JP2016519579A - 細胞、羊水回収及び細胞の単離のための方法及び機器 - Google Patents

細胞、羊水回収及び細胞の単離のための方法及び機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 滅菌羊水の安全で高収率の回収のための方法および装置を提供すること。臨月の羊水から単離された細胞、並びに、それら細胞を使用、再プログラミング及び分化するための方法を提供すること。【解決手段】 滅菌羊水の安全で高収率の回収のための方法および装置が開示される。機器は、羊膜腔の全ての領域にアクセスするのに十分な柔軟性(flexibility)を有することが可能なように形成され、羊水回収装置が羊膜及び絨毛膜に穿刺するのに十分な剛性を有することが可能なように形成され、また、母体又は胎児への害の重篤なリスクをもたらさない十分な柔軟性(suppleness)を有することが可能なように形成される。臨月の羊水から単離された細胞、並びに、それら細胞を使用、再プログラミング及び分化するための方法が開示される。【選択図】図1

Description

関連する出願
この出願は、2013年3月15日に出願された米国仮出願シリアル番号61/801,256号の優先権を主張し、この内容は、本願に引用により組み込まれる。
1つの実施形態において、本願に記載される発明は、誕生時を含む時期に羊水及び細胞を含む生物学的材料を獲得することに関連し、そして、いくつかの側面において、無菌的な羊水の安全で高収率の回収及び、同じ目的の装置及び方法に関連する。他の実施形態において、本願発明は、細胞、及び、胎児細胞又は幼児細胞のような羊水に由来する細胞の培養に関連し、さらに、細胞を単離し、拡張し、再プログラミングし、分化させ、及び保存する方法、及び、治療、処置、疾患の予防、薬剤輸送、オーダーメイド医療(personalized medicine)、再生医療(regenerative medicine)、組織発生及び、世界的なドナーバンクにおける細胞の使用、並びに関連する方法及び組成物に関連する。
細胞を単離すること、細胞再プログラミング、多能性(pluripotent)及びマルチ多能性(multipotent)細胞を発生させ、そして組織、器官、並びに幹細胞治療のための方法は、オーダーメイド医療及び再生医療を含む様々な治療的な適用に必要である。初期胚発生の間に単離される胚性幹細胞、そして間葉細胞又は成体幹細胞のような体性幹細胞を含む様々なヒト幹細胞及び他の細胞タイプが知られている。いくつかの非幹細胞(non-stem cells)は、より原始的な(primitive)段階に再プログラミングされ得る。
羊水は、例えば、機械的なバリアーを提供し、成長因子を提供し、不変な空間(permanent air spaces)となるであろうものを定める発達中の空間を満たすことにより肺発生を助けることにより、[胎児を]取り囲み、保護しそして胎児発生を助ける水性媒体である。羊水は、肺サーファクタント(lung surfactant)、サイトカイン、成長因子、胎脂(vernix)、そして生存シグナルを伝える(propagating)ことを含む様々な分子成分を含む。
羊水から胎児細胞を単離する方法は、米国特許番号7,596,385、米国特許公開番号US2005/0054093、及びUS2005/0042595に記載され、(これらすべては、Haasによる)、米国特許公開番号US2005/0124003及び国際特許公開番号WO03/042405(Atalaらによる)に記載される。羊水を回収するための方法及び機器は、羊水穿刺を含み、妊娠の第1三半期(first trimester)又は妊娠の第2三半期(second trimester)の間に行われ、方法は、M.Hallmanらによって、Isolation of Human Surfactant from Amniotic Fluid and a Pilot Study of its Efficacy in Respiratory Distress Syndrome, Pediatrics 1983, 71(4): 473-482に記載される(これは標準的な手術室のアクティブな吸引装置を利用する)。
本発明の課題
細胞性材料、羊水及び、それの中に見られる細胞を含む生物学的な成分を回収し、抽出し、そして単離するための利用可能なアプローチ及び機器は、例えば、安全性、回収された材料の汚染(例えば、空気汚染)の回避、細胞の回収率(cell yield)、効率及び/又は成分の破壊を避ける能力について完全に満足するものではなかった。
幹細胞を単離し、及び/又は、より分化している細胞からマルチ多能性(multipotent)及び/又は多能性(pluripotent)幹細胞を発生させる方法は、例えば、再生医療及びオーダーメイド医療(個々に最適化された治療)を含む細胞ベースの治療的な適用に関して必要とされる。細胞ソース(sources)及び単離方法は、その際必要とされる。また、例えば、多くの数の細胞を単離するために多くのドナーから便利に採取され得るソース材料細胞及び操作されることが可能なソース材料細胞の必要性も存在する。その様な必要性に対処する実施形態が提供される。
例えば、羊水成分の最小限の破壊で、無菌羊水の安全で高い収率での回収のための方法及び機器、妊娠の様々な段階に羊水に存在する成分(細胞を含む)の回収(retrieval)、増殖、及び分化のための方法及び機器、そして、治療的に関連する細胞の既知のソースを損なわず多能性(pluripotent)及びマルチ多能性(multipotent)細胞を発生させる再プログラミング能力を有する細胞性材料の抽出及び単離をするための安全で信頼できる方法の必要性も存在する。
同様に、再生医療、治療及び疾患予防、オーダーメイド治療、組織発生における使用のための、豊富で、操作、再プログラミング、及び分化が出来る細胞の必要性が存在し、そして、世界的なドナーバンクが必要とされる。本願で提供される実施形態には、方法、機器、細胞、及びそれらの必要性に対処する組成物が含まれる。
本願で提供される実施形態には、羊水(例えば、後期又は臨月の羊水)の回収のための機器及び装置及び、羊水由来の細胞(例えば、胎児及び幼児細胞)の単離、拡張、再プログラミング及び分化のための装置及び機器、その様な方法により獲得された細胞及び組成物、及び、例えば治療及び再生医療及びオーダーメイド医療などにおけるような細胞及び組成物を使用するための方法が含まれる。
本発明の例示的な実施形態に従う羊水回収装置は、抽出チューブから羊水を受け取る回収チャンバを含み、抽出チューブは、羊膜嚢に挿入されるように形成されたインレットと適合される。抽出チューブ及びインレットは、装置が羊膜腔の全ての領域にアクセスするのに十分な柔軟性(flexibility)を有することが可能なように形成され、羊水回収装置が羊膜及び絨毛膜に穿刺する(puncture)のに十分な剛性を有することが可能なように形成され、また、母体又は胎児への害の重篤なリスクをもたらさない十分な柔軟性(suppleness)を有することが可能なように形成される。この様に、本発明は、無菌羊水の安全で、高収率な回収を可能にする。
本発明の他の例示の実施形態に従う羊水回収装置は、インレットの遠位(先端)部分に主インレットと、インレットの側面部分に少なくとも1つの予備インレットを含むインレットを含む。この様に、本発明は、遅延をもたらすかもしれない閉塞(blockages)を回避し、それにより、回収に必要な時間を減少させ、そしてその結果、母体又は胎児への害のリスクを減少させる。加えて、この実施形態は、主インレットが胎児表面に付着する場合に生じる恐れのある胎児の皮膚が傷付くリスク(the risk of fetal skin-bruising)を排除する。
本発明の更なる他の例示の実施形態に従う羊水回収装置は、抽出チューブ及び羊膜の間に不浸透(impervious)のシールを達成するように形成されるインレットを含む。この様に、本発明は、羊膜嚢から回収されない羊水の放出(egress)を防止し、そして、汚染物質の羊膜嚢への侵入(ingress)を防止し、その結果、回収率の増加と羊水の無菌性が維持される。加えて、この例示の実施形態の不浸透のシールは、羊水を移送させるためのサイホン(siphon)を容易にさせ、外部の吸引ソースの必要性を取り除き、その結果更に、羊水汚染のリスクを減少させる。
1つの実施形態において、回収チャンバと、回収チャンバに接続する回収チャンバアウトレット(出口)バルブと、回収チャンバに接続する回収チャンバインレット(入口)バルブと、回収チャンバインレットバルブに接続する近位液体抽出チューブ、この近位液体抽出チューブは医薬品等級の材料を含む、と、近位液体抽出チューブに接続する遠位液体抽出チューブ、この遠位液体チューブは移送部分及びインレットを含む、とを含む羊水回収装置であって、インレットが、主インレット、貫通する先端、及び1つ以上の側面インレットを含む羊水回収装置が本願において提供される。
1つの実施形態において、CD73及びCD90からなる群より選択されるマーカーの表面発現を含む単離された胎児及び幼児細胞が本願において提供され、細胞の表面はCD105発現に関して陰性であり、又は細胞の表面はCD34を発現する。1つの側面において、単離された胎児及び幼児細胞はCD73及びCD90の表面発現を含む。1つの側面において、上記の実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞表面は、CD105発現に関して陰性であり得、かつCD34を発現する。上記実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞は転写因子Oct−4を発現する。上記実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞表面はCD45表面発現に関して陰性であり得る。上記実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞は接着性であり得る。上記実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞は繊維芽細胞様形態を有することができる。上記実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞は多能性(pluripotent)であるか又はマルチ多能性(multipotent)であり得る。1つの側面において、上記実施形態の何れかにおいて、単離された胎児及び幼児細胞は連続培養において、少なくとも50日間成長することが可能であり、又は細胞は培養において少なくとも30回の集団倍化(30 population doublings)で増殖することが可能であり、又は細胞は連続培養において少なくとも1,000,000倍に拡張することが可能である。
1つの側面において、前記実施形態の何れかの胎児細胞又は幼児細胞または任意のその組み合わせを含む組成物が本願において提供される。
1つの実施形態において、複数の胎児細胞又は幼児細胞を含む組成物が本願において提供され、少なくとも10%の細胞がCD90、CD73及びCD34の表面発現を有し、5%未満の細胞がCD105の表面発現を有する。1つの側面において、少なくとも50%の細胞が転写因子Oct−4を発現する。1つの実施形態において、5%未満の細胞がCD45表面発現を有する。1つの側面において、少なくとも50%の細胞が接着性である。他の側面において、少なくとも50%の細胞が繊維芽細胞様形態を有する。他の側面において、少なくとも50%の細胞が多能性(pluripotent)であるか又はマルチ多能性(multipotent)である。1つの実施形態において、少なくとも50%の細胞は、連続培養において、少なくとも50日間成長することが可能であり、又は、複数の細胞は、培養において、少なくとも30回の集団倍化で増殖をすることが可能であり、又は、複数の細胞は、連続培養において、少なくとも1,000,000倍に拡張することが可能である。前記の組成物実施形態の何れか及びその任意の組み合わせにおいて、組成物は更に羊水を含む。1つの側面において、細胞は、1リッター当たり少なくとも100万の細胞濃度で存在する。
1つの実施形態において、胎児細胞又は幼児細胞を単離する方法が本願において提供され、(a)羊水を、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は39週より長い妊娠段階で獲得すること、及び、(b)羊水から胎児細胞又は幼児細胞を回収することを含む。1つの側面において、ステップ(a)における獲得が、帝王切開によって羊水を回収することを含む。前記方法実施形態の何れかにおいて、ステップ(b)における回収が、羊水から粒状物質を除くことを含み得る。1つの側面において、ステップ(b)における回収が、勾配遠心分離を行うことを更に含む。前記方法実施形態の何れか又はそれらの任意の組み合わせにおいて、方法は、回収された細胞を、細胞が増殖する条件下で培養することを更に含み得る。前記方法実施形態の何れか又はそれらの任意の組み合わせにおいて、ステップ(b)において回収された細胞はステップ(a)において獲得された羊水1リッター当たり少なくとも100万の細胞を含み得る。前記方法実施形態の何れか又はそれらの任意の組み合わせにおいて、ステップ(a)において獲得された羊水の量は、少なくとも又はおよそ、10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、又は1000mLであり得る。前記方法実施形態の何れか又はそれらの任意の組み合わせにおいて、羊水が臨月の羊水であることができる。前記方法実施形態の何れか又はそれらの任意の組み合わせにおいて、胎児細胞又は幼児細胞は、前記の単離された胎児細胞又は幼児細胞の実施形態のいずれかの細胞を含むことができる。
前記方法実施形態の何れか又は任意のその組み合わせにおいて、胎児細胞又は幼児細胞はCD73及びCD90からなる群より選択されるマーカーの表面発現に関して陽性である細胞を含み得、細胞はCD105発現の表面発現に関して陰性であり、又はCD34の表面発現に関して陽性である。1つの側面において、細胞はCD73及びCD90の表面発現に関して陽性である。1つの側面において、細胞はCD105の表面発現に関して陰性であり、且つCD34の表面発現に関して陽性である。1つの側面において、細胞は転写因子Oct−4を発現する。他の側面において、細胞は、CD45表面発現に関して陰性である。他の側面において、細胞は接着性である。1つの実施形態において、細胞は、繊維芽細胞様形態を有する。他の実施形態において、細胞は多能性(pluripotent)であるか又はマルチ多能性(multipotent)である。さらに他の実施形態において、細胞は、連続培養において、少なくとも50日間成長することが可能であり、又は、細胞は、培養において、少なくとも30回の集団倍化で増殖をすることが可能であり、又は、細胞は、連続培養において、少なくとも1,000,000倍に拡張することが可能である。
