JP2016516669A - 転写因子atf5の阻害により腫瘍細胞を阻害するための組成物および方法 - Google Patents

転写因子atf5の阻害により腫瘍細胞を阻害するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、腫瘍を治療および/もしくは予防し、並びに/または新生細胞のアポトーシスを促進するための方法であって、ATF5の機能および/または活性を阻害することができる細胞透過性ドミナントネガティブATF5(「CP−d/n−ATF5」)と新生細胞を接触させることを含む方法に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は2013年2月22日に出願された米国仮特許出願第61/768,390号明細書の利益を主張するものであり、この米国仮出願は、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
特許に係る政府の権利に関する記載
本発明は、国立衛生研究所(National Institute of Health)からの助成金第RCA126924A号の下で、政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
1.背景技術
毎年、約100万人が癌と診断されており、あらゆる年齢の何百万もの米国人が現在、何らかの形の癌に罹患しながら生活している。一生の間に、米国人男性の2人に1人、また米国人女性の3人に1人が何らかの形の癌と診断される。毎年癌と診断される100万の米国人のうち、17,000人は脳腫瘍と診断される。脳腫瘍は正常組織に浸潤し、それを破壊して、感覚運動および認知機能の損傷、頭蓋内圧亢進、脳水腫、ならびに脳組織、脳神経、および大脳脈管の圧迫などの影響をもたらす。傾眠、嗜眠、鈍重、人格変化、異常行動、および心的能力の障害が、悪性脳腫瘍を有する患者の25%における初期症状である。脳腫瘍の治療は多くの場合多様的であり、腫瘍の病態および部位に依存する。悪性神経膠腫の場合、化学療法、放射線療法、および外科手術を含む集学的治療が、腫瘍容積の縮小を目的として用いられる。しかしながら、このようなアプローチにもかかわらず、これらの腫瘍に罹患した患者の予後は注意深く見守られる。化学療法、放射線療法、および外科手術の後の生存期間の中央値は、わずか約1年であり、2年間生存率はこれらの患者の25%のみである。
癌、特に既存の治療に抵抗性の脳腫瘍が蔓延することにより、ATF5を含む、神経細胞の細胞周期制御に影響を与える転写因子の同定が可能になった(非特許文献1)。ATF5は、塩基性ロイシンジッパー転写因子のうちの活性化転写因子/CREBファミリーに属している(非特許文献1;非特許文献2)。ATF5は、神経細胞および膠細胞系列の神経幹細胞および前駆細胞よって高度に発現され、これらが分化するとその発現は急減する(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。神経前駆細胞の構成的ATF5発現により、神経前駆細胞が細胞周期に留まり、その分化が遮断されるので(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)、GBMが神経幹細胞および前駆細胞に由来すると考えられる以上、GBMのATF5発現がアッセイされた(非特許文献6)。29個の切除したGBMの検査により、検査した9種のげっ歯類およびヒトのGBM系列すべてによる高度なATF5発現が明らかになった(非特許文献7)。これらの所見は確証されており、追加のデータにより、ATF5レベルとGBM予後との間に相関があることが示された(非特許文献8;非特許文献9)。
GBMにおけるATF5の役割を調べる目的で、ATF5機能を干渉するためにこのタンパク質のドミナントネガティブな阻害物質が作製され(非特許文献1、非特許文献7)、またその発現を停止させるためにsi/shRNAが開発された。ヒトおよびラットのGBM系列に関する培養実験では、d/n−ATF5およびATF5 si/shRNAが両方とも、大量のアポトーシス死をもたらすことがわかった(非特許文献7)。これに対して、ATF5+増殖性神経前駆細胞および星状細胞は、このアポトーシス反応を示さなかった。初期のインビボ試験において、d/n−ATF5は、レトロウイルスにより送達された場合、移植されたC6ラットGBM細胞から生成した腫瘍細胞を選択的かつ極めて高効率に死滅させるが、正常の増殖性脳細胞は死滅させないことが見出された(非特許文献7)。その後の試験では、PDGF−Bおよびp53 shRNAを発現するレトロウイルスよる感染により神経膠腫(低悪性度の神経膠腫からGBMまでの範囲の悪性度)が効率的に生成する成体マウスモデルが用いられた(非特許文献10)。ヒトGFAPプロモーターからd/n−ATF5を条件的に発現するように操作されたマウスを用いて(神経幹/前駆細胞、星状細胞、およびGBMで発現される)、d/n−ATF5を誘導すると、腫瘍の完全退縮/根絶および24匹の処置マウスすべての生存がもたらされた。同様に、PDGF−B/shRNA−p53レトロウイルスの注射前におけるd/n−ATF5の発現により、マウスの85.7%で腫瘍発生が防止された。これに対して、d/n−ATF5が誘導されなかったマウスについては、15/16が腫瘍を有し、40%が試験期間内に死亡した。正常細胞に対しては明白な影響はなかった(非特許文献10)。
Acharayら、J Struct Biol 155:130〜139(2006) Greeneら、J Neurochem 108:11〜22(2009) Angelastroら、J Neurosci 23:4590〜4600(2003) Angelastroら、J Neurosci 25:3889〜3899(2005) Masonら、Mol Cell Neurosci 29:372〜380(2005)) Tanakaら、Nat Rev Clin Oncol 10:14〜26(2012) Angelastroら、Oncogene 25:907〜916(2006) Dongら、J Neuropathol Exp Neurol 64:948〜955(2005) Shengら、Nat Med 16:671〜677(2010) Ariasら、Oncogene 31:739〜751(2012)
2.発明の概要
ある実施形態では、本発明は、腫瘍を治療および/もしくは予防し、並びに/または新生細胞のアポトーシスを促進するための方法であって、ATF5の機能および/または活性を阻害することができる細胞透過性ドミナントネガティブATF5(「CP−d/n−ATF5」)と新生細胞を接触させることを含む方法に関する。
ある実施形態では、新生細胞は、乳房、卵巣、子宮内膜、胃、結腸、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、精巣、皮膚(例えば、メラノサイト/メラノーマ細胞)、食道、舌、口、耳下腺、喉頭、咽頭、リンパ節、肺、血液(例えば、血液癌)、末梢神経系、および脳からなる群から選択される。ある実施形態では、新生細胞は、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、中皮腫、および神経芽細胞腫からなる群から選択される。ある実施形態では、新生細胞は、原発性または再発性の脳腫瘍に関連する。
ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、経口的、非経口的(例えば、皮下)、鼻腔内、および/または経皮的に投与される。
ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、ヒト、ラット、またはマウスのATF5ペプチド配列の一部またはそれらの組合せを含む。ある実施形態では、細胞透過性ドミナントネガティブATF5は、ロイシンジッパーを形成するペプチドおよび細胞透過性配列に連結された、下記の群
または
から選択される配列を含む。ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、下記の群
から選択される配列を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーであり、かつこの配列は、細胞透過性配列に(インフレームで)作動可能に連結される。ある実施形態では、細胞透過性ドミナントネガティブATF5は、下記の群
から選択される配列を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーであり、かつこの配列は、細胞透過性配列に作動可能に並列される。
ある実施形態では、細胞透過性ドミナントネガティブATF5は、下記の(1)〜(4)群
(ここで、下線付きの残基(MG〜HM)は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基(RQ〜KK)はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基(DY〜DK)はFLAGタグであり、フォント修飾のない残基(MA〜PD)はスペーサーアミノ酸であり、太字でイタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);
(ここで、下線付きの残基(MG〜LE)は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基(YG〜RR)はTAT配列であり、イタリック体の残基(YP〜YA)はHAタグであり、フォント修飾のない残基(MA〜PD)はスペーサーアミノ酸であり、太字でイタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);
(ここで、下線付きの残基(MG〜HM)は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基(RQ〜KK)はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);および
(ここで、太字の残基(RQ〜KK)はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである)
から選択される配列を含む。ある実施形態では、細胞透過性ドミナントネガティブATF5は化学合成される。
ある実施形態では、本発明はまた、腫瘍の治療および/もしくは予防に、並びに/または新生細胞のアポトーシスの促進に使用するためのキットに関する。本発明のさらなる態様は、以下の説明に照らして明らかになるであろう。
3.図面の簡単な説明
GFP−d/n−ATF5 C末端短縮融合タンパク質(GFP−d/n−ATF5−Tr)が、C6神経膠腫細胞において、完全長GFP−d/n−ATF5タンパク質と同レベルのアポトーシスを促進することを示す図である。C6細胞に、pQC−X−I−eGFPおよびpQC−d/n−GFPATF5、またはpQC−GFPATF5−trをトランスフェクトした。GFP+トランスフェクト細胞の凝縮アポトーシス核のパーセント(平均±標準誤差、n=4;条件当たり合計約200個の細胞をスコア化した)を2日後に決定した。スチューデントt検定;GFP+細胞対GFP−d/n−ATF5+細胞またはGFP−d/n−ATF5−tr細胞、(p<0.05);GFP−d/n−ATF5+細胞対GFP−d/n−ATF5−tr細胞(有意でない)。 細菌で発現させ精製した6xヒスチジン−Flag−タグ付きペネトラチン−Frag−D/N−ATF5−tr(Pen−d/n−ATF5−RP)および6xヒスチジン−Frag−タグ付きペネトラチン−Frag−対照(Pen−対照−RP)ペプチドの純度および分子特性を示す図である。(A)精製したPen−d/n−ATF5−RPおよびPen−対照−RP(1レーン当たり5μg)のクーマシー染色SDS−PAGE。分子量マーカーを左側に示し、各ペプチドの直鎖模式図を各レーンの上部に示す。精製は方法に記載のとおりであった。(B)精製したPen−d/n−ATF5−RPのLC−高分解能質量分析からのデコンボリューションした質量スペクトル。最も多い化学種は、ホルミルメチオニンのない12,948.88Daの単量体であり、次にホルミルメチオニンのある13,127Daの単量体(アイソフォーム)である。このスペクトルはまた、少量の25,897.5Daの二量体を示す。(C)ヒト血清におけるPen−d/n−ATF5−RPの安定性。Pen−d/n−ATF5−RP(36μM)をヒト血清(PBS中25%v/v)と共に、37℃で0〜48時間インキュベートした。種々の時点でアリコートを取り出し、Pen−d/n−ATF5−RPペプチドをSDS−PAGEにより分離し、PVDF膜に転写し、抗Flag抗体で探索した。抗Flagシグナルを、LiCorソフトを用いて近赤外線により検出し、Pen−d/n−ATF5−RPの予想サイズのバンドを濃度測定し、ImageJを用いて定量した。値は、平均±標準誤差、n=3である。 培養した神経膠芽腫細胞によるPen−d/n−ATF5−RPの取り込みおよび保持を示す図である。(A)200nMのPen−対照−RP(左)またはPen−d/n−ATF5−RP(右)のいずれかと共に4時間インキュベートしたC6ラット神経膠芽腫細胞の共焦点画像。細胞を洗浄し固定して、抗Flag(赤色)およびDAPI(青色)で染色した。スケールバー=2μm。(B)ラットC6およびヒトU87神経膠芽腫細胞を3μMのPen−d/n−ATF5−RPと共に表示時間インキュベートし、洗浄し固定して、抗Flag(緑色)およびDAPI(青色)で免疫染色した。スケールバー=5μm。 Pen−d/n−ATF5−RPが、C6神経膠芽腫細胞のアポトーシスを促進することを示す図である。C6細胞を3μMのPen−d/n−ATF5−RPまたは3μMのPen−対照−RPで処理したか、または無処理とした。細胞における凝縮アポトーシス核のパーセント(2つの独立した実験における平均±標準誤差;n=4;約200個の細胞をスコア化した)を5日後に決定した。スチューデントt検定;Pen−d/n−ATF5−RP対Pen−対照−RP細胞または無処理、(p<0.05);Pen−対照−RP細胞対無処理細胞(p=0.29)。 Pen−d/n−ATF5−RPが、マウス脳に侵入し、神経膠腫細胞の標的化アポトーシスを引き起こすことを示す図である。(A〜F)Pen−d/n−ATF5−RPの存在を示すためのFlag抗体または腫瘍を誘発するレトロウイルスの存在を同定するためのHA(赤色);アポトーシスを同定するためのTUNEL(緑色)および核を同定するDAPI(青色)で染色した代表的な脳切片。(A)Pen−d/n−ATF5−RPによる処置後24時間(最後の注射後16時間)のマウス脳腫瘍(レトロウイルス注射後52日目)。(B)(A)と同じマウスの正常な対側の大脳半球。(C)生理食塩水の注射後24時間のマウス脳腫瘍(レトロウイルス注射後59日目)。細胞内のPen−d/n−ATF5の存在は、処置マウス(A、B)対生理食塩水対照(C)における、Flag抗体染色の増大によって確認される。(B)および(C)に比較した場合、(A)におけるPen−d/n−ATF5−RPによる神経膠腫細胞特異的なアポトーシス誘導がTUNEL染色(緑色)により示される。(D)レトロウイルス注射後160日目およびPen−対照−RP注射後3日目の腫瘍含有脳切片のTUNELおよびDAPI染色。腫瘍細胞を同定するHA+細胞およびTUNEL染色の欠如に注目されたい。(E)(レトロウイルス注射後143日目)およびPen−d/n−ATF5−RP処置後3日目の腫瘍含有切片の(D)と同じ染色。HA+腫瘍細胞におけるTUNEL染色の存在ならびに(A)および(D)に比較して染色の断片化した外観に注目されたい。(F)レトロウイルス注射後150日目およびPen−d/n−ATF5−tr−RPの皮下注射による2回処置後2日目の腫瘍含有切片の(D)と同じ染色。断片化したPDGF−B−HAおよびTUNEL染色に関して、(E)との染色パターンの定性的な類似性に注目されたい。スケールバーは20μmに等しい。 投与後の種々の時点でのマウス脳におけるPen−d/n−ATF5−RPの保持を示す図である。マウスに、本文に記載するように、生理食塩水(A)またはPen−d/n−ATF5−RP(B、C)のいずれかを4回腹腔内注射した。