JP2016517453A - ホスフィンを用いて作られた量子ドット - Google Patents

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Abstract

1又は複数のコア半導体前駆体を、分子クラスター化合物の存在下で、ホスフィンと反応させることによって量子ドット(QDs)を調製するプロセスが開示される。コア半導体前駆体は、QDコア半導体材料に組み込まれる元素を供給する。前記コア半導体はまた、ホスフィンによって供給されるリンを含む。ホスフィンはガスとして反応に供給されることができるが、別の材料の付加物として用いられることもできる。【選択図】 図1

Description

本発明は、リン前駆体としてホスフィン(phosphine)ガスを使用する半導体量子ドットナノ粒子の調製に関する。
2〜50nmの範囲の寸法を有する化合物半導体の粒子は、量子ドット(QDs)又はナノ結晶とも称され、粒子の調製及び特徴づけに関して多くの関心が持たれている。これらの材料はサイズチューニング可能な(size-tuneable)電子的特性を示し、この特性は、多くの商業的用途において利用されうる。用途は数多くあるが、その中でも、例えば、光学的及び電子デバイス、生物学的ラベリング、太陽電池、触媒、生物学的イメージング、発光ダイオード、一般的な空間照明、エレクトロルミネセンス・ディスプレイ及びフォトルミネセンス・ディスプレイは新たに出現した用途である。最も多く研究されてきた半導体材料は、カルコゲニドII−VI(例えば第12族〜第16族)材料であり、例えばZnS、ZnSe、CdS、CdSe、CdTeである。その中でもCdSeの研究が最も顕著であるが、その理由は、スペクトルの可視領域に対する光学的チューナビリティにある。
個々のQDsのサイズに関係する2つの基本的要因が、それらの独特の特性に関与している。第1は、表面積と体積の比が大きいことである。粒子が小さくなるにつれて、内部の原子に対する表面原子の数の比率が増加する。このため、材料全体の特性において表面特性が重要な役割を果たすことになる。第2の要因は、量子ドットの電子的特性は、粒子サイズの関数として変化することと、粒子のサイズが減少するにつれて、バンドギャップが大きくなることである。この効果は閉じ込め(confinement)の結果生じるものであり、量子力学における「箱の中の電子(electron in a box)」に似ている。QDsの電子状態は、対応するバルク半導体材料に観察される連続バンドではなく、原子及び分子に観察されるのと同様な離散的エネルギーレベルを示す。QDの場合、第1励起子遷移よりも大きなエネルギーを有する電磁放射の吸収(光子の吸収)によって生じた電子及びホールは、対応する大結晶性材料(macrocrystalline material)におけるものよりも近い。その結果、電子とホールの間でクーロンが相互作用して放出される帯域幅は狭く、これは粒子サイズ及び組成に依存する。QDsは対応するマクロ結晶質材料よりも高い運動エネルギーを有するので、第1の励起子遷移(バンドギャップ)のエネルギーは、粒径の減少と共に増加する。
単一コア半導体QDsは、図1に示されているように、単一半導体材料と外側の有機不動態化層から構成され、量子効率が比較的低い。その原因は、欠陥で起こる電子ホールの再結合であり、ナノ粒子表面上のダングリングボンドは非放射電子ホール再結合を生じる。QDの表面上の欠陥及びダングリングボンドを除去する1つの方法は、第2の無機材料(典型的にはコア材料と比べてバンドギャップが広く、格子不整合が小さい材料)をコア粒子の表面で成長させることである。このようなマルチシェルQDは、「コア/シェル」QDと称される。コア/シェル粒子は、コアに閉じ込められたあらゆるキャリアを表面状態から分離し、これにより、非放射再結合の中心として作用するのを防ぐ。コア/シェルQDの1つの例は、CdSeコアの表面に成長したZnSシェルを有するQDであり、CdSe/ZnSコア/シェルQDが提供される。
もう1つの方法は、バンドギャップの広い材料で作られたコアに、バンドギャップが狭い材料の薄いシェルがコートされ、その上にバンドギャップの広い別の層でコートされたコア/マルチシェル構造を調製することである。例えばCdS/HgS/CdSが挙げられるが、これは、Cdの代わりにHgを使用してコアナノ結晶の表面上で成長されるもので、HgSのほんの少しの単層が堆積される。このようなコア/マルチシェルQDでは、対である電子とホールは単一シェル層に閉じ込められる。CdS/HgS/CdS材料では、光励起キャリアがHgS層の中に閉じ込められる。
先に述べたように、コア、コア/シェル又はコア/マルチシェルQDは、どれも最終無機表面原子の周りの配位は不完全である。反応性が高く、配意が完全に行われていない原子の「ダングリングボンド」が粒子の表面上にあると、これが粒子を凝集させる傾向にある。この問題は、保護用有機基で「ベア」表面原子を不動態化(キャッピング)することによって解決される。有機材料(キャッピング剤)の最外側層は、粒子の凝集を抑制する作用があり、更に、QDsを囲む化学環境からQDsを保護する。キャッピング剤は、化学結合により、他の無機材料、有機材料、又は生物学的材料をQDに付着させる。多くの場合、キャッピング剤は、その中でQDの調製が行われる溶媒であり、ルイス塩基化合物、又は不活性溶媒(例えば炭化水素)の中で希釈されたルイス塩基化合物であってよく、QDの表面に対して供与型配位能力を有する孤立電子対が存在する。
高品質の半導体QDsの合成に関わる重要な問題は、粒子の均一性、サイズ分布、量子効率及び商業的用途における長期の化学的及び光安定性である。最近のQD合成方法のほとんどは、Murray、Norris及びBawendiによって記載された「核生成及び成長」方法に基づいている[C.B.Murray,D.J.Norris,M.G.Bawendi,J.Am.Chem.Soc.1993,115,8706]。Murrayらは、金属アルキル(RM)の有機金属溶液を用いており、RMにおいて、M=Cd、Zn、Teであり、R=Me、Et及びトリ−n−オクチルホスフィン(TOP)に溶解されたトリ−n−オクチルホスフィンスルフィド/セレニド(TOPS/Se)である。これらの前駆体溶液は、120〜400℃の高温のトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)に注入され、TOPOでコート又はキャップされたII−VI材料の半導体ナノ粒子が製造される。粒子のサイズは、温度、キャッピング剤、用いられる前駆体の濃度及び合成が行われる時間の長さによって制御され、温度が高く、前駆体濃度が高く、反応時間が長いほどより大きな粒子が得られる。この有機金属ルートは、他の合成法に比べて単分散度が大きく、粒子結晶化度が高いという利点がある。上述の如く、今では、この方法の多くの変形例が文献に記載されており、単分散度及び量子収量の両方の品質にすぐれるコア及びコアシェルナノ粒子は日常的に得られる。
単一源前駆体はまた、II−VIの半導体QD材料の合成において有用であることが分かった。ビス(ジアルキルジチオ/ジセレノカルバメート)カドミウム(II)/亜鉛(II)化合物、M(ECNR(M=Zn又はCd、E=S又はSe及びR=アルキル)は同様の「ワンポット」合成の工程で用いられており、前駆体をトリ−n−オクチルホスフィン(TOP)に溶解させた後、200℃を超える高温のトリ−n−オクチルホスフィンオキシド/トリ−n−オクチルホスフィン(TOPO/TOP)の中へ急速に注入することを含んでいる。