前記方法実施形態の何れか又は任意のその組み合わせにおいて、方法は、回収された細胞を再プログラミングすることをさらに含み、その結果マルチ多能性(multipotent)又は多能性(pluripotent)の細胞を生ずる。1つの側面において、再プログラミングはiPSCを行うことを含む。1つの実施形態において、方法は細胞を所望の細胞又は組織タイプに分化させることを更に含む。更なる実施形態において、所望の細胞又は組織タイプが、造血細胞、神経細胞、内胚葉細胞、外胚葉細胞、及び中胚葉細胞からなる群より選択される。
本願において、前記組成物実施形態の何れか又は任意のその組み合わせの組成物を患者に投与することを含む処置方法もまた提供される。
1つの側面において、細胞を預けるための方法が本願に開示され、これは、(a)一以上のサンプルを獲得すること、そのそれぞれは、請求項2〜10の何れかに記載の細胞を含み、(b)サンプルを、サンプル中の少なくともいくつかの細胞の生存性を保つ状態下で保存すること、及び、(c)サンプルが獲得された対象のアイデンティティに関するデータを保存することを含む。1つの側面において、保存が、サンプルを1以上の凍結防止剤で処置することを含む。1の実施形態において、ステップ(a)が、複数のサンプルを獲得することを含み、そのそれぞれが、異なった対象から獲得される。
他の側面において、(a)請求項2〜10の何れかに記載の細胞又は請求項11〜20の何れかに記載の組成物をそれぞれ含む複数のサンプル、及び、(b)サンプルの個々の識別及び回収(ないし検索、retrieval)に関するデータを含むデータベース、を含む細胞バンクが本願において開示される。1つの側面において、複数のサンプルのそれぞれが、個々の対象由来である。前記細胞バンクの実施形態の何れかにおいて、データが、個々のサンプルが由来した対象のアイデンティティのついての情報を含み得る。
更に他の側面において、(a)羊水回収装置を対象の子宮壁における切り口を介して挿入すること、(b)対象の羊膜を貫通すること、及び(c)対象の羊膜嚢からの羊水を回収することを含む、羊水を回収する方法であって、対象が、少なくとも妊娠30週の段階の妊婦であることを特徴とする方法が本願に開示される。1つの側面において、対象は妊娠の臨月段階である。他の側面において、羊水回収装置は、前記装置実施形態の何れかの装置又はその任意の組み合わせである。ある側面において、ステップ(b)は、絨毛膜[chronicはchrionicの誤記]を貫通することを更に含む。いくつかの側面において、ステップ(c)の回収は、(i)羊水回収装置のインレットバルブを開口することによって羊水を羊水回収装置の回収チャンバに移送するためにサイホンを開始すること、(ii)羊水回収装置のインレットの下に羊水回収装置の回収チャンバを配置させること、(iii)負圧ソースを羊水回収装置のアウトレットに接続し羊水の移送を開始させること、そして、(iv)羊水回収装置のインレットを再配置させ、実質的に全ての利用できる羊水を回収(retrieve)すること、の1つ以上を含む。1つの実施形態において、方法は羊水回収装置を取り除くステップ(d)を更に含む。いくつかの側面において、切り口が、羊水回収装置により作られる。いくつかの実施形態において、方法は、約10分、約9分、約8分、約7分、約6分、約5分、約4分、約3分、約2分、又は約1分未満で行われる。
図1は、本発明の例示の一実施形態に従った羊水回収装置100を表す。
図2は、FACS解析による臨月羊水由来細胞の細胞表面マーカー発現を表す。マーカー(複数)の表面発現に関して陽性である群の中の細胞のパーセンテージを示す。
図3は、本発明の例示の一実施形態に従った羊水を抽出する方法300を表す。
[詳細な説明]
本願で提供されるある実施形態の次の記載において、参照は、本願の一部分を形成する図表に伴って作成され、これは、本願発明が実施され得る特別な実施形態の実例の方法によって表される。他の実施形態は、使用されることができ得、構造的な変更は、本発明の要旨を逸脱しないでなされ得るものと理解されるべきものである。
本願で提示される実施形態中には、生物学的な材料(羊水から獲得されるもののような細胞及び細胞性ソースを含む)の回収、単離、及び使用のための機器、装置、及び方法並びに、その様は方法により獲得された細胞及び他の材料、及び、(オーダーメイド化された世界的なドナーの適用を含む、例えば再生医療における、治療的な及び解析的な使用を含む)その使用が含まれる。
ヒト幹細胞の種類は、治療的に使用され又は臨床試験における使用で評価され、例えば、神経障害及び造血障害におけるそれぞれの使用のための間葉幹細胞及び造血幹細胞のような体細胞を含む。より分化した能力(capacities)を有する他の体細胞は、より原始的な(primitive)段階に再プログラミングされ得る(例えば、内皮細胞の多能性幹細胞(pluripotent stem cells)への再プログラミング)。
誘導された多能性幹(iPS)細胞は、皮膚及び繊維芽細胞を含む多様な(マルチプル、multiple)細胞タイプから産生(generated)されている。Masip et al., 2010, Mol Hum Reprod 16(11): 856-868; Takahashi and Yamanaka, 2006, Cell 126(4): 663-676; Yu et al., 2007, Science 318(5858): 1917-1920参照。代わりの出発材料は、十分な増殖率、疾病モデリングに関する遺伝的バックグラウンド、十分な数の生きている細胞の採取のしやすさ、及びゲノムの完全性を含む再プログラミングのしやすさに基づいて選ばれている。Hanna et al., 2009, Nature 462(7273): 595-601; Park et al., 2008, Cell 134(5): 877-886; Ye et al., 2009, Blood 114(27): 5473-5480; Carette et al., 2010, Blood 115(20): 4039-4042; Kumano, et al., 2012, Blood 119(26):6234-6242; Ikehata et al., 2003, Environ Mol Mutagen 41(4): 280-292; Ikehata et al., 2004, Mutat Res 556(1-2): 11-24; Osanai and Lee, 2011, Med Mol Morphol 44(4): 200-206参照。
iPS細胞を生成するために利用できる方法は、ある問題に関連している。例えば、iPS細胞の大部分からは、成人の皮膚繊維芽細胞が発生する。それにも関わらず、エピジェネティックな(ないし、非遺伝性の)記憶に起因して、iPS発生のソースとして使用される細胞の残留する(residual)エピジェネティックな状態は、生成されたiPS細胞の分化能力に影響を与えることができる。特に、iPS細胞系統は、ドナー細胞遺伝子のキーセット(key set)を表し続けることにより組織起源のエピジェネティックな記憶を維持できる。Marchetto et al., 2009, PLoS One 4(9): e7076; Ghosh et al., 2010, PLoS One 5(2): e8975; Bar-Nur et al., 2011, Cell Stem Cell 9(1): 17-23参照。エピジェネティックな記憶は、多くの細胞性ソースの分化能に影響を与えることができ、このことは、(神経前駆細胞、特定の血液系統細胞、繊維芽細胞、筋原細胞、膵島ベータ細胞及び他の膵臓細胞のような)特定の分化した細胞を作成することができ、iPS発生に関してあまり望ましくない。Kim et al., 2010, Nature 467(7313): 285-290; Polo et al., 2010, Nat Biotechnol 28(8): 848-855; Bar-Nur et al., 2011, Cell Stem Cell 9(1): 17-23; Marchetto et al., 2009, PLoS One 4(9): e7076; Ghosh et al., 2010, PLoS One 5(2): e8975参照。
従って、いくつかの文脈において、マルチ多能性(multipotent)分化能を有するより原始的(primitive)な細胞は、iPS細胞発生に関して、広い分化能をもって、より適した出発材料である。
いくつかの文脈において、環境と最小限の接触をしており、ダメージを受けていないゲノム(1又は複数)を含み、及び/又は増殖能力を有し、及び/又はインビトロ培養システムにおいて拡張するナイーブ細胞(naive cells)は、(例えば、組織、器官、及び/又は幹細胞ベースの治療に関する)細胞再プログラミングにとって所望される。出産又は出産真近の胎児又は新生児由来の特定の細胞性材料は、これらの特徴を満たすだろう。出生時に、例えば羊水細胞のような細胞性ソースは、その様な特徴を有する細胞を含むが、典型的には廃棄される。
羊水は、発達の間を通して胎児及び羊膜から液体に排出される、生きている細胞性材料を含む分子構成物(ないし成分、components)を含む。その様な排出される細胞は、胎児の発達状態を表す。胎児の生物表面(bio-surface、例えば、肺の発達)が増加するにつれ、より大きな数の排出細胞が期待される。羊水の代謝回転(ないしターンオーバー、turnover)は、24時間内に数回(several)までと高い。従って、拡張された期間、いずれかの回収された細胞も、この培地中に懸濁して存在しない。細胞性内容物は、主に胎児起源であると考えられる。
出生時に利用可能なその様な細胞性ソースを採取するために利用可能な方法は、例えば、母親及び子供の安全上の懸念に関して、完全に満足するものではない。例えば、利用可能な方法により獲得された羊水における、母体血液や空気のような汚染物質(contaminants)の存在は、無菌状態を損ない得、例えば、液体の分子構成物へのダメージ及び構造的な変化、浮遊病原菌の混入(introduction)、及び、羊水中の細胞の低酸素状態による干渉をもたらし、タンパク質の不活性化を引き起こす。効率性の欠如及び長時間の手術は、母体又は胎児への害を引き起こし得る。例えば、一般的に第1三半期又は第2三半期の間に行われる羊水穿刺は、限定された量の羊水(一般的に約2ml)を生じ、そして、(例えば、超音波誘導により)母体の腹部を介して羊膜腔に挿入される鋭いシリンジの使用が必要であり、これは胎児への害の重篤なリスク又は死亡さえもたらす(例えば、1−10%)。標準の手術室でアクティブな吸引装置を利用するM. Hallman et al., Isolation of Human Surfactant from Amniotic Fluid and a Pilot Study of its Efficacy in Respiratory Distress Syndrome, Pediatrics 1983, 71(4): 473-482に記載される方法は、吸引装置が羊膜嚢に挿入される間に子宮壁に作られた切り口を介して汚染物質をシステムに混入させる。
成人間葉幹細胞(MSCs)の使用のような胚性幹細胞単離に代わるもの及び、多能性幹細胞(iPSC)の誘導によるような、分化した細胞の多能性(pluripotent)及びマルチ多能性(multipotent)細胞への逆転は、政治上の、モラルの及び倫理的な論点のような不利な点を回避できる。その様な方法は、また、羊水回収への利用可能なアプローチに関する安全性に対する懸念をも避けることができる。それにも関わらず、成人細胞の使用は、UV照射、喫煙、農薬、及び微生物のような突然変異源に晒されることに由来するような、低下した遺伝子質のリスクを有し、変異をもたらし、そして、組織発生及び処置における癌の又は望ましくない振る舞いの原因となる。
これらの困難性に取り組む、組成物、方法、及び機器が提供される。
ある実施形態において、例えば羊水材料における医学的に価値のある構成要素(components)の回収(retrieval)のための、羊水(例えば臨月又は出産真近の羊水)の回収(ないし接取、collection)のための装置、機器、及び方法が提供される。1つの側面において、そのような回収は帝王切開の間に行われる。いくつかの側面において、その様な実施形態は、例えば母体血、空気、及び/又は他の汚染物質が含まれていない液体のような羊水の無菌的な採取に利用でき、例えば、より後の妊娠段階(例えば臨月)における羊水の安全で有効な回収に利用できる。いくつかの側面において、その様な実施形態は、羊水成分の破壊が無く又は最小限の破壊を含み、母体又は胎児への害の重篤なリスクをもたらさず、及び/又は高いパーセンテージの利用できる液体を生ずる。いくつかの実施形態において、その様な装置及び機器及び方法は、使用の便利さ及び、例えば単回使用(使い捨て)の無菌ユニットの使用、周辺空気との接触を最小にすること及び無菌状態を最大化させることによる最小限の手術手順への干渉のような、帝王切開による出産において繰り返し使用することができる特性を有する。従って、最小の構成要素(成分)の破壊を伴う羊水の安全で、無菌の、高い回収率のための方法及び装置が実施形態で提供されるものに含まれる。
細胞及び細胞フラクション(cellular fractions)を含む、そのような装置、機器、及び方法から獲得される材料の採取、単離、及び拡張のための方法及び、治療及び再生方法における使用のような医薬的な使用を含むそれらの使用、をも提供される。羊水からの細胞及び細胞フラクション及びそれと同様のものを含む組成物を含む、その様な方法、装置、及び機器の使用により得られた材料もまた提供される。
その様な細胞及び細胞フラクションを拡張し、再プログラミングし、及び分化させるための方法、(例えば、細胞及び組織発生のための)それと同様のものの使用のための方法、再生治療及びオーダーメイド治療、疾病治療及び他のプロセスもまた提供される。
A.定義
他に定められない場合、当該技術分野の全ての用語、表記法及び他の科学的な用語又は本願で用いられる学術用語は、本発明が関連する当業者に一般的に理解される意味を有するように意図される。いくつかのケースにおいて、一般的に理解される意味を有する用語は、明確化のため及び/又は参照しやすいように本願で定義され、そしてその様な本願の定義の包含は、当該技術分野において一般的に理解されるものを超える実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。本願において記載され又は参照される多くの技術及び手段は、良く理解され、当業者が従来の方法を使用するのに一般的に採用される。
