JP2016523517A - ユビキチンリガーゼのモジュレーターを同定するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、HECT及びRBRファミリーを含むがこれらに限定されないE3Ubリガーゼの活性部位システインチオール残基を、特異的に及び共有結合的に修飾する、機構に基づいた活性プローブを利用するスクリーニングを提供する。該活性プローブは、E3Ubリガーゼの活性化因子及び阻害因子についてスクリーニングするため、及びヒト疾患におけるE3Ubリガーゼの機能状態を調べるために使用される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年1月27日に出願された米国特許出願第61/932,139号及び2013年5月2日に出願された米国特許出願第61/818,796号の§119(e)に基づく優先権の恩典を主張する。以前の出願の開示は、本出願の開示の一部と考えられ、参照によりその全体が本出願の開示に組み込まれる。
発明の分野
本発明は概してタンパク質の修飾に関し、より具体的には、ユビキチン経路酵素をモジュレートする化合物を同定するための方法に関する。
配列表の組み込み
添付の配列表中の材料は参照により本出願に組み込まれる。E3X1100_3WO_Sequence_Listing_ST25という名称の添付の配列表テキストファイルは、2014年5月2日に作成され、3KBである。該ファイルは、Windows OSを使用するコンピュータにあるMicrosoft Wordを使用して評価され得る。
背景情報
ユビキチン(Ub)は、76個のアミノ酸からなるタンパク質である。多くの生化学的経路は、Ub及びユビキチン様(UbL)分子を用いたタンパク質の翻訳後修飾によって部分的に調節されている。ユビキチン化として知られるプロセスである、Ubによるこのタンパク質の翻訳後修飾は、タンパク質分解、遺伝子転写、細胞周期進行、DNA修復、アポトーシス、ウイルス出芽及び受容体エンドサイトーシスなどの、生物学的プロセスの調節に関与する。Ub/UbL特異的結合酵素及び脱結合酵素の相対する作用を通して精密な調節が達成される。Ub及びUbLタンパク質ファミリーのメンバーには、Ub、SUMO、NEDD8、ISG15、URM1、FAT10、UFM1、LC3、GATE−16、GABARAP及びATG12が含まれる。これらの関連するタンパク質は構造的に類似し、Ubの機構に類似した機構において活性化され、結合し、及び結合体から放出される。一つを超える種類の修飾因子によって標的とされるようになるいくつかの基質タンパク質との結合経路間でクロストークがある。Ubは、Ubが強い配列保存を示す真核生物においてのみ見出される。
Ub及びUbLによるタンパク質の翻訳後修飾は、生物学のほとんどすべての態様を調節し、タンパク質安定性及び活性の複雑で可逆的な調節を可能にする。細胞生物学におけるこの広い役割のために、Ub経路酵素における機能不全は、多くのヒト疾患をもたらし、小分子操作に敏感に反応し得る酵素の大集団があることを示唆する。基質へのUb/UbLの共有結合は、標準的なE1−E2−E3酵素カスケードを通して達成され、それによりUbはE1によって活性化され、高エネルギーのチオエステル結合を介してE2へと転移される。活性化Ubを有するE2は、その後、基質上のリジン残基へのUb転移を生じる態勢にあるE3酵素に結合する。E3から基質への転移の機構は、関与するE3リガーゼの特定のクラスに依存する。これらのリガーゼは、500を超える異なるタンパク質を含み、そのE3機能活性の構造要素によって定義される複数のクラスに分類される。E3リガーゼは、二つの主要クラスに分類される:基質転移の前にUbを受け入れる役割を果たす活性部位システインを含有するHECTリガーゼ、及びE2酵素から基質への直接のUbの転移を可能にする足場として作用するジンクフィンガー様ドメインを含有するRING E3リガーゼ。RBR(RING−between−RING)は、RINGリガーゼに類似してZnを配位しE2を結合する点、さらにHECTリガーゼと類似して活性部位システインも含有する点で、RING/HECTハイブリッド型と考えられるE3Ubリガーゼのサブクラスである。具体的には、HECTリガーゼ及びRINGリガーゼは両方とも活性化Ubをチオエステルから基質上のリジン残基の8アミノ酸基へと転移させる;しかしながら、HECTリガーゼは、Ubとチオエステル結合中間体を形成する活性部位システインを有し、一方でRINGリガーゼは、E2から基質への直接Ub転移を可能にする足場として機能する。
Parkinは、特定の基質へのユビキチンの共有結合において機能するRBR E3リガーゼであり、Parkinにおける変異は、パーキンソン病、癌、及びマイコバクテリウム感染症につながる。E3リガーゼのRBRファミリーは、標準的なRINGドメイン及び通常HECT E3リガーゼに限定されている触媒システイン残基を用いて機能することが示唆され、ゆえにRING/HECTハイブリッド型酵素と名付けられた。Parkinは、それが1つのタンパク質にE3リガーゼの主要クラスを両方とも包含するように、RBRリガーゼとして機能すると提唱されてきた。具体的には、それは触媒システイン及びE2を結合するための古典的なRINGモチーフの両方を用いて機能し得る。近年の研究によって、Parkinが8個の亜鉛(Zn)分子を配位する4つのRINGドメインを有すると確立された一方で、これらのZn原子を配位する正確な残基、及び互いに対するそれぞれのRINGドメインの構成は知られていない。Parkinは、細胞内でカルボニルシアニド−3−クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)によって活性化され得る潜在活性を有すると説明されているが、分子レベルでどのように潜在状態が活性化されるのかは完全には知られておらず、精製されたParkinタンパク質が同様の潜在状態を含有するのかどうかはまだ確立されていない。リン酸化によるParkin活性の調節が説明されているが、リン酸化後の後続の分子事象は理解されていない。最後に、触媒ネットワークがE3リガーゼについて調査されているものの、それらが古典的な三残基(triad)/二残基(dyad)に基づく機構で機能するのかどうか、または触媒が水素結合ネットワークを通して生じるのかどうかはまだ明らかでない。脱ユビキチン化酵素(DUBS)については、基質からのUbの切断が、重要な触媒システイン残基及び近接するヒスチジン残基を利用する、古典的な三残基/二残基機構を通して生じると実証されてきた。
UbをE3Ubリガーゼによってタンパク質に付加するプロセスは、脱ユビキチン化酵素(DUB)によって遂行されるUbの除去の逆反応である。様々なUb活性プローブが、DUBによるUbの除去をモニターするために開発されてきた。本明細書に記載のように、Ub活性プローブは、E3Ubリガーゼを活性化するまたは阻害する小分子を同定するためにスクリーニングする化合物をスクリーニングするためにも使用することができる。
本発明は、HECT及びRBRファミリーを含むがこれらに限定されないE3ユビキチンリガーゼの活性部位システインチオール残基を、特異的に及び共有結合的に修飾する、機構に基づいた活性プローブを利用するスクリーニングを提供する。活性プローブは、E3Ubリガーゼのモジュレーターについてスクリーニングするため、及びヒト疾患におけるE3Ubリガーゼの機能状態を調べるために使用される。
一実施形態では、本発明は、ユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターを同定する方法であって、ユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;その混合物を、標識を含む活性プロ−ブと接触させること;リガーゼ上のプローブ標識を測定することを含む、前記方法を提供し、ここで対照と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の増加または低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターとして同定する。一態様では、リガーゼはE3リガーゼである。好ましい態様では、E3リガーゼは、HECTまたはRBRファミリーリガーゼである。別の態様では、化合物は小分子である。さらなる態様では、活性プローブはユビキチン結合ペプチド、反応性化学部分、ユビキチンペプチド及び標識を含む。さらなる態様では、ユビキチン結合ペプチドはE2である。別の態様では、標識は蛍光、酵素または放射性標識である。一態様では、反応性化学部分は、アクリル酸、ビニルスルホニル、アシルオキシメチルケトン、β−ラクトン、シアナミドまたはエポキシコハク酸である。さらなる態様では、活性プローブは、エピトープタグをさらに含む。一態様では、標識の低減または増加は、FRET、HTRFまたはELISAであり得る、当該分野で周知の方法によって決定される。さらなる態様では、リガーゼ上のプローブ標識の低減はリガーゼの阻害因子を示し、リガーゼ上のプローブ標識の増加はリガーゼの活性化因子を示す。
さらなる実施形態では、本発明は、ユビキチンリガーゼの小分子阻害因子または活性化因子を提供し、それはユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;その混合物を、標識を含む活性プローブと接触させること;リガーゼ上のプローブ標識を測定することによって同定され、ここで対照と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の増加または低減は、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターとして同定する。
さらなる実施形態では、本発明は、ユビキチン結合ペプチド、反応性化学部分及びユビキチンペプチドを含む活性プローブを提供する。一態様では、活性プローブは標識及びエピトープタグをさらに含む。一態様では、ユビキチン結合ペプチドはE2ペプチドである。好ましい態様では、E2ペプチドは、E3リガーゼとE2−E3相互作用ドメインを形成する。さらなる態様では、化学部分は、ユビキチンリガーゼの活性部位システインと反応する。さらなる態様では、化学部分は、アクリル酸、ビニルスルホニル、アシルオキシメチルケトン、β−ラクトン、シアナミド、αアミノニトリルまたはエポキシコハク酸であり得る。別の態様では、ユビキチンペプチドは、E3−ユビキチン相互作用ドメインを含有する。一態様では、ユビキチン結合ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5である。別の態様では、ユビキチンペプチドは、配列番号6、配列番号7または配列番号8である。