基本的に、これらの製法は全て、高温での粒子の核生成の後、低温での粒子成長という原理に基づいている。また、2〜10nmのナノ粒子を単分散集合させるためには、ナノ粒子の核生成工程を、ナノ粒子の成長工程と適切に分離しなければならない。上述の方法において、分離は、一方又は両方の前駆体の低温側溶液を、粒子の核生成を開始する高温側の配位性溶媒(存在しない場合は、他方の前駆体を含有する)へ急速に注入することによって行なわれる。注入に際しては、低温側溶液を迅速に加えることで、反応温度が低下し(加える溶液の量は通常全溶液の約1/3の量である)、更なる核生成が抑制される。粒子は低温で成長を続ける(表面触媒工程であるかオストワルド熟成を経て行なわれるかは、用いられる前駆体によって異なる)。このように核生成と成長が分離され、得られるナノ粒子のサイズ分布は狭くなる。この方法がうまく機能するのは、反応全体を通じて均一温度を合理的に保ちながら1つの溶液を別の溶液に急速に添加することができる小規模合成の場合である。しかしながら、製造規模が大きい場合、大量の溶液を一方から他方に急速に注入する必要があり、著しい温度差を生じて、粒子サイズの分布が許容できない程に大きくなる。
出願人の共有特許である特許第7,588,828号(2007年9月10日出願、2009年9月15日発行)、第7,803,423号(2005年4月27日出願、2010年9月28日発行)、第7,985,446号(2010年8月11日出願、2011年7月26日発行)、及び第8,062,703号(2010年8月10日出願、2011年11月22日発行)には、高品質単分散のQDsを大量に製造する方法が記載されており、QD前駆体は分子クラスター化合物の存在下で供給され、その条件では、分子クラスターは、完全性が維持され、予め作成された所定のシード又はテンプレートとして機能し、化学前駆体と反応する核生成中心を形成し、高品質のナノ粒子が産業用として十分に大規模で作られる。これらの特許は、引用を以て、その内容全体が本願に組み込まれるものとする。
これまで広範に研究されているナノ粒子材料の多くは、カドミウムイオンを含むことは、前述の記載から理解されるだろう。しかしながら、カドミウムや、水銀及び鉛系材料のような他の重金属の使用に関しては多くの環境問題があり、そこで、カドミウムを含まないナノ粒子材料を開発する必要性がある。特に、カドミウムを含まない量子ドットで、現在のカドミウム系材料と同様な単分散度及びサイズチューニング可能な光ルミネセンススペクトルを示すものを製造することが望ましい。商業的には、このような材料を大規模で、高収量且つできるだけ安価に製造することが要求される。
当該技術分野において、InPナノ粒子のコロイド合成が知られている。合成は、通常トリ(トリメチルシリル)ホスフィン((TMS)P)をリン前駆体として使用し、高温注入を経て行なう。その他に、単一源前駆体を使用する方法があり、例えばGreen及びO’Brienは、LiPBuを用いて単一源前駆体In(PBu)を形成し、4−エチルピリジン中で分解してInPを生成することを記載している[M.Green,P.O’Brien,Chem.Commun.,1998,2459]。これらの反応は、通常は高温であることが要求される。単一源前駆体が使用される場合、その前駆体は合成されなければならないので、時間と手間がかかる。
InP半導体の有機金属合成におけるホスフィンガスの使用については、1960年代にDidchenko等により初めて記載された[R.Didchenko,J.E.Alix,R.H.Toeniskoetter,J.Inorg.Nucl.Chem.,1960,14,35]。その方法は、トリメチルインジウム(InMe)をホスフィンと反応させ、InPとメタンを生成するものである。それ以来、InMeとPHとの反応は、有機金属化学蒸着(MOCVD)[H.M.Manasevit,Appl.Phys.Lett.,1968,12,156]、化学ビームエピタキシー(CBE)[C.Theodoropoulos,N.K.Ingle,T.J.Mountziaris,Z.Y.Chen,P.L.Liu,G.Kioseoglou,A.Petrou,J.Electrochem.Soc.,1995,142,2086]、及びガスソース分子線エピタキシー(GSMBE)[H.Ando,N.Okamoto,A.Sandhu,T.Fujii,J.Cryst.Growth,1991,59,431]によるInP半導体フィルムの合成に広く使用されてきた。BuIn及びホスフィンガス由来の溶液における単結晶InPの成長は、先行技術文献においても記載されている[T.J.Trentler,S.C.Goel,K.M.Hichman,A.M.Viano,M.Y.Chiang,A.M.Beatty,P.C.Gibbons,W.E.Buhro,J.Am.Chem.Soc.,1997,119,2172]。しかしながら、InPナノ粒子の合成においてホスフィンガスを使用することは、先行技術文献には極くわずかな例はあるものの、ほとんど記載されていない。
InPナノ粒子の水溶液系合成にはPHが用いられており、PHは、ガス状のものが用いられるか現場で(in situ)生成される。例えばPengらは、ベンゼンに溶解されたホスフィンガスを使用してInPナノ粒子を合成することを報告している[2010年に登録されたPeng,M.Hines,S.Perera,米国特許第7,850,777号を参照]。一般的な合成では、陽イオン前駆体溶液の生成は、80〜130℃の真空下で、In(Ac)をオレイン酸及びオクタデセン(ODE)と混合することによって行われ、透明な溶液が得られる。N又はArの下で保存された陽イオン溶液の一部は、N又はArで満たされたグローブ・ボックス内の容器中で等量のODEと混合される。PHのベンゼン溶液が加えられ、次いで、反応槽が室温でキャッピング及び密閉された後、グローブ・ボックスから取り除かれる。容器は窒素シリンダーに接続され、圧力が0psiから1000psiに上昇される。加圧された容器は、次に、加熱マントルを用いて250℃に加熱され、圧力は1700psiまで上昇する。250℃で30分経過後、加熱マントルと窒素シリンダーは反応をクエンチ(quench)させるために取り除かれる。容器は、室温まで冷却される。冷却後、圧力が解放され、アセトンが反応溶液が濁るまで加えられる。混合物は遠心分離され、固体はトルエン中に再び溶解され、生成物として保持される。
