本発明を以下に詳細に記載する前に、方法、手順および試薬は変化し得るため、本発明は本明細書に記載の特定の方法、手順および試薬に制限されないと解される。本明細書で用いる用語は特定の実施態様のみを記載する目的のためであると解され、特許請求の範囲によってのみ制限される本発明の範囲を制限することを意図しない。他に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的及び科学的用語は、当業者により通常理解される意味と同じ意味を有する。
以下において、本発明の構成要素を記載する。これらの構成要素は特定の実施態様で記載されるが、さらなる実施態様を生ずるため、任意の方法および任意の数でそれらは組み合され得ると解されるべきである。様々に記載される例および好ましい実施態様は、明示的に記載される実施態様のみに本発明を制限すると解釈されるべきではない。この記載は、明示的に記載される実施態様を任意の数の開示される構成要素および/または好ましい構成要素を組み合わせる実施態様をサポートおよび包含すると解されるべきである。さらに、他に断らない限り、本願に記載のすべての構成要素の任意の変更および組合せは、本願の記載による開示とみなすべきである。
本明細書の本文全体を通していくつかの文書が引用される。本明細書において上記または下記いずれかで引用される文書(すべての特許、特許出願、科学的な刊行物、製造業者の仕様書、説明書などを含む)の各々は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。本発明が先の発明による該開示に先行する資格がないことを容認すると解釈されるべきものはない。
(定義)
本明細書で用いる用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", H.G.W. Leuenberger, B. Nagel, and H. Koelbl, Eds., Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland, (1995)に記載されるとおり定義されることが好ましい。
本発明を実施するために、他に断らない限り、化学、生化学、細胞生物学および組み換えDNA技術の従来法が用いられ、これらは当該分野の文献に記載されている(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J. Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989参照)。さらに、臨床心臓病学の従来法が用いられ、これらはまた当該分野の文献に記載されている(例えば、Practical Methods in Cardiovascular Research, S. Dhein et al. eds., Springer Verlag Berlin Heidelberg, 2005参照)。
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、他に要求しない限り、単語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含むこと」などの変化形は、明示された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の包含を意味するが、任意の他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の除外を意味しないと解されるだろう。本明細書および特許請求の範囲で用いる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確に断らない限り、複数形の言及も含む。用語「約」は、数値に関して用いられるとき、示された数値より5%低い下限を有し、示された数値より5%高い上限を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
本発明の種々の態様の文中において、用語「ペプチド」は、ペプチド結合により結合されるアミノ酸の短いポリマーを意味する。それは、タンパク質と同じ化学(ペプチド)結合を有するが、通常長さが短い。最も短いペプチドはジペプチドであり、1個のペプチド結合により結合される2個のアミノ酸からなる。トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチドなどもある。好ましくは、ペプチドが8、10、12、15、18または20個のアミノ酸までの長さを有する。ペプチドは、環状ペプチドでない限りアミノ末端およびカルボキシル末端を有する。
本発明の種々の態様の文中において、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によりともに結合される1本の直鎖のアミノ酸を意味し、好ましくは少なくとも約21個のアミノ酸を含む。ポリペプチドは2本以上の鎖を含むタンパク質の1本の鎖であり得るか、あるいはタンパク質が1本の鎖を含む場合には、それがタンパク質自体であり得る。
本発明の種々の態様の文中において、用語「タンパク質」は、二次および三次構造を再び取る1以上のポリペプチドを含む分子を意味し、さらに四次構想を形成するいくつかのポリペプチド、すなわちいくつかのサブユニットから構成されるタンパク質を意味する。タンパク質は、付着される非ペプチド族を有することがあり、これは補欠分子族または補因子と呼ばれる。
本発明に関連して、タンパク質またはポリペプチドの一次構造は、ポリペプチド鎖中のアミノ酸の配列である。タンパク質中の二次構造は、タンパク質の局所セグメントの一般的な三次元の構造である。しかしながら、三次元空間中で特定の原子の位置を説明せず、三次構造とみなされる。タンパク質において、二次構造は、バックボーンのアミドおよびカルボキシル基間の水素結合のパターンにより定義される。タンパク質の三次構造は、原子座標により決められるタンパク質の三次元構造である。四次構造は、多重サブユニット複合体中の多重に折りたたまれているかまたは巻かれているタンパク質またはポリペプチド分子の配置である。用語「アミノ酸鎖」および「ポリペプチド鎖」は、本発明に関連して同義語として用いられる。
本明細書で用いる用語「翻訳後の(post-translational)」は、ヌクレオチド・トリプレットのアミノ酸への翻訳および配列における続くアミノ酸へのペプチド結合の形成後に生じる事象を意味する。全ポリペプチドが形成された後か、あるいはすでに翻訳されたポリペプチドのその一部上での翻訳過程中に、該翻訳後の事象は生じてもよい。翻訳後の事象は、結果として生じるポリペプチドの化学的または構造的特性を典型的には変化させるかまたは修飾する。翻訳後の事象の例としては、アミノ酸のグリコシル化もしくはリン酸化、またはペプチド鎖の開裂、例えばエンドペプチダーゼによるものが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いる用語「共翻訳の(co-translational)」は、ヌクレオチド・トリプレットのアミノ酸鎖への翻訳過程中に生じる事象を意味する。これらの事象は、結果として生じるアミノ酸鎖の化学的または構造的特性を典型的には変化させるかまたは修飾する。共翻訳の事象の例としては、翻訳過程を完全に停止し得るか、あるいはペプチド結合の形成を中断させて2個の別々の翻訳産物を生じさせる事象が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、同義語として用いられ、デオキシリボヌクレオチド塩基もしくはリボヌクレオチド塩基またはその両方の一本鎖または二本鎖のオリゴマーまたはポリマーとして解される。核酸の一本鎖の記載はまた、相補鎖の配列を(少なくとも部分的に)定義する。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得るか、あるいは二本鎖および一本鎖配列の部分を含み得る。本発明の種々の態様の文中において、用語「核酸」は、cDNA、ゲノムDNA、組換えDNA、cRNAおよびmRNAを含む。核酸は全遺伝子またはその一部からなり得て、核酸はまたマイクロRNA(miRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)であり得る。本発明の種々の態様の一に関連して用いられる用語「オリゴヌクレオチド」は、約50ヌクレオチド長まで、例えば2〜約50ヌクレオチド長の核酸を意味する。「核酸」分子は、ヌクレオチドモノマーからできたポリマー巨大分子またはオリゴマー巨大分子として解される。ヌクレオチドモノマーは、核酸塩基、5炭糖(例えば限定されないが、リボースまたは2'-デオキシリボース)、および1〜3個のリン酸基から構成される。典型的には、ポリヌクレオチドは、個々のヌクレオチドモノマー間のホスホジエステル結合を介して形成される。本発明に関連して、核酸分子への言及としては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、およびその混合物、例えばRNA-DNAハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。核酸は、生物学的、生化学的もしくは化学的な合成方法、または当該技術分野において公知の任意の方法により得られてもよい。核酸は、例えば化学的に、例えばホスホトリエステル法に従い、合成できる(例えば、Uhlmann, E. & Peyman, A. (1990) Chemical Reviews, 90, 543-584参照)。「アプタマー」は、ポリペプチドに高い親和性で結合する核酸である。アプタマーは、異なる一本鎖RNA分子の大きな集合体から選択方法により単離できる(例えば、Jayasena (1999) Clin. Chem., 45, 1628-50;Klug and Famulok (1994) M. Mol. Biol. Rep., 20, 97-107;米国特許第5,582,981号参照)。アプタマーをまた、鏡像の形態で、例えばL-リボヌクレオチドとして、合成および選択できる(Nolte et al. (1996) Nat. Biotechnol., 14, 1116-9;Klussmann et al. (1996) Nat. Biotechnol., 14, 1112-5)。この方法で単離されている形態は、それらが天然型のリボヌクレアーゼにより分解ず、それ故に高い安定性を有するという利点を享受する。核酸は、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼにより、特に細胞中で見られるDNA分解酵素およびRNA分解酵素により分解され得る。したがって、分解に対して核酸を安定化し、それにより長時間にわたって高い濃度の核酸が細胞内に維持されることを確実にするために、核酸を修飾することは有利である(Beigelman et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:3989-94;国際公開第95/11910号;国際公開第98/37240号;国際公開第97/29116号)。典型的には、そのような安定化は、1以上のインターヌクレオチド(internucleotide)のリン基を導入することによりまたは1以上の非リンインターヌクレオチドを導入することにより得られる。適切な修飾インターヌクレオチドは、上記のUhlmann and Peyman (1990)にまとめられている(Beigelman et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:3989-94;国際公開第95/11910号;国際公開第98/37240号;国際公開第97/29116号も参照)。本発明による使用の1つで用いられ得る核酸中の、修飾インターヌクレオチドのリン酸ラジカルおよび/または非リンの架橋としては、例えば、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオエートおよび/またはホスフェートエステルが挙げられ、一方非リンインターヌクレオチド類似体としては、例えば、シロキサン架橋、カルボネート架橋、カルボキシメチルエステル、アセトアミド架橋および/またはチオエーテル架橋が挙げられる。この修飾が、本発明による使用の1つで用いられ得る医薬組成物の耐久性を向上することも意図する。
本明細書で用いる用語「ベクター」は、細胞内へそれに含まれるタンパク質および/または核酸を導入されるかまたは導入することができる、タンパク質またはポリヌクレオチドまたはその混合物を意味する。本発明に関連して、1または複数のベクターの導入の後に、導入されたポリヌクレオチドによりコードされた対象体の遺伝子が細胞内で発現することが好ましい。適切なベクターの例としては、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスまたは人工染色体が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「オープンリーディングフレーム」(ORF)は、アミノ酸に翻訳することができるヌクレオチドの配列を意味する。典型的に該ORFは、所与のリーディングフレーム中に、開始コドン、3個のヌクレオチドの複合である長さを通常有するそれに続く領域を含むが、終止コドン(TAG、TAA、TGA、UAG、UAAまたはUGA)を含まない。典型的にORFは、自然に生じるか、あるは人工的に、すなわち遺伝子工学的な手段により、構築される。ORFは、翻訳され得るアミノ酸がペプチド結合鎖を形成するタンパク質をコードする。
本明細書で用いる用語「変種(variant)」は、由来とするポリヌクレオチドまたはタンパク質と比較してその長さまたは配列における1以上の変化によって、異なるポリヌクレオチドまたはタンパク質として解される。タンパク質または核酸の変種の由来となるポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、親ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとしても知られる。用語「変種」は、親分子の「断片」または「誘導体」を含む。典型的に「断片」は、親分子より長さまたはサイズが小さく、一方「誘導体」は、親分子と比較してその配列における1以上の差異を示す。また、修飾分子としては、翻訳後の修飾タンパク質(例えばグリコシル化、ビオチニル化、リン酸化、ユビキチン化、パルミトイル化、またはタンパク質分解的に開裂したタンパク質)、および修飾核酸(例えばメチル化DNA)が挙げられるが、これらに限定されない。また、異なる分子の混合物、例えば制限されないがRNA-DNAハイブリット、は用語「変種」により包含される。典型的に変種は、人工的に、好ましくは遺伝子工学的な手段により構築され、一方親ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、野生型のタンパク質またはポリヌクレオチドである。しかしながら、天然型の変種もまた、本明細書で用いる用語「変種」により包含されると解される。さらに、本発明に使用可能な変種はまた、親分子のホモログ、オーソログもしくはパラログに由来し得るかまたは親分子の少なくとも1の生物学的活性示す、すなわち機能的に活性であることを条件として人工的に構築された変種に由来し得る。
本明細書で用いる用語タンパク質またはセグメント「変種」は、由来となるポリペプチド(またはセグメント、エピトープもしくはドメイン)と比較してアミノ酸配列における1以上の変化によって、異なるポリペプチド(またはセグメント)として解される。タンパク質変種の由来となるポリペプチドはまた、親ポリペプチドとして知られる。同様に、セグメント変種の由来となるセグメントは、親セグメントとして知られる。典型的に変種は、人工的に、好ましくは遺伝子工学的な手段により構築される。典型的に親ポリペプチドは、野生型タンパク質または野生型タンパク質ドメインである。本発明に関連して、親ポリペプチド(または親セグメント)は2以上の野生型ポリペプチド(野生型セグメント)の共通配列であることがさらに好ましい。さらに、本発明に使用可能な変種はまた、親ポリペプチドのホモログ、オーソログもしくはパラログに由来し得るかまたは親ポリペプチドの少なくとも1の生物学的活性を示すことを条件として人工的に構築された変種に由来し得る。アミノ酸配列の変化は、アミノ酸の交換、挿入、欠損、N-末端切断もしくはC-末端切断、またはこれら変化の任意の組合せであり得て、1またはいくつかの部位で生じ得る。好ましい実施態様において、本発明に使用可能な変種は、総数200まで(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200まで)のアミノ酸配列における変化(すなわち交換、挿入、欠損、N-末端切断および/またはC-末端切断)を示す。アミノ酸の交換は、保存的および/または非保存的であり得る。
アミノ酸が化学的に関連するアミノ酸で置換される半保存的および特に保存的なアミノ酸置換が好ましい。典型的な置換は、脂肪族アミノ酸間、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸間、酸性残基を有するアミノ酸間、アミド誘導体間、塩基性残基を有するアミノ酸間、または芳香族性残基を有するアミノ酸間である。典型的な半保存的および保存的置換は、以下のとおりである:
新しいシステインが遊離チオールとして存在する場合、A、F、H、I、L、M、P、V、WまたはYからCへの変化は半保存的である。さらに、当業者は、立体的に必要とされる位置のグリシンが置換されるべきでなく、アルファヘリックスまたはベータシート構造を有するタンパク質の部分へPが導入されるべきでないことを理解するであろう。