最後の注射後40時間(A、B)または64時間(C)のいずれかで動物を屠殺し、その固定した脳の切片を抗Flag(赤色;Pen−d/n−ATF5−RPの視覚化)またはDAPI(青色;核の視覚化)のいずれかで染色した。(D)抗Flag免疫染色の濃度測定。ランダムな15ヶ所の0.176インチ平方面積の光学濃度(赤色チャンネル)を、画像のそれぞれで測定し、Image Jを用いて、平均±SDを求めた。スチューデントt検定;Pen−d/n−ATF5−RP(64時間)または(40時間)対生理食塩水(p<0.05)。スケールバーは10μmである。 SVZおよび海馬歯状回のヘマトキシリン‐エオジン染色によると、Pen−d/n−ATF5−RP処置マウスと無処置マウスにおいて、これらの構造間に検出可能な差がないことを示す図である。(A、A’)第2セットのPen−d/n−ATF5−RPによる皮下処置後183日目の担癌マウスの側脳室/SVZ(A)および海馬歯状回(A’)(同じマウスに関するさらに詳細なデータについては図S8も参照のこと)。(B、B’)Pen−d/n−ATF5−RPで処置されず、かつレトロウイルスも注射されなかった同年齢の対照マウスの側脳室/SVZ(B)および海馬歯状回(B’)。(C、C’)第2セット(第1セット後5日目に投与)のPen−d/n−ATF5−RPによる皮下処置後1日目の非担癌マウスの側脳室/SVZ(C)および海馬歯状回(C’)。(D、D’)同年齢の無処置非担癌対照マウスの側脳室/SVZ(D)および海馬歯状回(D’)。A〜Cのスケールは20μm、D〜Fについては50μmである。 Pen−対照−RPペプチドで処置されたマウス神経膠腫のMRIおよび組織病理学の例を示す図である。(A)PDGF−B−HA/sh−p53レトロウイルスを注射されなかった対照マウスの大脳の造影後3D FLASH MRI冠状断像。(B)PDGF−B−HA/shp53レトロウイルス注射後246日目およびPen−対照−RPペプチドの処置前の両側性腫瘍(白い造影)を示すマウス大脳の造影後3D FLASH MRI冠状断像。(C)(本文に記載のように)Pen−対照−RPペプチドによる皮下処置後40日目の同じマウス脳の造影後3D FLASH MRI冠状断像は腫瘍(矢印)の残存を示す。(D)パネル(C)の矢印で示す腫瘍含有領域における、同じマウス脳のヘマトキシリン‐エオジン染色切片。瀕死の状態のため、Pen−対照−RPペプチドによる第2の処置後116日目にマウスを屠殺した。腫瘍の存在は、高色素性核および高細胞充実性によって、両方の切片で示される。(E)パネル(C)で示す領域1および2の切片におけるHAタグの免疫染色により、誘導された腫瘍細胞においてウイルス送達PDGF−B−HAの存在が示される。(F)パネル(C)で示す領域1および2の切片の免疫染色により、腫瘍を示唆する高いKi67+/分裂細胞指数が示される。d〜fのスケールバーは20μmである。 MRIおよび組織診断により示されるように、Pen−d/n−ATF5−RPがマウス神経膠腫の迅速かつ長期の退縮/根絶を促進することを示す図である。(A)Pen−d/n−ATF5−RPによる処置(本文に記載するような)前および処置後種々の時点におけるマウス脳の造影後3D FLASH MRIスキャン。処置前は、PDGF−B−HA/shp53レトロウイルス注射後243日目の皮質画像を示す。黄色の矢印は、両側性腫瘍の位置を示す。マウス皮質の同じ位置の処置後画像は、Pen−d/n−ATF5−RPの第2の投与後の表示時間のものである。処置後画像の黄色の矢印は、最初の腫瘍の位置を示す。(B)第2のPen−d/n−ATF5−RP処置後192日目に摘出された同じマウス脳のヘマトキシリン‐エオジン染色画像。領域1は、(A)の最終時点で示される切片の位置であって、腫瘍が処置前に存在していた位置を示す。神経膠腫を特徴づける高色素性核および高細胞充実性がないことに注目されたい。(C)領域2(パネルAから/処置後176日目)のKi67染色。神経膠腫で観察されるKi67+/増殖細胞がないことに注目されたい。(D)領域1の切片のHA/DAPI染色。外来性PDGF−B−HAを発現する細胞がないことに注目されたい。(E)領域1の切片のGFAP/DAPI染色。腫瘍が前に存在した神経膠瘢痕の存在と一致するGFAP+細胞のクラスターに注目されたい。近接切片がHA染色されないことにより、腫瘍細胞が存在しないことが確認された。対角線の緑の縞は組織ひだによるものである。スケールバーは20μmである。 両側性腫瘍を有する無処置マウスのMRIおよび組織病理学画像を示す図である。中央のパネルは、PDGF−B−HA/shp53レトロウイルス注射後112日目の担癌マウス脳の造影後3D FLASH MRI画像を示す。パネル(A)および(B)は、腫瘍細胞示すHA染色および核を示すDAPI染色の切片画像を示す。文字を伴った、MRI上の黄色の矢印は、(A)および(B)で示すHA+切片の相対位置を示す。レトロウイルス注射はB側であった。スケールバーは20μmである。DAPI(40,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)。 MRIおよび組織診断により示されるように、Pen−d/n−ATF5−RPがマウス神経膠腫の迅速かつ長期の退縮/根絶を促進することを示す第2の例を示す図である。(A)Pen−d/n−ATF5−RPによる処置前および処置後種々の時点における、担癌マウス脳の造影後3D FLASH MRI画像。処置前冠状断像および横断像(PDGF−B−HA/shp53レトロウイルス注射後74日目)は、皮質内の多病巣性腫瘍(矢印)を示す。本文に記載するように、Pen−d/n−ATF5−RPによる2セットの皮下処置後8、21、および181日目の同じマウス脳の画像を示す。処置後8日目のシグナルの減少ならびに21および181日目の検出可能なシグナルの欠如に注目されたい。(A’、A”)腫瘍容積の評価により、Pen−d/n−ATF5−RP処置後8日目までにはシグナルが減少していることが確証される。処置前および処置後8日目の(A)と同じ画像であり、矢印が腫瘍増殖巣(黄色の円)を指しており、目的領域楕円柱ツール(黄色の円)を用いて腫瘍増殖巣の容積測定値を得た。処置前の場合、(A’)の計算容積は、増殖巣1、2、および3についてそれぞれ、0.597mm、0.164mm、および0.760mmである。処置後8日目(A”)の場合、同じ腫瘍の容積は、増殖巣1、2、および3についてそれぞれ、0.106mm、0.0302mm、および0.0895mmに減少した。処置後21日目では、腫瘍を視覚化して測定することができなかった。(B)同じ屠殺マウス脳のヘマトキシリン‐エオジン染色(処置後183日目;最初の腫瘍検出後190日目)により、検出可能な腫瘍のないことが確証された。矢印は、A’に示す腫瘍増殖巣1に対応する残存する瘢痕を指す。(C)同じ脳のHA免疫染色(PDGF−B−HAに対する)により、(A’)および(B)と同じ増殖巣1領域に検出可能な腫瘍細胞のないことが示される。(D)同じ脳の増殖巣1のGFAP免疫染色により、残存するGFAP+神経膠瘢痕が示される。(E)同じ脳の増殖巣1領域のKi67免疫染色により、分裂細胞のないことが示される。スケールバーはB〜Eについて20μmである。 Pen−d/n−ATF5−RPで処置された、神経膠腫を有するマウスについて、長期生存および腫瘍存在のアウトカムを示す図である。(A)Pen−d/n−ATF5−RP処置(本文に記載するように皮下送達)または無処置の神経膠腫を有するマウス(MRIにより確認)の生存期間。9匹の対照マウスのうち4匹の対照マウスをPen−対照−RPペプチドで処置し、5匹は無処置とした。実験終了点は、MRIによる最初の腫瘍検出後200日目とした。ログランク検定により行った生存率分析は、p値=0.0007を示した(http://in-silico.net/tools/statistics/survivor)。(B)本文に記載する、Pen−d/n−ATF5−RPによる皮下処置前後の担癌マウスのMRIアウトカム。後者の期間は、腫瘍処置後176〜225日間に及ぶ(腫瘍検出後183〜230日間)。(C)対照マウスおよびPen−d/n−ATF5−RP処置マウスの腫瘍についての脳組織病理学的アウトカム。すべての場合に、MRIにより、処置前における腫瘍の存在が確認された。対照動物は(A)に記載するとおりであり、死後(6匹の対照)、6ヶ月の実験終了点後(4匹の処置動物)、または腫瘍に無関係の健康問題のための屠殺後(2匹の処置動物)のいずれかで脳を摘出した。処置動物の場合、組織学的分析は、腫瘍惹起後260〜438日目(Pen−d/n−ATF5−RP投与後183〜259日目および最初の腫瘍検出後190〜305日目)に実施した。脳の切片を方法に記載のように調製し、ヘマトキシリン‐エオジンで染色し、Ki67およびHAについて免疫染色した(PDGF−B−HA+腫瘍細胞を同定するため)。腫瘍の存在/不在については、高色素性核、高細胞充実性、上昇したKi67染色およびHA免疫染色に基づいていた。 TAT−d/n−ATF5(TAT−ZIP)が培養メラノーマMEL501細胞のアポトーシス死を促進することを示す図である。TAT連結ドミナントネガティブATF5ペプチドを表示濃度(μM単位)でMEL501メラノーマ細胞の培地に加えた。4日後に細胞をHoescht色素で染色すると、細胞はアポトーシス核に比例して染色された。 TAT−d/n−ATF5(TAT−ZIP)が、培養U373神経膠芽腫細胞において、内因性ATF5の発現を低下させることを示す図である。TAT連結ドミナントネガティブATF5ペプチドを表示濃度(μM単位)でU373神経膠芽腫細胞の培地に1日17時間加え、次いで、細胞を回収して、ウエスタン免疫ブロッティングにより、内因性ATF5レベルを分析した。TAT−d/n−ATF5が内因性ATF5の発現を大幅に低下させることに注目されたい。腫瘍細胞が生存のために内因性ATF5を必要とすることが以前の試験で示されているので、細胞透過性TAT−ZIPペプチドの殺作用の機序は、内因性ATF5タンパク質の減少を原因とするものである可能性がある。TAT−ZIPペプチドが存在する場合、内因性ATF5上のスメアにも注目されたい。これは、TAT−ZIPが、内因性ATF5のユビキチン化およびプロテアソーム分解を引き起こすことによって内因性ATF5を減少させることを示唆する。 TAT−d/n−ATF5(TAT−ZIP)ペプチドが、種々の腫瘍細胞株において、細胞死促進遺伝子DDIT3(CHOP)の発現を誘導することを示す図である。細胞をTAT−d/n−ATF5で表示用量(μM単位)にて表示時間処理し、次いで、細胞を回収して、CHOPおよび他の非応答性タンパク質の発現についてウエスタン免疫ブロッティングにより分析した。すべての場合におけるCHOPの上昇に注目されたい。CHOPは細胞死を促進し得るので、これらのデータから、CHOPタンパク質の誘導が、TAT−d/n−ATF5が腫瘍細胞を死滅させる1つの機序である可能性が示される。 siRNAによるCHOPタンパク質のサイレンシング(上部のウエスタン免疫ブロット)により、TAT−d/n−ATF5ペプチドを原因とする死からU87細胞が部分的に保護されることを示す図である。CHOP発現をサイレンシングさせるsiCHOP(上部のウエスタン免疫ブロット)または対照siRNAで細胞を処置した。次いで、それらの細胞をTAT−d/n−ATF5に2日間曝露し、アポトーシス核を有する細胞の割合を評価した。これらのデータは、TAT−d/n−ATF5の腫瘍細胞を死滅させる機序の一部が、その後の死を媒介するCHOPの発現増大によるという考えを支持する。 TAT−d/n−ATF5がBCL2細胞生存タンパク質を下方制御することを示す図である。培養U87ヒト神経膠芽腫細胞を表示濃度(μM単位)のTATZIP(TAT−d/n−ATF5ペプチド)で30時間処理した。次いで、細胞を回収して、ウエスタン免疫ブロッティングにより細胞生存タンパク質BCL2の発現を評価した。これらの所見から、細胞死促進CHOPの上昇に加えて、TAT−d/n−ATF5は、BCL2細胞生存タンパク質のレベルを低下させることによって腫瘍細胞を死滅させる可能性も示される。 TAT−d/n−ATF5がテモゾロミド(TMZ)と相乗的に作用して、培養U87神経膠芽腫細胞を死滅させることを示す図である。致死量以下のTAT−d/n−ATF5(TZIP 1μM)およびTMZ(50μM)を個々にまたは併用して細胞に加え1日間培養し、次いで、アポトーシス核を有する細胞の割合を評価した。TMZは現在、ヒトGBMに対する第一選択治療である。このデータから、TAT−d/n−ATF5がTMZの存在下で機能するだけでなく、この2つの薬物が相乗的に作用してGBM細胞を死滅させることも明らかになる。これにより、TMZを服用している患者にTAT−d/n−ATF5を投与できることが示唆される。 3〜5日間の組換えTAT−d/n−ATF5(3μM)処置により、MTAアッセイにより証明されるように、2種のヒトGMB細胞株および1種のマウスGMB細胞株の生存率が低下することを示す図である。 合成PEN−d/n−ATF5処置により、MTAアッセイにより証明されるように、培養U87ヒト神経膠芽腫細胞の細胞生存率が低下することを示す図である。表示濃度(μM)での5日間処理。 組換えTAT−d/n−ATF5処置により、アネキシンV/PI染色およびフローサイトメトリーにより示されるように、培養U87ヒト神経膠芽腫細胞の死が促進されることを示す図である。生細胞の割合は、下方左四分区間で示される(対照88%対処理58%)。瀕死細胞の割合は、下方右四分区間および上方右四分区間である(対照9%対処理36%)。 合成PEN−d/n−ATF5が、培養物中でスフェアとして増殖する初代GS9−6ヒト神経膠芽腫幹細胞のアポトーシス死を促進することを示す図である。6日間の処置およびアネキシンV/PI染色およびフローサイトメトリーにより測定したデータ。 組換えPEN−d/n−ATF5が、培養物中でスフェアとして増殖する初代GS9−6ヒト神経膠芽腫幹細胞のアポトーシス死を促進することを示す図である。5日間の処置およびアネキシンV/PI染色およびフローサイトメトリーにより測定したデータ。
4.発明の詳細な説明
4.1 ATF5およびd/n−ATF5組成物
ATF5は、種々の腫瘍タイプにより広範に発現されている。具体的には、ATF5は、高度に増殖性の神経性腫瘍、例えば神経膠芽腫で発現されるだけでなく、必ずしも以下に限定されるものではないが、乳房、卵巣、子宮内膜、胃、結腸、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、精巣、皮膚、食道、舌、口、耳下腺、喉頭、咽頭、リンパ節、肺、血液癌、末梢神経系、および脳の腫瘍を含む、複数の異常増殖でも発現される。
本明細書で使用する場合、「ATF5」は、「ATF5タンパク質」と「ATF5アナログ」の両方を含む。別段の指示がない限り、「タンパク質」は、タンパク質、タンパク質ドメイン、ポリペプチド、またはペプチド、およびそれらの任意のフラグメントを含むものとする。ATF5タンパク質は、NCBI受託番号NP_001180575(ヒトATF5)またはNCBI受託番号NP_109618(マウスATF5)に示すアミノ酸配列を、その保存的置換を含めて有する。本明細書で使用する場合、「保存的置換」とは、同様の極性または立体配置を有するため、または置換された残基と同じクラス(例えば、疎水性、酸性、または塩基性)に属するため、置換されたアミノ酸残基に機能的に等価であるアミノ酸の置換である。以下に記載するように、ウエスタン免疫ブロッティングにより、主要な細胞形態のATF5タンパク質の同定が可能になっている。ATF5 cDNA配列からは、約30および20kDaのタンパク質をもたらすことになる2つの可能なインフレームメチオニン開始部位が予測される。細胞内のATF5の主要形態が20〜22kDaの見かけの分子量を有するという観察は、第2の部位の利用が好まれることを示す。標準的なKozak開始コンセンサス配列が最初のメチオニンの上流に含まれていた場合には、より大きなタンパク質が発現されたので、22kDa形態が30kDa前駆体の切断により形成されたものではないことが示される。したがって、本発明のATF5タンパク質は、その22kDa異性体と30kDa異性体の両方をさらに含む。