Liらは、リン化カルシウムを塩酸と反応させて現場でホスフィンガスを生成し、InPナノ粒子を合成することを記載している[L.Li.,M.Protiere,P.Reiss,Chem.Mater.,2008,20,2621]。通常の反応では、In(Ac)及びミリスチン酸のODEとの混合が、コンデンサが取り付けられた三つ口フラスコの不活性条件の下で行われる。Caが入れられた別のフラスコが、Pが入れられたカラムを通じて前駆体フラスコに接続され、生成されたPHからあらゆる水が排除される。In前駆体は、透明な溶液が得られるまで100〜120℃に加熱され、次いで両フラスコを脱ガスした後、Arで満たされる。In前駆体フラスコが250℃に加熱された後、Caが入れられたフラスコに4M HClが注入される。気体のPHが生成され、生成されたPHは、Arの流れによって運ばれ、次にIn前駆体フラスコを通してバブリングされて、無色から暗赤色への色変化を特徴とするInPナノ結晶が合成される。20分後、すべてのCaが消費されると、反応溶液は冷却され、ナノ粒子はアセトン/クロロホルム/メタノールの混合物と混合され、遠心分離によって分離される。ホスフィンガスはゆっくりと解放されるため、ナノ粒子の成長はサイズフォーカシング過程で起こると考えられ、その結果、粒度分布が狭くなり、境界が明確な(well-defined)励起子ピークが得られる。
Nedeljkovicらは、InPナノロッドの合成をトリス(トリメチルシリル)ホスフィン((TMS)P)の加水分解によって現場で生成されたPHを用いて行なうことを報告している[J.M.Nedeljkovic,O.I.Micic,S.P.Ahrenkiel,A.Miedaner,A.J.Nozik,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,2632]。一例では、6.5nmのInナノ粒子が、Cをトルエン及び少量のトリオクチルアミン中で暗所において分解することにより、室温で合成される。Inナノ粒子の溶液はトルエンで更に希釈され、MeOH又はチオフェノール(PhSH)の存在下で(TMS)Pと混合される。そして、アルコール又はチオールがP−SiMe結合を加水分解し、PHを生成する。混合されるとすぐに、ナノワイヤーが生成する。次いで、溶液は220℃で2分間加熱される。InPナノワイヤーが生成するにつれて、茶色への色の変化が観察される。得られたナノワイヤーはトルエン中で希釈されることによって分離され、MeOHが析出する。粒子は、1%HDAを含むクロロホルム中に溶解することにより清浄化される。
化学気相堆積(CVD)、化学ビームエピタキシー(CBE)、及び分子線エピタキシー(MBE)によるInPの成長にPHが使用され、最近になって、ナノ粒子又はナノワイヤーの生成に適用されている。本明細書に開示されるコロイド合成されるナノ粒子とは異なり、CVD、CBE及びMBEを使用すると、ナノ粒子は基板上で成長し、その使用は薄膜用途に制限される。
Zn又はSでドープされたInPナノワイヤーは、リン原料としてPHガスを使用し、CVDの一種である有機金属気相エピタキシー(MOVPE)によって成長するが、このことは、van Weertらにより記載されている[M.H.M.van Weert,A.Helman,W.van den Einden,R.E.Algra,M.A.Verheijen,M.T.Borgstrem,G.Immink,J.J.Kelly,L.P.Kouwenhoven,E.P.A.M.Bakkers,J.Am.Chem.Soc.,2009,131,4578]。ナノワイヤーの成長は、気相−液相−固相メカニズムを通じて起こり、終端がリン酸のInP基板上に堆積した50nmの触媒性金コロイドを用いる。PHガスはP前駆体として、InMeガスはIn前駆体として使用され、得られたInPをZnでドープするのにジエチル亜鉛が使用され、硫黄ドーピングにはHSが用いられる。得られたナノワイヤーの直径は100nmよりも小さいが、これは、HSO/H/HOを用いた湿式化学エッチングによって更に縮径され、競合的なあらゆる半径の成長が排除される。
CBEを用いたInPナノワイヤー形成の一例では、Chiaramonteらは、InMeをIn源、PHをP源として使用している[T.Chiaramonte,L.H.G.Tizei,D.Ugarte,M.A.Cotta,Nano Lett.,2011,11,1934]。InPナノワイヤーの成長は、10nm又は25nmのAuナノ粒子触媒を用いて、CBEチャンバ内のGaAs(100)基板上で行なわれる。Hキャリヤガスで希釈されたInMeと流量15sccmのPHは、420℃の成長温度で熱分解し、ウルツ鉱相のナノワイヤーを生成する。ナノワイヤーは、PH雰囲気下で冷却される。
Reissらは、MOCVDによるInPナノワイヤーの成長を記載しており、そこでは、リン原料としてPHを使用している[P.J.Reiss,W,J.Toe,F.Wang,S.Paiman,Q.Gao,H.H.Tan,C.Jagadish,Nano Lett.,2011,11,2357]。エピタキシャル成長は、30nmのAuナノ粒子を触媒として用いたInP(111)B基板上で起こる。ナノワイヤーは、InMe前駆体及びPH前駆体を用いたMOCVD反応炉内で成長する。圧力が100mbarに維持され、成長温度が490℃、P/Inの比が44、成長時間が約20分のときに、ウルツ鉱相ナノワイヤーが優勢となる。
有機金属気相エピタキシー(MOVPE)において、PHは、ストランスキー・クラスタノフ成長法を用いて、GaAs及びGa0.5In0.5P上にInP量子ドットを合成するのに用いられている[J.Johansson,W.Seifert,V.Zwiller,T.Junno,L.Samuelson,Appl.Surf.Sci.,1998,134,47]。この方法では、材料の2Dエピタキシャル層が初めに堆積されるが、臨界の厚みを超えると、前記層は圧力ひずみの下で緩み、3Dアイランド又はドットと薄い2D湿潤層が形成される。一実施例では、自立する(freestanding)InPアイランドが、100mbarのMOVPE反応炉内で、GaAs(001)基板上に成長する。GaPの2つの単分子層はトリメチルガリウム(GaMe)及びPHを用いて成長し、GaAs表面を安定化させる。次いで、InPの3つの単分子層が、InMe及びPH前駆体を使用して、600℃で0.6MLs−1の速度で堆積される。サンプルは次にPH/H雰囲気下でアニールされる。アイランドのアニーリング中、30分間にアイランドの高さは19nmから7nmへと低下する。アイランドの高さを変えることによるこのプロセスは、フォトルミネセンス波長をチューニングするのに利用されることができる。
先行技術の中で記載されたPHガスを用いてInPベースのナノ粒子を合成する方法は、通常、高温及び/又は高圧の使用を含んでいる。CVD及び化学ビーム実験は高価な設備を必要とし、得られるナノ粒子は薄膜用に限られている。それゆえ、比較的低温で、高い圧力を必要とせずに、有機的にキャッピングされた単分散QDsを生成する方法が必要とされている。
本願の開示の目的は、従来のQD材料の生成方法に存在する1又は2以上の問題を解決することである。更なる目的は、前述した1又は2以上の商業的ニーズを充足させる、新たなカドミウム不含有QD材料を提供することである。
本発明の開示はIII−VQDs及びそれらの合金誘導体(alloyed derivatives)に関するもので、前記誘導体は、第V族前駆体としてホスフィンガスを用いてコロイド成長したものである。また、QDsは、分子クラスター上に成長し、これにより分子クラスターが組み込まれる。
幾つかの実施態様によると、QDsは分子クラスター化合物とコア半導体材料を含み、分子クラスター化合物は周期表の第12族及び第16族のイオンが組み込まれ、コア半導体材料は、前記分子クラスター化合物上に設けられ、周期表の第13族及び第15族のイオンが組み込まれる。
