JP2016514011A - インプラントに適した耐久性多層高強度ポリマー複合体及びそれから製造された物品 - Google Patents

インプラントに適した耐久性多層高強度ポリマー複合体及びそれから製造された物品 Download PDF

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Abstract

種々の埋込配置での使用に適した薄型の生体適合性且つ高強度の複合材料が開示される。当該複合材料は、高サイクル屈曲用途でも柔軟性を維持するため、心臓ペーシングリード(heart pacing lead)や心臓弁尖(valve leaflet)等の高屈曲性インプラントにとりわけ有用である。当該複合材料は、少なくとも1つの多孔性延伸フッ素ポリマー層と、前記多孔性延伸フッ素ポリマーの細孔の実質的に全てに充填されたエラストマーとを含む。【選択図】図23

Description

本願は、同時係属中の米国特許出願番号第13/078,774号(2011年4月1日出願)の一部継続出願である、同時係属中の米国特許出願番号第13/485,823号(2012年5月31日出願)の一部継続出願である。米国特許出願番号第13/485,823号は、仮出願番号第61/492,324号(2011年6月1日出願)に基づく優先権の利益を主張する。これらの出願はその全体が援用により本明細書に組み込まれる。
本出願は医療用インプラントに用いられる材料に関する。より具体的には、本出願は人工心臓弁等の高サイクル屈曲用途における使用に適した生体適合性材料に関する。
人工心臓弁はインビボ(in vivo)で少なくとも10年間は使用できることが好ましい。斯かる長期間の使用に耐えるには、人工心臓弁は少なくとも4億サイクル以上に亘って十分な耐久性を示す必要がある。斯かる弁、より具体的には心臓弁尖(valve leaflet)は、穴や破れ等の形成等の構造的劣化、並びに、石灰化や血栓形成等の有害な生物学的影響に対して耐性を有する必要がある。
フッ素ポリマー、例えば延伸及び非延伸形態のポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)、修飾PTFE、並びにPTFEのコポリマー等は、優れた不活性や優れた生体適合性など、数々の所望の特性を有することから、理想的な材料の候補となる。PTFEや延伸PTFE(ePTFE)は心臓弁尖(valve leaflet)の作製に利用されている。しかし、PTFEは屈曲を繰り返すと硬化し、流動性能が許容し得ないほど悪化する場合があることが示されている。また、材料中に穴や破れが形成されることによる不具合も認められている。従来、種々のポリマー材料が補綴心臓弁尖(valve leaflet)に用いられてきた。これらのリーフレットは、インプラントから2年以内に、硬化や穴の形成により不具合を生じていた。リーフレットを厚くすることで耐久性を改善しようとする試みもなされたが、開放弁前後の圧力低下が大きすぎ、弁の血行動態性能の面で許容し得ないものであった。
従って、少なくとも約4億サイクル以上の屈曲に耐えるのに十分な耐久性を示し、少なくとも10年間はインビボ(in vivo)で使用できる、生体適合性の人工心臓弁を設計することが望まれている。
ある態様によれば、ヒト患者の血流方向を調節するための埋込可能物品が提供される。斯かる物品としては、これらに限定されるものではないが、心臓弁や静脈弁が挙げられる。
一態様によれば、斯かる埋込可能物品は、複数の細孔を有する少なくとも1つのフッ素ポリマー層と、前記少なくとも1つのフッ素ポリマー層の実質的に全ての細孔内に存在するエラストマーとの複合材料を含むリーフレットであって、当該複合材料は、重量比で80%未満のフッ素ポリマーを含む。
別の態様の例によれば、斯かる埋込可能物品は、厚みを有するリーフレットを含み、当該リーフレットは、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを有する複合材料から形成され、フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である。
別の態様の例によれば、斯かる埋込可能物品は、支持構造と、前記支持構造に支持された厚みを有するリーフレットとを含み、当該リーフレットは、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを有する複合材料から形成され、フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である。
別の態様の例によれば、斯かる埋込可能物品は、前記埋込可能物品を通じた血流を実質的に妨げる閉止配置と、前記埋込可能物品を通じた血流を許容する開放配置との間で循環可能であるリーフレットを含む。当該リーフレットは、複数のフッ素ポリマー層から形成され、フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である。当該リーフレットは、少なくとも4千万サイクルの動作後でも、実質的に変わらない性能を維持する。
別の態様の例によれば、斯かる埋込可能物品は、前記埋込可能物品を通じた血流を実質的に妨げる閉止配置と、前記埋込可能物品を通じた血流を許容する開放配置との間で循環可能であるリーフレットを含む。また、当該埋込可能物品は、前記支持構造の少なくとも一部と前記リーフレットの少なくとも一部との間に位置するクッション部材を含み、ここで当該クッション部材は、複数のフッ素ポリマー層から形成されると共に、フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である。当該リーフレットは、少なくとも4千万サイクルの動作後でも、実質的に変わらない性能を維持する。
ある態様の例によれば、ヒト患者の血流方向を調節するための埋込可能物品のリーフレットを形成するための方法であって、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを有する複合材料を提供する工程と、軸方向の縫い目を付されてなり、当該縫い目により規定された始点及び終点を有する前記複合材料のシートを巻回することにより、前記複合材料の二以上の層を前記複合材料の追加の層と接触させる工程とを含む方法が提供される。
ある態様の例によれば、ヒト患者の血流方向を調節するための埋込可能物品であって、厚さ100μm未満のポリマーリーフレットを含む埋込可能物品が提供される。
別の態様によれば、斯かる埋込可能物品は、第一の端部と反対側の第二の端部とを有する略環形の支持構造を含む。当該支持構造の第一の端部は、長手方向に延在する支柱を有する。リーフレット材料のシートが、前記支持構造の外周に沿って延在し、前記支柱の両端面に沿って延在する第一及び第二のリーフレットを形成する。クッション部材が前記支柱に連結され、前記支柱と前記リーフレットとの間でクッションとして機能し、前記リーフレットが開放位置と閉鎖位置との間を循環する際に前記リーフレットに生じる応力及び摩耗を最小化する。
一態様によれば、血流方向を制御するための弁が提供される。一態様によれば、前記弁は、繊維を含む少なくとも1つのフッ素ポリマー膜の複合材料を含むリーフレットを含み、ここで前記繊維の過半数の直径が1μm未満であり、前記繊維間の隙間が細孔を画定し、前記エラストマーは実質的に全ての細孔内に存在する。
別の態様によれば、斯かる弁は支持構造と、前記支持構造によって支持されると共に、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である少なくとも1つのリーフレットとを含む。各リーフレットは、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を含む。前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜が繊維を含み、ここで前記繊維の過半数の直径が1μm未満である。前記繊維間の隙間が細孔を画定する。前記エラストマーは実質的に全ての細孔内に存在する。
別の態様によれば、斯かる弁は支持構造と、前記支持構造によって支持されると共に、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である少なくとも1つのリーフレットとを含む。各リーフレットは、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を含む。前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜は細孔を含み、前記エラストマーが、実質的に全ての細孔内に存在する。前記複合材料は、重量比で10%〜90%の範囲のフッ素ポリマー膜を含む。
別の態様によれば、斯かる弁は支持構造と、前記支持構造によって支持されると共に、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である少なくとも1つのリーフレットとを含む。各リーフレットは、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を含む。前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜は、細孔サイズ5μm未満の細孔を含み、前記エラストマーが、実質的に全ての細孔内に存在する。
別の態様によれば、補綴心臓弁のリーフレットを形成する方法が提供される。前記方法は、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を提供し、ここで前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜は繊維を含み、前記繊維の過半数の直径は1μm未満であり、前記繊維間の隙間が細孔を画定し、前記エラストマーは実質的に全ての細孔内に存在し、前記複合材料の二以上の層を前記複合材料の追加の層と接触させ、これらの複合材料の層を一緒に結合することを含む。
別の態様によれば、リーフレットを含む補綴心臓弁を形成する方法が提供される。斯かる方法は、略環状の支持構造を提供し、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を提供し、前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜が繊維を含み、ここで前記繊維の過半数の直径は1μm未満であり、前記繊維間の隙間が細孔を画定し、前記エラストマーは実質的に全ての細孔内に存在し、前記複合材料を前記支持構造の周囲に巻回し、前記複合材料の二以上の層を前記複合材料の追加の層と接触させ、これらの複合材料の層を互いに、及び前記支持構造と結合させることを含む。
別の態様によれば、補綴心臓弁のリーフレットを形成する方法が提供される。斯かる方法は、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を提供し、前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜が繊維を含み、前記繊維間の隙間が細孔サイズ5μm未満の細孔を画定し、前記エラストマーは実質的に全ての細孔内に存在し、前記複合材料の二以上の層を前記複合材料の追加の層と接触させ、これらの複合材料の層を一緒に結合することを含む。
別の態様によれば、リーフレットを含む補綴心臓弁を形成する方法が提供される。斯かる方法は、略環状の支持構造を提供し、少なくとも1つのフッ素ポリマー膜とエラストマーとを含む複合材料を提供し、前記少なくとも1つのフッ素ポリマー膜が繊維を含み、前記繊維間の隙間が細孔サイズ5μm未満の細孔を画定し、前記エラストマーは実質的に全ての細孔内に存在し、前記複合材料を前記支持構造の周囲に巻回し、前記複合材料の二以上の層を前記複合材料の追加の層と接触させ、これらの複合材料の層を互いに、及び前記支持構造と結合させることを含む。
別の態様によれば、斯かる弁は、第一の端部と、前記第一の端部の反対側の第二の端部とを有する略環形の支持構造を含む。前記第二の端部は、その長手方向に延在するを複数の支柱を含む。複合材料のシートが支柱から支柱に延在し、前記支柱の間に存在する前記複合材料によってリーフレットが画定される。一態様によれば、クッション部材が前記支柱に連結されて、前記支柱と前記リーフレットとの間でクッションとして機能し、前記リーフレットが開放位置と閉鎖位置との間を循環するに際して生じる応力及び摩耗を最小化する。
別の態様によれば、斯かる弁は、複数の実質的に放物線状の形状を有する(parabolically shaped)上端部及び支柱を有するリーフレット支持フレームと、各々放物線形状を有する(parabolically shaped)上端部及び支柱支持構造に支持されたリーフレットとを含む。各リーフレットは、前記支持構造に連結されていない自由端を画定する。各リーフレットは、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である。各リーフレットは、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層少なくとも二層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを含む複合材料を含む。前記複合材料の少なくとも二層のうち少なくとも一層が、前記支持構造の内表面に連結され、記複合材料の少なくとも二層のうち少なくとも一層が、前記支持構造の外表面に連結される。
本明細書に添付の図は、本発明の更なる理解のために供されるものであり、本明細書に組み込まれて本明細書の一部をなし、本発明の態様の例を示すと共に、明細書の説明と一緒に、本発明の原理の説明に寄与する。
図1A、1B、1C、及び1Dは、一態様に係る心臓弁尖(valve leaflet)を形成するためのツールの、それぞれ正面図、側面図、上面図、及び透視図である。
図2Aは、一態様に係るリーフレットツールの上に広げられたクッションパッドの透視図である。
図2Bは、図2Aに示すクッションパッドで覆われたリーフレットツールの上に広げられた、一態様に係る放出層の透視図である。
図3A、3B、及び3Cは、一態様に係る弁尖(valve leaflet)の形成工程を示す、それぞれ上面図、側面図、及び正面図である。図中、(図2A及び2Bにそれぞれ示す)クッションパッド及び放出層により覆われたリーフレットツールは、切断及び組み立てに供すべく、複合材料上に配置されている。
図4は、余剰のリーフレット材料を切断する前の、一態様に係るトリリーフレットアセンブリの上面図である。
図5Aは、一態様に係るトリリーフレットアセンブリ及びベースツールの透視図である。
図5Bは、一態様に係るトリリーフレットアセンブリとベースツールとを併置して組み立てることにより形成された、ベースツールアセンブリの透視図である。
図6Aは、一態様に係るステントフレーム又は支持構造を扁平化した平面図である。
図6Bは、一態様に係るポリマーコーティング被覆支持構造を扁平化した平面図である。
図7A、7B、及び7Cは、一態様に係る弁尖(valve leaflet)を形成するのに使用される延伸フッ素ポリマー膜の走査型電子顕微鏡写真である。 同上。 同上。
図8は、一態様に係る弁アセンブリの透視図である。
図9A及び9Bは、図8に示す一態様に係る心臓弁アセンブリを、それぞれ閉止位置及び開放位置で示す上面図である。
図10は、弁アセンブリの性能を測定するのに用いられる心臓流パルス再現システムの出力測定値のグラフである。
図11A及び11Bは、弁アセンブリの性能を測定するために使用される高率疲労試験機からの出力測定値のグラフ及びデータチャートである。 同上。
図12A及び12Bは、一態様に係る弁アセンブリの試験時の、それぞれ0サイクル時及び約207百万サイクル後における、心臓流パルス再現システムからの出力測定値グラフである。 同上。
図13A及び13Bは、一態様に係る弁アセンブリの試験時の、それぞれ約79百万サイクル後及び約198百万サイクル後における、心臓流パルス再現システムからの出力測定値のグラフである。 同上。
図14は、心臓一態様に係る弁アセンブリを製造するためのマンドレルの透視図である。
図15は、一態様に係る心臓弁のための弁フレームの透視図である。
図16は、図14のマンドレルに装着された、一態様に係る図15の弁フレームの透視図である。
図17は、一態様に係る成形弁の透視図である
図18は、一態様に係る成形弁の透視図であり、隣接する弁尖(valve leaflet)と弁フレームの支柱との結合を強化するためのアタッチメント部材を示す。
図19は、一態様に係る弁フレームの透視図である。
図20は、支柱をクッションで包囲してなる、一態様に係る図19の弁フレームの透視図である。
図21は、一態様に係る立体リトグラフ形成マンドレルの透視図である。
図22は、図21のマンドレル上に装着された、一態様に係る図20のクッション被覆弁フレームの透視図である。
図23は、図20のクッション被覆弁フレームに連結されて支持されてなる、一態様に係る弁尖(valve leaflet)を有する弁の透視図である。
図24は、一態様に係る非折り畳み型ステントフレーム又は支持構造の透視図である。
