JP2016513697A - 変異体第viii因子ポリペプチドならびにそれらの製造方法および使用方法 - Google Patents

変異体第viii因子ポリペプチドならびにそれらの製造方法および使用方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、トロンビン切断部位および活性化ループの一方または両方における1以上の位置にアミノ酸置換を含む変異体第VIII因子ポリペプチドに関する。ある実施形態においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドはトロンビン切断部位および活性化ループの両方における1以上のアミノ酸置換を含む。更に詳細な実施形態においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドはA1−A2ドメイン界面およびA2−A3ドメイン界面内に1以上のアミノ酸置換を更に含む。本開示は更に、そのような変異体第VIII因子ポリペプチドの製造および/または使用方法;該ポリペプチドをコードする核酸;そのような核酸を含有するベクターおよび/または組換え細胞、組織もしくは生物;ならびにそのようなポリペプチドおよび/または核酸を含有するキットおよび医薬組成物に関する。

Description

関連出願に対する相互参照
本出願は2013年3月15日付け出願の米国仮特許出願第61/789,112号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)の利益を主張するものである。
開示の分野
ヒト凝固第VIII因子変異体およびそのような変異体をコードするポリヌクレオチド、そのような変異体を含み発現するベクターおよび宿主細胞、そのような変異体の入手方法、そのような変異体の使用方法、該変異体の組成物、ならびにそれらに関連した追加的な発明の特徴を本明細書において提供する。
血液凝固は、最終的にフィブリン塊を生じさせる、種々の血液成分(または因子)との間の複雑な相互作用からなるプロセスである。一般に、しばしば凝固「カスケード」と称されるものに関与する血液成分は、それ自体が活性化凝固因子であることが多いアクチベーターの作用によりタンパク質分解酵素に変換される酵素的に不活性なタンパク質(プロ酵素またはチモーゲン)である。凝固カスケードに決定的に重要な1つのペプチドは第VIII因子またはFVIIIである。実際、最も一般的な遺伝性凝固障害である血友病Aは第VIII因子の欠乏または構造的欠陥により引き起こされる。第VIII因子の生化学的性質は凝固のための迅速なオン/オフの切替を可能にする。それは、凝固カスケードの最後から2番目の酵素であるトロンビンによりFVIIIaに活性化される不活性補因子として循環する。FVIIIaは、FIXa、膜またはリン脂質(PL)表面およびCa+2と共に短命酵素複合体(FXase)に加わって、FXをFXaに変換する。FXase複合体における参加体としてのFVIIIaの主な機能は、FXaを著しく増幅することであり、ついでこれはトロンビン生成を可能にする。第VIII因子は、26個のエキソン(Thompson,Seminars in Thrombosis and Hemostasis,29:11−22(2003)(参考文献11および16〜18))からなる約186kbの遺伝子によりコードされている。この遺伝子のmRNAの翻訳およびそれに続く19アミノ酸のシグナル配列の除去は2332アミノ酸の成熟タンパク質を与える。該タンパク質は6つの主要ドメインからなり、これらはアミノ末端から順にA1、A2、B、A3、C1およびC2である。A1およびA2ドメイン間、A2およびBドメイン間ならびにBおよびA3ドメイン間に、活性化に関与している追加的な短い酸性領域であるそれぞれa1、a2およびaA3が介在している。2332アミノ酸の一次翻訳産物は、無傷A1、a1、A2、a2ドメインおよび種々の長さのBドメインを含有する不均一な重鎖と、a3、A3、C1およびC2ドメインを含有する均一な80kDの軽鎖とからなるヘテロ二量体へとプロセシングされる。Bドメインの不均一性は分泌中のタンパク質分解から生じる。
第VIII因子から第VIIIa因子への活性化は一般にトロンビンによるプロ補因子のタンパク質分解を介して生じる。トロンビンは、第VIII因子ペプチド鎖に沿ったトロンビン切断部位を定める或るアミノ酸領域を認識する。第VIII因子は3つのトロンビン切断部位を有する。他のトロンビン基質の試験は、トロンビンに適合した種々の残基を明らかにしている。これらのトロンビン切断部位内のアミノ酸は或る程度変動しうるが、これらの切断部位内では或るアミノ酸が他のアミノ酸より遥かに頻繁に見られ、或るアミノ酸残基はトロンビンによる該ペプチドのより効率的な切断をもたらす(例えば、Newell−Caitoら,“P3−P3’Residues flanking Scissile Bonds in Factor VIII Modulate Rates of Substrate Cleavage and Profactor Activation by Thrombin,”Biochemistry 51:3451−59(2012);Gallwitzら,“The Extended Cleavage Specificity of Human Thrombin,”PLoS ONE 7:e31756(2012)を参照されたい)。第VIII因子における3つのトロンビン切断部位の1つはa1−A2接合部またはその近傍に存在し、これは成熟野生型ヒト第VIII因子ペプチドのアミノ酸370−375位に存在する。
切断後、活性な第VIIIa因子は、A1サブユニット、A2サブユニットおよびA3C1C2サブユニットから構成されるヘテロ三量体である。このヘテロ三量体は、「ドメイン界面」と称されるそれらのサブユニットが互いに相互作用する領域における該サブユニット間の静電的相互作用および疎水性相互作用の両方により維持される。該ヘテロ三量体は少なくともA1−A2およびA2−A3ドメイン界面を含むことが公知である(例えば、米国特許第8,338,571号(2008年7月25日付け出願)(2012年12月25日付け発行)を参照されたい)。
ヒト第VIII因子は約300kDの一本鎖分子として組換え的に産生されている。該前駆体産物はゴルジ装置において200kD(重鎖)および80kD(軽鎖)の2本のポリペプチド鎖へとプロセシングされ、それらの2本の鎖は金属イオンによって合体している(Kaufmanら,J.Biol.Chem.263:6352(1988);Anderssonら,Proc.Natl.Acad.Sci.83:2979(1986))。Bドメイン欠失FVIII(FVIII−BDD;90kD A1−A2重鎖+80kD 軽鎖)も血友病Aに対する補充療法として有効であることが示されているため、FVIIIのBドメインは不必要だと思われる。1つのよく知られたBドメイン欠失第VIII因子配列(「BDD−SQ」または単に「BDD」と称される)はBドメインの14アミノ酸を除く全ての欠失を含有する。
血友病Aの治療は、現在、要求に応じた又は予防的治療としての第VIII因子の静脈内(iv)投与を含む。第VIII因子は、完全長タンパク質として300kDを超える大きなサイズを有するにもかかわらず、ヒトにおいて約11時間の半減期を有するに過ぎない(Ewensteinら,Semin.Hematol.41:1−16(2004))。したがって、第VIII因子は、凝固障害の予防的治療のためには比較的頻繁に投与される必要がある。第VIII因子は、典型的には、第VIII因子の活性に基づく投与では、週2〜3回投与される。頻繁な静脈内注射がこのように必要とされることは患者のコンプライアンスに大きな障害となる。それほど頻繁な投与を要しない第VIII因子製品を開発することができれば、患者にとってより好都合であろう。更に、必要な投与回数の減少は治療コストをも低減するであろう。また、これらの頻繁な投与の場合であっても、その短い半減期ゆえに、第VIII因子補充療法を受けている患者は、しばしば、血漿第VIII因子活性レベルにおける大きな変動を示して、(最高レベルで)血栓症および(最低レベルで)出血のリスクを潜在的に被る。
また、代替的な非静脈内経路の投与、例えば皮下(sc)投与は治療の容易さを向上させ、かつ、血症第VIII因子レベルをより一定レベルに維持することにより血栓症および出血の潜在的リスクを減少させうるであろう。皮下運搬の1つの課題は、投与された第VIII因子のバイオアベイラビリティを向上させることである。増強した活性を有する第VIII因子ペプチドは、バイオアベイラビリティを向上させるのに有用である可能性があり、したがって、第VIII因子の皮下運搬において有用でありうるであろう。そのような第VIII因子ペプチドは、より高いその比活性ゆえに、該薬物の活性濃度がより高いため、投与に必要な体積の低減を可能にしうるであろう。注射体積の低減は患者の不快感を軽減しうるであろう。更に、体積の低減は商品のコストの削減にもつながるであろう。最後に、増強した活性の第VIII因子分子はまた、投与が活性によるものではなく質量によるものである場合には、補因子活性の持続時間を延長させることにより、野生型第VIII因子の場合を上回る追加的な防御をもたらしうるであろう。例えば、等しい質量の投与の場合、2倍の比活性増強を有する増強した活性のFVIII変異体は0.5%のレベルで、野生型FVIIIにより1%レベルでもたらされる防御と同じ防御をもたらして、第VIII因子の投与間隔を延長させるであろう。
現在の医学療法の1以上の欠点に対処するために多数の第VIII因子変異体が製造されている。例えば、米国特許第8,338,571号(2008年7月25日付け出願;2012年12月25日付け発行)は、第VIII因子および第VIIIa因子の両方の安定性の増強をもたらす1以上の突然変異を含む組換え第VIII因子を記載している。同様に、米国特許公開第2012/0190623号(2011年1月27日付け出願)は、不活性化に抵抗性である第VIII因子突然変異タンパク質、例えば、「APC切断部位Arg336およびIle562が突然変異している」突然変異タンパク質を記載している。米国特許公開第2011/0124565号(2006年4月10日付け出願)は、凝固因子、特にヒト第VIII因子、および改善された安定性を有するそれらの誘導体、例えば、FVIIIのA1およびA2ドメイン間のトロンビン切断を妨げると報告されている修飾を有する第VIII因子ペプチドをコードする修飾核酸配列に関するものである。他の研究は、例えば、ペプチドのペグ化を可能にする突然変異の導入ゆえに増加した循環半減期を有すると報告されている修飾第VIII因子ポリペプチド(Meiら,Blood 116:270−279(2010))、および活性FVIIIaヘテロ三量体のドメイン界面を構成するアミノ酸に対する突然変異ゆえに増強した安定性を有すると報告されている修飾第VIII因子ポリペプチド(Wakabayashiら,J.Thromb.Haemost.7:438−444(2009))を製造している。
前記理由により、改良された第VIII因子変異体、例えば、増強した活性を有する変異体ならびに/または頻繁におよび/もしくは高い用量で投与される必要がない変異体が必要とされている。更に、そのようなタンパク質は一貫した様態で均一な産物として製造されることが望ましい。
簡潔な概要
1つの実施形態においては、本開示は、機能的第VIII因子である第VIII因子ポリペプチドの変異体に関するものであり、該第VIII因子ポリペプチドはアミノ酸370−375位のトロンビン切断部位およびアミノ酸558−565位の活性化ループを含み、ここで、これらのアミノ酸位置番号は配列番号1に記載のアミノ酸配列に基づくものであり、該変異体は該トロンビン切断部位内の1以上の残基におけるアミノ酸置換および該活性化ループ内の1以上の残基におけるアミノ酸置換を含む。
ある例においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドのトロンビン切断部位内の置換はアミノ酸372位の置換を含まない。他の例においては、該トロンビン切断部位内の置換は370、371または374位の1以上における置換を含み、他の例においては、該トロンビン切断部位内の置換は370、371または374位の2以上における置換を含む。
更なる例においては、該活性化ループ内の置換は559、562および565位の1以上における置換を含み、他の例においては、該活性化ループ内の置換は559、562および565位の2以上における置換を含む。
他の例においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドは更に、アミノ酸残基E272およびD519を含むA1−A2ドメイン界面ならびにアミノ酸残基E665およびE1984を含むA2−A3ドメイン界面を含み、ここで、これらのアミノ酸位置は配列番号1に記載のアミノ酸配列に基づくものであり、該変異体は更に、A1−A2ドメイン界面のアミノ酸残基の1以上における置換ならびにA2−A3ドメイン界面のアミノ酸残基の1以上における置換を含む。追加的な例においては、A1−A2ドメイン界面の置換は、E272A、E272V、D519AおよびD519Vからなる群から選択される1以上の置換を含む。他の例においては、A2−A3ドメイン界面の置換は、E665A、E665V、E1984AおよびE1984Vからなる群から選択される1以上の置換を含む。更に他の例においては、A1−A2ドメイン界面の置換はD519Vを含み、A2−A3ドメイン界面の置換はE665Vを含む。
