JP2016515641A - ブデソニドおよびフォルモテロールを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、吸入投与で喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような閉塞性気道症候群の治療に適用される乾燥粉末の形態にある医薬製剤に関する。特に、本発明は、第一の粉末の5% w/wより大きい量のブデソニドまたはその医薬的に許容される塩の一つ、第一の粉末の5〜70% w/wの範囲の量のロイシンおよび第一の粉末の20〜90% w/wの範囲の量の乳糖からなる第一の粉末、第二の粉末の1% w/wより大きい量のフォルモテロールまたはその医薬的に許容される塩の一つ、第二の粉末の5〜70% w/wの範囲の量のロイシンおよび第二の粉末の20〜90% w/wの範囲の量の乳糖からなる第二の粉末、ならびに第三の粉末の5〜70% w/wの範囲の量のロイシンおよび第三の粉末の20〜90% w/wの範囲の量の乳糖からなる第三の粉末を含む吸入可能な医薬組成物に関する。該組成物は、60%より大きい微粒子フラクション(FPF)および90%より大きい放出フラクション(DF)を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような閉塞性呼吸器症候群の治療に適応される、吸入により投与するための乾燥粉末の形態にある医薬製剤に関する。喘息の治療に対して、特にこれらの製剤は維持療法および必要に応じての両方の使用に適応される。
エアゾール製剤での吸入療法は、気道内、粘膜、気管および気管支の部位に活性成分を送達するために用いられる。「エアゾール」の用語は、ガス(通常は空気)によって治療作用が要求される部位へ運ばれる微粒子からなる霧状にされた液体製剤を表す。作用のこの部位が肺胞および細気管支を含む場合、薬剤は空気動力学的直径において5.0 μmより小さい液滴または粒子の形態で分散されなければならない。標的が咽頭部である場合、より大きな粒子が適切である。
そのような治療に適した病状は、気管支けいれん、乏しい気道進展性、粘膜の浮腫、肺感染症などを含む。現在のところ、薬剤は、吸入デバイス、例えば:
・ ネブライザー(その中で薬剤は溶解されているか、または懸濁液の形態で分散されて、細かい霧状にされた液滴の形態で肺の内部に運ばれる)
・ 粉末での使用のための吸入デバイス(微粉化された乾燥粒子の形態で吸入器中に含まれる薬剤を放出することができる)
・ 加圧吸入器(その場合、薬剤が−溶液または懸濁液の液滴の形態で再度−加圧ボトルから放出される空気中に急速に膨張する不活性ガスにより肺深部の内部に運ばれる)
を用いて、薬剤を放出することによって肺深部へ投与される。
これら全ての場合に、効率的でかつ効果的な製品の製造において技術的課題が生じており、そのことは、患者のいくつかの状況およびいくつかのタイプで今日吸入による薬剤の投与をいまだに制限することを意味する。
技術的な立場から、一般に、上記の吸入デバイスは患者の異なるタイプおよび異なる薬剤投与状況に適しているので、理想的な吸入製品は、種々の投与様式を用いる患者にその投与を可能にするべきである。
一般的に言えば、ネブライザーの治療は、極めて高齢な患者または小児の患者に主に用いられる、一方、吸入される粉末の形態でまたは加圧吸入器を用いて放出される薬剤は、成人または青年期の患者によってより頻繁に用いられる。ネブライザーの使用は、安静状態でかつ、吸入可能な粉末として製剤化された薬剤の場合に必要となる、吸気動作を強要することなく患者は薬剤を吸入できるので、今なお効果的と見なされている。
一方、加圧吸入器が用いられるとき、製品を投与することは、それが放出する粒子が肺深部に到達する代わりに喉に衝突することを回避するために、吸気動作を吸入デバイスの作動に調和することを含む。
治療的な立場から、異なる状況、例えば自宅で、職場で、旅行中および緊急時に患者が同じ薬剤を使用することができないという事実によって、患者は制限され得る。これらの種々の状況で、もしかしたら、所定の患者は異なる薬剤および/または異なる活性成分を含む製剤を使用しなければならないかもしれない。
吸入製品の開発において、使用のための薬剤の製剤化で遭遇する最も明らかな困難性の中で、最も重要なことは、吸入製剤の急速な分解を引き起こし、その結果、それらが含む成分の短い有効期限を引き起こす、雰囲気中の作用物質(atmospheric agents)に関連する化学的安定性に関することである。
吸入用に製剤化された薬剤の安定性は、その物理的特徴を維持しながら、肺胞(肺深部)を含む肺の全面に渡って分配可能でなければならないという事実に関連して特に重要である。吸入投与のために現在承認されている、それゆえ肺組織に対して毒性を有さない賦形剤の数は非常に限定されているという事実もある。
低密度のために空気中で容易に分散する、文献に記載された吸入用の乾燥粉末がある。これらの粉末は、通常、高い含量のリン脂質、特にジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と一緒に製剤化される。
噴霧乾燥および発泡剤と組み合わせたリン脂質からなる界面活性剤を用いることによって得られる、内部に中空の形態を有する低密度粒子に関連するこの種の粉末が、特許出願US2005/0074498 Alに記載されている。中空構造は、発泡剤とリン脂質界面活性剤との的確な組合せから生じると記載されている。リン脂質なしで得られるそのような形態の報告はない。
界面活性剤としてのリン脂質の使用が、適切な本事例中の湿気によって特に影響される、最終製品の主要な特徴、特に、雰囲気中の作用物質に関する感受性および安定性を決める。特許文献(US 2001/0036481 Al)は、肺への投与に関して最も適合性する三つの脂質である、DPPCに対して41℃、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)に対して55℃およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)に対して63℃の湿気に対するリン脂質のガラス-ゴム転移温度(Tg)も報告している。
転移温度(Tg)は、(炭化水素鎖が完全に平面で、密に詰まった状態にある)規則正しいゲル相から、(炭化水素鎖がランダムに配向して流動性である)不規則な液晶相への脂質の物理的状態における変化を引き起こすのに要求される温度として定義される。これらのTg値は、非晶質乳糖の固有Tg値より完全に低い。Tgがその製剤が保管されている環境の温度に近くなるほど、転移はより容易になることが一般的な知識である。主賦形剤が流動性を有し、ゆるく充填された系において、成分の分子運動性は非常に高く、その結果、異なる化学反応が起こる傾向および活性成分が分解を受ける傾向を有することもよく知られている。
それゆえ、吸入投与用の多孔質粒子作るためにリン脂質を用いることは、製品の長期安定性に関する合理的な科学的考察によって支持されていないようである。
吸入用粉末としての適用に加えて、問題になっている特許出願は、噴射ガスを用いる吸入デバイスでの同じ粒子の適用も記載している。そのような投与方法は、物質の水との不適合性および流体の表面に浮遊し次いで流体中にゆっくりと溶解する傾向を与え、慣用のネブライザーを用いて水または水性溶液中に粒子を分散させることは不可能である。
