイスを眼内に植え込み、このように角膜(及びその在住エステラーゼ)をバイパスして、プロドラッグを前房内になお放出させ、結果的な治療的効果を得ることができることを見出した。したがって、いくつかの実施形態によれば、プロスタグランジンアナログのプロドラッグ形態の前房への送達により薬物が活性遊離酸形態に変換される(いくつかの実施形態では、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、約98%超、及び約99%超、又はこれを超える変換速度で)。いくつかのそのような実施形態において、眼圧の低下などの治療的効果が実現される。これら薬物の活性形態の送達が好まれることが知られていること、及びこの標的組織領域がプロドラッグ形態を変換する能力が未知であることを前提とすると、この手法(例えば、プロドラッグを変換する未知の能力を有する眼の領域にプロドラッグを投与する)が合理的に成功するとは予想されない。したがって、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態は、膜であって、それを通じてプロドラッグが拡散され得る膜を含むデバイスを標的組織に植え込むことができ、プロドラッグ形態の安定性及び標的組織空間内におけるプロドラッグの活性薬物への変換に基づいて長期間にわたり治療的効果を得るという点で特に有利である。上記のように、しかしながら、いくつかの実施形態では、任意選択的に薬物の活性形態を用いる。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、ブリモニジンが塩としてではなくむしろ遊離塩基形態においてデバイスにより投与される(又は遊離薬物として)。(酒石酸塩などの)塩形態に伴い予想される安定性の増加にもかかわらず、この非定型剤形は、予期せぬ有益な治療的結果をもたらす。
上記のように、治療薬は当技術分野で周知の任意の数の賦形剤と組み合わせてもよい。上述の生物分解性高分子賦形剤に加え、ベンジルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セチルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ゼラチン、グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、カオリン、塩化カルシウム、ラクトース、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、ポリソルベート、アルファ化デンプン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、トウモロコシデンプン、タルク等を含むが、これらに限定されない他の賦形剤を使用してもよい。1つ以上の賦形剤は、総量中、約1%、5%又は10%含まれてもよく、他の実施形態において、総量中、50%、70%又は90%含まれてもよい。
薬物の例としては、種々の分泌抑制薬;細胞分裂抑制薬及びとりわけアンジオスタチンなどの血管新生阻害薬を含む他の増殖抑制薬、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、VEGF受容体チロシンナーゼ阻害薬、並びにラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))及びベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ペガプタニブ(MACUGEN(登録商標))、スニチニブ及びソラフェニブ及び抗血管新生効果を有する種々の既知の低分子及び転写阻害剤のいずれかなどの抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)薬;既知の眼科用薬物のクラスを含む:例えば、アテノロール、プロプラノロール、メチプラノロール、ベタキソロール、カルテオロール、レボベタキソロール、レボブノロール及びチモロールなどのβ遮断薬を含むアドレナリン拮抗薬などの緑内障薬;エピネフリン、ジピベフリン、クロニジン、アパークロジニン(aparclonidine)及びブリモニジンなどのアドレナリン作動薬又は交感神経様作用薬;ピロカルピン、カルバコール、フォスフォリンアイオダイン(phospholine iodine)及びフィゾスチグミン、サリチル酸塩、アセチルコリン塩化物、エセリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、臭化デメカリウムなどの副交感神経様作用薬又はコリンジェリック(cholingeric)作動薬;ムスカリン作用薬;局所及び/又は全身性薬、例えば、アセトゾラミド(acetozolamide)、ブリンゾラミド、ドルゾラミド及びメタゾラミド、エトクスゾラミド、ダイアモックス及びジクロルフェナミドを含む炭酸脱水酵素阻害薬;アトロピン、シクロペントラート、スクシニルコリン、ホマトロピン、フェニレフリン、スコポラミン及びトロピカミドなどの散瞳−毛様体筋麻痺薬;プロスタグランジンF2α、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体などのプロスタグランジン、又はビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト及びウノプロストンなどのプロスタグランジンアナログ剤を含んでもよい。
