JP2016521279A - アトラセンタンを使用して脂質プロファイルを改善するための方法 - Google Patents

アトラセンタンを使用して脂質プロファイルを改善するための方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、(a)被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方の約5%以上の減少をもたらすのに十分な量で、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与することによって、ヒト被験体における心血管リスクを減少させるための方法に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年4月30日に出願された米国仮特許出願第61/817,645号および2013年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/824,199号の優先権の利益を主張する。これらの出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、(a)被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方の約5%以上の減少をもたらすのに十分な量で、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与することによって、ヒト被験体における心血管リスクを減少させるための方法に関する。
アトラセンタンは、エンドセリンA(ET)受容体の強力で選択的なアンタゴニストである。臨床試験では、これは、前立腺癌の治療について評価されており、II型糖尿病に関連する慢性腎疾患(CKD)の治療についても評価されている。このような臨床試験から報告されたデータには、例えば、プラセボを摂取している患者と比較した、アトラセンタンを摂取している患者における空腹時グルコース、グリコシル化ヘモグロビンレベル、トリグリセリド、リポタンパク質Aおよび尿酸レベルが含まれている(例えば、Raichlin,et al.,Efficacy and safety of atrasentan in patients with cardiovascular risk and early atherosclerosis.Hypertension;52:522−528(2008)を参照のこと)。
特に、これまでに、アトラセンタンを摂取している患者における低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルに対するアトラセンタンの臨床的に有意な効果または治療的に有益な効果に関する報告はない。コレステロールレベル(特に、LDLコレステロールレベル)と一般的な心血管リスク(特に、冠状動脈疾患)との間の関係がよく認識されているため、コレステロールレベルを減少させるためのさらなる治療法(例えば、下記のようなアトラセンタンを使用する治療方法)が引き続き必要である。
Raichlin,et al.,Efficacy and safety of atrasentan in patients with cardiovascular risk and early atherosclerosis.Hypertension;52:522−528(2008)
本開示は、ヒト被験体における心血管リスクを減少させる方法であって、(a)前記被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)前記被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方の約5%以上の減少をもたらすのに十分な量で、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与することを含む方法に関する。
一実施形態では、本開示は、(a)被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの両方についてこのような減少がもたらされるこのような方法に関する。
別の実施形態では、本開示は、血清総コレステロール、血清LDLコレステロールまたはこれらの両方が、ベースラインと比べて約10%以上減少される上記方法の一方または両方に関する。
別の実施形態では、本開示は、血清総コレステロール、血清LDLコレステロールまたはこれらの両方が、ベースラインと比べて約15%以上減少される上記方法の一方または両方に関する。
別の実施形態では、本開示は、約0.25mgから約250mgの1日用量を被験体に投与し、1つ以上の特定の実施形態では、約0.5mg、約0.75mg、約1.0mgまたは約1.25mgの1日用量を投与する上記方法の1つ以上に関する。
別の実施形態では、本開示は、被験体が、冠動脈心疾患、高コレステロール血症、高脂血症、腎症、慢性腎疾患、2型糖尿病およびアルブミン尿からなる群より選択される病気を患っている上記方法の1つ以上に関する。
別の実施形態では、本開示は、第2の活性薬剤を被験体に投与することをさらに含み、特定の一実施形態では、HMG−CoA還元酵素阻害剤、特にスタチンを被験体に投与することを含む上記方法の1つ以上に関する。
別の実施形態では、本開示は、アトラセンタンの医薬として許容される塩を投与することを含み、特にアトラセンタンHClを投与することを含む上記方法の1つ以上に関する。
図1は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからのUACRの12週間にわたる幾何学的平均変化を示すグラフである。 図2は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからのeGFRの経時的な最小二乗(LS)平均変化を示すグラフである。 図3は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからの収縮期血圧の経時的な平均変化を示すグラフである。 図4は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからの拡張期血圧の経時的な平均変化を示すグラフである。 図5は、実施例1にさらに記載されているように、収縮期血圧の変化に対する治療効果を考慮した後の、UACRの変化に対する治療効果を評価するためのパス分析を示すフローチャートである。 図6は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからの(外来)収縮期血圧の経時的な(24時間の)平均変化を示すグラフである。 図7は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからの(外来)拡張期血圧の経時的な(24時間の)平均変化を示すグラフである。 図8は、実施例1にさらに記載されているように、ベースラインからの経時的な平均体重変化を示すグラフである。 図9は、実施例2にさらに記載されているように、ベースラインからのUACRの12週間にわたる幾何学的平均変化を示すグラフである。 図10は、実施例2にさらに記載されているように、ベースラインからのeGFRの経時的な最小二乗(LS)平均変化を示すグラフである。 図11は、実施例2にさらに記載されているように、ベースラインからの収縮期血圧の経時的な平均変化を示すグラフである。 図12は、実施例2にさらに記載されているように、ベースラインからの拡張期血圧の経時的な平均変化を示すグラフである。 図13は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからのUACRの8週間にわたる幾何学的平均変化を示すグラフである。 図14は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからのeGFRの経時的な最小二乗(LS)平均変化を示すグラフである。 図15は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからの収縮期血圧の経時的な平均変化を示すグラフである。 図16は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからの拡張期血圧の経時的な平均変化を示すグラフである。 図17は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからの(外来)収縮期血圧の経時的な(24時間の)平均変化を示すグラフである。 図18は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからの(外来)拡張期血圧の経時的な(24時間の)平均変化を示すグラフである。 図19は、実施例3にさらに記載されているように、ベースラインからの生体インピーダンスの平均変化を示すグラフである。 図20は、実施例6にさらに記載されているように、浮腫リスク(Edema Rish)および受容体占有率に関するモデリングデータを示すグラフである。 図21は、実施例7に記載されているように、複合的な被験者集団に関する個体群統計情報(3つの各治療群(即ち、プラセボ(N=50)、アトラセンタン0.75mg(N=78)およびアトラセンタン1.25mg(N=83)治療群)に関する個体群統計情報を含む。)の概要を示す表である。 図22は、実施例7に記載されているように、複合的な被験者集団内の以下のサブグループ:(a)UACR≦1000mg/g対UACR≧1000mg/g、(b)男性対女性、(c)年齢<65歳対年齢≧65歳および(d)スタチン併用療法対スタチン非併用療法に関するUACRの幾何学的平均変化率の棒グラフ図である。 図23は、実施例7に記載されているように、12週間の治療期間+治療中止後30日間における複合的な被験者集団の平均総コレステロール、平均LDLコレステロール、平均HDLコレステロールおよび平均トリグリセリドの値(mg/dL)のグラフ図を含む。 これらの図において、*、**および***は、(例えば、MMRMによる)プラセボとの差について、各々P≦0.05、0.01および0.001を意味することに留意すべきである。
本明細書で以下にさらに詳述するように、本開示によれば、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩は、ヒト被験体における心血管リスクを減少させるための方法において有利に使用され得る。前記方法は、(a)被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方の臨床的に有意な減少をもたらすのに十分な量で、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与することを含む。
I.定義
本セクションにおいて使用されるセクションの見出しおよび本明細書における開示全体は、限定的なものであることを意図しない。
本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、この文脈が明瞭に別様に指図していない限り、複数の指示対象を含む。本明細書における数値範囲の列挙については、同じ精度で、これらの間の各々の介在数が明確に意図される。例えば、範囲6から9については、6および9に加えて数7および8が意図され、および範囲6.0から7.0については、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0が明確に意図される。
本明細書で使用される「約」という用語は、「ほぼ」という用語と同義で使用される。説明すると、「約」という用語の使用は挙げられている値の若干外側の値、即ち±10%を示す。従ってこのような用量は、「約」および「ほぼ」という用語を使う特許請求の範囲によって包含される。
「投与する」、「投与している」、「投与された」または「投与」という用語は、被験体に対して薬物(アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩など)を提供する任意の方法を指す。投与経路は、当業者に公知の任意の形態によって達成することができる。このような形態には、経口、口腔、静脈内、皮下、筋肉内、経皮、吸入などがあるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される「活性薬剤」という用語は、所望の生物学的効果を達成する薬剤(例えば、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩)またはこの医薬として許容される塩を指す。「活性薬剤」および「薬物」という用語は、本明細書において互換的に使用される。本開示の剤型を製造するのに使用される活性薬剤の固体形態は重要ではないと考えられる。例えば、本開示の剤型を製造するのに使用される活性薬剤は、非晶質または結晶性であり得る。最終剤型は、少なくとも検出できる量の結晶性活性薬剤を含み得る。活性薬剤の結晶性は、粉末X線回折分析、示差走査熱量測定または当技術分野において公知の任意の他の技術を使用して検出することができる。
「アトラセンタン」という用語は、以下に示される構造:
Figure 2016521279
を有する化合物(2R,3R,4S)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−[2−(ジブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸を指す。本明細書で使用される本開示の方法は、この化合物およびこの塩(例えば、塩酸(HCl)塩)の投与を包含することを意図する。特に明記しない限り、アトラセンタンの量へのあらゆる言及は、遊離型アトラセンタンの重量を基準にする。例えば、0.25mgのアトラセンタンは、0.25mgの遊離型アトラセンタンまたは当量のこの塩形態を指す。アトラセンタンを作製するための方法は、例えば、米国特許第6,380,241号明細書;同第6,946,481号明細書;同第7,365,093号明細書;同第5,731,434号明細書;同第5,622,971号明細書;同第6,462,194号明細書;同第5,767,144号明細書;同第6,162,927号明細書;および同第7,208,517号明細書に記載されている。これらの特許の内容は、すべての関連する一貫した目的のために参照により本出願に組み込まれる。
血清総コレステロールおよび/または血清LDLコレステロールレベルとの関連において本明細書で使用される「ベースライン」という用語は、アトラセンタン投与の直前の被験体の血清総コレステロールおよび/または血清LDLコレステロールのレベルを指す。これに関して、本開示全体を通じて、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロール(ベースラインまたは非ベースラインの結果)への言及は、当技術分野で公知の手段を使用して決定した場合の、被験体におけるこれらの濃度を指す(より具体的には、各々当技術分野で公知の標準的な酵素的方法およびFriedewaldの式を使用して決定した場合の、血清総コレステロールまたは血清LDLコレステロールの濃度を指す。)ことに留意すべきである。
「剤型」という用語は、特定の所定量(即ち、用量)のある活性薬剤を含むように設計された任意の固形物、半固体または液体組成物を指す。適切な剤型は、経口投与、口腔投与、直腸投与、局所もしくは粘膜送達用のものを含む医薬的な薬物送達システムまたは皮下移植もしくは他の移植薬物送達システムなどであり得る。一態様では、本開示の剤型は、固体であると考えられるが、これらは、液体または半固体成分を含み得る。別の態様では、剤型は、活性薬剤を被験体の消化管に送達するための経口投与システムである。本開示の剤型は、活性薬剤の即時放出または調節放出を示し得る。
活性薬剤の「有効量」または「治療有効量」は、所望の効果を提供するために十分な活性薬剤の量を意味する。例えば、単回投与または分割投与で被験体に投与するアトラセンタンの1日の治療有効量または予防有効量は、(a)アトラセンタンを投与したヒト被験体におけるベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)アトラセンタンを投与したヒト被験体におけるベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方について、臨床的に有意な減少を達成するのに十分なものであり得る。幾つかの実施形態では、「有効量」または「治療有効量」は、約0.25mgから約250mg/日またはこれらの間に収まる任意の量を指し得、単回投与または分割投与で被験体に投与され得る。これらのまたは他の実施形態では、単回投与または分割投与における約0.5mg、約0.75mg、約1.0mgもしくは約1.25mg/日(または1日に)のアトラセンタンまたは当量のこの医薬として許容される塩(例えば、アトラセンタンHCl)を指し得る。当然のことながら、当業者であれば、所望の結果を達成するために、他の投与計画(例えば、持続放出、制御放出または調節放出剤型を利用する、1日に複数回の投与、など)を利用し得ることを理解するであろう。