この開示を通して、この発明の様々な側面が範囲(range)形式で表される。範囲形式での記載は、単に便宜及び簡潔化のためのものであることが理解されるべきであり、本発明の範囲の強固な限定と解釈されるべきではない。加えて、範囲の記載は、可能なサブ範囲の全て並びに範囲内の個々の数値が特別に開示されていると考えられるべきである。例えば、1から6のような範囲の記載は、例えば1、2、3、4、5、及び6のような範囲内の個々の数並びに、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などのようなサブ範囲が特別に開示されていると考えられるべきである。他の実施例において、週における範囲の記載はまた、週の終点の間の日(複数)の開示をも含む。これは、範囲の広さに関わらず適用する。
本願で使用される場合、用語「羊水」は、懸濁液中であろうとなかろうと、例えば、液体、固体、半固体、又はそれに含まれる細胞性構成物のような、羊膜腔に存在する全ての液体及び非液体成分に言及すると理解されることができる。
本願で使用される場合、用語「羊水回収装置」は、本願に記載される装置の例示的な実施形態の何れかに言及する。場合により「装置」と称される。
本願で使用される場合、用語「帝王切開」は、分娩に関連するか否かに関わらずとも、開腹術(laparotomy)及び帝王切開術(hysterotomy)に関連する妊婦において行われる任意の外科手術に言及すると理解されることができる。
本願で使用される場合、用語「クリオTEM、ないしcryo-TEM」は、低温透過型電子顕微鏡検査(cryo-transmission electron micrography)を意味する。
本願で使用される場合、用語「安全」は、母親及び/又は胎児への害の重篤なリスクが無い任意の方法又は装置に言及すると理解されることができる。
本願で使用される場合、用語「サイホン(siphon)」は、2点の間の液体の移送に言及すると理解されることができ、それによって、液体における2つの位置の間の圧力差は移送のためのダイナミックな力を提供する。
本願で用いられる場合、用語「胎脂(vernix)」は、子宮内において胎児皮膚により分泌される物質に言及すると理解されることができ、半固形の白っぽい塊又はこの物質の分散された凝集体として羊水中に見られる。
本願で用いられる場合、「臨月」は、少なくとも38妊娠週の妊娠の間の段階を記載する。
本願で用いられる場合、「過期(post-term)」は、41週より後の妊娠の段階を記載する。
本願で用いられる場合、細胞(単数)又は細胞(複数)を記載するために用いられる時、「単離」は、それらの自然環境から分離されている細胞(単数)又は細胞(複数)に言及し、細胞が由来する対象(例えば、患者)からの分離によるもの、及び/又は自然環境の1以上の他の成分(例えば、羊水、デブリ、胎脂、組織、組織凝集体、及び他の細胞)からの分離によるものを含む。
本願で用いられる場合、「胎児」は、胚段階の後および出生の前の成長している、ヒトのような、哺乳類由来の細胞又は他の材料の特性を記載するために使用される。本願で用いられる場合、「幼児」は、出生から1年の歳の新生の哺乳類又は若い哺乳類由来の細胞又は他の材料の特性を記載するために使用され、早産児及び新生児を含む。本願において提示される細胞及び組成物は、典型的に、妊娠の後期段階又は臨月の羊水から単離され、従って、胎児細胞及び(例えば、年齢においてわずか1日しか経っていない幼児からの)新生児(newborn)細胞又は新生児(neonate)細胞のような早期段階の幼児細胞を概して含む。
本願で用いられる場合、「多能性(pluripotent)」は、3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)のいずれかの細胞タイプに分化する細胞の能力に言及する。「マルチ多能性(Multipotent)」は、多数(multiple)であるが限られた数の系統の細胞に分化する細胞の能力に言及する。
B.羊水回収装置
羊水を回収(retrieve)するようにデザインされた方法及び機器が本願において提供される。
本発明の例示的な実施形態に従う羊水回収装置は、抽出チューブから羊水を受け取る回収(ないし集収)チャンバを含み、抽出チューブは羊膜嚢に挿入されるように形成されたインレットに接合される。抽出チューブ及びインレットは、装置が羊膜腔の全ての領域にアクセスするのに十分な柔軟性(flexibility)を有することができるように形成され、羊水回収装置が羊膜及び絨毛膜(chorionic membranes)に穿刺する(puncture)のに十分な剛性(stiffness)を有することができるように形成され、また、母体又は胎児への害の重篤なリスクをもたらさない十分な柔軟性(suppleness)を有することができるように形成される。この様に、本発明は、無菌羊水の安全で高収率な回収を可能にする。
本発明の他の例示の実施形態に従う羊水回収装置は、インレット遠位(先端)位置に主インレットと、インレットの側面位置に少なくとも1つの予備インレットを含むインレットを含む。この様に、本発明は、遅延をもたらし得る閉塞(blockages)を回避し、それにより、回収に必要な時間を減少させ、そしてその結果、母体及び胎児への害のリスクを減少させる。加えて、この実施形態は、主インレットが胎児表面に付着する場合に生じる恐れのある胎児の皮膚が傷付くリスク(risk of fetal skin-bruising)を取り除く。
本発明の更なる他の例示の実施形態に従う羊水回収装置は、抽出チューブ及び羊膜の間に実質的に不浸透(impervious)なシールを達成するように形成されるインレットを含む。この様に、装置は羊膜嚢からの回収されない羊水の放出(egress)を防止し、そして、汚染物質の羊膜嚢への侵入を防止し、その結果、回収率を増加させ、羊水の無菌性を維持する。加えて、この例示の実施形態の実質的に不浸透のシールは、羊水を移送させるためのサイホンを容易にさせ、外部吸引ソースの必要性を取り除き、その結果更に、羊水汚染のリスクを減少させる。
図1は、本発明の例示の実施形態に従った羊水回収装置100を表す。羊水回収装置100は、回収チャンバ110、回収チャンバアウトレットバルブ120、回収チャンバインレットバルブ130、近位液体抽出チューブセクション140、及び遠位液体抽出チューブセクション150を含む。遠位液体抽出チューブセクション150は、移送部分160及びインレット170を含む。インレット170は、主インレット171、貫通する先端172、及び1つ以上の側面インレット173を含む(訳注、ここの近位、遠位は、回収チャンバから見ての関係を言う)。
インレット170は、羊膜嚢に挿入され、そして羊水が、(近位液体抽出チューブセクション140及び遠位液体抽出チューブセクション150を含む)液体抽出チューブを介して[羊膜]嚢から回収チャンバ110に移送される。近位液体抽出チューブセクション140は、所望の長さの医薬等級の管(tubing)を含み得る。手順が完了した時、回収チャンバインレットバルブ130は閉じられ得、そして液体抽出チューブ140及び150が外される。回収チャンバアウトレットバルブ120は開口され得、回収された羊水を回収チャンバ110から排出する。
遠位液体抽出セクション150は、羊膜嚢に挿入されるように形成される。1つの実施形態において、遠位液体抽出チューブセクション150は、挿入された時、羊膜嚢の膜での実質的に不浸透なシールを達成するように形成される。この実質的に不浸透なシールは、多くの顕著な機能的な利点を提供する。第一に、不浸透なシールは、羊膜嚢の内側及び外側の間の圧力差を維持する。この圧力差は、わずかに高い羊水の周囲の圧力が[羊膜]嚢から回収チャンバ110への羊水の吸い上げ(siphoning)を開始することを可能にさせる。1つの実施形態において、回収チャンバ110は、インレット170の下に配置され、これにより、重力により実質的に全ての羊水材料が回収されるまで移送をしやすくする。任意の負圧ポンプが、吸い上げを開始させるように回収チャンバアウトレットバルブ120に取り付けられ得る。
実質的に不浸透のシールの第二の例示的な利点は、羊膜嚢に侵入する汚染物質の防止である。
第三の利点は、サイホンが、羊水の脱無菌化(desterilization)を促進する真空ポンプの必要性を取り除くというものである。
第四の利点は、シールはまた、羊膜嚢からの回収されていない羊水の排出を防ぎ、それにより、収率を増加させ、そして視認性を改良し、分娩のための物理的なアクセスを改良する。
1つの例において、遠位液体抽出セクション150の材料は、実質的に不浸透のシールが、遠位液体抽出セクション150および1以上の羊膜嚢の膜の間に形成されるように選択される。ある実施形態において、遠位液体抽出セクション150は、ポリビニルクロリド(「PVC」)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリウレタン、又はポリ(プロピレンカルボナート)、又は任意の適切なそれらの組み合わせから製造される。いくつかの実施形態において、軟化剤は、要求される剛性の必要性に応じて添加され得る。如何なる理論にも拘束されずに、任意の適切な成形可能なポリマープラスチックが、遠位液体抽出セクション150を製造するために使用され得る。他の実施形態において、ナイロン、シリコーン及びポリプロピレンが使用される。如何なる理論にも拘束されずに、羊膜嚢を貫通するのに充分な強さである限り、更には、胎児への害の実質的でないリスクをもたらすのに充分にしなやかである限り、任意の適切な材料が、鋭い遠位液体抽出セクション150の末端のために使用され得る。切断角度及び材料特性は、遠位液体抽出セクション150の機能に貢献する。いくつかの実施形態において、切断角度は、約0度と約90度の間である。好ましい実施形態において、切断角度は、約25度と約75度の間である。ある実施形態において、角度の凹形態又は凸形態は、カテーテル材料に依存して採用され得る。更なる実施形態において、柔らかい材料のリングが、実質的に不浸透なシールの形成をしやすくするためにカテーテル管(catheter tubing)の外側に付けられる。
1つの実施形態において、遠位液体抽出セクション150及び近位液体抽出装置140の寸法(直径)は、迅速な液体抽出を得るのに充分に大きいが、サイホンの開始を妨げるほど大きくない。Frと略されるフランス式寸法又はフランス式ゲージシステム(French gauge system)は、カテーテルの大きさを測定するために一般的に使用される。1フレンチ(1 French)のカテーテルは、1/3mmの直径を有し、それ故、ミリメートル[の単位]での円形カテーテルの直径は、フレンチ式サイズを3で割ることにより決定できる:D(mm)=Fr/3。いくつかの実施形態において、約13から約34の範囲(外径に関して約4.3mmから約11.3mm)のフレンチゲージカテーテルは、臨床設定において使用される。内径は、使用される材料に依存する。如何なる理論にも拘束されずに、材料の剛性及び操作性を維持するために適切な任意の内径が使用され得る。
1つの実施形態において、遠位液体抽出セクション150の材料は、回収の間液体を流し出す時に、ユーザがインレット170を胎児の周りの液体のポケット内に入れるように操作することが可能なように充分な柔軟性を与えるように選択される。この様に羊水の収率は更に増加する。ある実施形態において、遠位液体抽出セクション150は、ポリビニルクロリド(「PVC」)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリウレタン、又はポリ(プロピレンカルボナート)、又は任意の適切なそれらの組み合わせから製造される。いくつかの実施形態において、軟化剤は、要求される剛性の必要性に応じて添加され得る。如何なる理論にも拘束されずに、任意の適切な成形可能なポリマープラスチックが、遠位液体抽出セクション150を製造するために使用され得る。他の実施形態において、ナイロン、シリコーン及びポリプロピレンが使用される。
1つの実施形態において、インレット170は切開器具及び回収システムインレットの両方の役割を果たす。1つの実施形態において、インレット170は羊膜嚢の貫通が可能であるように形成されるが、また胎児への損傷を最小限にする。1つの側面において、遠位液体抽出セクション150と同様に、遠位液体抽出セクション150が羊膜嚢を貫通するのに充分な強さであるが、胎児への害の実質的でないリスクをもたらすのに充分にしなやかであるように、インレット170の寸法及び材料は選択される。1つの側面において、貫通する先端172は、約0度から約90度の角度である。好ましい実施形態において、貫通する先端172は、約25度から約75度の角度である。ある実施形態において、角度の凹形態又は凸形態は、カテーテル材料に依存して採用され得る。いくつかの実施形態において、貫通する先端172は、約25度、約30度、約35度、約40度、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、又は約75度の角度である。1つの実施形態において、貫通する先端172は、25度未満の角度である。他の実施形態において、貫通する先端172は、75度より大きい角度である。1つの実施形態において、貫通する先端172は、45度の角度である。いくつかの実施形態において、インレット170は、ポリビニルクロリド(「PVC」)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリウレタン、又はポリ(プロピレンカルボナート)、又は任意の適切なそれらの組み合わせで構成される。いくつかの実施形態において、軟化剤は、要求される剛性の必要に応じて添加され得る。如何なる理論にも拘束されずに、任意の適切な成形可能なポリマープラスチックが、インレット170を製造するために使用され得る。他の実施形態において、ナイロン、シリコーン及びポリプロピレンが使用される。1つの実施形態において、インレット170の内径は10mmである。1つの実施形態において、インレット170の内径は約10mmである。ある側面において、インレット170の内径は、約8.0mm、約8.1mm、約8.2mm、約8.3mm、約8.4mm、約8.5mm、約8.6mm、約8.7mm、約8.8mm、約8.9mm、約9.0mm、約9.1mm、約9.2mm、約9.3mm、約9.4mm、約9.5mm、約9.6mm、約9.7mm、約9.8mm、又は約9.9mmである。ある側面において、インレット170の内径は、約10.1mm、約10.2mm、約10.3mm、約10.4mm、約10.5mm、約10.6mm、約10.7mm、約10.8mm、約10.9mm、約11.0mm、約11.1mm、約11.2mm、約11.3mm、約11.4mm、約11.5mm、約11.6mm、約11.7mm、約11.8mm、約11.9mm、又は約12.0mmである。1つの実施形態において、インレット170の外径は、12.5mmである。1つの実施形態において、インレット170の外径は、約12.5mmである。ある側面において、インレット170の外径は、約10.5mm、約10.6mm、約10.7mm、約10.8mm、約10.9mm、約11.0mm、約11.1mm、約11.2mm、約11.3mm、約11.4mm、約11.5mm、約11.6mm、約11.7mm、約11.8mm、約11.9mm、約12.0mm、約12.1mm、約12.2mm、約12.3mm、又は約12.4mmである。ある側面において、インレット170の外径は、約12.6mm、約12.7mm、約12.8mm、約12.9mm、約13.0mm、約13.1mm、約13.2mm、約13.3mm、約13.4mm、約13.5mm、約13.6mm、約13.7mm、約13.8mm、約13.9mm、約14.0mm、約14.1mm、約14.2mm、約14.3mm、約14.4mm、又は約14.5mmである。
