JP2016523605A - 車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステム - Google Patents

Abstract

車椅子が縁石を乗り越えるのを補助する車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムを提供すること。システムは、車椅子取付け機構と、車椅子の前方部を持ち上げるために伸長し、車椅子の前方部を下げるために元の状態に収縮するように構成される１対の前側アームと、車椅子の後方部を持ち上げるために伸長し、車椅子の後方部を下げるために元の状態に収縮するように構成される１対の後側アームとを含む。システムは、さらに、腕を伸長する／収縮させる腕伸長機構と、各腕の自由端にある回転可能な持上げ腕用車輪と、腕車輪を回転させる車輪モータと、動作制御ユニットと、システムの動作中、車椅子の座を地面と実質的に水平な状態に確実に維持する水平化機構とを含む。【選択図】図７Ｃ

Description

本発明は、障害者を補助する機器、特に車椅子および装備品に関する。

車椅子は、通常、歩行に問題のある人々が使用する。車椅子に関する一般的な問題は、車椅子を転動させてまたはその他の方法で歩道縁石などの段状または隆起構造物に上げたりそこから降ろしたりして進行させることが容易ではなく、また、そうした場合に、通常、複雑な機構、および／またはユーザにとって心地悪く、危険でさえもあり、ならびに高価なこともあるユーザを傾かせる機構を利用することである。

以下の公告、米国特許第６５５４０８６号（２００３年４月２９日公開、Ｇｏｅｒｔｚｅｎ他）、米国特許第８２９２０１０号（２０１２年１０月２３日公開、Ｐｕｓｋａｒ−Ｐａｓｅｗｉｃｚ他）、米国特許第７３１６２８２号（２００８年１月８日公開、Ｍｕｌｈｅｒｎ他）、米国特許第７３６０７９２号（２００８年４月２２日公開、Ｔｕｒｔｕｒｉｅｌｌｏ他）、米国公開第２０１０／０９６１９４号（２０１０年４月２２日公開、Ｓｔａｒｃｅｖｉｃ）、国際公開第１９９８／０４６１８４号（１９９８年１０月２２日、Ｓｃｈａｆｆｎｅｒ他、）は、当技術分野の現状を示すものと考えられ、これら全てをそのまま参考文献としてここに援用する。

本発明は、歩道縁石（以下本明細書および特許請求の範囲において、「縁石」または何らかのその派生語）などの段状の隆起構造物または隆起面に車椅子を上げる、およびそこから車椅子を降ろす（以下説明および特許請求の範囲では、「乗り越える」またはその派生語）ように作られた車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムに関する。本システムは特に電動車椅子の用途に適しているので、本システムをこれに関連させて説明する。しかしながら、本車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムは、必要な変更を加えれば、電動車椅子に限定されるものではない。

本明細書の説明および特許請求の範囲では、「縁石」およびその派生語を用いて、建物または店舗への通路などで見かけることのあるような歩道縁石、１段の階段、登り段／下り段などの縁石状の性質を有する何らかの比較的単離した障害物を示している。本明細書の「縁石」という用語およびその派生語は、一続きの階段などの障害物を含むようには意図されていない。

本発明の１つの態様の実施形態によれば車椅子が縁石を乗り越えるのを補助する車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムが提供される。このシステムは、システムを車椅子に固定する車椅子取付け機構と、１対の前側アームであって、各前側腕が、車椅子の前方部を持ち上げるために前方および下方に伸長するまたは前方および下方に配置され、システムが配備されるとすぐに車椅子の前方部を下げるために元の状態に収縮するように構成されかつそのように制御することができる１対の前側アームと、１対の後側アームであって、各後側腕が、車椅子の後方部を持ち上げるために後方および下方に伸長するまたは後方および下方に配置され、システムが配備されるとすぐに車椅子の後方部を下げるために元の状態に収縮するように構成されかつそのように制御することができる１対の後側アームとを含む。システムは、さらに、腕を伸長するまたは配置する、および収縮させるために、前側腕のそれぞれおよび後側腕のそれぞれと関連する腕伸長および収縮モータを有する腕伸長機構と、各前側腕および各後側腕の自由端に配置される回転可能な持上げ腕用車輪と、腕車輪の少なくとも１つと関連していて、腕車輪の少なくとも１つを回転させるように構成される車輪モータと、システムの動作を始動させて制御するように作られる動作制御ユニットと、システムの動作中、車椅子の座を地面と実質的に水平な状態に確実に維持するために作動するように腕に連結される水平化機構とをさらに含む。