QDsの製造は、分子クラスター化合物の存在下で1又は2以上のコア半導体前駆体をホスフィンと反応させる工程を含む。コア半導体前駆体は、QDに組み込まれる幾つかの要素を供給する。コア半導体はまた、ホスフィンによって供給されるリンを含む。ホスフィンはガスとして反応に用いられることができるが、別の材料の付加物と(adduct)して用いられることもできる。QDsは単に、(分子クラスター化合物上に配置された)単一半導体材料のコアであってよい。或はまた、QDsは、コア半導体材料上に配置される追加の半導体材料からなるシェルを含むことができる。本発明の開示では、ホスフィンガスを用いて比較的安価で大規模にIII−VQDsを生産することができる手段を提供する。
本発明の開示は以下の図面を含む。
図1はInPQDsを作製する工程を図示したものである。
図2は開示された工程を用いて作製されたQDsを図示したものである。
上述したように、本発明の開示は、量子ドット(QDs)の作製を経済的に行なうことができるプロセスに関するものである。本明細書で使用される、QD、ナノ粒子、及びナノ結晶という用語は、互いに置き換え可能なものとして用いられる。本明細書で開示される方法の利点の一つは、商業的に実行可能な方法で、商業的規模でQDsを調製するのに用いられることである。
本明細書に記載されるQDsは、半導体材料で作られるコアを有する。幾つかの実施態様では、コア半導体材料は、本質的にカドミウムを含まない。このようなQDsの実施例は、III−V材料及び/又はIII−V材料の合金に基づいている。このようなIII−V材料の例としては、InP、GaP、AlP、BP、及びこれらの材料と他の元素との合金が挙げられる。元素は第IIA族、第IIB族、第IVA族、及び/又は第VIA族の元素を含むが、これらに限定されない。特段の記載がない限り、「III−V材料」「InP」「GaP」「AlP」及び「BP」という用語は、純粋な半導体材料の他に、それら半導体材料と他の元素との合金のことを言うものとする。
QDsは、上記背景技術の項においても記載されているように、コア/シェルQDsであってよい。すなわち、QDコア上の上に、1又は2以上の半導体シェルが更に配置されることができる。シェル層は本質的にいかなる半導体材料であってもよく、例えばIIA−VIB材料、IIB−VIB材料、II−V材料、III−V材料、III−IV材料、III−VI材料、IV−VI材料、又は遷移金属元素もしくはdブロック元素を含む材料が挙げられるが、これらに限られるものでない。具体的な実施例において、シェル半導体材料には、周期表の第12族元素のイオン(例えば亜鉛イオン)及び周期表第16族元素のイオン(例えば硫化物イオン、セレン化物イオン、又はテルル化物イオン)が組み込まれる。シェル材料はカドミウムを含むことはできるが、背景技術の項において記載されたように、通常は含まない方が好ましい。
あらゆるシェル又はそれに続いてコアIII−VQD上で成長する多くのシェルに用いられる材料はほとんどの場合、コア材料と同様な格子タイプの材料となる。すなわち、格子がコア材料に非常に近いので、コア上でエピタキシャル成長されることができる。しかしながら、必ずしも、このような親和性(compatibility)を有する材料に限定されるわけではない。なお、2つの材料(コアとシェル)が親和性でない場合、バッファ層がコアの外側で、半導体コアと半導体シェルとの間に最初に成長させることができる。コア上に成長するあらゆるバッファ層又はシェル層の材料は、以下の材料を含むことができる。
・周期表第2族の第1元素と、周期表第16族の第2元素とを含むIIA−VIB(2−16)材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTeを含むが、これらに限定されない。
・周期表第12族の第1元素と、周期表第16族の第2元素とを含むIIB−VIB(12−16)材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeを含むが、これに限定されない。
・周期表第12族の第1元素と、周期表第15族の第2元素とを含むII−V材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、Zn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znを含むが、これに限定されない。
・周期表第13族の第1元素と、周期表第15族の第2元素とを含むIII−V材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、BP、AlP、AlAs、AlSb;GaN、GaP、GaAs、GaSb;InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNを含むが、これに限定されない。
・周期表第13族の第1元素と、周期表第14族の第2元素とを含むIII−IV材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、BC、Al、GaCを含むが、これに限定されない。
・周期表第13族の第1元素と、周期表第16族の第2元素とを含むIII−VI材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、In、InSe、GaTe、InTeを含むが、これに限定されない。
・周期表第14族の第1元素と、周期表第16族の第2元素とを含むIV−VI材料。これら材料は、三元材料、四元材料及びドープされた材料を含むことができる。QD材料は、PbS、PbSe、PbTe、SbTe、SnS、SnSe、SnTeを含むが、これに限定されない。
・周期表d−ブロックにある任意の族の第1元素と、周期表第16族の第2元素とを含むQD材料。これらQD材料は、周期表第13族の元素で、三元材料及び四元材料を形成するあらゆる元素、並びにドープされた材料を含む。QD材料は、NiS、CrS、CuInS,CuInSe、CuGaS、CuGaSe、CuZnSnSを含むが、これに限定されない。
本明細書に記載されるQDsのサイズは、一般的に2〜100nmの範囲内である。QDの形状は、球体に限定されず、望ましいあらゆる形状をとることができ、例えばロッド、球体、円板、テトラポット形又は星形であってよい。QDの形状の制御は反応粒子の成長過程において化合物の添加により行われ、化合物は、成長する粒子の特定の格子面と優先して結合し、その後特定の方向の粒子成長を阻害又は遅延させる。この効果を達成するために加えることができる化合物の非限定的な例として、ホスホン酸(n−テトラデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、1−デカンスルホン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、n−オクタデシルホスホン酸)が含まれる。
QDsの半導体材料同士の間に明確な境界や移行部が存在してもよいことに留意されるべきである。換言すれば、コアと第1シェルとの間又はそれに続くシェル層とシェル層との間に、移行部が化学組成に基づいて認識されることができる。あるいは、実質的な合金化がコアとシェルとの間、第1シェルと第2シェルとの間等で起こってもよい。この場合、半導体材料間の移行部は明確な境界はなく、連続的に変化する(gradient)。