様々なプラスチック及び寸法が、胎児における影響を模倣するように、低い角質化のヒトの皮膚領域(即ち、貫通又は組織ダメージへの高い感受性を有する領域)におけるテストと組み合わせ、分娩後に廃棄される羊膜におけるテストにより実験的に決定されている。
いくつかの実施形態において、インレット170は、1以上の側面インレット173を含む。側面インレット173は、主インレット171が羊膜腔内の任意の表面(例えば、羊膜、絨毛膜、又は胎児)に接触する場合に生じ得る破壊を防止するために備えられる。更に、側面インレット173は、主インレット171が羊膜、絨毛膜、又は外側胎児表面に付いた場合の、圧力解放システムを提供する。その様な圧力解放システム無しでの羊水回収装置の使用は、吸引システムの中断又は胎児からの装置の物理的な操作が要求される(これらのそれぞれは、中断された回収及び、長時間の皮膚の損傷(long-term skin-bruising)のような胎児への害の高いリスクを生じ得る)。この実施形態の1つの側面において、インレット170は、羊水回収装置100の作動の間、予備のインレット(複数)173が羊膜嚢に常に沈められることを保証するサイズにされるべきであり、この側面において、予備のインレット173の全てが沈められない場合には、空気が装置の中に誘導されるであろうし、液体の流れを消しそして取得物(yield)を汚染する。1つの実施形態において、インレット170は、約1.5cmから約15.0cmの長さである。1つの実施形態において、インレット170は、10cm未満の長さである。いくつかの実施形態において、インレット170は約1.5cm、約2.0cm、約2.5cm、約3.0cm、約3.5cm、約4.0cm、約4.5cm、約5.0cm、約5.5cm、約6.0cm、約7.5cm、約8.0cm、約8.5cm、約9.0cm、約9.5cm、約10.0cm、約10.5cm、約11.0cm、約11.5cm、約12.0cm、約12.5cm、約13.0cm、約13.5cm、約14.0cm、約14.5cm、又は約15.0cmである。いくつかの実施形態において、インレット170は15.0cmより大きい長さである。
本願に記載される羊水回収装置100は、回収される羊水の汚染を最小とするように構成される。1つの実施形態において、汚染の更なる減少は、例えば2、3例挙げると、窒素、キセノン、又は一酸化窒素(しかし、これらに限定されない)のような不活性又は医薬的に関連するガスで装置を予め満たす(pre-filing)ことにより達成される。そのようなものとして、1つの実施形態において、装置の先端は、装置の挿入の直前に取り外すために、先端のインレットの穴を覆う取り外し可能なシール(図示されていない)を旋され得る。
いくつかの実施形態において、主インレット171の寸法は、胎脂、血栓(blood clots)、又は液体回収装置100にある他の材料により詰まることを避けるように選択される。外部の吸引を頼りにする羊水回収装置において、吸引圧力は、詰まりを解消するように増加され得るが、空気及び他の汚染物質がシステムに混入するリスクを増加させ得る。本発明の実施形態において、主インレット171の内径が、近位液体抽出チューブセクション140及び/又は遠位液体抽出チューブセクション150の内径よりも広くないように、インレット170を構成することにより詰まりは妨げられ得る。更に、他の実施形態において、インレット170の外周に位置する側面インレット173の最大直径はインレット170の内径よりも狭くされ得る。
例示する目的のために、上記の例示的な実施形態の多くの構造及び機能は、単一の装置に関連して記載されているが、本発明の範囲を逸脱することなく、これらの構造及び機能の何れかが単独で又は任意の組み合わせで利用され得ることが即座に理解されるべきである。
上記の羊水回収装置は、無菌のすぐに使える(ready-to-use)形態に予めパッケージされ得る(pre-packaged)。更には、外部の取り外し可能なカバーは、インレット(1又は複数)をシールするために使用され得、それにより、無菌性が維持され、そして、もし使用されれば、先端が完全に羊膜腔に挿入されるまで管内に医薬的に関連するガスを含む。いくつかの実施形態において、この取り外し可能なカバーは、インレット170の1以上の機能を行うように形成され、貫通する先端を含み、羊膜嚢を貫通するのに充分な剛性を有する。
C.羊水の回収、並びに、細胞の単離、培養、再プログラミング及び分化
羊水を回収するための方法および羊水から細胞を単離するための方法が提供される。幾つかの実施態様において、本方法は、例えば、本発明に従う装置を使って羊水を回収することによって実行される。他の実施態様において、本方法は、羊水から胎児の細胞および/または幼児の細胞、例えば、羊水との立体的配置関係で(in topological connection)胎児上皮表面から得た細胞を獲得することを含む。
妊娠の後期または臨月での羊水の回収
典型的には、羊水は妊娠の後期または臨月において、例えば、第2三半期よりも後の段階若しくは妊娠21週よりも後の段階、例えば、少なくとも、妊娠22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40又は41週で、第3三半期中、あるいは、臨月(少なくとも妊娠38週)で、あるいは過期(妊娠41週を越えて)で、回収される。1つの実施例において、羊水は、帝王切開の出産、例えば、臨月の帝王切開中の出産、例えば、殿位(逆子)、以前の帝王切開の出産、または、普通分娩で出産することの恐れなどの複雑でない事情によって実行される、帝王切開の出産の間に単離される。
臨月の、または後期(late term)の羊水から細胞を獲得することは、妊娠初期段階中、例えば、羊水穿刺による、第1または第2三半期での羊水の回収と比較して、胎児と母体の危険を最小にできる。さらに、羊水の量と入手可能な細胞の数は、臨月妊娠に向かって次第にないし進行的に(progressively)増加する。臨月または臨月に近い段階での羊水の回収は、高い収率を獲得することができる。一つの局面において、羊水は、少なくともまたはおよそ、10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、1000mL、1500mL又は2000mLの容量が一人の患者から得られる。やや遅い妊期よりもむしろ後期または臨月での羊水からの細胞の単離は、突然変異誘発物質および損傷への暴露の危険を減じることもでき、生まれたままの(naive)、または、生まれたままにより近い状態の(more naive states)ゲノムの細胞を獲得する。
さらに、後期または臨月羊水から得られた細胞は、独特の特徴を有する。例えば、羊水培地に流された細胞の細胞構成(ないし組成 composition)、遺伝子発現プロフィールおよび分化状態は、妊娠期間、つまり、胎齢にわたって変化する。母性ホルモンの発現も、妊娠の段階によって変わる。例えば、肺サーファクタント生成は、まさに予定日に先がけて達する最大量で、妊娠30週あたりから始まる。胎盤を通過するためにホルモンが十分に小さいので、母性ホルモンの変化は胎児循環に反映され、それによって、胎児の細胞を成長する信号とエピジェネティックなプロフィール(epigenetic profile)に影響できる。例えば、臨月産前の最後の週における母性コルチゾールでの急増は、胎児のタイプII肺細胞の成熟を引き起こし、肺サーファクタント(空気呼吸のために必要である)の生成を促進する。タイプII肺細胞のこの成熟は、個人の人生にわたって維持される。従って、胎児の細胞でのエピジェネティックな変化(epigenetic alteration)は、妊娠の段階と関連する。従って、後期の段階、例えば臨月の、妊娠の環境は、独自の特徴を、成熟状態、細胞機能、およびトランスクリプトームプロフィールを含む胎児の細胞に与える。
妊娠中、羊水は2日ごとに置換/リサイクルされる。これは、羊水に存在する細胞内容物(content)がほとんど生存可能であり、また、胎児の妊娠期間と関連した特質を有することを保証する。そのようなものとして、臨月産の時に得られる細胞物質は、より早期の時点からの細胞物質とは異なって独特である。肺から分泌された約200〜400mLの流体、および尿、細胞内外の空間から出る残りの流体によって、流体に存在する細胞の多くのタイプが潜在的に存在する。また、羊水のオスモル濃度の重要な減少があるので、第3三半期での嚥下および腎臓機能の増加が、細胞構成と成長能力にも影響し得る。Modena and Fieni, 2004, Acta Biomed 75 Suppl 1: 11-13.
羊水回収
図3は、本発明の典型的な実施態様に従う、羊水回収の方法300のブロック図である。方法300は、任意の数の追加的または代替的な作業を含み得ることを認識すべきである。図3に示された作業は、説明された順番において実行される必要がなく、また方法300は、ここに詳細に説明されない追加の機能を有する、より包括的な手続またはプロセスに組み入れられ得る。方法300は、図1と2において説明される実施態様を用いて実施できて、例示的な目的のために、方法300の下記の説明は、図1と2に関連して上述した要素を参照できる。
図3に示されるように、方法300は、例えば、帝王切開中の妊婦の子宮壁の切開301を含む。ステップ301は標準的な医師のメスで実行できる。また、図3に示されるように、方法300は、ステップ301において成された子宮壁の切り口を通して羊水回収装置302を挿入することを含む。ステップ302において使用される羊水回収装置は、図1と2に関して上述された任意の実施態様を含んでよい。方法300は、ステップ302の羊水回収装置を使用して羊膜に貫通すること303も含む。ステップ303は、絨毛膜に貫通することも含み得る。一つの局面において、先端は10cmの深さまで挿入される。幾つかの実施態様において、先端は約3cmから約30cmの深さまで挿入される。幾つかの実施態様において、先端は、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約11cm、約12cm、約13cm、約14cm、約15cm、約16cm、約17cm、約18cm、約19cm、約20cm、約21cm、約22cm、約23cm、約24cm、約25cm、約26cm、約27cm、約28cm、または約29cmの深さまで挿入される。
方法300は、ステップ302の羊水回収装置を使用して羊膜嚢から羊水304を回収することをさらに含む。 ステップ304は、羊水回収装置のインレットバルブを開口すること等によって、羊水を羊水回収装置の回収チャンバに移送するためにサイホンを起動させることを含んでよい。ステップ304は、羊水回収装置のインレットの下に羊水回収装置の回収チャンバを配置することも含んでよい。 ステップ304は、羊水の移送を開始するために負圧ソースを羊水回収装置のアウトレットに接続することも含んでよい。ステップ304は、入手可能な羊水のうちの実質的にすべてを回収するために羊水回収装置のインレットを再配置することを含んでよい。
最後に、方法300は、羊水回収装置を羊膜嚢から取り除くこと305を含む。ステップ305は、羊水回収装置のインレットバルブを閉じることを含んでよい。1つの実施例では、回収された物質中に血液は可視できない(肉眼視できない)。ステップ305は、さらなる使用/処理するために回収システムを空にして、装置全体の外面ないし外側を殺菌することも含んでよい。1つの実施態様において、例えば、本発明に従う細胞物質の単離および羊水保存のために、薄層エアーフローベンチセットアップ(laminar air flow bench setup)などの任意の処理後ステップで、殺菌が維持されるように、外面は70%エタノールを使用して殺菌される。
1つの実施態様において、羊水回収の方法は1分未満で実行される。1つの実施態様において、羊水回収の方法は、1分から2分で実行される。1つの実施態様において、羊水回収の方法は3分以内で実行される。1つの実施態様において、本方法は、例えば、手術の傷中への羊水の流出を防止することによって、帝王切開の標準的な手術方法に比べて簡素化され、視界および物質的なアクセスを改善する。1つの実施態様では、胎児の皮膚は装置の先端によって影響を受けない。
羊水由来細胞の単離、培養、二次培養、再プログラミング、及び分化
また、例えば、ここに提供された方法および装置を使用して回収される羊水、例えば、後期の段階または臨月の羊水から細胞の単離のための方法が提供される。1つの実施態様において、(装置の)外面の殺菌後に、装置は薄層エアーフローベンチに移動され、そこで回収チャンバからのアウトレットは羊水の除去のために開かれる。羊水の一部は参考の目的のために保管できる。
1つの実施態様において、例えば、胎脂と大きい組織のデブリ(切り屑)の凝集体を分離するため、羊水は濾過されてデブリを除去する。多くの適切な濾過方法が知られており、この実施態様に関連して使用され得る。1つの実施例において、羊水は100ミクロンナイロンメッシュを通して濾過される。濾過の後に、勾配、例えば、密度勾配、例えばサッカロース勾配、またはフィコールサッカロース勾配を使用する遠心分離、例えば、ディファレンシャル遠心分離によって、細胞が分離される。1つの実施例において、500gで室温5分間の遠心分離のためにフィコール400サッカロース勾配が使用される。勾配遠心分離に続いて、細胞を包含する層が、例えばピペットによって回収できる。
細胞は、収率を決定するためにカウントできる。1つの実施態様において、本方法は、少なくともまたは約、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の生存能力のある細胞を産する。好適な実施態様において、本方法は、少なくともまたは約50%の生存能力のある細胞を産する。1つの実施態様において、本方法は、回収した羊水1リットルにつき、少なくとも若しくは約、100万、200万、300万、400万、500万、600万、700万、800万、900万又は1000万の生存能力のある細胞を産する。