「医薬として許容される賦形剤」または「医薬として許容される添加剤」と言う場合などでの「医薬として許容される」は、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない材料(即ち、材料は、いかなる望ましくない生物学的効果も引き起こさずに、被験体に投与される医薬組成物に組み込まれ得る。)を意味する。
「RAAS阻害剤」(または「RAS阻害剤」)という用語は、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の1つ以上の要素を阻害する任意の化合物を指す。RAAS阻害剤の例には、ACE阻害剤、ARB、レニン阻害剤、アルドステロンアンタゴニストなどがある。
「治療する」および「治療」という用語は、症状の重度および/または頻度の低減、症状および/または基礎原因の消失、症状および/またはこれの基礎原因の発生の予防、ならびに損傷の改善もしくは修復を指す。従って、例えば、被験体を「治療する」は、感受性個体における特定の障害もしくは有害生理事象の予防ならびに障害もしくは疾患を阻害もしくはこの退行を引き起こすことによる臨床的に症候性の個体の治療を含む。
II.医薬組成物および投与計画
一実施形態では、本開示は、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩の新規な医薬組成物および投与計画に関する。具体的には、本開示の医薬組成物および投与計画は、1つ以上の実施形態(例えば、心血管リスク(または、これに関連または関係する別の病気または適応症、例えば冠動脈心疾患、高コレステロール血症、高脂血症、腎症、慢性腎疾患、2型糖尿病またはアルブミン尿)を減少させるために、被験体を治療する実施形態)では、(a)被験体におけるベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体におけるベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方の約5%以上の減少をもたらすのに十分な量のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与することを含む。例えば、本実施形態では、約0.25mgから約250mgのアトラセンタンまたは当量のこの医薬として許容される塩または任意の個別量もしくはこれらの間に収まる範囲を被験体に投与し得、これらを1日に単回投与または分割投与で被験体に投与し得る。特定の実施形態では、約0.5mgから約200mg、または約0.5mgから約150mg、または約0.5mgから約100mg、または約0.5mgから約50mg、または約0.5mgから約25mg、または約0.5mgから約15mg、または約0.5mgから約10mg、または約0.5mgから約5mg、または約0.5mgから約2.5mg、または約0.5mgから約1.5mg、または約0.75mgから約1.25mgの用量のアトラセンタンまたは当量のこの医薬として許容される塩を1日に単回投与または分割投与のいずれかで被験体に投与し得る。より具体的な実施形態では、約0.5mg、約0.75mg、約1.0mgまたはさらに約1.25mgの用量を1日に単回投与または分割投与のいずれかで被験体に投与し得る。
これに関して、血清総コレステロール、血清LDLコレステロールまたはこれらの両方について、所望の臨床的に有意な減少を達成するために、特定の用量または投与計画を特定の病気または適応症に最適化することができるので、上記用量は例示的なものであり、限定的な意味で捉えられるべきではないことに留意すべきである。
これらまたは他の特定の実施形態では、本開示の医薬組成物および投与計画は、約0.75mgのアトラセンタンまたは当量のこの医薬として許容される塩、例えばアトラセンタンHClを含む。
アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩に加えて、投与計画はまた、本明細書の他の箇所でさらに詳述されるように、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含み得る。
本明細書に記載される特定の実施形態の1つ以上では、治療有効量のアトラセンタンは、1日当たり上記投与量の1つ(即ち、1日投与量)を含む。
本明細書に記載される投与計画は、様々な病気または適応症にかかりやすいか、またはこれらを患っている被験体を治療するために使用され得る。例えば、前述のように、本開示の1つ以上の実施形態では、ヒト被験体の心血管リスクを減少させるために、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与し得、より具体的には、冠動脈心疾患、高コレステロール血症、高脂血症、腎症、慢性腎疾患、2型糖尿病またはアルブミン尿を治療するために投与し得る。
特定の実施形態では、本開示の投与計画は、腎症、特に糖尿病性腎症を有する被験体を治療するために使用され得る。有利には、より大量のアトラセンタン投与計画によって引き起こされる望ましくない副作用(例えば、体液貯留、末梢浮腫および臨床的に関連する血圧変化)を制限するために、投与量を最適化し得る。
本開示の投与計画は、エンドセリン受容体アンタゴニスト(ETRA)に関連する副作用を制限するための最適用量で他の薬剤を使用することを可能にしながら、糖尿病性腎症を有する被験体を治療するために使用され得る。例えば、臨床的に関連する血圧変化を伴わない末梢浮腫を制御するために、利尿薬をアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩と併せて使用し得る。
本開示の投与計画は、慢性腎疾患を治療するための最適用量で他の薬剤を使用することを可能にしながら、アルブミン尿を有する被験体を治療するために使用され得、特に、糖尿病性腎症を有する被験体におけるアルブミン尿を治療するために使用され得る。例えば、慢性腎疾患を治療するために、最大耐用量の1つ以上のRAAS阻害剤をアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩と併せて使用し得る。
一態様では、投与計画は、上記のような濃度のアトラセンタンまたは当量のこの医薬として許容される塩を含む剤型を含む。特定の一態様では、投与計画は、約0.25mgから約250mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩(または、前述のような任意の投与量またはこれらの間に収まる投与量範囲)を含む剤型を含み、より具体的には、約0.5mg、約0.75mg、約1.0mgもしくは約1.25mgのアトラセンタンまたは当量のこの医薬として許容される塩を含み得る。アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩に加えて、剤型はまた、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含み得る。具体的には、前記剤型中のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩は、1日当たり(または1日に)本明細書に記載される用量(例えば、約0.75mgのアトラセンタン)を送達する。本明細書に記載される剤型は、治療を必要とする被験体を治療するために使用され得る。例えば、一実施形態では、剤型は、糖尿病性腎症を有する被験体を治療するために使用され得る。別の実施形態では、剤型は、被験体における心血管リスクを減少させるために使用され得る。
投与計画での使用に企図される剤型は、即時放出剤型、持続放出剤型またはこれらの組み合わせ(例えば、即時放出薬物コーティング層でコーティングした持続放出剤型)であり得、治療有効量と、場合によりこの医薬として許容される塩および少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤とを含み得る。
本明細書で言及されるように、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩の即時放出、持続放出または複合的な即時および持続放出を提供する任意の剤型が、本開示の投与計画で使用され得る。使用可能なこのような剤型の例には、マトリックス系、膜制御系(「貯留系」とも称される。)、パルス放出系または浸透圧ポンプなどがあるが、これらに限定されるものではない。これら各系について本明細書でさらに詳細に説明する。このような剤型についての詳細な議論は、(i)Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology,ed.D.L.Wise,et al.,Marcel Dekker,Inc.,New York,New York(2000);および(ii)Treatise on Controlled Drug Delivery,Fundamentals,Optimization,and Applications,ed.A.Kydonieus,Marcel Dekker,Inc.,New York,New York(1992)にも見られ得る。
マトリックス系は当業者には周知である。本開示の剤型の場合、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を、少なくとも1つの速度制御機構に、および場合により少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤と共に均一に分散させる。この混合物を、粉剤、粒剤、ビーズ、ペレット、粒子、錠剤、ミニ錠剤または凝集体など(これらに限定されるものではない。)の剤型にすることができる。本開示は、粉剤、粒剤、ビーズ、ペレット、粒子、錠剤、ミニ錠剤または凝集体など(これらに限定されるものではない。)の剤型を、食物の上に振りかけたり、適切な飲料に溶かしたりして被験体に消費させることが可能であることも企図する。本開示はさらに、前記剤型にした後に、これを本明細書でさらに詳細に説明する1つ以上の速度制御層および/または1つ以上の腸溶コーティングで場合により包囲またはコーティングし得ることも企図する。
本明細書で使用される「少なくとも1つの速度制御機構」という用語は、剤型からのアトラセンタンの放出速度を制御または調節する薬剤を指す。少なくとも1つの速度制御機構が、少なくとも部分的に、通常は実質的に完全に使用環境で浸食可能な不活性で無毒性の材料を通常は含む。本開示の速度制御機構に適切な材料の選択は、当業者には周知の剤型からのアトラセンタンの放出の所望の期間によって決まる。
マトリックス剤型で使用される速度制御機構は、親水性薬剤、疎水性薬剤またはこれらの組み合わせであり得る。さらに、速度制御機構は場合により、親水性および/または疎水性薬剤の親水性および/または疎水性を調節する上で役立つ任意の医薬として許容される賦形剤を含み得る。使用可能な親水性薬剤には、セルロース(例えば限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール類(「PEG」)、キサンタンガム、アルギン酸類、ポリビニルピロリドン、デンプン類、アクリル酸の架橋ホモポリマーおよびコポリマーならびに膨潤性および/またはゲル形成性を有する他の医薬として許容される物質およびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。使用可能な疎水性薬剤には、ロウ類および水不溶性剤などがあるが、これらに限定されるものではない。使用可能なロウ類の例には、カルナウバロウ、蜜ロウ、カンデリラロウ、パラフィンロウ類およびこれらの組み合わせのような天然および合成ロウ類などがあるが、これらに限定されるものではない。水不溶性薬剤には、アンモニオメタクリレートコポリマー類(Eudragit(R)RL100およびRS100など)、セルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース類、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、メタクリル酸エステルコポリマー類(Eudragit(R)NE30Dなど)、微結晶セルロースおよびリン酸二カルシウムおよびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。コーティングまたは膜の形態で使用される速度制御機構の例には、エチルセルロース(Surelease(R)およびAquacoat(R)ECDなど)、アンモニオメタクリレートコポリマー類(Eudragit(R)RL30DおよびRS30Dなど)およびメタクリル酸エステルコポリマー類(Eudragit(R)NE30Dなど)などがあるが、これらに限定されるものではない。
当業者であれば、このようなマトリックス剤型に適切で適切であると考えられる医薬として許容される賦形剤の種類および量を決定することが可能であると考えられる。本開示の剤型で使用可能な医薬として許容される賦形剤の例には、1つ以上の充填剤、結合剤、潤滑剤/流動促進剤、溶解度向上剤、懸濁剤、甘味剤および/または香味剤、保存剤、緩衝剤、湿展剤、崩壊剤、発泡剤、界面活性剤、保湿剤、溶解遅延剤、吸収剤、溶媒、他の医薬として許容される添加剤ならびにこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な充填剤には、デンプン類、乳糖、微結晶セルロース、スクロース、グルコース、ソルビトール、マンニトールおよびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。使用可能な充填剤の例は、Avicel(R)PH101およびAvicel(R)PH102などの微結晶セルロース;乳糖・一水和物、無水乳糖およびPharmatosee DCL21などの乳糖;ならびにEmcompress(R)などのリン酸二カルシウムがある。
本開示で使用可能な結合剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロースなどのセルロース類、ポリビニルピロリドン、デンプン類および他の医薬として許容される凝集性を有する物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な潤滑剤および流動促進剤には、Aerosil(R)200などのコロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール類、フマル酸ナトリウムステアリル、シリカゲルおよびこれらの混合物ならびに潤滑性および滑り性を有する他の物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
使用可能な溶解度向上剤には、エタノールまたはプロピレングリコールなどの共溶媒、ポリソルベート類、ポリアルキレングリコール類、ポロキサマー類またはポリビニルピロリドンなどの界面活性剤およびポリマー性物質、ならびにリノール酸またはモノラウリン酸グリセリルなどの油性脂肪酸類またはこれらのモノもしくはジグリセリルエステル類などがあるが、これらに限定されるものではない。
使用可能な懸濁剤には、カルボキシメチルセルロース、ビーガム(veegum)、トラガカント、ベントナイト、メチルセルロースおよびポリエチレングリコール類などがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な甘味料は任意の天然または人工甘味料であり、これにはスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテームおよびアセサルフェームなどがあるが、これらに限定されるものではない。香味剤の例にはMagnasweet(R)、風船ガム香味料、フルーツ香味料などがある。