代替的または付加的に、本明細書で用いる「変種」は、それの由来となる親ポリペプチドまたは親ポリヌクレオチドに対するある程度の配列同一性により特徴付けられることができる。より正確には、本発明に関するタンパク質変種は、その親ポリペプチドに対する少なくとも80%の配列同一性を示す。本発明に関するポリヌクレオチド変種は、その親ポリヌクレオチドに対する少なくとも80%の配列同一性を示す。好ましくは、タンパク質変種の配列同一性は、20、30、40、45、50、60、70、80、90、100またはそれ以上の一続きのアミノ酸の全体にわたる。好ましくは、ポリヌクレオチド変種の配列同一性は、60、90、120、135、150、180、210、240、270、300またはそれ以上の一続きのヌクレオチドの全体にわたる。
用語「少なくとも80%の配列同一性」は、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの配列比較に関して本明細書の全体を通して用いられる。この表現は、好ましくはそれぞれの参照ポリペプチドまたはそれぞれの参照ポリヌクレオチドに対する、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を意味する。好ましくは、問題となっているポリペプチドおよび参照ポリペプチドは、20、30、40、45、50、60、70、80、90、100またはそれ以上の一続きのアミノ酸の全体にわたる、または参照ポリペプチドの全長にわたる、表示された配列同一性を示す。好ましくは、問題となっているポリヌクレオチドおよび参照ポリヌクレオチドは、60、90、120、135、150、180、210、240、270、300またはそれ以上の一続きのヌクレオチドの全体にわたる、または参照ポリペプチドの全長にわたる、表示された配列同一性を示す。
変種は、付加的または代替的にアミノ酸の欠損を含み得て、これは、N-末端切断、C-末端切断もしくは内部欠損またはこれらの任意の組合せであり得る。N-末端切断、C-末端切断および/または内部欠損を含む該変種は、本願の文中において「欠損変種」または「断片」と示される。用語「欠損変種」および「断片」は、本明細書において区別なく用いられる。断片は天然型(例えばスプライスバリアント)であるか、あるいは人工的に、好ましくは遺伝子工学的な手段により構築され得る。好ましくは、断片(または欠損変種)は、親ポリペプチドと比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100アミノ酸までの欠損を、そのN-末端においておよび/またはそのC-末端においておよび/または内部で、好ましくはそのN-末端において、そのN-およびC-末端において、またはそのC-末端において有する。2個の配列を比較し、配列同一性の割合を計算するための比較対象としての参照配列が特定されない場合、他に明記されない限り、配列同一性は、比較される2個の配列のより長いものを参照して計算される。参照配列が示される場合、他に明記されない限り、配列同一性は、配列番号(SEQ ID)により示される参照配列の全長に基づき決定される。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の類似性、すなわち配列同一性の割合は、配列アラインメントにより決定することができる。該アラインメントは、いくつかの当該技術分野で公知のアルゴリズムを用いて実施でき、好ましくはKarlinおよびAltschulの数学アルゴリズム(Karlin & Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877)、hmmalign(HMMERパッケージ、http://hmmer.wustl.edu/)またはCLUSTALアルゴリズム(Thompson, J. D., Higgins, D. G. & Gibson, T. J. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 4673-80)を用い、例えばhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/またはhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlまたはhttp://npsa-pbil.ibcp.fr/cgi-bin/npsa_automat.pl?page=/NPSA/npsa_clustalw.htmlにおいて利用できる。用いられる好ましいパラメーターは、それらがhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/またはhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlにおいて設定されているとおり、デフォルトパラメーターである。配列同一性(配列マッチング)の程度は、例えばBLAST、BLATまたはBlastZ(またはBlastX)を用いて計算されてもよい。同様のアルゴリズムが、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410に記載のBLASTNおよびBLASTPプログラムに組み込まれている。BLASTポリヌクレオチド検索を、BLASTNプログラムを用いて、score = 100、word length = 12で実施し、相同ポリヌクレオチド配列を得る。BLASTタンパク質検索を、BLASTPプログラムを用いて、score = 50、word length = 3で実施し、相同アミノ酸配列を得る。比較目的のためギャップアラインメントを得るため、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載のとおり、Gapped BLASTを利用する。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用するとき、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーターを用いる。配列マッチング解析は、Shuffle-LAGAN(Brudno M., Bioinformatics 2003b, 19 Suppl 1:I54-I62)またはマルコフ確率場などの確立された相同マッピング技術により補足されてもよい。配列同一性の割合を本願で示すとき、これらの割合は、他に明記されない限り、より長い配列の全長と比較して計算される。
「ハイブリダイゼーション」はまた、2個の配列間の配列同一性または相同性の指標として用いられ得る。S100タンパク質をコードする核酸配列またはその一部は、標準的なハイブリダイゼーション技術に従いハイブリダイゼーションプローブとして用いられ得る。試験源からDNAまたはRNAへのS100プローブのハイブリダイゼーションは、試験源中のS100 DNAまたはRNAの存在の表示である。ハイブリダイゼーション条件は、当業者に公知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y., 6.3.1-6.3.6, 1991で見付けられる。「中程度ハイブリダイゼーション条件」は、2x 塩化ナトリウム/クエン酸(SSC)中30℃でハイブリダイゼーションさせ、続いて1x SSC、0.1% SDSで50℃において洗浄するのに相当すると定義される。「高ストリンジェントな条件」は、6x 塩化ナトリウム/クエン酸(SSC)中45℃でハイブリダイゼーションさせ、続いて0.2x SSC、0.1% SDSで65℃において洗浄するのに相当すると定義される。
付加的または代替的に、欠損変種は、上記のそれぞれのアミノ酸の構造的な欠損のためでないが、阻害されたあるいはそうでなければそれらの生物学的機能を果たすことができないこれらのアミノ酸のためには生じ得る。典型的には、該機能的欠損は、結果として生じるタンパク質の機能的特性を変化するアミノ酸配列への挿入またはその中での交換のため生じ、例えば、結果として生じるタンパク質の化学的特性の変化(すなわち疎水性アミノ酸の親水性アミノ酸への交換)、結果として生じるタンパク質の翻訳後修飾の変化(例えば翻訳後開裂またはグリコシル化様式)、または一次もしくは二次のタンパク質構造の変化のためが挙げられるが、これらに限定されない。付加的または代替的に、機能的欠損はまた、転写もしくは転写後遺伝子抑制(例えばsiRNAによる)または阻害分子(例えば限定されないが、タンパク質阻害剤または阻害抗体)の有無のため生じ得る。
本発明に関連して、「機能的に欠損している」タンパク質(またはセグメント、ドメインもしくはエピトープ)は、対応する配列のアミノ酸またはヌクレオチドが欠損しているかあるいは存在しているがその生物学的機能を果たしていないことを意味することが好ましい。
用語「発現レベル」(遺伝子の発現レベル)は、ある時点において体または検体内に存在する遺伝子産物の量を意味する。発現レベルは、例えば、遺伝子から発現されるタンパク質またはmRNAによって測定/定量化/検出され得る。発現レベルは、例えば、同一検体もしくは参照検体(例えば同じ時に同一検体または同一検体の同サイズ(重量、体積)の一部から取った検体)中の同一カテゴリーの遺伝子産物(総タンパク質またはmRNA)の量で検体中に存在する対象体の遺伝子産物の量を標準化することにより、または既定の検体サイズ(重量、体積など)当たりの対象体の遺伝子産物の量を確認することにより定量化され得る。発現レベルは、当該技術分野で公知の任意の方法によって測定または検出され得て、例えば、対象体の遺伝子産物の直接的な検出および定量化の方法(例えば質量分析)、または対象体の遺伝子産物の間接的な検出および定量化の方法が挙げられ、これは、対象体の遺伝子産物の1以上の異なる分子との結合、または対象体の遺伝子産物に特異的である検出手段(例えばプライマー、プローブ、抗体、タンパク質の足場)により通常働く。1以上の断片の有無の測定も含む遺伝子複製のレベルの検出(例えば核酸プローブまたはプライマー、例えば定量的PCR、多重連鎖反応依存性プローブ増幅(Multiplex ligation-dependent probe amplification)(MLPA)PCRによる)はまた、当業者の知識範囲内である。
本明細書で用いる「個体」は、本発明から利益を享受し得る任意の哺乳類、爬虫類または鳥類を意味する。好ましくは、個体は、実験動物(例えばマウス、ラットまたはウサギ)、家畜(例えばモルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、アヒル、ラクダ、ネコ、イヌ、海ガメ、陸ガメ、ヘビまたはトカゲを含む)、または霊長類(チンパンジー、コビトチンパンジー、ゴリラおよびヒトを含む)からなる群より選択される。「個体」はヒトであることが特に好ましい。
用語「疾患のある個体」、「病気の個体」、「疾患を患う個体」または「患者」は、区別なく用いられ、疾患または障害の予後、診断、特定または処置から利益を享受し得る任意の哺乳類、爬虫類または鳥類を意味する。好ましくは、「患者」は、実験動物(例えばマウスまたはラット)、家畜(例えばモルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、ラクダ、ネコ、イヌ、海ガメ、陸ガメ、ヘビまたはトカゲを含む)、または霊長類(チンパンジー、コビトチンパンジー、ゴリラおよびヒトを含む)からなる群より選択される。「患者」はヒトであることが特に好ましい。
本明細書で用いる用語「健常な個体」は、ある特定の疾患を患っていない任意の哺乳類、爬虫類または鳥類を意味する。しかしながら該健常な個体は、試験または知られていない別の疾患を患っているかもしれない。したがって本発明に関連して、健常な個体は心臓障害を有していないが、異なる疾患、例えば風邪をまだ患っているかもしれない。
用語「疾患」および「障害」は、本明細書で区別なく用いられ、異常な状態、特に異常な病状、例えば病気および傷害を意味し、ここで組織、器官または個体は、これ以上その機能を効率的に果たすことができない。典型的には、しかし必ずではなく、疾患は、該疾患の存在を示す特定の症状または兆候に関連している。従って該症状または兆候の存在は、疾患を患う組織、器官または個体に示し得る。これらの症状または兆候の変化は、該疾患の進行を示し得る。疾患の進行は、典型的には、疾患の「悪化」または「改善」を示し得る該症状または兆候の増大または減少により特徴付けられる。疾患の「悪化」は、組織、器官または個体がその機能を効率的に果たす能力の減少により特徴付けられ、一方疾患の「改善」は、典型的には、組織、器官または個体がその機能を効率的に果たす能力の増大により特徴付けられる。疾患を「発症する危険性」がある組織、器官または個体は、健常であるが、疾患が現れる可能性を示す。典型的には、疾患を発症する危険性は、該疾患の初期もしくは弱い兆候または症状に関連する。そのような場合、疾患の発現は、処置により予防され得る。疾患の例としては、外傷疾患、炎症性疾患、感染症、心臓障害、皮膚病態、内分泌疾患、消化管疾患、神経障害、関節疾患、遺伝障害、自己免疫疾患、および様々なタイプの癌が挙げられるが、これらに限定されない。心臓障害の例としては、虚血後収縮機能不全、うっ血性心不全、心原性ショック、敗血症性ショック、心筋梗塞、原発性または続発性の心筋症、心臓弁の機能不全、および心室障害が挙げられるが、これらに限定されない。原発性心筋症としては、遺伝性心筋症および自然突然変異により生じる心筋症が挙げられる。続発性心筋症としては、動脈硬化症により生じる虚血性心筋症、心筋の感染症または中毒症により生じる拡張型心筋症、肺動脈性および/または動脈性高血圧症により生じる高血圧性心臓疾患、および心臓弁の疾患が挙げられる。
疾患の「症状」は、該疾患を有する組織、器官または個体によって容易に気付く疾患の意味であり、組織、器官または個体の痛み、衰弱、圧痛、負荷、硬直および痙攣が挙げられるが、これらに限定されない。疾患の「兆候」または「シグナル」としては、バイオマーカーもしくは分子マーカーなどの特定の指標の存在、非存在、増加もしくは上昇または減少もしくは低下などの変化または変動、または症状の発症、常在または悪化が挙げられるが、これらに限定されない。
障害は、後天性または先天性であり得る。本明細書において、用語「後天性(acquired)」は、病状、すなわち障害が胎児期後に(post-fetally)発症したことを意味する。本発明に関する該後天性障害は、心筋梗塞であり得る。先天性障害は、遺伝的異常、形態形成のエラーまたは染色体異常の結果であり得る、発症している胎児への欠陥を含む。遺伝的な疾患または障害は、人生の後半まで発現または認識されないことがあるが、すべて先天性である。本発明に関する先天性障害は、例えば、ネマリンミオパシー、ミオチューブ様ミオパシーまたは中心核ミオパシーである。さらに本発明に関連して、心臓障害は、急性または慢性であり得る。例えば、急性心臓障害は、急性心不全であり、急性骨格筋障害は横紋筋融解である。慢性心筋疾患は、例えば慢性心不全である。心臓障害は、筋細胞、好ましくは心筋細胞中における、カルシウム循環不全および/または収縮能力不全に関与し得る筋肉の機能不全のためであり得る。筋細胞中におけるカルシウム循環不全は、筋小胞体中のカルシウム含量の減少、興奮収縮連関時の筋小胞体からのカルシウム放出の減少、筋小胞体からのカルシウムの漏出(例えば漏れやすいRyR筋小胞体カルシウム放出チャネルによる)、カルシウムスパーク頻度の増加、または収縮後における筋小胞体および/またはミトコンドリアへのカルシウムの再取込の低下または減速(例えば機能不全を有するかまたは機能を有しない筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA)による)の結果であり得る。この理論に拘束されるものではないが、カルシウム循環不全は、筋細胞の収縮能力不全、例えば収縮機能不全についての主要な理由の1つであると考えられる。したがって、カルシウム循環を高めるかまたは回復させることはまた、収縮能力を高めるおよび/または回復させると考えられる。ほとんどすべての心臓障害/疾患は、それぞれの筋細胞の収縮機能不全の結果である。例えば、心不整脈において、心筋収縮が正確に時間調節されない。これは致死的な結果をもたらし得る。
本明細書で用いる、疾患または障害を「処置する」、「処置すること」または「処置」は、以下の1以上を達成することを意味する:(a)障害の重症度を低下させること;(b)処置される障害の症状特性の発症を制限または予防すること;(c)処置される障害の症状特性の悪化を抑制すること;(d)以前障害を有していた個体において、障害の再発を制限または予防すること;および(e)以前障害に徴候的であった個体において、症状の再発を制限または予防すること。
本明細書で用いる、疾患または障害を「予防する」、「予防すること」、「防止」または「予防」は、該疾患または障害が患者に生じることを予防することを意味する。
本発明に関連して用語「高めること」は、特定の機能が、機能が正常であるか不全であるどうか、すなわち筋細胞が健常であるか疾患であるかどうかと無関係に改善されることを意味する。好ましくは、「高めること」は、特定の機能を、コントロール条件(control setting)と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高めることを意味する。用語「心臓パワーを高めること」は、心臓機能を、例えば心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを増加させることにより、高めることを特に意味する。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
本明細書で用いる「投与すること」は、インビボにおける投与、およびイクスビボで組織、例えば静脈移植片へ直接投与を含む。
「有効量」または「治療上有効な量」は、所期の目的を達成するのに十分な治療薬の量である。所与の治療薬の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療薬を受け入れる動物のサイズおよび種、および投与の目的などの因子で変化する。個々の場合での有効量は、当該技術分野で確立された方法に従い、当業者により経験に基づいて決定され得る。
