JP2016518816A - うつに罹っている対象のための治療レジメンを選択するためのアッセイ及び方法 - Google Patents

うつに罹っている対象のための治療レジメンを選択するためのアッセイ及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、一塩基多型(SNP)の特異的な組合せが、葉酸含有化合物に対する治療応答に関連するという認識に基づいて、うつである若しくはうつの危険性がある患者のための治療レジメンを選択するため及び/又は対象の少なくとも1種のうつ症状を治療するための、アッセイ、方法及び化合物を提供する。本明細書にまた提供するのは、治療応答を予測するSNPの特異的な組合せを対象が保有する場合、葉酸含有化合物の補助療法を対象に施すことによって、うつに罹っている又はうつの危険性がある対象に投与した抗うつ薬の有効性を改善するための方法である。さらに、本明細書に提供するのは、葉酸含有化合物の組成物である。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
[0001]本願は、2013年3月12日に出願された米国特許出願第13/796,362号、2013年3月12日に出願された米国特許仮出願第61/777,650号及び2013年12月10日に出願された米国特許仮出願第61/914,338号の優先権を請求するものであり、これらの開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
[「配列表」、表又はアスキーテキストファイルとして提出された添付物を列挙したコンピュータプログラムの参照]
[0001]2014年3月11日に作成された37,509バイトであり、マシンフォーマットがIBM−PCのMS−WindowsオペレーティングシステムであるファイルSEQ_LISTING_95768−902165.TXTに書き込まれた配列表は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれている。
発明の背景
[0002]近年の推計では、18歳を超える1900万人超のアメリカ人が毎年抑うつ病に罹患することが示されている。葉酸の欠乏状態とうつとの間には関係があると一般に考えられている。
[0003]中枢神経系機能における葉酸の役割は、神経活性化物質の合成に関与する広範な反応のための主要なメチル供給体であるSAMeを供給する一炭素循環、膜リン脂質の形成及び核酸の代謝における葉酸の役割を含めて研究されている。証拠は、葉酸がうつに作用し得ることを示唆している。非経口形態及びある特定の経口形態で投与した場合、欧州の研究では、SAMがプラセボよりも高く、三環系の抗うつ剤に匹敵する抗うつの効能を有することが報告されている。葉酸は、うつの発病に役割を果たすと仮定されている神経伝達物質であるドーパミン、ノルエピネフリン及びセロトニンの生合成の律速段階である、フェニルアラニン及びトリプトファンの水酸化の補因子であるテトラヒドロビオプテリンの合成速度に影響を及ぼすとも思われる。また、メチルテトラヒドロ葉酸(MTHF)は、シナプス前グルタミン酸受容体に結合することが示されており、この結合では、MTHFは、モノアミンを含む他の神経伝達物質の放出を調節する可能性があり得る。葉酸の欠乏によって引き起こされるホモシステインレベルの上昇は、メチル化反応を広く阻害するS−アデノシル−ホモシステイン(SAH)のレベルの上昇を生じることと、またおそらくはN−メチルアスパラギン酸グルタミン酸受容体での活性を介した直接的な興奮毒性効果を発揮することとの両方によって、その精神神経性の合併症の一部を媒介する上で役割を果たし得る。
[0004]感情鈍麻、疲労、不眠、易怒性及び集中力障害を含む精神神経性症状及びうつ症状は、吸収不良、抗けいれん剤で治療されているてんかん、巨赤芽球性貧血及び食事性葉酸の制限と関連する、葉酸の欠乏状態に関する臨床記述で議論されている。以前の研究では、精神科コホートのうち1/3もの主にイギリス出身の患者が、低値の血清葉酸値又はその欠乏を示すことが報告されており、このことは、組織の葉酸貯蔵をさらに正確に反映する赤血球(RBC)葉酸を評価した数少ない研究での知見と、概ね類似する。うつ患者を精神科又は非精神科の対照対象と比較した一部の研究では、うつ患者では、血清葉酸、RBCの葉酸[21]又は血清メチルテトラヒドロ葉酸(MTHF)レベルが、同様に葉酸の低い傾向があるアルコール中毒患者を除いて、他の全ての群のレベルよりも低いことが報告されている。さらに、血清又はRBCの葉酸及び血清MTHFが低いことは、多くの場合、うつ患者のうち症状のより高い重症度に関連する。
[0005]過去10年に、うつ治療は大きく前進した一方で、抗うつ剤を摂取するうつに罹っている29%〜46%もの患者は、その治療に対し、依然として部分的又は全体的に抵抗性がある。また、治療抵抗性のうつに悩む者は、ほとんど選択肢がない。抗うつ薬を受けているおよそ50%のMDD患者が、無応答であるか部分的に応答する。残りの症状の存在は、再発、うつのエピソードがより慢性化、及びエピソード間がより短期化する、高い危険性にも関連する。治療のためのガイドラインでは、無応答又は部分応答を管理するために、抗うつ薬の用量を増すこと、薬物を異なる抗うつ薬に置き換えること、抗うつ療法に非抗うつ剤を補うこと又は最初の抗うつ剤に第2の抗うつ剤を組み合わせることを含む、4通りの考えられる戦略を推奨している。あらゆる治療レジメンが各個体に効果があるわけではないことから、うつに罹っている対象のために適切で効果のある治療レジメンを選択することを容易にし得る予測マーカーを特定することが、強く必要とされている。
[0006]大うつ病性障害などのうつに罹っている患者のかなりの部分が、従来の抗うつ薬、例えば選択的セロトニン再取り込み阻害剤に対して、部分的にのみ応答を示すか全く応答を示さない。そのため、効果のある抗うつ療法を開発すること及び/又はうつに罹っている患者を、適切な抗うつ療法を受けることができるように階層化することが、強く必要とされている。本明細書に記載した様々な実施形態の態様は、うつ、例えば大うつ病性障害の治療のために、単独療法として又は抗うつ薬の補助剤として葉酸含有化合物を使用することに対する、効能応答に関連する一塩基多型(SNP)、末梢のバイオマーカー(peripheral biomarkers)及び/又は臨床的特徴を見出したことに端を発する。一部の実施形態では、発明者らは、本明細書に記載したこれらのマーカー又は状態を使用して、治療抵抗性うつ(TRD)、例えば少なくとも1種の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に抵抗性のあるうつに罹った対象のために、さらに効果のある治療を選択することもできることも示している。
[0007]特に、葉酸含有化合物を含む治療レジメンに適した患者(例えば大うつ病性障害及び/又はTRDに罹っている)を標示することのできる、1種の又は組合せのバイオマーカーとしては、以下のrs番号:メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)に存在するrs1801133、MTHFRに存在するrs2274976、メチオニンシンターゼ(MTR)に存在するrs1805087、メチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)に存在するrs1801394、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)に存在するrs1006737、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)に存在するrs1883729、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)に存在するrs7163862、還元葉酸担体タンパク質(RFC2)に存在するrs12659、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)に存在するrs202676、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)に存在するrs2297291、還元葉酸担体タンパク質1(RFC1)に存在するrs1051266、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)に存在するrs8007267、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)に存在するrs7639752、ドーパミン受容体D2(DRD2)に存在するrs6275、DRD2に存在するrs1079596、DRD2に存在するrs11240594、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)に存在するrs4633、COMTに存在するrs4680、ドーパミン活性輸送体(DAT若しくはSLC6A3)に存在するrs250682、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)に存在するrs2277820、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)に存在するrs2236225及びそれらの任意の組合せ、並びに/又はs−アデノシルメチオニン(SAM)、s−アデノシルホモシステイン(SAH)、4−ヒドロキシノネナール(4−HNE)、高感度C−反応性タンパク質(hsCRP)及びそれらの任意の組合せのうち少なくとも1種の発現、によって特定される、少なくとも1種又は複数のSNPが挙げられるが、これらに限定されない。追加的に又は代替的に、ヒト対象が肥満であるか否かを(例えばBMI値の測定によって)決定することも、うつに罹っている又はうつの危険性がある患者のために適切な治療レジメン(例えば葉酸含有化合物を含むか否か)を選択するためのバイオマーカーとして使用することができる。本明細書に開示したそのようなバイオマーカーの任意の個々又は組合せを、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを受けるためのうつである又はうつの危険性があると診断されている患者を特定するために、使用することができる。一部の実施形態では、葉酸含有化合物は、本明細書に記載した少なくとも1種又は複数のバイオマーカーを保有することについて選択された対象において、うつ(例えば大うつ病性障害)の治療のために、抗うつ薬の非存在下で使用することができる。代わりの実施形態では、葉酸含有化合物は、本明細書に記載した少なくとも1種又は複数のバイオマーカーを保有することについて選択された対象において、うつ(例えば大うつ病性障害)の治療のために、単独で又は抗うつ薬と(例えば補助剤として)併用して使用することができる。一実施形態では、抗うつ薬としては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を挙げることができる。SSRIの例としては、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
[0008]したがって、本明細書に提供するのは、うつに罹っている若しくはうつの危険性がある対象のための治療レジメンを選択するため、うつに罹っている若しくはうつの危険性がある対象に治療するため、及び/又はうつに罹っている若しくはうつの危険性がある対象に対し推奨された若しくは投与された治療レジメンの有効性を改善するための、アッセイ、方法、系及びキットに関する。本明細書に提供するのは、本明細書に記載したバイオマーカー又は状態のうち少なくとも1種(例えば少なくとも2種以上)又はその任意の組合せを保有することが選択された対象(例えばヒト対象)におけるうつの治療に使用するための、葉酸含有化合物にも関する。
[0009]一態様では、本明細書に提供するのは、ヒト対象における少なくとも1種のうつ症状を治療するための方法である。方法は、うつである又はうつの危険性があると診断されており、以下のバイオマーカー:
i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
iii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の1793位又は配列番号8の27位にあるSNP(rs2274976によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号8が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
iv.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号3の66位又は配列番号10の27位にあるSNP(rs1801394によって特定される)であり、配列番号3及び配列番号10が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
v.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
vi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号12の27位にあるSNP(rs1883729によって特定される)であり、配列番号12が、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
vii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号13の27位にあるSNP(rs7163862によって特定される)であり、配列番号13が、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
viii.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号14の27位にあるSNP(rs12659によって特定される)であり、配列番号14が、還元葉酸担体タンパク質(RFC2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
ix.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号15の27位にあるSNP(rs202676によって特定される)であり、配列番号15が、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
x.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号16の27位にあるSNP(rs2297291によって特定される)であり、配列番号16が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xi.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号17の27位にあるSNP(rs1051266によって特定される)であり、配列番号17が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xiii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号19の27位にあるSNP(rs7639752によって特定される)であり、配列番号19が、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xiv.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号20の27位にあるSNP(rs6275によって特定される)であり、配列番号20が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xv.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号21の27位にあるSNP(rs1079596によって特定される)であり、配列番号21が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xvi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号22の27位にあるSNP(rs11240594によって特定される)であり、配列番号22が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xvii.2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xviii.2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xix.少なくとも1つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号25の27位にあるSNP(rs250682によって特定される)であり、配列番号25が、溶質担体ファミリー6(神経伝達性輸送ドーパミン)メンバー3(SLC6A3)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xx.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号26の27位にあるSNP(rs2277820によって特定される)であり、配列番号26が、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xxi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号27の27位にあるSNP(rs2236225によって特定される)であり、配列番号27が、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xxii.肥満、
xxiii.所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現比、
xxiv.第1の所定の基準値よりも大きな、4−HNEの発現、及び
xxv.第2の所定の基準値よりも大きな、hsCRPの発現
のうち少なくとも2種の組合せを保有することがさらに決定しているヒト対象に、上記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せが、葉酸含有化合物に対する陽性症状を低減する応答に関連するという認識に基づいて、有効量の葉酸含有化合物を含む組成物を投与するステップを含む。
[0010]一部の実施形態では、上記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せは、以下:
i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと、
ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと
を含む。
[0011]一部の実施形態では、上記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せは、本明細書に記載したバイオマーカー(iii)〜(xxv)のうち少なくとも1種をさらに含む。他の実施形態では、肥満は以下の肥満指標:
a.30kg/mを超えるBMI値、
b.男性で40インチを超える(若しくは120cmを超える)、又は女性で35インチを超える(若しくは88cmを超える)胴囲、
c.男性で0.95を上回る、又は女性で0.80を上回る胴−臀部比、及び
d.男性で少なくとも約25%、又は女性で少なくとも約32%の体脂肪率
のうち少なくとも1種によって特徴付けられる。
[0012]一部の実施形態では、方法は、上記少なくとも2種のバイオマーカーの存在を決定するために、対象から得た生体試料をアッセイするステップをさらに含む。
[0013]一部の実施形態では、生体試料は、血液試料、尿試料、口腔試料、唾液試料又は脳脊髄液試料から選択される試料を含む。
[0014]一部の実施形態では、アッセイするステップは、SNPのいずれか1つに隣接する少なくとも1組のプライマーを用いて生体試料を増幅するサブステップを含む。一部の例では、少なくとも2つのSNPを増幅する少なくとも2組のプライマーは多重増幅アッセイに使用される。他の実施形態では、アッセイするステップは、ガスクロマトグラフィ、質量分析、高速液体クロマトグラフィ、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析、酵素共役アッセイ又はそれらの任意の組合せを用いて、生体試料においてSAM、SAH、4−HNE、hsCRP又はそれらの任意の組合せを分離及び/又はその存在を検出するサブステップを含む。
[0015]一部の実施形態では、SAM/SAHの所定の基準比は、健常な対象の生体試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比である。一部の実施形態では、健常な対象の血清試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比は、約4〜約12の範囲にある。ある特定の実施形態では、SAM/SAHの所定の基準比は、血漿試料で測定した場合に約3.0である。一部の実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の生体試料で測定した場合の4−HNEの対照値である。一部の実施形態では、健常な対象の血清試料で測定した場合の4−HNEの対照値は、血清1リットル当たり約0.24μmol(又は血清1リットル当たり約0.04mg)である。他の実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約3mgである。一部の実施形態では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の生体試料で測定した場合のhsCRPの対照値である。他の実施形態では、健常な対象の血清試料で測定した場合のhsCRPの対照値は、血清1リットル当たり約0.5mg〜血清1リットル当たり約4.5mgの範囲にある。一部の実施形態では、hsCRPの第2の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約2.3mgである。
[0016]一部の実施形態では、方法は、対象の体測値を決定するステップをさらに含む。一部の例では、体側値は、体重、身長、胴囲、臀囲、体脂肪率又はそれらの任意の組合せを含む。
[0017]一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約7.5mg/日〜約50mg/日である。
[0018]一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は毎日単回用量として投与される。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は1日当たり1を超える分割用量で投与される。
[0019]一部の実施形態では、投与は経口である。
[0020]一部の実施形態では、組成物は、投与すると少なくとも約3〜6時間にわたって葉酸含有化合物の少なくとも一部分を放出するように製剤化されている。一部の例では、放出は定常放出である。
[0021]一部の実施形態では、方法は、対象に抗うつ薬を投与するステップをさらに含む。一部の例では、葉酸含有化合物と併用する抗うつ薬の投与は、抗うつ薬の有効性を増大させる。一部の実施形態では、抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む。一部の例では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
[0022]一部の実施形態では、葉酸含有化合物を含み、任意選択で抗うつ薬と併用して投与する治療を、対象のためにさらに選択する方法。
[0023]一部の実施形態では、うつは大うつ病性障害である。
[0024]一部の実施形態では、うつであると診断されている対象は少なくとも1種の抗うつ単独療法に抵抗性である。一部の実施形態では、対象は成人対象である。
[0025]一部の実施形態では、少なくとも1種のうつ症状は、落ち込み若しくは抑うつ気分、快感消失、低いエネルギーレベル、罪悪感、作業量及び関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な身体症状、認知の低下又はそれらの任意の組合せから選択される。
[0026]別の態様では、本明細書に提供するのは、ヒト対象に投与した抗うつ薬の有効性を改善する方法である。方法は、うつであることが診断されており、以下のバイオマーカー:
i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
iii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の1793位又は配列番号8の27位にあるSNP(rs2274976によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号8が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
iv.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号3の66位又は配列番号10の27位にあるSNP(rs1801394によって特定される)であり、配列番号3及び配列番号10が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
v.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
vi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号12の27位にあるSNP(rs1883729によって特定される)であり、配列番号12が、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
vii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号13の27位にあるSNP(rs7163862によって特定される)であり、配列番号13が、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
viii.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号14の27位にあるSNP(rs12659によって特定される)であり、配列番号14が、還元葉酸担体タンパク質(RFC2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
ix.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号15の27位にあるSNP(rs202676によって特定される)であり、配列番号15が、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
x.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号16の27位にあるSNP(rs2297291によって特定される)であり、配列番号16が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xi.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号17の27位にあるSNP(rs1051266によって特定される)であり、配列番号17が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xiii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号19の27位にあるSNP(rs7639752によって特定される)であり、配列番号19が、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xiv.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号20の27位にあるSNP(rs6275によって特定される)であり、配列番号20が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xv.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号21の27位にあるSNP(rs1079596によって特定される)であり、配列番号21が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xvi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号22の27位にあるSNP(rs11240594によって特定される)であり、配列番号22が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xvii.2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xviii.2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xix.少なくとも1つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号25の27位にあるSNP(rs250682によって特定される)であり、配列番号25が、溶質担体ファミリー6(神経伝達性輸送ドーパミン)メンバー3(SLC6A3)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xx.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号26の27位にあるSNP(rs2277820によって特定される)であり、配列番号26が、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xxi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号27の27位にあるSNP(rs2236225によって特定される)であり、配列番号27が、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xxii.肥満、
xxiii.所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現比、
xxiv.第1の所定の基準値よりも大きな、4−HNEの発現、及び
xxv.第2の所定の基準値よりも大きな、hsCRPの発現
のうち少なくとも2種の組合せを保有することがさらに決定しているヒト対象に、上記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せが、葉酸含有化合物と併用して投与した場合に抗うつ薬の有効性を増大させることに関連するという認識に基づいて、抗うつ薬と併用して有効量の葉酸含有化合物を含む組成物を投与するステップを含む。
[0027]一部の実施形態では、上記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せは、以下:
i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと、
ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと
を含む。
[0028]一部の実施形態では、上記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せは、本明細書に記載したバイオマーカー(iii)〜(xxv)のうち少なくとも1種をさらに含む。
[0029]一部の実施形態では、肥満は以下の肥満指標:
a)30kg/mを超えるBMI値、
b)男性で40インチを超える(若しくは120cmを超える)、又は女性で35インチを超える(若しくは88cmを超える)胴囲、
c)男性で0.95を上回る、又は女性で0.80を上回る胴−臀部比、及び
d)男性で少なくとも約25%、又は女性で少なくとも約32%の体脂肪率
のうち少なくとも1種によって特徴付けられる。
[0030]一部の実施形態では、方法は、上記少なくとも2種のバイオマーカーの存在を決定するために、対象から得た生体試料をアッセイするステップをさらに含む。
[0031]一部の実施形態では、生体試料は、血液試料、尿試料、口腔試料、唾液試料又は脳脊髄液試料から選択される試料を含む。
[0032]一部の実施形態では、アッセイするステップは、SNPのいずれか1つに隣接する少なくとも1組のプライマーを用いて生体試料を増幅するサブステップを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのSNPを増幅する少なくとも2組のプライマーは多重増幅アッセイに使用される。他の実施形態では、アッセイするステップは、ガスクロマトグラフィ、質量分析、高速液体クロマトグラフィ、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析、酵素共役アッセイ又はそれらの任意の組合せを用いて、生体試料においてSAM、SAH、4−HNE、hsCRP又はそれらの任意の組合せを分離及び/又はその存在を検出するサブステップを含む。
[0033]一部の実施形態では、SAM/SAHの所定の基準比は、健常な対象の生体試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比である。一部の例では、健常な対象の血清試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比は、約4〜約12の範囲にある。一部の実施形態では、SAM/SAHの所定の基準比は、血漿試料で測定した場合に約3.0である。
[0034]一部の実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の生体試料で測定した場合の4−HNEの対照値である。一部の例では、健常な対象の血清試料で測定した場合の4−HNEの対照値は、血清1リットル当たり約0.24μmol(又は血清1リットル当たり約0.04mg)である。他の実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約3mgである。
[0035]一部の実施形態では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の生体試料で測定した場合のhsCRPの対照値である。一部の例では、健常な対象の血清試料で測定した場合のhsCRPの対照値は、血清1リットル当たり約0.5mg〜血清1リットル当たり約4.5mgの範囲にある。一部の実施形態では、hsCRPの第2の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約2.3mgである。
[0036]一部の実施形態では、方法は対象の体測値を決定するステップを含む。一部の例では、体側値は、体重、身長、胴囲、臀囲、体脂肪率又はそれらの任意の組合せを含む。
[0037]一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約7.5mg/日〜約50mg/日である。一部の例では、葉酸含有化合物の有効量は毎日単回用量として投与される。他の例では、葉酸含有化合物の有効量は1日当たり1を超える分割用量で投与される。一部の実施形態では、投与は経口である。
[0038]一部の実施形態では、組成物は、投与すると少なくとも約3〜6時間にわたって葉酸含有化合物の少なくとも一部分を放出するように製剤化されている。一部の例では、放出は定常放出である。
[0039]一部の実施形態では、抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む。一部の例では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
[0040]一部の実施形態では、方法は、葉酸含有化合物を含み、抗うつ薬と併用して投与する治療を、対象のために選択するステップをさらに含む。
[0041]一部の実施形態では、うつは大うつ病性障害である。
[0042]一部の実施形態では、うつであると診断されている対象は少なくとも1種の抗うつ単独療法に抵抗性である。一部の実施形態では、対象は成人対象である。
[0043]一部の実施形態では、ヒト対象に投与した抗うつ薬の有効性を改善する方法の結果、落ち込み若しくは抑うつ気分、快感消失、低いエネルギーレベル、罪悪感、作業量及び関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な身体症状、認知の低下又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種のうつ症状の改善を生じる。
[0044]別の態様では、本明細書に提供するのは、対象の少なくとも1種のうつ症状を治療する方法であって、うつである又はうつの危険性があることが診断されており、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPを保有することがさらに決定している対象に、(1つ又は複数の)SNP対立遺伝子の存在が、葉酸含有化合物に対する陽性症状を低減する応答に関連するという認識に基づいて、有効量の葉酸含有化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法である。
[0045]さらに別の態様では、本明細書に提供するのは、うつであると診断されている対象のための治療レジメンを選択するための方法である。方法は、
以下のSNP:
(i)少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
(ii)2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、又は
(iii)2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNPのうち1種の存在について対象由来の被験試料をアッセイするステップと、
対象が、MTR、COMT(rs4633)及びCOMT(rs4680)のSNPバイオマーカーのうち1種を保有することが決定している場合、葉酸含有化合物を任意選択で(任意選択で抗うつ薬と併用して)対象に投与するステップと
を含む。
[0046]別の態様では、本明細書で提供するのは、うつである又はうつの危険性があると診断されているヒト対象のために、治療レジメンを選択するためのアッセイである。アッセイは、
(a)メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)、メチオニンシンターゼ(MTR)、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)及びそれらの組合せの群から選択される少なくとも2つの遺伝子バイオマーカーの遺伝子型を決定するために対象由来の試料を分析するステップと、
(b)少なくとも2つの遺伝子バイオマーカーのそれぞれにおいて一塩基多型(SNP)の存在又は非存在について遺伝子型判定するステップによって検出するステップであり、SNPの存在が以下:
(i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP、
(ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、
(iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP、
(iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
のように示される、ステップと、
(c)SNPの存在に基づいて葉酸含有化合物の有効量を含む治療レジメンを選択するステップと
を含む。
[0047]一部の実施形態では、アッセイは、治療レジメンを施すステップをさらに含む。
[0048]一部の実施形態では、少なくとも2つの遺伝子バイオマーカーはMTHFR及びMTRの対である。他の実施形態では、少なくとも2つの遺伝子バイオマーカーはGCH1及びCOMTの対である。
[0049]一部の実施形態では、ステップ(a)は肥満、SAM/SAH比、4−HNEのレベル、hsCRPのレベル及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの追加的状態を決定するサブステップをさらに含む。
[0050]一部の実施形態では、ステップ(b)は以下の状態:
(i)所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現レベル比、
(ii)第1の所定の基準値よりも大きな、4−HNEの発現レベル、及び
(iii)第2の所定の基準値よりも大きな、hsCRPの発現レベル
の少なくとも1つを検出するサブステップをさらに含む。
[0051]一部の例では、以下の状態のいずれかが対象に存在する場合、肥満が決定する:30kg/m以上のBMI値、男性で40インチを超える若しくは女性で35インチを超える胴囲、男性で約0.95である若しくは女性で0.80を上回る胴−臀部比、又は男性で少なくとも約25%若しくは女性で少なくとも約32%の体脂肪率。