「高空隙率」または「低密度」の概念は、前記の特許出願中で実質的に同じことを意味するために用いられた。特に、「密度」の用語は、ヘリウム ピクノメータを用いて測定されたこのものは、式:
ρ = 重量/体積 (g/cc)
による粉末および粒子を含む固体物質の密度と同一と見なされるので、粒子の絶対密度を意味するのではなく、むしろその全体の体積を考慮した粒子の見かけ密度(他の人によるいくつかの文献において「エンベロープ密度」と記載されている)を意味するために用いられる。
個々の単独粒子について全体の体積を測定することは技術的に困難であるので、前記の特許出願では、粉末を含む粒子の密度の極めて不正確な表示を表す、「盛り込み(as poured)」体積(または嵩体積)および沈殿後の体積(またはタップ容積(tapped volume))として粉末の体積(および続いての密度)のパラメータについて言及している。
特許出願 CA2536319は、噴霧乾燥によって得られる、1%より低い水分含量を有する医薬組成物を記載している。その記載によれば、粉末中の1%より高い水分含量は、薬理学的に活性な成分の分解を引き起こし、その製剤の効力の損失をもたらすので、そのような低い水分含量は組成物の安定性に作用する。水分のレベルを減少させるため、その製剤は大量のマンニトールを含むが、それは粉末の物理特性にかなりの妨害を与え、粒径を増大させ、用いられる吸入デバイスのマウスピースによって放出される粉末の用量を減少させる。
高い分散性を有する吸入可能な粉末を得ることの課題は、できるだけ完全に分散された薬剤を含む粒子を設計することにより解決された。手短に言えば、そうするために用いられた技術は、噴霧乾燥製法を用いて低い密度の粗い粒子の形成を保証することができる賦形剤の適当なマトリックスの内部に分子レベルで分散された少量の活性成分からなる、基本的に微細な粒子(4.0μmより大きい幾何平均径)を製造することを含む。
この製剤の方法は、製剤中に高いパーセント賦形剤の使用を必要とし、そのことは、その製剤中で用いられる活性成分の量をより少なくする。そのことが、そのような製剤が空気動力学的性能の課題を解決する理由であるが、未解決の化学的安定性の重大な問題が残っている。
化学的安定性の観点から、高いパーセント含量の活性成分が存在する吸入可能な粉末を噴霧乾燥により製造することが、より有利になり得る。吸入療法で使用される最もよく知られた活性成分に対して、製品の単回投与量を含む粉末の最少量を仮定すると、大抵の場合、活性成分の%含量は高過ぎて、吸入可能な粉末の形態での薬剤の製剤化を不可能にする。粉末のそのような量は、余り少な過ぎて、単回投与量の吸入可能な粉末製造のためのどんな工業用デバイスでも再現性よく計測できない。それゆえ、化学的および物理的な両方の観点から安定である吸入可能な粉末の製剤は、必ず:
− 用いられる活性成分の安定性;
− 適切なエアゾール性能、すなわち十分な量の活性成分の肺の中への沈着
を保証しなければならない。
化学的安定性の観点から、理想的なアプローチは、粉末の粒子の内部の分子運動性を減少させることができる糖と、その粉末の外部環境との相互作用および水の吸収を制限することができる疎水性賦形剤とを組み合せた、大量の活性剤を含む乾燥粉末を製造することを含む。
エアゾール性能の観点から、粉末は、吸入投与のため適切な粒径および吸入時に粒子の解離を容易にすることができる組成物によって特徴付けられなければならない。同時に、粉末の組成の物理的特徴の組合せは、(個々の用量の吸入可能な粉末の形態での製品のための)単回用量吸入デバイスおよびデバイスに含まれるタンクから少な過ぎない用量を繰り返し取り出すことができるマルチ用量吸入器の両方による均等分配の実現可能性と一致しなければならない。
呼吸器系に影響を及ぼす多くの疾患の治療のための吸入可能な製剤の使用が、文献に十分に記載されている。特に、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)が、吸入可能な薬剤の投与によって優先的に治療される傾向がある。
喘息は慢性の気道炎症疾患である。それは一過性の気道閉塞および結果としての呼気流制限によって主に特徴付けられる。気道炎症は時々構造的変化に関連し得る。喘息の有病率は高く、徐々に上昇している。それは世界的に見て、推定3億人の患者で人口の1%〜18%の範囲にあると推計されている。
世界中で、喘息による死亡は、1年当たり250,000と推計されており、死亡率は、疾患の有病率と比例的に相関するように思われない。喘息を制御する費用は、患者および社会全体にとって高いように思われるけれど、非治療に関連する費用はさらに高い。
治療のゴールは、肺機能を最適化し、症状、悪化ならびに緊急の医療的ケアおよび最小限まで入院期間を減ずるために、喘息症状を制御下に保つことである。喘息の症状が制御されるとき、再発および重篤なリアクチゼーション(reacutization)は、ただまれにしか報告されない。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性で持続性の気流制限および患者の疾患の重篤度の一因となり得る個々の患者の有意な肺以外の影響とともに、肺の種々の病理学的変化によって特徴付けられる。COPDにおける気流制限は、完全に可逆的でなく、有害な浮遊微小粒子またはガスのような吸入された汚染物に対する肺の異常炎症反応に関連する。一般的に、COPDは、特に患者の有害物質への曝露が長期に渡るときに進行する疾患である。
COPDは、世界中の罹患率および死亡率の主な原因の一つであり、重大な増え続ける経済的および社会的負担を引き起こしている。COPDの有病率は、男性または女性にかかわらず、非喫煙者より喫煙者および元喫煙者のほうが、40歳以下より40歳を超えた人のほうがずっと高い。アメリカ合衆国におけるCOPDの推定有病者数は、40歳以上で1500万人である。ヨーロッパの国々において、推定の疾患有病者数は、スペインでCOPDを有する150万人から、英国で300万人、ドイツで270万人、イタリアで260万人およびフランスで260万人と変化する。
1990年における死亡の原因の中で6番目に分類されたCOPDの推計は、2020年には世界中での死亡の3番目の原因になるであろうことを示している。この増大する死亡率は、喫煙の拡大、大気汚染物質および人々の平均余命が増加するにつれて、ほとんどの国での人口動態の変化に関連している。喘息およびCOPDへの主な薬理学的アプローチは、単剤治療または気管支拡張剤(長時間作用型β作動薬;LABA)、長時間作用型抗ムスカリン用作動薬(LAMA)、キサンチンおよびその他の薬剤との組合せのいずれかで、吸入(ICS)によるかまたは全身的(CS)に投与されるコルチコステロイドの使用に基づく。
喘息患者にLABAだけを用いると、死亡を含む喘息に関連する有害事象のリスクを増加することが示されているので、単剤治療としてのそれらの使用は推奨されない。有害事象のリスクは、吸入コルチコステロイド(ICS)およびLABAの組合せで低くなる。したがって、LABAと組み合わせてのICSの使用は、気道疾患の標準的治療であり続けるであろう。
グルココルチコイドとβ2-アドレナリン受容体との分子相互作用は、併用療法で達成される臨床的有利性の背後に存在し得る。グルココルチコイドは、β2-アドレナリン受容体の数を増やすことができ、一方β2-作動薬は、グルココルチコイド受容体(GR)の核転座および活性化を誘導し得る。