本開示で使用可能な保存剤には、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびこれの塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール類、フェノールなどのフェノール系化合物または塩化ベンザルコニウムなどの4級化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な適切な緩衝剤には、ホスフェート、アセテート、シトレート、スクシネートおよびヒスチジン緩衝剤などがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な湿展剤には、ラウリル硫酸アンモニウムおよびラウリル硫酸ナトリウムなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な適切な崩壊剤には、架橋ポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンおよび調整デンプン類、寒天、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、アルギン酸類、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶セルロースおよびこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
本開示で使用可能な適切な発泡剤は、発泡性の組み合わせであり、これには有機酸とカーボネートもしくはビカーボネートなどがあるが、これらに限定されるものではない。適切な有機酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸類ならびに無水物および酸の塩類などがあるが、これらに限定されるものではない。適切なカーボネートおよびビカーボネートには、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、炭酸L−リジンおよび炭酸アルギニンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
「界面活性剤」という用語は、本開示において従来の意味で使用される。両性、ノニオン系、カチオン系またはアニオン系のいずれであるかは問わず、あらゆる界面活性剤が適切である。適切な界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレエート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレートまたはポリオキシエチレンソルビタンの別のエステル(例えば、Tween(R)20およびTween(R)80(ICI Speciality Chemicals)などの市販のTween(R))などのポリソルベート類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)、レシチン、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、コレステロール、ポリオキシエチレンリシンオイル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド類、ポロキサマー類(例えば、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマーであるPluronics F68(R)およびF108(R));ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体またはこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
使用可能な保湿剤の例には、グリセリン、ソルビトール、ペンタトール、ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールなどがあるが、これらに限定されるものではない。
使用可能な吸収剤の例には、カオリンおよびベントナイトなどがあるが、これらに限定されるものではない。
前記剤型は、少なくとも1つの非速度制御層で場合により包囲またはコーティングされ得る。非速度制御層の機能には、活性薬剤の安定化提供、プロセス助剤としての機能および/または製剤用の化粧性向上としての機能などがあるが、これらに限定されるものではない。非速度制御層は、単一層、コーティングまたは膜または複数の単一層、コーティングもしくは膜として形成することができる。
剤型が非速度制御層を含む場合、前記非速度制御層は1つ以上のポリマー、ならびに可塑剤、顔料/乳白剤、ロウ類など(これらに限定されるものではない。)の当技術分野で公知の他の成分で形成されていてもよい。使用可能なポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールなどがあるが、これらに限定されるものではない。使用可能な可塑剤の例には、ポリエチレングリコール(類)、グリセリン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチルおよび鉱油などがあるが、これらに限定されるものではない。使用可能な顔料/乳薄剤の例には、水溶性染料(例えば、サンセットイエロー、キノリンイエロー、エリトロシンおよびタルトラジン)、顔料(例えば、アルミニウム・レーキ類、二酸化チタン類、鉄酸化物類およびタルク)および天然物(例えば、リボフラビン、カルテノイド類、クロロフィル、アントシアニン類およびカルミン)などがあるが、これらに限定されるものではない。使用可能なロウの例には、パラフィンロウがあるが、これらに限定されるものではない。
マトリックス剤型は、当業者には周知の標準的な技術を使用して製造することができ、これには直接混合、乾式造粒(ローラー圧縮)、湿式造粒(高剪断造粒)、粉砕または篩分け、乾燥(湿式造粒を使用する場合)、押出/球形化、ボーリング(balling)または圧縮、ならびに場合によりコーティングがある。例えばこのような剤型は、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩、少なくとも1つの速度制御機構および場合により少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を混合することで粉末混合物を得ることによって製造することが可能である。次に、この粉末混合物をカプセルに充填するか、圧縮して錠剤とすることができる。さらに、この粉末混合物について、さらに造粒もしくは押出を行うことができるか、当技術分野で公知の通常の技術を使用して、造粒物または押出物を錠剤に成形したり、カプセルに充填することができる。
本開示はさらに、本明細書に記載されるマトリックス剤型が、カプセルへの充填または圧縮による錠剤化の後などに、1つ以上の腸溶コーティングでコーティングすることができることを企図する。このようなコーティングに使用可能な腸溶コーティングについて、本明細書においてより詳細に説明する。例えばこのような剤型は、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩および少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を混合して粉末混合物を得ることで製造することができる。次にこの粉末混合物を腸溶コーティングすることができ、腸溶コーティング可能な錠剤に圧縮することができるか、腸溶コーティング可能なカプセルに充填することができる。さらに、この粉末混合物について、当技術分野で公知の通常の技術を使用してさらに造粒することができ、得られた造粒物を腸溶コーティング剤でコーティングすることができる。次に、得られた造粒物をカプセルに充填して、このカプセルを、当技術分野で公知の通常の技術を使用して少なくとも1つの腸溶コーティングでコーティングすることができる。
本開示の剤型を製造するのに使用可能な別の系は、貯留部系である。この系では、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を含有もしくは含む少なくとも1つの核を、少なくとも1つの医薬として許容されるコーティング、層または膜でコーティングまたは層化する。このコーティング、層または膜、およびこれの厚さは、貯留部から消化管へのアトラセンタンの拡散に対して所定の抵抗を与えるものである。従ってこの活性薬剤は、核から消化管中に徐々に放出されることで、少なくとも1つの活性薬剤の所望の徐放を提供する。
上記で簡単に言及したように、貯留部系およびこのような剤型の製造方法は当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,286,497号明細書および同第5,737,320号明細書(このいずれも参照により本明細書に組み込まれる。)には、このような剤型およびこれらの製造方法が記載されている。本開示の剤型では、核は顆粒、ビーズ、ペレット、粒子、ミクロスフィア、ミニ錠剤、錠剤または凝集体であり得る。この核は、各種の異なる方法で製造することができる。例えば核は、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩および少なくとも1つの本明細書で前述した速度制御機構および場合により少なくとも1つの本明細書で前述した医薬として許容される賦形剤の混合物を含み得る。または核は、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩および場合により少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含むことができ、少なくとも1つの速度制御機構でさらに包囲またはコーティングされ得る。または核は、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩が表面に付与される不活性基質および場合により少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含み得る。さらにこの基質は、少なくとも1つの速度制御機構、少なくとも1つの非速度制御層、少なくとも1つの腸溶コーティングまたはこれらの任意の組み合わせでさらに包囲またはコーティングされ得る。
場合により核は、本明細書において前述した1つ以上の非速度制御層も含み得る。製剤中での非速度制御層の位置はあまり重要ではない。例えば非速度制御層は、核と腸溶コーティングまたは他のポリマー性コーティングの間に存在することができる。または、非速度制御層は、腸溶コーティングまたは他のポリマー性コーティングを包囲またはコーティングし得る。
核は、当技術分野では公知の通常の技術を使用して製造することができ、これには直接混合、乾式造粒(ローラー圧縮)、湿式造粒(高剪断造粒)、粉砕または篩分け、乾燥(湿式造粒を使用する場合)、押出/球形化、ボーリング(balling)または圧縮、ならびに場合によりコーティングがあるが、これらに限定されるものではない。
貯留部系の第2の主要な成分は、剤型からのアトラセンタンの放出を制御するのに使用される少なくとも1つのコーティング、層または膜である。使用可能なコーティング、層または膜の例はポリマーコーティングである。使用可能な適切なポリマーの例には、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース(低、中程度または高分子量)、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、トリ酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)またはポリウレタンまたはこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
ポリマーコーティングは、当技術分野で公知の方法および技術を使用して核に塗布することができる。適切なコーティング装置の例には、流動床コーターおよびパンコーターなどがある。塗布技術は、i)Aqueous polymeric coatings for pharmaceutical compositions,ed.J.W.McGinity,Marcel Dekker,Inc.,New York,New York(1997);およびii)Pharmaceutical compositions:Tablets Vol.3.ed.H.A.Lieberman,L.Lachman and J.B.Schwartz,Marcel Dekker,Inc.,New York,New York pp.77−287,(1990)により詳細に記載されている。
核に塗布可能な別のコーティング、層または膜は、少なくとも1つの腸溶コーティングである。1つ以上の腸溶コーティングを核に塗布することができる(核は、1つ以上の速度制御層、非速度制御層または速度制御層および非速度制御層の組み合わせを含んでいても含んでいなくてもよい。)。例えば、腸溶コーティングは、水または適切な有機溶媒のいずれかに分散もしくは溶解させ、次に核に噴霧するか、核にドライコーティングとして塗布することができる。任意の腸溶コーティングを本開示において用いることができ、これにはメタクリル酸およびメタクリル酸エステルコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、アクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマー、酢酸トリメリト酸セルロース、シェラックおよびこれらの組み合わせの溶液または分散液などがあるが、これらに限定されるものではない。環境上の理由から、本開示では水系のコーティングも使用可能である。使用可能な水系コーティングの例には、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルコポリマー、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロースおよびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
腸溶コーティングは、単一層または複数層として形成することが可能である。コーティングの厚さは、当業者であれば容易に決定することが可能であるが、胃の酸性環境で剤型を保護するだけのものでなければならない。
腸溶コーティングは、1つ以上の医薬として許容される可塑剤を含むことができ(可撓性向上および腸溶コーティング強度(これらに限定されるものではない。)などの所望の機械特性を得るため)、これにはトリアセチン、クエン酸エステル類、フタル酸エステル類、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール類およびポリソルベート類などがあるが、これらに限定されるものではない。使用される可塑剤の種類および量は、腸溶コーティングの所期の組成によって決まり、当業者であれば容易に決定することができる。1つ以上の可塑剤に加えて、腸溶コーティングはタルクなどの固化防止剤、ならびに分散剤、着色剤、顔料、消泡剤および腸溶コーティングの厚さの増加および/または酸性胃液の核中への拡散の制御もしくは調節のための他の医薬として許容される薬剤も含み得る。
1つ以上の腸溶コーティングを使用する場合、核と腸溶コーティングとの間のコーティングも用いることが可能である(このようなコーティングは非常に多くの場合、「サブコーティング」と称される。)。サブコーティングとしては、任意のフィルム形成ポリマーを使用し得る。例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのポリマーを使用し得る。
浸透圧ポンプ系では、核が少なくとも1つのオリフィスを有する半透膜の中に入っている。この半透膜は水に対して透過性であるが、活性薬剤に対しては不透性である。この系が体液に曝露されると、水が半透膜を通過して、浸透圧賦形剤および少なくとも1つの活性薬剤を含む錠剤核に入る。剤型内で浸透圧が上昇して、圧力を等しくしようとしてアトラセンタンがオリフィスから放出される。
より複雑なポンプでは、核が複数の内部コンパートメントを含み得る。例えば、第1のコンパートメントは少なくとも1つの活性薬剤を含むことができ、第2のコンパートメントは流体と接触すると膨潤する少なくとも1つのポリマーを含み得る。摂取後、ポリマーが所定の速度で膨潤して活性薬剤含有コンパートメントに入り、この速度で剤型からアトラセンタンを強制的に出す。
パルス放出系も当業者には周知である。パルス放出系は、少なくとも1つの活性薬剤をパルスで(即ち、異なる時間点で)放出する。パルス放出系は、即時放出および長期放出の組み合わせも含み得る。アトラセンタンのパルス放出剤型には、複数の構成が適切である。
浸透圧ポンプは当技術分野で周知であり、文献に記載されている。例えば、米国特許第4,088,864号明細書、同第4,200,098号明細書および同第5,573,776号明細書(これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれる。)には、浸透圧ポンプとこれの製造方法が記載されている。
