JP2016533342A - 糖鎖クラスター及び抗菌剤としてのその医薬の使用 - Google Patents

糖鎖クラスター及び抗菌剤としてのその医薬の使用 Download PDF

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Abstract

末端にガラクトース残基を有した糖鎖クラスター型の次の式(I)に対応する分子である。【化1】これらの化合物を調製する簡単かつ効果的な方法である。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)による感染の阻害剤としての、具体的には緑膿菌による毒性の阻害剤としての、化合物(I)の医薬の使用である。

Description

発明の分野
本発明は、末端にガラクトース残基を有した糖鎖クラスター型の新規化合物(I)又は(II)に関する。かかる化合物は、緑膿菌(シュードモナス・エルギノーサ、Pseudomonas aeruginosa)の病原因子であるレクチン1と十分な親和性を示す。本発明は、これらの化合物を調製する簡単かつ効果的な方法を提供する。また、本発明は、緑膿菌による感染の阻害剤としての、具体的には緑膿菌による毒性の阻害剤としての、化合物(I)又は(II)の医薬の使用も対象とする。
発明の背景
緑膿菌(PA)は、院内感染に対するその影響とともに、嚢胞性線維症患者の死亡率に対する影響により、重大な公衆衛生問題である。緑膿菌(PA)は、グラム陰性で好気性のグルコース非発酵菌であり、極単毛(polar monotrichous flagellum)により移動性である。緑膿菌は、その長期間の生存能とともに、最小栄養要求及び環境変化に対する高い耐性により、院内感染に関係することが多い、臨床的に重要な日和見病原菌である。緑膿菌は、院内感染の10〜30%の原因である(Floret, N. et al., (2009), Pathol. Biol. 57, 9-12)。また、緑膿菌は、慢性炎症及び嚢胞性線維症患者の呼吸器官の低下を次第にもたらす、最も頻度の高い病原菌でもある(Lyczak, J. B. et al., (2002) Clinical Microbiology Reviews 15, 194-222)。現在、抗生物質の使用が、緑膿菌の感染に対して有効となり得る唯一の解決策である。しかしながら、この点で、バイオフィルム構造中の細菌増殖によって、病原体に選択的有利性をもたらすと考えられる(Stewart, P. S., and Costerton, J. W. (2001) Lancet 358, 135-138. Landry, R. M. et al., (2006) Mol. Microbiol. 59, 142-151)。
その結果、ほとんどの病原菌、特に緑膿菌の抗生物質に対する耐性の出現に関しては、耐性又は新しい作用形式のメカニズムを回避することができる新しい抗菌剤の開発が急務となっており、感染症を治療するか又は予防することが重大な研究課題である。したがって、緑膿菌に基づく感染に対処する代替戦略として、緑膿菌による毒性の阻害が提案されている。
緑膿菌由来のガラクトース結合レクチンであるPA‐ILは、その毒性に関与する。緑膿菌レクチン1(PA‐IL、Lec A)は、長辺上に71Å及び短辺上に32Å離れた結合部位を有する、ほぼ矩形状の四価のレクチンである(Cioci, G. et al., (2003) FEBS Lett. 555, 297-301; Imberty, A., et al., (2004) Microb. Infect. 6, 221-228)。一価ガラクトシドに対するPA‐ILの結合は、マイクロモルの範囲に及び(フェニル‐β‐Galに対して最も高い親和性を有する。)、アグリコンの構造による影響を受ける(Garber, N. et al., (1992) Biochim. Biophys. Acta 1116, 331-333; Chen, C. P. et al., (1998) Glycobiology 8, 7-16)。
いわゆるクラスター効果を利用する場合、PA‐ILの結合はナノモル範囲に達し得る(Lis, H., and Sharon, N. (1998) Chem. Rev. 98, 637-674; Lundquist, J. J., and Toone, E. J. (2002) Chem. Rev. 102, 555-578; Lee, Y. C., and Lee, R. T. (1995) Acc. Chem. Res. 28, 321-327)。多価炭水化物リガンドは、一価リガンドと比較して、炭水化物残基ごとの標的レクチンに対して結合の増強を示し得る。この増強の程度は、とりわけ、残基がレクチンの複数の部位に適合する必要があるので、トポロジーの関数である。
S. Cecioniらの文献(Chem. Eur. J. 2009, 15, 13232-13240)には、PA‐ILを標的とするカリックス[4]アレーン複合糖質が開示されている。しかしながら、カリックスアレーン複合体は、ジアステレオ異性体の潜在的な形成及びカリックスアレーンの潜在的な毒性により、調製するのが困難である。F. Perticiらの文献(Chem. Commun., 2012, 48, 4008-4010)には、緑膿菌レクチンLecAの強力な二価阻害剤として、ジガラクトース誘導体が開示されている。これらの化合物の調製方法は、長く複雑である。A. Imbertiらの文献(Chem. Eur. J. 2008, 14, 7490-7499)には、糖鎖クラスター、及び大腸菌(E. Coli)のFimH又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosea)のPA‐IILに対するその親和性が開示されている。I. Deguiseらの文献(New J. Chem., 2007, 31, 1321-1331)には、フコシド残基とガラクトシド残基をともに含有するグリコデンドリマーの合成、並びに、緑膿菌由来のPA‐IL及びPA‐IILレクチンに対するその結合特性が開示されている。Angewの文献(Chem. Int. Ed. 2011, 50, 10631-10635)には、レクチンLecA及び緑膿菌のバイオフィルムの糖ペプチドデンドリマー阻害剤が開示されている。この文献には、PA‐IL接着の阻害は言及されていない。
S. Cecioni et al., Chem .Eur. J. 2009, 15, 13232-13240 F. Pertici et al., Chem. Commun., 2012, 48, 4008-4010 A. Imberti et al., Chem. Eur. J. 2008, 14, 7490-7499 I. Deguise et al., New J. Chem., 2007, 31, 1321-1331 Angew., Chem. Int. Ed. 2011, 50, 10631-10635
細胞表面複合糖質と有効に競合するために、擬似糖質(glycomimetic)は、その標的と強い親和性を示す必要がある。レクチン‐炭水化物相互作用の低い親和性は、生物学的に活性のある擬似糖化合物の開発における障壁であり、多価によって、この困難性を部分的に克服することができた。しかしながら、先行技術の結果は、緑膿菌接着の防止、並びに細菌感染の予防及び治療の使用に対する擬似糖質(glycomimetic)の大きな可能性を確認する場合には、PA‐ILとの高い親和性を有する分子の必要性が依然として存在している。
かかる化合物の設計及び合成は容易ではなく、レクチンに対する擬似糖質(glycomimectic)の親和性は、分子によって示される炭水化物基の数だけでなく、レクチンPA‐ILと相互作用する可能性によって異なる。また、この擬似糖質の親和性は分子内のその配置、炭水化物基を分子の他の部分に結合するリンカーアームの性質、長さ及び柔軟性によっても異なる。さらに、複雑な合成により、多くの先行技術の擬似糖質は、少量のみで利用可能である。
病原菌レクチン、特にPA‐ILに対して強い親和性を示す分子の必要性が依然として存在している。特に、緑膿菌の接着を阻害することによって、緑膿菌のバイオフィルムの形成を阻害することができる分子の必要性が依然として存在している。かかる分子は、薬剤への利用を提供するために簡単かつ効果的な方法によって製造できる必要がある。
発明の概要
本発明の目的は、上述した欠点を少なくとも部分的に軽減することである。
本発明は、病原菌レクチン、特にPA‐ILに対して強い親和性を示す分子を提供する。具体的には、本発明は、PA‐ILを阻害するためのPA‐ILに対する合成リガンドを対象とする。具体的には、本発明は、PA接着の阻害を目的とする化合物を対象とする。単糖類が中心にあるクラスター及び櫛状クラスターは、コアとガラクトシル残基を分離するアリール基を有した種々のリンカーによって合成された。これらの化合物を調製する簡単かつ効果的な方法が開示される。かかる方法は、産業規模の場合を容易に推定することができた。
本目的は、次の式(I)に対応する分子によって達成される。
Figure 2016533342
式中、
nは、3、4、5、6、7、8、9、10から選択される整数であり、
Galは、次式に示す、ガラクトピラノシル、1‐チオガラクトピラノシル、1‐メチレンガラクトピラノシル、1‐N‐アセチル‐ガラクトピラノシルから選択される基を表し、
Figure 2016533342
Kは、次のものから選択される、3〜6個のリン酸基又はチオリン酸基又はホスホルアミダート基(Pho)を含む式(KI)又は(KII)の分子を表し、
Figure 2016533342
式中、XはO若しくはSを表し、
リン酸基の1若しくは2個の酸素原子は、共有結合によってL1リンカーアームに結合しており、
リン酸基若しくはチオリン酸基若しくはホスホルアミダート基Phoのいずれかは、以下の式(KI)に表されているように、同一の中心K’にすべて結合しており、
Figure 2016533342
K’は、4〜24個の炭素原子と、0〜12個の酸素原子と、対応する数の水素原子とを含む分子を表し、
Phoの1個の酸素原子は、共有結合によってK’に結合しており、
xは1若しくは2であるか、
又は
リン酸基若しくはチオリン酸基若しくはホスホルアミダート基は、以下の式(KII)に表されているように、鎖を形成し
Figure 2016533342
式中、K”は、4〜12個の炭素原子と、0〜6個の酸素原子と、0〜6個の窒素原子と、対応する数の水素原子とを含む分子を表し、
Eは、0〜12個の炭素原子と、0〜6個の酸素原子と、0〜6個の窒素原子と、対応する数の水素原子とを含む末端基を表し、
mは、2、3、4、5から選択される整数を表し、
Phoの2個の酸素原子は、共有結合によってK”基若しくはEに結合しており、
は、
1つ又は複数のエーテル架橋‐O‐を含む可能性がある、直鎖、分岐又は環状C1‐C18アルキルジラジカル、
2〜6つのエチレングリコール単位を含むポリ(エチレングリコール)ジラジカル、
2〜6つのプロピレングリコール単位を含むポリピレングリコール(polypyleneglycol)ジラジカル
から選択されるリンカーアームを表し、
Tは、
トリアゾールジラジカル
Figure 2016533342
チオ架橋‐S‐
から選択される連結基を表し、
は、以下の式に表される式‐L21‐Ar‐L22‐に対応するリンカーアームを表す。
Figure 2016533342
式中、
21は、アミド架橋‐CO‐NH‐、エーテル架橋‐O‐、チオ架橋‐S‐、アミン架橋‐NH‐から選択される1個又は複数の基を含む可能性がある、直鎖、分岐又は環状C1‐C12アルキルジラジカルを表し、
Arは、必要に応じて1〜6個のヘテロ原子を含むC6‐C18芳香族ジラジカルを表し、
22は共有結合を表すか、又は、Galがガラクトピラノシル、1‐チオガラクトピラノシルを表す場合、L22は‐CH‐基であり得る。
好適な実施形態は、次に示す特徴のうちの1つ以上を含む。
式(I)に対応する分子であって、次に示す条件のうちの1つ又は複数が確認される分子。
Galが、β‐D‐ガラクトピラノシル基、又はβ‐D‐チオ‐1‐ガラクトピラノシル基を表し、β‐D‐ガラクトピラノシルを表すことが好ましく、
Tがトリアゾールジラジカルを表し、
が、直鎖C2‐C6アルキル鎖、1,1,1‐(トリスヒドロキシメチル)エタン、2〜4つのエチレングリコール単位を含むポリ(エチレングリコール)ジラジカルから選択されるリンカーアームを表し、
21が、末端においてAr基に結合している1個のアミド官能基‐CO‐NH‐を含むC1‐C12直鎖アルキル鎖を表し、
ArがC6‐C12の芳香族ジラジカルを表し、Arは、フェニル、ナフタレニル、1,4‐ビフェニルから選択される基を表すことが好ましく、Arはフェニルであることが更により好ましく、
22が共有結合を表す。
式(I)に対応する分子であって、Kが式(KI)によって表され、xが1であり、Kが、次式に示す3〜5個のPho懸垂基(pending group)を含み、
Figure 2016533342
K’が、ピラノース及びフラノースから選択される炭水化物を表す分子。
式(I)に対応する分子であって、K’が、マンノース、ガラクトース、グルコース、アラビノース、キシロース、リボース及びラクトースから選択される炭水化物を表す分子。
式(I)に対応する分子であって、Kが式(KII)によって表され、K”が、4〜10個の炭素原子を含む、直鎖、分岐又は環状アルカン(alcane)ジイル基を表し、Phoが
Figure 2016533342
である(式中、XがO、Sである。)分子。
式(I)に対応する分子であって、K”が、1,4‐ジメチルシクロヘキシル、1,4‐ジエチルシクロヘキシルを表す分子。
次のものから選択される式(I)に対応する分子。
(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Gal(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Glc(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)
式中、DMCHはジメチルシクロヘキサンを表し、Manはマンノースを表し、Galはガラクトースを表し、Glcはグルコースを表し、
Proは1,3‐n‐プロピルを表し、Hexは1,6‐n‐ヘキシルを表し、EGMはジエチレングリコールメチレンを表し、THMEはトリス‐(ヒドロキシメチル)エタンを表し、
Tzはトリアゾール
Figure 2016533342
を表し、
EGはジエチレングリコールを表し、
AcNPheはアセトアミドフェニル
Figure 2016533342
を表し、
Mはメチレンを表し、
Galはガラクトピラノシルを表し、
PNはホスホルアミダート結合を表し、
POはリン酸結合を表す。
また、本発明は、一般式(I)若しくは(II)の少なくとも1つの化合物、又は医薬として許容し得るその塩と、医薬として許容し得る担体及び/又は賦形剤と、を含む医薬組成物も対象とする。
好適な実施形態によれば、医薬組成物は、呼吸器官内に吸入又は滴下されるように製剤化される。
好適な実施形態によれば、医薬組成物は、少なくとも1つ以上の他の抗菌剤、又は1つ以上の他の抗病原性剤(antivirulence agent)、又は宿主の先天免疫を強化する1つ以上の薬剤を更に含む。
また、本発明は、微生物病原体、具体的には病原菌による感染の予防、遅延、弱化及び治療的処置に用いる、式(I)若しくは(II)に対応する化合物も対象とする。
好適な実施形態によれば、化合物は、緑膿菌からの感染を治療するか、遅延させるか、弱化させるか又は予防するためのものである。
好適な実施形態によれば、化合物は、嚢胞性線維症患者又は呼吸補助下にある患者に投与するためのものである。
本発明の別の目的は、次の式(II)に対応する分子である。
Figure 2016533342
式中、
K、n、Gal、T、L、Lは請求項1と同じ定義を有し、yは、DNA配列又は蛍光色素などのマーカーを表す。
本発明は、病原菌レクチン、特にPA‐ILに対して強い親和性を示す分子を提供することができる。具体的には、本発明は、PA‐ILを阻害するためのPA‐ILに対する合成リガンドであって、PA接着の阻害を目的とする化合物を提供することができる。単糖類が中心にあるクラスター及び櫛状クラスターは、コアとガラクトシル残基を分離するアリール基を有した種々のリンカーによって合成された。これらの化合物を調製する簡単かつ効果的な方法を提供することができる。かかる方法は、産業規模の場合を容易に推定することができた。
一部のマンノースが中心にあるガラクトクラスター(galactocluster)の一般的な構造と、そのリンカーの性質及び長さを示す。左側では、リンカーは足場に結合している。右側では、リンカーはガラクトシル残基に結合している。 ガラクトクラスターを合成するための構成単位の構造を示す。 糖鎖クラスター17a〜e及び18の合成を示すスキームである。L2は、図2の説明文中に説明されている。 糖鎖クラスター17a〜e及び18の合成を示すスキームである。L2は、図2の説明文中に説明されている。 負の糖鎖クラスター対照(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Man) C1と、正の糖鎖クラスター対照(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Gal) C2の構造を示す。 マイクロアレイ上でAlexa 647‐PA‐ILと結合した糖鎖クラスターC1、C2、17a〜e及び18の蛍光強度(任意単位u.a.)を示すグラフである。 式(KI)に対応するKを有した構造(I)への合成経路を示すスキームである。 式(KII)に対応するKを有した構造(I)への合成経路を示すスキームである。ホスホルアミダート結合の構築を示す。 式(KII)に対応するKを有した構造(I)への合成経路を示すスキームである。ホスホトリエステル結合又はチオノホスホトリエステル(thionophosphotriester)結合の構築を示す。 直鎖(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)2‐5(22〜25)クラスター、及び(dT‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)(26)クラスターの合成を示すスキームである。 マンノースコア(17d、18)、ガラクトースコア(27、29)及びグルコースコア(28、30)から合成されたヘキソースが中心にある6つのテトラガラクトクラスターと、モノ‐TzAcNPhe‐O‐ガラクトース(31)複合体の構造を表す。 Alexa 647‐PA‐ILと結合した、直鎖でヘキソースが中心にある糖鎖クラスター、(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Man) C1、(DMCH‐PNMTzEGO‐Gal) C2、(DMCH‐PNMTzAcNPne‐O‐Gal)2‐5(22〜25)、(dT‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)(26)、Man‐(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(17d)、Gal‐(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(27)、Glc‐(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(28)、Man‐(HexTzM‐O‐Gal)(18)、Gal‐(HexTzM‐O‐Gal)(29)、及びGlc‐(HexTzM‐O‐Gal)(30)の蛍光任意単位(a.u.)。 プロパルギルジエチレングリコール又はプロパルギルテトラエチレングリコール1a、1b、ビス‐ペント‐4‐イニル1c、及び2,2‐(ビス‐プロパルギルオキシメチル)プロピル1dホスホラミダイトの構造。 Man(POEGMTzEG‐O‐Gal)(36)、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(32)、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(33)、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(34)、Man[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)(35)、Man(POProTzBuT‐Gal)(37)、Man(POEGMTzBuT‐Gal)(38)、及びMan[POTHME(MTzBuT‐Gal)(39)の合成スキーム。 Man(POEGMTzEG‐O‐Gal)(36)、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(32)、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(33)、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(34)、Man[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)(35)、Man(POProTzBuT‐Gal)(37)、Man(POEGMTzBuT‐Gal)(38)、及びMan[POTHME(MTzBuT‐Gal)(39)の構造。 ‐(4‐アジド‐ブチル)‐N‐(2’,3’,4’,6’‐テトラ‐O‐アセチル‐ガラクトース)‐チミン4fの合成スキーム。 Alexa 647‐PA‐ILと結合した直鎖でヘキソースが中心にある糖鎖クラスターの蛍光任意単位(a.u.)。 G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal))、G2 (Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal))、及びG3 (Man(POProTzEG‐O‐Gal))の合成スキーム。 擬似ガラクト(galactomimetic)G1(▲)、G2(●)、G3(×)、並びに単量体Gal‐O‐Me(■)及びGal‐O‐Phe‐NO(◆)のELLA曲線。阻害%(縦軸)‐濃度(横軸、mM)。 マイクロカロリメトリーのデータ。ITCプロット(VP‐ITC(Microcal社製)によって測定)は、擬似糖質G2〜3を含むPA‐ILの滴定から求めた。下のパネルのプロットは、上のパネルに示されている滴定に対する総リガンド濃度の関数としての、放出された総熱量を示す。実線は、1点モデルを用いた実験データに最良な最小二乗適合を表す。注入剤(縦軸)のkcal/モル‐濃度(モル比)。 マイクロカロリメトリーのデータ。ITCプロット(VP‐ITC(Microcal社製)によって測定)は、擬似糖質G1を含むPA‐ILの滴定から求めた。下のパネルのプロットは、上のパネルに示されている滴定に対する総リガンド濃度の関数としての、放出された総熱量を示す。実線は、1点モデルを用いた実験データに最良な最小二乗適合を表す。注入剤(縦軸)のkcal/モル‐濃度(モル比)。 細菌接着アッセイ。擬似ガラクトG1(Man(POProTzPhe‐O‐Gal))阻害剤の濃度変化に伴うNCI‐H292細胞に対する緑膿菌(PAO1)接着の阻害率。阻害%(縦軸)‐濃度(横軸、μΜ)。 O‐ビフェニル(biphenyle)、O‐ナフチル(naphthyle)ガラクトシド5及び6の合成を示すスキームである。 S‐ビフェニル、S‐ナフチルガラクトシド5S及び6Sの合成を示すスキームである。 糖鎖クラスターG1〜G24の合成を示すスキームである。
本発明の更なる特徴及び利点は、以下に挙げられている添付図面を参照し、非限定的な例として示されている本発明の実施形態の次の説明から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明は、次の式(I)に対応する分子を提供する。
Figure 2016533342
式中、
nは、3、4、5、6、7、8、9、10から選択される整数であり、
Galは、次式に示す、ガラクトピラノシル、1‐チオガラクトピラノシル、1‐メチレンガラクトピラノシル、1‐N‐アセチル‐ガラクトピラノシルから選択される基を表し、
Figure 2016533342
Kは、次のものから選択される、3〜6個のリン酸基又はチオリン酸基又はホスホルアミダート基(Pho)を含む式(KI)又は(KII)の分子を表す。
Figure 2016533342
式中、XはO又はSを表し、
リン酸基の1又は2個の酸素原子は、共有結合によってL1リンカーアームに結合しており、
第1の実施形態によれば、式(I)の分子はコアが中心にあるクラスターであり、
リン酸基又はチオリン酸基又はホスホルアミダート基Phoのいずれかは、以下の式(KI)に表されているように、同一の中心K’にすべて結合しており、
Figure 2016533342
K’は、4〜24個の炭素原子と、0〜12個の酸素原子と、対応する数の水素原子とを含む分子を表し、
Phoの1個の酸素原子は、共有結合によってK’に結合している。
K’に結合するPho基の数は、1〜9に及び得る。例示のみの目的で、5個のPho基が図(KI)に表されている。
(KI)では、Pho基は、1つのリン酸又はチオリン酸結合によってコアK’に結合し、次のものから選択される。
Figure 2016533342
(KI)では、リン酸基又はチオリン酸基は、リンカーアーム‐L1‐T‐L2‐を介して1又は2個のGal基に結合することができるので、xは1又は2であり、
第2の実施形態によれば、式(I)の分子は櫛状クラスターであり、
リン酸基若しくはチオリン酸基若しくはホスホルアミダート基は、以下の式(KII)に表されているように、鎖を形成する。
Figure 2016533342
式中、K”は、4〜12個の炭素原子と、0〜6個の酸素原子と、0〜6個の窒素原子と、対応する数の水素原子とを含む分子を表し、
Eは、0〜12個の炭素原子と、0〜6個の酸素原子と、0〜6個の窒素原子と、対応する数の水素原子とを含む末端基を表す。
本実施形態によれば、K”及びEは、例えば、アルカン又はシクロアルカンジラジカル、アルキレングリコールジラジカル、炭水化物ジラジカル又はヌクレオチドジラジカル、芳香環とPhoの‐O‐との間に少なくとも2個の‐CH‐基を含むアラルキルジラジカルであってもよく、
EもHであってもよく、
mは、2、3、4、5、6、7、8、9から選択される整数を表し、
Phoの2個の酸素原子は、共有結合によってK”基又はEに結合しており、
Phoは次のものから選択され、
Figure 2016533342
式中、XはO又はSである。
L1は、
1つ又は複数のエーテル架橋‐O‐を含む可能性がある、直鎖、分岐又は環状C1‐C18アルキルジラジカル、
2〜6つのエチレングリコール単位を含むポリ(エチレングリコール)ジラジカル、
2〜6つのプロピレングリコール単位を含むポリ(プロピレングリコール)ジラジカル
から選択されるリンカーアームを表し、
Tは、
トリアゾールジラジカル
Figure 2016533342
チオ架橋‐S‐
から選択される連結基を表し、
は、以下の式に表される式‐L21‐Ar‐L22‐に対応するリンカーアームを表す。
Figure 2016533342
式中、
21は、アミド架橋‐CO‐NH‐、エーテル架橋‐O‐、チオ架橋‐S‐、アミン架橋‐NH‐から選択される1個又は複数の基を含む可能性がある、直鎖、分岐又は環状C1‐C12アルキルジラジカルを表し、
Arは、必要に応じて1〜6個のヘテロ原子を含むC6‐C18芳香族ジラジカルを表し、
22は共有結合を表すか、又は、Galがガラクトピラノシル、1‐チオガラクトピラノシルを表す場合、L22は‐CH‐基であり得る。
好適な変形例によれば、Galは、β‐D‐ガラクトピラノシル基、又はβ‐D‐チオ‐1‐ガラクトピラノシル基を表す。Galは、式(I)において、β‐D‐ガラクトピラノシルを表すことが好ましい。
好適な変形例によれば、Tはトリアゾールジラジカルを表す。
トリアゾール基は非対称である。式(I)において、トリアゾール環の窒素原子はLに結合することができ、炭素原子はLに結合しているか、又は、窒素原子はLに結合することができ、炭素原子はLに結合している。
実験の部に開示されている分子に示されているように、結合は、次に示すものであることが好ましい。
Figure 2016533342
好適な変形例によれば、L1は、直鎖C2‐C6アルキル鎖、2,2‐ビス(メチルオキシメチル)エチル、2〜4つのエチレングリコール単位を含むポリ(エチレングリコール)ジラジカルから選択されるリンカーアームを表す。
好適な変形例によれば、L21は、末端においてAr基に結合している1個のアミド官能基‐CO‐NH‐を含むC1‐C12直鎖アルキル鎖を表す。アミド結合を介する結合は、アルキル‐CO‐NH‐Ar又はAr‐CO‐NH‐アルキルであり得る。実験の部に示されているように、結合はアルキル‐CO‐NH‐Arであることが好ましい。
好適な変形例によれば、ArはC6‐C12芳香族ジラジカルを表し、Arは、フェニル、ナフタレニル、1,4‐ビフェニルから選択される基を表すことが好ましく、Arはフェニルであり、1,4位において置換されていることが更に好ましい。
好適な変形例によれば、L22は共有結合を表す。
第1の実施形態によれば、Kは式(KI)によって表される。本変形例によれば、Kは、次に示すPho懸垂基を3、4又は5個含むことが好ましい。
Figure 2016533342
本変形例によれば、xは1であり、Kは、次に示すPho懸垂基を3、4又は5個含むことが更により好ましい。
Figure 2016533342
K’は、直鎖、分岐又は環状アルカンポリラジカルを表し得る。K’は、直鎖、分岐又は環状アルカノール(alcanol)ポリラジカルを表し得る。また、K’は、直鎖、分岐又は環状炭水化物ポリラジカルも表し得る。
本変形例によれば、K’は、ピラノース及びフラノースから選択される炭水化物を表すことが有利である。本変形例によれば、K’は、マンノース、ガラクトース、グルコース、アラビノース、キシロース、リボース及びラクトースから選択される炭水化物を表すことが更により好ましい。
別の実施形態によれば、Kは式(KII)によって表される。本変形例によれば、K”は、4〜10個の炭素原子を含む、直鎖、分岐又は環状アルカンジイル基を表し、Phoは、
Figure 2016533342
であることが好ましい。
本変形例によれば、K”は、1,4‐ジメチルシクロヘキシル、1,4‐ジエチルシクロヘキシルから選択される基を表すことが更により好ましい。
本発明の目的は、次の式(II)に対応する分子によっても達成される。
Figure 2016533342
式中、
Kは、マンノース、ガラクトース、グルコース、アラビノース、キシロース、リボース及びラクトースからなる群より選択される炭水化物を表し、
Phoは、
Figure 2016533342
からなる群より選択されるリン酸基(phosphorous group)を表す。
式中、XはO又はSを表し、
リン酸基の1又は2個の酸素原子は、共有結合によってLリンカーアームに結合しており、
は、
直鎖又は分岐C‐Cアルキルジラジカル、直鎖、分岐又は環状C‐Cアルキルジラジカル、1つ又は複数のエーテル架橋‐O‐を含む可能性がある、直鎖、分岐又は環状C‐C12アルキルジラジカル、
2、3、4、5又は6つのエチレングリコール単位を含むポリ(エチレングリコール)ジラジカル、
2、3、4、5又は6つのプロピレングリコール単位を含むポリピレングリコールジラジカル、
からなる群より選択されるリンカーアームを表す。
Tは、
トリアゾ−ルジラジカル
Figure 2016533342
からなる群より選択される連結基を表し、
は、
Figure 2016533342
(式中、n及びmは、1、2、3、4又は5から選択される整数を表す。)
からなる群より選択されるリンカーアームを表し、
Arは、フェニル、ナフタレニル及び1,4‐ビフェニル
Figure 2016533342
からなる群より選択され、
はO、S又は‐CHを表し、
Galは、次式のβ‐D‐ガラクトピラノシル基を表す。
Figure 2016533342
‐O‐基はLに相当することに留意する必要がある。
zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される整数である。
好適な変形例によれば、Kは、D‐マンノピラノシル形態下のマンノースを表す。
好適な変形例によれば、Lは、Pro(1,3‐n‐プロピル)基、EG2M(ジエチレングリコールメチレン)、EG3M(トリエチレングリコールメチレン)、EG4M(テトラエチレングリコールメチレン)を表す。
好適な変形例によれば、Arはフェニル基である。
好適な変形例によれば、zは3又は4である。
式(I)又は(II)に対応する好ましい分子を以下に挙げる。
(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Gal(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Glc(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)