特定の例においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドは370、371および374位の1以上におけるアミノ酸置換ならびに559、562および565位の1以上におけるアミノ酸置換を含む。他の例においては、該変異体は370、371および374位の2以上におけるアミノ酸置換ならびに559、562および565位の2以上におけるアミノ酸置換を含む。更に他の例においては、該変異体は、Q370M、I371P、V374F、V559L、R562W、R562F、R562KおよびQ565Eからなる群から選択される。追加的な例においては、該変異体は、(i)Q370MおよびI371P、ならびに(ii)I371PおよびV374Fからなる群から選択されるトロンビン切断部位内のアミノ酸置換を含む。他の例においては、該変異体は、(i)V559LおよびR562F、(ii)V559LおよびR562W、(iii)V559LおよびQ565E、(iv)V559L、R562WおよびQ565E、ならびに(v)V559L、R562FおよびQ565Eからなる群から選択される活性化ループ内のアミノ酸置換を含む。
ある特定の例においては、該変異体はアミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを含む。他の特定の例においては、該変異体はアミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562W、Q565E、D519VおよびE665Vを含む。更に他の例においては、該変異体はアミノ酸336位におけるアミノ酸置換を更に含む。ある例においては、アミノ酸336位におけるアミノ酸置換はR336I置換を含む。
ある例においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドは、配列番号1、2または3の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。他の例においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドは配列番号53のアミノ酸配列を含む。
ある例においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドは、未修飾第VIII因子ポリペプチドと比較して増加した比活性を有する。
追加的な実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されている変異体第VIII因子ポリペプチドと医薬上許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
もう1つの実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されている変異体第VIII因子ポリペプチドをコードする単離された核酸に関する。
もう1つの実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されている変異体第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターに関する。ある例においては、該ベクターは発現ベクターである。
更にもう1つの実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されている単離された核酸またはベクターを含む組換え宿主に関する。
もう1つの実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されている組換え宿主細胞を変異体第VIII因子ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、該変異体を単離することを含む、変異体第VIII因子ポリペプチドの製造方法に関する。
更にもう1つの実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されている変異体第VIII因子ポリペプチドまたは医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、出血障害の予防または治療方法に関する。ある例においては、該出血障害は慢性出血障害である。他の例においては、該出血障害は急性出血エピソードである。
図1は、野生型第VIII因子に対する活性倍数として示された、種々の第VIII因子ポリペプチドおよび変異体のaPTT比活性を示す。記号は以下の意味を有する:「A」は、該ポリペプチドがトロンビン切断部位内にI371PおよびV374Fのアミノ酸置換を有していたことを示す;「B」は、該ポリペプチドが活性化部位内にV559L、R562WおよびQ565Eのアミノ酸置換を有していたことを示す;「C」は、該ポリペプチドがD519VおよびE665Vのアミノ酸置換を有していたことを示す。全てのアミノ酸位置の表示は野生型(wt)FVIII(配列番号1)における位置番号に基づくものである。 図2は、発色性アッセイにより測定された場合の、野生型第VIII因子に対する活性倍数として示された、種々の第VIII因子ポリペプチドおよび変異体の比活性を示す。記号は図1の場合と同じ意味を有する。 図3は、FVIII−BDD(配列番号3)、D519VE665V−FVIII(配列番号5)およびVar97(アミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを有するD519VE665V−FVIIIの変異体)(配列番号53)に関するトロンビン産生プロファイルを示す。 図4は、一定量のピークトロンビンを惹起するのに必要な種々の第VIII因子ポリペプチドおよび変異体の濃度を示すデータを示す。調べた第VIII因子ポリペプチドはFVIII−BDD(配列番号3)、D519VE665V−FVIII(配列番号5)(D519VおよびE665Vのアミノ酸置換を有する修飾FVIII−BDD)およびVar97(アミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを有するD519VE665V−FVIIIの変異体)(配列番号53)である。 図5はFVIII−BDD(配列番号3)、D519VE665V−FVIII(配列番号5)およびVar97(追加的アミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを有するD519VE665V−FVIIIの変異体)(配列番号53)に関する血餅形成速度の動力学的プロファイルを示す。血餅形成の最大速度を達成するのに必要な時間において、BDDおよびD519VE665Vより約10倍大きなVar97の活性が明らかである。 図6はFVIII−BDD(配列番号3)、D519VE665V−FVIII(配列番号5)およびVar97(追加的アミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを有するD519VE665V−FVIIIの変異体)(配列番号53)に関する結合アフィニティの結果を示す。 図7は、正常血漿、FVIII欠乏血漿またはFVIII変異体FVIII−BDD、D519VE665V−FVIII、Var97もしくはVar97−R336Iの1つの50mU/mL(5%)を含有するFVIII欠乏血漿を使用した場合の血餅形成に関する濁度プロファイル(吸光度単位対時間)を示す。 図8は、FVIII−BDD(灰色の円)またはVar97(黒色の三角形)の、質量(左パネル)または単位(右パネル)により測定された種々の投与量の投与の後の血管損傷後のHemAマウスの24時間生存率(%)のプロットを示す。 図9は過剰なFIXaの存在下(+)または非存在下(−)のFXase反応からの変異体第VIII因子ポリペプチドのSDS−PAGEゲルのイメージを示す。調べたFVIIIポリペプチドはFVIII−BDD(レーン2および3)、D519VE665V−FVIII(レーン4および5)、Var97(レーン6および7)またはVar97−R336I(レーン8および9)であり、質量マーカーがレーン1に示されている。 図10は、FVIII−BDD(配列番号3)、D519VE665V−FVIII(配列番号5)、Var97(配列番号53)およびVar97−R336I(配列番号55)に関するトロンビン産生プロファイルを示す。 図11は、一定量のピークトロンビンを惹起するのに必要な種々の第VIII因子ポリペプチドおよび変異体の濃度を示すデータを示す。調べた第VIII因子ポリペプチドはFVIII−BDD(配列番号3)、D519VE665V−FVIII(配列番号5)、Var97(配列番号53)およびVar97−R336I(配列番号55)である。
配列の簡潔な説明
配列番号1は野生型ヒト第VIII因子ポリペプチド配列を含む。このポリペプチドは、一般に、本明細書においては「野生型第VIII因子」、「wt−FVIII」または単に「第VIII因子」もしくは「FVIII」と称される。
配列番号2は、配列番号1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号3は、Bドメイン内に欠失を有する、配列番号1のwt−FVIIIポリペプチド配列の修飾形態を含む。これはBドメインのほぼ完全な欠失体であり、Bドメインの14アミノ酸のみが残存している。このポリペプチドは、一般に、本明細書においては「Bドメイン欠失第VIII因子」、「第VIII因子BDD」または「FVIII−BDD」と称される。
配列番号4は、配列番号3のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号5は、2つのアミノ酸置換:D519VおよびE665Vを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの修飾形態を含む。このポリペプチドは、一般に、本明細書においては「D519VE665V第VIII因子」または「D519VE665V−FVIII」と称される。
配列番号6は、配列番号5のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号7は、アミノ酸置換:Q370MおよびI371Pを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号8は、配列番号7のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号9は、アミノ酸置換:Q370MおよびI371Pを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号10は、配列番号9のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号11は、追加的アミノ酸置換:Q370MおよびI371Pを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号12は、配列番号11のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号13は、アミノ酸置換:I371PおよびV374Fを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号14は、配列番号13のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号15は、アミノ酸置換:I371PおよびV374Fを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号16は、配列番号15のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号17は、追加的アミノ酸置換:I371PおよびV374Fを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号18は、配列番号17のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号19は、アミノ酸置換:V559LおよびR562Fを含有する、配列番号1のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号20は、配列番号19のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号21は、アミノ酸置換:V559LおよびR562Fを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号22は、配列番号21のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号23は、追加的アミノ酸置換:V559LおよびR562Fを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号24は、配列番号23のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号25は、アミノ酸置換:V559LおよびR562Wを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号26は、配列番号25のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号27は、アミノ酸置換:V559LおよびR562Wを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号28は、配列番号27のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号29は、追加的アミノ酸置換:V559LおよびR562Wを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号30は、配列番号29のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号31は、アミノ酸置換:V559LおよびQ565Eを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号32は、配列番号31のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号33は、アミノ酸置換:V559LおよびQ565Eを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