「ATF5アナログ」とは、本明細書で使用する場合、ATF5生物活性を有し、ATF5タンパク質と60%以上(ある実施形態では、70%以上または80%以上または90%以上または95%以上)のアミノ酸配列相同性を有する、ATF5タンパク質の機能的変異体である。さらに本明細書で使用する場合、「ATF5生物活性」という用語は、親和性は天然ATF5と異なっていることもあるが、本明細書に記載するアッセイ条件下で、CREと物理的に会合するかまたはそれと結合する(すなわち、陰性対照のバックグラウンド結合を超えて、約2倍、またはより好ましくは約5倍の結合)、ATF5タンパク質またはATF5アナログの活性を指す。
当業者は、ATF5のアミノ酸残基の番号付けが本明細書に示すものと異なり得ること、または本明細書に記載するものと同じATF5−CRE会合活性をもたらす特定の保存的アミノ酸置換を含有し得ることを理解している。他のアイソフォームまたはアナログ中の対応するアミノ酸および保存的置換は、関連するアミノ酸配列の目視検査により、または市販の相同性ソフトウエアプログラムの使用により、容易に同定される。
実施例の部で概説するように、ATF5の機能および/または活性が干渉されると、インビトロおよびインビボにおける多形性神経膠芽腫腫瘍(GBM)のアポトーシスが促進される。さらに、他の癌腫タイプにおいてATF5機能および/または活性が選択的に干渉されると、細胞死が誘発されることが示される。また培養試験および動物試験から、転写因子ATF5がGBM細胞の生存に必要とされること、およびCP−d/n−ATF5による限定的な皮下処置により、明白な毒性または副作用を示すことなく、内因性神経膠腫のマウスモデルにおいて明白な腫瘍根絶がもたらされることが示される。添付する例において強調するように、CP−d/n−ATF5の投与による、そのようなATF5干渉の効果は、ATF5の機能および/または活性が干渉されると、新生細胞に細胞死の増大がもたらされるが、正常細胞ではそうではないという点で、実際特異的である。
本明細書で使用する場合、「ドミナントネガティブATF5」または「d/n−ATF5」とは、ヒトATF5アミノ酸配列の一部を含むペプチドである。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGG AAGCGCGCAACCGCGAACTGAAAGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、
を含む。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGAAAGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGCGCGCGAAAACGAAGAACTGCTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGAAAGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAACAGCGCGCGGA AGAACTGGCGCGCGAAAACGAAGAACTGCTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGAAAGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAACAGCGCGCGGAAGAACTGGCGCG CGAAAACGAAGAACTGCTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGAAAGAACGCGCGGAAAGCGTGTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、ATF5ロイシンジッパー配列LEGECQGLEARNRELKERAESVを含むd/n−ATF5は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24個の追加のC末端ATF5ロイシンジッパー残基をさらに含む。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、前述のペプチド配列の1つからなる。
本明細書で使用する場合、「ドミナントネガティブATF5」または「d/n−ATF5」とは、ラットまたはマウスのATF5アミノ酸配列の一部を含むペプチドである。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGG CCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGCGCGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAAAAAGAAGCG GAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGCGCGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGCGCGCGAAAACGAAGAAC TGCTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGCGCGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAACAGCGCGCGGAAGAACTGGCGCGCGAAAACGAA GAACTGCTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGCGCGAACGCGCGGAAAGCTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、下記の配列
を含み、ここで、下線付きの配列はドミナントネガティブ配列であり、配列の残りの部分はATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、d/n−ATF5は、配列CTGGAACAGCGCGCGGAAGAACTGGCGCGCGAAAACGAAGA ACTGCTGGAAAAAGAAGCGGAAGAACTGGAACAGGAAAACGCGGAACTGGAAGGCGAATGCCAGGGCCTGGAAGCGCGCAACCGCGAACTGCGCGAACGCGCGGAAAGCGTGTAAを含む核酸によりコードされる。ある実施形態では、ATF5ロイシンジッパー配列LEGECQGLEARNRELRERAESVを含むd/n−ATF5は、配列EREIQYVKDLLIEVYKARSQRTRSのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24個の追加のC末端ATF5ロイシンジッパー残基をさらに含む。ある実施形態では、d/n−ATF5ペプチドは、前述のペプチド配列の1つからなる。
本明細書で使用する場合、「細胞透過性ペプチド」または「CP」とは、細胞の形質膜および/または核膜を横断する膜透過性複合体の輸送に関連したエネルギー非依存性(すなわち、非エンドサイトーシス)移行特性を付与する短いアミノ酸配列(例えば、ある実施形態では、約12〜30残基)または機能モチーフを含むペプチドである。そのような特性を付与する代表的なアミノ酸モチーフは、米国特許第6,348,185号明細書に記載されており、その内容は、参照により明示的に本明細書に援用される。本発明の細胞透過性ペプチドとしては、好ましくは、以下に限定されるものではないが、ペネトラチン1、トランスポータン、pIsl、TAT(48〜60)、pVEC、MTS、およびMAPが挙げられる。
本発明の細胞透過性ペプチドには、同定された細胞透過性ペプチドの特定の構造的および機能的特徴を保持するが、1つまたは複数の位置で同定されたペプチドのアミノ酸配列とは異なる配列が含まれる。そのようなポリペプチド変異体は、当技術分野で公知の方法によって、最初の配列からアミノ酸残基を置換、欠失、付加することにより作製することができる。
ある実施形態では、そのような実質的に同様の配列には、ポリペプチドアポトーシス標的阻害物質に関して上記に記載する保存的なアミノ酸置換を組み込んだ配列が含まれる。ある実施形態では、本発明の細胞透過性ペプチドは、同定されたペプチドのアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性があり、かつ細胞透過を媒介することができる。細胞透過を媒介する合成ペプチドの能力に対するアミノ酸置換の影響は、以下の実施例の部に開示する方法を用いて試験することができる。
本発明のある実施形態では、細胞透過性ペプチドは、ペプチド配列RQIKIWFQNRRMKWKKを含むペネトラチン1またはその保存的変異体である。本明細書で使用する場合、「保存的変異体」とは、細胞透過性ペプチドの形状−−または、したがって生物活性(すなわち、輸送活性)もしくは膜毒性−−に悪影響を及ぼさない、1つまたは複数のアミノ酸置換を有するペプチドである。
ペネトラチン1は、ドロソフィラ・アンテナペディア(Drosophila antennapedia)のホメオドメインの第3のαヘリックスに由来する16アミノ酸ポリペプチドである。その構造および機能は、十分に研究され特徴づけられている:Derossiら、Trends Cell Biol.、8(2):84〜87、1998;Dunicanら、Biopolymers、60(1):45〜60、2001;Hallbrinkら、Biochim.Biophys.Acta、1515(2):101〜09、2001;Boltonら、Eur.J.Neurosci.、12(8):2847〜55、2000;Kilkら、Bioconjug.Chem.、12(6):911〜16、2001;Bellet−Amalricら、Biochim.Biophys.Acta、1467(1):131〜43、2000;Fischerら、J.Pept.Res.、55(2):163〜72、2000;Thorenら、FEBS Lett.、482(3):265〜68、2000。
ペネトラチン1は、63kDaタンパク質であるアビジンをヒトBowesメラノーマ細胞の中に効率的に輸送することが示されている(Kilkら、Bioconjug.Chem.、12(6):911〜16、2001)。加えて、ペネトラチン1およびその積荷の輸送は、非エンドサイトーシスでかつエネルギー非依存的であり、受容体分子またはトランスポーター分子に依存しないことが示されている。さらに、ペネトラチン1が純粋な脂質二重層を横断できることが知られている(Thorenら、FEBS Lett.、482(3):265〜68、2000)。この特徴により、ペネトラチン1はその積荷を、細胞−表面−受容体/−トランスポーターアベイラビリティに制限されることなく、輸送することができる。送達ベクターは、あらゆる細胞タイプに侵入すること(Derossiら、Trends Cell Biol.、8(2):84〜87、1998)、およびペプチド(Troyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:5635〜40、1996)またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(Troyら、J.Neurosci.、16:253〜61、1996;Troyら、J.Neurosci.、17:1911〜18、1997)を効率的に送達することが示されている。
ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、ラットd/n−ATF5配列に作動可能に連結されたペネトラチン配列を含むペプチドである。ある実施形態では、CP−d/n−ATF5ペプチド配列は、
であり、ここで、下線付きの残基は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基はFLAGタグであり、フォント修飾のない残基はスペーサーアミノ酸であり、太字でイタリック体の残基はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、配列ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGCGTCAAATTAAAATTTGGTTTCAAAATCGTCGTATGAAATGGAAAAAAGACTACAAGGACGATGATGACAAAATGGCATCTATGACTGGAGGACAACAAATGGGAAGAGACCCAGACCTCGAACAAAGAGCAGAAGAACTAGCAAGAGAAAACGAAGAACTACTAGAAAAAGAAGCAGAAGAACTAGAACAAGAAAATGCAGAGCTAGAGGGCGAGTGCCAAGGGCTAGAGGCGCGGAATCGGGAGCTGAGGGAGAGGGCAGAGTCAGTGTAGを含む核酸によりコードされる。
本発明の他の非限定的な実施形態は、以下の例示的な細胞浸透性分子:わずかに異なる物理的性質を有する、ペネトラチン1に由来した配列であるRL16(H−RRLRRLLRRLLRRLRR−OH)(Biochim Biophys Acta.2008 Jul−Aug;1780(7−8):948〜59);およびニューロンを標的にする狂犬病ウイルス配列であるRVGRRRRRRRRR(P.Kumar、H.Wu、J.L.McBride、K.E.Jung、M.H.Kim、B.L.Davidson、S.K.Lee、P.Shankar、およびN.Manjunath、Transvascular delivery of small interfering RNA to the central nervous system、Nature 448(2007)、pp.39〜43を参照のこと)の使用を含む。
本発明の特定の代替的非限定的実施形態では、細胞透過性ペプチドは、トランスポータン、pISl、Tat(48〜60)、pVEC、MAP、およびMTSからなる群から選択される細胞透過性ペプチドである。トランスポータンは、神経ペプチドであるガラニンのアミノ末端に由来する12個の機能的なアミノ酸と、リジンにより連結された、カルボキシル末端にあるマストパランの14残基配列とを含有する27アミノ酸長のペプチドである(Poogaら、FASEB J.、12(1):67〜77、1998)。それは、アミノ酸配列GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKIL、またはその保存的変異体を含む。
pIslは、ラットインスリン1遺伝子エンハンサータンパク質のホメオドメインの第3ヘリックスに由来する(Magzoubら、Biochim.Biophys.Acta、1512(1):77〜89、2001;Kilkら、Bioconjug.Chem.、12(6):911〜16、2001)。pIslは、アミノ酸配列PVIRVW FQNKRCKDKK、またはその保存的変異体を含む。
Tatは、86〜102アミノ酸の転写活性化ファクターであり、HIV感染細胞の形質膜を横断して移行し、ウイルスゲノムをトランス活性化することが可能である(Hallbrinkら、Biochem.Biophys.Acta.、1515(2):101〜09、2001;Suzukiら、J.Biol.Chem.、277(4):2437〜43、2002;Futakiら、J.Biol.Chem.、276(8):5836〜40、2001)。残基48〜60にわたる小さなTatフラグメントが、核内移行の原因であるとわかり(Vivesら、J.Biol.Chem.、272(25):16010〜017、1997)、それは、アミノ酸配列:YGRKKRRQRRR;GRKKRRQRRRPPQ;またはその保存的変異体を含む。
ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、ラットd/n−ATF5配列に作動可能に連結されたTAT配列を含むペプチドである。ある実施形態では、CP−d/n−ATF5ペプチド配列は、