本車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムの特有の特徴は、基本的にユーザを傾けることなく、歩道縁石などの段状の隆起構造物を乗り越えるように作られていることである。

本システムのさらなる特有の特徴は、比較的軽量、例えば４０ｋｇ程度であり、適度に短い期間、例えば約１０秒以内に、約２０ｃｍの縁石を乗り越えることを可能にし、車椅子の操縦または出入口等に入ることの妨げとならないように、車椅子の既存の設置面積を増やさないことである。

以下の詳細な説明を添付の図面と関連させて読むことで、本発明の理解および認識はさらに深まるであろう。

それぞれ、本発明の実施形態により車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムが装着されたまたはそれを内蔵する車椅子の一般的な前面斜視側面図および後面斜視側面図である。 それぞれ、本発明の実施形態により車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムが装着されたまたはそれを内蔵する車椅子の一般的な前面斜視側面図および後面斜視側面図である。 車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステム側の伸長可能な持上げ腕の図で、それぞれ斜視図と２つの側面図を示す。 車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステム側の伸長可能な持上げ腕の図で、それぞれ斜視図と２つの側面図を示す。 車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステム側の伸長可能な持上げ腕の図で、それぞれ斜視図と２つの側面図を示す。 縁石登りおよび縁石下りシステムを備えた車椅子の斜視分解図である。 Ａ−Ｉ。さまざまな動作の状態にある車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムの側面図である。 Ａ−Ｈ。さまざまな動作の状態にある車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムの別の実施形態の側面図である。

本発明の実施形態についての以下の詳細説明は、以上の添付図面を参考にしている。図に示す構成要素の寸法および特徴は、表現の便宜上または明瞭性のために選択されており、必ずしも一定の縮尺で示されていない。可能な限り、同じ部品および同様の部品を指すのに、図面および以下の説明を通して同じ参照番号を使用している。

本発明の例証的な実施形態を、以下に述べる。明瞭にするため、実際に実装される全ての特徴／構成要素が、必ずしも記載されているわけではない。

図１−図６は、車椅子と共に使用される本車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムの、その任意改修も含めた第１の実施形態を示す。限定するわけではなく、このシステムは、特に電動車いすの用途に適しているので、これに関連させて説明してゆく。車椅子は、通常、座１０２および椅子支持軸１０４を含む椅子１００と、基部１０６と、１組の駆動輪１０８と、１組の前キャスタまたは前車輪１１０と、１組の後安定車輪１１２と、１つまたは複数のフットレスト１１４と、推進力電源（１つまたは複数の電池など）およびモータ１１６と、肘掛け１２０と、ユーザが車椅子の動きを制御する動作制御ユニット１２２とを備えている。

いくつかの実施形態では、縁石登りおよび縁石下りシステムは、車椅子の両側部上に１つずつ、１対の持上げ腕ハウジング１０を備えている。腕ハウジング１０は、アルミニウムなどの頑強な材料でできていて、いくつかの好適な実施形態では、図示のように弓形である。システムは、例えば、システム（例えば腕ハウジング１０）と椅子支持軸１０４の間の取付け部を利用して、通常システムを車椅子に、例えば基部１０６などに接続する車椅子取付け機構１１（いくつかの実施形態では一般的に横方向に方向付けられるコネクタロッド５２および関連ファスナを含む、図６）を含むが、システムを他の方法および手段で取り付けることもできる。

各腕ハウジング１０には、１対の腕受けトンネル１２があり、一方のトンネルは、相応の形状をした前方／下方に伸長可能な車椅子持ち上げおよび降下腕１４を収容するように構成され、（以下、本明細書および特許請求の範囲において、それらの動作の方法にかかわらず、さらに／同義的に「前側腕」１４と称す）他方のトンネルは、相応の形状をした後方／下方に伸長可能な車椅子持ち上げおよび降下腕１６を収容するように構成される（以下、本明細書および特許請求の範囲において、それらの動作の方法にかかわらず、さらに／同義的に「後側腕」１６と称す）。各持上げ腕１６の自由端には、腕伸長機構の一部として車輪モータ２０を利用して回転することができる車椅子持上げ腕車輪１８がある。このような目的で、いくつかの実施形態では、腕伸長機構の各車輪モータ２０には、関連する歯車２２があり（図５）、各持上げ／降下腕（前側腕１４および後側腕１６）には、それぞれの歯車に対応する歯状部または歯付きレール２４（図５）がある。いくつかの変更態様では、腕伸長機構は、歯車ではなく摩擦ローラ（図示せず）または滑車装置（図示せず）を含んでいる。