図25は、一態様に係る積層型ステントフレームの透視図である。
図26Aは、複合張力緩和兼縫合リングにより結束された、一態様に係るトリリーフレットアセンブリ、ベースツール、及びステントフレームの透視図である。
図26Bは、一態様に係るトリリーフレットアセンブリの透視図である。
図27は、一態様に係る弁の透視図である。
図28は、一態様に係る弁及び固定具の透視図である。
図29は、一態様に係る弁、固定具及びプレスの透視図である。
図30は、一態様に係る完成した弁の透視図である。
図31は、一態様に係る図24の非折り畳み型ステントフレーム又は支持構造を、構造の外周を覆うクッション部材と共に示す透視図である。
図32は、一態様に係るフレーム又は支持構造に結合及び支持されたリーフレットを有する完成した弁を、支持構造の外周を覆うクッション部材、並びに張力緩和及び縫合フランジと共に示す透視図である。
図33Aは、一態様に係る図6Aの折り畳み型ステントフレーム又は支持構造を、前記構造のリーフレットが結合される領域を覆うクッション部材と共に示す透視図である。
図33Bは、一態様に係る図6Aの支持構造を、クッション部材を内包するポリマーコーティングと共に扁平化して示す平面図である。
図34は、一態様に係る図33A及び33Bの折り畳み型ステントフレーム及びクッション部材を、3本の軸方向スリットを有するフレームの外周をシリンダとして覆うリーフレット材料と共に示す透視図である。
図35は、一態様に係る図34の構成において、リーフレット材料の3つのタブが個々の開口を介してステントフレームに挿入されたところを示す透視図である。
図36は、一態様に係る折り畳み型フレームに連結及び支持されたリーフレットを有する完成した弁を、構造のリーフレット結合部位におけるクッション部材及び張力緩和材と共に示す透視図である。
図37は、ある態様に係る単一複合材料の場合のリーフレット厚さ及び層数を示すグラフである。
図38は、ある態様に係る二つの異なる複合材料について、リーフレット厚さ及び層数を比較したグラフである。
図39は、ある態様に係るリーフレット厚さ及び層数のサンプルグラフ上に、流体力学性能、最少層数、最小強度、最大複合厚さ、及び最大フッ素ポリマーパーセンテージについて画定される境界を示したものである。
図40は、ある態様に係るリーフレット厚さ及び層数のグラフ上で、流体力学性能、最少層数、最小強度、最大複合厚さ、及び最大フッ素ポリマーパーセンテージについて画定される境界を、実施例1、2、3、A、B、4A、4B、AC、5、6、7、及び8のリーフレット配置について示したものである。
図41Aは、加速摩耗試験時に見られた耐久性改善の全体的な傾向を示す、リーフレット厚さ及び層数のグラフである。
図41Bは、加速摩耗試験時に見られた耐久性改善の全体的な傾向を示す、リーフレット厚さ及び層数のグラフである。
図42は、ある態様に係る流体力学性能データ(EOA及び逆流分画)を、2つの弁について比較したグラフである。
図43は、ある態様に係る実施例の弁の性能データを示す表4である。
図44はは、ある態様に係る実施例の弁の性能データを示す表6である。
本明細書において使用される一部の用語の定義を以下の添付に示す。
この明細書で提示する実施態様において、長く必要とされてきた、高サイクルで屈曲させるインプラント、例えば心臓弁リーフレットなどの用途での耐久性と生体適合性の条件を満たす材料を取り扱う。多孔性フッ素ポリマー材料、より具体的にはエラストマーを含まないePTFEで形成された心臓弁リーフレットは、高サイクルで屈曲させる試験を行なったり、動物に埋め込んだりすると、硬直することが観察されている。
一実施態様において、以下により詳しく説明するように、多孔性フッ素ポリマー製心臓弁リーフレットの屈曲耐久性は、比較的低強度のエラストマーを細孔に比較的大きな割合で添加することによって有意に増大した。場合によっては、追加のエラストマー層を複合層の間に追加することができる。驚くべきことに、多孔性フッ素ポリマー膜にエラストマーを吸収させた実施態様において、エラストマーの存在によってリーフレットの全体的な厚さが増大し、エラストマーが付加されたことが原因で厚さが増大したフッ素ポリマー部材は、屈曲耐久性を邪魔したり低下させたりすることがなかった。さらに、フッ素ポリマー部材は、エラストマーの重量%が最小値に到達した後は、エラストマーの重量%が増大するにつれて一般にさらなる性能を示し、その結果としてインビトロで4000万回超になってもサイクル寿命が有意に延長し、所定の制御された実験室条件では石灰化の兆候を示さなかった。
一実施態様による材料として、延伸フッ素ポリマー膜と弾性材料を含む複合材料がある。本発明の精神の範囲でさまざまなタイプのフッ素ポリマー膜とさまざまなタイプの弾性材料の組み合わせが可能であることを容易に理解できるはずである。また、本発明の精神の範囲で、弾性材料には多数のエラストマーやさまざまなタイプの非弾性成分(例えば無機充填剤、治療薬、放射線不透過性マーカーなど)を含めることが可能であることも容易に理解できるはずである。
一実施態様において、複合材料は、例えば米国特許第7,306,729号に一般的に記載されているように、多孔性ePTFE膜でできた延伸フッ素ポリマー材料を含んでいる。
ここで説明する延伸フッ素ポリマー材料の形成に用いられる延伸可能なフッ素ポリマーは、PTFEホモポリマーを含むことができる。別の実施態様において、PTFEの混合物、延伸可能な修飾されたPTFE、及び/又はPTFEの延伸コポリマーを使用できる。適切なフッ素ポリマー材料の例は、例えばBrancaに付与された米国特許第5,708,044号、Baillieに付与された米国特許第6,541,589号、Sabolらに付与された米国特許第7,531,611号、Fordの米国特許出願第11/906,877号、Xuらの米国特許出願第12/410,050号に記載されているが、例がこれらに限定されることはない。
本発明の延伸フッ素ポリマーは、リーフレットを望む性能にするため、適切な任意の微細構造を含むことができる。一実施態様において、延伸フッ素ポリマーは、例えばGoreに付与された米国特許第3,953,566号に記載されているように、繊維によって相互に接続されたノードからなる微細構造を含むことができる。一実施態様において、延伸フッ素ポリマー膜の微細構造は、図7Aの電子顕微鏡写真に示してあるように、繊維によって相互に接続されたノードからなる微細構造を含んでいる。繊維はノードから複数の方向へと延びているため、膜は概して均一な構造を有する。この微細構造を持つ膜は、直交した2つの方向でのマトリックス引張強度の比率が、典型的には2未満、おそらくは1.5未満である。実施形態によれば、延伸フッ素ポリマー膜が約5μm未満、約1μm未満、そして約0.10μm未満の平均流孔サイズを有し得ることが予測される。延伸フッ素ポリマー膜は、実質的に全てが約1μm未満の直径を有する繊維を有し得ることが予測される。
別の一実施態様において、延伸フッ素ポリマーは、例えば図7Bと図7Cに示してあるように、そしてBacinoに付与された米国特許第7,306,729号に一般に教示されているように、実質的に繊維だけからなる微細構造を持つことができる。図7Cは、図7Bに示した延伸フッ素ポリマー膜をより大きな倍率で示しており、実質的に繊維だけからなる均一な微細構造をよりはっきりと示している。図7Bと図7Cに示した実質的に繊維だけからなる延伸フッ素ポリマー膜は、例えば約20m/g超、又は約25m/g超という大きな表面積を持つことができ、いくつかの実施態様において、強度のバランスが非常によく、直交した2つの方向でのマトリックス引張強度の積が少なくとも1.5×105MPa、及び/又は直交した2つの方向でのマトリックス引張強度の比率が2未満、おそらくは1.5未満という材料を提供することができる。実施形態によれば、延伸フッ素ポリマー膜が約5μm未満、約1μm未満、そして約0.10μm未満の平均流孔サイズを有し得ることが予測される。延伸フッ素ポリマー膜は、実質的に全てが約1μm未満の直径を有する繊維を有し得ることが予測される。
本明細書中で提供した実施態様で開示した延伸フッ素ポリマー膜は、その材料の繊維直径から判断することによって、織物や、ニットや、繊維巻きなどの他の構造と区別され得ることが理解される。本明細書中で提供した延伸フッ素ポリマー膜の実施態様は、繊維の大部分が約1μm未満の直径を有する繊維を含んでいる。本明細書中で提供した延伸フッ素ポリマー膜の他の実施態様は、その大部分が約0.1μm未満の直径を有する繊維を含んでいる。本明細書中で提供した実施態様は、その大部分が約1μm未満〜約0.1μm未満の繊維を含む膜は、リーフレット材料として使用されるときに人工心臓弁の少なくとも、これだけに限定されるものではないが、耐久性と耐用年数に対する有意な改善を提供することが認識される。
本明細書中に提供した実施態様で開示した延伸フッ素ポリマー膜の構造は、その材料の比表面積から判断することによって、織物や、ニットや、繊維巻きなどの他の構造と区別され得ることが理解される。本明細書中に提供した延伸フッ素ポリマー膜の実施態様は、約4.0m/cc超の比表面積を有する。本明細書中に提供した延伸フッ素ポリマー膜の他の実施態様によると、約10.0m/cc超の比表面積を有する。本明細書中に提供した実施態様は、約4.0m/cc超〜約60m/cc超の比表面積を有する延伸フッ素ポリマー膜が、リーフレット材料として使用したときに心臓弁の少なくとも、これだけに限定されるものではないが、耐久性や耐用年数に対して有意な改善を提供することは理解される。
リーフレットを望む性能にするため、本発明の延伸フッ素ポリマーは適切な任意の厚さと質量にすることができる。非常に薄くて厚さが約1.0μm未満の延伸フッ素ポリマー膜を用いることが望ましい場合がある。別の実施態様において、厚さが約0.1μm超且つ約20μm未満の延伸フッ素ポリマー膜を使用することが望ましい可能性がある。延伸フッ素ポリマー膜は、約1g/m未満〜約50g/m超の比率質量を持つことができる。
いくつかの実施態様による膜は、密度が約2.2g/cmのPTFEで約50MPa〜約400MPa以上の範囲のマトリックス引張強度を持つことができる。
追加の材料を細孔の中、又は膜の材料の中、又は膜の層の間に組み込んでリーフレットの望ましい特性を増大させることができる。一実施態様による複合体は、厚さが約500μm〜約0.3μm未満のフッ素ポリマー膜を含むことができる。
少なくともいくつかの重要なやり方では、延伸フッ素ポリマー膜をエラストマーと組み合わせると、高サイクルで屈曲させるインプラントの用途、例えば心臓弁リーフレットで用いるのに必要な性能属性を持つ本発明の要素が得られる。エラストマーを添加すると、例えばePTFEだけの材料で観察される硬直がなくなるか減少することにより、リーフレットの疲労特性が改善される。それに加え、材料の永続的な変形、例えばしわや折れ目が生じる結果として性能が低下する可能性が小さくなる。一実施態様において、エラストマーは、延伸フッ素ポリマー膜の多孔性構造内の細孔の体積又は空間の実質的に全てを占める。別の一実施態様において、エラストマーは、少なくとも1つのフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全ての中に存在する。エラストマーが細孔の体積を満たしている、すなわちエラストマーが細孔の実質的に全ての中に存在していることで、望みに反して複合体に組み込まれる可能性のある外来材料(異物)のための空間が小さくなる。そのような外来材料の一例は、カルシウムである。カルシウムが例えば心臓弁リーフレットで使用する複合材料に組み込まれると、繰り返して動作させている間に物理的損傷が発生し、リーフレットに穴が形成されて血行力学が悪化する可能性がある。
一実施態様において、ePTFEと組み合わせたエラストマーは、例えば米国特許第7,462,675号に記載されているように、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)の熱可塑性コポリマーである。上述のように、エラストマーを延伸フッ素ポリマー膜と組み合わせ、エラストマーが、延伸フッ素ポリマー膜の中の実質的に全ての空隙又は細孔を占めるようにする。延伸フッ素ポリマー膜の細孔へのエラストマーのこのような充填は、さまざまな方法で実行できる。一実施態様において、延伸フッ素ポリマー膜の細孔を満たす方法は、延伸フッ素ポリマー膜の細孔の一部又は全体にうまく流入するような粘度と表面張力を持つ溶液を作るのに適した溶媒にエラストマーを溶かすステップと、その溶媒を蒸発させて充填剤を残すステップを含んでいる。
別の一実施態様において、延伸フッ素ポリマー膜の細孔を満たす方法は、分散液を介して充填剤を延伸フッ素ポリマー膜の細孔の一部又は全体に満たすステップを含んでいる。
別の一実施態様において、延伸フッ素ポリマー膜の細孔を満たす方法は、熱及び/又は圧力の条件下で多孔性延伸フッ素ポリマー膜をエラストマーのシートと接触させ、エラストマーを延伸フッ素ポリマー膜の細孔に流入させるステップを含んでいる。
別の一実施態様において、延伸フッ素ポリマー膜の細孔を満たす方法は、最初にエラストマーのプレポリマーを細孔に満たし、次いでそのエラストマーを少なくとも部分的に硬化させることにより、延伸フッ素ポリマー膜の細孔の中でエラストマーを重合させるステップを含んでいる。
フッ素ポリマー材料又はePTFEから構成されたリーフレットは、エラストマーの重量%が最小値に到達した後、一般にエラストマーの割合が増加するにつれて性能が向上し、その結果としてサイクル寿命が有意に延長した。一実施態様において、ePTFEと組み合わせたエラストマーは、米国特許第7,462,675号や、当業者に知られていると考えられる他の文献に記載されているように、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)の熱可塑性コポリマーである。例えば実施例1に示した別の一実施態様において、ePTFEに対して53重量%のエラストマーを含む複合体からリーフレットを形成してサイクル試験を実施した。サイクルが約2億回でいくらかの硬直化が観察されたが、流体力学への影響はほんのわずかであった。実施例2のようにエラストマーの重量%を約83重量%まで増やすと、約2億回のサイクルでは、硬直化、又は流体力学のマイナスの変化は観察されなかった。逆に、比較例Bのような非複合体製リーフレットでは、すなわち全てがePTFEであってエラストマーを含まないリーフレットでは、サイクルが約0.4億回になるまでに深刻な硬直化が明らかになった。これらの実施例から証明されるように、多孔性フッ素ポリマー膜の耐久性は、比較的低強度のエラストマーをフッ素ポリマー部材の細孔にかなり大きな割合で添加することによって有意に増大させることができる。フッ素ポリマー膜の材料強度が大きいことによっても具体的な構造を非常に薄くすることができる。他の実施形態において、TFE/PMVEコポリマーが、40〜80重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルと、残分の60〜20重量パーセントのテトラフルオロエチレンとから本質的になる。
本発明で使用するのに適した別の生体適合性ポリマーとして、ウレタン、シリコーン(有機ポリシロキサン)、ケイ素−ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン−コ−ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ化炭化水素ポリマーと、これらそれぞれのコポリマー又は混合物のグループが挙げられるが、これらに限定されることはない。
約55重量%未満のフッ素ポリマーを含む複合材料から構成したリーフレットは、ラミネート又はリーフレットの望ましい厚さと、複合体の層の望ましい数とに基づき、さまざまな構成に組み立てることができる。複合体の厚さは、フッ素ポリマーの重量%と膜厚に直接関係している。例えば約300nm〜3,556nm超の範囲の膜厚と、10〜55重量%の範囲のフッ素ポリマーにより、厚さが0.32μm〜約13μm超の複合体を形成することができた。
リーフレット厚さと複合層数の関係を図37のグラフに示す。このグラフでは、2つの構成のリーフレットをAとBで示してある。一実施態様において、これらの構成AとBは、単一の複合体から構成することができる。別の一実施態様において、リーフレット厚さと複合層数の間に概略線形な関係Y=mXが存在することになろう。ここに、Y=リーフレット厚さであり、m=勾配であり、X=層数である。複合層数に対するリーフレット厚さの勾配(m)又は比率は、複合体の厚さに等しい。したがって例えば構成AとBで層数を20から40へと2倍にすると、厚さが40μmから80μmへと2倍になる。リーフレット厚さと複合層数のグラフの直線の勾配は、それどころか形さえ、層間のエラストマーの量と、層の一様性とに依存して変化する可能性があることに注意されたい。
同じ膜でフッ素ポリマーの重量%を小さくすると、複合体の厚さが増加する。図38に示してあるように、複合体の厚さのこの増加は、前の実施態様からの実線と比べて点線の勾配が大きくなっていることに示されている。点線で示した実施態様において、同じ膜でフッ素ポリマーの重量%がほぼ半分に低下する結果として、複合体の厚さが約2倍に増加する。そのことは、点線の勾配の増大に反映されている。したがって図38の構成Cで示したリーフレットは、フッ素ポリマーの重量%を変えることにより、構成Aと同数の層を持つようにすること、又は構成Bとリーフレット厚さを同じにすることができる。