号34は、配列番号33のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号35は、追加的アミノ酸置換:V559LおよびQ565Eを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号36は、配列番号35のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号37は、アミノ酸置換:V559L、R562WおよびQ565Eを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号38は、配列番号37のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号39は、アミノ酸置換:V559L、R562WおよびQ565Eを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号40は、配列番号39のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号41は、追加的アミノ酸置換:V559L、R562WおよびQ565Eを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号42は、配列番号41のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号43は、アミノ酸置換:V559L、R562FおよびQ565Eを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号44は、配列番号43のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号45は、アミノ酸置換:V559L、R562FおよびQ565Eを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号46は、配列番号45のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号47は、追加的アミノ酸置換:V559L、R562FおよびQ565Eを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号48は、配列番号47のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号49は、アミノ酸置換:I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを含有する、配列番号1のwt−FVIIIの変異体である。
配列番号50は、配列番号49のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号51は、アミノ酸置換:I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを含有する、配列番号3のFVIII−BDDの変異体である。
配列番号52は、配列番号51のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号53は、追加的アミノ酸置換:I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号54は、配列番号53のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号55は、追加的アミノ酸置換:I371P、V374F、V559L、R562W、Q565EおよびR336Iを含有する、配列番号5のD519VE665V−FVIIIの変異体である。
配列番号56は、配列番号55のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本開示は、もちろん変動しうる特定の実施形態に限定されないと理解されるべきである。本明細書中で用いる用語は、専ら特定の実施形態を説明することを目的としたものであり、限定的であるとは意図されないとも理解されるべきである。特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、一般に、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。一般に、本明細書中で用いる命名法ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションにおける手法は、当技術分野でよく知られており一般に用いられているものである。核酸およびペプチドの合成のための標準的な技術が用いられる。本明細書中で用いる命名法および後記の実験手法は、当技術分野でよく知られており一般に用いられているものである。遺伝子工学のために用いられる手法はよく知られており、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.)において見出されうる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる単数形の用語は、内容と明らかに矛盾しない限り、例えば、複数形対象物を含む。したがって、例えば、「ポリペプチド」に対する言及は複数のポリペプチドをも含む。また、本明細書中で用いる「含む」なる語は、成分または工程の非網羅的な列挙を示すと意図され、したがって、与えられた組成物または方法が、挙げられている成分または工程を含み、具体的に挙げられていない追加的な成分または工程をも含みうることを示す。一例としては、「ポリペプチドを含む」組成物は追加的な成分またはポリペプチドをも含みうる。「含む」なる語は、挙げられている成分または工程「から実質的になる」および「からなる」実施形態を含むとも意図される。同様に、「から実質的になる」なる語は、挙げられている成分または工程「からなる」実施形態を含むとも意図される。
本明細書中に挙げられている数的範囲は、該範囲を定める数字(エンドポイントの数字)を含み、各整数または任意の非整数の分数を含むとも意図される。
個々の実施形態の説明および特許請求においては、以下の定義に従い以下の用語を用いる。
本明細書中で用いる「Bドメイン欠失第VIII因子」または「FVIII−BDD」は、Bドメインの少なくとも何らかの部分の欠失を含有する第VIII因子ポリペプチドを意味する。本明細書に記載されている具体例においては、FVIII−BDDは、特に、第VIII因子のBドメインの14アミノ酸を除く全ての欠失体を意味し(Lindら,Eur.J.Biochem.232:19−27(1995))、そのポリペプチド配列は配列番号3に記載されており、これは配列番号4のヌクレオチド配列によりコードされる。しかし、本明細書における具体例においてはこの特定のFVIII−BDD配列を使用したが、配列番号3と比較した場合の修飾(Bドメイン欠失における相違を含む)を有する第VIII因子ポリペプチドも使用されうると理解されるべきである。例えば、Bドメインの14アミノ酸より多い又は少ない残存アミノ酸を有する第VIII因子ポリペプチドも、第VIII因子凝血促進活性が保持されている場合には、幾つかの実施形態において有用でありうるであろう。
本明細書中で用いる「第VIII因子」または「FVIII」は、肝臓により合成され血流中へ放出される糖タンパク質である血液凝固因子を意味する。その未熟形態においては、FVIIIはシグナル配列を含有し、これは翻訳過程中にタンパク質分解切断される。その19アミノ酸シグナル配列の除去の後、第VIII因子ポリペプチドはその成熟形態となり、それにおいては、分泌FVIII産物の最初のアミノ酸はアラニンである。第VIII因子のこの成熟形態は本明細書中では「成熟第VIII因子」と称される。成熟野生型ヒトFVIIIは配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するが、配列番号3および5に記載のもののような修飾形態に加えて、対立遺伝子変異体が考えられうる。
本明細書中で用いる「機能的第VIII因子ポリペプチド」は、例えば血友病Aにより特徴づけられるヒト第VIII因子欠乏症をインビボまたはインビトロで矯正しうるポリペプチドまたはポリペプチドの組合せを示す。第VIII因子は天然状態において複数の分解またはプロセシング形態を有する。これらは、本明細書に記載されているとおり、一本鎖タンパク質である前駆体からタンパク質分解により誘導される。機能的第VIII因子ポリペプチドはそのような一本鎖タンパク質を含み、ヒト第VIII因子欠乏症を矯正する生物活性を有するこれらの種々の分解産物を与える。対立遺伝子変異が存在する可能性がある。機能的第VIII因子ポリペプチドは、第VIII因子の誘導体を与える全てのそのような対立遺伝子変異体、グリコシル化形態、修飾体および断片を含み、ただし、それらは第VIII因子の機能的セグメントを含有し、必須の特徴的な第VIII因子機能的活性が実質的に尚も損なわれていないことが要求される。必要な機能的活性を有する第VIII因子の誘導体は、本明細書に記載されている直接的なインビトロ試験により、容易に特定されうる。更に、機能的第VIII因子ポリペプチドは、第IXa因子、カルシウムおよびリン脂質の存在下、第X因子から第Xa因子への変換を触媒し、血友病A罹患個体に由来する血漿における凝固欠損を矯正しうる。本明細書におけるヒト第VIII因子アミノ酸配列および機能的領域の配列の開示から、そのDNAの制限酵素切断またはヒト第VIII因子タンパク質のタンパク質分解もしくは他の分解により誘導されうる断片が当業者に明らかであろう。
本明細書中で用いる「トロンビン切断部位」は、トロンビンに対する標的切断部位である第VIII因子ペプチド鎖の部分を意味する。ある実施形態においては、トロンビン切断部位は第VIII因子ポリペプチドのa1−A2接合部またはその近傍に位置する。他の実施形態においては、トロンビン切断部位は成熟野生型ヒト第VIII因子ペプチド(配列番号1)のアミノ酸残基370−375に位置する。他の実施形態においては、トロンビン切断部位は、相同第VIII因子ポリペプチド、例えば対立遺伝子変異体または修飾ポリペプチドにおける相同部位でありうる。
本明細書中で用いる「活性化ループ」は、第IXa因子と相互作用する第VIII因子ペプチド鎖のA2サブユニットの部分を意味する。ある実施形態においては、活性化ループは成熟野生型ヒト第VIII因子ペプチド(配列番号1)のアミノ酸残基558−565に位置する。他の実施形態においては、活性化ループは、相同第VIII因子ポリペプチド、例えば対立遺伝子変異体または修飾ポリペプチドにおける相同部位でありうる。
本明細書において用いる「ドメイン界面」は、第VIIIa因子ヘテロ三量体のその他のサブユニットと相互作用する第VIIIa因子ヘテロ三量体のそれぞれのサブユニット上の領域または残基を意味する。したがって、「A1−A2ドメイン界面」は、その他のサブユニットにおける対応領域または残基と相互作用するA1およびA2サブユニットのそれぞれにおける領域または残基を意味する。同様に、「A2−A3ドメイン界面」は、その他のサブユニットにおける対応領域または残基と相互作用するA2およびA3サブユニットのそれぞれにおける領域または残基を意味する。ある例においては、A1−A2ドメイン界面は残基E272およびD519(配列番号1の野生型第VIII因子配列に基づく)を含む。他の例においては、A2−A3ドメイン界面は残基E665およびE1984(配列番号1の野生型第VIII因子配列に基づく)を含む。
本明細書中で用いる「第IX因子」または「FIX」は凝固第IX因子を意味し、これはヒト凝固第IX因子または血漿トロンボプラスチン成分としても公知である。
本明細書中で用いる「第X因子」または「FX」は凝固第X因子を意味し、これはヒト凝固第X因子なる名称またはスチュアート−プロワー因子なるエポニムとしても公知である。
「薬物動態」または「PK」は、体内における薬物の吸収、分布、代謝および消失の特性を示すために本明細書において用いられる。薬物の薬物動態の改善は、治療用物質としてインビボにおいて薬物をより有効にする特性、特に体内におけるその有用な持続時間の改善を意味する。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる語は一般に本明細書中で互換的に用いられ、それらは、アミド結合により互いに連結されたアミノ酸を単量体とする重合体を意味する。また、非天然アミノ酸、例えばβ−アラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニンも含まれる。遺伝子によりコードされないアミノ酸も、本明細書に開示されている技術で使用されうる。更に、反応性基、グリコシル化部位、重合体、治療用部分、生体分子などを含むように修飾されたアミノ酸も使用されうる。本明細書中で使用されるアミノ酸の全てはDまたはL異性体でありうる。L異性体が一般に好ましい。本明細書中で用いる「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」はグリコシル化形態および非グリコシル化形態の両方を意味する。
「アミノ酸」なる語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸に類似した様態で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を意味する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によりコードされるもの、および後に修飾されたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタマートおよびO−ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素に結合しているα炭素、カルボキシル基、アミノ基およびR基を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを意味する。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチドバックボーンを有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保有する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸に類似した様態で機能する化合物を意味する。
