JP2016518153A - チタン合金基板用のコーティング - Google Patents

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Abstract

本開示は、少なくとも部分的に、外科用インプラント及び前記外科用インプラントの製造方法に関する。一実施形態において、この外科用インプラントは、金属基板と、金属基板に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層と、タンタル中間層に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層と、を含み、アモルファスタンタルは金属基板側からDLC側にかけて増加する位相勾配を有し、DLC層は硬度値及び弾性率値を有し、硬度値はタンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有し、弾性率値はタンタル側からの勾配を有する。

Description

DLCは、その独特の硬さ、抵抗性、低蒸着温度(150℃未満)、生体適合性、及び摩擦特性(摩擦係数が0.1未満)の組み合わせのために、トライボロジー、腐食防止、医療機器を含む多様な分野の用途に理想的である。しかしながら、ハードコーティングとしてのDLCの適用では、その蒸着に伴う高い残留応力が接着強度を弱め、高い局所荷重下で脆性破壊及び剥離を生じさせる。図1Aを参照すると、例えば、チタン−アルミニウム−ニオブ(Ti6Al7Nb)基板102上に蒸着された単式DLCコーティング106の断面の二次電子顕微鏡(「SEM」)画像が示されている。図1に示すように、単式DLCコーティング106はその下の変形に対する低い抵抗性を呈しており(「エッグシェル効果」)、その脆性、及び故障時の低い伸びのために亀裂108を生じさせる。層107は、チタン−アルミニウム−ニオブ(Ti6Al7Nb)基板102上に蒸着された単式DLCコーティング106の周囲の伝導性を高めるために使用されたプラチナコーティングである。図1Bは、図1Aに示したSEM画像をコントラスト調整したものであり、DLCコーティングの亀裂をより明瞭に示している。亀裂108がDLCコーティング106の完全性を損ない、硬い磨耗粉の生成によって、DLCコーティングされたTi6Al7Nb基板102の不良(例えば、プロテーゼの剥離)に至る。このため、コーティング及びコーティングされたプロテーゼの完全性を損なう亀裂の発生を防ぐために、弾性変形と塑性変形の両方に対する高い抵抗性を呈し得る、より頑丈な金属コーティングされたプロテーゼが必要とされている。
一態様において、本発明は、外科用インプラントを提供する。一実施形態において、外科用インプラントは金属基板を備える。一実施形態において、金属基板に隣接してタンタル中間層が配置される。一実施形態において、タンタル中間層はα−タンタル及びアモルファスタンタルを含む。一実施形態において、外科用インプラントは、タンタル中間層に隣接して蒸着された少なくとも一層のDLC層を含む。一実施形態において、タンタル中間層は金属基板側とDLC側との間に位相勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層は金属基板側とDLC側との間に、β−タンタルからα−タンタルへの位相勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層のアモルファスタンタルは金属基板側からDLC側に向かって増加する結晶質勾配を有する。一実施形態において、DLC層は硬度値及び弾性率値を有する。一実施形態において、DLC層の硬度値はタンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有する。一実施形態において、DLC層の弾性率値はタンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有する。
いくつかの実施形態において、外科用インプラントの金属基板は、独立して、チタン、チタン系合金、コバルト系合金、又は鋼を含む。いくつかの実施形態では、外科用インプラントのチタン中間層は1nm〜2μmの範囲の厚さを有する。
いくつかの実施形態では、チタン中間層は、独立して、元素又は化合物を更に含み、その元素又は化合物はα−タンタルの成長を促進する。そのような実施形態のいくつかでは、元素は、独立して、チタン、ニオブ、タングステン、及びこれらの組み合わせを含む。他のそのような実施形態では、化合物は、独立して、チタン化合物、ニオブ化合物、タングステン化合物、及びこれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、外科用インプラントのタンタル中間層はタンタル化合物のナノ粒子を更に含む。いくつかの実施形態では、外科用インプラントのタンタル中間層はタンタル−カーバイドとタンタルのナノ複合体である。いくつかの実施形態では、外科用インプラントは、12GPaから22GPaまで増加する硬度値の勾配を有するDLC層を有する。いくつかの実施形態では、外科用インプラントは、120GPaから220GPaまで増加する弾性率値の勾配を有するDLC層を有する。いくつかの実施形態では、外科用インプラントは、複数の交互の副層を含むDLC層を少なくとも1つ有する。一実施形態では、複数の交互の副層はDLC副層とドープDLC副層とを含む。一実施形態では、ドープDLC副層は金属でドープされる。一実施形態では、金属ドープDLC副層はチタンでドープされる。
別の態様では、本発明は、本発明による例示の外科用インプラントの製造方法を提供する。一実施形態では、方法は、真空システムに金属基板を挿入する工程を含む。一実施形態では、方法は、約−200ボルトから約−2000ボルトまでの範囲のRF自己バイアスでのAr+衝撃によって金属基板を洗浄することを含む。一実施形態では、金属基板は−600ボルトのRF自己バイアスでのAr+衝撃によって洗浄される。
一実施形態では、方法は、基板に電気バイアスを加えながらタンタル中間層を蒸着することを含む。一実施形態では、バイアスはRF自己バイアスである。一実施形態では、印加されるRF自己バイアスは−50ボルトから−600ボルトの範囲である。一実施形態では、印加されるRF自己バイアスを既定の増分で変化させる。一実施形態では、印加されるRF自己バイアスを5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲の段階的増分で変化させる。
一実施形態では、方法はDLC層を蒸着することを含む。一実施形態では、DLC層は、基板に第2の特定のRF自己バイアスで炭化水素を導入することによって蒸着される。一実施形態では、DLC層は、段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する第2のRF自己バイアスで炭化水素を導入することによって蒸着される。一実施形態では、印加される第2のRF自己バイアスを5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲の段階的増分で変化させる。一実施形態では、DLC層は、92g/モルから120g/モルまでの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することによって蒸着される。一実施形態では、DLC層は、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される炭化水素を導入することによって蒸着される。
いくつかの実施形態では、本発明による外科用インプラントの製造方法は、基板に第3のRF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入する工程を含む。一実施形態では、印加される第3のRF自己バイアスを第2の段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化させる。一実施形態では、第2の段階的増分の範囲は5ボルト段階から50ボルト段階までである。
