JP2016517482A5 - - Google Patents

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水分散性ワイプ材
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願61/792,801号明細書の利益を請求するものであり、これらはその全体がここに組み込まれている。
本発明は概してワイプ材に関する。具体的には、本発明は水分散性不織ワイプ材に関する。
使い捨てのワイプ用品およびティッシュは、便利で比較的安価であり衛生的で容易に使用することができる。パーソナルケアワイプ用品は、携帯可能で旅行に適しており多用途なので便利である。使い捨てワイプ用品の例には、例えば乳児用ワイプ用品や化粧品用ワイプ用品等のウェットタイプのワイプ用品が含まれる。パーソナルケアワイプ用品に加えて、使い捨ての家庭用ワイプ用品には台所洗浄ワイプ用品や除塵ワイプ用品が含まれる。
便利ではあるが、使い捨てワイプ用品の廃棄は、ワイプ材が生分解性でないか“水で流せる”ものでない場合は、問題になりうる。“水で流せる”とは、トイレに流せるという性能を示す。生分解性でないか水で流せるものでないワイプ材は、埋め立て地に蓄積することができる。しかし、“水で流せる”ワイプ材は、略水分散性の素材で作られていないこともありうる。特に、ワイプ材のトイレに流せる性能は単に小型化によるものとすることができる。したがって、水中で分解または略分散しないワイプ用品は、下水処理プラントにおいて網を塞ぎポンプを詰まらせることがありうるため、不便である。
よって、平均で4ミリメートルより長い個別化された天然繊維から作られた不織材を用いた生分解性で水分散性のワイプ用品が求められている。本発明はこの問題の解決を意図する。
本発明は、水分散性不織材に注力するものである。一形態において、水分散性不織材は主に、略直線状でペクチンを略含まず平均で4ミリメートル(mm)より長い個別化靭皮繊維を含む。
別の形態において、水分散性不織材は主に、綿ではなく植物由来でペクチンを略含まず平均で4mmより長い個別化靭皮繊維を含む。
さらに別の形態において、水分散性不織材は個別化靭皮繊維を含むものであり、該個別化靭皮繊維が由来する天然由来束靭皮繊維の20%未満のペクチン成分を有する。個別化靭皮繊維は乾燥状態で非結合ウェブへと形成される、靭皮繊維は平均で4mmより長い。
主に略直線状で植物由来でありペクチンを略含まず平均で4mmより長い個別化繊維によって形成される水分散性不織材について述べる。別の局面において、水分散性不織材は主に、綿ではなく植物由来でペクチンを略含まず平均で4mmより長い繊維からなる。さらに別の局面において、水分散性不織材は主に、略直線状で植物由来であり平均で6mmより長い個別化繊維からなる。
水分散性不織材は様々な製品でありうるものであり、それはティッシュやワイプ用品を含むがこれに限定されない。該ティッシュはあらかじめ湿潤されたティッシュでありうる。さらに、該ワイプ用品は湿潤成分からなるパーソナルケア湿潤ワイプ用品等の湿潤ワイプ用品でありうる。本発明の水分散性不織材は、あらかじめ湿潤されたティッシュまたは湿潤ワイプ用品として用いるのに充分な湿潤抗張力を有する。その湿潤抗張力にも関わらず、不織材は、標準的な汚水浄化槽または衛生システム等の水中に比較的短い時間没入され穏やかに撹拌され、より小さい断片および個々の繊維へと略分散する。水中での穏やかな撹拌によって分散する不織材の性能は、繊維成分の機能である。さらに、分散性不織材は容易に生分解できる天然繊維からなる。汚水浄化槽または衛生システム内での生分解および分解の性能によって、ティッシュまたはワイプ用品が下水処理プラントにおいて下水管および網を詰まらせることが防止される。よって、本発明の水分散性不織材は、各種の適用に用いることができる。そして水分散性不織ティッシュまたはワイプ用品は、1回の使用の後でトイレに流すことができる。
ここで用いる“植物由来繊維”という語は、再生セルロースから形成される人工繊維に対し、植物によって製造され植物から抽出される繊維を意味する。ここで用いる“不織”という語は、個々の繊維または糸が任意に配置されるがニットや織布のような同定可能な方式ではない構造を有するウェブ、布または生地を意味する。適当な不織材の例には、結合されカーディングされたウェブ、エアレイドウェブ、共同形成ウェブ、水流交絡されたウェブ等が含まれるがこれに限定されない。
ここで用いる“ワイプ用品”という語は、洗浄、消毒、合成物の塗布または合成物の除去に適した不織品の形式を意味する。
ここで用いる“水で流せる”という語は、都市の廃水システムにつながるトイレ、排水管、網に流して一掃することができる材料の性能を意味する。
ここで用いる“分散性”という語は、容易に水中で分解するという材料の性能を意味する。特に、“分散性”という語は、共通のトイレで流す際、共通の廃水システムで搬送する際、および共通の処理システムで処理する際に加わる物理的な力によって容易に水中で分解するという材料の性能を意味する。
ここで用いる“坪量”という語は、所定の領域における重さの量である。測定の単位には平方メートル毎グラム(gsm)が含まれる。
ここで用いる“抗張力”という語は、不織材の強さを意味する。抗張力は、直交方向(CD)または機械方向(MD)において測定することができる。抗張力の単位にはグラム/インチ(g/in)が含まれる。
本発明において利用可能な繊維の種類は個別化靭皮繊維である。靭皮繊維は、亜麻、麻、ツナソ、苧麻、イラクサ、レダマおよびケナフ植物から得られるが、これに限定するものではない。これらの靭皮繊維は任意に組み合わせて用いることができる。
個別化靭皮繊維は、典型的には直線状でありペクチンを略含まない。例えば、個別化靭皮繊維は重量で10%未満の天然由来繊維のペクチン成分を有し、該天然由来繊維からペクチンを略含まない繊維が得られる。別の局面において、個別化靭皮繊維は重量で15%未満の天然由来繊維のペクチン成分を有し、該天然由来繊維からペクチンを略含まない繊維が得られる。さらに別の局面において、個別化靭皮繊維は重量で20%未満の天然由来繊維のペクチン成分を有し、該天然由来繊維からペクチンを略含まない繊維が得られる。
一形態において、不織材は繊維総重量に基づき約50重量パーセント(wt.%)から100wt.%の靭皮繊維からなる。別の形態において、不織材は繊維総重量に基づき約60wt.%から95wt.%の靭皮繊維からなる。さらに別の形態において、不織材は繊維総重量に基づき約75wt.%から90wt.%の靭皮繊維からなる。また別の局面において、不織材は繊維総重量に基づき約80wt.%から100wt.%の靭皮繊維からなる。
一形態において、不織材は繊維総重量に基づき約85wt.%の靭皮繊維および約15wt.%の再生セルロース繊維からなる。別の局面において、不織材は繊維総重量に基づき約75wt.%から90wt.%の靭皮繊維および約25wt.%から10wt.%の再生セルロース繊維からなる。さらに別の局面において、不織材は繊維総重量に基づき約70wt.%の靭皮繊維および約30wt.%の再生セルロース繊維からなる。
再生セルロースの例には、レーヨン、リヨセル(例えばテンセル(登録商標))、ビスコース(登録商標)、およびこれらの組み合わせが含まれるがこれに限定するものではない。テンセル(登録商標)およびビスコース(登録商標)は、オーストリア国レンチングのレンチング・アクツィエンゲゼルシャフトから市販されている。
典型的には、個別化靭皮繊維は特定の靭皮繊維の性質および化学処理前の植物の茎の切断長さに依存して、約4〜40mmの範囲内の平均長さを有する。局面の1つにおいて、個別化靭皮繊維は平均で少なくとも4mm、少なくとも6mm、少なくとも8mm、または少なくとも10mmの長さを有する。別の局面において、個別化靭皮繊維は平均で12mmより大きい長さを有する。
不織材は主に、重量で該個別化靭皮繊維が由来する天然由来束靭皮繊維の10%未満のペクチン成分を含む靭皮繊維からなる繊維で形成することができる。別の局面において、不織材は、重量で天然由来束靭皮繊維の20%未満のペクチン成分を含む靭皮繊維からなる繊維で形成することができる。加えて、このような個別化靭皮繊維は12mmより大きい平均長さを有する。
不織材はまた、1つ以上の原料からの短繊維からなるものとすることができる。短繊維にはセルロース繊維および熱可塑性繊維が含まれるがこれに限定するものではない。セルロース短繊維の例はレーヨンからなる。熱可塑性繊維には不織工業で用いられる従来の高分子繊維が含まれる。このような繊維は、以下のものを含む高分子から形成されるがそれに限定されるものではない。つまり、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン;ポリアミド;ポリプロピレンまたはポリエチレン等のポリオレフィン;ポリエステル、ナイロン、ポリアミドあるいはポリオレフィンのうち2つ以上の混合物;ポリエステル、ナイロン、ポリアミドあるいはポリオレフィンのうちの任意の2つの二成分化合物等である。二成分化合物等の例には、1つの高分子のコア、およびコア高分子とは異なる高分子からなり完全に、実質的に、あるいは部分的にコアを囲うシースを有する繊維が含まれるがこれに限定するものではない。