[0052]一部の例では、SAM/SAHの所定の基準比は、健常な対象由来の血清試料で測定した場合、約4〜約12である。他の例では、SAM/SAHの所定の基準比は、健常な対象由来の血漿試料で測定した場合、約3.0である。
[0053]一部の例では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.24μmol又は1リットル当たり約0.04mgである。他の例では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約3.0mgである。
[0054]一部の例では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.5mg〜1リットル当たり約4.5mgである。他の例では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約2.3mgである。
[0055]一部の実施形態では、試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、口腔試料及び唾液試料の群から選択される。
[0056]一部の実施形態では、うつは大うつ病性障害である。
[0057]アッセイの一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約15mg/日〜約50mg/日である。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約20mg/日である。さらに他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約40mg/日である。一部の例では、葉酸含有化合物は約20mg用量で1日当たり2回投与される。
[0058]一部の実施形態では、治療レジメンは抗うつ薬をさらに含む。一部の例では、抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。一部の実施形態では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤はフルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン又はそれらの組合せからなる群から選択される。
[0059]一部の実施形態では、対象は抗うつ単独療法への不十分な応答又は抵抗性を有する。
[0060]一部の実施形態では、SNPの存在又は非存在を検出するステップは、ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、プライマー伸長アッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、シークエンシングアッセイ又はそれらの組合せを含む。
[0061]一部の実施形態では、状態を検出するステップは、免疫アッセイ、免疫組織化学(IHC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、質量分析(MS)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析又はフローサイトメトリーを含む。
[0062]別の態様では、本明細書に提供するのは、うつである又はうつの危険性があると診断されているヒト対象の少なくとも1種のうつ症状を治療するための方法である。方法は、
(a)対象由来の試料を、
(i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP及びMTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、及び
(ii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP及びCOMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNPであって、少なくとも1つの組合せの存在が葉酸含有化合物への症状を低減する応答に関連するSNP
からなる群から選択される少なくとも2つの一塩基多型(SNPs)の少なくとも1つの組合せの存在又は非存在を決定するために分析するステップと、
(b)少なくとも1種のうつ症状を治療するために葉酸含有化合物の有効量を含む治療レジメンを対象に施すステップと
を含む。
[0063]一部の実施形態では、治療レジメンは抗うつ薬をさらに含む。一部の例では、抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。一部の実施形態では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン又はそれらの組合せからなる群から選択される。
[0064]一部の実施形態では、rs1801133での少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体の存在及びrs1805087での少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体の存在は、葉酸含有化合物への症状を低減する応答と関連する。他の実施形態では、rs8007267での少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体の存在及びrs4860での2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体の存在は、葉酸含有化合物への症状を低減する応答と関連する。
[0065]一部の実施形態では、うつは大うつ病性障害である。一部の実施形態では、少なくとも1種のうつ症状は、抑うつ気分、罪悪感、作業量又は関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な症状、認知障害及びそれらの組合せからなる群から選択される。
[0066]一部の実施形態では、対象は肥満である。一部の例では、肥満は、対象に存在する以下の状態のうち少なくとも1種によって特徴付けられる:30kg/m以上のBMI値、男性で40インチを超える若しくは女性で35インチを超える胴囲、男性で約0.95である若しくは女性で0.80を上回る胴−臀部比、又は男性で少なくとも約25%若しくは女性で少なくとも約32%の体脂肪率。
[0067]一部の実施形態では、試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、口腔試料及び唾液試料からなる群から選択される。
[0068]方法の一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約15mg/日〜約50mg/日である。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約20mg/日である。さらに他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約40mg/日である。一部の例では、葉酸含有化合物は約20mg用量で1日当たり2回投与される。
[0069]一部の実施形態では、葉酸含有化合物は経口で投与される。
[0070]一部の実施形態では、葉酸含有化合物はL−メチル葉酸である。
[0071]一部の実施形態では、対象は、SSRIなどの抗うつ単独療法に対し、不十分な応答があるか、抵抗性である。
[0072]一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ及び(1つ又は複数の)バイオマーカーのレベルが葉酸含有化合物への症状を低減する応答と関連するかどうかを決定するステップをさらに含む。一部の例では、追加的バイオマーカーは、SAM、SAH、4−HNE、hsCRP及びそれらの組合せからなる群から選択される。
[0073]一部の実施形態では、対象は、以下の状態:
(a)所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現レベル比
(b)第1の所定の基準値よりも高い、4−HNEの発現レベル、及び
(c)第2の所定の基準値よりも高い、hsCRPの発現レベル
のうち1つ又は複数に合致する場合、葉酸含有化合物に対する症状を低減する応答がある可能性が高い。
[0074]一部の例では、SAM/SAHの所定の基準比は、健常な対象由来の血清試料で測定した場合、約4〜約12である。他の例では、SAM/SAHの所定の基準比は、健常な対象由来の血漿試料で測定した場合、約3.0である。
[0075]一部の例では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.24μmol又は1リットル当たり約0.04mgである。他の例では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約3.0mgである。
[0076]一部の例では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.5mg〜1リットル当たり約4.5mgである。他の例では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約2.3mgである。
[0077]さらに別の態様では、本明細書で提供するのは、うつである又はうつの危険性があると診断されているヒト対象に投与する抗うつ薬の有効性を改善するための方法である。方法は、
対象が以下の一塩基多型(SNP)の組合せ:
(i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位若しくは配列番号7の27位にあるSNP、及びMTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位若しくは配列番号9の27位にあるSNP、又は
(ii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267によって特定される配列番号18の27位にあるSNP、及びCOMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
のうち少なくとも1種を保有する場合、有効量の葉酸含有化合物を含む治療組成物を、抗うつ薬と併用して投与するステップ
を含む。
[0078]一部の実施形態では、対象は抗うつ単独療法を受けている。一部の実施形態では、対象は抗うつ単独療法に対して不十分な応答がある。一部の例では、不十分な応答は臨床評価(例えば神経心理学的試験)に基づく。
[0079]一部の実施形態では、抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。一部の実施形態では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの組合せからなる群から選択される。
[0080]方法の一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約15mg/日〜約50mg/日である。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約20mg/日である。さらに他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は約40mg/日である。一部の例では、葉酸含有化合物は約20mg用量で1日当たり2回投与される。
[0081]一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は毎日単回用量として投与される。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は1日当たり少なくとも2回の分割用量で投与される。
[0082]一部の実施形態では、葉酸含有化合物は経口で投与される。
[0083]一部の実施形態では、葉酸含有化合物はL−メチル葉酸である。
[0084]一部の実施形態では、うつは大うつ病性障害である。
[0085]別の態様では、本明細書に提供するのは、うつである又はうつの危険性があることが診断されており、以下:
(i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP、
(ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、
(iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP、並びに
(iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
からなる群から選択される少なくとも2つのSNPを保有しているヒト対象におけるうつの治療における使用のための葉酸を含む組成物である。
[0086]一部の実施形態では、少なくとも2つのSNPは、MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP及びMTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNPである。他の実施形態では、少なくとも2つのSNPはGCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP及びCOMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNPである。
[0087]一部の実施形態では、うつは大うつ病性障害である。
[0088]一部の実施形態では、対象は少なくとも1種の抗うつ薬を受けている。
[0089]一部の実施形態では、少なくとも2種のSNPを保有している対象は葉酸を含む組成物及び抗うつ薬を含む補助療法を投与される。
[0090]一部の実施形態では、抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。
[0091]一部の実施形態では、葉酸含有化合物はL−メチル葉酸約15mg〜約50mgを含む。一部の実施形態では、葉酸含有化合物はL−メチル葉酸約20mgを含む。
[0092]一部の実施形態では、葉酸含有化合物は所定の放出プロファイルを有する。一部の例では、所定の放出プロファイルは持続放出である。他の例では、所定の放出プロファイルはパルス放出である。さらに他の例では、所定の放出プロファイルは時間制御放出である。
[0093]一部の実施形態では、葉酸を含む組成物は、該組成物を投与すると、少なくとも3〜6時間の期間にわたって、葉酸含有化合物の少なくとも30%を放出するように製剤化されている。
[0094]さらに別の態様では、本明細書で提供するのは、うつである又はうつの危険性があると診断されているヒト対象のための治療レジメンを選択する際に使用するためのキットである。キットは、対象から採取した試料において以下の一塩基多型(SNP):
(i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP、
(ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、
(iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP、
(iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
のうち少なくとも2種(例えば2、3又は4種)の存在又は非存在を決定するための少なくとも1種の試薬と、
当該キットを使用するための説明書と
を含む。
[0095]一部の実施形態では、少なくとも1種の試薬は、制限酵素、オリゴヌクレオチド、核酸プローブ、ポリメラーゼ及びそれらの組合せからなる群から選択される。
[0096]本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から、当業者に明らかとなろう。
1種のSNPマーカー(例えば、提示した遺伝子の希少なバリアント)又は提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。図1Aは、1種のSNPマーカー(例えば、提示した遺伝子の希少なバリアント)を保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表の一式であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。 1種のSNPマーカー(例えば、提示した遺伝子の希少なバリアント)又は提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。図1Bは、提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表の一式であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。 1種のSNPマーカー(例えば、提示した遺伝子の希少なバリアント)又は提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。図1Bは、提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表の一式であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。 1種のSNPマーカー(例えば、提示した遺伝子の希少なバリアント)又は提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。図1Bは、提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表の一式であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。 1種のSNPマーカー(例えば、提示した遺伝子の希少なバリアント)又は提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。図1Bは、提示した2種のSNPマーカーの組合せを保有したMDD患者のHAMD−28、HAM7及びCPFQを、それぞれの(1つ又は複数の)遺伝子が完全に正常であるMDD患者と比較した場合の平均変化を要約した表の一式であり、両群とも、葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として用いて、治療された後のものである。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(Indicated condition)(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、HAMD−28又はHAMD−7の値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(2種のSNPマーカーの組合せ又は1種のSNPマーカーと脂肪指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 葉酸含有化合物を、例えばSSRIの補助剤として含む治療レジメンを用いて、患者が治療された場合、提示した状態(単一のSNPマーカー)のMDD患者における存在又は非存在が、CPFQの値に及ぼす効果を示す結果の表の一式である。 臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物なしに抗うつ剤を投与)又は葉酸を含む治療群(葉酸含有化合物を抗うつ剤に対するアジュバントとして投与)内で、バイオマーカー陽性対象とバイオマーカー陰性対象とを比較した、遺伝的調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の影響に関する統計解析を示す結果の表の一式である。図7Aは、ある一連の患者を示す。結果は、提示した全ての遺伝的修飾因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)内で、MTRの2756のAG又はGGの遺伝子型(rs1805087)について陽性であった対象が、このSNPについて陰性であった対象と比較して統計的に有意な治療効果があることを示している。COMTのCC(rs4633)又はCOMTのGG(rs4680)のSNPについて陽性であった対象も、少なくとも1種の遺伝的調整因子の範疇で、統計的に有意な治療効果を示している。 臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物なしに抗うつ剤を投与)又は葉酸を含む治療群(葉酸含有化合物を抗うつ剤に対するアジュバントとして投与)内で、バイオマーカー陽性対象とバイオマーカー陰性対象とを比較した、遺伝的調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の影響に関する統計解析を示す結果の表の一式である。図7Aは、ある一連の患者を示す。結果は、提示した全ての遺伝的修飾因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)内で、MTRの2756のAG又はGGの遺伝子型(rs1805087)について陽性であった対象が、このSNPについて陰性であった対象と比較して統計的に有意な治療効果があることを示している。COMTのCC(rs4633)又はCOMTのGG(rs4680)のSNPについて陽性であった対象も、少なくとも1種の遺伝的調整因子の範疇で、統計的に有意な治療効果を示している。 臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物なしに抗うつ剤を投与)又は葉酸を含む治療群(葉酸含有化合物を抗うつ剤に対するアジュバントとして投与)内で、バイオマーカー陽性対象とバイオマーカー陰性対象とを比較した、遺伝的調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の影響に関する統計解析を示す結果の表の一式である。図7Aは、ある一連の患者を示す。結果は、提示した全ての遺伝的修飾因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)内で、MTRの2756のAG又はGGの遺伝子型(rs1805087)について陽性であった対象が、このSNPについて陰性であった対象と比較して統計的に有意な治療効果があることを示している。COMTのCC(rs4633)又はCOMTのGG(rs4680)のSNPについて陽性であった対象も、少なくとも1種の遺伝的調整因子の範疇で、統計的に有意な治療効果を示している。 臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物なしに抗うつ剤を投与)又は葉酸を含む治療群(葉酸含有化合物を抗うつ剤に対する補助剤として投与)内で、バイオマーカー陽性対象とバイオマーカー陰性対象とを比較した、遺伝的な調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の影響に関する統計解析を示す結果の表の一式である。図7Bは第2の一連の患者を示す。結果は、提示した全ての遺伝的修飾因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)内で、MTRの2756のAG又はGGの遺伝子型(rs1805087)について陽性であった対象が、このSNPについて陰性であった対象と比較して統計的に有意な治療効果があることを示している。COMTのCC(rs4633)又はCOMTのGG(rs4680)のSNPについて陽性であった対象も、少なくとも1種の遺伝的調整因子の範疇で、統計的に有意な治療効果を示している。 臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物なしに抗うつ剤を投与)又は葉酸を含む治療群(葉酸含有化合物を抗うつ剤に対する補助剤として投与)内で、バイオマーカー陽性対象とバイオマーカー陰性対象とを比較した、遺伝的な調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の影響に関する統計解析を示す結果の表の一式である。図7Bは第2の一連の患者を示す。結果は、提示した全ての遺伝的修飾因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)内で、MTRの2756のAG又はGGの遺伝子型(rs1805087)について陽性であった対象が、このSNPについて陰性であった対象と比較して統計的に有意な治療効果があることを示している。COMTのCC(rs4633)又はCOMTのGG(rs4680)のSNPについて陽性であった対象も、少なくとも1種の遺伝的調整因子の範疇で、統計的に有意な治療効果を示している。 臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物なしに抗うつ剤を投与)又は葉酸を含む治療群(葉酸含有化合物を抗うつ剤に対する補助剤として投与)内で、バイオマーカー陽性対象とバイオマーカー陰性対象とを比較した、遺伝的な調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の影響に関する統計解析を示す結果の表の一式である。図7Bは第2の一連の患者を示す。結果は、提示した全ての遺伝的修飾因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)内で、MTRの2756のAG又はGGの遺伝子型(rs1805087)について陽性であった対象が、このSNPについて陰性であった対象と比較して統計的に有意な治療効果があることを示している。COMTのCC(rs4633)又はCOMTのGG(rs4680)のSNPについて陽性であった対象も、少なくとも1種の遺伝的調整因子の範疇で、統計的に有意な治療効果を示している。 臨床試験のプラセボ群及び葉酸を含む治療群内で、バイオマーカー陽性対象の奏効率を示す結果の表の一式である。応答者は、鑑定期間中にわたって、少なくとも約50%のHAMD−28の低下によって示される。図8Aは、個々のバイオマーカーに関する奏効率を示している。 臨床試験のプラセボ群及び葉酸を含む治療群内で、バイオマーカー陽性対象の奏効率を示す結果の表の一式である。応答者は、鑑定期間中にわたって、少なくとも約50%のHAMD−28の低下によって示される。図8Bは、二重マーカー組合せに関する奏効率を示している。 臨床試験のプラセボ群及び葉酸を含む治療群内で、バイオマーカー陽性対象の奏効率を示す結果の表の一式である。応答者は、鑑定期間中にわたって、少なくとも約50%のHAMD−28の低下によって示される。図8Bは、二重マーカー組合せに関する奏効率を示している。 正常及び推測上は陽性であるメチル化に関与するマーカー(上部)及びL−メチル葉酸の代謝に関与するマーカー(下部)によって階層化した、L−メチル葉酸を用いたHDRS−28奏効率(治療マイナスプラセボ)を示す図である。図9Aは、合計、MTHFRのCC、MTHFRのCT/TT、FOLH1のAA、FOLH1のAG/GG、GCHFRのAA、GCHFRのTA/TT、RFC2のAA(例えばRFC1の815のAA)、RFC2の815のTT(例えばRFC1の815のTT)、RFC1のGG、RFC1のAA、RFC1の80のGG、RFC1の80のAA、GCH1のCC及びGCH1のTC/TTについての奏効率を示す。 正常及び推測上は陽性であるメチル化に関与するマーカー(上部)及びL−メチル葉酸の代謝に関与するマーカー(下部)によって階層化した、L−メチル葉酸を用いたHDRS−28奏効率(治療マイナスプラセボ)を示す図である。図9Bは、合計、CACNA1CのGG、CACNA1CのAG/AA、DNMT3BのGG、DNMT3BのAG/AA、DRD2の129のCC、DRD2の129のTTとCC、MTRの2756のAA、MTRの2756のAG/GG、COMTのTT、COMTのCC、COMTのAA及びCOMTのGGについての奏効率を示す。 L−メチル葉酸対プラセボについて、HDRS−28に関するベースラインからの平均変化を、個々のマーカー、例えばCOMTのA/GG、COMTのGG、GCH1のCC、GCH1のTC/TT、MTRの2756のAA、MTRの2756のAA/GG、MTHFRの677のCC、MTHFRの677のTC/TT、BMI<30kg/m及びBMI≧30kg/mの存在に従って示す図である。P値は、L−メチル葉酸対プラセボの比較に関する。 L−メチル葉酸対プラセボについて、プールしたエフェクトサイズを個々のマーカーの存在に従って示す図である。 L−メチル葉酸対プラセボについて、CGI、HDRS−7及びCPFQのスコアに関するプールした平均変化を、バイオマーカーの2種組合せの存在に従って示す図である。NAは、試料サイズが小さいために利用することができないデータを示す。p<0.05及び**p<0.001は、L−メチル葉酸対プラセボに関する。
発明の詳細な説明
I.序論
[0109]本発明は、一部では、うつに罹っている又はうつの危険性がある患者のために、治療レジメン、例えばL−メチル葉酸などの葉酸含有化合物の補助(追加)療法を選択するためのアッセイを提供する。また、提供するのは、うつに罹っている又はうつの危険性がある患者の少なくとも1種のうつ症状を治療するための方法である。また、うつに罹っている又はうつの危険性がある患者に投与する抗うつ薬の有効量を改善するための方法も提供する。アッセイ及び/又は方法は、患者が相乗的な二重マーカー組合せを保有しているか否かを特定するステップを含むが、そのような組合せには、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFRの677のCT/TT、rs1801133)とメチオニンシンターゼ(MTRの2756のAG/GG、rs1805087)とのSNP対及び/又はGTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1のTC/TT、rs8007267)とカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMTのVal158Met GG、rs4680)のマーカーの対などがある。また本明細書に提供しているのは、うつに罹っている又はうつの危険性があると診断されている、相乗的な二重マーカー組合せも保有する患者の治療に使用するための葉酸含有化合物である。
[0110]本明細書に提供するアッセイ、方法及び組成物は、例えば米国特許出願公開第2013/0172361号及び第2013/0267523号並びに国際公開第2013/074676号に見出される記載に関し、これらの開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
II.定義
[0111]本明細書で使用する場合、以下の用語は、別段に明記しない限り、それらが帰せられる意味を有する。
[0112]本発明は、本明細書に記載した特定の方法論、プロトコール及び試薬などに限定されず、またそれゆえ変化する場合があることを理解されたい。本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的とし、特許請求の範囲によってのみ規定された本発明の範囲に限定することを意図するものではない。
[0113]「バイオマーカー」又は「マーカー」という用語は、任意の遺伝子マーカー、生化学的マーカー、血清学的マーカー、又は本明細書において提供したアッセイ及び/若しくは方法に従って、葉酸含有化合物の応答、効能、毒性及び/若しくは抵抗性を予測、特定、鑑定(evaluating)、評価(assessing)、決定、モニター及び/又はは最適化する際に使用することができる他の臨床的特徴を含む。
[0114]「核酸」という用語は、当技術分野で周知である。本明細書で使用する場合の「核酸」とは、一般に、核酸塩基を含むDNA、RNA又はその誘導体若しくは類縁体の分子(すなわち鎖)を指す。核酸塩基としては、例えば、DNA(例えばアデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」若しくはシトシン「C」)又はRNA(例えばA、G、ウラシル「U」若しくは「C」)に見出される天然由来のプリン塩基又はピリミジン塩基が挙げられる。「核酸」という用語は、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語を、それぞれを「核酸」という用語の亜属として包含する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さで約3〜約100核酸塩基数の間の分子を指す。「ポリヌクレオチド」という用語は、長さで約100核酸塩基数よりも長い少なくとも1つの分子を指す。
[0115]本明細書で使用する場合の「相補的」又は「相補体」という用語は、2本の核酸鎖の領域の間の、又は同じ核酸鎖の2つの領域の間の配列相補性に関する、広い概念を指す。第1の核酸領域のアデニン残基は、当該第1の領域と逆平行の第2の核酸領域の残基と、当該残基がチミン又はウラシルであれば、特異的な水素結合(「塩基対合」)を形成することができることが知られている。同様に、第1の核酸鎖のシトシン残基は、当該第1の鎖と逆平行の第2の核酸鎖の残基と、当該残基がグアニンであれば、塩基対合することができることが知られている。2つの領域を逆平行の様式で配列する場合、第1の領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基が、第2の領域の残基と塩基対合することができるならば、核酸の第1の領域は、同じ又は異なる核酸の第2の領域と相補的である。第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、その結果、該第1の部分及び第2の部分が逆平行の様式で配列される場合、少なくとも約50%、及び好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%又は少なくとも100%の該第1の部分のヌクレオチド残基が、該第2の部分のヌクレオチド残基と塩基対合することができるようになることが好ましい。該第1の部分の全ヌクレオチド残基は、該第2の部分のヌクレオチド残基と塩基対合することができることがさらに好ましい。
[0116]「バリアント」、「変動(variance)」、「変異」又は「多型」という用語は、本明細書では互換的に使用され、個体の集団である場合、成員間の核酸配列の差異を指す。多型は、単一ヌクレオチドに変化がある場合、ときには「一塩基多型」又は「SNP」と呼ばれることもある。一部の実施形態では、多型は、同義的又は非同義的であり得る。同義的な多型は、翻訳領域又は非翻訳領域に存在する場合、典型的にはアミノ酸変化を生じないが、mRNAの安定性の変化又は代替的スプライシング部位の変化を生じ得る。非同義的な多型は、翻訳領域に存在する場合、1つ又は複数のコドンの変化を生じ、その結果、アミノ酸鎖のアミノ酸置換を生じ得る。そのような変異及び多型は、個体内でヘテロ接合性又はホモ接合性のいずれかである場合がある。ホモ接合性の個体は、相同染色体の対応する1つ又は複数の遺伝子座に、同一の対立遺伝子を有し、一方、ヘテロ接合性の個体は、相同染色体の対応する1つ又は複数の遺伝子座に、2つの異なる対立遺伝子を有する。ゆえに、多型が存在するために、1つの種の一部の成員が、1つの配列を伴う遺伝子(例えば、正常又は野生型の「対立遺伝子」)を保有し、一方で、他の成員が、変化した配列(例えば、バリアント又は変異の「対立遺伝子」)を有する場合がある点で、多型は、「対立遺伝子の(allelic)」と言われる。
[0117]SNPの位置、SNPの対立遺伝子又はヌクレオチド配列を規定する際に、核酸分子の一方の鎖の特定の部位にあるアデニン「A」、チミン「T」(ウリジン「U」)、シトシン「C」、又はグアニン「G」に言及することはまた、核酸分子の相補鎖の対応する部位にあるチミン「T」(ウリジン「U」)、アデニン「A」、グアニン「G」、又はシトシン「C」を(それぞれ)規定する。このように、特定のSNPの位置、SNPの対立遺伝子又はヌクレオチド配列を指すために、どちらかの鎖に対して言及することができる。
[0118]「遺伝子型」という用語は、細胞全体の特異的な対立遺伝子の構成又はある特定の遺伝子を指し、一方、「表現型」という用語は、特異的な遺伝子型の検出可能な外見上の顕現を指す。
[0119]「対立遺伝子」という用語は、本明細書で使用する場合、遺伝子の異なる形態の対のうちの一成員を指す。本明細書で使用する場合、対立遺伝子は、翻訳配列及び非翻訳配列を指す。対立遺伝子は、相同染色体の同じ遺伝子座又は位置を占める。対象が、遺伝子の2つの同一の対立遺伝子を有する場合、その対象は、遺伝子又は対立遺伝子についてホモ接合性であると言われる。対象が、遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を有する場合、その対象は、遺伝子についてヘテロ接合性であると言われる。特異的な遺伝子の対立遺伝子は、単一ヌクレオチド又はいくつかのヌクレオチドにおいて互いに異なる場合があり、ヌクレオチドの置換、欠失及び挿入を含み得る。遺伝子の対立遺伝子は、変異を含有する遺伝子の形態にもなり得る。
[0120]「SAM」という用語は、通常SAM、又はSAM−e又はAdoMetとして知られるS−アデノシルメチオニンを指し、あらゆる生細胞に見出される天然の化合物である。SAMは、生化学反応で最もよく使用される酵素基質の1つである。S−アデノシルメチオニンは、メチル基転移に関与するありふれた補助基質である。SAMは、アデノシン三リン酸(ATP)及びメチオニンから、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼによって作り出される。SAMは、メチル基転移、含硫基転移及びアミノプロピル化などの代謝経路に使用される。
[0121]「SAH」という用語は、S−アデノシル−L−メチオニンの脱メチル化によって形成されるS−アデノシルホモシステインを指す。血液、血漿及び血清中のS−アデノシルメチオニン(SAM)及びS−アデノシルホモシステイン(SAH)の相対的なレベルは、心血管疾患、一部のがん及び神経精神疾患などの栄養疾患並びに慢性疾患の状態に関わる代謝変化を予測するために使用することができる。
[0122]「SAM/SAH比」という用語は、S−アデノシルメチオニンのS−アデノシルホモシステインに対する相対的なレベルを指す。一部の例では、SAM/SAH比の減少は、血清中のホモシステインの増加及びSAHの増加に関係がある。
[0123]「4−HNE」という用語は、細胞で脂質の過酸化によって生成するα,β−不飽和ヒドロキシアルケナールである4−ヒドロキシノネナール又は4−ヒドロキシ−2−ノネナールを指す。4−HNEは、この過程で形成される主なα,β−不飽和ヒドロキシアルケナールである。4−HNEは、ストレス事象における脂質の過酸化の連鎖反応の増加に起因する酸化ストレスの間に、体組織中に、大量に見出される。4−HNEは、細胞周期の事象から細胞接着まで様々な経路の細胞のシグナル伝達において、重要な役割を果たすようである。4−HNEは、慢性炎症、神経変性疾患、成人呼吸促迫症候群、アテローム発生、糖尿病及び様々な型のがんなどの多数の疾患の可能性のある病因とも考えられている。
[0124]「hsCRP」という用語は、例えば血液、血清及び血漿に見出される高感度C−反応性タンパク質を指す。血清及び血漿のhsCRPのレベルの上昇は、炎症性疾患のある患者だけではなく、うつ症状のある患者にも検出されている。例えば、大うつ病は、hsCRP、並びにIL−6及びTNF−αなどの炎症性マーカーのレベルの上昇に関連することが報告されている(例えば、Dinan TG.Current Opinion Psychia.、2009年、22巻、1号、32〜6頁を参照されたい)。
[0125]「うつ」という用語は、悲しみ、絶望及び失意の感情によって特徴付けられる抑うつ気分の精神状態を指す。一部の例では、うつは、臨床症状であり、大うつ病性障害(単回のエピソード及び再発を含む)、単極性うつ、治療難治性うつ、抵抗性うつ、不安うつ及び気分変調(気分変調性障害とも呼ばれる)を含み得るが、これらに限定されない。さらに、「うつ」という用語は、あらゆる大うつ病性障害、気分変調性障害、うつの特性を伴う医学上の状態に起因する気分障害、大うつ病様のエピソードを伴う医学上の状態に起因する気分障害、うつの特性を伴う物質誘発性の気分障害、並びに、米国精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル第4版(DSM−IV)若しくはそれ以降の任意の版、又は世界保健機関の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD−10)に列挙されているような診断基準によって規定されるように、別段に明記されない、あらゆるうつ障害を包含し得る。
[0126]本明細書で使用する場合の、疾患の治療に関する「治療」及び「治療すること」という用語は、疾患の進行を予防すること、又は障害の方向性を変えること(例えば、障害の進行を遅延させることであるがこれに限定されない)、又は障害の症状を部分的に反転させること、又は対象の1種若しくは複数の症状及び/若しくは1種若しくは複数の生化学的マーカーを低減すること、1種若しくは複数の症状が悪化若しくは進行するのを予防すること、回復を促進すること、又は予後を改善することを意味する。
[0127]「治療レジメン」という用語は、例えばうつの疾患又は障害に関連する少なくとも1種の症状の、臨床上意義のある軽減を指す。
[0128]「陰性応答」という用語は、治療を受けている患者が、障害の兆候又は症状をさらに多く又は追加で経験するほどに、患者において障害の状態が悪化することを含む。