であり、ここで、下線付きの残基は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基はTAT配列であり、イタリック体の残基はHAタグであり、フォント修飾のない残基はスペーサーアミノ酸であり、太字でイタリック体の残基はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである。ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、配列ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGCTCGAGTACGGCCGCAAGAAACGCCGCCAGCGCCGCCGCTATCCATATGACGTCCCAGACTATGCTATGGCATCTATGACTGGAGGACAACAAATGGGAAGAGACCCAGACCTCGAACAAAGAGCAGAAGAACTAGCAAGAGAAAACGAAGAACTACTAGAAAAAGAAGCAGAAGAACTAGAACAAGAAAATGCAGAGCTAGAGGGCGAGTGCCAAGGGCTAGAGGCGCGGAATCGGGAGCTGAGGGAGAGGGCAGAGTCAGTGTAGを含む核酸によりコードされる。
pVECは、アミノ酸615〜632にわたる、細胞接着分子である血管内皮カドヘリンのマウス配列に由来する18アミノ酸長のペプチドである(Elmquistら、Exp.Cell Res.、269(2):237〜44、2001)。pVECは、アミノ酸配列LLIILRRRIRKQAHAH、またはその保存的変異体を含む。
MTS、すなわち膜移行配列は、さらなるプロセシングのために適切な細胞小器官に新生翻訳産物を向ける役割を担うアクセプタータンパク質によって認識される、特定のペプチドの一部分である(Lindgrenら、Trends in Pharmacological Sciences、21(3):99〜103、2000;Brodsky、J.L.、Int.Rev.Cyt.、178:277〜328、1998;Zhaoら、J.Immunol.Methods、254(1〜2):137〜45、2001)。特に関連するMTSは、ウイルスgp41タンパク質の疎水性末端ドメインとシミアンウイルス40大型抗原由来の核移行シグナルとのキメラであるMPSペプチドであり、それは、温度に依存せずに内部移行され、オリゴヌクレオチドの担体として機能する、核移行シグナルと膜移行配列との1つの組合せを表す(Lindgrenら、Trends in Pharmacological Sciences、21(3):99〜103、2000;Morrisら、Nucleic Acids Res.、25:2730〜36、1997)。MPSは、アミノ酸配列GALFLGWLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、またはその保存的変異体を含む。
モデル両親媒性ペプチド、すなわちMAPは、その基本的な特徴として、ヘリックス型両親媒性および少なくとも4つの完全なヘリックスターンの長さを有する一群のペプチドを形成する(Schellerら、J.Peptide Science、5(4):185〜94、1999;Hallbrinkら、Biochim.Biophys.Acta.、1515(2):101〜09、2001)。例示的なMAPは、アミノ酸配列KLALKLALKALKAALKLAアミド、またはその保存的変異体を含む。
ある実施形態では、上記の細胞透過性ペプチドは、例えばペプチド結合を介して、d/n−ATF5に共有結合される。ある実施形態では、細胞透過性ペプチドは、組換えDNA技術によってd/n−ATF5に作動可能に連結される。例えば、d/n−ATF5は、目的の細胞透過性ペプチドをコードする核酸配列の上流(細胞透過性ペプチドのアミノ末端への連結)もしくは下流(細胞透過性ペプチドのカルボキシ末端への連結)のいずれかに、またはその両方に導入することができる。d/n−ATF5をコードする核酸配列と細胞透過性ペプチドをコードする核酸配列との両方を含むそのような融合配列は、当技術分野で周知の技術を用いて発現させることができる。
ある実施形態では、d/n−ATF5は、非共有結合を介して細胞透過性ペプチドに作動可能に連結することができる。ある実施形態では、そのような非共有結合は、イオン相互作用、疎水的相互作用、水素結合、またはファンデルワールス力によって媒介される。
ある実施形態では、d/n−ATF5は、化学的リンカーを介して細胞透過性ペプチドに作動可能に連結される。そのような連結の例では、典型的には、C、N、O、S、およびPからなる群から選択される1〜30個の非水素原子が組み込まれる。例示的なリンカーとしては、以下に限定されるものではないが、置換アルキルまたは置換シクロアルキルが挙げられる。あるいは、異種構造部分は、細胞透過性ペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端に直接結合させることができる(リンカーが単結合である場合)。リンカーが共有単結合でない場合、リンカーは、場合によっては単、二重、三重、または芳香族炭素−炭素結合、ならびに炭素−窒素結合、窒素−窒素結合、炭素−酸素結合、イオウ−イオウ結合、炭素−イオウ結合、リン−酸素結合、リン−窒素結合、および窒素−白金結合を含む、安定な化学結合の任意の組合せであってよい。ある実施形態では、リンカーは、20個未満の非水素原子を組み込んでおり、エーテル、チオエーテル、尿素、チオ尿素、アミン、エステル、カルボキシアミド、スルホンアミド、ヒドラジドの結合、および芳香族またはヘテロ芳香族の結合の任意の組合せで構成される。ある実施形態では、リンカーは、炭素−炭素単結合とカルボキシアミド、スルホンアミド、またはチオエーテルの結合との組合せである。
連結のための一般的な戦略には、細胞透過性ペプチド成分とd/n−ATF5成分とを別々に調製することが含まれ、それぞれは、その2つの間の連結を可能にする適切な反応性基で修飾または誘導体化される。次いで、細胞透過性ペプチドとd/n−ATF5との間に共有結合が生成するように、修飾されたd/n−ATF5は、連結用に調製された細胞透過性ペプチドと一緒に、十分な時間(および温度、pH、モル比等の適切な条件下で)インキュベートされる。
本発明は、例えば化学的手段またはmRNAのインビトロ翻訳による、インビトロでのポリペプチドの合成によって作製されたタンパク質およびタンパク質アナログの使用を企図する。例えば、ATF5およびその阻害物質は、当業者に一般に知られる方法により合成することができる(ペプチド及びアミノ酸分析の現代技術(Modern Techniques of Peptide and Amino Acid Analysis)(New York:John Wiley & Sons、1981);Bodansky,M.、ペプチド合成の原理(Principles of Peptide Synthesis)(New York:Springer−Verlag New York、Inc.、1984)。アミノ酸配列およびアミノ酸配列のアナログの合成に用いることができる方法の例としては、以下に限定されるものではないが、固相ペプチド合成、液相ペプチド合成、および市販の任意のペプチド合成機を用いる合成が挙げられる。本発明のアミノ酸配列は、タンパク質配列の合成に用いられ、かつ当業者に周知であるカップリング剤および保護基を含有してもよい。
本明細書で使用する場合、「アミノ酸残基」、「アミノ酸」、または「残基」には、遺伝コード化アミノ酸残基および非遺伝コード化アミノ酸残基が含まれ、例えば、非遺伝コード化アミノ酸残基または非天然アミノ酸としては、以下に限定されるものではないが、天然キラルアミノ酸のD−エナンチオマー、β−アラニン(β−Ala);2、3−ジアミノプロピオン酸(Dpr);ニペコ酸(Nip);ピペコリン酸(Pip);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t−ブチルアラニン(t−BuA);2−t−ブチルグリシン(t−BuG);N−メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(PhG);シクロヘキシルアラニン(ChA);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);4−クロロフェニルアラニン(Phe(4−Cl));2−フロロフェニルアラニン(Phe(2−F));3−フロロフェニルアラニン(Phe(3−F));4−フロロフェニルアラニン(Phe(4−F));ペニシラミン(Pen);1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Tic);β−2−チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(MSO);ホモアルギニン(hArg);N−アセチルリジン(AcLys);2,4−ジアミノ酪酸(Dbu);2,3−ジアミノ酪酸(dab);p−アミノフェニルアラニン(Phe(pNH2));N−メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys)、ホモフェニルアラニン(hPhe);ホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp);ホモプロリン(hPro);ならびに前述のそれぞれの対応するD−エナンチオマー、例えば、D−β−Ala、D−Dpr、D−Nip、D−Orn、D−Cit、D−t−BuA、D−t−BuG、D−MeIle、D−PhG、D−ChA、D−Nle、D−NaI、D−Phe(4−Cl)、D−Phe(2−F)、D−Phe(3−F)、D−Phe(4−F)、D−Pen、D−Tic、D−Thi、D−MSO、D−hArg、D−AcLys、D−Dbu、D−Dab、D−Phe(pNH2)、D−MeVal、D−hCys、D−hPhe、D−hSer、D−Hyp、およびD−hProが挙げられる。さらなる非遺伝コード化アミノ酸残基としては、3−アミノプロピオン酸;4−アミノ酪酸;イソニペコチン酸(Inp);アザ−ピペコリン酸(azPip);アザ−プロリン(azPro);α−アミノイソ酪酸(Aib);ε−アミノヘキサン酸(Aha);δ−アミノバレリン酸(Ava);N−メチルグリシン(MeGly)が挙げられる。
ある実施形態では、細胞透過性ドミナントネガティブATF5は、下記の群
(ここで、下線付きの残基(MG〜HM)は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基(RQ〜KK)はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基(DY〜DK)はFLAGタグであり、フォント修飾のない残基(MA〜PD)はスペーサーアミノ酸であり、太字でイタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);
(ここで、下線付きの残基(MG〜LE)は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基(YG〜RR)はTAT配列であり、イタリック体の残基(YP〜YA)はHAタグであり、フォント修飾のない残基(MA〜PD)はスペーサーアミノ酸であり、太字でイタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);
(ここで、下線付きの残基(MG〜HM)は6XHisタグリーダー配列であり、太字の残基(RQ〜KK)はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);および
(ここで、太字の残基(RQ〜KK)はペネトラチン配列であり、イタリック体の残基(LE〜AE)はd/n配列であり、かつ太字で下線付きの残基(LE〜SV)はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである)
から選択される配列を含む。ある実施形態では、細胞透過性ドミナントネガティブATF5は化学合成される。
4.2 d/n−ATF5組成物の使用
本明細書に記載する方法に従うと、細胞のATF5の機能または活性を無効、破壊、または不活性化することによって、細胞においてATF5を阻害することができる。例えば、細胞のATF5の機能または活性は、細胞の天然ATF5の機能または活性を阻害することができるドミナントネガティブATF5分子を与えることにより阻害することができる。ある実施形態では、d/n−ATF5はCP−d/n−ATF5である。
ある実施形態では、細胞のATF5の機能または活性は、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上(明示的に列挙された値の間の中間の範囲、例えば、5〜10%、10〜20%、20〜30%、40〜50%、または50%〜100%を含む50%超を包含する)阻害される。ある実施形態では、ATF5の機能または活性は、ATF5の発現の阻害により低下する。そのような発現は、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上(明示的に列挙された値の間の中間の範囲、例えば、5〜10%、10〜20%、20〜30%、40〜50%、または50%〜100%を含む50%超を包含する)阻害することができる。ある実施形態では、図11に概略を示すように、発現は60%、80%、または90%低下する。
ある実施形態では、本発明は、治療を必要とする被験体の腫瘍を治療または予防するための方法であって、CP−d/n−ATF5を含み、場合によっては薬学的に許容される担体も含む医薬組成物を被験体に投与することを含む方法を提供する。CP−d/n−ATF5は、組成物が投与される被験体の腫瘍を治療するために有効な量で提供される。本明細書で使用する場合、「有効な」という語句は、腫瘍の臨床的な障害または症状を寛解するかまたは最小限に抑えるために有効であることを示す。例えば、腫瘍の臨床的障害または症状は、被験体が受けるいかなる疼痛または不快感も低減することによって;そのような治療が受けない場合に予想される生存期間を超えて、被験体の生存期間を延長することによって;腫瘍の発生または拡散を阻害または予防することによって;または腫瘍中の細胞の成熟および増殖を制限、停止、終結、もしくは制御することによって、寛解するかまたは最小限に抑えることができる。治療を必要とする被験体の腫瘍を治療するために有効なCP−d/n−ATF5の量は、腫瘍のタイプ、腫瘍のステージ、被験体の体重、被験体の病態の重症度、および投与の方法を含む、各症例の特定の要因に応じて異なることになる。この量は、当業者により容易に決定することができる。
本明細書で使用する場合、「腫瘍」という用語は、病的な細胞増殖を指し、異常増殖を含む。「異常増殖」という用語および本明細書でさらに使用するその関連用語は、正常細胞の増殖を誘発しないかまたはその休止を引き出すであろう条件下における、腫瘍細胞の無制御かつ進行性の増殖を指す。異常増殖は「新生物」の形成をもたらすが、新生物は、細胞の増殖が無制御で進行性である、新たで異常な任意の増殖物、特に組織の新たな増殖物を意味するように本明細書で定義される。本明細書で使用する場合、新生物は、限定されるものではないが、同じタイプの組織の正常な増殖と比較した場合の、被験体の組織細胞の形態学的な不規則性および被験体の組織細胞の病的な増殖を含む。加えて、新生物には、良性腫瘍および悪性腫瘍が含まれる。悪性新生物は、良性新生物とは、前者がより高度の退形成、または細胞の分化および配向性の消失を示す点で識別され、浸潤および転移の特性を有する。したがって、異常増殖は、血液癌を含む「癌」を含むが、本明細書では、無秩序な増殖、分化の欠如、局所的組織浸潤、および転移をもたらす、正常な制御の消失という特有の形質を有する腫瘍細胞の増殖を指す。
加えて、本明細書で使用する場合、「神経性腫瘍」という用語は、神経細胞の腫瘍形成形態(すなわち、形質転換した神経細胞)を指し、星状細胞腫細胞(すなわち、限定されるものではないが、悪性度I〜IVの星状細胞腫、未分化星細胞腫、星膠芽細胞腫、原線維性星状細胞腫、原形質性星状細胞腫、大円形細胞性星状膠腫、および多形性神経膠芽腫を含む、あらゆる星状細胞腫の細胞)、神経膠腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、および他の脳腫瘍を含む。脳腫瘍は正常組織に浸潤し、それを破壊し、感覚運動および認知機能の損傷、頭蓋内圧亢進、脳水腫、ならびに脳組織、脳神経、および大脳脈管の圧迫などの影響をもたらす。転移は、頭蓋骨またはいかなる頭蓋内構造も関与する。サイズ、位置、増殖速度、および組織学的悪性度により、脳腫瘍の重篤度が決定される。非悪性腫瘍は、ゆっくり増殖し、有糸分裂がほとんどなく、また壊死も血管増殖もない。悪性腫瘍は、より迅速に増殖し、他の組織に浸潤する。しかしながら、悪性腫瘍は、局所的な増殖により死に至らせるため、CNSを超えて拡散することはめったにない。