別の実施形態では、本発明は、病原体由来のユビキチンリガーゼを阻害する化合物を同定する方法であって、前記ユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;その混合物を、標識を含む活性プローブと接触させること;及びリガーゼ上のプローブ標識を測定することを含む、前記方法を提供し、ここで対照と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性の阻害因子として同定する。一態様では、ユビキチンリガーゼは、SopAまたは新規E3リガーゼファミリー(NEL)である。さらなる態様では、病原体は、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、大腸菌(E. coli)、赤痢菌(Shigella)またはシュードモナス(Pseudomonas)である。
一実施形態では、本発明は、腫瘍内で増強された酵素活性を有するユビキチンリガーゼを同定する方法であって、ユビキチンリガーゼを含有する腫瘍試料を、標識を含む活性プローブと接触させること、及びリガーゼ上のプローブ標識を測定することを含む、前記方法を提供し、ここで対象と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の増加が、増強された酵素活性を有するユビキチンリガーゼを同定する。一態様では、腫瘍は、リンパ腫、CLL、小リンパ球性リンパ腫、辺縁細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、腎細胞癌、結腸癌、大腸癌、乳癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫、骨髄腫、胃癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌である。
ユビキチンリガーゼモジュレーターを同定するための方法であって、E3リガーゼタンパク質が小分子とインキュベートされ、その後活性プローブが添加され、プローブ標識のレベルが測定される、前記方法を図示する。 活性プローブを図示する。ユビキチン結合ペプチド(例えば、E2)は、ユビキチンリガーゼ(例えば、E3)との相互作用ドメイン(矢印A)、ユビキチンリガーゼの活性部位にあるシステインと反応する反応性化学部分(矢印B)及びユビキチンペプチド(矢印C)を形成する。 図3A〜Cは、全体的なParkinドメイン構成及びRING構造を示す。A.直線的なドメイン構成及び構造的なドメイン境界を示すParkinの概念図。Lはリンカーを示し、Tはテザーを示す。B.R0RBRの全体的なリボン図(左)及び全体的な表面構造(右)。C.個別のRINGドメインの図。 図4A〜Bは、R0RBRがリンカーによって分離された二つのコンパクトなドメイングループへと構築されることを示す。A.R0及びR1境界面は比較的親水性であり、R0−R1リンカーによって分離され、この領域がいくらかの構造的柔軟性を有し得ることを示唆する。B.テザー残基W403は、R1上の疎水性ポケットに位置し、テザーの二つのターンへリックスをR1に係留するための「ピン」としての役割を果たし得る。W403はまた、V465の末端カルボキシレートと水素結合を形成する。R256は、ヒトPD変異の部位である。C.R0ドメインは、残基W462及びF463をR0の疎水性コアへと挿入して、疎水性境界面を触媒ドメインR2とともに形成する。触媒システインであるC431は、この境界面に隣接する。 図5A〜Cは、Parkinの触媒機構を実証する。A.活性プローブHA−UbVSを様々なParkin構築体(またはUSP2対照)とインキュベートして、固有のParkin酵素活性を決定した。B.潜在的な触媒三残基C431、H433及びE444を誤整列させた。H433は、W462との水を媒介する水素結合に関与し、C431から約5.1Åである。触媒中に古典的なオキシアニオンホールとしての役割を果たし得るGG−C431モチーフが存在する。C.Parkinプローブ反応性は、古典的な触媒三残基の要素を必要とする。 図6A〜Fは、ミトコンドリアへのストレスがParkinを活性化し、活性部位C431を曝露させることを実証する。A.Parkin活性部位変異体C431S/C431Aは、細胞のTom20レベルを低減させるParkinの能力を含む。B.完全長Parkin C431Sを発現する細胞のみにおけるミトコンドリアへのストレス(CCCP)中の、約8kDaのParkin免疫反応種の形成を示すウェスタンブロット。C.完全長Parkin C431S上でのUbオキシエステル形成を示す、約8kDaのParkin免疫反応種が水酸化ナトリウム処理に感受性であることを示す、ウェスタンブロット。D.完全長野生型Parkinと比較して細胞活性が増強された完全長Parkin F463Y。E.野生型R0RBRと比較してR0RBR F463Yの自己ユビキチン化が増加した。F.野生型R0RBRと比較して増加したR0RBR F463YのHA−UbVSプローブ標識。 図7A〜Bは、Parkin−R0RBR上にマッピングされたヒト遺伝子のPD変異を示す。A.PDにおいて変異され得る残基を示すParkin−R0RBRの概念図。B.RORBRリボン表示(左)及び二つの180°図を伴う空間充填モデル(右)。Parkinの一面は、もう一方の面よりも変異の数が多い。いくつかの領域では、変異の密度がより高く、これらの領域を円で囲った。これらの機能的領域はR1:IBR境界面に近い領域、推定上のE2結合部位、及び触媒C431の周辺領域を含む。 図8A〜Bは、HA−Ub−VSとのParkin反応性が特異的であること、及びParkinは脱ユビキチン化(deubiquinating)酵素(DUB)でないことを示す。A.DUB USP2は、HA−UbVS及びHA−Isg15Vsと反応し、陽性対照として使用された。Parkinは、特異的にHA−UbVSと、及び弱い程度にNEDD8と反応し、他のUB様VSプローブとは反応しない。B.ParkinまたはUSP2を純粋なUbK48(2−7)または(UbK63)(2−7)鎖とインキュベートした。 反応性化学部分の一般的な構造を図示する。 反応性化学部分の一般的な構造を図示する。 反応性化学部分の一般的な構造を図示する。 反応性化学部分の一般的な構造を図示する。 反応性化学部分の一般的な構造を図示する。 反応性化学部分の一般的な構造を図示する。
発明の詳細な説明
本発明は、HECT及びRBRファミリーを含むがこれらに限定されないE3Ubリガーゼの活性部位システインチオール残基を、特異的に及び共有結合的に修飾する、機構に基づいた活性プローブを利用するスクリーニングを提供する。活性プローブは、E3Ubリガーゼの活性化因子及び阻害因子についてスクリーニングするため、及びヒト疾患におけるE3Ubリガーゼの機能状態を調べるために使用される。
本発明の組成物及び方法を記載する前に、かかる組成物、方法及び条件が変動し得るために、本発明は記載の特定の組成物、方法及び実験条件に限定されないことが理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲においてのみ限定され得るため、本明細書で使用される用語は単に特定の実施形態を説明することを目的とし、限定を意図しないことも理解されたい。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は複数の言及を含む。ゆえに、例えば、「方法」に対する言及は、1つまたは複数の方法及び/または本開示を読んだ際などに当業者に明らかになるであろう本明細書に記載のタイプのステップを含む。
別段の定義が無い限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法及び材料は本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料を以下に記載する。
ユビキチン化は、ユビキチンが基質タンパク質に付着する翻訳後修飾である。ユビキチンの付加は、いろいろな形でタンパク質に影響を与えることができる:プロテアソームを介するタンパク質の分解を合図すること、タンパク質の細胞配置を変えること、タンパク質の活性に影響を与えること、及びタンパク質相互作用を促進するまたは防止することができる。ユビキチン化は、三つの主なステップにて実行される:それぞれ、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、及びユビキチンリガーゼ(E3)によって活性化、結合及び連結が行われる。この一連のカスケードの結果、ユビキチンは、タンパク質上のリジン残基にイソペプチド結合を介して、またはタンパク質のN末端のアミノ基にペプチド結合を介して結合する。
E1酵素としても知られる、ユビキチン活性化酵素は、ユビキチン化反応における第一ステップを触媒し、それは(とりわけ)プロテアソームを介して分解されるタンパク質を標的にすることができる。ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質の、標的とされたタンパク質への共有結合は、真核生物においてタンパク質機能を調節するための主な機構である。ユビキチン活性化酵素(E1)は、ユビキチン化プロセスを開始する。ATPを伴うE1酵素は、ユビキチンタンパク質に結合する。次いで、E1酵素は、ユビキチンタンパク質を、ユビキチン担体または結合タンパク質(E2)と呼ばれる第二タンパク質に渡す。E2タンパク質は、ユビキチンタンパク質リガーゼ(E3)と複合体化する。このユビキチンタンパク質リガーゼは、どのタンパク質がタグ付けされるべきかを認識し、そのタンパク質へのユビキチンの転移を触媒する。この経過は、標的タンパク質がそれ自体に付着するユビキチンが完全鎖を有するまで、それ自体反復する。
E2酵素として、及びより稀にはユビキチン担体酵素としても知られる、ユビキチン結合酵素は、プロテアソームを介して分解されるタンパク質を標的とするユビキチン化反応において第二ステップを行う。ユビキチン化プロセスは、76個のアミノ酸の短いタンパク質であるユビキチンを、標的タンパク質上のリジン残基に共有結合させる。一度タンパク質が一つのユビキチン分子でタグ付けされると、ユビキチン化のさらなる繰り返しが、プロテアソームの20Sコア粒子への通過を可能にする標的タンパク質のATP依存性アンフォールディングを引き起こす、プロテアソームの19S調節粒子によって認識されるポリユビキチン鎖を形成し、ここでプロテアーゼは、細胞による再利用のために標的を短いペプチド断片へと分解する。