[0129]「陽性応答」という用語は、治療によって障害の兆候又は症状が軽減されるほどに、障害の状態の患者が改善することを含む。
[0130]「抗うつ剤」又は「抗うつ薬」という用語は、うつを治療するあらゆる医薬の薬剤を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載した方法に従って対象に投与される抗うつ薬は、うつを治療するために通常指示される任意の従来の医薬の薬剤であり得る。
[0131]「葉酸含有化合物」又は「葉酸を含む薬物」という用語は、本明細書に記載した方法に使用するために、少なくとも1種の有効量の葉酸含有化合物を指す。葉酸は、水溶性ビタミンB9の形態である。「葉酸」という用語は、葉酸(folate)、葉酸(folic acid)(ビタミンB9又はフォラシンとしても知られる)並びにそれらの代謝物又は誘導体、例えばメチル葉酸、テトラヒドロ葉酸及びメチルテトラヒドロ葉酸の天然由来の形態を包含する。「葉酸」という用語は、プテロイン酸モノグルタメート(葉酸)、並びにジヒドロ葉酸及びテトラヒドロ葉酸などの還元形態の両方、例えば、5−ホルミルテトラヒドロ葉酸、5−メチルテトラヒドロ葉酸、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、5,10−メテニルテトラヒドロ葉酸、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸及びテトラヒドロ葉酸、それらのポリグルタメート、それらの光学異性体(例えばそれらの光学的に純粋な天然の異性体、及びラセミ混合物などの光学異性体の混合物も含む)、それらの誘導体、それらの薬学的に許容される塩及びエステル、それらのグルコサミン塩、並びにそれらのガラクトサミン塩も指すことがある。
[0132]「薬学的に許容される塩及びエステル」という用語は、薬理学的に許容される及び薬学的に許容される塩及びエステルを指す。薬理学的及び薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩を挙げることができるが、これらに限定されない。薬理学的及び薬学的に許容されるエステルとしては、C〜Cアルキルエステル、Cシクロアルキルエステル若しくはCシクロアルキルエステル、フェニルエステル、C〜Cアルキルフェニルエステル、ベンジルエステル又はC〜Cアルキルベンジルエステルを挙げることができるが、これらに限定されない。エステルは、モノエステル又はジエステルであり得る。ジエステルは、均一でも不均一でもあり得る。一部の実施形態では、薬理学的及び薬学的に許容されるエステルは、C〜Cジアルキルエステル、例えばジメチルエステル又はジエチルエステルなどの均一なジエステルであり得る。
[0133]本明細書で使用する場合の「アジュバント」、「補助剤」、「補助薬」又は「補助療法」という用語は、一般に別の薬剤又は実体(entity)の効果を増大させる任意の薬剤又は実体を指す。ある特定の実施形態では、「アジュバント」という用語は、葉酸含有化合物について、抗うつ薬の効果(例えば効能及び/又は治療効果)を増大又は亢進させるための追加剤(薬)として、本明細書で使用される。
[0134]本明細書で使用する場合、「投与する」又は「投与」という用語は、所望の効果が生じるように、所望の部位に組成物を少なくとも部分的に局在させる結果をもたらす方法又は経路によって、対象内に組成物を配置することを指す。本明細書に記載した方法に適した投与の経路としては、局所投与と全身投与の両方が挙げられ得る。一般に、局所投与は、特異的な場所(例えば中枢神経系及び/又は末梢神経系のセロトニン受容体)に、対象の全身と比較してより高い量の抗うつ剤(例えばSSRI)及び/又は葉酸含有化合物を送達する結果をもたらすが、一方、全身投与は、抗うつ剤(例えばSSRI)及び/又は葉酸含有化合物を実質的に対象の全身に送達する結果をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載した組成物は、うつに罹っている対象に経口的に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載した組成物は、うつに罹っている対象に注射によって投与され得る。
[0135]療法に関する文脈における「不十分な応答」という用語は、(1つ又は複数の)疾患/障害の症状を低下又は最小にすることができず、そのために、患者に治療上の利益を提供しない薬物応答を指す。一部の例では、うつに罹っている患者についての不十分な応答は、神経心理学的な評価の尺度に従って、うつ症状の重症度が何も又は殆ど減少しないことを含む。
[0136]「症状が低下する応答」又は「陽性症状が低下する応答」という用語は、疾患/障害の症状を低下又は最小にして、その結果、対象に治療上の利益を与える薬物応答を指す。一部の例では、うつに罹っている対象の症状が低下する応答は、熟練の施療者によって決定された臨床上意義のある量の薬物によって、対象に重要な有害効果がなく、少なくとも1種のうつ症状が低下するものとして特徴付けられる。
[0137]「対象」又は「患者」又は「個体」という用語は、典型的にはヒトを含むが、例えば他の霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどの他の動物も含むことができる。
[0138]「健常な対象」という用語は、疾患若しくは障害の症状を何も持たない、又は疾患若しくは障害を何も特定されていない、又は何の薬物治療中にない対象、又は健康診断に基づいて、医師によって健康であると特定されている対象を指す。
III.実施形態の詳細な説明
[0139]本明細書に記載したアッセイ、方法及び組成物は、うつ、例えば大うつ病性障害を診断されている、又はうつの危険性がある個体に向けたものである。うつは、標準的な臨床基準、例えばDSM−IV−TR系を使用して、診断することができる。例えば、MDDを診断するためのDSM−IV系は、抑うつ気分若しくは過敏な、関心若しくは喜びの減少、大幅な体重変化(5%)若しくは食欲の変化、睡眠の変化(例えば不眠若しくは過眠)、活動の変化、疲労若しくはエネルギーの損失、罪悪感若しくは無気力、集中力の減退及び自殺傾向を含む10種のうつ症状のうち少なくとも5種の存在が必要である。また、症状は、少なくとも2週間表れるべきであり、各症状は、ほぼ毎日、十分な重症度であるべきである。
[0140]一般に、うつは、臨床医学者によって、例えばDSM−IV、又はハミルトンうつ病評価尺度(HAMD−28若しくはHAMD−7)、臨床全般印象度(CGI)尺度、モンゴメリ−アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病特性尺度(BDI)、ツングうつ病自己評価尺度、ウェクスラ−うつ病評価尺度、ラスキンうつ病評価尺度、抑うつ症状評価尺度(IDS)及び簡易抑うつ症状評価尺度(QIDS)などの効能の測定(神経心理学的評価)の基準リストを使用して鑑定される。例えば、測定可能なうつの緩和(うつの改善)としては、血中のうつのマーカー、例えば赤血球の葉酸、血清の葉酸、血清のMTHFの測定又は、うつの程度の評価、例えば神経心理学的評価を使用してなどの、測定可能なマーカー又は症状における臨床上重要なあらゆる下落が挙げられる。
[0141]例えば、HAMDのスコア0〜7は、典型的には正常であると考えられる。スコア20以上は、中程度、重度又は非常に重度のうつを示す。質問18〜21は、うつに関するさらなる情報(例えば日内変動又は妄想症状が存在するか否か)を与えるために記録される場合があるが、尺度の必要な部分ではない。このように、症状の低下は、例えばHAMDスコアが例えば20よりも減少する場合、臨床上関連すると考えられ得る。
[0142]一態様では、本明細書に提供した一部の実施形態は、葉酸応答性マーカーの相乗的な対が存在するか否かを決定するために、患者を遺伝子型判定することによって、うつに罹っている又はうつの危険性がある患者のための治療レジメンを選択するための、アッセイ又はアッセイ方法に関する。一部の実施形態では、葉酸応答性を示す遺伝子型としては、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むMTHFRのSNP(rs1801133によって特定される)、及び少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むMTRのSNP(rs1805087によって特定される)(例えば、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG)が挙げられる。他の実施形態では、葉酸応答性を示す遺伝子型としては、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むGCH1のSNP(rs8007267によって特定される)、及び2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むCOMTのSNP(rs4680によって特定される)(例えば、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG)が挙げられる。さらに他の実施形態では、葉酸応答性を示す遺伝子型としては、表4に記載した任意の相乗的な2マーカーが挙げられる。有効量の葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、患者が葉酸応答性のSNP対を保有することが決定している場合、患者のために選択される。
[0143]一部の例では、葉酸含有化合物の補助療法は、患者がMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、肥満である場合に処方される。一部の例では、該補助療法は、患者がMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対のSNP対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する場合に処方される。他の例では、該補助療法は、患者がMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する場合に処方される。さらに一部の例では、該葉酸含有化合物の補助療法は、患者がMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する場合に処方される。
[0144]一部の例では、葉酸含有化合物の補助療法は、患者がGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、肥満である場合に処方される。一部の例では、該補助療法は、患者がGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する場合に処方される。他の例では、該補助療法は、患者がGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する場合に処方される。さらに一部の例では、該補助療法は、患者がGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する場合に処方される。
[0145]別の態様では、本明細書に提供した一部の実施形態は、葉酸含有化合物を(任意選択で抗うつ薬を併用して)対象に投与するステップを含む、うつに罹っているヒト対象を治療する方法に関する。一実施形態では、葉酸含有化合物を(任意選択で抗うつ薬を併用して)投与することによってうつ対象を治療する方法は、対象が両方の葉酸応答性マーカー:少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むMTHFRのSNP(rs1801133によって特定される)と、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むMTRのSNP(rs1805087によって特定される)とを保有することの決定に基づく。別の実施形態では、葉酸含有化合物を(任意選択で抗うつ薬を併用して)対象に投与することによってうつに罹っているヒト対象を治療する方法は、対象が両方の葉酸応答性マーカー:少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むGCH1のSNP(rs8007267によって特定される)と、2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むCOMTのSNP(rs4680によって特定される)とを保有することの決定に基づく。
[0146]一部の例では、葉酸含有化合物の投与は、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、肥満である患者のために選択される。一部の例では、葉酸含有化合物の投与は、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する患者のために選択される。他の例では、葉酸含有化合物の投与は、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する患者のために選択される。さらに一部の例では、葉酸含有化合物の投与は、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する患者のために選択される。
[0147]一部の例では、葉酸含有化合物の投与は、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、肥満である患者のために選択される。一部の例では、葉酸含有化合物の投与は、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する患者のために選択される。他の例では、葉酸含有化合物の投与は、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する患者のために選択される。さらに一部の例では、葉酸含有化合物の投与は、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する患者のために選択される。
[0148]本明細書に記載した方法を用いて治療されているうつに罹っている対象は、現在抗うつ剤を摂取している対象であり得る。それゆえ、対象が現在摂取している抗うつ薬の有効性を改善するために、本明細書に記載したうつに罹っているヒト対象を治療する方法を、葉酸含有化合物と抗うつ剤との組合せを用いて治療するヒト対象を選択するために使用することもできる。したがって、現在抗うつ剤を摂取しているヒト対象が1種又は複数の相乗的な二重バイオマーカー組合せを保有することが決定している場合、該対象は、葉酸含有化合物を抗うつ剤のアジュバントとして、さらに投与又は処方され得る。
[0149]別の態様では、本明細書に提供した一部の実施形態は、うつに罹っている又はうつの危険性のある対象の少なくとも1種のうつ症状を治療するための方法に関する。症状としては、抑うつ気分、罪悪感、作業量及び関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な身体症状、認知機能障害及びそれらの任意の組合せが挙げられる。一部の実施形態では、対象の少なくとも1種のうつ症状を治療するための方法は、(i)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むMTHFRのSNP(rs1801133によって特定される)、及び少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子若しくはその相補体を含むMTRのSNP(rs1805087によって特定される)又は、(ii)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子若しくはその相補体を含むGCH1のSNP(rs8007267によって特定される)、及び2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むCOMTのSNP(rs4680によって特定される)などの相乗的なSNPの対を対象が保有するか否かを決定するために、対象を遺伝子型判定するステップを含む。有効量の葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、相乗的なSNP対の存在が決定された場合、患者に施される。
[0150]一部の例では、有効量の葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、肥満である患者のために選択される。一部の例では、該治療レジメンは、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する患者のために選択される。他の例では、該治療レジメンは、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNPを保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する患者のために選択される。さらに一部の例では、該治療レジメンは、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する患者のために選択される。
[0151]一部の例では、有効量の葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、肥満である患者のために選択される。一部の例では、該治療レジメンは、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する患者のために選択される。他の例では、該治療レジメンは、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する患者のために選択される。さらに一部の例では、該治療レジメンは、GCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GGのSNP対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する患者のために選択される。
[0152]一部の実施形態では、少なくとも1種のうつ症状は、対照(例えば、治療した対象と同じ又は同様の程度のうつである対象に、葉酸含有化合物なしで投与する、又は本明細書に記載した状態に見合うものがない対象に、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを施す)に比べて、医師又は心理学者によって鑑定されるような「臨床上意義のある量」又は「有効量」によって軽減される。
[0153]例えば、一部の実施形態では、治療レジメンを用いて患者が治療された後に、少なくとも1種の神経心理学的試験が、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%改善される(例えばHAMD−17の評点が下がる)。別の実施形態では、少なくとも1種の神経心理学的試験が、50%超、例えば、少なくとも約60%、又は少なくとも約70%改善される(例えばHAMD−17の評点が下がる)。一実施形態では、少なくとも1種の神経心理学的試験が、少なくとも約80%、少なくとも約90%又はそれ以上、対照(例えば、治療した対象と同じ又は同様の程度のうつである対象に、葉酸含有化合物なしで投与する、又は本明細書に記載した状態に見合うものがない対象に、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを施す)に比べて改善される(例えばHAMD−17の評点が下がる)。一部の実施形態では、少なくとも1種のうつ症状は、少なくとも約10日、例えば少なくとも約20日、少なくとも約30日、少なくとも約40日又はそれ以上を含む治療期間内に、医師又は心理学者によって鑑定されるような臨床上意義のある量によって軽減され得る。一部の実施形態では、少なくとも1種の神経心理学的試験が、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%又はそれ以上、少なくとも約10日、例えば少なくとも約20日、少なくとも約30日、少なくとも約40日又はそれ以上を含む治療期間内に、改善される(例えばHAMD−17の評点が下がる)。
[0154]別の一態様では、本明細書に提供した一部の実施形態は、うつに罹っているヒト対象に投与した抗うつ薬の有効性を増大させる方法に関するものであり、方法は、対象が少なくとも2種の葉酸応答性マーカーを保有するという決定に基づいて、抗うつ薬と併用して葉酸含有化合物を対象に投与するステップを含み、該マーカーの組合せは、相乗効果を生じるものである。一部の実施形態では、ヒト対象に投与した抗うつ薬の有効性を増大させる方法は、うつであることが診断されており、葉酸含有化合物を併用して投与する場合、抗うつ薬の有効性を増大させることに、示されたバイオマーカーの組合せが関連するという認識に基づいて、1種又は複数(例えば1、2、3以上)の相乗的な二重バイオマーカー組合せを保有することがさらに決定している対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、抗うつ薬の有効性を増大させる方法は、対象が、両方の葉酸応答性マーカー:少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むMTHFRのSNP(rs1801133によって特定される)と、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むMTRのSNP(rs1805087によって特定される)とを保有することの決定に基づいて、葉酸含有化合物を抗うつ薬と併用して対象に投与するステップを含む。他の実施形態では、抗うつ薬の有効性を増大させる方法は、対象が、両方の葉酸応答性マーカー:少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むGCH1のSNP(rs8007267によって特定される)と、2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むCOMTのSNP(rs4680によって特定される)とを保有することの決定に基づいて、葉酸含有化合物を抗うつ薬と併用して対象に投与するステップを含む。
[0155]一部の実施形態では、例えば本明細書に記載したアッセイを使用し、例えばヒト対象が葉酸又はその誘導体の影響をアジュバントとして受け易いか否かを決定することによって、ヒト対象に投与された抗うつ薬の有効性を決定及び/又は改善する方法。
[0156]一部の例では、対象は抗うつ薬に不十分な応答を有する。抗うつ薬に対し十分な応答とは、症状の重症度において50パーセントの減少があることである場合がある。例えば、抗うつ剤に応答する患者は、神経心理学的試験のスコアについて、ベースラインよりも50%以上の低下がある。うつからの緩和は、うつのエピソードについて、症状がないか、ほぼないとして規定され得る。
[0157]一部の例では、葉酸含有化合物の補助療法は、患者がSNP対、すなわちMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、肥満である場合に処方される。一部の例では、該補助療法は、患者がSNP対、すなわちMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する場合に処方される。他の例では、該補助療法は、患者がSNP対、つまりMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する場合に処方される。さらに一部の例では、該補助療法は、患者がSNP対すなわち、MTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する場合に処方される。
[0158]一部の例では、葉酸含有化合物の補助療法は、患者がSNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、肥満である場合に処方される。一部の例では、該補助療法は、患者がSNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する場合に処方される。他の例では、該補助療法は、患者がSNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する場合に処方される。さらに一部の例では、該補助療法は、患者がSNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する場合に処方される。
[0159]さらに別の態様では、本明細書に提供した一部の実施形態は、うつに罹っている又はうつの危険性がある対象が葉酸応答性を標示する遺伝子型を有している場合、該対象を治療するのに使用するための葉酸含有化合物に関する。一部の実施形態では、対象は、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むMTHFRのSNP(rs1801133によって特定される)と、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むMTRのSNP(rs1805087によって特定される)とを保有する場合、葉酸含有化合物に応答する可能性が高い。他の実施形態では、対象は、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含むGCH1のSNP(rs8007267によって特定される)と、2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含むCOMTのSNP(rs4680によって特定される)とを保有する場合、葉酸含有化合物に応答する可能性が高い。
[0160]一部の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、肥満である患者に投与される。一部の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する患者に投与される。他の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する患者に投与される。さらに一部の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちMTHFRの677のCT/TT及びMTRの2756のAG/GG対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する患者に投与される。
[0161]一部の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、肥満である患者に投与される。一部の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、所定の基準比よりも小さなSAM/SAH比を有する患者に投与される。他の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Met GG対を保有し、所定の基準値よりも大きな4−HNEの発現レベルを有する患者に投与される。さらに一部の例では、葉酸含有化合物は、SNP対、すなわちGCH1のTC/TT及びCOMTのVal158Me tGG対を保有し、所定の基準値よりも大きなhsCRPレベルの発現レベルを有する患者に投与される。
[0162]一部の実施形態では、葉酸含有化合物は、うつ、例えば大うつ病性障害に関連する、少なくとも1種の症状(例えば、これらに限らないが、落ち込み、快感消失、低いエネルギー、不眠、激越、不安及び/又は体重減少)を低下させるのに有効な量で投与することができる。一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は、ヒト対象に、1日の投与当たり少なくとも約0.1〜約1mg/kg体重を提供することができる。一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は、約7.5mg/日〜約50mg/日である。一部の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は、ヒト対象に、少なくとも約15mg/日〜約50mg/日の投与を提供することができる。一実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は、ヒト対象に、少なくとも約15mg/日の葉酸投与を提供することができる。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は、ヒト対象に、少なくとも約20mg/日の葉酸投与を提供することができる。他の実施形態では、葉酸含有化合物の有効量は、ヒト対象に、少なくとも約40mg/日の葉酸投与を提供することができる。一部の例では、葉酸含有化合物は、単回日用量として1日1回、又は分割用量として1日2回、任意の適した投与経路、例えば経口投与を介して投与される。例えば、20mgの単回用量を1日当たり投与することができる。あるいは、20mgの2回用量を1日に投与することができる。他の例では、葉酸含有化合物は1日2回超投与される。
[0163]一部の実施形態では、葉酸含有化合物は抗うつ薬と併用して投与される。一部の例では、治療効果(例えば、うつに関連する少なくとも1種の中核症状の低下)は、少なくとも2種の葉酸応答性バイオマーカーを保有することが決定しているヒト対象が、葉酸含有化合物の補助療法を用いて投与された場合に相乗的であり得る。治療効果に関する文脈において本明細書で使用する場合の「相乗作用」又は「相乗的」という用語は、少なくとも2種以上の薬剤を組合せた、個々の効果の合計よりも大きな効果を指す。特に、本明細書で使用する場合の「相乗作用」又は「相乗的」という用語は、2種以上の葉酸応答性バイオマーカーを保有するヒト対象に関連する、組み合わせられた治療効果であって、ヒト対象が葉酸含有化合物を含む治療を施される場合、個々の葉酸応答性バイオマーカーに関連する治療効果の合計(相加効果)よりも高い治療効果を指す。一部の実施形態では、相乗効果は、相加効果よりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又はそれ以上よりも高い場合がある(例えば、HAMD−28又はうつ症状を鑑定するための任意の他の等価の手段によって決定される場合)。一部の実施形態では、例えば、HAMD−28又は本願のどこかに記載されたうつ症状を鑑定するための任意の他の等価の手段によって決定される場合、相乗効果は、相加効果よりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍又はそれ以上よりも高い場合がある。
[0164]一部の実施形態では、治療効果は、HAMD−28、CGI−S及びCPFQなどの神経心理学的試験を使用して決定することができる。したがって、一部の実施形態では、相乗的な治療効果とは、少なくとも2種以上の葉酸応答性バイオマーカーを保有しているヒト対象が葉酸含有化合物を投与される場合、それぞれのバイオマーカーに関連するHAMD−28の個々の低下の合計よりも大きな、HAMD−28スコアの総低下を指す。一部の実施形態では、HAMD−28の平均変化への相乗効果は、相加効果よりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又はそれ以上高よりも高い場合がある。一部の実施形態では、HAMD−28の平均変化への相乗効果は、相加効果よりも少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍又はそれ以上よりも高い場合がある。
[0165]例えば、単一の葉酸応答性バイオマーカー(i)(すなわち、MTHFRにおける少なくとも1つの「T」バリアント)を保有することが決定している患者が、葉酸含有化合物を用いた投与(例えば任意選択で抗うつ剤と併用して)の後に、HAMD−28に約−3.0〜約−5.0の平均変化を示し、また、単一の葉酸応答性バイオマーカー(iii)(すなわち、MTR遺伝子における少なくとも1つの「G」バリアント)を保有することが決定している患者が、葉酸含有化合物を用いた投与(例えば任意選択で抗うつ剤と併用して)の後に、HAMD−28に約−8.2の平均変化を示したことを示す。患者が両方の遺伝子変異を保有する場合、葉酸含有化合物を含む(例えば任意選択で抗うつ薬と併用した)治療に対して応答する際の患者のHAMD−28の平均変化は、約−23.3であったが、この値は、それぞれのバイオマーカーに個々に関連する効果よりも高いだけではなく、それぞれ個々のバイオマーカーに関連する効果の合計(すなわち、相加効果は、HAMD−28に約−11.2〜約−13.2の平均変化を生じることになる)よりも、少なくとも約2倍という驚くほど高いものでもある。
A.葉酸応答性遺伝子バイオマーカー
[0166]うつの治療のために対象に投与した葉酸含有化合物の(例えば、抗うつ剤の効能を増大させるための併用療法における)治療上の効能を予測することができるSNPとしては、以下のSNP:メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)に存在するrs1801133、MTHFRに存在するrs2274976、メチオニンシンターゼ(MTR)に存在するrs1805087、メチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)に存在するrs1801394、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)に存在するrs1006737、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)に存在するrs1883729、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)に存在するrs7163862、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)に存在するrs12659、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)に存在するrs202676、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)に存在するrs2297291、還元葉酸担体タンパク質1(RFC1)に存在するrs1051266、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)に存在するrs8007267、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)に存在するrs7639752、ドーパミン受容体D2(DRD2)に存在するrs6275、DRD2に存在するrs1079596、DRD2に存在するrs11240594、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)に存在するrs4633、COMTに存在するrs4680、ドーパミン活性輸送体(DAT若しくはSLC6A3)に存在するrs250682、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)に存在するrs2277820、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)に存在するrs2236225及びこれらの任意の組合せ(表1及び表2を参照)のうち少なくとも2種が挙げられる。
Figure 2016518816

Figure 2016518816
[0167]一部の実施形態では、本明細書に記載したSNPの対は、うつに罹っている又はうつの危険性がある対象が、葉酸含有化合物に陽性応答を有する可能性が高いか否かを決定するために使用される。特に、以下のSNP:
i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
iii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の1793位又は配列番号8の27位にあるSNP(rs2274976によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号8が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
iv.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号3の66位又は配列番号10の27位にあるSNP(rs1801394によって特定される)であり、配列番号3及び配列番号10が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
v.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
vi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号12の27位にあるSNP(rs1883729によって特定される)であり、配列番号12が、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
vii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号13の27位にあるSNP(rs7163862によって特定される)であり、配列番号13が、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
viii.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号14の27位にあるSNP(rs12659によって特定される)であり、配列番号14が、還元葉酸担体タンパク質(RFC2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
ix.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号15の27位にあるSNP(rs202676によって特定される)であり、配列番号15が、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
x.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号16の27位にあるSNP(rs2297291によって特定される)であり、配列番号16が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xi.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号17の27位にあるSNP(rs1051266によって特定される)であり、配列番号17が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xiii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号19の27位にあるSNP(rs7639752によって特定される)であり、配列番号19が、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xiv.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号20の27位にあるSNP(rs6275によって特定される)であり、配列番号20が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xv.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号21の27位にあるSNP(rs1079596によって特定される)であり、配列番号21が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xvi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号22の27位にあるSNP(rs11240594によって特定される)であり、配列番号22が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xvii.2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xviii.2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xix.少なくとも1つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号25の27位にあるSNP(rs250682によって特定される)であり、配列番号25が、溶質担体ファミリー6(神経伝達性輸送ドーパミン)メンバー3(SLC6A3)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
xx.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号26の27位にあるSNP(rs2277820によって特定される)であり、配列番号26が、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び