ここで「治療濃度域」は、安全な範囲内にある間に特定の疾患を効果的に処置するのに適した薬物用量の範囲、すなわち治療効果を提供する量(有効な用量)と所望の効果より副作用を生じる量の間である薬剤の用量を意味する。好ましくは、治療濃度域は、本質的にもしくは条件付きで発現レベルを例えばS100A1 cDNAのベクターに基づく心臓送達により操作する手段、または心臓のS100A1発現を可変的に制御または調節する任意の他の化学的、薬学的または物理的手段と無関係に、作用を高める生物学的または治療的に関連する性能を生じる、操作された心筋のS100A1タンパク質レベルの範囲を意味する。
薬剤に関して用語「変力作用」は、を該薬剤が筋肉の種類に関係なく筋収縮力に影響を及ぼすこと意味する。「陽性変力作用」は筋収縮力の増加を意味し、一方「陰性変力作用」は筋収縮力の減少を意味する。本発明の陽性変力性の断片または変種は、陽性変力作用を、好ましくはインビトロおよびインビボにおいて示す。薬剤の、例えば本発明の断片または変種の変力作用を、例えば試験される薬剤/ペプチドを有するおよび有しない、刺激された筋細胞におけるカルシウム濃度変化を測定することにより、インビトロにおいて容易に測定できる。例えば、カルシウム濃度変化は、蛍光電子顕微鏡を用いるFURA2-AMフィールド刺激された心筋細胞において評価され得る(Most et al., 2004, J. Clin. Invest. 114: 1550-1563, page 1561)。任意の蛍光カルシウム指示薬、例えば多くの蛍光カルシウム指示薬ファミリーまたはRhod-2AMが、FURA-2AMに代えて用いられ得る。根本的な原理は同じままである。別法として、パッチクランプされた単離心筋細胞におけるカルシウム濃度変化測定(Kettlewell/Most et al., 2005, J. Mol. Cell. Cardiol., 200: 900-910, page 901)もまた用いられてもよい。断片または変種の陽性変力性の作用はまた、インビボにおいて、例えば、ペプチドを投与されたまたは投与されていない、麻酔をかけられたマウスにおける左心室カテーテル法によって収縮能力を測定することにより、試験されることができる。通常、この実験において、収縮性は最大左心室圧上昇の一次導関数(+dp/dt最大値)として記載される(Most et al., 2004, J. Clin. Invest. 114: 1550-1563;Most et al., 2006, Circulation 114;1258-1268)。別法として、心エコー検査が用いられ得る(Most et al., 2006, Circulation 114;1258-1268)。
用語「医薬品」、「医薬」および「薬物」は、本明細書において区別なく用いられ、組織の状態もしくは疾患の同定、防止もしくは処置のために用いられる、物質および/または物質の組合せを意味する。
「医薬的に許容される」は、連邦政府もしくは州政府の規制機関により承認されている、または米国薬局方もしくは動物、より具体的にはヒトにおける使用のための他の一般に認められている薬局方に列記されていることを意味する。用語「医薬的に許容される塩」は、本発明のタンパク質またはペプチドの塩を意味する。適切な医薬的に許容される塩としては酸付加塩が挙げられ、該塩は、例えば、本発明のペプチドの溶液を、医薬的に許容される酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸の溶液と混合することにより形成され得る。さらに、ペプチドが酸性部分を伴う場合、適切なその医薬的に許容される塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウムの塩);アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウムの塩);および適切な有機配位子と形成される塩(例えば、カウンターアニオン、例えばハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、アルキルスルフェートおよびアリールスルフェート、を用いて形成される、アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンのカチオン)が挙げられる。医薬的に許容される塩の実例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ジヒドロクロリド、ラウリル硫酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycolylarsanilate)、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない(例えばS. M. Berge et al., "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci., 66, pp. 1-19 (1977)参照)。
用語「活性成分」は、生物学的に活性である、すなわち医薬価値を提供する、医薬組成物または製剤中の物質を意味する。医薬組成物は、互いに関連または独立して作用し得る1以上の活性成分を含み得る。活性成分は、中性または塩形態として製剤化され得る。医薬的に許容される塩としては、遊離アミノ基と形成されるもの、例えば塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもの、および遊離カルボキシル基と形成されるもの、例えば制限されないがナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものが挙げられる。
用語「製剤」および「組成物」は、活性成分が他の担体を伴わずまたは伴って、担体により囲まれた封入体を提供する担体として、すなわち活性化合物と関連している、封入材料を伴う、活性化合物の製剤を含むことを意図する。
本明細書で用いる用語「担体」は、薬理学的に不活性な物質を意味し、例えば治療上活性な成分と投与される、希釈剤、賦形剤またはビヒクルが挙げられるが、これらに制限されない。該医薬担体は液体または固体であり得る。液体の担体としては、無菌の液体、例えば水および油(石油、動物、植物または合成由来のもの、例えばピーナツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など、を含む)中の食塩溶液が挙げられるが、これらに限定されない。食塩溶液ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液はまた、液体担体として、特に注射溶液のために、用いられ得る。医薬組成物が静脈内投与されるとき、食塩溶液は好ましい担体である。適切な医薬担体の例は、E. W. MartinのRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されいている。
適切な医薬「賦形剤」としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。
用語「アジュバント」は、細胞または体液のレベルのいずれかにおける組成物の活性成分への免疫応答を増大させる、刺激する、活性化する、強めるかまたは調節する薬剤を意味し、例えば免疫アジュバントは、実際の抗原への免疫系の応答を刺激するが、それ自体の免疫学的作用は有さない。そのようなアジュバントの例としては、無機アジュバント(例えば無機金属塩、例えばリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)、有機アジュバント(例えばサポニンまたはスクアレン)、油性アジュバント(例えばフロインド完全アジュバントおよびフロインド不完全アジュバント)、サイトカイン(例えばIL-1β、IL-2、IL-7、IL-12、IL-18、GM-CFSおよびINF-γ)、粒状アジュバント(例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、リポソームまたは生分解性マイクロスクフェア)、ビロソーム、細菌アジュバント(例えばモノホスホリルリピッドAまたはムラミルペプチド)、合成アジュバント(例えば非イオン性ブロック共重合体、ムラミルペプチド類似体または合成リピッドA)、または合成ポリヌクレオチドアジュバント(例えばポリアルギニンまたはポリリシン)が挙げられるが、これらに限定されない。
(実施態様)
第1態様において、本発明は、心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体において心臓パワーを高めることにより心臓疾患を処置するのに用いるためのS100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸であって、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を治療濃度域内にするため増加させる該タンパク質または核酸に関する。したがって、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、生物学的または治療的に関連している作用を高める能力を生じる、操作された心筋のS100タンパク質レベルの範囲内にするため増加させる。
好ましくは、心臓パワーを、筋機能、収縮能力および/または心筋細胞のカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
好ましい実施態様において、心臓パワーを、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸により高め、該タンパク質または核酸は、好ましくは心不全を患う個体における、抗不整脈能、抗アポトーシス能、カルシウムスパーク頻度を減少させる能力、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力、および血行動態機能を回復させる能力からなるリストより選択される1以上の機能を示す。
好ましくは、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、心筋細胞における抗不整脈能を示し、それ故に好ましくは、心筋細胞および心臓組織を不整脈から、好ましくはカテコールアミン誘発性不整脈から、好ましくは頻繁に突然死の原因である心室性不整脈から保護できる。好ましくは、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、個体を致死性心室性頻脈性不整脈から、好ましくはβ-アドレナリン受容体(βAR)誘発の致死性心室性頻脈性不整脈から、好ましくはカテコールアミン誘発の致死性心室性頻脈性不整脈から保護する能力を示す。
更なる好ましい実施態様において、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、心筋細胞におけるカルシウムスパーク頻度を減少させる能力を有する。好ましくは、心筋細胞におけるカルシウムスパーク頻度を、該ペプチドと接触しないコントロールの心筋細胞と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも40%減少させる。
更なる実施態様において、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、心筋細胞をアポトーシス性細胞死から、好ましくはカルシウム誘発性アポトーシス性細胞死から、好ましくは筋小胞体のカルシウム漏出誘発性アポトーシス性細胞死から保護する。したがって、好ましくは、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、抗アポトーシス能を示す。好ましくは、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、不全心筋におけるアポトーシス性細胞死をインビボにおいて予防する、すなわち不全心筋における心筋細胞をアポトーシス性細胞死からインビボにおいて保護する。好ましくは、アポトーシス性細胞死の程度を、本発明によるペプチドで試験される細胞において、コントロール群と比較して、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%減少させる。
別の一の好ましい実施態様において、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力を、好ましくは静止筋細胞、例えば骨格筋細胞および心筋細胞において有する。特に好ましい実施態様において、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、上記のとおり、抗不整脈能を示し、カルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる。
別の一の好ましい実施態様において、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、血行動態機能をインビボにおいて回復する能力を示す。好ましくは、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、血行動態機能を、心不全を患う、例えば心筋梗塞中にあるかまたはその後の個体において回復する。好ましくは、本発明のペプチドは、抗不整脈能および血行動態機能をインビボにおいて回復する能力を示す。
特に好ましい実施態様において、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸は、1以上、例えば1、2、3、4または5個の、好ましくは上記のすべての機能、すなわち、好ましくは心不全を患う個体における、抗不整脈能、抗アポトーシス能、カルシウムスパーク頻度を減少させる能力、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力、および血行動態機能を回復させる能力を示す。
好ましい実施態様において、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を健常な個体における濃度の50倍を超えない程度に増加させる。したがって、好ましくは、心筋内のS100タンパク質の濃度を、健常な個体における濃度の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍または50倍に増加させる。好ましくは、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、健常な個体における濃度の20倍、より好ましくは8倍、最も好ましくは4倍を超えない程度に増加させる。第1態様の好ましい実施態様において、請求項1によるS100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸であって、個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、2〜50倍、好ましくは2〜20倍、より好ましくは4〜8倍、より好ましくは4倍増加させる。
好ましくは、心筋内のS100タンパク質の濃度を、健常な個体における濃度の55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、150倍、200倍、300倍、400倍または500倍未満に増加させる。
第1態様の実施態様において、S100タンパク質は、好ましくはS100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。S100A1が特に好ましい。
本発明の第1態様の実施態様において、S100タンパク質は、陽性変力作用を示す天然S100タンパク質の断片または変種、すなわち筋収縮力を増加する天然S100タンパク質の断片または変種である。本発明の好ましい実施態様において、該断片または変種は、好ましくは心筋細胞における収縮能力および/またはカルシウム循環を高める能力を示す陽性変力性のペプチドである。
好ましい実施態様において、心臓パワーは、上記で詳細に記載されている1以上の機能を示す該断片または変種により高められ、ここで該機能は、好ましくは心不全を患う個体における、抗不整脈能、抗アポトーシス能、カルシウムスパーク頻度を減少させる能力、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力、および血行動態機能を回復させる能力からなるリストより選択される。特に好ましい実施態様において、断片または変種は、1以上、例えば1、2、3、4または5個の、好ましくは上記のすべての機能、すなわち、好ましくは心不全を患う個体における、抗不整脈能、抗アポトーシス能、カルシウムスパーク頻度を減少させる能力、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力、および血行動態機能を回復させる能力を示す。
本発明の好ましい実施態様において、該断片または変種は、親水性ドメインおよび/または1以上の膜透過性向上ドメイン、ならびにS100A1タンパク質由来ドメインを含むかまたはそれらからなる陽性変力性のペプチドであり、ここで該S100A1タンパク質由来ドメインは、変力性モチーフ:Φ1-Φ2-Φ3-Φ4-X5-Ψ6-L7-[T/A]8-Ψ9-Ψ10の4〜9個の連続するアミノ酸からなり、少なくともコアモチーフΦ4-X5-Ψ6-L7を含み、式中、ΦおよびΨは各々の場合において独立して選択される疎水性の非芳香族アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、ここで該ペプチドは、最大100アミノ酸全長を有し、ペプチドが陽性変力作用を示し、好ましくは最大10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95アミノ酸である。