「変異体」および「突然変異タンパク質」は本明細書中で互換的に用いられ、それらはそれぞれ、ヌクレオチドまたはポリペプチド配列に対する実験誘発変化の結果として生じる遺伝的に操作されたポリペプチドまたはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を意味する。アミノ酸の表示においては、当技術分野でよく知られている標準的な1文字または3文字アミノ酸記号がアミノ酸の完全名称の代わりに用いられうる。また、1文字アミノ酸記号およびそれに続く数字が、出発配列における特定の位置における特定のアミノ酸を示すために用いられうる。例えば、「V374」はwt−FVIII配列(配列番号1)のアミノ酸374位のバリンを示すであろう。更に、置換アミノ酸の1文字記号が、施された特定のアミノ酸置換を示すために、位置番号の後に含まれうる。例えば、「V374F」は、374位のバリンがフェニルアラニン残基により置換されたことを示すであろう。本明細書中で用いる「置換」は1つのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されたことを意味し、明示的に特記されていない限り、欠失または付加を含まない。
特定の例の表示が代わりに具体的に示されていない限り、本明細書に開示されているアミノ酸位置は全て、当技術分野で通常に行われているとおり、配列番号1に記載されている成熟野生型第VIII因子ペプチドのアミノ酸配列における対応位置に基づくものであることにも注目されるべきである。
本開示の変異体ポリペプチドはトロンビン切断部位および活性化ループの一方または両方における1以上のアミノ酸置換を含む。ある例においては、該変異体ポリペプチドは、1)配列番号1のアミノ酸370−375位により表されるトロンビン切断部位と、2)配列番号1のアミノ酸558−565位により表される活性化ループとのうちの一方または両方における1以上のアミノ酸置換を含む。残基370−375におけるトロンビン切断部位に関しては、切断は、典型的に、R372残基の直後で生じ、したがって、この残基はこの部位における適切な切断のために重要である。したがって、ある実施形態においては、該変異体ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸370−375位により表されるトロンビン切断部位における1以上のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は372位には存在しない。ある実施形態においては、該アミノ酸置換は(配列番号1のwt−FVIII配列に基づく位置番号を有する)出発配列における以下の位置の1以上における置換でありうる:Q370、I371、S373、V374、A375、S558、V559、D560、Q561、R562、G563、N564およびQ565。ある他の実施形態においては、それらの位置の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13個において置換が存在しうる。追加的な実施形態においては、該変異体は、トロンビン切断部位(370−375)および活性化ループ(558−565)のそれぞれにおいて少なくとも1つの置換を含みうる。ある例においては、該変異体はQ370、I371、S373、V374およびA375の少なくとも1つの置換と、S558、V559、D560、Q561、R562、G563、N564およびQ565の少なくとも1つの置換とを含みうる。他の実施形態においては、該変異体は、トロンビン切断部位(370−375)または活性化ループ(558−565)のいずれかにおける2以上の置換、例えば2、3、4、5、6、7または8個の置換を含みうる。特定の例においては、該変異体はトロンビン切断部位(370−375)内の2つの置換と活性化ループ(558−565)内の2つの置換とを含む。他の例においては、該変異体はトロンビン切断部位(370−375)内の2つの置換と活性化ループ(558−565)内の3つの置換とを含む。特定の例においては、トロンビン切断部位内の置換はQ370M、I371P、V374F、Q370M/I371PまたはI371P/V374Fである。他の例においては、活性化ループ内の置換はV559L、R562W、R562F、R562K、Q565E、V559L/R562F、V559L/R562W、V559L/Q565E、V559L/R562W/Q565EまたはV559L/R562F/Q565Eである。
更なる例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドは更に、A1−A2およびA2−A3ドメイン界面のそれぞれにおけるアミノ酸残基に対する1以上の置換を含む。特定の例においては、A1−A2ドメイン界面内の置換は残基E272およびD519(配列番号1の野生型第VIII因子配列に基づく)の一方または両方の置換を含む。ある実施形態においては、これらの置換はE272およびD519における荷電アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)残基の一方または両方を疎水性残基、特にアラニン、ロイシン、プロリン、メチオニン、グリシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニンまたはトリプトファンのような疎水性残基で置換する。ある例においては、A1−A2ドメイン界面内の1以上の置換は、E272A、E272V、D519AおよびD519Vからなる群から選択される。追加的な例においては、A2−A3ドメイン界面内の置換は残基E665およびE1984(配列番号1の野生型第VIII因子配列に基づく)の一方または両方の置換を含む。ある実施形態においては、これらの置換はE665およびE1984における荷電グルタミン酸(E)残基の一方または両方を疎水性残基、特にアラニン、ロイシン、プロリン、メチオニン、グリシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニンまたはトリプトファンのような疎水性残基で置換する。更に詳細な例においては、A2−A3ドメイン界面内の1以上の置換は、E665A、E665V、E1984AおよびE1984Vからなる群から選択される。ある例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドはD519A/E665A置換、D519A/E665V置換、D519V/E665A置換、またはD519V/E665V置換を含む。
ある例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドの製造は、第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸配列の部位特異的突然変異誘発を含む。ヌクレオチド配列のそのような部位特異的突然変異は当技術分野で公知のいずれかの方法により施されることが可能であり、当業者であれば、目下の具体的な用途のために用いるべき適当な突然変異誘発技術を容易に決定することが可能であろう。ある例においては、商業的に入手可能な部位特異的突然変異誘発キット、例えばStratagene QuickChangeTM II部位特異的突然変異誘発キット、Clontech Transformer部位特異的突然変異誘発キット番号K1600−1、Invitrogen GenTaylor部位特異的突然変異誘発系番号12397014、Promega Altered Sites IIインビトロ突然変異誘発系キット番号Q6210またはTakara Mirus Bio LA PCR突然変異誘発キット番号TAK RR016を使用して、突然変異誘発が達成される。
ある実施形態においては、変異体第VIII因子ポリペプチドは、少なくとも1つの活性アッセイにおいて、出発第VIII因子ポリペプチドと比較して増強した活性を有する。第VIII因子活性を試験するためのいずれかの適当なアッセイが本開示の変異体ポリペプチドで使用可能であり、そのようなアッセイは当技術分野でよく知られている。そのような活性アッセイには、aPTT;FXase複合体の個々の成分から又はキットとして構築される、FVIIIに関する発色性または発蛍光性基質アッセイ;トロンビン産生アッセイまたは試験(TGAまたはTGT)、または較正自動トロンボグラフィー(calibrated automated thrombography)(CAT);およびローテーショナル・トロンボエラストメトリー(rotational thromboelastometry)(ROTEM)またはローテーショナル・トロンボエラストグラフィー(ROTEG)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
aPTTは、所定のサンプル濁度または粘度を得るのに必要な時間(凝固時間またはCT)として凝固を検出する、1段階の、またはそれほど一般的ではないが2段階のアッセイを意味する。aPTTは血漿ベースアッセイであるため、それは、血漿における潜在的な第VIII因子活性および機能をアッセイするために使用されている。典型的な1段階aPTTにおいては、FVIIIを含有する血漿サンプルを負荷電表面または粒子およびCa2+と共にインキュベートして、凝固を開始させる。1段階アッセイにおいては、FXIa、FVIIIa、FXa、トロンビンおよびフィブリン生成が1つの反応において生じる。2段階アッセイにおいては、FXIa、FVIIIaおよびFXa生成が第1段階で生じ、トロンビンおよびフィブリン生成は第2段階で生じる。FVIII特異的因子アッセイの場合と同様に、該アッセイをFVIII定量に特異的にするために、1段階および2段階aPTTの修飾が可能でありうる。
発色性基質アッセイ(クロモアッセイ)は、FXase複合体(FIXa、PL、Ca+2およびFX)の状況でのFVIII機能を評価するように設計された2段階アッセイである。このアッセイにおいては、FVIIIaは完全に活性化され、FIXaおよびPLは過剰に存在し、これは、生理的に典型的には生じない状況である。このアッセイにおいては、FVIIIaを、精製された又は比較的精製されたFXase複合体成分と組合せて、第1段階でFXaを産生させる。第2段階においては、生じたFXaのレベルを、FXaにより切断された際に発色する基質により定量する。発色アッセイの変法は発蛍光性基質での発色性基質の置換を含み、蛍光発光が検出される(発蛍光アッセイ)。
FVIII凝血促進機能のもう1つのアッセイであるTGAは、FVIIIを含有する血漿を、リン脂質(PL)(40:40:20,v/v/vのホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミン)の存在下、生理的開始因子、例えば組織因子(TF)またはFXIaで活性化させて活性化血小板の膜表面を刺激することにより行われる。トロンビンに対する発色性基質およびCa2+をサンプルに加えると、トロンビン産生(および凝固)が開始する。CATにおいては、ついで、一定レベルのトロンビンを含有する並行サンプルにおける蛍光変化の速度をモニタリングすることにより、経時的な蛍光変化をトロンビン濃度に関連づける。トロンビン産生プロファイルにおける動力学的変化を示すパラメータは応答の開始前の時間(遅れ)および達成された最高トロンビン(ピーク)を含みうる。
ROTEM/ROTEGはTGAに類似しているが、この場合、トロンビン産生ではなく凝固に伴う粘性の発生をモニタリングする。この場合もまた、Ca2+またはTF−PL混合物により、FVIIIを含有する血漿において凝固を開始させる。粘性における動力学的変化を示すパラメータは凝血開始時間(CT)および粘度変化の速度(α角)を含みうる。
ある例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドの活性は1以上のアッセイにより試験されるであろう。これらのFVIII変異体に対する作用メカニズムにおける変化ゆえに、そしてFVIII機能の特異的態様を検出するアッセイの能力における相違ゆえに、あるアッセイのみが第VIII因子活性における顕著な増強を検出することに注目されたい。したがって、ある例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドは1つのアッセイにおいてはwt−FVIIIと比較しうる活性を有しうるが、別のアッセイにおいては、増強した活性を有しうる。例えば、該変異体は、発色性アッセイにおいてはwt−FVIIIの活性と比較しうる活性を有しうるが、aPTTアッセイまたはトロンビン産生アッセイを用いて試験された場合には、増強した活性を有しうる。これは、例えば、変異体が触媒活性の増強を示すがタンパク質分解にもより感受性である場合に生じうる。幾つかの変異体の場合、増強した活性に最も感受性であるアッセイは発色性アッセイではなく1段階aPTTおよびTGAでありうる。凝固タンパク質のアッセイ性能におけるそのような矛盾は珍しいことではなく、特に、突然変異が、特異的機能に影響を及ぼすドメイン内に存在し、それ以外には存在しない場合に、それが言える(Leongら,Biochemistry 31:2567(1992);Stoneら,Biochemistry 30:6392(1991);HenriksenおよびMann,Biochemistry 28:2078(1989))。これらの結果は、これらの変異体が、活性化するのがより容易である、すなわち、FVIIIからFVIIIaへの変換が加速されるという利点を有しうることを示唆している可能性があり、したがって、そのような利点はトロンビン産生の向上につながりうるであろう。