xxi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号27の27位にあるSNP(rs2236225によって特定される)であり、配列番号27が、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP
のうち少なくとも2種の存在は、葉酸含有化合物に対する応答に関連する。
[0168]どちらかのマーカー単独によって生じる応答よりも大きな治療応答を示す2種のバイオマーカーの組合せを、表3に提示する。
Figure 2016518816

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[0169]一部の実施形態では、葉酸含有化合物を含む治療に対して、陽性に応答することになる患者を特定するために、表3に記載の二重バイオマーカー組合せを、本明細書に記載したアッセイ及び/又は方法に使用することができる。他の実施形態では、本明細書に記載した葉酸含有化合物を、表3に記載の二重バイオマーカー組合せを保有する患者を治療するために、使用することができる。
[0170]本明細書に記載した相乗的な二重バイオマーカー組合せは、2つの個々のバイオマーカー単独によって生ずる応答の合計よりも大きいか、又はどちらかのバイオマーカー単独によって生ずる応答よりも大きい、葉酸を含む治療に対する治療応答を標示する(表4)。
Figure 2016518816
[0171]一部の実施形態では、表2に記載の相乗的な二重バイオマーカー組合せは、葉酸含有化合物を含む治療に陽性に応答することになる患者を特定するために、本明細書に記載したアッセイ及び/又は方法において使用することができる。他の実施形態では、本明細書に記載した葉酸含有化合物は、表2に記載の相乗的な二重バイオマーカー組合せを保有する患者を治療するために使用することができる。
[0172]一部の実施形態では、葉酸含有化合物へ応答性があることを予測する相乗的な二重遺伝子対は、1)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び2)少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPである。
[0173]他の実施形態では、葉酸含有化合物へ応答性があることを予測する相乗的な二重遺伝子対は、1)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び2)2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNPである。
[0174]さらに他の実施形態では、葉酸含有化合物へ応答性があることを予測する相乗的な二重遺伝子対は、1)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び2)2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNPである。
[0175]他の相乗的な二重マーカー組み合わせは、
(i)少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び(ii)2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
(i)少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び(ii)少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
(i)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、及び(ii)少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子若しくはその相補体又は少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子若しくはその相補体を含む、配列番号15の27位にあるSNP(rs202676によって特定される)であり、配列番号15が、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
(i)少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、並びに(ii)肥満、
(i)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、並びに(ii)肥満、
(i)少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号12の27位にあるSNP(rs1883729によって特定される)であり、配列番号12が、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、並びに(ii)肥満、並びに
(i)少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、並びに(ii)肥満
を含む。
[0176]さらに、うつの治療のために葉酸含有化合物をヒト対象に(例えば、抗うつ剤の効能を増大させるための併用療法で)投与することの効能を予測することができる、末梢のバイオマーカーの条件としては、s−アデノシルメチオニン(SAM)とs−アデノシルホモシステイン(SAH)との間の相対発現レベル、4−ヒドロキシノネナール(4−HNE)の発現、高感度c−反応性タンパク質(hsCRP)の発現及びそれらの任意の組合せが挙げられる。また、肥満も、葉酸含有化合物を含む治療レジメン(例えば、単独療法又は抗うつ剤との併用療法)の有効性を断定することが見出されている。
[0177]本明細書に提供したアッセイ及び/又は方法の一部の実施形態では、少なくとも1種の相乗的なバイオマーカーの組合せを測定し、任意選択で肥満、SAM/SAH比、4−HNEのレベル、hsCRPのレベル又はそれらの組合せなどの少なくとも1種の末梢のバイオマーカーを測定して、葉酸含有化合物、例えばL−メチル葉酸の補助療法に対して対象が治療応答を有することになるか否かを決定する。
B.他の葉酸応答性バイオマーカー
[0178]一部の実施形態では、s−アデノシルメチオニン(SAM)とs−アデノシルホモシステイン(SAH)の発現比(SAM/SAH比)が所定の基準比よりも小さい場合、例えば健常な対象の生体試料で測定したときのSAM/SAHの対照比よりも小さい場合、対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを推奨及び/又は任意選択で施され得る。一実施形態では、SAMとSAHとの所定の基準比は、健常な対象の血清試料で測定した場合のSAMとSAHとの対照比であり得るが、この場合、SAMとSAHとの対照比は、4、5、6、7、8、9、10、11又は12などの約4〜約12の範囲であり得る。他の実施形態では、健常な対象の血清試料で測定した場合のSAMとSAHとの対照比は、約7であり得る。一部の実施形態では、SAMとSAHとの所定の基準比は、血漿試料で測定した場合に約3であり得る。他の実施形態では、SAMとSAHとの所定の基準比は、血漿試料で測定した場合に約2.8であり得る。別の実施形態では、血漿試料で測定した場合、SAMとSAHとの所定の基準比は、約2.71であり得る。一部の実施形態では、SAMとSAHとの発現比が、少なくとも所定の基準比である又はそれよりも大きい(例えば、血漿試料で測定したときに少なくとも2.71又はそれよりも大きい)場合、対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを推奨も施しもされない。血清試料対尿試料など、試験試料源に応じて、血漿試料についてのSAMとSAHとの所定の基準比は、例えば尿試料の所定の基準比とは異なり得る。例えば、Stabler SP及びAllen RH.2004、Clinical Chemistry、第50巻、365〜372頁を参照されたい。SAM及びSAHを検出するための方法を以下に記載する。
[0179]一部の実施形態では、対象の4−HNEの発現が第1の所定の基準値よりも大きい場合、例えば健常な対象の生体試料で測定したときの4−HNEの対照値よりも大きい場合、対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを推奨及び/又は任意選択で施され得る。一実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、健常な対象の血清試料で測定した場合の4−HNEの対照値であり得るが、この場合、4−HNEの対照値は、血清1リットル当たり約0.24モル又は血清1リットル当たり約0.04mgであり得る。例えば、Gocmen AYら、2008、Clinical Biohemistry、第41巻、836〜840頁を参照されたい。一実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合、血漿1リットル当たり約3mgであり得る。一実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合、血漿1リットル当たり約3.2mgであり得る。一実施形態では、4−HNEの第1の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合、血漿1リットル当たり約3.28mgであり得る。一部の実施形態では、4−HNEの発現が、第1の所定の基準値よりも低い(例えば、血漿試料で測定したときに血漿1リットル当たり3.28mgよりも低い)場合、対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを推奨も施しもされない。血液試料対脳脊髄液試料など、試験試料源に応じて、血漿試料についての所定の基準値は、例えば脳脊髄液試料の所定の基準値とは異なり得る。患者から採取した試料の4−HNEのレベルを測定するための方法を以下に記載する。
[0180]一部の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ及び方法は、高感度c−反応性タンパク質(hsCRP)の発現を決定するステップをさらに含み得るが、この場合第2の所定の基準値よりも大きい、例えば健常な対象の生体試料で測定したときのhsCRPの対照値よりも大きいhsCRPの発現は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを推奨及び/又は任意選択で施される対象を標示する。一部の実施形態では、hsCRPの第2の所定の基準値は、健常な対象の血清試料で測定した場合のhsCRPの対照値であり得るが、この場合、hsCRPの対照値は、血清1リットル当たり約0.5mg〜血清1リットル当たり約4.5mgの範囲であり得る。例えば、Guven SFら、2012、Sleep Breath、第16巻、217〜221頁を参照されたい。他の実施形態では、hsCRPの第2の所定の基準値は、血漿試料で測定した場合、血漿1リットル当たり約2.3mgであり得る。一部の実施形態では、hsCRPの発現が、第2の所定の基準値よりも低い(例えば、血漿試料で測定したときに血漿1リットル当たり2.3mgよりも低い)場合、対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを推奨も施しもされない。血液試料対脳脊髄液試料など、試験試料源に応じて、hsCRP発現血漿試料は、例えば脳脊髄液(CSF)試料の発現とは異なり得る。患者から採取した試料のhsCRPのレベルを測定するための方法を以下に記載する。
[0181]一部の実施形態では、物理的なバイオマーカー、例えば肥満指標を測定することもでき、この場合、肥満(例えば、少なくとも約30kg/m又はそれ以上のBMI値によって規定される)、男性で40インチを超える(若しくは120cmを超える)、若しくは女性で35インチを超える(若しくは88cmを超える)胴囲、男性で0.95を上回る、若しくは女性で0.80を上回る胴−臀部比、並びに/又は男性で少なくとも約25%、若しくは女性で少なくとも約32%の体脂肪率は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンがヒト対象に推奨及び/又は施されるべきであることを示す。
[0182]一部の実施形態では、本明細書に提供したアッセイ/方法は、ヒト対象が肥満か否かを決定するステップを含むことができる。ヒト対象が肥満であることが決定される場合、次いで、ヒト対象は、有効量の葉酸含有化合物を含む治療レジメンのために選択されて、任意選択で該レジメンを施される。ヒト対象の肥満を決定する方法は、当技術分野で公知であり、体格指数(BMI)測定、腹部脂肪の測定(例えば胴囲又は胴−臀部比による)、体脂肪の測定、皮下脂肪厚、水中体重秤量(密度測定)、空気置換プレチスモグラフィ、コンピュータ断層撮影(CT)及び核磁気共鳴撮像(MRI)、及び二重エネルギーX線吸収測定(DEXA)並びにこれらの任意の組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
C.バイオマーカーを検出又は測定するための方法
[0183]一部の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ及び/又は方法において実施される解析に付される試験試料は、対象の試料(例えば生体試料)に由来する。本明細書で使用する場合の「生体試料」という用語は、生物有機体から採取又は単離した試料、例えば細胞溶解物、対象由来の組織試料のホモジネート又は対象由来の液体試料を表す。生体試料は、未処理の又は前処理(若しくは前加工)した生体試料を含む。生体試料の非限定的な例としては、血液(全血、血漿、臍帯血及び血清を含む)、泌乳産物(例えば乳汁)、羊水、喀痰、唾液、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、汗、粘液、液性の糞便、滑液、リンパ液、涙液、気管吸引液やこれらの画分などの生体液が挙げられる。他の実施形態では、生体試料は、細胞溶解物及びその画分を含むことができる。例えば。細胞(赤血球、血小板、白血球及び本明細書に記載した生体液中に循環している任意の細胞など)を回収して溶解し、細胞溶解物を得ることができる。一部の実施形態では、生体試料は血液試料である。一部の実施形態では、生体試料は血漿試料である。他の実施形態では、生体試料は唾液試料である。別の実施形態では、生体試料は口腔試料である。さらに他の実施形態では、生体試料は尿試料である。他の実施形態では、生体試料は脳脊髄液試料である。
[0184]一実施形態では、試料は、血漿/血清バイオマーカーの発現レベルを測定する又はSNPを決定するために使用することのできる、ヒト対象由来の細胞及び/又は血液、唾液若しくは尿の非細胞性画分などの非細胞性生体材料を含有する。一部の実施形態では、試料は、切除、生検又はコア針生検由来である。また、微細針吸引試料が使用され得る。試料は、パラフィン包埋又は凍結した組織のいずれかであり得る。
[0185]試料は、対象から細胞の試料を取り出すことによって得ることができるが、既に単離した(例えば、別の者によって単離された)細胞を使用することによって達成することもできる。また、生体試料は、新たに採集される又は既に採集された試料であり得る。一部の実施形態では、生体試料は、凍結生体試料、例えば凍結組織又は尿、血液、血清若しくは血漿などの液体試料であり得る。凍結試料は、本明細書に記載した方法、アッセイ及び系を用いる前に解凍することができる。解凍後、凍結試料は、本明細書に記載した方法、アッセイ及び系に付す前に遠心分離することができる。
[0186]一部の実施形態では、試料は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)後の増幅された核酸産物であり得る。核酸産物は、DNA、RNA及びmRNAを含むことができ、当技術分野で周知の任意の多くの手順を使用して、特定の生体試料から単離することができるが、選ばれる特定の単離手順は、特定の生体試料に対し適切である。先に記載したような核酸バリアントを単離及び解析する方法は、当業者に周知であり、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Sambrook及びRussell、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001に見出すことができる。
[0187]当業者は、本明細書に記載したSNP又は血清/血漿バイオマーカーの発現レベルを決定するために必要な試験試料又は生体試料、例えば血液の前処理に適切な方法又は工程を認識している。
[0188]SNPの特定方法は、陽性型(対立遺伝子の内包)又は陰性型(対立遺伝子の除外)のいずれかであり得る。陽性型の方法は、多型部位に含有されるヌクレオチドの同一性を決定し、一方、陰性型の方法は、多型部位に存在しないヌクレオチドの同一性を決定する。そのため、野生型の部位は、野生型又は変異でないとして、いずれかで特定される。例えば、野生型対立遺伝子がチミンを含有し、変異対立遺伝子がシトシンを含有する二対立遺伝子多型部位では、ある部位は、陽性には、チミン又はシトシンのいずれかであると決定され、陰性には、チミン(及びそれゆえシトシン)でもシトシン(及びそれゆえチミン)でもないことを決定される。
[0189]一部の態様では、本明細書に提供するのは、対象が、多型についてホモ接合性である、多型についてヘテロ接合性である、又は多型を全く欠損しているか(すなわちホモ接合性の野生型)を決定するための方法が包含されている。例示的な実施形態にすぎないものとして、配列番号1の677位のC>Tの変動を検出する方法、すなわち、SNP遺伝子座においてC及びT対立遺伝子についてヘテロ接合性である、又はC対立遺伝子若しくはT対立遺伝子についてホモ接合性である、対立遺伝子を決定するための方法を提供する。対立遺伝子識別、制限酵素消化、制限断片長多型解析、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的増幅、シークエンシング[例えばサンガーシークエンシング、ピロシークエンシング(pyrosequencing)(商標)、及び次世代シークエンシング]、5’ヌクレアーゼ消化、モレキュラービーコン(molecular beacon)アッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、一塩基伸長若しくはミニシークエンシング、サイズ解析、均一アッセイ[例えば、タックマン(TaqMan)(登録商標)アッセイ]、融解曲線FRETハイブリダイゼーション、蛍光偏光、インベーダー(INVADER)(登録商標)アッセイ、SNPマイクロアレイ及び一本鎖高次構造多型などの、本明細書に記載した任意のSNPの対立遺伝子を検出するための実質的にあらゆる方法を使用することができる。
[0190]遺伝子の変異又は多型を検出する任意のアプローチは、本明細書に記載したSNPバイオマーカーの存在又は非存在を検出するために使用することができ、そのようなアプローチとしては、一本鎖高次構造多型(SSCP)解析[Oritaら(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第86巻、2766〜2770頁]、ヘテロ二本鎖解析[Priorら(1995)、Hum.Mutat.、第5巻、263〜268頁]、オリゴヌクレオチドライゲーション[Nickersonら(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第87号、8923〜8927頁]及びハイブリダイゼーションアッセイ[Connerら(1983)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第80巻、278〜282頁]が挙げられるが、これらに限定されない。PCR−RFLP、対立遺伝子特異的増幅(ASA)[Ruano及びKidd(1989)、Nucleic Acids Res.、第17巻、8392頁]、単一分子希釈(SMD)[Ruanoら(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第87巻、6296〜6300頁]や共役増幅及びシークエンシング(CAS)[Ruano及びKidd(1991)、Nucleic Acids Res.、第19巻、6877〜6882頁]などの古典的なTaqポリメラーゼPCRに基づく戦略は、ハプロタイプを決定するために、実施し易く、高感度の方法である[Michalatos−Beloinら(1996)、Nucleic Acids Res.、第24巻、4841〜4843頁;Barnes(1994)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第91巻、5695〜5699頁;Ruano及びKidd(1991)、Nucleic Acids Res.、第19巻、6877〜6882頁]。
[0191]SNP遺伝子型判定方法は、例えばSequenom(サンディエゴ、カリフォルニア州)、Illumina(サンディエゴ、カリフォルニア州),Life Technologies(カールスバッド、カリフォルニア州)及びAffymetrix(サンタクララ、カリフォルニア州)から入手可能である。
[0192]一部の実施形態では、本明細書に提供するアッセイ及び/又は方法は、うつである又はうつの危険性がある対象由来の試料、例えば血清、血漿又はCSF試料中のSAM、SAH及び/又は4−HNEなどの代謝物のレベルを測定するステップを含む。代謝物(例えばSAM、SAH及び/又は4−HNE)のレベルは、当技術分野で公知の任意の方法によって検出することができる。例えば、GC、HPLC(LC−MS)及び/又はCEによって分離した後に、質量分析計(MS)を、代謝物を特定及び定量するために使用することができる。一部の実施形態では、MSを独立した技術として使用することができ、例えば、生体試料を、代謝物(例えばSAM、SAH及び/又は4−HNE)の分離と検出の両方を行う質量分析計の内部へ直接的に注入する。一部の例では、例えば、質量分析(GC−MS)及び/又は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及び/又はキャピラリー電気泳動(CE)とインターフェースで接続されている場合、ガスクロマトグラフィ(GC)によって、標的代謝物(例えばSAM、SAH及び/又は4−HNE)を、任意選択で生体試料から(例えば検出前に)分離することができる。SAM、SAH及び/又はそれらの比を決定するための免疫アッセイを含む、SAM及びSAHの検出に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2009/0263879号に記載されている。
[0193]代謝物を検出するための他の有用な方法としては、ナノ構造イニシエータ質量分析、レーザー脱離/イオン化質量分析、例えばマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)質量分析、二次イオン質量分析(SIMS)、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)質量分析、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析、イオン移動度スペクトル分析、電気化学的検出(HPLCに共役)、放射標識(薄層クロマトグラフィに組み合わせる場合)、MALDI/TOF(飛行時間型)、SELDI/TOF、液体クロマトグラフィ−質量分析(LC−MS)、ガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)、高速液体クロマトグラフィ−質量分析(HPLC−MS)、キャピラリー電気泳動−質量分析又はタンデム質量分析(例えばMS/MS、MS/MS/MS、ESI−MS/MSなど)などの質量分析が挙げられる。
[0194]他の実施形態では、酵素共役アッセイを、生体試料中の代謝物(例えばSAM、SAH及び/又は4−HNE)のレベルを決定するために使用することができる。ほんの一例としては、酵素共役反応、すなわちチオプリンメチルトランスフェラーゼによって触媒されるチオールメチル化(例えば、Cannon,L.Mら、Analytical Biochemistry、第308巻、第2号、358〜363頁、2002参照)に基づくSAMの立体特異的比色アッセイによって、試料中のSAMのレベルを検出することができる。例えば、米国特許第8,344,115号、米国特許出願公開第2012/0130212号及び第2008/0081375号に記載したような追加的な代謝物解析方法は、生体試料中の代謝物(例えばSAM、SAH及び/又は4−HNE)の測定のために使用することもできる。SAM、SAH及び/又はそれらの比を決定するための免疫アッセイを含む、SAM及びSAHの検出に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2009/0263879号に記載されている。4−HNEのレベルは、4−HNEの付加体、例えば4−HNE−Hisの発現レベルを測定することによって決定することができる。4−HNEの付加体を測定するための市販のELISAキット、例えばOxiSelect(商標)HNE−His Adduct ELISAキットは、例えばCellBioLabsから入手可能である。
[0195]一部の実施形態では、対象から採取した試料中のhsCRPの発現レベルは、タンパク質レベル又はmRNAレベルを測定することによって、決定することができる。
[0196]限定なく、hsCRPタンパク質のレベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫放射アッセイ(IRMA)、ウェスタンブロッティング、免疫細胞化学又は免疫組織化学などの免疫アッセイによって検出することができる。血清、血漿、血液、CSF試料中のhsCRPの存在又はレベルを決定するのに適したELISAキットは、例えばMP Biomedicals、Abcam及びCalbiotechから入手可能である。
[0197]当業者は、バイオマーカーに特異的に結合することができる(例えば認識する)抗体、抗体断片、免疫コンジュゲートなどが、本明細書に記載した分析物のタンパク質発現のレベルを検出するために有用であることを認識している。試料中のタンパク質発現のレベルを測定するための、当技術分野で公知の任意の方法は、本明細書に記載したアッセイ及び/又は方法において使用することができる。
[0198]他の実施形態では、hsCRPの発現は、例えばハイブリダイゼーションアッセイ(例えばマイクロアレイ)又は増幅ベースアッセイなどのアッセイを用いて、mRNA発現のレベルで検出される。好適な実施形態では、本明細書に提供する分析物のmRNA発現のレベルは、ノーザンブロッティング、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、定量的RT−PCR(qRT−PCR)、タックマン(登録商標)アッセイ又はマイクロアレイによって、実施される。試料中のRNA発現のレベルを測定するための、当技術分野で公知の任意の方法は、本明細書に記載したアッセイ及び/又は方法において使用することができる。
D.うつに罹っている又はうつの危険性がある対象
[0199]一部の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ、方法及び組成物に適応可能な対象は、うつに罹っていると診断されているか、疑いがあるか、発症している対象である。したがって、うつであると診断されているか、疑いがあるか、発症している対象は、本明細書に記載したアッセイ、方法及び/又は組成物に付される前に選択され得る。他の実施形態では、本明細書に記載した対象は、大うつ病性障害(例えば、説明不能な不眠、疲労、易怒性など)を含む、うつを標示する1種又は複数の症状を提示する、又は、例えばDSM−IV又はICD−10に収載されている基準に従って、大うつ病性障害を含むうつについて(例えば、通常検診の間)スクリーニングされている個体である。
[0200]DSM−IV及びICD−10は、精神障害を分類するための共通の言語と標準的な基準を提供し、大うつ病性障害を含むうつを診断するために、適切に訓練された総合診療医によって、又は精神科医若しくは心理学者によって、一般的に使用されている。うつ症状としては、集中、想起及び/又は意志決定の問題、食事及び/又は睡眠の習慣の変化、楽しい活動での関心の喪失、通勤すること又は日々の責務を果たすことの困難、罪悪及び/又は絶望の感情、思考及び/又は発話の遅延、並びに死又は自殺の思考への拘りを挙げることができるが、これらに限定されない。当業者は、DSM−IV又はICD−10に基づいて、うつのスコア又は格付けを決定することができる。
[0201]当技術分野で公知の精神障害を分類するための他の尺度又は基準、例えばマイヤー若しくはHAMD−7尺度、又は社会的機能質問表(SFQ)、視覚的アナログ尺度(VAS)及び/又は認知・身体機能質問表(CPFQ)もまた、うつの程度を決定するために使用することができる。
[0202]うつの診断の間に、診療医はまた、患者の病歴を評価し、アルコール及び薬物の使用などの患者の気分(健康か又はその反対か)を調節する現状の方法を話し合い、並びに/又は人間の現在の気分と思考の内容、特に、絶望若しくは悲観、自傷若しくは自殺、及び前向きな考え若しくは計画性の欠如のテーマの存在に関する評価である、精神現在症検査を実施することができる。また、診療医は、一般に、認知と関連しない他のうつ症状の原因を排除するために、健康診断を実施することができる。例えば、甲状腺機能低下を除外するためにTSH及びサイロキシンを、代謝障害を排除するために塩基性電解質及び血清カルシウムを、並びに全身性感染又は慢性疾患を排除するためにESRを含む全血球数を、測定する血液検査が使用され得る。テストステロンレベルも、男性のうつの原因である性腺機能低下症を診断するために鑑定することができる。
[0203]当技術分野で公知の任意の遺伝子法又はバイオマーカー法を、うつの診断のために使用することもできる。例えば、米国特許出願公開第2010/0273153号は、TG7ATハプロタイプの存在が、大うつ病性障害の素因を標示し得ることを記載している。ATP2A2、SCYA5、STIP1、EEF1A1、GRB10、CASP6、TSSC1、RAB9、NFATC3やTPRなどのうつの追加的な遺伝子マーカー及び例えば、米国特許出願公開第2005/0239110号に収載されている任意の他の遺伝子マーカーもまた、うつを診断するために使用することができる。
[0204]一部の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ、方法及び組成物に適応可能な対象は、大うつ病性障害に罹っている、又は大うつ病性障害である若しくは発症する疑いがあることを診断されている対象である。大うつ病のエピソードは、少なくとも2週間続く重篤な抑うつ気分の存在によって特徴付けられる。エピソードは、孤立又は再発し得るものであり、熟練の診療医によって、軽度(最低限の基準を上回るごく僅かな症状あり)、中程度、又は重度(社会的若しくは職業上の機能に著しい影響あり)に分類することができる。
[0205]一部の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ、方法及び組成物に適応可能な対象は、うつ[例えば大うつ病性障害(MDD)]と診断されており、抗うつ単独療法、すなわち単一の抗うつ剤のみを用いたうつの治療に抵抗性がある対象である。一部の例では、うつに罹っている対象は、1種又は複数のクラスの少なくとも1種の抗うつ剤、例えば、1種又は複数のクラスの少なくとも2、3、4、5種又はそれ以上の抗うつ剤に抵抗性がある。一部の実施形態では、本明細書に記載した対象は、大うつ病性障害(MDD)と診断されており、少なくとも1種のセロトニン再取り込み阻害剤(SRI)に抵抗性があり、少なくとも1、2、3、4、5種又はそれ以上のSRIが含まれる。他の実施形態では、本明細書に記載した対象は、大うつ病性障害(MDD)と診断されており、少なくとも1種の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に抵抗性があり、少なくとも1、2、3、4、5種又はそれ以上のSSRIが含まれる。
[0206]一部の実施形態では、抗うつ単独療法に抵抗性のある対象は、抗うつ単独療法を少なくとも約3週間若しくはそれ以上又は約3週間まで施された後に、彼らが悩んでいるうつの少なくとも1種の症状において、臨床上意義のある低下を(例えば、医師又は心理学者によって鑑定される場合)示さない。うつ症状の非限定的な例としては、落ち込み若しくは抑うつ気分、快感消失、低いエネルギーレベル、罪悪感、作業量及び関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な身体症状、認知の低下又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
[0207]一部の実施形態では、抗うつ単独療法に抵抗性のある対象は、抗うつ単独療法を少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、又は少なくとも約12週間又はそれ以上施された後に、うつの少なくとも1種の症状(例えば1、2、3又はそれ以上の症状)において、臨床上意義のある低下を示さない。一部の実施形態では、対象は、抗うつ単独療法を少なくとも約3週間若しくはそれまで、少なくとも約4週間若しくはそれまで、少なくとも約5週間若しくはそれまで、少なくとも約6週間若しくはそれまで、少なくとも約7週間若しくはそれまで、少なくとも約8週間若しくはそれまで、少なくとも約9週間若しくはそれまで、少なくとも約10週間若しくはそれまで、少なくとも約11週間若しくはそれまで、又は少なくとも約12週間若しくはそれまで施された後に、うつの少なくとも1種の症状(例えば1、2、3又はそれ以上の症状)において、臨床上意義のある低下を示さない場合、治療抵抗性であることを決定される。うつの症状の臨床上意義のある低下は、医師又は心理学者によって鑑定され得る。
[0208]一部の実施形態では、本明細書に記載した対象は、治療抵抗性うつ(TRD)又は治療難治性うつと診断される。例えば、対象は、少なくとも2種若しくはそれ以上の抗うつ薬、例えば、少なくとも3種若しくはそれ以上、又は少なくとも4種若しくはそれ以上の抗うつ薬に応答しない又は抵抗性であるうつの一種を示す。治療抵抗性うつは、4〜12週間以内の間に2種の治療又は2種の抗うつ剤を施された後に緩和を達成できないことを含み得る。
[0209]一部の実施形態では、対象は、少なくとも2種又はそれ以上の抗うつ薬を(個々に又は組み合わせて)少なくとも約3週間又はそれ以上、例えば、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間又はそれ以上投与された後に、本明細書に記載した少なくとも1種のうつの症状において、対象が臨床上意義のある低下を示さない場合、治療抵抗性うつと診断される。一部の実施形態では、対象は、少なくとも2種又はそれ以上の抗うつ薬を(個々に又は組み合わせて)、例えば、約11週間まで、約10週間まで、約9週間まで、約8週間まで、約7週間まで、約6週間まで、約5週間まで、約4週間まで、又は約3週間までを含む、約12週間まで投与した後に、本明細書に記載した少なくとも1種のうつの症状において、対象が臨床上意義のある低下を示さない場合、治療抵抗性うつと診断される。一部の実施形態では、対象は、少なくとも2種又はそれ以上の抗うつ薬を(個々に又は組み合わせて)少なくとも約6週間若しくはそれまで、少なくとも約7週間若しくはそれまで、少なくとも約8週間若しくはそれまで、少なくとも約9週間若しくはそれまで、少なくとも約10週間若しくはそれまで、少なくとも約11週間若しくはそれまで、又は少なくとも約12週間若しくはそれまで投与した後に、本明細書に記載した少なくとも1種のうつの症状において、対象が臨床上意義のある低下を示さない場合、治療抵抗性うつと診断される。一部の実施形態では、治療抵抗性うつは、対象が、少なくとも約12週間又はそれまでの抗うつ剤の投薬後、うつ症状に臨床上意義のある改善を経験しない場合に診断される。
[0210]一部の実施形態では、本明細書に記載した対象は、治療抵抗性うつ(TRD)又は治療難治性うつと診断され、TRDのための無投薬治療、例えば、以下に限定されないが、電気けいれん療法、迷走神経刺激、経頭蓋磁気刺激及び/又は「会話」療法を現在受けている。これらの対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを、単独で、又は本明細書に記載したTRDのための無投薬治療との併用で、推奨又は施され得る。一部の実施形態では、これらの対象は、葉酸含有化合物を含む治療レジメンを、少なくとも1種の抗うつ薬と、任意選択でTRDのための無投薬治療との併用で、推奨又は施され得る。これらの実施形態では、TRDに罹っている対象に、葉酸含有化合物との併用で推奨又は投与される抗うつ薬は、対象が既に抵抗性を示している抗うつ薬、又は対象が試したことのない抗うつ薬であり得る。
[0211]一部の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ、方法及び組成物について選択される対象は、うつから緩和されており、今、再発又は再発の素因を診断されている。他の実施形態では、本明細書に記載したアッセイ、方法及び組成物について選択される対象は、うつと診断されており、少なくとも1種の抗うつ剤を現在摂取している。
E.葉酸含有化合物の補助的療法
[0212]本明細書に記載のアッセイ及び/又は方法は、うつである具体的な患者を特定する及び選択するためのスクリーニングとして使用でき、抗うつ剤及び葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、抗うつ薬の治療効果を増強するために有益である。いくつかの実施形態では、選択された患者、例えば、うつである又はうつの危険性があり、相乗的二重SNP組合せ(COMT Val158Met GGとGCH1 TC/TTとの対及びMTHFR 677 CT/TTとMTR 2756 AG/GGとの対)を保有している患者は、現在少なくとも1種の抗うつ薬を受けている。いくつかの場合では選択された患者は、抗うつ単独療法への不十分な応答を経験している又はしたことがある。
[0213]治療レジメンに含まれる葉酸含有化合物は、単一投薬形態を介して一緒に又は別々の投与によって投与されてもよい。ある特定の実施形態では葉酸含有化合物は、単一投薬形態で投与されてもよい。例えば単一投薬形態は、経口投与のための単一の錠剤、丸剤、カプセル又は非経口投与のための溶液として投与されてもよい。代替的に葉酸含有化合物は、別々の組成物として、例えば別々の錠剤又は溶液として投与されてもよい。葉酸含有化合物の部分用量の投与間の時間の長さは、所望の治療効果を達成するために調整されてもよい。
[0214]いくつかの実施形態では葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、少なくとも1つの抗うつ剤(例えば、1、2、3種以上の抗うつ剤)をさらに含む。抗うつ剤の非限定的例は、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン及びドーパミン再取り込み阻害剤及び非定型的抗うつ剤を含む。
[0215]いくつかの実施形態では治療レジメンは、抗うつ剤と併用して葉酸含有化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では抗うつ薬は、これだけに限らないが、フルオキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む。
[0216]葉酸含有化合物及び少なくとも1つの抗うつ剤を含む治療レジメンは、単一投薬形態を介して一緒に又は別々の投与によって投与されてもよい。ある特定の実施形態では抗うつ剤及び葉酸含有化合物は単一投薬形態で一緒に投与される。例えば単一投薬形態は、経口投与のための単一の錠剤、丸剤、カプセル又は非経口投与のための溶液として投与されてもよい。代替的に抗うつ剤及び葉酸含有化合物は別々の組成物として、例えば別々の錠剤又は溶液として投与されてもよい。抗うつ剤は葉酸含有化合物と同時に投与されてもよく、又は抗うつ剤は葉酸含有化合物と間欠的に投与されてもよい。抗うつ剤及び葉酸含有化合物の投与間の時間の長さは、所望の治療効果を達成するために調整されてもよい。特に葉酸含有化合物は、抗うつ薬単独(例えば葉酸含有化合物の非存在下)の有効性と比較して抗うつ薬の有効性を増強するために任意の頻度又は投与プロトコールで投与されてもよい。
[0217]いくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、抗うつ剤の投与のわずか数分(例えば1、2、5、10、30若しくは60分間)前又は後に投与されてもよい。代替的に葉酸含有化合物は、抗うつ剤の投与の数時間(例えば2、4、6、10、12、24若しくは36時間)前又は後に投与されてもよい。抗うつ剤及び葉酸含有化合物の半減期に応じて、ある特定の実施形態では抗うつ剤の投与の間に葉酸含有化合物の1回より多い量を投与することは有利である場合がある。例えば葉酸含有化合物は、抗うつ剤の投与後3時間で投与され、次いで6時間で再び投与されてもよい。代替的に、葉酸含有化合物の投与の間に1回より多い抗うつ剤の量を投与することが有利である場合がある。重要なことにいくつかの実施形態では抗うつ剤及び葉酸含有化合物それぞれの治療効果は、各治療薬の持続時間の少なくとも一部で重複していてもよく、それにより併用療法の全体的な治療効果は、併用療法の組合せにある程度帰因している。いくつかの実施形態では葉酸含有化合物及び抗うつ剤は、パルス投与で投与されてもよい。他の実施形態ではそれらは、パルスチェイス投与として投与されてもよく、例えば葉酸含有化合物が短期間(パルス)投与され、その後、長期間(例えばチェイス)の抗うつ剤の投与が続く。