水分散性不織材は、ウッドパルプ由来、合成セルロースに基づく繊維またはこれらの混合物等の、天然またはセルロースに基づく繊維を含みうる。セルロース繊維の例には、軟材、硬材または綿花リンターに由来するクラフト繊維、クラフト消化繊維、加水分解クラフト繊維、加水分解クラフト消化繊維、ソーダ繊維、亜硫酸塩繊維、および熱機械処理繊維等の消化繊維を含みうる。本発明に用いるのに適したセルロース繊維の限定しない例には、松、モミおよびエゾマツ等の軟材に由来するセルロース繊維が含まれる。
不織材はウッドパルプを含みうる。ウッドパルプの例には、南部軟材フラッフパルプ、北部軟材フラッフパルプまたは硬材パルプ(例えばユーカリ)等の購入可能な明るいフラッフパルプが含まれるがこれに限定するものではない。
個別の靭皮繊維は乾燥または湿潤状態で不織ウェブへと形成される。一形態において、ウェブは機械的カーディングを用いる方法で形成される。別の局面において、ウェブは機械的カーディングおよび強制空気流の組み合わせを用いる方法で形成される。乾燥ウェブは水流交絡によって結合させることができる。加えて、水流交絡されたウェブは、水性接着剤によって処理し熱に暴露することによって、結合および乾燥させることができる。乾燥ウェブは機械的ニードルパンチ、および/または加熱空気流をウェブに通過させることによっても結合させることができる。あるいは、乾燥ウェブは、水性接着剤を結合していないウェブに添加し該ウェブを熱に暴露することによって結合させることができる。
スパンレースとしても知られる水流交絡による不織ウェブおよび生地の形成は当該技術において既知である。水流交絡工程の限定しない例は、それぞれここに全体が参照として組み込まれるカナダ特許第841,938号明細書、米国特許第3,485,706号明細書、米国特許第5,958,186号明細書、米国特許第3,485,706号明細書および第5,958,186号明細書において述べられている。水流交絡は、湿式または乾式の繊維ウェブの形成、およびその後の高圧での非常に微細な水流の使用による繊維の交絡を含む。例えば、水流の複数の列を、ワイヤー(メッシュ)等の動く支持上に配置された繊維ウェブに向ける。繊維の水流交絡によって、別個のハイドロエンボスのパターンが提供され、これによって少繊維数帯の生成、水分散の促進および三次元構造の提供が可能となる。そして交絡されたウェブを乾燥させる。
ここで述べる略個別化された靭皮繊維に加えて、合成または再生短繊維を靭皮繊維と混合し不織材を形成することができる。このような繊維の例には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、レーヨン等の重合体繊維およびパルプ繊維が含まれるがこれに限定するものではない。本発明に係る不織材は、略個別化された靭皮繊維および短繊維;靭皮繊維およびパルプ繊維;靭皮繊維、短繊維およびパルプ繊維によって形成することができる
略個別化された靭皮繊維からなる繊維ウェブは、分散剤の存在下において湿式または発泡形成することができる。分散剤は、いわゆる“繊維仕上”の形態の略個別化された靭皮繊維に直接加えるか、あるいは湿式または発泡形成の工程における水系に加えることができる。適当な分散剤の添加によって、略個別化された靭皮繊維の良好な形成、つまり略均質な繊維分散が支援される。分散剤は、略個別化された靭皮繊維またはこのような靭皮繊維と短繊維および/またはパルプとの混合物に適当な分散効果を提供する多くの異なる形式でありうる。分散剤の限定的でない例は、75%ビス(水素化牛脂アルキル)塩化ジメチルアンモニウムおよび25%プロピレングリコールである。添加は0.01〜0.1wt.%の範囲内とすべきである。
発泡形成の間、繊維は発泡形成界面活性剤および水を含む発泡した液体中に分散され、繊維分散は湿式と同様にワイヤー(メッシュ)等の支持上で脱水される。繊維ウェブの形成後、繊維ウェブを毎秒1平方インチあたり約23000フートポンドまたはそれより大きいエネルギー束で水流交絡する。水流交絡は従来の技術を用い機械製造者によって供給される装備によって実行される。水流交絡の後で、材料を押圧および乾燥し、任意にロールに巻回する。そして用意ができた材料を適当な型への既知の方式で搬送し、それから梱包する。
前記のように、局面の1つにおいては、本発明に係る不織材は主に、個別化靭皮繊維である繊維内容からなる。天然由来束靭皮繊維を化学的に処理することで束を互いに結合させているペクチンを除去し、天然由来繊維を個別化靭皮繊維へと分離させる。ペクチンは
、個々の靭皮繊維を束に保持する天然の接着剤として作用する。ペクチンを除去し個々の靭皮繊維を分離することで、個別化靭皮繊維をウェブに形成し、乾燥状態およびその後の適当な手段による結合によって、不織布生地を形成する。
例えば亜麻等に由来する天然由来靭皮繊維は、靭皮繊維束または個々の小さい亜麻靭皮繊維の積み重ねからなる。亜麻靭皮繊維束からのペクチンの除去の後で、繊維が個別化され、なめらかとなり延伸される。加えて、個々の靭皮繊維はねじれやひだを有しない。このような繊維を水分散性不織材の製造に用いることは斬新である。
水分散性不織材は湿式または乾式敷設の方法で形成することができる。繊維材料の湿式敷設によって乾燥したラップや紙のようなシートを形成する技法は、当該技術において既知である。適当な湿式敷設の技法には、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第3,301,746号明細書において述べられるような手織りおよび製紙機械による湿式敷設が含まれるがこれに限定するものではない。
短繊維の不織材は、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第797,749号明細書において述べられるようなカーディングとして知られる機械的工程によって製造することができる。カーディング工程は、短繊維が形成ワイヤー上に集められた際の気流成分による短繊維の配向の無作為化を含みうる。典型的には、機械的カーディング工程のための合成短繊維の長さは38〜60mmである。カーディングの設定によってはより長くすることも可能である。Trutzschler−Fliessner EWK−413カーディング等の最先端の機械的カーディングでは、前記の38mmより有意に短い短繊維を用いることができる。より古いカーディング設計では、良好な形成および安定した操作のためにより長い繊維長さが要求されうる。
他の一般的な乾燥ウェブ形成工程はエアレイドまたはエアフォーミングである。この工程では、空気流、重力および向心力のみを、繊維ウェブを繊維結合工程へと運ぶ移動する形成ワイヤー上に繊維の流れを配置するのに用いる。エアレイド工程は、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第4,014,635号明細書および第4,640,810号明細書で述べられている。エアレイド工程は、例えば典型的には6mm未満の短い繊維の、低繊維での繊維凝集および静止のための低ポテンシャルでの均一なウェブの形成において効果的である。これらの空気駆動工程で用いられる主要な繊維はウッドパルプであり、その3mmまたはより短い長さのために高スループットで加工することができる。パルプ系空気形成不織ウェブはしばしば、4〜6mmの長さの熱可塑性繊維を10〜20%含み、該繊維は空気形成繊維がオーブンを通過する際に溶融しエアレイドウェブに結合する。パルプ系層とともに熱可塑性繊維100%の層を空気形成することが可能であるが、繊維長さの増加につれて繊維スループット率は有意に低下する。典型的には、12mmより上の繊維長さは商業上非実用的である。
機械的カーディング工程のような機械的手段を用い、短繊維を一つの長い繊維にすることが可能であり、乾燥個別化靭皮繊維をランダムな配置の繊維ウェブへと形成し、それからウェブ結合工程へと送り靭皮繊維系不織材を生成できる。特に亜麻または麻由来の個別の靭皮繊維は、カーディングされる短繊維の特徴である物理的な寸法と関係がないという点で、特異である。
まず天然由来束靭皮繊維を科学的に処理しペクチンを略取り除き、ペクチンを略含まない個別化繊維を形成する。乾燥個別化繊維を繊維梱に組み込むことができる。繊維梱を梱解体装置で分離し、繊維蓄積装置へと移動させる。蓄積された繊維は供給路を経て空気輸送され、それから繊維供給マットとして形成ワイヤー上に配置される。空気輸送工程によって、繊維は形成ワイヤー上に集積される際にその向きを無作為化される。繊維供給マットは繊維供給ロールを経て繊維カーディング装置へと供給され、そこでさらに繊維を個別化されカーディングされた繊維へと分離する。繊維玉揚ロールによって、カーディングされた繊維を形成ワイヤー上に送り、繊維ウェブが形成される。それから繊維ウェブを、後述の熱結合装置等のウェブ結合装置へ送り、不織材を形成することができる。前述のように水流交絡によって乾燥ウェブを任意に結合させることができる。加えて、水流交絡されたウェブを水性接着剤で処理し熱に暴露することで、ウェブを結合および乾燥させることができる。乾燥ウェブは機械的ニードルパンチ、および/または加熱空気流をウェブに通過させることによっても結合させることができる。あるいは、乾燥ウェブは、水性接着剤を結合していないウェブに添加し該ウェブを熱に暴露することによって結合させることができる。