背景技術の項目において記載したように、QDの最も外側の表面が有機キャッピング剤によりキャッピングされ、欠陥部に形成される非放射性の電子ホールやQD表面におけるダングリング結合をできるだけ少なくすることが一般的に有利である。キャッピング剤は、QDsが形成される溶媒の分子であってよい。その他の多くの配位性溶媒もキャッピング剤又は保護剤として作用することができ、例えばTOP、TOPO、HDA、又は長鎖有機酸が挙げられる。長鎖有機酸としては、例えばミリスチン酸(テトラドカイン酸)、長鎖アミン、又は機能性ポリエチレングリコール(PEG)鎖が挙げられる。なお、キャッピング剤は上記のものに限定されない。
アルカン、テルフェニル、Therminol(登録商標)等の非配位性(non-coordinating)溶媒が使用される場合、通常は、キャッピング剤として作用するさらなる配位性剤の存在下で用いられる。このようなキャッピング剤は一般的にはルイス塩基であり、例えばホスフィン類(トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、t−ブチルホスフィン)、ホスフィンオキシド(トリオクチルホスフィンオキシド)、アルキルホスホン酸、アルキルアミン(ヘキサデシルアミン)、アリールアミン、ピリジン、チオール(オクタンチオール)、長鎖脂肪酸及びチオフェン等の一座配位性配位子又は多座配位性配位子が挙げられる。なお、その他の様々な試剤も使用可能であり、例えばオレイン酸や、QDsの周りに保護シースを形成する有機ポリマーなども用いることができる。キャッピング剤はまた、他の無機、有機又は生物学的材料との化学結合として用いられる官能基を有することができる。キャッピング剤は、重合可能な官能基を有する配位配位子から構成され、粒子の周りにポリマーを形成するのに用いられることができる。キャッピング剤は最も外側の無機層に直接結合されることができるが、粒子の表面に結合されなくても、粒子の周りにポリマーを形成するために又は更なる反応のために用いられる官能基を含むことができる。
本明細書に記載される方法は、ホスフィンを1又は2以上の追加の半導体前駆体と反応させて、QDコア用の材料を生成するステップを含む。ホスフィンは、ガスとして供給され、反応物中に直接バブリングされることができる。あるいは(さらに)、ホスフィンは、ホスフィン生成用の適当な試剤を使用した副反応により現場で生成されることもできる。ホスフィンはルイス酸又はルイス塩基に予め配位結合(pre-coordinate)されてよいが、ルイス酸塩基付加(adduct)として加えられてPHを現場で放出させることもできる。
ホスフィンは従来ルイス塩基として作用するが、例えばBurford及びRagognaは、ルイスアクセプターとして働くホスフィンの例を報告している[N.Burford,P.J.Ragogna,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,2002,4307]。PHをルイス酸又はルイス塩基に予め配位結合することによって得られるルイス酸塩基付加物は、ガス状のPHよりも可溶性にすぐれる前駆体を提供することができ、しかも、その反応溶液への付加の制御がより容易に行なうことができる。PHを予め配位結合するための付加物は、例えばIII−V半導体の金属有機化学気相堆積(MOCVD)に用いられる第3族元素のトリアルキル化合物が挙げられるが、これに限定されない。例えば、文献[H.M.Manasevit and W.I.Simpson,J.Electrochem.Soc.1969,116,1725;J.Electrochem Soc.1973,120,135;R.H.Moss,J.Cryst.Growth 1984,68,78;及びD C.Bradley,H.Chudzynska,M.M.Faktor,D.M.Frigo,M.B.Hursthouse,B.Hussain and L.M.Smith,Polyhedron 1988,7(14),1289]を参照のこと。不揮発性のホウ素を含む付加物は、ホスフィン及びアルシンの安全貯蔵システムとして使用されている。純粋なホスフィン又はアルシンは、熱分解又は置換によってこのような付加物から遊離されることができる。例えば、文献[D C.Bradley,Dao−Hong,European patent 1991,EP0443739 A1]を参照することができる。
ホスフィンは、III−V材料及び/又はQDコアのIII−V材料の合金のリン成分を供給する。その他のコア成分は、典型的には第3族元素のイオンを含むコア半導体前駆体により供給される。コア半導体材料の第3族イオンは、有機金属化合物、配位化合物、無機塩及び/又は元素源から得られることができる。第3族前駆体は、例えば、III族−ホスフィン、III族−(TMS)、III族−アルキル、III族−アリール、III族−ハライド、III族−(ミリステート)、III族−(アセテート)、及びIII族−(アセチルアセトネート)が挙げられる。
上述したように、コアのIII−V材料は他の元素と合金化されることができる。同様に、III−Vコアは、III−V族から選択されるシェル半導体材料又はIII族及びV族を含むシェル半導体材料を1又は2種以上有する。合金化元素(存在する場合)の前駆体及びそれに続く1又は2以上のシェルの前駆体について、以下に検討する。
<無機シェル又はコア合金化元素のために用いられる前駆体>
III−Vコア及びMEnシェル(但しM及びEは、シェル又はそれに続くシェル層内の元素である)で構成される化合物コア/シェル半導体QDに対しては、元素Mの供給源が反応に更に加えられることができるが、成長する粒子のEイオンの供給源となる能力を有するあらゆるE含有種から構成することができる。
<M源>
この前駆体は、有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素源であってよいが、これらに限定されない。第1元素に用いられるII−VI、III−V、III−VI又はIV−Vは例として以下のものを含むが、これらに限定されない。
・有機金属:例えば、MR(M=Mg、R=アルキル又はアリール基(MgBu));MR(M=Zn、Cd、Te;R=アルキル又はアリール基(MeZn、EtZn、MeCd、EtCd));MR(M=Ga、In、Al、B;R=アルキル又はアリール基[AlR、GaR、InR(R=Me、Et、Pr)])であるが、これらに限定されない。
・炭酸塩のような配位化合物:例えば、MCO M=Ca、Sr、Ba、[水酸化炭酸マグネシウム(MgCOMg(OH)];M(CO M=Zn、Cd、;MCO M=Pb;アセテート M(CHCO M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg;M(CO M=B、Al、Ga、In;アセチルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)のようなβ−ジケトネート又はその誘導体、M[CHC(O)=CHC(O)CH M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg;M[CHC(OH)=CHC(O)CH M=B、Al、Ga、In;オキザラートSrC、CaC、BaC、SnCであるが、これらに限定されない。