[0218]いくつかの実施形態では、抗うつ剤及び葉酸含有化合物が別々の組成物中で投与される場合、抗うつ剤及び葉酸含有化合物は同じ又は異なる経路によって投与されてもよい。例えば抗うつ剤は、静脈内注射によって投与されてもよく、一方葉酸含有化合物は経口で投与されてもよく、逆も同様である。代替的に例えば抗うつ剤及び葉酸含有化合物の両方は、静脈内注射によって又は経口投与によって一緒に投与されてもよい。
[0219]抗うつ剤と併用して投与される葉酸含有化合物のアジュバント効果は、相加的である場合がある。1つの薬剤が第2の薬剤に相加的効果を有する内容で、本明細書において使用される用語「相加的」は、第1の薬剤だけでの使用と比較して第2の薬剤の存在下での第1の薬剤の有効性における増加を指す。別の言い方をすると、第2の薬剤は、第1の薬剤の存在への器官又は生物の生理的応答を増強する薬剤として機能できる。したがって第2の薬剤は、第1の薬剤の存在への個々の応答を増加させることによって第1の薬剤の有効性を増加させる。
[0220]いくつかの場合では、抗うつ剤と併用して投与される葉酸含有化合物のアジュバント効果は、相乗的であってもよく、2つ以上の薬剤の相互作用は、同じ投与量単独でのそれらの個々の効果よりも大きい併用効果をもたらす。
[0221]いくつかの実施形態では治療レジメンは、例えば運動レジメン、食事療法の指導を処方するステップ及び/又はうつの処置において有効な別の医薬品(例えば、抗精神病薬、リチウム、L−トリヨードチロニン及び刺激物質)を投与するステップを含む認知行動療法(CBT)、対人関係療法(IPT)、生活習慣の指導をさらに含んでよい。
[0222]本明細書に記載の方法で処置されているうつである対象は、現在抗うつ剤を摂取している対象であってもよい。したがって本明細書に記載のうつであるヒト対象を処置する方法は、葉酸含有化合物の補助的療法から利益を受けることができるヒト対象を特定するためにも使用できる。方法は、薬物への不十分な(不満足な)応答又は抵抗性を呈する対象によって現在摂取されている抗うつ薬の有効性を改善するための手段も提供する。
F.葉酸含有化合物
[0223]当技術分野において承認されている任意の葉酸含有化合物は、選択されてよく、及び/又は任意選択で少なくとも1つの二重マーカー組合せ(例えば、少なくとも1つの相乗的二重マーカー組合せ)を保有すると選択されたヒト対象に投与されてもよい。
[0224]いくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、少なくとも1つの(少なくとも2つ、少なくとも3つ以上を含む)葉酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、例えばこれだけに限らないが、葉酸のカルシウム塩を含んでもよい。
[0225]いくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、少なくとも1つの(少なくとも2つ、少なくとも3つ以上を含む)葉酸のグルコサミン塩及び/又はガラクトサミン塩(例えば葉酸及び還元葉酸、例えば、これだけに限らないが、テトラヒドロ葉酸及びそれらの誘導体を含む)を含んでもよい。グルコサミン葉酸及び/又はガラクトサミン葉酸並びにそれらの誘導体の例は、例えば、米国特許第7,947,662号に開示されており、本明細書に記載の方法でヒト対象に投与されてよく、又は組成物に含まれてもよい。一実施形態では、クアトレフォリック(QUATREFOLIC)(登録商標)(Gnosis S.p.A、Milan、IT)又はN−[4−[[[(6S)−2−アミノ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−5−メチル−4−オキソ−6−プテリジニル]メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸、グルコサミン塩は、本明細書に記載の方法でヒト対象に投与されてよく、又は組成物に含まれてもよい。
[0226]いくつかの実施形態では、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼが欠損しているうつである対象について、Me−THFとしても周知のメチル葉酸、N5−メチル−THF、MTHF、5−MTHF、L−メチル葉酸及びレボメフォリック酸(Levomefolic acid)又は薬学的に許容されるそれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、グルコサミン塩若しくはガラクトサミン塩)は、葉酸含有化合物としても使用のためにさらに望ましい。例えばメチル葉酸カルシウム塩は、デプリン(DEPLIN)(登録商標)(L−メチル葉酸カルシウム塩)として合衆国において処方箋により入手できる。メチル葉酸カルシウム塩は、合衆国外ではメタフォリン(METAFOLIN)(登録商標)、ボディフォリン(BODYFOLIN)(登録商標)及びニュートリフォリン(NUTRIFOLIN)(登録商標)としても入手できる。
[0227]本明細書に記載の方法でヒト対象に投与されてよく、又は組成物に含まれてもよい葉酸又は葉酸含有化合物の追加的な例は、これだけに限らないが、それに組み込まれる開示がすべての目的について参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,336,185号、第6,921,754号及び第7,947,662号並びに米国特許出願公開第2008/0064702号に記載のものを含んでもよい。
[0228]本明細書に記載のアッセイ及び/又は方法により、本明細書に記載の少なくとも1つの状態の存在(例えば二重SNP組合せ及び/又は本明細書に記載の血漿/血清バイオマーカー)を有すると判定されているうつである対象は、葉酸含有化合物の有効量と併用して投与される抗うつ剤の治療効果から利益を得られる。いくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、L−メチル葉酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、6(S)−5−メチルテトラヒドロ葉酸(6(S)−5−MTHFとしても周知)を含んでもよい。
[0229]本明細書に記載の治療方法における使用のための葉酸の有効量は、抗うつ剤(ある場合)の種類及び/又は投与量、葉酸の種類、うつの重症度、対象の身体の状態(例えば年齢、性別、体重)に応じて変更する場合がある。用語「有効量」は、選択された対象に投与される場合にうつに関連する少なくとも1種の症状を葉酸含有化合物の非存在下での処置と比較して例えば少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上低減できる葉酸又は葉酸含有化合物の量を指す。
[0230]いくつかの実施形態では用語「有効量」は、本明細書において、抗うつ剤と併用して選択された対象に投与される場合に抗うつ剤の効果(例えば有効性又は治療効果)を抗うつ剤単独での処置と比較して例えば少なくとも約5%まで、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上増加できる葉酸又は葉酸含有化合物の量を指して使用される。別の言い方をすると本明細書において使用される用語「有効量」は、抗うつ剤と併用して選択された対象に投与される場合に後に記載するうつに関連する少なくとも1種の症状を抗うつ剤単独での処置と比較して例えば少なくとも約5%まで、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上低減できる葉酸又は葉酸含有化合物の量を指して使用される。
[0231]いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療レジメンにおける葉酸の有効量は、約1mg/日〜約70mg/日まで、約1mg/日〜約50mg/日まで、約2.5mg/日〜約40mg/日まで、約5mg/日〜約40mg/日まで、約5mg/日〜約30mg/日まで又は約7mg/日〜約15mg/日までの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療レジメンにおける葉酸の有効量は、約15mg/日〜約50mg/日までの範囲であってもよい。他の実施形態では、本明細書に記載の治療レジメンにおける葉酸の有効量は、約20mg/日〜約40mg/日までの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、治療レジメンにおける葉酸の有効量は、約20mg/日であってもよい。他の実施形態では、治療レジメンにおける葉酸の有効量は、約40mg/日であってもよい。
G.抗うつ剤
[0232]うつである又はうつの危険性があるいくらかの患者について、抗うつ剤及び葉酸含有化合物を含む治療レジメンは、抗うつ薬の治療効果を増強するために有益である。いくつかの場合では抗うつ剤及び葉酸含有化合物は、相乗的治療効果を有する。
[0233]抗うつ剤又は抗うつ薬の例は、これだけに限らないが、フェネルジン、トラニルシプロミン及びモクロベミドなどのモノ−アミンオキシダーゼ阻害剤;イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、ノルトリプチリン、ドキセピン、プロトリプチリン、トリミプラミン、クロミプラミン及びアモキサピンなどの三環系;マプロチリンなどの四環系;ノミフェンシンなどの非環式;トラゾドンなどのトリアゾロピリジン(triazolopyridine);フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム及びフルボキサミンなどのセロトニン再取り込み阻害剤;ネファザドン(nefazadone)などのセロトニン受容体アンタゴニスト;ベンラファキシン及びミルナシプランなどのセロトニンノルアドレナリン作動性の再取り込み阻害剤;ミルタザピンなどのノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作用薬;レボキセチンなどのノルアドレナリン再取り込み阻害剤を含む。本明細書に記載の本発明において使用できる追加的抗うつ剤は、これだけに限らないが、ブプロピオン;カバカバ及びセントジョーンズワートなどの天然産生物;s−アデノシルメチオニンなどの栄養補助食品;甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンなどの神経ペプチド;ニューロキニン受容体アンタゴニストなどの化合物標的化神経ペプチド受容体;及びトリヨードチロニンなどのホルモンを含んでもよい。
[0234]いくつかの実施形態では抗うつ剤又は抗うつ薬は、セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であってもよい。SRI及び/又はSSRIの例は、非限定的に、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、R−フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、イミプラミン、イミプラミンN−オキシド、デシプラミン、ピランダミン、ダゼピニル、ネホパム、ベフラリン、フェゾラミン(fezolamine)、フェモキセチン、クロミプラミン、シアノミプラミン(cianoimipramine)、リトキセチン、セリクラミン、セプロキセチン、WY27587、WY27866、イメルジン(imeldine)、イフォキセチン(ifoxetine)、チフルカルビン(tiflucarbine)、ビクアリン(viqualine)、ミルナシプラン、バジナプリン(bazinaprine)、YM922、S33005、F98214TA、OPC14523、アラプロクラート、シアノドセピン(cyanodothepine)、トリミプラミン、クヌプラミン、ドチエピン、アモキサピン、ニトロキサゼピン(nitroxazepine)、McN5652、McN5707、Ol77、Org6582、Org6997、Org6906、アミトリプチリン、アミトリプチリンN−オキシド、ノルトリプチリン、CL255.663、ピルリンドール(pirlindole)、インダトラリン、LY113.821、LY214.281、CGP6085A、RU25.591、ナパメゾール(napamezole)、ジクロフェンシン(diclofensine)、トラゾドン、EMD68.843、BMY42.569、NS2389、セルクロレミン(sercloremine)、ニトロキパジン(nitroquipazine)、アデメチオニン(ademethionine)、シブトラミン及びクロボキサミン(clovoxamine)を含む。SRIは、塩基又はそれらの薬学的に許容される酸付加塩の形態で使用されてよい。
[0235]他の実施形態では、シナプス間隙での5−HTの細胞外レベルにおける上昇を生じる他の治療用化合物、例えばチアネプチンも抗うつ剤として使用されてもよい。
[0236]選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、モノアミントランスポーターの阻害物資であり、ドーパミン及びノルアドレナリントランスポーターよりもセロトニントランスポーターにさらに強い阻害効果を有する。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の例は、非限定的に、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せを含んでもよい。
[0237]葉酸含有化合物と併用してうつである対象に投与できる追加的SRI及び/又はSSRIは、例えば米国特許出願公開第2005/0054688号及び第2008/0138411号並びに米国特許第6,720,003号、第6,787,560号、第7,893,261号及び第7,148,238号に記載のものを含む。
[0238]当業者は、薬物添付文書、FDAガイドライン及び医師用卓上参考書などの適切な参考文献を参考にすることによって、周知の及び/又は市販されている抗うつ薬についての推奨用量レベルを容易に決定できる。いくつかの実施形態では抗うつ薬用量は、0.1mg/日〜約1000mg/日まで、約0.5mg/日〜約500mg/日まで、約1mg/日〜約400mg/日まで、約5mg/日〜約300mg/日まで又は約10mg/日〜約200mg/日までの範囲であってもよい。当業者は、それぞれ異なる抗うつ薬についての用量を抗うつ剤の種類及び/又は強度、うつの重症度、対象の身体の状態(例えば年齢、性別及び体重)、投与経路、対象によって摂取されている他の薬物療法並びにそれらの任意の組合せなどの多数の要因に応じて容易に調整できる。
H.医薬組成物
[0239]本明細書で提供するのは、少なくとも1種の相乗的二重バイオマーカー組合せを保有する対象へのin vivo投与のための葉酸含有化合物の治療有効量及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
[0240]いくつかの実施形態では、抗うつ剤又はその薬学的塩と共に投与される治療有効量の葉酸含有化合物又は葉酸は、例えばHAMD−17、HAMD−28又は実施例において記載される他の有効性測定によって測定される、少なくとも1つの神経生理学的検査における改善の程度を、葉酸含有化合物の非存在下(例えば抗うつ単独療法を伴って若しくは伴わずに)で得られる改善の程度と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%増加させるために十分である。いくつかの実施形態では、抗うつ剤又はその薬学的塩と共に投与される治療有効量の葉酸含有化合物又は葉酸は、例えばHAMD−17、HAMD−28又は実施例において記載される他の有効性測定によって測定される、少なくとも1つの神経生理学的検査における改善の程度を、葉酸含有化合物の非存在下(例えば抗うつ単独療法を伴って若しくは伴わずに)で得られる改善の程度と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍以上増加させるために十分である。
[0241]いくつかの実施形態ではヒトへの投与のための葉酸含有化合物又は葉酸の用量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり約0.01〜約50mgの範囲、1日当たり体重1キログラム当たり約0.05〜約5mgの範囲、又は1日当たり体重1キログラム当たり約0.1〜約1mgの範囲であってもよい。ある特定の実施形態では所望の用量は、例えば約0.5mg〜約500mg、約5mg〜約250mg、約10mg〜約100mg又は約10mg〜約50mgを含有する1種の単一単位投与形態として表されてもよい。いくつかの実施形態では1種の単一単位投与形態は、葉酸約1mg〜約70mg、葉酸約5mg〜約60mg又は葉酸約7mg〜約50mgまでを提供できる。他の実施形態では1種の単一単位投与形態は、葉酸約15mg〜約50mgを提供できる。さらに他の実施形態では1種の単一単位投与形態は、葉酸約20mgを提供できる。他の実施形態では所望の用量は、1日を通して適切な間隔で投与される2つの、3つの、4つの、5つ以上の部分用量で表されてもよい。これらの部分用量は、例えば約0.1mg〜約250mg、約1mg〜約100mg、約2mg〜約20mg又は約2mg〜約10mgを含有する単位投与形態で投与されてもよい。
[0242]いくつかの実施形態では医薬組成物は、少なくとも1種の抗うつ薬をさらに含んでもよい。一般に抗うつ剤又はヒトへの投与のために好適な薬学的に許容されるその塩の用量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり約0.01〜50mgの範囲、又は1日当たり体重1キログラム当たり0.1〜5mgの範囲である。ある特定の実施形態では、所望の用量は例えば約1mg〜約500mg又は約5mg〜約300mgを含有する1種の単一単位投与形態として表されてもよい。他の実施形態では所望の用量は、1日を通して適切な間隔で投与される2つの、3つの、4つの、5つ以上の部分用量で表されてもよい。これらの部分用量は、例えば約0.1mg〜約100mg又は約1mg〜約50mgを含有する単位投与形態で投与されてもよい。
[0243]薬学的に許容される担体は、液体若しくは固体フィラー、希釈剤、賦形剤、製造補助剤(manufacturing aid)(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくは亜鉛又はステアリン酸)又は、1つの器官又は身体の一部から別の器官又は身体の部分に対象化合物を運ぶ又は輸送することに関与する溶媒封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを含む。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者に有害でないという意味で「許容」されなければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例は、(i)乳糖、グルコース及びショ糖などの糖、(ii)コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン、(iii)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース及びセルロースアセテートなどのセルロース及びその誘導体、(iv)粉末トラガント、(v)麦芽、(vi)ゼラチン、(vii)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤、(viii)ココアバター及び座薬ワックスなどの賦形剤、(ix)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油などの油、(x)プロピレングリコールなどのグリコール、(xi)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール、(xii)オレイン酸エチル及びエチルラウレートなどのエステル、(xiii)アガー、(xiv)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(xv)アルギン酸、(xvi)発熱物質不含有水、(xvii)等張生理食塩水、(xviii)リンゲル溶液、(xix)エチルアルコール、(xx)pH緩衝液、(xxi)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ酸無水物、(xxii)ポリペプチド及びアミノ酸などのバルク剤(xxiii)血清アルブミン、HDL及びLDLなどの血清構成成分、(xxiv)エタノールなどのC2〜C12アルコール、並びに(xxv)製剤処方において用いられる他の無毒性適合性物質を含む。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤及び抗酸化物質も製剤中に存在してもよい。
[0244]薬学的に許容される担体は、投与経路及び製剤に応じて本明細書に記載の組成物において変更されてもよい。例えば本明細書に記載の薬学的に許容される組成物は、注射を介して送達されてもよい。投与(送達)のためのこれらの経路は、これだけに限らないが、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、心筋内及び注入技術を含む皮下又は非経口を含む。一実施形態では薬学的に許容される組成物は、注射のために好適な形態にある。別の実施形態では医薬組成物は、カテーテルによる送達のために製剤化されている。
[0245]医薬組成物を非経口で投与する場合、それは注射可能な形態(溶液、懸濁液、乳液)の単位投与に一般に製剤化されてもよい。注射のために好適な製剤処方は、滅菌水性溶液又は分散剤を含む。担体は、例えば、水、細胞培養培地、緩衝液(例えばリン酸緩衝生理食塩水)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、これらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であってもよい。いくつかの実施形態では医薬用担体は、緩衝液(例えばPBS)であってもよい。いくつかの実施形態では医薬組成物は、乳液又はゲルに製剤化されてもよい。
[0246]いくつかの実施形態では本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与のため又は吸入のために製剤化されてもよい。経口投与のために、好適な投薬形態は、錠剤、トローチ剤、カシェー剤、カプレット剤並びに硬ゼラチンカプセル及び軟ゼラチンカプセルを含むカプセル剤を含んでもよい。
[0247]いくつかの実施形態では、抗うつ剤及び葉酸含有化合物の両方は単一の医薬組成物中に製剤化されてもよい。例えば抗うつ剤及び葉酸含有化合物の両方は、経口投与のための単一錠剤中に製剤化されてもよい。
[0248]いくつかの実施形態では抗うつ剤及び葉酸含有化合物が単一の組成物に製剤化される場合、それらは組成物から同時に又は異なる時期に放出されてもよい。例示の方法によってのみ、抗うつ剤が組成物の内層に製剤化される一方で、葉酸含有化合物が組成物(例えば錠剤又は薬物送達粒子)の外側の相に製剤化される場合、葉酸含有化合物は最初に組成物からより速い速度で放出されてもよく、一方抗うつ剤は後に組成物から遅いゆっくりした速度で放出されてもよい。一方抗うつ剤及び葉酸含有化合物が組成物中で均一に混合されている場合、両者は組成物から同時に放出されてもよい。
[0249]他の実施形態では、抗うつ剤及び葉酸含有化合物は、治療過程の際に同じ又は異なる経路の投与のために別々の医薬組成物中に製剤化されてもよい。例えば抗うつ剤は吸入投与のために製剤化されてもよく、一方葉酸含有化合物は経口投与のために製剤化されてもよい。他の実施形態では抗うつ剤及び葉酸含有化合物の両方は、経口投与のために例えば別々の錠剤中に製剤化されてもよい。
[0250]本明細書に記載のうつの処置のために選択されたヒト対象に投与される葉酸の有効量は、栄養補助食品(50〜600μg/日の間)として摂取される典型的な量よりも顕著に多い。いくつかの実施形態では選択されたヒト対象に投与される葉酸の有効量は、栄養補助食品として摂取される典型的な量の少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1000倍以上である。したがっていくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、持続放出又は徐放組成物で製剤化されることが望ましい。
[0251]したがって、いくつかの実施形態では葉酸含有化合物を含む医薬組成物(抗うつ剤を伴う又は伴わない)は、徐放又は持続送達のために製剤化されてもよい。いくつかの実施形態では医薬組成物は、例えば葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)の徐放を提供するために、制御放出薬物送達系に製剤化されてもよい。本明細書において使用される用語「徐放」又は「持続送達」は、投与後一定時間にわたってin vivoで治療薬の送達が継続されることを指す。例えば徐放は、投与後少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約9時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約24時間に渡って生じてもよい。いくつかの実施形態では徐放は、投与後少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間にわたって生じてもよい。いくつかの実施形態では葉酸含有化合物の薬物送達系からの放出は、葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)の少なくとも約30%(例えば少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%以上を含む)が投与後約3〜6時間、又は投与後約4〜5時間放出される定常状態(ゼロ次速度過程)であってもよい。一実施形態では薬物送達系からの葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)の放出は、投与後約3〜6時間又は投与後約4〜5時間に葉酸含有化合物の実質的に完全な放出(例えば約100%)が放出される定常状態(ゼロ次速度過程)であってもよい。いくつかの実施形態では葉酸含有化合物は、患者の十二指腸(葉酸含有化合物、例えばL−MTHFについて約90%の吸収が生じる小腸の最初の1/3)の腸管吸収能力に過負荷をかけないように十分に遅い速度で薬物送達系から放出されてもよい。いくつかの実施形態では葉酸含有化合物及び抗うつ剤(ある場合)は、薬物送達系から同時に又は別々に、同じ又は異なる放出速度で放出されてもよい。
[0252]所定の時間にわたって葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)の徐放を提供する任意の薬物送達系(例えば、これだけに限らないがポリマーベース)は、葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)の投与のために使用されてもよい。一実施形態では薬物送達システムは、胃と十二指腸との間の幽門弁によって阻まれるように十分大きいカプレット設計であってもよく、カプレットは、所望の時間にわたって、例えば約2〜3時間にわたって、ゆっくり及び部分的に溶解され、その際に葉酸含有化合物はカプレットから絶え間なく放出される。カプレットが幽門弁を通り抜けられる大きさに溶解されるとその定常状態放出が完了し(例えば、追加的な期間、例えば追加的な2時間)、カプレットは吸収が最少である空腸(小腸の第2の3分の1)に進み続けることができる。
[0253]いくつかの実施形態では薬物送達系は、ポリマーマトリクスを通じた拡散又は浸食を介する葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)の放出を制御するために親水性と疎水性ポリマーとのブレンドを使用できる。
[0254]いくつかの実施形態では薬物送達系は、ポリマーベース粒子に封入された葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)を含んでもよい。これらの葉酸を含有するポリマーベース粒子は、放出の追加的制御のためにカプセル又は単一用量サシェに充填されてもよい。
[0255]さまざまな投与方法(例えば、経口投与、注射、インプラント及び吸入)のための制御放出(例えば、徐放)薬物送達系は、当技術分野において周知であり、本明細書に記載の治療方法のために葉酸含有化合物(及び任意選択で抗うつ剤)を送達するために採用されてもよい。種々の投与経路を介して活性剤を送達するための薬物送達システムの種々の種類について、その開示がすべての目的についてそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる例えば国際特許出願第2012/111961号(経口製剤)、第2012/131678号(注射可能な製剤)、米国特許出願公開第2012/0258161号(植え込み式製剤)、第2001/0038854号、第2001/0033866号及び米国特許第8,268,347号(吸入製剤)を参照されたい。
[0256]さらに、抗菌保存剤、抗酸化物質、キレート剤及び緩衝液を含む組成物の安定性、無菌性及び等張性を増強する種々の添加物が添加されてもよい。微生物の作用の予防は、種々の抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にできる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことは望ましい可能性がある。
[0257]組成物は、所望の投与の経路及び調製物に応じて湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化又は粘度増強添加物、保存剤、着色料、結合剤などの補助物質も含有できる。参照により本明細書に組み込まれる「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE」、第17版、1985などの標準的テキストは、過度の実験を伴うことなく、好適な調製物を調製するために参考にされてもよい。しかし本明細書に記載の組成物に関して、使用されるいかなるビヒクル、希釈剤又は添加物も抗うつ剤若しくは薬学的に許容されるそれらの塩及び/又は葉酸含有化合物と生体適合性を有するべきである。
[0258]医薬組成物は、等張であってもよく、すなわちそれらは、血液及び涙液と同じ浸透圧を有してもよい。本明細書に記載の組成物の望ましい等張性は、塩化ナトリウム又は、ブドウ糖、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール又は他の無機若しくは有機溶質などの他の薬学的に許容される薬剤を使用して達成されてもよい。一実施形態では塩化ナトリウムは、ナトリウムイオンを含有する緩衝液において使用される。
[0259]組成物の粘度は、薬学的に許容される増粘剤を使用して選択されたレベルに維持されてもよい。一実施形態ではメチルセルロースが、それが容易に及び経済的に入手でき、共に作用することが容易であることから使用される。他の好適な増粘剤は、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒロドキシプロピルセルロース、カルボマーなどを含む。増粘剤の好ましい濃度は、選択された薬剤に依存する。重要な点は、選択された粘度を達成する量を使用することである。粘稠性組成物は、そのような増粘剤の付加によって溶液から通常調製される。
[0260]典型的には、任意の添加物(抗うつ剤及び/又は葉酸含有化合物に加えて)は、リン酸緩衝生理食塩水中で0.001〜50wt%溶液の量で存在してもよく、活性成分は約0.0001〜約5wt%、約0.0001〜約1wt%、約0.0001〜約0.05wt%又は約0.001〜約20wt%、約0.01〜約10wt%及び約0.05〜約5wt%などのマイクログラムからミリグラムからグラムの桁で存在する。圧迫(compression)を有する対象に投与される任意の治療用組成物について及び投与の任意の具体的な方法について、好適な動物モデル例えばマウスなどのげっ歯類において致死量(LD)及びLD50を決定するステップなどによって毒性を、並びに好適な応答を誘発する組成物(複数可)の投薬量、その中の構成成分の濃度並びに組成物(複数可)を投与する時期を決定することは好ましい。そのような決定は、当業者の知識により過度の実験を必要としない。
[0261]本明細書に記載の組成物は、一般に許容される手順に従って成分を混合するステップによって調製されてもよい。例えば成分は適切な薬学的に許容される担体中に混合されてもよく、混合物は、水又は増粘剤及び場合によりpHを制御するための緩衝液又は浸透圧を制御するための追加的溶質の付加によって最終濃度及び粘度に調整されてもよい。一般にpHは、約3〜約7.5までで変化する場合がある。いくつかの実施形態では、組成物のpHは約6.5〜約7.5であってよい。組成物は、医学及び獣医学分野の当業者によって十分周知の投薬量で及び技術によって、年齢、性別、体重及び具体的な患者の状態、並びに投与のために使用される組成物形態(例えば液体)などの要因を考慮して投与されてよい。
I.キット
[0262]いくつかの実施形態では本明細書で提供されるのは、うつである又はうつの危険性があることが診断されているヒト対象のための治療レジメンの選択に使用するためのキットである。キットは、対象から採取された試料中で少なくとも2種の次の一塩基多型(SNP):
(i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP、
(ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、
(iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP、
(iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
の存在又は非存在を決定するための少なくとも1種の試薬、及び
キットの使用のための説明書を含む。
[0263]いくつかの実施形態では少なくとも1種の試薬は、制限酵素、オリゴヌクレオチド、核酸プローブ、ポリメラーゼ及びそれらの組合せからなる群から選択される。キットは、葉酸応答性遺伝子バイオマーカーを遺伝子型判定するために本明細書に記載の方法において使用されてもよい。いくつかの実施形態ではキットは、SNPのいずれか1種に隣接している少なくとも1組のプライマーを含む。いくつかの場合では、少なくとも2組のプライマーは、多重増幅アッセイにおいて少なくとも2種のSNPを増幅できる。
[0264]本明細書に記載の種々の態様の実施形態は、以下の番号付けられた項のいずれか1つによっても記載されてもよい。
[0265]1.うつである又はうつの危険性があると診断されているヒト対象のための治療レジメンを選択するためのアッセイであって、
[0266](a)対象由来の試料を分析して、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)、メチオニンシンターゼ(MTR)、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)及びそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも2種の遺伝子バイオマーカーの遺伝子型を決定するステップと、
[0267](b)少なくとも2種の遺伝子バイオマーカーのそれぞれでの一塩基多型(SNP)の存在又は非存在について遺伝子型判定によって検出するステップであり、SNPの存在が以下:
[0268](i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP
[0269](ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、
[0270](iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP
[0271](iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
のように示される、ステップと、及び
[0272](c)上記SNPの存在に基づいて、葉酸含有化合物の有効量を含む治療レジメンを選択するステップと
を含む、アッセイ。
[0273]2.上記治療レジメンを施すステップをさらに含む、項1に記載のアッセイ。
[0274]3.少なくとも2種の遺伝子バイオマーカーがMTHFR及びMTRの対である、項1又は2に記載のアッセイ。
[0275]4.少なくとも2種の遺伝子バイオマーカーがGCH1及びCOMTの対である、項1〜3のいずれか1つに記載のアッセイ。
[0276]5.ステップ(a)が、肥満、SAM/SAH比、4−HNEのレベル、hsCRPのレベル及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の追加的状態を決定するサブステップをさらに含む、項1〜4のいずれか1つに記載のアッセイ。
[0277]6.ステップ(b)が、以下の状態:
[0278](i)所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現レベル比、
[0279](ii)第1の所定の基準値よりも大きな、4−HNEの発現レベル、及び
[0280](iii)第2の所定の基準値よりも大きな、hsCRPの発現レベル
のうち少なくとも1種を検出することをさらに含む、項5に記載のアッセイ。
[0281]7.以下の状態:30kg/m以上のBMI値、男性で40インチを超える、若しくは女性で35インチを超える胴囲、男性で約0.95、若しくは女性で0.8を上回る胴−臀部比、又は男性で少なくとも約25%、若しくは女性で少なくとも約32%の体脂肪率のいずれかが対象において存在する場合、肥満が決定する、項5に記載のアッセイ。
[0282]8.SAM/SAHの所定の基準比が、健常な対象の血漿試料で測定した場合、約3.0である、項6に記載のアッセイ。
[0283]9.4−HNEの第1の所定の基準値が、健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.24μmol又は1リットル当たり約0.04mgである、項6に記載のアッセイ。
[0284]10.4−HNEの第1の所定の基準値が、健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約3.0mgである、項6に記載のアッセイ。
[0285]11.hsCRPの第2の所定の基準値が、健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.5mg〜1リットル当たり約4.5mgである、項6に記載のアッセイ。
[0286]12.hsCRPの第2の所定の基準値が、健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約2.3mgである、項6に記載のアッセイ。
[0287]13.試料が、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、口腔試料及び唾液試料からなる群から選択される、上記項のいずれかに記載のアッセイ。
[0288]14.うつが大うつ病性障害である、上記項のいずれかに記載のアッセイ。
[0289]15.葉酸含有化合物の有効量が約15mg/日〜約50mg/日である、上記項のいずれかに記載のアッセイ。
[0290]16.葉酸含有化合物の有効量が約20mg/日である、項15に記載のアッセイ。
[0291]17.葉酸含有化合物の有効量が約40mg/日である、項15に記載のアッセイ。
[0292]18.葉酸含有化合物が約20mg用量で1日当たり2回投与される、項17に記載のアッセイ。
[0293]19.上記治療レジメンが抗うつ薬をさらに含む、上記項のいずれかに記載のアッセイ。
[0294]20.抗うつ薬が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である、項19に記載のアッセイ。
[0295]21.選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン又はそれらの組合せからなる群から選択される、項20に記載のアッセイ。
[0296]22.対象が抗うつ単独療法への不十分な応答又は抵抗性を有する、上記項のいずれかに記載のアッセイ。
[0297]23.SNPの存在又は非存在を検出するステップが、ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、プライマー伸長アッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、配列決定アッセイ又はそれらの組合せを含む、上記項のいずれかに記載のアッセイ。
[0298]24.状態を検出するステップが、イムノアッセイ、免疫組織化学(IHC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、質量分析(MS)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析又はフローサイトメトリーを含む、項6〜22のいずれか1つに記載のアッセイ。