ある例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドは出発第VIII因子ポリペプチド、wt−FVIII、FVIII−BDDまたはD519VE665E−FVIIIの活性より高い活性を有する。これらの活性は、比較しうる条件下、ポリペプチド産物を使用して測定される(例えば、比較しうる条件下の同じタイプの細胞系における該変異体および出発ポリペプチドの組換え発現)。ある実施形態においては、該活性は、少なくとも1つのアッセイにおいて、出発第VIII因子ポリペプチド、wt−FVIII、FVIII−BDDまたはD519VE665E−FVIIIの活性と比較して少なくとも1.1倍増加する。他の実施形態においては、該活性は、少なくとも1つのアッセイにおいて、出発第VIII因子ポリペプチド、wt−FVIII、FVIII−BDDまたはD519VE665E−FVIIIの活性と比較して少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、7.5倍、8.0倍、8.5倍、9.0倍、9.5倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、41倍、42倍、43倍、44倍、45倍、46倍、47倍、48倍、49倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、310倍、320倍、330倍、340倍、350倍、360倍、370倍、380倍、390倍、400倍、450倍、500倍以上増加する。
更に他の実施形態においては、該活性は、少なくとも1つのアッセイにおいて、出発第VIII因子ポリペプチド、wt−FVIII、FVIII−BDDまたはD519VE665E−FVIIIの活性と比較して約1.2〜10倍、1.2〜12倍、1.2〜14倍、1.2〜16倍、1.2〜18倍、1.2〜20倍、1.2〜30倍、1.2〜40倍、1.2〜50倍、1.2〜60倍、1.2〜70倍、1.2〜80倍、1.2〜90倍、1.2〜100倍、1.3〜10倍、1.3〜12倍、1.3〜14倍、1.3〜16倍、1.3〜18倍、1.3〜20倍、1.3〜30倍、1.3〜40倍、1.3〜50倍、1.3〜60倍、1.3〜70倍、1.3〜80倍、1.3〜90倍、1.3〜100倍、1.4〜10倍、1.4〜12倍、1.4〜14倍、1.4〜16倍、1.4〜18倍、1.4〜20倍、1.4〜30倍、1.4〜40倍、1.4〜50倍、1.4〜60倍、1.4〜70倍、1.4〜80倍、1.4〜90倍、1.4〜100倍、1.5〜10倍、1.5〜12倍、1.5〜14倍、1.5〜16倍、1.5〜18倍、1.5〜20倍、1.5〜30倍、1.5〜40倍、1.5〜50倍、1.5〜60倍、1.5〜70倍、1.5〜80倍、1.5〜90倍、1.5〜100倍、1.6〜10倍、1.6〜12倍、1.6〜14倍、1.6〜16倍、1.6〜18倍、1.6〜20倍、1.6〜30倍、1.6〜40倍、1.6〜50倍、1.6〜60倍、1.6〜70倍、1.6〜80倍、1.6〜90倍、1.6〜100倍、1.8〜10倍、1.8〜12倍、1.8〜14倍、1.8〜16倍、1.8〜18倍、1.8〜20倍、1.8〜30倍、1.8〜40倍、1.8〜50倍、1.8〜60倍、1.8〜70倍、1.8〜80倍、1.8〜90倍、1.8〜100倍、2〜10倍、2〜12倍、2〜14倍、2〜16倍、2〜18倍、2〜20倍、2〜30倍、2〜40倍、2〜50倍、2〜60倍、2〜70倍、22〜80倍、2〜90倍、2〜100倍、4〜10倍、4〜12倍、4〜14倍、4〜16倍、4〜18倍、4〜20倍、4〜30倍、4〜40倍、4〜50倍、4〜60倍、4〜70倍、4〜80倍、4〜90倍、4〜100倍、5〜10倍、5〜12倍、5〜14倍、5〜16倍、5〜18倍、5〜20倍、5〜30倍、5〜40倍、5〜50倍、5〜60倍、5〜70倍、5〜80倍、5〜90倍、5〜100倍、6〜12倍、6〜14倍、6〜16倍、6〜18倍、6〜20倍、6〜30倍、6〜40倍、6〜50倍、6〜60倍、6〜70倍、6〜80倍、6〜90倍、6〜100倍、8〜16倍、8〜18倍、8〜20倍、8〜30倍、8〜40倍、8〜50倍、8〜60倍、8〜70倍、8〜80倍、8〜90倍、8〜100倍、10〜20倍、10〜30倍、10〜40倍、10〜50倍、10〜60倍、10〜70倍、10〜80倍、10〜90倍、10〜100倍、12〜20倍、12〜30倍、12〜40倍、12〜50倍、12〜60倍、12〜70倍、12〜80倍、12〜90倍、12〜100倍、15〜30倍、15〜40倍、15〜50倍、15〜60倍、5〜70倍、15〜80倍、15〜90倍、15〜100倍、20〜40倍、20〜50倍、20〜60倍、20〜70倍、20〜80倍、20〜90倍、20〜100倍、30〜40倍、30〜50倍、30〜60倍、30〜70倍、30〜80倍、30〜90倍、30〜100倍、40〜60倍、40〜70倍、40〜80倍、40〜90倍、40〜100倍、50〜80倍、50〜90倍、50〜100倍、60〜80倍、60〜90倍、60〜100倍、70〜100倍、70〜200倍、90〜100倍、90〜120倍、90〜140倍、100〜150倍、100〜160倍、100〜180倍、100〜200倍、100〜250倍、100〜300倍、100〜350倍、100〜400倍、100〜500倍、120〜150倍、120〜160倍、120〜180倍、120〜200倍、120〜250倍、120〜300倍、120〜350倍、120〜400倍、120〜500倍、150〜200倍、150〜250倍、150〜300倍、150〜350倍、150〜400倍、150〜500倍、200〜300倍、200〜400倍、200〜500倍、00〜400倍、300〜500倍または400〜500倍増加する。
本明細書に記載されている第VIII因子変異体は、出発ポリペプチドとしていずれかの機能的第VIII因子ポリペプチドを使用して設計されうる。ある実施形態においては、第VIII因子ポリペプチドはヒト第VIII因子ポリペプチドである。他の実施形態においては、第VIII因子ポリペプチドはヒトwt−FVIII(配列番号1)、FVIII−BDD(配列番号3)またはD519VE665E−FVIII(配列番号5)である。該出発ポリぺプチドは、野生型第VIII因子のアミノ酸配列と比較した場合の欠失、挿入および/または付加を有しうる。非限定的な例として、該出発ポリペプチドは、A2ドメインを更に安定化させる突然変異を有する第VIII因子突然変異タンパク質(例えば、WO 97/40145を参照されたい)、発現の増強をもたらす第VIII因子突然変異タンパク質(例えば、Swaroopら,JBC 272:24121−24124(1997)を参照されたい)、野生型と比較して免疫原性を低減する第VIII因子突然変異タンパク質(例えば、Lollar,Thromb.Haemost.82:505−508(1999)を参照されたい)、異なって発現された重鎖および軽鎖から再構成された第VIII因子(例えば、Ohら,Exp.Mol.Med.31:95−100(1999)を参照されたい)、あるいはHSPG(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)および/またはLRP(低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質)のような第VIII因子の異化を招く受容体への低減した結合性を有する第VIII因子突然変異タンパク質(例えば、Ananyevaら,TCM 11:251−257(2001)を参照されたい)を含みうる。ある例においては、第VIII因子ポリペプチドは追加的アミノ酸置換、例えば、R336またはその近傍における置換、例えば、R336I置換をも含有しうる。また、有用な出発ポリペプチドは、第VIII因子の機能性を尚も有するこれらの修飾形態、例えば、wt−FVIII(配列番号1)、FVIII−BDD(配列番号3)またはD519VE665E−FVIII(配列番号5)の配列に対して少なくとも約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。更に、本開示の変異体第VIII因子ポリペプチドは、wt−FVIII(配列番号1)、FVIII−BDD(配列番号3)またはD519VE665E−FVIII(配列番号5)の配列に対して少なくとも約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%の同一性を有し、本明細書に記載のアミノ酸置換の1以上をも含有する、あるいはもう1つの実施形態においてはトロンビン切断部位と活性化ループとの両方における1以上のアミノ酸置換を含有するいずれかの変異体ポリペプチドを含む。もう1つの実施形態においては、本開示の変異体第VIII因子ポリペプチドは、wt−FVIII(配列番号1)、FVIII−BDD(配列番号3)またはD519VE665E−FVIII(配列番号5)の配列に対して99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%を超える同一性を有し、本明細書に記載のアミノ酸置換の1以上をも含有する、あるいはもう1つの実施形態においてはトロンビン切断部位と活性化ループとの両方における1以上のアミノ酸置換を含有するいずれかの変異体ポリペプチドを含む。
もう1つの実施形態においては、本開示は、該変異体第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸配列に関する。1つの実施形態においては、該第VIII因子変異体は、wt−FVIII(配列番号2)、FVIII−BDD(配列番号4)またはD519VE665E−FVIII(配列番号6)のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%の同一性を有するヌクレオチド配列であって、本明細書に記載のアミノ酸改変の1以上を含有する、あるいはもう1つの実施形態においてはトロンビン切断部位と活性化ループとの両方における1以上のアミノ酸置換を含有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によりコードされる。もう1つの実施形態においては、該第VIII因子変異体は、wt−FVIII(配列番号2)、FVIII−BDD(配列番号4)またはD519VE665E−FVIII(配列番号6)のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%を超える同一性を有するヌクレオチド配列であって、本明細書に記載のアミノ酸改変の1以上を含有する、あるいはもう1つの実施形態においてはトロンビン切断部位と活性化ループとの両方における1以上のアミノ酸置換を含有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によりコードされる。
同一性(%)の値はアミノ酸または核酸配列領域の全体にわたって計算される。種々のアルゴリズムに基づく一連のプログラムが、種々の配列を比較するために当業者に利用可能である。少なくとも1つの実施形態においては、2つのアミノ酸配列間の同一性(%)は、遠縁関係のタンパク質にはBLOSUM 45またはPAM250スコアリングマトリックス、あるいは近縁関係のタンパク質にはBLOSUM 62またはPAM160スコアリングマトリックス、および16、14、12、10、8、6または4のギャップ・オープニング・ペナルティ、および0.5、1、2、3、4、5または6のギャップ伸長ペナルティを使用して、EMBOSSソフトウェアパッケージ(Riceら,“EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,”Trends in Genetics 16:276−277(2000))におけるニードル(needle)プログラムに組込まれているNeedlemanおよびWunschのアルゴリズム(Needleman J.Mol.Biol.48:444−453(1970))を使用して決定される。EMBOSSパッケージのローカルインストールおよびウェブサービスに対するリンクはemboss.sourceforge.net.において見出されうる。ニードル・プログラムを使用して2つのアミノ酸配列をアライメントするために使用されるべきパラメータの非限定的な例としては、EBLOSUM62スコアリングマトリックス、10のギャップ・オープニング・ペナルティおよび0.5のギャップ伸長ペナルティを含むデフォルトパラメータが挙げられる。更にもう1つの実施形態においては、2つのヌクレオチド配列間の同一性(%)は、EDNAFULLスコアリングマトリックスおよび16、14、12、10、8、6または4のギャップ・オープニング・ペナルティ、および0.5、1、2、3、4、5または6のギャップ伸長ペナルティを使用して、EMBOSSソフトウェアパッケージ(Riceら,“EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,”Trends in Genetics 16:276−277(2000))におけるニードル・プログラムを使用して決定される。ニードル・プログラムを使用して2つのアミノ酸配列をアライメントするために共に使用されるべきパラメータの非限定的な例としては、EDNAFULLスコアリングマトリックス、10のギャップ・オープニング・ペナルティおよび0.5のギャップ伸長ペナルティを含むデフォルトパラメータが挙げられる。該核酸およびタンパク質配列は更に、例えば他のファミリーメンバーまたは関連配列を特定するために公的データベースに対する検索を行うための「問合せ(クエリー)配列」として使用されうる。そのような検索は、Altschul(Altschulら,J.Mol.Biol.215:403−10(1990))のBLAST系のプログラム(バージョン2.2)を使用して行われうる。本開示の核酸配列を問合せ配列として使用するBLASTは、本開示の核酸配列によりコードされる配列に相同なヌクレオチド配列(BLASTn、tBLASTx)またはアミノ酸配列(BLASTx)を得るためにデフォルトパラメータを使用するBLASTn、BLASTxまたはtBLASTxプログラムで行われうる。本開示の核酸配列によりコードされるタンパク質配列を問合せ配列として使用するBLASTは、本開示の配列に相同なアミノ酸配列(BLASTp)または核酸配列(tBLASTn)を得るためにデフォルトパラメータを使用するBLASTpまたはtBLASTnプログラムで行われうる。比較目的でギャップ化アライメントを得るためには、デフォルトパラメータを使用するギャップ化(Gapped)BLASTが、Altschulら,Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997)に記載されているとおりに利用されうる。