ユビキチンリガーゼ(E3ユビキチンリガーゼとも呼ばれる)は、ユビキチン含有E2ユビキチン結合酵素と組み合わさり、ユビキチン化される標的タンパク質を認識し、イソペプチド結合を介して標的タンパク質上のリジンへのユビキチンの付着を引き起こすリガーゼ酵素である。E3ユビキチンリガーゼは、プロテアソームによって分解される特定のタンパク質基質を標的にする。一般に、ユビキチンリガーゼは、ポリユビキチン化に関与する:第二ユビキチンは第一に付着し、第三は第二に付着し、同じように続く。ポリユビキチン化は、プロテアソームによって分解されるタンパク質をマークする。それぞれ、E2コンジュガーゼを結合することができる特定のタンパク質ドメイン、ならびに標的を結合するための基質特異的ドメインを含有する。多くのE2結合ドメイン及び基質結合ドメインが存在する。この豊富な種類は、E2コンジュガーゼを結合し、E2−E3複合体における酵素活性を媒介することが見出され得るRING(Really Interesting New Gene)ドメイン及びE2から基質へのユビキチンの転移に関与するHECTドメインを含むユビキチンリガーゼファミリーと呼ばれる特定の群に分類されることが発見されている。分子生物学では、RINGフィンガードメインは、二つのZnカチオンを結合するCys3HisCys4アミノ酸モチーフを含有するジンクフィンガータイプのタンパク質の構造ドメインである。このタンパク質ドメインは、40から60個のアミノ酸を含有する。RINGフィンガーを含有する多くのタンパク質はユビキチン化経路において重要な役割を担う。HECTドメインは、ユビキチン−タンパク質リガーゼにて見出されるタンパク質ドメインである。このドメインをC末端で含有するタンパク質は、CDC25のユビキチン化を調節するユビキチン−タンパク質リガーゼを含む。ユビキチン−タンパク質リガーゼは、E2ユビキチン結合酵素からチオエステルの形態でユビキチンを受け入れ、次いで、ユビキチンを標的基質に直接転移させる。システイン残基は、ユビキチン−チオエステル形成に必要とされる。
E3リガーゼの例としては、E3A、mdm2、後期促進複合体(APC)、UBR5(EDD1)、SOCS/BC−box/eloBC/CUL5/RING、LNXp80、CBX4、CBLL1、HACE1、HECTD1、HECTD2、HECTD3、HECW1、HECW2、HERC1、HERC2、HERC3、HERC4、HUWE1、ITCH、NEDD4、NEDD4L、Parkin、PPIL、PRPF19、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、RANBP2、RNF4、RBX1、SMURF1、SMURF2、STUB1、TOPORS、TRIP12、UBE3A、UBE3B、UBE3C、UBE4A、UBE4B、UBOX5、UBR5、WWP1及びWWP2が挙げられる。
E3UbリガーゼによってUbがタンパク質に付加されるプロセスは、脱ユビキチン化酵素(DUB)によって遂行されるUbの除去の逆反応である。様々なUb活性プローブが、DUBによるUbの除去をモニターするために開発されてきた。Ub活性プローブは、エピトープタグをN末端で有し、末端グリシン−グリシン(GlyGly)の後に、求電子性トラップ(例えば、ビニルスルホン(VS))などの反応性化学部分が来るように修飾されたC末端を有するUb部分からなる。反応性化学部分は、E3Ubリガーゼの活性部位システインと不可逆的に反応する。Ub活性プローブの使用は、E3Ubリガーゼを活性化するまたは阻害する小分子を同定するための化合物スクリーニングの基礎である。Ub活性プローブとのE3Ubリガーゼの反応の程度が、E3Ubリガーゼの自己ユビキチン化活性の程度と直接相関することが見出された。
ユビキチンリガーゼをモジュレートする小分子についてスクリーニングするために、自己阻害の増加または低減によってE3Ubリガーゼをモジュレートする小分子を同定するようにスクリーニングを開発した。具体的には、E3Ubリガーゼを、テスト化合物とインキュベートし、その後活性プローブを添加した。プローブ標識の増加は、化合物がE3Ubリガーゼに対する活性プローブのアクセシビリティを増加させたことを示し、該化合物がE3Ubリガーゼの活性化因子であることを示す。プローブ標識の低減は、化合物が活性部位に対するプローブのアクセシビリティを、おそらくは活性部位における活性部位システインに密接に結合することによって、またはプローブがもはや反応し得ないポイントへとリガーゼを変えることによって、効果的に遮断したことを示し得、それによって該化合物がE3リガーゼの阻害因子であることを示す。活性についての読み出しは、次のアッセイの1つ、TR−FRET/HTRF/AlphaScreen/AlphaLISAを通してなされると考えられる。これらは全て、E3Ubリガーゼに共有結合した活性プローブの量をモニターするために、活性プローブ上のエピトープタグ(またはUbそれ自体に対する抗体)及びE3Ubリガーゼの抗体を使用する類似した原理を有する(図1)。
一実施形態では、本発明は、ユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターを同定する方法であって、ユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;その混合物を、標識を含む活性プローブと接触させること;リガーゼ上のプローブ標識を測定することを含む、前記方法を提供し、ここで対照と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の増加または低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターとして同定する。一態様では、リガーゼは、E3リガーゼである。好ましい態様では、E3リガーゼは、HECTまたはRBRファミリーリガーゼである。別の態様では、化合物は小分子である。さらなる態様では、活性プローブは、ユビキチン結合ペプチド、反応性化学部分、ユビキチンペプチド及び標識を含む。さらなる態様では、ユビキチン結合ペプチドはE2である。別の態様では、標識は、蛍光、酵素または放射性標識である。一態様では、反応性化学部分は、アクリル酸、ビニルスルホニル、アシルオキシメチルケトン、β−ラクトン、シアナミドまたはエポキシコハク酸である。さらなる態様では、活性プローブは、エピトープタグをさらに含む。一態様では、標識の低減または増加は、FRET、HTRFまたはELISAであり得る、当該分野で周知の方法によって決定される。さらなる態様では、リガーゼ上のプローブ標識の低減はリガーゼの阻害因子を示し、リガーゼ上のプローブ標識の増加はリガーゼの活性化因子を示す。
さらなる実施形態では、本発明は、ユビキチンリガーゼの小分子阻害因子または活性化因子を提供し、それはユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;その混合物を、標識を含む活性プローブと接触させること;リガーゼ上のプローブ標識を測定することによって同定され、ここで対照と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の増加または低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターとして同定する。
本明細書で用いるとき、「モジュレーター」は、ユビキチンリガーゼ活性を増加させるまたは低減させる任意の化合物または分子である。モジュレーターは小分子または生体分子などの化学化合物であることができる。
本明細書で用いるとき、「活性プローブ」は、ユビキチンリガーゼ活性を測定するために使用されるプローブである。プローブは三つの主な要素からなる:
1.ユビキチン結合酵素ペプチド、具体的には、E2−E3相互作用ドメインを形成するE2ペプチド;
2.E3リガーゼの活性部位システインと反応するように設計された反応性化学部分;及び
3.ユビキチンペプチド;具体的にはUbのc末端を形成し、E3−Ub相互作用ドメインを含有するのに十分な距離をN末端に延ばすUbペプチド。
これらの三つの要素は、反応性化学部分がE2ペプチドとUbペプチドとの間にあるように、1−2−3と順序立てされる。活性プローブは、標識及びエピトープタグをさらに含み得る。標識及びエピトープタグの例は、Hisタグ及びHA抗体を含む(実施例1を参照)。
本明細書で用いるとき、「反応性化学部分」は、ユビキチンリガーゼと反応する部分である。反応性化学部分は、ユビキチンリガーゼの活性部位と強くまたは不可逆的に反応する。具体的には、反応性化学部分は、E3リガーゼの活性部位にあるシステイン残基と反応する。反応性化学部分の例は、アクリル酸、ビニルスルホニル(sulfonayls)、アシルオキシメチルケトン、β−ラクトン、シアナミド、αアミノニトリル及びエポキシコハク酸を含む。
特定の実施形態では、本発明のアクリル酸について、式中R1は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に、化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通してアミノ酸配列のシステイン残基へと、直接的にセリンへとまたはOHまたはNHを側鎖に有する別の天然または非天然アミノ酸へと、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に類似する配列内の天然または非天然アミノ酸の別の側鎖OHまたはNHへと結合し;式中m=1〜6であり、かつmは芳香族、複素芳香族、炭素環または複素環の一部であり得;式中R2はHまたはメチルであり;式中R3は、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、配列番号6、配列番号7、配列番号8の配列または最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得るより短い配列のC末端へと結合している(図9a)。