・無機塩:例えば、酸化物としてSrO、ZnO、CdO、In、Ga、SnO、PbO;硝酸塩としてMg(NO)、Ca(NO)、Sr(NO)、Ba(NO)、Cd(NO)、Zn(NO)、Hg(NO)、Al(NO)、In(NO)、Ga(NO)、Sn(NO)、Pb(NO)であるが、これらに限定されない。
・元素供給源:例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Sn、Pbであるが、これらに限定されない。
<E源>
元素E源を反応に更に加えてもよく、この元素E源は、成長する粒子にEイオン源を供給する能力を有するあらゆるE含有種から構成されることができる。
この前駆体は、有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素供給源を含むことができるが、これらに限定されない。II−VI、III―V、III―VI又はIV−V半導体QDにおける元素Eの例として以下のものを含むが、これらに限定されない。
・有機金属:例えばNR、PR、AsR、SbR(但し、R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);NHR、PHR、AsHR、SbHR(但し、R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);NHR、PHR、AsHR、SbH(但し、R=Me、Et,Bu、Bu、Pr、Ph等);PH、AsH;M(NMe)(但し、M=P、Sb、As);ジメチルドラジン(MeNNH);エチルアジド(Et−NNN);ヒドラジン(HNNH);MeSiN;MR(M=S、Se、Te;R=Me、Et、Bu、Bu等);HMR(M=S、Se、Te;R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);チオ尿素S=C(NH);セレノ尿素Se=C(NH)。Sn(CH)、Sn(C)、Sn(CH)(OOCH)であるが、これらに限定されない。
・配位化合物(coordination compounds):例えば、炭酸塩、MCO M=P、次炭酸ビスマス(BiO)CO;M(CO);アセテートM(CHCO) M=S、Se、Te;β−ジケトネート又はその誘導体、アセチルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)[CHC(O)=CHC(O)CHM M=B;[CHC(O)=CHC(O)CHM M=Sn、Pb;チオ尿素、セレノ尿素(HNC(=Se)NHであるが、これらに限定されない。
・無機塩:例えば、酸化物P、As、Sb、Sb、Sb、Bi、SO、SeO、TeO、SnO、PbO、PbO;硝酸塩Bi(NO)、Sn(NO)、Pb(NO)であるが、これらに限定されない。
・元素供給源:例えば、Sn、Ge、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Sn、Pb。
開示された方法によると、QDsは分子クラスター化合物の存在下で形成される。本明細書で使用される「分子クラスター(molecular cluster)」という語は、境界が明確で同一の分子集合体(molecular entities)を言うものとする。「分子クラスター」という語は、名称不明(anonymous nature)の分子クラスターを本質的に欠如する小さなQDの集合体を含まない。QDsの合成については以下に詳述するが、分子クラスターが粒子成長を開始させるためのテンプレートとして使用されることは留意されるべきである。分子クラスターを使用することにより、III−VをベースとするQDsを生成する従来の方法のような高温での核形成段階が不要になる。これは、大規模な合成が可能であることを意味する。
必ずしも必要というわけではないが、分子クラスター上でのコア半導体材料の成長を促進させるために、分子クラスター化合物及びコア半導体材料は親和性の結晶相を有するのが一般的には好ましい。例えば、分子クラスター化合物及びコア半導体材料は同じ結晶相を有してよい。以下に詳述される実施例においては、リン化インジウムをベースとするコア半導体QDsを成長させるために、硫化亜鉛をベースとする分子クラスターが用いられる。
特定の実施形態では、[HNEt[Zn10(SPh)16]等のII−VI分子クラスターを用いて、III−VQD材料及びそれらの合金の成長がシード(seed)される。その理由の一つは、既知のIII−V分子クラスターは極く僅かで、作るのが困難であり、通常、空気及び水分の影響を受けるからである。これに対し、II−VI分子クラスターの多くは、簡単な手順によって作られることが知られている。出願人は、III−VQDsが多くのII−VI分子クラスター上にシードされうることを見い出した。それゆえ、III−VQDsを成長させるためのIII−V分子クラスターは必要でないことが認識される。
1種類の材料(例えば、II−VIをベースとする材料)のクラスターが組み込まれたQDsと、クラスター上で成長した異なる種類の半導体材料(例えば、III−Vをベースとする材料)のコアは、量子収量に劣ることが予測されていたかもしれないが、驚くべきことに、得られたQDsは相対的に高い量子効率を有することが観察された。さらに、量子収量の更なる向上は、コアQDの表面を酸で洗浄すること及び/又はII−VI材料(例えばZnS)のようなシェル半導体材料の1又は2以上の更なる層の更をコア半導体材料上に成長させることにより達成され得ることがわかった。
<シーディングに用いられるクラスターの種類>
上述したように、クラスターは「エンブリオ型(embryo-type)」テンプレートとしてQDsの成長に作用し、これによって、他の分子前駆体がイオンを成長過程に提供し、次いでクラスターが成長して粒子になる。分子クラスターは、周期表の第12族から第1イオンを組み込み、周期表の第16族から第2イオンを組み込むことができる。第12族のイオンは、亜鉛、カドミウム、又は水銀から成るグループより選択されることができる。第16族のイオンは、硫黄、セレニウム、及びテルリウムから成るグループより選択されることができる。
使用できる分子クラスターIIB−VIBの例を以下に示すが、これらに限られるものではない。
・[{PPh}Hg}(SPh)
・(PhP)[(SEt)(Br)(HgBr)
・(PhP)[Hg(SEt)Br]
・[HgTe12][N(CHCHEt)
・[RMEBu] 但しM=Zn、Cd、Hg;E=S、Se、Te;R=Me、Et、Ph
・[X][E10(SR)16] 但しM=Zn、Cd、Hg;E=S、Se、Te、X=MeNH+、Li+、EtNH+[Cd3214(SPh)36]L;R=Me、Et、Ph
・[Hg10Se(SePh)(PPh Pr)
・[Hg32Se14(SePh)36
・[Cd10Se(SePh)12(PPr
・[Cd32Se14(SePh)36(PPh
・[M(SPh)12[X] 但しM=Zn、Cd、Hg;X=Me、Li
・[Zn(SEt)Et]10
・[MeMEiPr] 但しM=Zn、Cd、Hg;E=S、Se、Te
・[RCdSR’] 但しR=O(ClO)、R’=PPhPr
・[Cd10(E’Ph)12(PR] 但しE=Te、Se、S及びE’=Te、Se、S