Man(POProTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(POProTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)

Man(POProTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(POEGMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)

Man(PSProTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)

Man(PSProTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐S‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐S‐Gal)

Man(PSProTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)

Man(PSProTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(PSEGMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)

(DMCH‐POMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐S‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐S‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐S‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
(DMCH‐POMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐O‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐S‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐S‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐S‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐CH‐O‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
(DMCH‐PSMTzAcNPhe‐CH‐S‐Gal)
Man(PSEG2MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
Man(PSEG3MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
Man(EG2MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
Man(EG3MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
Man(EG2MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
Man(EG3MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
Man(PSEG3MTzAcNPh‐Gal)
Man(PSEG3MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
Man(PSEG2MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
Man(PSEG3MTzAcNPh‐SGal)
Man(PSEG2MTzAcNPh‐Gal)
Man(PSEG2MTzAcNPh‐SGal)
Man(EG2MTzAcNPh‐SGal)
Man(EG3MTzAcNPh‐SGal)
Man(EG3MTzproNCONapht‐OGal)
Man(EG3MTzproNCOBisphe‐OGal)
Man(PSEG3MTzproNCOBisphe‐OGal)
Man(PSEG2MTzproNCOBisphe‐OGal)
Man(EG2MTz AcNPh‐Gal)
Man(PSEG3MTzproNCONapht‐OGal)
Man(EG3MTz AcNPh‐Gal)
Man(PSEG2MTzproNCONapht‐OGal)
Man(EG2MTzproNCOBisphe‐OGal)
Man(EG2MTzproNCONapht‐OGal)

(DMCH‐POProTzAcNPhe‐OGal)
(DMCH‐PSProTzAcNPhe‐OGal)
(DMCH‐PODMCHMTzAcNPhe‐OGal)
(DMCH‐PSDMCHMTzAcNPhe‐OGal)
(DMCH‐POProTzAcNPhe‐SGal)
(DMCH‐PSProTzAcNPhe‐SGal)
(DMCH‐PODMCHMTzAcNPhe‐SGal)
(DMCH‐PSDMCHMTzAcNPhe‐SGal)
(DMCH‐POProTzProNCOBisphe‐OGal)
(DMCH‐PSProTzProNCOBisphe‐OGal)
(DMCH‐PODMCHMTzProNCOBisphe‐OGal)
(DMCH‐PSDMCHMTzProNCOBisphe‐OGal)
(DMCH‐POProTzProNCOBisphe‐SGal)
(DMCH‐PSProTzProNCOBisphe‐SGal)
(DMCH‐PODMCHMTzProNCOBisphe‐SGal)
(DMCH‐PSDMCHMTzProNCOBisphe‐SGal)
(DMCH‐POProTzProNCONapht‐OGal)
(DMCH‐PSProTzProNCONapht‐OGal)
(DMCH‐PODMCHMTzProNCONapht‐OGal)
(DMCH‐PSDMCHMTzProNCONapht‐OGal)
(DMCH‐POProTzProNCONapht‐SGal)
(DMCH‐PSProTzProNCONapht‐SGal)
(DMCH‐PODMCHMTzProNCONapht‐SGal)
(DMCH‐PSDMCHMTzProNCONapht‐SGal)