持続型喘息の場合、国際的ガイドラインは、ICSだけで喘息症状を制御できないとき、場合により長時間作用型β2-作動薬と組み合わせて、症状制御のために必要とされる最も低い用量で吸入コルチコステロイドを用いることが推奨されている。LABA治療をICSと組み合わせることは、中程度および重篤な喘息において二つの薬剤の組合せ効果の効力を増加する。
ICSの低用量または高用量でさえの単剤治療の症状の成人において、LABAをICSと組み合わせることが、経口ステロイドの投与を要求する悪化の頻度を減少させ、症状を抑えて、肺機能を改善することは、周知の事実である。それはまた、緊急治療として短時間作用型β2-作動薬を用いることの必要性を減らす。
COPDの場合、現在の国際的ガイドラインは、既存の薬剤がどれも、この疾患の顕著な兆候である肺機能における長期の劣化を修正する能力を明らかにしていないことを示している。それゆえ、COPDに対する薬理療法は、症状または合併症を抑えるために用いられる。
気管支拡張剤は、COPDにおける症状管理に必須であり、症状およびリアクチゼーションを防止または減じるために、必要に応じてまたは一定間隔で用いられる。常用のICS治療を気管支拡張剤の使用に加えることは、予測FEV1<50%(ステージIII、重篤な COPD;およびステージIV、非常に重篤なCOPD)および再発性増悪を有する、症候性COPDを有する患者に適している。
乾燥粉末吸入器(DPI)または加圧型定量吸入器(pMDI)製剤中のICS/LABAの組み合わされた使用は、臨床実務で定着しており、ICSの副作用は、経口投与されるステロイドのそれより頻度は低く、比較的軽度であるけれど、とりわけ、この分野でのさらなる研究は、それらを克服するかまたは少なくとも抑えることを探求すべきであるので、いくつかの関連する安全性の問題に関する留意事項が必要とされる。
吸入コルチコステロイドの使用に関連する主な安全性の問題が以下に説明される。
ICSの全体の治療効果は気道へのそれらの沈着に依存するが、(用いられる吸入器および吸入技術に依存する)放出される用量のほとんどは、上気道(口、喉頭および咽頭)に沈着し、胃腸管に入る。両方の吸収経路(胃腸および肺)は、全身性副作用に関与する可能性のある、薬剤の全身生物学的利用能に寄与する。下気道に沈着した用量は体循環に直接吸収され、胃腸管で吸収された部分は肝臓を通って初回通過で代謝される。
中咽頭および食道への影響
放出される用量のかなりの割合(90%まで)は、口および咽頭に沈着し得る。このことは、口腔カンジダ症および食道カンジダ症、発声困難、ならびに咳を含む局所副作用のリスクを伴う。ICSの局所副作用を制限するため、中咽頭に沈着する量を減じることが有益であろう。
視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の抑制
長期の外因性グルココルチコイドへの全身曝露は、内因性グルココルチコイド産生を抑制し、それゆえ、外因性の作用物質を突然に断つことは、急性の副腎不全および副腎クリーゼを引き起こし得る。
皮膚および斑状出血への影響
ICSの使用は、皮膚の減少したコラーゲン合成に関連する。高用量ICS療法は、皮膚の菲薄化および斑状出血を引き起こし、切り傷およびその他の皮膚の損傷に対して遅い皮膚治癒も引き起こす。
成長および骨塩密度への影響
ICSの影響は議論の余地はあるけれど、コルチコステロイドは骨塩密度、特に脊椎の骨塩密度に影響を与える傾向があることがよく知られている。
ICSの使用に関するその他の非常に重要な問題は、その他の活性成分との潜在的な薬理学的相互作用に関する。現在利用可能なICSの全ては、主としてCYP3A4ファミリーの酵素の効果により、肝臓で広範な代謝的変換を受ける。このことが、臨床実務において、CYP3A4阻害剤と併用投与され、低用量のICSが用いられる理由である。
白内障および緑内障におけるICSの役割、ならびにインスリン耐性へのそれらの潜在的な効果は、今なお議論されている。ICSの副作用が経口ステロイドより頻繁に起こらず、重篤でなくても、それらの安全性についての懸念事項が残る。
さらに、全ての喘息患者の約5〜10%は、経口ステロイドにさえ十分に反応できない。COPDに関して、ICSでの治療は、肺炎の可能性を上げ、全体の死亡率を減じない。COPDにおけるICSの用量反応関係および長期の安全性はまだ知られていない。長期の臨床研究で、中または高用量だけが用いられている。
最近、米国食品医薬品局(FDA)は、喘息の治療でLABAの使用を制限する勧告を発した。したがって、ICSおよびLABA両方の全身負担を制限する新しい製剤の開発は、正当化され、治療的必要性をカバーすることに焦点を合わせていると思われる。
前で述べられたように、現在、喘息およびCOPDに対する看護および治療への主な薬理学的アプローチは、長時間作用型β作動薬(LABA)の気管支拡張剤と組み合わされた吸入コルチコステロイド(ICS)の使用に基づく。特に、現在市場で入手可能な標準薬理学的溶液は、ブデソニドをフマル酸フォルモテロールと組み合わせて、三つの異なる投薬量で製剤化されている。
ブデソニドは、強力なグルココルチコイド活性と弱い電解質コルチコイド活性を示す抗炎症性コルチコステロイドである。気道の組織でのその吸収は、肺機能によって影響を及ぼされないようであり、健康および喘息の個体の肺への投与後に同等の血漿濃度が達成される。細胞内レベルでの吸収後、ブデソニドは、気道内でのその維持とその作用を引き延ばす、細胞内脂肪酸との可逆的な接合を受ける。
フマル酸フォルモテロールは、作用の迅速な開始を有する、長時間作用型選択的β2アドレナリン受容体作動薬(LABA)である。その水溶解度および中程度の脂溶性は、急速な気管支拡張作用を有して、気道の平滑筋細胞上のβ2アドレナリン受容体に向かっての急速な拡散を保証する。
特許EP0613371は、ブデソニドとフォルモテロールを含む吸入用固形製剤を記載している。その製剤は、活性成分の微粉末化によって得られ、続いて、それは適当な噴射剤液中に懸濁されるか、または溶解される。しかしながら、この問題解決手法は、微粉末化された固形の活性成分の性質および加圧吸入器を用いる投与方法の両方により、いくつかの技術的制限がある。
実際、活性成分が微粉末化され、固体状態で噴射剤中に懸濁されるとき、それらは、肺の最下部に効果的に達することができない。保管中に、その製品は圧縮され、肺への投与に不適当なサイズの粒子の塊を形成する傾向がある。それが、作用部位に沈着する薬剤の不足(不適当なサイズの状態の粒子の塊のため)を補うために、二つの活性成分がこのタイプの製剤中により多くの量で含まれる理由である。このことは、結果として起こるコルチコステロイドおよびβ2-作動薬の典型的な副作用の潜在的増加を伴う、肺の外側に沈着する活性成分の量が増加することを意味する。さらに、これらの製剤において、吸入器によって放出される粉末および活性成分の用量は、成長する粒子の塊が、薬剤の投与の間に粉末の放出を妨げるので、時にほとんど再現不可能となる。
上記の全ての考察の観点から、標準の粉末吸入デバイスを用いて投与するのに安定でかつ容易で、同時に製造することが容易である、乾燥粉末の形態で、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための吸入可能な医薬組成物を製造できることは有利となるであろう。