別の実施形態では、本発明による外科用インプラントの製造方法は以下の工程を含む。(a)真空システムに金属基板を挿入する工程、(b)約−200ボルトから約−2000ボルトまでの範囲のRF自己バイアス、好ましくは−600ボルトの範囲のRF自己バイアスでAr衝撃によって金属基板を洗浄する工程、(c)タンタルの蒸着中にRF自己バイアスを含む電気バイアスを基板に印加することによってタンタル中間層を蒸着する工程であり、前記RF自己バイアスが−50ボルトから−600ボルトまでの範囲である、工程、(d)RF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することによってDLC層を蒸着する工程であって、前記RF自己バイアスが、第1の期間にかけて、段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する、工程、(e)第1の期間の後、第2の期間にかけてアセチレン雰囲気に有機チタン源を導入する工程、及び(f)最高100回まで工程(d)及び(e)を繰り返す工程。一実施形態では、段階的増分の範囲は5ボルト段階から50ボルト段階までである。
外科用インプラント及びその製造方法に関する前述の「課題を解決するための手段」及び以下に記述する「発明の実施形態」は、例示の実施形態の付属の図とともに読まれたときによりよく理解されるであろう。ただし、本発明は、図示された精密な配置及び手段に限定されるものでないことは理解されるべきである。
図中、
TiAl6Nb7に蒸着された単式タンタル及びDLC潤滑剤コーティングの走査電子顕微鏡(SEM)の画像である。 TiAl6Nb7に蒸着された単式タンタル及びDLC潤滑剤コーティングの走査電子顕微鏡(SEM)の画像である。 本発明の例示の実施形態によるコーティングされた外科用インプラントの概略断面図である。 本発明の例示の実施形態による、外科用インプラントに蒸着された勾配DLC潤滑コーティングの概略断面図である。 DLC層と金属ドープDLC層とが交互になったコーティングを有する外科用インプラントの概略断面図である。 タンタル中に分散したナノ複合体タンタルカーバイドとタンタルを含むタンタル中間層を有する本発明の例示の実施形態による外科用インプラントの概略断面図である。 本発明の例示の実施形態による、DLCでコーティングされた頚椎椎間板プロテーゼの上面斜視図を示す画像である。 図6Aに示した頚椎椎間板プロテーゼの上面斜視図を示す別の画像である。
図を詳しく参照し、図中、本明細書の全体を通じて同じ参照番号は同じ要素を指しており、図2〜6には、一般に参照番号100で示される本発明の例示の実施形態に従ってコーティングされた外科用インプラントの概略的な断面図が示されている。
本発明は、広くは補綴整形外科用インプラントに関し、具体的には、例えば、膝、腰、肩、肘、つま先、指、手首、足首、及び椎間板の置換で使用するための、関節構成要素に関する。更に特定すると、本発明は、金属基板とタンタル中間層とDLC層とを有する非モジュール式関節プロテーゼ構成要素の作製方法に関する。
一態様において、本発明は、DLCを含む少なくとも1つの層でコーティングされた金属基板を有する外科用インプラントを提供する。図2に示すように、一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102に隣接して配置されたタンタル中間層104を含むコーティングを有する金属基板102を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板100と、α−タンタルを含むタンタル中間層104と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、アモルファスタンタルを含むタンタル中間層104と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、α−タンタル及びアモルファスタンタルを含むタンタル中間層104と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、タンタル中間層104に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層106と、を含む。一実施形態において、タンタル中間層は金属基板側とDLC側との間に位相勾配を有する。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、結晶質勾配を有するアモルファスタンタルを含むタンタル中間層104と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、金属基板102側からDLC層106側に向かって増加する結晶質勾配を有するアモルファスタンタルを含むタンタル中間層104と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、β−タンタルからα−タンタルまでの位相勾配を有するタンタル中間層104を含む。
一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、タンタル中間層104と、硬度値及び弾性率値を有するDLC層106と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、タンタル中間層104と、硬度値及び弾性率値を有するDLC層106と、を含み、硬度値はタンタル中間層104側から離れるにつれて増加する勾配を有する。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、タンタル中間層104と、硬度値及び弾性率値を有するDLC層106と、を含み、弾性率値はタンタル中間層104側から離れるにつれて増加する勾配を有する。
一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、金属基板100に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層104と、タンタル中間層104に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層106と、を含む。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、金属基板102に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層104と、タンタル中間層104に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層106と、を含み、アモルファスタンタルは金属基板100側からDLC層106側にかけて増加する濃度勾配を有する。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、金属基板102に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層104と、タンタル中間層104に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層106と、を含み、DLC層106は硬度値及び弾性率値を有し、硬度値はタンタル中間層104側から離れるにつれて増加する勾配を有する。一実施形態では、外科用インプラント100は、金属基板102と、金属基板102に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層104と、タンタル中間層104に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層106と、を含み、弾性率値はタンタル中間層104側から離れるにつれて増加する勾配を有する。
本発明の例示の実施形態に従った外科用インプラント100の金属基板102は、任意の適した金属、金属合金、又はこれら両方の組み合わせを含み得る。一般には、金属基板102は、荷重の交互の繰り返しの間の、わずかな耐熱性及び高度の耐久性を含む熱特性及び機械特性などの任意の有利な特性の組み合わせを持つ任意の金属及び金属合金を含み得る。一実施形態において、金属基板102はチタン系合金を含む。一実施形態において、金属基板102は、TiAl6V4、TiAl6Nb7、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるチタン系合金を含む。一実施形態において、金属基板102はコバルト−クロム(CoCrMo)合金を含む。一実施形態において、金属基板102は鋼を含む。一実施形態において、金属基板102は、チタン、ニッケル、鉄、コバルト、ニオブ、亜鉛、タングステン、モリブデン、及びタンタルからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む。一実施形態において、金属基板102は金属合金を含み、その元素の少なくとも1つは、チタン、ニッケル、鉄、コバルト、ニオブ、亜鉛、タングステン、モリブデン、タンタルからなる群から選択される。一実施形態において、金属基板102は、チタン、及び/又は非合金の商業用純正(CP)チタン、TiAl6V4、TiAl6Nb7、又はニッケル−チタン(超弾性NiTi又は形状記憶NiTi)からなる群から選択されるチタン合金を含む。