フッ素ポリマーの重量%、複合体の厚さ、層数をどのようにすると流体力学的性能と耐久性の両方に影響するかを明らかにするため、境界を観察した。それが、図39に最もよく示されている。リーフレットに関してこれまでに観察された適切な構成を大まかに規定する5つの境界が存在している。第1の境界は、心臓血管用インプラントのためのISOガイド文書(5840:2005)に記載されている許容可能な流体力学的性能によって規定されて、所定のサイズの弁に関するEOAと逆流率の限界を規定する。一般に、これら複合体から形成された厚さが約100μm超のリーフレットは、許容限度に近い性能である。第2の境界は、耐久性低下によって観察された層の最小数(10)である。耐久性低下については実施例でさらに説明する。同様に、第3の境界は、層数又は厚さ5μmの複合体に対するリーフレット厚さの比率の最大値である。一般に、厚い複合体から構成されていて層数が少ないと、フッ素ポリマーの重量%又はリーフレット厚さが同じで層数が多い場合と比べて性能が低かった。第4の境界は、与えられた複合体の層数の最小値によって規定される。この最小値は、心臓周期において弁が閉じられているとき、リーフレットに流体力学的負荷がかかっている間を通じてフッ素ポリマーがクリープに耐えるのに必要な強度によって決まる。ラミネートの強度は、ドーム破裂試験によって測定される。リーフレットがその形と機能を確実に維持するには、典型的には少なくとも207kPaという破裂圧力が必要とされる。第5の境界は、反復耐久性を顕著に増大させるのに必要なフッ素ポリマーの重量%の最大値(55%)によって規定される。図40にはこれらの境界を示すグラフが、この明細書に提示した全ての実施例のリーフレットの構成とともに示されていて、これらの発見をより詳しく説明している。
一実施形態によると、リーフレットは複合材料の層を少なくとも10層有する。別の実施形態によると、リーフレットが複合材料の層を少なくとも10層有すると共に、該複合材料が含有するフッ素ポリマーの重量比が50%未満である。
与えられた複合体の層の最大数は、リーフレットの望ましい厚さによって決定することができる。幾何学的形状が決められている弁では、リーフレットが厚くなるほど流体力学的性能が低下する一方で、曲げ特性は改善されることが観察されている。“流体力学的性能”は、図42に示してあるように、一般に、所定のサイズの弁について二次元のデカルト座標にプロットしたEOAと逆流率の組み合わせを意味する。“曲げ特性”は、一般に、開閉の繰り返しによって誘導される変形の間にリーフレット構造に発達するしわ及び/又は折り目の定性的な量を意味する。逆に、リーフレット厚さが薄くなると、所定の形状の流体力学的性能が向上する一方で、曲げ特性は低下する。曲げ特性がリーフレット厚さの関数として変化するというこの観察結果を、リーフレット厚さが13μmと130μmである2つの弁の実施例(それぞれ弁42A、弁42Bと呼ぶ)についてさらに説明する。これら2つの弁を比較した流体力学的性能(EOAと逆流率)のデータのグラフを図42に示す。ここでは、逆流率を最小にし、EOAを最大にすることが望ましい。
長期間に多数回の変形を受ける薄膜材料は、一般にしわと折り目ができやすいことが観察されている。また、当業者には、デューティサイクルの間に形成される可能性のあるそのようなしわと折り目の結果として、薄い材料の耐久性が低下することも一般に知られている。
したがって、極薄(0.32μm)の複合体から構成されていて、従来のリーフレットと比べて5倍の数(約50)の層を有する同程度の厚さ(約16μm)のリーフレットが、75μm以上の厚さを持つリーフレットによってだけ以前に実現されている望ましい曲げ特性を持っていたのは驚くべきことであった。それに加え、複合体の層数が少ない場合の耐久性を層数が多い場合と比べると、層数が多い場合には、比較としてデューティサイクルの数を利用すると、一般に、層数が少ない構造体よりも数桁優れた性能を示す。50層で厚さが16μmのリーフレットを有する弁は、ほぼ同じ厚さで6層の構造体よりもしわと折り目の数が有意に少ないことがわかった。
断面がほぼ同じ厚さで、それぞれ4層、9層、26層、50層、21層のリーフレットを比較することにより、層数を増やすと、ラミネートがより小さな曲げ半径を取りやすくなることと、個々の層の長さを局所的な曲がりとして確保することによりきつい曲率に適応させやすくなることがわかった。
層の厚さと数を変えることによって観察された全体的な傾向を図41Aと図41Bに示す。こうした傾向は、以下の実施例によってさらに裏付けられる。
本発明の実施態様をさらに説明するため実施例を提示するが、実施例がこれらに限定されることはない。以下の実施例と添付の図面に示したのとは異なる別の設計の弁フレームを使用できることも容易にわかるであろう。
実施例1
一実施態様による心臓弁リーフレットを、延伸フッ素ポリマー膜とエラストマー材料を含む複合材料から形成し、バルーンを伸展可能な金属製ステントに接合した。そのプロセスを以下に記載する:
1)1つのePTFE層を折り曲げて合計で4つの層にすることにより、ツール用の厚い犠牲クッションパッド又は層を形成した。ePTFE層は、幅が約5cm(2インチ)、厚さが約0.5mm(0.02インチ)であり、圧縮性が大きいため、クッションパッドを形成する。図1と図2からわかるように、次にこのクッションパッド200を、全体を100で示したリーフレットツールの上で引き伸ばした(図2)。リーフレットツール100は、リーフレット部102と、本体部104と、底端部106を備えている。リーフレットツール100のリーフレット部102は、概略アーチ形の凸形状を有する端部面103aを有する。リーフレットツール100を矢印(図2A)で示した方向に押し付けることにより、クッションパッド200をリーフレットツール100のリーフレット部102の端部面103の上で引き伸ばして滑らかにした。クッションパッド200の周縁部202をリーフレットツール100の底端部106の上まで引き伸ばし、捩ってクッションパッド200を所定の位置に保持した(図2B)。
2)図2Bを参照すると、次に、前のステップにおいてクッションパッド200で覆ったリーフレットツール100のリーフレット部102の上に剥離層204を引き伸ばした。一実施態様において、剥離層204は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)の層を外表面又は外側に沿って配置した実質的に非多孔性のePTFEから作った。FEP層がクッションパッド200の方を向くとともに、実質的に非多孔性のePTFEがクッションパッド200の外側を向くようにして、すなわちクッションパッド200から離れるようにして、リーフレットツール100の上で剥離層204を引き伸ばした。剥離層204は、厚さが約25μmであり、十分な長さと幅があるため、リーフレットツール100の底端部106の上まで引っ張ることができた。前のステップにおけるクッションパッド200と同様、剥離層204の周縁部206をリーフレットツール100の底端部106に向かって引っ張った後、捩ってリーフレットツール100の底端部106に取り付け、剥離層204を所定の位置に保持した。次に、必要に応じ、剥離層204のFEP層を点状に溶融させ、ハンダごてを用いてクッションパッド200に固定した。
3)ステップ1)とステップ2)の操作を繰り返し、3つの独立したリーフレットツールを提供した。それぞれのリーフレットツールが、剥離層で覆ったクッションパッドを有した。
4)フッ素エラストマーを吸収させたePTFE膜を含む複合材料から、一実施態様によるリーフレット材料を形成した。円形マンドレルを幅が約10cmの複合材料のシートで包み、チューブを形成した。複合材料は、3つの層で構成されていた。すなわち、2つのePTFE製外側層と、その間に挟まれたフッ素エラストマー製内側層である。ePTFE膜は、米国特許第7,306,729号に記載されている一般的な教示内容に従って製造した。フッ素エラストマーは、米国特許第7,462,675号に記載されている一般的な教示内容に従って製造した。別のフッ素エラストマーも適切である可能性があり、それらは米国特許出願公開第2004/0024448号に記載されている。
ePTFE膜は以下の特性を持っていた:厚さ=約15μm;最大強度の方向のMTS=約400MPa;直交する方向のMTS強度=約250MPa;密度=約0.34g/cm;IBP=約660kPa。
コポリマーは、実質的に約65〜70重量%のペルフルオロメチルビニルエーテルと、補足的に約35〜30重量%のテトラフルオロエチレンからなる。
ePTFEに対するフッ素エラストマーの重量%は約53%であった。
多層複合体は以下の特性を持っていた:厚さ約40μm;密度約1.2g/cm;破断させるための力/最大強度の方向の幅=約0.953kg/cm;最大強度の方向の引張強度=約23.5MPa(3,400psi);破断させるための力/直交する方向の幅=約0.87kg/cm;直交する方向の引張強度=約21.4MPa(3,100psi);IPA泡立ち点(バブルポイント)=約12.3MPa超;ガーレー数=約1,800秒超;質量/面積=約14g/m
以下の試験法を利用してePTFE層と多層複合体の特徴を調べた。
厚さは、日本で製造されたMutitoyo Snap Gage Absolute、直径12.7mm(0.50インチ)、モデルID−C112E、シリアル番号10299を用いて測定した。密度は、化学天秤Mettler PM400(New Jersey, USA)を用いて重量/体積を計算することによって求めた。破断させる力と引張強度は、平坦な向かい合った顎部を有するInstron社のモデル5500R(Norwood, MA)を用い、負荷セル50kg、ゲージ長=25.4cm、クロスヘッドの速度=25mm/分(歪み速度=100%/分)で測定した。IPA泡立ち点は、圧力勾配の速度を1.38kPa/秒(0.2psi/秒)、試験面積を3.14cmにして、IPA泡立ち点試験機であるPressure Regulator Industrial Data Systems社のモデルLG-APOK(Salt Lake City, UT, USA)によって測定した。ガーレー数は、ガーレー試験機(モデル4110(Troy, NY, USA))を用い、124mmの水圧下で100cmの空気が6.45cmのサンプルを通過する時間(単位は秒)として求めた。
特に断わらない限り、これらの試験法を利用して以下の実施例のデータを得た。
膜の強度が大きい方向がマンドレルの軸方向を向くようにして、直径約28mm(1.1インチ)のマンドレルを複合材料層で包んだ。それぞれの複合材料層は、2つのePTFE製外側層と、その間に配置されたフッ素エラストマー製内側層を備えている。一実施態様において、概してマンドレルの外周を、螺旋状にせずに、4つの複合材料層で包んだ。複合材料はわずかに粘着性を持っていたため、自己接着が可能であった。やはりマンドレルの表面で、概してマンドレルの長軸に沿って複合材料に長手方向に切り込みを入れ、約10cm(4インチ)×約90mm(3.5インチ)のシートを形成した。
5)得られたリーフレット材料(すなわちステップ4からの複合材料)のシートを切断し、剥離層204で覆ったクッションパッド200を有するリーフレットツール100を包んだ。より具体的には、図3A〜図3Cに示してあるように、リーフレット材料300を平坦な切断面の上に置いた。次に、クッションパッド200と剥離層204を有するリーフレットツール100をリーフレット材料300の上にほぼ図示してあるように揃えた。次に、カミソリの刃を用いてリーフレット材料300に4つのスリット302、304、306、308を形成した。一対のスリット302、304は、リーフレットツール100の一方の側から延びて、リーフレット材料300の一端300aで終わっている。他方の一対のスリット306、308は、リーフレットツール100の反対側から延びて、リーフレット材料300の反対側の端300bで終わっている。スリット302、304、306、308は、リーフレットツール100のリーフレット部102から離れていた。スリット302、304、306、308は、リーフレットツール100の下方で突起していなかった。個々のスリットの幅は実際の縮尺では示していないことに注意されたい。リーフレット材料300のスリット302、304、306、308により、折り曲げ部310と、一対の帯状部312、314と、リーフレット材料315の過剰材料部が形成された。次に、折り曲げ部310を全体として図3の矢印316で示した方向に折り曲げ、これまでのステップでクッションパッド200と剥離層204によって覆ってあったリーフレットツール100の上で滑らかにした。
6)次に、リーフレット材料315をリーフレット部102の上、特にリーフレットツール100の端部面103の上に引き伸ばし、滑らかにした。ステップ4)と5)を繰り返し、3つの独立なリーフレット組立体を形成した。次に、これら3つのリーフレット組立体402、404、406をまとめて固定し、図4に示す三リーフレット組立体400を形成した。図には3つの独立なリーフレット組立体402、404、406が示されていて、それぞれが、三リーフレット組立体400の周辺部を超えて概略径方向に延びるリーフレット材料315の過剰材料部を有する。
7)次に、三リーフレット組立体のリーフレットツールの端部面と係合するキャビティを持っていて、余分なリーフレット領域を切除して3つのリーフレットを形成する基部ツールを提供した。図5Aを参照すると、基部ツールは全体を500で示してあり、端部501と反対側の底端部503の間を長手方向に延びている。3つの凹状キャビティ502、504、506が基部ツール500の端部501に形成されている。それぞれの凹状キャビティ502、504、506は、3つのリーフレット組立体402、404、406のうちの1つの端部面103をフィットさせるように、又は収容するように形成される。径方向に延びる3つの要素508、510、512が、基部ツール500のその端部から外側に延びている。それぞれの要素508、510、512は、隣り合ったペアの凹状キャビティ502、504、506の間に配置されている。
次に、ステップ1と2でリーフレットツールを提供したのと同様のやり方で、圧縮パッドと剥離層(図示せず)を有する基部ツール500を提供した。それぞれのリーフレットツールに関してステップ1と2で説明したように、圧縮パッドと剥離層を同様にして引き伸ばして基部ツール500に固定し、基部ツール組立体を形成した。
8)図5Bを参照して示すように、次に、基部ツール組立体(便宜上、基部ツール500として示し、クッションパッドと剥離層は示さない)と三リーフレット組立体(全体を400で示す)を概略軸方向で揃えて各リーフレットツール100の端部面(図示せず)を基部ツール(全体を500で示す)の端部501の凹状キャビティ(図示せず)のうちの1つの中に収容し、組み合わされたツール組立体を形成した。
9)次に、バルーンを伸展可能な金属製ステントを製造した。壁の厚さが約0.5mm(0.020インチ)で直径が約2.5cm(1.0インチ)のステンレス鋼製チューブ316をレーザーで切断した。このチューブにパターンを刻み、環状に切断したステントフレーム又は支持構造を形成した。図6Aではそれを、全体を600で、平坦にした状態の平面図として示してある。支持構造600は、複数の小さな閉鎖セル602と、複数の大きな閉鎖セル604と、複数のリーフレット閉鎖セル606を備えている。図6Aでは、平坦にした状態の平面図であるという理由で、複数のリーフレット閉鎖セル606のうちの1つが開放セルのように見えることに注意されたい。小さな閉鎖セル602、大きな閉鎖セル604、及びリーフレット閉鎖セル606は、概して列に沿って配置され、支持構造600の環状形を形成する。
10)次に、レーザーで切断したステントフレームにポリマー材料を付着させた。最初に、直径が約2.5cm(1.0インチ)のマンドレル(図示せず)をePTFE膜の犠牲圧縮層で重複がないようにして包んだ。ePTFE膜の犠牲圧縮層は、厚さが約0.5mm(0.02インチ)、幅が約10cm(4インチ)であり、柔軟な犠牲圧縮層を提供する柔軟性と圧縮性を持っていた。
11)次に、実質的に非多孔性のePTFEフィルムからなる4つの層で、圧縮層膜の上からマンドレルを包んだ。実質的に非多孔性のePTFEフィルムは、厚さが約25μm(0.001インチ)、幅が約10cm(4インチ)であり、一方の側にFEP層を備えていた。実質的に非多孔性のePTFEフィルムを、FEPがマンドレルとは逆の方向を向くようにして包んだ。実質的に非多孔性のePTFEフィルムは、ステップ2)ですでに説明した剥離層の特性を持っていた。
12)溶融押し出しと引き伸ばしを利用してタイプ1(ASTM D3368)FEPからなる薄いフィルムを構成した。ステップ10では圧縮層膜で包み、ステップ11では実質的に非多孔性のePTFEフィルムからなる4つの層で包んだマンドレルに、このタイプ1(ASTM D3368)FEPからなる薄いフィルムをさらに10層追加した。タイプ1(ASTM D3368)FEPフィルムは、厚さが約40μm(0.0016インチ)、幅が約7.7cm(3インチ)であった。