一般に、浸透圧ポンプは代表的には、浸透圧的に活性薬剤(または浸透圧的に活性な薬剤またはオスマゲント(osmagent)と組み合わせた浸透圧的に不活性薬剤)の錠剤を圧縮し、次に外部の水系液に対して浸透性であるが薬物および/またはオスマゲントの通過に対しては不透性である半透膜でこの錠剤をコーティングすることで形成される。1つ以上の送達オリフィスを、半透膜壁に開けることができる。または、壁を通るオリフィスは、壁に浸出可能孔形成材料を組み込むことでイン・サイツで形成することができる。使用においては、外部水系液が半透膜壁を通って吸収され、少なくとも1つの活性薬剤と接触して活性薬剤の溶液または懸濁液を形成する。次に、新鮮な液が半透膜を通って吸収されるに連れて、活性薬剤溶液または懸濁液がオリフィスを通って「ポンプ」出しされる。
本明細書で以前に言及したように、浸透圧ポンプは複数の異なるコンパートメントを含み得る。第1のコンパートメントは上記のアトラセンタンを含むことができ、第2のコンパートメントは、活性薬剤が占有する体積を低減するように作用することで長期間にわたって制御された速度で機器からアトラセンタンを送達する膨潤可能な親水性ポリマーの層からなる膨張性駆動部材を含み得る。または、コンパートメントは、少なくとも1つの活性薬剤の別々の用量を含み得る。
使用可能な半透膜には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸寒天、三酢酸アミロース、β−グルカン・アセテート、アセトアルデヒド・ジメチルアセテート、酢酸セルロース・エチルカーバメート、ポリアミド類、ポリウレタン類、スルホン化ポリスチレン類、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース・メチルカーバメート、酢酸コハク酸セルロース、酢酸ジメチルアミノ酢酸セルロース、酢酸セルロース・エチルカーバメート、酢酸クロル酢酸セルロース、ジパルミチン酸セルロース、ジオクタン酸セルロース、ジカプロン酸セルロース、セルロース・ジペンタンレート、酢酸吉草酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、メチルセルロース、酢酸p−トルエンスルホン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、米国特許第3,173,876号明細書、同第3,276,586号明細書、同第3,541,005号明細書、同第3,541,006号明細書および同第3,546,142号明細書に開示のポリアニオンとポリカチオンの共沈によって形成される架橋選択的半透性ポリマー、米国特許第3,133,132号明細書でLoeb and Sourirajanが開示している半透性ポリマー、軽架橋ポリスチレン誘導体、架橋ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)、置換度1以下およびアセチル含有率50%以下の酢酸セルロース、置換度1から2およびアセチル含有率21から35%の二酢酸セルロース、米国特許第4,160,020号明細書に開示されている置換度2から3およびアセチル含有率35から44.8%の三酢酸セルロースなどの当技術分野で浸透膜および逆浸透膜として公知の半透ポリマーなどがあるが、これらに限定されるものではない。
少なくとも1つの活性薬剤自体が十分に浸透圧的に活性ではない場合に使用可能なポンプに存在する浸透圧剤は、ポンプに進入する流体に可溶な浸透圧的に有効な化合物であり、外部流体に対して半透壁横断方向に浸透圧勾配を示すものである。本目的に有用な浸透圧的に効果的なオスマゲントには、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、d−マンニトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、セルロースポリマーなどの親水性ポリマー、これらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。オスマゲントは過剰量で存在させることができ、これは粒子、粉末、顆粒などの任意の物理的形態のものであり得る。本発明に適切なオスマゲント雰囲気下での浸透圧は、ゼロより大きく、通常は約500気圧までまたはこれ以上である。
膨張性駆動部材は、水および水系体液と相互作用し、膨潤もしくは膨張して平衡状態となる膨潤性の親水性ポリマーであり得る。このポリマーは水中で膨潤する能力を示し、ポリマー構造中に吸収された水のかなりの部分を保持する。このポリマーは非常に高度に膨潤または膨張して、通常は2から50倍の体積増加を示す。このポリマーは架橋することができるか、架橋していなくてもよい。この膨潤性で親水性のポリマーは、例えば共有イオン性結合または水素結合によって架橋が形成されているように、軽く架橋されていてもよい。このポリマーは、植物、動物または合成起源のものであり得る。本開示で使用可能な親水性ポリマーには、分子量が30,000から5,000,000であるポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル);κ−カラギーナン、分子量が10,000から360,000であるポリビニルピロリドン;アニオン系およびカチオン系ヒドロゲル類;多価電解質錯体;グリオキサール、ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドと架橋した低アセテート残基を有し、重合度が200から30,000であるポリ(ビニルアルコール);メチルセルロースの混合物;架橋寒天およびカルボキシメチルセルロース;コポリマー中マレイン酸無水物1モル当たり0.001から約0.5モルの飽和架橋剤と架橋したスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンまたはイソブチレンとマレイン酸無水物の微粉砕コポリマーの分散液を形成することで製造される水不溶性で水膨潤性のコポリマー;N−ビニルラクタム類の水膨潤性ポリマーなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される「オリフィス」という用語は、浸透圧系からのアトラセンタンの放出に適切な手段および方法に関する。この表現は、機械的手順によって半透膜を通って開けられた1つ以上の開口またはオリフィスを含む。またはオリフィスは、半透膜にゼラチン栓などの浸食性要素を組み込むことで形成することができる。半透膜が活性薬剤の通過に対して十分透過性である場合、膜にある孔は、血漿閾値を満足するだけの量でアトラセンタンを放出する上で十分なものとなり得る。このような場合、「通路」という用語は、穴または他のオリフィスが貫通して開けられていなくとも、膜壁内の孔を指す。浸透圧通路ならびに通路の最大および最小寸法についての詳細な説明が、米国特許第3,845,770号明細書および同第3,916,899号明細書(これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。)に開示されている。
浸透圧ポンプは、当業者には公知の通常の技術を使用して作ることができる。例えば、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩、少なくとも1つの速度制御機構および場合により少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を、通路に隣接するコンパートメントの1つの領域に収容することができ、アトラセンタンが占有するコンパートメントの領域の内部寸法に相当する寸法を有する固体にプレスするか、またはアトラセンタン、速度制御機構および賦形剤および溶媒を、ボールミル粉砕、カレンダー処理、撹拌またはロールミル粉砕など(これらに限定されるものではない。)の従来の方法によって混合して固体または半固体とし、次に所定の形状にプレスする。次に、親水性ポリマーの層を同様にして薬物の層と接触するように置き、この2層を半透壁で囲む。製剤および親水性ポリマーの層化は、従来の2層プレス法によって行うことができる。この壁は、成形、噴霧またはプレス成形物の壁形成材料への浸漬によって設けることができる。壁を設けるのに使用可能な別の技術は、空気懸濁法である。この手順は、壁が薬剤−親水性ポリマー複合材料に設けられるまで、圧縮薬剤および乾燥親水性ポリマーを空気および壁形成組成物の流れの中で懸濁および転動させる操作からなるものである。この空気懸濁手順は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.,48:451−459(1979)に記載されている。他の製造手順が、Modern Plastics Encyclopedia,Vol.46,pp.62−70(1969);およびPharmaceutical Sciences,by Remington,Fourteenth Edition,pp.1626−1678(1970),published by Mack Publishing Company,Easton,PAに記載されている。
III.治療方法
前述したように、本開示は、一実施形態では、ヒト被験体における心血管リスクを減少させる方法であって、被験体の血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールのベースラインレベルと比べて、被験体の血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方の約5%以上の減少をもたらすのに十分な量(一部の場合では、これらは、ベースラインと比べて、被験体の血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方の約10%、約15%、約20%、約25%、またはこれ以上の減少をもたらすのに十分であり得る。)で、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与することを含む方法に関する。
これに関して、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方の減少は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記割合のいずれか2つで挟まれる範囲内に収まる任意の割合であり得ることに留意すべきである(例えば、ベースラインと比べて、約5%から約25%、または約5%から約10%、または約10%から約20%、または約10%から約25%の減少など)。しかしながら、1つ以上の特定の実施形態では、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方の減少は、ベースラインと比べて、約5%から約25%、または約10%から約25%、または約15%から約25%であり得る。
これに関して、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの両方の減少が起こる場合、各々の減少は同じものでもよいし、または異なるものでもよいことにさらに留意すべきである;従って、本方法は、本開示の目的の範囲から逸脱することなく、本明細書における可能な任意の組み合わせまたは順列で、血清総コレステロールおよび/または血清LDLコレステロールの減少をもたらし得る(例えば、血清総コレステロールの約15%の減少および血清LDLコレステロールの約10%の減少;血清総コレステロールの約20%の減少および血清LDLコレステロールの約10%の減少;血清総コレステロールの約10%の減少および血清LDLコレステロールの約15%の減少;血清総コレステロールの約15%の減少および血清LDLコレステロールの約20%の減少;血清総コレステロールの約10%の減少および血清LDLコレステロールの約10%の減少;血清総コレステロールの約15%の減少および血清LDLコレステロールの約15%の減少など)。
本開示の方法は、被験体の血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールのベースラインレベルと比べて、被験体の血清総コレステロール、血清LDLコレステロールまたはこれらの両方の減少をもたらすのに十分な用量のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与することによって、例えば、冠動脈心疾患、高コレステロール血症、高脂血症、腎症、慢性腎疾患、糖尿病(例えば、2型糖尿病)またはアルブミン尿にかかりやすいか、またはこれらを患っている被験体を治療するために使用され得ることにさらに留意すべきである。より一般には、本開示の方法は、高レベルの血清総コレステロールおよび/または血清LDLコレステロールに関係する任意の病気または合併症にかかりやすいか、またはこれらを患っている被験体を治療するために使用され得る。このように、本開示の方法は、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方について、ベースラインと比べて約10mg/dL、約15mg/dL、約20mg/dL、約25mg/dL、またはこれ以上の減少をもたらすのに十分な用量でヒト被験体に行われ得る。
これに関して、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方の減少は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記量のいずれか2つで挟まれる範囲内に収まる任意の量であり得ることに留意すべきである(例えば、約10mg/dLから約25mg/dL、または約10mg/dLから約20mg/dL、または約15mg/dLから約20mg/dL、または約20mg/dLから約25mg/dLの減少など)。しかしながら、1つ以上の特定の実施形態では、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの一方または両方の減少は、ベースラインと比べて、約10mg/dLから約25mg/dL、または約15mg/dLから約25mg/dL、または約20mg/dLから約25mg/dLであり得る。
これに関して、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの両方の減少が起こる場合、各々の減少は同じものでもよいし、または異なるものでもよいことにさらに留意すべきである;従って、本方法は、本開示の目的の範囲から逸脱することなく、本明細書における可能な任意の組み合わせまたは順列で、血清総コレステロールおよび/または血清LDLコレステロールの減少をもたらし得る(例えば、血清総コレステロールの約15mg/dLの減少および血清LDLコレステロールの約10mg/dLの減少;血清総コレステロールの約20mg/dLの減少および血清LDLコレステロールの約10mg/dLの減少;血清総コレステロールの約10mg/dLの減少および血清LDLコレステロールの約15mg/dLの減少;血清総コレステロールの約15mg/dLの減少および血清LDLコレステロールの約20mg/dLの減少;血清総コレステロールの約15mg/dLの減少および血清LDLコレステロールの約15mg/dLの減少;血清総コレステロールの約25mg/dLの減少および血清LDLコレステロールの約25mg/dLの減少など)。
投与計画は、本明細書の他の箇所に記載されるようなものであり得る(例えば、本明細書の他の箇所で詳述されるように、約0.25mgから約250mgまたはこれらの間に収まる任意の量のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩)。
または、別の態様では、本開示は、糖尿病性腎症または非糖尿病腎疾患を患っている被験体における腎臓の臨床的エンドポイントを治療する方法に、(治療有効量のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を含む)前記投与計画をこれを必要とする被験体に行うことによって、関し得る。アトラセンタンの治療有効量は、約0.75mg/日(または1日に)または当量の医薬として許容される塩形態である。
さらに別の態様では、本開示は、また前記のように、糖尿病性腎症または非糖尿病腎疾患を有する被験体における腎臓の臨床的エンドポイントを治療する方法に、治療有効量のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を含む剤型を含む投与計画をこれの治療を必要とする被験体に行うことによって、関する。具体的には、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩に加えて、投与計画で用いられる剤型はまた、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含み得る。具体的には、前記剤型中の治療有効量のアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩は、アトラセンタン約0.75mg/日(または1日に)の用量を送達する。