・[CdSe(SePh)12Cl2−
・[MTe124− 但しM=Cd、Hg
・[Ph1218Cd10(PEt] 但しM=Te、Se
シーディング剤として用いられる分子クラスターは、予め製造されたものでもよいし、シーディング剤として作用する前に現場で作られることもできる。前駆体の中には、反応工程の初めに分子クラスターと一緒に存在しても存在しなくてもよいが、反応の進行に伴う温度の上昇と共に、追加の前駆体を周期的に反応物に加えることもできるし、溶液として液滴したり、ガスとしてバブリングしたり、固体として加えることもできる。
反応の途中で、反応溶液にホスフィンが加えられ、III−VQDsの成長が開始する。上述したように、ホスフィンガスは、シリンダーから直接バブリングされてもよいし、任意の適当な試剤を用いて副反応によって現場で生成してもよいし、ルイス酸又はルイス塩基に予め配位結合され、ルイス酸塩基付加物として加えてPHを現場で放出するようにしてもよい。最終的に望ましい収量のQDsを生成するのに必要なホスフィン及び他の前駆体は、その総量をQD成長が始まる前に加えてもよく、または、反応中の幾つかの段階に分けて加えてもよい。これらの分子源は定期的に反応溶液に加えることができるが、
それは、自由イオンの濃度が、オストワルド成長とQDサイズ範囲のデフォーカスが起こらない最小濃度に維持されるようにするためである。前駆体からQD材料への変換は、あらゆる適当な溶媒中で行われることができる。
幾つかの実施態様では、クラスター化合物の分子の完全性を維持することが重要である。したがって、クラスター化合物とQD前駆体が溶媒の中に入れられるとき、溶媒の温度は、一般的に、クラスター化合物の十分な溶解と混合が確実に行われる高い温度であるが(本発明の化合物が完全に溶解する必要はないが、そのほうが望ましい)、クラスター化合物の完全性を損なうほど高い温度ではない。クラスター化合物と前駆体化合物が溶媒中で十分に溶解すると、得られた溶媒の温度又は温度の範囲は、QDの成長を開始するのに十分に高い温度まで上昇するが、この温度は、クラスター化合物分子の完全性を損なうほどの温度ではない。幾つかの実施態様においては、温度が上昇するにつれて、更なる量の前駆体が、ホスフィンガスを通してバブリングすることにより、或は液体として滴下することにより、又は固体として反応物に加えられる。その後、溶液の温度は、望ましい特性を持つQDsを生成するのに必要な時間、前記温度又は温度範囲に維持されることができる。
粒子の核生成と成長が分離されるため、その工程中の粒子サイズは、反応温度及び前駆体の濃度を制御することにより、高度に制御されることができる。望ましい粒子サイズが得られたことが、現場で光プローブにより、又は反応溶液のアリコートから反応溶液のUV及び/又はPLスペクトルによって確認されると、混合物は、同じ温度又はそれより低い温度にて10分から144時間アニーリングされる。
QDsは、コア/シェル又はコア/マルチシェル粒子を形成するために更なる処理を行なうことができる。コア/シェル粒子の生成はQDの分離前又は分離後に行なわれ、これによりQDsは、反応物から分離され新たな(正常な)キャッピング剤の中で再び溶解される。キャッピング剤化合物は同じでも、異なるものでも、より高品質の量子ドットが得られる。シェル半導体前駆体は、上述したように、反応混合物に加えられる。
シェル形成プロセスは、標準の前駆体を用いて、所望のコアマルチシェル材料が形成されるまで繰り返し行なうことができる。粒子集合におけるQDsサイズ及びサイズ分布は、成長時間、温度、及び溶液中の反応物濃度に依存し、温度が高いほど大きいQDsが生成される。
全ての合成及び操作は、乾燥した無酸素窒素雰囲気中で、標準のシュレンク管(Schlenk)及びグローブ・ボックス技術を用いて行われた。溶媒は全ての分析グレードであり、使用前に適当な乾燥剤から蒸留された。全ての化学剤は分析グレードである。
<手順の概要>
図1は全般的な反応のメカニズムを示している。II−VIクラスター(例えば[HNEt[Zn10(SPh)16]、及び供給原料(feedstock)である少量の前駆体(例えばミリスチン酸インジウム等の第III族前駆体、及びPH等の第V族元素前駆体)を原料前駆体として使用し、溶媒及び/又はキャッピング剤を含む溶液に加えた。温度が上昇すると、次に反応液を第1の一定時間かき混ぜて、III−V粒子の生成を開始させる。
原料前駆体を両方とも更に加えると、量子ドットのUV発光最大である赤色へのシフトが現場のUVプローブによって観測される。この段階で更に前駆体を加えても、更なるUV最大の赤色へのシフトは起こらず、粒子はそれ以上成長しない。しかしながら、温度が(5℃〜40℃)上昇すると、UV最大は再び赤色へシフトする。前駆体が反応液に更に追加されると、UV最大の赤色へ再びシフトする。このような前駆体を追加して反応温度を上昇させる手順は、UV最大ピークが所望の発光を得られるまで繰り返されることができる。反応物は次に、冷却して温度を低下させて、更なる時間をかけてアニーリングされる。その後、II−VIクラスターが組み込まれたIII−VQDsは分離されることができる。なお、QDsのアニーリングは冷却することなく行なうこともできる。
<InPをベースとするQDsの調製>
50ミリリットル(mL)のTherminol 66と、0.75グラムのミリスチン酸と、5.87グラムのミリスチン酸インジウムとを、約100℃の温度で、Nでパージされ真空下で脱ガスされた丸底三つ口フラスコに入れた。次に、1.35グラムのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]をフラスコに加えた。次に、PHを、質量流量コントローラを通して10分間に5mLmin−1の割合で加えた。温度が160度に上昇すると、さらなる量のPHを、質量流量コントローラを通して13.5分間に5mLmin−1の割合で加えた。温度が190度に上昇すると、さらなる量のPHを、質量流量コントローラを通して18分間に5mLmin−1の割合で加えた。この温度を約16時間維持した後、溶液を室温まで冷却した。この過程により、InPをベースとするQDsがZnS分子クラスター上に形成され、これは図2(a)に示されている。
<InPをベースとするQDsの調製>
50mLのTherminol 66と、0.75グラムのミリスチン酸と、ミリスチン酸インジウム5.87グラムとを、約100℃の温度で、Nでパージされ真空下で脱ガスされた丸底三つ口フラスコに入れた。次に、1.35グラムのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]をフラスコに加え、真空下で10〜15分脱ガスし、Nでパージした。そして、PHを、分散管(dispersion tube)を通して10分間に5mLmin−1の割合で加えた。分散管は500mLmin−1の割合にてNで希釈される。温度が160度に上昇すると、さらなる量のPHを、200mLmin−1の割合にてNで希釈された分散管を通して38.5分間に5mLmin−1の割合で加えた。温度が195度に上昇すると、さらなる量のPHを、100mLmin−1の割合にてNで希釈された分散管を通して18分間に5mLmin−1の割合で加えた。この温度を約16時間維持した後、溶液を室温に冷却した。この過程により、InPをベースとするQDs(UV−visabs=454nm)が形成された。