13)次に、この包まれた状態のマンドレルを空気対流炉の中で約320℃にて約5分間にわたって熱処理した後、冷却した。
14)次に、支持構造(図6Aでは600で示す)を、包まれた状態で熱処理したマンドレルの上に配置した。次に、包まれた状態のマンドレルの上に配置した支持構造を、(ステップ12で提供した)タイプ1(ASTM D3368)FEPフィルムからなる2つの追加層で包んだ。
15)次に、包まれた状態のマンドレルとその上に支持されている支持構造を空気対流炉の中で約320℃にて約10分間にわたって熱処理した後、冷却することにより、ポリマーで被覆した支持構造を形成した。
16)次に、ポリマーで被覆した支持構造を外科用メスで切り出し、切り出されたステントフレームを形成した。このステントフレームは、図6Bでは全体を700で、平坦にした状態の平面図として示してある。より具体的には、1つのやり方では、支持構造(図6A、600)の縁部から約2mm(0.08インチ)はみ出した状態でポリマー被覆を切り出し、縁部の輪郭708をさまざまな形態にした。別のやり方では、ポリマー被覆を全てのセルに広げ、各セルの中にウェブを形成した。どちらの場合にも、支持構造600がポリマー被覆702の中に完全に封止された状態で、切り出したステントフレーム700が形成された。切り出したステントフレーム700は、数と大まかな形状が複数のリーフレット閉鎖セル606(図6A)に対応する複数のリーフレット開口部704を備えている。さらに、図6Bに示してあるように、小さな閉鎖セルのポリマー被覆702のそれぞれにスリット706が形成されている。具体的には、各スリット706は直線状であり、環状支持構造600の長手方向の中心軸(図示せず)に概略平行である。
17)次に、切り出したステントフレームを、ステップ8からの組み合わされたツール組立体の上に配置した。リーフレットツールのリーフレット部(102)を、切り出したステントフレームのリーフレット開口部(図6Bでは704)に揃えた。3つの余分なリーフレット材料領域(図4では315)をステントフレームのリーフレット開口部を通じて引き出した。3対の帯状部(図3Aでは312、314)のそれぞれをスリット(図6Bでは706)の1つを通じて引き出し、切り出したステントフレームの周囲に巻回した。帯状部の各ペアは、互いに反対側の向きに巻回した。次に、ハンダごてを用い、6つの帯状部を、切り出したステントフレームに熱融着させた。
18)次に、組み合わされたツール組立体(ステップ8)と、巻回して熱融着させた帯状部を有する切り出したステントフレームを、回転チャック機構に取り付けた。次に、この回転チャック機構を調節して長手方向の圧縮負荷を軽くかけた。次に、ハンダごてを用い、余分なリーフレット材料領域(図4では315)を基部ツール(図5では500)に付着させた。
19)次に、ステップ18の組み合わされたツールを、(ステップ12からの)タイプ1(ASTM D3368)FEPフィルムからなる2つの追加層で包んだ。次に、複合体(ステップ4)からなる3つの追加層で上から包み、切り出したステントフレームに付着させた。
20)最終熱処理の準備として、圧縮テープと圧縮繊維からなる剥離層と犠牲層を、ステップ19からの組立体の周辺部と長手方向の両方に付着させた。その後の熱処理の間、圧縮テープ/繊維が周辺部と長手方向の両方から組立体と接触してその組立体を圧縮する。圧縮テープからなる犠牲層をステップ19からの組立体の周囲に螺旋状に巻回した。この圧縮テープは、前にステップ10で記載したePTFEからなる犠牲圧縮層の特性を持っていた。次に、ePTFE圧縮繊維を圧縮テープの上からきつく巻回した。外周に圧縮繊維を密な間隔で螺旋状に約100回巻回した。ePTFE圧縮繊維は直径が約1mm(0.04インチ)であり、十分に加熱すると長手方向に収縮する構造であった。次に、固定された組立体を回転チャック機構から外した。次に、犠牲圧縮テープからなる3つの層を組立体のまわりに長手方向に巻回した。次に、長手方向の圧縮テープの上から圧縮繊維を約20回長手方向に巻回した。
21)次に、ステップ20からの組立体を空気対流炉の中で約280℃にて約90分間にわたって熱処理した後、室温の水で急冷した。この熱処理ステップにより、ステップ4に記載したリーフレット材料の製造に用いるePTFE膜の細孔の中に熱可塑性フッ素エラストマーが流入しやすくなる。
22)次に、犠牲圧縮テープ/繊維を除去した。ポリマー材料を切除してリーフレットと基部ツールを分離した。次に、ステントのポリマー層を切除し、リーフレットが付着したステントフレームを取り出した。次にリーフレットを切除すると、図8に全体を800で示してある弁組立体が得られた。
得られた弁組立体800は、一実施態様によれば、複数の細孔を有する少なくとも1つのフッ素ポリマー層と、その少なくとも1つのフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全ての中に存在するエラストマーとを含む複合材料から形成されたリーフレット802を備えている。それぞれのリーフレット802は、血液が弁組立体を通って流れることを阻止する図9Aに示した閉鎖位置と、血液が弁組立体を通って流れることが可能な図9Bに示した開放位置の間を移動することができる。したがって弁組立体800のリーフレット802は、概して閉鎖位置と開放位置の間を繰り返して移動して、ヒト患者の血流の方向を調節する。
弁を横断する典型的な解剖学的圧力と流れをリアル−タイム脈拍再現装置で測定して特定の弁組立体に関する初期データセット、すなわち“ゼロ疲労”データセットを生成させることにより、それぞれの弁組立体のリーフレットの性能を特徴づけた。次に弁組立体を高速疲労試験機に移し、約2.07億回にわたってサイクルさせた。約1億回からなる各ブロックが終了した後、弁をリアル−タイム脈拍再現装置に戻し、性能パラメータを再度測定した。
流れ性能は以下の方法で特徴づけた:
1)弁組立体をシリコーン製環状リング(支持構造)に嵌め込み、リアル−タイム脈拍再現装置で弁組立体を評価した。嵌め込みは、脈拍再現装置の製造者(ViVitro Laboratories Inc., Victoria BC, Canada)の指示に従って実施した。
2)次に、嵌め込んだ弁組立体をリアル−タイム左心臓血流拍動再現システムの中に配置した。この血流拍動再現システムは、VSI Vivitro Systems Inc.社(Victoria BC, Canada)から供給された以下の部品を備えていた:スーパーポンプ、サーボパワー増幅器、部品番号SPA3891;スーパーポンプヘッド、部品番号SPH5891B、シリンダの面積38.320cm;弁ステーション/固定部;波形発生装置、TriPack、部品番号TP2001;センサーインターフェイス、部品番号VB2004;センサー増幅部品、部品番号AM9991;矩形波電磁流量計(Carolina Medical Electronics Inc., East Bend, NC, USA)。
通常、血流拍動再現装置では固定変位ピストンポンプを利用して試験中の弁を通過する所望の流体流を発生させる。
3)心臓血流拍動再現装置を調節し、所望の流れ、平均圧力、シミュレーションした脈拍数を生成させた。次に、試験中の弁を約5〜20分間にわたって繰り返して動作させた。
4)試験期間中に圧力と流れのデータを測定して回収した。データには、心室圧、大動脈圧、流速、ポンプのピストン位置が含まれている。図10は、心臓血流拍動再現システムからの典型的なデータ出力のグラフである。
5)弁を特徴づけるためと、疲労試験後の弁と比較するために用いたパラメータは、前進流の圧力がプラスである間に開放状態の弁を横断する圧力低下と、オリフィスの有効面積と、逆流率である。
特徴づけの後、弁組立体を血流拍動再現システムから外し、高速疲労試験機の中に配置した。Dynatek(Galena, MO, USA)から供給された6位置心臓弁耐久性試験機、部品番号M6を、DynatekDaltaDC7000制御装置で駆動した。この高速疲労試験機は、約780回/分という典型的な反復速度で流体に弁組立体を通過させる。試験中、チューニングしたストロボ光を用いて弁組立体を目視で調べることができる。図11Aと図11Bに示してあるように、閉鎖状態の弁を横断する圧力低下もモニタすることができる。図11Aと図11Bには、高速疲労試験機が一定の圧力波形を生成し続けていたことを確認できる典型的なデータセットが示されている。
弁組立体を連続的にサイクルさせ、目視での変化と圧力低下の変化を定期的にモニタした。約2億回のサイクルの後、弁組立体を高速疲労試験機から外し、リアル−タイム脈拍再現装置に戻した。圧力と流れのデータを回収し、回収してある元のデータと比較した。
図12Aに、リアル−タイム心臓血流拍動再現システムからの典型的な測定データ出力を示すスクリーンショットを示してある。ここには、心室圧、大動脈圧、流速が示されている。特定の弁の初期データ、すなわち“ゼロ疲労”データを図12Aに示してある。特定の同じ弁で同じ測定を実施し、2.07億回のサイクルの後にデータを回収した。その特定の弁での2.07億回のサイクル後のデータを図12Bに示す。両方の測定値のセットは、5リットル/分の流速と、サイクル70回/分の速度で採取した。図12Aと12Bを比較することで、波形が実質的に同じであることが容易にわかる。これは、約2.07億回のサイクルの後にリーフレットの性能が実質的に変化しなかったことを示している。サイクルが0回と2.07億回の時点で測定した圧力低下、オリフィス有効面積(EOA)、逆流率を以下の表1にまとめてある。
概して、この明細書に記載した実施態様に従って構成したリーフレットは、2.07億回のサイクルの後に、破れ、穴、永続的な歪みなどの物理的又は機械的な劣化を示さなかった。その結果として、2.07億回のサイクルの後でさえ、リーフレットの閉鎖状態と開放状態において観察できる変化又は劣化もなかった。
実施例2
堅固な金属製フレームに接合したポリマー製リーフレットを備える心臓弁を以下のようにして構成した:
図14に示した形状のPTFEからマンドレル900を加工した。マンドレル900は、第1の端部902と、第1の端部902の反対側にある第2の端部904を持ち、その両端部の間を長手方向に延びている。マンドレル900は、3つの概略アーチ形の、凸状葉部912(図示してあるのは2つ)を有する外表面910を持つ。それぞれの葉部は、概して、完成した弁組立体(図示せず)のリーフレット(図示せず)を形成する。外表面910には、弁フレーム(図15では930)の表面にリーフレットを形成する前に弁フレームを凸状葉部912に対して位置決めするためのフレーム着座領域920も含まれている。
外径が約25.4mmで壁の厚さが約0.5mmのある長さの316ステンレス鋼製チューブから、図15に示した形状の弁フレーム930をレーザーで切断した。図示した実施態様において、弁フレーム930は、底端部932と、反対側の上端の間を軸方向に延びている。反対側の上端は、想定する完成した弁組立体(図示せず)のリーフレットの数に対応する、軸方向に延びる概略尖塔形の複数の支柱934によって画定される。図示した具体的な実施態様において、弁フレーム930に3つの支柱934が形成されている。
厚さ約4μmのFEPフィルム(図示せず)からなる2つの層で弁フレーム930のまわりを包み、炉の中で約270℃にて約30分間にわたって焼成した後、冷却した。次に、得られた被覆された弁フレーム(見やすくするため、被覆されていない状態を930で示してある)を滑らせてマンドレル900の表面に取り付けた。そのとき、弁フレーム930とマンドレル900の間で相補的な凹凸が互いに嵌まるようにした。その状態を図16に示してある。
次に、フッ素エラストマーを吸収させたePTFEからなる膜層を有するリーフレット材料を提供した。より具体的には、ePTFEからなる膜層は、米国特許第7,306,729号に記載されている一般的な教示内容に従って製造した。ePTFE膜は、付記に記載した方法に従って試験した。ePTFE膜は、単位面積あたりの質量が約0.57g/m、細孔率が約90.4%、厚さが約2.5μm、泡立ち点が約458kPa、マトリックス引張強度が長手方向で約339MPa、横断方向で約257MPaであった。この膜には、実施例1に記載したのと同じフッ素エラストマーを吸収させた。フッ素エラストマーは、NovecHFE7500(3M, St Paul, MN, USA)に約2.5%の濃度で溶かした。(ポリプロピレン製離型フィルムで支持しながら)メイヤー棒を用いてこの溶液でePTFE膜を被覆し、約145℃に設定した対流炉の中で約30秒間乾燥させた。2つの被覆ステップの後、得られたePTFE/フッ素エラストマー複合材料は、単位面積あたりの質量が約3.6g/mであった。
次に、この複合材料(図示せず)を、組み立てたマンドレル900と弁フレーム930のまわりに巻回した。一実施態様において、合計で20層のePTFE/フッ素エラストマー複合体を使用した。マンドレル900を超えて延びた余分な複合材料があれば、捩ってマンドレル900の第1の端部902及び第2の端部904に軽く押し付けた。
次に、複合材料を巻回したマンドレルを圧力容器の中に入れ、マンドレル900の基部又は第2の端部904にある通気ポート906(図14)が鉛直に大気に通じる状態にした。通気ポート906は、第2の端部904からマンドレル900を通って軸方向に延び、概略直交して延びる通気ポート908に通じている。通気ポート908は、マンドレル900の外表面910を貫通して延びている。通気ポート906、908は、必要に応じてマンドレルに設けられた他の通気ポート(図示せず)とともに、成形プロセスの間に複合材料とマンドレルの間に捕えられた空気を逃がすことができる。
約690kPa(100psi)の窒素圧を圧力容器に印加し、ePTFE/フッ素エラストマー複合体をマンドレル900と弁フレーム930に押し付けた。約3時間後に圧力容器内の温度が約300℃に達するまで、熱を加えた。加熱装置をオフにし、一晩かけて圧力容器を室温まで冷却した。このプロセスによってePTFE/フッ素エラストマー複合体の層が互いに接合されるとともに、弁フレーム930にFEP被覆が接合された。圧力を解放し、マンドレルを圧力容器から取り出した。
ePTFE/フッ素エラストマー複合体を外周に沿って2箇所で切除した。第1の箇所は、弁フレーム930の底端部932の位置であり、第2の箇所は、弁フレーム930の上端に近く、それぞれの支柱934の中点付近で概略交差する円に沿った位置である。弁フレーム930と切除された複合材料の得られた弁組立体940をマンドレルから分離し、マンドレルから滑らせて離した。図17に示した成形された弁組立体940は、弁フレーム930と、切除された複合材料から形成された複数のリーフレット950を備えている。一実施態様において、弁組立体940は、3つのリーフレットを備えていた。別の一実施態様において、弁組立体940のそれぞれのリーフレット950は、厚さがほぼ40μmであった。
弁の開き具合を制御しやすくするため、それぞれの支柱の近くにある隣り合ったリーフレットを互いに接合した。図18に示してあるように、隣り合ったリーフレット950a、950bで支柱934の周囲を包み、互いに接合して縫い目954を形成した。縫い目954は、支柱934から少なくとも約2mmまでの深さ956で延びていた。隣り合ったリーフレット950a、950bの間の接合をサポートするため、付着部材952を隣り合ったリーフレット950a、950bの内表面に固定し、縫い目954が隣り合ったリーフレット950aと950bにまたがるようにした。図18に示してあるように、付着部材952は概略長方形であった。しかし付着部材を別の形にしてもよいことに注意されたい。付着部材952は、リーフレット950の形成に用いたのと同じタイプの複合材料から形成した。付着部材952は、すでに説明したフッ素エラストマー溶液を用いて隣り合ったリーフレット950a、950bの内表面に固定した。これらのステップを弁組立体の隣り合ったリーフレットの別のペアで繰り返した。
この実施例のリーフレットの性能と耐久性は、実施例1に記載したのと同じ方法で分析した。最初に、実施例1に記載したのと同じリアル−タイム脈拍再現装置で弁を横断する典型的な解剖学的圧力と流れを測定して特定の弁組立体に関する初期データセット、すなわち“ゼロ疲労”データセットを生成させることにより、弁組立体を特徴づけた。次に、弁に対して実施例1のような加速試験を実施した。約0.79億回のサイクルの後、弁を高速疲労試験機から外し、流体力学的性能を実施例1のようにして再び特徴づけた。弁は、最終的に約1.98億回のサイクルの後に外した。約0.79億回と約1.98億回の時点で測定した圧力低下、EOA、逆流率を以下の表2にまとめてある。
図13Aと図13Bは、同様の弁に関する同様の結果を示している。図13Aは、約0.79億回のサイクルの後に心臓流脈拍再現システムで測定した出力データのグラフである。その同様の弁で約1.98億回のサイクルの後に同じ測定を実施し、得られたデータのグラフを図13Bに示してある。どちらの測定値のセットも、約4リットル/分の流速と、サイクル約70回/分の速度で取得した。図13Aと図13Bを比較することにより、波形が有意に似ていることに再度気づくはずである。これは、約1.98億回のサイクルの後にリーフレットの性能が実質的に変化していないことを示している。サイクルが0回、約0.79億回、約1.98億回の時点で測定した圧力低下、オリフィス有効面積(EOA)、逆流率を以下の表2にまとめてある。これらのデータは、約1.98億回のサイクルの後にリーフレットの性能が実質的に変化していないことを示している。