特定の例では、本発明のビニルスルホニル(sulfonayl)について、式中R1は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に、化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通してアミノ酸配列のシステイン残基へと、直接的にセリンへとまたはOHまたはNHを側鎖に有する別の天然または非天然アミノ酸へと、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に類似する配列内の天然または非天然アミノ酸の別の側鎖OHまたはNHへと結合し;式中m=1〜6であり、かつmは芳香族、複素芳香族、炭素環または複素環の一部であり得;式中R2はHまたはメチルであり;式中R3は、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、配列番号6、配列番号7、配列番号8の配列または最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得るより短い配列のC末端へと結合し;式中XはOまたはNであり;式中R4はXがOの場合には存在せず、XがNであるときにメチルである(図9b)。
特定の例では、本発明のアシルオキシメチルケトンについて、式中R1は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に、化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通してアミノ酸配列のシステイン残基へと、直接的にセリンへとまたはOHまたはNHを側鎖に有する別の天然または非天然アミノ酸へと、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に類似する配列内の天然または非天然アミノ酸の別の側鎖OHまたはNHへと結合し;式中m=1〜6であり、かつmは芳香族、複素芳香族、炭素環または複素環の一部であり得;式中R2はHまたはメチルであり;式中R3は、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、配列番号6、配列番号7、配列番号8の配列または最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得るより短い配列のC末端へと結合し;式中XはOまたはNであり;式中R4はXがOの場合には存在せずXがNの場合にメチルであり;及び式中R5は芳香族環であり、これは好適に置換されてR1への結合を可能にし、E3活性部位システインと相互作用するときに解離基として作用するR1−R5−COOの能力を促進する(図9c)。
特定の例では、本発明のβ−ラクトンについて、式中R1は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に、化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通してアミノ酸配列のシステイン残基へと、直接的にセリンへとまたはOHまたはNHを側鎖に有する別の天然または非天然アミノ酸へと、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に類似する配列内の天然または非天然アミノ酸の別の側鎖OHまたはNHへと結合し;式中m=1〜6であり、かつmは芳香族、複素芳香族、炭素環または複素環の一部であり得;式中R2はHまたはメチルであり;式中R3は、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、配列番号6、配列番号7、配列番号8の配列または最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得るより短い配列のC末端へと結合している(図9d)。
特定の例では、本発明のシアナミドについて、式中R1は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に、化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通してアミノ酸配列のシステイン残基へと、直接的にセリンへとまたはOHまたはNHを側鎖に有する別の天然または非天然アミノ酸へと、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に類似する配列内の天然または非天然アミノ酸の別の側鎖OHまたはNHへと結合しているか、またはR1は存在せず;式中m=1〜6であり、かつmは芳香族、複素芳香族、炭素環または複素環の一部であり得;式中R2はHまたはメチルであり;式中R3は、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、配列番号6、配列番号7、配列番号8の配列または最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得るより短い配列のC末端へと結合し;式中XはOまたはNであり;式中R4はXがOの場合には存在せずXがNの場合にメチルであり;及び式中R5は芳香族環であり、これは好適に置換されてR1への結合を上述のように可能にし、E3活性部位システインと相互作用するときに解離基として作用するR1−R5−COOの能力を促進する。一般的に、NR2R3は、環窒素に隣接する複素環に結合していない場合がある。Aは、1〜3個の置換されていてもよい炭素であり得、環の一部であり得、Bは2〜3個の置換されていてもよい炭素であり得、環の一部であり得る(図9e)。
特定の例では、本発明のエポキシコハク酸について、式中R1は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に、化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通してアミノ酸配列のシステイン残基へと、直接的にセリンへとまたはOHまたはNHを側鎖に有する別の天然または非天然アミノ酸へと、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5に類似する配列内の天然または非天然アミノ酸の別の側鎖OHまたはNHへと結合し;式中m=1〜6であり、かつmは芳香族、複素芳香族、炭素環または複素環の一部であり得;式中R2はHまたはメチルであり;式中R3は、直接的にまたは小さな化学的に安定な小さいアルキルリンカーを通して、配列番号6、配列番号7、配列番号8の配列または最大5残基までが他の天然に存在するアミノ酸であり得るより短い配列のC末端へと結合し、式中N=2〜5であり、かつNは環の一部であり得、式中R6はHまたはメチル基である(図9f)。
本発明の活性プローブは、活性部位システインを含有する病原体エフェクターE3Ubリガーゼを阻害する小分子の同定のために使用することができる。病原体由来のエフェクターは、それら自身の利益のために哺乳類のE3Ubリガーゼを模倣し、哺乳類E3Ubリガーゼに対する全体の配列相同性は不一致であるが、活性部位システインの周辺の配列は保存されている。大半の場合において、これらのエフェクターリガーゼの基質は未知であるが、触媒作用的に活性のない(dead)リガーゼの過剰発現は感染を防止し、これはE3Ubリガーゼの活性が病原体にとって必要不可欠であることを示唆する。例として、サルモネラ・エンテリカからのSopA及び大腸菌からの新規E3リガーゼファミリー(NEL)、赤痢菌及びシュードモナスが挙げられる。これらのエフェクターリガーゼの酵素活性の機能的読み出しとして活性プローブを使用して、本発明者らは、エフェクターE3Ubリガーゼ活性を特異的に阻害する小分子を同定することを目指す。
本発明の活性プローブは、腫瘍内で活性化されるE3Ubリガーゼの同定のために使用することもできる。ヒト癌の転写プロファイリングは、正常組織と疾患組織の間でそのレベルが異なる原因遺伝子を同定するために広く使用されている。しかしながら、転写産物量が常に活性に相関するわけではないために、酵素の研究についてはこのアプローチには限界がある;ゆえに、酵素活性について報告する正確な定量的測定に対する実際の必要性がある。タグ付けされた活性プローブ及び質量分析法は、腫瘍内で酵素活性が著しく増強されたE3Ubリガーゼを同定するために使用することができる。
E3Ubリガーゼは、生物学の多くの分野に関する重要な細胞調節因子であり、本発明者らが同定する分子はそれ自体、代謝障害、神経変性、炎症、感染、癌を含むがこれらに限定されない多くの適応症にわたって使用され得る。
別の実施形態では、本発明は、病原体由来のユビキチンリガーゼを阻害する化合物を同定する方法であって、前記ユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;その混合物を、標識を含む活性プローブと接触させること;及びリガーゼ上のプローブ標識を測定することを含む、前記方法を提供し、ここで対照と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性の阻害因子として同定する。一態様では、ユビキチンリガーゼはSopAまたは新規E3リガーゼファミリー(NEL)である。さらなる態様では、病原体は、サルモネラ・エンテリカ、大腸菌、赤痢菌またはシュードモナスである。
一態様では、本発明は、腫瘍内で増強された酵素活性を有するユビキチンリガーゼを同定する方法であって、ユビキチンリガーゼを含有する腫瘍試料を、標識を含む活性プローブと接触させること、及びリガーゼ上のプローブ標識を測定することを含む、前記方法を提供し、ここで対象と比較したときのリガーゼ上のプローブ標識の増加が、増強された酵素活性を有するユビキチンリガーゼを同定する。一態様では、腫瘍は、リンパ腫、CLL、小リンパ球性リンパ腫、辺縁細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、腎細胞癌、結腸癌、大腸癌、乳癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫、骨髄腫、胃癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、または頭頸部癌である。
以下の実施例は、本発明の実施形態をさらに例示するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図しない。それらは使用され得るものの典型であるが、当業者に周知の他の手順、方法論、または技術を代替的に使用してもよい。
実施例1
ユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターを同定するためのアッセイ