脳腫瘍は、部位(例えば、脳幹、小脳、大脳、脳神経、上衣、髄膜、神経膠細胞、松果体領域、脳下垂体、および頭蓋骨)によって、または組織学的タイプ(例えば、髄膜腫、一次CNSリンパ腫、または星状細胞腫)によって分類することができる。一般的な原発性小児腫瘍は、小脳星細胞腫および髄芽腫、上衣腫、脳幹の神経膠腫、神経芽細胞腫、ならびに先天性腫瘍である。成人では、原発性腫瘍としては、髄膜腫、シュワン細胞腫、および大脳半球の神経膠腫(特に、悪性の多形性神経膠芽腫および未分化星細胞腫、ならびに良性の星状細胞腫および乏突起膠腫)が挙げられる。頭蓋内新生物の全体的な発生率は、男性および女性において基本的に等しいが、小脳髄芽腫および多形性神経膠芽腫は男性でより一般的である。
神経膠腫は、その発生段階のいずれか1段階にて神経膠細胞で代表される組織で構成される腫瘍である。神経膠腫は、頭蓋内腫瘍の45%を占める。神経膠腫は、星状細胞腫、上衣腫、および神経細胞腫を含む、脳および脊髄の原発性内因性新生物をすべて包含することができる。星状細胞腫は、形質転換した星状細胞または星状腫瘍細胞で構成される腫瘍である。そのような腫瘍は、以下の悪性度が増大する順序で分類されている:悪性度Iは、原線維性または原形質性の星状膠細胞からなり;悪性度IIは、豊富な細胞質および2または3個の核を有する細胞からなる星膠芽細胞腫であり;悪性度IIIおよびIVは、大脳半球に通常限定され、星状細胞、神経海綿芽細胞、神経膠星状芽細胞、および他の星状腫瘍細胞の混合物で構成される迅速に増殖する腫瘍である、多形性神経膠芽腫の形態である。原発性CNS腫瘍である星状細胞腫は、脳幹、小脳、および大脳で見つかることが多い。未分化星状細胞腫および多形性神経膠芽腫は、一般に大脳に存在する。本発明は、新生細胞のアポトーシスを促進するための方法であって、新生細胞をATF5阻害物質と接触させることを含む方法をさらに提供する。新生細胞は、乳房、卵巣、子宮内膜、胃、結腸、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、精巣、皮膚、食道、舌、口、耳下腺、喉頭、咽頭、リンパ節、肺、ならびに脳からなる群から選択することができる。一実施形態では、新生細胞は、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、および神経芽細胞腫からなる群から選択される。
例えば、限定されるものではないが、TAT−d/n−ATF5(1〜3μMの範囲)に感受性があると試験によって示された細胞株としては、U87(ヒト神経膠芽腫);U373(ヒト神経膠芽腫);LN229(ヒト神経膠芽腫);C6(ラット神経膠芽腫);Mel501(ヒトメラノーマ);H2452(ヒト中皮腫);MDA−MB−468(ヒト乳癌)が挙げられる。さらに、PEN−d/n−ATF5(3μM)に感受性があると試験によって示された細胞株の非限定的リストとしては、Panc−1(ヒト膵臓癌);SH−SY5Y(ヒト神経芽細胞腫細胞);およびHCT−116(結腸癌)が挙げられる。本発明の方法は、インビトロおよび被験体においてインビボで実施することができる。本明細書で使用する場合、「アポトーシス」とは、全面的にまたは部分的に遺伝的に制御される細胞死を指す。
以下の実施例で概略を示すように、特定のCP−d/n−ATF5組成物は、種を越えて有効な抗新生物剤であり、例えば、ラット/マウスのCP−d/n−ATF5は、ヒト癌に対して有効である。したがって、ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、ラットまたはマウスのd/n−ATF5ペプチド配列を含むことができ、被験体は、これに限定されるものではないが、哺乳動物(例えば、ヒト、家畜、または商業動物)を含む任意の動物であってよい。ある実施形態では、CP−d/n−ATF5は、ラットまたはマウスのd/n−ATF5ペプチド配列を含むことができ、かつ被験体はヒトである。
本発明の方法によると、CP−d/n−ATF5は、限定されるものではないが、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、および経皮投与を含む、公知の手順によりヒトまたは動物の被験体に投与することができる。好ましくは、阻害物質または因子は、頭蓋内、脊髄内、髄腔内、または皮下への注射によって非経口的に投与される。
4.3 d/n−ATF5医薬組成物
経口投与のために、CP−d/n−ATF5は、カプセル剤、錠剤、粉剤、顆粒剤として、または懸濁剤として製剤化することができる。CP−d/n−ATF5製剤は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、またはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤を含むことができる。CP−d/n−ATF5製剤にはまた、結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤を添加することができる。加えて、CP−d/n−ATF5製剤に、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤を添加することができる。CP−d/n−ATF5製剤にはまた、無水リン酸水素カルシウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムを添加することができる。最終的に、CP−d/n−ATF5製剤に、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど滑沢剤を添加することができる。
非経口投与(すなわち、消化管以外の経路を介した注射による投与)のために、CP−d/n−ATF5は、被験体の血液と好ましくは等張である無菌水溶液と混合することができる。そのようなCP−d/n−ATF5製剤は、塩化ナトリウム、グリシン等の生理学的に適合する物質を含有し、生理学的条件に適合するpHに緩衝化された水に、固体の有効成分を溶解して水溶液を作製し、次いで前記溶液を滅菌することにより調製することができる。CP−d/n−ATF5製剤は、密封したアンプルまたはバイアルなどの単回用量または複数回用量の容器に入れることができる。CP−d/n−ATF5製剤は、限定されるものではないが、筋膜上、嚢内、頭蓋内、皮内、髄腔内、筋肉内、眼窩内、腹腔内、脊髄内、胸骨内、血管内、静脈内、柔組織内、皮下、舌下を含む、任意の注射方式により送達することができる。
ある実施形態では、CP−d/n−ATF5製剤は、鼻腔内送達のために調製される。鼻投与のために、CP−d/n−ATF5製剤を含む溶液または懸濁液は、例えば点滴器、ピペット、またはスプレーによる従来の手段により鼻腔に直接適用するように調製することができる。定量噴霧式吸入器(MDI)による吸入など、点鼻用組成物を送達するための他の手段もまた、本発明に従って用いることができる。いくつかのタイプのMDIが、吸入による投与のために常用される。これらのタイプの装置としては、呼吸始動型MDI、乾燥粉末吸入器(DPI)、MDIと組み合わせたスペーサー/保持チャンバー、およびネブライザーを挙げることができる。本明細書で使用する「MDI」という用語は、例えば、場合によっては1つまたは複数の賦形剤を含む噴霧剤に溶解または懸濁した活性薬剤を含有するキャニスター、定量バルブ、アクチュエータ、およびマウスピースを含む吸入送達システムを指す。キャニスターには通常、点鼻用組成物などの活性薬剤および1種または複数のヒドロフルオロアルカンなどの噴霧剤の溶液または懸濁液が充填されている。アクチュエータが弱められると、溶液の一定量が、吸入のためにエアロゾル化される。活性薬剤を含む粒子は、マウスピースの方へ推進された後、そこで被験体により吸入され得る。この製剤は、単回用量形態または複数回用量形態で提供することができる。例えば、点滴器またはピペットの場合には、これは、患者が溶液または懸濁液の適切な所定容量を投与することによりなされてもよい。スプレーの場合には、これは、例えば一定量を霧化する噴霧器によってなされてもよい。鼻への送達および保持を改善するために、本発明による成分は、シクロデキストリンでカプセル化するか、または鼻粘膜への送達および保持を増強すると期待される薬剤と共に製剤化することができる。
本発明の組成物の鼻投与に用いられるかまたはそれに適し得る市販の投与装置としては、AERONEB(商標)(Aerogen、San Francisco、Calif.)、AERONEB GO(商標)(Aerogen);PARI LC PLUS(商標)、PARI BOY(商標)N、PARI(商標)eflow(米国特許第6,962,151号明細書に開示されたネブライザー)、PARI LC SINUS(商標)、PARI SINUSTAR(商標).、PARI SINUNEB(商標)、VibrENT(商標)、およびPARI DURANEB(商標)(PARI Respiratory Equipment、Inc.、Monterey、Calif.またはMunich、Germany);MICROAIR(商標)(Omron Healthcare、Inc、Vernon Hills、Ill.)、HALOLITE(商標)(Profile Therapeutics Inc、Boston、Mass.)、RESPIMAT(商標)(Boehringer Ingelheim、Germany)、AERODOSE(商標)(Aerogen、Inc、Mountain View、Calif.)、OMRON ELITE(商標)(Omron Healthcare、Inc、Vernon Hills、Ill.)、OMRON MICROAIR(商標)(Omron Healthcare、Inc、Vernon Hills、Ill.)、MABISMIST(商標)II(Mabis Healthcare、Inc、Lake Forest、Ill.)、LUMISCOPE(商標)6610、(The Lumiscope Company、Inc、East Brunswick、N.J.)、AIRSEP MYSTIQUE(商標)、(AirSep Corporation、Buffalo、N.Y.)、ACORN−1(商標)およびACORN−II(商標)(Vital Signs、Inc、Totowa、N.J.)、AQUATOWER(商標)(Medical Industries America、Adel、Iowa)、AVA−NEB(商標)(Hudson Respiratory Care Incorporated、Temecula、Calif.)、AEROCELL(商標)使い捨てカートリッジを利用するAEROCURRENT(商標)(AerovectRx Corporation、Atlanta、Ga.)、CIRRUS(商標)(Intersurgical Incorporated、Liverpool、N.Y.)、DART(商標)(Professional Medical Products、Greenwood、S.C.)、DEVILBISS(商標)PULMO AIDE(DeVilbiss Corp;Somerset、Pa.)、DOWNDRAFT(商標)(Marquest、Englewood、Colo.)、FAN JET(商標)(Marquest、Englewood、Colo.)、MB−5(商標)(Mefar、Bovezzo、Italy)、MISTY NEB(商標)(Baxter、Valencia、Calif.)、SALTER 8900(商標)(Salter Labs、Arvin、Calif.)、SIDESTREAM(商標)(Medic−Aid、Sussex、UK)、UPDRAFT−II(商標)(Hudson Respiratory Care;Temecula、Calif.)、WHISPER JET(商標)(Marquest Medical Products、Englewood、Colo.)、AIOLOS(商標)(Aiolos Medicnnsk Teknik、Karlstad、Sweden)、INSPIRON(商標)(Intertech Resources、Inc.、Bannockburn、Ill.)、OPTIMIST(商標)(Unomedical Inc.、McAllen、Tex.)、PRODOMO(商標)およびSPIRA(商標)(Respiratory Care Center、Hameenlinna、Finland)、AERx(商標)Essence(商標)およびUltra(商標)、(Aradigm Corporation、Hayward、Calif.)、SONIK(商標)LDIネブライザー(Evit Labs、Sacramento、Calif.)、ACCUSPRAY(商標)(BD Medical、Franklin Lake、N.J.)、ViaNase ID(商標)(electronic atomizer;Kurve、Bothell、Wash.)、OptiMist(商標)装置またはOPTINOSE(商標)(Oslo、Norway)、MAD Nasal(商標)(Wolfe Tory Medical、Inc.、Salt Lake City、Utah)、Freepod(商標)(Valois、Marly le Roi、France)、Dolphin(商標)(Valois)、Monopowder(商標)(Valois)、Equadel(商標)(Valois)、VP3(商標)およびVP7(商標)(Valois)、VP6 Pump(商標)(Valois)、Standard Systems Pumps(商標)(Ing.Erich Pfeiffer、Radolfzell、Germany)、AmPump(商標)(Ing.Erich Pfeiffer)、Counting Pump(商標)(Ing.Erich Pfeiffer)、Advanced Preservative Free System(商標)(Ing.Erich Pfeiffer)、Unit Dose System(商標)(Ing.Erich Pfeiffer)、Bidose System(商標)(Ing.Erich Pfeiffer)、Bidose Powder System(商標)(Ing.Erich Pfeiffer)、Sinus Science(商標)(Aerosol Science Laboratories、Inc.、Camarillo、Calif.)、ChiSys(商標)(Archimedes、Reading、UK)、Fit−Lizer(商標)(Bioactis、Ltd、a SNBL subsidiary(Tokyo、JP)、Swordfish V(商標)(Mystic Pharmaceuticals、Austin、Tex.)、DirectHaler(商標)Nasal(DirectHaler、Copenhagen、Denmark)、ならびにSWIRLER(商標)Radioaerosol System(AMICI、Inc.、Spring City、Pa.)が挙げられる。
経皮投与のために、CP−d/n−ATF5は、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、エタノール、オレイン酸、Nメチルピロリドン等の皮膚浸透促進剤と組み合わせることができ、皮膚浸透促進剤は、CP−d/n−ATF5に対する皮膚の透過性を増大させ、CP−d/n−ATF5が皮膚を通して浸透し、血流に入ることを可能にする。CP−d/n−ATF5組成物はまた、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン/ビニルアセテート、ポリビニルピロリドン等高分子物質と組み合わせてゲル形態の組成物を提供することができ、ゲル形態の組成物は、塩化メチレンなどの溶媒に溶解し、所望の粘度まで蒸発させ、次いで基材に塗布してパッチを提供することができる。