実施例3
堅固な金属製フレームに接合したポリマー製リーフレットを有する心臓弁を以下の方法に従って構成した:
外径が約25.4mmで壁の厚さが約0.5mmのある長さの316ステンレス鋼製チューブから、図19に示した形状の弁支持構造又はフレーム960をレーザーで切断した。図示した実施態様において、フレーム960は、底端部962と、反対側の上端の間を軸方向に延びている。反対側の上端は、想定する完成した弁組立体(図示せず)のリーフレットの数に対応する、軸方向に延びる概略尖塔形の複数の支柱964によって画定される。放物線形状の上端968が、隣り合った支柱964の間を延びている。前記放物線形状の上端968と支柱964が、リーフレット支持フレームを画定している。図示した具体的な実施態様において、3つの支柱964と3つの上端968が、フレーム960の上端を形成している。リーフレット材料と接触する可能性のあるフレームのコーナーは、回転式紙ヤスリ機と手作業での研磨によって丸くした。フレームを水で洗浄した後、PT2000Pプラズマ処理システム(Tri-Star Technologies, El Segundo, CA, USA)を用いてプラズマでクリーンにした。
一実施態様において、クッション部材をフレームの少なくとも一部とリーフレットの少なくとも一部の間に設置し、フレームとリーフレットが直接接触することに付随する応力を最小にする。最初にePTFE膜にシリコーンMED−6215(NuSil, Carpinteria, CA, USA)を吸収させ、それを幅約25mmに切断し、巻回して実質的に丸い繊維にすることにより、ePTFEとシリコーンの複合繊維を作った。この繊維で使用するePTFEは、付記に記載した方法に従って試験した。ePTFE膜は、泡立ち点が約217kPa、厚さが約10μm、単位面積あたりの質量が約5.2g/m、細孔率が約78%、一方向のマトリックス引張強度が約96MPa、直交方向のマトリックス引張強度が約55MPaであった。この複合繊維966を、図20に示してあるようにフレーム960のそれぞれの支柱964に巻回した。
次に、ステレオリソグラフィ法を利用して図21に示した形状のマンドレル970を形成した。マンドレル970は、第1の端部972と、その反対側の第2の端部974を持ち、その両端部の間を長手方向に延びている。マンドレル970は、3つ(図示してあるのは2つ)の概略アーチ形凸状の形状を有する葉部982を有する外表面980を持つ。それぞれの葉部は、概して、完成した弁組立体(図示せず)のリーフレット(図示せず)を形成する。外表面980には、弁フレーム(図19では960)の表面にリーフレットを形成する前に弁フレームを葉部982に対して位置決めするためのフレーム着座領域984も含まれている。
次に、マンドレル970にePTFE型剥離剤をスプレーで被覆した。この実施例では、前に記載したePTFE膜の4つの層でマンドレルを包んだ。MED−6215をePTFEの表面に塗布してePTFEの細孔の中を湿らせることにより、細孔を実質的に満たした。余分なMED−6215を除去し、複合繊維966を巻回した支柱964を備えるフレーム960を、図22に示してあるように、フレーム着座領域984に沿ってマンドレル970の上に配置した。シリコーンMED−4720(NuSil, Carpinteria, CA, USA)をフレーム960の上端968とフレーム960の支柱964に沿って配置し、リーフレットの中に応力緩和部(図示せず)を作った。ePTFEからなる8つの追加層でフレーム960とマンドレル970を包んだ。追加のMED−6215をePTFEに塗布してePTFEの細孔の中を湿らせることにより、細孔を実質的に満たした。ePTFEからなる別の8つの層でフレーム960とマンドレル970を包んだ。これらの層が、成形中に余分な全てのシリコーンを吸収する吸収部を形成する。これらの層は、シリコーンが硬化した後に除去した。その結果、フレーム960は、それぞれフレーム960の内表面と外表面の内側複合層と外側複合層の間に挟まれるので、リーフレット992はリーフレット支持フレームに連結され、そして、支持される。内側複合層と外側複合層を含むリーフレット992は、一緒に連結された。
1つの面がマンドレルの表面を反転させた形状と正確に一致するように成形したシリコーンゴム成形体(図示せず)を、三リーフレットを形成する突起部のそれぞれのためにあらかじめ製造した。これらの成形体を離型用PTFEとともにスプレーして被覆した後、マンドレルの合致する突起部に一致させた。ePTFE繊維(図示せず)をシリコーン成形体のまわりに約50回巻回すことによって概略径方向の圧力を弁に加え、マンドレルに押し付けた。
次に、この組立体を約100℃の炉の中に約1時間入れてシリコーンを硬化させた。冷却後、繊維とシリコーンの成形体を取り出し、吸収部であるePTFEの8つの層を剥がして廃棄した。得られた弁(図示せず)をマンドレルから滑らせて外した。ワイヤカッターを用いて支柱を切除し、リーフレット材料の余分な長さとフレームの基部位置の材料の余分な長さをハサミで注意深く切除し、完成した弁組立体を形成した。その全体を990で図23に示してある。したがって一実施態様において、弁組立体990として、フレーム又はフレーム960と;フレーム960に支持されていて、開放位置と閉鎖位置の間を移動して弁組立体990を通過する血流を調節する複数のリーフレット992と;フレーム960の少なくとも一部と各リーフレット992の少なくとも一部の間に位置していて、支持構造にリーフレットが接続されていること、及び/又はリーフレットが支持構造の近くにあることに起因するリーフレットでの応力を最小にするために複合繊維966を巻回した支柱964とを備える弁組立体が形成された。別の一実施態様において、上記のように、複数の細孔を有する少なくとも1つのフッ素ポリマー層と、細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを備える複合材料からクッション部材を形成する。自由端を除いて、リーフレット992の末梢は、放物線形状を有する上端部968と支柱964によって画定されたリーフレット支持体フレームによって支持される。リーフレットは支持構造に連結されていない自由端を画定すると共に、各リーフレットが開放位置と閉鎖位置の間で移動可能である。
図面に具体的に示したのとは異なる支持構造を使用してもよいことに注意されたい。さらに、クッション部材は、支持構造にリーフレットが接続されていること、及び/又はリーフレットが支持構造の近くにあることに起因するリーフレットでの応力を最小にするため、必要に応じて支持構造に沿ったどの位置で使用してもよい。例えばクッション部材は、放物線形状の上端に沿って支持構造に接続することができる。
クッション部材は、シートとして形成して支持構造に沿った望む位置に巻回してもよいし、さまざまな断面形状とサイズの繊維から形成してもよいことにも注意されたい。
クッション部材は、チューブとして形成して支持構造の端部の上を滑らせてもよいし、長手方向に切り込みを入れ、支持構造に沿った望む位置のまわりに位置させてもよいことにも注意されたい。
完成した弁組立体のリーフレットを測定し、各リーフレットの中心における平均の厚さが約120μmであることを確認した。
次に、実施例1のようにして弁組立体の流れ特性を特徴づけ、加速試験を実施した。約0.5億回のサイクルからなる各ブロックが終了した後、弁組立体を高速疲労試験機から外し、実施例1のようにして流体力学的性能を再び特徴づけた。弁組立体は、最終的に約1.5億回の時点で外したが、許容可能な性能を示し、穴の形成はなかった。
比較例A
実施例1のようにして6つの弁を構成したが、エラストマーを組み込まなかった点が異なっていた。ePTFE材料は、実施例1に記載したものと同じだったが、フッ素エラストマーコポリマーを吸収させず、その代わりに熱可塑性接着剤として機能するFEPコポリマーの不連続な層で被覆した。弁は実施例1のようにして構成した。それぞれのリーフレットは膜からなる3つの層を備えていて、リーフレットの最終的な厚さの平均は約20μmになった。流体力学的特徴づけの後、弁を実施例1で説明したDynatek加速試験機に取り付けた。サイクルが約0.4億回になるまでにリーフレットで縁部の剥離と穴の形成が観察されたため、試験を停止した。
比較例B
実施例1のようにして2つの弁を構成したが、本発明のエラストマー部は組み込まなかった。使用した材料は、以下のような特性を持つ薄いePTFE膜であった:単位面積あたりの質量が約2.43g/m、細孔率が約88%、IBPが約4.8kPa、厚さが約13.8μm、一方向のマトリックス引張強度が約662MPa、直交方向のマトリックス引張強度が約1.2MPa。このePTFE膜を付記に記載した方法に従って試験した。この膜を10層、向きを交互に変えて重ねて配置した後、実施例1に記載したツールの上に配置した。次に、そのツールを対流空気炉の中で約25分間にわたって約350℃にした後、取り出し、水浴の中で急冷した。次に、ツールの3つの部品をステントフレームに挿入し、実施例1のようにFEPでリーフレットを弁組立体に接合した。
上記のようにして、リアル−タイム心臓血流拍動再現システムを用いてそれぞれの弁で高速疲労試験を実施した。1つの弁では約0.3億回のサイクルの後、別の弁では約0.4億回のサイクルの後、目視での劣化が観察され、測定可能な性能の低下が認められた。目視での劣化と測定可能な性能の低下に加え、表3に、約0.4億回のサイクルの後に測定した圧力低下、オリフィス有効面積(EOA)、逆流率をまとめてある。
個々の説明で参照するため、以下の非限定的な実施例の材料の特性を図43の表4に示す。前の実施態様と同様の部品には同じ参照番号を与えてある。
実施例4a
例示的な実施態様として、ポリマー製リーフレットを備える心臓弁を以下の手続きに従って構成した。このリーフレットは、延伸フッ素ポリマー膜と弾性材料を有する複合材料から形成されていて、半堅固で折り畳めない金属製フレームに接合されており、さらに応力緩和部と縫合リングを有する:
直径が26.0mmで壁の厚さが0.6mmのある長さの硬質MP35Nコバルトクロム製チューブをレーザー加工し、図24に示した形を持つ弁フレーム(全体を参照番号1000で示す)を作った。フレーム1000を電気研磨すると、それぞれの表面から0.0127mmの材料が除去され、丸くなった縁部が残った。フレーム1000に対して粗面化作業を実施することにより、疲労耐久性能を低下させることなく、フレーム1000に対するリーフレットの接着を改善した。アセトン超音波浴の中に約5分間入れることによってフレーム1000をクリーンにした。次に、当業者に一般に知られている方法を利用して金属フレームの表面全体をプラズマ処理した。この処理は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)接着剤で湿らせるのにも役立つ。
次に、FEP粉末(Daikin America, Orangeburg N.Y.)をフレームに付着させた。より具体的には、閉じた混合装置(例えば標準的な台所型混合装置)の中でFEP粉末を撹拌して空気で運ばれる“雲”を形成した。そのときフレームは、雲の中に浮かんだ状態にした。フレームを、そのフレームの表面全体に粉末の一様な層が付着するまでFEP粉末の雲に曝露した。次に、フレームを320℃に設定した強制空気炉の中に約3分間入れることによって熱処理した。こうすることで粉末が融解し、フレーム全体に薄い被覆として付着した。フレームを炉から取り出して放置し、室温になるまで冷却した。
応力緩和部と縫合リングを以下のようにしてフレームに取り付けた。直径23mmの円筒形マンドレルにKapton(登録商標)(El DuPont de Nemours, Inc., Wilmigton, DE)ポリイミドフィルムを1層だけ巻回し、重複する縫い目の全長にわたるKapton(登録商標)テープからなる接着ストリップによって所定の位置に保持した。実施例1に記載したようにePTFE膜を厚さ25.4μmのフッ素エラストマー層に貼り合わせた2層ラミネートを、高強度の膜がKapton(登録商標)で覆ったマンドレルの軸と概略平行な方向に沿って揃った状態で、縫い目の位置で実質的に重複しないように1回巻回した。包まれたマンドレルの上でフレームを同軸に揃えた。別の2層ラミネートを、縫い目が、内側に1回巻回されている2層ラミネートの縫い目から180°の方向を向いた状態でマンドレルにもう1回巻回し、フレーム全体を封止した。得られた4層ラミネートの端部を、中に封止されたフレームの基部から約135mmの位置で切断した。その長さ135mmの4層ラミネートをフレームの基部に向かって手作業で軸方向に巻回し、フレームの基部の隣に外径約3mmのリングを形成した。4層ラミネートの端部をフレームの頂部から約20mmの位置で切断した後、組立体を圧縮し、ポリイミドを吸収させたePTFE膜からなる2つの犠牲層と、焼結していないePTFE膜からなる4つの層と、約100巻のePTFE繊維を螺旋状に巻回した。この組立体全体を280℃に設定した強制空気炉の中に5分間入れて熱処理した後、炉から取り出してすぐに水で急冷することによって室温に戻した。犠牲層を除去し、フレームの上端に位置する4層ラミネートを、フレームの頂部の周囲を超えて約2mmの長さが延びた状態となうように切除した。次に、マンドレルとKaptonをフレームの内部から取り除くと、図25に全体を参照番号1010で示したフレーム組立体が得られた。このフレーム組立体は、フレーム1000が内部にラミネート化されている応力緩和部1012と縫合リング1014を有する。
図5Aに参照番号500で示した単一のメス鋳型又は基部ツールに、三リーフレットの形を画定する概略凹形キャビティ(502、504、506)を設けた。3つのオス鋳型又はリーフレットツール(100)に、基部ツールの凹形キャビティと形及び輪郭が対応する底面(103)を設けた。リーフレットツールは、互いに軸回転するように接続した。そうすることで、図5Aの三リーフレット組立体(400)に示してあるように、軸方向と回転方向の相対的な間隔を維持しやすくなる。基部ツールとリーフレットツールを焼結していないePTFE膜からなる1つの層で包んでクッション層を形成した後、実質的に非多孔性で一方の側にFEPを有するePTFE膜からなる1つの層を用いて膜同士を互いに接着するとともに、ハンダごてを用いてマンドレルに接着する。犠牲層は、基部ツールとリーフレットツールが互いに圧縮されたとき、両者間で接触する全ての面がクッション層を持つことを保証する。犠牲層の別の1つの機能は剥離層としての機能であり、リーフレット材料がツールに接着するのを阻止する。基部ツールとリーフレットツールは、最初は、図5Bに示してあるように、合わさって単一の円筒形構造、又は組み合されたツール組立体を構成していて、リーフレットを構成することと、テープを巻回すプロセスを通じて応力緩和部と縫合リングを有するフレームに取り付けることが容易になるようにする。これについては以下に詳しく説明する。
次に、リーフレット材料を調製した。ePTFE膜を、米国特許第7,306,729号に記載されている一般的な教示内容に従って製造した。ePTFE膜は、単位面積あたりの質量が1.15g/m、泡立ち点が79.7MPa、厚さが約1016nm、マトリックス引張強度が長手方向で410.9MPa、横断方向で315.4MPaである。この膜に、上の実施例1に記載したようにしてフッ素エラストマーを吸収させた。フッ素エラストマーは、NovecHFE7500(3M, St Paul, MN)に2.5%の濃度で溶かした。メイヤー棒を用いてこの溶液で(ポリプロピレン剥離フィルムに支持された状態の)ePTFE膜を被覆した後、145℃に設定した対流炉の中で30秒間乾燥させた。2つの被覆ステップの後、最終的なePTFE/フッ素エラストマーすなわち複合体は、単位面積あたりの質量が4.08g/m、フッ素ポリマーが28.22重量%、ドーム破裂強度が15.9kPa、厚さが1.93μmであった。
リーフレット又は複合材料の3つの層を、組み合わされたツール組立体に巻回した。そのとき、複合体でエラストマーが豊富な側がツールとは反対側を向くようにした。例示的な実施態様において、複合材料は、組み合わされたツール組立体の長軸と概略平行な方向に沿って所定のマトリックス引張強度を持つような方向に向ける。より具体的には、所定のマトリックス引張強度は約410MPaである。
図26Aと図26Bを参照するとわかるように、フレーム組立体1010は、複合材料を3回巻回した組み合わされたツール組立体(全体を参照番号1020で示す)の上に同軸に配置した。図26Aに示してあるように、フレーム組立体1010も回転方向を揃え、基部ツール500’の凹凸に合わせた。追加の23層の複合材料を、各層のエラストマーが豊富な側が、以前に上記の3つの複合材料層を巻回したツールの方を向くようにして、組み合わされたツール組立体1020に巻回した。例示的な実施態様において、追加の複合材料層は、それぞれ、組み合わされたツール組立体の長軸と概略平行な方向に沿って所定のマトリックス引張強度を持つ方向に向けた。一実施態様において、所定のマトリックス引張強度は約410MPaであった。次に、リーフレットツール100’を26層の複合ラミネートチューブの下から除去した。