いくつかの実施態様で、例えば、細胞を増やすために、単離された細胞が培養される。1つの実施例において、細胞は、所望の細胞のタイプに適切な成長培地を含有する、培養容器、例えばフラスコ、に移される。典型的な培地は、胎児子牛血清(FCS)、線維芽細胞/間葉幹細胞成長培地、内皮細胞成長培地(ECM)、および末梢気道上皮成長培地(SAGM)が補充されるDMEMである。1つの実施態様において、線維芽細胞成長培地が使用される。1つの実施態様において、間葉幹細胞成長培地が使用される。1つの実施態様において、内皮細胞成長培地が使用される。1つの実施態様において、末梢気道上皮成長培地が使用される。どのような理論にもとらわれずに、他の細胞培養培地は、ある実施態様において使用され得る。1つの局面では、単離された細胞は、培地で、少なくとも若しくは約、1週間、2週間、3週間、4週間、又は5週間培養される。ある局面では、単離された細胞は、培地で、少なくとも若しくは約、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、又は30日間、培養される。フローサイトメトリー、顕微鏡、および他の既知の手法(ないし手段)は、培養された細胞の挙動と表現型を評価するために用いられ得る。
1つの実施態様において、細胞は、例えば、二次培養(sub-cultures)で増殖される。1つの実施例において、細胞は増殖され、少なくとも若しくは約、10日間、20日間、30日間、40日間、50日間、60日間又は70日間、あるいは30回の細胞倍化まで、またあるいは、細胞が少なくとも、1万、10万、20万、30万、40万、50万、又は、100万、200万、300万倍まで増えるまで、またあるいは、細胞が老化に達するまで、若しくは、老化に達する直前まで、増殖される。
1つの実施態様において、Oct−4の高い発現が、子宮内低酸素張力と一致する、低酸素の二次培養によって維持される。
また、再生治療法などで、例えば、細胞または組織の所望のタイプを生成するために、細胞を再プログラムし、分化するための方法が提供される。ある実施態様において、細胞は、多能性(pluripotent)またはマルチ多能性(multipotent)段階などへ、分化の程度が低い段階に再プログラムされる。多能性の幹細胞(iPSC)の誘導などの再プログラム方法が知られており、多能性またはマルチ多能性の細胞を生成するために、細胞の分化を(未分化状態に)戻すよう使用でき得る。典型的な方法は、Takahashi and Yamanaka, 2006, Cell 126(4): 663-676, and in Yu et al., 2007, Science 318(5858): 1917-1920において説明される。
いくつかの実施態様において、細胞、例えば多能性またはマルチ多能性細胞は、所望の細胞のタイプないし組織のタイプに分化される。1つの局面において、細胞は所望の細胞のタイプないし組織のタイプの生成のための条件で培養され、所望の細胞のタイプないし組織のタイプには、例えば、内胚葉、外胚葉、または中胚葉由来の組織、肝細胞または組織、内分泌組織、肺細胞または組織、血球、骨髄細胞、ニューロン細胞、アストログリア細胞、心臓細胞または組織など、例えば 、心筋細胞、視覚細胞または組織、神経細胞または組織、脳細胞または組織、筋肉細胞または組織、皮細胞または組織、すい臓の細胞または組織、例えばβ細胞、脂質生成細胞、軟骨形成細胞、骨形成細胞、および神経細胞がある。ある実施態様において、細胞は、他の細胞のタイプの内(among)、ニューロン、肝臓細胞、膵島細胞、腎臓細胞、および造血細胞に分化される。いくつかの実施態様において、細胞は、すべての3つの胚葉を発現する細胞タイプに分化される。いくつかの実施態様では、細胞は、再プログラムに続き、胚葉にわたる(across germ layers)効率的な分化能力を維持する。1つの局面において、細胞は、ヒトの胚性幹細胞または細胞株に比べて、より高い造血能力を有する。そのようなヒト胚性幹細胞株(ないし系)のうち一つはH9である。別の局面では、細胞は、ほぼ100%のニューロン細胞の分化能力を有する。いくつかの実施態様において、細胞は造骨細胞または脂肪細胞に分化される。
分化方法はよく知られている。多くの既知の方法のうちの何れもこの実施態様に関連して使用されてよく、例えば、Haasの米国特許番号7,596,385、米国特許公開番号US2005/0054093、及びUS2005/0042595、並びにAtala et al.の米国特許公開番号US2005/0124003及び国際特許公開番号WO03/042405に記載の方法、並びに、“Teratocarcinomas and embryonic stem cells: A practical approach,” E. J. Robertson, ed., IRL Press Ltd. 1987; “Guide to Techniques in Mouse Development,” P. M. Wasserman et al. eds., Academic Press 1993; “Embryonic Stem Cell Differentiation in vitro, M. V. Wiles, Meth. Enzymol. 225: 900, 1993; “Properties and uses of Embryonic Stem Cells Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy,” P. D. Rathjen et al., Reprod. Fertil. Dev. 10: 31, 1998; 及び “Stem cell biology,” L. M. Reid, Curr. Opinion Cell Biol. 2: 121, 1990.に記載の方法がある。
分化誘発剤、成熟剤及び成熟因子も、特定の細胞タイプに分化するためによく知られており、米国特許番号6,506,574(Rambhatla et al.)に記載の剤などがあり、例えば、肝細胞への分化のためのN−ブチラート 、および他の成熟剤、成熟因子、成長因子、ペプチドホルモン、サイトカイン、リガンドとレセプターの複合体、コルチコステロイド、レチノイン酸、および、DMSO、cAMP上昇剤を含む糖質コルチコイド、メチルイソブチルキサンチンおよびインドメタシンなどの有機溶媒である。分化剤(複数)の選択は、所望の細胞または組織タイプに依存するであろう。
本発明の様々な実施態様が上述されているが、制限されることなく、例示のみとして提示されていることを理解されるべきである。同様に、様々な図は、本開示に含むことができる特徴と機能の理解を助けるためになされる、開示のための例示的構造または他の形態を描くことができよう。本開示は、例示された実施例の構造または形態に限定されず、様々な代替となる構造と形態を使用して実施できる。さらに、本開示は様々な典型的な実施態様と実施例について上記に説明されるが、個々の実施態様のうちの1つ以上において説明された様々な特徴と機能が、それらの適応性において、それらが記載された特定の実施態様に制限されないことが理解されるべきである。そのような実施態様の記載の有無に関わらず、また、そのような特徴が説明された実施態様の一部であるように示されるか、されないかに関わらず、代わりに、それらは単独またはいくつかの組み合わせで開示の1つ以上の他の実施態様に適用できる。従って、本開示の幅ないし広がりと範囲は、上記で説明された典型的な実施態様のうちの何れによっても制限されるべきではない。
D.羊水由来の胎児細胞及び幼児細胞
胎児細胞及び幼児細胞などの羊水から単離される細胞も提供される。一般に、細胞は豊富な量で存在する。1つの実施例として、(本発明の)細胞は、培養、細胞培養での拡大、再プログラミング、分化、および/またはクローンの選択ができる。別の実施例として、細胞は接着性である。別の実施例としては、細胞は、無傷のゲノム、例えば、間葉幹細胞などの成熟した供給源から得られる細胞よりも、より少ない変異を有するゲノムを含む。
1つの局面において、細胞は、そのほとんどまたは非常に低いレベルで発現しないか、またはCD45などの造血マーカーを発現しない。別の局面では、細胞はCD90やCD34などの前駆マーカーの表面発現を有する。別の局面では、細胞はCD73の表面発現を有する。いくつかの実施態様では、細胞群の約99%がCD90の表面発現に陽性で、細胞群の約0%がCD45の表面発現に陽性で、細胞群の約98%がCD73の表面発現に陽性で、細胞群の約14%がCD34の表面発現に陽性である。いくつかの実施例において、細胞群の少なくともまたは約、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%がCD90、CD34および/またはCD73の表面発現に陽性である。別の局面では、細胞は、CD105の表面発現に、または低レベルでのCD105の発現に陰性である。1つの実施例では、細胞群の非常に少ないパーセンテージ(10、5、4、3、2、1、0.5%又はそれら未満又は約、10、5、4、3、2、1、0.5%、あるいは、わずかな細胞)だけがCD105および/またはCD45あるいは他の造血マーカーの表面発現に陽性である。
1つの実施例において、細胞は線維芽細胞様形態と成長特性を表し、例えば、光学顕微鏡を使用して観察する時に、線維芽細胞として、同様な形、サイズ、および接着特性を有する。別の実施例では、細胞は、オリジンとして、上皮間葉である。
1つの実施例では、細胞は、高い増殖能力、(少なくとも、10、20、30、40、50、60、70日若しくはそれ以上の日数の継続培養において成長する能力、培養において、少なくとも30回の細胞倍化で増殖する能力、または、培養で少なくとも、1万、10万、20万、30万、40万、50万、若しくは100万、200万、あるいは300万倍に拡張する能力など)を有する。いくつかの実施例で、細胞は死ぬべき運命であり、即ち、培養内で永久に生きることはできない。いくつかの実施例では、細胞はマルチ多能性または多能性であるか、またはマルチ多能性または多能性の細胞タイプに再プログラムできる。
E.細胞の使用
ここに提供された細胞は、治療、処置、病気防止、薬の発見、個別医薬、再生医学、組織及び細胞生成、並びに、世界的なドナーバンクなどの様々な治療や他の応用において有用である。細胞は、世界的なドナーバンクだけでなく、組織工学目的、移植、生体内または試験管内治療分子生産の両方の個別医薬応用において、適切である。従って、提供された細胞の使用の方法、およびそのような治療および他の方法に使用するための組成物も提供される。
いくつかの実施態様において、ここに提供される羊水および/または細胞は、例えば、培地または緩衝剤と、例えば、極低温保存を必要とするバイオバンクに保存するための凍結防止剤を含む凍結防止用溶液で凍結保存される。いくつかの局面で、細胞は保存前と保存後の操作を受けるべきものである。
細胞は、標準的な技術を使用して凍結保存されてよい。凍結保存で使用するための培地の実施例は、ダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)、培地199(M199)、F-12培地、およびRPMI培地である。緩衝剤の例はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。凍結防止剤の例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)とグリセロールである。凍結防止用溶液の例は下記である:DMEM/グリセリン(1:1)、DMEM/7.5% DMSO、M199/7.5% DMSO、およびPBS/3.5M DMSO。任意で、サンプルは凍結保存に先がけてペニシリンやストレプトマイシンなどの抗生物質によって処理できる。凍結保存が、迅速な急速冷凍方法を使用して実行できるか、または、より従来的な制御した速度の凍結方法によって実行できる。羊膜の組織の急速な凍結は、サンプル(複数)を、凍結防止用溶液を含む凍結管に配置し、その後、凍結管を液体窒素に急速に浸すことによって実行できる。一般に、遅い凍結は、サンプル(複数)を、凍結防止用溶液を含む凍結管に配置し、その後、凍結管を−70℃フリーザーに配置することによって実行できる。代替として、サンプル(複数)は、標準の極低温に適した速度制御システムを使って、制御した速度の凍結を受けることができる。細胞の産物は、成長因子、サイトカイン、及び他の生物学的反応修飾因子などの因子を生成するために、生体内または生体外のいずれかで、再建ないし再生処置において使用できる。
いくつかの実施態様において、細胞は、遺伝子組換方法(既知の遺伝子組換技術を使用して関心ある遺伝子を導入する、例えば、TERT(テロメラーゼ逆転写酵素)遺伝子の導入によって細胞の生存能力を高めるか、または細胞不死にするために遺伝子を導入するトランスフェクション手法など)で使用される。
分化された細胞など、ここに提供された細胞、組成物および組織は、制限されないが下記の疾病の処置に有益である:不妊症、肝硬変、すい臓炎、糖尿病、パーキンソン病、脊髄損傷、ストローク、火傷、心臓病、骨関節炎、リューマチ性関節炎、癌、白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、急性混合型白血病、および急性未分化白血病;慢性骨髄性白血病、慢性リンパ細胞白血病、若年性慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病;リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、複骨髄腫、プラズマ細胞白血病、乳ガン、ユーイング肉腫、神経芽腫、腎臓細胞癌、遺伝性血液疾患、アルツハイマー病などの脳疾患、不応性(難治性)貧血、環状鉄芽球の不応性(難治性)貧血、形質転換での超過芽球の不応性(難治性)貧血、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、赤芽球癆、急性骨髄線維症、原発性骨髄線維症、骨髄線維症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、チェディアック・東症候群、慢性肉芽腫性疾患、好中球アクチン欠乏症、細網異形成症、ムコ多糖症、ハーラー症候群、シャイエ症候群、ハンター症候群、サンフイリッポ症候群、モルキオ症候群、マロトー・ラミー症候群、スライ症候群、ベータグルクロニダーゼ欠乏症、副腎白質ジストロトフィ、ムコリピドーシスII、クラッベ病、ゴーシェ病、ニーマンピック病、ウォルマン病、異染性白質ジストロフィ、家族性血球貪食性リンパ組織球増多症、組織球増殖症X、血球貪食、遺伝性赤血球異常、ベータサラセミア・メジャー、鎌状赤血球病、遺伝性免疫系疾患、毛細血管拡張性運動失調、コストマン症候群、白血球接着不全症、ディジョージ症候群、不全リンパ球症候群、オーメン症候群、重症複合型免疫不全症、分類不能型免疫不全症、ウィスコット・アルドリック症候群、X連鎖リンパ球増殖性疾患、他の遺伝性疾患、レッシュ・ナイハン症候群、軟骨毛髪形成不全症、グランツマン血小板無力症、大理石骨病、遺伝性血小板異常、無巨核球形成症、先天性血小板減少症、形質細胞疾患、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症。