いくつかの例示の実施形態では、本発明に従った外科用インプラント100の金属基板102は、好ましくはチタン合金を含む。プロテーゼ材料としてチタン合金を使用する利点としては、高い機械的耐荷重能力、高い疲労強度、弾性、高い化学的安定性、磁気共鳴画像法(「MRI」)及びコンピュータ断層撮影(「CT」)とのより良い互換性、並びに優れた生体適合性が挙げられる。また、骨プレート、ピン、人工膝関節及び股関節、並びに椎間板プロテーゼを含む多くの異なる種類の外科用インプラントをチタン系合金から作製できることも利点である。しかしながら、チタン系合金は、仕上げが困難であることに加えて関節での磨耗挙動が不十分であるため、耐摩耗性のコーティングを必要とする。
図2及び3を参照すると、本発明の例示の実施形態によるタンタル中間層104は、金属基板102に隣接して配置されることが好ましい。一実施形態において、タンタル中間層104は結晶性タンタルを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は結晶性タンタルとアモルファスタンタルとを含む。一実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルを含む。一実施形態において、タンタル中間層104はβ−タンタルとα−タンタルとを含む。一実施形態において、タンタル中間層104はβ−タンタルとアモルファスタンタルとを含む。一実施形態において、タンタル中間層104はβ−タンタルとα−タンタルとアモルファスタンタルとを含む。
図3を参照すると、一実施形態において、タンタル中間層104は、副層104Bとして、例えば、カーバイドなどのタンタル化合物を有するナノ複合体タンタルを含む。一実施形態において、副層104Bは、α−タンタルの成長を促進する元素又は化合物を含む。そのような実施形態の1つでは、元素は、独立して、チタン、ニオブ、又はタングステンを含む。他のそのような実施形態では、化合物は、独立して、チタン化合物、ニオブ化合物、又はタングステン化合物を含む。一実施形態では、タンタル中間層104は、副層104Aとしてタンタルを、副層104としてナノ複合体タンタルと、例えば、タンタルカーバイドなどのタンタル化合物と、を含む。図5に示すように、一実施形態において、タンタル中間層104の全体は、ナノ複合体タンタルとタンタル化合物とを含む(図5の104Cを参照)。一実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルとタンタル化合物のナノ複合体を含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、β−タンタル、α−タンタル、及びこれらの混合物のタンタル層を少なくとも1つ、並びにナノ複合体タンタルとタンタル化合物の層を少なくとも1つ含む。
図3及び5を参照すると、一実施形態において、タンタル中間層104はタンタルカーバイドのようなタンタル化合物のナノ粒子を含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、タンタル化合物ナノ粒子と、β−タンタル、α−タンタル、及びこれらの混合物としてのタンタルと、を含む。一実施形態において、タンタル中間層104はβ−タンタルとアモルファスタンタルとタンタル化合物ナノ粒子とを含む。一実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルとアモルファスタンタルとタンタル化合物ナノ粒子とを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、タンタル中間層104に分散されたβ−タンタルとアモルファスタンタルとタンタル化合物ナノ粒子とを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、タンタル中間層104に分散されたα−タンタルとアモルファスタンタルとタンタル化合物ナノ粒子とを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、タンタル中間層104に分散されたβ−タンタルとα−タンタルとアモルファスタンタルとタンタル化合物ナノ粒子とを含む。
図2〜5を参照すると、一実施形態において、タンタル中間層104は約50〜約100原子百分率(at%)のα−タンタルを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は約50〜約100原子百分率(at%)のアモルファスタンタルを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は約70〜約99原子百分率(at%)のタンタル化合物ナノ粒子を含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、約10〜約30原子百分率(at%)のα−タンタルと、約10〜約30原子百分率(at%)のアモルファスタンタルと、約50〜約99原子百分率(at%)のタンタル化合物ナノ粒子と、を含む。
いくつかの実施形態において、タンタル中間層104は、タンタルカーバイド組成物を含むナノ複合体タンタルを含む。一実施形態において、タンタル中間層104は、約5〜約50原子百分率(at%)のタンタルと、約50〜約99原子百分率(at%)のタンタルカーバイドと、を有するナノ複合体タンタルを含む。
図2〜5を参照すると、一実施形態において、タンタル中間層104は、その少なくとも一部を通じて延在する位相勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層104はタンタルの位相勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルを含む位相勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層104はアモルファスタンタルを含む位相勾配を有する。いくつかの実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルを含む位相勾配を有し、その位相勾配は外科用インプラント100の金属基板102側から外科用インプラント100のDLC層106側まで延在する。いくつかの実施形態において、タンタル中間層104はアモルファスタンタルを含む位相勾配を有し、その位相勾配は外科用インプラント100の金属基板102側から外科用インプラント100のDLC層106側まで延在する。いくつかの実施形態において、タンタル中間層104は、少なくともその一部を通じて延在する結晶質勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層104はタンタルの結晶質勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルを含む結晶質勾配を有する。一実施形態において、タンタル中間層104はβ−タンタルからα−タンタルまでの結晶質勾配を有する。いくつかの実施形態において、タンタル中間層104はα−タンタルを含む結晶質勾配を有し、その結晶質勾配は外科用インプラント100の金属基板102側から外科用インプラント100のDLC層106側まで延在する。