式中、DMCHは1,4‐ジメチルシクロヘキシルを表し、Manはマンノースを表し、Glcはグルコースを表し、
Proは1,3‐n‐プロピルを表し、Hexは1,6‐n‐ヘキシルを表し、THMEはトリス‐(ヒドロキシメチル)エタンを表し、
Tzはトリアゾールを表し、
Figure 2016533342
PNはホスホルアミダート結合を表し、
POはリン酸結合を表し、
PSはホスホロチオアート結合を表し、
EG2はジエチレングリコールを表し、
EG3はトリエチレングリコールを表し、
EG4はテトラエチレングリコールを表し、
AcNPheは次式のアセトアミドフェニルを表し、
Figure 2016533342
Mはメチレンを表し、
‐O‐Galはガラクトピラノシルを表し、
S‐Galは1‐チオガラクトピラノシルを表し、
‐CH‐O‐Galは、1‐メチレンガラクトピラノシルを表し、
‐CH‐S‐Galは、1‐メチレンチオガラクトピラノシルを表し、
‐NAc‐Galは、1‐N‐アセチルガラクトピラノシルを表す。
直鎖(DMCH)糖鎖クラスターはホスホルアミダート結合(PN)、ホスホトリエステル結合(PO)又はチオノホスホトリエステル結合(PS)を有し、また、ヘキソースが中心にある糖鎖クラスター(Man、Gal、Glc)は、リン酸結合(PO)又はチオリン酸(thionophosphate)結合(PS)を有する。
これらの分子の調製は、以下の実験の部に詳細に開示されている。
図6は、Kが式(KI)によって表されているコア構造である式(I)に対応する分子の調製スキームを示している。概略的に、OH官能化コアK’は、工程1)において、固体支持体
Figure 2016533342
上にグラフト化される。ただし、この工程は必須ではなく、合成は溶液中で達成することができる。その後、工程2)において、HC≡C官能化リンカーLPho基は、K’が有するヒドロキシル官能基にグラフト化される。図6にはPho基ごとに1つのみのグラフトが示されているが、1又は2つのグラフトをPho上で操作することができる。工程3)において、
Figure 2016533342
によってクリック化学反応が達成される。
式中、Galは、OH官能基上に保護基を有するGal残基を表す。詳細な操作方式は、図1及び実験の部に示されている。あるいは、保護基のないGal残基を用いることができる。トリアゾールTzは、次に示す置換基とのこの反応によって形成される。
Figure 2016533342
逆の置換は、N3とアルキン(alcyne)残基の反転によって行うことができる。
チオエーテル結合は、チオールをハロゲン(特に、臭素)と反応させて、公知の方法でTzを置換することにより得ることができる。
工程5)において、保護基は、存在する場合、Galから除去され、必要に応じて、固体支持体との結合が切断される。
図7a及び7bは、Kが式(KII)によって表されている櫛状構造である式(I)に対応する分子の調製スキームを示している。
図7aでは、概略的に、H‐ホスホネート断片K”を、工程1)において、固体支持体
Figure 2016533342
の末端基Eと反応させる。その後、工程2)において、K”の保護基R(ジメトキシトリチル)が除去される。工程3)において、第2のH‐ホスホネート断片K”を反応させ、工程4)において、R基が除去される。工程3)、4)は、所望の(m)値を得るように繰り返される。工程5)において、HC≡C官能化リンカーLがPho基上にグラフト化され、リン酸塩がホスホルアミダートに変換される。工程6)において、
Figure 2016533342
によってクリック化学反応が達成される。
式中、Galは、OH官能基上に保護基を有するGal残基を表す。あるいは、保護基のないGal残基を用いることができる。トリアゾールTzは、次に示す置換基とのこの反応によって形成される。
Figure 2016533342
逆の置換は、N3とアルキン残基の反転によって行うことができる。
あるいは(alternately)、チオエーテル結合は、チオールをハロゲン(特に、臭素)と反応させて、公知の方法でTzを置換することにより得ることができる。
工程7)において、保護基は、存在する場合、Galから除去され、固体支持体との結合が加水分解される。
変形例によれば、図7bに記載されているように、K”アルキン‐L官能化ホスホラミダイトを用いて、固体支持体上で合成を達成することができる。工程1)において、K”アルキン誘導体を末端基固体支持体と反応させ、リン酸トリエステル又はチオリン酸トリエステルに酸化させる。工程2)において、R保護基は除去され、工程3)において、第2のK”アルキン誘導体を加えて酸化させ、工程4)でのR除去後、工程3)及び4)は、所望の(m)値を得るように繰り返される。工程5)において、
Figure 2016533342
によってクリック化学反応が達成される。
式中、Galは、OH官能基上に保護基を有するGal残基を表す。あるいは、保護基のないGal残基を用いることができる。トリアゾールTzは、次に示す置換基とのこの反応によって形成される。
Figure 2016533342
逆の置換は、N3とアルキン残基の反転によって行うことができる。この場合、ブロモホスホラミダイト又はトシルホスホラミダイトが最初に調製され、次いで、アジド反応物による置換によってアジドホスホラミダイトに変換される。
あるいは、チオエーテル結合は、チオールをハロゲン(特に、臭素)と反応させて、公知の方法でTzを置換することにより得ることができる。
工程6)において、保護基は、(必要に応じて)Galから除去され、固体支持体との結合が加水分解される。
好適な変形例によれば、固体支持体上で鎖の第1のK”基を先にグラフト化することによって、固体支持体上で合成を達成することができる。
本発明は、次の式(II)に対応する分子も提供する。
Figure 2016533342
式中、
K、n、Gal、T、L、Lは、上述したものと同じ意味を有し、yはマーカーを表す。マーカーは、例えば、DNA配列又は蛍光色素であってもよい。
かかる分子は、試験目的、特に診断目的に用いることができる。
本発明の別の目的は、一般式(I)若しくは(II)の少なくとも1つの化合物、又は医薬として許容し得るその塩と、医薬として許容し得る担体及び/又は賦形剤と、を含む医薬組成物である。
かかる賦形剤は、技能を有する専門家に周知であり、投与形式に応じて、幾つかあるパラメータの中で特に適している。
かかる医薬組成物は、経口、局所、経皮、舌下、直腸下で、静脈内、筋肉内、腹腔内及び皮下経路を含む非経口経路で、治療される患者に適切な個々の用量により投与されるように製剤化されることが有利である。薬剤は、呼吸器官又は肺を介して投与されることが好ましい。
これらの化合物(I)又は(II)及びこれらを含む医薬組成物は、特に嚢胞性線維症患者、又は院内感染の犠牲者であることが多い呼吸補助下にある患者において、緑膿菌からの感染を治療又は予防するために、呼吸器官内に吸入又は滴下されるように製剤化される。
あるいは、化合物(I)又は(II)及びこれらを含む医薬組成物は、特に熱傷又は褥瘡において、緑膿菌からの感染を予防又は治療するために、手当用品又は包帯の中か又はこれらの下に局所的に用いることができる。
本発明に係る組成物は、固体、溶液、エマルジョン若しくは懸濁液を含む液体、又はゲル/クリームの形態であり、ヒトの医学において一般に用いられる医薬の形態、例えば、溶液、エマルジョン、素錠又は糖衣錠、ゼラチンカプセル、顆粒、坐剤、注入可能な製剤、軟膏、クリーム、ゲルにより提供することができ、これらは、通常の方法によって調製される。有効成分は、これらの医薬組成物に通常用いられる賦形剤、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、水性又は非水性ビヒクル、動物又は植物由来の脂肪性物質、パラフィン誘導体、グリコール、種々の湿潤剤、分散剤又は乳化剤、保存剤を用いて、組み込むことができる。
単回用量又は分割用量により投与される、本発明に係る使用における化合物の総一日量は、例えば、毎日体重1 kg当たり0.001からおよそ100 mgの量であってもよい。
特定の患者に対する特定の用量レベルは、体重、健康状態、性別、食事、投与時間及び経路、腸吸収及び再吸収及び排泄のレベル、他の薬剤との併用、並びに治療される特定の症状の重症度を含む、種々の要因によって異なる。
化合物(I)又は(II)及びこれらを含む医薬組成物は、微生物病原体による感染、具体的には、感染の第一段階においてレクチンを利用する病原菌による感染、より具体的には細菌である緑膿菌による感染を予防し、遅延させ、弱化させ、治療的処置をする抗菌剤として有用である。
本発明は、緑膿菌による毒性を予防し、遅延させ、弱化させ及び/又は阻害するのに用いる、式(I)若しくは(II)の化合物又はこれを含む医薬組成物を対象とする。
具体的には、本発明は、細菌である緑膿菌によるバイオフィルムの形成を予防し、遅延させ、弱化させ及び/又は阻害するのに用いる、式(I)若しくは(II)の化合物又はこれを含む医薬組成物を対象とする。
さらに、本発明は、一般式(I)若しくは(II)の少なくとも1つの化合物、又は医薬として許容し得るその塩と、医薬として許容し得る担体及び/又は賦形剤と、少なくとも1つ以上の他の抗菌剤、又は1つ以上の他の抗病原性剤、又は宿主の先天免疫を強化する1つ以上の薬剤と、を含む医薬組成物を対象とする。
より具体的には、本発明は、一般式(I)若しくは(II)の少なくとも1つの化合物、又は医薬として許容し得るその塩と、医薬として許容し得る担体及び/又は賦形剤と、少なくとも1つの抗生物質と、を含む医薬組成物を更に対象とする。
本発明の別の目的は、1つ以上の薬剤、より具体的には1つ以上の抗菌剤、又は1つ以上の病原性剤、又は宿主の先天免疫を強化する1つ以上の薬剤と共同による、ヒト又は動物の細菌感染の予防、遅延、弱化及び治療における化合物(I)の使用である。
一般式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物を含む組成物は、緑膿菌を捕捉することが可能な材料に用いることができる。
実験
命名法:
実験の部に示されている糖鎖クラスターに用いられる命名法:糖鎖クラスターはそれぞれ、足場(K)と、第1のリンカー(L1)と、連結基(T)と、第2のリンカー(L2)と、ガラクトース誘導体(Gal):K‐(‐L1‐T‐L2‐Gal)nと、から構成される。
用いられる足場は、DMCH(ジメチルシクロヘキサン)、Man(マンノース)、Gal(ガラクトース)、Glc(グルコース)又はdT(チミジン)であり、
PNはホスホルアミダート結合を表し、
POはリン酸結合を表し、
PSはホスホロチオアート結合を表す。
L1:Pro(1,3‐n‐プロピル)、Hex(1,6‐ヘキシル)、EG2M(ジエチレングリコールメチレン)、EG3M(トリエチレングリコールメチレン)、EG4M(テトラエチレングリコールメチレン)、THME(トリス‐(ヒドロキシメチル)エタン)、
T:トリアゾールTz、
L2:Pro(1,3‐n‐プロピル)、EG2(ジエチレングリコール)、EG3(トリエチレングリコール)、DMCH(1,4‐ジメチルシクロヘキサン)、AcNPhe(アセトアミドフェニル(acetamidephenyl))、M(メチレン)、BuT(N3‐ブチル‐チミン)。
‐O‐Galはガラクトピラノシルを表し、
‐S‐Galは1‐チオガラクトピラノシルを表し、
‐CH‐O‐Galは、1‐メチレンガラクトピラノシルを表し、
‐CH‐S‐Galは、1‐メチレンチオガラクトピラノシルを表し、
‐NAc‐Galは、1‐N‐アセチルガラクトピラノシルを表す。
直鎖(DMCH)糖鎖クラスターはホスホルアミダート結合(PN)、ホスホトリエステル結合(PO)又はチオノホスホトリエステル結合(PS)を有し、また、ヘキソースが中心にある糖鎖クラスター(Man、Gal、Glc)は、リン酸結合(PO)又はチオリン酸結合(PS)を有する。
I‐実験‐一般的手順
ホスホラミダイト1(Meyer, A. et al., (2010) J. Org. Chem. 75, 6689-6692)、2(Lietard, J. et al., (2008) J. Org. Chem. 73, 191-200; Lietard, J. et al., Meyer, A., Vasseur, J. J., and Morvan, F. (2007) Tetrahedron Lett. 48, 8795-8798)、1a及び1d(Gerland, B. et al., (2012) Bioconjugate Chem. 23, 1534-1547)、並びに、1e(Ligeour, C. et al., (2012) Eur. J. Org. Chem., 1851-1856)と、アジド固体支持体5(Pourceau, G. et al., (2009) J. Org. Chem. 74, 6837-6842)の合成は、過去に報告されている。炭水化物誘導体3(Hasegawa, T. et al., (2007) Org. Biomol. Chem. 5 (15), 2404-2412)、4a(Joosten, J. A. F. et al., (2004) J. Med. Chem. 47, 6499-6508)、4b(Szurmai, Z. et al., (1989) Acta Chimica Hungarica-Models in Chemistry 126, 259-269)、4c(Pourceau, G. et al., (2009) J. Org. Chem. 74, 1218-1222)、4d(Cecioni, S. et al., (2012) Chem. Eur. J. 18, 6250-6263)、4e(Szurmai, Z. et al., (1989))、6(Hasegawa, T., et al. (2007))、1‐プロパギル‐O‐ガラクトピラノース及びグルコピラノース(Mereyala, H. B., and Gurrala, S. R. (1998) Carbohydr. Res. 307, 351-354)は、文献に従って調製した。
3,6,9,12‐テトラオキサ‐ペンタデカン‐14‐イン‐1‐イル 2‐シアノエチルN,N‐ジイソプロピルホスホラミダイト(3,6,9,12-Tetraoxa-pentadecan-14-yn-1-yl 2-cyanoethyl N,N-diisopropyl phosphoramidite)1c:2‐シアノエチル‐N,N‐ジイソプロピルクロロホスホラミダイト(720 mg、3.0 mmol)を、3,6,9,12‐テトラオキサ‐ペンタデカン‐14‐イン‐1‐オール(600 mg、2.6 mmol)の溶液、3Å分子ふるい、及び無水ジクロロメタン(40 mL)中N,N’‐ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(1.3 mL、7.4 mmol)に加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、2 mLのHOを加えた後、この溶液を蒸発させた。乾燥した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%トリエチルアミンを含むシクロヘキサン中80%EtOAc)によって精製し、透明な油として表題化合物1c(901 mg、81%)を得た。Rf:0.9(EtOAc)。1H NMR 13C NMR 31P NMR及びHR-ESI-QToF MSが、その構造と一致している。
(2’,3’,4’,6’‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)‐チミン20:
N,O‐ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)(1.5 mL、6.1 mmol)を、チミン(327 mg、2.6 mmol)の懸濁液、及びジクロロエタン(25 mL)中ガラクトースペンタ‐O‐アセテート(1.09g、2.56 mmol)に加えた。この混合物を、アルゴン下、常温で20分間撹拌した。TMSOTf(2.2 mL、12.1 mmol)を加えた後、この反応混合物を還流下で2時間30分加熱した。得られた混合物を常温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ油を得て、これを酢酸エチル(100 mL)中で希釈し、NaHCO(100 mL)の飽和水溶液及びブライン(100 mLで2回)によって洗浄した。NaSOによって乾燥させた後、ろ過し濃縮し、得られた油をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/シクロヘキサン、8:2、v/v)によって精製し、白い泡としての所望の化合物20(782 mg、67%)を得た。1H NMR 13C NMR及びHR-ESI-QToF MSが、その構造と一致している。
1‐(2’,3’,4’,6’‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)‐3‐(4‐ブロモブチル)チミン21:
無水ジメチルホルムアミド(4 mL)中(2’,3’,4’,6’‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)‐チミン20(350 mg、0.77 mmol)の溶液を、炭酸カリウム(318 mg、2.30 mmol)とともに、5分間撹拌した。次いで、1,4‐ジブロモブタン(919 μL、7.70 mmol)を加え、この混合物を、還流下で4時間及び70℃で一晩煮沸させた。その後、反応混合物を濃縮し油を得て、これをジクロロメタン(20 mL)中で希釈し、NaHCO(20 mL)の飽和水溶液及びブライン(20 mLで2回)によって洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/シクロヘキサン、4:6)によって精製し、淡黄色の泡として所望の化合物21(270 mg、59%)を得た。1H NMR 13C NMR及びHR-ESI-QToF MSが、その構造と一致している。
1‐(2’,3’,4’,6’‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)‐3‐(4‐アジドブチル)チミン4f:
無水ジメチルホルムアミド(3 mL)中化合物21(231 mg、0.39mmol)の溶液を、アジ化ナトリウム(203 mg、3.12 mmol)とともに、100℃で24時間撹拌した。ジクロロメタン(10 mL)を加えた後、この反応物をブライン(20 mLで3回)によって洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し濃縮し、無色の油として所望の生成物(214 mg、99%)を得た。1H NMR 13C NMR及びHR-ESI-QToF MSが、その構造と一致している。
Cu(I)触媒アルキンアジド1,3‐双極環状付加による1‐O‐プロパルギルヘキソースのアジド固体支持体5への固定。1‐O‐プロパルギルヘキソース(α‐マンノース6、β‐ガラクトース、β‐グルコース)(100 mM、175 μL)の水溶液、CuSOの新たに調製した水溶液(100 mM、14 μL)及びアスコルビン酸ナトリウムの新たに調製した水溶液(500 mM、14 μL)、水(147 μL)、並びにMeOH(350 μL)を、3.5 μmolのアジド固体支持体5に加えた。得られた混合物を、マイクロ波シンセサイザーによって60℃で45分間(予備混合時間:30秒)、封管中で処理した。内部赤外線プローブによって温度をモニタリングした。溶液を除去し、CPGビーズを、HO(2 mLで3回)、MeOH(2 mLで3回)及びCHCN(2 mLで3回)によって洗浄し、乾燥させ、固体支持ヘキソースを得た。
ヘキソースヒドロキシルへのアルキニルホスホラミダイト又はブロモヘキシルホスホラミダイト導入の一般的手順。固体支持ヘキソース誘導体(1 μmol規模)を、ホスホラミダイト化学作用によってDNAシンセサイザーで、アルキニルホスホラミダイト又は6‐ブロモヘキシルホスホラミダイト2とともに処理した。カップリング工程及び酸化工程のみを実行した。カップリング工程では、ベンジルメルカプトテトラゾールを活性剤(無水CHCN中0.3M)として用い、ホスホラミダイト1、2又は1a〜e(無水CHCN中0.2M)を、180秒のカップリング時間により3回(120 μmol)導入した。市販ヨウ化物溶液(0.1M I、THF/ピリジン/水90:5:5)とともに15秒間、酸化を実行した。
アジド化の一般的手順。テトラブロモヘキシルヘキソース(1 μmol)を有する固体支持オリゴヌクレオチドを、TMGN(31.6 mg、200当量)の溶液、DMF(1 mL)中NaI(30 mg、200当量)によって、65℃で1時間処理した。ビーズを、DMF(2 mLで3回)、HO(2 mLで3回)及びCHCN(2 mLで3回)によって洗浄した後、アルゴンにより洗い流して乾燥させた。
DNA配列の伸長及びCy3による標識の一般的手順。DNA配列を、標準ホスホラミダイト化学作用によって、DNAシンセサイザー(ABI 394)で、固体支持足場上で1 μmol規模により合成した。カップリング工程では、活性剤としてベンジルメルカプトテトラゾール(無水CHCN中0.3M)を用い、市販ヌクレオシドホスホラミダイト(無水CHCN中0.09M)を、20秒のカップリング時間により導入し、また、Cy3アミダイト(無水CHCN中0.06M)を180秒のカップリング時間により導入した。市販溶液(キャップA:AcO/ピリジン/THF、10:10:80、及びキャップB:THF中10% N‐メチルイミダゾール)を用いて、無水酢酸とともに、キャッピング工程を15秒間実行した。酸化をそれぞれ15秒間実行した。CHCl中2.5% DCAとともに35秒間、脱トリチル化を実行した。
固体支持オリゴヌクレオチド脱保護の一般的手順。修飾オリゴヌクレオチドを有するCPGビーズを4 mLのスクリュートップバイアルに移し、2 mLの濃アンモニア水によって室温で15時間処理し、55℃まで2時間加温した。それぞれの化合物について、上清を回収し、蒸発させて乾燥させた。残渣を水中に溶解した。
水素ホスホネート(hydrogenophosphonate)化学作用による伸長の一般的手順
1,3‐プロパンジオール固体支持体(1 μmol)から開始するH‐ホスホネート化学作用サイクルを用い、DNAシンセサイザー(ABI 394)で伸長を実行した。CHCl中2.5% DCAとともに35秒間、脱トリチル化工程を実行した。次いで、ジメタノールシクロヘキサン(DMCH)H‐ホスホネートモノエステル9(Bouillon et al. (2006), J. Org. Chem. 71, 4700-4702)、又は市販チミジンH‐ホスホネートモノエステル(無水CHCN/CN 1:1 v/v中60 mM)、及び活性剤としての塩化ピバロイル(無水CHCN/CN 1:1 v/v中200 mM)を、カラムに6回又は5秒間(30モル過剰)通した。必要に応じてサイクルを繰り返し、2〜5つのDMCHモチーフ又は4つのdTモチーフを有する所望の足場を得た。
アミド化的酸化(amidative oxidation)の一般的手順
2つのシリンジを用いて、CCl/CN(1:1 v/v)中10%プロパルギルアミンの溶液2 mLにより30分間、固体支持H‐ホスホネートジエステル足場(1 μmol)を端から端まで処理した。CPGビーズを、CN(2 mLで2回)及びCHCN(2 mLで3回)によって洗浄し、次いで、アルゴンにより洗い流して乾燥させた。その後、上述したようにホスホラミダイト化学作用によって、オリゴヌクレオチドの伸長及びCy3による標識を実行した。
CuAAC反応の一般的手順
アジドD‐ガラクトース誘導体4a〜f導入の手順:5’‐蛍光‐3’‐アルキンオリゴヌクレオチド(100 μLのHO中100 nmol)の溶液に、アジドガラクトース(azid galacose)4a〜f(アルキン官能基当たり3当量、MeOH中100 mM)、1 mgのCu(0)ナノ粉末、トリエチルアンモニウム酢酸緩衝液(0.1M、pH7.7)(25 μL)、水及びMeOHを加え、250 μLの最終量(水MeOH、1:1、v/v)を得た。得られた調製物を収容したチューブを密封し、Biotage社製のマイクロ波シンセサイザーイニシエーターに60℃で60分間(30秒間の予備混合時間)置いた。
1‐O‐プロパルギル‐D‐ガラクトース3導入の手順:5’‐蛍光‐3’‐ヘキソースが中心にあるテトラアジドヘキシルオリゴヌクレオチド(100 μLのHO中100 nmol)の溶液に、1‐O‐プロパルギル2,3,4‐トリ‐O‐アセチル‐D‐ガラクトース3(アジド官能基当たり5当量、MeOH中100 mM)、1 mgのCu(0)ナノ粉末、トリエチルアンモニウム酢酸緩衝液(0.1M、pH7.7)(25 μL)、水及びMeOHを加え、250 μLの最終量(水MeOH、1:1、v/v)を得た。得られた調製物を収容したチューブを密封し、油浴中に入れ、60℃で60分間磁気撹拌した。
1‐(4‐ニトロ‐ベンジル)‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド8:窒素雰囲気下、0℃で、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(1.5 mL、12 mmol)を、β‐D‐ガラクトースペンタアセテート(1.561g、4 mmol)の溶液、及び20 mL CHCl中p‐ニトロベンジルアルコール(1.225g、8 mmol)に滴下して加えた。数分後、この混合物を加熱して還流し、7時間撹拌し続けた。次いで、この反応物を水によってクエンチし、CHClによって抽出した。CHCl層を回収し、NaSOによって乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中0〜15%のAcOEt)によって精製し、白色の固体としての生成物(1.148g、59%)を得た。Rf=0.36(AcOEt/シクロヘキサン、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.21 (d, J = 8.9 Hz, 2H, H-10, H-12), 7.47 (d, J = 8.9 Hz, 2H, H-9, H-13), 5.42 (dd, J = 3.4 and 0.8 Hz, 1H, H-4), 5.32 (dd, J = 10.5 and 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.04 (dd, J = 10.5 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 5.02-4.72 (2xd, J = 13.2 Hz, 2H, H-7), 4.60 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.21 (dd, J = 11.2 and 6.5 Hz, 1H, H-6), 4.15 (dd, J = 11.2 and 6.5 Hz, 1H, H-6), 3.94 (dt, J = 0.8 and 6.5 Hz, 1H, H-5), 2.17 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 6H, 2xCH3CO), 1.99 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.3, 170.2, 169.5 (4 x CO-Ac), 147.7 (C-11), 144.6 (C-8), 127.7 (C-9), 123.8 (C-10), 100.8 (C-1), 71.1 (C-5), 70.9 (C-3), 69.6 (C-7), 68.9 (C-2), 67.1 (C-4), 61.4 (C-6), 20.9, 20.8, 20.8, 20.7(4 x CH3-Ac). HRMS (ESI+) : calculated for C21H25NO12Na [M + Na]+ 506.1274, found 506.1282. [α]D20 = -19.1° (c 0.9, MeOH)。
水素化分解の一般的手順(方法A)。化合物8又は91、2又は103、4を蒸留CHCl中に溶解し、これに、炭(10% w/w)上にある10%パラジウムを加えた。TLCで判断されるように、出発物質が消失するまで、反応混合物に水素ガスをバブリングした。反応混合物をセライトパッド上でろ過し、CHClによって洗浄した。粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た。
4‐ブロモアセトアミド‐アリール‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド合成の一般的手順(方法B)。蒸留CHCl中化合物11又は12(1当量)の溶液を、アルゴンにより洗い流し、0℃まで冷却し、Et3N(1.4当量)を加えた。ブロモアセチルブロミド(1.3当量)を滴下して加え、この混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで1時間加温した。CHCl中粗混合物を、1N HCl(25 mLで2回)、水(25 mLで2回)及びブライン(25 mL)によって洗浄した。乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮し、CHClを完全に除去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た。
4‐アジドアセトアミド(azidooacetamido)‐アリール‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド合成の一般的手順(方法C)。化合物14、15又は16(1当量)の溶液及び無水CHCN中TMGN3(3当量)を、マイクロ波支援下、80℃で15分間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た。
炭水化物脱アセチル化の一般的手順(方法D)。アセチル化されたグリコシド(4‐(アジドアセトアミド)フェニル‐β‐D‐ガラクトシド、5、17〜19及び28〜29)を、MeOH又は1,4‐ジオキサン中に懸濁させ、30%アンモニア溶液を加えた(1:1、v/v)。この混合物を、アルゴン下、室温で6時間から1日撹拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、所望の生成物を得た。
グリコシド化の一般的手順(方法E)。0℃で、化合物7(1当量)、22又は23(2当量)の溶液、及びCHCl中テトラブチルアンモニウム水素スルファート(1当量)に、1MのNaOH水溶液を加えた。二相混合物を室温で36時間撹拌し、次いで、CHClによって希釈し、1M NaOH(30 mLで2回)によって洗浄し、NaSOで脱水した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た。
ビアリールガラクトピラノシドアジド化の一般的手順(方法F)。化合物26又は27(1当量)を無水DMF中に溶解し、続いて、1‐エチル‐3‐(3’‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(1.6当量)、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(1.1当量)を加えた。3‐アジドプロピルアミン(2当量)を加え、この反応物を室温で12時間撹拌した。反応物を濃縮した後、水によってクエンチし、DCMによって抽出した。有機層を硫酸ナトリウムによって乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た。