本発明はまた、CP−d/n−ATF5を含み、場合によっては薬学的に許容される担体も含む治療用組成物を提供する。薬学的に許容される担体は、組成物の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容され」なければならない。本明細書に用いられる薬学的に許容される担体は、医薬製剤に材料として用いられ、かつ鎮痛剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、乳化剤、賦形剤、増量剤、流動促進剤、可溶化剤、安定剤、懸濁剤、等張化剤、ビヒクル、および粘度増強剤として組み込むことができる種々の有機または無機材料から選択される。必要に応じて、抗酸化剤、芳香剤、着色剤、風味改良剤、防腐剤、および甘味料などの医薬品添加剤も加えることができる。許容される医薬担体の例としては、とりわけ、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、グリセリン、アラビアゴム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、粉剤、生理食塩水、アルギン酸ナトリウム、スクロース、デンプン、タルク、および水が挙げられる。
本発明のCP−d/n−ATF5製剤は、医薬技術分野で周知の方法により調製することができる。例えば、CP−d/n−ATF5は、懸濁液または溶液として、担体または希釈剤と合わせることができる。場合によっては、1つまたは複数の副成分(例えば、緩衝剤、香味料、界面活性剤等)も加えることができる。担体の選択は投与経路に依存する。医薬組成物は、本明細書で論じるように、CP−d/n−ATF5を被験体に投与して、腫瘍および/または新生細胞を治療するために有用になるであろう。CP−d/n−ATF5は、医薬組成物が投与される被験体の腫瘍および/または新生細胞を治療するために有効な量で提供される。その量は、上記のように、当業者により容易に決定することができる。
本開示の組成物はさらに他の治療剤を含むことができる。例えば、組成物は1つまたは複数の任意の抗癌剤も含むことができる。ある実施形態では、1つまたは複数の抗癌剤は、アルキル化剤;代謝拮抗剤;微小管阻害剤;トポイソメラーゼ阻害物質、抗生物質、および抗体/抗体−薬物コンジュゲートからなる群から選択される。本開示の組成物中の抗癌剤の量は、ある実施形態では、同様な方法で投与されるそのような薬剤の通常用量に比較して減少させることができる。
本発明はまた、腫瘍および/または新生細胞の治療および/または予防に使用するためのキットを提供する。ある実施形態では、キットはCP−d/n−ATF5分子および薬学的に許容される担体を含む。ある実施形態では、キットは、投与手段、例えば、以下に限定されるものではないが、CP−d/n−ATF5の非経口投与用の充填済み注射器、ペン、ポンプ、または他の充填済み装置を含む。ある実施形態では、キットは、鼻腔内送達のために製剤化されたCP−d/n−ATF5と、以下に限定されるものではないが、定量噴霧式吸入器または本明細書に記載する組成物の鼻投与に用いることができるかまたはそれに適合し得る他の市販投与装置など鼻腔内投与用の手段とを含む。
本発明を以下の実施例で説明するが、これらの実施例は、本発明の理解を助けるために示すものであり、その後に続く特許請求の範囲に定義する、本発明の範囲を少しでも限定するものと解釈されるべきではない。
5.実施例
5.1 CP−d/n−ATF5の実施例
5.1.1 材料および方法
d/n ATF−5の短縮。pQC eGFP−d/n−ATF5プラスミド(Angelastroら、J Neurosci 2003;23(11):4590〜600を参照のこと)を鋳型として用い、上流プライマー5’−TCC GCG GCC GCA CCG GTC GCC−3’および下流プライマー5’−CTC GAG GAT ATC TCA GTT ATC TAC ACT GAC TCT GCC CTC TCC CTC AG−3’を用いるPCRは、3’プラスミドから75塩基対を短縮した。電気泳動的に精製したeGFP−d/n ATF5−tr(tr=短縮)cDNAを、pGEM−T Easy Cloningベクター(Promega)に連結し、DH5α細胞に形質転換し、LB寒天−アンピシリンプレート上に播種して青白選択をした。選択したコロニーを、LB+アンピシリン中で一晩増幅した。培養物から単離したプラスミド(mini−prep、Invitrogen)を、AgeIおよびEcoRVで消化した後、アガロースゲル電気泳動を行ってd/n−ATF5−trの挿入を確認し、挿入断片をDNAシークエンシングに供して確認した。Agel/EcoRVで消化したeGFP−d/n−ATF5−tr cDNAを、AgeI/EcoRV消化の精製pQCXIX(Clontech)発現ベクターに連結した。この連結混合物を用いてDH5α細菌を形質転換し、その産物を、細菌培養物のミニプレップのAgeI/EcoRV消化およびゲル電気泳動、ならびに未切断プラスミドのDNAシークエンシングにより確認した。pQC−eGFP−d/n−ATF5−trプラスミドは、Maxiprep(Invitrogen)で増殖させた。
CP−6xHis−Pen−Flag−タグ付き−d/n−ATF5タンパク質の生成およびバイオアッセイ。細胞透過性−6xHis−ペネトラチン−Flag−タグ付き−d/n−ATF5−tr(CP−6xHis−Pen−Flag−タグ付き−d/n−ATF5−tr)cDNAを作製するために、上流プライマー5’−TTA ATT AAG CCG CCA TGG ATG CGT CAA ATT AAA ATT TGG TTT CAA AAT CGT CGT ATG AAA TGG AAA AAA ATG GAC TAC AAG GAC GAT GAT−3’および下流プライマー5’− CTC GAG GGA TCC TCA GTT ATC TAC ACT GAC TCT GCC CTC TCC CTC AG−3’ならびに鋳型としてpQC−Flag−d/n−ATF5−trを用いて、最初にPCRを使用した。その産物をゲル電気泳動後に精製し、pGEM−T Easyクローニングベクターに連結した。これをDH5α細胞に形質転換して白色コロニーを選択した。ミニプレップクローンをEcoRVで消化した後、ゲル電気泳動および未切断プラスミドのシークエンシングに供して挿入断片を確認した。N末端に6xHisタグを挿入するために、Pen−d/n−ATF5−RP−trをpET−15b発現ベクター(Novagen)にクローニングした。pET−15bベクターとpGEMT−Pen−d/n−ATF5−RP−trベクターの両方を、Nde−1およびBamH1で消化し、切断されたPen−d/n−ATF5−RP−trをゲル電気泳動によりpGEMTから分離した。同様に、切断されたpET−15bをゲル電気泳動により挿入断片から分離した。pET−15bとPen−d/n−ATF5−RP−trの両方をゲルから切り取り、精製した後、T4 DNAリガーゼを用いて連結した。連結した物質を用いてDH5α細胞を形質転換し、コロニーを選択した。ミニプレップコンストラクトをXba−1およびEcoRVで消化し、ゲル電気泳動を用いて、ベクターおよびPen−d/n−ATF5−RP挿入断片の存在を確認した。pET−15b−Pen−d/n−ATF5−RPについて、正しい配向および配列を、DNAシークエンシングにより確認した。
CP−6xHis−Pen−Flag−タグ付き−d/n−ATF5タンパク質を生成させるために、発現コンストラクトをBL21 DE3 pLysS細胞(Novagen)に形質転換した。コロニーを選択してLBで増幅した。ペプチド産生を1mM IPTGで誘導し、SDS−PAGEにより確認した。一旦タンパク質誘導を確認したならば、界面活性剤ベースのBugBuster master mixシステム(Novagen)で抽出を行った。Pen−Flag−タグ付き−d/n−ATF5ペプチドの単離および精製は、そのN末端の6xHISタグおよびコバルトスピンカラムシステム(HisPur;Thermo Fisher)を用いて行った。精製したペプチドは、Zeba脱塩スピンカラム(Thermo Fisher)またはG−25セファデックス(GE Health Care)を用いて、脱塩しPBSに緩衝液交換した。脱塩したタンパク質は、0.20μmのポリエーテルスルホン膜シリンジフィルター(Sarstedt)を用いて、滅菌濾過した。最後に、このペプチドを、Amicon Ultra−4遠心濾過装置(分子量3000カットオフ)を用いて、1〜2mg/mlに濃縮した。
対照ペプチド(Pen−Flag−タグ付き−対照)は、上流プライマー5’−CCCGGGCATATGCGTCAAATTAAAATTTGGTTT−3’および下流プライマー5’−CTCGAGGGATCCTCAGTTATCTAGTCTGGGTCTCTTCC−3’のPCRを用いて、コンストラクトのd/n−ATF5部分を除去することにより、同じ方法論を用いて作製し生成させた。
質量分析法。名目分子量測定のためのリニア型MALDI−TOF分析:マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)測定値は、200HzのND−YAGレーザー源(355nm)を装備したMALDI−TOF/TOF質量分析計(4700 Proteomics Analyzer、AB Sciex)で得た。等量のMALDIマトリックス(50%ACN/0.1%FA、Fluka)を載せたMALDIプレート上に試料をスポットし、風乾した。機器は20kVの加速電圧で操作した。4,000レーザーショットのシグナルを平均化してスペクトルを得た。正イオンリニアモードで質量範囲10,000〜60,000m/zとして質量スペクトル分析を行った。データは、Data Explorer 4.5(AB Sciex)によりさらに詳細に分析した。
LC−MS分析:Aeris Widepore XB−C8カラム(3.6μ、2.10×50mm)に試料を注入した。標準逆相勾配を250μl/分の流速で8分を超えて流し、プロファイルモードのLTQ−OrbitrapXL質量分析計(Thermo Fisher)により溶出液をモニターした。Ion Max Source(Thermo Fisher)をエレクトロスプレーイオン源として用い、イオン源パラメーターを、5kVのスプレー電圧、275℃のキャピラリー温度、および20のシースガス設定とした。スペクトルデータを、ロックマス機能を用い、15,000FWHMの分解能設定で得た。
pQC−eGFP−d/n ATF−5−tr生成物(C−末端短縮d/n−ATF5)の生物活性。精製pQC−eGFP−d/n−ATF5−tr、完全長pQC−eGFP−d/n−ATF5陽性対照、またはpQC−eGFP陰性対照のプラスミドを、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いて、24ウェルプレート中のラットC6グリア細胞にトランスフェクトした。48時間後、DAPIで細胞を染色し、10ヶ所のランダムな領域を蛍光顕微鏡下にて40倍で観察した。断片化した凝縮染色質を示す細胞をアポトーシスとしてスコア化し、全細胞数に対して数量化した(n=3回の独立した実験)。
細胞透過性(CP)−6xHis−Pen−Flag−タグ付き−d/n−ATF5のバイオアッセイ。ペプチドのバイオアッセイのために、ラットC6神経膠芽腫細胞を無血清DMEM中で2時間、次いで、3μMペネトラチン(Pen)−d/n−ATF5−RPペプチドまたは(ペネトラチン)Pen−対照−RPを含むまたは含まないDMEM/0.5%FBS中で維持した。5日後、細胞をDAPIで染色し、アポトーシス細胞のパーセントを上記のように決定した。
内部移行したPen−d/n−ATF5−RP(組換えタンパク質)のイメージング。ラットC6細胞(Jeff Bruce;Columbia University、New York由来;ラット脳への移植によって2004年に認証された、Angelastroら、Oncogene 2006;25(6):907−16)およびU87細胞(ATCCから購入および認証)を、フィブロネクチンコーティングの共焦点顕微鏡カバーグラス上に播種し、一晩維持した。Pen−d/n−ATF5−RPまたはPen−対照−RPのそれぞれ3μMをウェルに加え、1、2、4、または24時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄して細胞外ペプチドを除去し、一次マウス抗FLAG抗体(Sigma−Aldrich)で一晩染色した後、二次抗マウスAlexa−568(Invitrogen)と共に2時間インキュベートした。顕微鏡としては、Axiocamビデオキャプチャーを装着したCarl Zeiss Axiovert 200、またはHuygens Deconvolution Softwareにより増強された0.1μm光学切片のDelta Vision Deconvolution顕微鏡を用いた。xyおよびyz平面の画像から、Pen−d/n−ATF5−RP染色とDAPI染色との共局在が確認された。
レトロウイルス誘発マウス神経膠芽腫モデルおよびPen−d/n−ATF5−RPによる処置。以前に記載されるように(Ariasら、Oncogene 2012;31(6):739〜51)、成体マウスに麻酔をかけ、PDGF−Bおよびp53−shRNAを発現するレトロウイルスの定位固定注射を行って、悪性神経膠腫を発生させた。鎮痛剤を外科手術直後に投与した。外科手術後および52〜438日間に及ぶ試験期間を通して注射したマウスをモニターした。Pen−d/n−ATF5−RPまたはPen−対照−RPを、1〜2時間の間隔を置いた4回の皮下注射または腹腔内注射の処置で担癌動物に投与した。用量は、各注射につき1mg/kg(200μl、0.9%生理食塩水)とした。示される一部の実験では、5日後に投薬を繰り返した。同じ投薬スケジュールおよび容量で0.9%生理食塩水を注射した動物を、対照として用いた。
脳の薄切および染色。以前に記載されるように(Ariasら、Oncogene 2012;31(6):739−51)、マウスに深いイソフルラン麻酔をかけて安楽死させた後、10%ホルマリンによる経心腔的灌流を行った。脳を4%パラホルムアルデヒドで固定し、30%スクロース中で一晩インキュベートし、OCT培地中にマウントし、凍結して14μm冠状断面に切断した。示される他の場合には、潅流したマウスの脳を10%ホルマリン/PBS中で4〜7日間インキュベートした後、パラフィン包埋した。パラフィン切片を記載のように(Schrotら、J Neurooncol 2007;85(2):149〜57)抗原検索に供した。切片をDAPIおよび以下のもので染色した:抗Flag M2(1:200;Sigma−Aldrich)、ウサギ抗Flag(1:1000、Cell Signaling)、ウサギ抗HA(4μg/ml;sc〜805 Santa Cruz Biotechnology)、またはTUNEL(Roche)および抗Flag M2。切片を、DAPIフィルターおよび免疫蛍光法(Alexa 488/568;Invitrogen)で視覚化するか、またはジアミノベンジジンもしくはファーストレッド(Mach2;Biocare Medical)で比色定量的に視覚化し、Axiocamビデオ装着Carl Zeiss Axiovert 200で撮影した。
MRI分析。麻酔(イソフルランおよび酸素)したマウスに、30ゲージカテーテルを静脈内に差し込み、最初に頭部の位置を決めて、スキャナベッドに腹臥させた。MRIの取得は、Bruker Biospec 7テスラマグネットを作動させるParavision v5.1上で行い、統合シム制御による116mm直径の勾配を供給した。最大勾配強度は450mT/mとした。脳をイメージングするために交差コイル配置を用い、RF送信のために72mmIDの直線状コイルを、またRF受信のために4チャネルフェーズドアレイコイルを用いた。造影前の像および造影後1分の像をFLASH_3Dslabで得た。ガドリニウムを、1μl/g体重の用量で静脈内注射した。
5.1.2 結果
細胞透過性形態のd/n−ATF5の作製。