したがって、当該技術の現況によれば、製剤中に含まれるICSおよびLABAの量を顕著に減じる一方で、満足な薬理学的応答が得られることを可能にする喘息およびCOPDを治療するための薬剤を含む吸入可能な処方を提供することの問題が、完全にまたは一部解決されていない。この問題を解決することは、潜在的に前記の問題事項を減ずることができる。
− 製剤が一般的な粉末吸入器を用いて投与されたとき、ICSおよびLABAの両方の再現可能な用量が得られることを可能にし;
− 吸入筋力低下のため吸入困難性を有するもの(そのような患者は、高抵抗粉末ディスペンサーを用いることができず、その結果、薬剤の効力が損なわれる)を含む、全ての患者にとって吸入することが容易である、
喘息およびCOPDの治療のための吸入可能な粉末を手にすることもまた有益であろう。
したがって、本発明の第一の観点は、
a) 第一の粉末の5重量%より大きい量のブデソニドまたはその医薬的に許容される塩、第一の粉末の5〜70重量%の量のロイシン、第一の粉末の20〜90重量%の量の乳糖を含む第一の粉末;
b) 第二の粉末の1重量%より大きい量のフォルモテロールまたはその医薬的に許容される塩、第二の粉末の5〜70重量%の量のロイシン、第二の粉末の20〜90重量%の量の乳糖を含む第二の粉末;
c) 第三の粉末の5〜70重量%の量のロイシンおよび第三の粉末の20〜90重量%の量の乳糖を含む第三の粉末
を含む、吸入用医薬組成物の製造に関し、ここで、該組成物は、60%より大きい微粒子フラクション(FPF)および80%より大きい放出フラクション(DF)を有する。
本発明のもう一つの観点は、本発明による組成物の定量と吸入デバイスを含む、吸入可能な粉末形態の薬剤を投与するためのキットに関する。
特に、本発明による組成物中の第一粉末中のブデソニドは、それが含まれる粉末の7% w/wより大きな量を占める。
本発明による組成物中の第二粉末中のフォルモテロールは、それが含まれる粉末の2% w/wより大きい量を占める。
本発明の目的物を形成する組成物中の二つの活性成分間のモル比に関して、ブデソニドとフォルモテロールとの間のモル比は、15:1〜40:1、好ましくは5:1〜120:1の範囲、より好ましくは8:1〜71:1の間、さらに良いのは17:1〜36:1の間である。
量に関して組成物を分析すると、上記の製剤に含まれるフデソニドは、30〜180μgの範囲の量であり、一方、フォルモテロール含量は、吸入単位用量当り1.5〜5.5μgの範囲の量である。「吸入単位用量」の用語は、各一回の吸入で吸入器のマウスピースから放出される用量を意味するのに用いられる。
吸入可能な組成物の第一の好ましい実施態様は、ブデソニド含量が、吸入単位用量当り35〜45μgの範囲の量であり、フォルモテロール含量が、吸入単位用量当り1.5〜3μgの範囲の量である。
第二の好ましい実施態様は、ブデソニド含量が、吸入単位用量当り75〜85μgの範囲の量であり、フォルモテロール含量が、吸入単位用量当り1.5〜3μgの範囲の量である。
第三の好ましい実施態様は、ブデソニド含量が、吸入単位用量当り155〜165μgの範囲の量であり、フォルモテロール含量が、吸入単位用量当り4〜5μgの範囲の量である。
本発明によれば、目的物を形成する医薬組成物中に含まれる粉末は、水分に対する感受性を減じる疎水性物質を含む。この疎水性物質はロイシンであり、それはまた粒子の解離を容易にする。ロイシン含量は、各粉末の5〜70% w/wの範囲である。好ましくは、本医薬組成物の粉末中に含まれるロイシンの量は、各粉末の18〜55% w/wの範囲である。
本発明の目的物を形成する医薬組成物中に含まれる粉末は、各粉末の20〜90% w/w、好ましくは40〜80% w/wの範囲の量で乳糖、二糖類も含む。
本発明によれば、組成物中に含まれる第一、第二および第三の粉末は、各粉末の0.2〜2% w/wの範囲の量で、好ましくは各粉末の0.4〜0.8% w/wの範囲の量で界面活性剤を含む。
本発明による医薬組成物中の界面活性剤は、種々のクラスの製薬用途のための界面活性剤から選択される。本発明で用いるのに適した界面活性剤は、一般的に有機溶媒に容易に溶解するが、水には弱溶解性かまたは全く不溶性である疎水性部分、および有機溶媒に弱溶解性かまたは全く不溶性であるが、水には容易に溶解する親水性(または極性)部分を含む、中または低分子量で特徴付けられるそれらの物質全てである。
界面活性剤はそれらの極性部分によって分類され、それゆえ、負の電荷の極性部分を有する界面活性剤は陰イオン性界面活性剤と定義され、一方、陽イオン性界面活性剤は正の電荷の極性部分を有する。非電荷の界面活性剤は一般に非イオン性と定義され、一方、正および負の両方の電荷の基を有する界面活性剤は両性イオン性と呼ばれる。
陰イオン性界面活性剤の例は、(石鹸としてよく知られている)脂肪酸の塩、硫酸塩、硫酸エステルおよびリン酸エステルを含む。陽イオン性界面活性剤は、しばしばアミノ基を含む極性基に基づく。最も一般的な非イオン性界面活性剤は、オリゴ-(エチレン-オキサイド)基を含む極性基に基づく。両性イオン性界面活性剤は、一般に第4級アミンと硫酸基またはカルボキシ基とで構成される極性基によって特徴付けられる。
この適用の具体的な例は、次の界面活性剤:塩化ベンザルコニウム、セトリミド、ドキュセートナトリウム、モノオレイン酸グリセリル、ソルビタンエステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、リン脂質類、胆汁塩類である。非イオン性界面活性剤は、例えばポリソルベート類および「ポロキサマー」として知られているポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマー類が好ましい。ポリソルベートは、ソルビトール脂肪酸エステルおよびエチレンオキサイドで縮合されたソルビトール無水物の混合物としてCTFA International Cosmetic Ingredient Dictionaryに記載されている。特に好ましいのは、「ツイーン」として知られている一連の非イオン性界面活性剤、特に「ツイーン80」、市販のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートと知られている界面活性剤である。
界面活性剤、好ましくはツイーン80の存在は、それのない製剤で検出される静電荷を減じるため、粉末の流動性および初期の結晶化なしに均質な固体状態の維持を確保するために必要である。
本発明によれば、「吸入可能な」という用語は、粉末が肺での投与に適していることを意味するために用いられる。吸入可能な粉末は、その粒子が、それが含む活性成分の薬理学的特徴が効果を生じることができる肺に入り、肺胞に達することができるように適当な吸入器によって分散され、吸入される。一般的に、5.0μmより小さい空気動力学的直径を有する粒子が吸入可能と見なされる。
「非晶質」という用語は、粉末が70%より少ない、より好ましくは55%より少ない結晶性フラクションを含むことを意味するために、本発明により用いられる。本明細書に記載の医薬組成物は、本組成物中に含まれる糖に対する本組成物中に含まれる非晶質の形態の粉末のw/wが0.8〜2.0の範囲にある。この比は、粉末中に含まれる糖が実質的に非晶質の糖であり、その結果、50%より少ない結晶性フラクションを有することを示している。このことは、糖が組成物中に含まれる水に配位結合することを可能にし、水が活性成分を加水分解することに利用されることにより活性成分を不活性にすることを防ぐ。