[0299]25.うつである又はうつの危険性があることが診断されたヒト対象における少なくとも1種のうつ症状を処置するための方法であって、
[0300]a)対象由来の試料を、
[0301](i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP及びMTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、並びに
[0302](ii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP及びCOMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNPであって、少なくとも1種の組合せの存在が葉酸含有化合物への症状を低減する応答に関連するSNP
からなる群から選択される少なくとも2種の一塩基多型(SNPs)の少なくとも1種の組合せの存在又は非存在を決定するために分析するステップと、
[0303]b)少なくとも1種のうつ症状を処置するために葉酸含有化合物の有効量を含む治療レジメンを対象に投与するステップと
を含む方法。
[0304]26.治療レジメンがさらに抗うつ薬を含む、項25に記載の方法。
[0305]27.抗うつ薬が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である、項26に記載の方法。
[0306]28.選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの組合せからなる群から選択される、項27に記載の方法。
[0307]29.rs1801133での少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体の存在及びrs1805087での少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体の存在が、葉酸含有化合物への症状を低減する応答と関連する、項25〜28のいずれか1つに記載の方法。
[0308]30.rs8007267での少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体の存在及びrs4860での2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体の存在が、葉酸含有化合物への症状を低減する応答と関連する、項25〜28のいずれか1つに記載の方法。
[0309]31.うつが大うつ病性障害である、項25〜30のいずれか1つに記載の方法。
[0310]32.少なくとも1種のうつ症状が、抑うつ気分、罪悪感、作業量又は関心の低減、精神運動遅延、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な症状、認知障害及びそれらの組合せからなる群から選択される、項25〜31のいずれか1つに記載の方法。
[0311]33.対象が肥満である、項25〜32のいずれか1つに記載の方法。
[0312]34.肥満が対象において存在する以下の状態の少なくとも1種によって特徴付けられる、項33に記載の方法:
[0313]a)30kg/mを超えるBMI値、
[0314]b)男性で40インチを超える、又は女性で35インチを超える胴囲、
[0315]c)男性で0.95を上回る、又は女性で0.80を上回る胴−臀部比、及び
[0316]d)男性で少なくとも約25%、又は女性で少なくとも約32%の体脂肪率。
[0317]35.試料が、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、口腔試料及び唾液試料からなる群から選択される、項25〜34のいずれか1つに記載の方法。
[0318]36.葉酸含有化合物の有効量が約15mg/日〜約50mg/日である、項25〜35のいずれか1つに記載の方法。
[0319]37.葉酸含有化合物の有効量が約20mg/日である、項36に記載の方法。
[0320]38.葉酸含有化合物の有効量が約40mg/日である、項36に記載の方法。
[0321]39.葉酸含有化合物の有効量が毎日単回用量として投与される、項35〜38のいずれか1つに記載の方法。
[0322]40.葉酸含有化合物の有効量が1日当たり少なくとも2回の分割用量で投与される、項25〜38のいずれか1つに記載の方法。
[0323]41.葉酸含有化合物が1日当たり2回で1回投与当たり約20mg投与される、項25〜36、38又は40のいずれか1つに記載の方法。
[0324]42.葉酸含有化合物が経口で投与される、項25〜41のいずれか1つに記載の方法。
[0325]43.葉酸含有化合物がL−メチル葉酸である、項25〜42のいずれか1つに記載の方法。
[0326]44.対象が抗うつ単独療法への不十分な応答又は抵抗性を有する、項25〜43のいずれか1つに記載の方法。
[0327]45.少なくとも1種のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ及びバイオマーカー(複数可)のレベルが、葉酸含有化合物への症状を低減する応答と関連するかどうかを決定するステップをさらに含む、項25〜44のいずれか1つに記載の方法。
[0328]46.追加的バイオマーカーが、SAM、SAH、4−HNE、hsCRP及びそれらの組合せからなる群から選択される、項45に記載の方法。
[0329]47.以下の状態:
[0330]a)SAM対SAH(SAM/SAH)の発現比が所定の基準比より小さい、
[0331]b)4−HNEの発現レベルが第1の所定の基準値より大きい、又は
[0332]c)hsCRPの発現レベルが第2の所定の基準値より大きい
の1つ又は複数が合致する場合、対象が葉酸含有化合物に対する症状を低減する応答がある可能性が高い、項45に記載の方法。
[0333]48.SAM/SAHの所定の基準比が健常な対象の血清試料で測定した場合、約4〜約12である、項47に記載の方法。
[0334]49.SAM/SAHの所定の基準比が健常な対象の血漿試料で測定した場合、約3.0である、項47に記載の方法。
[0335]50.4−HNEの第1の所定の基準値が健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.24μmol又は1リットル当たり約0.04mgである、項47に記載の方法。
[0336]51.4−HNEの第1の所定の基準値が健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約3.0mgである、項47に記載の方法。
[0337]52.hsCRPの第2の所定の基準値が健常な対象の血清試料で測定した場合、1リットル当たり約0.5mg〜1リットル当たり約4.5mgである、項47に記載の方法。
[0338]53.hsCRPの第2の所定の基準値が健常な対象の血漿試料で測定した場合、1リットル当たり約2.3mgである、項47に記載の方法。
[0339]54.うつである又はうつの危険性があることが診断されたヒト対象に投与される抗うつ薬の実効性を改善するための方法であって、
[0340]対象が一塩基多型(SNP)の以下の組合せ:
[0341](i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP及びMTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、又は
[0342](ii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP及びCOMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
の少なくとも1種を保有する場合に、抗うつ薬と併用して葉酸含有化合物の有効量を含む治療用組成物を投与するステップ、を含む方法。
[0343]55.対象が抗うつ単独療法を受ける、項54に記載の方法。
[0344]56.対象が抗うつ単独療法への不十分な応答を有する、項54又は55に記載の方法。
[0345]57.不十分な応答が臨床的評価に基づいている、項56に記載の方法。
[0346]58.抗うつ薬が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である、項54〜57のいずれか1つに記載の方法。
[0347]59.選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーである、項58に記載の方法。
[0348]60.葉酸含有化合物の有効量が約15mg/日〜約50mg/日である、項54〜59のいずれか1つに記載の方法。
[0349]61.葉酸含有化合物の有効量が約20mg/日である、項60に記載の方法。
[0350]62.葉酸含有化合物の有効量が約40mg/日である、項61に記載の方法。
[0351]63.葉酸含有化合物の有効量が毎日単回用量として投与される、項54〜62のいずれか1つに記載の方法。
[0352]64.葉酸含有化合物の有効量が1日当たり少なくとも2回の分割用量で投与される、項54〜62のいずれか1つに記載の方法。
[0353]65.葉酸含有化合物が約20mgで1日当たり2回投与される、項54〜60、62又は64のいずれか1つに記載の方法。
[0354]66.葉酸含有化合物が経口で投与される、項54〜65のいずれか1つに記載の方法。
[0355]67.葉酸含有化合物がL−メチル葉酸である、項54〜66のいずれか1つに記載の方法。
[0356]68.うつが大うつ病性障害である、項54〜67のいずれか1つに記載の方法。
[0357]69.うつである又はうつの危険性があることが診断されており、以下:
[0358](i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP、
[0359](ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP
[0360](iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP、及び
[0361](iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP
からなる群から選択される少なくとも2種のSNPを保有するヒト対象におけるうつの治療に使用するための、葉酸を含む組成物。
[0362]70.少なくとも2種のSNPが、MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP、及びMTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNPである、項69の組成物。
[0363]71.少なくとも2種のSNPが、GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP、及びCOMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNPである、項69に記載の組成物。
[0364]72.うつが大うつ病性障害である、項69〜71のいずれか1つに記載の組成物。
[0365]73.対象が少なくとも1種の抗うつ薬を受けている、項69〜72のいずれか1つに記載の組成物。
[0366]74.少なくとも2種のSNPを保有している対象が、葉酸を含む組成物及び抗うつ薬を含む補助的療法を投与される、項69〜73のいずれか1つに記載の組成物。
[0367]75.抗うつ薬が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である、項74に記載の組成物。
[0368]76.葉酸含有化合物がL−メチル葉酸約15mg〜約50mgを含む、項69〜74のいずれか1つに記載の組成物。
[0369]77.葉酸含有化合物がL−メチル葉酸約20mgを含む、項76に記載の組成物。
[0370]78.葉酸含有化合物が所定の放出プロファイルを有する、項69〜77のいずれか1つに記載の組成物。
[0371]79.所定の放出プロファイルが徐放である、項69〜78のいずれか1つに記載の組成物。
[0372]80.所定の放出プロファイルが定常状態放出である、項79に記載の組成物。
[0373]81.所定の放出プロファイルが拍動性放出である、項69〜78のいずれか1つに記載の組成物。
[0374]82.所定の放出プロファイルが時間制御放出である、項69〜78のいずれか1つに記載の組成物。
[0375]83.葉酸を含む組成物が、投与されると少なくとも3〜6時間にわたって葉酸含有化合物の少なくとも30%を放出するように製剤化されている、項69〜82のいずれか1つに記載の組成物。
[0376]84.うつである又はうつの危険性があることが診断されているヒト対象のための治療レジメンの選択に使用するためのキットであって:
[0377]対象から採取された試料中で以下の一塩基多型(SNP):
[0378](i)MTHFRについての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs1801133として特定される配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP
[0379](ii)MTRについての、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs1805087として特定される配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP、
[0380](iii)GCH1についての、少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子を含む、rs8007267として特定される配列番号18の27位にあるSNP
[0381](iv)COMTについての、2つのグアニン「G」対立遺伝子を含む、rs4680として特定される配列番号24の27位にあるSNP、
のうち少なくとも2種の存在又は非存在を決定するための少なくとも1種の試薬と、
[0382]上記キットの使用のための説明書と
を含む、キット。
[0383]85.少なくとも1種の試薬が、制限酵素、オリゴヌクレオチド、核酸プローブ、ポリメラーゼ及びそれらの組合せからなる群から選択される、項84に記載のキット。
[0384]次の実施例は、例示のために提供されるが、特許請求される本発明を限定しない。
実施例1.SSRIと併用して葉酸含有化合物を含む処置のためにうつである患者を選択するためのバイオマーカーの特定
[0385]大うつ病性障害(MDD)であるSSRI抵抗性外来患者において実施される6(S)−5−MTHFの二重盲検、プラセボ対照研究を、患者が抗うつ薬、例えばSSRIに加えて葉酸含有化合物(例えば、6(S)−5−MTHF)を投与される場合に、より大きな有効性応答(例えば、両方のSNPによってもたらされる相加的応答よりも大きな応答、又はいずれかのSNPだけによってもたらされる応答よりも大きな応答)と関連するバイオマーカーの特異的な組合せを特定するために、実施した。例えば、Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012)を参照されたい。
[0386]2つの遺伝子バイオマーカーの種々の組合せ、1つの遺伝子バイオマーカー及び臨床的特性を、うつである患者での葉酸含有化合物(例えば6(S)−5−MTHF)及びSSRIを含む処置の有効性へのそれらの効果について評価した。詳細には、評価した特異的な組合せを図1B、2、4及び5に示す。
[0387]患者を葉酸含有化合物(例えば6(S)−5−MTHF)及びSSRIで処置する場合に、種々の単一マーカー及び二重バイオマーカー組合せが、HAMD−17スコア、HAMD−28スコア又は認知及び身体機能質問票(CPFQ)スコアによって測定される改善の程度に、どのように影響を与えるかの結果を図1〜6に示す。有効性効果を、ベースライン(例えば処置を受けない対象)と比較する第I相及び第II相の最後までのHAMD−17スコア、HAMD−28スコア又はHAMD−28における平均変化を測定するステップによって決定する。
[0388]図2は、患者が例えばSSRIへの補助剤として葉酸含有化合物を含む治療レジメンで処置された場合に、MDD患者におけるHAMD−28又はHAMD−7値への表示の状態(2つのSNPマーカーの組合せ若しくは1つのSNPマーカーと肥満指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)の存在又は非存在の効果を示す一連の結果の表である。
[0389]図3は、患者が例えばSSRIへの補助剤として葉酸含有化合物を含む治療レジメンで処置された場合に、MDD患者におけるHAMD−7値への表示の状態(単一のSNPマーカー)の存在又は非存在の効果を示す一連の結果の表である。
[0390]図4は、患者が例えばSSRIへの補助剤として葉酸含有化合物を含む治療レジメンで処置された場合に、MDD患者におけるHAMD−28又はHAMD−7値への表示の状態(1つのSNPマーカーと肥満指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)の存在又は非存在の効果を示す一連の結果の表である。
[0391]図5は、患者が例えばSSRIへの補助剤として葉酸含有化合物を含む治療レジメンで処置された場合に、MDD患者におけるCPFQ値への表示の状態(2つのSNPマーカーの組合せ、又は1つのSNPマーカーと肥満指標、例えばBMI>30kg/mとの組合せ)の存在又は非存在の効果を示す一連の結果の表である。
[0392]図6は、患者が例えばSSRIへの補助剤として葉酸含有化合物を含む治療レジメンで処置された場合に、MDD患者におけるCPFQ値への表示の状態(単一のSNPマーカー)の存在又は非存在の効果を示す一連の結果の表である。
[0393]図7A〜Bは、臨床試験のプラセボ群(葉酸含有化合物を伴わずに投与される抗うつ剤)又は葉酸を含む処置群(抗うつ剤へのアジュバントとして投与される葉酸含有化合物)内でバイオマーカー陽性対象対バイオマーカー陰性対象を比較する、遺伝的調整因子(genetic moderator)(例えば人種、年齢、性別及びBMI)の効果についての統計解析を示す一連の結果の表である。結果は、MTR 2756 AG又はGG遺伝子型[一塩基多型(SNP)rs1805087に関連する]について陽性の対象について、このSNPに陰性の対象と比較して、示されたすべての遺伝的調整因子(例えば人種、年齢、性別及びBMI)に統計的に有意な処置効果を示している。COMT CC(rs4633)又はGG(rs4680)SNPについて陽性の対象は少なくとも1つの遺伝的調整因子分類において統計的に有意な処置効果も示す。
[0394]図8A〜Bは、臨床試験のプラセボ群及び葉酸を含む処置群内でのバイオマーカー陽性対象の奏功率を示す一連の結果の表である。応答者は、評価期間にわたってHAMD−28における少なくとも約50%の低減によって示される。
[0395]図1Bの結果要約表は、2つのバイオマーカーの組合せをMDD患者でのそれらの減少効果の順に列挙している(すなわちHAMD−28においてより大きな低減を有するSNPマーカーは、表でより早く列挙されている)。それぞれ個々のマーカーによってもたらされる応答(HAMD−28における変化によって決定される)の合計よりも大きな治療応答を示す2つのバイオマーカーの組合せは、(A+O)、(K+P)、(K+Q)、(B+Q)、(C+O)、(C+K)、(B+O)、(C+H)、(A+G)及び(A+C)であって、図1Bに示すとおり濃い色調で強調されており、それぞれ対応するSNPに対するアルファベット識別子を図1Aに列挙する。いずれかのマーカー単独によってもたらされる応答(HAMD−28における変化によって決定される)よりも大きな治療応答を示す2つのバイオマーカーの組合せを薄い色調で強調する、例えば図1Bに示す(O+P)。いずれかのマーカー単独によってもたらされる応答(HAMD−28における変化によって決定される)に匹敵する又はより少ない治療応答を示す2つのバイオマーカーの組合せは強調しない、例えば図1Bに示す(O+Q)。
[0396]図1Bの結果表は、2つのバイオマーカーの組合せをMDD患者でのそれらの減少効果の順に列挙しているが、特異的バイオマーカー組合せを保有しているMDD患者を葉酸含有化合物で処置する場合に、遺伝子において正常な対立遺伝子を保有しているMDD患者と比較してこれらすべての強調された二重バイオマーカー組合せがHAMD−28における顕著な変化を示していることから、強調された組合せ(すなわち、濃い及び薄い色調での強調によって示されたもの)内で、1つの二重バイオマーカー組合せが、本明細書に記載のアッセイ、方法、型及びキットにおける使用のために別のものよりもさらに信頼できる予測因子であるとして解釈されるべきではない。
実施例2 葉酸を含む増強療法(SSRIを伴う)のために患者を選択する例示的方法及びそのような療法に供するMDD患者の個別の予後
[0397]患者36名が葉酸含有化合物、例えばデプリン(登録商標)15を受け、彼らのHAMD−28がベースライン測定から低減した、葉酸含有化合物、例えばデプリン(登録商標)15でのMDD処置の増強についての二重盲検プラセボ対照多施設研究に基づいて、対応する「値」(下に詳細に示す)と共に検査のパネル(PT)において記載された少なくとも1種の状態であると診断された患者は、一般に下の表に示す予測されるHAMD−28低減に従って応答した。
[0398]したがって、MMD患者を治療し、及び/又はMMD患者によって摂取された抗うつ薬の有効性を決定する若しくは改善する方法も本明細書で提供される。例えばいくつかの実施形態では方法は(1)治療抵抗性MDD患者をスクリーニングするステップ(例えばステップ1について詳細は下を参照されたい)、及び(2)MDD患者の検査試料について検査のパネル(PT)を実施するステップ(例えばステップ2について詳細は下を参照されたい)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、PT結果が下の表5に示すコード分類の少なくとも1つを示す場合、患者は抗うつ薬及び葉酸含有化合物(例えば、デプリン(登録商標)15)を含む治療レジメンを推奨されてもよい。いくつかの実施形態ではPT結果が下の表に示す少なくとも1つのコード分類を示す場合、ベースライン値(例えばベースライン来院時に測定された値)からのHAMD−28における対応する低減が抗うつ薬(例えばSSRI)と併用する葉酸含有化合物(例えば、デプリン(登録商標)15)での最低4週間の治療で達成できることが予測できる。
[0399]ステップ1:処置抵抗性MDD患者を、(a)MDDについてのDSM−IV判定基準に合致するかどうか、並びに(b)SSRIの十分な投薬にあるかどうか及びSSRIの1つ又は複数の経過へ十分な応答を有さないかどうかを決定するために、スクリーニングする。患者がスクリーニング判定基準(a)及び(b)の両方に合致すれば、医師は下に記載の検査のパネル(PT)を指示することが推奨される。
[0001]ステップ2:下に示す検査のパネル(PT)の例は実施できる。
Figure 2016518816
[0400]上に示す検査のパネル(PT)は、本明細書に記載のバイオマーカーの少なくとも1つの若しくは任意の組合せを削除若しくは追加するために、又は52個の二重バイオマーカー組合せ(表3を参照されたい)の1つ若しくは複数又は10個の相乗的二重バイオマーカー組合せの1つ若しくは複数(表4を参照されたい)を含むために変更されてもよい。
[0401]ステップ3:ステップ(2)のPTに列挙した状態の検査結果に基づいて、陽性(すなわちY判定を有する)と判定された任意のPT(項目AからF)は特定され、次いで「コード」のアルファベット順に下の表に表したコードの最も大きな数を記録した。所与の患者のPTについてコード分類が選択されると、そのコード分類について対応する「95%CI」(95%信頼区間)を審査できる。いくつかの実施形態ではCIの上限がゼロ未満である場合、ベースライン値からのHAMD−28低減は、有意であると考えられる。他の実施形態ではCIの上限がゼロを超える場合、それによりベースライン値からのHAMD−28低減は慎重に解釈されるべきである。
[0402]ステップ4:ベースラインからのHAMD−28における予測される低減は、例えば次のとおり決定できる:
(a)患者がPTの1つのヒットだけを有する(すなわち、1種の状態が陽性である)場合、それによりベースラインからのHAMD−28低減はコード「All」に基づいてもよい、又は
(b)患者がPTの二重ヒットを有する(すなわち、2種の状態が陽性である)場合、それによりベースラインからのHAMD−28低減は、表5に示すA、B、C、E又は「ALL」から得られた最も高い応答(すなわちHAM−D−28での最も大きな変化)に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、二重ヒットが「D+F」である場合、それにより低減はコード「All」に基づいてもよい、
(c)患者がPTの三重ヒットを有する(すなわち、3種の状態が陽性である)場合、それによりベースラインからのHAMD−28低減は、表5に示す最良の組合せ(すなわち、最良の2つのコード組合せ)から得られた最も高い応答(すなわちHAM−D−28での最も大きな変化)に基づいてもよい。例示の方法によってのみ、患者がPTのA、C及びEでの三重ヒットを有する場合、可能性がある2つのコードの組合せは、A+C、A+E及びC+Eである。これらの組合せの内、組合せ「A+E」が表5に示す最も大きなHAMD−28低減に対応することから、組合せ「A+E」は最も大きなHAMD−28低減に対応する最良の組合せとして考えられる。しかし、三重ヒットが「D+F」を含有する場合、それによりHAM−D−28低減はA、B、C、E又は「ALL」単一のコードから得られる最高の応答に基づくはずである、
(d)表5中の負のHAMDΔ数は、試験2ベースラインHAMD−28(約24.47)からの潜在的低減を反映している。HAMDΔ数は、HAMD−28尺度における予測される低減を表し、患者は、わずか4週間でデプリン(登録商標)15増強療法(SSRIを伴う)への応答で得ることができる。いくつかの実施形態では実際の低減は、下の表5に示す95%の範囲に収まる可能性がある。
Figure 2016518816
実施例3.バイオマーカーレベル及び遺伝子型によって階層化した抑うつ患者での補助的L−メチル葉酸15mgの効果:無作為化臨床試験からの結果
[0403]本実施例は、うつである又はうつの危険性があることが診断されたヒト患者に投与される抗うつ薬(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の有効性を改善する方法を例示する。方法は、患者が少なくとも1つの一塩基多型(SNP)を保有しているかどうかを決定するステップを含み、ここでSNPは葉酸含有化合物、例えばL−メチル葉酸と併用して投与される場合、抗うつ薬の有効性の増加に関連する。本実施例は、ヒト対象において少なくとも1種のうつ症状(抑うつ気分、罪悪感、作業量又は関心の低減、精神運動遅延、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な症状、認知障害及びそれらの任意の組合せ)を治療するための方法も提供する。方法は、1)うつである又はうつの危険性があることが診断された対象、及び2)葉酸含有化合物への陽性症状を低減する応答に関連する具体的なSNPの組合せ(例えば複数)を保有している対象に、葉酸含有化合物、例えばL−メチル葉酸を投与するステップを含む。
[0404]特異的遺伝子又は生物学的マーカーの存在は、大うつに対する療法への不十分な応答を予測できる。この分析の目的は、単独及び併用での特異的生物学的及び遺伝子マーカーの、SSRIへの不十分な応答者の試験からの補助的L−メチル葉酸15mg対プラセボの抗うつ有効性への効果を評価することであった。これは、逐次並行比較設計(SPCD)を使用する二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験であった。SSRI抵抗性うつである外来患者は、L−メチル葉酸15mg/日を60日間、プラセボを30日間に続いてL−メチル葉酸15mg/日を30日間又はプラセボを60日間受けた。選択された生物学的及び遺伝子マーカーのベースラインレベルの個々で又は併用でのL−メチル葉酸対プラセボへの治療応答への影響を評価した。患者75名を登録した。ベースラインで特異的生物学的(肥満度指数[BMI]≧30kg/m、高感受性C反応性タンパク質[hsCRP]又は4−ヒドロキシ−2−ノネナール[4−HNE]、低S−アデノシルメチオニン/S−アデノシルホモシステイン[SAM/SAH]比)及び遺伝子マーカーを有する患者は、L−メチル葉酸を伴うHDRS−28対プラセボにベースラインからの有意に(p≦0.05)大きなプールした平均変化(pooled mean change)を有した。CGI−Iでのベースラインからのプールした平均変化は、大部分の遺伝子マーカーについてL−メチル葉酸対プラセボで有意に(p<0.05)大きかった。ベースライン生物学的マーカーと遺伝子マーカーとの大部分の組合せは、ベースラインからのプールした平均変化においてL−メチル葉酸対プラセボでのHDRS−28スコアについて有意に(p≦0.05)大きな低減を予測した。要約すると、炎症若しくは代謝に関連するバイオマーカー又はL−メチル葉酸合成及び代謝に関連する遺伝子マーカーは、15mg L−メチル葉酸での補助的療法に応答性であるSSRI抵抗性MDDである患者を特定できる。
[0405]多数の抗うつ薬が利用できるにもかかわらず、大うつ病性障害(MDD)である患者の60%超は、最初の抗うつ剤治療後に症状の完全寛解を経験できず、寛解した者の大部分はぶり返し(relapse)又は再発(recurrence)を経験する(Rush AJ,Trivedi MH,Wisniewski SR,et al.,Am J Psychiatry,163:1905〜1917(2006)、Papakostas GI,Int J Neuropsychopharmacol,15:841〜854(2012))。本実施例は、臨床的及び生物学的マーカーを使用することにより、さらに効果的な治療戦略への改善された成功率を有する特異的患者を特定する方法を記載する。
[0406]代謝系における妨害は、MDDの病態生理及び経過に関する(McIntyre RS,Soczynska JK,Konarski JZ,et al.,Ann Clin Psychiatry,19:257〜264(2007)、Vogelzangs N,Beekman AT,Boelhouwer IG,et al.,J Clin Psychiatry,72:598〜604(2011)、Papakostas GI,Shelton RC,Kinrys G,et al.,Mol Psychiatry,18:332〜339(2013))。例えば、前向きコホート研究は、うつであり、併存メタボリック症候群を有する参加者が慢性、再発性うつを発症する高い危険性を有したことを見出した(Vogelzangs N,Beekman AT,Boelhouwer IG,et al.,J Clin Psychiatry,72:598〜604(2011))。並行して近年、MDDとインターロイキン−6(IL−6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)及び高感受性C反応性タンパク質(hsCRP)レベルの上昇によって特徴付けられる細胞性免疫の障害及び炎症との間の関連が認識されている(Papakostas GI,Shelton RC,Kinrys G,et al.,Mol Psychiatry,18:332〜339(2013)、Blume J,Douglas SD,Evans DL,Brain Behav Immun.,25:221〜229(2011)、Miller AH,Maletic V,Raison CL,Biol Psychiatry,65:732〜741(2009)、Simon NM,McNamara K,Chow CW,et al.,Eur Neuropsychopharmacol.,18:230〜233(2008))。さらに、脳内の炎症性経路の活性化もMDDの神経病理学的特徴をもたらす酸化ストレスに寄与する可能性がある(Miller AH,Maletic V,Raison CL,Biol Psychiatry,65:732〜741(2009)、Ng F,Berk M,Dean O,et al.,Int J Neuropsychopharmacol.,11:851〜876(2008)、Stafford L,Berk M.,J Clin Psychiatry 72:1229〜1235(2011))。心臓の介入治療で入院している患者の前向き研究において、抗炎症性及び抗酸化特性を有するスタチンの使用は、9カ月でのMDDの危険性における顕著な低減と関連していた(Ng F,Berk M,Dean O,et al.,Int J Neuropsychopharmacol.,11:851〜876(2008)、Stafford L,Berk M.,J Clin Psychiatry 72:1229〜1235(2011))。
[0407]葉酸欠損、代謝調節不全及び炎症の間に関連が観察された(Vogelzangs N,Beekman AT,Boelhouwer IG,et al.,J Clin Psychiatry,72:598〜604(2011)、Blume J,Douglas SD,Evans DL,Brain Behav Immun.,25:221〜229(2011)、Miller AH,Maletic V,Raison CL,Biol Psychiatry,65:732〜741(2009)、Simon NM,McNamara K,Chow CW,et al.,Eur Neuropsychopharmacol.,18:230〜233(2008))。MDDを治療するための葉酸及びその生物学的に活性な形態、L−メチル葉酸の利点は、認識されており、同様に認識されているのは、葉酸欠損とMDDについての危険性の上昇、抗うつ剤の有効性の低減及び疾患のさらに慢性的な経過との間の関連である(Vogelzangs N,Beekman AT,Boelhouwer IG,et al.,J Clin Psychiatry,72:598〜604(2011)、Ginsberg LD,Oubre A,Daoud Y,Innov Clin Neurosci.,8:19〜28(2011)、Fava M.,J Clin Psychiatry,68 Suppl 10:4〜7(2007)、Fava M,Borus JS,Alpert JE,et al.,Am J Psychiatry,154:426〜428(1997)、Papakostas GI,Petersen T,Mischoulon D,et al.,J Clin Psychiatry,65:1096〜1098(2004))。さらに近年、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)への十分な応答を達成しなかったMDD患者での無作為化、プラセボ対照試験からの結果が公開され、逐次並行比較設計(sequential parallel comparison design)(SPCD)を使用して1日15mgのL−メチル葉酸対プラセボでの補助的治療についてのより大きな有効性を実証した(Papakostas GI,Shelton RC,Zajecka JM,et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜1274(2012))。
[0408]本実施例は、ベースラインバイオマーカーレベル又は代謝若しくは炎症性状態のマーカーに焦点を合わせた遺伝子型の関数として15mgのL−メチル葉酸対プラセボの治療効果を記載する。具体的には、低葉酸血症(hypofolatemia)と代謝障害及び炎症の間の関連、例えば、これらのドメインから特異的マーカーを使用して定義されるベースラインでの代謝性又は炎症性状態と、毎日15mgのL−メチル葉酸対プラセボ増強での治療結果との間の相互作用も例示する。さらに本実施例は、テトラヒドロビオプテリン(BH)依存性モノアミン合成の増強についてのL−メチル葉酸の役割の観点における相互作用を示す(Hyndman ME,Verma S,Rosenfeld RJ,et al..Am J Physiol Heart Circ Physiol 282:H2167〜2172(2002))。有意な相関関係がMDDと赤血球葉酸、モノアミン神経伝達物質及び脳脊髄液BH4のレベルとの間に観察された。さらにBH4は、神経末端からの神経伝達物質のシナプス前放出を制御する(Bottiglieri T.,Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry,29:1103〜12(2005))。最終的に本実施例は、一炭素循環代謝(one−carbon cycle metabolism)及び治療結果と関連するマーカーの影響も示す。
方法
[0409]本明細書は、SSRI抵抗性MDDである患者に対する補助的療法としての15mg L−メチル葉酸の多施設、60日間、無作為化、二重盲検試験からの探索解析の結果を表す(Papakostas GI,Shelton RC,Zajecka JM,et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜1274(2012))。本研究は、Fava M,Evins AE,Dorer DJ,et al.,Psychother Psychosom,72:115〜127(2003)の逐次並行比較設計(SPCD)により2つの30日間相(第I及び第II相)に分けられた。本研究設計及び結果は以前記載された(Papakostas GI,Shelton RC,Zajecka JM,et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜1274(2012))が、簡潔には下に要約されている。研究プロトコールは、再検討され、次のinstitutional review boards(IRB):Massachusetts General Hospital,Partners Human Research Office、Rush University Medical Center,Research and Clinical Trials Administration Office、Goodwyn IRB、University of California,San Diego,Human Research Protections Program、University of Cincinnati Medical Center,Institutional Review Board Office、Vanderbilt University,Institutional Review Board及びUniversity of Pennsylvania,Office of Regulatory Affairsによって承認された。書面によるインフォームドコンセントは、いかなる研究手順が行われるより前にすべての研究患者から得た(臨床試験政府登録番号NCT00955955)。
患者選択
[0410]年齢18〜65才及びMDDの現在の発症についてDSM−IV判定基準に合致する成人は、スクリーニング及びベースライン来院時に彼らが簡易うつ症状自己評価項目(Quick Inventory of Depressive Symptoms−Self Report)(QIDS−SR)尺度≧12を有する場合に、適格であった。患者は、MDDの現在の発症の際に≧8週間、十分な用量(20mg/日以上のフルオキセチン、シタロプラム又はパロキセチン、10mg/日以上のエスシタロプラム、及び50mg/日以上のセルトラリンとして定義される)のSSRIで治療されなければならず、Massachusetts General Hospital(MGH)抗うつ剤治療応答質問票(ATRQ)を使用して評価した(Chandler GM,Iosifescu DV,Pollack MH,et al.,CNS Neurosci Ther.,16:322〜325(2010))。患者は、過去4週間について安定なSSRI用量も受けていなければならない。現在の発症の際に2回より多く十分な抗うつ剤試験に失敗している場合患者を除外した。スクリーニングからベースラインでQIDS−SR合計スコアでのうつ症状において≧25%の減少を呈する患者は、除外した。
研究手順
[0411]適格性を、互いに14日間以内にあるスクリーニング及びベースライン来院の際に評価した。ベースライン来院の際に適格性である患者を以前記載のSPCDを使用する研究に登録した(Fava M,Evins AE,Dorer DJ,et al.,Psychother Psychosom,72:115〜127(2003))。患者を第I及び第II相の際にプラセボ−プラセボ、プラセボ−L−メチル葉酸15mg/日、又はL−メチル葉酸−L−メチル葉酸15mg/日を受ける3つの処置群の内の1つに、プライマリー研究センターによって作成された無作為化コードを使用して無作為化した。各相は、持続期間30日間であった。研究来院は10日間ごとであり、その際同時のSSRI投与は一定のままであり、研究薬物療法に耐えることができない患者は研究から除いた。患者及び調査者は、研究割り当てに盲検であった。