糖尿病性腎症は、様々な尺度によって特定され得る(例えば、推定糸球体ろ過率(eGFR)25から75ml/分/1.73m2およびUACR>300mg/gと定義される2型糖尿病および腎症を有する被験体)。
アトラセンタンまたはアトラセンタンを含む剤型は、任意の適切な方法、様式または経路によって被験体に投与され得る。例えば、アトラセンタンHClは、剤型によって、経口投与、口腔投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経皮投与、吸入投与などされ得る。一態様では、剤型は、単一剤型として被験体(例えば、糖尿病性神経障害を患っている被験体)に1日1回経口投与される。剤型の投与時期は、重要ではないと考えられる。また、本開示の方法は、約0.5mg、約0.75mg、約1.0mgまたは約1.25のアトラセンタン(またはこの医薬として許容される塩)を含む剤型の投与に限定されない。
本開示の方法はまた、1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせた本開示の剤型による被験体の治療を企図する。1つ以上のさらなる治療剤は、本開示の剤型と同時投与され得るか、または本開示の剤型と逐次投与され得る。さらなる治療剤は糖尿病のためのものであり得、治療剤は糖尿病性合併症のためのものであり得、治療剤は高脂血症のためのものであり得、治療剤は高コレステロール血症のためのものであり得、降圧剤、抗肥満剤、利尿薬、化学療法剤、免疫療法剤、抗血栓剤、骨粗鬆症の治療剤、抗認知症剤、頻尿症または尿失禁の治療剤、排尿障害の治療剤などであり得る。このようなさらなる治療剤の例を上記した。
IV.同時投与
本明細書で前述のように、本開示は、経口投与に適切な任意の剤型を包含し、これには、カプセル、錠剤、丸剤、粉末があるが、これらに限定されるものではない。経口投与用の液体剤型も本明細書で企図され、これには、医薬として許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液またはシロップがあるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本開示の剤型は単独で、または1つ以上のさらなる治療剤、予防剤もしくは診断剤と組み合わせて投与され得る。1つ以上のさらなる治療剤は、本開示の剤型と同時に使用され得るか、または本開示の剤型と逐次に使用され得る。例えば、さらなる治療剤は糖尿病のためのものであり得、治療剤は糖尿病性合併症のためのものであり得、治療剤は高コレステロール血症のためのものであり得、治療剤は高脂血症のためのものであり得、降圧剤、抗肥満剤、利尿薬、化学療法剤、免疫療法剤、抗血栓剤、骨粗鬆症の治療剤、抗認知症剤、頻尿症または尿失禁の治療剤、排尿障害の治療剤などであり得る。
糖尿病の治療剤の例には、インスリン調製物(例えば、ウシまたはブタの膵臓から抽出された動物インスリン調製物;大腸菌または酵母を使用して遺伝子的に合成されたヒトインスリン調製物;亜鉛インスリン;プロタミン亜鉛インスリン;インスリンの断片または誘導体(例えば、INS−1)、経口インスリン調製物)、インスリン増感剤(例えば、ピオグリタゾンまたはこの塩(好ましくは、塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはこの塩(好ましくは、マレエート)、テサグリタザル、ラガグリタザル、ムラグリタザル、エダグリタゾン、メタグリダセン、ナベグリタザル、AMG−131、THR−0921)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン、ブホルミンまたはこの塩(例えば、塩酸塩、フマレート、スクシネート))、インスリン分泌促進薬(スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピジド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはこのカルシウム塩水和物]、ジペプチジル−ペプチダーゼIV阻害剤(例えば、ビルダグリプチン、シタグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、T−6666、TS−021)、β3アゴニスト(例えば、AJ−9677)、GPR40アゴニスト(例えば、TAK−875)、GLP−1受容体アゴニスト[例えば、GLP−1、GLP−1MR剤、NN−2211、AC−2993(エキセンジン−4)、BIM−51077、Aib(8,35)hGLP−1(7,37)NH2、CJC−1131]、アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例えば、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例えば、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト)、SGLT(ナトリウム−グルコース共輸送体)阻害剤(例えば、T−1095)、11β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素阻害剤(例えば、BVT−3498)、アディポネクチンまたはこのアゴニスト、IKK阻害剤(例えば、AS−2868)、レプチン抵抗性改善薬物、ソマトスタチン受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤(例えば、Ro−28−1675)、GIP(グルコース依存性インスリン分泌促進ペプチド)などがある。
糖尿病性合併症の治療剤の例には、アルドース還元酵素阻害剤(例えば、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT−112、ラニレスタット(AS−3201))、神経栄養因子およびこの増加薬物(例えば、NGF、NT−3、BDNF、WO01/14372に記載されているニューロトロフィン産生−分泌促進剤(例えば、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール))、刺激因子(例えば、Y−128)、PKC阻害剤(例えば、ルボキシスタウリンメシレート)、AGE阻害剤(例えば、ALT−946、ピマゲジン、N−フェナシルチアゾリウムブロマイド(ALT−766)、ALT−711、EXO−226、ピリドリン、ピリドキサミン)、活性酸素スカベンジャー(例えば、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例えば、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体アゴニスト(BIM23190)、アポトーシスシグナル調節キナーゼ−1(ASK−1)阻害剤などがある。
高コレステロール血症および/または高脂血症の治療剤の例には、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例えば、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンおよびこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例えば、WO97/10224に記載されている化合物、例えばN−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセチル]ピペリジン−4−酢酸)、フィブラート化合物(例えば、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例えば、アバシミブ、エフルシミブ)、陰イオン交換樹脂(例えば、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸薬物(例えば、ニコモール、ニセリトロール)、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例えば、ソイステロール、γ−オリザノール)、コレステロール吸収阻害剤または遮断剤(例えば、エゼチミブ)などがある。
降圧剤の例には、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸)、カルシウムアンタゴニスト(例えば、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャネル開口薬(例えば、レブクロマカリム、L−27152、AL0671、NIP−121)、クロニジン、レニン阻害剤、例えばアリスキレンなどがある。
抗肥満剤の例には、中枢神経系に作用する抗肥満剤(例えば、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体アンタゴニスト(例えば、SB−568849;SNAP−7941;WO01/82925およびWO01/87834に記載されている化合物);ニューロペプチドYアンタゴニスト(例えば、CP−422935);カンナビノイド受容体アンタゴニスト(例えば、SR−141716、SR−147778);グレリンアンタゴニスト)、膵リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット、ATL−962)、β3アゴニスト(例えば、AJ−9677)、ペプチド食欲抑制剤(例えば、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例えば、リンチトリプト、FPL−15849)、摂食抑制物質(例えば、P−57)などがある。
利尿薬の例には、キサンチン誘導体(例えば、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド調製物(例えば、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロロメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン調製物(例えば、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾラミド)、クロロベンゼンスルホンアミド調製物(例えば、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミドなどがある。
化学療法剤の例には、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、5−フルオロウラシルおよびこの誘導体)、抗腫瘍性抗生物質(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン)、植物由来の抗腫瘍剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドなどがある。これらのうち、5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンまたはネオフルツロンなどが好ましい。
免疫療法剤の例には、微生物成分または細菌成分(例えば、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール)、免疫増強活性を有するポリサッカライド(例えば、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン)、遺伝子工学技術によって得られるサイトカイン(例えば、インターフェロン、インターロイキン(IL))、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン)などがあり、IL−1、IL−2、IL−12などのインターロイキンが好ましい。
抗血栓剤の例には、ヘパリン(例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム)、ワルファリン(例えば、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例えば、アルガトロバン(aragatroban))、血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ)、血小板凝集阻害剤(例えば、塩酸チクロピジン、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレレート)などがある。
骨粗鬆症の治療剤の例には、アルファカルシドール、カルシトリオール、エルカトニン、カルシトニンサーモン、エストリオール、イプリフラボン、リセドロン酸二ナトリウム、パミドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸ナトリウム水和物、インカドロン酸二ナトリウムなどがある。
抗認知症剤の例には、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどがある。
頻尿症または尿失禁の治療剤の例には、塩酸フラボキセート、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリンなどがある。
排尿障害の治療剤の例には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ジスチグミン)などがある。
さらに、動物モデルおよび臨床で確立された悪液質改善作用を有する薬物、例えばシクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、インドメタシン)、プロゲステロン誘導体(例えば、酢酸メゲストロール)、グルコステロイド(例えば、デキサメタゾン)、メトクロプラミド剤、テトラヒドロカンナビノール剤、脂肪代謝改善剤(例えば、エイコサペンタエン酸)、成長ホルモン、IGF−1、または悪液質誘導因子(例えば、TNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンM)に対する抗体などを本開示の剤型と組み合わせて使用し得る。
本明細書に記載される本開示の方法の他の適切な改変および適応が可能であり、本開示の範囲または本明細書に開示される実施形態から逸脱することなく、適切な均等物を使用して行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。本開示を詳細に説明したが、本開示は、以下の実施例を参照することによってより明確に理解されよう。以下の実施例は例示目的のものに過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。本明細書で言及されるすべての参考文献、米国特許および刊行物の開示は、すべての関連する一貫した目的のために、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[実施例1]
本実施例では、2つの用量のアトラセンタン(0.75mgおよび1.25mg(両方とも毎日))を評価した第2b相臨床試験を報告する。これは、2型糖尿病および腎症を有する被験者であって、医学的に禁忌でない限り最大耐用量のRAS阻害剤および利尿薬を摂取している被験者において、体液貯留に対する効果を最小にしてUACRを低下させるために、および血圧を低下させるために有効なアトラセンタン用量を選択するための、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照、12週間の多施設研究であった。153人の被験者を3つの治療群に無作為に分けた(1:2:2):1)プラセボ、2)アトラセンタン0.75mg/日、および3)アトラセンタン1.25mg/日。
被験者の個体群統計情報を表1に示す。個体群統計またはベースライン特性について、治療群間で統計的有意差はなかった。被験者が最大耐用量のRAS阻害剤を服用しているという要件は、試験開始時の血圧範囲が136〜138/71〜74mmHgであることに反映されている。ベースライン時において、被験者のほぼ80%が利尿薬を服用していた(プラセボ群では86.7%、アトラセンタン0.75mg群では83.1%およびアトラセンタン1.25mg群では73%)。
Figure 2016521279
20人の被験者が、本試験を早期に中止した。アトラセンタン群(アトラセンタン0.75mgでは13.6%およびアトラセンタン1.25mgでは15.6%)では、プラセボ群(6.7%)よりも高い割合の被験者が、本試験を中止した。アトラセンタン群では全部で12人(0.75mg群では5人および1.25mg群では7人)の被験者が有害事象により中止したのに対して、プラセボ群では、いかなる被験者も中止しなかった。