第二の実施態様に記載された医薬組成物は、投与回数を減らすように、相乗的に作用するかまたは単純に適用部位で同時に作用し得る2つ以上の異なる活性成分の組合せを含む、薬理学的に活性な製剤を得るために用いられる。
「微粒子フラクション(FPF)」という用語は、吸入器によって放出される粉末の総量に対して、5.0μmより小さい空気動力学的直径(dae)を有する粉末の量を意味するのに用いられる。粉末のこの性質を評価するために行われる特徴付け試験は、ヨーロッパ薬局方の現行版に記載されているMulti Stage Liquid Impinger (MSLI)を用いてなされる。この試験を行うための条件は、60リッター/分の流量を発生させるような吸入器により粉末を、吸入することからなる。この流量は、その系において2 KPaの圧力降下を発生させることによって生じる。
「放出フラクション(DF)」という用語は、標準的吸入条件での粉末吸入器によって放出される活性成分の全量の割合を意味するのに用いられる。
粉末のこの性質を評価するために行われる特徴付け試験は、ヨーロッパ薬局方の現行版に記載されているDUSAである。この試験を行うための条件は、その系において4 KPaの圧力降下を生じるような吸入器により粉末を吸入することからなる。
本発明による粉末の好ましい製造方法は、ロイシンの溶液から出発し、糖の溶液および(存在する場合には)薬剤が溶解しているか、または懸濁液もしくはエマルジョンとして分散している界面活性剤の噴霧乾燥である。
該粉末の好ましい粒径に関して、繰り返して言うが、カバーされる表面積を増加し、それによって肺深部の薬剤の沈着を最適化するために、粒度分布の少なくとも50%(X50)が5μm未満、好ましくは3μm未満、さらに良いのは2.0μm未満であるべきである。
本発明によれば、医薬製剤を構成する粉末は、実質的に乾燥粉末、すなわち10%より少ない、好ましくは5%より少ない、またはさらに良いのは3%より少ない水分含量を有する粉末である。好ましくは、この乾燥粉末は、活性成分を加水分解し、それを不活性にすることができる水を含まない。
製剤中に含まれる水分の量は、
− 粉末の製造の間およびそれに続く操作の間の両方で、その特徴的な疎水性が水分含量を限定するので、ロイシンの存在;
− 時間とともに次第に硬くなる構造中の水を捕捉し、その水が活性成分を加水分解するのに利用可能となるのを防ぐことによる糖の存在
によって制御される。
本発明による医薬組成物を製造する方法は、本質的に次の段階を含む:
a) 第一の粉末の1% w/wより大きい量で活性成分、第一の粉末の5〜70% w/wの間に含まれる量のロイシン、および第一の粉末の20〜90% w/wの間に含まれる量の、粉末が噴霧乾燥によって得られた後で実質的に非晶質である乳糖を含む、少なくとも一つの第一の粉末を噴霧乾燥によって得ること;
b) 第二の粉末の5〜70% w/wの間に含まれる量のロイシン、および第二の粉末の20〜90% w/wの間に含まれる量の、粉末が噴霧乾燥によって得られた後で実質的に非晶質である乳糖を含む、第二の粉末を噴霧乾燥によって得ること;および
c) それらの二つの粉末をブレンドすること。
特に、段階a)およびb)における、噴霧乾燥によって粉末を得る組成物の製造方法は、以下に示す一連の操作からなる。
段階a)について、これらの段階は:
− 活性成分が適当な液体媒体中に含まれる第一の相(A)を調製すること;
− ロイシン、乳糖および界面活性剤が水性媒体中に溶解しているか、または分散している第二の相(B)を調製すること;
− 液体媒体が均質である第三の相(C)を得るために前記の相(A)と(B)を混合すること;
− 中位径が10.0μmより小さい粒度分布を有する乾燥粉末を得るために、制御された条件で前記の相(C)を乾燥すること;
− 前記の乾燥粉末を回収すること
を含む。
相(A)は、水性または非水性媒体中の活性成分の懸濁液であるか、または適当な溶媒中の活性成分の溶液であり得る。溶液を調製するのが好ましく、有機溶媒は水と混合するのに適したものの中から選択される。この場合、相(C)も組成中の全ての成分の溶液である。
一方、相(A)が疎水性の活性成分の水性媒体中の懸濁液であるとき、そのとき相(C)も水性媒体中の懸濁液であり、この懸濁液は賦形剤および界面活性剤を含む、そこに溶解する可溶性成分を含むであろう。
所望の粒径特徴を有する乾燥粉末を得るための乾燥操作は、相(C)から液体媒体-溶媒または分散剤-を除去することからなる。これは、十中八九、噴霧乾燥法によってなされる。液体媒体が溶液または懸濁液(C)から蒸発し、所望の粒径の粉末が得られるように、ノズルの特徴およびプロセス・パラメータが選択される。
段階(B)について、その段階は:
− ロイシン、乳糖および界面活性剤が水性媒体中に溶解または分散している、第一の相(A)を調製すること;
− 中位径が10.0μmより小さいような粒度分布を有する乾燥粉末を得るために制御された条件下に上記の相(A)を乾燥すること;
− 上記の乾燥粉末を回収すること
を含む。
医薬組成物を製造する方法の段階(C)は、回転ボディー(revolving-body)ターブラー振盪ミキサー、V-ミキサー、またはシリンダー、バイコニカルもしくはキューブ形の固定ボディーミキサー、ブレンドのみに用いられる(例えば、遊星型、ノータミックス、シグマおよびリボン ブレンダー)、または顆粒化にも用いられる(例えば、ディオズナ(Diosna))のような、あらゆる一般的なブレンド技術を用いる、噴霧乾燥によって得られる粉末を物理的にブレンドすることからなる。
これらのミキサーのほかに、ウルトラ ターラックス(Ultraturrax)またはシルバーソン(Silverson)のような、液体を混合するのに通常用いられるデバイスを用いて、または流動床造粒装置内でも、粉末をブレンドすることも可能である。
本発明によれば、吸入可能な医薬組成物はブデソニドとフォルモテロールとを含み、(維持療法および要求に応じての)喘息、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のために主に用いられる。
主に粉末の形態およびそれらの製造に用いられる方法のおかげで、(肺の)意図した作用部位で大部分の粉末が沈着するのを可能にする、本発明による吸入可能な医薬組成物の空気動力学的性能が与えられ、より少量の活性成分の投与で治療される疾患に対する有効的な治療効果が達成される。
特に、本発明による吸入可能な医薬組成物により、ある疾患の治療のために現在投与されている活性成分の用量と比較して、投与に必要な活性成分の用量が半分になり得る。その結果、活性成分の含量を減じることは、コルチコステロイドおよびβ2-作動薬を含む薬剤の典型的な副作用を減じる。
本発明の目的物を形成する医薬組成物に含まれる粉末を製造するための方法が、以下に記載される。
個々の粉末の調製
活性成分およびそれを希釈するために用いられる粉末(以下「増量剤」と称する)を含む粉末は、非晶質の粒子が適当な溶媒または混合溶媒中で調製された活性成分および賦形剤の溶液から、均質の粒度分布で得られることを可能にする乾燥方法である噴霧乾燥によって得られた。