[0412]患者をハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)で各研究来院時に評価した。さらに、症状応答を、HAMD−7(McIntyre R,Kennedy S,Bagby RM,et al.,J Psychiatry Neurosci,27:235〜239(2002))、認知及び身体機能質問票(CPFQ)(Fava M,Iosifescu DV,Pedrelli P,et al.,Reliability and validity of the MGH Cognitive and Physical Functioning Questionnaire(CPFQ).Psychother Psychosom 78:91〜97(2009))及び臨床全般印象尺度(CGI−S)(Guy W.Ecdeu.Assessment Manual for Psychopharmacology−Revised(DHEW Publ No ADM 76〜338).Rockville,MD,U.S.Department of Health,Education,and Welfare,Public Health Service,Alcohol,Drug Abuse,and Mental Health Administration,NIMH Psychopharmacology Research Branch,Division of Extramural Research Programs(1976))で評価した。身長及び体重を測定し、BMIをkg/mで算出した。血漿hsCRP、4−ヒドロキシ−2−ノネナール[4−HNE]及び低S−アデノシルメチオニン/S−アデノシルホモシステイン([SAM/SAH]比)のベースラインレベルを評価するためにベースライン血液試料を回収した。同様に評価したのはa)メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)について遺伝子型C677T、1298C及びG1793A、b)メチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)について遺伝子型A66G並びにc)メチオニンシンターゼ(MTR)について遺伝子型A2756Gの遺伝子多型であった。追加的分析のためにベースライン試料をカルシウムチャネル、電圧依存性、L型、アルファ1Cサブユニット(CACNA1C)、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)、DNA(シトシン−5−)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)、ドーパミン受容体D(DRD2)、葉酸ヒドロラーゼ1(FOLH1)、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック制御タンパク質(GCHFR)及び溶質担体ファミリー19(葉酸トランスポーター)、メンバー1(SLC19A1又は還元葉酸担体(RFC1)としても周知)についての遺伝子多型について評価した(表6)。
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アッセイ方法
[0413]血清hsCRPを商業的に入手できるキット、ラテックスパーティクルエンハンストイムノチュービディメトリックアッセイ(latex particle enhanced immunoturbidimetric assay)(Pointe Scientific、Inc.、Canton、MI)によって測定した。濁度(吸光度)をACEアレラクリニカルケミカルアナライザー(Alera clinical chemistry analyzer)(Alpha Wassermann、West Caldwell、NJ)で読み取った。血漿4−HNEを酵素イムノアッセイを使用して試料中に存在するHNE−Hisタンパク質付加物の量の分析によって測定した(オキシセレクトHNE−HisアダクトELISAキット(OxiSelect HNE−His adduct ELISA kit),Cell Biolabs,Inc.,San Diego,CA)。血漿SAM及びSAHを以前記載のとおり安定同位体希釈液体クロマトグラフィ−エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析によって決定した(Inoue−Choi M,Nelson MH, Robien K,et al.,Int J Mol Epidemiol Genet,3:160〜173(2012))。遺伝子多型の存在の決定を、DNeasyブラッドアンドティシューキット(DNeasy blood and tissue kit)(Qiagen Inc,Valencia,CA)を使用して全血から精製したDNAについて実施した。遺伝子型判定をマスアレイプラットフォーム(MassArray platform)(Sequenom,Inc.,San Diego,CA)を使用して実施した。
統計分析
[0414]探索分析のために、プールした治療効果を、研究の2つの相にわたってプールし、Fava M,Evins AE,Dorer DJ,et al.,Psychother Psychosom,72:115〜127(2003)のSPCDと一致するL−メチル葉酸及びプラセボ群について、ベースラインからエンドポイントまでの平均変化における平均差異によって評価した。L−メチル葉酸を伴うHDRS−28での応答へのバイオマーカーのプラセボと比較した効果を、BMI(≧30又は<30kg/m)、hsCRPレベル(ベースライン中央値≧又は<2.25mg/L)、SAM/SAH比(ベースライン中央値≧又は<2.71)、及び4−HNEレベル(ベースラインレベル中央値≧又は<3.28μg/mL)によって階層化した。さらに、遺伝子型の分子多型の存在を測定した。BMIの上昇、低いSAM/SAH比、hsCRP及び4−HNEの血漿レベルの上昇、並びに分子多型を、より大きなプールした(SPCDによる第I及び第II相)薬物/プラセボ差異の予測因子として評価した。
[0415]標準的SPCD分析アプローチを研究有効性データを分析するために用いた。具体的には、包括解析/LOCF(intent−to−treat/last observation carried forward)(ITT/LOCF)アプローチを第I相の際にL−メチル葉酸で治療された患者について用いた。目的の第II相データセットは、第I相の際にプラセボで治療され、第I相を完了し、第I相の際及び第II相に入ってHDRSへの臨床応答を経験しなかった患者に限定された。LOCFアプローチを新規のベースライン来院として使用する第I相の最後の来院/第II相の最初の来院と共に、第II相についてのデータセットに適用した。第I相の際のL−メチル葉酸とプラセボとを比較するITT/LOCFデータを第II相においてL−メチル葉酸とプラセボとを比較するデータと、SPCDについてのモデルに従って組合せ、Fava M,Evins AE,Dorer DJ,et al.,Psychother Psychosom,72:115〜127(2003)に概説される一般的アプローチを使用して、ウエイト(w=0.50)及び無作為化分率(a=0.333)を使用して分析した。
[0416]二分法測定を二分法結果についての方法に従って分析し(Fava M,Evins AE,Dorer DJ,et al.,Psychother Psychosom,72:115〜127(2003))、一方表面上は無関係な回帰、ベースラインスコアについての制御を連続的な結果の比較のために用いた (Tamura RN,Huang X.,Clin Trials,4:309〜317(2007))。すべての検査は、両側としてアルファセット0.05で実施した。HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボについてのベースラインからエンドポイントまでのプールした平均変化を各バイオマーカー及び遺伝子マーカーについて階層化した。治療効果、エフェクトサイズ(標準偏差で割った平均間の差異)、及び95%信頼区間(CI)を各バイオマーカーについて算出した。さらに、群内分析、HDRS−28奏功率(ベースラインから少なくとも50%低減)、オッズ比、及び治療される必要がある数を決定した。群内分析は、曝露の際のバイオマーカー又は遺伝子マーカー状態と共に、L−メチル葉酸(第I相における若しくは第II相におけるプラセボ非応答者として)又はプラセボ(第I相における若しくは第II相におけるプラセボ非応答者として)を受けた個体について別々に実施した。個体は彼らのバイオマーカー状態に基づいて無作為化されてないことから、群内分析を年齢、性別、人種及びBMI並びにHDRS−28のベースラインレベルを含む潜在的交絡因子について補正した。補正は、連続的HDRS−28について直線回帰を使用して及びバイナリー結果について傾向スコア階層化分析を通して行った(最終モデルにおける予測因子の数を減少させるために)。
結果
[0417]全体として、患者74名がデータを提供し、61名(81.3%)が研究を完了した。研究のプライマリー分析からの詳細な結果(有効性、安全性、15mg L−メチル葉酸対プラセボの認容性)は他所に公開されている(Papakostas GI,Shelton RC,Zajecka JM,et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜1274(2012))。すべての分析について、研究の第I相及び第II相の両方からの結果をSPCD方法(Fava M, Evins AE,Dorer DJ,et al.,Psychother Psychosom,72:115〜127(2003))に従ってプールした。ベースラインからのプールした(第I及び第II相)平均変化は、HDRS−28についてプラセボよりも補助的L−メチル葉酸15mg/日で有意に大きかった(−6.8±7.2対−3.7±6.5、p=0.017)。
[0418]HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボのプールした平均変化を種々のバイオマーカー又はそれらの組合せの存在又は非存在によって特定される患者のサブグループ内で検討した。HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボについてのベースラインからのプールした平均変化は、研究中央値を下回る血漿SAM/SAH比、研究中央値を上回るhsCRP若しくは4−HNE血液レベル又はBMI≧30kg/m(肥満と一致する)(表7)を有する患者のサブグループ内で有意に(p≦0.05)大きかった。
Figure 2016518816
[0419]探索分析は、大部分の遺伝子マーカーのベースライン(表8を参照されたい)での存在に基づいて、HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボについてのベースラインからのプールした平均変化について有意な(p≦0.05)差異を実証した。HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボのベースラインからのプールした平均変化は、遺伝子型MTR 2756 AG/GG又はMTRR 66 AG/GGを有する患者のサブグループにおいては有意に(p<0.05)大きかったが、遺伝子型MTHFR 677 CT/TT又はMTHFR 1298 AC/CCでは、それぞれのホモ接合性優性遺伝子型と比較して有意ではなかった(表8)。HDRS−28について、すべての遺伝子型にわたるベースラインからの有意な平均変化に対してプールしたエフェクトサイズは−0.05〜−1.57の範囲であった。同様にHDRS−28奏功率(治療マイナスプラセボ)は、大部分の遺伝子マーカーのベースライン存在について階層化した場合にL−メチル葉酸対プラセボで、有意に(p<0.05)改善された。ベースラインでの通常の及び推定の陽性マーカーの存在の比較は、MTHFR677CT/TT、FOLH1AG/GG及びGCHFRTA/TTを除く大部分のマーカーについて有意な(p<0.05)差異が示されてHDRS−28奏功率における明らかな差異を実証した(図9A〜B)。
Figure 2016518816
[0420]さらなる探索分析を、応答をHAMD−7、CGI−S及びCPFQを使用して評価した場合に、個々のマーカーのベースラインレベルによって階層化したL−メチル葉酸対プラセボの効果を決定するために実施した(表9)。有意な(p<0.05)改善は、CGI−SでのMTHFR1298AC/CC並びにHAMD−7及びCPFQでの多数のマーカーを除いてすべての遺伝子マーカーについてL−メチル葉酸対プラセボでベースラインからのプールした平均変化について記された。
Figure 2016518816
[0421]ベースラインで存在する生物学的及び遺伝子マーカーの組合せを有する患者におけるHDRS−28についてL−メチル葉酸対プラセボでのベースラインからのプールした平均変化への影響も検討した。マーカーの組合せは、L−メチル葉酸対プラセボについて、−3.6〜−23.3の範囲であるベースラインからのプールした平均変化及び−0.56〜−4.50の範囲であるプールしたエフェクトサイズを実証した(表10)。MTHFR 677 CT/TT+MTR 2756 AG/GG、GCH1 TC/TT+COMT GG及びGCH1 TC/TT+COMT CCの組合せは、最も大きなエフェクトサイズ(それぞれ−23.3、−20.7及び−18.2、)を実証し、L−メチル葉酸対プラセボについてのプールした平均変化が高度に有意(p<0.001)であった。
Figure 2016518816

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考察
[0422]プライマリー分析からの結果は、SSRIへの不十分な応答を有する患者における補助的療法としての15mg L−メチル葉酸対プラセボの有意な差次的有効性を実証した(Papakostas GI,Shelton RC,Zajecka JM,et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜1274(2012))。L−メチル葉酸(0.41)でのHDRSへの全体的なエフェクトサイズは、MDDでの補助的療法の他の研究において観察されたエフェクトサイズ(0.35〜0.37)と同様であった(Marcus RN,McQuade RD,Carson WH,et al.,J Clin Psychopharmacol.,28:156〜165(2008)、Reimherr FW,Martin ML,Eudicone JM,et al.,J Clin Psychopharmacol.,30:300〜305(2010))。本明細書で提供する結果は、代謝機能障害、炎症又はL−メチル葉酸代謝のバリアントと関連する、ベースラインレベル生物学的及び遺伝子バイオマーカー(例えば、BMI、hsCRP、MTRR、MTR)(結果の調節物質)の存在によって階層化した患者において、L−メチル葉酸対プラセボでの大きな差次的治療効果を明らかにした。
[0423]本明細書で提供するのは、ベースラインでの選択バイオマーカーの存在とL−メチル葉酸への応答との間の関連である。特異的生物学的血漿又は遺伝子マーカーの存在によって階層化された場合の15mg L−メチル葉酸対プラセボでの治療効果及びエフェクトサイズは、従来の抗うつ剤プラセボ試験から報告されたものよりも大きいと考えられる(Fournier JC,DeRubeis RJ,Hollon SD,et al.,JAMA,303:47〜53(2010)、Nelson JC,Mankoski R,Baker RA,et al.,J Affect Disord.,120:133〜140(2010))。マーカーの組合せは、大部分の比較において1.0を超えるエフェクトサイズを伴って、15mg L−メチル葉酸でのさらに大きな治療効果を実証した。
[0424]MDDの危険性及び重症度の増加と関連するいくつかのバイオマーカーが特定されている。体重の増加及び肥満は、MDDの危険性の増加及び抗うつ剤治療への乏しい応答と正に関連している(Kloiber S,Ising M,Reppermund S,et al.,Biol Psychiatry,62:321〜326(2007)、Luppino FS,de Wit LM,Bouvy PF,et al.,Arch Gen Psychiatry,67:220〜229(2010)、Faith MS,Butryn M,Wadden TA,et al.,Obes Rev.,12:e438〜453(2011)、Ma J,Xiao L.,Obesity,18:347〜353(2010))。葉酸代謝に関連する遺伝子マーカーは、それらのMDDとの関連について調査されている(Peerbooms OL,van Os J,Drukker M,et al.,Brain Behav Immun.,25:1530〜1543(2011)、Slopien R,Jasniewicz K,Meczekalski B,et al.,Maturitas,61:252〜255(2008)、Lewis SJ,Lawlor DA,Davey Smith G,et al.,Mol Psychiatry,11:352〜360(2006)、Lopez−Leon S,Janssens AC,Gonzalez−Zuloeta Ladd AM,et al.,Mol Psychiatry,13:772〜785(2008))。本明細書に記載の結果は、SSRIに十分に応答しない患者のための補助的治療としてのL−メチル葉酸の利点に対する支持を提供し、この治療に応答する可能性が最も高い個体を特定するための追加的手段を示唆する。本明細書に記載の方法は、初期抗うつ剤療法に非応答性である抑うつ患者に対する個別化治療アプローチを提供するために使用できる。
[0425]ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)は、MDDの臨床試験において薬物応答を評価するための標準として広く使用されている。しかしHDRSは、多次元的であり、臨床的変化を検出する感受性を欠いており、寛解を定義する識別力を欠いていることから批判されてきた(Ballesteros J,Bobes J,Bulbena A,et al.,J Affect Disord.,102:93〜99(2007))。これらの分析については、HDRS−17項目スコアよりもHDRS−28が、長いバージョンが非定型的又はメランコリーなうつの症状を有する患者における変化にさらに感受性であることからL−メチル葉酸対プラセボでの症状の改善を比較するために使用された(Nemeroff CB,J Psychiatr Res.,41:189〜206(2007)、Cusin C,Yang H,Yeung A,Fava M.,In:Baer L,Blais MA(eds),Handbook of Clinical Rating Scales and Assessment in Psychiatry and Mental Health,Humana Press(2010))。追加的に7項目ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD−7)及び認知及び身体機能質問票(CPFQ)を、HAMD−7がうつの臨床試験における変化にさらに感受性であると考えられることから探索分析において使用し(McIntyre R,Kennedy S,Bagby RM,et al.,J Psychiatry Neurosci,27:235〜239(2002)、McIntyre RS,Konarski JZ,Mancini DA,et al.,CMAJ,173:1327〜1334(2005))、CPFQが残る症状を予測するうつの認知及び身体症状機能を測定することが見出された(Fava M,Iosifescu DV,Pedrelli P,et al.,Reliability and validity of the MGH Cognitive and Physical Functioning Questionnaire(CPFQ).Psychother Psychosom 78:91〜97(2009))。
[0426]結論として、不十分な応答者におけるSSRI治療への補助として使用された場合にL−メチル葉酸でより大きな有効性が観察された。本分析は、有効性に関するL−メチル葉酸対プラセボの相対的優位性が炎症及び葉酸代謝の妨害に関連する代謝及び遺伝子マーカーの存在によって階層化した患者のサブセット内ではさらに増強される可能性があることを示している。これらの結果は、ある特定の代替マーカーの存在が、15mg L−メチル葉酸での補助的療法に特に応答性である、SSRI抵抗性MDDである患者を特定するために使用できることを示している。
実施例4.大うつ病性障害である患者において補助的L−メチル葉酸に応答する抗うつ剤の予測的バイオマーカー
[0427]本実施例は、大うつ病性障害である患者がL−メチル葉酸と抗うつ薬(例えば選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI))との併用療法に応答するかどうかを予測するための遺伝子バイオマーカー(例えば、一塩基多型(SNP))の使用を例示する。特に本実施例は、特異的相乗的二重マーカー組合せ(specific synergistic dual−marker combination)が、MDDであると診断された患者でのL−メチル葉酸及び抗うつ薬の補助的療法への治療応答の指標であることを示している。さらに補助的療法への治療応答をHDRS、CGI−S及びCPFQなどの種々の神経心理学評価尺度を使用して検出した。
要約
[0428]生物学的又は遺伝子マーカーは、MDDの危険性の上昇又は療法への不十分な応答に関連している可能性がある。研究分析の目的は、SSRIへの不十分な応答を有する患者における補助的L−メチル葉酸(15mg)の抗うつ剤効果への特異的マーカー単独及び組合せの効果を評価することである。
[0429]プライマリー研究では、L−メチル葉酸をSSRI抵抗性MDDである外来患者75名において、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験で評価した。患者は、15mg/日、60日間のL−メチル葉酸、30日間のプラセボに続く15mg/日、30日間のL−メチル葉酸、又は60日間のプラセボのいずれかを受けた。臨床研究の詳細な記載は、例えば、Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012)並びに米国特許出願公開第2013/0172361号及び第2013/0267523号並びに国際特許出願公開第2013/074676号において見出され、その開示はすべての目的について参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[0430]下に記載の分析では、ベースライン肥満度指数(BMI)並びにメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR 677 CT/TT、rs1801133)、メチオニンシンターゼ(MTR 2756 AG/GG、rs1805087)、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT Val158Met GG、rs4680)及びGTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1 TC/TT、rs8007267)多型の存在の、個々及び組合せでのL−メチル葉酸への治療応答への効果を評価した。
[0431]BMI≧30kg/mを有する患者は、BMI<0kg/mである者と比較して、L−メチル葉酸での有意に大きい症状の低減を経験した(28項目ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS−28)、プールした平均変化は−4.66であった、p=0.001)。HDRS−28についてCOMT Val158Met GG、GCH1 TC/TT及びMTR 2756 AG/GGでのベースラインからのプールした平均変化は、0.75〜1.57の範囲のプールしたエフェクトサイズを有してL−メチル葉酸対プラセボで有意に(p≦0.05)大きかった。HDRS−28についてこれらの5つのマーカー(BMI、MTHFR、MTR、COMT及びGCH1)の大部分の組合せでのベースラインからのプールした平均変化も有意であった(プールした平均変化範囲:それぞれ−23.29、−9.88、p<0.05)。これらの結果は、結果測定HDRS−7、臨床全般印象重症度尺度(CGI−S)及び認知及び身体機能質問票(CPFQ)を使用する大部分の比較についての顕著な差異によって支持された。
[0432]15mg/日でのL−メチル葉酸の補助的療法は、バイオマーカー、遺伝子型又はそれらの組合せによって階層化した患者において顕著な治療効果を実証した。これらの状態は、個々に及び組合せでSSRI療法への不十分な応答に予測的であった。特異的バイオマーカー及び遺伝子型の組合せの存在はL−メチル葉酸増強からの利益を予測するとも考えられる一方で、それらの非存在は、そのような増強からの利益がないかそれに近いことを示している。
序論
[0433]大うつ病性障害(MDD)の12カ月有病率が米国成人において6.7%であり(Kessler RC,Arch Gen Psychiatry.,62:617〜27(2005))、生涯有病率16.9%であると報告されている(Andrade L et al.,Int J Methods Psychiatr Res.,12:3〜21(2003))。MDDの発生は、患者及び介護者への大きな負担並びに著しく大きい経済的負担に関連する(Fostick L et al.,Eur Neuropsychopharmacol.,20:671〜5(2010)、Ivanova JI et al.,Curr Med Res Opin.,26:2475〜84(2010)、Knoth RL et al.,Am J Manag Care,16:e188〜96(2010))。患者の大部分は、抗うつ剤への乏しい奏功率を経験する(Rush AJ et al.,Am J Psychiatry,163:1905〜17(2006))。治療有効性の信頼できる予測はなく(Fabbri C et al.,Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet.,162B:487〜520(2013))、それにより抗うつ剤療法は、しばしば乏しい又は不十分な薬物応答を生じる。
[0434]初期の抗うつ剤療法への不十分な応答は、患者の3分の2に至るMDDの有効な管理を妨げ続けている(Thase,2003、Rush AJ et al.,Am J Psychiatry,163:1905〜17(2006))。抗うつ薬を切り替える間、増強戦略及び併用療法は応答しない患者のための治療の選択肢であり、別のアプローチは最適な応答を有する、すなわちMDD危険性及び/又は治療応答と関連するバイオマーカー又は分子マーカーのレベルを測定するステップにより、患者を特定することを試みることである。
[0435]遺伝子多型が抗うつ薬応答の個体間可変性に寄与すると仮定されている(Fabbri C et al.,Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet.,162B:487〜520(2013))。抗うつ剤有効性、認容性及び安全性に関連する多型は特定されている。しかし研究は、試料サイズが小さく、きちんと定義されていない患者集団及び交絡変数であり、結果の臨床適用性は限定的されている(Fabbri C et al.,Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet.,162B:487〜520(2013))。MDDの複雑な神経生物学及び薬理遺伝学は、臨床試験結果を診療に移行するための課題を提起する。抗うつ剤応答に関連する分子機構の理解の増大は、MDDにおける結果の改善を導くはずであり、必要である(O’Leary et al.,Pharmacol Biochem Behav.,[Epub ahead of print]PubMed PMID:24161683(2013 Oct 24))。
[0436]MDDの危険性の増加、MDDのさらに大きな重症度又は抗うつ剤治療への乏しい応答と関連する種々の遺伝子バイオマーカーが特定されている(Vogelzangs N et al.,J Clin Psychiatry,71:391〜9(2010)、Kloiber S,Biol Psychiatry.,62:321〜6(2007)、Luppino FS et al.,Arch Gen Psychiatry,67:220〜9(2010))。例えば遺伝子マーカー5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFRC677T)及びカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)は、抗うつ剤治療への応答又は自殺の危険性の増加の予測として認められている(Peerbooms OL et al.,Brain Behav Immun.,25:1530〜43(2011)、Lanctot et al.,2010、Slopien et al.,2008、Schosser A et al.,Eur Neuropsychopharmacol.,22:259〜66(2012))。したがって、バイオマーカーのベースラインレベルの評価又は遺伝子マーカーの存在若しくは非存在は、抗うつ剤治療に応答する可能性がより高いMDD患者を特定するために有用である可能性がある。
[0437]MDDの従来の抗うつ剤治療への有用な補助剤としてのL−メチル葉酸の役割は、ますます認められている(Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012)、Farah A.,CNS Spectr.,14(1 Suppl 2):2〜7(2009)、Ginsberg LD,Oubre A,Daoud Y.,Innov Clin Neurosci.,8:19〜28(2011))。L−メチル葉酸は、ドーパミン、ノルエピネフリン及びセロトニンの合成をチロシンヒドロキシラーゼ及びトリプトファンヒドロキシラーゼを活性化することによってそれらの合成に不可欠であるテトラヒドロビオプテリン(BH)を介して調節している(Bottiglieri,2005、Miller AL,Altern Med Rev.,13:216〜26(2008))。機能障害性葉酸処分(disposition)は、うつに関する危険性を増加させ、抗うつ剤治療効果を妨げ、治療応答の減少を生じる場合がある(Vogelzangs N,Beekman AT,Boelhouwer IG,et al.,J Clin Psychiatry,72:598〜604(2011))。SSRIへの十分な応答を有するMDD患者における2つの無作為化、プラセボ対照試験からの結果は、SSRI単独療法の継続と比較して補助的L−メチル葉酸治療での応答及び寛解率の改善を実証した(Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012))。本明細書に示す1つの試験の分析は、補助的L−メチル葉酸への治療応答についての5つの遺伝子バイオマーカー単独及び組合せの予測値を評価した。
方法
[0438]事後分析をMDDでありSSRI治療への以前の不十分な応答を有する患者についての補助的療法としてのL−メチル葉酸の多施設、60日間、無作為化、二重盲検試験からの結果に基づいて実施した。研究設計及び結果は完全に示され、Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012)に要約されている。研究プロトコール、補正及びインフォームドコンセント形式は再検討され、Institutional Review Boardによって承認された。書面によるインフォームドコンセントは、いかなる研究手順が行われるより前にすべての研究患者から得た(臨床試験政府登録番号NCT00955955)。
患者選択
[0439]MDDの現在の発症について分類と診断の手引きIV(Diagnostic and Statistical Manual IV)(DSM−IV)判定基準を満たし、年齢18〜65歳である患者は、スクリーニング及びベースライン来院時に簡易うつ症状自己評価項目(QIDS−SR)スコア≧12を有する場合に適格である。患者はMDDの現在の発症の際に、Massachusetts General Hospital(MGH)抗うつ剤治療応答質問票(ATRQ)(Chandler GM et al.,CNS Neurosci Ther.,16:322〜5(2010))を使用して決定し、その前4週間について安定のままであるのに十分な用量(≧20mg/日のフルオキセチン、シタロプラム若しくはパロキセチン、≧10mg/日のエスシタロプラム又は≧50mg/日のセルトラリン)で≧8週間の、SSRIでの以前行われた治療記録を有する必要があった。除外判定基準は、現在の発症の際に≧2の十分な抗うつ剤試験の失敗及びスクリーニングからベースラインでのQIDS−SR合計スコアでうつ性症状における≧25%減少を含んだ。
研究手順
[0440]スクリーニング及びベースライン来院は互いに14日間以内であり、ベースライン来院の際に適格な患者は、書面でのインフォームドコンセントを提供した後に研究に登録した。患者を、第I相及び第II相についての30日間の治療の際に逐次並行比較設計(SPCD)(Fava M et al.,Psychother Psychosom.,72:115〜27(2003))を使用して、プラセボ−プラセボ、プラセボ15mg/日でのL−メチル葉酸又は15mg/日でのL−メチル葉酸−L−メチル葉酸からなる処置群に2:3:3比で無作為化し、現在のSSRI治療で安定用量で維持した。研究薬物療法を許容できなかった場合は患者を研究から外した。
[0441]各研究来院時に応答をハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)(Hamilton M.,J Neurol Neurosurg Psych.,23:56〜62(1960))及び臨床全般印象重症度尺度(Clinical Global Impression Severity and scales)(CGI−S)(Guy W.、In:ECDEU assessment manual for psychopharmacology.Washington(DC):Superintendent of Documents、US Government Printing Office、US Department of Health、Education、and Welfare Publication NO:76〜338、1976:218〜22)で評価した。さらに、症状応答をHDRS−7(McIntyre RS,CMAJ,173:1327〜34(2005))並びに認知及び身体機能質問票(CPFQ) (Fava M.et al.,Psychother Psychosom.,78:91〜7(2009))で評価した。応答は、HDRS−28でのベースラインからの≧50低減として定義した。身長及び体重を測定し、BMIをkg/mで算出した。ベースライン血液試料をメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)T677C対立遺伝子、COMT Val158Met GG、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)TC/TT及びメチオニンシンターゼ(MTR)A2756Gに対する遺伝子多型の存在を評価するために回収した。
アッセイ方法
[0442]MTHFR、MTR、COMT及びGCH1についての遺伝子多型の決定を全血から精製されたDNAについてDNeasyブラッドアンドティシューキット(Qiagen Inc、Valencia、CA)を使用して実施した。遺伝子型判定をマスアレイプラットフォーム(Sequenom、Inc.、San Diego、CA)を使用して実行した。
統計解析
[0443]分析のためにプールした治療効果を、研究の2つの相にわたってプールしたL−メチル葉酸及びプラセボ群についてベースラインからエンドポイントへの平均変化における差異によって評価した。これは、Fava M et al.,Psychother Psychosom.,72:115〜27(2003)のSPCDと一致する。プラセボと比較するL−メチル葉酸でのHDRS−28への治療応答をベースラインBMI(≧30kg/m又は<30kg/m)によって階層化した。さらにMTHFR 677 TC/TT(rs1801133)、MTR 2756 AG/GG(rs1805087)、GCH1 TC/TT(rs8007267)及びCOMT Val158Met GG(rs4680)遺伝子型の多型の存在又は非存在を決定し、二分法変数として使用した。
[0444]有効性データを、SPCD及び包括解析/LOCF(ITT/LOCF)アプローチを、第I相の際にL−メチル葉酸で治療された患者について使用して、分析した。第II相データセットは、第I相の際にプラセボでの治療を完了し、HDRSへの臨床応答を経験せず、第II相に入った患者に限定された。第I相の最後の来院/第II相の最初の来院を新規ベースライン来院とした。第I相及び第II相からのL−メチル葉酸とプラセボとを比較するデータを、SPCDについてのモデルに従って組合せ、Fava M et al.,Psychother Psychosom,72:115〜27(2003)に概説されるアプロ−チを使用し、ウエイト(w=0.50)及び無作為化分率(a=0.333)を使用して分析した。二分法測定を二分法結果についての方法に従って分析し(Fava M et al.,Psychother Psychosom,72:115〜27(2003))、一方表面上は無関係な回帰分析、ベースラインスコアについての制御を連続的な結果の比較のために用いた(Tamura RN,Huang X.,Clin Trials,4:309〜17(2007))。すべての検査は、両側としてアルファセット0.05で実施した。
[445]HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボについてのベースラインからエンドポイントまでのプールした平均変化を各バイオマーカー及び遺伝子マーカーについて階層化した。治療効果及びエフェクトサイズを各バイオマーカーについて算出した。群内分析、HDRS−28奏功率(ベースラインから少なくとも50%低減)、オッズ比、及び治療される必要がある数を算出した。曝露因子としてのバイオマーカー又は遺伝子マーカー状態と共に、L−メチル葉酸(第I相において若しくは第II相におけるプラセボ非応答者として)又はプラセボ(第I相において若しくは第II相におけるプラセボ非応答者として)を受けた個体について群内分析を別々に実施した。個々の患者がバイオマーカー状態に基づいて無作為化されていないことから、群内分析を年齢、性別、人種及びBMI並びにHDRS−28のベースラインレベルを含む潜在的交絡因子について補正した。最終モデルにおける予測因子の数を減少させるために、補正は、連続的HDRS−28について直線回帰及びバイナリー結果について傾向スコア階層化分析を使用して行った。
結果
[0446]患者74名からのデータが分析のために利用可能であり、患者61名(81.3%)は研究を完了した。結果は以前L−メチル葉酸対プラセボのプライマリー分析から公開された(Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012))。全体として、プールした平均(SD)ベースラインHDRS−28スコアは組み合わせたL−メチル葉酸及びプラセボ群について26.0(5.0)であった。ベースライン対プラセボからのプールした平均変化は、HDRS−28について補助的L−メチル葉酸15mg/日で有意に大きかった(−2.74、p=0.017)。
[0447]HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボについてのベースラインからのプールした平均変化は、COMT Val158Met GG、GCH1 TC/TT及びMTR 2756 AG/GG遺伝子型を有し、BMIが上昇している患者のサブグループ内で有意に(p≦0.01)大きく、MTHFR 677 TC/TT遺伝子型についてわずかに有意(p=0.087)であった(表11及び図10)。プールしたエフェクトサイズは、これらの各マーカーについて0.50より大きかった(図11)。プールした治療マイナスプラセボに対する奏功率は23.1%〜66.7%の範囲であり、MTHFR 677 TC/TTを除く各マーカーによって階層化したL−メチル葉酸で有意に(p<0.05)大きかった。
Figure 2016518816
[0448]HDRS−28についてのL−メチル葉酸対プラセボのベースラインからのプールした平均変化への効果を種々のバイオマーカー及び遺伝子マーカーの組合せを使用して患者のサブグループ内で検討した(表12)。L−メチル葉酸対プラセボについてのベースラインからのプールした平均変化の有意な(p<0.05)差異は、MTHFR 677 TC/TTプラスBMI≧30kg/mを除くすべての組合せについてマイナス10を超えた。プールしたエフェクトサイズは、すべての組合せにわたって−40.32〜−1.36の範囲であった。これらのマーカーの組合せについて、患者の数は多数の組合せの統計解析のためには少なすぎた。
Figure 2016518816
[0449]BMI≧30kg/mを含むすべての組合せは、傾向だけであったGCH1 TC/TTプラスMTHFR 677 TC/TTプラスBMI≧30kg/m(p=0.056)、及びCOMT Val158Met GGプラスMTHFR 677 TC/TTプラスBMI≧30kg/m(p=0.071)を除いて、L−メチル葉酸対プラセボでのプールした平均変化(範囲:−5.29〜−2.85)での治療群内の有意性(p<0.05)を実証した(表13)。