<InPをベースとするQDsの調製>
50mLのTherminol 66と、0.75グラムのミリスチン酸と、ミリスチン酸インジウム5.87グラムとを、約100℃の温度にて、Nでパージされ真空下で脱ガスされた丸底三つ口フラスコに入れた。次に、1.35グラムのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]をフラスコに加え、真空下で10〜15分脱ガスし、Nでパージした。次に、PHを、分散管を通して10分間に5mLmin−1の割合で加えた。分散管は200mLmin−1の割合にてNで希釈された。温度が160度に上昇すると、さらなる量のPHを、200mLmin−1の割合にてNで希釈された分散管を通して38.5分間に5mLmin−1の割合で加えた。温度が195度に上昇すると、さらなる量のPHを、200mLmin−1の割合にてNで希釈された分散管を通して18分間に5mLmin−1の割合で加えた。この温度を約64時間維持した後、溶液を室温まで冷却した。この過程により、InPをベースとするQDs(UV−visabs=451nm)が形成された。
<InPをベースとするQDsの調製>
50mLのTherminol 66と、0.75グラムのミリスチン酸と、ミリスチン酸インジウム5.87グラムとを、約100℃の温度で、Nでパージされ真空下で脱ガスされた丸底三つ口フラスコに入れた。次に、1.35グラムのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]をフラスコに加え、真空下で10〜15分間脱ガスし、Nでパージした。そして、PHを、分散管を通して10分間に5mLmin−1の割合で加えた。分散管は50mLmin−1の割合にてNで希釈された。温度が160度に上昇すると、さらなる量のPHを、20mLmin−1の割合でNで希釈された分散管を通して38.5分間に5mLmin−1の割合で加えた。温度が195度に上昇すると、さらなる量のPHを、20mLmin−1の割合にてNで希釈された分散管を通して18分間に5mLmin−1の割合で加えた。この温度を約136時間維持した後、溶液を室温まで冷却した。この過程により、InPQDsがZnS分子クラスター上に形成された(UV−visabs=458nm)。得られたInPをベースとするQDsは酸で洗浄された。
<ZnSシェルの成長>
InPをベースとするコアは、溶液中で再び分散され、ZnSでシェルが形成され、安定性と量子収量は更に向上した。この過程によりInP/ZnSコアシェルQDsが得られた。これは図2(b)に示されている。
<オートクレーブを用いたQDsの大規模な調製>
合成は20Lのオートクレーブ内で行われた。4LのTherminol 66と、60.5gのミリスチン酸と、469.6gのミリスチン酸インジウムと、118.8gのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]とを110℃の真空下で脱ガスし、Nを用いて3回浄化した。80℃で、7.168LのPHを750mLmin−1の割合で加えた。温度は195℃(3時間)に上昇し、次に揮発性物質を除去した(1.5時間)。溶液は400rpmで120時間アニーリングした後、室温まで冷却した。この過程により、亜鉛及び硫黄でドーピングされたリン化インジウムQDsがII−VIクラスター上に形成された。
<ビストリメチルシリルスルフィド(TMS−S)を使用し、オートクレーブ内での2段階反応によるQDsの調製>
合成は1.3Lのオートクレーブ内で行われた。250mLのTherminol 66と、3.75gのミリスチン酸と、29.35gのミリスチン酸インジウムと、1.84gのZn(OAc)と、1.48gのMg(St)と、7.76gのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]とを、100℃の真空下で1時間脱ガスし、Nを用いて3回浄化し、1.43mLのTMS−Sを加えた。60℃で、560mLのPHを25mLmin−1の割合で加えた。温度は210℃に上昇し、溶液を20時間アニーリングした後、100℃まで冷却した。この温度で、0.71mLのTMS−Sを加え、次に280mLのPHを25mLmin−1の割合で加えた後、温度が210℃に戻された。溶液は400rpmで更に4時間アニーリングした後、室温まで冷却した。この過程により、亜鉛及び硫黄でドーピングされたリン化インジウムQDsがII−VIクラスター上に形成された。

Claims (18)

  1. 量子ドット(QD)ナノ粒子を調製するプロセスであって、コア半導体材料を分子クラスター化合物上に形成することを含み、前記形成は、分子クラスター化合物の存在下で1又は複数の半導体前駆体をホスフィンと反応させることによって行ない、前記コア半導体材料は、リンイオンと半導体前駆体によって供給される1又は複数のカウンターイオンとを含む、プロセス。
  2. コア半導体材料はIII−V半導体材料である、請求項1のプロセス。
  3. 半導体材料はIn、Ga、Al、又はBを含む、請求項1のプロセス。
  4. 半導体材料は、第IIA族、第IIB族、第IVA族、又は第VIA族の元素の1種又は2種以上を更に含む、請求項3のプロセス。
  5. 1又は複数の半導体前駆体は、III族−ホスフィン、III族−(TMS)、III族−アルキル、III族−アリール、III族−ハライド、III族−(ミリステート)、III族−(アセテート)、又はIII族−(アセチルアセトネート)である、請求項1のプロセス。
  6. 反応は、1又は複数の半導体前駆体、ホスフィン、及び分子クラスターが含まれる溶媒を第1の温度で加熱することを含む、請求項1のプロセス。
  7. 溶媒を第2の温度に加熱することを更に含む、請求項6のプロセス。
  8. 分子クラスター化合物はII−VI分子クラスター化合物である、請求項1のプロセス。
  9. 分子クラスター化合物は亜鉛及び硫黄を含む、請求項1のプロセス。
  10. 分子クラスター化合物は[HNEt[Zn10(SPh)16]である、請求項1のプロセス。
  11. 反応は、ガス状のホスフィンを、1又は複数の半導体前駆体及び分子クラスターが含まれる溶媒の中に供給することを含む、請求項1のプロセス。
  12. 反応は、ホスフィンの付加物を、1又は複数の半導体前駆体及び分子クラスターが含まれる溶媒の中で加熱することを含む、請求項1のプロセス。
  13. 反応は、金属リン化物又はホスフィンのルイス酸塩基付加物を、1又は複数の半導体前駆体及び分子クラスターが含まれる溶媒の中で加熱することを含む、請求項1のプロセス。
  14. 金属リン化物は、NaP、CaP、ZnP、又はAlPである、請求項13のプロセス。
  15. キャッピング剤をコア半導体材料の表面に結合させることを更に含む、請求項1のプロセス。
  16. 第1の半導体材料の表面に第2の半導体材料を形成することを更に含む、請求項1のプロセス。
  17. 第2の半導体材料はII−VI材料である、請求項16のプロセス。
  18. 第2の半導体材料はZnSである、請求項16のプロセス。
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