好ましい実施態様において、変力性ペプチドは、10〜80アミノ酸、より好ましくは10〜70アミノ酸、より好ましくは10〜60アミノ酸、より好ましくは10〜50アミノ酸、さらにより好ましくは10〜40アミノ酸、さらにより好ましくは10〜30アミノ酸の長さを有し、最も好ましくは、ペプチドは10〜15アミノ酸の長さを有する。好ましい実施態様において、ペプチドは13、14または15アミノ酸長である。好ましくは、上記のS100A1タンパク質由来ドメインを除いたペプチドは、S100カルシウム結合タンパク質A1のカルボキシ末端アミノ酸から、好ましくは、S100カルシウム結合タンパク質A1、S100カルシウム結合タンパク質Z、S100カルシウム結合タンパク質T、S100カルシウム結合タンパク質SおよびS100タンパク質α鎖からなる群より選択されるS100カルシウム結合タンパク質から大きく異なり、最も好ましくは、任意のS100カルシウム結合タンパク質のカルボキシ末端から大きく異なる。より好ましくは、S100A1タンパク質由来ドメインを除いたペプチドは、S100カルシウム結合タンパク質A1のアミノ酸配列から、好ましくは、S100カルシウム結合タンパク質A1、S100カルシウム結合タンパク質Z、S100カルシウム結合タンパク質T、S100カルシウム結合タンパク質SおよびS100タンパク質α鎖からなる群より選択されるS100カルシウム結合タンパク質から大きく異なり、最も好ましくは、任意のS100カルシウム結合タンパク質のアミノ酸配列から大きく異なる。好ましくは、アミノ酸配列は、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%異なり、最も好ましくは100%異なる。配列の差異は、ポリペプチド配列をアラインすることにより評価され得る。
好ましい実施態様において、ペプチドは、1以上のエピトープタグおよびペプチド標的化ドメインからなる群より選択される1以上の構成要素をさらに含む。ペプチドが、膜透過性向上ドメインをすでに含む場合親水性ドメインをさらに含むか、あるいは親水性ドメインをすでに含む場合膜透過性向上ドメインをさらに含むこともまた好ましい。さらにこれらの構成要素を、ペプチドの他の構成要素のN-またはC-末端に、好ましくは親水性ドメインまたは1以上の膜透過性向上ドメインのN-末端に、直接または間接的に結合し得る。
本発明の更なる実施態様において、該断片または変種は、S100A1タンパク質由来ドメインを含むかまたはそれからなる陽性変力性のペプチドであり、ここで該S100A1タンパク質由来ドメインは、変力性モチーフ:Φ1-Φ2-Φ3-Φ4-X5-Ψ6-L7-[T/A]8-Ψ9-Ψ10の7〜9個の連続するアミノ酸からなり、少なくともコアモチーフΦ4-X5-Ψ6-L7を含み、式中、9個の連続するアミノ酸からなる該S100Aタンパク質由来ドメインのN-末端アミノ酸がΦ1である場合、ΦおよびΨは各々の場合において独立して選択される疎水性の非芳香族アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、ここで該ペプチドは、最大100、好ましくは最大7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95アミノ酸全長を有する。陽性変力性のペプチドは、好ましくは陽性変力作用を示す。さらに、S100A1タンパク質由来ドメインが9個の連続するアミノ酸からなる実施態様において、アミノ酸は:Φ1-Φ2-Φ3-Φ4-X5-Ψ6-L7-[T/A]8-Ψ9である。更なる好ましい実施態様において、7または8個の連続するアミノ酸からなる該S100Aタンパク質由来ドメインのN-末端アミノ酸は、Φ1であり;すなわちS100A1タンパク質由来ドメインは、Φ1-Φ2-Φ3-Φ4-X5-Ψ6-L7-[T/A]8またはΦ1-Φ2-Φ3-Φ4-X5-Ψ6-L7からなる。したがって、条件は、7〜9個の連続するアミノ酸からなるS100A1タンパク質由来ドメインに適用することが好ましい。好ましい実施態様において、ペプチドは、7〜80アミノ酸、より好ましくは7〜70アミノ酸、より好ましくは7〜60アミノ酸、より好ましくは7〜50アミノ酸、さらにより好ましくは7〜40アミノ酸、さらにより好ましくは7〜30アミノ酸の長さを有し、最も好ましくは、ペプチドは7〜15アミノ酸の長さを有する。好ましい実施態様において、ペプチドは、7〜9個または7、8もしくは9アミノ酸長である。好ましくは、上記のS100A1タンパク質由来ドメインを除いたペプチドは、S100カルシウム結合タンパク質A1のカルボキシ末端アミノ酸から、好ましくは、S100カルシウム結合タンパク質A1、S100カルシウム結合タンパク質Z、S100カルシウム結合タンパク質T、S100カルシウム結合タンパク質SおよびS100タンパク質α鎖からなる群より選択されるS100カルシウム結合タンパク質から大きく異なり、最も好ましくは、任意のS100カルシウム結合タンパク質のカルボキシ末端から大きく異なる。より好ましくは、S100A1タンパク質由来ドメインを除いたペプチドは、S100カルシウム結合タンパク質A1のアミノ酸配列から、好ましくは、S100カルシウム結合タンパク質A1、S100カルシウム結合タンパク質Z、S100カルシウム結合タンパク質T、S100カルシウム結合タンパク質SおよびS100タンパク質α鎖からなる群より選択されるS100カルシウム結合タンパク質から大きく異なり、最も好ましくは、任意のS100カルシウム結合タンパク質のアミノ酸配列から大きく異なる。好ましくは、アミノ酸配列は、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%異なり、最も好ましくは100%異なる。配列の差異は、ポリペプチド配列をアラインすることにより評価され得る。
好ましい実施態様において、ペプチドは、親水性ドメイン、膜透過性向上ドメイン、1以上のエピトープタグおよびペプチド標的化ドメインからなる群より選択される1以上の構成要素、好ましくは親水性ドメイン、膜透過性向上ドメインまたは親水性ドメインおよび膜透過性向上ドメインをさらに含む。これらの構成要素を、S100A1タンパク質由来ドメインのN-またはC-末端に、直接または間接的に結合し得る。好ましくは、以下でより詳細に記載するN-末端である。
本発明の目的のために、本発明の陽性変力性のペプチド中に含まれる2個の構成要素は、1の構成要素のN-末端におけるアミノ酸と他の構成要素のC-末端におけるアミノ酸との間のペプチド結合がある場合、「直接結合」する。用語「間接結合」は、1以上の更なる構成要素、好ましくは1以上のアミノ酸が2個の構成要素のそれぞれN-とC-末端との間にあることを意味する。そのような1、2、3、4またはそれ以上のアミノ酸は、リンカーであることが好ましい。当該技術分野で用いられる用語リンカーは、柔軟性を与えるアミノ酸の伸長を意味する。当業者は多くのリンカーを知っており、該リンカーは本明細において用いられ得る。好ましくは、リンカーの長さは、本発明の陽性変力性のペプチドの全長を最小に保つため、1、2、3、4または5アミノ酸を越えない。
該親水性ドメインは、好ましくは、酸性、塩基性、および/または陰性もしくは陽性に荷電したアミノ酸を含む。特定の好ましい場合、親水性ドメインは、アミノ酸モチーフΛ4-Θ2(式中、Λは各々の場合において、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、リシンおよびアルギニンより独立して選択され、Θはαヘリックス遮断部位、好ましくはプロリンまたはグリシンである)を含むかまたはそれらからなる。好ましくは、親水性ドメインは、[D/E]-[D/E]-[D/E]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[D/E]-[D/E]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[K/R]-[D/E]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[D/E]-[K/R]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[D/E]-[D/E]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[K/R]-[D/E]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[D/E]-[K/R]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[D/E]-[D/E]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[K/R]-[K/R]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[K/R]-[D/E]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[D/E]-[K/R]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[K/R]-[K/R]-[D/E]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[K/R]-[D/E]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、[K/R]-[D/E]-[K/R]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、[D/E]-[K/R]-[K/R]-[K/R]-[P/G]-[P/G]、および[K/R]-[K/R]-[K/R]-[K/R]-[P/G]-[P/G]からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。好ましくは、親水性ドメインは、アミノ酸配列[D/E]-[K/R]-[D/E]-[D/E]-[P/G]-[P/G](配列番号:3)を含むかまたはそれらからなる。より好ましくは、親水性ドメインは、D-K-D-D-P-P(配列番号:17)、E-K-D-D-P-P(配列番号:48)、D-R-D-D-P-P(配列番号:49)、D-K-E-D-P-P(配列番号:50)、D-K-D-E-P-P(配列番号:51)、E-R-D-D-P-P(配列番号:52)、E-K-E-D-P-P(配列番号:53)、E-K-D-E-P-P(配列番号:54)、D-R-E-D-P-P(配列番号:55)、D-R-D-E-P-P(配列番号:56)、D-K-E-E-P-P(配列番号:57)、E-R-E-D-P-P(配列番号:58)、E-R-D-E-P-P(配列番号:59)、D-R-E-E-P-P(配列番号:60)、E-K-E-E-P-P(配列番号:61)、およびE-R-E-E-P-P(配列番号:62)(該配列中のP-PはG-Gと交換され得る)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。最も好ましくは、親水性ドメインは、アミノ酸配列D-K-D-D-P-P(配列番号:17)(該配列中P-PはまたG-Gであり得る)を含むかまたはそれらからなる。好ましくは、親水性ドメインは、本発明によるペプチド内において、筋機能増強アミノ酸配列に対してアミノ末端に位置するが、筋機能増強アミノ酸配列に対してカルボキシ末端に位置してもよい。特に好ましい実施態様において、該親水性ドメインのC-末端は、該変力性ドメインのN-末端と直接または間接結合し、好ましくは、該N-末端と結合するアミノ酸は、疎水性の非芳香族アミノ酸でない。
該膜透過性向上ドメインは、上記の膜を貫通できる任意のアミノ酸配列、例えば細胞透過性ペプチド(CCP)であり得る。該膜透過性向上ドメインが該高分子と結合するとき、該ドメインは、通常細胞膜を通り抜ける能力を有しない他の高分子、例えばペプチド、タンパク質または核酸が完全なままの細胞膜を透過することを可能にし得る。該膜透過性向上ドメインは、タンパク質の形質導入ドメインに由来してもよく、両親媒性ペプチドであってもよく、あるいは任意の他の透過性ペプチドであってもよい。例えば、膜透過性向上ドメインは、HIV Tatペプチド、例えばG-R-K-K-R-R-Q-R-R-R(配列番号:63)、ペネトラチンペプチド、例えばR-Q-I-K-I-W-F-Q-N-R-R-M-K-W-K-K(配列番号:64)もしくはK-K-W-K-M-R-R-N-Q-F-W-V-K-V-Q-R-G(配列番号:65)、トランスポータンペプチド、例えばG-W-T-L-N-S-A-G-Y-L-L-G-K-I-N-L-K-A-L-A-A-L-A-K-K-I-L(配列番号:66)、MPG/Pepファミリーメンバーのペプチド、例えばG-A-L-F-L-G-F-L-G-A-A-G-S-T-M-G-A-W-S-QP-K-K-K-R-K-V(配列番号:67)もしくはK-E-T-W-W-E-T-W-W-T-E-W-S-Q-P-K-K-K-R-K-V(配列番号:68)、またはアルギニンリッチペプチドなど(Deshayes et al., 2005, Cell. Mol. Life Sci. 62:1839-1849)に由来し得る。該膜透過性向上ドメインは、本発明によるペプチド内において、筋機能増強アミノ酸配列に対してアミノ末端またはカルボキシ末端に位置し得る。さらに、本発明によるペプチドは、1以上の膜透過性向上ドメインを含み得て、例えば本発明によるペプチドは、2、3、4または5個の該ドメインを含み得る。
一実施態様において、ペプチドはエピトープタグおよび/またはペプチド標的化ドメインをさらに含む。別の一実施態様において、ペプチドは、親水性ドメイン、膜透過性向上ドメイン、1以上のエピトープタグおよびペプチド標的化ドメインからなる群より選択される1以上、例えば1、2、3または4個の構成要素をさらに含む。
エピトープは、抗体が結合する分子の一部である。本発明に関連して、エピトープは好ましくはペプチドタグ、例えばヘマグルチニン-(HA-)、FLAG-、myc-またはポリHisタグである。該エピトープタグは、例えばペプチドが細胞膜を透過する、すなわち通り抜けるかを決定するため、細胞内に本発明のペプチドを位置するために用いられ得て、そして該ペプチドと培養した完全なままの細胞内で見付けることができる。
本発明に関連してペプチド標的化ドメインは、ペプチドをインビボにおいて特定の器官または特定の細胞に対して標的化するのに適した任意の部分であり得る。例えば、ペプチド標的化ドメインは、ある特定の細胞またはある特定の器官に対して特異的な特定の受容体と特異的に結合するペプチドであり得る。好ましくは、本発明によるペプチド内にペプチド標的化ドメインが存在することにより、該ペプチドが全身投与された患者において細胞または器官の特異的な標的化が可能になる。
好ましい実施態様において、ペプチドのコアモチーフは、[V/I/M]-[A/G/S]-[A/V]-L(配列番号:1)である。好ましくは、該コアモチーフは、アミノ酸配列V-G-A-L(配列番号:4)、I-A-A-L(配列番号:5)、V-S-V-L(配列番号:6)、M-G-A-L(配列番号:7)、V-A-A-L(配列番号:8)からなる群より選択され、好ましくはV-A-A-L(配列番号:8)である。
別の一の好ましい実施態様において、ペプチドの変力性モチーフは、[V/I]-[V/I]-[L/M]-[V/I/M]-[A/G/S]-[A/V]-L-[T/A]-[V/A/I]-[A/M/V](配列番号:2)である。好ましくは、該変力性モチーフは、アミノ酸配列V-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)、V-I-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:10)、V-V-M-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:11)、I-I-L-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:12)、V-V-L-I-A-A-L-A-A-A(配列番号:13)、V-I-L-V-S-V-L-T-V-A(配列番号:14)、I-I-L-M-G-A-L-T-V-A(配列番号:15)、およびV-V-M-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:16)からなる群より選択される。最も好ましくは、該変力性モチーフは、V-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)である。
ペプチドの変力性モチーフのΨは、各々の場合において、好ましくはアラニン、メチオニン、イソロイシン、ロイシンおよびバリン、好ましくはアラニン、メチオニン、イソロイシンおよびバリンからなる群より独立して選択される。第1または第2態様のペプチドの変力性モチーフのΦは、各々の場合において、好ましくはアラニン、メチオニン、イソロイシン、ロイシンおよびバリン、好ましくはメチオニン、イソロイシン、ロイシンおよびバリンからなる群より独立して選択される。第1または第2態様のペプチドの特に好ましい実施態様において、Φは、各々の場合において、メチオニン、イソロイシン、ロイシンおよびバリンより独立して選択され、そしてΨは、各々の場合において、アラニン、メチオニン、イソロイシンおよびバリンより独立して選択される。
別の一の好ましい実施態様において、Xは小さなアミノ酸であり、ここで小さなアミノ酸はプロリンでないことが好ましい。好ましくは、Xは、グリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニンおよびバリンからなるアミノ酸の群より選択され、より好ましくは、Xは、グリシン、アラニンおよびセリンからなる群より選択される。第1または第2態様のペプチドの特に好ましい実施態様において、Φは、各々の場合において、メチオニン、イソロイシン、ロイシンおよびバリンより独立して選択され、Ψは、各々の場合において、アラニン、メチオニン、イソロイシンおよびバリンより独立して選択され、そしてXは、グリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニンおよびバリン、好ましくはグリシン、アラニンおよびセリンより選択される。