典型的なカーディング可能な短繊維は、長さ38〜60mmで、繊維長さ1インチあたり5〜10の捲縮を有する。個々の繊維の捲縮によって繊維凝集が得られる。長さと捲縮との組み合わせによって、ウェブを破損させることなく、結合していない繊維ウェブをカーディング装置内の連続ローラへ送り、カーディングからフォーミングワイヤへ、そして結合装置へ送るのに充分なウェブの強度が得られる。これに対し、個別化靭皮繊維は20〜25mmかそれ以下の長さでありうるとともに、より著しくは天然または機械的な捲縮を有しない直線状の繊維であり、繊維の凝集を促進する。例えば、綿繊維は天然のねじれを有し、これによって高繊維の繊維凝集が起こる。個別化靭皮繊維には天然のねじれは無い。人造繊維に加えられる人工の捲縮は、綿繊維の天然のねじれによる繊維間凝集の模造である。従来技術に係る個別の靭皮繊維の繊維長さおよび低繊維凝集では、カーディングのような乾燥ウェブ形成工程には乏しい候補しかない。加えて、20〜25mmの天然繊維長さは、それぞれ米国特許第4,014,635号明細書、第4,640,810号明細書および第5,958,186号明細書で述べられる空気によって駆動される繊維形成工程によって100%の濃度で処理するには長すぎる。しかし、本発明によれば、カーディングを用いる乾燥ウェブ形成工程は、主に個別化靭皮繊維からなる不織材の製造に用いることができる。
熱結合は、カレンダー結合、ポイント結合またはパターン結合とも称され、繊維ウェブを結合させ不織材を形成するのに任意に用いることができる。また、熱結合によって生地にパターンを組み込むことができる。熱結合は、ここに全体が参照として組み込まれる国際公開第2005/025865号において述べられている。熱結合は、繊維ウェブへの熱可塑性繊維の組み込みを必要とする。熱可塑性繊維の例は上で述べている。熱結合において、加熱されたカレンダーロールを通過させることで繊維ウェブを圧力下で結合させるものであり、該カレンダーロールには繊維ウェブの表面へと転写されるパターンが浮き彫りにされている。熱結合の間、カレンダーロールは、少なくとも熱可塑性素材のガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)との間の温度へと加熱される。
ここに全体が参照として組み込まれる国際公開第2007/140578号において、織物工業への適用のための個別化された麻および亜麻の繊維を製造するペクチン除去技術が述べられている。個別化靭皮繊維は直線状であるが、綿に近い細さを有するとともに少なくとも20mmの長さを有する。前述のように、織物製品の前駆体として、個別化靭皮繊維を糸および桁に紡ぎこむことができる。国際公開第2007/140578号に記載のペクチン除去工程を本発明とともに用いることができる。
本発明で用いられる天然由来束靭皮繊維および個別化靭皮繊維は、視覚的および触覚的検査に加えて、個別化靭皮繊維に対する束靭皮繊維に存在するペクチンの相対量の定量によって識別することができる。化学試験の開発によって、国際公開第2007/140578号で述べられる方法に基づく相対的定量が作り出されている。試験の手順は以下の通りである。
約30mgの繊維を、塩酸でpH4.5に調節された800μLの100mMクエン酸ナトリウム緩衝剤中の、20μLのアスペルギルス・ニガーからのノボザイムペクチナーゼ(50倍希釈)に暴露する。溶液を40℃で1時間加熱する。加熱後、50μLの液体溶液を取り除き、1mLの10mM水酸化ナトリウムに加える。溶液に、4−ヒドロキシ−ベンゾヒドラジドの0.5%溶液(0.5M塩酸中の5%溶液として調製され0.5M水酸化ナトリウムでの希釈によって0.5%溶液とする)の3.0mLのアリコートを加え、沸騰水中で5分間加熱する。冷却後、混合物の吸光度を410nmにおいて測定する。
ガラクツロン酸の標準を水中で調製し、50μLのこれらの溶液を10mM水酸化ナトリウムの1mLのアリコートに加える。還元糖の比色分析は前記と同じ方式に従う。
表1に、繊維から水溶液に抽出された還元糖の割合の結果を示す。この抽出形態において還元糖はペクチンである。したがって、水溶液中の還元糖の相対的分画は、抽出試験の前に靭皮繊維に付いたペクチンの相対的分画と相関する。表1に示すように、酵素処理後の個別化靭皮繊維が有する還元糖は0.1%未満である。
Figure 2016517482
ここで開示されるティッシュまたはウェットタイプのワイプ用品の形態の不織材を調整することで、充分な用時湿潤抗張力および分散性が得られる。不織材は、破れたり裂けたりすることなく使用可能とするとともに家庭の衛生システムにおいて問題無く廃棄可能とすることができる。
最終的なティッシュまたはウェットタイプのワイプ用品の製品における不織材料の単一または複数の層を含みうる不織材の総坪量は、約10gsm〜約500gsmの範囲内である。別の局面において、不織材の総坪量は約100gsm〜約300gsmの範囲内である。さらに別の局面において、不織材の総坪量は約75gsm〜約200gsmの範囲内である。
用時湿潤抗張力および残余浸透抗張力測定は、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第8,133,825号明細書で述べられるように、5.1センチメートル(cm)の空気掌握ゲージ分離および30.1センチメートル/分(cm/min)のクロスヘッド速度を用いて測定することができる。ここで用いる用時湿潤抗張力は、湿潤組成物によってあらかじめ湿らされた不織材の抗張力を示す。ここで用いる残余浸透抗張力測定は、指定の期間水に浸された後の不織材の抗張力を示す。
不織材は、約100グラム/インチ(g/in)から約1000g/inの範囲内の用時湿潤抗張力を有する。局面の1つにおいて、不織材は約200g/inから約800g/inの範囲内の用時湿潤抗張力を有する。別の局面において、不織材は約300g/inから約600g/inの範囲内の用時湿潤抗張力を有する。さらに別の局面において、不織材は約350g/inから約550g/inの範囲内の用時湿潤抗張力を有する。
不織材の水分散性は、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許出願公開第2012/0144611号明細書に記載の方法によって測定することができる。簡潔には、INDAガイドラインFG511.2分散性チッピングチューブテストを用いて、世帯及び都市の搬送システム(例えば下水道パイプ、ポンプおよびリフトステーション)を経ての輸送の間の、水に流せる製品の分散性または物理的分解の評価を行うことができる。この試験によって、上下に傾けられるキャップされたチューブで撹拌された水によって試料の分解の率および範囲を評価する。
1Lの目盛シリンダーを用いて、700mLの室温の生水を、高さ500mm(19.7in)・内径73mm(2.9in)の透明プラスチックアクリルチューブへと移す。個々の試料をチューブに入れ、30秒間水と接触させる。プラスチックチューブの頂部を、ゴム封を付けられた水密スクリューキャップで密閉する。最初に垂直位置にしたチューブを反時計回りに180度回転させ(約1秒)、停止し(約1秒)、それから時計回りに180度回転させ(約1秒)、停止する(約1秒)。これが1つのサイクルを表す。試験は240サイクル後に終了された。
それからチューブの内容を、上から下に降順に配置された12mmおよび1.5mm(開口径)の2つの網に素早く注ぐ。手持ちシャワーヘッドスプレーノズルをふるいの約10〜15cm上に保持し、流速4L/min(1gal/min)で2分間入れ子状の網を試料でゆるやかにすすぐ。流速は、4Lのビーカーを満たすのにかかる時間の測定によって評価される。2分のすすぎの後で、上の網を取り外す。
すすぎが完了した後で、残った試料を個々の網から除去し試料を保持している12mmのふるいを、ラベルされ秤定された個別のアルミニウム錘パン上に配置する。試料が乾燥するまでパンを少なくとも12時間摂氏105±3度の乾燥オーブンに入れて乾燥させる。それから乾燥された試料をデシケーターで冷却する。試料の乾燥後、その質量を定量する。保持された分画、および分解の割合は、試験材料の初期の開始質量に基づいて算出される。網上の高保持割合は、より低い水分散性と関連する。
本発明の水分散性不織材は様々な製品に組み込むことができる。製品の限定しない例には、例えば化粧用やトイレ用などのティッシュ、ウェットタイプのワイプ用品、ドライタイプのワイプ用品、含浸ワイプ用品等のワイプ用品が含まれ、含浸ワイプ用品にはパーソナルケアワイプ用品、家庭用掃除ワイプ用品、除塵ワイプ用品が含まれる。パーソナルケアワイプ用品は、例えば皮膚軟化剤、湿潤剤、香料等で含浸させることができる。家庭用掃除ワイプ用品または手肌洗浄用ワイプ用品は、例えば界面活性剤(例えば4級アミン)、過酸化物、塩素、溶剤、キレート試薬、抗生物質、香料等で含浸させることができる。除塵ワイプ用品は、例えばオイルで含浸させることができる。