薬物の他の例は、また、例えば、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸、メチルプレドニゾロン、プレドニソロン21−リン酸、プレドニゾロン酢酸エステル、プレドニソロン、フルロオメトロン(fluroometholone)、ロテプレドノール、メドリゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、リメキソロンなどのグルココルチコイド、糖質コルチコイド及びコルチコステロイドを含む抗炎症薬;例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナク及びケトロラック、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム及びナブメトンを含む非ステロイド系抗炎症薬;例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファダイアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン
、プロピオン酸ナトリウム、ゲンタマイシン及びトブラマイシンなどのアミノグリコシドを含む抗生物質などの抗感染薬又は抗菌薬;シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシンなどのフルオロキノロン;バシトラシン、エリスロマイシン、フシジン酸、ネオマイシン、ポリミキシンB、グラミシジン、トリメトプリム及びスルファセタミド;アムホテリシンB及びミコナゾールなどの抗真菌薬;イドクスウリジン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンなどの抗ウイルス薬;抗かび薬;例えば、カロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン(methapyriline)、クロルフェニラミン、セトリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミンを含む抗アレルギー薬などの免疫調整剤;アゼラスチン、エメダスチン及びレボカバスチンなどの抗ヒスタミン剤;免疫薬(ワクチン及び免疫刺激剤など);クロモリンナトリウム、ケトチフェン、ロドキサミド、ネドクリミル(nedocrimil)、オロパタジン及びペミロラストなどの肥満細胞安定化剤;ゲンティマイシン(gentimicin)及びシドフォビルなどの毛様体削摩剤;及びベルテポルフィン、プロパラカイン、テトラカイン、サイクロスポリン及びピロカルピンなどの他の眼科用剤;細胞表面糖タンパク質受容体の阻害薬;フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリン(tetrahydrazoline)などの充血除去薬;脂質又は降圧脂質;キンピロール、フェノルドパム及びイボパミンなどのドパミン作動薬及び/又は拮抗薬;血管痙攣抑制剤;血管拡張薬;抗高血圧薬;アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬;オルメサルタンなどのアンジオテンシン−1受容体拮抗薬;微小管阻害薬;分子モーター(ダイニン及び/又はキネシン)阻害薬;アクチン細胞骨格調整剤などのシクトカラシン(cyctchalasin)、ラトランクリン、スウィンホリドA、エタクリン酸、H−7及びRhoキナーゼ(ROCK)阻害薬;リモデリング抑制剤(remodeling inhibitor);tert−ブチルヒドロ−キノロン及びAL−3037Aなどの細胞外基質調節因子;N−6−シクロヘキシルアデノシン及び(R)−フェニルイソプロピルアデノシンなどのアデノシン受容体作動薬及び/又は拮抗薬;セロトニン作動薬;エストロゲン、エストラジオール、月経前期ホルモン、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、上皮小体ホルモン、ペプチド及びバソプレッシン視床下部放出因子などのホルモン剤;例えば、表皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子又はその拮抗薬(米国特許第7,759,472号明細書又は米国特許出願第12/465,051号明細書、米国特許出願第12/564,863号明細書又は米国特許出願第12/641,270号明細書(このそれぞれは全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されるものなど)、悪性化増殖因子β、ソマトトラピン(somatotrapin)、フィブロネクチン、結合組織増殖因子、骨形態形成蛋白質(BMP)を含む増殖因子拮抗薬又は増殖因子;インターロイキン、CD44、コクリンなどのサイトカイン、及び血清アミロイドAなどの血清アミロイドを含んでもよい。
他の治療薬には、ドルゾラミド又はベタキソロールなどの血流増強剤を含む、ルベゾール(lubezole)、ニモジピン及び関連化合物などの脳保護薬;エリスロポエイチン(erythropoeitin)などの血液酸素付加を促進する化合物;ナトリウムチャネル遮断薬;ニルバジピン又はロメリジンなどのカルシウムチャネル拮抗薬;メマンチン、ニトロメマンチン、リルゾール、デキストロメトルファン又はアグマチンなどのグルタミン酸阻害薬;ガランタミンなどのアセチルコリンステラーゼ阻害薬;水溶性ヒドロキシルアミン誘導体OT−440などのヒドロキシルアミン又はその誘導体;フラボノイドグリコシド及び/又はイチョウなどのテルペノイドを含有する硫化水素化合物などのシナプス調節因子;グリア細胞系由来神経栄養因子、脳由来神経栄養因子などの神経栄養因子;毛様体神経栄養因子又は白血病抑制因子などのIL−6系タンパク質のサイトカイン;一酸化窒素、ニトログリセリン又は一酸化窒素合成酵素阻害薬などの、一酸化窒素レベルに影響する化合物又は因子;WIN55−212−2などのカンナビノイド受容体アゴンシスト(agonsists);メトキシポリエチレングリコールチオエステル(MP