好ましい実施態様において、ペプチドの変力性モチーフは、V-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)、V-I-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:10)、V-V-M-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:11)、I-I-L-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:12)、V-I-L-V-S-V-L-T-V-A(配列番号:14)、V-V-M-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:16)、V-V-L-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:69)、V-V-L-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:70)、V-V-L-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:71)、V-V-L-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:72)、V-V-L-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:73)、V-V-L-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:74)、V-V-L-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:75)、V-V-L-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:76)、V-V-L-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:77)、V-V-L-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:78)、I-I-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:79)、I-V-M-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:80)、I-V-L-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:81)、I-V-L-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:82)、I-V-L-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:83)、I-V-L-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:84)、I-V-L-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:85)、I-V-L-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:86)、I-V-L-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:87)、I-V-L-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:88)、I-V-L-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:89)、I-V-L-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:90)、V-I-M-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:91)、V-I-L-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:92)、V-I-L-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:93)、V-I-L-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:94)、V-I-L-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:95)、V-I-L-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:96)、V-I-L-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:97)、V-I-L-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:98)、V-I-L-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:99)、V-I-L-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:100)、V-I-L-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:101),V-V-M-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:102)、V-V-M-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:103)、V-V-M-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:104)、V-V-M-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:105)、V-V-M-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:106)、V-V-M-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:107)、V-V-M-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:108)、V-V-M-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:109)、V-V-M-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:110)、V-V-L-I-G-A-L-T-V-A(配列番号:111)、V-V-L-I-S-A-L-T-V-A(配列番号:112)、V-V-L-I-A-V-L-T-V-A(配列番号:113)、V-V-L-I-A-A-L-A-V-A(配列番号:114)、V-V-L-I-A-A-L-T-A-A(配列番号:115)、V-V-L-I-A-A-L-T-I-A(配列番号:116)、V-V-L-I-A-A-L-T-V-M(配列番号:117)、V-V-L-I-A-A-L-T-V-V(配列番号:118)、V-V-L-M-G-A-L-T-V-A(配列番号:119)、V-V-L-M-S-A-L-T-V-A(配列番号:120)、V-V-L-M-A-V-L-T-V-A(配列番号:121)、V-V-L-M-A-A-L-A-V-A(配列番号:122)、V-V-L-M-A-A-L-T-A-A(配列番号:123)、V-V-L-M-A-A-L-T-I-A(配列番号:124)、V-V-L-M-A-A-L-T-V-M(配列番号:125)、V-V-L-M-A-A-L-T-V-V(配列番号:126)、V-V-L-V-G-V-L-T-V-A(配列番号:127)、V-V-L-V-G-A-L-A-V-A(配列番号:128)、V-V-L-V-G-A-L-T-A-A(配列番号:129)、V-V-L-V-G-A-L-T-I-A(配列番号:130)、V-V-L-V-G-A-L-T-V-M(配列番号:131)、V-V-L-V-G-A-L-T-V-V(配列番号:132)、V-V-L-V-S-V-L-T-V-A(配列番号:133)、V-V-L-V-S-A-L-A-V-A(配列番号:134)、V-V-L-V-S-A-L-T-A-A(配列番号:135)、V-V-L-V-S-A-L-T-I-A(配列番号:136)、V-V-L-V-S-A-L-T-V-M(配列番号:137)、V-V-L-V-S-A-L-T-V-V(配列番号:138)、V-V-L-V-A-V-L-A-V-A(配列番号:139)、V-V-L-V-A-V-L-T-A-A(配列番号:140)、V-V-L-V-A-V-L-T-I-A(配列番号:141)、V-V-L-V-A-V-L-T-V-M(配列番号:142)、V-V-L-V-A-V-L-T-V-V(配列番号:143)、V-V-L-V-A-A-L-A-A-A(配列番号:144)、V-V-L-V-A-A-L-A-I-A(配列番号:145)、V-V-L-V-A-A-L-A-V-M(配列番号:146)、V-V-L-V-A-A-L-A-V-V(配列番号:147)、V-V-L-V-A-A-L-T-A-M(配列番号:148)、V-V-L-V-A-A-L-T-A-V(配列番号:149)、V-V-L-V-A-A-L-T-I-M(配列番号:150)、V-V-L-V-A-A-L-T-I-V(配列番号:151)、I-I-M-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:152)、I-I-L-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:153)、I-I-L-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:154)、I-I-L-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:155)、I-I-L-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:156)、I-I-L-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:157)、I-I-L-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:158)、I-I-L-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:159)、I-I-L-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:160)、I-I-L-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:161)、I-V-M-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:162)、I-V-M-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:163)、I-V-M-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:164)、I-V-M-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:165)、I-V-M-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:166)、I-V-M-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:167)、I-V-M-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:168)、I-V-M-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:169)、I-V-M-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:170)、I-V-M-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:171)、I-V-L-I-G-A-L-T-V-A(配列番号:172)、I-V-L-I-S-A-L-T-V-A(配列番号:173)、I-V-L-I-A-V-L-T-V-A(配列番号:174)、I-V-L-I-A-A-L-A-V-A(配列番号:175)、I-V-L-I-A-A-L-T-A-A(配列番号:176)、I-V-L-I-A-A-L-T-I-A(配列番号:177)、I-V-L-I-A-A-L-T-V-M(配列番号:178)、I-V-L-I-A-A-L-T-V-V(配列番号:179)、I-V-L-M-G-A-L-T-V-A(配列番号:180)、I-V-L-M-S-A-L-T-V-A(配列番号:181)、I-V-L-M-A-V-L-T-V-A(配列番号:182)、I-V-L-M-A-A-L-A-V-A(配列番号:183)、I-V-L-M-A-A-L-T-A-A(配列番号:184)、I-V-L-M-A-A-L-T-I-A(配列番号:185)、I-V-L-M-A-A-L-T-V-M(配列番号:186)、I-V-L-M-A-A-L-T-V-V(配列番号:187)、I-V-L-V-G-V-L-T-V-A(配列番号:188)、I-V-L-V-G-A-L-A-V-A(配列番号:189)、I-V-L-V-G-A-L-T-A-A(配列番号:190)、I-V-L-V-G-A-L-T-I-A(配列番号:191)、I-V-L-V-G-A-L-T-V-M(配列番号:192)、I-V-L-V-G-A-L-T-V-V(配列番号:193)、I-V-L-V-S-V-L-T-V-A(配列番号:194)、I-V-L-V-S-A-L-A-V-A(配列番号:195)、I-V-L-V-S-A-L-T-A-A(配列番号:196)、I-V-L-V-S-A-L-T-I-A(配列番号:197)、I-V-L-V-S-A-L-T-V-M(配列番号:198)、I-V-L-V-S-A-L-T-V-V(配列番号:199)、I-V-L-V-A-V-L-A-V-A(配列番号:200)、I-V-L-V-A-V-L-T-A-A(配列番号:201)、I-V-L-V-A-V-L-T-I-A(配列番号:202)、I-V-L-V-A-V-L-T-V-M(配列番号:203)、I-V-L-V-A-V-L-T-V-V(配列番号:204)、I-V-L-V-A-A-L-A-A-A(配列番号:205)、I-V-L-V-A-A-L-A-I-A(配列番号:206)、I-V-L-V-A-A-L-A-V-M(配列番号:207)、I-V-L-V-A-A-L-A-V-V(配列番号:208)、I-V-L-V-A-A-L-T-A-M(配列番号:209)、I-V-L-V-A-A-L-T-A-V(配列番号:210)、I-V-L-V-A-A-L-T-I-M(配列番号:211)、I-V-L-V-A-A-L-T-I-V(配列番号:212)、V-I-M-I-A-A-L-T-V-A(配列番号:213)、V-I-M-M-A-A-L-T-V-A(配列番号:214)、V-I-M-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:215)、V-I-M-V-S-A-L-T-V-A(配列番号:216)、V-I-M-V-A-V-L-T-V-A(配列番号:217)、V-I-M-V-A-A-L-A-V-A(配列番号:218)、V-I-M-V-A-A-L-T-A-A(配列番号:219)、V-I-M-V-A-A-L-T-I-A(配列番号:220)、V-I-M-V-A-A-L-T-V-M(配列番号:221)、V-I-M-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:222)、V-I-L-I-G-A-L-T-V-A(配列番号:223)、V-I-L-I-S-A-L-T-V-A(配列番号:224)、V-I-L-I-A-V-L-T-V-A(配列番号:225)、V-I-L-I-A-A-L-A-V-A(配列番号:226)、V-I-L-I-A-A-L-T-A-A(配列番号:227)、V-I-L-I-A-A-L-T-I-A(配列番号:228)、V-I-L-I-A-A-L-T-V-M(配列番号:229)、V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V-V-L-I-A-A-L-A-V-M(配列番号:322)、V-V-L-I-A-A-L-A-V-V(配列番号:323)、V-V-L-I-A-A-L-T-A-M(配列番号:324)、V-V-L-I-A-A-L-T-A-V(配列番号:325)、V-V-L-I-A-A-L-T-I-M(配列番号:326)、V-V-L-I-A-A-L-T-I-V(配列番号:327)、V-V-L-M-G-V-L-T-V-A(配列番号:328)、V-V-L-M-G-A-L-A-V-A(配列番号:329)、V-V-L-M-G-A-L-T-A-A(配列番号:330)、V-V-L-M-G-A-L-T-I-A(配列番号:331)、V-V-L-M-G-A-L-T-V-M(配列番号:332)、V-V-L-M-G-A-L-T-V-V(配列番号:333)、V-V-L-M-S-V-L-T-V-A(配列番号:334)、V-V-L-M-S-A-L-A-V-A(配列番号:335)、V-V-L-M-S-A-L-T-A-A(配列番号:336)、V-V-L-M-S-A-L-T-I-A(配列