1‐(4‐アミノ‐ベンジル)‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド11。白色の固体として(412 mg、45%)次の方法Aにより得られた。蒸留CHCl(30 mL)中化合物8(968 mg、2.00 mmol)、10%のPd/C(96.8 mg)。この混合物を後処理し、水層をCHClによって抽出し、粗生成物をシリカゲル(CHCl中0〜5%のMeOH)上で精製し、純粋な生成物を得た。Rf=0.43(AcOEt/シクロヘキサン、6:4、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.02 (d, J = 8.1 Hz, 2H, H-10, H-12), 6.60 (d, J = 8.1, 2H, H-9, H-13), 5.32 (d, J = 3.3 Hz, 1H, H-4), 5.18 (dd, J = 10.4 and 8.3 Hz, 1H, H-2), 4.91 (dd, J = 10.4, 3.3, 1H, H-3), 4.71-4.46 (2xd, J = 11.9, 2H, H-7), 4.42 (d, J =7.9, 2H, H-1), 4.15 (dd, J = 11.2 and 6.5 Hz, 1H, H-6), 4.10 (dd, J = 11.2 and 6.5 Hz, 1H, H-6), 3.81 (t, J = 6.5, 1H, H-5), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 2.01 (s, 3H, CH3CO), 1.94 (s, 3H, CH3CO), 1.91 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.4, 170.2, 169.5 (4 CO Ac), 146.6 (C-11), 129.8 (C-8), 126.3 (C-9), 115.0 (C-10), 99.2 (C-1), 71.1 (C-5), 70.8 (C-3), 70.7 (C-7), 69.0 (C-2), 67.3 (C-4), 61.5 (C-6), 20.8, 20.8, 20.7, 20.6 (4 CH3CO). HRMS (ESI+) : calculated for C21H28NO10 [M + H]+454.1713, found 454.1718. [α]D20 = -25.0° (c 0.4, MeOH)。
4‐アミノ‐ベンジル‐1‐チオ‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド12。無色の油として(314 mg、79%)次の方法Aにより得られた。蒸留CHCl(15 mL)中化合物9(425 mg、0.851 mmol)、10%のPd/C(42.5 mg)。この混合物を後処理し、水層をCHClによって抽出し、粗生成物をシリカゲル(CHCl中0〜5%のMeOH)上で精製し、純粋な生成物を得た。Rf=0.26(AcOEt/シクロヘキサン、6:4、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.08 (d, J = 8.1 Hz, 2H, H-9, H-13), 6.63 (d, J = 8.1 Hz, 2H, H-10, H-12), 5.40 (d, J = 3.3 Hz, 1H, H-4), 5.26 (t, J = 9.9 Hz, 1H, H2), 4.96 (dd, J = 9.9 and 3.3 Hz, 1H, H-3), 4.27 (d, J = 9.9 Hz, 1H, H-1), 4.17 (dd, J = 11.3 and 6.6 Hz, 1H, H-6), 4.11 (dd, J = 11.3 and 6.6 Hz, 1H, H-6), 3.86 (d, J = 12.9 Hz, 1H, H-7), 3.81 (t, J = 6.6 Hz, 1H, H-5), 3.75 (d, J = 12.9 Hz, 1H, H-7), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.06 (s, 3H, CH3CO), 2.01 (s, 3H, CH3CO), 1.96 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.4, 170.2, 169.7 (4 CO Ac), 145.8 (C-11), 130.3 (C-9), 126.5 (C-8), 115.3 (C-10), 82.5 (C-1), 74.5 (C-5), 72.0 (C-3), 67.5 (C-4), 67.3 (C-2), 61.8 (C-6), 33.7 (7), 20.9, 20.8, 20.8, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated for C21H28NO9S [M + H]+ 470.1485, found 470.1489. [α]D20 = -73.8° (c 1.0, MeOH)
4‐ブロモアセトアミドベンジル‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド14。淡黄色の油として(238 mg、79%)次の方法Bにより得られた。蒸留CHCl(30 mL)中化合物11(239 mg、0.527 mmol)、Et3N(0.103 mL、0.738 mmol)、ブロモアセチルブロミド(0.059 mL、0.685 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜60%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.31(AcOEt/シクロヘキサン、6:4、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.23 (s, 1H, H-14), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 2H, H-10, H-12), 7.26 (d, J = 8.4 Hz, 2H, H-9, H-13), 5.37 (dd, J = 3.4 and 0.9 Hz, 1H, H-4), 5.25 (dd, J = 10.4 and 7.9 Hz, 1H, H-2), 4.97 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 4.85-4.59 (2xd, J = 12.2 Hz, 2H, H-7), 4.50 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.19 (dd, J = 11.2 and 6.5 Hz, 1H, H-6), 4.13 (dd, J = 11.2 and 6.5 Hz, 1H, H-6), 3.99 (s, 2H, H-16), 3.88 (dt, J = 0.9 and 6.5 Hz, 1H, H-5), 2.13 (s, 3H, CH3CO), 2.04 (s, 3H, CH3CO), 2.00 (s, 3H, CH3CO), 1.96 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm : 170.6, 170.4, 170.3, 169.6 (4 x CO-Ac), 163.8 (C-15), 137.0 (C-11), 133.7 (C-8), 128.7 (C-9), 120.2 (C-10), 100.0 (C-1), 71.1 (C-3), 71.0 (C-5), 70.4 (C-7), 69.0 (C-2), 67.3 (C-4), 61.5 (C-6), 29.6 (C-16), 20.9, 20.8, 20.8, 20.7 (4 x CH3-Ac). HRMS (ESI+): calculated for C23H29BrNO11 [M + H]+ 574.0924, found 574.0933. [α]D20 = -13.1° (c 2.6, MeOH)。
4‐ブロモアセトアミドベンジル‐1‐チオ‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド15:黄色の油として(367 mg、93%)次の方法Bにより得られた。蒸留CHCl(10 mL)中化合物12(314 mg、0.669 mmol)、Et3N(0.130 mL、0.937 mmol)、ブロモアセチルブロミド(0.075 mL、0.869 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜40%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.28(AcOEt/シクロヘキサン、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.23 (s, 1H, H-14), 7.47 (d, J = 8.5 Hz, 2H, H-10, H-12), 7.26 (d, J = 8.5 Hz, 2H, H-9, H-13), 5.37 (dd, J = 3.3 and 0.8 Hz, 1H, H-4), 5.23 (t, J = 10.0 Hz, 1H, H-2), 4.94 (dd, J = 10.0 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 4.25 (d, J = 10.0 Hz, 1H, H-1), 4.12 (dd, J = 11.4 and 6.7 Hz, 1H, H-6), 4.05 (dd, J = 11.4 and 6.4 Hz, 1H, H-6), 3.98 (s, 2H, H-16), 3.90, 3.81 (2 x d, J = 13.0 Hz, each 1H, H-7), 3.78 (m, 1H, H-5), 2.12 (s, 3H, CH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 1.99 (s, 3H, CH3CO), 1.93 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.6, 170.4, 170.2, 169.8 (4 CO Ac), 163.74 (C-15), 136.4 (C-11), 133.9 (C-8), 130.0 (C-9), 120.3 (C-10), 82.6 (C-1), 74.6 (C-5), 72.0 (C-3), 67.5 (C-4), 67.3 (C-2), 61.7 (C-6), 33.4 (C-7), 29.6 (C-16), 20.9, 20.8, 20.8, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated for C23H29NO10BrS [M + H]+ 590.0696, found 590.0688. [α]D20 = -56.7° (c 2.0, MeOH)。
4‐ブロモアセトアミドフェニル‐1‐チオ‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド16:無水CHCl(20 mL)中化合物10(497 mg、1.02 mmol)の溶液を脱気し、次いで、10%のPd/C(49.7 mg)を加えた。この溶液を水素雰囲気に供し、室温で3日間撹拌した。出発物質が完全に消失した後、化合物13の混合物をアルゴンにより洗い流し、0℃まで冷却し、Et3N(0.043 mL、0.308 mmol)を加えた。ブロモアセチルブロミド(0.025 mL、0.286 mmol)を滴下して加え、この混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで1時間加温し、次いで、セライトのプラグを通してろ過し、CHClによって洗浄した。粗混合物を、1N HCl(25 mLで2回)、水(25 mLで2回)及びブライン(25 mL)によって洗浄した。乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮し、CHClを完全に除去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中0〜30%のAcOEt)によって精製し、黄色の油としての生成物(全505.6 mg、86%)を得た。Rf=0.33(AcOEt/シクロヘキサン、6:4、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.15 (s, 1H, H-13), 7.52 (m, 2H, H-9, H-11), 7.51 (m, 2H, H-8, H-12), 5.40 (dd, J = 3.3 and 0.8 Hz, 1H, H-4), 5.19 (t, J = 9.9 Hz, 1H, H-2), 5.04 (dd, J = 9.9 and 3.3 Hz, 1H, H-3), 4.65 (d, J = 9.9 Hz, 1H, H-1), 4.17 (dd, J = 11.4 and 6.9 Hz, 1H, H-6), 4.11 (dd, J = 11.4 and 6.9 Hz, 1H, H-6), 4.01 (s, 2H, H-15), 3.91 (dt, J = 0.8 and 6.9 Hz 1H, H-5), 2.11 (s, 3H, CH3CO), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 2.05 (s, 3H, CH3CO), 1.96 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.3, 170.2, 169.5 (4 CO Ac), 163.5 (C-14), 137.4 (C-10), 134.3 (C-8), 128.2 (C-7), 120.3 (C-9), 86.7 (C-1), 74.7 (C-5), 72.1 (C-3), 67.4 (C-4), 61.7 (C-6), 29.5 (C-15), 21.0, 20.8, 20.8, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated forC22H26NO10NaSBr [M + Na]+ 598.0358, found 598.0360. [α]D20 = -13.0° (c 2.2, MeOH)
4‐アジドアセトアミドベンジル‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド17。白色の固体として(148 mg、94%)次の方法Cにより得られた。無水CHCN(4 mL)中化合物14(168 mg、0.292 mmol)、TMGN3(138.6 mg、0.876 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜40%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.28(AcOEt/シクロヘキサン、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.05 (s, 1H, H-14), 7.50 (d, J = 8.8 Hz, 2H, H-10, H-12), 7.24 (d, J = 8.8 Hz, 2H, H-9, H-13), 5.35 (d, J = 3.4 Hz, 1H, H-4), 5.23 (dd, J = 10.4 and 7.9 Hz, 1H, H-2), 4.95 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 4.83 (d, J = 12.2 Hz, 1H, H-7), 4.57 (d, J = 12.2 Hz, 1H, H-7), 4.48 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.17 (dd, J = 11.2 and 6.4 Hz, 1H, H-6), 4.13 (dd, J = 11.2 and 6.4 Hz, 1H, H-6), 4.10 (s, 2H, H-16), 3.85 (t, J = 6.4 Hz, 1H, H-5), 2.12 (s, 3H, CH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 1.98 (s, 3H, CH3CO), 1.94 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.4, 170.3, 170.1, 169.4 (4 CO Ac), 164.6 (C-15), 136.6 (C-11), 133.4 (C-8), 128.6 (C-9), 120.0 (C-10), 99.8 (C-1)), 70.9 (C-3), 70.8 (C-5), 70.2 (C-7), 68.9 (C-2), 67.1 (C-4), 61.3 (C-6), 53.0 (C-16), 20.8, 20.7, 20.7, 20.6 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated for C23H29N4O11 [M + H]+ 537.1833, found 537.1840. [α]D20 = -18.0° (c 1.0, MeOH)。
4‐アジドアセトアミドベンジル‐β‐D‐ガラクトピラノシド3。HRMS (ESI+): calculated for C15H21N4O7 [M + H]+ 369.1410, found 369.1411。
4‐アジドアセトアミドベンジル‐1‐チオ‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド18。淡褐色の結晶として(99 mg、94%)次の方法Cにより得られた。無水CHCN(5 mL)中化合物15(112 mg、0.190 mmol)、TMGN3(90.2 mg、0.570 mmol)により開始する。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜40%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.26(AcOEt/シクロヘキサン、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.20 (s, 1H, H-14), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 2H, H-10, H-12), 7.27 (d, J = 8.4 Hz, 2H, H-9, H-13), 5.39 (d, J = 3.3 Hz, 1H, H-4), 5.25 (t, J = 10.0 Hz, 1H, H2), 4.96 (dd, J = 10.0 and 3.3 Hz, 1H, H-3), 4.28 (d, J = 10.0 Hz, 1H, H-1), 4.13 (dd, J = 11.4 and 6.7 Hz, 1H, H-6), 4.10 (s, 2H, H-16), 4.07 (dd, J = 11.4 and 6.7 Hz, 1H, H-6), 3.92, 3.81 (2xd, J = 13.0 Hz, each 1H, H-7), 3.80 (d, J = 6.7 Hz, 1H, H-5), 2.14 (s, 3H, CH3CO), 2.05 (s, 3H, CH3CO), 2.01 (s, 3H, CH3CO), 1.95 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.4, 170.3, 170.1, 169.7 (4CO Ac), 164.9 (C-15), 136.1 (C-11), 133.6 (C-8), 129.8 (C-9), 120.2 (C-10), 82.4 (C-1), 74.4 (C-5), 71.2 (C-3), 67.4 (C-4), 67.09 (C-2), 61.6 (C-6), 52.90 (C-16), 33.3 (C-7), 20.8, 20.7, 20.7, 20.6 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated for C23H29N4O10S [M + H]+ 553.1604, found 553.1621. [α]D20 = -53.4° (c 1.0, MeOH)。
4‐アジドアセトアミドベンジル‐1‐チオ‐β‐D‐ガラクトピラノシド4。HRMS (ESI+): calculated for C15H21N4O6S [M + H]+ 385.1182, found 385.1185。
4‐アジドアセトアミドフェニル‐1‐チオ‐2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシド(19)。無色の油として(56 mg、55%)次の方法Cにより得られた。無水CHCN(4 mL)中化合物16(109 mg、0.189 mmol)、TMGN3(89.7 mg、0.567 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜40%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.28(AcOEt/シクロヘキサン、6:4、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.08 (s, 1H, H-13), 7.51 (m, 2H, H-9, H-11), 7.49 (m, 2H, H-8, H-12), 5.39 (dd, J = 3.3 and 0.9 Hz, 1H, H-4), 5.18 (t, J = 9.9 Hz, 1H, H-2), 5.03 (dd, J = 9.9 and 3.3 Hz, 1H, H-3), 4.64 (d, J = 9.9 Hz, 1H, H-1), 4.16 (dd, J = 11.4 and 6.9 Hz, 1H, H-6), 4.13 (s, 2H, H-15), 4.09 (dd, J = 11.4 and 6.9 Hz, 1H, H-6), 3.90 (dt, J = 0.8 and 6.69 Hz, 1H, H-5), 2.10 (s, 3H, CH3CO), 2.08 (s, 3H, CH3CO), 2.03 (s, 3H, CH3CO), 1.95 (s, 3H, CH3CO). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.3, 170.1, 169.5 (4 CO Ac), 164.7 (C-14), 137.3 (C-10), 134.2 (C-8), 128.0 (C-7), 120.4 (C-9), 86.7 (C-1), 74.6 (C-5), 72.1 (C-3), 67.4 (C-4), 61.7 (C-6), 53.08 (C-15), 20.9, 20.8, 20.7, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated for C22H27N4O10S [M + H]+ 539.1448, found 539.1450. [α]D20 = -12.3° (c 1.3, MeOH)。
4‐アジドアセトアミドフェニル‐1‐チオ‐β‐D‐ガラクトピラノシド2。HRMS (ESI+): calculated for C14H19N4O6S [M + H]+ 371.1025, found 371.1031。
4’‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐ビフェニル‐4‐カルボン酸ベンジル24。白色の固体として(2.189g、99%)次の方法Eにより得られた。蒸留CHCl(15 mL)、1MのNaOH水溶液(5 mL)中化合物7(1.439g、3.5 mmol)、4’‐ヒドロキシ‐ビフェニル‐4‐カルボン酸ベンジル226(2.464g、7.05 mmol)、テトラブチルアンモニウム水素スルファート(1.188g、3.5 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜30%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.39(AcOEt/シクロヘキサン、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.13 (d, J = 8.5 Hz, 2H, H-13, H-15), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 2H, H-12, H-16), 7.56 (d, J = 8.8 Hz, 2H, H-9, H-17), 7.46 (d, J = 7.2 Hz, 2H, H-22, H-26), 7.40 (t, J = 7.2 Hz, 2H, H-23, H-25), 7.34 (t, J = 7.2 Hz, 1H, H-24), 7.10 (d, J = 8.8 Hz, 2H, H-8, H-18), 5.52 (dd, J = 10.4 and 8.0 Hz, 1H, H-2), 5.48 (dd, J = 3.4 and 0.8 Hz, 1H, H-4), 5.39 (s, 2H, H-20), 5.14 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 5.11 (d, J = 8.0 Hz, 1H, H-1), 4.25 (dd, J = 11.2 and 7.0 Hz, 1H, H-6), 4.18 (dd, J = 11.2 and 6.4 Hz, 1H, H-6), 4.09 (ddd, J = 7.0 and 6.4 and 0.8 Hz, 1H, H-5), 2.19 (s, 3H, COCH3), 2.08 (s, 3H, COCH3), 2.07 (s, 3H, COCH3), 2.02 (s, 3H, COCH3). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm:170.4, 170.3, 170.2, 169.5 (4 CO Ac), 166.4 (C-19), 157.2 (C-7), 145.1 (C-11), 136.3 (C-21), 135.3 (C-10), 130.4 (C-13), 128.9 (C-14), 128.7 (C-23), 128.6 (C-9), 128.4 (C-24), 128.3 (C-22), 126.9 (C-12), 117.5 (C-8), 99.7 (C-1), 71.3 (C-5), 71.0 (C-3), 68.8 (C-2), 67.0 (C-4), 66.8 (C-20), 61.5 (C-6), 20.9, 20.8, 20.7, 20.6 (4 CH3CO). HRMS (ESI+) : calculated for C34H34O12Na [M + Na]+ 657.1948, found 657.1948. [α]D20 = +6.0° (c 1.2, 1,4-dioxane)。
4’‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐ビフェニル‐4‐カルボン酸26。白色の固体として(691 mg、37%)次の方法Aにより得られた。蒸留CHCl(30 mL)中化合物24(2.189g、3.45 mmol)、10%のPd/C(219 mg)。この混合物を後処理し、水層をCHClによって抽出し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜50%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.44(MeOH/CHCl、1:9、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.17 (d, J = 8.4 Hz, 2H, H-13, H-15), 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H, H-12, H-16), 7.58 (d, J = 8.7 Hz, 2H, H-9, H-17), 7.11 (d, J = 8.7 Hz, 2H, H-8, H-18), 5.53 (dd, J = 10.4 and 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.48 (d, J = 3.4 Hz, 1H, H-4), 5.15 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 5.12 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.26 (dd, J = 11.4 and 7.0 Hz, 1H, H-6), 4.19 (dd, J = 11.4 and 6.4 Hz, 1H, H-6), 4.11 (m, 1H, H-5), 2.20 (s, 3H, COCH3), 2.09 (s, 3H, COCH3), 2.08 (s, 3H, COCH3), 2.03 (s, 3H, COCH3). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 171.3 (C-19), 170.5, 170.4, 170.3, 169.5 (4 CO Ac), 157.3 (C-7), 145.8 (C-11), 135.2 (C-10), 131.0 (C-13), 128.7 (C-9), 127.9 (C-14), 127.0 (C-12), 117.5 (C-8), 99.7 (C-1), 71.3 (C-5), 71.0 (C-3), 68.8 (C-2), 67.0 (C-4), 61.5 (C-6), 20.9, 20.8, 20.7, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+) : calculated for C27H28O12Na [M + Na]+ 567.1478, found 567.1489. [α]D20 = +6.6° (c 1.1, 1,4-dioxane)。
4’‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐ビフェニル‐4‐カルボン酸ベンジル3‐アジド‐プロピル‐アミド(Benzyl 4’-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-galactopyranosyloxy)-biphenyl-4-carboxylic acid 3-azido-propyl-amide)28。白色の固体として(47 mg、74%)次の方法Fにより得られた。無水DMF(5 mL)中化合物26(131 mg、0.102 mmol)、1‐エチル‐3‐(3’‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(25.3 mg、0.163 mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(15.1 mg、0.112 mmol)、3‐アジドプロピルアミン(20.4 mg、0.204 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜50%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.34(MeOH/CHCl、2:98、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.81 (d, J = 8.2 Hz, 2H, H-13, H-15), 7.58 (d, J = 8.2 Hz, 2H, H-12, H-16), 7.52 (d, J = 8.6 Hz, 2H, H-9, H-17), 7.06 (d, J = 8.7 Hz, 2H, H-8, H-18), 6.46 (t, J = 5.7 Hz, 1H, H-20), 5.49 (dd, J = 10.4 and 8.0 Hz, 1H, H-2), 5.45 (d, J = 3.4 Hz, 1H, H-4), 5.11 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 5.08 (d, J = 8.0, 1H, H-1), 4.22 (dd, J = 11.3 and 6.7 Hz, 1H, H-6), 4.15 (dd, J = 11.3 and 6.7 Hz, 1H, H-6), 4.08 (t, J = 6.7 Hz, 1H, H-5), 3.56 (q, J = 6.4 Hz, 2H, H-21), 3.44 (t, J = 6.4 Hz, 2H, H-23), 2.17 (s, 3H, COCH3), 2.06 (s, 3H, COCH3), 2.04 (s, 3H, COCH3), 2.00 (s, 3H, COCH3), 1.91 (p, J = 6.4 Hz, 2H, H-22). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.3, 170.2, 169.5(4 CO Ac), 167.4 (C-19), 157.1 (C-7), 143.6 (C-11), 135.3 (C-10), 133.0 (C-14), 128.5 (C-9), 127.6 (C-13), 127.1 (C-12), 117.4 (C-8), 99.7 (C-1), 71.2 (C-5), 70.9 (C-3), 68.8 (C-2), 67.0 (C-4), 61.5 (C-6), 49.8 (C-23), 38.0 (C-21), 28.9 (C-22), 20.9, 20.8, 20.8, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+): calculated for C30H35N4O11 [M + H]+ 627.2302, found 627.2304. [α]D20 = +3.8° (c 3.2, 1,4-dioxane)