全身に送達できる可能性のある改変された細胞透過性形態のd/n−ATF5を、本明細書に概説するように調製した。これには、迅速な生体内分布、低下した免疫応答、血液脳関門の通過、細胞への侵入、および広範に分散した腫瘍に到達する能力という潜在的な利点がある。最初のd/n−ATF5は、DNA結合ドメインに置き換わる、7番目の残基ごとのロイシン反復を含む両親媒性α−ヘリックス配列を有する野性型ロイシンジッパードメインを含む、N−末端短縮形態のATF5である[Angelastroら、J Neurosci 2003;23(11):4590〜600]。得られたタンパク質は、増強されたロイシンジッパー領域を介してATF5およびその結合相手と相互作用することができるが、DNAとは相互作用できず、その結果、ATF作用の有効なd/nサプレッサーとして作用する[Angelastroら、J Neurosci 2003;23(11):4590〜600;Vinsonら、Genes Dev 1993;7(6):1047〜58]。N末端ドメインが欠失すると、分解に対してd/n−ATF5が実質的に安定化する[Leeら、Developmental Neurobiology 2012;72(6):789〜804;Uekusaら、Biochem Biophys Res Commun 2009;380(3):673〜8]。送達可能形態のd/n−ATF5を設計するために、C末端の2つのバリン/バリン7アミノ酸反復を含む、タンパク質の最後の25アミノ酸を最初に短縮した。この欠失コンストラクトをC6神経膠芽腫細胞にトランスフェクトすると、アポトーシスの促進において、完全長d/n−ATF5と同等の有効性が示された(図1)。
細胞透過性形態のC末端短縮d/n−ATF5(d/n−ATF5−tr)を作製するために、6xヒスチジン反復およびそれに続くペネトラチン配列にN末端で融合した、N末端Flag−タグ付きd/n−ATF5−trコンストラクトを設計した(図2A)。ペネトラチン配列は、生体膜を通した、融合した積荷の細胞内への通過を可能にするアンテナペディアホメオドメインタンパク質由来の16アミノ酸モチーフである[Dupontら、Methods in molecular biology 2011;683:21−9.]。ミリグラム量のタンパク質(Pen−d/n−ATF5組換えタンパク質(RP)と称する)を、細菌中での発現、それに続く6xHis配列を用いるコバルト樹脂親和性クロマトグラフィーによる精製により得た。SDS−PAGEから、精製した調製物が95%超の均一性を有し、凝集したタンパク質多量体のように見えるものを含む微量な化学種を伴うことが示された。N‐ホルミルメチオニンの細菌による通常の除去によりPen−d/n−ATF5−RPの推定分子量は12,949.18Daであるが、主要な精製産物は、SDS−PAGEにより25〜28KDaの間の見かけの分子量を示す(図2A)。SDS−PAGEに供したとき、野生型ATF5およびATF5ロイシンジッパーは泳動が異常であることがあり、そのため、高分解能LC−HRMSを用いて、Pen−d/n−ATF5−RPの正確な分子量およびその溶液状態を確認した。デコンボリューションしたスペクトルから、最も多い形態は予測される12,948.7Daの単量体であり、25,897.5Daの二量体は少量であることが明らかになった(図2B)。以前の試験では、組換え野生型の完全長ATF5またはATF5のbzipドメインがインビトロで二量体を形成できることが示された。最後に、Pen−d/n−ATF5−RPに対する対照として、d/n−ATF5−tr配列を欠くペプチド(Pen−対照−RP)を同様の方法で作製した(図2A)。精製した組換え対照(7,099.98Daの推定分子量を有する)は、SDS−PAGEにより7,100Daの見かけの分子量で泳動した(図2A)。
Pen−d/n−ATF5−RPは、全身投与のために設計されているので、ヒト血清の存在下37℃での安定性では、8時間で顕著な分解がなく、48時間までに完全長タンパク質の平均28%の消失が示された(図2C)。
Pen−d/n−ATF5−RPは培養神経膠芽腫細胞に迅速に侵入し、そのアポトーシスを引き起こす。
動物実験を実施する前に、Pen−d/n−ATF5−RPが、培養において神経膠芽腫細胞に侵入し、死滅させる能力について確認した。ラットC6およびヒトU87神経膠芽腫細胞の血清含有培養物に加えると、Pen−対照−RPとPen−d/n−ATF5−RPは両方とも、2〜4時間以内に細胞中に容易に検出可能になり、少なくとも24時間検出可能のままであった(図3A、B)。共焦点顕微鏡検査から、ペプチドが細胞質および核の両方のコンパートメントに存在することが明らかになった(図3A)。
Pen−対照−RPおよびPen−d/n−ATF5−RPに曝露したC6培養物について、アポトーシス細胞死も評価した。Pen−対照−RP処理培養物では、無処理培養物と同様なアポトーシス死のバックグラウンドレベルが示されたが、Pen−d/n−ATF5−RPで処理した培養物では、瀕死の細胞が大幅に増加していることが示された(図4)。これらの作用は、d/n−ATF5コンストラクトでトランスフェクトしたかまたはATF5 siRNAに曝露した複数のげっ歯類およびヒト神経膠芽腫細胞について以前に報告されたものに類似している[Angelastroら、Oncogene 2006;25(6):907〜16;Ariasら、Oncogene 2012;31(6):739〜51;Shengら、Nat Med 2010;16(6):671〜7;Dluzenら、The Journal of biological chemistry 2011;286(9):7705〜13]。
全身送達されたPen−d/n−ATF5−RPは、血液脳関門を横断し、細胞に侵入し、神経膠腫細胞の迅速で選択的なアポトーシス死を選択的に誘発する。
原発性脳腫瘍に到達し治療するPen−d/n−ATF5−RPの能力を試験するために、成体マウス脳へのPDGF−B−HA/shRNA−p53レトロウイルスの定位固定注射により神経膠腫を発生させるモデルを用いた。腫瘍は、内因性の分裂前駆細胞におそらく由来したものであり、ステージII〜IVの範囲にある浸潤性ヒト神経膠腫に極めて類似している。腫瘍は、早くも注射後52日目にMRIにより検出可能であり(以下を参照のこと)、HAタグの存在によって、また高細胞充実性、高色素性核、および上昇したKi67染色によって組織学的に同定可能であった。
初期セットの実験では、Pen−d/n−ATF5−RP、生理食塩水、またはPen−対照−RPを、1〜2時間の間隔でそれぞれ1mg/kgの1セット4回の注射で担癌マウスに腹腔内送達した。最後の注射後16〜64時間にマウスを屠殺し、固定した脳を抗Flag抗体で染色してPen−d/n−ATF5−RPを検出するか、または抗HAで染色してPDGF−B−HA発現細胞をマークし、またTUNEL法によって瀕死の細胞を同定した。16時間において、腫瘍細胞と正常な脳細胞(腫瘍とは対側の半球にある)は両方とも、Pen−d/n−ATF5−RPの広範囲な取り込みを示すFlag染色を示し、生理食塩水注射についてはシグナルはなかった(図5A〜C)。Flag染色は、処置後40時間でも明白であり、検出可能であったが、64時間ではレベルが低下した(図6)。正常な脳組織ではTUNEL染色が示されなかったが(図5B)Pen−d/n−ATF5−RPによる処置後1日目の腫瘍内には広範なTUNEL染色が認められた(図5A)。生理食塩水で処置した動物の腫瘍には、TUNELシグナルはほとんどまたはまったく観察されなかった(図5C)。TUNELおよびPDGF−B−HA+腫瘍マーカー染色の共局在は、Pen−d/n−ATF5−RP処置後64時間において、依然として明白であったが、これらのシグナルは、このペプチドで16時間処置した細胞(図5A)またはPen−対照−RPペプチド(図5D)で処置した細胞と比較すると、細胞の変性および断片化(図5E)を示した。
Pen−d/n−ATF5−RP投与の潜在的な長期の治療効力を高めるために、担癌動物に2セットの皮下注射をそれぞれ上記のように、5日空けて施す処置プロトコールを考案した。第2の処置(最初の処置後7日目)後2日目に評価したマウスの腫瘍は、1セットの処置後64時間のように、細胞の変性および断片化を示す、HAおよびTUNEL染色のパターンを示した(図5F)。
上記2回処置レジメンの完了後1日目(n=2)または2日目(n=2)における非担癌動物の全身剖検から、内部臓器に対する明白な病理学的病変および大脳または小脳の明白な異常は示されなかった(図7および表1)。加えて、第2セットのPen−d/n−ATF5−RP注射後1日目に実施した肝臓腎臓血清化学パネルからは、いずれの器官にも損傷は示されなかった(表1;n=2)。
表1 − Pen−d/n−ATF5−RPで処置したマウスに関する器官の肉眼的剖検、組織切片のヘマトキシリン‐エオジン染色、および肝臓腎臓機能血液パネルの結果
表示した器官を、本文に記載するように、Pen−d/n−ATF5−RPによる2セットの皮下処置のうちの第2の処置後1日目、2日目、および6ヶ月超(図3およびS9における、腫瘍が根絶されたマウスに対応して、それぞれ190日目および183日目)において屠殺したマウスから摘出した。6ヶ月超の動物には、処置前にMRIで検出された腫瘍があったが、屠殺時には組織学的に検出可能な腫瘍はなかった。他のすべての動物は、担癌ではなかった。対照マウスは無処置であった。これらの器官について、肉眼的な病理変化を評価し、次いで固定しパラフィン包埋して、スライドにマウントする5μm切片の調製に用いた。スライドをヘマトキシリン‐エオジン染色し、可能な病理変化について顕微鏡で検査した。切片の肉眼的な病理分析および評価は、the UC Davis School of Veterinary MedicineにおけるComparative Pathology Laboratoryにより実施された。*注射の間の不注意による注射針貫通による、肝臓の局所的凝固壊死および肺の限局的線状肺炎が観察された。

表1続き−肝臓腎臓機能パネル
肝臓腎臓機能パネルについて、血液試料は、本文に記載するように、Pen−d/n−ATF5−RPによる2セットの皮下処置のうちの第2の処置後1日目に得た。動物は非担癌であった。分析は、the UC Davis School of Veterinary MedicineにおけるComparative Pathology Laboratoryにより実施された。系統(C57BL/6J)範囲についてのデータは、the Jackson LaboratoryのMouse Phenome Database(http://phenome.jax.org/db/q?rtn=meas/catlister&req=Dblood--clinical%20chemistryqqq44&reqstrainid=7)から得た。
全身送達されたPen−d/n−ATF5−RPは、MRIおよび組織診断により示されるように、再発を起こすことなく、マウス神経膠腫の迅速な退縮を促進する。Pen−d/n−ATF5−RPの全身投与がマウスモデルにおいて神経膠腫の長期の退縮を促進したか否かについて評価した。これを達成するために、MRI(造影後増強3D FLASH T1重み付き)を用いて、Pen−d/n−ATF5−RP、Pen−対照−RPによる処置前および処置後の種々の時点で、または無処置において、腫瘍を評価した。多くの症例において、腫瘍は、処置前に多病巣性であるかまたは両半球に存在していた(図8、9、10、および11)。ペプチドは、上記の2つの処置プロトコールを用いて皮下注射した。腫瘍の存在をMRIにより確認して、無作為に割り当てて初めて、処置を開始した。
予想されるように、無処置動物(n=5)またはPen−対照−RP(n=4)で処置した動物では、MRIにより評価すると、腫瘍退縮はいずれの症例でも観察されなかった。対照ペプチドで処置した動物についての典型例を図8に示す。腫瘍の存在は、瀕死の挙動を示した後に死亡したかもしくは屠殺した動物または試験終了点(MRI腫瘍検出後6ヶ月)以降も生存した動物の脳に対する組織診断により確認した。腫瘍はHA+であり(図8Eおよび10)、これにより、タグ付きPDGF−Bの存在が示され、また高色素性核(図8D)および神経膠腫に典型的な上昇したKi67染色(図8F)を示した。浸潤性腫瘍の境界はMRI画像と一致した(図8)。
Pen−d/n−ATF5−RPで処置したマウスについて、MRIは、処置後8日目(モニターした最初の時点)に腫瘍シグナルの顕著な減少(2/5;図9および図11)または検出不可能(3/5)を示し、また3週間以内に検出可能な腫瘍シグナルの完全な消失(n=7/7)を示した。ペプチド処置後176〜225日目にMRIにより評価すると、評価した7/7のマウスで腫瘍がなかった(例えば、図8、図11、および図12Bを参照のこと)。したがって、Pen−d/n−ATF5−RP処置は、少なくとも6〜7ヶ月間、MRIで検出可能な再発もなく、神経膠腫を迅速に排除するように見えた。
死後の組織診断(n=6;処置後183〜259日目;腫瘍検出後190〜305日目)は、腫瘍退縮/根絶のMRI所見に確証を与えた(図8、11、および12C)。脳の残りの部分のように、MRIにより最初腫瘍陽性であった領域には、高色素性核または高細胞充実性または上昇したKi67染色がないことが示された(図8および図11)。PDGF−B−HA+に対する染色もなかった(まれな散在した単一細胞以外)(図8および図11)。しかしながら、GFAP+細胞の増殖巣があり、これによって、腫瘍が存在した領域における神経膠の活性化および瘢痕が示唆される(図8および図11)。
全身送達されたPen−d/n−ATF5−RPは、正常な脳および組織の完全性を維持しながら、長期生存を促進する。Pen−d/n−ATF5−RPで処置した8匹の担癌マウスはすべて、腫瘍の検出後、試験の名目上の180日終了点まで生存した(図12A)。これに対して、対照マウスは6/9がこの期間内に死亡した。過去の試験では、マウスの40%(n=16)が腫瘍惹起の180日以内に死亡した[Ariasら、Oncogene 2012;31(6):739〜51]。
Pen−d/n−ATF5−RP処置後6〜8ヶ月に組織診断のために屠殺した6匹のマウスに加えて、2匹の動物を処置後12ヶ月間維持した。
腫瘍の非存在および前に腫瘍が局在した領域における神経膠の瘢痕の存在以外に、Pen−d/n−ATF5−RP処置後6〜8ヶ月に屠殺した動物の脳のヘマトキシリン‐エオジン染色は、明白な異常を示さず、また脳室下帯と海馬顆粒細胞下帯は両方とも正常に見えた(図7)。加えて、屠殺前の処置マウスの体重は、the Jackson LaboratoryのMouse Phenome Database(http://phenome.jax.org/db/q?rtn=strains/details&strainid=7)に示されている同年齢の対照の平均体重の1標準偏差以内か(4/6)またはそれを超えていた(2/6)。2匹のマウスはまた、処置の6ヶ月超(図8および図11における腫瘍が根絶されたマウスに対応して、それぞれ190日目および183日目)において全身剖検に供した。病理変化は、検査した器官のいずれにも観察されなかった(表1)。
5.1.3 考察
本明細書に提示した所見から、Pen−d/n−ATF5−RPは、培養GBM細胞に侵入し、アポトーシス活性を促進すること、ならびに動物に全身投与すると、血液脳関門を横断し、脳そして腫瘍細胞に侵入し、正常組織に外見上障害を与えることなく、大量の腫瘍細胞死および長期の腫瘍退縮/根絶を引き起こすことが示される。
本明細書に提示した試験の別の特徴として、処置した担癌動物が少なくとも6〜12ヶ月間生存することがあった。対照的に、対照動物の2/3は、腫瘍検出の189日以内に死亡するかまたは病的状態を示し、全匹が死亡時または6ヶ月時点で腫瘍陽性であった。まとめると、本明細書に提示した結果は、細胞透過性形態のd/n−ATF5を用いて悪性神経膠腫を治療することができる証拠を提供する。