番号:337)、V-V-L-M-S-A-L-T-V-M(配列番号:338)、V-V-L-M-S-A-L-T-V-V(配列番号:339)、V-V-L-M-A-V-L-A-V-A(配列番号:340)、V-V-L-M-A-V-L-T-A-A(配列番号:341)、V-V-L-M-A-V-L-T-I-A(配列番号:342)、V-V-L-M-A-V-L-T-V-M(配列番号:343)、V-V-L-M-A-V-L-T-V-V(配列番号:344)、V-V-L-M-A-A-L-A-A-A(配列番号:345)、V-V-L-M-A-A-L-A-I-A(配列番号:346)、V-V-L-M-A-A-L-A-V-M(配列番号:347)、V-V-L-M-A-A-L-A-V-V(配列番号:348)、V-V-L-V-G-V-L-A-V-A(配列番号:349)、V-V-L-V-G-V-L-T-A-A(配列番号:350)、V-V-L-V-G-V-L-T-I-A(配列番号:351)、V-V-L-V-G-V-L-T-V-M(配列番号:352)、V-V-L-V-G-V-L-T-V-V(配列番号:353)、V-V-L-V-G-A-L-A-A-A(配列番号:354)、V-V-L-V-G-A-L-A-I-A(配列番号:355)、V-V-L-V-G-A-L-A-V-M(配列番号:356)、V-V-L-V-G-A-L-A-V-V(配列番号:357)、V-V-L-V-G-A-L-T-A-M(配列番号:358)、V-V-L-V-G-A-L-T-A-V(配列番号:359)、V-V-L-V-G-A-L-T-I-M(配列番号:360)、V-V-L-V-G-A-L-T-I-V(配列番号:361)、V-V-L-V-S-V-L-A-V-A(配列番号:362)、V-V-L-V-S-V-L-T-A-A(配列番号:363)、V-V-L-V-S-V-L-T-I-A(配列番号:364)、V-V-L-V-S-V-L-T-V-M(配列番号:365)、V-V-L-V-S-V-L-T-V-V(配列番号:366)、V-V-L-V-S-A-L-A-A-A(配列番号:367)、V-V-L-V-S-A-L-A-I-A(配列番号:368)、V-V-L-V-S-A-L-A-V-M(配列番号:369)、V-V-L-V-S-A-L-A-V-A-V(配列番号:370)、V-V-L-V-S-A-L-T-A-M(配列番号:371)、V-V-L-V-S-A-L-T-A-V(配列番号:372)、V-V-L-V-S-A-L-T-I-M(配列番号:373)、V-V-L-V-S-A-L-T-I-V(配列番号:374)、V-V-L-V-A-V-L-A-A-A(配列番号:375)、V-V-L-V-A-V-L-A-I-A(配列番号:376)、V-V-L-V-A-V-L-A-V-M(配列番号:377)、V-V-L-V-A-V-L-A-V-V(配列番号:378)、V-V-L-V-A-V-L-T-A-M(配列番号:379)、V-V-L-V-A-V-L-T-A-V(配列番号:380)、V-V-L-V-A-V-L-T-I-M(配列番号:381)、V-V-L-V-A-V-L-T-I-V(配列番号:382)、V-V-L-V-A-A-L-A-A-M(配列番号:383)、V-V-L-V-A-A-L-A-A-V(配列番号:384)、V-V-L-V-A-A-L-A-I-M(配列番号:385)、V-V-L-V-A-A-L-A-I-V(配列番号:386)、V-V-L-M-A-A-L-T-A-M(配列番号:390)、V-V-L-M-A-A-L-T-A-V(配列番号:391)、V-V-L-M-A-A-L-T-I-M(配列番号:392)、V-V-L-M-A-A-L-T-I-V(配列番号:393)、およびI-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:394)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むまかたはそれらからなる。これらのアミノ酸配列は、本発明によるS100タンパク質の変種または断片に含まれる変力性モチーフの好ましい特定の実施態様である。
別の一の好ましい実施態様において、変力性モチーフは、アミノ酸配列V-[V/I]-L-[V/I]-[A/S]-[A/V]-L-[T/A]-[V/A]-A(配列番号:387)を含むかまたはそれらからなり、ここで好ましい配列は、V-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)であり、ここで、好ましくは最大4、より好ましくは最大3、さらにより好ましくは最大2、最も好ましくは最大1アミノ酸が、上記のとおり置き換えられる。したがって、特に好ましい実施態様において、変力性モチーフは、アミノ酸配列V-[V/I]-L-[V/I]-[A/S]-[A/V]-L-[T/A]-[V/A]-A(配列番号:387)からなり、ここで好ましい配列は、V-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)であり、ここで、好ましくは最大4、より好ましくは最大3、さらにより好ましくは最大2、最も好ましくは最大1アミノ酸が、上記のとおり別のアミノ酸で置き換えられる。
好ましい実施態様において、変力性モチーフは、アミノ酸配列V-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)、V-I-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:10)、V-V-M-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:11)、I-I-L-V-G-A-L-T-V-A(配列番号:12)、V-V-L-I-A-A-L-A-A-A(配列番号:13)、V-I-L-V-S-V-L-T-V-A(配列番号:14)、I-I-L-M-G-A-L-T-V-A(配列番号:15)、およびV-V-M-V-A-A-L-T-V-V(配列番号:16)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。これらのアミノ酸配列は、本発明によるペプチドに含まれる変力性モチーフの特に好ましい特定の実施態様である。
第1態様のペプチドのS100A1タンパク質由来ドメインは、好ましくはアミノ酸配列V-V-L-V-A-A-L-T-V(配列番号:18)、V-V-L-V-A-A-L-T(配列番号:19)、V-V-L-V-A-A-L(配列番号:20)、V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:21)、V-L-V-A-A-L-T-V(配列番号:22)、V-L-V-A-A-L-T(配列番号:23)、V-L-V-A-A-L(配列番号:24)、L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:25)、L-V-A-A-L-T-V(配列番号:26)、L-V-A-A-L-T(配列番号:27)、L-V-A-A-L(配列番号:28)、V-A-A-L-T-V-A(配列番号:29)、V-A-A-L-T-V(配列番号:30)、V-A-A-L-T(配列番号:31)、およびV-A-A-L(配列番号:8)からなる群より選択される。
最も好ましい実施態様において、ペプチドは、アミノ酸配列D-K-D-D-P-P-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:32)、D-K-D-D-P-P-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:33)、D-K-D-D-P-P-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:34)、D-K-D-D-P-P-V-V-L-V-A-A-L-T-V(配列番号:35)、D-K-D-D-P-P-V-V-L-V-A-A-L-T(配列番号:36)、およびD-K-D-D-P-P-V-V-L-V-A-A-L(配列番号:37)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。
別の一実施態様において、ペプチドのS100A1タンパク質由来ドメインは、アミノ酸配列V-V-L-V-A-A-L-T-V(配列番号:18)、V-V-L-V-A-A-L-T(配列番号:19)、およびV-V-L-V-A-A-L(配列番号:20)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。好ましくは、ペプチドは、アミノ酸配列V-V-L-V-A-A-L-T-V(配列番号:18)、V-V-L-V-A-A-L-T(配列番号:19)、およびV-V-L-V-A-A-L(配列番号:20)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。配列番号18〜20によるアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなるこれらのペプチドの各々は、該アミノ酸配列のN-末端と結合する親水性ドメインD-K-D-D-P-Pをさらに含み得る。
ペプチドのS100A1タンパク質由来ドメインは、好ましくは第1または第2態様のペプチドのC-末端に位置する。より好ましくは、該ペプチドは、S100A1タンパク質の20アミノ酸C-末端領域に含まれる9個を超える連続するアミノ酸を包含しない。
別の一実施態様において、ペプチドはマーカー部分をさらに含む。本発明に関連してマーカー部分は、ペプチドを直接検出することを可能にする任意の部分、例えば蛍光標識、例えばフルオレセイン(例えばフルオレセインイソチオシアネートFITC)、ローダミン(例えば、テトラメチルローダミンTAMRAまたはそのイソチオシアネート誘導体TRITC、スルホローダミン101およびそのスルホニルクロリド形態であるテキサスレッドTM(Texas RedTM)、およびローダミンレッド)、またはアレクサフルオル(Alexa Fluor)(登録商標)色素、放射標識、例えば放射標識したアミノ酸またはビオチンであり得る。一実施態様において、本発明のペプチドは、親水性モチーフ、好ましくはD-K-D-D-P-P(配列番号:17)、およびマーカー部分、好ましくはFITCまたはローダミンを含み、ここで好ましくは、筋機能増強アミノ酸配列はV-V-L-V-A-A-L-T-V-A(配列番号:9)であり、そして好ましくは、親水性モチーフは筋機能増強アミノ酸配列のアミノ末端と直接結合する。
好ましい実施態様において、本発明によるペプチドのアミノ酸配列は、αヘリックス構造を形成する。
特に好ましい実施態様において、本発明のペプチドは、細胞膜、好ましくは脊椎動物の細胞膜、さらにより好ましくは哺乳類の細胞膜、さらにより好ましくは哺乳類の筋細胞膜、最も好ましくは哺乳類の骨格筋細胞膜および哺乳類の心筋細胞膜を透過することができる。好ましくは、本発明のペプチドは、生理学的環境中で、例えば培養培地中で、例えば哺乳類の組織培養用の培地中で、および/または体液中で、例えば血液中で上記で定義するとおり、細胞膜を透過することができる。したがって、最も好ましくは、本発明のペプチドは、非経口投与経路、例えば静脈内注射により投与されるとき、インビボにおいて細胞膜を透過することができる。
本発明の第1態様の実施態様において、S100タンパク質または変力性のその断片または変種をコードする核酸は、ベクターに含まれる。好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、線状ファージベクター、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、および細菌胞子からなる群より選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、水泡性口内炎ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターからなる群より選択されることが特に好ましい。好ましい実施態様において、ベクターは、ゲノム、好ましくは心筋細胞のゲノムへ組み込む。更なる好ましい実施態様において、ベクターは、AAV6およびAAV9からなる群より選択されるAAVである。
好ましい実施態様において、上記ベクターは、S100タンパク質または変力性のその断片または変種の発現を心筋細胞において引き起こす。更なる好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は心臓組織特異的プロモーターにより制御され、すなわち好ましくは、ベクターは心臓組織特異的プロモーターをさらに含む。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
好ましい実施態様において、ベクターは、好ましくは5x1010〜1x1012 tvp、より好ましくは1x1011〜5x1011 tvp、最も好ましくは2x1011 tvpの用量で投与されるウイルスベクターである。
本発明の好ましい実施態様において、該個体の心臓組織の細胞の少なくとも30%において該S100タンパク質の細胞内レベルを上昇させる。処置されるサブセクションのサイズおよび量、したがってS100タンパク質を発現する心臓細胞の量は、根本的な疾患状態に依存するだろう。しかしながら、処置される心臓領域内でS100の細胞内レベルが上記で示されるとおり上昇することが好ましい。
本発明の実施態様において、上記または下記の、S100タンパク質または変力性のその断片もしくは変種、または該S100タンパク質または変力性のその断片もしくは変種をコードする核酸は、経口、静脈内、粘膜内、動脈内、筋肉内または歯冠内経路により投与される。静脈内投与が好ましい。
本発明の更なる実施態様において、該S100タンパク質の細胞内レベルを、少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも10日間、さらにより好ましくは少なくとも14日間上昇させる。この結果は、好ましくは単回投与または個々の投与の結果として達成される。
本発明の実施態様において、個体は健常であるか、あるいは心臓障害を患っているかまたは発症する危険性がある。好ましくは、心臓障害は、筋細胞におけるカルシウム循環不全および/または収縮能力不全に関連する。好ましい実施態様において、心臓障害は、虚血後収縮機能不全、好ましくは虚血後の右心室および/または左室収縮機能不全、うっ血性心不全、好ましくは代償されたおよび/または代償されていないうっ血性心不全、心原性ショック、敗血症性ショック、心筋梗塞、心筋症、心臓弁の機能不全、および心室障害、例えば急性または慢性の右心室障害からなる群より選択される。心臓障害は、原発性または続発性の心筋症であることが特に好ましい。原発性心筋症は、好ましくは遺伝性心筋症および自然突然変異により生じる心筋症より選択される。続発性心筋症は、好ましくは動脈硬化症により生じる虚血性心筋症、心筋の感染症または中毒症により生じる拡張型心筋症、肺動脈性および/または動脈性高血圧症により生じる高血圧性心臓疾患ならびに心臓弁の疾患より選択される。
第2態様において、本発明は、心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体において心臓パワーを高めることにより心臓疾患を処置するのに用いるためのS100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸であって、該個体の心筋中の濃度を治療濃度域内にするため増加させる該タンパク質または核酸に関するものであり、好ましくは心筋湿重量1 g当たり0.5〜42μgに増加させる該タンパク質または核酸に関する。
好ましくは、心臓パワーを、心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。好ましい実施態様において、心臓パワーを、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸により高め、該タンパク質または核酸は、第1態様について上記で詳細に記載されている1以上の機能を示し、該機能は、好ましくは心不全を患う個体における、抗不整脈能、抗アポトーシス能、カルシウムスパーク頻度を減少させる能力、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力、および血行動態機能を回復させる能力からなるリストより選択される。
第2態様の好ましい実施態様において、個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、心筋湿重量1 g当たり、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg、5μg、5.5μg、6μg、6.5μg、7μg、7.5μg、8μg、8.5μg、9μg、9.5μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、42μgに増加させる。好ましい実施態様において、該個体の心筋中の濃度を1〜17μg、好ましくは3〜7μg、より好ましくは3.5μgに増加させる。
更なる実施態様において、個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、心筋湿重量1 g当たり、100μg、90μg、80μg、70μg、60μg、50μg、45μg未満に増加させる。
第2態様の実施態様において、S100タンパク質は、好ましくはS100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。S100A1が特に好ましい。
本発明の第2態様の実施態様において、陽性変力作用を示すS100タンパク質は、天然S100タンパク質の断片または変種、すなわち筋収縮力を増加する天然S100タンパク質の断片または変種である。好ましい実施態様において、断片または変種は、変力性ペプチドを含み、本発明の第1態様について上記で詳細に記載されるペプチドが好ましい。