図2〜5を参照すると、いくつかの実施形態において、タンタル中間層104は約1nm〜約2μm(すなわち2000nm)の範囲の厚さを有する。一実施形態において、タンタル中間層104の厚さは、約1nm〜約10nm、約1nm〜約20nm;約1nm〜約40nm、約1nm〜約60nm;約1nm〜約100nm;約10nm〜約100nm、約10nm〜約300nm、約10nm〜約500nm、約10nm〜約700nm、約10nm〜約1000nm、約10nm〜約1200nm、約10nm〜約1400nm、約10nm〜約1600nm、約10nm〜約1800nm、約10nm〜約2000nm;約20nm〜約100nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約500nm、約20nm〜約700nm、約20nm〜約1000nm、約20nm〜約1200nm、約20nm〜約1400nm、約20nm〜約1600nm、約20nm〜約1800nm、約20nm〜約2000nm;約50nm〜約100nm、約50nm〜約300nm、約50nm〜約500nm、約50nm〜約700nm、約50nm〜約1000nm、約50nm〜約1200nm、約50nm〜約1400nm、約50nm〜約1600nm、約50nm〜約1800nm、約50nm〜約2000nm;約100nm〜約200nm、約100nm〜約300nm、約100nm〜約400nm、約100nm〜約500nm、約100nm〜約600nm、約100nm〜約700nm、約100nm〜約800nm、約100nm〜約900nm、約100nm〜約1000nm、約100nm〜約1100nm、約100nm〜約1200nm、約100nm〜約1300nm、約100nm〜約1400nm、約100nm〜約1500nm、約100nm〜約1600nm、約100nm〜約1700nm、約100nm〜約1800nm、約100nm〜約1900nm、約200nm〜約300nm、約300nm〜約400nm、約400nm〜約500nm、約500nm〜約600nm、約200nm〜約400nm、約300nm〜約500nm、約400nm〜約600nm、約500nm〜約700nm、約200nm〜約500nm、約300nm〜約600nm、約400nm〜約700nm、約500nm〜約800nm、約200nm〜約600nm、約300nm〜約700nm、約400nm〜約800nm、約500nm〜約900nm、約200nm〜約700nm、約300nm〜約800nm、約400nm〜約900nm、約500nm〜約1000nm、約200nm〜約800nm、約300nm〜約900nm、約400nm〜約1000nm、約500nm〜約1100nm、約200nm〜約900nm、約300nm〜約1000nm、約400nm〜約1100nm、約500nm〜約1200nm、約200nm〜約1000nm、約300nm〜約1100nm、約400nm〜約1200nm、約500nm〜約1300nm、約200nm〜約1100nm、約300nm〜約1200nm、約400nm〜約1300nm、約500nm〜約1400nm、約200nm〜約1200nm、約300nm〜約1300nm、約400nm〜約1400nm、約500nm〜約1500nm、約200nm〜約1300nm、約300nm〜約1400nm、約400nm〜約1500nm、約500nm〜約1600nm、約200nm〜約1400nm、約300nm〜約1500nm、約400nm〜約1600nm、約500nm〜約1700nm、約200nm〜約1500nm、約300nm〜約1600nm、約400nm〜約1700nm、約500nm〜約1800nm、約200nm〜約1600nm、約300nm〜約1700nm、約400nm〜約1800nm、約500nm〜約1900nm、約200nm〜約1700nm、約300nm〜約1800nm、約400nm〜約1900nm、約500nm〜約2000nm、約200nm〜約1800nm、約300nm〜約1900nm、約400nm〜約2000nm、約200nm〜約1900nm、約300nm〜約2000nm、約200nm〜約2000nm、約600nm〜約700nm、約600nm〜約800nm、約700nm〜約800nm、約600nm〜約900nm、約700nm〜約900nm、約800nm〜約900nm、約600nm〜約1000nm、約700nm〜約1000nm、約800nm〜約1000nm、約900nm〜約1000nm、約1000nm〜約1100nm、約1100nm〜約1200nm、約600nm〜約1100nm、約700nm〜約1100nm、約800nm〜約1100nm、約900nm〜約1100nm、約1000nm〜約1200nm、約1100nm〜約1300nm、約600nm〜約1200nm、約700nm〜約1200nm、約800nm〜約1200nm、約900nm〜約1200nm、約1000nm〜約1300nm、約1100nm〜約1400nm、約600nm〜約1300nm、約700nm〜約1300nm、約800nm〜約1300nm、約900nm〜約1300nm、約1000nm〜約1400nm、約1100nm〜約1500nm、約600nm〜約1400nm、約700nm〜約1400nm、約800nm〜約1400nm、約900nm〜約1400nm、約1000nm〜約1500nm、約1100nm〜約1600nm、約600nm〜約1500nm、約700nm〜約1500nm、約800nm〜約1500nm、約900nm〜約1500nm、約1000nm〜約1600nm、約1100nm〜約1700nm、約600nm〜約1600nm、約700nm〜約1600nm、約800nm〜約1600nm、約900nm〜約1600nm、約1000nm〜約1700nm、約1100nm〜約1800nm、約600nm〜約1700nm、約700nm〜約1700nm、約800nm〜約1700nm、約900nm〜約1700nm、約1000nm〜約1800nm、約1100nm〜約1900nm、約600nm〜約1800nm、約700nm〜約1800nm、約800nm〜約1800nm、約900nm〜約1800nm、約1000nm〜約1900nm、約1100nm〜約2000nm、約600nm〜約1900nm、約700nm〜約1900nm、約800nm〜約1900nm、約900nm〜約1900nm、約1000nm〜約2000nm、約nm〜約nm、約600nm〜約2000nm、約700nm〜約2000nm、約800nm〜約2000nm、約900nm〜約2000nmからなる群から選択される範囲の値である。
元素状炭素は同素体と呼ばれる多くの異なる形態で存在する。最も一般的な炭素同素体はグラファイト(α−グラファイト)である。ダイヤモンドは炭素の第2の同素体であるが、グラファイトよりはるかに一般的でない。ほとんどのグラファイトはα−グラファイトであり、それは、各炭素原子が3つの他の炭素原子と直接結合されている層構造を有する。各層の構造の炭素原子間の結合は、原子軌道のspハイブリダイゼーションを反映した平面三角形配位構造を有する3面配位として記述される。対照的に、ダイヤモンドの構造では、各炭素は原子軌道のspハイブリダイゼーションを反映した4面体対称を有する4面配位である。DLCは、炭素原子間のダイヤモンド様(sp)の結合の割合が高いアモルファス炭素である。報告によると、DLCフィルムは、ダイヤモンドのような4面体配位のsp部位と、グラファイトのような3面体配位spの部位との組み合わせを備えている。
図2〜5を参照すると、一実施形態では、外科用インプラント100は、タンタル中間層104に隣接して配置された少なくとも1つのDLC層106を含む。一実施形態において、DLC層106は、物理蒸着(「PVD」)、化学蒸着(「CVD」)、プラズマ化学蒸着(「PCVD」)、強化化学蒸着(PECVD)、フィルタ陰極真空アーク、レーザーアブレーション、プラズマビーム源、及び高密度プラズマ集束(DPF)によって、反応性マグネトロンスパッタリングを含む任意の適した技術によって合成することができる。一実施形態において、好ましいトライボロジー特性を有するDLC層106を作製するために、異なる蒸着法が使用される。一実施形態において、DLC層106は、アモルファス炭素又はアモルファスダイヤモンド(i−C、4面体アモルファス炭素ta−C)を含む。一実施形態において、DLC層106は、水素化アモルファス炭素(a−C:H)を含む。一実施形態において、DLC層106は、炭素以外の元素を含む材料を更に含む。一実施形態において、DLC層106は、シリコン(Si)、窒素(N)、金属(Me)、フッ素(F)からなる群から選択される元素を含む材料を更に含む。典型的には、Si、N、金属原子、及びFでドープしたDLCフィルムは、それぞれ、a−Si−C:H、a−C:H−N、a−Me−C:H、及びa−C:H−Fと記述される。
一実施形態において、DLC層106は硬度値及び弾性率値を有する。図2、3、及び5を参照すると、一実施形態において、DLC層106は、DLC層106を通じて少なくとも部分的に延在する勾配を有する硬度値を有する。一実施形態において、DLC層106は、タンタル中間層104側から離れるにつれて増加する勾配を有する硬度値を有する。一実施形態において、DLC層106は、タンタル中間層104側から離れるにつれて増加する勾配を有する弾性率値を有する。一実施形態において、DLC層106は、約12GPaから約22GPaまで増加する硬度値の勾配を有する。一実施形態において、DLC層106は、約120GPaから約220GPaまで、約100GPaから約200GPaまで、約50GPaから約100GPaまで増加する弾性率値の勾配を有する。