4’‐(β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐ビフェニル‐4‐カルボン酸ベンジル3‐アジドプロピル‐アミド(Benzyl 4’-(β-D-galactopyranosyloxy)-biphenyl-4-carboxylic acid 3-azidopropyl-amide)5。HRMS (ESI+) : calculated for C22H27N4O7 [M + H]+ 459.1880, found 459.1884。
ベンジル‐6‐ヒドロキシ‐2‐ナフトアート23:90%水性メタノール(20 mL)中6‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸(1.882g、10 mmol)の溶液に、CsCO(1.629g、5 mmol)を加えた。この溶液を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、次いで、トルエン(10 mLで2回)によって共蒸発させた。得られたセシウム塩を無水DMF(10 mL)中に懸濁させ、0℃まで冷却し、ベンジルブロミド(1.19 mL、10 mmol)を加えた。1時間撹拌した後、溶液を室温まで加温し、撹拌を更に10時間続けた後、溶媒を減圧下で除去した。残渣に水(20 mLで2回)を吸収させた後、AcOEt(200 mL)によって抽出し、合わせた有機層をNaSOで脱水し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中0〜30%のAcOEt)によって精製し、白色の固体として生成物(2.095g、75%)を得た。Rf=0.47(シクロヘキサン/AcOEt、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.57 (d, J = 1.7 Hz, 1H, H-5), 8.05 (dd, J = 8.6 and 1.7 Hz, 1H, H-7), 7.85 (d, J = 8.8 Hz, 1H, H-4), 7.69 (d, J = 8.6 Hz, 1H, H-8), 7.50 (d, J = 7.3 Hz, 1H, H-14), 7.42 (t, J = 7.3 Hz, 1H, H-15), 7.36 (t, J = 7.3 Hz, 1H, H-16), 7.18 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.8 and 2.4 Hz, 1H, H-3), 5.63 (s, 1H, OH), 5.43 (s, 2H, H-12). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm : 167.1 (C-11), 155.9 (C-2), 137.4 (C-9), 136.3 (C-13), 131.7 (C-4), 131.4 (C-5), 128.8 (C-15), 128.4 (C-16), 128.4 (C-14), 128.0 (C-11), 126.7 (C-8), 126.2 (C-7), 125.2 (C-16), 118.9 (C-3), 109.7 (C-1), 67.1 (C-12). HRMS (ESI+) :calcd. for C18H15O3 [M + H]+ 279.1021; found 279.1024。
ベンジル‐6‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐2‐ナフトアート25。白色の固体として(1.239 mg、77%)次の方法Eにより得られた。蒸留CHCl(15 mL)、1MのNaOH水溶液(5 mL)中化合物7(1.082g、2.63 mmol)、化合物23(1.464g、5.26 mmol)、テトラブチルアンモニウム水素スルファート(0.823g、2.63 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜30%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.38(AcOEt/シクロヘキサン、1:1、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm:8.59 (d, J = 1.6 Hz, 1H, H-12), 8.09 (dd, J = 8.7 and 1.6 Hz, 1H, H-10), 7.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H, H-13), 7.76 (d, J = 8.7 Hz, 1H, H-9), 7.49 (d, J = 7.2 Hz, 2H, H-20, H-24), 7.41 (t, J = 7.2 Hz, 2H, H-21, H-23), 7.37 (d, J = 2.4, 1H, H-8), 7.36 (m, 1H, H-22), 7.24 (dd, J = 8.8 and 2.4 Hz, 1H, H-14), 5.56 (dd, J = 10.4 and 7.9, 1H, H-2), 5.50 (dd, J = 3.4 and 0.8 Hz, 1H, H-4), 5.42 (s, 2H, H-18), 5.24 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 5.17 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 4.27 (dd, J = 11.1 and 6.8 Hz, 2H, H-6), 4.18-4.15 (m, 1H, H-5), 2.20 (s, 3H, COCH3), 2.08 (s, 3H, COCH3), 2.07 (s, 3H, COCH3), 2.03 (s, 3H, COCH3). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 170.5, 170.4, 170.3, 169.6 (4 CO Ac), 166.70 (C-17), 156.7 (C-7), 136.9 (C-15), 136.3 (C-19), 131.5 (C-13), 131.2 (C-12), 129.3 (C-16), 128.9 (C-21), 128.50 (C-20), 127.5 (C-9), 126.6 (C-10), 126.5 (C-11), 119.8 (C-14), 111.2 (C-8), 99.5 (C-1), 71.5 (C-5), 71.0 (C-3), 68.9 (C-2), 67.1 (C-4), 67.1 (C-18), 61.8 (C-6), 20.9, 20.9, 20.9, 20.8 (4 CH3 CO). HRMS (ESI+) : calculated for C32H32O12Na [M + Na]+ 631.1791, found 631.1788. [α]D20 = -11.2° (c 1.1, MeOH)
6‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐2‐ナフトエ酸27。白色の固体として(806 mg、76%)次の方法Aにより得られた。蒸留CHCl(15 mL)中化合物25(1.239g、2.04 mmol)、10%のPd/C(124 mg)。この混合物を後処理し、水層をCHClによって抽出し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜50%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.44(MeOH/CHCl、6:94、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.66 (d, J = 1.6 Hz, 1H, H-12), 8.11 (dd, J = 8.6 and 1.6 Hz, 1H, H-10), 7.93 (d, J = 9.0 Hz, 1H, H-13), 7.80 (d, J = 8.6 Hz, 1H, H-9), 7.39 (d, J = 2.4 Hz, 1H, H-8), 7.27 (dd, J = 9.0 and 2.4 Hz, 1H, H-14), 5.57 (dd, J = 10.4 and 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.51 (d, J = 3.5 Hz, 1H, H-4), 5.26 (d, J = 7.8 Hz, 1H, H-1), 5.18 (dd, J = 10.4 and 3.5 Hz, 1H, H-3), 4.30-4.19 (m, 2H, H-6), 4.19-4.17 (m, 1H, H-5), 2.20 (s, 3H, COCH3), 2.09 (s, 3H, COCH3), 2.08 (s, 3H, COCH3), 2.04 (s, 3H, COCH3). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm: 171.6 (C-17), 170.6, 170.4, 170.3, 169.6 (4 CO Ac), 157.0 (C-7), 137.3 (C-15), 132.14 (C-12), 131.7 (C-13), 129.3 (C-16), 127.6 (C-9), 126.6 (C-10), 125.6 (C-11), 119.9 (C-14), 111.2 (C-8), 99.5 (C-1), 71.6 (C-5), 71.1 (C-3), 68.9 (C-2), 67.2 (C-4), 61.8 (C-6), 21.0, 20.9, 20.9, 20.8 (4 CH3CO). HRMS (ESI-) : calculated for C25H25O12 [M - H]- 517.1346, found 517.1344. [α]D20 = -6.4° (c 1.1, MeOH)
6‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐2‐ナフトエ酸3‐アジド‐プロピル‐アミド(6-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-galactopyranosyloxy)-2-naphthoic acid 3-azido-propyl-amide)29。白色の固体として(182 mg、79%)次の方法Fにより得られた。無水DMF(5 mL)中化合物27(200 mg、0.386 mmol)、1‐エチル‐3‐(3’‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(96 mg、0.618 mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(57.4 mg、0.425 mmol)、3‐アジドプロピルアミン(77.3 mg、0.772 mmol)。この混合物を後処理し、粗生成物をシリカゲル(シクロヘキサン中0〜50%のAcOEt)上で精製し、所望の生成物を得た。Rf=0.32(MeOH/CHCl、2:98、v/v)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.83 (d, J = 9.0 Hz, 1H, H-13), 7.80 (dd, J = 8.5 and 1.5 Hz, 1H, H-10), 7.76 (d, J = 8.5 Hz, 1H, H-9), 7.33 (d, J = 2.4 Hz, 1H, H-8), 7.22 (dd, J = 9.0 and 2.4 Hz, 1H, H-14), 6.52 (t, J = 5.7 Hz, 1H, NH), 5.53 (dd, J = 10.4 and 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.47 (dd, J = 3.4 and 0.8 Hz, 1H, H-4), 5.19 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 5.13 (dd, J = 10.4 and 3.4 Hz, 1H, H-3), 4.24 (dd, J = 11.2 and 7.1 Hz, 1H, H-6), 4.16 (dd, J = 11.2 and 6.0 Hz, 1H, H-6), 4.14 (dd, J = 6.0 and 0.8 Hz, 1H, H-5), 3.59 (quad, J = 6.1 Hz, 2H, H-19), 3.46 (t, J = 6.1 Hz, 2H, H-21), 2.17 (s, 3H, COCH3), 2.05 (s, 3H, COCH3), 2.05 (s, 3H, COCH3), 2.01 (s, 3H, COCH3), 1.93 (p, J = 6.1 Hz, 2H, H-20). 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ ppm:170.5, 170.4, 170.3, 169.5 (5 CO ester), 167.6 (C-17), 156.1 (C-7), 135.9 (C-15), 130.9 (C-13), 130.7 (C-11), 129.4 (C-16), 127.7 (C-9), 127.4 (C-12), 124.5 (C-10), 119.9 (C-14), 111.1 (C-8), 99.5 (C-1), 71.4 (C-5), 71.0 (C-3), 68.8 (C-2), 67.0 (C-4), 61.6 (C-6), 49.8 (C-21), 38.1 (C-19), 29.0 (C-20), 20.9, 20.8, 20.8, 20.7 (4 CH3CO). HRMS (ESI+) : calculated for C28H33N4O11 [M + H]+ 601.2146, found 601.2150. [α]D20 = -7.0° (c 1.1, MeOH)
6‐(β‐D‐ガラクトピラノシルオキシ)‐2‐ナフトエ酸3‐アジド‐プロピル‐アミド6。HRMS (ESI+) : calculated for C20H25N4O7 [M + H]+ 433.1723, found 433.1722。
O‐2‐シアノエチル‐O’‐(3,6,9‐トリオキサドデカン‐11‐イニル)‐N,N‐ジイソプロピルホスホラミダイト33。
4Å分子ふるいの存在下及びアルゴン下で、乾燥ジクロロメタン(20 mL)中3,6,9‐トリオキサドデカン‐11‐イン‐1‐オール31(376 mg、2 mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(520 μl、3 mmol)を加え、次いで、O‐(2‐シアノエチル)‐N,N‐ジイソプロピル‐クロロホスホラミダイト(480 μl、2 mmol)を滴下して加えた。室温で2時間撹拌した後、1 mLの水を加えた。10分後、溶液をジクロロメタン(40 mL)によって希釈した後、飽和NaHCO水溶液(75 mL)によって洗浄した。有機層をジクロロメタン(100 mLで2回)によって抽出し、NaSOで脱水し、減圧下で蒸発させ乾燥させた。粗生成物をシリカゲル、4% Et3Nを含むシクロヘキサン中0〜50%酢酸エチル上でクロマトグラフィーにかけ、無色のシロップとして563 mg、73%の化合物33を得た。TLC:Rf=0.55シクロ/AcOEt/Et3N 5:4:1、v/v/v。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ1.14 (dd, 12H, J = 6.8 Hz, Isopropyl), 2.36 (t, 1H, J = 2.4 Hz, -CCH), 2.59 (t, 2H, J = 6.5 Hz, -CH2-CN), 3.5-3.81 (m, 16H, -CH-, -O-CH2-CH2-O-, -O-CH2-P), 4.14 (d, 2H, J = 2.5 Hz, HCC-CH2). 13C-NMR (CDCl3, 100 MHz): δ18.17, 18.26, 22.4, 22.4, 22.5, 22.6, 40.9, 41, 56.3, 56.5, 60.4, 60.6, 67, 68.3, 68.5, 68.6, 69, 69.2, 72.4, 77.5, 115.6. 31P-NMR (CDCl3, 121 MHz): δ148.67 ppm. HRMS TOF-ES positive mode calculated for C18H36N2O6P [M+H2O+H]+ 407.2311 found 407.2270。
マンノースが中心にある芳香族ガラクトシドオリゴヌクレオチド複合体の合成
Cu(I)触媒アルキンアジド1,3‐双極環状付加によるプロパルギルマンノシドのアジド固体支持体35への固定。プロパルギルα‐マンノピラノシド347(100 mM、175 μL)の水溶液、CuSOの新たに調製した水溶液(100 mM、14 μL)及びアスコルビン酸ナトリウムの新たに調製した水溶液(500 mM、14 μL)、水(147 μL)、並びにMeOH(350 μL)を、3.5 μmolのアジド固体支持体35.8に加えた。得られた混合物を、マイクロ波シンセサイザー(monowave 300、Anton Paar社製)を用いて60℃で45分間、封管中で加熱した。内部赤外線プローブによって温度をモニタリングした。溶液を除去し、CPGビーズを、HO(2 mLで3回)、MeOH(2 mLで3回)及びCHCN(2 mLで3回)によって洗浄し、乾燥させ、固体支持マンノシド36を得た。
マンノースヒドロキシルへのアルキニルホスホラミダイト導入の一般的手順。固体支持マンノシド36(1 μmol規模)を、ホスホラミダイト化学作用によってDNAシンセサイザー(ABI 394)で、アルキニルホスホラミダイト329又は33とともに処理した。カップリング工程及び酸化工程のみを実行した。カップリング工程では、ベンジルメルカプトテトラゾール(BMT)を活性剤(無水CHCN中0.3M)として用い、ホスホラミダイト×1又は×2(無水CHCN中0.2M)を、180秒のカップリング時間(180秒で3回)により3回(40 μmolで3回)導入した。市販ヨウ化物溶液(0.1M I、THF/ピリジン/水90:5:5)とともに15秒間酸化を実行し、ホスホトリエステル(phophostriester)を形成し、又は3H‐1,2‐ベンゾジチオール‐3‐オン‐1,1‐ジオキシド(乾燥アセトニトリル中0.05M Beaucage試薬)10とともに60秒間酸化を実行し、チオノホスホトリエステルを形成した。
DNA配列の伸長及びCy3による標識の一般的手順。DNA配列を、標準ホスホラミダイト化学作用によって、DNAシンセサイザー(ABI 394)で、固体支持テトラアルキニル足場上で1 μmol規模により合成した。カップリング工程では、活性剤としてBMT(無水CHCN中0.3M)を用い、市販ヌクレオシドホスホラミダイト(無水CHCN中0.075M)を、20秒のカップリング時間により導入し、また、Cy3アミダイト(無水CHCN中0.067M)を180秒のカップリング時間により導入した。市販溶液(キャップA:AcO/ピリジン/THF、10:10:80、及びキャップB:THF中10% N‐メチルイミダゾール)を用いて、無水酢酸とともに、キャッピング工程を15秒間実行した。0.1M I、THF/ピリジン/水90:5:5を用いて、酸化を15秒間実行した。CHCl中2.5% DCAとともに35秒間、脱トリチル化を実行した。
固体支持オリゴヌクレオチド脱保護の一般的手順。修飾オリゴヌクレオチドを有するCPGビーズを4 mLのスクリュートップバイアルに移し、2 mLの濃アンモニア水によって室温で15時間処理し、55℃まで2時間加温した。それぞれの化合物について、上清を回収し、蒸発させて乾燥させた。後の分析及び特性評価のために、残渣を水中に溶解した。
CuAAC反応の一般的手順
アジド官能化D‐ガラクトシド誘導体1〜6導入の手順:5’‐蛍光‐3’‐アルキンオリゴヌクレオチド(100 μLのHO中100 nmol)の溶液に、アジド官能化ガラクトシド1〜6(アルキン官能基当たり3当量、MeOH中100 mM)、〜0.1 mgのCu(0)ナノ粉末、トリエチルアンモニウム酢酸緩衝液(0.1M、pH7.7)(25 μL)、水及びMeOHを加え、250 μLの最終量(水MeOH、1:1、v/v)を得た。得られた調製物を収容したチューブを密封し、Anton Paar社製のマイクロ波シンセサイザーMonowave 300に60℃で60分間置いた。
CuAAC反応及びHPLC精製の後処理
EDTA(400 μL)を混合物に加え、遠心分離後、上清を回収しCu(0)を除去し、NAP10上でサイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩した。蒸発後、5’‐蛍光‐3’‐アセチル擬似糖質オリゴヌクレオチドを水中に溶解し、逆相分取HPLCによって精製した。濃アンモニア水(3 mL)によって室温で2時間純粋な化合物を処理し、アセチル基を除去し、蒸発させ乾燥させた(純度97%超)。TEAAc緩衝液(pH7)中8%〜32%のアセトニトリル直線勾配を用いる逆相分取HPLCによって、20分間、最終化合物を再度精製した。後の分析のために残渣を水中に溶解した。
DDIマイクロアレイの作製
微細構造スライドの作製:微細構造スライドは、40平方ウェル(3 mmの幅、60±1 μmの深さ、それぞれのマイクロリアクター間で4.5 mmの間隔)が特徴である。フォトリソグラフィ及びウェットエッチング法によって、マイクロリアクターを平らなガラススライド上に作製した。これらの方法は、他に詳述されている(Mazurczyk, R. et al., (2008) Sens. Actuators, B 128, 552-559; Vieillard, J. et al., (2007) J. Chromatogr. B 845, 218-225)。
ガラススライドのシラン化:Dugasら((2003) J. Colloid Interface Sci. 264, 354-36; (2004) Sens. Actuators, B 101, 112-121; (2004) Sens. Actuators, B 101, 112-121)によって開発されたプロトコールに従って、スライドを次のように官能化した。ピラニア処理後、スライドを、150℃で2時間、乾燥窒素下で加熱した。次に、乾燥ペンタン及びtert‐ブチル‐11‐(ジメチルアミノ)シリルウンデカノアートを室温で加えた。2時間のインキュベーション後、ペンタンを蒸発させ、スライドを150℃で一晩加熱した。THF中で洗浄し水中で洗い流した後、官能化されたスライドを得た。室温で7時間、ギ酸を用いて、エステル官能基を対応する酸に変換させた。酸基を有するスライドを、乾燥THF中N‐ヒドロキシスクシンイミド(0.1M)及びジ(イソプロピル)カルボジイミド(0.1M)とのアミンカップリングのために、室温で一晩活性化させた。そして、スライドを、THF及びジクロロメタン中で、超音波下で10分間洗い流した。
アミノ修飾オリゴヌクレオチドの固定:4つのアミノ修飾オリゴヌクレオチドをEurogentec社から購入した。スポット形成ロボット、Scienion社製sciFLEX ARRAYER s3を用いるそれぞれの反応器の底部における25 μM PBS10X (pH8.5)の対応するオリゴヌクレオチドによる0.3 nLのスポット形成(1ウェル当たり64スポット)。置換反応を室温で一晩、水飽和雰囲気下で実行し、次いで、水を徐々に蒸発させた。SDS0.1%によって70℃で30分間、そして脱イオン水によって簡単にスライドの洗浄を実行した。
Figure 2016533342
表1:DNAアンカープラットフォーム作製に用いられるDNA配列の主な特性。GC%及びTmは、オンラインソフトウェアDINAMeltウェブサーバ(http://mfold.rna.albany.edu/?q=DINAMelt/Two-state-melting)によってPBS1X中[Na]=137 mM、[CZip]=1 μM及びT=37℃で算出した。
Figure 2016533342
ブロッキング工程:ハイブリダイゼーション工程時に非特異的吸着を防ぐために、ウシ血清アルブミン(BSA)によってすべてのスライドをブロッキングした。ブロッキングを、37℃で2時間、PBS1X(pH7.4)中BSAの4%溶液によって実行した。PBS‐Tween0.05%中で3分3回、続いてPBS1X中で3分3回の洗浄工程を実行し、そして、ガラスを脱イオン水によって洗い流した後、遠心分離によって乾燥させた。
擬似糖質のハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーション工程:DNAタグを有するそれぞれの複合糖質の2μL溶液を、PBS1X(pH7.4)中1 μMで、対応するウェルの底部に入れ、水蒸気飽和室内で、室温で一晩ハイブリダイゼーションさせた。試料を塩水‐クエン酸ナトリウム中で2回(SSC2X)、SDS0.1%中で、51℃で1分間洗浄し、続いて、SSC2X中で、室温で更に5分間洗浄し、そして、脱イオン水によって洗い流した後、遠心分離によって乾燥させた。
ブロッキング工程:ハイブリダイゼーション後、ウシ血清アルブミン(BSA)によってすべてのスライドを再度ブロッキングした。ブロッキングを、37℃で1時間、PBS1X(pH7.4)中BSAの4%溶液によって実行した。洗浄工程:PBS‐Tween0.05%中で3分3回、続いてPBS1X中で3分3回実行し、脱イオン水によって簡単に洗い流した後、遠心分離によって乾燥させた。
レクチン標識
PA‐ILレクチンのAlexa 647標識:PA‐ILレクチンを、Invitrogen社製のAlexa Fluor(登録商標)647マイクロスケールタンパク質標識キット(A30009)によって標識した。要約すると、1 mg/mlのPA‐IL溶液(MW:51 kDa、PA‐ILは、Anne Imberty博士(CERMAV、グルノーブル(Grenoble))により快く提供された。)をPBS1X(pH7.4)中で希釈し、この100 μlを、10 μLの1M重炭酸ナトリウム(pH8.3)と混合した。7.94 nmol/μLの反応性色素溶液の適切な量を、pH調整タンパク質を収容した反応チューブに移した。反応混合物を室温で15分間混合した後、スピンカラム(ゲル樹脂容器)上で精製し、反応しない色素から標識されたタンパク質を分離した。
レクチン濃度及びレクチンに対する色素の比率を、281 nm及び650 nmの吸光度を読み取るSafas Monaco UV mc2分光光度計を組み合わせたトレイセル(tray cell)システムを用い、吸光度によって推定した。PA‐ILの濃度は、四量体PA‐ILに対する色素の標識度0.20により、13.53 μΜと推定された。
「オンチップ」生物学的認識によるIC50の決定
インキュベーション溶液の調製:レクチンPA‐IL(最終濃度0.12 μM)、BSA(最終濃度2%)及びCaCl(最終濃度1 μg/mL)を、PBS1X(pH=7.4)中で希釈した。それぞれのマイクロチューブ内に、所望の最終濃度(0;1.10−5;1.10−4;5.10−4;1.10−3;5.10−3;1.10−2;5.10−2;0.1;1;5;10;50;10;5.10;10;5.10;10;10;3.10)の阻害剤ラクトース乳糖を加えた。
マイクロリアクターにおける複合糖質‐レクチン複合体のインキュベーション:それぞれの溶液の2 μLを対応するマイクロウェルに入れ、スライドを水蒸気飽和室内で、37℃で3時間インキュベートした。洗浄工程:PBS‐Tween0.02%で、4℃で5分、次いで、脱イオン水中で簡単に実行した後、遠心分離によって乾燥させた。
蛍光走査:マイクロアレイスキャナ、GenePix 4100Aソフトウェアパッケージ(Axon Instruments社製;λex 532/635 nm及びλem 575/670 nm)によって、スライドを532 nm、次いで635 nmで走査した。64のスポットの中間蛍光シグナルの平均値として、それぞれの複合体の蛍光シグナルを決定した。
「BioDataFit 1.02プログラム」を用いてIC50値を決定した。選択されたモデルは、次式の「シグモイド(Sigmoidal)」であった。
Y=a+(b-a)/[1+10^(x-c)]
式中、a=FImin、b=FImax、x=log[PA-IL]及びc=log(IC50)。FImin/maxは、擬似ガラクトにおいてみられる最小/最大Alexa-647蛍光シグナルである。
II‐糖鎖クラスター17a〜e及び18の合成、及びPA‐ILに対するこれらの結合効率の決定:
II‐A 合成:
マンノースが中心にある糖鎖クラスター17a〜e及び18を合成し、PA‐ILへの認識に対する擬似糖質における6つの異なるリンカーの影響を検討した。種々の長さ(9〜14個の原子)及び溶媒和容量(solvation capacity)に及ぶ(spam)ように、リンカーを選択した(アルキル、芳香族又はエチレングリコール)(図1)。
本目的を達成するために、ホスホラミダイト化学作用によって糖鎖クラスターを構築することが可能なプロパギルガラクトース3及び種々のガラクトアジド誘導体4a〜eと組み合わせて、2つのホスホラミダイト(すなわち、ペント‐4‐イニル1及び6‐ブロモヘキシル2)を用いた(Beaucage, S. L., and Caruthers, M. H. (1981) Tetrahedron Lett. 22, 1859- 1862) and copper catalyzed azide alkyne cycloaddition (CuAAC) “click” chemistry (Rostovtsev, V. V. et al., (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41, 2596-2599; Tornoe, C. W., Christensen, C., and Meldal, M. (2002) J. Org. Chem. 67, 3057-3064)(図2)。
文献のプロトコールに従って、プロパルギルガラクトース3及びガラクトースアジド誘導体4a〜eを調製した。Hasegawa, T. et al., (2007) Org. Biomol. Chem. 5 (15), 2404-2412; Joosten, J. A. F. et al., (2004) J. Med. Chem. 47, 6499-6508; Szurmai, Z. et al., (1989) Acta Chimica Hungarica-Models in Chemistry 126, 259-269; Pourceau, G. et al., (2009) J. Org. Chem. 74, 1218-1222; Mereyala, H. B., and Gurrala, S. R. (1998) Carbohydr. Res. 307, 351-354)。
最近報告された戦略に従って、マンノースが中心にある糖鎖クラスター17a〜e及び18を調製した(Pourceau, G. et al., (2010) Bioconjugate Chem. 21, 1520-1529)。基本的に、CuAACによって、マンノースプロパルギル6をアジド固体支持体5上に固定し、次いで、リン酸化によって4つのヒドロキシルにペント‐4‐イニル1又はブロモヘキシル2ホスホラミダイトを導入し、4つのペンチニルホスファート又は4つのブロモヘキシルホスファート基を有するマンノースコアを得た(図3)。オリゴヌクレオチドを伸長させ、蛍光色素(Cy3)によって標識し、化合物8及び9を得た。化合物9については、4個の臭素原子をテトラメチルグアニジンアジド(tetramethylguanidine azide)(TMG N)と置換し、テトラアジドオリゴヌクレオチド10を得た。アンモニア処理後、Cu(0)を用い溶液中CuAACによって、化合物11及び12をそれぞれガラクトース誘導体4a〜e及び3と結合させ、マンノースが中心にあるテトラ‐ガラクトースオリゴヌクレオチド複合体15a〜e及び16を得た。逆相HPLC、及びガラクトース部分のアセチル基を加水分解するアンモニアによる最終的な処理によって、純粋な複合体を単離し、種々のリンカーの存在を示す6つの予想されたガラクトクラスター17a〜e及び18を得た。