各種のワイプ用品には、乳児用ワイプ用品、化粧品ワイプ用品、会陰部ワイプ用品、使い捨て手ぬぐい、台所ワイプ用品や風呂ワイプ用品や硬表面ワイプ用品等の家庭用掃除ワイプ用品、消毒除菌ワイプ用品、眼鏡拭きや鏡ワイプ用品や皮革ワイプ用品やエレクトロニクスワイプ用品やレンズワイプ用品やつや出しワイプ用品等の専用洗浄用ワイプ用品、医療用洗浄ワイプ用品、消毒ワイプ用品等が含まれる。
前述のように、不織材をティッシュまたはウェットタイプのワイプ用品とすることができる。ティッシュまたはウェットタイプのワイプ用品は、少なくとも1つの添加物を含む湿潤組成物によってあらかじめ湿らせておくことができる。湿潤組成物は、少なくとも1つの添加物からなる水溶液を含む任意の溶液とすることができるが、これに限定されるものではない。適当な添加物の限定しない例は以下に供される。湿潤組成物は任意の方法によって、不織材に配置するかあるいは染み込ませることができる。このような方法の例には、不織材を湿潤組成物に浸すことや、湿潤組成物の不織材への噴霧が含まれるが、これに限定されるものではない。
乾燥不織材の重量に関して、不織材は約10%から約400%の湿潤組成物からなる。局面の1つにおいて、不織材は乾燥不織材の重量に関して約100%から約300%の湿潤組成物からなる。別の局面において、不織材は乾燥不織材の重量に関して約180%から約240%の湿潤組成物からなる。
上に示したように、ここで述べる不織材には様々な添加物を用いることができる。適当な添加物には、スキンケア添加物;消臭剤;不織材に接合剤が存在する場合に接合剤の粘着性を低下させる脱粘着剤;微粒子;抗菌剤;防腐剤;洗剤、界面活性剤、シリコン等の湿潤剤および洗浄剤;皮膚軟化剤;皮膚の触感(例えば潤滑性)の向上のための表面感触向上剤;芳香剤;芳香剤溶解剤;乳白剤;蛍光増白剤;UV吸収剤;調合薬;およびリンゴ酸または水酸化カリウムのようなpH調整剤が含まれるが、これに限定されるものではない。
スキンケア添加物は、おむつかぶれおよび/または他の糞便酵素による皮膚のダメージの可能性を低下させる等の1つ以上の利点を利用者に提供する。これらの酵素、典型的にはトリプシン、キモトリプシンおよびエラスターゼは、胃腸管で生成され食物を消化するタンパク質分解酵素である。幼児では、糞便は水であり他の物質とともにバクテリアおよび若干量の未分解の消化酵素を含む傾向がある。これらの酵素は、かなりの時間にわたって皮膚に接触し続けた場合、本質的に不快であるとともに皮膚に微生物による感染を起こす刺激を生じうる。対策として、スキンケア添加物は、酵素阻害剤および隔離剤を含むが、これに限定されるものではない。湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づいて約5重量パーセント未満のスキンケア添加物を含むものとすることができる。より具体的には、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約2重量パーセントのスキンケア添加物を含む。さらにより具体的には、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.05重量パーセントのスキンケア添加物を含む。
様々なスキンケア添加物を、本発明の湿潤組成物およびウェットタイプのワイプ用品に加えるか含ませることができる。例えば、粒子の形態のスキンケア添加物を添加して糞便酵素阻害剤として用い、糞便酵素によって起きるおむつかぶれおよび皮膚へのダメージを減少させる潜在的利点を示すことができる。ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第6,051,749号明細書において、織物または不織ウェブ中の親有機性粘土が開示され、それは糞便酵素の阻害に有用であると述べられている。このような材料を本発明で用いることができ、それには長鎖有機第四アンモニウム化合物および以下の粘土の1つ以上の反応製品が含まれる。つまり、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイトおよびスティーブンサイトである。
他の既知の酵素阻害剤および隔離剤を本発明の湿潤組成物のスキンケア添加物として用いることが可能であり、それはトリプシンおよび他の消化剤または糞便酵素およびウレアーゼの阻害剤を阻害する。例えば、酵素阻害剤および抗微生物剤を用いて体液中の臭気の形成を防止しうる。例えば、吸臭剤としても用いられると言われるウレアーゼ阻害剤が、T.トリンによって、ここに全体が参照として組み込まれる国際公開第98/26808号において開示されている。このような阻害剤は、本発明の湿潤組成物およびウェットタイプのワイプ用品に組み込むとともに、銀、銅、亜鉛、第二鉄またアルミニウム塩類等の遷移金属イオンおよびその可溶塩類を含むものとすることができる。陰イオンはさらに硼酸塩、フィターゼ等のウレアーゼ阻害剤を含みうる。潜在的に有益な化合物には、塩素酸銀、硝酸銀、水銀酢酸塩、塩化水銀、水銀硝酸塩、メタホウ酸銅、臭素酸銅、臭化銅、塩化銅、重クロム酸銅、硝酸銅、サリチル酸銅、硫酸銅、亜鉛酢酸塩、亜鉛硼酸塩、リン酸
亜鉛、亜鉛臭素酸塩、亜鉛臭化物、亜鉛塩素酸塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、カドミウム酢酸塩、カドミウム硼酸塩、カドミウム臭化物、カドミウム塩素酸塩、カドミウム塩化物、カドミウム蟻酸エステル、カドミウム・ヨウ素酸塩、カドミウム沃化物、カドミウム過マンガン酸塩、カドミウム硝酸塩、カドミウム硫酸塩、および塩化金が含まれるが、これに限定されるものではない。
ウレアーゼ阻害特性を持つと知られている他の塩類には、第二鉄、硝酸塩のようなアルミニウム塩類、およびビスマス塩類が含まれる。他のウレアーゼ阻害剤には、ヒドロキサム酸およびその誘導体;チオ尿素;ヒドロキシルアミン;フィチン酸の塩類;例えばイナゴマメ・タンニン酸等の様々なタンニン酸およびクロロゲン酸誘導体等のその誘導体を含む様々な種の植物抽出物;アスコルビン酸、クエン酸等の天然酸およびそれらの塩類;ホスホロジアミド酸フェニル/ジアミドリン酸フェニル基エステル;置換アミド亜りん酸エステル化合物を含む金属アリルアミド亜りん酸エステル複合体;窒素上の置換が無いアミド亜りん酸エステル;特にホウ砂および/または有機的ホウ素酸合成物を含む硼酸および/またはその塩;欧州特許出願公開第408,199号明細書で開示される化合物;ナトリウム、銅、マンガンおよび/または亜鉛ジチオカーバメート;キノン;フェノール;チウラム;置換ロダニン酢酸;アルキルベンゾキノン;ホルムアミジンジスルフィド;1:3−ジケトン無水マレイン酸;スクシンアミド;無水フタル酸;ベヘン酸;N,N−ジハロ−2−イミダゾリジノン;N−ハロ−2−オキサゾリジノン;チオ−および/またはアシル−ホスホリルアミドおよび/またはその置換誘導体、チオピリジン−N−オキシド、チオピリジンおよびチオピリミジン;ジアミノホスフィニル化合物の酸化硫黄誘導体;シクロトリホスファザトリエン誘導体;ブロモニトロ化合物;S−アリルおよび/またはアルキルジアミドホスホロチオエート;ジアミノホスフィニル誘導体;モノ−またはポリホスホロジアミデート;アルコキシル−1,2−ベンゾチアジン化合物;オキシムのオルトジアミノホスフィニル誘導体;5−置換−ベンズオキサチオール−2−オン;N(ジアミノホスフィニル)アリルカルボキシアミド等が含まれる。
多くの他のスキンケア添加物を本発明の湿潤組成物およびウェットタイプのワイプ用品に組み込むことができ、それには以下のものが含まれるがこれに限定されるものではない。つまり、日射遮蔽剤およびUV吸収剤、にきび処理、調合薬、重曹(カプセルに入れられたものを含む)、ビタミンAまたはE等のビタミンおよびその誘導体、ハシバミ抽出物やアロエベラ等の植物成分、アラントイン、皮膚軟化剤、消毒剤、しわ抑制またはアンチエイジングのためのヒドロキシ酸、日焼け止め、日焼け促進剤、美白剤、消臭剤および制汗剤、美容効果および他の用途のセラミド、収れん剤、保湿剤、マニキュア落とし、虫よけ、酸化防止剤、防腐剤、抗炎症剤等である。スキンケアおよび他の利点のための材料は、ニュージャージー州グレンロックのMCパブリッシング社のマカッチョンズ 1999年 Vol.2:機能材料に列記されている。多くの有用なスキンケア用の植物成分が、テキサス州ルイスヴィルのアクティブオーガニクス社によって提供される。