図4を参照すると、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのDLC層106は、DLC副層106Aと金属ドープDLC副層106Bとを含む複数の交互の副層を含む。一実施形態において、DLC層106は、DLC副層106Aと金属ドープDLC副層106Bとを含む複数の交互の副層を含み、金属ドープDLC副層106Bはチタンでドープされる。一実施形態において、少なくとも1つのDLC層106は、その少なくとも一部分にわたって勾配のある硬度を有する。一実施形態において、少なくとも1つのDLC層106は、中間層104側からの勾配のある硬度のタンタルを有する(図4の106Cを参照)。
本明細書に記載した外科用インプラントの任意の具体例は、本発明の外科用インプラントの範囲を制限するものとしてではなく、むしろ、その好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。本明細書において企図される外科用インプラントは、損傷又は不足のある身体部分を置換するために設計されたプロテーゼを含む。いくつかの実施形態では、外科用インプラント100は永久に配設される、又はその必要がなくなった後に患者の身体から取り除かれる。いくつかの実施形態では、外科用インプラント100は、股関節インプラント、化学療法ポート及び螺子からなる群から選択される。一実施形態において、外科用インプラント100は関節の骨プロテーゼである。一実施形態において、外科用インプラント100は股関節ジョイント全置換プロテーゼ及び膝関節全置換プロテーゼからなる群から選択される。一実施形態において、外科用インプラント100はメタル・オン・メタルタイプのジョイントプロテーゼである。
外科用インプラント100は、関節の双方の面が金属であるメタル・オン・メタル(「MOM」)ジョイントプロテーゼを含む関節ジョイントプロテーゼにおける磨耗破片及び磨耗副産物の毒性を低減するという利点を有する。外科用インプラント100のDLC及びタンタル中間層コーティングは、硬い(耐摩耗性)、化学的に不活性(生体適合性)の、低い摩擦係数を有するコーティングされた関節表面を提供することによって、メタル・オン・メタル(「MOM」)関節ジョイントプロテーゼの性能を改善するという便益を有する。そのようなコーティング物質の1つはDLCである。外科用インプラント100のDLC及びタンタル中間層コーティングは、コーティングされた関節インプラントの化学的な抵抗性及び機械的な耐摩耗性を改善するという便益を有する。外科用インプラント100のDLC及びタンタル中間層コーティングは、外科用インプラント100のコーティングと金属基板102との間の接着力を改善して、金属基板102からコーティングが剥離するのを防ぐ又は遅らせるという便益を有する。DLC層106及び/又はタンタル中間層104の組成勾配は、DLC層106及び/又はタンタル中間層104と金属基板102との間の接着力を改善し、単式DLC層106及び/又は単式タンタル中間層104であったならば、単式DLC層106及び/又は単式タンタル中間層104と金属基板102との格子のミスマッチ(真性応力)又は熱係数の差(熱応力)のいずれかによって生じていたであろう応力を低減する又は防ぐという便益を有する。関節の曲げの間に生じる応力と真性応力及び熱応力との組み合わせが、コーティングされた外科用インプラントの剥離の原因となることは、既知である。
別の態様において、本発明は、本発明の例示の実施形態による外科用インプラントの製造方法を提供する。例示の一実施形態において、外科用インプラント100の製造方法は以下を含む。(a)真空システムに金属基板102を挿入すること、(b)金属基板102を洗浄すること、(c)タンタル中間層104を金属基板102に蒸着すること、及び(d)DLC層106をタンタル中間層104に蒸着すること。
一実施形態において、金属基板102の洗浄は、気体プラズマによる金属基板102のイオン衝撃により実施される。イオン衝撃の一実施形態において、イオン衝撃エネルギー及びイオンフラックス(密度)は、好ましくは無線周波数(RF)電力によって制御される。しかしながら、他の実施形態においては、変化する、あるいは静的な(DC)電界を確立することが可能な任意の他の電源を使用する場合がある。一実施形態において、イオン衝撃は、安定したRFプラズマを生成することができるように好ましくは真空において実施される。一実施形態において、気体プラズマとイオン衝撃のプロセスを制御するためにRF電力を使用する。一実施形態において、RF電力の増加は気体プラズマの電位及び直流(DC)等価バイアスを増加する。一実施形態において、RF電力の増加は気体プラズマのイオン密度を増加する。一実施形態において、RF電力の低減は、気体プラズマの電位及びDCバイアス(イオン衝撃エネルギー)を低減する。一実施形態において、RF電力の低減は気体プラズマのイオン密度を低減する。一実施形態において、金属基板102が挿入される真空チャンバ内の気体の作動圧力を用いて、気体プラズマとイオン衝撃のプロセスを制御する。
一実施形態において、金属基板102の洗浄は、真空において金属基板102にアルゴンイオン(Ar)衝撃を加えることを含む。一実施形態において、真空における金属基板102へのAr衝撃は、−600ボルトのRF自己バイアスで実施される。一実施形態において、真空における金属基板102へのAr衝撃は、約−100ボルト〜約−2000ボルトの範囲のRF自己バイアスで実施される。そのような実施形態の1つでは、RF自己バイアスを5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲の段階的増分で変化させる。
一実施形態では、金属基板102上のタンタル中間層104の蒸着は、タンタル源からのタンタル蒸着中に基板に電気バイアスを印加することを含む。一実施形態では、電気バイアスはRF自己バイアスである。一実施形態では、金属基板102上のタンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロンスパッタリング放電中に基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは−50ボルト〜−2000ボルト、好ましくは−100ボルト〜−400ボルトの範囲である。一実施形態では、金属基板102上のタンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロンスパッタリング放電中に基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは段階的に変化する。一実施形態では、金属基板102上のタンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロンスパッタリング放電中に基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは既定の増分で変化する。一実施形態では、既定の増分の範囲は5ボルト段階から50ボルト段階である。一実施形態では、金属基板102上のタンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロンスパッタリング放電中に基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは段階的に及び既定の増分で変化する。一実施形態では、既定の増分の範囲は5ボルト段階から50ボルト段階である。一実施形態では、金属基板102上のタンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロンスパッタリング放電中に基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは5ボルト段階から50ボルト段階の範囲の増分で変化する。