次に、図26Bに示したようにしてそれぞれのリーフレットツール100’をそれぞれの端部ピボットのまわりに回転させ、前のステップからの複合ラミネートチューブ1015をリーフレットツール100’の間に配置した。リーフレットツール組立体を基部ツール500’と同軸に揃え、リーフレットツール100’を互いに内側に向けて回転させて26層の複合ラミネートチューブを基部ツール500’のメス三リーフレット鋳型の表面形状に押し付けた。次に、リーフレットツールと、基部ツールと、複合ラミネートと、応力緩和部と、フレームと、縫合リングを備える組み合わされたツール組立体を、固定具の固定部と並進部の間に取り付けた。リーフレットツール100’を径方向に締め付けることによって径方向と軸方向の両方に圧縮力を加えると同時に、固定具の並進端を利用して軸方向の負荷をかけた。
次に、組み合わされたツール組立体に、圧縮力を加えながら、ポリイミドを吸収させたしなやかなePTFE膜からなる2つの犠牲層と、4層の焼結していないePTFE膜と、約100巻回しのePTFE繊維を螺旋状に巻回した。この組立体の全体を旋盤から外し、締め付け固定具に取り付けて軸方向の圧縮を維持しつつ、約280℃に設定した強制空気炉の中に約30分間入れることによって熱処理を実施した。この組立体を炉から取り出し、ただちに水で急冷することによって室温に戻した。犠牲層、リーフレット、基部ツールを取り除くと、十分に接着した弁が閉じた三次元の形態で残った。
図27に示してあるように、余分なリーフレット材料をフレームの支柱の頂部から各リーフレットに共通する三重点に向かってハサミで切除し、3つの縫い目又は接合面領域を作り出した。10mmから25mmへと徐々に太くなるePTFEマンドレルを用いてリーフレットを開いた。図28と図29に示してあるように、フレーム組立体1010を固定具の対応する半部材1030aと1030bの間に配置し、この組立体を超音波圧縮溶接装置(図示せず:例えばBranson ultrasonics社(Danbury CT)のモデル#8400超音波圧縮溶接装置)に取り付けることにより、フレーム1000の基部の位置にある環状の縫合リング1014を成形してフランジにした。組立体には、溶接時間を約0.8秒、保持時間を約3.0秒にして約0.35MPaの空気圧を与えた。超音波溶接を2回実施し、厚さが約2mmで外径が33mmのフランジを縫合リングに作り出した。最終的な弁組立体の全体を図30に参照番号1100で示してある。
最終的なリーフレットはフッ素ポリマーを28.22重量%含んでいて、厚さは50.3μmであった。それぞれのリーフレットは26層の複合体を備えていて、厚さ/層数の比率は1.93μmであった。
得られた弁組立体1100は、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、その二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーを有する複合材料で形成されたリーフレット1102を備えている。各リーフレット1102は、血液が弁組立体を通って流れることを実質的に阻止する図30Aに示した閉鎖位置と、血液が弁組立体を通って流れることができる図30Bに示した開放位置の間を移動することができる。したがって弁組立体1100のリーフレット1102は、概して閉鎖位置と開放位置の間をサイクルし、ヒト患者で血流の方向を調節する。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。性能の値は、EOA=1.88cm、逆流率=10.86%であった。サイクルの数が約1億回の耐久性試験の間に観察可能なダメージは記録されなかった。
実施例4b
例示的な実施態様として、弁フレームと、応力緩和部と、第1の3つの複合材料層とを上の実施例4aに記載したように備えていて、被覆ステップの後に単位面積あたりの質量が11.80g/m、フッ素ポリマーが9.74重量%、ドーム破裂強度が17.3kPa、厚さが5.78μmの最終的な複合体を含むリーフレット材料を使用した心臓弁を構成した。
追加の6つの複合材料層を、膜の方向が実施例4aに記載した状態になるようにして、図26Aの組み合わされた鋳型のまわりに巻回した。
実施例4aに記載したようにして組立体を成形し、熱処理し、切除した。
最終的なリーフレットはフッ素ポリマーを9.74重量%含んでいて、厚さは52.0μmであった。それぞれのリーフレットは9つの複合材料層を備えていて、厚さ/層数の比率は5.78μmであった。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。性能の値は、EOA=2.05cm、逆流率=11.71%であった。耐久性試験の間にサイクルの数が約600万回で観察可能なダメージがフレームの離脱として記録された。
実施例4c
例示的な実施態様として、上の実施例4aに記載したように、レーザー加工してFEPで被覆した弁フレームを用いて心臓弁を構成し、さらに、リーフレット領域の近くでフレームの周囲にクッション部材を取り付けることで、フレームとリーフレットが直接接触することに付随する応力を最小にした。
1.143mmのマンドレルに、厚さ0.5mmのePTFE繊維を、巻回し線間に隙間ができないようなピッチで螺旋状に巻回した。2.54μmのFEPフィルムからなる2つの層をePTFE繊維からなるコイルの上に巻回した後、320℃に設定した強制空気炉の中に約3分間入れて熱処理した。室温で空冷することによって材料を室温に戻した。ePTFE繊維は、マンドレルから外したとき、連続したコイル状チューブを形成していた。そのコイル状チューブを長さ125mmの3つの部分に切断した後、軸方向に切り込みを入れ、5mmだけ完全なコイル状チューブを残した。図31に示してあるように、3つの部分のそれぞれをFEPで被覆したフレームの上に滑らせて被せ、クッション部材1030が取り付けられたフレーム1000’を形成した。クッション部材1030は、フレーム1000’とリーフレット(図示せず)の間の直接的な接触に付随する応力を最小にするためのものである。
実施例4aに記載したように、弁フレームと、応力緩和部と、縫合リングと、リーフレット材料と、第1の複合材料層を提供し、クッション部材とフレームを封止した。リーフレット材料は、被覆ステップの後の最終的な複合体で、単位面積あたりの質量が25.48g/m、フッ素ポリマーが8.91重量%、ドーム破裂強度が31.7kPa、厚さが13.08μmとなるものを提供した。
追加の3つの複合材料層を、膜の方向が実施例4aに記載した状態になるようにして、組み合わされた鋳型に巻回した。
実施例4aに記載したようにして、クッション部材を有する組立体を成形し、熱処理し、切除して、図32に示す最終的な弁組立体1100’を形成した。この弁組立体1100’は、フレーム1000’と、そのフレームに取り付けられていてフレーム1000’とリーフレット1102’の間の直接的な接触に付随する応力を最小にするクッション部材1030とを有する。
最終的なリーフレットは、フッ素ポリマーを8.91重量%含んでいて、厚さは52.3μmであった。それぞれのリーフレットは複合体を4層備えていて、厚さ/層数の比率は13.08μmであった。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。耐久性試験の間にサイクルの数が約1240万回で観察可能なダメージが穴の形成として記録された。
実施例5
例示的な実施態様として、実施例4aに記載したようにして提供した弁フレームと、応力緩和部と、縫合リングと、リーフレット材料と、第1の3つの複合材料層を有するとともに、すぐ下に記載する最終的なリーフレットをさらに有する心臓弁を構成した。
追加の15の複合材料層を、膜の方向が実施例4aに記載した状態になるようにして、組み合わされた鋳型のまわりに巻回した。
実施例4aに記載したようにして組立体を成形し、熱処理し、切除した。
最終的なリーフレットは、フッ素ポリマーを9.74重量%含んでいて、厚さは98.3μmであった。それぞれのリーフレットは複合体を18層備えていて、厚さ/層数の比率は5.46μmであった。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。性能の値は、EOA=1.73cm、逆流率=11.71%であった。耐久性試験の間にサイクルの数が約1億回で観察可能なダメージがフレームの離脱として記録された。
実施例6
例示的な実施態様として、実施例4cに記載したようにして提供した弁フレームと、クッション層と、応力緩和部と、縫合リングを有するとともに、すぐ下に記載する最終的なリーフレットをさらに有する心臓弁を構成した。
次に、リーフレット材料を提供した。ePTFE膜は、単位面積当たりの質量が0.31g/m、泡立ち点が0.11MPa、厚さが約127nm、最大引張強度が長手方向で442.0MPa、横断方向で560.0MPaである。実施例4aに記載したようにしてこの膜にフッ素エラストマーを吸収させた。被覆ステップの後、最終的なePTFE/フッ素エラストマーすなわち複合体は、単位面積あたりの質量が1.04g/m、フッ素ポリマーが29.9重量%、ドーム破裂強度が9.9kPa、厚さが0.52μmであった。
95層の複合層を、実施例4aに記載したように、膜でマトリックス引張強度が442MPaである方向が軸方向を向くとともに、膜のエラストマーが豊富な側が鋳型の方を向くようにして、組み合わされた鋳型のまわりに巻回した。
実施例4aに記載したようにして組立体を成形し、熱処理し、切除した。
最終的なリーフレットはフッ素ポリマーを29.00重量%含んでいて、厚さは49.7μmであった。それぞれのリーフレットは複合体を95層備えていて、厚さ/層数の比率は0.52μmであった。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。性能の値は、EOA=2.19cm、逆流率=9.7%であった。耐久性試験の間に観察可能なダメージは記録されなかった。
実施例7
別の例示的な実施態様として、延伸フッ素ポリマー膜とエラストマー材料を有する複合材料から形成されたポリマー製リーフレットを備えていて、バルーンを伸展可能な金属製ステントフレームに接合された心臓弁を、以下の方法に従って構成した:
外径が26.00mmで壁の厚さが0.60mmのある長さの焼鈍MP35N合金製チューブから、バルーンを伸展可能な金属製ステントフレームをレーザー加工した。このチューブにパターンを刻み、円筒形に切断されたステントフレーム(この明細書では支持構造とも呼ぶ)を形成した。図6Aではそれを、全体を600で、平坦にした状態の平面図として示してある。支持構造600は、複数の小さな閉鎖セル602と、複数の大きな閉鎖セル604と、複数のリーフレット閉鎖セル606を備えている。図6Aでは、平坦にした状態の平面図であるという理由で、複数のリーフレット閉鎖セル606のうちの1つが開放セルのように見えることに注意されたい。小さな閉鎖セル602、大きな閉鎖セル604、及び大きな閉鎖セル604は概して列に沿って配置され、支持構造600の環状形を形成する。
金属製フレームの表面を実施例4aに記載したようにして調製した。
実施例4cと同様にして、応力緩和部を有するフレームにePTFEラミネートを取り付けた。直径24mmの円筒形マンドレルにKapton(登録商標)(DuPont社)ポリイミドフィルムを1層だけ巻回し、重複する縫い目の全長にわたるKapton(登録商標)テープからなる接着ストリップによって所定の位置に保持した。実質的に非多孔性でFEP層が外表面又は外側に沿って配置されたePTFE膜からなる2つの層を、FEPがマンドレルの表面から離れる方向を向くようにして巻回した。次に、厚さ3.6μmの2つのFEP層をその上に巻回した。包まれたマンドレルの上で、バルーンを伸展可能な金属製ステントフレームを同軸に揃えた。追加の2つのFEP層をマンドレル上のステントの上に巻回し、ステントと応力緩和部を封止した。実質的に多孔性のePTFEからなる2つの層をFEPの上に巻回した後、追加の3つのFEP層をePTFEの上に巻回した。組立体全体を375℃に設定した強制空気炉の中に20分間入れて熱処理した後、炉から取り出してすぐに水で急冷することによって室温に戻した。図33Bに示してあるように、ラミネートをフレームの領域から切除し、リーフレットを取り付けるための3つのウインドウを露出させた。
次に、リーフレット材料を実施例6に記載したようにして調製した。ePTFE膜は、単位面積当たりの質量が0.29g/m、泡立ち点が0.11MPa、厚さが約158nm、マトリックス引張強度が長手方向で434.0MPa、横断方向で646.0MPaであった。実施例4aに記載されているようにしてこの膜にフッ素エラストマーを吸収させた。被覆ステップの後、最終的なePTFE/フッ素エラストマー複合体は、単位面積あたりの質量が0.94g/m、フッ素ポリマーが30.3重量%、ドーム破裂強度が4.14kPa、厚さが0.44μmであった。
17層の複合層を26mmのマンドレルのまわりに巻回した。複合体は、実施例4aに記載したように、マトリックス引張強度が434MPaである方向が軸方向を向き、膜でエラストマーが豊富な側がマンドレルの方を向くようにした。
フレームと応力緩和部を有する下部組立体をマンドレルの17層の上に配置した。追加の40層の複合層を巻回し、フレームが両方の複合層の間に挟まれるようにすることで、合計で57層の複合層にした。マンドレル、リーフレット層、フレームを不透過性の層で覆って両端を封止した。圧力容器を使用して組立体を75psiにて約23分間かけて約285℃まで加熱した後、圧力下で室温まで冷却した。弁組立体をマンドレルから外した。フレーム上の3つのリーフレット閉鎖セル606それぞれの位置でラミネートをアーチ状にスライスすることによってリーフレットの自由端部を作り出し、流体の圧力下でリーフレットが自由に開閉するようにした。図5Aと図5Bに示したリーフレット成形ツールを使用してリーフレットを成形して最終的な形にした。それぞれのリーフレット成形ツールを基部ツールと同軸に揃え、カバーをフレームの外側に取り付けられるようにした。
次に、フレームカバー材料を実施例6に記載したようにして調製した。ePTFE膜は、単位面積当たりの質量が0.86g/m、泡立ち点が0.11MPa、厚さが約900nm、マトリックス引張強度が長手方向で376.0MPa、横断方向で501.0MPaである。実施例4aに記載したようにしてこの膜にフッ素エラストマーを吸収させた。被覆ステップの後、最終的なePTFE/フッ素エラストマー複合体は、単位面積あたりの質量が7.05g/m、フッ素ポリマーが14.1重量%、ドーム破裂強度が13.1kPa、厚さが3.28μmであった。
形状設定ツールの中に保持した弁フレームのまわりに15層の複合層を巻回した。複合体は、実施例4aに記載したように、マトリックス引張強度が501MPaの方向が軸方向を向き、膜でエラストマーが豊富な側がマンドレルの方を向くようにした。最終的なカバーは14.1重量%のフッ素ポリマーで構成されていて、厚さは49.2μmであった。
組立体を成形し、開放大気圧対流炉の中で250℃にて1時間にわたって熱処理した。その後、弁を成形ツールから外した。
最終的なリーフレットは、フッ素ポリマーを30.3重量%含んでいて、厚さは25.0μmであった。それぞれのリーフレットは複合体を57層備えていて、厚さ/層数の比率は0.44μmであった。
長手方向に延びる複数のスリット1302をチューブ1300に形成することで、複数のタブ1304を形成した。スリットは、当業者に知られている適切な任意の方法(例えば刃物を用いた切断によって)で形成することができる。
次に、リーフレットツール(図示せず)をチューブ1300の下から滑らせて外した。
次に、図35に示してあるように、チューブ1300にスリット1302を形成することによって作り出した3つのタブ1304を、フレームに形成されたそれぞれのウインドウ又はセルを通じて内側に供給した。それぞれのリーフレットツールを基部ツールと同軸に揃え、チューブ1300の内側に供給された前のステップからのタブ1304がリーフレットツールと基部ツールのメス三リーフレット鋳型の表面形状の間に位置して圧縮されるようにした。次に、リーフレットツール及び基部ツールと、複合体又はリーフレット材料と、フレームを備える組み合わされたツール組立体を、固定具の固定部と並進部の間に取り付けた。リーフレットツールを径方向に締め付けることによって径方向と軸方向の両方に圧縮力を加えると同時に、固定具の並進端を利用して軸方向の負荷をかけた。
実施例4aに記載したようにして組立体を成形し、熱処理し、切除した。バルーンを伸展可能な金属製ステントフレーム600”と、クッション部材1030”と、リーフレット704”を有する最終的な弁組立体を図36に示す。