本発明の湿潤組成物およびウェットタイプのワイプ用品に用いるのに適当な防臭添加物には、亜鉛塩類;滑石粉;カプセルに入れられた芳香剤(マイクロカプセル、マクロカプセル、およびリポソーム、小胞またはマイクロエマルジョンに入れられた芳香剤を含む);エチレンジアミンテトラ酢酸等のキレート剤;沸石;活性珪酸、活性炭小粒あるいは繊維;活性珪酸微粒子;クエン酸等のポリカルボン酸;シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体;キトサンあるいはキチンおよびその誘導体;酸化剤;銀ゼオライトを含む抗菌剤;トリクロサン;キーザルガー;およびこれらの混合物が含まれるが、これに限定されるものではない。身体または身体の老廃物の防臭に加えて、防臭戦略は処理された生地の臭気の被覆または制御にも用いることができる。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約5重量パーセント未満の防臭添加物を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約2重量パーセントの防臭添加物を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.03重量パーセントから約1重量パーセントの防臭添加物を含む。
本発明の実施例の1つにおいて、湿潤組成物および/またはウェットタイプのワイプ用品は、溶液中のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等の誘導体化シクロデキストリンからなり、それは拭き取り後も皮膚に留まり臭気吸収層を提供する。別の実施例において、防臭添加物の適用によって臭気源が除去または中和され、それは一般に臭気を生成する多くのプロテアーゼおよび他の酵素の機能に必用な金属を結合するキレート剤の作用によって例証される。金属のキレート化は、酵素の作用に干渉し、製品の悪臭の危険性を低下させる。
キトサンあるいはキチン誘導体の不織布およびセルロース繊維への適用の原理は、S.リー他によって1999年2月のテキスタイルリサーチジャーナル69(2)の104〜112の“キトサンおよびフッ素共重合体に基づく抗菌物質および血液忌避剤による綿および不織布の仕上げ”において述べられている。
不織材に接合剤を用いる場合、湿潤組成物内で脱粘着剤を用いて接合剤の粘着性を除去することができる。適当な脱粘着剤には、接着剤様の高分子によって処理された隣接する2つの繊維シートの間の粘着性を減少させる技術において知られている任意の物質、あるいは皮膚における接着剤様の高分子のべとつきを減少させる任意の物質が含まれる。脱粘着剤は、懸濁液または粒子のスラリーとしての、乾燥した個体の粒子とすることができる。付着は、噴霧、被覆、静電付着、衝突、濾過(つまり、圧力差によって粒子含有ガス相を生地を経て駆動し、濾過機構によって粒子を付着させる)等によるものとすることができ、生地の1つ以上の表面に均一に行うか、あるいはパターン(例えば繰り返しまたはランダムパターン)で生地の表面の1つにわたって行ってもよい。脱粘着剤は、生地の厚さの全体にわたって存在するものとできるが、生地の一方あるいは両方の表面に集中させるか、あるいは略生地の一方あるいは両方の表面のみに存在するものとしてもよい。
具体的な脱粘着剤には、滑石粉、炭酸カルシウム、雲母等の粉末;コーンスターチ等の糊;石松子粉;二酸化チタン等の鉱物充填剤;珪酸粉;アルミナ;一般的な金属酸化膜;ベーキングパウダー;キーザルガー等が含まれるが、これに限定されるものではない。低い表面エネルギーを有する高分子および他の添加物を用いることもでき、これには、種々様々のフッ素化高分子、シリコン添加物、ポリオレフィンおよび加熱可塑性物、ろう、16以上の炭素原子を有するもの等のアルキル測鎖を有する化合物を含む紙工業において知られる剥離剤等が含まれる。乾燥潤滑剤やフッ素化離型剤等の、型およびろうそく作成の離型剤として用いられる化合物も考慮されうる。
本発明の湿潤組成物は、固形粒子または微粒子の添加によってさらに改良することができる。適当な微粒子には、雲母、珪酸、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、滑石および沸石が含まれるが、これに限定されるものではない。所望であれば、微粒子は、ステアリン酸あるいは他の添加物で処理することによって能力または微粒子の接合剤系への架橋を高めることができる。また、一般に製紙工業において凝結剤として用いられる2成分微粒子系も用いることができる。このような2成分微粒子系は概して、珪酸粒子等の膠質粒子相、および形成されるウェブの繊維への粒子の架橋のための水溶性カチオン高分子からなる。湿潤組成物中の微粒子の存在は1つ以上の有用な機能を有し、それは(1)ウェットタイプのワイプ用品の不透明性の増大、(2)ウェットタイプのワイプ用品のレオロジーの改善または粘着性の減少、(3)ワイプ用品の触感の向上、あるいは(4)所望の薬剤の、多孔性キャリアやマイクロカプセル等の粒子キャリアを介しての皮膚への到達である。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約25重量パーセント未満の微粒子を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.05重量パーセントから約10重量
パーセントの微粒子を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.1重量パーセントから約5重量パーセントの微粒子を含む。
マイクロカプセルおよび他の伝達手段によって、本発明の湿潤組成物に、スキンケア剤;薬物;ユーカリ等の快適性促進剤;芳香剤;スキンケア剤;防臭剤;ビタミン;粉末;および利用者の皮膚への他の添加物を提供することができる。例えば、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約25重量パーセント以内のマイクロカプセルまたは他の伝達手段を含むものとすることができる。別の局面において、湿潤組成物は約0.05重量パーセントから約10重量パーセントのマイクロカプセルまたは他の伝達手段を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.2重量パーセントから約5.0重量パーセントのマイクロカプセルまたは他の伝達手段を含む。
マイクロカプセルおよび他の伝達手段は当該技術において既知である。例えば、POLY−PORE(登録商標)E200(イリノイ州アーリントンハイツのチェムダル(Chemdal)社)は、伝達手段の重量の10倍以上の添加物を含むことができる、柔らかい中空の球体からなる伝達剤である。POLY−PORE(登録商標)E200とともに用いたことが報告されている既知の添加物には、過酸化ベンゾイル、サリチル酸、レチノール、パルミチン酸レチニル、オクチルメトキシシンナメート、トコフェロール、シリコン合成物(DC435)および鉱油が含まれるが、これに限定されるものではない。不織布に用いることができる他の伝達手段は、POLY−PORE(登録商標)L200として市販されているスポンジ状材料であり、シリコン(DC435)および鉱油とともに用いられていることが報告されている。他の既知の伝達系には、シクロデキストリンおよびその誘導体、リポソーム、高分子スポンジ、および噴霧乾燥糊が含まれる。マイクロカプセル内に存在する添加物は、ワイプ用品が皮膚に添付されるまでに環境および湿潤組成物の他の添加物から分離され、そしてマイクロカプセルは割れてその内容物を皮膚または他の表面へと伝達させる。
本発明の湿潤組成物は、防腐剤および/または抗微生物剤を含むものとすることができる。本発明に置いて有用な防腐剤および/または抗微生物剤には、マックスタット(Mackstat)H66(イリノイ州シカゴのマキンタイアーグループから入手可能)、DMDMヒダントイン(例えばニュージャージー州フェアローンのロンザ社のGlydant Plus(登録商標))、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ケイソン(ペンシルベニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース社)、メチルパラベン、プロピルパラベン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、安息香酸等が含まれるが、これに限定されるものではない。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満の活性基準の防腐剤および/または抗微生物剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約1重量パーセントの防腐剤および/または抗微生物剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.5重量パーセントの防腐剤および/または抗微生物剤を含む。