ユビキチンリガーゼのモジュレーターを同定するために、E3Ubリガーゼをアッセイ緩衝液(50mM HEPES、50mM NaCl、0.01%NP40、pH6.8)に希釈し、マルチウェル非結合プレートのウェルに添加する。化合物を各ウェルに添加した後、少なくとも30分間インキュベートする。活性プローブ(Ub−ビニルスルホン(Ub−VS)など)を添加し、室温で反応を進行させる。ユウロピウム(III)クリプテートまたはニッケルキレートアクセプタービーズなどのドナーとコンジュゲートしたE3Ubリガーゼのエピトープタグ(例えばHis)に対する抗体をウェルに添加する。XL665などのアクセプターとコンジュゲートしたUb−VSのエピトープタグ(例えばHA)に対する抗体、またはビオチン標識されたUb抗体(ストレプトアビジンドナービーズとコンジュゲートした)を停止緩衝液中のウェルに添加し、及び混合物を、決定された最適化された時間にわたってインキュベートする。
プレートリーダーを使用して発光を読み取った。発光量は、活性プローブと反応する活性E3の量に比例する。プローブにコンジュゲートしたE3Ubリガーゼの存在下では、二つのビーズはお互いに近接する。ドナービーズの励起は、アクセプタービーズにおけるエネルギー転移を引き起こす一重項酸素分子の遊離をもたらし、結果発光する。発光は、FRET、HTRF及びELISAを含む、当該分野で周知の任意の方法で測定することができる。プローブ標識に低減があった場合、化合物はユビキチンリガーゼを阻害した。プローブ標識に増加があった場合、化合物はユビキチンリガーゼを活性化した。
実施例2
E3リガーゼの構造及び触媒活性の決定
ParkinはE3リガーゼの一例である。1.58Å構造のParkin R0RBRが表され、それは、4つのRINGドメインの折り畳み構造(fold architecture)及びいくつかの予期せぬ境界面を明らかにする。Parkin活性部位の検査は、触媒ネットワークがC431及びH433からなることを示唆する。細胞では、C431の変異がミトコンドリアのParkin触媒性分解を消失させ、ユビキチンオキシエステルの捕捉がC431をParkinの細胞活性部位として確証させた。本発明者らのデータは、ParkinがRING/HECTハイブリッド型であること、及び原子分解能でのRBR E3リガーゼの最初の結晶構造であることを確かにし、この疾患に関連するタンパク質に対する見識を提供する。Parkinのドメイン構成及びParkinリガーゼ活性の調節に対する見識を得るためには、高分解能でParkinの結晶構造を得ることが求められた。この1.58Å構造は、Parkinが複数の予期せぬドメイン境界面を有する比較的コンパクトな全体構造を形成することを明らかにする。これらの境界面は、Parkinについての潜在性及び活性化状態の理解のための基盤を形成し、ならびに活性部位システインC431の役割及び触媒作用を促進するC431に近接する残基のネットワークに対する見識を提供する。
E3リガーゼのRBRクラスに対する見識を得るために、RING(R0)及びRBRドメインを含むParkin R0RBR(残基141〜465)(図3a及び3b)の結晶を成長させた。構造を、個別のRINGドメインによって結合されたZnイオンからの信号を使用して多波長異常分散法(MAD)データの分析によって決定し、1.58Åへと高分解能データに対して精密化した(座標及び構造因子は、RCSB蛋白質構造データバンクに、アクセッションコード4I1F(Parkin R0RBR−P223)及び4I1H(Parkin R0RBR−S223)で寄託されている)。Parkinの二つの構造を解析して、Parkinの元来報告されている配列(P223を含有する)とアップデートされた配列(S223)との間に任意の顕著な構造的差異があるかどうか決定した。全体的な二つの構造は非常に類似する;しかしながら、S223を含有するループはParkin−R0RBRでは目に見えるが、P223構造では見えない。各RINGドメインは二つのZnイオンを結合し、Zn配位に関する文献における矛盾を解決する(図3c)。R0ドメイン(残基141〜216)は、以前は観察されなかったドメインフォールドであり(Daliに基づく)、一方でR1(残基228〜328)は、古典的なクロスブレース配置及び標準的なRINGドメインのZn配位を示す。IBRドメインは、公表されたNMR構造に類似する。ParkinのR2ドメインはIBRドメインに最もよく似ており、HOIP IBRドメインに非常に類似する。反対に、R2は、密接に関わるHHAR1 R2 NMR構造から著しく異なる。
全体的なR0RBR構造は、二つのリンカーによって分離された二つのコンパクトなドメイングループを明らかにした(図3b)。一方のドメインは、小さな疎水性パッチによってそれらの界面境界にて形成されるRING1(R1)及びIBR間の会合で構成される。R1が標準的なRING構造を有するために、他のRINGリガーゼの構造に基づき、E2への結合部位として可視化され得る。他方のドメインは、R2のC末端領域及びR0の疎水性コア間の合計約1330A表面領域を必然的に含む、R0及びR2の密接な会合によって形成される(図3b、4c)。R2は、R0との疎水性境界面に近い本提唱の触媒システイン(C431)を含有する。R0:R2境界面は、他のRBRリガーゼとは異なる配列をR0内ならびにR2のC末端内に必然的に含むためにParkinに特有である。二つの主要なドメイン間のR0−R1リンカー領域はコイルコンフォメーションを有し、比較的親水性の境界面に属し(図4a)、これが潜在的構造柔軟性の領域であり得ることを示唆する。IBR−R2リンカー領域(テザーと呼ばれる:残基378〜414)は37残基長である。テザーの始まり(14残基)の大半は無秩序であるが、後半部はR1の表面を横断する。テザーはR1と重要な相互作用を形成するが、潜在的柔軟性の領域でもある。二つのターンへリックス(残基394〜401)はR1に対して集まり、近くにある残基W403はテザーをR1に留めるため及びそれをR2と会合させるための「ピン」として役割を果たし得る(図2b)。W403の側鎖はいくつかのR1残基によって形成された疎水性ポケット内に位置し、哺乳類においてのみ見出される残基であるV465の末端カルボキシレートと水素結合を形成する。上述のように、R1は、Parkin上のE2結合部位である可能性があり、テザーの位置はこの相互作用を調節する可能性を有する(図4b)。
チオール交換反応(transthiolation reaction)におけるE2の相互作用からもたらされる交絡因子を伴わないParkinの触媒機構のアクセシビリティを調べるために、活性プローブUb−ビニルスルホン(Ub−VS)を使用した。Ub−VSは、DUB及びHECTリガーゼの活性部位システインを、Ubの特異的認識及びVS部分の指向性配置を通して、共有結合修飾すると考えられる特定のプローブである。ParkinのR0RBRドメインはUb−VSと弱く反応し、一方でParkinのRBRドメインは、分子量で約8kDaのシフトを生成し、これはParkinのRBRドメインがR0RBRよりもプローブにより反応性であることを示した。N末端でSUMOタグ付けされたR0RBRもこのアッセイにおいて活性であった(図5a)。これらの結果は、R2と近くに並べられた、R0の除去または修飾は、活性部位付近での立体構造変化を可能にして、プローブ反応性を亢進し得ることを示唆する。Ub−VSプローブ標識の強さは、酵素の活性部位の機能状態と相関することが示唆されており、この考えを支持するとして、本発明者らは自己ユビキチン化活性がプローブ結合と一致することを見出した(図5a)。さらには、これらの結果は、R0RBR Parkin構築物と比較してRBRの活性のレベルが高いことを実証する最近発表された研究と一致する。質量分析法を使用して、本発明者らはUb−VSがParkinのC431にのみ付着することを確かめ、他のUb様VS部分が強くParkinを標識しなかったためParkinの標識はUb−VSに特異的であることを確かめた。DUB活性も有するリガーゼ(A20)の例があるが、これはParkinの場合ではなく、ParkinがUb−VSプローブで標識され得る理由でもないと思われる。
チオール交換反応では、活性部位システインは、E2−Ubチオエステルカルボニル結合の求核攻撃のために活性化される必要がある。システインの活性化及び結果得られる四面体中間体の安定化は、システインプロテアーゼまたはDUBに見出される特徴的要素の存在を要する:活性化する触媒二残基または三残基、及び骨格または側鎖水素結合ドナーによって骨組みされるオキシアニンホール。Parkinの活性部位C431を囲む残基の検査によって、推定上の活性部位三残基がC431、H433及びE444からなることが明らかになった(図5b)。これらの残基は、検査されたParkinの全ての種にわたって保存され、F1433及びE444の変異は、中性pHでのUb−VSプローブの反応性を著しく崩壊させ(図5c)、C431の変異によって反応性は完全に消失した(図5a、c)。触媒二残基または三残基内のヒスチジンの役割は、活性化のためにシステインを脱プロトン化する塩基として機能することであり、pHを高めることによって不必要になり得る可能性がある役割である。この機構と一致して、H433AまたはH433Nが中性pHでほとんどプローブ反応性を示さない一方で、プローブ標識はpH滴定で修復されたことが見出された(図5c)。DUBによくあるように、この構造ではC431及びH433は触媒するには十分に整列されておらず、触媒を起こすためには立体構造的再編成が生じなければならないことを暗示する(図5b)。