本発明の第2態様の実施態様において、核酸はベクターに含まれる。好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、線状ファージベクター、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、および細菌胞子からなる群より選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、水泡性口内炎ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターからなる群より選択されることが特に好ましい。好ましい実施態様において、ベクターは、ゲノム、好ましくは心筋細胞のゲノムへ組み込む。好ましい実施態様において、ベクターは、AAV6およびAAV9からなる群より選択されるAAVである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は、心臓組織特異的プロモーターにより制御される。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
本発明の実施態様において、上記または下記のタンパク質または核酸は、経口、静脈内、粘膜内、動脈内、筋肉内または歯冠内経路により投与される。静脈内投与が好ましい。
好ましい実施態様において、ベクターは、好ましくは5x1010〜1x1012 tvp、より好ましくは1x1011〜5x1011 tvp、最も好ましくは2x1011 tvpの用量で投与されるウイルスベクターである。
本発明の実施態様において、個体は健常であるか、あるいは心臓障害を患っているかまたは発症する危険性がある。好ましくは、心臓障害は、筋細胞におけるカルシウム循環不全および/または収縮能力不全に関連する。好ましい実施態様において、心臓障害は、虚血後収縮機能不全、好ましくは虚血後の右心室および/または左室収縮機能不全、うっ血性心不全、好ましくは代償されたおよび/または代償されていないうっ血性心不全、心原性ショック、敗血症性ショック、心筋梗塞、心筋症、心臓弁の機能不全、および心室障害、例えば急性または慢性の右心室障害からなる群より選択される。心臓障害は、原発性または続発性の心筋症であることが特に好ましい。原発性心筋症は、好ましくは遺伝性心筋症および自然突然変異により生じる心筋症より選択される。続発性心筋症は、好ましくは動脈硬化症により生じる虚血性心筋症、心筋の感染症または中毒症により生じる拡張型心筋症、肺動脈性および/または動脈性高血圧症により生じる高血圧性心臓疾患ならびに心臓弁の疾患より選択される。
本発明の好ましい実施態様において、該個体の心臓組織の細胞の少なくとも30%において該S100タンパク質の細胞内レベルを上昇させる。処置されるサブセクションのサイズおよび量、したがってS100タンパク質を発現する心臓細胞の量は、根本的な疾患状態に依存するだろう。しかしながら、処置される心臓領域内でS100の細胞内レベルが上記で示されるとおり上昇することが好ましい。
本発明の更なる実施態様において、該S100タンパク質の細胞内レベルを、少なくとも7日間関係なく、より好ましくは少なくとも10日間、さらにより好ましくは少なくとも14日間上昇させる。この結果は、好ましくは単回投与または個々の投与の結果として達成される。
第3態様において、本発明は、本発明の第1または第2態様による少なくとも1つのS100タンパク質または核酸、またはその医薬的に許容される塩を含み、医薬的に許容される賦形剤、担体および/または希釈剤を含んでいてよい、医薬組成物に関する。
好ましい実施態様において、医薬組成物は、該心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体において心臓パワーを高めることにより心臓疾患を処置するのに用いるためである。好ましくは、心臓パワーを、心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
好ましい実施態様において、心臓パワーを、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸により高め、該タンパク質または核酸は上記で詳細に記載されている1以上の機能を示し、該機能は、好ましくは心不全を患う個体における、抗不整脈能、抗アポトーシス能、カルシウムスパーク頻度を減少させる能力、筋小胞体からカルシウム漏出を防ぐおよび/または減少させる能力、および血行動態機能を回復させる能力からなるリストより選択される。
第3態様の実施態様において、S100タンパク質は、好ましくはS100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。S100A1が特に好ましい。
本発明の第3態様の実施態様において、陽性変力作用を示すS100タンパク質は、天然S100タンパク質の断片または変種、すなわち筋収縮力を増加する天然S100タンパク質の断片または変種である。好ましい実施態様において、断片または変種は、変力性ペプチドを含み、本発明の第1態様について上記で詳細に記載されるペプチドが好ましい。
本発明の第3態様の実施態様において、核酸はベクターに含まれる。好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、線状ファージベクター、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、および細菌胞子からなる群より選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、水泡性口内炎ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターからなる群より選択されることが特に好ましい。好ましい実施態様において、ベクターは、ゲノム、好ましくは心筋細胞のゲノムへ組み込む。好ましい実施態様において、ベクターは、AAV6およびAAV9からなる群より選択されるAAVである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は、心臓組織特異的プロモーターにより制御される。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
好ましい実施態様において、ベクターは、好ましくは5x1010〜1x1012 tvp、より好ましくは1x1011〜5x1011 tvp、最も好ましくは2x1011 tvpの用量で投与されるウイルスベクターである。
本発明の実施態様において、医薬組成物は、当業者が経口、静脈内、粘膜内、動脈内、筋肉内または歯冠内経路により投与をできるように製剤化される。静脈内投与が好ましい。
第4態様において、本発明は、個体において心臓パワーを高めることにより心臓疾患を処置するのに用いるためのS100タンパク質をコードする核酸であって、該個体に投与される該核酸を含む、アデノ随伴ウイルス6または9に関する。好ましくは、心臓パワーを、心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質は、S100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。更なる実施態様において、S100タンパク質は、陽性変力作用を示す天然S100タンパク質の断片または変種である。好ましい実施態様において、断片または変種は、変力性ペプチドを含み、本発明の第1態様について上記で詳細に記載されるペプチドが好ましい。
好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は、心臓組織特異的プロモーターにより制御される。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
第5態様において、本発明は、心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体の心筋中の該S100タンパク質の濃度を治療濃度域内にするため増加させるための、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸の使用に関する。好ましい実施態様において、心臓パワーを、心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
好ましい実施態様において、心筋中の濃度を健常な個体における濃度の50倍を超えない程度に増加させる。好ましくは、心筋中の濃度を、健常な個体における濃度の20倍を超えない程度、より好ましくは8倍を超えない程度、最も好ましくは4倍を超えない程度に増加させる。好ましい実施態様において、心筋中の濃度を2〜50倍、好ましくは2〜20倍、より好ましくは4〜8倍、最も好ましくは4倍に増加させる。
第5態様の更なる実施態様において、心筋中の濃度を心筋湿重量1 g当たり0.5〜42μgに増加させる。好ましくは、心筋中の濃度を、心筋湿重量1 g当たり、1〜17μg、より好ましくは3〜7μg、最も好ましくは3.5μgに増加させる。
好ましい実施態様において、S100タンパク質は、S100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。更なる実施態様において、S100タンパク質は、陽性変力作用を示す天然S100タンパク質の断片または変種である。好ましい実施態様において、断片または変種は、変力性ペプチドを含み、本発明の第1態様について上記で詳細に記載されるペプチドが好ましい。
本発明の好ましい実施態様において、該個体の心臓組織の細胞の少なくとも30%において該S100タンパク質の細胞内レベルを上昇させる。処置されるサブセクションのサイズおよび量、したがってS100タンパク質を発現する心臓細胞の量は、根本的な疾患状態に依存するだろう。しかしながら、処置される心臓領域内でS100の細胞内レベルが上記で示されるとおり上昇することが好ましい。
本発明の更なる実施態様において、該S100タンパク質の細胞内レベルを、少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも10日間、さらにより好ましくは少なくとも14日間上昇させる。この結果は、好ましくは単回投与または個々の投与の結果として達成される。好ましい実施態様において、心筋中の濃度を、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸の投与により増加させる。第5態様の実施態様において、上記または下記の、タンパク質または核酸は、経口、静脈内、粘膜内、動脈内、筋肉内または歯冠内経路により投与される。静脈内投与が好ましい。
本発明の第5態様の実施態様において、核酸はベクターに含まれる。好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、線状ファージベクター、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、および細菌胞子からなる群より選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、水泡性口内炎ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターからなる群より選択されることが特に好ましい。好ましい実施態様において、ベクターは、ゲノム、好ましくは心筋細胞のゲノムへ組み込む。好ましい実施態様において、ベクターは、AAV6およびAAV9からなる群より選択されるAAVである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は、心臓組織特異的プロモーターにより制御される。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
好ましい実施態様において、ベクターは、好ましくは5x1010〜1x1012 tvp、より好ましくは1x1011〜5x1011 tvp、最も好ましくは2x1011 tvpの用量で投与されるウイルスベクターである。
第6態様において、本発明は、心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を治療濃度域内にするため増加させる方法に関する。好ましい実施態様において、該方法は、該心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体において心臓パワーを高めることにより心臓疾患を処置するのに用いるためである。好ましくは心臓パワーを、心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質は、S100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。更なる実施態様において、S100タンパク質は、陽性変力作用を示す天然S100タンパク質の断片または変種である。好ましい実施態様において、断片または変種は、変力性ペプチドを含み、本発明の第1態様について上記で詳細に記載されるペプチドが好ましい。
第6態様の実施態様において、S100タンパク質またはその変力性ペプチドをコードする核酸を含むベクターを投与することにより、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を50倍を超えない程度に増加させる。好ましい実施態様において、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、2〜50倍、好ましくは2〜20倍、より好ましくは4〜8倍、最も好ましくは4倍に増加させる。更なる実施態様において、該個体の心筋中のS100またはその変力性ペプチドの濃度を、心筋湿重量1 g当たり0.5〜42μgに増加させる。好ましい実施態様において、該個体の心筋中のS100またはその変力性ペプチドの濃度を、心筋湿重量1 g当たり、1〜17μg、好ましくは3〜7μg、より好ましくは3.5μgに増加させる。
好ましい実施態様において、濃度を、S100タンパク質または該S100タンパク質をコードする核酸の該個体への投与により心筋中で増加させる。したがって、好ましい実施態様において、心筋のS100タンパク質の濃度を増加する方法は、上記または下記のタンパク質または核酸を該個体へ、好ましくは経口、静脈内、粘膜内、動脈内、筋肉内または歯冠内経路により投与する工程を含む。静脈内投与が好ましい。
好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、線状ファージベクター、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、および細菌胞子からなる群より選択される。好ましい実施態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、水泡性口内炎ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターからなる群より選択されることが特に好ましい。好ましい実施態様において、ベクターは、ゲノム、好ましくは心筋細胞のゲノムへ組み込む。好ましい実施態様において、ベクターは、AAV6およびAAV9からなる群より選択されるAAVである。好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は、心臓組織特異的プロモーターにより制御される。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
好ましい実施態様において、ベクターは投与され、好ましくは5x1010〜1x1012 tvp、より好ましくは1x1011〜5x1011 tvp、最も好ましくは2x1011 tvpの用量で投与されるウイルスベクターが好ましい。
本発明の好ましい実施態様において、該個体の心臓組織の細胞の少なくとも30%において該S100タンパク質の細胞内レベルを上昇させる。処置されるサブセクションのサイズおよび量、したがってS100タンパク質を発現する心臓細胞の量は、根本的な疾患状態に依存するだろう。しかしながら、処置される心臓領域内でS100の細胞内レベルが上記で示されるとおり上昇することが好ましい。
第7態様において、本発明は、心臓疾患を患っているかまたは発症する危険性がある個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を治療濃度域内にするため増加させることにより該個体を処置する方法に関する。好ましい実施態様において、心臓パワーを、該個体において高める。好ましくは心臓パワーを、心臓の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングを改善することにより高める。好ましくは、筋収縮力を増加させる。好ましい実施態様において、心臓パワーを、コントロール条件と比較して、少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%高める。好ましくは、コントロール条件は、健常な患者または健常な患者群の平均の筋機能、収縮能力および/またはカルシウムハンドリングである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質は、S100β、S100A1、S100A2、S100A4およびS100A6からなる群より選択される天然S100タンパク質である。更なる実施態様において、S100タンパク質は、陽性変力作用を示す天然S100タンパク質の断片または変種である。好ましい実施態様において、断片または変種は、変力性ペプチドを含み、本発明の第1態様について上記で詳細に記載されるペプチドが好ましい。