各種の湿潤剤および洗浄剤を、本発明の湿潤組成物において用いることができる。適当な湿潤剤および/または洗浄剤には、洗剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、および陰イオン界面活性剤、特にアミノ酸系界面活性剤が含まれるが、これに限定されるものではない。アミノ酸、L−グルタミン酸および他の自然な脂肪酸に由来するもの等のアミノ酸系界面活性剤系は、他の陰イオン界面活性剤と比較して安全であるとともに向上した触感および保湿性を提供しつつ、人間の皮膚へのpH適合性および良好な洗浄力を提示する。界面活性剤の機能の1つは、湿潤組成物による乾燥生地の湿潤の向上である。界面活性剤の別の機能は、ウェットタイプのワイプ用品に接触した際の浴室の汚れの分散、および生地への吸収の増幅である。界面活性剤はさらに、メイク落とし、一般的パーソナルクレンジング、硬表面クレンジング、防臭等を補助する。
アミノ酸系界面活性剤の商用の例の1つは、日本の東京の味の素株式会社によってアミソフトという名前で販売されているアシルグルタミン酸である。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約3重量パーセント未満の湿潤剤および/または洗浄剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約2重量パーセントの湿潤剤および/または洗浄剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.1重量パーセントから約0.5重量パーセントの湿潤剤および/または洗浄剤を含む。
アミノ酸系界面活性剤に加えて、様々な界面活性剤を本発明に用いることができる。適当な非イオン界面活性剤には、プロピレングリコールを有するプロピレンオキシドの凝縮によって形成される恐水(親油性)ポリオキシアルキレン塩基を有するエチレンオキシドの凝縮製品が含まれるが、これに限定されるものではない。望ましくは、これらの化合物の恐水部分は、それを水不溶性とするのに充分に高い分子量を有する。ポリオキシエチレン部分のこの恐水部分への追加によって全体的な分子の水溶性が増加し、製品の液体特性はポリオキシエチレン成分が凝縮製品の総重量の約50%となる点まで保持される。この形式の化合物の例には、ポリオキシプロピレンエーテルが1500〜3000の分子量を有するとともにポリオキシエチレン成分が重量で分子の35〜55%であるような購入可能なプルロニック界面活性剤(BASFワイアンドット社)、つまりプルロニックL−62が含まれる。
他の有用な非イオン界面活性剤には、アルコール1モル当たり2〜50モルのエチレンオキシドを有するC−C22のアルキルアルコール凝縮製品が含まれるが、これに限定されるものではない。この形式の化合物の例には、購入可能であるオリンケミカルズ社のポリ−タージェント(Poly−Tergent)SLF、またはユニオンカーバイド社のタージトール(TERGITOL(登録商標))シリーズ、つまりタージトール(登録商標)25−L−7が含まれ、それはC12−C15のアルカノールを有する約7モルのエチレンオキシドの凝縮で形成される。
本発明の湿潤組成物において用いることができる他の非イオン界面活性剤には、(ノニルフェノキシ)ポリオキシエチレンエーテル等のC−C12のアルキルフェノールのエチレンオキシドエステルが含まれる。特に有用なのは、ノニルフェノールを有する約8〜12モルのエチレンオキシドの凝縮によって調製されるエステル、つまりIGEPAL(登録商標)COシリーズ(GAF社)である。さらなる非イオン界面活性剤には、ブドウ糖(D−グルコース)および直鎖または分岐アルコールの凝縮製品として派生するアルキルポリグルコシド(APG)が含まれるが、これに限定されるものではない。界面活性剤のグルコシド部分によって、高い水酸基密度を有する親水性が提供され、これによって水溶性が増強される。加えて、グルコシドのアセタール結合の固有の安定性によって、アルカリ系での化学的安定性が提供される。さらに、いくつかの非イオン界面活性剤とは異なり、アルキルポリグルコシドには曇点が無く、ヒドロトロープ無しに処方することが可能であり、非常に穏やかであるとともに生分解性の高い非イオン界面活性剤である。この種類の界面活性剤は、ホライズンケミカル社からAPG−300、APG−350、APG−500およびAPG−500の商標で入手可能である。
シリコンは、純粋な形態またはマイクロエマルジョン、マクロエマルジョン等において利用可能な別の種類の湿潤剤である。典型的な非イオン界面活性剤グループの1つは、シリコン−グリコール共重合体である。これらの界面活性剤は、ポリ(低)アルキレンオキシ鎖をジメチルポリシロキサノールの自由な水酸基に加えることで調製され、ダウコーニング社からダウコーニング190および193界面活性剤(CTFA名:ジメチコンコポリオール)として入手可能である。これらの界面活性剤は、溶媒として用いられるシリコンとともに、あるいはそれ無しで、他の界面活性剤によって生成された泡の制御、および
金属、セラミックおよびガラスの表面への光沢付与に機能する。
陰イオン界面活性剤は、本発明の湿潤組成物において用いることができる。陰イオン界面活性剤は、その高い洗浄力のために有用であり、8から22の炭素原子のアルキル置換を有する洗浄剤塩を、例えばミリスチン酸ナトリウムやパルミチン酸ナトリウム等の水溶性高級脂肪酸アルカリ金属石鹸として含む。陰イオン界面活性剤の好ましい種類は、アルキル基に約1から16の炭素原子を有する高アルキルの単または多核性スルホン酸アリル等の恐水高アルキル部分(典型的には8から22の炭素原子を含む)を含む水溶性硫酸化およびスルホン化陰イオンアルカリ金属およびアルカリ土類金属洗浄剤塩を包含し、その利用可能な例はバイオ−ソフト(Bio−Soft)シリーズ、つまりバイオ−ソフトD−40(ステパン・ケミカル社)である。
他の有用な種類の陰イオン界面活性剤には、アルキルナフタリンスルホン酸のアルカリ金属塩類(メチルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ペトロケミカル社のペトロAA);ココア油脂肪酸の硫化モノグリセリドのナトリウム塩および牛脂脂肪酸の硫化モノグリセリドのカリウム塩等の硫化高級脂肪酸モノグリセリド;約10から18の炭素原子を含む硫化脂肪族アルコールのアルカリ金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリル硫酸ナトリウム);バイオ−タージ(Bio−Terge)シリーズ(ステパン・ケミカル社)等のC14−C16アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム;硫化脂肪族アルコールのアルカリ金属塩(約3モルのC12−C15n−アルカノールを有するエチレンオキシドの凝縮製品の硫化ナトリウムまたはアンモニウム、つまりシェルケミカルズ社のネオドール・エトキシサルフェート);低分子量アルキロールスルホン酸の高脂肪酸エステルのアルカリ金属塩、例えばイセチオン酸のナトリウム塩の脂肪酸エステル、硫化脂肪酸エタノラミド;例えばタウリンのラウリン酸アミド等のアミノアルキルスルホン酸の脂肪酸アミド;およびキシレンスルホン酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウムおよびこれらの混合物等の多数の他の陰イオン有機界面活性剤が含まれるが、これに限定されるものではない。
さらなる有用な種類の陰イオン界面活性剤には、8−(4−n−アルキル−2−シクロヘキセニル)−オクタン酸が含まれ、そのシクロヘキセニル環はさらなるカルボキシル酸基で置換される。これらの化合物またはそのカリウム塩は、ウエストベーコ社からジアシド(Diacid)1550またはH−240として市販されている。一般に、これらの陰イオン界面活性剤は、そのアルカリ金属塩、アンモニウムあるいはアルカリ土類金属塩の形で用いることができる。
湿潤組成物はさらに、シリコン粒子の水性マイクロエマルジョンからなるものとすることができる。例えば、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第6,037,407号明細書において、水性マイクロエマルジョン中の有機ポリシロキサンが述べられている。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約5重量パーセント未満のシリコン粒子のマイクロエマルジョンを含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.02重量パーセントから約3重量パーセントのシリコン粒子のマイクロエマルジョンを含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.02重量パーセントから約0.5重量パーセントのシリコン粒子のマイクロエマルジョンを含む。
シリコンエマルジョンは一般に、任意の既知の被覆方法によってウェットタイプのワイプ用品に添加することができる。例えば、ウェットタイプのワイプ用品を水分散性または水混和性のシリコン系成分からなる湿潤組成物で湿潤させてもよい。さらに、ワイプ用品は、水分散性結合剤を有する繊維の不織ウェブからなるものとすることができ、該ウェブはシリコン系スルホコハク酸塩からなるローションで湿潤される。シリコン系スルホコハク酸塩によって、高いレベルの界面活性剤無しに温和で効果的なクレンジングが提供される。