本明細書に記載の製剤に対して、用いられる溶媒は70/30の固定比率での水とエチルアルコールである。溶解固形物の濃度は、活性成分を含む製剤に対して1重量/体積(w/v)%であり、増量剤に対して2% w/vであった。
活性成分としてのフマル酸フォルモテロールおよび増量剤を含む粉末の場合、粉末の全成分を水に溶解し、得られた溶液をエチルアルコールの一部に25℃でゆっくりと加えた。
活性成分としてブデソニドを含む製剤において、この活性成分をアルコール部分に独立して溶解し、次いで、それに賦形剤を含む水溶液を加えて、水-アルコール溶液を得た。
得られた水-アルコール溶液を、次のパラメータを有するオープン・サイクルを用い、Buchi Mod. B290噴霧乾燥機により処理した:
- ノズル直径:0.7 mm
- 噴霧ガス:窒素
- 噴霧圧力:4バール
- 乾燥ガス:空気
- 100% 吸引(35 m3/時間)
- 入口温度 170℃
- 供給速度 8% (2.4 ml/分)
- 粉末回収システム:粉末回収のためのガラス容器を有するサイクロン分離器 (外径: 8.5 cm. 高さ: 30.5 cm)
- 出口フィルター: ナイロン・スリーブ。
乾燥工程の終わりに、制御された温度と湿度の条件下:温度<25℃、相対湿度<35%で粉末回収段階を完了した。
粉末は、製造後すぐにホウケイ酸ガラス・アンプル中に充填し、不完全真空下(30%)、熱溶着によりシールされた2重アルミホイル封筒中に置かれた。
混合物の製造
活性成分+増量剤を含む粉末をブレンドすることによって、実施例に記載の製剤を得た。
最初の粉末間の量比に関係なく、層状ブレンド技術を用いて、混合容器内で増量剤の2つの層の間に活性成分を含む粉末を配置した。ウルトラ ターラックスT10ミキサーを用いて、製造されたバッチのそれぞれに含まれる粉末3.5 gに十分と考えられる5分間それらを混合して、粉末をブレンドした。バルクの異なる箇所から採取した10の試料について内容物の均一性を力価分析によりチェックした。
粉末をボトルに移し、密封し、不完全真空下(30%)、熱溶着により密封された2重アルミ封筒中で保存した。
ボトル中の粉末のブレンドおよび分配は、制御された湿度および温度条件下:最高温度20℃および環境相対湿度<35%のグローブ・ボックス中で行った。
加速安定性試験のための保存条件
上記のように充填された粉末を、加速安定性研究の間、温度40℃、相対湿度13%でオーブン中に保存した。
試験のために設定されたそれぞれの時点で、安定性ポイントに対応する資料を採取し、室温に達するまで放置して冷却し、次いで、グローブ・ボックス中で制御された条件(温度<20℃、RH<35%)下に開封し、プロトコールで設定されたようにして分析した。
粉末の特徴付け:寸法分析
得られた粉末を、RODOS分散機を備え、(Fraunhofer理論によって粒径を分析する)Sympatec Helos光散乱装置を用い、乾燥条件で、粒度分布について特徴付けた。計器は、標準物質で適当に校正され、計器の取扱説明書の指示に従って調整された。
分析の前に適当にクリーニングした後、各製造バッチからの粉末の所定量を、試料の予備調製なしで分析した。用いられた分散ガスは、あらゆる粒子状物質を除くために適当にフィルターにかけられた圧縮空気であった。したがって、設定された分析方法は、試料、粉末分散機および光散乱分析機に関しての次の事前注意を講ずることを含んだ。
試料
− 量:約100 mg
− 供給手段:スパチュラで
− 試料の前処理:なし
− RODOS分散機
− モデル M ID-NR 230 V/Hz 24Va
− 分散圧力:3バール
光散乱分析器
− モデル:Helos
− 分析方法: Fraunhofer
− ソフトウエア バージョン:Windox 4.0
− レンズ:R1 (0.1-35 μm)
− 最小光学濃度:1%
− 分析活性化閾値:試料の少なくとも100msの曝露で最大30秒間の検出可能な最小光学濃 度1%
分析は全て制御された温度および湿度条件下:温度<25℃および相対湿度<50% RHで行われた。寸法分析は、粉末の試料における粒子の母集団の体積平均径(VMD)を示す値を生じた。
粉末の特徴付け:残留水分含量
粉末中の残留水分含量を、Karl Fischer法、電量システム法を用いて測定した。このことは、試薬としてHYDRANAL(登録商標)-Coulomat AGを用いるC20 Compact Karl Fischer Coulometer (Mettler Toledo)を用いて行われた。
試料粉末を、約15〜20 mgの量で正確に秤量し、その量を試料のパラメータに記録した。試料を試薬溶媒浴に入れた後すぐに滴定を始めた。装置は、分析後に試料中に含まれる水のパーセントを直接示す。
粉末の特徴付け:力価および相互関連
活性成分およびそれらの相互関連物質の含量を確かめるために、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いた。分析方法は次のパラメータによって特徴付けられた:
溶媒:50/50 メタノール/リン酸緩衝液 pH 2.7 25mM
移動相:アセトニトリル/リン酸緩衝液 pH 2.9 2.82 mM
勾配溶出
注入量:20 μL
分析カラム:Agilent Poroshell 120 EC-C18, 100 mm×3.0 mm, 2.7 μm
カラム温度:30℃
波長:220 nm (フマル酸フォルモテロール)および240 nm (ブデソニド)
保持時間:2.4分 (フマル酸フォルモテロール)および8.0分 (ブデソニド)
分析のために、モデルG1315Cダイオードアレイ検出器を有するHPLC Agilentモデル1200を用いた。十分な粉末の所定量を溶媒中に溶解して分析に用いられる試料を得、標準溶液として、ブデソニド160μg/mlおよびフマル酸フォルモテロール4.5μg/mlの濃度を得た。2%未満でなければならない、相対標準偏差パーセント(RSD%)として表される系の精度をチェックするために、試料の前に標準溶液を3回連続で注入した。
面積を既知の濃度の標準溶液と相関させることによって、活性成分の含量を測定した。分解生成物に対応する全分析ピークの面積の合計と、標準活性成分との間の比として、生成物の分解を計算した。分解生成物の合計は、クロマトグラムで活性成分の面積の0.1%より大きい面積を有する全ての分析ピークを含めた。
粉末の特徴付け:示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)は、試料における吸熱または発熱効果を有する相の変化、水分の損失、化学反応のような化学的-物理的現象を特定するために用いられる熱分析技術である。DSCのために、試料は一定の加熱速度で加熱され、その温度を上げるのに必要な熱量はその熱容量に依存する。吸熱または発熱現象のそれぞれが、その物質の熱容量を可逆的または不可逆的に変更し、サーモグラムのベースラインの変化として特定される。
非晶質乳糖を含む製剤は、加熱の間に結晶化を急速に引き起こす非晶質の固体状態から準安定状態への乳糖のガラス-ゴム転移に対応する発熱ピークによって特徴付けられる、熱容量における典型的な低下を示す。これらの現象に対応する温度は、試料の組成および試料の保存および調製の環境条件に依存して変化する。