一実施形態では、DLC層106の蒸着は、第2のRF自己バイアスで92g/モル〜120g/モルの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することを含む。一実施形態において、DLC層106の蒸着は、第2のRF自己バイアスで92g/モル〜120g/モルの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することを含み、第2のRF自己バイアスは−50ボルト〜−600ボルトまで段階的増分で変化する。一実施形態において、DLC層106の蒸着は、第2のRF自己バイアスで92g/モル〜120g/モルの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することを含み、第2のRF自己バイアスは−50ボルト〜−600ボルトまで段階的増分で変化し、この段階的増分は5ボルト段階〜50ボルト段階の範囲である。一実施形態において、DLC層106の蒸着は、第2のRF自己バイアスで92g/モル〜120g/モルの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することを含み、炭化水素は、独立して、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本発明による外科用インプラントの製造方法は、第3のRF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入する工程を更に含む。一実施形態では、第3のRF自己バイアスを第2の段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化させる。一実施形態では、第2の段階的増分は5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である。
別の実施形態では、本発明による外科用インプラントの製造方法は以下を含む。(a)金属基板102を真空システムに挿入すること、(b)既定のRF自己バイアスでAr衝撃によって金属基板102を洗浄すること、(c)タンタルマグネトロンスパッタ放電からのタンタルの蒸着中に既定のRF自己バイアス又は既定の範囲のRF自己バイアスの印加によって金属基板102上にタンタル中間層104を蒸着すること、(d)第1の期間にかけて既定のRF自己バイアス又は既定の範囲のRF自己バイアスのアセチレン雰囲気を導入することによってDLC層106を蒸着すること、(e)第1の期間の後に、第2の期間にかけてアセチレン雰囲気に有機チタン源を導入すること、(f)工程(d)及び(e)を最高100回、50回、又は10回まで繰り返すこと。
そのような実施形態の1つでは、外科用インプラントの製造方法は金属基板102を真空システムに挿入すること、及び−600ボルトのRF自己バイアスでAr衝撃によって金属基板102を洗浄することを含む。一実施形態では、外科用インプラントの製造方法は金属基板102を真空システムに挿入すること、及び約−200〜約−2000の範囲のRF自己バイアスでAr衝撃によって金属基板102を洗浄することを含む。
別のそのような実施形態では、タンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロン放電によってコーティングされる基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは−50ボルト〜−600ボルト、好ましくは−100ボルト〜−400ボルトの範囲である。一実施形態では、タンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロン放電によってコーティングされる基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは段階的に変化する。一実施形態では、タンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロン放電によってコーティングされる基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは既定の増分で変化する。一実施形態では、タンタル中間層104の蒸着は、タンタルマグネトロン放電によってコーティングされる基板にRF自己バイアスを印加することを含み、RF自己バイアスは50ボルトの増分で変化する。
別のそのような実施形態では、DLC層106の蒸着は、RF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することを含み、RF自己バイアスは−50ボルトから−600ボルトまで変化する。一実施形態では、DLC層106の蒸着は、RF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することを含み、RF自己バイアスは第1の期間にかけて段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する。一実施形態では、DLC層106の蒸着は、RF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することを含み、RF自己バイアスは第1の期間にかけて段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化し、段階的増分は5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である。一実施形態では、外科用インプラントの製造方法は、既定の回数、DLC層106の蒸着のための工程を繰り返すことを含む。一実施形態では、外科用インプラントの製造方法は、DLC層106の蒸着のための工程を最高10回まで繰り返すことを含む。一実施形態では、DLC層106の蒸着は、第1の期間の後に第2の期間にかけてアセチレン雰囲気中に有機チタン源を導入することを更に含む。
実施例1:椎間板プロテーゼのコーティング
本実施例は、本発明の実施形態による椎間板プロテーゼのコーティングを例示する。椎間板プロテーゼは、ボール・オン・ソケット形式のTiAl6Nb7合金製である。このコーティングプロセスは、ハイブリッドプラズマ活性化金属有機蒸着/物理蒸着(PA−MOCVD/PVD)を用いる。
本実施例で使用した材料としては、ボール・オン・ソケット形式のTiAl6Nb7合金製の椎間板プロテーゼ、5cm(2インチ)DCマグネトロン(Advanced Energy、Fort Collins,USA)スパッタリングシステム、EMAG Emmi−Sonic 60 HC超音波洗浄槽(Naenikon,Switzerland)、及び1:1エタノール/アセトン溶媒混合液を含む洗浄液が挙げられる。
本実施例で使用した椎間板プロテーゼのコーティング手順は以下の工程により行った。
工程(a):椎間板プロテーゼを1:1のエタノール/アセトン混合液を含む洗浄溶媒の超音波洗浄槽に入れた。椎間板プロテーゼを10分間45キロヘルツの周波数で溶媒中で超音波処理した。
工程(b):工程(a)で得た洗浄した椎間板プロテーゼを5cm(2インチ)のDCマグネトロンの真空チャンバに挿入した。5cm(2インチ)のDCマグネトロンは、Ta及びTiのDCマグネトロンカソード、RF基板バイアス、及び気体並びに気化媒体用マスフローコントローラアレイ(MKS Instruments,Norristown,USA)、及びポンプ(Pfeiffer Vacuum GmbH,Asslar,Germany)を備えている。真空チャンバをポンプで1×10−5Pa未満の圧力に下げて真空にした。
工程(c):Taマグネトロン標的は、0.5Paのアルゴン雰囲気及び200WのDCスパッタリング力でDCマグネトロンを5分間作動することによってスパッタ洗浄した。
工程(d):13.56MHzのRF電力、2.4Paのアルゴン雰囲気、及び−600Vの調節されたRF自己バイアスを用いてRF電源を60分間作動させることによって椎間板プロテーゼの表面をスパッタ洗浄した。
工程(e):このスパッタ洗浄した椎間板プロテーゼ上に、実行中の−300VのRF自己バイアス、200WのTaマグネトロン電力、400nmのTa蒸着速度による60分間のイグニションによって、タンタル(Ta)中間層を蒸着した。
工程(f):マグネトロン放電を停止した。
工程(g):1.0Paでトルエン雰囲気からDLC蒸着し、椎間板プロテーゼに、アセチレンへの段階的移行とともに、−300Vの作動RF電力を印加した(作動圧2.5Pa、RF自己バイアス−600V、層の合計厚さ3マイクロメートル)。
本実施例に記載の手順に従ってコーティングした椎間板プロテーゼは、卓越した機械特性(高い硬度)、光学特性(高い光学バンドギャップ)、電気特性(高い電気抵抗率)、化学特性(不活性)、及びトライボロジー特性(低摩擦及び磨耗係数)を有するDLCコーティングを有していた。一実施形態では、コーティングした椎間板プロテーゼのDLCコーティングは、それぞれ、Ta/DLCの界面で12GPaで始まり、表面で23GPaで終わる硬度勾配、及びそれぞれ、Ta/DLCの界面で120GPaで始まり、表面で230GPaで終わる弾性率勾配を有していた。
実施例2:股関節プロテーゼのコーティング
本実施例は、本発明の実施形態による股関節プロテーゼのコーティングを例示する。股関節プロテーゼは、ボール・オン・ソケット形式のTiAl6Nb7合金製である。このコーティングプロセスは、ハイブリッドプラズマ活性化化学蒸着/物理蒸着(PA−CVD/PVD)を用いる。