加えて、シリコン系スルホコハク酸塩によって可溶化機能が提供され、芳香成分、ビタミン抽出物、植物抽出物、精油等の油溶性成分の沈殿が防止される。
本発明の局面の1つにおいて、湿潤組成物は、ジメチコンコポリオールスルホコハク酸ジナトリウムやジメチコンコポリオールスルホコハク酸ジアンモニウム等のコポリオールスルホコハク酸シリコンからなる。局面の1つにおいて、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満のシリコン系ルスルホコハク酸化物を含み、別の局面において、湿潤組成物の総重量に基づき約0.05重量パーセントから約0.30重量パーセントのシリコン系ルスルホコハク酸化物を含む。
シリコンエマルジョンからなる製品の別の実施例において、ダウコーニング9506粉末が湿潤組成物中に存在するものとすることができる。ダウコーニング9506粉末は、ジメチコン/ビニルジメチコンクロス高分子からなると考えられるとともに、皮脂の制御に有用であると言われる球状の粉末である(“ニュー・ケミカル・パースペクティブス”石鹸および化粧品、Vol.76、No.3、2000年3月、12ページ参照)。したがって、皮脂の制御に効果的である粉末を伝達させる水分散性ワイプ用品もまた、本発明の範囲に含まれる。シリコンエマルジョンの調製の原理は国際公開第97/10100号において開示されている。
本発明の湿潤組成物は、1つ以上の皮膚軟化剤を含むものとすることができる。適当な皮膚軟化剤には、PEG75ラノリン、安息香酸メチルグルセス−20、C12−C15安息香酸アルキル、エトキシル化セチルステアリルアルコール、ランベントワックスWS−L、ランベントWD−F、セチオールHE(ヘンケル社)、グルカムP20(アマコール社)、ポリオックスWSR N−10(ユニオンカーバイド社)、ポリオックスWSR
N−3000(ユニオンカーバイド社)、ルビクァット(BASF)、ファインソルブ(Finsolv)SLB101(ファインテックス社)、ミンク油、アラントイン、ステアリルアルコール、エストル1517(ユニケマ社)、およびファインソルブSLB201(ファインテックス社)として市販される製品が含まれるが、これに限定されるものではない。
皮膚軟化剤は、湿潤組成物で湿潤されるより前または後の不織布の表面に添加することもできる。このような皮膚軟化剤は、湿潤組成物中で不溶性とすることができるとともに、力へ暴露される際以外は不動とすることができる。例えば、ワセリン系皮膚軟化剤は、一方の表面が湿潤されワイプ用品が飽和した後で、もう一方の表面にパターンで添加することができる。このような製品では、洗浄面および反対側の皮膚処理面を提供することができる。
このような製品および本発明の他の製品中の皮膚軟化組成物は、1つ以上の液体の炭化水素(例えばワセリン)、鉱油等、野菜および動物性脂肪(例えばラノリン、リン脂質およびそれらの誘導体)等の可塑性または流体の皮膚軟化剤、および/またはここに全体が参照として組み込まれる米国特許第5,891,126号明細書において開示されるポリシロキサン皮膚軟化剤を含む1つ以上のアルキル置換ポリシロキサン高分子等のシリコン材料からなるものとすることができる。任意に、親水性界面活性剤を可塑性皮膚軟化剤と組み合わせ、被覆表面の湿潤性を向上させることができる。本発明の実施例のいくつかにおいて、液体炭化水素皮膚軟化剤および/またはアルキル置換ポリシロキサン高分子を、脂肪酸または脂肪族アルコールに由来する1つ以上の脂肪酸エステル皮膚軟化剤と混合または組み合わせうることは熟考されている。
本発明の局面の1つにおいて、皮膚軟化材料は皮膚軟化剤混合物の形態である。例えば、皮膚軟化剤混合物は、液体炭化水素(例えばワセリン)、鉱油等、野菜および動物性脂
肪(例えばラノリン、リン脂質およびそれらの誘導体)のうち1つ以上と、1つ以上のアルキル置換ポリシロキサン高分子等のシリコン材料との組み合わせからなるものとすることができる。本発明の実施例のいくつかにおいて、液体炭化水素皮膚軟化剤および/またはアルキル置換ポリシロキサン高分子を、脂肪酸または脂肪族アルコールに由来する1つ以上の脂肪酸エステル皮膚軟化剤と混合しうることは熟考されている。スタンダムルHE(ニュージャージー州ホーボーケンのヘンケル社)として利用可能なPEG−7ヤシ油脂肪酸グリセリルも考慮することができる。
ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第4,690,821号明細書において開示されるように、湿潤組成物において有用な水溶性自己乳化型皮膚軟化油には、ポリオキシアルコキシルラノリンおよびポリオキシアルコキシル脂肪酸が含まれる。ポリオキシアルコキシル鎖は、混合プロピレンオキシおよびエチレンオキシユニットからなる。ラノリン誘導体は典型的には20〜70のこのような低アルコキシルユニットからなり、C12−C20脂肪族アルコールは8〜15の低アルキルユニットによって誘導体化される。このような有用なラノリン誘導体の1つは、ラネクソールAWS(PPG−12−PEG−50、ニューヨーク州ニューヨークのクローダ社)である。有用なポリ(15〜20)C−Cアルコキシル化物は、プロセチルAWS(クローダ社)として知られるPPG−5−セテス−20である。
典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約25重量パーセント未満の皮膚軟化剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約5重量パーセント未満の皮膚軟化剤を含むものとすることができ、さらに別の局面において、湿潤組成物は約2%未満の皮膚軟化剤を含むものとすることができる。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約8重量パーセントの皮膚軟化剤を含むものとすることができる。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.2重量パーセントから約2重量パーセントの皮膚軟化剤を含むものとすることができる。
局面の1つにおいて、本発明の湿潤組成物および/またはウェットタイプのワイプ用品は、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第4,559,157号明細書において開示されるように、少なくとも1つの多価アルコール皮膚軟化剤および少なくとも1つの有機水溶性洗剤からなる水相中に分散している少なくとも1つの皮膚軟化油および少なくとも1つの皮膚軟化剤安定剤を含む油相からなる水中油エマルジョンからなる。
表面感触向上剤を本発明の不織布に用い、製品を使用する間の皮膚の触感(例えば潤滑性)を向上することができる。適当な表面感触向上剤には、商用剥離剤;およびティッシュ製造で用いられる柔軟剤等の、脂肪酸測鎖を有する第四アンモニウム化合物、シリコン、ワックス等を含む柔軟剤が含まれるが、これに限定されるものではない。柔軟剤として用いることができる典型的な第四アンモニウム化合物は、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第3,554,862号明細書、米国特許第4,144,122号明細書、米国特許第5,573,637号明細書および米国特許第4,476,323号明細書で開示されている。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満の表面感触向上剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約1重量パーセントの表面感触向上剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.05重量パーセントの表面感触向上剤を含む。
各種の芳香剤を本発明の湿潤組成物に用いることができる。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満の芳香剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約1重量パーセントの芳香剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.05重量パーセントの芳香剤を含む。