細胞では、CCCPなどのミトコンドリア毒素で処置した後、Parkinが、ミトコンドリアタンパク質のParkin触媒性分解において重要な役割を果たすということが示されている。細胞内のC431の機能活性をアッセイするため、Tom20損失を、CCCP処置後のミトコンドリアタンパク質のParkin触媒性分解の尺度として検査した。マイトフュージン及び他のミトコンドリアタンパク質がParkin基質であると報告されている一方、ここでのTom20損失は、CCCP処置後の高度に再現性があるParkin依存性事象であった。活性部位システイン変異体であるC431S及びC431Aは、可溶性でありかつ良好に動作する一方で、この細胞アッセイにおいては機能することができなかった(図6a)。これは、ミトコンドリアへのストレス中のParkinの活性部位C431の利用と矛盾しない。さらには、C431S変異体がCCCPの存在下でのみUbオキシエステルを形成することが実証され、これはC431を細胞内の活性部位残基として(図6b、c)、及びParkinがCCCPによって活性化され得る潜在活性を有することを直接支持する。しかし、ミトコンドリアへのParkinの転座にもC431が関与する正式な可能性がある。本発明者らの細胞アッセイにおけるH433及びE444の変異は、どちらの変異もタンパク質レベルに影響を与えなかったものの、H433についての必要性を明らかにしたが、E444について必要性はなかったことを明らかにした。なぜE444が細胞において必ずしも必要でないのかは明らかではないが、ParkinはHisの配置においてGluの役割を提供する結合パートナーを細胞内で有し得るか、またはミトコンドリア膜でのpHが、C431の脱プロトン化にE444を必ずしも必要としないようにする可能性がある。Cys、His及びGlu残基が全ての種類のParkinにわたって完全に保存されている一方で、モチーフは全てのRBRリガーゼにわたって保存されておらず、他のRBRリガーゼは異なる触媒機構を使用し得る。
ParkinのC末端先端の検査は、−3位で保存されたフェニルアラニン(F)、F463を明らかにし、−5位から−3位のPheは、HECTリガーゼ内に入ってくる基質リジンの配置のために重要な決定因子であると記載されてきた。F463のチロシンへの変異(図6d)は、Tom20損失の細胞におけるParkinの活性、ならびにインビトロでの自己ユビキチン化活性およびR0RBRのUb−VSプローブ結合の劇的な増加を亢進した(図6e、f)。これは、ParkinのC末端先端で保存されたF463が、これまで構造的に記載されていたHECTリガーゼのC末端先端とは異なる能力において役立つ可能性があることを示唆する。本発明者らの構造では、F463は、R0:R2境界面の統合性に寄与すると予測される重要な疎水性相互作用に関与し(図4C)、上述のデータと合わせて、この結果はParkin構造において規定されているR0:R2境界面がParkinの活性部位の調節において重要であることを示唆する。実際、R0:R2境界面を含むいずれの疎水性残基の変異も、自己ユビキチン化活性の増大をもたらす。ゆえに、Parkinにおける−3Pheは、他のHECTリガーゼにおいて同じように置かれた残基とは異なるように機能し、Parkin活性をR0:R2境界面の統合性における変化を通して増大させることができることを示唆する。
Parkinにおける28個(おおよそ70個の内の)のヒト遺伝的変異は、本発明者らの構造におけるマッピング解析のために様々なParkinドメイン(R0RBR内)全体を通して公平な分布を表すように選択された。Parkinにおけるこれらの変異の検査は、Zn配位と直接関わるまたは密接に並べられた残基に対して10箇所マッピングされたことを明らかにした。他の変異は、それぞれの4つのドメイン及びテザーに存在し(図7)、二つの機能領域にざっと分類することができる;E2結合及び触媒システインを囲む領域。テザーの短いα−へリックスの領域内でR1と密接に会合するリンカーにおいて生じる三つのPD変異(R396G、A398T、R402C/H)があり、A398TはR1との相互作用を直接撹乱すると予測され得、E2結合と関連を有する。さらには、R1変異T240Rは、実験によって報告されたようにE2結合を妨害し得る。IBRドメイン及びR1:IBR境界面における変異は、構造的統合性及びE2結合を崩壊させ得る。最後に、数多くの変異が触媒C431の周辺で生じ、これらの変異は基質/補因子結合または触媒有効性を崩壊させる可能性がある。
Parkin R0RBRの構造を高分解能で解析した。全体的に、この構造は、HHARIの以前の生化学分析によって示唆されてきたように、RING及びHECTリガーゼの特徴を実証する。この構造の分析は、Parkinタンパク質のいくつかの新しい態様を明らかにし、それは、線形マッピング研究からは示されなかった、R0及びR2についての新規RING構造、分子レベルでの触媒活性に対する見識、ドメイン間の予期しない境界面、及びヒトPD変異のクラスター形成を含む。
Parkinについての個別のRINGドメインは、Znイオンを配位する特定の残基、ならびに古典的なE2結合ドメインを規定する標準的なRINGクロスブレース構造に対するそれらの関係に関して多くの議論の対象とされてきた。R1は、このドメインを規定するクロスブレース構造を有する、典型的なE2結合モチーフを実証するParkinの唯一のRINGドメインである。R0は、新規ドメイン構造であるが、E3 RINGドメインよりもジンクフィンガードメインにより類似する(図1)。IBRドメインは、主に、Parkinから単離されたIBRドメインの高品質NMR研究から予測されたものである。RING2は、Parkin及びHOIPのIBRドメインに類似する。しかしながら、どちらもクロスブレース構造を有さず、標準的なRINGドメインモチーフに似ていない。これらの知見は、RING命名法がR0、IBR及びR2ドメインにとって実際に適切であるかどうかに疑問を投げかける。
RBRリガーゼをRING/HECTハイブリッド型と規定する以前の研究は、R2ドメイン中にHECT様触媒システイン残基を予測した。R2ドメインが典型的なHECT構造に似ていない一方、本発明者らの分析はC431に触媒システインがあることを確かにした。Parkinについて見いだされているものと同様に、一連の細菌性リガーゼは触媒システイン残基を通して機能すると最近記載されているが、HECTドメインに対して類似する配列または構造は有さない。ゆえに、細菌性リガーゼ、RBRリガーゼ及びHECTリガーゼは触媒システインを通して機能するが、構造的及び配列に関しては異なる。
機構的に、残基は、C431を用いて機能して触媒を促進し得る触媒性コアにおいて同定される。H433及びE444の変異研究は、インビトロ及び細胞内で、C431を通して触媒活性を促進するためにH433が必要とされることを実証した。この知見がDUBについて実証されてきたように触媒三残基/二残基機構を表すかどうか、または他の残基との水素結合ネットワークを通して機能する機構を表すのかどうかはまだ、より詳細な変異分析を通して決定されるべきである。しかしながら、Ub−VSプローブの使用は、H433がC431でのE2からE3へのチオール交換ステップに関与することを明確に実証する。重要なことに、C431へのアクセスは、制限され得、Parkin活性を調節する方法として役立ち得る。
R0RBR構造は、分子が二つに折りたたまれて、N末端及びC末端が、二つのリンカーによって分離された二つのコンパクトなドメイングループを含む広大な境界面を形成することを明らかにした(図3b)。一方のドメイングループは、R1及びIBR間の会合で構成され、他方のドメイングループは、R0及びR2の密接な会合によって形成される。R1:IBRドメイングループは、本発明者らが「テザー」と命名した、IBRの一部によって妨害されるように見える、推定上のE2結合部位を含有する。W403を含むこのテザー領域の変異解析によって、E2アクセスに関するParkinの活性化に対する重要な見識を得る可能性がある。R0:R2ドメイングループの鍵となる特徴は、R0上の疎水性領域へのParkin R2のC末端の配置である。R0:R2境界面は二つの方法でParkin活性化の調節に寄与し得る:Parkin C431へ入ってくるUbのC末端Gly−Glyのアクセスを制限することによる方法、及びParkinの触媒機構、つまりH433及びC431のミスアライメントによる方法。R0:R2境界面の機能分析は、個別の疎水性残基の変異が、Parkinの自己ユビキチン化の活性化、及びプローブ標識をもたらしたことを示した(図6)。プローブ標識は、活性部位へのアクセス、及び触媒残基の適切な配置に依存するため、この結果は、R0:R2境界面変異が上述の二つの方法の一方または両方において機能する可能性があることを示唆する。BiacoreではUb結合の増加はこれらの変異体において観察されず、これは、それらがUbへの親和性を増加するようには機能しないことを示唆する。本発明者らの構造では、H433は、W462との水を媒介する水素結合に関与し、C431の脱プロトン化(図5c)には利用可能ではなく、これは、触媒残基のミスアライメントを通した酵素の不活性な状態を表している。
注目すべきことに、F463の変異はParkin活性の損失をもたらさない。他方のHECTリガーゼでは、同様に置かれたフェニルアラニンがE3リガーゼチオエステル結合Ubを基質への転移のために位置付けると考えられており、活性のために重要である。ゆえに、ParkinがHECTリガーゼに類似する触媒システイン活性を呈する一方で、−3Pheが異なる能力で機能するように見えるために、機能的にも異なる。最後に、R1:IBR及びR0:R2によって形成される二つの大きなドメイン間の境界面内での動きは、UbcH7(R1に結合する)の触媒システインとParkinのR2にある活性部位C431を並置するという方法を提供し得る。本発明者らの現在のモデルでは、Parkinに結合したE2(UbcH7)は、C431のチオール交換を生じさせるには遠すぎる。該構造は、UbcH7からParkinへのチオール交換を容易にするための立体構造変化の可能性を示唆する。この動きは、それによってR1:IBR及びR0:R2が、ベージュ色の柔軟なリンカー及びテザー領域(図3b、c、及び図4a)を介して互いに対して動くバタフライ効果(butterfly motion)のそれであると想定される。しかしながら、これらの境界面の完全な変異解析、及びチオール交換中のUbcH7に結合したParkinの構造決定がこの問題に取り組むために必要と考えられる。かかる研究は、他のリガーゼについてはなされており、かなりの立体構造柔軟性を促進する及び可能にするリンカーを実証している。この構造分析及びParkinのPD変異のマッピングは、変異によって影響を受ける鍵となる機能領域がParkin上にあることを実証する。大きくは、変異は三つの群にまとめられる:1.全体的な構造の安定性に影響を与える可能性がある、Zn配位残基;2.E2への直接結合部位、ならびにテザー残基の動きに影響を与え得るまたはE2−E3結合相互作用についていまだに理解されていない態様に影響を与え得る予測されるE2結合部位に近位する領域に変異を有する、予測されるE2結合領域;及び3.残基C431周辺の触媒領域。このマップは、触媒、E2結合、立体構造柔軟性、潜在状態の活性化、ならびに重要な結合パートナーのための潜在的領域におけるこれらの変異の機能的役割について将来行われる調査研究において非常に有用となると考えられる。機能的研究は、単離したParkin変異の鍵となる特徴も規定しており、いくつかのこれらの変異はミトコンドリアの局在化にとって重要であるParkinの領域の同定を助け得る。この研究においてマッピングされた変異が分子の一面上で大体生じるという事実は、他の分子に対する配向性に関する特異的機能性を示唆する。この研究の以前は、全体図にてParkin変異を理解することは非常に難しかったが、この構造のスナップショットは新しい仮説を試験するための地図を提供すると考えられる。