主要有効性エンドポイントは、ベースラインから12週目までの対数変換UACRの変化であり、治療、国、来院および治療−来院相互作用の固定効果と、ベースライン測定と、共変数としてベースライン−来院相互作用とを用いる混合効果最尤反復測定(MMRM)を使用して、一次分析を行った。この結果、2週目以降において、両アトラセンタン用量は、プラセボと比べて、UACRの臨床的に重要で統計的に有意な減少をもたらし、12週目まで依然として安定であったことが示された(図1)。2週間以内に、両アトラセンタン用量はUACRを30%以上減少させ、この減少は、治療の12週間にわたって持続した。
実施例1の二次有効性エンドポイントには、以下の分析が含まれていた:ベースラインから最終測定までの対数変換UACRの変化の治療群差;ベースラインからベースライン後の各測定までのeGFRの変化の治療群差;ベースラインから最終測定までにUACRの30%、40%または50%の減少を達成する被験者の割合;ベースラインから最終測定までにUACRの少なくとも30%の減少を達成する被験者であって、治療中に発生するいかなる種類の中度または重度の有害事象浮腫(浮腫、肺浮腫などを含む。)も有していない被験者の割合;ならびに、ベースラインのマクロアルブミン尿(UACR≧300mg/g)から、最終値では少なくとも20%減少してミクロアルブミン尿(UACR<300mg/g)に変化した被験者の割合。
ベースラインから最終治療測定までの対数変換UACRの変化に関する二次有効性分析の結果を表2に示す。幾何学的平均減少は、プラセボの0.75%と比較して、アトラセンタン0.75mgでは37.7%であり、アトラセンタン1.25mgでは40.7%であった(両用量について、P<0.001)。
Figure 2016521279
ベースラインからの対数変換UACRの少なくとも30%の減少を経験した被験者の割合は、両アトラセンタン用量では、プラセボと統計的有意差があった。同様に、対数変換UACRの少なくとも40%の減少および50%の減少を経験した両アトラセンタン群の被験者の割合は、プラセボと比較して統計的に有意に高かった(表3)。
Figure 2016521279
ベースラインから最終測定までにUACRの少なくとも30%の減少を経験した被験者であって、治療中に発生する中度または重度の有害事象浮腫を有していなかった被験者の割合は、両アトラセンタン群では、プラセボと比較して統計的に有意に高かった(表4)。
Figure 2016521279
すべての治療群において、ベースラインからベースライン後の各時点までに、平均eGFRが減少し、アトラセンタン治療群とプラセボとの間で統計的有意差はなかった(図2)。
1週目では、すべての治療群において、平均収縮期血圧がベースラインから減少し、6週目および12週目では、ベースライン値に向かっていくらか回復した。アトラセンタン0.75mgでは、ベースラインとの差は、4週目において統計的に有意であり、アトラセンタン1.25mgでは、差は、1週目、8週目および10週目において統計的に有意であったが、プラセボとの差は、いかなる時点においても統計的に有意ではなかった(図3)。
1週目では、すべての治療群において、平均拡張期血圧がベースラインから減少し、次いで時間と共に変動し、12週目では、ベースライン値に向かっていくらか回復した。アトラセンタン0.75mgでは、ベースラインとの差は、1週目、4週目および6週目において統計的に有意であり、アトラセンタン1.25mgでは、差は、1週目から10週目まで統計的に有意であった。アトラセンタン1.25mg群では、プラセボとの差は、2週目、6週目および10週目において統計的に有意であった(図4)。
UACRのANCOVA分析は、両アトラセンタン用量では、プラセボと比較して有意であったので、パス分析を実施した。一連の線形回帰モデル(パス分析)を利用して、収縮期血圧の変化と対数変換UACRの変化との間の関係を評価した(図5)。この分析の結果により、アトラセンタン0.75mgは、UACRの変化に対して97.52%の直接効果を及ぼしたことが示された。これは、血圧の減少が、UACRのポジティブな変化に対する主要原因ではなかったことを示している。
ベースライン時ならびに6週目および10週目において、外来血圧をモニタリングおよび評価した。すべての群において、平均外来収縮期血圧がベースラインから減少し、アトラセンタン治療群では平均減少がより大きかった。6週目では、1.25mg群とプラセボとの間においてのみ、統計的有意差があった(図6)。
収縮期血圧と同様に、すべての群において、平均外来拡張期血圧もベースラインから減少し、アトラセンタン治療群では平均減少がより大きかった。アトラセンタンとプラセボとの間の差は、両時点において統計的に有意であった(図7)。
ベースラインからの経時的な平均体重変化の反復測定分析において、アトラセンタン1.25mg群では、12週目を除くすべての時点において統計的に有意な平均増加があり、アトラセンタン1.25mgの平均増加は、1週目から8週目まで、プラセボの平均変化と統計的有意差があった。アトラセンタン0.75mg群では、ベースラインからの平均変化は、1週目および2週目において統計的に有意であったが、2週目においてのみ、プラセボと統計的有意差があった(図8)。
全体的には、プラセボと比較して、両アトラセンタン群は、ベースラインから最終治療来院まで、収縮期血圧(0.75mgアトラセンタンでは−2.44mmHgおよび1.25mgアトラセンタンでは−2.98mmHg対プラセボでは−0.86mmHg)および拡張期血圧(0.75アトラセンタンでは−1.49mmHgおよび1.25mgアトラセンタンでは−2.74mmHg対プラセボでは−0.62mmHg)のより大きな平均減少を示したが、治療差は統計的に有意ではなかった。1.25mgアトラセンタン群では、0.75mg群(−1.20kg)およびプラセボ(−0.97kg)の両方の平均減少と比較して、体重が平均増加(2.02kg)していたが、治療差は統計的に有意ではなかった。
すべての安全性分析は、治療中に発生した有害事象についてのみ実施した。治療中に発生した有害事象は、治験薬物の初回投与日以降から治験薬物の最終投与30日後までに初めて発生または悪化したものと定義した。有害事象を経験したアトラセンタン1.25mg群の被験者の割合は、プラセボと比較して高かったが、差は統計的に有意ではなかった(表5)。
Figure 2016521279
アトラセンタン治療で最も多く報告された有害事象は、末梢浮腫、便秘、貧血および疲労であった。プラセボ群の14人(46.7%)では、末梢浮腫の発生率が、いずれのアトラセンタン群(0.75mg=19人(32.2%);1.25mg=27人(42.2%))よりも高かったが、差は統計的に有意ではなかった。プラセボ群では、貧血の発生が0人であったのに対して、0.75mg群では4人(6.8%)であり、1.25mg群では3人(4.7%)であった。治療群間で統計的有意差があった唯一の有害事象は感染症であり、プラセボ群の被験者では10%、アトラセンタン0.75mg群の被験者では3.4%、およびアトラセンタン1.25mg群の被験者では0%と報告された。
アトラセンタン群(アトラセンタン0.75mgでは5人の被験者(8.5%)およびアトラセンタン1.25mgでは7人の被験者(10.9%))では、プラセボ(0人の被験者)と比較して高い割合の被験者が、有害事象により治験薬物を中止した。被験者の中止率が最も高い有害事象は、末梢浮腫(アトラセンタン0.75mgでは3.4%およびアトラセンタン1.25mgでは4.7%)および疲労(アトラセンタン0.75mgでは1.7%およびアトラセンタン1.25mgでは3.1%)であった。
本試験で報告された最も多い有害事象は、末梢浮腫であった。アトラセンタンについては、このことは予想外ではなかったが、プラセボ群(46.7%)では、末梢浮腫を経験した被験者の割合は、アトラセンタン群(0.75mgでは32.2%および1.25mgでは42.2%)と比較して高かった。ベースライン時において、被験者の68%は、浮腫が報告されなかった。プラセボ群(43.3%)では、ベースライン時において軽度の浮腫を有していた被験者の割合は、2つのアトラセンタン群(28.8%および25.0%)と比較して高かった。浮腫の期間および重症度は、群間で統計的有意差がなかった。
利尿薬を併用した日数の平均割合および利尿薬の平均1日用量は、3つの治療群間で統計的有意差がなかった。
12週目において、アトラセンタン1.25mg群では、体重が平均0.6kg増加していたのに対して、プラセボ群では、平均−0.7kg減少していたが、差(+1.3kg)は統計的に有意ではなかった。12週目において、アトラセンタン0.75mg群では、0.8kg減少していた。
2週目において、ヘモグロビンの統計的に有意な平均減少が観察され、両アトラセンタン治療群では、プラセボと比べて試験全体にわたって持続した。最終的に、ベースラインから最終治療観察まで、グルコース濃度の有意差は見出されなかった(表6)。アトラセンタン治療は、総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)およびトリグリセリドの平均減少をもたらしたのに対して、プラセボでは、これらの3変数すべてが平均増加していた。両アトラセンタン群ではコレステロールおよびLDL−Cについて、ならびに1.25mg群ではトリグリセリドについて、プラセボとの差は統計的に有意であった。3つの治療群すべてにおいて、平均高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)はわずかに減少したが、変化は臨床的に重要ではなかった(表6)。
Figure 2016521279
Figure 2016521279
結論として、本実施例は、腎症を有する2型糖尿病被験者であって、最大耐用量のRAS阻害剤を摂取している被験者において、1日1回のアトラセンタン0.75mgおよび1.25mgが、プラセボと比較して、アルブミン尿の臨床的に重要で統計的に有意な減少をもたらしたことを示している。UACRのこのポジティブな変化は、アトラセンタンの公知の血圧降下作用と無関係であった。最も多い有害事象(末梢浮腫)は、重症度が軽度から中度であった;発生率の差は、治療群間で観察されず、利尿薬の使用の差は、群間で見られなかった。
[実施例2]
本実施例では、2型糖尿病および腎症を有する被験者であって、医学的に禁忌でない限り最大耐用量のRAS阻害剤および利尿薬を摂取している被験者において、体液貯留に対する効果を最小にしてUACRを低下させ、血圧を低下させるために有効なアトラセンタン用量を選択するための、日本で行った第2b相、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照、12週間の多施設研究を説明する。58人の被験者を3つの治療群に無作為に分けた(1:1:1):1)プラセボ、2)アトラセンタン0.75mg/日、および2)アトラセンタン1.25mg/日。
被験者全員がアジア人であった。個体群統計またはベースライン特性を表7に示す。治療群間の男性および女性の分布(P=0.035)を除いて、個体群統計またはベースライン特性について、治療群間で統計的有意差はなかった。被験者が最大耐用量のRAS阻害剤を服用しているという要件は、試験開始時の血圧範囲が132〜137/72〜75mmHgであることに反映されている。ベースライン時において、被験者全員(100%)が利尿薬を服用していた。
Figure 2016521279
7人の被験者が、本試験を早期に中止した。アトラセンタン群(アトラセンタン0.75mgでは10.5%およびアトラセンタン1.25mgでは26.3%)では、プラセボ群(0%)よりも高い割合の被験者が、本試験を中止した。これらの被験者のうち6人が、有害事象により中止した。
本試験の主要有効性エンドポイントは、ベースラインから12週目までの対数変換UACRの変化であり、治療、来院および治療−来院相互作用の固定効果と、ベースライン測定と、共変数としてベースライン−来院相互作用とを用いるMMRMを使用して、一次分析を行った。この結果、すべての時点において、両アトラセンタン用量は、プラセボと比べて、UACRの臨床的に重要で統計的に有意な減少をもたらしたことが示された(図9)。2週間以内に、両アトラセンタン用量はUACRを30%以上減少させ、この減少は、治療の12週間にわたって持続した。
本試験の二次有効性エンドポイントには、以下の分析が含まれていた:ベースラインから最終測定までの対数変換UACRの変化の治療群差;ベースラインからベースライン後の各測定までのeGFRの変化の治療群差;ベースラインから最終測定までにUACRの30%、40%または50%の減少を達成する被験者の割合;ベースラインから最終測定までにUACRの少なくとも30%の減少を達成する被験者であって、治療中に発生するいかなる種類の中度または重度の有害事象浮腫(浮腫、肺浮腫などを含む。)も有していない被験者の割合;ならびに、ベースラインのマクロアルブミン尿(UACR≧300mg/g)から、最終値では少なくとも20%減少してミクロアルブミン尿(UACR<300mg/g)に変化した被験者の割合。
ベースラインから最終治療測定までの対数変換UACRの変化に関する二次有効性分析の結果を表8に示す。幾何学的平均減少は、プラセボの3.32%の平均増加と比較して、アトラセンタン0.75mgでは31.44%であり、アトラセンタン1.25mgでは53.76%であった(両用量について、P<0.01)。
Figure 2016521279
ベースラインからの対数変換UACRの少なくとも30%の減少を経験した被験者の割合は、両アトラセンタン用量では、プラセボと統計的有意差があった。同様に、対数変換UACRの少なくとも40%の減少および50%の減少を経験した両アトラセンタン群の被験者の割合は、プラセボと比較して統計的に有意に高かった(表9)。
Figure 2016521279
ベースラインから最終測定までにUACRの少なくとも30%の減少を経験した被験者であって、治療中に発生する中度または重度の有害事象浮腫を有していなかった被験者の割合は、両アトラセンタン群では、プラセボと比較して統計的に有意に高かった(表10)。
Figure 2016521279
アトラセンタン1.25mg群ではベースラインからベースライン後の各時点まで、および0.75mg群では10週目まで、平均eGFRが減少した。0.75mg群では10週目において、ならびに1.25mg群では6週目、8週目および10週目において、アトラセンタンとプラセボとの間の差は統計的に有意であった(図10)。
2週目では、すべての治療群において、平均収縮期血圧がベースラインから減少し、時間と共に変動したが、治療群間で統計的有意差はなかった(図11)。
ベースライン時および10週目において、外来血圧をモニタリングおよび評価した。アトラセンタン治療の結果、平均外来収縮期血圧は、ベースラインから10週目までにプラセボと比較して大きく減少したが(プラセボの−1.2mmHgと比較して、アトラセンタン0.75mgでは−5.1mmHgおよびアトラセンタン1.25mgでは−7.2mmHg(群内変化について、P=0.033))、治療差は統計的に有意ではなかった。プラセボ群(−2.30mmHg)およびアトラセンタン1.25mg群(−2.93mmHg)では、平均(非外来)収縮期血圧は、ベースラインから最終治療来院までに減少し、0.75mg群(1.93mmHg)では増加したが、治療群間で統計的有意差はなかった。
2週目では、すべての治療群において、平均拡張期血圧がベースラインから減少し、時間と共にいくらか変動したが、3つの群すべてにおいて、ベースラインと比べて依然として減少していた。アトラセンタンとプラセボとの間の差は、統計的に有意ではなかった(図12)。
両アトラセンタン群において、平均外来拡張期血圧は、ベースラインから10週目までに有意に減少し(両方について、P<0.001)、プラセボとの差も同様に統計的に有意であった(プラセボの−1.5mmHgと比較して、アトラセンタン0.75mgでは−6.0mmHgおよびアトラセンタン1.25mgでは−6.8mmHg。両方について、P<0.05)。3つの治療群すべてにおいて、平均(非外来)拡張期血圧は、ベースラインから最終治療来院までに減少し、アトラセンタン(0.75mgでは−5.74mmHgおよび1.25mgでは−4.33mmHg)では、平均減少が、プラセボ(−2.19mmHg)と比較して大きかったが、治療群間で統計的有意差はなかった。
すべての安全性分析は、治療中に発生した有害事象についてのみ実施した。治療中に発生した有害事象は、治験薬物の初回投与日以降から治験薬物の最終投与30日後までに初めて発生または悪化したものと定義した。有害事象を経験したアトラセンタン1.25mg群の被験者の割合は、プラセボと比較して高かったが、差は統計的に有意ではなかった(表11)。
Figure 2016521279