ある実施態様において、細胞は、自己/異種の組織再生/置換療法〈角膜上皮欠損、軟骨治療、顔の削皮術、皮の外傷性損傷のための火傷や創傷包帯、粘膜膜 鼓膜、腸の内層、および神経構造を含む〉において使用される。例えば、心筋性能の増加は、心筋の性能を強化し、末期の心疾患を処置するために、損われた心筋に細胞の移植(細胞の心筋形成術(CCM))により達成できる。例えば、Cao et al., 2002, “Stem cell repair of central nervous system injury,” J Neuroscience Res 68: 501-510.に記載されるように、細胞は、多くのCNS疾患の治療のために使用されてもよい。細胞は、また、損われた組織の再建処置において、分化された細胞が生産された組織の再生のための担体に埋め込まれたセルシート、分散された細胞および細胞の外科的移植によって使用できる。細胞は、組織工学によって作製された構成物においても使用できる。そのような構成物は、細胞成長に適切な足場ないし骨格に形成された生体適合ポリマーを含む。足場は、熱バルブ、容器(チューブ状)、平面の構成物、または任意の他の適切な形状に形成できる。そのような構成物は既知であり、国際特許公開番号WO02/035992、米国特許番号6,479,064、6,461,628などに記載されている。
明瞭さの目的のために、異なる機能的ユニットおよび/または細胞回収装置のモジュールに関連して、上記の説明が本発明の実施態様を説明していることを認識されるであろう。しかしながら、本発明を逸脱せずに、異なる機能的ユニット、モジュール、またはドメイン間の機能の任意の適切な分布(ないし組合せ)も使用してよいことが明白である。例えば、別個のモジュールにより実行されるように説明された機能は、同じモジュールにより実行できる。後に、具体的な機能的ユニットの参照は、厳密な論理的な、または物質的な構造または組織を暗示するよりも、むしろ、説明された機能を提供するための適切な方法の参照としてのみ見られるべきものである。
本明細書で使用される用語と表現ないしフレーズ、および、そこからのバリエーションは、違った形で明確に述べられない限り、制限と対比されるように制約はないものとして解釈されるべきである。前記の例として:「含む」という用語は、「制限なしで含む」または同類の意味として読まれるべきである;用語「実施例」(example)は、完全なものでもまたはそこから制限するリストでもなく、議論においてアイテムの典型的な例示を提供するために用いられる;そして、「従来の」「伝統的」「通常」「標準」「知られている」などの形容詞 および同様な意味の用語は、一定期間に、または一定期間の入手可能なアイテムに、記述されたアイテムを制限するように解釈されるべきでない。しかし、代わりに、これらの用語は、従来の、伝統的、通常、または、現在知られている、若しくは、将来の任意の時点で利用可能であり得る、標準的な技術を包含するように読まれるべきである。その上、「および」という連結句と結び付けられたアイテムの群は、群においてそれらのアイテムのうちの個々のおよびすべての1つが存在することを必要とするように読まれるべきではなく、むしろ、違った形で明確に発現されない限り、「および/または」として読まれるべきである。同様に、「または」という連結句と結び付けられたアイテムの群は、その群内の相互の排他性を必要とするように読まれるべきではなく、むしろ、また、違った形で明確に述べられない限り、「および/または」として読まれるべきである。さらに、開示のアイテム、要素、または構成要素は、単数形において説明されるか、またはクレームされるが、単数形への制限が明示的に述べられない限り、複数は、その範囲内にあると予想される。例えば、「1つの(a)」装置は1つ以上の装置を含む。いくつかの実施例において「1つ以上」「少なくとも」「に制限されない」、または他の同様な表現などの広い言葉および表現の存在は、そのような広い表現がないかもしれない実施例において、より狭いケースが意図されるかまたは必要であることを意味するように読まれてはならない。
以下の実施例が、本発明の様々な局面をさらに説明し例示することを意図しているが、明白であるかまたは潜在的であるかに関わらず、任意の手法、形状、形態における本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
実施例1:羊水細胞の単離
インフォームド・コンセントの後に、複雑でない事情(逆子、以前の帝王切開の出産、または、普通分娩での出産の恐怖)のためでの臨月の帝王切開で、羊水が健康な妊娠した女性から回収された。メスによる子宮壁の切り込みのすぐ後に、本明細書で記載された装置の先端が、胎膜を通して約10cmの深さに挿入され、羊水が回収された。この実施例で、収量は全部で約1200mlであった。回収バッグへのインレット/ホースが閉じられ、そして装置は取り除かれた。物質/羊水の液〈白色/黄色気味を呈する濁った流体であった〉中に血液は可視できなかった。回収操作は1分未満を要した。装置の先端は、胎脂による詰まりを経験しなかった。さらに、羊水(最高1.5リットルまで)が手術の傷にこぼれなかったので、可視性と物理的なアクセスが優れ、操作スタッフは、帝王切開のための標準の操作手順に比べて操作手順を簡素化されることを見出した。さらに、胎児の皮膚は装置の先端による影響を受けなかった。
回収された物質を含有する装置は、冷却ボックスに入れられて、細胞培養ラボに直ちに移送され、装置は70%エタノールによって外面殺菌された。薄層エアーフローベンチにおいて、回収チャンバからのアウトレットが開かれて、羊水320mlは、羊水細胞物質を単離するために使用され、残留アリコートは化学分析のために使われ、また、参照目的のために保存された。羊水は、胎脂と大きな組織のデブリ(切り屑)残骸の凝集体を分離するために、100ミクロンナイロンメッシュを通して濾過された。濾過された物質は、その後、フィコル(Ficoll)400サッカロース勾配に置かれて、500gで室温5分間の遠心分離を施された。サッカロースと水の画分との間の細胞を含有する不透明な層は、ピペットで回収された。この画分のわずかな滴は、ビュルカーチャンバ(Burker-chamber)(細胞をカウントするための)に蓄積され、そして、光学顕微鏡において検査された。トリパンブルー(Trypan-blue)が、細胞の生存能力を評価するために追加され、無傷の外部の形態によって核を包含する細胞をカウントした時には、回収作業の2時間後の生存可能な細胞の典型的なパーセンテージは、70%であった。400mlから回収されカウントされた総生存可能細胞は、200万の細胞、すなわち1リットルあたり500万の細胞であると決定された。勾配遠心分離細胞物質は、繁殖される所望の細胞タイプに特有な成長培地を含有する25cmFalcon培養フラスコに移された。回収された細胞は、細胞培養において増殖する(multiply)ことが認められた。新鮮に回収された細胞分画になされたFACSは、造血性タイプ細胞の兆候が全く示されなかったが、上皮および間葉起源の多くの細胞は観察された。
実施例2:デノボ(de-novo)立体配位状態を保持する羊水サーファクタント分画の単離
インフォームド・コンセントの後に、複雑でない事情(逆子、以前の帝王切開出産、または、普通分娩での出産の恐怖)のためでの臨月の帝王切開で、羊水が健康な妊娠した女性から回収された。子宮壁の切り込みのすぐ後に、本明細書で記載された装置の先端が、胎膜を通して10cmほど挿入され、羊水が回収された。この実施例で、収量は全部で450mlであった。回収バッグへのインレット/ホースが閉じられ、そして装置は取り除かれた。物質/羊水の液〈白色/黄色気味を呈する濁った流体であった〉中に血液は可視できなかった。物質を回収する手順は、全ての点において実施例1と同一であった。
羊水サンプルは、処理されるまで、4℃の冷蔵庫内で、装置の回収チャンバ内で保存された。
羊水分画は下記のステップによって生成された:
1.細胞と細胞のデブリを除去するための、Sigma3−18Kを用いる、500gでの10℃5分間の遠心分離ステップ。
2.細胞および細胞のデブリを含まない(free)羊水上澄み液の回収。さらに、Finnpipette250マイクロリットルユニバーサルチップなどのプラスチックピペットを用いたピペッティングによる遊離性浮き皮脂脂肪凝集体(胎児の皮膚由来)の除去。
3.Sigma3−18Kを用いる、ステップ2からの上澄み液の、15000gでの10℃10分間の超遠心分離。
4.ステップ3からの上澄み液が除去された。
5.ステップ3によって生成されたサーファクタントペレットが回収された(このペレットに、少量の羊水も含まれ、ペレットが乾燥しないように保持する)。
6.ステップ5で回収された、この粘性のペレット物質は、Sigmaマイクロ遠心機(microfuge)において19000gでの10℃1分間のさらに別の遠心分離ステップにかけられた。
7.サーファクタント表面相ペレットは、その後、乾燥を防ぐために、余剰の羊水を少量含むエッペンドルフ1.5mlチューブに保存された。
8.ステップ7のサーファクタントペレットの粘性が高すぎると見えるならば、ステップ3からの所望量の上澄み液の再懸濁がオプションで実行される。
9.得られたサーファクタント分画は、それぞれ200マイクロリットルの2つのアリコートに分割された。一つはコントロールであり、もう一つは、メディカルグレードエアー(Lund University Childrens Hospital central medical air supply)が物質を通して1分に0.75リットルのレートで5分間泡立てられて、空気に曝された。
コントロールおよび空気曝露されたサーファクタントは、肺サーファクタントの研究に好適なクリオTEM(cryo-TEM)で、人為的影響のない方法により分析された。実施例2に従って調製された肺サーファクタント物質のサンプルは、ピペットを使って分量(5μl/分)でカーボンクリオグリッド(carbon cryo-grid)に広げられ、その後、直ちに液状のエタン内に注ぎ込むことによってガラス化された(−180℃)。サンプル(複数)は37℃および100%湿度でガラス化された。サンプルは、La2B6フィラメントでPhilips Bio−twin120cryoによって観察された。クリオTEMサンプルは常に−180℃以下に保持された。画像はMacintoshのためのデジタルマイクログラフ3.31ソフトウェアによってGatan CCDを使用して記録された。空気に曝された物質は、脂質−二重層の充填順において顕著な構造的変化を示し、それは、大きく緊密に充填した層状体からの、チューブ状のミエリン様形状への、サーファクタント物質の消費に起因しているようであった。肺サーファクタントがタイプII細胞から抽出される時には、それはLBの形であり、その後、空気と水の界面でチューブ状のミエリンへの変化を受ける。従って、デノボ合成されたサーファクタントのための1次的(primary)構造は、ここに記載された装置により保持される。最も顕著な現象はサーファクタント分画の容量の増加であった(より多くの水を包含する構造への、1次的に充填されたサーファクタントのアンパックに対応している)。空気に曝されたアリコートは、その容量を3倍より大きく増大させるであろう(700マイクロリットル)。
実施例3:臨月羊水から細胞の単離
インフォームド・コンセントの後に、複雑でない事情のために実行された、臨月の帝王切開中の健康な妊娠した女性から羊水が回収された。この実施例で、羊水の総収量は450mlであった。実施例1において記載された装置のプロトタイプが使用された。血液は、濁って白色/黄色気味を呈した、回収された羊水中において可視できなかった。回収操作は1分未満を要した。回収された物質は、冷却ボックスに入れられて、直ちに細胞培養ラボに移され、そこで装置は70%エタノールによって外面を殺菌された。
薄層状エアーフローベンチにおいて、回収チャンバからのアウトレットが開かれて、羊水の400mLは、細胞物質を単離するために使用された。回収された羊水の残部容量は、化学分析のために使われ、その後、参照目的のために保存された。細胞の単離のために、400mL羊水は、胎脂および大きな組織のデブリ凝集体を分離するよう、100ミクロンナイロンメッシュを通して濾過された。濾過された物質は、その後、フィコル400サッカロース勾配の上に置かれて、室温で5分間にわたって500gの遠心分離がなされた。その後、サッカロースと水の分画との間の界面に存在し細胞を包含する層がピペットで回収された。細胞をカウントするために、この分画の小滴は、ビュルカーチャンバに置かれ、光学顕微鏡を使用して検査された。トリパンブルーが、細胞の生存能力を評価するために追加され、細胞は無傷の外観形態によってカウントされた。回収作業2時間後の生存可能な細胞のパーセンテージは、70%であった。450ml羊水から取り出された総生存可能細胞は、200万の細胞(回収された羊水1リットルあたり500万の細胞)であると決定された。
勾配遠心分離細胞物質は、線維芽細胞成長培地を含有する25cmの細胞培養フラスコに移された。培養5日後に、細胞が培養で倍になったことを確認するよう、低解像度光学顕微鏡によって細胞が観察された。細胞は接着性であり、線維芽細胞の形態であった。
細胞(cells)は、CD45など、またCD34、CD105、CD90およびCD73の、造血マーカーの表面発現を評価するべく、既知の方法を用いてFACSによって分析された。細胞は、標識抗体(抗CD90−APC、抗CD73−PE、抗CD105−FITC、抗CD45−FITCおよび抗CD34−APC)で染色され、フローサイトメトリーによってマーカーの表面発現が分析された。適切な蛍光色素でのIgGがネガティブコントロールとして使用された。結果を下記の表1に示す。
表1 細胞表面マーカーの発現
Figure 2016519579
表1に示すように、CD90(99.8%)、CD73(99.9%)およびCD34(14%)の表面発現を有する細胞の高いパーセンテージが決定されたが、一方、細胞の非常に低いパーセンテージは、CD105(2.69%)またはCD45(0.19%)の表面発現を示した。したがって、この実施例において、胎児/幼児細胞の集団(population)は、CD45などの造血表面マーカーにおいて実質的に陰性で、前駆マーカーCD90およびCD34において陽性で、CD73において陽性で、またCD105において実質的に陰性であった羊水から単離された。