DTE)、又はエチレンジアミン四酢酸メチルトリエステルと結合させたメトキシポリエスレン(methoxypolyethlene)グリコールチオール(MPSEDE)などのフリーラジカルスカベンジャー;酸化防止剤などのアスタキサチン(astaxathin)、ジチオールチオン、ビタミンE又は金属コロール類(例えば、鉄、マンガン又はガリウムコロール);ニューログロビン又はサイトグロビンなどの酸素恒常性に関与する化合物又は因子;Mdivi−1(ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)の選択的抑制剤)などのミトコンドリア分裂に作用する阻害薬又は因子;Rhoキナーゼ阻害薬H−1152又はチロシンナーゼ阻害薬AG1478などのキナーゼ阻害薬又は調節因子;β1−インテグリン活性抗体HUTS−21などの、インテグリン機能に作用する化合物又は因子;N−アシル−エタナオルアミン(ethanaolamines)及びそれらの前駆体、N−アシル−エタノールアミンホスホリン脂質;グルカゴン様ペプチド1受容体刺激薬(例えば、グルカゴン様ペプチド1);レスベラトロールなどのポリフェノール含有化合物;キレート化合物;アポトーシス関連プロテアーゼ阻害薬;新タンパク合成減少化合物;放射線治療薬;光線力学治療薬;遺伝子治療薬;遺伝調節因子;グラチミア(glatimir)などの、神経又は神経部分の損傷(例えば、脱髄)を防ぐ自己免疫調節因子;抗NgRブロッキングタンパク質、NgR(310)ecto−Fcなどのミエリン阻害薬;FK506結合タンパク質(例えば、FKBP51)などの他の免疫調節因子;及びサイクロスポリンA、デルムルセント(delmulcents)及びヒアルロン酸ナトリウムなどのドライアイ用薬を含んでもよい。
使用してもよい他の治療薬としては、以下が挙げられる:アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、アスモロール(asmolol)、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロール及びピンドロールなどの他のβ遮断薬;アスピリン、ベタメタゾン、コルチゾン、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フルドロコルチゾン、フルルビプロフェン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、プレドニソロン、プリオキシカム(prioxicam)、サルサラート、スリンダク及びトルメチンなどの他のコルチコステロイド系及び非ステロイド系抗炎症薬;セレコキシブ、ロフェコキシブ及びバルデコキシブのようなCOX−2阻害薬;アルデスロイキン、アダリムマブ(ヒュミラ(登録商標))、アザチオプリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタネルセプト(エンブレル(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、インフリキシマブ(レミケード(登録商標))、レフルノミド、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル及びスルファサラジンなどの他の免疫調整剤;ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン及びプロメタジンなどの他の抗ヒスタミン剤;アミカシン及びストレプトマイシンなどのアミノグリコシドなどの他の抗感染薬;アムホテリシンB、カスポファンギン、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィン及びニスタチンなどの抗真菌薬;クロロキン、アトバクオン、メフロキン、プリマキン、キニジン及びキニンなどの抗マラリア剤;エタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピン及びリファブチンなどの抗マイコバクテリア剤;アルベンダゾール、メベンダゾール、チオベンダゾール(thiobendazole)、メトロニダゾール、ピランテル、アトバクオン、ヨードキナオル(iodoquinaol)、アイバメクチン、パロマイシン、プラジクワンテル及びトリマトレキサート(trimatrexate)などの抗寄生虫剤;アシクロビル、シドフォビル、ファムシクロビル、ガングシクロビル(gangciclovir)、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、トリフルリジン及びホスカルネットなどの抗サイトメガロウイルス薬又は抗ヘルペス薬を含む他の抗ウイルス薬;リトナビル、サキナビル、ロピナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビル及びネルフィナビルなどのタンパク分解酵素阻害薬;アバカビル、ddI、3TC、d4T、ddC、テノフォビ