アトラセンタン治療で最も多く報告された有害事象は、末梢浮腫、鼻咽頭炎および貧血であった。アトラセンタン1.25mg群(31.6%)では、末梢浮腫の発生率が、0.75mg群の21.1%およびプラセボ群の20.0%と比較して最も高かったが、プラセボとの差は統計的に有意ではなかった。いかなる有害事象についても、発生率の差は、アトラセンタンとプラセボとの間で統計的に有意ではなかった。
アトラセンタン群(アトラセンタン0.75mgでは1人の被験者[5.3%]およびアトラセンタン1.25mgでは5人の被験者[26.3%])では、プラセボ(0人の被験者)と比較して高い割合の被験者が、有害事象により治験薬物を中止した。被験者の中止率が最も高い有害事象は、末梢浮腫(アトラセンタン0.75mgでは3.4%およびアトラセンタン1.25mgでは4.7%)および疲労(アトラセンタン0.75mgでは1.7%およびアトラセンタン1.25mgでは3.1%)であった。
中止につながるすべての有害事象は、甲状腺癌の事象を除いて、もしかするとまたはおそらくは、治験薬物に関係すると考えられた。
本実施例で報告された最も多い有害事象は、末梢浮腫であった。アトラセンタン群(0.75mgでは38.2日間および1.25mgでは54.8日間)では、浮腫の平均期間は、プラセボ群(16.7日間)よりも長かった。
利尿薬を併用した日数の平均割合および利尿薬の平均1日用量は、3つの治療群間で統計的有意差がなかった。
鬱血性心不全事象は報告されなかった。
3つの治療群すべてにおいて、体重のわずかな平均増加が観察されたが、12週目において、アトラセンタンとプラセボとの間で統計的有意差はなかった。12週目において、アトラセンタン1.25mg群における体重の平均増加は、0.4kgであった(表35)。
2週目において、ヘモグロビンの統計的に有意な平均減少が観察され、両アトラセンタン治療群では、プラセボと比べて試験全体にわたって持続した。ベースラインから最終観察まで、グルコース濃度の有意差は見出されなかった(表12)。アトラセンタン治療は、総コレステロール、LDL−Cおよびトリグリセリドの平均減少をもたらしたのに対して、プラセボでは、これらの3変数すべてが平均増加していた。両アトラセンタン群ではコレステロールおよびLDL−Cについて、プラセボとの差は統計的に有意であった。3つの治療群すべてにおいて、平均HDL−Cはわずかに減少したが、変化は臨床的に重要ではなかった(表12)。
Figure 2016521279
結論として、本実施例は、腎症を有する2型糖尿病被験者であって、最大耐用量のRAS阻害剤を摂取している被験者において、1日1回のアトラセンタン0.75mgおよび1.25mgが、プラセボと比較して、アルブミン尿の臨床的に重要で統計的に有意な減少をもたらしたことを示している。最も多い有害事象(末梢浮腫)は、重症度が軽度から中度であった;発生率の差は、治療群間で観察されず、利尿薬の使用の差は、群間で見られなかった。
[実施例3]
本実施例では、2型糖尿病および腎症を有する被験者であって、医学的に禁忌でない限り最大耐用量のRAS阻害剤および利尿薬を摂取している被験者において、体液貯留に対する効果を最小にしてUACRを低下させ、血圧を低下させるために有効なアトラセンタン用量を選択するための、第2b相、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照の多施設研究を説明する。先の第2b相試験とは異なり、本実施例では、治療期間がより短く(8週間)、より低用量のアトラセンタン(0.5mg)を評価した。48人の被験者を3つの治療群に無作為に分けた(1:1:1):1)プラセボ、2)アトラセンタン0.5mg/日、および2)アトラセンタン1.25mg/日。アトラセンタンによる胸部体液貯留の可能性を評価するために、本試験には、胸部生体インピーダンスの測定も含まれていた。
合計48人の被験者が本試験に参加し、プラセボ、アトラセンタン0.5mgおよびアトラセンタン1.25mg治療群の被験者は各16人であった。個体群統計およびベースライン測定値を表13に示す。性別による被験者の分布について、治療群間で統計的有意差があった;プラセボおよびアトラセンタン0.5mg群には、アトラセンタン1.25mg群よりもかなり低い割合の女性被験者が含まれていた(これらの両方では87.5%であるのに対して、1.25mgでは56.3%。P=0.012)。プラセボ群の被験者の平均年齢は、2つのアトラセンタン群よりも統計的に有意に低かった(61.8歳に対して、0.5mgでは68.5歳および1.25mgでは69.4歳。P=0.022)。
被験者が最大耐用量のRAS阻害剤を服用しているという要件は、試験開始時の平均血圧範囲が138〜141/73〜77mmHgであることに反映されている。ベースライン時において、被験者のほぼ92%が利尿薬を服用していた(プラセボ群では100%、アトラセンタン0.5mg群では81.3%およびアトラセンタン1.25mg群では93.8%)。
Figure 2016521279
8人の被験者(16.7%)が、本試験を早期に中止した。アトラセンタン群(アトラセンタン0.5mgでは12.5%およびアトラセンタン1.25mgでは31.3%)では、プラセボ群(6.3%)よりも高い割合の被験者が、本試験を中止した。アトラセンタン群では全部で4人の被験者が有害事象により中止したのに対して、プラセボ群では、いかなる被験者も中止しなかった。腹部不快感、疲労、浮腫、再発性前立腺癌および急性腎不全が中止理由であった。本試験を中止した被験者の割合について、治療群間の差は統計的に有意ではなかった。
主要有効性エンドポイントは、ベースラインから8週目までの対数変換UACRの変化であり、治療、来院および治療−来院相互作用の固定効果と、ベースライン測定と、共変数としてベースライン−来院相互作用とを用いるMMRMを使用して、一次分析を行った。治療差は、プラセボと統計的有意差がなかったので、本試験は、主要エンドポイントを満たさなかった(図13)。しかしながら、この結果、すべての時点において、両アトラセンタン用量は、ベースラインからのUACRの臨床的に重要で統計的に有意な減少をもたらしたことが示された(図13)。実施例1および実施例2の結果とは異なり、本実施例のプラセボ群は、4週目、6週目および8週目において、平均UACRの統計的に有意な減少を示した。
2週間以内に、両アトラセンタン用量はUACRをほぼ30%減少させ、アトラセンタン1.25mg群では、この減少は、治療の8週間にわたって持続した。
本試験の二次有効性エンドポイントには、以下の分析が含まれていた:ベースラインから最終測定までの対数変換UACRの変化の治療群差;ベースラインからベースライン後の各測定までのeGFRの変化の治療群差;ベースラインから最終測定までにUACRの30%、40%または50%の減少を達成する被験者の割合;ベースラインから最終測定までにUACRの少なくとも30%の減少を達成する被験者であって、治療中に発生するいかなる種類の中度または重度の有害事象浮腫(浮腫、肺浮腫などを含む。)も有していない被験者の割合;ならびに、ベースラインのマクロアルブミン尿(UACR≧300mg/g)から、最終値では少なくとも20%減少してミクロアルブミン尿(UACR<300mg/g)に変化した被験者の割合。
ベースラインから最終治療測定までの対数変換UACRの変化に関する二次有効性分析の結果を表14に示す。幾何学的平均減少は、プラセボの30.3%と比較して、アトラセンタン0.5mgでは27.7%であり、アトラセンタン1.25mgでは37.4%であった(両用量について、P>0.05)。
Figure 2016521279
ベースラインからの対数変換UACRの少なくとも30%、40%または50%の減少を経験した被験者の割合は、いずれのアトラセンタン用量についても、プラセボと統計的有意差がなかった(表15)。
Figure 2016521279
ベースラインから最終測定までにUACRの少なくとも30%の減少を経験した被験者であって、治療中に発生する中度または重度の有害事象浮腫を有していなかった被験者の割合は、いずれのアトラセンタン群においても、プラセボと統計的有意差がなかった(表16)。
Figure 2016521279
アトラセンタン1.25mg群では、平均eGFRは、ベースラインからベースライン後の各時点まで減少していたが、アトラセンタン0.5mg群では、2週目および4週目において増加していた。反復測定分析によれば、プラセボといずれのアトラセンタン治療群との間においても、統計的有意差はなかった(図14)。プラセボ群の被験者は、ベースラインから8週目までに、eGFRの有意な減少を経験した(−3.53±1.48mL/分、P=0.02)。
1週目および2週目では、すべての治療群において、平均収縮期血圧がベースラインから減少し、ベースライン値に向かって時間と共にいくらか回復した。アトラセンタン1.25mgでは、ベースラインとの差は、1週目および4週目において統計的に有意であり、4週目においてプラセボと統計的有意差があった。アトラセンタン0.5mg群では、ベースラインからの収縮期血圧の統計的に有意な変化はなく、プラセボと統計的有意差はなかった(図15)。
1週目では、すべての治療群において、平均拡張期血圧がベースラインから減少し、次いで時間と共に変動し、6週目および8週目では、ベースライン値に向かっていくらか回復した。アトラセンタン0.5mgでは、ベースラインとの差およびプラセボとの差は、4週目において統計的に有意であった。アトラセンタン1.25mgでは、ベースラインとの差は、1週目から4週目まで統計的に有意であり、これらと同じ時点においてプラセボと統計的有意差があった(図16)。
UACRのANCOVA分析は、いずれのアトラセンタン用量についても、プラセボと比較して有意ではなかったので、パス分析は有意な結果を示さなかった。
ベースライン時ならびに2週目および6週目において、外来血圧をモニタリングおよび評価した。アトラセンタン1.25mg群では、2週目において、平均外来収縮期血圧が減少したが(非有意な減少)、6週目までに、ベースライン平均をわずかに上回るまで回復した。アトラセンタン0.5mg群では、2週目および6週目の両方において、平均外来収縮期血圧の非有意な変化が観察された;しかしながら、アトラセンタンとプラセボとの間の差は、統計的に有意ではなかった。プラセボ群におけるベースラインから6週目までの平均減少は、統計的に有意であった(P=0.024)(図17)。
両アトラセンタン治療群において、平均外来拡張期血圧がベースラインから減少し、アトラセンタン1.25mg群では平均減少がより大きかった。アトラセンタン1.25mgとプラセボとの間の差は、2週目において統計的に有意であった(図18)。
実施例1および実施例2の結果とは異なり、本試験のプラセボ群は、ベースラインから最終治療来院までに、収縮期血圧のより大きな平均減少を示した(−3.07mmHgに対して、アトラセンタン0.5mgでは−1.40mmHgおよびアトラセンタン1.25mgでは+0.85mmHg)。両アトラセンタン群は、プラセボ群の平均増加(+1.56mmHg)と比較して、拡張期血圧のより大きな平均減少(0.5mgでは−4.28mmHgおよび1.25mgでは−0.03)を示したが、治療差は統計的に有意ではなかった。両アトラセンタン群は、プラセボ群のわずかな平均減少(−0.36lb)と比較して、体重が平均増加(0.5mgでは+2.58lbおよび1.25mgでは+3.03kg)していたが、治療差は統計的に有意ではなかった。
すべての安全性分析は、治療中に発生した有害事象についてのみ実施した。治療中に発生した有害事象は、治験薬物の初回投与日以降から治験薬物の最終投与30日後までに初めて発生または悪化したものと定義した。3つの群すべてにおいて、同じ割合の被験者が有害事象を経験した(81.3%)。アトラセンタン1.25mg群では、6人の被験者(37.5%)が深刻な有害事象を経験したのに対して、プラセボおよびアトラセンタン0.5mg群ではいずれも、被験者は深刻な有害事象を経験しなかった(プラセボとの差について、P=0.018)(表17)。
Figure 2016521279
アトラセンタン治療で最も多く報告された有害事象は、末梢浮腫、背部痛、呼吸困難、疲労および肺炎であった。いかなる有害事象優先使用語の発生率についても、アトラセンタンとプラセボとの間で統計的有意差はなかった。末梢浮腫の発生は、プラセボ群では7人(43.8%)であり、アトラセンタン0.5mg群では5人(31.3%)であり、アトラセンタン1.25mg群では8人(50.0%)であった。
アトラセンタン1.25mg群(37.5%)では、プラセボ群(0人の被験者)と比較して統計的に有意に高い割合の被験者が、深刻な有害事象を経験した(P=0.018)。アトラセンタン0.5mg群の被験者は、深刻な有害事象を経験しなかった。2人以上の被験者で報告された唯一の有害事象は、肺炎であった(2人の被験者、12.5%)。
深刻な有害事象はすべて、治験薬物と無関係であるか、またはおそらくは治験薬と無関係であると考えられた。
アトラセンタン1.25mg群では、3人の被験者(18.8%)が、中止につながる有害事象を経験したが、アトラセンタン0.5mg群およびプラセボ群ではいずれも、被験者は、中止につながる有害事象を経験しなかった。
ZOE(R)流体ステータスモニターによって測定した場合に、胸部生体インピーダンスが平均4オーム減少していることが、胸部体液過剰の臨床的指標と考えられている。すべての治療群において、平均胸部生体インピーダンスが時間と共に変動し、2つのアトラセンタン群の平均変化は、プラセボ群よりも大きかった。いずれの時点においても、2.5オームを超える平均変化を示した群はなかった(図19)。重要なことに、アトラセンタン治療群とプラセボとの間で統計的有意差はなかったが、これは、この集団では、アトラセンタンによって引き起こされる体液貯留の悪影響がなかったことを示している。
本試験で報告された最も多い有害事象は、末梢浮腫であった。末梢浮腫を経験した被験者の割合は、プラセボ群では43.8%であり、アトラセンタン0.5mg群では31.3%であり、アトラセンタン1.25mg群では50.0%であった。ベースライン時において、被験者の54.2%は、浮腫が報告されなかった。3つの群すべてにおいて、同じ割合の被験者が、ベースライン時において軽度の浮腫を有していた(43.8%)。
浮腫の期間および重症度は、群間で統計的有意差がなかった。
試験中、プラセボ群の被験者は、統計的に有意に高い平均1日用量のチアジド系利尿薬を服用しており(25mgに対して、アトラセンタン0.5mgでは17.5mgおよびアトラセンタン1.25mgでは15.6mg;P=0.026)、平均期間が、2つのアトラセンタン治療群の被験者と比較して長かった(97日間に対して、アトラセンタン0.5mgでは90日間およびアトラセンタン1.25mgでは79日間)。
1人の被験者が鬱血性心不全を経験した。この被験者は、アトラセンタン1.25mgの最終投与の7日後に、肺高血圧症事象と同時にこの事象を経験した。治験責任医師は、鬱血性心不全がおそらくは治験薬物と無関係であると判断し、左冠動脈前下行枝の80%から90%の狭窄を伴う重大な冠動脈疾患が別の病因であるとした。4日後、被験者は冠状動脈狭窄事象を経験したが、治験責任医師は、これが治験薬物と無関係であり、既存の高脂血症に関係するものであると判断した。
8週目において、アトラセンタン1.25mg群では、体重が平均0.8kg増加していたのに対して、プラセボ群では平均−0.1kg減少していたが、差(+0.8kg)は統計的に有意ではなかった。同様に、アトラセンタン0.5mg群では、体重が平均1.3kg増加していたのに対して、プラセボ群では平均−0.1kg減少していたが、差(+1.4kg)は同様に統計的に有意ではなかった。
2週目において、ヘモグロビンの統計的に有意な平均減少が観察され、アトラセンタン1.25mg群では、プラセボと比べて試験全体にわたって持続した。アトラセンタン0.5mg群では、4週目および6週目において、ヘモグロビンの平均減少の差は、プラセボと統計的有意差があった。ベースラインから最終治療測定まで、グルコース濃度の有意差は見出されなかった(表18)。
アトラセンタン1.25mg治療は、総コレステロール、LDL−Cおよびトリグリセリドのより大きな平均減少をもたらしたのに対して、プラセボでは、総コレステロールおよびLDL−Cがわずかに平均減少しており、トリグリセリドが平均増加していた。
Figure 2016521279
結論として、本実施例は、アトラセンタン0.5mgおよび1.25mgが、プラセボと比較して、胸部生体インピーダンスの有意差をもたらさなかったことを実証している。アトラセンタン群におけるUACR減少の程度は、先の2つの第2b相試験(実施例1および実施例2)におけるものと同様であったが、プラセボ群における予想外の効果により、主要有効性エンドポイントおよび二次有効性エンドポイントの両方が統計的有意性に達しなかった。最低用量のアトラセンタン(0.5mg)は、血圧に対して効果を及ぼさなかった。軽度から中度の臨床的に許容可能な末梢浮腫が、最も多く報告された有害事象であったが、群間で有意差は見出されなかった。プラセボで観察されたUACR、収縮期血圧およびeGFRの変化の一部は、プラセボ群では利尿薬がより多用されていたことによって説明することができる。