本実施例で使用した材料としては、ボール・オン・ソケット形式のTiAl6Nb7合金製の股関節プロテーゼ、5cm(2インチ)DCマグネトロン(Advanced Energy,Fort Collins,USA)スパッタリングシステム、EMAG Emmi−Sonic 60 HC超音波洗浄槽(Naenikon,Switzerland)、及び1:1エタノール/アセトン溶媒混合液を含む洗浄液が挙げられる。
本実施例で使用した股関節プロテーゼのコーティング手順は以下の工程により行った。
工程(a):TiAl6Nb7合金製の股関節プロテーゼを1:1のエタノール/アセトン混合液を含む洗浄液の超音波洗浄槽に入れた。股関節プロテーゼを10分間45キロヘルツの周波数で溶媒中で超音波処理した。
工程(b):工程(a)で得た洗浄した股関節プロテーゼを5cm(2インチ)のDCマグネトロンの真空チャンバに挿入した。5cm(2インチ)のDCマグネトロンは、Ta及びTiのDCマグネトロンカソード、RF基板バイアス、及び気体並びに気化媒体用マスフローコントローラアレイ(MKS Instruments,Norristown,USA)、及びポンプ(Pfeiffer Vacuum GmbH,Asslar,Germany)を備えている。真空チャンバをポンプで1×10−5Pa未満の圧力に下げて真空にした。
工程(c):股関節プロテーゼを0.5Paのアルゴン雰囲気及び200Wの電力で5分間スパッタ洗浄した。
工程(d):13.56MHzのRF電力、2.4Paのアルゴン雰囲気、及び−600Vの調節されたRF自己バイアスを用いるRF電源を90分間動作することによって、股関節プロテーゼの表面をスパッタ洗浄した。
工程(e):このスパッタ洗浄した股関節プロテーゼ上に、−300Vの実行中のRF自己バイアス、200WのTaマグネトロン電力、400nmのTa蒸着速度によるTaマグネトロンのイグニションによって、Ta中間層を45分間蒸着した。
工程(f):マグネトロン放電を停止した。
工程(g):2.5Paのアセチレン雰囲気から、−600VのRF自己バイアスで1分間、Ta中間層でコーティングした工程(e)で得た股関節プロテーゼにDLC蒸着を行った。
工程(h):80℃に熱したTTIPバブラーを通じて、1分間、毎分10標準立法センチメートル(scrm)のアルゴン流量で、アルゴンキャリアガス/チタンテトライソプロポキシド(TTIP)の流れをアセチレン放電中に導入した。
工程(i):工程(g)及び(h)を10回繰り返し、次いで、コーティングされた股関節プロテーゼを真空チャンバから取り出した。
本実施例に記載の手順に従ってコーティングした椎間板プロテーゼは、卓越した機械特性(高い硬度)、光学特性(高い光学バンドギャップ)、電気特性(高い電気抵抗率)、化学特性(不活性)、及びトライボロジー特性(低摩擦及び磨耗係数)を有するDLCコーティングを有していた。一実施形態では、本実験に従った手順は、1つのモノリシックなDLC層のみを有するプロテーゼより薄い副層を有するおかげで、より可とう性に優れた、DLC/Ti酸化物でドープされたDLCの多層コーティングを有する股関節プロテーゼを提供した。
本明細書の広義の発明概念から逸脱しないで上に示されかつ記載された例示的な実施形態に対して変更を行うことができることが当業者により認識されるであろう。従って、本発明は図示されかつ記載された例示的な実施形態に限定されないが、請求項により定義されるように本発明の精神及び範囲内の修正を網羅するように意図されることが理解される。例えば、例示的な実施形態の具体的な特徴は請求項に係る発明の一部であってもよいしそうでなくてもよく、また開示された実施形態の特徴は組み合わされてもよい。用語「側」、「右」、「左」、「下方」、及び「上方」は、参照する図面内での方向を指定する。用語「内方に」及び「外方に」は、それぞれ、外科デバイスを使用する外科医に向かう方向及びその外科医から離れる方向を指す。本明細書に特段の明記がない限り、用語「a」、「an」、及び「the」は1つの要素に限定されるものでなく、「少なくとも1つの」を意味するものとして読まれるべきである。
本発明の図面及び記載の少なくともいくつかは本発明の明確な理解のために適切である要素に焦点を合わせるように簡略化されてきたことは理解されるべきであるが、一方明確にするために、当業者が認める他の要素を取り除くことはまた本発明の一部分を構成してもよい。しかしながら、このような要素が当該技術分野において周知であるため、及びそれらが本発明のよりよい理解を必ずしも容易にするわけでないため、このような要素の記載は本明細書に提供されない。
更に、本明細書に明記されている工程の特定の順序に依拠しないことの範囲内において、工程の特定の順序は請求項に対する制限と解釈されるべきでない。本発明の方法を対象とした請求項は、書かれた順序における工程の実行に限定されるべきでない、また当業者は工程が変わり得るものであってかつ本発明の精神及び範囲内に依然留まり得ることを容易に認識できる。
〔実施の態様〕
(1) 外科用インプラントであって、
金属基板と、
前記金属基板に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層と、
前記タンタル中間層に隣接して配置された少なくとも1つのダイヤモンド様カーボン(「DLC」)層と、を含み、
前記タンタル中間層は金属基板側とDLC側との間に位相勾配を有し、
前記DLC層は硬度値及び弾性率値を有し、前記硬度値は前記タンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有し、前記弾性率値は前記タンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有する、外科用インプラント。
(2) 前記金属基板がチタン又はチタン系合金である、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(3) 前記金属基板がコバルト系合金である、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(4) 前記金属基板が鋼である、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(5) 前記タンタル中間層が、1nm〜2μmの範囲の厚みを有する、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(6) 前記アモルファスタンタルが、前記金属基板側から前記DLC側にかけて増加する位相勾配を有する、実施態様5に記載の外科用インプラント。
(7) 前記タンタル中間層が、α−タンタルの成長を促進する化合物又は元素を更に含む、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(8) 前記化合物が、独立して、チタン化合物、ニオブ化合物、タングステン化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記元素が、独立して、チタン、ニオブ、タングステン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様7に記載の外科用インプラント。
(9) 前記タンタル中間層が、タンタル化合物のナノ粒子を更に含む、実施態様5に記載の外科用インプラント。
(10) 前記タンタル中間層が、タンタルカーバイドとタンタルのナノ複合体である、実施態様9に記載の外科用インプラント。
(11) 前記硬度値の勾配が、12GPaから22GPaまで増加する、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(12) 前記弾性率値の勾配が、120GPaから220GPaまで増加する、実施態様11に記載の外科用インプラント。
(13) 前記少なくとも1つのDLCが、DLC副層と金属ドープDLC副層とを含む複数の交互の副層を備える、実施態様1に記載の外科用インプラント。
(14) 前記金属ドープDLC副層がチタンでドープされる、実施態様13に記載の外科用インプラント。
(15) 実施態様1に記載の外科用インプラントの製造方法であって、
真空システムに金属基板を挿入することと、
約−200ボルトから約−2000ボルトまでの範囲のRF自己バイアスでAr衝撃を行うことによって前記金属基板を洗浄することと、
タンタル源からのタンタル蒸着中に前記基板にRF自己バイアスを印加することによってタンタル中間層を蒸着することにおいて、前記RF自己バイアスが−50ボルトから−600ボルトの範囲である、ことと、