この構造データ、生化学データ及び細胞データは、ParkinがRING/HECTハイブリッド型として機能することを示す。おそらくParkinは標準的なRINGドメイン上に保存された構造モチーフを通してE2を結合し、さらに、その活性がR0及びR2ドメイン間の相互作用を通して調節され得るHECT様活性部位システインを通して機能する。Parkin R0RBRのこの構造は、リガーゼ活性を増加させることを目的とする創薬の努力のために、ならびにE3リガーゼのこの新しいクラスにおけるユビキチン化の分子機構を解明するために有用であると考えられる。
方法
一般試薬及びDNA構築物
全てのParkin構築物についてのDNA鋳型は、NM_004562及びNM_004562.1であった。細菌での発現のために、完全長Parkin(1〜465)、R0RBR(141〜465)及びRBR(238〜465)を、Champion pET SUMOベクターへと製造業者の説明書(Invitrogen)に従ってクローニングした。哺乳類での発現のために、Parkin(タグ付けされていない完全長)を、pcDNA3.1へとクローニングした。全ての変異は、QuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Agilent Technologies)を使用して作製された。ウェスタンブロット法のために、製造業者の推奨に従い、全ての抗体を1:1000で使用した。抗Parkin抗体(Prk8)はSigma製であった。抗Parkin抗体(HPA1A)は、ParkinのN末端ペプチド(a.a.85〜96)に対して生じたウサギポリクローナル抗体であった。抗GAPDH抗体は、Millipore製であった。抗Ub抗体(FK2)は、Enzo Life Sciences製であった。ウサギ抗Tom20抗体は、Santa Cruz製であった。Alexa594及びDapiは、molecular probes(Invitrogen)製であった。マウス抗HA抗体は、Covance製であった。CCCPは、Sigma製であった。El、UbcH7、UbcH8、Ub、Mg−ATP溶液は、全てBoston Biochem製であった。HA−UbVS及び全ての他のUb様VSは、Boston Biochem製であった。抗FLAG M2アガロース樹脂及び3X FLAGペプチドはSigma Aldrichから得た。プロテインAビーズはRepligen製であった。
タンパク質の発現
細菌発現構築物を、BL21 DE3大腸菌(Invitrogen)へと形質転換した。新鮮なコロニーから播種された一晩培養したものを、2%グルコース及び50μg/mlのカナマイシンを含有するTerrific broth培地にて37℃で増殖させた。翌朝、一晩培養したものをOD600 0.1まで希釈し、OD600が0.4に達するまで37で振とうし続け、次いでフラスコを16℃に移し、OD600が0.8から0.9の際に、培養物に、50μMの塩化亜鉛を補充した0.1mM IPTGを導入し、発現を18〜20時間にわたって16℃で進行させた。次いで、細胞を遠心分離により回収し、−80℃で凍結した。
タンパク質の精製
高性能Ni sepharose、Mono Q HR10/10陰イオン交換カラム、及びHiLoad26/60Superdex200カラムは全てGE Life sciences製であった。AKTA FPLCシステムでFPLCを行った。紫外可視吸光度読み取り値をNanodrop分光光度計で取得した。タンパク質を、変性条件下で10%Bis−Tris NuPAGEゲル上でMESランニングバッファー(Invitrogen)を用いてSDS−PAGEによって分析した。変性させたタンパク質についての吸光係数を、e=5690cm−1−1×(trpの数)+1280cm−1−1×(tyrの数)+120cm−1−1×(cysの数、ここでcys=システインまたはジスルフィド結合)に従って、一次配列から決定した。
細菌由来のSUMO−Parkin構築物の精製のために、細胞を緩衝液A(50mM Tris pH8.0、200mM NaCl、10mMのイミダゾール、250μM TCEP、及びEDTAを含まないCompleteプロテアーゼインヒビタータブレット(Roche))に再懸濁し、マイクロフルイダイザーを使用して溶解した。溶菌液を清澄化(45,000g、25分、4°C)し、上清を高性能Ni sepharose(0.625ml樹脂/L細胞培養液)を用いて4℃で1時間穏やかに撹拌した。ビーズを20mMのイミダゾールを含有する10カラム体積の緩衝液Aで洗浄し、次いで40mMのイミダゾールを含有する10カラム体積の緩衝液Aで洗浄した。タンパク質を200mMのイミダゾールを含有する10カラム体積の緩衝液で溶出した。溶出の後、タンパク質を50mM Tris中に4℃で2時間透析し、塩濃度を減少させた。次いで、タンパク質を、緩衝液B(50mM Tris pH8.0及び250μM TCEP)中で前もって平衡化されていたMono Q HR10/10陰イオン交換カラムへと充填した。カラムを50カラム体積にわたって0〜500mM NaClの勾配で展開し、タンパク質を113〜180mM NaClで溶出した。次いで収集した画分を濃縮し、緩衝液C(25mM HEPES pH8.0、50mM NaCl、及び1mM TCEP)中で前もって平衡化されていたHiLoad26/60Superdex200カラムへと注入した。カラムを1.5CVの緩衝液Cで溶出した。
SUMOタグの除去については、Mono Qカラムの後にタンパク質をSENP1(10:1のタンパク質対SENP1のw/w比率)と2時間4℃でインキュベートしたことを除いて上述のように精製を行った。インキュベーションの後、10mMのイミダゾールを切断反応物に添加し、該反応物を高性能Ni sepharoseカラム(0.625ml樹脂/L細胞培養物)で精製した。Niカラムを10CVの緩衝液Aで洗浄した。Niカラムからの洗浄物及びフロースルーの両方を収集し、緩衝液C(25mM HEPES pH8.0、50mM NaCl、及び1mM TCEP)中で前もって平衡化されていたHiLoad26/60Superdex200カラムへと注入した。カラムを1.5CVの緩衝液Cで溶出した。
結晶化及び構造決定
25mM HEPES(pH8.0)、50mM NaCl、及び1mM TCEP中にそれぞれ0.3μLの12.5mg/mLのタンパク質及び0.1M HEPES(pH7.5)、20%PEG 4K、10%イソプロパノール、10mMのBaClのリザーバーを含有するシッティングドロップ法においてParkin R0RBR−P223タンパク質結晶を10℃で成長させた。より高品質の結晶を得るためにシーディング法を使用し、結晶は概して4〜7日でフルサイズに達した。結晶を、液体窒素内で瞬間冷却する前にリザーバー溶液中の15%エチレングリコールに移した。結晶は、空間群C222(a=86.96Å、b=133.16Å、c=65.39Å)に属し、非対称単位あたり1分子を含有する。Znの異常や分散信号を測定するためにシンクロトロンX線データを、ピーク/屈折妥協点(peak/inflection compromise)及び遠隔波長で単一の結晶について収集した。回折データをMOSFLMで統合し、SCALAでスケーリングした。9つの異常部位がSHELXDによって発見され、位相をMLPHAREで精密化した。DMを使用して1.1159Åで収集された高分解能データ(1.58Å)に対して溶媒平滑化(solvent flattening)を行い、明確に解釈可能な電子密度図を得た。平均性能指数は、MLPHARE後に0.217、溶媒平滑化後に0.715であった。モデルを手動でプログラムCootを使用してこの図に組み込んだ。異常部位の1つは、配位リガンドの特徴に基づいてバリウムとしてモデル化された。構造は、REFMACを使用して高分解能に対して精密化され、306aa残基及び267水分子を含有する。両方の構造は、pdbコード411F(Parkin R0RBR−P223)及び411H(Parkin R0RBR−5223)で蛋白質構造データバンクに寄託されている。
Parkin R0RBR−S223結晶を、Parkin R0RBR−P223と同じ緩衝液中それぞれ0.3μLの10mg/mLのタンパク質及び0.1M TRIS(pH6.5)、0.2M NaCl、及び25%PEG3350のリザーバーを使用してシッティングドロップ法において10℃で成長させた。結晶を3日間にわたって成長させ、次いで、液体窒素中で瞬間冷却する前にリザーバー溶液中の10%エチレングリコールへと移した。結晶はC222(a=87.11Å、b=133.9Å、c=66.21Å)に属した。データをhome sourceのSaturn944検出器及びRigakuのMicroMax007HF発生装置を使用して収集し、MOSFLMで処理し、SCALAでスケーリングした。Parkin−R0RBR−P223構造を、出発モデルとして使用し、必要に応じてCootにて再構築し、交互にREFMACにて2.0Åに精密化し、最終モデルは306aa及び263水を含有する。
生化学アッセイ
Parkinの自己ユビキチン化反応は、一般的には、50mM HEPES、50mM NaCl、pH8.0の反応緩衝液中の25μlの反応体積中で、1時間にわたって37℃でE1(250nM)、E2(5μM)Ub(23.5μM)、Mg−ATP溶液(10mM)及びParkin種(0.46μM)を用いて実行された。反応はSDSローディングバッファーの添加によって終了した。
HA−UbVSを用いたParkin活性プローブ標識。簡潔には、Parkin(5μg)をHA−UbVS(または他のUb様VS、Boston Biochem)と、3:1のParkin:UbVSのモル比または1:1のParkin:UbVSのモル比で室温で3時間50mM HEPES、50mM NaCl中で、様々なpHにわたってインキュベートした。反応はSDSローディングバッファーの添加によって終了した。