試料を制御された環境条件(温度<20℃、相対湿度35〜30%)下で調製した。標準アルミ製40μLのDSCるつぼを1 mg〜3 mgの秤量された粉末で満たし、特定の蓋で密閉した。次いで、試料を10℃/分ずつ温度を上昇させ、20〜200℃の加熱傾斜に付して、試験される試料の熱量分析を行った。その分析は、試料の段階的な加熱に伴う熱事象を示すサーモグラムを生じる。
ガラス-ゴム転移(Tg)は下降工程から特定され、時には緩和エンタルピーによって引き起こされるベースラインにおける、続く上昇工程から特定される。サーモグラムが分析されるとき、試料の大きさに関係なく、その現象の開始温度(Tg開始)が計算される。ガラス-ゴム転移温度は、Tgが結晶化の前に起こるので、粉末の安定性の指標を与え、それは100℃を超えて起こる。結晶化での発熱性ピークが積分され、その曲線下の面積が試料の非晶質フラクションの指標を与える。
粉末の特徴付け:MSLIを用いた吸入性試験
Multi Stage Liquid Impinger(MSLI)は、インビトロで吸入製剤の肺沈着をシミュレートするための装置である。適当な吸入器によって放出され、吸引によって装置中に運ばれる吸入可能な製剤は、粒径、密度、形のような粉末の空気動力学的特徴に応じて、インピンジャーの種々の段階に連続して沈着する。MSLIの各段階は、そこの内部に沈着した粉末の空気動力学的粒径の幅に対応する。粉末の空気動力学的粒度分布を特定するために、各段階での活性成分の量のHPLC分析が用いられ、それは、空気動力学的中央粒子径(MMAD)ならびにヨーロッパ薬局方による空気動力学的直径<5.0μmを有するフラクションである吸入可能なフラクション(微粒子フラクション、FPFとしても知られている)を計算することを可能にする。
吸入性試験のために、実施例で用いられる製剤中の粉末は、No. 3 HPMCカプセルに入れられ、RS01粉末吸入器-単回投与用モデル7、コード239700001AB (Aerolizer - Plastiape S.p.A.)に装填された。装置は、製造者の取扱説明書およびヨーロッパ薬局方の勧告に従って組み立てられた。分析目的のために、各吸入性試験について10個の粉末カプセルを放出することが必要であった。試験は、系の2 KPaの圧力低下を用いる、4秒間、60 L/分の流速で行われた。
この流速で、各段階は次の空気動力学的直径のカットオフに対応した:
− 段階1:>13μm
− 段階2:13μm〜6.8μm
− 段階3:6.8μm〜3.1μm
− 段階4:3.1μm〜1.7μm
− 段階5(フィルター):<1.7μm
吸入可能なフラクション(または微粒子フラクション)は、5μmより小さい空気動力学的直径を有する粒子を含み、特定のソフトウエア (CITDAS Copley)を用いて計算された。
MSLIで分析された吸入可能な製剤の空気動力学的パラメータは、次の項目で表される:
− 放出フラクション(DF):すなわち吸入器のマウスピースから出る活性成分の量のパーセント;
− 微粒子量(FPD):直径<5.0μmを有する活性成分の吸入可能な用量;
− 微粒子フラクション(FPF):放出される量の割合として表される活性成分の吸入可能なフラクション(空気動力学的直径<5.0μm)
− 空気動力学的中央粒子径(MMAD):放出される粒子の中位空気動力学的直径。
各段階での活性成分は、含量および分解生成物による分析方法を用いて、HPLCによって定量化された。
実施例1
製剤中の遊離水の存在に影響を受ける活性成分であるフマル酸フォルモテロールを含む粉末を製造し、実施例1を行った。フォルモテロール粉末と一緒に、ロイシンと乳糖またはマンニトールの異なる量を含む粉末を製造した。その例は、フォルモテロールに対する乳糖の保護効果を明示した;この保護効果は、乳糖が製剤中に含まれる遊離水に対する「捕捉」効果を有することができるという事実によって説明される。
このことを実証するために、3つのタイプの粉末:
・フォルモテロールとロイシンだけを含む粉末、
・フォルモテロールとロイシンと一緒に乳糖の異なる量を有する2つの粉末、および
・乳糖が異なる糖、すなわちマンニトールによって置き換えられた2つの粉末
を製造した。
乳糖を含む粉末は、時間の経過とともに水分を吸収する傾向があり、結果としてTgの減少を伴うが、時間の経過に伴う分解は制限される。この制限された分解は、おそらく乳糖の水に対する捕捉効果に起因し、したがってそれは剛構造中に捕捉され、他の成分と反応することを妨害する。一方、乳糖を含まない粉末は、最初に既に結晶構造であり、化学的分解を受ける。
乳糖を含む2つの粉末の間で、50%を有するのものが時間経過に対してより安定であるので、より良いと分かった。
実施例2
2つの異なる量での乳糖とロイシンを用いて、活性成分としてブデソニドを含む粉末(表中でHLSA Budと表示)を製造し、実施例2を行った。増量剤として、ロイシンの3つの異なる量および乳糖を用いて、乳糖とロイシンを含む他の製剤(表中でBAと表示)、すなわちロイシンと乳糖を含むが活性成分は含まない粉末を、ブデソニドを含む製剤とともに製造した。放出フラクションおよび微粒子フラクションのようなパラメータに正の効果を有する、その製剤の解離性を試験するために、3つの異なる量、0%、50%および91.5%でのロイシンの含有物を用いた。
例12、13および14の粉末を製造後、3つの粉末を3つのタイプの増量剤粉末と混合した。これら3つの増量剤もまた、3つの異なる量(0%、50%および99.5%)でロイシンを含んだ。本試験のさらなる部分は、増量剤がカプセルを完全に空にすることを促進できることを明らかにした。しかしながら、ロイシン中の過剰に豊富な増量剤は、活性成分に化学的な分解効果を生じるので、増量剤の組成は重要である。
本発明によれば、次の場合、すなわち:
・分解生成物が、時間T0で全活性成分の1%より低い(T0の分解生成物<1% tot);
・放出フラクション、すなわち吸入器のマウスピースから放出される活性成分の量のパーセントが、時間T3で80%より大きい(T3でのDF>80%);
・微粒子フラクション、すなわち大きさが5μより小さい活性成分の微粒子の量が、時間T0および時間T3で60%より大きい(T0およびT3でのFPT>60%)
場合に、本粉末は受容される、すなわちそれは吸入投与のための最適パラメータを満たしている。
実施例3
2つの異なる量での乳糖およびロイシンと一緒に、活性成分としてフマル酸フォルモテロールを含む粉末(表中でHLSA FFと表示)を製造して、この実施例を行った。増量剤として、3つの異なる量のロイシンと乳糖を用いて、乳糖とロイシンを含むその他の粉末(表中でBAと表示)、すなわちロイシンと乳糖を含むが活性成分は含まない粉末を、フマル酸フォルモテロールを含む製剤とともに製造した。放出フラクションおよび微粒子フラクションのようなパラメータに正の効果を有する、その製剤の解離性を試験するために、3つの異なる量、0%、50%および91.5%でのロイシンの含有物を用いた。
例12、13および14の粉末を製造後、3つの粉末を3つのタイプの増量剤粉末と混合した。これら3つの増量剤も、3つの異なる量(0%、50%および99.5%)でロイシンを含んでいた。本試験のさらなる部分は、増量剤がカプセルを完全に空にすることを促進できることを明らかにした。しかしながら、ロイシン中の過剰に豊富な増量剤は、活性成分に化学的な分解効果を生じるので、増量剤の組成は重要である。
本発明によれば、次の場合、すなわち:
・分解生成物が、時間T0で全活性成分の1%より低い(T0の分解生成物<1% tot);