伸長および収縮中に円滑に動作するように、通常、各持上げ／降下腕１４、１６には、さらに、ハウジング１０にあるトンネル１２の内表面と接触する１つまたは１対のローラ２６がある。持上げ腕伸長および収縮モータ２８は、腕を伸長および収縮させるために持上げ腕／降下腕１４、１６のそれぞれと関連している。

いくつかの好適な実施形態では、後側（または前側）の１対の持上げ腕車輪１８は、両方の車輪対が車輪モータ２０によって回転可能であるように、車軸３０で接続されている。いくつかの実施形態では、各車輪１８は、車輪モータ２０などの関連するモータを備えている。いくつかの実施形態では、車軸３０などの車軸によって接続される各車輪対は、車輪モータ２０などの関連するモータを備えている。

いくつかの実施形態では、縁石登りおよび縁石下りシステムは、車椅子の持上げおよび降下の間、座１０２（すなわちユーザ）が確実に、地面に対して水平に維持されるように、腕１４および１６の伸長を相対的に制御するように作動可能な状態で（１つまたは複数の）車輪モータ２０と係合される１つ以上のレベルまたは傾斜計センサ３４を含む水平化機構３２（図６）をさらに含んでいる。

いくつかの実施形態では、縁石登りおよび縁石下りシステムは、車椅子の持上げおよび降下の間、座１０２（すなわちユーザ）が確実に、地面に対して水平に維持されるべく、腕１４および１６の伸長を相対的に制御するように、車輪１８が地面と接触した場合に検知する１つ以上のセンサ３６（例えば圧力／接触覚センサ、図６）を含んでいる。

いくつかの実施形態では、腕１４および１６の相対的な伸長は、例えば動作制御ユニット１２２を利用して、ユーザが制御することができ、このユニットは、いかなる場合でも縁石登りおよび縁石下りシステムを作動させるのに通常使用される。車椅子を持ち上げる正確な量は、明らかにシステムの寸法および／または設計の関数によるのは明らかであるが、約２０センチメートルの上昇および降下であれば、大部分の典型的な縁石などを乗り越えるのには十分であると思われる。さらに、この動作に関する理論的な制限時間は存在しないが、提示されたシステムは、適度に、１０秒程度で上昇または降下を完了させるように設計することができる。

動作：

動作に関して、図７Ａは、登ろうとする縁石への接近を示す。図７Ｂは、展開状態の縁石登りおよび縁石下りシステムを示す。図７Ｃは、車椅子を縁石のレベルまで持ち上げた後のシステムを示す。図７Ｄは、車椅子を縁石上へ前進させているシステムを示す。図７Ｅは、縁石登りを完了させた後の車椅子を示す。図７Ｆは、降りようとする縁石への接近を示す。図７Ｇは、降下用に展開状態のシステムを示す。図７Ｈは、車椅子を前進させて縁石から離している状態のシステムを示す。図７Ｉは縁石降下を完了させた後の車椅子を示す。

システムを作動させるため、上がるまたは下がるのにユーザが援助を必要とする縁石または同種のものに隣接したとき、ユーザは、動作制御ユニット１２２を使用してシステムを始動させる。上昇する例では、前方／下方へ伸長可能な車椅子持上げ／降下腕１４が縁石より上にある場合、システムを始動し、持上げ腕の伸長および収縮モータ２８を作動させて腕１４および１６を伸張する。前述のセンサの正確な特性により、座１０２（すなわちユーザ）が地面に対して水平に保たれるように腕１４および腕１６の伸長は制御され、それによって、座／ユーザが傾くことはなく、このことが、ユーザに動作の安定性ならびに快適さを提供する。腕の伸長の絶対的な長さは、腕が車椅子を約２０センチメートル上昇させ、それによって、大部分の縁石を乗り越えることができるように、通常制御される（それに応じてシステムは設計される）。

腕１４および１６の車輪１８が地面と噛み合った後、車輪モータ２０が作動して車輪１８の少なくとも１つを回転させ、このことにより車椅子を前方へ推進させる。（標準の）車輪１０８、１１０、および１１２の全てが縁石面より上にある場合、通常、腕１４および１６は、ユーザによって収縮される。

降下は、概ね同様である。ユーザが、縁石上ではあるが、段を降りる位置に隣接している場合、ユーザは、システムを始動させて、腕１４および１６をモータ２８で伸長させる。センサ３４によって、座１０２は確実に、地面と実質的に平行な状態を保ち、１つまたは複数の車輪１８が上記のように回転する。（標準の）車輪１０８、１１０、および１１２の全てが縁石面を通過すると、通常、腕１４および１６は、ユーザによって収縮される。いくつかの実施形態では、システムは、腕１４および１６の収縮をいつ始動させるべきなのかをユーザに知らせる別のセンサを含んでいてもよく、またはそのような制御を自動にすることができる。