Parkin細胞アッセイ
細胞を一般的に24ウェルのプラスティック皿で増殖させたことを除いて以前報告したように細胞を染色した。Tom20ミトコンドリア染色を含有する細胞の割合(%)を定量化するためにTarget Activation BioApplicationを使用して画像をCellomics ArrayScan VTiプラットフォーム(Thermo Scientific)上で取得した。細胞フィールドを10倍対物レンズを使用して撮像し、フィールド当たり平均して250個の細胞が検出された。データを少なくとも2000個/ウェル(96ウェルプレート)の細胞から収集した。細胞アッセイの読み出しパラメータは、平均蛍光強度及びTom20染色をほとんどまたは全く示さない細胞の割合(%)であった。完全長野生型Parkinに対するTom20損失の割合(%)を、CCCP処置後の完全長野生型Parkinが誘発したTom20損失を100%に設定して算出した。示されるデータは、3つから4つの独立した実験を表す(エラーバーは標準誤差を表す)。
統計解析
3つのアスタリスクはP<0.005を示し、2つのアスタリスクはP<0.01を示し、1つのアスタリスクはP<0.05を示す。有意水準を、両側検定の不等分散性のスチューデントのT検定を用いて決定した。タグ無し完全長Parkin(または変異体)をHA−Ubと一緒にそれぞれ1:10のDNA比で使用して製造業者のプロトコル(Roche)に従ってXtremeGeneで細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションは48時間で、24時間後に培地交換とCCCP(10μM最終)の添加を行った。EDTAを含まないCompleteプロテアーゼインヒビター(Roche)を有する、20mM HEPES、150mM NaCl、10%グリセロール、1%トリトン−X−100、pH7.2中で氷上で30分間溶解した。溶菌液を4℃で10分間16,000×gで卓上微量遠心機で清澄化した。タンパク質をBCA(Thermo Fisher Scientific)を使用して定量化した。Parkin及びオキシエステル連結Parkinの十分な分離を得るために、試料を、典型的には、10%トリス−グリシンゲル(Invitrogen)上で2時間泳動(run)させた。オキシエステル連結Parkinの免疫沈降については、1mgのタンパク質抽出物(プロテインAビーズ単独で前もって1時間清澄化した後)をプロテインA樹脂及びHPA1A(5μM)とともに一晩回転させながら4℃でインキュベートした。翌日、試料を溶解バッファーで3回洗浄し、その後SDSローディング色素を添加した。次いで反応物を、沸騰させる前にNaOH(0.14mol/L)またはバッファー対照とともに20分間37℃でインキュベートした。
質量分析
Parkin−C431−UbVS修飾されたペプチドのLC−MS/MS同定のために、HA−UbVSと反応させたParkinのトリプシン消化物を、ABSciex 5600 qTOF質量分析計上で、各サーベイMSスキャンの後にMSスペクトルにおける30の最も高いピークのMS/MS分析を行う方法を使用して分析した。ペプチドの同定を、ペプチドマストレランス(peptide mass tolerance)について10ppm、及びMS/MSトレランス(tolerance)について0.1DaでMascot version2.4を使用して行った。ペプチド同定を決定するために、酸化(M±15.9949Da)、脱アミド(1\1Q±0.9840Da)、カルバミドメチル化(C±57.0214Da)、及びGG−ビニルスルホンレムナント(C±192.0569Da)を不確定の修飾(variable modifications)として使用してUniprotデータベースを検索した。
本発明は上記の実施例に関連して説明してきたが、修正及び変形が本発明の精神及び範囲内に包含されることが理解されるだろう。従って、本発明は以下の特許請求の範囲によって限定される。

Claims (29)

  1. a)ユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;
    b)a)の混合物を、標識を含む活性プロ−ブと接触させること;及び
    c)前記リガーゼ上のプローブ標識を測定すること
    を含む、ユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターを同定する方法であって、対照と比較したときの前記リガーゼ上のプローブ標識の増加または低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性のモジュレーターとして同定する、前記方法。
  2. 前記リガーゼがE3リガーゼである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記E3リガーゼがHECTまたはRBRファミリーリガーゼである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記化合物が小分子である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記活性プローブが、ユビキチン結合ペプチド、反応性化学部分、ユビキチンペプチド及び標識を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ユビキチン結合ペプチドがE2である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記標識が、蛍光、酵素または放射性標識である、請求項5に記載の方法。
  8. 前記反応性化学部分が、アクリル酸、ビニルスルホニル、アシルオキシメチルケトン、β−ラクトン、シアナミド、αアミノニトリル及びエポキシコハク酸からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  9. 前記活性プローブがエピトープタグをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  10. 標識の前記低減または増加が、FRET、HTRF、及びELISAからなる群より選択される方法によって決定される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記リガーゼ上のプローブ標識の低減が、前記リガーゼの阻害因子を示す、請求項1に記載の方法。
  12. 前記リガーゼ上のプローブ標識の増加が、前記リガーゼの活性化因子を示す、請求項1に記載の方法。
  13. 請求項1に記載の方法によって同定される、ユビキチンリガーゼの小分子阻害因子。
  14. 請求項1に記載の方法によって同定される、ユビキチンリガーゼの小分子活性化因子。
  15. a)ユビキチン結合ペプチド;
    b)反応性化学部分;及び
    c)ユビキチンペプチド
    を含む、活性プローブ。
  16. 標識をさらに含む、請求項15に記載の活性プローブ。
  17. エピトープタグをさらに含む、請求項15に記載の活性プローブ。
  18. 前記ユビキチン結合ペプチドがE2ペプチドである、請求項15に記載の活性プローブ。
  19. 前記E2ペプチドがE2−E3相互作用ドメインを形成する、請求項16に記載の活性プローブ。
  20. 前記化学部分がユビキチンリガーゼの活性部位システインと反応する、請求項15に記載の活性プローブ。
  21. 前記化学部分が、アクリル酸、ビニルスルホニル、アシルオキシメチルケトン、β−ラクトン、シアナミド及びエポキシコハク酸からなる群より選択される、請求項15に記載の活性プローブ。
  22. 前記ユビキチンペプチドがE3−ユビキチン相互作用ドメインを含有する、請求項15に記載の活性プローブ。
  23. 前記ユビキチン結合ペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群より選択される、請求項15に記載の活性プローブ。
  24. 前記ユビキチンペプチドが、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群より選択される、請求項15に記載の活性プローブ。
  25. a)病原体由来のユビキチンリガーゼを化合物と接触させること;
    b)a)の混合物を、標識を含む活性プローブと接触させること;及び
    c)前記リガーゼ上のプローブ標識を測定すること
    を含む、病原体由来のユビキチンリガーゼを阻害する化合物を同定する方法であって、対照と比較したときの前記リガーゼ上のプローブ標識の低減が、前記化合物をユビキチンリガーゼ活性の阻害因子として同定する、前記方法。
  26. 前記ユビキチンリガーゼが、SopA及び新規E3リガーゼファミリー(NEL)からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
  27. 前記病原体が、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、大腸菌(E. coli)、赤痢菌(Shigella)及びシュードモナス(Pseudomonas)からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
  28. a)ユビキチンリガーゼを含有する腫瘍試料を、標識を含む活性プローブと接触させること;及び
    b)前記リガーゼ上のプローブ標識を測定すること
    を含む、腫瘍内で増強された酵素活性を有するユビキチンリガーゼを同定する方法であって、対象と比較したときの前記リガーゼ上のプローブ標識の増加が、増強された酵素活性を有するユビキチンリガーゼを同定する、前記方法。
  29. 前記腫瘍が、リンパ腫、CLL、小リンパ球性リンパ腫、辺縁細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、腎細胞癌、結腸癌、大腸癌、乳癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫、骨髄腫、胃癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌からなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
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