さらに、各種の芳香剤溶解剤を本発明の湿潤組成物に用いることができる。適当な芳香剤溶解剤には、ポリソルベート20、プロピレングリコール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、アメロキソール(Ameroxol)OE−2(アマコール社)、Brij78およびBrij98(ICIサーファクタント社)、アルラソルブ200(ICIサーファクタント社)、カルファックス16L−35(パイロットケミカル社)、キャップムルPOE−S(アビテック社)、ファインソルブ・サブスタンシャル(ファインテックス社)等が含まれるが、これに限定されるものではない。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満の芳香剤溶解剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約1重量パーセントの芳香剤溶解剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.05重量パーセントの芳香剤溶解剤を含む。
乳白剤を湿潤組成物に用いることができる。適当な乳白剤には、二酸化チタンまたは他の鉱物または顔料、およびリアクトペイク(REACTOPAQUE(登録商標))粒子(サウスカロライナ州チェスターのセキュアケミカルズ社から入手可能)等の合成乳白剤が含まれるが、これに限定されるものではない。典型的には、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満の乳白剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約1重量パーセントの乳白剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.05重量パーセントの乳白剤を含む。
本発明の湿潤組成物で用いられる適当なpH調整剤には、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれるが、これに限定されるものではない。適当なpH範囲によって、皮膚上の湿潤組成物に起因する皮膚刺激が最小化される。典型的には、湿潤組成物のpH範囲は約3.5から約6.5である。別の局面において、湿潤組成物のpH範囲は約4から約6である。また、別の局面において、湿潤組成物は湿潤組成物の総重量に基づき約2重量パーセント未満のpH調整剤を含む。別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約1重量パーセントのpH調整剤を含む。さらに別の局面において、湿潤組成物は約0.01重量パーセントから約0.05重量パーセントのpH調整剤を含む。
前述の成分の1つ以上から形成される各種の湿潤組成物は、本発明のウェットタイプのワイプ用品とともに用いることができる。
ティッシュまたはワイプ用品は個々に折り重ねて防湿封筒で梱包するか、または防水パッケージ中の所望の数のシートを保持する容器で梱包される。完成したティッシュまたはワイプ用品はまた、分離可能なシートのロールとして、ロール上に所望の数のシートをワイプ用品に添加される湿潤組成物とともに保持可能な防湿容器で梱包することができる。ロールは無芯、中空または中実でありうる。中空の芯を有するか中実の芯を有しないロールを含む無芯ロールは、既知の無芯ロール巻回機で製造可能であり、これにはSRPインダストリー社(カリフォルニア州サンノゼ)や清水製作所(日本)から購入可能なものや、ここに全体が参照として組み込まれる米国特許第4,667,890号明細書において開示される装置が含まれる。中実巻回無芯ロールによってより多くの製品が提供され、また多くの分配器に用いることができる。水分散性不織材は、湿潤状態で梱包される材料に適した任意の不浸透性の封筒および保存パッケージで梱包することができる。
本発明に係る水分散性不織材を、85%の脱ペクチン化クライラー(登録商標)亜麻繊維および15%のテンセル(登録商標)再生セルロース繊維から調製した。亜麻繊維は平均で約20〜25mmの長さを有し、再生セルロース繊維は平均で1.7デシテックス(dtex;10000メートルあたりのグラム質量)の繊維サイズおよび40mmの長さを有する。2種の繊維を均一に混合してから、Trutzschler EWK−413型カード上でウェブへとカーディングした。得られた繊維ウェブを、一連の6つのハイドロジェットで水流交絡によって結合した。
表2に、ハイドロジェット上の実際の圧力計の設定を示す。水流交絡ワイヤー上の製造ライン速度は27.5メートル/分(90.3フィート/分)であった。水流交絡の間およびその後には、エンボスパターンは不織布に加えられなかった。
Figure 2016517482
表3に、一連の6つのハイドロジェットによって繊維に加えられた累積エネルギーの算出された値を示す。表4にハイドロジェットエネルギーの算出方法を示し、表5にエネルギー算出のためのメートルの同等物に換算された単位を示す。
Figure 2016517482
Figure 2016517482
Figure 2016517482
実施例1の水分散性不織材の物理的特性を評価した。(TAPPI)の方法TM194Hによって坪量を測定した。INDAの方法WSP120.1.R4912によってキャリパーを測定した。INDAの方法WSP110.4(09)によって湿潤および乾燥抗
張力を測定した。INDAの方法WSP010.1.R3(12)によって吸収能力を測定した。INDAの方法FG 511.2によって水分散性を測定した。
Figure 2016517482
先の記述に関して、本発明の各部分の最適な寸法関係が、サイズ、材料、形状、形式、機能、および操作、組み立ておよび使用の方式を含むように実現されることは、当業者には明白であると容易に認められるとともに、図面に示され明細書に述べられるものと等価の関係が本発明に包含されることを意図するものである。
したがって、前述のものは発明の原理のみの説明とみなされる。さらに、本発明の範囲内で様々な改良をしてもよく、先行技術および添付の請求項によって課される制限のみが出されることが望まれる。

Claims (15)

  1. 主に略直線状で実質的にペクチンを含まず、4ミリメートル(mm)より大きい平均長さを有する個別化靭皮繊維からなる水分散性不織材。
  2. 前記不織材が少なくとも1つの添加物からなる湿潤組成物によって湿潤される、請求項1に記載の水分散性不織材。
  3. 前記少なくとも1つの添加物は、スキンケア添加物、消臭剤、脱粘着剤、微粒子、マイクロカプセル、防腐剤、抗菌剤、湿潤剤、洗剤、マイクロエマルジョン、皮膚軟化剤、表面感触向上剤、芳香剤、芳香剤溶解剤、乳白剤、またはpH調整剤である、請求項2に記載の水分散性不織材。
  4. 前記個別化靭皮繊維は、亜麻繊維、麻繊維、ツナソ繊維、苧麻繊維、イラクサ繊維、レダマ繊維、ケナフ植物繊維またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1から3のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  5. 前記個別化靭皮繊維は、重量で該ペクチンを略含まない繊維が由来する天然由来靭皮繊維の20%未満のペクチン成分を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  6. 捲縮したかまたは直線状の短繊維、捲縮したかまたは直線状の人工セルロース繊維、再生セルロース繊維、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  7. ウッドパルプ繊維をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  8. 前記不織材は約10グラム毎平方メートル(gsm)から約500gsmの範囲内の坪量を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  9. 前記不織材は、ウェットタイプのワイプ用品、ドライタイプのワイプ用品、または含浸ワイプ用品である、請求項1から8のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  10. 前記個別化靭皮繊維は、主に綿ではない植物由来の繊維である、請求項1から9のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  11. 前記個別化靭皮繊維から乾燥状態の非結合ウェブを形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の水分散性不織材。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の水分散性不織材の作成方法であって、
    天然由来繊維を化学的に処理しペクチンを略除くことによる略個別化された繊維の形成、
    繊維ウェブの形成、および
    繊維ウェブの結合による水分散性不織材の形成、からなる方法。
  13. 熱可塑性繊維の略個別化された繊維への添加、および不織材の熱結合をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記結合は水流交絡である、請求項12に記載の方法。
  15. 前記結合は加熱空気流によるウェブの通過である、請求項12に記載の方法。
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