II‐B 生物学的試験プロトコール:
直接蛍光走査によるDNAに基づくグリコアレイ(glycoarray)を用いて、PA‐ILへの擬似ガラクト17a〜e及び18の結合効率を決定/測定した(Chevolot, Y. et al., (2007) Angew. Chem. Int. Ed. 46, 2398-2402)。ガラクトクラスターに対するPA‐ILの特異的な結合を示す負の対照として、直鎖トリマンノシルクラスター(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Man)(C1、Chevolotらの文献(2007)に開示)を用い、直鎖テトラガラクトシルクラスター(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Gal)(C2、Chevolot, Y. et al., (2011) Chem. Comm. 47, 8826-8828)を正の対照及び比較に用いた(図4)。本目的上、糖鎖クラスターをすべて、DNAタグによるDNA指向固定(DNA directed Immobilisation)(DDI)によってDNAアレイ上に固定した。次いで、alexa 647‐PA‐ILを加え、3時間インキュベートし、洗浄後、蛍光強度を635 nmで読み取り、結合強度についての相対的情報を得た(図5)。
II‐C 試験結果:
直鎖トリマンノース(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Man)C1クラスターはPA‐ILに結合せず、選択的な認識、及びマイクロアレイ上での非特異結合の欠如を示した。直鎖テトラガラクトースクラスター(DMCH‐PNMTzEG‐O‐Gal)C2は、3100前後の任意単位(a.u.)の蛍光を示した。
データは、結合効率に対して、ガラクトース部分とマンノースコアとの間のリンカーの長さに明らかな相関が存在しないことを示した。
これとは対照的に、ガラクトース部分付近の芳香族基を有する擬似ガラクト(17d及び18)は、高い結合を示し、トリアゾールメチレン(TZM)モチーフ(18)と比較して、フェニル(AcNPhe)のもの(17d)が優位であると考えられた。17a、17b、17e及び17c間の結合の差は有意ではなく、このことは、エチレングリコール(EG若しくはEG)又は脂肪族(Pro若しくはDMCH)リンカーが、さらに、PA‐ILのアミノ酸残基と相互作用しないことを示唆していた。
III‐糖鎖クラスター22〜31の合成、及びPA‐ILに対するこれらの結合効率の決定:
一方では、種々の足場、2〜5個の残基(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)2‐5の存在を示すDMCH足場(化合物22〜25)などの直鎖足場、又は4個のガラクトース残基(dT‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)(図8)の存在を示すデオキシチミジン(desoxythymidine)足場(26)への導入に対する、AcNPhe‐O‐ガラクトース部分の影響を調査し、他方では、AcNPhe‐O‐ガラクトース部分を、ガラクトースが中心にある足場(27)及びグルコースが中心にある足場(28)(図9)に導入した。比較のために、ガラクトースが中心にある足場(29)及びグルコースが中心にある足場(30)(図9)に構築されたガラクトクラスターによるHexTzMガラクトース部分の影響も検討した。
III‐A 合成:
活性剤として塩化ピバロイルを用いH‐ホスホネート化学作用によってDMCH H‐ホスホネートモノエステル(Chevolot, Y. et al., (2007) Angew. Chem. Int. Ed. 46, 2398-2402; Bouillon, C. et al, (2006) J. Org. Chem. 71, 4700-4702)が2〜5回結合した、プロパンジオール固体支持体から開始し、直鎖DMCHガラクトクラスターを合成した(図8)。得られたH‐ホスホネートジエステル結合を、アルキン官能基を導入可能なプロパルギルアミンの存在下で四塩化炭素によって酸化した。次いで、オリゴヌクレオチドを集め、ホスホラミダイト化学作用によってCy3標識した。アンモニア処理によって脱保護され固体支持体から放出された後、2〜5つのアルキンの存在を示す得られた修飾オリゴヌクレオチドを、CuAACによって4dと結合させた。HPLC精製後、アンモニアによってアセチル基を加水分解し、これによって、直鎖DMCHガラクトクラスター(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)2‐5(22〜25)に結合したオリゴヌクレオチドが生じた。固体支持体上に4回導入した市販DMTr‐チミジンH‐ホスホネートを用いて、デオキシチミジン足場(dT‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)(26)上に直鎖テトラ‐ガラクトースを同様に合成した。
ガラクトースが中心にある(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(27)及びグルコースが中心にある(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(28)、ガラクトースが中心にある(HexTzM‐Gal)(29)、並びにグルコースが中心にある(HexTzM‐Gal)(30)の合成を、マンノース足場に関する上述したものと同じプロトコールであるがプロパルギル‐ガラクトース又はプロパルギル‐グルコースを用いて、進行させた。これらを、最初に、アジド固体支持体5上に固定した。比較目的で、1つのみのTzAcNPhe‐O‐Galモチーフの存在を示すオリゴヌクレオチド複合体(31)を合成した(図9)。本目的を達成するために、CuAACによって4dと結合したモノ‐アルキン固体支持体からCy3オリゴヌクレオチドを合成した(SIを参照)。
III‐B 生物学的試験プロトコール:
‐試験1:
PA‐ILに対するこれらのガラクトクラスターの結合特性を、グリコアレイを提供するDDIを用いて検討した。チップ上にこれらを固定した後、alexa 647‐PA‐ILを加え、洗浄後、それぞれの糖鎖クラスターの蛍光強度を読み取った(図10)。Alexa 647蛍光シグナル(励起635 nm及び発光675 nm)は、PA‐IL結合に相関していた。
‐試験2:
既に報告されている(Moni, L. et al., (2009) ChemBioChem 10, 1369-1378; Zhang, J. et al., (2009) Biosens. Bioelectron. 24, 2515-2521)ように、蛍光強度のダイナミックレンジは幾分限定されているので、阻害剤としてラクトースを用いて糖鎖クラスターのIC50値を決定し(表1)、効力を算出した。本例では、ラクトース濃度に対応するIC50値は、糖鎖クラスターからPA‐ILの50%を置換するのに必要である。したがって、最も高いIC50値は、PA‐ILに対して最も高い糖鎖クラスターの親和性である。よって、IC50値をIC50Lacと称した。
III‐C 試験結果:
‐試験1:
直鎖DMCH糖鎖クラスターの蛍光シグナルは、ガラクトース残基の数とともに上昇し、結合効率に対する糖モチーフの増加という利益を示した。MTzEG‐O‐Galモチーフを有するテトラクラスターは、TzAcNPhe‐O‐Galモチーフを有するその類似体よりも約5倍低い蛍光シグナルを示し、芳香族ガラクトースの良好な結合を確認した。DMCH又はチミジン足場を有する両方の四量体直鎖糖鎖クラスターは、DMCH三量体クラスターよりも高い結合を示したが、DMCHを有するクラスターが優位であった。ヘキソースが中心にあるテトラ‐ガラクトクラスターに関しては、データは、ヘキソースコアであればどれでも、HexTzM‐Galモチーフに対してProTzAcNPhe‐O‐Galモチーフの存在を示すガラクトクラスターの良好な結合を確認した。両方のファミリーでは、マンノースコア及びグルコースコアから構築された糖鎖クラスターは、同様の蛍光シグナルを示し、ガラクトースコアから構築されたものは低いシグナルを示した(図10)。
4つのProTzAcNPhe‐O‐Galモチーフを有する直鎖糖鎖クラスターとヘキソースが中心にある糖鎖クラスターとの比較は、次に示すように蛍光シグナルを増加させる。Gal(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)≦(dT‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)<(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)<Glc(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)≦Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)。このデータは、直鎖DMCHペンタ‐ガラクトースよりも良好な全糖鎖クラスターのうち、マンノースが中心にある及びグルコースが中心にある糖鎖クラスターの良好な結合を示した。
‐試験2:
5及び16 mMのIC50Lac値をそれぞれ有する、モノガラクトースDMCH‐PNMTz‐EG‐O‐Gal(Chevolot, Y. et al., (2007) Angew. Chem. Int. Ed. 46, 2398-2402)とDMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Galの比較は、芳香族ガラクトース(項目1及び2)に対する結合が3.2倍の増加を示し、これは、酵素結合レクチンアッセイによりCeccioniらによって行われた観察(Cecioni, S. et al., (2012) Chem. Eur. J. 18, 6250-6263)に類似していた。直鎖ガラクトクラスターでは、2〜3個の残基間の閾値効果による残基の数の増加とともに、PA‐ILに対する良好な結合に対応するIC50Lac値の増加がみられた(表1、項目4及び5)。MTzEGリンカーに対するPNMTzAcNArリンカーの利益が確認された((DMCH‐PNMTzEG‐O‐Gal)C2、項目3:IC50Lac=773 μMに対して、(DMCH‐PNMTzAcNPhe‐O‐Gal)24、項目6:IC50Lac=1056 μM)。この傾向は、マンノースが中心にある糖鎖クラスターにおいて強調された(項目9:17d Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)においてIC50Lac=2826 μMに対して、項目8:G3 Man(POProTzEG‐O‐Gal)においてIC50Lac=29 μM)。結果は、マンノースが中心にあるトポロジーを有するTzAcNPhe‐O‐Galモチーフの優位性を示し、モノ芳香族ガラクトースと比較して177倍効力が増加し、EG‐O‐ガラクトース(項目9)と比較して565倍効力が増加し、PA‐ILに対する高い結合を獲得した。これらの結果は、リンカーの性質と空間的配置の組合せが親和性に対して強い影響があることを示す。
データは、PA‐ILへの結合に対するヘキソースコアの影響が、ガラクトース‐リンカーの性質によって異なることを示した(表2)。テトラガラクトクラスターに関しては、POProTzAcNArリンカーによって、最良の結合は、マンノースコア17d、次いで、グルコースコア及びガラクトースコアでみられた(項目9〜11)。これとは対照的に、HexTzMリンカーによって、最良の結合は、グルコースコア、次いで、ガラクトースコア及びマンノースコアを有するクラスターでみられた(項目12〜14)。
Figure 2016533342
Figure 2016533342
表2:ラクトースとの競合によって決定された糖鎖クラスターのIC50Lac値。
IV‐糖鎖クラスター32〜39の合成、及びPA‐ILに対するこれらの結合効率の決定:
一部の変化を伴い、マンノースコアとTzAcNPhe‐O‐Galモチーフとを含む化合物を調製した。一方では、ペンチニルのものの代わりに、ジエチレングリコール又はテトラエチレングリコールプロパルギルホスホラミダイト1a〜bを用いて、マンノースコアとトリアゾールとの間の長さ/柔軟性を増加させ、他方では、ビス‐ペンチニルホスホラミダイト1c、又は2,2‐(ビス‐プロパルギルオキシメチル)プロピルホスホラミダイト1d(図11)のいずれかを用いて、8個のアルキニル基を導入した。このように、マンノースが中心にある新しいテトラガラクトクラスター、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(32)、及びMan(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(33)は、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)17dの13個の原子というリンカー長さの代わりに、17個の原子及び23個の原子というリンカー長さをそれぞれ示す。マンノースが中心にあるオクタガラクトクラスター、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(34)及びMan[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)(35)は、マンノースコアのそれぞれのヒドロキシル上に2個の残基の存在を示す(図12)。このため、結合特性に対するリンカー長さの影響及び残基の数の影響を評価することができた。比較のために、AcNPhe‐O‐GalモチーフがEG‐Galモチーフに置換された類似体Man(POEGMTzEG‐O‐Gal)(36)も合成した(図12)。
そして、「芳香効果」のより多くの洞察を得るために、O‐フェニルがチミン(T‐Gal)に置換されたガラクトースモチーフの存在を示す新しい糖鎖クラスター(37、38、39)を合成した。これらの類似体は、チミンのヘテロ原子とレクチンのアミノ酸との水素結合を形成することができるように設計され、これによって、可能な限り良好な親和性がもたらされた。
IV‐合成:
AcNPhe‐O‐Galモチーフの存在を示す新しい糖鎖クラスターを合成するために、プロパルギルジエチレングリコール(1a)若しくはテトラエチレングリコール(1b)ホスホラミダイト、ビス‐ペント‐4‐イニルホスホラミダイト(1c)又は2,2‐(ビス‐プロパルギルオキシメチル)プロピルホスホラミダイト(1d)によって、固体支持マンノース7をリン酸化した。そして、オリゴヌクレオチド伸長及び標識後、テトラ/オクタアルキン構造体(19a〜d)を化合物4dに結合させ、マンノースが中心にある予想されたテトラ/オクタガラクトクラスターオリゴヌクレオチド複合体、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(32)、Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(33)、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)(34)、及びMan[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)(35)をそれぞれ得た(図12)。同様に、プロパルギルジエチレンエチレングリコールリンカーを有するテトラアルキン19aも4eに結合させ、Man(POEGMTzEG‐O‐Gal)(36)を得た。
T‐Galモチーフの存在を示す糖鎖クラスターの合成に関しては、アジド誘導体4fを、グルコース‐チミジンの合成について文献に記載されているプロトコール(Gillaizeau, I. et al., (2003) Eur. J. Org. Chem., 666-671)に従って調製した。本目的を達成するために、1,2,3,4,6‐ペンタ‐O‐アセチル‐ガラクトースを、2,4‐ビス‐O‐トリメチルシリル‐チミンによってグリコシル化し、2’,3’,4’,6’‐テトラ‐O‐アセチル‐ガラクトピラノース‐N‐チミン20(T‐Gal)(又は2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐N‐チミン‐β‐D‐ガラクトピラノシド)を得た(図13)。これを、炭酸カリウムの存在下で、チミン部分のN上で1,4‐ジブロモブタンによってアルキル化し、そして、臭素原子をアジ化ナトリウムによって置換し、対応するアジドN‐チミン‐ガラクトース誘導体4fを得た。
Gal‐Tアジド誘導体4fを、ProTzBuT‐Gal又はEGMTzBuT‐Galモチーフをそれぞれ有するテトラクラスター、及びTHMEMTzBuTGalモチーフを有するオクタガラクトクラスターをもたらす、先に調製した、4つのペンチニル(11)、4つのプロパルギルジエチレングリシル(19a)又は4つのビス‐プロパルギル‐オキシメチルプロピル(19d)の存在を示すCy3‐オリゴヌクレオチドマンノースコアに導入し、マンノースが中心にある予想されたテトラ/オクタガラクトクラスターオリゴヌクレオチド複合体、Man(POProTzBuT‐Gal)(37)、Man(POEGMTzBuT‐Gal)(38)、及びMan[POTHME(MTzBuT‐Gal)(39)を得た(図12)。
IV‐B 生物学的試験プロトコール:
試験1:
得られた9つの糖鎖クラスターのPA‐ILに対する結合を、上述したように、DDIマイクロアレイによって決定した(II‐Bを参照)。
試験2:
結合特性についての十分な理解のために、糖鎖クラスターのIC50Lac値を測定した(表1、項目15〜18に報告されている結果)。
IV‐C 試験結果:
試験1の結果は図14に示されており、ProからEGMまでのリンカー長さの増加によって、芳香族モチーフ(TzAcNPhe‐O‐Gal)を有する糖鎖クラスターに対する良好な親和性を常に有する、TzEG‐O‐GalモチーフとTzAcNPhe‐O‐Galモチーフの両方によって親和性が増加した。これとは対照的に、EGMからEGMまでのリンカー長さの増加によって、低い蛍光シグナルを有する糖鎖クラスターがもたらされ、このことは、非常に高い柔軟性を有し非常に長いリンカーが、PA‐ILに対する結合に悪影響を及ぼすことを示唆していた。
Man‐(POProTzAcNAr)クラスターでは、4個から8個に残基の数が増加すると、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)34に対してMan(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)又は17dの蛍光シグナルが増加した。オクタクラスターの蛍光シグナルは、EGMリンカーを有するテトラクラスターの蛍光シグナルと類似していた。これとは対照的に、他のオクタクラスター、Man[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)35は、2つの最良のテトラクラスターよりも低い蛍光シグナルを示した。Gal‐Tから製造されるガラクトクラスターに関しては、負の対照に非常に類似している、約45 a.u.の635の蛍光シグナルを観察した。ガラクトシド残基の数が8個まで増加すると、結合は改善しなかった。チミンがガラクトピラノースのC1に直接結合するので、チミンガラクトシドクラスターについてのPA‐ILに対する結合阻害の理由は、立体障害に関係していると考えられた。この知見は、ガラクトースクラスターに対するPA‐ILの結合がトリアゾール環付近で低下するというMoniらの知見に類似している。実際に、本研究では、トリアゾール環は、C‐ガラクトシドのアノマー炭素に直接結合した(Moni, L. et al., (2009) ChemBioChem 10, 1369-1378)。
オクタガラクトクラスター、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)34は、多くのガラクトースモチーフによりこれまで良好なクラスター効果を示すことが報告されている、すべての構造のうちで最も高い結合を示した。
試験2:
表1の項目15〜18に示されているように、それぞれのガラクトクラスターの効力を、モノ‐EG‐O‐ガラクトース及びモノ‐芳香族ガラクトースによって算出した。IC50Lac値は、直接蛍光走査によってみられた傾向を確認し、TzEG‐O‐GalからTzAcNPhe‐O‐Galモチーフ(項目16に対して項目15)が良好な結合であり、ProからEGMがリンカーの伸長により良好な結合であり(項目15に対する項目8、及び項目16に対する項目9)、ProTzAcNPhe‐O‐Galモチーフを有するオクタ糖鎖クラスターに対する結合が最も高かった(IC50Lac=6803、項目17)。第2のオクタガラクトクラスターは、低いIC50Lac値である1807 μMを示し(項目18)、空間的配置が結合に対して強い効果を有することを示した。
V‐溶液中Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal) )G1及び(Man(POEG MTzAcNPhe‐O‐Gal) )G2の合成及び試験:
生物物理学及び生物学研究のために、優位な糖鎖クラスターG1及びG2、並びに、分子を含有する非芳香族のものとして、DNAタグのない擬似ガラクトに相当するMan(POProTzEGGal)G3を、〜100 mg規模により溶液中で合成した(図15)。血球凝集抑制アッセイ(HIA)、酵素結合レクチンアッセイ(Enzyme Linked Lectin Assay)(ELLA)、等温熱量測定(ITC)、表面プラズモン共鳴(SPR)及びDDIグリコアレイを用いて、PA‐ILに対するこれらの特性を評価した。これらのうち最も強力なものについて、上皮細胞系NCI‐H292(ATCC CRL 1848)に対するPA接着のこれらの阻害も決定した。
V‐A 合成:
糖鎖クラスターG1(Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal))、G2(Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal))、及びG3(Man(POProTzEG‐O‐Gal))の合成
1‐O‐メチル‐α‐D‐マンノース:メタノール(30 mL)中α‐D‐マンノース(2.0g)の溶液を、DOWEX‐50W X8樹脂、H形態(4.0g)の存在下で、還流下で27時間煮沸させた。ろ過し濃縮して乾燥させた後、粗生成物をエタノール中で再結晶させ、白色の固体として1‐O‐メチル‐α‐D‐マンノース(1.58g、73%)を得た。分析データは文献のデータ(Cadotte, J. E. et al., (1952) J. Am. Chem. Soc.74, 1501-1504)と一致していた。
リン酸化の一般的手順:
無水ジメチルホルムアミド/アセトニトリル(1:1.5、v/v)中1‐O‐メチル‐α‐D‐マンノース(50 mg、0.26 mmol、1当量)の溶液を、分子ふるい(3Å)とともに1時間30分撹拌した。次いで、アルキンホスホラミダイト46a〜b(1.30 mmol、5当量)、及びテトラゾール溶液(無水CHCN中0.4M、6.4 mL、2.60 mmol、10当量)を加えた。この混合物を30℃で2時間撹拌し、HOによって反応を停止した。A26(IO )樹脂(1.0g、2.50 mmol、9.6当量)を加え、この混合物を2時間撹拌した。樹脂をろ過し、ジクロロメタン(40 mL)を加えた後、この反応物を、NaHCO(60 mL)の飽和水溶液及びブライン(60 mL)によって洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し濃縮し、所望のテトラアルキンマンノース誘導体47a〜bを得た。
47a:淡黄色の油として得られた(208 mg、81%)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ4.98 (d, J=21.0 Hz, 1H, H-1), 4.87-4.57 (m, 3H, H-2, H-5, H-6), 4.37-4.12 (m, 16H, OCH2CH2CN, POCH2CH2), 3.94-3.89 (m, 1H, H-6), 3.45 (s, 4H, OCH3, H-3), 3.40 (m, 1H, H-4), 2.88-2.78 (m, 8H, CH2CN), 2.39-2.34 (m, 4H, CH2CH2CCH), 2.08-1.90 (m, 8H, POCH2CH2), 1.73-1.64 (m, 4H, CH2CCH).31P NMR (162 MHz, CDCl3)d -1.65-3.01 (m, 1P). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ115.5 (CN) 98.3 (C-1), 81.5 (OCH2CCH), 68.5 (CH2CCH, C-2, C-5, C-6), 65.6 (C-3, C-4), 60.9 (2s, POCH2), 55.7 (OCH3), 27.7 (POCH2CH2), 18.7 (CH2CN), 13.1 (CH2CH2CCH). MS MALDI-TOF+m/z calcd for C39H55N4O18P4[M+H]+= 991.76 found 991.86. HR-ESI-QToF MS (positive mode): m/z calcd for C39H55N4O18P4[M+H]+=991.2465 found 991.2462。
47b:無色の油として得られた(279 mg、87%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.93 (d, J=24.2 Hz, 1H, H-1), 4.84-4.79 (m, 1H, H-6), 4.73-4.59 (m, 2H, H-2, H-5), 4.37-4.18 (m, 16H, POCH2CH2CN, POCH2CH2), 4.17-4.12 (m, 8H, OCH2CCH), 3.86-3.80 (m, 1H, H-6), 3.68 (m, 8H, POCH2CH2), 3.63 (s, 17H, OCH2CH2O, H-3), 3.61-3.57 (m, 1H, H-4), 3.38 (s, 3H, OCH3), 2.82-2.74 (m, 8H, CH2CN), 2.46 (m, 4H, OCH2CCH).31P NMR (162 MHz, CDCl3)d -1.67--3.11 (m, 1P). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ117.1 (CN) 98.3 (C-1), 79.6 (OCH2CCH), 74.9 (CH2CCH, C-2, C-5, C-6), 70.2-69.7 (2m, POCH2CH2, C-3, C-4), 69.1 (OCH2CH2O), 67.8-62.3 (5m, POCH2), 58.3 (OCH2CCH), 55.7 (OCH3), 19.5 (CH2CN). MALDI-TOF+m/z calcd for C47H71N4O26P4[M+H]+= 1231.96 found 1231.19. HR-ESI-QToF MS (positive mode): m/z calcd for C47H71N4O26P4[M+H]+=1231.3297 found 1231.3307。
1,3‐双極環状付加及び炭水化物脱アセチル化の一般的手順:
アルキン官能化化合物(47a若しくは47b)1.0当量、及びアジドテトラアセチルガラクトース誘導体48a(Bouillon, C. et al., (2006) J. Org. Chem.71, 4700-4702)又は化合物48b(4〜4.8当量)を、トリエチルアンモニウム酢酸緩衝液(175 μL、0.1M、pH7.7)及びナノ粉末銅(2 mg)を含むジオキサン中に溶解した。得られた混合物を70℃で一晩撹拌した。次いで、この反応物をCHCl(15 mL)中に希釈し、ブライン(15 mLで3回)によって洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し濃縮し乾燥させた。得られた生成物をアセトン(5 mL)中に溶解し、濃アンモニア溶液(30%)を加えた(20 mL)。この混合物を室温で1時間撹拌した。蒸発後、粗生成物をミリQ水中に溶解し、この溶液を、DOWEX‐50W X8樹脂、Na形態を充填したカラムに通した。濃縮後、残渣を、C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(40g)(水(eau)/CHCN/トリエチルアンモニウム酢酸緩衝液(0.1M、pH7.7)、97/0/3〜47/50/3)によって精製し、所望の複合糖質を得た。
Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)G1:淡黄色の油として得られた(141 mg、64%):47a(100 mg、0.1 mmol、1当量)、48a(211 mg、0.4 mmol、4当量)、ジオキサン(2.0 mL)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ7.82-7.72 (4s, 4H, H-triaz), 7.34-7.27 (m, 8H, H-ar), 7.04-6.99 (m, 8H, H-ar), 5.30-5.19 (4s, 8H, C(O)CH2N-triaz), 4.92-4.89 (m, 5H, H-1 gal, H-1 man), 4.86-4.84 (m, 2H, H-2 man, H-3 man), 4.74-4.72 (m, 2H, H-4 man, H-5 man), 3.95-3.93 (m, 10H, H-6 man, OCH2CH2), 3.85-3.68 (m, 24H, H-2 gal, H-3 gal, H-4 gal, H-5 gal, H-6 gal), 3.30 (s, 3H, OCH3), 2.75-2.67 (m, 8H, CH2CH2C-triaz), 1.95-1.81 (m, 8H, CH2CH2CH2) ppm. 31P NMR (121 MHz, D2O)d 0.86 (s), -0.262 (t) ppm. 13C NMR (100 MHz, D2O) d 165.3 (C=O), 153.6 (Cq-ar), 147.2 (Cq-triaz), 130.8 (Cq-ar), 124.1 (CH-triaz), 122.5(C-ar), 116.4 (C-ar), 100.4 (C-1 gal), 98.3 (C-1 man), 74.78, 72.0, 70.0 (3s, 3C, C-2 gal, C-3 gal, C-4 gal, C-5 gal), 67.9 (OCH2CH2), 64.7, 64.1 (C-2 man, C-3 man, C-4 man, C-5 man, C-6 man), 60.1 (C6 gal), 51.3 (C(O)CH2N-triaz, OCH3), 29.5 (CH2CH2CH2), 28.8 (CH2C-triaz). HPLCtR= 11.25 min. MS MALDI-TOF-m/z calcd for C83H113N16O46P4[M-H]-= 2194.76 found 2194.84 HR-ESI-QToF MS (positive mode): m/z calcd for C83H116N16O46P4[M+2H]++=1098.3090 found 1098.3064。
Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)G2:淡い色の油として得られた(190 mg、95%):47b(100 mg、0.082 mmol、1当量)、48a(204 mg、0.4 mmol、4.8当量)、ジオキサン(2.8 mL)。1H NMR (600 MHz, D2O) δ8.19-8.15 (m, 4H, H-triaz), 7.46-7.44 (m, 8H, H-ar), 7.17-7.15 (m, 8H, H-ar), 5.45-5.43 (m, 8H, C(O)CH2N-triaz), 5.05-5.03 (m, 4H, H-1 gal), 4.99 (m, 1H, H-1 man), 4.74 (d, J= 2.4 Hz, 8H, OCH2C-triaz), 4.45-4.32 (m, 3H, H-2 man, H-3 man, H-5 man), 4.17-4.10 (m, 6H,3/4 POCH2CH2), 4.06 (d, J= 2.4 Hz, 1H, H-4 man), 4.04 (d, J= 2.0 Hz, 4H, H-4 gal), 3.89-3.74 (m, 50H, H-2 gal, H-3 gal, H-5 gal, H-6 gal,1/4 POCH2CH2, OCH2CH2), 3.69-3.67 (m, 2H, H-6 man), 3.39 (s, 3H, OCH3) ppm. 13C NMR (150 MHz, D2O) d 166.1 (C=O), 154.4 (Cq-ar), 144.4 (Cq-triaz), 131.6 (Cq-ar), 126.7 (CH-triaz), 123.4 (C-ar), 117.2 (C-ar), 101.1 (C-1 gal), 98.8 (C-1 man), 75.5, 72.7, 70.7 (3s, 3C, C-2 gal, C-3 gal, C-5 gal), 70.3, 69.7, (2m, 5C, C-2 man, C-3 man, C-4 man, C-5 man, C-6 man), 69.1 (C-4 gal), 68.6 (OCH2CH2), 64.9 (POCH2CH2), 63.2 (OCH2C-triaz), 60.9 (C6 gal), 52.6 (C(O)CH2N-triaz, OCH3). HPLCtR= 14.32 min. MS MALDI-TOF-m/z calcd for C91H129N16O54P4[M-H]-: 2431.95 found 2432.18. HR-ESI-QToF MS (positive mode): m/z calcd for C91H132N16O54P4[M+2H]++=1218.3513 found 1218.3436。
Man(POProTzEG‐O‐Gal)G3:淡黄色の油として得られた(66 mg、62%):47a(50 mg、0.050 mmol、1当量)、48b(101 mg、0.200 mmol、4当量)、ジオキサン(1.5 mL)。1H NMR (600 MHz, D2O) δ8.00-7.92 (m, 4H, H-triaz), 5.01 (m, 1H, H-1 man), 4.62-4.64 (m, 8H, CH2N-triaz), 4.48 (dd, J=1.8 Hz, J=7.8 Hz, 3H, H-2 man, H-3 man, H-5 man), 4.45 (d, J=7.8 Hz, 4H, H-1 gal), 4.14-4.12 (m, 4H, 1/2 GalOCH2), 3.98 (m, 9H, H-6 man, OCH2CH2N-triaz), 3.91-3.88 (m, 5H, H-6 man, H-4 gal), 3.85-3.77 (m, 20H, 1/2 GalOCH2, POCH2CH2, H-6 gal), 3.76-3.67 (m, 32H, H-2 gal, H-5 gal, OCH2CH2O), 3.61-3.56 (m, 5H, H-3 gal, H-4 man), 3.47 (s, 3H, OCH3), 2.91-2.78 (m, 8H, CH2CH2C-triaz), 1.97 (CH2CH2C-triaz). 13C NMR (150 MHz, D2O) 103.7 (C-1 gal, C-1 man), 76.0 (POCH2CH2), 75.9, 73.6, 71.6 (3s, 3C, C-2 gal, C-3 gal, C-5 gal), 70.6, 70.5, 70.4, 70.3, 70.2 (C-2 man, C-3 man, C-4 man, C-5 man, C-6 man, OCH2CH2O), 70.0 (OCH2CH2N-triaz), 69.5 (C-4 gal, GalOCH2), 61.8 (d, C-6 gal)), 51.0 (CH2N-triaz), 44.0 (CH2CH2C-triaz), 30.4 (CH2CH2C-triaz). MS MALDI-TOF-m/z calcd for C75H133N12O50P4[M-H]-=2126.80 found 2126.54. HR-ESI-QToF MS (positive mode): m/z calcd for C75H136N12O50P4[M+2H]++= 1064.3709 found 1064.3835。
V‐B 生物学的試験:
ウサギ赤血球に対するPA‐IL結合のガラクトクラスターによる阻害能(血球凝集抑制アッセイ、HIA)、又は、表面プラズモン共鳴(SPR)、酵素結合アッセイ(ELLA)のいずれかによる、表面結合ガラクトシル修飾ポリアクリルアミドに対するPA‐IL結合のガラクトクラスターによる阻害能として、ガラクトクラスターに対するPA‐ILの結合を調査した。阻害を競合アッセイによって測定した。HIA実験では、最小阻止濃度(MIC)は、レクチンの存在下でウサギ赤血球の血球凝集を抑制する、ガラクトクラスターの最小濃度である。低いMICでは、レクチンに対するガラクトクラスターの結合が最も高かった。IC50値を決定するのにSPR及びELLAを用いた。IC50は、表面結合gal‐PAAに対するPA‐ILの結合を50%阻害する、ガラクトクラスターの濃度である。SPR(SPRIC50)及びELLA(ELLAIC50)によって決定されるように、低いIC50値では、ガラクトクラスターに対するPA‐ILの結合が最も高かった。
参照リガンドとして、1‐O‐メチル‐β‐D‐ガラクトシド(GalOMe)、及び1‐O‐p‐ニトロフェニル‐β‐D‐ガラクトシド(GalOArNO)を用いた。これらの2つの参照リガンドによって、結合及びグルコシドクラスター効果に対するフェニルアグリコンの影響を分離することができる。βMe及びβArはそれぞれ、GalOMe及びGalOArNOに対するガラクトクラスターの相対的効力である。
血球凝集抑制アッセイ(HIA):血球凝集抑制アッセイ(HIA)を、U字型96ウェルマイクロタイタープレートにおいて実行した。ウサギ赤血球をBiomerieux社から購入し、更なる洗浄をせずにこれを用いた。赤血球をNaCl(100 mM)中8%溶液に希釈した。3 μMのPA‐IL溶液を、20 mMトリス‐HCl(トリス=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、100 mMのNaCl及び100 mMのCaCl中で調製した。一定分量(50 μL)の連続(2回)レクチン希釈物に4%赤血球溶液(50 μL)を加えて、血球凝集単位(HU)を最初に得た。この混合物を25℃で30分間インキュベートした。血球凝集観察に必要な最小レクチン濃度として、HUを測定した。レクチン阻害アッセイでは、4 HUのレクチン濃度を用いた。PA‐ILでは、この濃度は3 μMであることが分かった。次いで、糖鎖クラスターの連続希釈物(50 μL)、単量体分子及び対照にレクチン溶液(25 μLの必要濃度)を加えて、後の阻害アッセイを実行した。これらの溶液を37℃で30分間インキュベートした後、8%の赤血球溶液(25 μL)を加え、続いて、37℃で1時間更にインキュベートした。それぞれの分子の最小阻止濃度を反復して決定した。
ELLAを用いるレクチン濃度の決定:96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)に、PA‐IL用のα‐PAA‐Gal(PAA=ポリアクリルアミド(Lectinity Holding, Inc.社製):炭酸塩緩衝液(pH9.6)中5 μg.mL−1 100 μLを37℃で1時間被覆し、次いで、1ウェル当たり、リン酸緩衝液溶液(PBS)中3%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)100 μLによって、37℃で1時間ブロッキングした。レクチン溶液(75 μL)を30 μg.mL−1から開始し希釈した(1:2)。37℃で1時間インキュベートし、T‐PBS(0.05% Tween 20を含むPBS)によって3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)‐ストレプトアビジン複合体(100 μL;希釈2:8000;Boehringer-Mannheim社製)を加え、37℃で1時間放置した。1ウェル当たり、o‐フェニレンジアミンジヒドロクロリド(0.4 μg.mL−1)及び尿素過酸化水素(0.4 mg.mL−1)を含む0.05%リン酸/クエン酸緩衝液(OPDキット、Sigma-Aldrich社製)100 μLを用いて、着色を15分間進行させ、硫酸(50 μL、30%)によってこれを停止した。次いで、マイクロタイタープレートリーダー(BioRad 680)を用い、吸光度を490 nmで読み取った。レクチン濃度に対する相対的吸光度をプロットすることによって、ビオチン化されたレクチンの濃度を決定した。後の阻害実験のために、標準レクチン濃度として、線形領域において最も高い応答をもたらす濃度を選択した。最終濃度は、PA‐ILで0.5 μg.mL−1であった。
等温滴定マイクロカロリメトリー(ITC):組換え凍結乾燥PA‐ILを、緩衝液(0.1Mトリス‐HCl、6 μM CaCl、pH7.5)中に溶解し、脱気した。28000の理論モル吸光係数を用い吸光度を測定することによって、タンパク質濃度(リガンド親和性によって50〜270 μM)を確認した。炭水化物リガンドを同じ緩衝液中に直接溶解し、脱気し、これを注入シリンジ(濃度:175 μM)に入れた。MicroCal Incorporated社製のVP-ITC MicroCalorimeterを用いて、ITCを実行した。PA‐ILを、25℃で1.4478 mLの試料セルに入れた。300秒ごとに炭水化物リガンドを10 μL注入して滴定を実行した。標準手順に従って、MicroCal Origin 7ソフトウェアを用い、「1点モデル」を用いてデータを適合させた。適合させたデータによって、化学量論(n)、結合定数(K)及び結合のエンタルピー(ΔH)を得た。式ΔG=ΔH−TΔS=−RTlnK(式中、Tは絶対温度であり、R=8.314 J.mol−1.K−1である。)から、他の熱力学パラメータ(すなわち、自由エネルギーの変化ΔG及びエントロピーΔS)を算出した。試験したそれぞれのリガンドについて、2又は3つの独立した滴定を実行した。
表面プラズモン共鳴(SPR):25℃でBiacore 3000機器を用いて、SPR阻害実験を実行した。固定された2つの糖を備えた2つのチャネル、α‐L‐フコース(チャネル1)及びα‐D‐ガラクトース(チャネル2)において測定を実行した。5 mL.min−1で泳動緩衝液(HBS)を用いて、糖の固定を25℃で実行した。それぞれのチャネル(CM5チップ)において、次に示すように、固定を独立して実行した。最初に、EDC/NHSの新しい混合物を注入して(35 μL、420秒)、チャネルを活性化させた。次いで、ストレプトアビジンの溶液(0.1 mM AcONa緩衝液(pH5)中100 mg.mL−1)を注入した(50 μL、600秒)。溶液にエタノールアミン(1M、35 μL、420秒)を注入して、他の反応種をクエンチした。そして、所望のビオチン化ポリアクリルアミド‐糖の溶液(Lectinity社製、200 mg.mL−1)を、ストレプトアビジン‐ビオチン相互作用によって表面に被覆した(50 μL、600秒)。この手順によって、チャネル1及び2に804 RU(共鳴単位)(フコシド)及び796 RU(ガラクトシド)の糖がそれぞれ固定された。ガラクトシル化チャネル2によって阻害実験を実行し、プロットは減算されたデータ(チャネル2−チャネル1)を表す。PA‐IL実験の泳動緩衝液は、10 mm HEPES、150 mM NaCl、10 mM CaCl、0.005% Tween P20(pH7.4)であった。阻害試験は、PA‐IL(5 mm)のインキュベートされた(1時間超、室温)混合物の注入(150 μL、10 μL.min−1、解離120秒)と、種々の濃度の阻害剤(2倍のカスケード希釈物)と、からなる。それぞれの阻害アッセイでは、阻害剤を含まないPA‐IL(5 μM)を注入し、糖被覆面に対するレクチンの十分な接着(0%阻害)がみられた。d‐ガラクトースを連続的に注入して(泳動緩衝液中30 μLで2回、100 mm)、完全にCM5チップを再生した。ブランクの減算後、経時的にRUとして結合を測定し、その後、BIA評価ソフトウェアバージョン4.1を用いてデータを評価した。IC50評価では、応答(Req適合)は、特定された濃度の阻害剤存在下で平衡状態において炭水化物被覆面に結合したレクチンの量であると考えられた。Origin 7.0ソフトウェア(OriginLab Corp.社製)を用い、阻害剤濃度(対数目盛で)に対する阻害割合をプロットすることによって、阻害曲線を求め、阻害曲線のシグモイド適合からIC50値を抽出した。
マイクロアレイ
マイクロアレイの作製
他に詳述されている(Mazurczyk, R. et al., (2008) Sens. Actuators, B128, 552-559; Vieillard, J. et al., (2007) J. Chromatogr. B845, 218-225; Vieillard, J. et al., (2008) Microelectron. Eng.85, 465-469)標準フォトリソグラフィ及びウェットエッチング法を用いて、微細構造ホウケイ酸ガラススライド(NexterionガラスD、Schott社(ドイツ)製)を作製した。微細構造スライドは、40平方ウェル(3 mmの幅、60±1 μmの深さ)が特徴であった。
Dugas, V., and Chevalier, Y. (2003) J. Colloid Interface Sci.264, 354-361; Dugas, V. et al, (2004) Sens. Actuators, B101, 112-121; Phaner-Goutorbe, M. et al., (2011) Materials Science & Engineering C-Materials for Biological Applications 31, 384-390に報告されているプロトコールに従って、作製スライドを官能化した。スライドを、新たに調製したピラニア中で洗浄し、脱イオン(DI)水中で洗い流し、窒素下で、150℃で2時間乾燥させた。室温に戻した後、乾燥ペンタン中tert‐ブチル‐11‐(ジメチルアミノ)シリルウンデカノアートを、ガラススライド表面と反応させた(室温)。ペンタン蒸発後、スライドを150℃で一晩加熱し、そして、THF及び水中で洗浄した。tert‐ブチルエステル官能基をNHSエステルに変換させた。あるいは、スライドを気相中で官能化することができる。洗浄手順は同様である。
アミノ修飾オリゴヌクレオチドをEurogentec社から購入した。それぞれの反応器の底部における25 μM PBS 10X (pH8.5)の種々のオリゴヌクレオチドによる0.3 nLのスポット形成(1ウェル当たり64スポット)。置換反応を室温で一晩、水飽和雰囲気下で実行し、次いで、水を徐々に蒸発させた。SDS(0.1%)によって70℃で30分間、そして脱イオン水によって簡単にスライドの洗浄を実行した。
スライドをすべて、PBS 1X中4% BSA溶液(pH7.4、37℃、2時間)によってブロッキングし、PBS‐Tween 20(0.05%)、PBS 1X(pH7.4)及び脱イオン(DI)水中で連続的に洗浄した後、遠心分離によって乾燥させた。
レクチン標識:PA‐ILレクチンのAlexa 647標識:PA‐ILレクチンを、Invitrogen社製のAlexa Fluor(登録商標)647マイクロスケールタンパク質標識キット(A30009)によって標識した。標識レクチンの濃度及びレクチンに対する色素の比率を、マイクロキュベット(Hellma社製、5 μl、1 mmの光学距離)を備える二重ビーム分光計(Safas社製)を用いて読み取られた(reaud out)吸光度によって推定した。281 nm及び650 nmの吸光度を測定した。PA‐ILの濃度は、四量体PA‐ILに対する色素の標識度0.51により、11.58 μΜと推定された。
「インソリューション(In solution)」生物学的認識:K及びIC50値を決定する方法は、過去に報告されている(Gerland, B. et al., (2012) Bioconjugate Chem.23, 1534-1547; Zhang, J. et al., (2009) Chem. Comm., 6795-6797 ; Zhang, J. et al., (2009) Biosens. Bioelectron.24, 2515-2521)。
の決定:擬似化合物G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)、又は32 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)(最終濃度1 μM)を、0.02% PBS‐2% Tween20溶液中で希釈した。CaCl(最終濃度1 μg/mL)を加えた。次いで、所望の最終濃度のPA‐ILを加えた。2 μLのそれぞれの溶液(所望のPA‐IL濃度に相当)を、対応するマイクロウェル内に注入した。スライドを水蒸気飽和室内でインキュベートし(3時間、37℃)、そして、PBS‐Tween 20中で洗浄し(0.02%、5分、4℃)、乾燥させた。マイクロアレイスキャナ、GenePix 4100Aソフトウェアパッケージ(Axon Instruments社製;λex 532/635 nm及びλem 575/670 nm)を、両方のフルオロフォア(Cy3とAlexa 647)の蛍光像に用いた。8つのスポットから中間蛍光シグナルの平均を算出した。スキャッチャードプロットを用いて、得られたラングミュア等温式を直線化し、縦軸切片(ordonnate intercept)でK値を得た。
細胞への接着試験
細菌及び細胞培養。ヒト肺粘液性類表皮癌由来の上皮細胞系NCI‐H292(ATCC CRL 1848)を、10%ウシ胎児血清(Boehringer社製)を添加し抗生物質を含まないRPMI 1640培地(Gibco)を収容した25 cm組織培養フラスコ(Nunc)中に維持した。以下、この培地を維持培地と称する。細胞を1:6の分裂比で毎週2回継代した。すべての細胞培養物を、5%のCOを含む雰囲気下で、37℃でインキュベートした。トリパンブルー染色後に光学顕微鏡によって、細胞数及び生存率を決定した。緑膿菌参照株PAO1を、37℃で16時間、Luria‐Bertani培地中で増殖させた。細胞を、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)溶液中で2回洗浄し、これを希釈し、およそ5.10 CFU/mLの細胞密度を得た。
細菌接着アッセイ。細菌接着アッセイでは、NCI‐H292細胞を、1 mLの維持培地を収容した24ウェルマイクロタイタープレートに、集密的な単層(1ウェル当たり5.10の細胞)まで培養した。あらかじめ37℃まで加温した、1 mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(137 mM NaCl、8 mM NaPO、1.5 mM KHPO、2.6 mM KCl)によって、プレートを2回洗浄し、DPBS中0.5%(wt/vol)のウシ血清アルブミンとともに37℃で1時間インキュベートすることによって、非特異的結合をブロックした。細菌と相互作用させる前に、調製物を、あらかじめ加温したDPBSによって再度2回洗い流した。次いで、100 μLの細菌懸濁液をそれぞれのウェルに加え、1のMOI(5.10 CFU/mL/5.10細胞)を得た。その後、プレートを37℃で2時間インキュベートした。DPBSによって調製物を5回洗い流すことによって、非接着細菌を除去した。0.2%(v/v)Triton X‐100溶液により37℃で30分間インキュベートして、細胞を溶解した。DPBSを用いて連続希釈物を調製し、100 μLの一定分量をLBプレートに3回反復してまき、37℃で24時間インキュベートした。
接着阻害では、擬似ガラクトG1(Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal))のみ試験した。擬似ガラクトG1を0〜2 mMの範囲の最終濃度でウェルに加えた。
V‐C 結果
HIAアッセイでは、G2 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)は、擬似化合物のうち最も低いMICを示し、Man(POProTzEG‐O‐Gal)G3は最も高いMICを示した。擬似化合物G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)は、中間MICを有していた(表3)。GalOMeに対する擬似化合物G1、G2及びG3の相対的効力はそれぞれ、128、513及び4である。したがって、Man(POProTzEG‐O‐Gal)G3の増加は、依然として制限される。実際に、ガラクトース残基当たりのMICは同じである。これとは対照的に、擬似化合物G1及びG2は、ガラクトース残基とマンノースコアとの間に最も長いリンカーを有するG2の顕著な利益によって、大きな効力の増加を示す。擬似化合物G1及びG2の16及び65のGal‐OArNOに対する算出された効力はそれぞれ、4及び16の残基当たりの増加によって、糖鎖クラスター効果を明らかに示していた。したがって、効力の増加は、芳香環の存在だけでなく、多価効果にも関連している。
Figure 2016533342
表3:血球凝集抑制アッセイ(HIA)。MICは最小阻止濃度を表す。効力(β):βMe又はβArは、考慮される分子のMICに対するGal‐OMe又はGal‐OArNOのMICの比率に相当する。
ELLAIC50及びSPRIC50では、Man(POProTzEG‐O‐Gal)の効力は、HIAとは逆に、Gal‐Arよりもわずかに良好である(表4)。これは、実際に、2つの分子の効力が類似していることを示唆する。ELLAIC50SPRIC50はともに、G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)、及びG2 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)が、一価のリガンド及びMan(POProTzEG‐O‐Gal)と比較して、効力が向上していることを確認した。また、G2 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)が最良のリガンドであることも確認した。ただし、これらの向上の範囲は、アッセイによって異なっていた。実際に、擬似化合物1〜3のGal‐ArNOに対する効力は、ELLAによって決定されたIC50値では127、550及び1.2であり、SPRによって決定されたIC50値では2.0、7.4及び1.7であった。したがって、SPRIC50の場合では、多価クラスターの明確な効力は、実証することができない。グリコシドによるクラスター効果範囲のかかる不一致は、文献に既に報告されている(Lundquist, J. J., and Toone, E. J. (2002) Chem. Rev.102, 555-578)。
Figure 2016533342
表4:酵素結合レクチン(Lectine)アッセイ(ELLA)及び表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定されたガラクトシル化リガンドのIC50値。βMeは、考慮される分子のIC50値に対するGal‐OMeのIC50値の比率である。同様に、βArは、考慮される分子のIC50値に対するGal‐ArNOのIC50値の比率である。
マイクロタイタープレートをPAA‐ガラクトースによって修飾した。スライドを、ガラクトシル化リガンドの濃度を増加させながら、インキュベートした。IC50は、ガラクトース‐PAA修飾表面に対するPA‐ILの初期接着の50%を置き換えることができる擬似ガラクトの濃度である。決定された最も低いIC50では、検討された分子のPA‐ILに対する結合が最も強い。ELLA:このIC50は、後述するELLAIC50である。SPR:このIC50は、後述するSPRIC50である。
3つの擬似化合物のIC50値は、参照一価リガンドとして用いた化合物31と比較して、17d、32及びC3を用いたDNA指向固定グリコアレイを用い、先に決定された(図6)(Zhang, J. et al., (2009) Biosens. Bioelectron.24, 2515-2521; Goudot, A. et al., (2013) Biosens. Bioelectron.40 153-160)。この場合、IC50値は、表面結合クラスターとのPA‐IL相互作用の50%を阻害するのに必要なラクトース濃度に相当する。したがって、最も高いIC50値では、結合は良好である。177、264及び1.8の相対的効力を決定した。ELLAによって決定された本IC50値は、種々の擬似化合物間の同じ桁のグリコアレイによって決定されたものと一致している。
Figure 2016533342
表6:阻害剤としてラクトースを用いたDDI‐グリコアレイによって決定されたDNA‐擬似ガラクトのIC50値。
PA‐ILと3つのガラクトクラスターG1、G2、G3との間の相互作用の等温マイクロカロリメトリー測定を行い、GalOMeによって先に得られたデータと比較した(表7)(Chabre, Y. M. et al., (2011) Chem. Eur. J.17, 6545-6562)。G3 Man(POProTzEG‐O‐Gal)の場合、8.5倍のGalOMeに対する効力の中程度の増加に対応する11 μMのKd値が測定された。化学量論(stoechiometry)(0.28)は、4個のガラクトース残基がPA‐IL単量体に結合することを示唆する。したがって、本結果は、相互作用に対してエントロピー損失がエンタルピーの考慮によって償われず、これによって、多価G3 Man(POProTzEG‐O‐Gal)と一価のGal‐Arの両方に同様のKdがもたらされることを示唆した。擬似ガラクトG1及びG2はそれぞれ、485倍及び599倍の効力の強い増加を示した。G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)、又はG2 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)の化学量論は類似しており(それぞれ、0.46及び0.52)、このことは、2個のガラクトース残基がPA‐IL単量体とともに同時に関与していることを示唆していた。両方の分子のエントロピー損失は、G3 Man(POProTzEG‐O‐Gal)でみられたものよりも約3〜4倍低い。両方の分子は同様のエンタルピー寄与をし、芳香族一価リガンドによるCeccioniらの文献(Cecioni, S. et al., (2012) Chem. Eur. J.18, 6250-6263)によってみられた−53 KJmol−1とはそれほど異ならない。しかしながら、驚くべきことに、ジエチレングリコールアームによる、より柔軟なリンカーの存在にもかかわらず、G2 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)のエントロピー損失は、G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)でみられたものよりも低かった。この理由は、Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)のリンカーの疎水性によるものであると考えられ、これによって、脱水エントロピー損失を非常に増加させる。
並行して、17d Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)のKdを、ラングミュア等温式を用いてマイクロアレイ上で測定し、ITCによって測定されたものと同様に196 nMのKd値が得られた。しかしながら、32 Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)の測定されたKd値は、ITCによって測定されたものとは異なり、同じ桁の範囲内の83であった。
Figure 2016533342
表7:PA‐ILと擬似ガラクトG1、G2、G3との間の相互作用の滴定マイクロカロリメトリーデータ。Kd値は、17d、32及びC3から決定した。
物理化学(physic-chemical)特性評価実験によりPA‐ILに対して強い結合を示したので、細胞レベルにおいて、唯一の擬似ガラクトG1(Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal))の接着阻害効果を評価した。NCI‐H292細胞に対する緑膿菌の接着は、擬似ガラクト阻害剤の有無による2時間のインキュベーション後に評価した(図18)。
接着細菌の数は、培地中の擬似ガラクト濃度の増加とともに徐々に減少する。50 μM未満の濃度では有意な阻害はみられなかった。図18は、培地中のG1(Man(POProTzPhe‐O‐Gal))濃度の関数としての、NCI‐H292細胞に対する緑膿菌の接着阻害割合を表す。接着IC50adhIC50)は、図に決定されているように95.25 μMであった。
細菌接着アッセイは、G1 Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)が細菌接着の阻害剤であることを示す。細菌接着アッセイは、宿主細胞に対するPAの接着をガラクトクラスターによって阻害できることを実証する。
少量のレクチンのみが細菌細胞上に露出することは周知である(Glick and Garber et al., 1983)。それにもかかわらず、この接着におけるPA‐ILの直接的な意義がまだ実証されていなくても、この少量は宿主上皮細胞への細菌の接着を促進するのに十分である(Plotkowski et al., 1989; Laughlin et al., 2000; Chemani et al., 2009)。複数の研究グループは、宿主組織へのPAの接着阻害、PAに感染させた動物モデルにおける肺コロニー形成の減少又は肺クリアランスの増加、及びPA‐ILを標的とする種々のガラクトシドによる連続的な処理について既に説明している(Chemani et al., 2009 ;Gilboa-Garber N, 2011 ; Gustke et al., 2012)。PA‐ILに対する擬似ガラクトは、宿主組織へのPA接着の新しいクラスの阻害剤に相当し、PA感染を予防する有望な将来に相当すると考えられる。
PA‐ILに対する糖鎖クラスターG25〜G48の親和性をグリコアレイによって評価した。
化合物G25〜G30の予想されるKd値は1〜50 nMであり、50〜100 nMが好ましく、また、化合物G31〜G48では、Kd値は1〜50 nMであり、1〜100 nMが好ましい。
VI‐結論:
宿主組織のPAコロニー形成、及びバイオフィルム形成によって、抗生物質治療に対して細菌に選択的有利性が提供される。PA‐ILは、PA接着に関与することが疑われる病原因子である。多価のガラクトシル化分子によるPA‐IL阻害は、PA接着を阻害する手段として予測される。本明細書において、PA‐ILに対するガラクトースクラスターの親和性を、5つの異なる方法を用いて評価した。最終的に、5つの方法は、擬似ガラクトG1(Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal))がPA‐ILに対して強い結合を有することを実証した。100 μM未満のIC50によって、NCI‐H292へのPA接着を阻害することができた。
両方の方法(IC50とKd)は、同様の親和性を提供した。最良の糖鎖クラスターは、14〜48 nMのKd値を示す、O‐ナフチル(G21〜G24)、O‐ビフェニル(G17〜G20)及びO‐フェニル(G1及びG3)を有するものであった。S‐ベンジル(G13〜G16)及びホスホロチオアートEG2 O‐フェニル(G2)を有する糖鎖クラスターは低い親和性で、49〜70 nMのKd値であり、続いて、S‐ベンジル(G13〜G16)及びホスホロチオアートEG3 O‐フェニル(G4)であり、71〜85 nMのKd値であった。そして、O‐ベンジル(G5〜G8)を有する糖鎖クラスターは最も低い親和性を示し、85〜170 nMのKd値であった。
本発明は、好適な実施形態を参照して説明してきた。ただし、本発明の範囲内で多くの変形が可能である。