ル及びエムトリシタビン、デラビルジン、エファビレンツ及びネビラピンなどのヌクレオチド/ヌクレオシド/非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬;インターフェロン、リバビリン及びトリフルリジエン(trifluridiene)などの他の抗ウイルス薬;エルタペネム、イミペネム及びメロペネム等のカバペネム(cabapenems)を含む他の抗細菌薬;セファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セファレキシン、セファクロール、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタキシジム(ceftaxidime)、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム及びロラカルベフなどのセファロスポリン;アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリトロマイシン及びテリスロマイシンなどの他のマクロライド類及びケトライド類;アモキシシリン、アンピシリン、ピバンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン及びチカルシリンを含むペニシリン系薬(クラブラン酸含有及び非含有);ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びテトラサイクリンなどのテトラサイクリン;アズトレオナム、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リネゾリド、ニトロフラントイン及びバンコマイシンなどの他の抗菌薬;ドキサゾシン、プラゾシン及びテラゾシンなどのα遮断薬;アムロジピン、ベプリジル、ゼルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン及びベラパミルなどのカルシウムチャネル拮抗薬;クロニジン、ジアゾキシド、フェノルドパン(fenoldopan)、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、フェノキシベンザミン、エポプロステノール、トラゾリン、トレプロスチニル及び硝酸塩系薬などの他の降圧薬;へパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリン及びフォンダパリヌクスなどのへパリン及びヘパリノイドを含む抗凝血薬;ヒルジン、アプロチニン、アルガトロバン、ビバリルジン、デシルジン、レピルジン、ワルファリン及びキシメラガトランなどの他の抗凝血薬;アブシキシマブ、クロピドグレル、ジピリダモール、オプチフィバチド(optifibatide)、チクロピジン及びチロフィバンなどの抗血小板薬;アルプロスタジル、カルボプロスト、シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィルなどのプロスタグランジンPDE−5阻害薬及び他のプロスタグランジン剤;トロンビン阻害剤;抗血栓薬;抗血小板凝集薬;アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ及びウロキナーゼなどの血栓溶解薬及び/又は線維素溶解薬;シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセル及びマイコフェノール酸などの増殖抑制薬;レボチロキシン、フルオキシメストロン(fluoxymestrone)、メチルテストステロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、テストステロン、エストラジオール、エストロン、エストロピパート、クロミフェン、ゴナドトロピン、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ミフェプリストン、ノルエチンドロン、オキシトシン、プロゲステロン、ラロキシフェン及びタモキシフェンを含むホルモン関連薬;カルムスチン、ロムスチン、メルファラン、シスプラチン、フルオロウラシル3などのアルキル化薬、並びにブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン及びプリカマイシンなどのプロカルバジン抗生物質様剤を含む抗腫瘍薬;増殖抑制薬(1,3−シスレチノイン酸、5−フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンC及びシスプラチンなど);シタラビン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗薬;アルデスロイキン、イマチニブ、リツキシマブ及びトシツモマブなどの免疫調整薬;ドセタクセル、エトポシド、ビンブラスチン及びビンクリスチンなどの有糸分裂阻害薬;ストロンチウム−89などの放射性薬剤;並びにイリノテカン、トポテカン及びミトテンなどの他の抗腫瘍薬。
本開示のある種の実施形態について記載してきたが、これらの実施形態は、単に例示として提示したものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際に、本明細書に記載の新規な方法、システム及びデバイスについては、様々な他の形態で実施してもよい。例えば、例示又は説明されたあるインプラントの実施形態を、例示又は
説明された別のシャントの実施形態と組み合わせてもよい。更に、上述のインプラントを他の目的のために利用してもよい。例えば、インプラントは、流体を前房から眼の他の位置又は眼の外部に排出するために使用してもよい。更に、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、本明細書に記載の方法、システム及びデバイスの形態において様々な省略形態、置換形態及び変更形態をなし得る。