第7態様の実施態様において、S100タンパク質またはその変力性ペプチドをコードする核酸を含むベクターを投与することにより、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を50倍を超えない程度に増加させる。好ましい実施態様において、該個体の心筋中のS100タンパク質の濃度を、2〜50倍、好ましくは2〜20倍、より好ましくは4〜8倍、最も好ましくは4倍に増加させる。更なる実施態様において、該個体の心筋中のS100またはその変力性ペプチドの濃度を、心筋湿重量1 g当たり0.5〜42μgに増加させる。好ましい実施態様において、該個体の心筋中のS100またはその変力性ペプチドの濃度を、心筋湿重量1 g当たり、1〜17μg、好ましくは3〜7μg、より好ましくは3.5μgに増加させる。
好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、線状ファージベクター、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、および細菌胞子からなる群より選択される。好ましい実施態様において、ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、水泡性口内炎ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターからなる群より選択されることが特に好ましい。好ましい実施態様において、ベクターは、ゲノム、好ましくは心筋細胞のゲノムへ組み込む。好ましい実施態様において、ベクターは、AAV6およびAAV9からなる群より選択されるAAVである。
好ましい実施態様において、S100タンパク質の発現は、心臓組織特異的プロモーターにより制御される。好ましくは、心臓組織特異的プロモーターは、心臓アクチン・エンハンサー/伸長因子1プロモーター、サイトメガロウイルス・エンハンサー/心室ミオシン軽鎖2プロモーターおよびトロポニンからなる群より選択されるが、これらに制限されない。
本発明の実施態様において、上記または下記のタンパク質または核酸は、経口、静脈内、粘膜内、動脈内、筋肉内または歯冠内経路により投与される。静脈内投与が好ましい。
好ましい実施態様において、ベクターは、好ましくは5x1010〜1x1012 tvp、より好ましくは1x1011〜5x1011 tvp、最も好ましくは2x1011 tvpの用量で投与されるウイルスベクターである。
S100タンパク質のための抗体に基づく検出方法、例えば酵素結合免疫吸収測定法(ELISA)の開発により、心筋中のS100タンパク質の生理学上および治療上有効な量の測定が可能になり、それ故にS100タンパク質のための効果的な投与計画を決めることが可能になる。大型動物モデル、例えばブタ(イノシシ)(これは体重、サイズ、生体構造、生理学的な心機能についてヒトと同等のパラメーターを示す)の使用により、治療濃度域およびこれらアッセイにおいて測定された効果のヒトの臨床応用への直接移行が可能になる。
実施例1:正常な心筋におけるS100A1心臓の発現用量依存性の評価;小動物モデル:
正常な心機能を有するマウスにおける心機能を向上させる心筋のS100A1タンパク質発現の範囲は、AAV9介在性ヒトS100A1 cDNAの心筋送達の使用により測定される。心筋S100A1タンパク質レベルを徐々に増加させることに関する心機能を、正常な心筋においてインビボにおける心機能の急で持続的な向上のためのS100A1タンパク質濃度の有効な用量範囲を測定するために、正常な6月齢のC57B/6マウスにおいて評価した。用いられる技術は、全心筋の導入遺伝子発現の漸増のためのAAV9の静脈内適用を用いているVoelkers et al. Circ Res (2011) 108; 27-39;心機能分析のための心エコー検査についてMost et al. JCI (2004) 114; 1550-1563に詳細に記載されている。AAV9-S100A1および対応するコントロールベクターの生成ならびに両導入遺伝子の発現を駆動する心臓特異的プロモーター構成要素の使用が、Pleger et al. Science Translational Medicine (2011) 3, 92ra64に詳細に記載されている。S100A1の過剰発現(2、4、8、20および50倍)は、静脈内のAAV9-S100A1用量(総ウイルス粒子;tvp)5x1010、1x1011、2x1011、5x1011、1x1012にそれぞれ相当する。マウスの心筋中の総S100A1タンパク質量を、実施例4に詳細に記載するとおり、ELISAにより評価した。S100A1濃度を、Most et al. JCI (2004) 114; 1550-1563に記載のとおり、オーダーメイドのウサギ抗S100A1ポリクローナルIgG抗体(SA 5632)を用いてウエスタンブロットにより測定した。心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.83μgは、健常な左心室心筋における正常なS100A1値に等しく、相対比較のために1として設定されている。WBにより評価されたn倍の相対的変化とELISAにより測定された総心筋のS100A1タンパク質間の変換は、第2のX軸により与えられる。図1(左)は、麻酔されたマウスにおける左心室駆出分画率(LV EF%)が、正常なS100A1タンパク質レベルと比較して、心臓のS100A1タンパク質濃度の約4〜6倍の増加に達することを示す(WBによる評価)。心臓のS100A1タンパク質濃度のさらなる増加は、S100A1介在性収縮能力向上の喪失をもたらす。生物学的に有効なS100A1用量は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.83〜41.5μgの範囲となり、ピーク作用はS100A1タンパク質3.32μgに関係する(ELISAによる評価)。
実施例2:患部心筋におけるS100A1心臓発現用量依存性の評価;小動物モデル:
心機能障害のあるマウスにおける、ウイルスに基づく再発現の治療濃度域および心筋S100A1タンパク質濃度の増加を評価した。正常なマウスにおけるS100A1用量依存性の結果は、Brinks et al. Circ Res (2010) 107; 1140-1149に詳細に技術的に記載されているとおり、左前冠動脈の一時的な閉塞による実験的心筋梗塞によって心機能障害のあるC57B/6マウスにおけるS100A1再発現の治療濃度域を決定する根拠を提供する。全心筋の導入遺伝子発現の漸増のためのAAV9の静脈内適用のための技術は、Voelkers et al. Circ Res (2011) 108; 27-39に;心機能分析のための心エコー検査は、Most et al. JCI (2004) 114; 1550-1563に詳細に記載されている。AAV9-S100A1および対応するコントロールベクターの生成ならびに両導入遺伝子の発現を駆動する心臓特異的プロモーター構成要素の使用が、Pleger et al. Science Translational Medicine (2011) 3, 92ra64に記載されている。0.7、2、4、8、20および50倍のS100A1再/過剰発現は、静脈内のAAV9-S100A1用量(総ウイルス粒子;tvp)2x1010、5x1010、1x1011、2x1011、5x1011、1x1012にそれぞれ相当する。マウスの心筋中の総S100A1タンパク質量を、実施例4に詳細に記載するとおり、ELISAにより評価した。S100A1濃度を、Most et al. JCI (2004) 114; 1550-1563に記載のとおり、オーダーメイドのウサギ抗S100A1ポリクローナルIgG抗体(SA 5632)を用いてウエスタンブロットにより測定した。心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.83μg未満の総S100A1タンパク質量は、収縮機能障害のある左心室心筋不全を特徴付ける。WBにより評価されたn倍の相対的変化とELISAにより測定された総心筋のS100A1タンパク質間の変換は、第2のX軸により与えられる。
図2および図3は、不全なマウス心臓におけるS100A1の再発現および過剰発現が、LV EF%により(図2)、および侵襲血行動態ための代用マーカーとして最大LV圧上昇増加(LV +dp/dt最大値)で左心室カテーテル法により(図3)評価された心機能を回復させ、改善することを示す。治療作用は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質3.32μgの総S100A1タンパク質量について、約4倍のS100A1の過剰発現に達する。収縮能力向上のS100A1治療濃度域は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.25〜41.4μgの範囲になる。値は、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の相対的増加までに及ぶ相対範囲を表す。心臓のS100A1タンパク質濃度のさらなる増加は、S100A1の治療能力向上の完全喪失をもたらす。
図4は、不全なマウス心臓におけるS100A1の再発現および過剰発現が、β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈を予防することを示し、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の増加まで含む。β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈に対するS100A1治療濃度域は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.25〜41.4μgの範囲になる。値は、心筋S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の相対的増加までに及ぶ相対範囲を表す。心臓のS100A1タンパク質濃度のさらなる増加は、S100A1の治療上の抗不整脈作用の完全喪失をもたらす。
図5は、不全なマウス心臓におけるS100A1の再発現および過剰発現が、心臓代謝の回復のための代用としてCrP/ATP比を改善することを示し、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の増加まで含む。β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈に対するS100A1治療濃度域は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.25〜41.4μgの範囲になる。値は、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の相対的増加までに及ぶ相対範囲を表す。心臓のS100A1タンパク質濃度のさらなる増加は、S100A1の治療上の抗不整脈作用の完全喪失をもたらす。
実施例3:大型動物モデル:
この実施例は、心機能障害のある飼育ブタにおける、ウイルスに基づく再発現の治療濃度域および心筋S100A1タンパク質濃度の増加を詳述する。心不全マウスにおけるS100A1用量依存性の結果は、ヒトの体重、サイズならびに心血管解剖学および病態生理学に近似するS100A1再発現動物モデルの治療濃度域を決定するための根拠を提供する。ブタにおける虚血後心不全は、経皮バルーン閉塞による左冠動脈回旋枝の一時的な閉塞による実験的心筋梗塞によって誘導された。S100A1の再発現および過剰発現は、心臓特異的プロモーター構成要素により制御されたS100A1発現を有するAAV6-S100A1の漸増用量の逆行性静脈内適用により達成された。この目的に用いられた分析技術および分子ツールは、Pleger et al. Science Translational Medicine (2011) 3, 92ra64に詳細に記載されている。AAV6は、心筋S100A1タンパク質濃度の増加を達成するためにより高いAAV6の心筋形質導入効果を利用するAAV9に加えて用いられた。1.6、6、20および50倍のS100A1再/過剰発現は、静脈内のAAV9-S100A1用量(総ウイルス粒子;tvp)の1.5x1013(1.6倍)ならびにAAV6-S100A1用量の1.5x1011(6倍)、1.5x1012(20倍)および1.5x1013(50倍)にそれぞれ相当する。
図6および図7は、不全なブタ心臓におけるS100A1の再発現および過剰発現が、LV EF%により、侵襲血行動態のための代用としてLV +dp/dt最大値で左心室カテーテル法により評価された心機能を回復させ、改善することを示し、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の増加まで含む。β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈に対するS100A1治療濃度域は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.32〜41.4μgの範囲になる。値は、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の相対的増加までに及ぶ相対範囲を表す。心臓のS100A1タンパク質濃度のさらなる増加は、S100A1の治療作用の完全喪失をもたらす。
図8は、不全なマウス心臓におけるS100A1の再発現および過剰発現が、β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈を予防することを示し、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の増加まで含む。β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈に対するS100A1治療濃度域は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.32〜41.4μgの範囲になる。値は、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の相対的増加までに及ぶ相対範囲を表す。心臓のS100A1タンパク質濃度のさらなる増加は、S100A1の治療作用の完全喪失をもたらす。
図9は、不全なブタ心筋におけるS100A1の再発現および過剰発現が、心臓代謝の回復のための代用としてCrP/ATPを改善することを示し、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の増加まで含む。β-アドレナリン作動誘発性の心室性頻脈性不整脈に対するS100A1治療濃度域は、心筋湿重量1 g当たりS100A1タンパク質0.32〜41.4μgの範囲になる。値は、S100A1タンパク質レベルにおいて再発現から正常および50倍の相対的増加までに及ぶ相対範囲を表す。
実施例4:総心筋のS100A1タンパク質レベルの評価のための方法
S100A1の検出を、オーダーメイドの酵素結合免疫吸収測定法(ELISA)により実施した。500 mgの急速凍結した左心室心筋を2.5 mlの氷冷緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH 7.4、5 mM EGTA、5 mM EDTA、プロテアーゼ阻害剤カクテルIおよびII(Sigma Aldrich))中で、Ultra-Turrax T25を24,000 rpm(5回、30秒間)で用いてホモジナイズした。その後、検体を、5,000rpmで10分間室温において遠心分離した。上清を収集し、-80℃で保管した。ELISA測定について、マイクロタイタープレート(Maxisorb、Nunc)を、捕捉抗体(抗S100oαウサギポリクローナル、abcam、ab11428)でコーティングした。したがって100μlの捕捉抗体溶液(コーティング溶液中2μg/ml、#80050、Alpha Diagnostic International)をウェルに入れ、4℃で一晩インキュベートした。次の日、各ウェルを洗浄溶液(#80080、Alpha Diagnostic International)で3回洗浄した。その後、300μlのブロッキング溶液(#80060、Alpha Diagnostic International)を加えた。3時間インキュベート後、ウェルを洗浄溶液で洗浄した。二重に(in duplicate)100μlの血清検体(検体希釈液(HEPES 23.8g/l、BSA 10g/l、NaCl 5.84g/l、ddH2O中0.1%ツイーン20)中で2:1希釈)を対応するウェルに加え、4℃で一晩インキュベートした。標準曲線を含めた(組み換えヒトS100A1の2.8ng/ml、5.6ng/ml、28ng/ml、56ng/ml、140ng/ml)。次の日、ウェルを洗浄し、PBS(NaCl 8g/l、KCl 0.2g/l、Na2HPO4 1.42g/l、KH2PO4 0.245g/、ddH2O中5%ツイーン20)中で1:5000希釈した100μlの検出抗体(ヒトS100A1親和性の精製ポリクローナルヒツジIgG、R&D Systems)をウェルに加えた。室温で3時間インキュベート後、洗浄し、PBS中で1:1000希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合可視化抗体(ロバ抗ヒツジIgG-HRP、sc-2473、Santa Cruz)100μlを加え、プレートを室温で2時間インキュベートした。洗浄後、100μlのTMB(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)-基質(#80091、Alpha Diagnostic International)を、ウェルにピペットで取った。20分インキュベートした後、50μlの停止溶液(#80100、Alpha Diagnostic International)を加えた。各ウェルの光学密度を、マルチプレートリーダー(Multiskan Spectrum、Thermo Fisher Scientific)で450 nmにおいて測定し、570 nmにおいて補正した。