図７Ａ−図７Ｉに概ね類似して、図８Ａ−図８Ｈは、本車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムの、その任意改修も含んでいる、別の実施形態の動作を示す。これらの実施形態では、腕１４および１６を収容するハウジング１０は無く、腕は、通常、ハウジング１０などのハウジングではなく、基部１０６または他の適切な構成要素に取り付けられる。前方／下方へ伸長可能な車椅子持上げ／降下用前側腕１４と関連する前側モータ２８ａは、縁石に上がるときには車輪１８を降ろすために、縁石を降りるときには車輪１８を上げるために、各腕１４の第１の区分１４ａを動かして、各腕１４の枢軸または軸５０で第１の区分と枢転可能に接続している第２の区分１４ｂを動かすように作られている。いくつかの実施形態では、腕１４の第２の区分１４ｂは、車椅子に、例えば取付け部材５４を利用して基部１０６に取り付けられるが、他の実施形態では、構造および設計によっては、腕１４、特に第２の区分１４ｂは、車椅子に直接取り付けられる。

後側モータ２８ｂは、後側腕１６と関連しており、腕１６を（上がるとすぐ）下方に、および（降りるとすぐ）上方に枢動させるように作られている。いくつかの実施形態では、後側腕１６は、車輪１１２で車椅子に取り付けられる。

以上の記載は、例証的なものに過ぎず、必要な変更を加えて考案することのできる本発明のさまざまな実施形態が存在し、および以上で説明した実施形態に記載した特徴および本明細書には記載していない特徴を、別々にまたは任意に適切に組み合わせて使用してもよく、以上には記載していない実施形態によって、本発明を考案することもできることを理解されたい。

Claims (8)

1. 車椅子が縁石を乗り越えるのを補助する車椅子用縁石登りおよび縁石下りシステムにおいて、
   前記システムを前記車椅子に固定する車椅子取付け機構と、
   １対の前側アームであって、各前側腕が、車椅子の前方部を持ち上げるために前方および下方に伸長するまたは前方および下方に配置され、前記システムが配備されるとすぐに前記車椅子の前記前方部を下げるために元の状態に収縮するように構成されかつそのように制御することができる１対の前側アームと、
   １対の後側アームであって、各後側腕が、車椅子の後方部を持ち上げるために前方および下方に伸長するまたは前方および下方に配置され、前記システムが配備されるとすぐに前記車椅子の前記後方部を下げるために元の状態に収縮するように構成されかつそのように制御することができる１対の後側アームと、
   前記腕を伸長するまたは配置する、および収縮させるために、前記前側腕のそれぞれおよび前記後側腕のそれぞれと関連する腕伸長および収縮モータを有する腕伸長機構と、
   各前側腕および各後側腕の前記自由端に配置される回転可能な持上げ腕用車輪と、
   前記腕車輪の少なくとも１つと関連していて、前記腕車輪の少なくとも１つを回転させるように構成される車輪モータと、
   前記システムの動作を始動させて制御するように作られる動作制御ユニットと、
   前記システムの動作中、前記車椅子の前記座を前記地面と実質的に水平な状態に確実に維持するために作動するように前記腕に連結される水平化機構とを備えるシステム。
2. 前記前側腕および後側腕を収容する１対の腕ハウジングをさらに備える、請求項１に記載のシステム。
3. 前記ハウジングおよび腕が、弓形である、請求項２に記載のシステム。
4. 前記腕伸長機構の各腕伸長および収縮モータには、関連する歯車があり、各腕には、そのそれぞれの歯車に対応する歯状部または歯付きレールがある、請求項２に記載のシステム。
5. 前記前側腕が、第１の区分および前記第１の区分と枢転可能に接続している第２の区分を備えており、それによって、前記前側腕が、前記縁石に上がるときには前記腕車輪を降ろすように、前記縁石を降りるときには前記腕車輪を上げるように構成される、請求項１に記載のシステム。
6. 前記前側腕が、取付けロッドを利用して前記車椅子に取り付けられている、請求項１に記載のシステム。
7. 前記前側腕が、前記車椅子に枢動可能に取り付けられており、前記モータが、前記前側腕を、前記縁石を上るときには下方に枢動し、前記縁石を降りるときには上方に枢動する、請求項１に記載のシステム。
8. 前記水平化機構が、少なくとも１つの傾斜計センサを含む、請求項１に記載のシステム。

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