第2のRF自己バイアスで92g/モル〜120g/モルの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することによってDLC層を蒸着することにおいて、前記第2のRF自己バイアスは−50ボルトから−600ボルトまで段階的増分で変化する、ことと、を含む、外科用インプラントの製造方法。
(16) 前記段階的増分が5ボルト段階(5 volt step)から50ボルト段階(50 volt step)までの範囲である、実施態様15に記載の外科用インプラントの製造方法。
(17) 前記炭化水素が、独立して、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様16に記載の外科用インプラントの製造方法。
(18) 第3のRF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することを更に含み、前記第3のRF自己バイアスは第2の段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する、実施態様15に記載の外科用インプラントの製造方法。
(19) 前記第2の段階的増分が5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である、実施態様18に記載の外科用インプラントの製造方法。
(20) 外科用インプラントの製造方法であって、
(a)真空システムに金属基板を挿入する工程と、
(b)約−200ボルトから約−2000ボルトまでの範囲のRF自己バイアス、好ましくは−600ボルトのRF自己バイアスでAr衝撃によって前記金属基板を洗浄する工程と、
(c)タンタル蒸着中に基板にRF自己バイアスを印加することによってタンタル中間層を蒸着する工程において、前記RF自己バイアスが−50ボルトから−600ボルトの範囲である、工程と、
(d)RF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することによってDLC層を蒸着する工程において、前記RF自己バイアスは第1の期間にかけて段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する、工程と、
(e)前記第1の期間の後に、第2の期間にかけて前記アセチレン雰囲気中に有機チタン源を導入する工程と、
(f)工程(d)及び(e)を最高10回まで繰り返す工程と、を含む、外科用インプラントの製造方法。
(21) 前記段階的増分が5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である、実施態様20に記載の外科用インプラントの製造方法。

Claims (21)

  1. 外科用インプラントであって、
    金属基板と、
    前記金属基板に隣接して配置された、α−タンタルとアモルファスタンタルとを含むタンタル中間層と、
    前記タンタル中間層に隣接して配置された少なくとも1つのダイヤモンド様カーボン(「DLC」)層と、を含み、
    前記タンタル中間層は金属基板側とDLC側との間に位相勾配を有し、
    前記DLC層は硬度値及び弾性率値を有し、前記硬度値は前記タンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有し、前記弾性率値は前記タンタル側から離れるにつれて増加する勾配を有する、外科用インプラント。
  2. 前記金属基板がチタン又はチタン系合金である、請求項1に記載の外科用インプラント。
  3. 前記金属基板がコバルト系合金である、請求項1に記載の外科用インプラント。
  4. 前記金属基板が鋼である、請求項1に記載の外科用インプラント。
  5. 前記タンタル中間層が、1nm〜2μmの範囲の厚みを有する、請求項1に記載の外科用インプラント。
  6. 前記アモルファスタンタルが、前記金属基板側から前記DLC側にかけて増加する位相勾配を有する、請求項5に記載の外科用インプラント。
  7. 前記タンタル中間層が、α−タンタルの成長を促進する化合物又は元素を更に含む、請求項1に記載の外科用インプラント。
  8. 前記化合物が、独立して、チタン化合物、ニオブ化合物、タングステン化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記元素が、独立して、チタン、ニオブ、タングステン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の外科用インプラント。
  9. 前記タンタル中間層が、タンタル化合物のナノ粒子を更に含む、請求項5に記載の外科用インプラント。
  10. 前記タンタル中間層が、タンタルカーバイドとタンタルのナノ複合体である、請求項9に記載の外科用インプラント。
  11. 前記硬度値の勾配が、12GPaから22GPaまで増加する、請求項1に記載の外科用インプラント。
  12. 前記弾性率値の勾配が、120GPaから220GPaまで増加する、請求項11に記載の外科用インプラント。
  13. 前記少なくとも1つのDLCが、DLC副層と金属ドープDLC副層とを含む複数の交互の副層を備える、請求項1に記載の外科用インプラント。
  14. 前記金属ドープDLC副層がチタンでドープされる、請求項13に記載の外科用インプラント。
  15. 請求項1に記載の外科用インプラントの製造方法であって、
    真空システムに金属基板を挿入することと、
    約−200ボルトから約−2000ボルトまでの範囲のRF自己バイアスでAr衝撃を行うことによって前記金属基板を洗浄することと、
    タンタル源からのタンタル蒸着中に前記基板にRF自己バイアスを印加することによってタンタル中間層を蒸着することにおいて、前記RF自己バイアスが−50ボルトから−600ボルトの範囲である、ことと、
    第2のRF自己バイアスで92g/モル〜120g/モルの範囲の分子量を有する炭化水素を導入することによってDLC層を蒸着することにおいて、前記第2のRF自己バイアスは−50ボルトから−600ボルトまで段階的増分で変化する、ことと、を含む、外科用インプラントの製造方法。
  16. 前記段階的増分が5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である、請求項15に記載の外科用インプラントの製造方法。
  17. 前記炭化水素が、独立して、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の外科用インプラントの製造方法。
  18. 第3のRF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することを更に含み、前記第3のRF自己バイアスは第2の段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する、請求項15に記載の外科用インプラントの製造方法。
  19. 前記第2の段階的増分が5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である、請求項18に記載の外科用インプラントの製造方法。
  20. 外科用インプラントの製造方法であって、
    (a)真空システムに金属基板を挿入する工程と、
    (b)約−200ボルトから約−2000ボルトまでの範囲のRF自己バイアス、好ましくは−600ボルトのRF自己バイアスでAr衝撃によって前記金属基板を洗浄する工程と、
    (c)タンタル蒸着中に基板にRF自己バイアスを印加することによってタンタル中間層を蒸着する工程において、前記RF自己バイアスが−50ボルトから−600ボルトの範囲である、工程と、
    (d)RF自己バイアスでアセチレン雰囲気を導入することによってDLC層を蒸着する工程において、前記RF自己バイアスは第1の期間にかけて段階的増分で−50ボルトから−600ボルトまで変化する、工程と、
    (e)前記第1の期間の後に、第2の期間にかけて前記アセチレン雰囲気中に有機チタン源を導入する工程と、
    (f)工程(d)及び(e)を最高10回まで繰り返す工程と、を含む、外科用インプラントの製造方法。
  21. 前記段階的増分が5ボルト段階から50ボルト段階までの範囲である、請求項20に記載の外科用インプラントの製造方法。
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