ある実施形態においては、本開示のポリヌクレオチドは前記ヌクレオチド配列から実質的になる、または前記ヌクレオチド配列を含む。したがって、それらは他のヌクレオチド配列をも含有しうる。ある実施形態においては、該ポリヌクレオチドは、オープンリーディングフレームに加えて更に、コード遺伝子領域の3’および5’末端に非翻訳配列を含むことが可能であり、例えば、コード領域の5’末端の上流に少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500ヌクレオチドもしくはそれ以上の配列を、および/またはコード遺伝子領域の3’末端の下流に少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500ヌクレオチドもしくはそれ以上の配列を含みうる。更に、該ポリヌクレオチドは、検出可能なマーカーとして又は精製目的のための補助手段として役立ちうるいわゆる「タグ」を含むタンパク質をコードしうる。種々の目的のためのタグが当技術分野でよく知られており、例えば、FLAG−タグ、6−ヒスチジン−タグ、MYC−タグなどを包含する。1つの実施形態においては、該ポリヌクレオチドは更に、該ヌクレオチド配列に機能的に連結された発現制御配列を含む。
ある実施形態においては、変異体第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸配列を適当なベクター内に挿入する。種々の目的に有用な多数のベクターが当技術分野でよく知られており、当業者であれば、それらの所望の用途のための適当なベクターを容易に選択しうるであろう。ある例においては、該ベクターはクローニングベクターまたは発現ベクターでありうる。他の例においては、該ベクターはプラスミド、ウイルスベクター、コスミドまたは人工染色体でありうる。適当なベクターの例には、Tat/Tar−oriP発現ベクター、例えばpSS185(Choら,Biotechnol.Prog.19:229−232(2003))およびpSS207(Meiら,Mol.Biotech.34:165−178(2006))、ならびにpcDNA3.1、pCINeo、pEAK、pCEP4およびpUCOEベクターが含まれる。ある例においては、変異体第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸は、適当なプロモーターに隣接して及び/又は適当なプロモーターの制御下に配置されうる。種々の目的に有用な多数のプロモーターが当技術分野でよく知られており、当業者であれば、それらの所望の用途のための適当なプロモーターを容易に選択しうるであろう。ある例においては、該プロモーターは構成プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターでありうる。適当なプロモーターの例には、ヒトまたはマウスCMVプロモーター/エンハンサー、SV40プロモーター/エンハンサー、EIf1アルファプロモーター、MPSVプロモーターおよびSRアルファプロモーターが含まれる。
ある実施形態においては、変異体第VIII因子ポリペプチドは細胞、組織または生物において組換え製造される。ある実施形態においては、そのような組換え製造は、該変異体ポリペプチドをコードする核酸分子またはそのような核酸を含むベクターで宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることにより達成される。形質転換およびトランスフェクションの多数の方法は当技術分野でよく知られており、当業者であれば、それらの所望の用途のための適当な方法を容易に選択しうるであろう。適当な形質転換方法の例には、リポソーム媒介トランスフェクション(例えば、Invitrogenの293FectinTM)、リン酸カルシウムトランスフェクション、エレクトロポレーションおよびDEAE−デキストラントランスフェクションが含まれる。
そのような組換え製造はまた、いずれかの適当な宿主細胞、組織または生物を使用して達成されうる。適当な細胞、組織および生物が当技術分野でよく知られており、当業者であれば、所望の用途のための適当な宿主を容易に選択しうるであろう。幾つかの実施形態においては、宿主細胞は哺乳類である。適当な哺乳類細胞系としては、COS−1(ATCC CRL 1650)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系、例えばBHK21、HKB11(Choら,J.Biomed.Sci.9:631(2002))、HEK293(ATCC CRL−1573;Grahamら,J.Gen.Virol.36:59−72(1977))、HEK293T(ATCC CRL 11268;DSM ACC 2494)およびHEK293F(Invitrogen R79007)細胞が挙げられる。有用なBHK細胞系はtk31 ts13 BHK細胞系(WaechterおよびBaserga,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:1106−1110(1982)(これを参照により本明細書に組み入れることとする))(以下、BHK570細胞と称される)である。BHK570細胞系はAmerican Type Culture Collection,12301 Parklawn Dr.,Rockville,Md.20852にATCC受託番号CRL 10314として寄託されている。tk ts13 BHK細胞系もATCCから受託番号CRL 1632として入手可能である。また、Rat Hep I(ラット肝細胞癌;ATCC CRL 1600)、Rat Hep II(ラット肝細胞癌;ATCC CRL 1548)、TCMK(ATCC CCL 139)、ヒト肺(ATCC HB 8065)、NCTC 1469(ATCC CCL 9.1)、CHO(ATCC CCL 61)、CHO K1(ATCC CCI61)、DUKX細胞(UrlaubおよびChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220(1980))およびCHO−DG44細胞(Urlaubら,Cell 33:405−412(1983))を含む幾つかの他の細胞系が本開示において使用されうる。
もう1つの実施形態においては、本開示は第VIII因子変異体の医薬製剤、および第VIII因子変異体の治療的有効量と医薬上許容される賦形剤または担体とを含む医薬組成物に関する。医薬上許容される賦形剤または担体は、一般に、製剤の製剤化を補助するために又は製剤を安定化するために有効成分に加えられうる、有意な有害毒性作用を患者に引き起こさない物質を含む。多数の適当な賦形剤および担体が当技術分野でよく知られており、当業者であれば、個々の製剤または組成物に使用する適当な賦形剤または担体を容易に特定しうるであろう。適当な賦形剤または担体の例には、水、糖、例えばマルトースまたはスクロース;アルブミン;および塩が含まれる。適当な製剤の具体例には、米国特許第5,763,401号(1996年7月12日付け出願;1998年6月9日付け発行)(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている製剤が含まれる。
1つの実施形態においては、該医薬製剤/組成物は非経口投与用、例えば静脈内(iv)、皮下(sc)または筋肉内(im)投与用であり、投与は単一ボーラス用量、断続的投与または連続的静脈内注入としてのものでありうる。局所製剤も有用である。1つの実施形態においては、該医薬製剤は、使用時に還元(再構成)される凍結乾燥製剤中に、本明細書に記載されている単離された第VIII因子変異体を含み、あるいは本明細書に記載されている第VIII因子変異体の組成物を含む。あるいは、該医薬製剤は、再構成(還元)を必要としない安定な液体既製製剤でありうる。該医薬製剤は、約25 IU、50 IU、75 IU、100 IU、125 IU、150 IU、175 IU、200 IU、250 IU、300 IU、350 IU、400 IU、450 IU、500 IU、550 IU、600 IU、650 IU、700 IU、750 IU、800 IU、850 IU、900 IU、950 IU、1000 IU、1050 IU、1100 IU、1150 IU、1200 IU、1250 IU、1300 IU、1350 IU、1400 IU、1450 IU、1500 IU、1550 IU、1600 IU、1650 IU、1700 IU、1750 IU、1800 IU、1850 IU、1900 IU、1950 IU、2000 IU、2050 IU、2100 IU、2150 IU、2200 IU、2250 IU、2300 IU、2350 IU、2400 IU、2450 IU、2500 IU、2550 IU、2600 IU、2650 IU、2700 IU、2750 IU、2800 IU、2850 IU、2900 IU、2950 IU、3000 IU、3050 IU、3100 IU、3150 IU、3200 IU、3250 IU、3300 IU、3350 IU、3400 IU、3450 IU、3500 IU、3550 IU、3600 IU、3650 IU、3700 IU、3750 IU、3800 IU、3850 IU、3900 IU、3950 IU、4000 IU、4050 IU、4100 IU、4150 IU、4200 IU、4250 IU、4300 IU、4350 IU、4400 IU、4450 IU、4500 IU、4550 IU、4600 IU、4650 IU、4700 IU、4750 IU、4800 IU、4850 IU、4900 IU、4950 IU、5000 IU、5500 IU、6000 IU、6500 IU、7000 IU、7500 IU、8000 IU、8500 IU、9000 IU、9500 IU、10000 IU、10500 IU、11000 IU、11500 IU、12000 IU、12500 IU、13000 IU、13500 IU、14000 IU、14500 IUもしくは15000 IUの既製溶液のバイアルまたは凍結乾燥粉末の1回使用バイアル中で提供されることが可能であり、前記数字の2つにより特定される前記量のいずれかの範囲(例えば、25〜75 IU、100〜200 IUなどの範囲)を含有するバイアルが本発明に含まれる。「IU」は国際単位(International Unit)として当分野においては理解されており、WHO国際標準(WHO International Standard)により定義されている。非経口投与可能な組成物を製造するための実際の方法は当業者に公知か又は明らかとなり、例えば、Lippincott Williams & Wilkins(2005)により発行されたRemington’s Pharmaceutical Sciences,21st ed.に、より詳細に記載されている。例えば外傷または手術の場合に得策でありうる局所適用は、噴霧、灌流、カテーテル、ステント、血管移植またはステント、軟膏剤または当技術分野で公知の他の製剤を使用して行われうる。ある例においては、局所投与は、変異体第VIII因子ポリペプチドを含む組成物で処理、注入、被覆または浸漬された外科用スポンジまたはコラーゲンマトリックスのような固体または半固体マトリックスによるものでありうる。そのようなマトリックスの製造方法は当技術分野でよく知られている(Thrombosis/Hemostasis 12:445(2006))。ついで本開示の組成物は、公知技術を用いて、例えば、水性製剤をマトリックスに噴霧することにより、マトリックスに適用されるであろう。
1つの実施形態においては、本開示は、変異体第VIII因子ポリペプチドを含むキットに関する。ある例においては、該キットは、凍結乾燥変異体第VIII因子ポリペプチドを含有するバイアル、または該ポリペプチドを含有する凍結乾燥製剤を含有するバイアル、そしてまた、再構成のための希釈剤を含有する。他の例においては、該キットは、第VIII因子ポリペプチドの局所製剤、例えば軟膏剤、噴霧剤または液体、および患者への投与の前に該局所製剤が適用されうるスポンジまたは他の医学的マトリックスのようなマトリックスを含有する。
特定の凝固因子の欠乏により引き起こされる血友病Aまたは別の凝血障害に罹患している患者への投与のための適切な投与量は、例えば、患者の体重、出血エピソードの重症度、因子欠乏症、および使用される個々の変異体の比活性に基づいて、当業者により容易に決定されうる。ある例においては、投与量は、非経口投与された場合、約5 IU/kg、10 IU/kg、15 IU/kg、20 IU/kg、25 IU/kg、30 IU/kg、35 IU/kg、40 IU/kg、45 IU/kg、50 IU/kg、55 IU/kg、60 IU/kg、65 IU/kg、70 IU/kg、75 IU/kg、80 IU/kg、85 IU/kg、90 IU/kg、95 IU/kg、100 IU/kgまたはそれ以上でありうる。投与量はまた、範囲内の各エンドポイントが前記投与量から選択される投与量の範囲(例えば、すなわち、5〜15 IU/kg、10〜20 IU/kgなど)内であってもよい。ある実施形態においては、血友病Aを有する患者の場合、静脈内投与される投与量は手術前適応症に対しては約40 IU/キログラムであり、軽度の出血に対しては15〜20 IU/キログラムであり、維持用量として8時間にわたって投与される場合には20〜40 IU/キログラムである。これらの投与量は、投与される変異体第VIII因子製剤の薬物動態学的プロファイルに基づいて、必要な頻度で投与されうる。例えば、そのような製剤は予防用には1日2回、毎日、隔日、3日に1回、週3回、週2回または週1回、静脈内に投与されうる。投与頻度は、血友病Aの状態の重症度、投与される該変異体の薬物動態、および活性増強により達成される作用の持続性に基づいて決定されるであろう。