Figure 2016518816
[0450]L−メチル葉酸対プラセボについてのプールした平均変化をHDRS−7、CGI−S及びCPFQ尺度を使用してHDRS−28からの知見の一貫性を確認するために検討した(表14)。L−メチル葉酸対プラセボについての有意な(p<0.05)差異をHDRS−7及びCGI−Sで集団全体において観察した。3つの尺度で、CGI−S及びCPFQについてだけ有意(p<0.05)であったMTHFR 677 TC/TT遺伝子型を除いて、L−メチル葉酸対プラセボについて有意な(p<0.05)差異が目的の比較(COMT Val158Met GG、GCH1 TC/TT及びMTR 2756 AG/GG遺伝子型並びにBMI≧30kg/m)のそれぞれについて観察された。マーカーの組合せは、大部分の比較についてL−メチル葉酸対プラセボでのプールした平均変化について有意な(p<0.05)差異を実証した(図12)。
Figure 2016518816
考察
[0451]SSRIへの不十分な応答が確認された患者のための補助的療法としてのL−メチル葉酸対プラセボのプライマリー分析は、L−メチル葉酸での奏功率の顕著な改善を実証した(Papakostas GI et al.,Am J Psychiatry,169:1267〜74(2012))。SSRIへの不十分な応答者での単独療法又は補助的療法としてのL−メチル葉酸での以前の研究からの結果は、応答の改善を示している(Farah A.,CNS Spectr.,14(1 Suppl 2):2〜7(2009)、Ginsberg LD,Oubre A,Daoud Y.,Innov Clin Neurosci.,8:19〜28(2011))。
[0452]本探索分析からの結果は、5つのバイオマーカーのいずれかの存在又は非存在が標準的抗うつ剤療法への補助的治療としてのL−メチル葉酸の有用性に関する予後情報を提供することを実証した。予後的利益が個々のマーカーで観察されたが、2つ以上のマーカーの組合せは、顕著に改善された予測値を驚くべきことに提供した。これらの結果は、これらの5つのバイオマーカーについてのスクリーニングが、有効な補助的療法に対するまだ対処されていない高度な要求を有する患者を特定するため、治療応答又は応答の欠如を予測するため、及びL−メチル葉酸への有益な応答を示す可能性がある個々の患者を特定するための価値あるツールとなり得ることを示唆している。これらのバイオマーカーの存在は、L−メチル葉酸増強の中程度の独立した利益を示唆し、ある特定のバイオマーカー組合せ(例えばCOMT(Val158Met)GGとGCH1TC/TTとの対及びMTR 2756 AG/GG+MTHFR 677 TC/TTの対)が存在する場合さらに強固な、相乗的L−メチル葉酸効果を予測すると考えられる。これらのバイオマーカーが非存在である場合、L−メチル葉酸増強からの利益がわずかであるかないと考えられる。
[0453]この分析において個々のマーカー又はマーカーの組合せで報告されたエフェクトサイズを、抗うつ剤療法の他の研究と実質的に比較した。プラセボ制御抗うつ剤試験のメタ分析は、活性薬物療法での平均エフェクトサイズ0.31を報告した(Turner EH,Rosenthal R.,BMJ,336:516〜7(2008))。MDDのための補助的療法としての非定型的抗精神病薬(アリピプラゾール、クエチアピン、リスペリドン及びオランザピン/フルオキセチン)でのプラセボ対照試験の第2のメタ分析は、すべての研究にわたって0.31のエフェクトサイズ及びMADRSでの対プラセボの平均変化におけるプールした差異2.69点を報告した(Spielmans GI et al.,PLoS Med.,10:e1001403(2013))。本明細書で提供する分析においてエフェクトサイズ及びプールした平均変化は個々のマーカー又はこれらのマーカーの組合せに基づいて階層化された場合にL−メチル葉酸でより高いと考えられた。
[0454]ある特定のバイオマーカーの存在は、MDDの危険性又は重症度と関連する傾向があるが、一方他のバイオマーカーは、抗うつ剤療法への応答についての予測因子である。かなりの数の文献が、体重の増加及び肥満がMDDのさらに大きな危険性及び標準的抗うつ剤治療への乏しい応答と関連することを実証している(Oskooilar N, J Clin Psychiatry,70:1609〜10(2009)、Kloiber S,Biol Psychiatry.,62:321〜6(2007)、Ma et al.,2010、Faith MS et al.,Obes Rev.,12:e438〜53(2011)、Luppino FS et al.,Arch Gen Psychiatry,67:220〜9(2010)、Simon et al.,2008、McIntyre RS et al.,Can J Psychiatry,51:274〜80(2006))。MTHFR 677 TC/TT多型の存在とMDDの危険性の間に強い関連が報告されている(Wu YL et al.,Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry,46:78〜85(2013)、Lopez−Leon S et al.,Mol Psychiatry,13:772〜85(2008)、Peerbooms OL et al., Brain Behav Immun.,25:1530〜43(2011)、Gilbody S,Lewis S,Lightfoot T.,Am J Epidemiol.,165:1〜13(2007)、Lewis SJ et al.,Mol Psychiatry,11:352〜60(2006))。さらにCOMT Val158Met多型は、標準的抗うつ剤療法へのより悪い応答又は自殺の危険性の増加と関連していた(Baune BT et al.,Neuropsychopharmacology,33:924〜32(2008)、Benedetti et al.,2009、Schosser A et al.,Eur Neuropsychopharmacol.,22:259〜66(2012))。公開されたデータは、本明細書に記載の分析に含まれる他の遺伝子マーカー及びそれらのMDDとの関連についてはさらに限定的である。MDDである日本人患者の研究では、GCH1とMDDとの存在の間には関連は見出されなかったが、GCH1はSSRIへの応答の予測因子であった(Kishi T et al.,J Affect Disord.,142:315〜22(2012))。閉経後の女性では、MTR 2756 GG遺伝子型は、MTHFR 677 TC/TT多型の存在と同様に、MDDの危険性の5倍の増加と関連していた(Slopien et al.,2008)。公開された文献は、MDDの危険性への2つ以上マーカーの影響及び治療への応答に関しては、わずかである。Pan CC et al.,Int J Geriatr Psychiatry,24:847〜55(2009)は、老齢期集団における COMT及びMTHFR遺伝子と被殻体積(putamen volume)及びMDDとの関連を評価するためにMRIを使用し、単独で役割を実証した遺伝子型はないことを見出したが、両方の多型の存在は抑うつと非抑うつ患者との間のMRI差異に関連していた。Secher A et al.,Int Clin Psychopharmacol.,24:199〜203(2009)は、抗うつ剤療法にある抑うつ患者内で体重増加とCOMT多型の存在との間の関連を報告した。この研究では、マーカーの特異的な組合せの存在によって階層化された場合に、HDRS−28でのL−メチル葉酸対プラセボについての平均変化は10点を超え、顕著な差異がCGI−S、HDRS−7及びCPFQでの大部分のマーカー組合せについて記載された。知見は、バイオマーカーの具体的組合せ(例えば、(例えばCOMT(Val158Met)GGとGCH1 TC/TTとの対及びMTR 2756 AG/GG+MTHFR 677 TC/TTの対)が補助的L−メチル葉酸治療レジメンに応答する可能性が高い、MDDであると診断された対象を特定するために使用できることを示唆している。
[0455]HDRSは、うつの臨床試験において薬物応答を評価するための標準として広く使用されている。しかしHDRSは、多次元的であり、臨床的変化を検出する感受性を欠いており、寛解を定義する識別力を欠いていることから批判されてきた(Ballesteros J et al.,J Affect Disord.,102:93〜9(2007))。HDRSの潜在的限界は、MDDのコア症状に加えて、従来の抗うつ剤の有害作用、例えば眠り、不眠、不安及び、不穏状態を反映する場合がある症状応答も評価することである(Kennedy SH,Clin Neurosci.,10:271〜7(2008))。HDRSの他のサブスケールは、HDRSのさらに長いバージョンよりもMDDのコア症状のさらに感受性の評価として広く評価されている(Santen G et al.,J Psychiatr Res.,42:1000〜9(2008)、Kennedy SH,Clin Neurosci.,10:271〜7(2008)、McIntyre RS,CMAJ,173:1327〜34(2005))。これらの理由から本研究は、知見を検証するためにHDRS−28に加えてHDRS−7、CGI−S及びCPFQを使用した。HDRS−28について個々のマーカー及びマーカーの組合せについて特定された有意差の大部分は、これらの追加的尺度で測定した場合も有意であり、知見をさらに強化する。結果は、種々のマーカーの存在によって階層化した場合でさえ、MDDの急性、短期治療の際の補助的療法としてのL−メチル葉酸での統計的に有意、強固な抗うつ剤応答を実証した。
[0456]本明細書で提供する分析は、バイオ及び遺伝子マーカーの存在によって階層化した患者のサブセット内で強固な応答を実証した。L−メチル葉酸の顕著な治療効果は、分析がHDRS−28若しくはCGI−Sに基づくかどうか、又は他の評価尺度を使用しているかに関わらず安定していた。それにより結果は、個々のマーカー又は、COMT(Val158Met)GGとGCH1 TC/TTとの対並びにMTR 2756 AG/GG+MTHFR 677 TC/TTの対などのマーカーの組合せの、L−メチル葉酸での治療に応答性の対象を特定するための予測ツールとしての有用性を実証する。
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[0457]前述の発明は、理解の明確さの目的のためにいくつかの詳細について例示及び例の方法によって記載されているが、当業者はある特定の変更及び修飾が添付の特許請求の範囲内で実施できることを理解する。さらに、本明細書で提供する各参考文献は、各参考文献が個々に参照により組み込まれたのと同様に、その全体が参照により組み込まれる。

Claims (70)

  1. ヒト対象の少なくとも1種のうつ症状を治療するための方法であって、
    うつである又はうつの危険性があることが診断されており、以下のバイオマーカー:
    i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    iii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の1793位又は配列番号8の27位にあるSNP(rs2274976によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号8が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    iv.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号3の66位又は配列番号10の27位にあるSNP(rs1801394によって特定される)であり、配列番号3及び配列番号10が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    v.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    vi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号12の27位にあるSNP(rs1883729によって特定される)であり、配列番号12が、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    vii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号13の27位にあるSNP(rs7163862によって特定される)であり、配列番号13が、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    viii.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号14の27位にあるSNP(rs12659によって特定される)であり、配列番号14が、還元葉酸担体タンパク質(RFC2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    ix.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号15の27位にあるSNP(rs202676によって特定される)であり、配列番号15が、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    x.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号16の27位にあるSNP(rs2297291によって特定される)であり、配列番号16が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xi.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号17の27位にあるSNP(rs1051266によって特定される)であり、配列番号17が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xiii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号19の27位にあるSNP(rs7639752によって特定される)であり、配列番号19が、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xiv.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号20の27位にあるSNP(rs6275によって特定される)であり、配列番号20が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xv.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号21の27位にあるSNP(rs1079596によって特定される)であり、配列番号21が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xvi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号22の27位にあるSNP(rs11240594によって特定される)であり、配列番号22が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xvii.2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xviii.2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xix.少なくとも1つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号25の27位にあるSNP(rs250682によって特定される)であり、配列番号25が、溶質担体ファミリー6(神経伝達性輸送ドーパミン)メンバー3(SLC6A3)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xx.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号26の27位にあるSNP(rs2277820によって特定される)であり、配列番号26が、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xxi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号27の27位にあるSNP(rs2236225によって特定される)であり、配列番号27が、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xxii.肥満、
    xxiii.所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現比、
    xxiv.第1の所定の基準値よりも大きな、4−HNEの発現、及び
    xxv.第2の所定の基準値よりも大きな、hsCRPの発現
    のうち少なくとも2種の組合せを保有することがさらに決定しているヒト対象に、前記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せが、葉酸含有化合物に対する陽性症状を低減する応答に関連するという認識に基づいて、有効量の葉酸含有化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法。
  2. 前記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せが以下:
    i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと、
    ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せがバイオマーカー(iii)〜(xxv)のうち少なくとも1種をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 肥満が以下の肥満指標:
    a.30kg/mを超えるBMI値、
    b.男性で40インチを超える(若しくは120cmを超える)、又は女性で35インチを超える(若しくは88cmを超える)胴囲、
    c.男性で0.95を上回る、又は女性で0.80を上回る胴−臀部比、及び
    d.男性で少なくとも約25%、又は女性で少なくとも約32%の体脂肪率
    のうち少なくとも1種によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも2種のバイオマーカーの存在を決定するために、対象から得た生体試料をアッセイするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 生体試料が、血液試料、尿試料、口腔試料、唾液試料又は脳脊髄液試料から選択される試料を含む、請求項5に記載の方法。
  7. アッセイするステップが、SNPのいずれか1つに隣接する少なくとも1組のプライマーを用いて生体試料を増幅するサブステップを含む、請求項5に記載の方法。
  8. 少なくとも2つのSNPを増幅する少なくとも2組のプライマーが多重増幅アッセイに使用される、請求項7に記載の方法。
  9. アッセイするステップが、ガスクロマトグラフィ、質量分析、高速液体クロマトグラフィ、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析、酵素共役アッセイ又はそれらの任意の組合せを用いて、生体試料においてSAM、SAH、4−HNE、hsCRP又はそれらの任意の組合せを分離及び/又はその存在を検出するサブステップを含む、請求項5に記載の方法。
  10. SAM/SAHの所定の基準比が、健常な対象の生体試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比である、請求項1に記載の方法。
  11. 健常な対象の血清試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比が、約4〜約12の範囲にある、請求項10に記載の方法。
  12. SAM/SAHの所定の基準比が、血漿試料で測定した場合に約3.0である、請求項1に記載の方法。
  13. 4−HNEの第1の所定の基準値が、健常な対象の生体試料で測定した場合の4−HNEの対照値である、請求項1に記載の方法。
  14. 健常な対象の血清試料で測定した場合の4−HNEの対照値が、血清1リットル当たり約0.24μmol(又は血清1リットル当たり約0.04mg)である、請求項13に記載の方法。
  15. 4−HNEの第1の所定の基準値が、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約3mgである、請求項1に記載の方法。
  16. hsCRPの第2の所定の基準値が、健常な対象の生体試料で測定した場合のhsCRPの対照値である、請求項1に記載の方法。
  17. 健常な対象の血清試料で測定した場合のhsCRPの対照値が、血清1リットル当たり約0.5mg〜血清1リットル当たり約4.5mgの範囲にある、請求項16に記載の方法。
  18. hsCRPの第2の所定の基準値が、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約2.3mgである、請求項1に記載の方法。
  19. 対象の体測値を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  20. 体側値が、体重、身長、胴囲、臀囲、体脂肪率又はそれらの任意の組合せを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 葉酸含有化合物の有効量が約7.5mg/日〜約50mg/日である、請求項1に記載の方法。
  22. 葉酸含有化合物の有効量が毎日単回用量として投与される、請求項1に記載の方法。
  23. 葉酸含有化合物の有効量が1日当たり1を超える分割用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  24. 投与が経口である、請求項1に記載の方法。
  25. 組成物が、投与すると少なくとも約3〜6時間にわたって葉酸含有化合物の少なくとも一部分を放出するように製剤化されている、請求項1に記載の方法。
  26. 放出が定常放出である、請求項25に記載の方法。
  27. 対象に抗うつ薬を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  28. 葉酸含有化合物と併用する抗うつ薬の投与が、抗うつ薬の有効性を増大させる、請求項27に記載の方法。
  29. 抗うつ薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む、請求項27に記載の方法。
  30. 選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 葉酸含有化合物を含み、任意選択で抗うつ薬と併用して投与する治療を、対象のために選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  32. うつが大うつ病性障害である、請求項1に記載の方法。
  33. うつであると診断されている対象が少なくとも1種の抗うつ単独療法に抵抗性である、請求項1に記載の方法。
  34. 対象が成人対象である、請求項1に記載の方法。
  35. 少なくとも1種のうつ症状が、落ち込み若しくは抑うつ気分、快感消失、低いエネルギーレベル、罪悪感、作業量及び関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な身体症状、認知の低下又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項1の方法。
  36. ヒト対象に投与した抗うつ薬の有効性を改善する方法であって、
    うつであることが診断されており、以下のバイオマーカー:
    i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    iii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の1793位又は配列番号8の27位にあるSNP(rs2274976によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号8が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    iv.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号3の66位又は配列番号10の27位にあるSNP(rs1801394によって特定される)であり、配列番号3及び配列番号10が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼレダクターゼ(MTRR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    v.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号11の27位にあるSNP(rs1006737によって特定される)であり、配列番号11が、L型電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Cサブユニット(CACNA1C)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    vi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号12の27位にあるSNP(rs1883729によって特定される)であり、配列番号12が、DNA(シトシン−5)−メチルトランスフェラーゼ3ベータ(DNMT3B)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    vii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号13の27位にあるSNP(rs7163862によって特定される)であり、配列番号13が、GTPシクロヒドロラーゼ1フィードバック調節タンパク質(GCHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    viii.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号14の27位にあるSNP(rs12659によって特定される)であり、配列番号14が、還元葉酸担体タンパク質(RFC2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    ix.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号15の27位にあるSNP(rs202676によって特定される)であり、配列番号15が、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1(FOLH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    x.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号16の27位にあるSNP(rs2297291によって特定される)であり、配列番号16が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xi.2つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号17の27位にあるSNP(rs1051266によって特定される)であり、配列番号17が、還元葉酸担体タンパク質(RFC1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xii.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号18の27位にあるSNP(rs8007267によって特定される)であり、配列番号18が、GTPシクロヒドロラーゼ1(GCH1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xiii.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号19の27位にあるSNP(rs7639752によって特定される)であり、配列番号19が、コリンリン酸シチジリルトランスフェラーゼA(PCYT1A)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xiv.2つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号20の27位にあるSNP(rs6275によって特定される)であり、配列番号20が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xv.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号21の27位にあるSNP(rs1079596によって特定される)であり、配列番号21が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xvi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号22の27位にあるSNP(rs11240594によって特定される)であり、配列番号22が、ドーパミン受容体D2(DRD2)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xvii.2つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xviii.2つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xix.少なくとも1つのシトシン「C」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号25の27位にあるSNP(rs250682によって特定される)であり、配列番号25が、溶質担体ファミリー6(神経伝達性輸送ドーパミン)メンバー3(SLC6A3)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xx.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号26の27位にあるSNP(rs2277820によって特定される)であり、配列番号26が、ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(FTCD)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xxi.少なくとも1つのアデニン「A」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号27の27位にあるSNP(rs2236225によって特定される)であり、配列番号27が、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性)1(MTHFD1)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    xxii.肥満、
    xxiii.所定の基準比よりも小さな、SAMとSAHとの発現比、
    xxiv.第1の所定の基準値よりも大きな、4−HNEの発現、及び
    xxv.第2の所定の基準値よりも大きな、hsCRPの発現
    のうち少なくとも2種の組合せを保有することがさらに決定しているヒト対象に、前記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せが、葉酸含有化合物と併用して投与した場合に抗うつ薬の有効性を増大させることに関連するという認識に基づいて、抗うつ薬と併用して有効量の葉酸含有化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法。
  37. 前記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せが以下:
    i.少なくとも1つのチミン「T」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号1の677位又は配列番号7の27位にあるSNP(rs1801133によって特定される)であり、配列番号1及び配列番号7が、それぞれ独立してメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと、
    ii.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPと
    を含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記少なくとも2種のバイオマーカーの組合せがバイオマーカー(iii)〜(xxv)のうち少なくとも1種をさらに含む、請求項37に記載の方法。
  39. 肥満が以下の肥満指標:
    a.30kg/mを超えるBMI値、
    b.男性で40インチを超える(若しくは120cmを超える)、又は女性で35インチを超える(若しくは88cmを超える)胴囲、
    c.男性で0.95を上回る、又は女性で0.80を上回る胴−臀部比、及び
    d.男性で少なくとも約25%、又は女性で少なくとも約32%の体脂肪率
    のうち少なくとも1種によって特徴付けられる、請求項36に記載の方法。
  40. 前記少なくとも2種のバイオマーカーの存在を決定するために、対象から得た生体試料をアッセイするステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
  41. 生体試料が、血液試料、尿試料、口腔試料、唾液試料又は脳脊髄液試料から選択される試料を含む、請求項40に記載の方法。
  42. アッセイするステップが、SNPのいずれか1つに隣接する少なくとも1組のプライマーを用いて生体試料を増幅するサブステップを含む、請求項40に記載の方法。
  43. 少なくとも2つのSNPを増幅する少なくとも2組のプライマーが多重増幅アッセイに使用される、請求項42に記載の方法。
  44. アッセイするステップが、ガスクロマトグラフィ、質量分析、高速液体クロマトグラフィ、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析、酵素共役アッセイ又はそれらの任意の組合せを用いて、生体試料においてSAM、SAH、4−HNE、hsCRP又はそれらの任意の組合せを分離及び/又はその存在を検出するサブステップを含む、請求項40に記載の方法。
  45. SAM/SAHの所定の基準比が、健常な対象の生体試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比である、請求項36に記載の方法。
  46. 健常な対象の血清試料で測定した場合のSAM/SAHの対照比が、約4〜約12の範囲にある、請求項45に記載の方法。
  47. SAM/SAHの所定の基準比が、血漿試料で測定した場合に約3.0である、請求項36に記載の方法。
  48. 4−HNEの第1の所定の基準値が、健常な対象の生体試料で測定した場合の4−HNEの対照値である、請求項36に記載の方法。
  49. 健常な対象の血清試料で測定した場合の4−HNEの対照値が、血清1リットル当たり約0.24μmol(又は血清1リットル当たり約0.04mg)である、請求項48に記載の方法。
  50. 4−HNEの第1の所定の基準値が、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約3mgである、請求項36に記載の方法。
  51. hsCRPの第2の所定の基準値が、健常な対象の生体試料で測定した場合のhsCRPの対照値である、請求項36に記載の方法。
  52. 健常な対象の血清試料で測定した場合のhsCRPの対照値が、血清1リットル当たり約0.5mg〜血清1リットル当たり約4.5mgの範囲にある、請求項51に記載の方法。
  53. hsCRPの第2の所定の基準値が、血漿試料で測定した場合に血漿1リットル当たり約2.3mgである、請求項36に記載の方法。
  54. 対象の体測値を決定するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
  55. 体側値が、体重、身長、胴囲、臀囲、体脂肪率又はそれらの任意の組合せを含む、請求項54に記載の方法。
  56. 葉酸含有化合物の有効量が約7.5mg/日〜約50mg/日である、請求項36に記載の方法。
  57. 葉酸含有化合物の有効量が毎日単回用量として投与される、請求項36に記載の方法。
  58. 葉酸含有化合物の有効量が1日当たり1を超える分割用量で投与される、請求項36に記載の方法。
  59. 投与が経口である、請求項36に記載の方法。
  60. 組成物が、投与すると少なくとも約3〜6時間にわたって葉酸含有化合物の少なくとも一部分を放出するように製剤化されている、請求項36に記載の方法。
  61. 放出が定常放出である、請求項60に記載の方法。
  62. 抗うつ薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む、請求項36に記載の方法。
  63. 選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
  64. 葉酸含有化合物を含み、抗うつ薬と併用して投与する治療を、対象のために選択するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
  65. うつが大うつ病性障害である、請求項36に記載の方法。
  66. うつであると診断されている対象が少なくとも1種の抗うつ単独療法に抵抗性である、請求項36に記載の方法。
  67. 対象が成人対象である、請求項36に記載の方法。
  68. ヒト対象に投与した抗うつ薬の有効性を改善する方法の結果、落ち込み若しくは抑うつ気分、快感消失、低いエネルギーレベル、罪悪感、作業量及び関心の減少、精神運動遅滞、激越、心的な不安、身体的な不安、全身的な身体症状、認知の低下又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種のうつ症状の改善を生じる、請求項36に記載の方法。
  69. 対象の少なくとも1種のうつ症状を治療する方法であって、
    うつである又はうつの危険性があることが診断されており、少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子又はその相補体を含む、配列番号2の2756位又は配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNPを保有することがさらに決定している対象に、(1つ又は複数の)SNP対立遺伝子の存在が、葉酸含有化合物に対する陽性症状を低減する応答に関連するという認識に基づいて、有効量の葉酸含有化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法。
  70. うつと診断されている対象のための治療レジメンを選択するための方法であって、
    以下のSNP:
    i.少なくとも1つのグアニン「G」対立遺伝子若しくはその相補体を含む、配列番号2の2756位若しくは配列番号9の27位にあるSNP(rs1805087によって特定される)であり、配列番号2及び配列番号9が、それぞれ独立してメチオニンシンターゼ(MTR)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、
    ii.2つのシトシン「C」対立遺伝子若しくはその相補体を含む、配列番号23の27位にあるSNP(rs4633によって特定される)であり、配列番号23が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP、又は
    iii.2つのグアニン「G」対立遺伝子若しくはその相補体を含む、配列番号24の27位にあるSNP(rs4680によって特定される)であり、配列番号24が、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)のゲノム核酸配列の一部である、SNP
    のうちの1種の存在について、対象由来の被験試料をアッセイするステップと、
    対象が、MTR、COMT(rs4633)及びCOMT(rs4680)のSNPバイオマーカーのうちの1種を保有することが決定している場合に、葉酸含有化合物を任意選択で(任意選択で抗うつ薬と併用して)対象に投与するステップと
    を含む、方法。
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