最終的なリーフレットはフッ素ポリマーを33.70重量%含んでいて、厚さは16.0μmであった。それぞれのリーフレットは複合体を50層備えていて、厚さ/層数の比率は0.32μmであった。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。性能の値は、EOA=2.0cm、逆流率=15.7%であった。耐久性試験の間に観察可能なダメージは記録されなかった。
構成及び試験した後、ヘパリン被覆のために弁をCarmeda Corporation社(Carmeda AB, Stockholm Sweden)に送った。被覆後、完成した弁をバルーンカテーテルに取り付け、機械式絞り押しつぶし装置を用いてつぶして直径を20フレンチまで小さくした。カテーテルに取り付けた弁を酸化エチレン殺菌のためにSterigenics corp.(Salt lake city UT)に送った。殺菌技術を利用し、20フレンチの鞘を通過させた弁を、月齢4ヶ月で体重25kgの麻酔したランブイエ(Ramboulet)ヒツジの外科的に露出した腸骨動脈の中に挿入した。下大静脈を通ってカテーテルを前進させ、右心房を通過させ、肺動脈幹の中に入れた。カテーテルを本来の肺動脈弁全体に広げ、バルーンカテーテルを4気圧に加圧することによって作動させた。血管造影と圧力測定の後、カテーテルを引き抜き、ヒツジを回復させた。弁(以下では外植弁と呼ぶ)は1ヶ月の間その場所に留まっていて、本来の肺動脈弁の機能を代替した。
外植後にその外植弁の流体力学的性能を測定し、対照の弁と比較した。外植弁を外植し、ホルマリン溶液の中で固定し、水酸化ナトリウムの中で消化させ、エタノールとアセトンと蒸留水の中で洗浄した後、試験した。対照の弁は、送達用の直径に圧縮してバルーンカテーテル上で再び広げて試験した外植弁と同じものであった。それぞれの弁を、ViVitroリアルタイム試験装置の中で、大動脈の流れ条件と肺の流れ条件の両方について試験した。血行力学の性能低下は観察されなかった。
外植弁と対照の弁の性能の値を表5に示す。
実施例8
例示的な実施態様として、堅固な金属製フレームに接合されたポリマー製リーフレットを有する心臓弁を以下の方法に従って構成した:
外径が25.4mmで壁の厚さが0.5mmのある長さの316ステンレス鋼製チューブから、図19に示した形を持つ弁支持構造又はフレーム960をレーザーで切断した。図示した実施態様において、フレーム960は、底部端962と、反対側の上端の間を軸方向に延びている。反対側の上端は、想定する完成した弁組立体(図示せず)のリーフレットの数に対応する、軸方向に延びる概略尖塔形の複数の支柱964によって画定される。放物線形状の上端968が、隣り合った支柱964の間を延びている。図示した具体的な実施態様において、3つの支柱964と3つの上端968が、フレーム960の上端を形成している。リーフレット材料と接触する可能性のあるフレームのコーナーは、回転式紙ヤスリ機と手作業での研磨によって丸くした。フレームを水で洗浄した後、PT2000Pプラズマ処理システム(Tri-Star Technologies, El Segundo, CA, USA)を用いてプラズマでクリーンにした。
クッション部材をフレームの少なくとも一部とリーフレットの少なくとも一部の間に設置し、フレームとリーフレットの間の直接的な接触に付随する応力を最小にする。最初にePTFE膜にシリコーンMED−6215(NuSil, Carpinteria, CA, USA)を吸収させ、それを幅25mmに切断し、巻回して実質的に丸い繊維にすることにより、ePTFEとシリコーンからなる複合繊維を作った。この繊維で使用するePTFEは、付記に記載した方法に従って試験した。ePTFE膜は、泡立ち点が217kPa、厚さが10μm、単位面積あたりの質量が5.2g/m、細孔度が78%、一方向のマトリックス引張強度が96MPa、直交方向のマトリックス引張強度が55MPaであった。この複合繊維966を、図20に示してあるように弁フレーム960のそれぞれの支柱964に巻回した。
ステレオリソグラフィ法を利用して図21に示した形状のマンドレル970を形成した。マンドレル970は、第1の端部972と、その反対側の第2の端部974を持ち、その両端部の間を長手方向に延びている。マンドレル970は、概略アーチ形の凸形状を有する3つの(図示してあるのは2つ)葉部982を有する外表面980を持つ。それぞれの葉部は、概して、完成した弁組立体(図示せず)のリーフレットを形成する。外表面980には、フレーム(図19では960)の表面にリーフレットを形成する前に弁フレームを葉部982に対して位置決めするためのフレーム着座領域984も含まれている。
次に、マンドレル970にePTFE型剥離剤をスプレーで被覆した。マンドレルのまわりにePTFE膜を4層巻回した。ePTFE膜を付記に記載した方法に従って試験した。ePTFE膜は、単位面積あたりの質量が0.57g/m、細孔度が90.4%、厚さが約2.5μm、泡立ち点が458kPa、マトリックス引張強度が長手方向で339MPa、横断方向で257MPaであった。MED−6215をePTFEの表面に塗布してePTFEの細孔の中を湿らせることにより、細孔を実質的に満たした。余分なMED−6215を拭き取り、複合繊維966を巻回した支柱964を備えるフレーム960を、図22に示してあるように、フレーム着座領域984に沿ってマンドレル970の上に配置した。シリコーンMED−4720(NuSil, Carpinteria, CA, USA)をフレーム960の上端968とフレーム960の支柱964に沿って配置し、リーフレット(図示せず)の中に応力緩和部を作った。同じePTFEからなる追加の30層をフレーム960とマンドレル970のまわりに巻回した。追加のMED−6215をePTFEの表面に塗布してePTFEの細孔の中を湿らせることにより、細孔を実質的に満たした。8層のePTFE膜をフレーム960とマンドレル970のまわりに巻回した。使用したePTFEを付記に記載した方法に従って試験した。ePTFE膜は、泡立ち点が217kPa、厚さが10μm、単位面積あたりの質量が5.2g/m、細孔度が78%、一方向のマトリックス引張強度が96MPa、直交方向のマトリックス引張強度が55MPaであった。これらの層が成形中に余分な全てのシリコーンを吸収したため、シリコーンが硬化した後に除去した。
1つの面がマンドレルの表面を反転させた形状と正確に一致するように成形したシリコーンゴム成形体(図示せず)を、三リーフレットを形成する突起部のそれぞれのためにあらかじめ製造した。これらの成形体を離型用PTFEとともにスプレーして被覆した後、マンドレルの合致する突起部に一致させた。ePTFE繊維(図示せず)をシリコーン成形体のまわりに約50回巻回すことによって概略径方向の圧力を弁に加え、マンドレルに押し付けた。
次に、この組立体を100℃の炉の中に1時間入れてシリコーンを硬化させた。冷却後、繊維とシリコーン成形体を取り出し、吸収部であるePTFEの8つの層を剥がして廃棄し、得られた弁(図示せず)をマンドレルから滑らせて外した。ワイヤカッターを用いて支柱を切除し、リーフレット材料の余分な長さとフレームの基部位置の材料の余分な長さをハサミで注意深く切除し、完成した弁組立体を形成した。その全体を図23に参照番号990で示してある。したがって一実施態様において、弁組立体990として、フレーム960又は支持構造と;そのフレーム960に支持されていて、開放位置と閉鎖位置の間を移動して弁組立体990を通過する血流を調節する複数のリーフレット992と;フレーム960の少なくとも一部と各リーフレット992の少なくとも一部の間に位置していて、支持構造にリーフレットが接続されていること、及び/又はリーフレットが支持構造の近くにあることに起因するリーフレットでの応力を最小にするクッション部材1030を備える弁組立体990が形成された。別の一実施態様において、上述のように、複数の細孔を有する少なくとも1つのフッ素ポリマー層と、細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを備える複合材料からクッション部材を形成する。
図面に具体的に示したのとは異なる支持構造を使用してもよいことに注意されたい。さらに、クッション部材は、支持構造にリーフレットが接続されていること、及び/又はリーフレットが支持構造の近くにあることに起因するリーフレットでの応力を最小にするため、必要に応じて支持構造に沿ったどの位置で使用してもよい。例えばクッション部材は、放物線形状の上端に沿って支持構造に接続することができる。
クッション部材は、シートとして形成して支持構造に沿った望む位置に巻回してもよいし、さまざまな断面形状とサイズの繊維から形成してもよいことにも注意されたい。
クッション部材は、チューブとして形成して支持構造の端部の上を滑らせてもよいし、長手方向に切り込みを入れ、支持構造に沿った望む位置のまわりに位置させてもよいことにも注意されたい。
完成した弁組立体のリーフレットを測定し、各リーフレットの中心における平均の厚さが約48μmであることを確認した。
最終的なリーフレットはフッ素ポリマーを24.00重量%含んでいて、厚さは48.0μmであった。それぞれのリーフレットは48層の複合体を備えていて、厚さ/層数の比率は1.07μmであった。
加速摩耗試験の前に流体力学的性能を測定した。性能の値は、EOA=2.4cm、逆流率=12.5%であった。サイクルの数が約1.5億回の耐久性試験の間に観察可能なダメージは記録されなかった。
実施例4a、4b、5、6、7、8に記載した弁の流体力学的性能は、リアル−タイムの脈拍再現装置で典型的な解剖学的圧力と弁を通過する流れを測定して特定の弁組立体に関する初期データセット、すなわち“ゼロ疲労”データセットを生成させることによって特徴づけた。
流れ性能を特徴づけた後、弁組立体を血流拍動再現システムから外し、高速疲労試験機又は耐久性試験機に取り付けた。弁を連続的に監視し、閉じられているときに弁が圧力を維持していることを確認するとともに、フレームの離脱、破損、穴、剥離という形態のダメージがいつ起こるかを評価した。適切な場合には、約1億回のサイクルでの耐久性試験の後に弁の流体力学的性能を再び測定して記録した。
性能の特徴づけの結果を図44の表6に示す。
実施例4a、4b、4c、5、6、7、8に提示されていて表4、5、6にまとめてあるデータは、厚さ、フッ素ポリマーの重量%、層数が変化したときにさまざまな構成のリーフレットに付随する一般的な耐久性と流体力学的性能の傾向に関する観察結果を支持している。提示した実施例から、個々の構成の弁でフレームのタイプとクッション部材に起因する違いがあるときの比較が可能であるため、これらの実施例が観察結果を支持していることがわかる。
実施例4bと4cは、リーフレット厚さとフッ素ポリマーの重量%が等しい構成であり、層数が少ないと耐久性が低下することを示している。フレームが離脱するという実施例4bの故障様式は、クッション部材を用いることによって軽減され、故障までの時間が2倍になったが、故障様式がフレームの離脱からリーフレットへの穴の形成へと変化した。実施例4aと4bの両方とも、許容可能な耐久性をはるかに下回っていた。
実施例4bと5は、フッ素ポリマーの重量%を一定に維持して層数を変えたときの比較であるため、リーフレット厚さを測定する。どちらの実施例も弁の構成が同じであり、フレームの離脱を軽減することを上に示したクッション部材がない。層数を9から18へと2倍にする効果、したがってリーフレット厚さを約52μmから約98μmへと大きくする効果により、フレームが離脱するまでのサイクルの数が1200万回から1億回へと1桁近く改善された。
実施例4aも実施例4bと同様の構成であり、約50μmというリーフレット厚さが一定に維持されていて、フッ素ポリマーの重量%が実施例4bの約10重量%から実施例4aの約30重量%へと変化しているため、より薄い複合体にすることが可能になり、したがってリーフレット厚さが同じで層をより多く(26)することができた。実施例4aでは三重点の高応力領域の近くで自由端部の剥離がいくらか観察されたが、弁は相変わらず使用可能である。そのことは、表5に示したように1億回のサイクルでの流体力学的特性からわかる。
実施例6と7では、図41Aと図41Bに示してあるように、薄くて層数が多いこれらの構成における曲げ挙動の改善は、層数がより少ない構成と比べたとき、デューティサイクル中の折り目としわの減少が原因で耐久性の改善につながることを概して示している。
それに加え、実施例8は、実施例6と7に示した多数の層からなる構成とは異なるエラストマーを用いて同様の耐久性を実現できることを示している。
当業者には、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、さまざまな改変やバリエーションが可能であることが明らかであろう。したがって本発明は、添付の請求項とその等価物の範囲に入るのであれば、そのような改変やバリエーションを含むことが想定されている。
付記
この明細書では、マトリックス引張強度は、特定の条件下における多孔性フッ素ポリマーのサンプルの引張強度を意味する。サンプルの細孔率は、引張強度に、サンプルの密度に対するポリマーの密度の比率を掛けることによって求まる。
この明細書では、“膜(membrane)”という用語は、多孔性フッ素ポリマー物品を意味し、“複合体(composite)”は、ある材料を吸収した多孔性フッ素ポリマーを意味し、“リーフレット(leaflet)”は、血流の方向を調節するための埋込可能物品の1つの部品を意味する。本発明のリーフレットは、複合体からなる1つ以上の層である。
この明細書では、“吸収する(imbible)”という用語は、細孔の少なくとも一部に第2の材料を満たすのに用いる任意の方法を意味する。
細孔が実質的にエラストマーで満たされた多孔性フッ素ポリマー製リーフレットでは、所望の特性を測定するため、適切な溶媒を用いてエラストマーを溶かすか分解した後、洗浄して除去する。
この明細書では、“エラストマー”という用語は、ポリマー、複数のポリマーの混合物、1種類以上のポリマーと非ポリマー成分の混合物のうちで、元の長さの少なくとも1.3倍まで伸ばすことができ、解放時には迅速にほぼ元の長さに戻る能力を有するものと定義される。“弾性的”という用語は、ポリマーがエラストマーと同様の引張特性と復元特性を示すが、必ずしも引張及び/又は復元が同程度である必要はない特性を記述するのに用いる。
この明細書では、“熱可塑性”という用語は、熱を加えたときに軟化し、室温まで冷却したときに元の状態に戻るポリマーと定義される。そのようなポリマーは、熱を加えること、又は熱と圧力を加えることにより、ポリマーの元の状態を有意に劣化又は変化させることなく、軟化させたり、流動させたり、新しい形を取らせたりすることができる。熱可塑性ポリマーとは異なり、“熱硬化性”ポリマーは、ここでは、硬化させたときに不可逆的に固化する、又は“固まる”ポリマーと定義される。あるポリマーが本発明の意味で“熱可塑性”ポリマーであるかどうかの判断は、応力下のサンプルの温度をゆっくりと上昇させて変形を観察することによって可能である。そのポリマーの元の化学的状態を有意に劣化又は変化させることなく、そのポリマーを軟化させたり、流動させたり、新しい形を取らせたりすることができるのであれば、そのポリマーは熱可塑性であると見なされる。材料をわずかしか入手できない場合には、判断するのに高温顕微鏡を使用する必要があろう。
弁の品質の1つの指標は、オリフィスの有効面積(EOA)であり、それは、EOA(cm)=Qrms/(51.6×(ΔP)1/2)から計算することができる。ただし、Qrmsは、収縮期/拡張期の流速の二乗平均(cm/s)であり、ΔPは、収縮期/拡張期の圧力低下(mmHg)である。
弁の流体力学的性能の別の指標は、逆流率である。逆流率は、弁を逆流して通過する流体又は血液の量を一回拍出量で割った値である。
この明細書では、単位質量あたりの表面積(単位はm/g)は、ブルナウアー−エメット−テラー(BET)法を利用してCoulter SA3100気体吸着分析器(Beckman Coulter Inc. Fullerton CA, USA)で測定した。測定を実施するため、延伸フッ素ポリマー膜の中心部からサンプルを切り出し、小さなサンプルチューブの中に配置した。サンプルの質量は約0.1〜0.2gであった。チューブをBeckman Coulter社(Fullerton CA, USA)のCoulter SA-Prep表面領域脱ガス装置(モデルSA−Prep、P/n 5102014)の中に配置し、約110℃にて約2時間にわたってヘリウムでパージした。次にサンプルチューブをSA-Prep脱ガス装置から取り出し、計量した。次に、サンプルチューブをSA3100気体吸着分析器の中に配置し、装置の使用説明書に従ってBET表面積分析を実施した。そのとき、自由空間を計算するためのヘリウムと、吸着可能なガスとしての窒素を用いた。
泡立ち点(バブルポイント)と平均流孔径は、Porous Materials, Inc.(Ithaca NY, USA)の毛細流ポロメータ(モデルCFP1500AEXL)を使用し、ASTMF316-03の一般的な教示内容に従って測定した。膜のサンプルをサンプル室の中に配置し、表面張力が約20.1ダイン/cmのSilWickシリコーン流体(Porous Materials Inc.から入手できる)で湿らせた。サンプル室の底部クランプは、穴の直径が約2.54cmであった。イソプロピルアルコールを試験液として使用した。Capwinソフトウエアのバージョン7.73.012を使用し、以下のパラメータを以下の表に記載したように設定した。本明細書中に使用する場合、平均流孔径と細孔径を互換的に使用する。