本実施例はまた、UACRの減少の有効性および末梢浮腫の安全性の両方に関して、所定のアトラセンタン剤型の予測不可能性を実証している。実施例1および実施例2では、1.25mg/日の用量について、UACRの減少が実証されたが、本実施例では、統計的に有意な減少がもたらされなかった。用量0.5mgのアトラセンタンHClは、UACRの統計的に有意な減少をもたらすことが実証されず、0.5mg超および0.75mg未満のアトラセンタン用量の有効性については、予測不可能である。
[実施例4]
上記実施例1および実施例2に詳述されている試験から得られたデータを、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールに関して再検討したところ、これらの両方が、ベースラインと比べて有意に減少していたことが示された。例えば、用量0.75mgのアトラセンタンを摂取している被験者について、治療12週間後の血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの減少は様々であったが、実施例1および実施例2に詳述されている両試験の平均はほぼ14%であった。
この結果、これらの試験から得られたデータを収集後にさらに再検討したところ、各試験の被験者のサブ集団は、アトラセンタン用量(0.75mg用量または1.25mg用量のいずれか)と組み合わせてスタチンを摂取または服用していたことが判明した。このサブ集団について、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールに対するアトラセンタンの影響に関する各試験のデータを組み合わせて、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの各々について、ベースラインの新たな代表値(average)(平均値(mean))およびこれに対する試験期間中の変化を計算した。比較のために、スタチンを摂取または服用していない被験者について、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールに対するアトラセンタンの影響に関する各試験のデータを組み合わせて、血清総コレステロールおよび血清LDLコレステロールの各々について、ベースラインの新たな代表値(平均値)およびこれに対する試験期間中の変化も計算した。結果を以下の表19に報告する。
Figure 2016521279
表Xに報告されている結果は、スタチンおよび0.75mgのアトラセンタンを摂取している被験者が、LDLコレステロールの15%の減少および総コレステロールの10%の減少を経験したことを示している。スタチンを摂取していない被験者では、同様の結果が観察された(各々13%および9%の減少)。これらの結果は、アトラセンタンと脂質の減少との間に見られた関連性が、スタチンの使用と無関係であることを示唆している。
[実施例5]
本実施例では、前臨床動物モデルを使用して、アトラセンタンおよびARBが相乗的な降圧効果を引き起こすかを評価する。
このような相乗的な降圧効果は、Mohanan et al.,TRC120038,a Novel Dual AT(1)/ET(A)Receptor Blocker for Control of Hypertension,Diabetic Nephropathy,and Cardiomyopathy in ob−ZSF1 Rats.International Journal of Hypertension,vol.2011,Article ID 751513,12 pages,2011などの先行技術に基づいて予想および予測される。Mohananらは、高血圧の被験者では、アンジオテンシンIIおよびエンドセリンが、密接に織り合わさった経路に関与するように、血圧(BP)の増加および末端器官障害の誘導に関与することに注目している。肥満のZucker高血圧脂肪ラット(ob−ZSF1)を使用した糖尿病性腎症(2型糖尿病)モデルでは、ARBカンデサルタンは、平均血圧の有意な減少をもたらした。TRC120038は二重作用アンタゴニストであり、アンジオテンシンII受容体(AT1)およびエンドセリン受容体Aの両方を阻害する。ob−ZSF1モデルでは、二重アンタゴニストTRC120038は、平均血圧のより顕著な減少をもたらしたが、これは、ARB/ET−A機構が組み合わさった相乗的な降圧効果を実証している。
エンドセリン受容体AアンタゴニストBQ−123をACE阻害剤エナラプリルと組み合わせて投与した臨床試験において、この相乗的な降圧効果が実証された。Goddard et al.,Endothelin A receptor antagonism and angiotensin−converting enzyme inhibition are synergistic via an endothelin B receptor−mediated and nitric oxide−dependent mechanism.J Am Soc Nephrol.15(10):2601−10(2004)。平均動脈圧は、BQ−123によって減少した(この効果は、ACE阻害中に2倍になった。)。BQ−123のみの平均曲線下面積+/−SEMは−2.3mmHg+/−1.8%であり、BQ−123+エナラプリルでは、−5.1mmHg+/−1.1%であった(プラセボに対して、P<0.05)。
アトラセンタンが、ARBと組み合わせて投与した場合に相乗的な降圧効果を示すかを決定するために、前臨床試験を行った。ARBロサルタン(10mg/kg/日)をob−ZSF1ラット(Mohananらが使用したのと同じモデル)に12週間投与したところ、平均動脈圧(MAP)の有意な減少が観察された。1.5mg/kg/日または5mg/kg/日のアトラセンタンのみでは、平均動脈圧に有意な影響がなかった。アトラセンタン(1.5mg/kg/日)をロサルタン(10mg/kg/日)と組み合わせると、もたらされるMAPの減少は、ロサルタンのみを投与した場合のMAPの減少とほぼ同じであった。従って、本前臨床試験では、アトラセンタンとロサルタンとの間の相乗的な降圧効果はないことが実証された。
[実施例6]
図20は、第2A相試験のみ(NCT00920764)に基づく統計分析によって開発した、浮腫リスク(黒色四角)のモデリングデータを使用するグラフを示す。このグラフは、受容体占有率データをオーバーレイすることによって作成した(以下の表20も参照のこと)。
高用量のETBRに対するオフターゲット活性によって浮腫が引き起こされる場合、浮腫リスクは高用量でのみ上昇し始めると考えられる。代わりに、これは、ETAR受容体占有率曲線に比例して上昇する。Kohan,et al.,Addition of Atrasentan to Renin−Angiotensin System Blockade Reduces Albuminuria in Diabetic Nephropathy.J.Am Soc Nephrol 22:763−72(2011)では、著者らは、選択的ETAR(アトラセンタン)が、低選択的なエンドセリンアンタゴニストで見られる浮腫を防ぐことができると結論している。しかしながら、この理論は、同じ2011年の論文で報告されているデータによって立証されていないと思われる。
Figure 2016521279
[実施例7]
上記実施例1および実施例2に記載されている第IIb相試験で収集したデータをプールし、複合的な被験者集団についてさらに分析した(N=211)。
図21は、複合的な被験者集団に関する個体群統計情報(3つの各治療群(即ち、プラセボ(N=50)、アトラセンタン0.75mg(N=78)およびアトラセンタン1.25mg(N=83)治療群)に関する個体群統計情報を含む。)の概要である。
図22は、複合的な被験者集団内の以下のサブグループ:(a)UACR≦1000mg/g対UACR≧1000mg/g、(b)男性対女性、(c)年齢<65歳対年齢≧65歳および(d)スタチン併用療法対スタチン非併用療法に関するUACRの幾何学的平均変化率の棒グラフ図を含む。
図23は、12週間の治療期間+治療中止後30日間における複合的な被験者集団の平均総コレステロール、平均LDLコレステロール、平均HDLコレステロールおよび平均トリグリセリドの値(mg/dL)のグラフ図を含む。
本明細書は、特定の実施形態(最良の形態を含む。)を開示および例証するために、ならびにさらに当業者がこのような実施形態を実施することを可能にするために、実施例を使用する。特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例または主題を含み得る。このような他の実施例または主題は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合には、または特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない均等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることを意図する。

Claims (39)

  1. ヒト被験体における心血管リスクを減少させる方法であって、(a)前記被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの一方または両方の約5%以上の減少をもたらすのに十分な量で、アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を投与することを含む、方法。
  2. (a)被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて、血清総コレステロール、および(b)被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて、血清LDLコレステロールの両方について減少がもたらされる、請求項1に記載の方法。
  3. アトラセンタンの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 被験体に投与する医薬として許容される塩がアトラセンタン塩酸塩である、請求項3に記載の方法。
  5. 血清総コレステロールが、被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて約10%以上減少される、請求項1から4の一項に記載の方法。
  6. 血清総コレステロールが、被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて約15%以上減少される、請求項5に記載の方法。
  7. 血清総コレステロールが、被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて約20%以上減少される、請求項6に記載の方法。
  8. 血清総コレステロールが、被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて約10%から約25%減少される、請求項1に記載の方法。
  9. 血清総コレステロールが、被験体のベースライン血清総コレステロールと比べて約15%から約25%減少される、請求項8に記載の方法。
  10. 血清LDLコレステロールが、被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて約10%以上減少される、請求項1から9の一項に記載の方法。
  11. 血清LDLコレステロールが、被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて約15%以上減少される、請求項10に記載の方法。
  12. 血清LDLコレステロールが、被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて約20%以上減少される、請求項11に記載の方法。
  13. 血清LDLコレステロールが、被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて約10%から約25%減少される、請求項10に記載の方法。
  14. 血清LDLコレステロールが、被験体のベースライン血清LDLコレステロールと比べて約15%から約25%減少される、請求項13に記載の方法。
  15. 血清総コレステロールが、ベースラインと比べて約10mg/dL以上減少される、請求項1から14の一項に記載の方法。
  16. 血清総コレステロールが、ベースラインと比べて約20mg/dL以上減少される、請求項15に記載の方法。
  17. 血清総コレステロールが、ベースラインと比べて約10mg/dLから約25mg/dL減少される、請求項15に記載の方法。
  18. 血清総コレステロールが、ベースラインと比べて約15mg/dLから約25mg/dL減少される、請求項17に記載の方法。
  19. 血清LDLコレステロールが、ベースラインと比べて約10mg/dL以上減少される、請求項1から18の一項に記載の方法。
  20. 血清LDLコレステロールが、ベースラインと比べて約20mg/dL以上減少される、請求項19に記載の方法。
  21. 血清LDLコレステロールが、ベースラインと比べて約10mg/dLから約25mg/dL減少される、請求項19に記載の方法。
  22. 血清LDLコレステロールが、ベースラインと比べて約15mg/dLから約25mg/dL減少される、請求項21に記載の方法。
  23. 約0.25mgから約250mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項1から22の一項に記載の方法。
  24. 約0.5mgから約200mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項23に記載の方法。
  25. 約0.5mgから約100mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項24に記載の方法。
  26. 約0.5mgから約50mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項25に記載の方法。
  27. 約0.5mgから約25mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項26に記載の方法。
  28. 約0.5mgから約10mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項27に記載の方法。
  29. 約0.5mgから約1.5mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項28に記載の方法。
  30. 約0.75mgから約1.25mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項29に記載の方法。
  31. 約0.75mgのアトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に投与する、請求項30に記載の方法。
  32. アトラセンタンまたはこの医薬として許容される塩を被験体に毎日投与する、請求項1から31の一項に記載の方法。
  33. 治療有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤を被験体に投与することをさらに含む、請求項1から32の一項に記載の方法。
  34. 治療有効量のスタチンを被験体に投与することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
  35. 被験体が、冠動脈心疾患、高コレステロール血症、高脂血症、腎症、慢性腎疾患、糖尿病およびアルブミン尿からなる群より選択される病気にかかりやすいか、または前記病気を患っている、請求項1から34の一項に記載の方法。
  36. 被験体が高コレステロール血症にかかりやすいか、または高コレステロール血症を患っている、請求項35に記載の方法。
  37. 被験体が高脂血症にかかりやすいか、または高脂血症を患っている、請求項35に記載の方法。
  38. 被験体が糖尿病にかかりやすいか、または糖尿病を患っている、請求項35に記載の方法。
  39. 被験体が2型糖尿病を患っている、請求項38に記載の方法。
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