実施例4:羊水由来細胞の二次培養および拡大
実施例3に記載のように、インフォームド・コンセントの後に、複雑でない事情のためでの臨月の帝王切開において健康な妊娠した女性から羊水が回収された。この実施例において、羊水の総収量は600mlであった。実施例3に記載のように、物質は回収され、細胞は単離された。
細胞は二次培養され、実施例3と同じ条件を用い、およそ60日間にわたる培養において繁殖した。細胞は数(several)百万倍に拡張し、約70日で老化に達した。細胞数の倍化の回数(number of population doublings)は、およそ一日につき1回であった。
実施例5:羊水由来細胞の多能性状態への再プログラミングおよび心筋細胞への分化
実施例4に記載のように、羊水由来の胎児/幼児細胞は単離され、二次培養されて、拡張された。Takahashi and Yamanaka, 2006, Cell 126(4): 663-676に記載のように、多能性幹細胞(iPSC)操作(手法)の誘導を受け、細胞はそれらの分化を元に戻された。この操作は細胞を成功裏に脱分化し、多能性幹細胞を形成した。
次いで、多能性幹細胞は、心筋細胞の生成のために中胚葉特異的培地で分化された。要するに、中胚葉分化を促すBMP−4を含有する血清添加培地が十分である。この方法は、細胞を脈動する心筋細胞へと成功裏に分化し、ライブ映像の顕微鏡によって立証された
実施例6:臨月羊水からの細胞の単離
この実施例において、1200mLおよび450mLの大量の羊水は、特別に設計されたカテーテルに基づいた装置を使用して、帝王切開を経て実行された正常で健康な新生児(複数)の2つの独立した分娩から得られた。実施例1において記載された装置のプロトタイプが使用された。要するに、抽出された羊水は、特別に設計された柔らかいプラスチックの突き刺しチップを使って羊膜に穿刺し、重力フローサイホン(gravity flow syphoning)を介して無菌バッグに羊水を回収することによって得た。抽出の間、羊水と、胎児およびその外(extra)の胚組織からの細胞物質を含むその内容物は、胎脂などの大きな粒子状物質から分離された。羊水の抽出は、乳児の分娩の直前に実行された。いったん羊水が収穫されたら、細胞物質(cellular material)は、その後、濾過と密度勾配遠心分離により単離された。濾過されたサンプルは、5分間850gで細胞をペレットに沈降するよう、遠心分離された。上澄み液は除去されて、ペレットはDMEM+10% FCSに再懸濁された。さらなる分離が、リンパプレップ(lymphoprep)(Medinor ABまたはAXIS-SHIELD)においてサンプルの密度勾配遠心分離を850gで20分間なされた。単離された細胞は、トリパンブルー(シグマオールドリッチ)によってカウントされ、線維芽細胞培地(ScienCell研究所)、内皮細胞培地(ScienCell研究所)または末梢気道上皮細胞成長培地(Lonza)、またはDMEM+5% FCSのいずれかの、ラット尾部コラーゲンI(BDバイオサイエンス)をプレコートされた6穴プレートに蒔かれた。11〜25日目に、これらの培地に出現したコロニーが別々に収穫されて拡張されるか、またはプールされて拡張された。細胞は、これらの培地において二日目または三日目ごとに1:5または1:7の比率でそれぞれ分割された。上澄み液は、超遠心分離を介して、サーファクタントと存在する他の生物活性分子を単離するために使用された。
480mlと250mlの収穫した羊水から、11×106および6×106の生存可能細胞がそれぞれ得られた。
実施例7:羊水由来細胞の二次培養および拡大
実施例6の臨月羊水から得られた細胞は、4種類の培養培地に蒔かれ、それらは、各々、1)線維芽細胞/間葉幹細胞成長(FCM);2)内皮細胞成長(ECM);3)末梢気道上皮細胞成長(SAGM);および4)5%ウシ胎仔血清を含有する一般的なDMEMに基づく培地を含む。細胞コロニーの出現を伴う、細胞粘着および増殖は、FCM、ECM、またはSAGMを含む培養において起こる。これらの培養において、細胞コロニーの3種類の独自のタイプが、それらの形態に基づいて区別できた。FCMを含む培養は、高い比率のタイプ1コロニーを有し、ECMを含む培養は高い比率のタイプ2コロニーを有し、そして、SAGMを含む培養は、高い比率のタイプ3コロニーを有する。細胞の継続する培養は、タイプ1またはタイプ2形態を有するコロニーが大きなコロニーサイズを形成するまで増殖し、蒔いた後の11日以内に、プレートが融合した状態(confluency)に達したことが明らかになった。タイプ3コロニーは、制限された成長可能性を示し、培養の24日以内に老化に達した一方、タイプ1と2のコロニーの培養において、老化は60日までに達しなかった。タイプ1と2の各々のコロニーは摘み取られて、FCMまたはECMのいずれかに別々に増殖されて、両タイプの細胞は、約20時間で二倍になる速さ(doubling rate)を有することが分かった。羊水細胞が事前のクローンの選択または精製なしで増殖したとき、FCMまたはECM培地のいずれかを使用して何代か継続し、出現する付着層は、使用した細胞培地と一致する、タイプ1またはタイプ2の形態的に一様の細胞を示した。従って、実施例9の再プログラム実験がクローンの選択なしで培養された細胞物質において実行された。
実施例8:羊水由来幹細胞の特性化
実施例7において得られたタイプ1およびタイプ2細胞(FCMとECMにおいてそれぞれ拡大される)は、線維芽細胞、間葉幹細胞、内皮細胞、造血細胞のマーカー、並びに、多能性マーカーOCT4でフローサイトメトリーによって分析された。フローサイトメトリーは、次の通り実行された。融合している培養からの単細胞の懸濁が、穏やかなトリプシン処理により調製された。細胞はPBS+2% FCSに懸濁されて、蛍光物質が結合した抗体で30分間にわたって培養された。使用された抗体はCD45(FitC-接合)、CD34(APC-接合)、CD90(APC-接合)、CD73(PE-接合)、CD105(FitC-接合)(Pharmingen)であった。アイソタイプ同一抗体は、非特異結合を排除するために、コントロールとして役立った。定量分析は、FACSCantoフローサイトメトリー(ベックマン)とFlowJoソフトウェアを用いて実行された。
タイプ1とタイプ2の両タイプの細胞コロニーは、独特の形態的な外観にもかかわらず同一の細胞表面表現型を示した。FACSのための図2を参照。細胞は汎造血細胞マーカーCD45において陰性で、すべてのCD90およびCD73は明るく、CD105の低レベルの発現であった。細胞のサブ分画(sub-fraction)も、CD34において陽性であった。これらの細胞は、早期羊水由来幹細胞の事前研究において間葉幹細胞表現型によって羊水診断手続から認識されるものと同様なマーカーを発現する。しかしながら、臨月由来細胞は、それらの研究に比べて、CD105の著しく減じた発現を示す。初回収穫のときに、細胞は多能性マーカーOct4も発現し、その後、それは培養に続いて消失した。
間葉幹細胞表現型を有する臨月羊水から得られたタイプ1とタイプ2の細胞の特徴をさらに調査するために、骨芽細胞および脂肪細胞へのこれらの細胞の分化可能性は、標準21日骨形成または脂質生成誘導プロトコルを使って試験された。これらの細胞の多能性は、カルシウム沈着後のアリザリンレッド染色、および脂質空胞蓄積後のオイルレッドO染色の検出によって立証された。
骨芽細胞への生体外(in vitro)分化において、タイプ1またはタイプ2細胞は、完全なNH拡大培地(Miltenyi)に3×10/cmの密度で蒔かれて、オーバーナイトで付着を施された。次の日、培地は、骨芽細胞誘導培地に変更された(完全なNH拡大培地+10mMβグリセロリン酸エステル+0.05mM L−アスコルビン酸2リン酸塩+0.1μMデキサメタゾンストック溶液+1%AB/AM溶液(シグマ))。細胞は、2〜3日ごとに培地を取り替えながら、21日間分化された。21日目に細胞は、カルシウム鉱物性内容物を測定するために、アリザリンレッドによって染色された。
脂肪細胞への生体外分化において、タイプ1またはタイプ2細胞は、完全なNH拡大培地(Miltenyi)に2×10/cmの密度で蒔かれて、培養が100%密度になるまで3‐7日にわたって培養された。7日目に、培地はNH AdipDiff培地(Miltenyi)+1%AB/AM溶液(シグマ)に変更された。細胞は、2〜3日ごとに培地を取り替えながら、14日間において分化された。14日目に細胞は、脂質空胞を検出するために、オイルレッドOによって染色された。
これらの結果は統合して、臨月での羊水収穫物に存在する最も多くが増殖する付着細胞タイプが独特の臨月羊水由来幹細胞(AFSC)であることを実証する。
実施例9:臨月羊水幹細胞の再プログラミング
実施例7で得られ、また実施例8で特徴付けられた羊水由来幹細胞(AFSC)は、再プログラムされる、その能力が評価された。テトラサイクリン(tet)誘導性プロモーターのコントロールの下、以下の再プログラム因子:OCT4、SOX2、LIN28、KLF4、およびC−MYCを発現するレンチウイルスベクターで、細胞の付着性単層が形質導入された。GFP発現もテトラサイクリン誘導性プロモーターでコントロールされた。
特に、レンチウイルスベクターFU−tet−o−hOct4、FU−tet−o−hSox2、FU−tet−o−hKlf4、FU−tet−o−hcMyc、FU−tet−o−hLin28、tet−誘導性GFPマーカーベクターおよびFUdeltaGW−rtTAが独立して使用された。ウイルスを生成するために、293T細胞は50〜70%コンフルエンス(confluence)で形質転換された。10cmプレートにおいて、10%FCS、および1%P/S、および40μgDNA(10:7:3ベクター:ΔR8.91:vsv-g)が補充された10mlDMEMが使用された。培地は次の日に6mlの新鮮な培地に変更された。ウイルスは次の2日間で収穫されて、0.45μmフィルタを用いて濾過された。AFSC(複数)は、60〜80%形質導入効率を達成するために、8〜12サイクルの形質導入の非濃縮レンチウイルスによって形質導入された。形質導入において、導入効率を評価するために、1μg/ml Doxをコントロールウェルの培地に追加した。一旦80%形質導入効率に到達すると、細胞はトリプシン処理されて、FCMまたはECM+1μg/ml Doxのラット胎児線維芽細胞支持細胞に蒔かれた。形質導入された細胞の培養培地が、48時間培養後、50%hESC培地+1μg/mlに変更されて、そして72時間培養後、100%hESC+ 1μg/ml Dox培地に変更された。iPS様コロニーが出現するまで、hESC培地+ 1μg/ml Doxを二日目ごとに交換した。iPS様コロニー(明らかな境界を有し、大きい細胞核の入った細胞(packed cells))が、ウイルスの形質導入後の20日乃至30日頃に収穫された。
細胞の導入に続き、テトラサイクリンが、再プログラム因子の活性化の手段としてGFPのパーセンテージを評価するために、コントロールウェルの培地に添加された。培養された羊水幹細胞群において約60〜80%GFPの形質導入効率が見られた時に、最も高い再プログラム効率が得られた。合計で、42のiPSコロニーが、推定15万の出発細胞から摘み取られ、約0.03%のiPS産出効率を生ずる。これらの42のiPSコロニーから、9のコロニーが拡大と詳細な特徴付けのために無作為に選ばれた。ゲノムの完全性について試験されたすべてのiPSクローンが、正常な核型を示し、かつヒトES細胞株と同様の増殖、形態、および成長特性を持っていた。すべてのiPS細胞株は、ヒトES株H1、HUES−3、およびHUES−6と匹敵するレベルで、多能性マーカーOCT4、SOX2、KlLF4、C−MYC、NANOG、DNMT3BおよびTDGF1(CRIPTO)の内生的発現のためのリアルタイムPCRによって評価されて多能性であることが実証された。Nod/Scid/Il2rg−/−マウスに皮下移植された9株のうち7株が奇形がんを示した。7つの奇形がんのうち5つが、中胚葉、内胚葉、および外胚葉系列の発生を示す3つの胚葉層に典型的な細胞(複数)を示した。2株が内胚葉および中胚葉の細胞系列を示した。これらの結果は、臨月AFSC(複数)からの多能性幹細胞株の効率的な発生の実現可能性を示す。
実施例10:臨月AFSC由来iPS細胞株の分化可能性
実施例9で得られたAFSC由来iPS細胞株は、複数の胚葉にわたるそれらの分化可能性について評価された。細胞株は、神経系列分化および造血分化のための2つの良好に確立された高効率プロトコルを用いてそれぞれ分化された(Kirkeby et al., 2012, Cell reports 1(6): 603-614; Woods et al., 2011, Stem Cells 29(7): 1158-1164)。高い血球分化効率を示した臍帯血内皮細胞由来iPS細胞株と、ニューロン系列に効率的に分化することが実証されたヒトES細胞株H9が、コントロールとして使用された。無作為に選択された3つのAFSC由来iPS細胞株の分化に従って、H9 ES細胞株よりも著しく高いレベル(H9細胞株からの0.33%CD45+細胞と比較して22.2+/−4.4%)で、血(中胚葉)系列への効率的な分化が観察された。臍帯血由来iPS細胞株は、高い血球分化能(50.9+/−5.1%CD45+細胞; n=3)を示した。しかしながら、ニューロン系列へのAFSC−iPS細胞株の非常に効率的な分化と対比すると、臍帯血-iPS細胞株は、有力な神経分化プロトコルの使用にもかかわらず、中胚葉系列に分化する細胞を有することが継続した。臍帯血とAFSC−iPS細胞株は、いずれもニューロン細胞プロトコルを使用することによって分化し、MAP2(成熟ニューロンマーカー)、およびTUJ1(未熟なニューロンマーカー)について細胞が陽性であることを示したが、一方、より混成(more heterogeneous)の分化能力を表わす臍帯血由来iPS細胞株においては、顕著な非ニューロン細胞(TE7によって染色された中胚葉線維芽細胞)があった。さらに、すべてのAFSC−iPS細胞株がコロニー形成ユニット分析で赤血球を生成できた一方、臍帯血由来iPS細胞株も羊水由来iPS細胞株に比べて、妥協した赤血球分化能(compromised erythrocyte differentiation ability)を示した。ヒトES細胞株H9は、著しく減じた血球可能性をもって効率的なニューロン系列分化能力を示した。Bock et al., 2011, Cell 144(3): 439-452。臍帯血とAFSC由来iPS細胞株の両者は、造血細胞および高い血球量を産する臍帯血株をもって、前駆体(CD34)を生じた(AF−iPS細胞株とCB−iPS細胞株は、それぞれ、22.2+/−4.4%及び50.9+/−5.1%;n=3 CD45+細胞)。