本発明における第VIII因子変異体および組成物は血液凝固障害および血液凝固が有利となる障害の治療に有用であり、増強した凝血活性を有する第VIII因子が必要とされる状況において特に有用である。したがって、本発明における第VIII因子変異体および組成物は、凝血障害を有する患者における予防的治療に、および根底にある凝血欠損を伴う又は伴わない患者における急性出血エピソードの治療に有用である。ある実施形態においては、該変異体第VIII因子ポリペプチドは、貫通性外傷;鈍的外傷;待機手術における出血;心臓手術における出血;脊髄手術における出血;整形外科手術;脳神経手術;癌手術;産後手術;月経過多;幹細胞移植における出血;肝移植における出血;消化管出血;肝硬変における激しい静脈瘤出血;肝硬変における非静脈瘤出血;びまん性肺胞出血;大動脈瘤;脳内出血;外傷性脳損傷;脳挫傷;ワルファリンの逆転;ヘパリンの逆転;抗凝固薬の逆転;抗血栓薬の逆転;第VIII因子欠乏症;特定の型のフォン・ヴィレブランド病;遺伝性出血性毛細血管拡張症;種々の動静脈奇形;火傷;インヒビターでの血友病患者における予防;非肝硬変および肝硬変患者に対する部分的肝切除;後天性血友病;特発性血小板減少性紫斑病;血小板媒介止血の欠損(例えば、血小板数または応答の欠損);グランツマン血小板無力症;血小板輸血に対して難治性のグランツマン血小板無力症;ベルナール・スーリエ症候群;およびデング出血熱により引き起こされる又はそれらに関連した出血を治療するために使用されうる。
以下の実施例は、特許請求している実施形態を例示するために記載されており、それを限定するものではない。本明細書に記載されている実施例(具体例)および実施形態は例示を目的としたものであるに過ぎず、当業者は、本開示の精神または添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく改変されうる種々のパラメータを認識する、と理解されるべきである。
実施例1:トロンビン切断部位および活性化ループの突然変異誘発
トロンビン切断部位の突然変異誘発
トロンビン切断部位内の位置にアミノ酸置換を含有する種々のFVIII変異体のための発現構築物を、クイックチェインジ部位特異的突然変異誘発キット(Quick Change Site−Directed Mutagenesis Kit)(Agilent Technologies cat.# 200251)を使用して、そして出発ポリペプチドとしてFVIII−BDDを使用して、標準的な部位特異的突然変異誘発により作製した。該構築物を最初はpcDNA3.1ベクターにおいて作製した。突然変異誘発後、変異体第VIII因子をコードする核酸配列を、適当な制限酵素を使用して該pcDNA3.1から切り出し、pSS207発現ベクター内に連結した。得られたプラスミドを96ウェルベースフォーマットにおけるHEK293細胞内に一過性にトランスフェクトした。FVIII発現レベルを標準的なサンドイッチELISAにより定量した。
活性化ループの突然変異誘発
アミノ酸558−65位を個々にランダム化する遺伝子ライブラリーを、出発ポリペプチドとしてのFVIII−BDDおよび前記の標準的な突然変異誘発技術を用いて作製した。8個のライブラリーのクローン性DNA調製物をHEK293細胞内に一過性にトランスフェクトした。FVIII発現レベルを前記の標準的なサンドイッチELISAにより定量した。
追加的突然変異の組込み
トロンビン切断部位および活性化ループ内に置換を施すことに加えて、第VIII因子ポリペプチド鎖に沿った他の位置に或る置換を施して、そのような追加的突然変異の影響を調べた。一例においては、I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565E置換を有するD519VE665V−FVIIIポリペプチドをコードする核酸を含有するpcDNA3.1ベクターを前記のとおりに部位特異的突然変異誘発に更に付して、R336I置換を施した。ついで、得られた核酸を発現ベクターpSS207に移した。
関心のある突然変異の組合せ
異なる変異体セットの作製の後、実質的に同一の方法を用いて、種々の順列で、関心のある突然変異を組合せ、特徴づけした。全体として、約2000個のFVIII変異体を産生し、特徴づけした。
第VIII因子活性のアッセイ
FVIII活性を発色性アッセイとaPTTアッセイとの両方により測定した。精製されたタンパク質に関して、標準物質として02−122(NIBSC;Potters Bar,Hertfordshire,UK)を使用して、Coatest FVIII:C(Instrumentation Laboratory;Bedford,MA)により発色活性を測定した。該発色アッセイの原理の詳細は前記に記載されている。精製されたタンパク質のaPTT活性を、標準物質としてのFVIII−BDDおよびAPTT−SPキット(Instrumentation Laboratory;Bedford,MA)を使用して、ACL TOPで測定した。1段階aPTTアッセイの原理の詳細は前記に記載されている。精製タンパク質の比活性を、A280を用いて計算して、タンパク質濃度を決定した。
結果
アミノ酸370−375におけるトロンビン切断部位内の位置にアミノ酸置換を有するFVIII−BDDの多数の変異体を製造し、精査した(表1を参照されたい)。好ましいトロンビン切断配列は、動力学的発蛍光基質アッセイを用いた場合に特定の線状ペプチド配列を他のものよりも切断するトロンビンの能力に基づくものであった(Bianchiniら,J.Biol.Chem.277:20527(2002))。驚くべきことに、「最適」トロンビン切断部位を含有していると予め予想されていた1つの変異体が(Bianchiniら,J.Biol.Chem.277:20527(2002))不良なaPTT活性を示した(表1における変異体「a」)。予想された「最適」コンセンサス配列に対する部分的対応を有する他の変異体(表1における変異体bおよびc)はaPTT活性の増強を示した。いかなる点においても理論により限定されることを望むものではないが、予想された「最適」トロンビン切断部位との矛盾は、部分的には、小さな線状ペプチド配列とのトロンビン相互作用から大きな三次元タンパク質とのトロンビンの相互作用を推定しうることに無理があったためかもしれない。それでも、「b」および「c」のaPTT活性の増強は、これらのFVIII突然変異体が、aPTT条件下(例えば、限られた活性化凝固因子の始動)、より効率的に活性化されることを示した。
Figure 2016513697
558−565位の活性化ループ内にアミノ酸置換を有する約1600個の第VIII因子変異体を製造し、特徴づけした。発色アッセイを用いて予備スクリーニングを行い、一方、aPTTアッセイは、増強した凝固促進活性を有する変異体を特定した。表2は、製造され特徴づけされた或る変異体のaPTT活性を一覧している。
Figure 2016513697
ついで、活性化ループ内の複数のアミノ酸置換の組合せの効果を調べた。表3は、選択された変異体の組合せの活性を一覧している。
Figure 2016513697
最後に、トロンビン切断部位と活性化ループとの両方における変異体の組合せを特徴づけした。得られた変異体の多くは発色アッセイによる評価では僅かな活性増強を示したに過ぎなかったが(図2)、aPTTアッセイにより特徴づけされた場合には相当な活性増強を示した(図1)。FVIIIは発色アッセイにおいては完全に前活性化されるが、aPTTアッセイにおいてはそうではないため、aPTT活性の顕著な増強と対比される発色アッセイ活性の僅かな変化はこれらのFVIII変異体の活性化の利点に合致しているであろう。
実施例2:Var97の更なる特徴づけ
出発ポリペプチドとしてD519VE665V−FVIIIを用い、I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eアミノ酸置換を有する、Var97と称されるもう1つの特定の変異体を更に特徴づけした。選択された変異体を、まず、pSS207発現ベクター内にクローニングし、HKB11細胞内にトランスフェクトして、10Lのウェーブ・ファーメンター(wave fermenter)に播くために使用される細胞の安定発現プールを得た。精製されたVar97タンパク質を得、後記のとおり、インビトロおよびインビボの両方において特徴づけした。
初期研究において、精製Var97タンパク質は、出発第VIII因子ポリペプチドに対するその発色アッセイ活性と比較して有意に増強したaPTT活性を有することが判明した。これらの両方のアッセイに関する比活性の比は、変異体Var97タンパク質に関する発色アッセイ活性に対するaPTT活性の度合がFVIII−BDD活性の場合の約30倍であることを示した(表4)。
Figure 2016513697
凝固におけるVar97の効力の更なる評価を、開始因子として組織因子(TF)を使用するTGAにより行った。製造業者(Diagnostica Stago;Asnieres sur Seine,France)により推奨されているとおりにTGAを行った。簡潔に説明すると、FVIII(BDD、D519VE665Vまたは変異体)を1pM TF 4μM PL混合物と共にヒト血友病A血漿中に加えた(最終濃度、前記のとおり)。反応を、トロンビン基質とCaCl(Flu−Ca)との混合物を加えることにより開始させ、60分間モニタリングした。ここに報告されているTGAの結果は3回の重複実験の平均を表している。低レベルのTFの使用ゆえに、TGAは生理的凝固をより厳密に反映している可能性がある。TGAによると、Var97はFVIII−BDDまたはD519VE665V−FVIIIタンパク質より、明らかに強力であり、それらの親分子と比較してトロンビン産生における非常に迅速な増加を誘発した(図3)。Var97とその親であるD519VE665V−FVIIIとの間のトロンビンプロファイルの比較は、増強したFXa産生(より速い上昇速度およびより大きな度合のトロンビン産生)およびトロンビン活性化の容易さ(より短い遅れ)を向上させることにより、追加的な突然変異の寄与を示した。
トロンビン応答を惹起するその増強した能力ゆえに、全体的なVar97のトロンビンプロファイルはFVIII−BDDおよびD519VE665V−FVIIIに定性的に非常に類似しており、ここで、ベースラインのトロンビンレベルに戻る速度は最高トロンビンレベルに関連づけられた(図3)。これは、Var97が、血漿中のトロンビンレベルを調節するメカニズムを変化させなかったことを示唆している。これらの結果は、Var97が、FVIII−BDDまたはD519VE665V−FVIIIタンパク質のものを上回る追加的な血栓形成リスクまたは全身凝血リスクを課さないと考えられることを予測している。
試験された他のFVIII分子に対するVar97効力の定量的比較は凝固促進アッセイ(TGAおよびaPTT)の結果の間の合致を示している。一定量の最高トロンビンを誘導するために要したVar97の濃度の比較は、Var97がその親であるD519VE665V−FVIIIより〜10倍強力であり、FVIII−BDDより〜100倍強力であることを示した(図4)。aPTTによる類似評価は、D519VE665V−FVIIIと同じ凝固時間を誘導するために、〜10倍低いVar97を要するに過ぎないことを示した(図5)。
Var97変異体の、その生理的酵素複合体における機能を、FXase動力学的アッセイを用いて調べた。これらのFXase動力学的アッセイは、10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、5mM CaCl、0.01% Tween20、0.01% BSAおよび10μM PL(40:40:20,v/v/v PS:PC:PE)中で行った。これらのFXase動力学的アッセイにおいては、精製されたFVIIIaタンパク質を20nM トロンビンとのインキュベーションにより産生させた。FVIIIレベルを10pMに一定に維持し、種々の濃度のFIXa(0〜10nM)と反応させ、あるいはFIXaレベルを100pMに一定に維持し、トロンビン活性化FVIIIaのレベルを変動させた(0〜10nM)。FX(150nM)をいずれかのタイプの反応に加え、1分後、EDTAの添加によりFXase反応を停止させた。これらの反応において産生したFXaの量を、S−2765発色性基質を使用して測定した。ついでFXaの産生を、FXaレベルを発色性基質切断の速度に関連づける標準曲線から外挿した。データを標準的なミカエリス−メンテン式に当てはめて、反応動力学速度定数を導き出した。FXa活性の生成がFIXa濃度によってどのように変動したかを示すために、このデータをプロットした。この分析の結果を表5および図6に示す。表5が示しているとおり、Var97変異体は、wt−FVIIIまたはFVIII−BDDポリペプチドと比較して上昇したFX活性化速度を有する。また、図6は、Var97変異体がFIXaに対する結合アフィニティの増強を示すことを例示している。実際、Var97は、FVIII−BDDポリペプチドと比較して少なくとも4倍大きな、FIXaに対する結合アフィニティを示す。
Figure 2016513697