Claims (12)

  1. 次の式(II)に対応する分子であって、
    Figure 2016533342
    式中、
    Kは、マンノース、ガラクトース、グルコース、アラビノース、キシロース、リボース及びラクトースからなる群より選択される炭水化物を表し、
    Phoは、
    Figure 2016533342
    からなる群より選択されるリン酸基を表し、
    式中、XはO又はSを表し、
    リン酸基の1又は2個の酸素原子は、共有結合によってLリンカーアームに結合しており、
    は、
    直鎖又は分岐C‐Cアルキルジラジカル、直鎖、分岐又は環状C‐Cアルキルジラジカル、1つ又は複数のエーテル架橋‐O‐を含む可能性がある、直鎖、分岐又は環状C‐C12アルキルジラジカル、
    2、3、4、5又は6つのエチレングリコール単位を含むポリ(エチレングリコール)ジラジカル、
    2、3、4、5又は6つのプロピレングリコール単位を含むポリピレングリコールジラジカル、
    からなる群より選択されるリンカーアームを表す。)、
    Tは、
    トリアゾ−ルジラジカル
    Figure 2016533342
    からなる群より選択される連結基を表し、
    は、
    Figure 2016533342
    式中、n及びmは、1、2、3、4又は5から選択される整数を表す。)
    からなる群より選択されるリンカーアームを表し、
    Arは、フェニル、ナフタレニル及び1,4‐ビフェニル
    Figure 2016533342
    からなる群より選択され、
    はO、S又は‐CHを表し、
    Galは、次式のβ‐D‐ガラクトピラノシル基を表し、
    Figure 2016533342
    zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される整数であることを特徴とする前記分子。
  2. Kが、D‐マンノピラノシル形態下のマンノースを表すことを特徴とする、請求項1に記載の分子。
  3. が、Pro(1,3‐n‐プロピル)基、EG2M(ジエチレングリコールメチレン)、EG3M(トリエチレングリコールメチレン)、EG4M(テトラエチレングリコールメチレン)を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分子。
  4. Arがフェニル基であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の分子。
  5. zが3又は4であることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の分子。
  6. Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
    Gal(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
    Glc(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
    Man(POEGMTzAcNPhe‐O‐Gal)
    Man(POProTzAcNPhe‐O‐Gal)
    Man[POTHME(MTzAcNPhe‐O‐Gal)
    Man(PSEG2MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
    Man(PSEG3MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
    Man(EG2MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
    Man(EG3MTzAcNPhe‐CH‐Gal)
    Man(EG2MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
    Man(EG3MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
    Man(PSEG3MTzAcNPh‐Gal)
    Man(PSEG3MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
    Man(PSEG2MTzAcNPhe‐CH‐SGal)
    Man(PSEG3MTzAcNPh‐SGal)
    Man(PSEG2MTzAcNPh‐Gal)
    Man(PSEG2MTzAcNPh‐SGal)
    Man(EG2MTzAcNPh‐SGal)
    Man(EG3MTzAcNPh‐SGal)
    Man(EG3MTzproNCONapht‐OGal)
    Man(EG3MTzproNCOBisphe‐OGal)
    Man(PSEG3MTzproNCOBisphe‐OGal)
    Man(PSEG2MTzproNCOBisphe‐OGal)
    Man(EG2MTz AcNPh‐Gal)
    Man(PSEG3MTzproNCONapht‐OGal)
    Man(EG3MTz AcNPh‐Gal)
    Man(PSEG2MTzproNCONapht‐OGal)
    Man(EG2MTzproNCOBisphe‐OGal)
    Man(EG2MTzproNCONapht‐OGal)
    (式中、Manはマンノースを表し、Galはガラクトースを表し、Glcはグルコースを表す。)
    からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の分子。
  7. 請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物、又は医薬として許容し得るその塩と、医薬として許容し得る担体及び/又は賦形剤と、を含むことを特徴とする医薬組成物。
  8. 呼吸器官内に吸入又は滴下されるように製剤化されることを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 少なくとも1つ以上の他の抗菌剤、又は1つ以上の他の抗病原性剤、又は宿主の先天免疫を強化する1つ以上の薬剤を更に含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
  10. 微生物病原体、具体的には病原菌による感染の予防、遅延、弱化及び治療的処置に用いることを特徴とする、請求項7〜9のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からの感染を治療するか、遅延させるか、弱化させるか又は予防するための、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 緑膿菌を捕捉することが可能な材料に用いることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物を含む組成物。
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