iPS細胞株とコントロール臍帯血iPS細胞株とヒトES細胞株のマイクロアレイ分析が実行され、これらの細胞の遺伝子発現プロフィールは出発細胞物質(AFSC)と比較された。再プログラムにわたっていくつかの幹細胞遺伝子の維持を示唆する、幹細胞マーカーのための出発細胞物質とAFSC由来iPS細胞株との相互関係が観察された。この観察は、iPS細胞株におけるAFSCマルチ多能性(multipotency)の維持を示した。これらの結果を総合して、AFSC(複数)が、新規なiPS細胞株を導くための理想的な出発物質であり、多胚葉分化能を有するiPS細胞株を生成するよう、再プログラミングにわたって(throughout)エピジェネティックメモリーがそれらの広い幹細胞可能性を保持することを示唆することを示す。
この出願にわたって、様々なウェブサイトデータコンテンツ、出版物、出願公開および(登録)特許が参照される。(ウェブサイトはそれらのユニフォーム・リソース・ロケータ(Uniform Resource Locator)、または、URL、ワールドワイドウェブのアドレスにより参照される)従って、これらの参照のそれぞれの開示は、本書に、参照によりその全てが組み入れられる。
本発明は、本発明の個々の局面(aspects)の単一の例示(illustrations)として意図される、ここに開示された実施態様による範囲に制限されるべきではなく、また機能的に等しい何れのものも本発明の範囲内である。ここに説明されたそれらに加えて、本発明のモデルと方法に対する様々な修正は、前述の記載と教示から当業者にとって明白であり、また、本発明の範囲内に含まれることを同様に意図している。そのような修正または他の実施態様は、本発明の真の範囲と趣旨(ないし精神 spirit)を逸脱せずに実施できる。
特許請求の範囲の例示的な請求項の記載は、本発明のいくつかの実施形態を更に例示するために提供され、出願人が本願発明と見なすものの範囲を限定すると理解されるべきではない。

Claims (57)

  1. 回収チャンバと、
    該回収チャンバに接続する回収チャンバアウトレットバルブと、
    該回収チャンバに接続する回収チャンバインレットバルブと、
    該回収チャンバインレットバルブに接続する近位液体抽出チューブ、該近位液体抽出チューブは医薬品等級の材料を含む、と、
    該近位液体抽出チューブに接続する遠位液体抽出チューブ、該遠位液体抽出チューブは移送部位及びインレットを含む、と
    を含む羊水回収装置であって、
    該インレットは、主インレット、貫通する先端、及び1つ以上の側面インレットを含む羊水回収装置。
  2. CD73及びCD90からなる群より選択されるマーカーの表面発現を含む単離された胎児細胞又は幼児細胞であって、
    該細胞の表面が、CD105発現に関して陰性であり、又は
    該細胞の表面が、CD34を発現する
    ことを特徴とする単離された胎児細胞又は幼児細胞。
  3. 請求項2に記載の単離された細胞であって、該細胞がCD73及びCD90の表面発現を含むことを特徴とする単離された細胞。
  4. 請求項2又は3に記載の単離された細胞であって、該細胞表面が、CD105発現に関して陰性であり、かつCD34を発現することを特徴とする単離された細胞。
  5. 請求項2〜4の何れか1項に記載の単離された細胞であって、該細胞が、転写因子Oct−4を発現することを特徴とする単離された細胞。
  6. 請求項2〜5の何れか1項に記載の単離された細胞であって、該細胞表面が、CD45表面発現に関して陰性であることを特徴とする単離された細胞。
  7. 請求項2〜6の何れか1項に記載の単離された細胞であって、該細胞が接着性であることを特徴とする単離された細胞。
  8. 請求項2〜7の何れか1項に記載の単離された細胞であって、該細胞が、繊維芽細胞様形態を有することを特徴とする単離された細胞。
  9. 請求項2〜8の何れか1項に記載の単離された細胞であって、該細胞が、多能性(pluripotent)であるか又はマルチ多能性(multipotent)であることを特徴とする単離された細胞。
  10. 請求項2〜9の何れか1項に記載の単離された細胞であって、
    該細胞が、連続培養において、少なくとも50日間成長することが可能であり、又は、
    該細胞が、培養において、少なくとも30回の集団倍化で増殖をすることが可能であり、又は、
    該細胞が、連続培養において、少なくとも1,000,000倍に拡張することが可能であることを特徴とする単離された細胞。
  11. 請求項2〜10の何れかに記載の胎児細胞又は幼児細胞を含む組成物。
  12. 複数の胎児細胞又は幼児細胞を含む組成物であって、少なくとも10%の細胞が、CD90、CD73、及びCD34の表面発現を有し、そして、
    5%未満の細胞が、CD105の表面発現を有することを特徴とする組成物。
  13. 請求項12に記載の組成物であって、少なくとも50%の細胞が、転写因子Oct−4を発現することを特徴とする組成物。
  14. 請求項12又は13に記載の組成物であって、5%未満の細胞が、CD45表面発現を有することを特徴とする組成物。
  15. 請求項12〜14の何れか1項に記載の組成物であって、少なくとも50%の細胞が接着性であることを特徴とする組成物。
  16. 請求項12〜15の何れか1項に記載の組成物であって、少なくとも50%の細胞が繊維芽細胞様形態を有することを特徴とする組成物。
  17. 請求項12〜16の何れか1項に記載の組成物であって、少なくとも50%の細胞が多能性(pluripotent)であるか又はマルチ多能性(multipotent)であることを特徴とする組成物。
  18. 請求項12〜14の何れか1項に記載の組成物であって、
    少なくとも50%の細胞が、連続培養において、少なくとも50日間成長することが可能であり、又は、
    複数の細胞が、培養において、少なくとも30回の集団倍化で増殖をすることが可能であり、又は、
    複数の細胞が、連続培養において、少なくとも1,000,000倍に拡張することが可能であることを特徴とする組成物。
  19. 請求項11〜18の何れか1項に記載の組成物であって、羊水を更に含むことを特徴とする組成物。
  20. 請求項19に記載の組成物であって、該細胞が、1リッター当たり、少なくとも100万の細胞濃度で存在することを特徴とする組成物。
  21. 胎児細胞又は幼児細胞を単離する方法であって、(a)羊水を、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は39週より長い妊娠段階で獲得すること、及び
    (b)該羊水から胎児細胞又は幼児細胞を回収すること、
    を含む方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、ステップ(a)における獲得が、帝王切開によって羊水を回収することを含むことを特徴とする方法。
  23. 請求項21又は22に記載の方法であって、ステップ(b)における回収が、該羊水から粒状物質を除くことを含むことを特徴とする方法。
  24. 請求項23に記載の方法であって、ステップ(b)における回収が、勾配遠心分離を行うことを更に含むことを特徴とする方法。
  25. 請求項21〜24の何れか1項に記載の方法であって、回収された細胞を、細胞が増殖する条件下で培養することを更に含むことを特徴とする方法。
  26. 請求項21〜25の何れか1項に記載の方法であって、ステップ(b)において回収された細胞が、ステップ(a)において獲得された羊水1リッター当たり少なくとも100万の細胞を含むことを特徴とする方法。
  27. 請求項21〜26の何れか1項に記載の方法であって、ステップ(a)において獲得された羊水の量が、少なくとも又はおよそ、10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、又は1000mLであることを特徴とする方法。
  28. 請求項21〜27の何れか1項に記載の方法であって、当該羊水が臨月の羊水であることを特徴とする方法。
  29. 請求項21〜28の何れか1項に記載の方法であって、当該胎児細胞又は幼児細胞が、請求項2〜10の何れかに記載の細胞を含むことを特徴とする方法。
  30. 請求項21〜28の何れか1項に記載の方法であって、該胎児細胞又は幼児細胞が、CD73及びCD90からなる群より選択されるマーカーの表面発現に関して陽性である細胞を含み、該細胞が、CD105発現の表面発現に関して陰性であり、又はCD34の表面発現に関して陽性であることを特徴とする方法。
  31. 請求項30に記載の方法であって、該細胞が、CD73及びCD90の表面発現に関して陽性であることを特徴とする方法。
  32. 請求項30又は31に記載の方法であって、該細胞が、CD105の表面発現に関して陰性であり、かつCD34の表面発現に関して陽性であることを特徴とする方法。
  33. 請求項30〜32の何れか1項に記載の方法であって、該細胞が、転写因子Oct−4を発現することを特徴とする方法。
  34. 請求項30〜33の何れか1項に記載の方法であって、該細胞が、CD45表面発現に関して陰性であることを特徴とする方法。
  35. 請求項30〜34の何れか1項に記載の方法であって、該細胞が接着性であることを特徴とする方法。
  36. 請求項30〜35の何れか1項に記載の方法であって、該細胞が繊維芽細胞様形態を有することを特徴とする方法。
  37. 請求項30〜36の何れか1項に記載の方法であって、該細胞が、多能性(pluripotent)であるか又はマルチ多能性(multipotent)であることを特徴とする方法。
  38. 請求項30〜37の何れか1項に記載の方法であって、
    該細胞が、連続培養において、少なくとも50日間成長することが可能であり、又は、
    該細胞が、培養において、少なくとも30回の集団倍化で増殖をすることが可能であり、又は、
    該細胞が、連続培養において、少なくとも1,000,000倍に拡張することが可能であることを特徴とする方法。
  39. 請求項21〜38の何れか1項に記載の方法であって、該方法が、回収された細胞を再プログラミングすることを更に含み、それにより、マルチ多能性(multipotent)であるか又は多能性(pluripotent)である細胞を生ずることを特徴とする方法。
  40. 請求項39に記載の方法であって、該再プログラミングが、iPSCを行うことを含むことを特徴とする方法。
  41. 請求項21〜40の何れか1項に記載の方法であって、該方法が、該細胞を所望の細胞又は組織タイプに分化させることを更に含むことを特徴とする方法。
  42. 請求項41の方法であって、該所望の細胞又は組織タイプが、造血細胞、神経細胞、内胚葉細胞、外胚葉細胞、及び中胚葉細胞からなる群より選択されることを特徴とする方法。
  43. 請求項11〜18の何れかに記載の組成物を患者に投与することを含む処置の方法。
  44. 細胞を預けるための方法であって、
    (a)一以上のサンプルを獲得すること、そのそれぞれは、請求項2〜10の何れかに記載の細胞を含み、
    (b)該サンプルを、サンプル中の少なくともいくつかの細胞の生存性を保つ状態下で保存すること、及び、
    (c)該サンプルが獲得された対象のアイデンティティに関するデータを保存すること
    を含むことを特徴とする方法。
  45. 請求項44に記載の方法であって、該保存が、該サンプルを1以上の凍結防止剤で処置することを含むことを特徴とする方法。
  46. 請求項44又は45に記載の方法であって、ステップ(a)が、複数のサンプルを獲得することを含み、そのそれぞれが、異なった対象から獲得されることを特徴とする方法。
  47. (a)複数のサンプル、そのそれぞれが、請求項2〜10の何れかに記載の細胞又は請求項11〜20の何れかに記載の組成物を含み、及び、
    (b)該サンプルの個々の識別及び回収(retrieval)に関するデータを含むデータベース
    を含む細胞バンク。
  48. 請求項47に記載の細胞バンクであって、複数のサンプルのそれぞれが、個々の対象由来であることを特徴とする細胞バンク。
  49. 請求項47又は48に記載の細胞バンクであって、該データが、個々のサンプルが由来した対象のアイデンティティのついての情報を含むことを特徴とする細胞バンク。
  50. (a)対象の子宮壁における切り口を介して羊水回収装置を挿入すること、
    (b)該対象の羊膜を貫通すること、及び
    (c)該対象の羊膜嚢から羊水を回収することを含む、羊水を回収する方法であって、該対象が、少なくとも妊娠30週の段階の妊婦であることを特徴とする方法。
  51. 請求項50に記載の方法であって、該対象が、妊娠の臨月段階であることを特徴とする方法。
  52. 請求項50又は51に記載の方法であって、該羊水回収装置は、請求項1に記載の装置であることを特徴とする方法。
  53. 請求項50〜52の何れか1項に記載の方法であって、ステップ(b)が、慢性膜(chronic menbrane)[絨毛膜、chorionic membraneの誤記]を貫通することを更に含むことを特徴とする方法。
  54. 請求項50〜53の何れか1項に記載の方法であって、ステップ(c)の回収が、
    (i)羊水回収装置のインレットバルブを開口することによって羊水を該羊水回収装置の回収チャンバに移送するためにサイホンを開始すること、
    (ii)該羊水回収装置のインレットの下に該羊水回収装置の回収チャンバを配置させること、
    (iii)負圧ソースを該羊水回収装置のアウトレットに接続し該羊水の移送を開始させること、そして、
    (iv)該羊水回収装置のインレットを再配置させ、実質的に全ての利用できる羊水を回収すること、の1つ以上を含むことを特徴とする方法。
  55. 請求項50〜54の何れか1項に記載の方法であって、該羊水回収装置を取り除くステップ(d)を更に含むことを特徴とする方法。
  56. 請求項50〜55の何れか1項に記載の方法であって、切り口が、該羊水回収装置により作られることを特徴とする方法。
  57. 請求項50〜56の何れか1項に記載の方法であって、該方法が約10分、約9分、約8分、約7分、約6分、約5分、約4分、約3分、約2分、又は約1分未満で行われることを特徴とする方法。
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