・放出フラクション、すなわち吸入器のマウスピースから放出される活性成分の量のパーセントが、時間T3で80%より大きい(T3でのDF>80%);
・微粒子フラクション、すなわち大きさが5μより小さい活性成分の微粒子の量が、時間T0および時間T3で60%より大きい(T0およびT3でのFPT>60%)
場合に、本粉末は受容される、すなわちそれは吸入投与のための最適パラメータを満たしている。
実施例4
現在市場で入手可能な異なる製剤の製品を、ブデソニドとフォルモテロールの可変量を含む本発明による医薬組成物を含む混合物と比較して、本実施例を行った。
比較のために用いた市販の製品は、320/9、160/4.5および80/4.5のμgで表されるフマル酸フォルモテロールに対するブデソニドの比を有する、3つの異なる製剤で入手可能な、アストラゼネカにより製造されたシンビコート(Symbicort)(登録商標)であった。
本発明による組成物のエアゾール性能を評価するため、本実施例を行った。本組成物は、現在市販の上記の参考製剤の半分の用量で投与することができるということは、強調する価値がある。投与されるべき用量のこの減少は、
− マウスピースからの薬剤放出の高用量および作用部位に沈着される薬剤の量が薬理学的に有効であり得ることを保証するのに十分な微粒子のパーセントを維持しながら;
− 同時に、投与される薬剤の副作用特性を減少して
達成される。
本発明による組成物中の粉末は、次の通りである:
3つの粉末を前記の方法により一緒にブレンドし、市販の対応する3つの参考製剤と比較するために、10 mgまたは3 mg用量の粉末でブデソニドとフォルモテロールを含む3つの製剤を得た(表5および6)。
MSLIを用い、4 kPaで試験を行って、記載のように製造された3つの製剤(表5)の空気動力学的性能を、市販の参考粉末のそれと比較した。
表7は、表6および7に記載の製剤A1およびB1 (用量 160/4.5; 96 L/分-2.5秒)をシンビコート(登録商標) 320/9 (用量 320/9; 58 L/分-4.1秒)と比較する。
表8は、表5および6に記載の製剤A2およびB2 (用量 80/2.25; 96 L/分-2.5秒)をシンビコート(登録商標) 160/4.5 (用量 160/4.5; 58 L/分-4.1秒)と比較する。
表9は、表5および6に記載の製剤A3およびB3 (用量 40/2.25; 96 L/分-2.5秒)をシンビコート(登録商標) 80/4.5 (用量 80/4.5; 58 L/分-4.1秒)と比較する。

Claims (18)

  1. a) 第一の粉末の5重量%より大きい量のブデソニドまたはその医薬的に許容される塩、第一の粉末の5〜70重量%の量のロイシン、第一の粉末の20〜90重量%の量の乳糖を含む第一の粉末;
    b) 第二の粉末の1重量%より大きい量のフォルモテロールまたはその医薬的に許容される塩、第二の粉末の5〜70重量%の量のロイシン、第二の粉末の20〜90重量%の量の乳糖を含む第二の粉末;
    c) 第三の粉末の5〜70重量%の量のロイシンおよび第三の粉末の20〜90重量%の量の乳糖を含む第三の粉末
    を含むことを特徴とし、60%より大きい微粒子フラクション(FPF)および90%より大きい放出フラクション(DF)を有する、吸入用の医薬組成物。
  2. 重量で表される組成物中の糖の量に対する、組成物を形成する非晶質の形態にある粉末の重量で表される量の割合が、0.8〜1.5であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 第一および第二の粉末が、各粉末の0.2〜2重量%の量で界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  4. ブデソニドの含量が第一の粉末の7重量%より大きい量であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
  5. フォルモテロールの含量が第二の粉末の2重量%より大きい量であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
  6. ロイシンの含量が18〜55重量%の量であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
  7. 乳糖の含量が40〜80重量%の量であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
  8. 界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、ドキュセートナトリウム、モノオレイン酸グリセリル、ソルビタンエステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、リン脂質類、胆汁塩類、ポリソルベート類、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマー類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
  9. 界面活性剤の含量が、0.4〜0.8重量%の量であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
  10. 第一、第二および第三の粉末が、5μmより小さい、好ましくは3μmより小さいX50を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
  11. ブデソニドとフォルモテロールのモル比が15:1〜40:1であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
  12. 吸入後に吸入器のマウスピースから出る吸入用量である吸入単位用量当り、ブデソニドが30〜180μgの量にあり、フォルモテロールが1.5〜5.5μgの量にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
  13. 吸入単位用量当り、ブデソニドが35〜45μgの量にあり、フォルモテロールが1.5〜3μgの量にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
  14. 吸入単位用量当り、ブデソニドが75〜85μgの量にあり、フォルモテロールが1.5〜3μgの量にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
  15. 吸入単位用量当り、ブデソニドが155〜165μgの量にあり、フォルモテロールが4〜5μgの量にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
  16. 喘息の治療の維持療法および必要療法の両方で使用するための、請求項1〜15のいずれか一つに記載の組成物。
  17. 慢性閉塞性肺疾患の治療で使用するための、請求項1〜16のいずれか一つに記載の組成物。
  18. 請求項1〜17のいずれか一つに記載の組成物の所定量と、吸入用デバイスとを含む、吸入用粉末としての薬剤を投与するためのキット。
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