経時的な凝血溶液の濁度を分析して、凝血動力学および生じる血餅の構造の両方を調べることが可能である。凝血中の濁度対時間のプロファイルにおける変化は、生理的レベルと比較して凝固因子の濃度を低下させることにより誘導されうること、そして更に、該濁度プロファイルにおけるそのような変化は血餅のフィブリン構造の変化と相関することが、既に示されている。例えば、WeiselおよびNagsawami,Biophys.J.,63:111−28(1992)を参照されたい。正常血漿、FVIII欠乏血漿、または50mU/mLの種々の第VIII因子変異体を含有するFVIII欠乏血漿を使用して、WeiselおよびNagsawamiにより記載されているとおりに濁度分析を行った。図7に示されているとおり、FVIII欠乏血漿への50mU/mLのBDDまたはD519VE665Vの導入は、正常血清とは異なる濁度プロファイル(吸光度単位[AU]対時間[秒])を与え、これらの2つの変異体における濁度の上昇は、正常血清サンプルにおいて観察されたものほど迅速ではなかった。BDDおよびD519VE665Vの凝血動力学が正常血清ほど迅速ではないことを示していることに加えて、これは、50mU/mLのBDDまたはD519VE665V変異体の存在が、正常凝血中に生じるものとは異なる血餅構造および構成をもたらしうることを示唆している。これとは対照的に、50mU/mLのVar97 第VIII因子変異体の導入は、正常血清サンプルのものに完全に類似した濁度プロファイルを示したが、このことは、正常血餅のものに酷似した凝血動力学および血餅構造を示している。
Var97変異体の更なる特徴づけとして、HemAマウスにおける血管損傷からの死亡を防ぐBDDおよびVar97の能力を比較するための研究を行った。HemAマウスに種々の濃度の種々のFVIIIを投与し、24時間後、記載されているとおりに(Meiら,Blood(2010)116:270−279)、HemAマウスの尾静脈を横切開した。HemAマウスの生存を24時間モニタリングし、FVIII変異体の効力を24時間生存として評価した。ついで種々の投与量における生存率をプロットし(μg/kgおよびIU/kgの両方)、50%生存(ED50)をもたらすのに要したBDDおよびVar97の投与量を該プロットから決定した(図8および表6)。これが示すとおり、50%生存率はVar97ではBDDの場合より〜2ないし3倍低い用量で達成される。これは、Var97の効力の増強およびVar97によりもたらされた血餅構造の改善を示した本明細書に記載のその他の試験の結果と良く相関する。
Figure 2016513697
可変FIXaおよび一定FVIIIaでの動力学的FXaseの結果(非表示)は、タンパク質分解がVar97のaPTTと発色アッセイ活性との矛盾を説明しうることを示唆した。変異体第VIII因子ポリペプチドの切断を調べるために、FXase反応における過剰なFIXaの存在下のFVIIIの物理的変化を可視化した。FXaseに存在するFIXaによるFVIIIa切断の検出のために、試験されている第VIII因子ポリペプチドを、ウシ血清アルブミンが存在しない標準的なXase反応バッファー中の0.1μg/mlの最終濃度に調節した。FVIII溶液(25μL)を5μlの120nM IXaまたはバッファーに加えた。該反応物を37℃で1時間インキュベートし、4×nupageバッファーを加えて反応を停止させた。ついで該サンプルをSDS−PAGEおよびそれに続くクーマシーブルー染色に付した(図9)。この分析は、Var97第VIII因子変異体が、BDDおよびD519VE665V変異体FVIIIの一方または両方と比較して増強した、FIXaによるタンパク質分解切断を示すことを示した。
実施例3:Var97−R336Iの特徴づけ
Var97のタンパク質分解切断の増強を低減するために、Var97ペプチド鎖内に追加的な置換R336Iを施した(Var97−R336I;配列番号55)。これは活性化プロテインC(aPC)に対する公知切断部位内の置換である。図9のSDS−PAGEゲルイメージにおいて認められうるとおり、FIXa消化アッセイにおいて、Var97−R336Iのタンパク質分解切断は、Var97と比較して顕著に低減した。
また、凝固変異体におけるVar97−R336I変異体の効力を、前記のとおり、開始因子として組織因子(TF)を使用するTGAにより評価した。TGAによれば、Var97−R336Iは、Var97およびD519VE665Vほどは強力でなかったものの、BDDよりは強力であった(図10)。また、全体的なVar97−R336Iトロンビンプロファイルは再び、BDD、D519VE665VおよびVar97に定量的に非常に類似しており、ここで、ベースラインのトロンビンレベルに戻る速度は最高トロンビンレベルに関連づけられた(図10)。一定量の最高トロンビンを誘導するために要したBDD、D519VE665V、Var97およびVar97−R336I第VIII因子変異体の濃度の定量的比較は、Var97−R336Iが、D519VE665V−FVIIIに類似した効力を有することを示した(図11)。
Var97−R336I変異体を更に特徴づけるために、前記のとおり、この変異体の濁度プロファイルをその他の変異体および正常血清対照と比較した。図7に示されているとおり、Var97−R336I変異体の濁度プロファイルはBDDおよびD519VE665V変異体のものに酷似しており、これは類似した凝血動力学および血餅構造を示している。
Var97を含む本明細書に記載されている変異体ポリペプチドは種々の臨床適応症に対する用途を有する。血友病Aに対しては、迅速で増強したトロンビン応答プロファイルを有するそのような分子は静脈内または皮下投与経路で急性的または予防的に使用されうるであろう。これらの変異体はまた、血小板または凝固欠損から生じるものを含む他の出血障害を治療するために使用されうるであろう。血小板媒介止血における欠損の場合には、血小板数または応答の不全によるものであるかどうかにかかわらず、トロンビンを産生するこれらの変異体の能力の向上は、血小板活性を増強することにより、および有効な止血に必要な血小板血栓を保持するために、より多くのフィブリン「糊」を与えることにより、潜在的に補償しうるであろう。
血友病および他の止血障害に加えて、これらの変異体がそのような迅速な応答を誘発しうることは、より急性的な状況、例えば外傷および手術における可能な有用性を示唆している。そのような状況においては、トロンビンレベルを調節するメカニズムに対する影響を最低限度に抑えたままこれらの変異体がトロンビン応答を支持することを可能にする迅速性およびロバスト性は利点となりうるであろう。それらの状況においては、これらの変異体は、噴霧剤の形態またはマトリックス(例えば、外科用スポンジまたはコラーゲン)に浸漬された形態で、静脈内、皮下および局所を含む種々の様態で投与されうるであろう。これらの変異体が有用性を有しうる他の適用には、甚だしい血管透過性、血小板機能の欠損および線維素溶解の増強が生命を脅かす内出血を引き起こしうる、デング出血熱のような出血性症候群の治療が含まれる。

Claims (30)

  1. アミノ酸370−375位のトロンビン切断部位およびアミノ酸558−565位の活性化ループを含む、機能的第VIII因子である第VIII因子ポリペプチドの変異体であって、ここで、該アミノ酸位置の番号付けは配列番号1に記載のアミノ酸配列に基づくものであり、該変異体は該トロンビン切断部位内の1以上の残基におけるアミノ酸置換および該活性化ループ内の1以上の残基におけるアミノ酸置換を含む、第VIII因子ポリペプチドの変異体。
  2. 該トロンビン切断部位内の置換がアミノ酸372位の置換を含まない、請求項1記載の変異体。
  3. 該第VIII因子ポリペプチドが更に、アミノ酸残基E272およびD519を含むA1−A2ドメイン界面ならびにアミノ酸残基E665およびE1984を含むA2−A3ドメイン界面を含み、ここで、該アミノ酸位置の番号付けは配列番号1に記載のアミノ酸配列に基づくものであり、該変異体は更に、A1−A2ドメイン界面のアミノ酸残基の1以上における置換ならびにA2−A3ドメイン界面のアミノ酸残基の1以上における置換を含む、請求項1または2記載の変異体。
  4. 該トロンビン切断部位内の置換が、370、371および374位からなる群から選択される1以上の位置における置換を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の変異体。
  5. 該トロンビン切断部位内の置換が、370、371および374位からなる群から選択される2以上の位置における置換を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の変異体。
  6. 該活性化ループ内の置換が、559、562および565位からなる群から選択される1以上の位置における置換を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の変異体。
  7. 該活性化ループ内の置換が、559、562および565位からなる群から選択される2以上の位置における置換を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の変異体。
  8. A1−A2ドメイン界面の置換が、E272A、E272V、D519AおよびD519Vからなる群から選択される1以上の置換を含む、請求項3〜7のいずれか1項記載の変異体。
  9. A2−A3ドメイン界面の置換が、E665A、E665V、E1984AおよびE1984Vからなる群から選択される1以上の置換を含む、請求項3〜8のいずれか1項記載の変異体。
  10. A1−A2ドメイン界面の置換がD519Vを含み、A2−A3ドメイン界面の置換がE665Vを含む、請求項3〜7のいずれか1項記載の変異体。
  11. 該変異体が、370、371および374位からなる群から選択される1以上の位置におけるアミノ酸置換ならびに559、562および565位からなる群から選択される1以上の位置におけるアミノ酸置換を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の変異体。
  12. 該変異体が、370、371および374位からなる群から選択される2以上の位置におけるアミノ酸置換ならびに559、562および565位からなる群から選択される2以上の位置におけるアミノ酸置換を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の変異体。
  13. 該アミノ酸置換が、Q370M、I371P、V374F、V559L、R562W、R562F、R562KおよびQ565Eからなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項記載の変異体。
  14. 該変異体が、
    (i)Q370MおよびI371P、ならびに
    (ii)I371PおよびV374F
    からなる群から選択されるトロンビン切断部位内のアミノ酸置換を含み、
    (i)V559LおよびR562F、
    (ii)V559LおよびR562W、
    (iii)V559LおよびQ565E、
    (iv)V559L、R562WおよびQ565E、ならびに
    (v)V559L、R562FおよびQ565E
    からなる群から選択される活性化ループ内のアミノ酸置換を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の変異体。
  15. 該変異体がアミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562WおよびQ565Eを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の変異体。
  16. 該変異体がアミノ酸置換I371P、V374F、V559L、R562W、Q565E、D519VおよびE665Vを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の変異体。
  17. 該変異体がアミノ酸336位におけるアミノ酸置換を更に含む、請求項1〜16のいずれか1項記載の変異体。
  18. アミノ酸336位におけるアミノ酸置換がR336I置換を含む、請求項17記載の変異体。
  19. 該第VIII因子ポリペプチドが、配列番号1、2または3の配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の変異体。
  20. 該第VIII因子ポリペプチドが配列番号53のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の変異体。
  21. 該変異体が、未修飾第VIII因子ポリペプチドと比較して増加した比活性を有する、請求項1〜20のいずれか1項記載の変異体。
  22. 請求項1〜21のいずれか1項記載の変異体第VIII因子ポリペプチドと医薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
  23. 請求項1〜21のいずれか1項記載の変異体第VIII因子ポリペプチドをコードする単離された核酸。
  24. 請求項23記載の核酸配列を含むベクター。
  25. 該ベクターが発現ベクターである、請求項24記載のベクター。
  26. 請求項23記載の単離された核酸または請求項24もしくは25記載のベクターを含む組換え宿主細胞。
  27. (a)請求項26記載の組換え宿主細胞を該変異体第VIII因子ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、(b)該変異体を単離することを含む、変異体第VIII因子ポリペプチドの製造方法。
  28. 請求項1〜21のいずれか1項記載の変異体第VIII因子ポリペプチドまたは請求項22記載の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、出血障害の予防または治療方法。
  29. 該出血障害が慢性出血障害である、請求項28記載の方法。
  30. 該出血障害が急性出血エピソードである、請求項29記載の方法。
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