膜厚は、KaeferFZ1000/30厚さ挟みゲージ(Kafer Messuhrenfabrik GmbH, Villingen-Schwenningen, Germany)の2枚のプレートの間に膜を挟んで測定した。3回の測定の平均値を記録した。
細孔の中にエラストマーが存在していることは、当業者に公知のいくつかの方法(例えば表面及び/又は断面の視覚的分析や、他の分析法)で明らかにすることができる。これらの分析は、リーフレットからエラストマーを除去する前と後に実施できる。
膜のサンプルをダイスで切断して約2.54cm×約15.24cmの長方形の切片を形成し、重量(Mettler-Toledo社の化学天秤のモデルAG204を使用)と厚さ(Kaefer FZ 1000/30挟みゲージを使用)を測定した。これらのデータを用いて密度を以下の式:ρ=m/w×l×tによって計算した(ただしρ=密度(g/cm):m=質量(g)、w=幅(cm)、l=長さ(cm)、t=厚さ(cm))。3回の測定の平均値を記録した。
引張破断負荷は、面が平坦な握りと0.445kNの負荷セルを備えるINSTRON122引張試験機を用いて測定した。ゲージの長さは約5.08cm、クロス−ヘッドの速度は約50.8cm/分であった。サンプルのサイズは約2.54cm×約15.24cmであった。長手方向の測定では、サンプルの長いほうのサイズを最大強度の方向に向けた。直交MTS測定では、サンプルの長いほうのサイズを最大強度に垂直な方向に向けた。Mettler-Toledo社の化学天秤のモデルAG204を使用して各サンプルを計量した後、KaeferFZ1000/30挟みゲージを使用して厚さを測定した。次にサンプルを引張試験機で個別に試験した。各サンプルの3つの異なる区画を測定した。3回の最大負荷(すなわちピークの力)測定の平均値を記録した。長手方向と横断方向の最大引張強度(MTS)を、以下の式:MTS=(最大負荷/断面の面積)×(PTFEのバルク密度)/(多孔性膜の密度)を用いて計算した(ただし、PTFEのバルク密度は約2.2g/cmとした)。曲げ剛性は、ASTM D790に記載されている一般的な手続きに従って測定した。大きな試験サンプルが入手できるのでなければ、試験サンプルは小さなものを使用せねばならなかった。試験条件は以下の通りであった。互いに約5.08mm離して水平に配置した尖った支柱を使用し、リーフレットサンプルを三点屈曲試験装置で測定した。直径が約1.34mmで重さが約80mgの鋼鉄製の棒を使用してy(下)方向に反らせた。そのときサンプルをx方向に拘束しなかった。この鋼鉄製の棒をゆっくりと膜サンプルの中心点に載せた。約5分間待った後、y方向の反り具合を測定した。上記のように支持した弾性梁の反り具合は、d=F×L/48×EIで表わすことができる。ただし、F(単位はニュートン)は、梁の長さL(単位はm)の中心に加える負荷であり、したがってLは懸隔用支柱の間の距離の半分であり、EIは曲げ剛性(単位はNm)である。この関係式からEIの値を計算することができる。長方形の断面に関しては、I=t×w/12である。ただし、I=断面二次モーメント、t=サンプルの厚さ(単位はメートル)、w=サンプルの幅(単位はメートル)である。この関係式を用い、曲げ変形の測定範囲全体での平均弾性率を計算することができる。
繊維の平均直径は、図7A〜Cの走査電子顕微鏡(SEM)写真など、多数の繊維を示すために適する倍率を有する走査電子顕微鏡写真を調べることによって、推定した。複合材料の場合、エラストマー又は気泡を充填しているその他の材料を任意の適切な手段によって引き出して繊維を露出する必要があるかも知れない。
表面積の測定
/g単位で表される微小孔性ポリマー膜の単位質量あたりの表面積(比表面積)は、ブルナウアー−エメット−テラー(BET)法を利用してCoulter SA3100気体吸着分析器(Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA)で測定した。微小孔性ポリマー膜シートの中心部からサンプルを切り出し、小さなサンプルチューブの中に入れた。サンプルの質量は約0.1〜0.2グラムであった。チューブをBeckman Coulter Inc.(Fullerton, CA)製のCoulter SA-Prep表面領域脱ガス装置(モデルSA-PREP、P/N 5102014)内に入れ、110℃にて2時間、ヘリウムでパージした。次にサンプルチューブをSA-Prep脱ガス装置から取り出し、計量した。次に、サンプルチューブをSA3100気体吸着分析器内に入れ、装置の使用説明書に従ってBET表面積分析を実施した。そのとき、自由空間を計算するためのヘリウムと、吸着可能なガスとしての窒素を用いた。単回の測定値を各サンプルに関して記録した。
異なった密度の材料の比表面積を比較するために、m/g単位で表される比表面積をm/cc単位で表された比表面積に変換することは有用である。そうするために、m/gで表された比表面積に、g/ccで表されたサンプル材料の密度を掛ける。PTFEの密度を2.2g/ccとし、そしてポリエチレンの密度を0.98g/ccとした。

Claims (62)

  1. 支持構造及び少なくとも1つのリーフレットを含む弁であって、
    前記少なくとも1つのリーフレットが前記支持構造によって支持されると共に、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、
    各リーフレットが、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを含む複合材料を含み、
    前記リーフレットのフッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である、弁。
  2. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が3未満である、請求項1に記載の弁。
  3. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が1未満である、請求項1に記載の弁。
  4. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が0.5未満である、請求項1に記載の弁。
  5. 前記リーフレットが前記複合材料の層を少なくとも10層有すると共に、前記複合材料が含有するフッ素ポリマーの重量比が50%未満である、請求項1に記載の弁。
  6. 前記リーフレットの厚さが100μm未満である、請求項5に記載の弁。
  7. 前記リーフレットの曲げ係数が100MPa未満である、請求項6に記載の弁。
  8. 前記細孔の細孔サイズが5μm未満である、請求項1に記載の弁。
  9. 前記細孔の細孔サイズが1μm未満である、請求項1に記載の弁。
  10. 前記細孔の細孔サイズが0.10μm未満である、請求項1に記載の弁。
  11. 前記二以上のフッ素ポリマー層が繊維を含むと共に、前記繊維の過半数の直径が1μm未満である、請求項1に記載の弁。
  12. 前記エラストマーがフッ素エラストマーである、請求項1に記載の弁。
  13. 前記エラストマーがウレタンである、請求項1に記載の弁。
  14. 前記エラストマーがTFE/PMVEコポリマーである、請求項1に記載の弁。
  15. 前記TFE/PMVEコポリマーが、40〜80重量%のペルフルオロメチルビニルエーテルと、残分の60〜20重量%のテトラフルオロエチレンとから本質的になる、請求項14に記載の弁。
  16. 支持構造及び少なくとも1つのリーフレットを含む弁であって、
    前記少なくとも1つのリーフレットが、前記支持構造によって支持されると共に、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、各リーフレットが、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを含む複合材料とを含み、各リーフレットの厚さが100μm未満である、弁。
  17. 前記リーフレットが前記複合材料の層を少なくとも10層有する、請求項16に記載の弁。
  18. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である、請求項16に記載の弁。
  19. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が3未満である、請求項16に記載の弁。
  20. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が1未満である、請求項16に記載の弁。
  21. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が0.5未満である、請求項16に記載の弁。
  22. 前記リーフレットが前記複合材料の層を少なくとも10層有すると共に、前記複合材料が含有するフッ素ポリマーの重量比が50%未満である、請求項16に記載の弁。
  23. 前記リーフレットの厚さが100μm未満である、請求項22に記載の弁。
  24. 前記リーフレットの曲げ係数が100MPa未満である、請求項23に記載の弁。
  25. 前記細孔の細孔サイズが5μm未満である、請求項16に記載の弁。
  26. 前記細孔の細孔サイズが1μm未満である、請求項16に記載の弁。
  27. 前記細孔の細孔サイズが0.10μm未満である、請求項16に記載の弁。
  28. 前記二以上のフッ素ポリマー層が繊維を含むと共に、前記繊維の過半数の直径が1μm未満である、請求項16に記載の弁。
  29. 前記エラストマーがフッ素エラストマーである、請求項16に記載の弁。
  30. 前記エラストマーがウレタンである、請求項16に記載の弁。
  31. 前記エラストマーがTFE/PMVEコポリマーである、請求項29に記載の弁。
  32. 前記TFE/PMVEコポリマーが、40〜80重量%のペルフルオロメチルビニルエーテルと、残分の60〜20重量%のテトラフルオロエチレンとから本質的になる、請求項31に記載の弁。
  33. 支持構造及びリーフレットを含む弁であって、
    前記支持構造が、複数の実質的に放物線状の形状を有する(parabolically shaped)上端部及び支柱を有するリーフレット支持フレームを含むと共に、
    前記リーフレットが、放物線形状を有する(parabolically shaped)各上端部及び支柱に支持され、
    各リーフレットが、前記支持構造に連結されていない自由端を画定すると共に、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、且つ、
    各リーフレットが、複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層少なくとも二層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを含む複合材料を含む、弁。
  34. 前記複合材料の前記少なくとも二層のうち少なくとも一層が、前記支持構造の内表面に連結されると共に、前記複合材料の前記少なくとも二層のうち少なくとも一層が、前記支持構造の外表面に連結される、請求項33に記載の弁。
  35. 各リーフレットの厚さが100μm未満である、請求項33に記載の弁。
  36. 前記リーフレットが前記複合材料の層を少なくとも10層有する、請求項33に記載の弁。
  37. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が5未満である、請求項33に記載の弁。
  38. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が3未満である、請求項33に記載の弁。
  39. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が1未満である、請求項33に記載の弁。
  40. フッ素ポリマー層数に対するリーフレット厚さ(μm)の比率が0.5未満である、請求項33に記載の弁。
  41. 前記リーフレットが前記複合材料の層を少なくとも10層有すると共に、前記複合材料が含有するフッ素ポリマーの重量比が50%未満である、請求項33に記載の弁。
  42. 前記リーフレットの厚さが100μm未満である、請求項41に記載の弁。
  43. 前記リーフレットの曲げ係数が100MPa未満である、請求項42に記載の弁。
  44. 前記細孔の細孔サイズが5μm未満である、請求項33に記載の弁。
  45. 前記細孔の細孔サイズが1μm未満である、請求項33に記載の弁。
  46. 前記細孔の細孔サイズが0.10μm未満である、請求項33に記載の弁。
  47. 前記二以上のフッ素ポリマー層が繊維を含むと共に、前記繊維の過半数の直径が1μm未満である、請求項33に記載の弁。
  48. 前記エラストマーがフッ素エラストマーである、請求項33に記載の弁。
  49. 前記エラストマーがウレタンである、請求項33に記載の弁。
  50. 前記エラストマーがTFE/PMVEコポリマーである、請求項48に記載の弁。
  51. 前記TFE/PMVEコポリマーが、40〜80重量%のペルフルオロメチルビニルエーテルと、残分の60〜20重量%のテトラフルオロエチレンとから本質的になる、請求項50に記載の弁。
  52. ヒト患者の血流方向を調節するための埋込可能物品のリーフレットを形成する方法であって、
    複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層と、前記二以上のフッ素ポリマー層の細孔の実質的に全てに存在するエラストマーとを有する複合材料を提供し、
    軸方向の縫い目を付されてなり、当該縫い目により規定された始点及び終点を有する前記複合材料のシートを巻回することにより、前記複合材料の二以上の層を、前記複合材料の追加の層に接触させる
    ことを含む方法。
  53. 前記複合材料のシートの巻回が、前記複合材料に付された縫い目により規定された前記始点及び終点に沿って概略径方向に(generally radially)、前記複合材料のシートを巻回することを含む、請求項52に記載の方法。
  54. 前記複合材料のシートの巻回が、厚さ(μm)のフッ素ポリマー層数に対する比率が5未満となるように、前記複合材料のシートを巻回することを含む、請求項52に記載の方法。
  55. 複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料の提供が、細孔サイズが5μm未満である複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料を提供することを含む、請求項52に記載の方法。
  56. 複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料の提供が、細孔サイズが1μm未満である複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料を提供することを含む、請求項52に記載の方法。
  57. 複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料の提供が、細孔サイズが0.10μm未満である複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料を提供することを含む、請求項52に記載の方法。
  58. 複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料の提供が、繊維により規定される複数の細孔を有する二以上のフッ素ポリマー層を有する複合材料を提供することを含み、ここで前記繊維の過半数の直径が1μm未満である、請求項52に記載の方法。
  59. エラストマーを有する複合材料の提供が、エラストマーがフッ素エラストマーである複合材料を提供することを含む、請求項52に記載の方法。
  60. エラストマーを有する複合材料の提供が、エラストマーがTFE/PMVEコポリマーである複合材料を提供することを含む、請求項52に記載の方法。
  61. エラストマーを有する複合材料の提供が、エラストマーがTFE/PMVEコポリマーである複合材料を提供することを含むと共に、前記TFE/PMVEコポリマーが、40〜80重量%のペルフルオロメチルビニルエーテルと、残分の60〜20重量%のテトラフルオロエチレンとから本質的になる、請求項52に記載の方法。
  62. エラストマーを有する複合材料の提供が、エラストマーがウレタンである複合材料を提供することを含む、請求項52に記載の方法。
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