レトロウイルスにより発現されたPDGF−Bおよびp53 shRNAによって、おそらくPDGF−α−受容体+神経前駆細胞および乏突起膠細胞前駆体の形質転換によって、悪性神経膠腫が成体マウスに誘導されたモデルが、本試験で用いられた。このような腫瘍は、高悪性度のヒト神経膠腫に類似しており[Ariasら、Oncogene 2012;31(6):739−51]、後者のように、高度に散在性で比較的大きく、かつ両半球に浸潤することができる。ヒトGBMおよび悪性度の低い神経膠腫におけるATF5の広範な発現ならびに生存のためにATF5を発現しかつ要求するヒトおよびげっ歯類由来のGBM細胞株の変種(損傷したp53およびPTENを含むものおよび含まないもの)[Ariasら、Oncogene 2012;31(6):739−51]を考慮すると、本明細書に提示するデータに基づいて、一連の悪性神経膠腫細胞タイプは、細胞透過性d/n−ATF5による処置に感受性があると期待される。さらに、悪性神経膠腫はこの試験の焦点であるが、ATF5が多種多様な癌腫により発現されること[Shengら、Oncotarget 2010;1(6):457〜60;Chen Aら、International journal of gynecological pathology 2012;31(6):532〜7;Fernandezら、Oncogene 2004;23(29):5084〜91.;Kongら、Experimental and therapeutic medicine 2011;2(5):827〜831;Monacoら、Int J Cancer 2007;120(9):1883〜90;およびHuら、Anticancer research 2012;32(10):4385〜94]、および培養試験では、多様な範囲の組織に由来する腫瘍細胞に対してd/n−ATF5またはATF5 siRNAのアポトーシス作用が示されたこと[Shengら、Oncotarget 2010;1(6):457〜60;Chen Aら、International journal of gynecological pathology 2012;31(6):532〜7;Monacoら、Int J Cancer 2007;120(9):1883〜90;およびHuら、Anticancer research 2012;32(10):4385〜94]に注目することが重要である。したがって、本明細書に提示するデータに基づくと、多様な範囲の癌が、細胞透過性d/n−ATF5による処置に感受性があるであろう。
本試験の重要な側面として、Pen−d/n−ATF5−RPは、腫瘍の退縮/根絶を促進するが、正常組織に対しては明白な有害作用を示さないことがあった。処置動物が明白な作用も受けずに少なくとも6〜12ヶ月間生存したこと、および明白な急性または長期組織損傷が観察されなかったことは重要である。加えて、Pen−d/n−ATF5−RPのいかなる潜在的な負の効果も、処置期間を限定することによって軽減することができる。
5.2 さらなる細胞株およびCP−d/n−ATF5組成物
5.2.1 TAT−d/n−ATF5は、培養メラノーマMEL501細胞のアポトーシス死を促進する
TAT連結ドミナントネガティブATF5ペプチドを、図13に表示する濃度(μM単位)でMEL501メラノーマ細胞の培地に加えた。4日後、細胞をHoescht色素で染色すると、細胞はアポトーシス核に比例して染色された。図10に示すように、TAT−d/n/ATF5は用量依存的にアポトーシスを促進した。
5.2.2 TAT−d/n−ATF5は、培養U373神経膠芽腫細胞の内因性ATF5の発現を低下させる
TAT連結ドミナントネガティブATF5ペプチドを、図14に表示する濃度(μM単位)で1日17時間、U373神経膠芽腫細胞の培地に加え、次いで、細胞を回収して、ウエスタン免疫ブロッティングにより、内因性ATF5レベルを分析した。TAT−d/n−ATF5が内因性ATF5の発現を大幅に低下させることに注目されたい。腫瘍細胞が生存のために内因性ATF5を必要とすることが以前の試験で示されているので、理論に拘束されるものではないが、細胞透過性TAT−ZIPペプチドの殺作用の機序は、内因性ATF5タンパク質の減少を原因とするものである可能性がある。TAT−ZIPペプチドが存在する場合、内因性ATF5上のスメアにも注目されたい。これは、TAT−ZIPが、内因性ATF5のユビキチン化およびプロテアソーム分解を引き起こすことによって内因性ATF5を減少させることを示唆する。
5.2.3 TAT−d/n−ATF5は、細胞死促進遺伝子DDIT3の発現を誘導する
TAT−d/n−ATF5(TAT−ZIP)ペプチドは、種々の腫瘍細胞株において、細胞死促進遺伝子DDIT3(CHOP)の発現を誘導する。図15に表示する時間および用量(μM単位)でTAT−d/n−ATF5により細胞を処理し、次いで、細胞を回収して、CHOPおよび他の非応答性タンパク質の発現についてウエスタン免疫ブロッティングにより分析した。すべての場合におけるCHOPの上昇に注目されたい。CHOPは細胞死を誘導することができるので、これらのデータから、CHOPタンパク質の誘導が、TAT−d/n−ATF5が腫瘍細胞を死滅させる1つの機序である可能性が示される。
5.2.4 siRNAによるCHOPタンパク質のサイレンシングは、TAT−d/n−ATF5からU87細胞を部分的に保護する
siRNAによるCHOPタンパク質のサイレンシング(図16の上部ウエスタン免疫ブロット)により、TAT−d/n−ATF5ペプチドを原因とする死からU87細胞が部分的に保護される。CHOP発現をサイレンシングさせるsiCHOP(図16の上部ウエスタン免疫ブロット)または対照siRNAで細胞を処置した。次いで、それらの細胞をTAT−d/n−ATF5に2日間曝露し、アポトーシス核を有する細胞の割合を評価した。これらのデータから、TAT−d/n−ATF5が腫瘍細胞を死滅させる機序の一部が、その後の死を媒介するCHOPの発現増大によることが示される。
5.2.TAT−d/n−ATF5はBCL2細胞生存タンパク質を下方制御する
TAT−d/n−ATF5はBCL2細胞生存タンパク質を下方制御する。図17に概略を示すように、培養U87ヒト神経膠芽腫細胞を表示濃度(μM単位)のTATZIP(TAT−d/n−ATF5ペプチド)で30時間処理した。次いで、細胞を回収して、ウエスタン免疫ブロッティングにより細胞生存タンパク質BCL2の発現を評価した。これらの所見から、細胞死促進CHOPの上昇に加えて、TAT−d/n−ATF5は、BCL2細胞生存タンパク質のレベルを低下させることによって腫瘍細胞を死滅させる可能性が示される。
5.9 TAT−d/n−ATF5はテモゾロミドと相乗的に作用して、培養U87神経膠芽腫細胞を死滅させる
TAT−d/n−ATF5はテモゾロミド(TMZ)と相乗的に作用して、培養U87神経膠芽腫細胞を死滅させる。図18に概略を示すように、致死量以下のTAT−d/n−ATF5(TZIP 1μM)およびTMZ(50μM)を個々にまたは併用して細胞に加え1日間培養し、次いで、アポトーシス核を有する細胞の割合を評価した。TMZは現在、ヒトGBMに対する第一選択治療である。このデータから、TAT−d/n−ATF5がTMZの存在下で機能するだけでなく、この2つの薬物が相乗的に作用してGBM細胞を死滅させることも明らかになる。これにより、TMZを服用している患者にTAT−d/n−ATF5を投与できることが示唆される。
5.10 TAT−d/n−ATF5は、U87、U373、およびMSG細胞の生存率を低下させる
図19に概略を示すように、3〜5日間の組換えTAT−d/n−ATF5(3μM)処置により、MTAアッセイを用いて検出されるように、2種のヒトGMB細胞株および1種のマウスGMB細胞株の生存率が低下する。
5.11 合成PEN−d/n−ATF5は、U87細胞の生存率を低下させる
図20に概略を示すように、合成PEN−d/n−ATF5は、培養U87ヒト神経膠芽腫細胞の生存率を低下させる。MTAアッセイを用いて検出する場合、表示濃度(μM)で5日間の処置。
5.12 TAT−d/n−ATF5は、U87細胞の細胞死を促進する
図21に概略を示すように、組換えTAT−d/n−ATF5は、アネキシンV/PI染色およびフローサイトメトリーにより示されるように、培養U87ヒト神経膠芽腫細胞の死を促進する。生細胞の割合は、下方左四分区間で示される(対照88%対処理58%)。瀕死細胞の割合は、下方右四分区間および上方右四分区間である(対照9%対処理36%)。
5.13 合成PEN−d/n−ATF5は、GS9−6細胞のアポトーシスを促進する
図22に概略を示すように、合成PEN−d/n−ATF5は、培養物中でスフェアとして増殖する初代GS9−6ヒト神経膠芽腫幹細胞のアポトーシス死を促進する。データは6日間処理の反映である。アネキシンV/PI染色およびフローサイトメトリーにより測定したデータ。
5.13 組換えPEN−d/n−ATF5は、GS9−6細胞のアポトーシスを促進する
図23に概略を示すように、組換えPEN−d/n−ATF5は、培養物中でスフェアとして増殖する初代GS9−6ヒト神経膠芽腫幹細胞のアポトーシス死を促進する。5日間処理。アネキシンV/PI染色およびフローサイトメトリーにより測定したデータ。
本明細書には種々の刊行物が引用されているが、それらの内容全体は、参照により本明細書に援用される。

Claims (8)

  1. 腫瘍を治療および/もしくは予防し、並びに/または新生細胞のアポトーシスを促進するための方法であって、ATF5の機能および/または活性を阻害することができる細胞透過性ドミナントネガティブATF5と前記新生細胞を接触させることを含む方法。
  2. 前記新生細胞が、乳房、卵巣、子宮内膜、胃、結腸、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、精巣、皮膚、食道、舌、口、耳下腺、喉頭、咽頭、リンパ節、肺、末梢神経系、および脳からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 新生物脳細胞が、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫 中皮腫、および神経芽細胞腫からなる群から選択され、かつ前記新生物脳細胞が原発性または再発性の脳腫瘍に関連している、請求項2に記載の方法。
  4. 前記細胞透過性ドミナントネガティブATF5が、経口的、非経口的、および/または経皮的に投与される、請求項1に記載の方法。
  5. 細胞透過性ドミナントネガティブATF5を含む組成物であって、前記細胞透過性ドミナントネガティブATF5が、LEQENAELEGECQGLEARNRELKERAES、LEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRE LKERAES、LARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELKERAES、LEQRAEE LARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELKERAES、LEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELKERAESVからなる群から選択される配列からなり、前記「LEQENAE」、「LEKEAEELEQENAE」、「LARENEELLEKEAEELEQENAE」、「LEQRAEE LARENEELLEKEAEELEQENAE」、「LEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAE」がドミナントネガティブ配列であり、前記配列の残りの部分がATF5ロイシンジッパーであり、かつ前記配列が、細胞透過性配列に作動可能に連結されている、組成物。
  6. 細胞透過性ドミナントネガティブATF5を含む組成物であって、前記細胞透過性ドミナントネガティブATF5が、LEQENAELEGECQGLEARNRELRERAES、LEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRE LRERAES、LARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELRERAES、LEQRAEEL ARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELRERAES、LEQRAEELARENEELLE KEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELRERAESVからなる群から選択される配列からなり、前記「LEQENAE」、「LEKEAEELEQENAE」、「LARENEELLEKEAEELEQENAE」、「LEQRAEEL ARENEELLEKEAEELEQENAE」、「LEQRAEELARENEELLE KEAEELEQENAE」がドミナントネガティブ配列であり、前記配列の残りの部分がATF5ロイシンジッパーであり、かつ前記配列が、細胞透過性配列に作動可能に連結されている、組成物。
  7. 前記細胞透過性ドミナントネガティブATF5が
    (1)MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMRQIKIWFQNRRMKWKKDYKDDDDKMAS MTGGQQMGRDPDLEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELRERAES V(ここで、「MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHM」は6XHisタグリーダー配列であり、「RQIKIWFQNRRMKWKK」はペネトラチン配列であり、「DYKDDDDK」はFLAGタグであり、「MAS MTGGQQMGRDPD」はスペーサーアミノ酸であり、「LEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAE」はd/n配列であり、かつ「LEGECQGLEARNRELRERAES V」はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);
    (2)MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMLEYGRKKRRQRRRYPYDVPDYAMASMTGG QQMGRDPDLEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELRERAESV(ここで、「MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMLE」は6XHisタグリーダー配列であり、「YGRKKRRQRRR」はTAT配列であり、「YPYDVPDYA」はHAタグであり、「MASMTGG QQMGRDPD」はスペーサーアミノ酸であり、「LEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAE」はd/n配列であり、かつ「LEGECQGLEARNRELRERAESV」はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);
    (3)MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMRQIKIWFQNRRMKWKKLEQRAEELARENE ELLEKEAEELEQENAELEGECQGLEARNRELKERAESV(ここで、「MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHM」は6XHisタグリーダー配列であり、「RQIKIWFQNRRMKWKK」はペネトラチン配列であり、「LEQRAEELARENE ELLEKEAEELEQENAE」はd/n配列であり、かつ「LEGECQGLEARNRELKERAESV」はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである);および
    (4)RQIKIWFQNRRMKWKKLEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAELEGECQ GLEARNRELKERAESV(ここで、「RQIKIWFQNRRMKWKK」はペネトラチン配列であり、「LEQRAEELARENEELLEKEAEELEQENAE」はd/n配列であり、かつ「LEGECQ GLEARNRELKERAESV」はその最初のバリンの後で短縮されたATF5ロイシンジッパーである)
    からなる群から選択される配列を含む、請求項6に記載の組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の細胞透過性ドミナントネガティブATF5を含む組成物を含むキット。
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