JP2016506927A - N末端短縮型インスリン類似体 - Google Patents

N末端短縮型インスリン類似体 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 インスリン類似体は、B1−B3残基を欠乏する短縮型B鎖ポリペプチドを含有し、かつB鎖のC末端B23−B30区域においてさらなる置換を任意で含有する。B1−B3残基を欠乏するそのインスリン類似体は、速効作用を付与するB28及び/またはB29における置換を、並びにB24における非標準型置換を任意で含有しても良い。その類似体は、ヒトインスリンなどの哺乳類インスリンの類似体であっても良い。そのようなインスリン類似体をコードする核酸もまた、提供される。患者を治療する方法は、生理的に有効な量のインスリン類似体または生理的に許容可能なその塩を患者に投与する工程を有する。半合成の方法は、非標準型アミノ酸置換による内因性トリプシン感受性部位の改変を用いて、無保護のオクタペプチドを使用して提供される。【選択図】 図2B

Description

連邦政府により後援された研究または開発に関する供述
本発明は、National Institutes of Healthにより助成金第DK40949号及び第DK074176号のもと授与された、共同契約下の政府支援でなされた。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有しうる。
本発明は、より速い薬物動態、及び/または室温より高温の熱フィブリル化に対する強化された耐性などの、増強された薬学的特性を示すポリペプチドホルモン類似体に関する。とりわけ、本発明は、B1−B3残基の欠損、並びにA鎖もしくはB鎖の他の改変により改変されたインスリン類似体に関係する。そのような非標準型配列は、インスリン類似体のAもしくはB鎖中の他の部位において標準型アミノ酸置換を任意で含有しうる。
治療薬及びワクチンを含む短縮型及び/または非標準型タンパク質の工学的操作は、幅広い医学的及び社会的有益性を有しうる。医学的有益性の例は、タンパク質の薬物動態特性の最適化であろう。さらなる社会的有益性の例は、電気及び冷却が一貫しては手に入らない開発途上世界の地域における利用のための、室温またはそれより高温における分解に関して標準的なタンパク質よりも抵抗性のあるタンパク質の工学的操作であろう。治療用タンパク質の例は、インスリンにより提供される。非標準型アミノ酸置換を含有するインスリンの類似体は、原理的には、薬物動態または熱分解に対する耐性に関して優れた特性を示しうる。皮下注射後のインスリン吸収の薬物動態により引き起こされる難題は、患者の厳格な血糖管理を実現させる能力に影響し、またインスリンポンプの安全性及び性能を制限する。物理的分解により引き起こされる難題は、アフリカ及びアジアにおける差し迫る糖尿病の流行によってより深刻となる。これらの問題点は、しばしば、皮下注射後の吸収を加速させることが当技術分野において既知である改変を伴うが、それは一般にインスリンの化学的及び/または物理的分解に対する耐性を悪化させる。フィブリル化は室温より高温での分解の主要な経路を提供するため、フィブリル化耐性製剤の設計は、そのような難題を抱える地域におけるインスリン補充療法の安全性及び有効性を向上させうる。本発明は、インスリンの特有の特性を改変しかつ向上させるための、A鎖またはB鎖中の至る所における標準型または非標準型置換と組み合わせた、B1−B3残基を欠乏する短縮型B鎖の利用に関係する。過去10年の間に、目的の応用を容易にするためにタンパク質の何らかの特定の特性を選択的に改変する、インスリン分子に対する特定の化学的改変が開示されてきた。組換えDNA時代の初期(1980)には野生型ヒトインスリンは多様な治療環境における使用に最適であると想像されていたが、過去10年におけるインスリン類似体の幅広い臨床利用は、未だ対処されぬ特定の需要に取り組むようにそれぞれ作製された類似体一式が、著しい医学的及び社会的有益性を提供するであろうことを示唆する。
インスリンの投与は、糖尿病のための治療法として長く確立されてきた。インスリンは、脊椎動物での代謝における中心的な役割を果たす小球状タンパク質である。インスリンは、21残基を含有するA鎖、及び30残基を含有するB鎖の2鎖を含有する。本ホルモンは、膵β細胞中にZn2+安定化六量体として貯蔵されているが、血流中ではZn2+なし単量体として機能する。インスリンは、単鎖前駆体であるプロインスリンの産物であり、プロインスリンにおいては、連結領域(35残基)がB鎖のC末端残基(B30残基)をA鎖のN末端残基へと連結させる(図1A)。様々な証拠が、プロインスリンはインスリン様コアと無秩序な連結ペプチドとから構成されることを示す(図1B)。3つの特定のジスルフィド架橋(A6−A11、A7−B7、及びA20−B19、図1A及び1B)の形成は、粗面小胞体(ER)におけるプロインスリンの酸化的折り畳みと共役すると考えられている。プロインスリンは、ERからゴルジ体への輸出の直後、可溶性Zn2+配位六量体を形成するように集合する。エンド型タンパク質分解性消化、及びインスリンへの変換は、未熟な分泌顆粒中で起こり、続いて形態学的濃縮が起こる。成熟貯蔵顆粒内の亜鉛インスリン六量体の結晶配列は、電子顕微鏡法(EM)により可視化されてきた。インスリンの配列は、図1Cにおいて略図形式で示される。個々の残基は、アミノ酸(一般に標準型の3文字コードを用いて)、鎖、及び配列位置(一般に上付き文字として)の識別により示される。
皮下注射後のインスリン吸収の薬物動態特性は、インスリン六量体の解体速度と相関することが分かっている。本発明が理論により制約されることを望まないが、インスリン六量体解体の加速をもたらすインスリン分子への改変は、皮下デポから血流へのインスリン単量体及び二量体のより迅速な吸収を促進すると考えられている。糖尿病を有する患者におけるインスリン補充療法の主な目標は、ヒト健常者特有の正常範囲より上または下への変動を防止するための、血糖濃度の厳格な管理である。正常範囲より下への変動は、即座に現れるアドレナリン様または神経低糖症の症状と関連付けられ、それは重い発作では痙攣、昏睡状態、及び死に至らしめる。正常範囲より上への変動は、網膜症、失明、及び腎不全を含む微小血管障害の長期的危険性の上昇と関連付けられている。皮下注射後の野生型ヒトインスリン吸収の薬物動態は、食後の代謝ホメオスタシスの生理的要求と比較してしばしば遅すぎかつ長すぎるため、作用発現がより迅速で持続期間はより短い薬力学的効果を伴う、より迅速な吸収を示すインスリン類似体を開発するために、過去20年のあいだ相当な努力が費やされてきた。当技術分野で公知のそのような速効性類似体の例は、[LysB28,ProB29]−インスリン(KP−インスリン、Humalog(登録商標)の有効成分)、[AspB28]−インスリン(Novalog(登録商標))、及び[LysB3,GluB29]−インスリン(Apidra(登録商標))である。臨床診療において幅広く使用されているが、これらの類似体は2つの主な限界を示す。第一に、これらの類似体の薬物動態及び薬力学的特性は野生型インスリンのそれよりも迅速ではあるものの、多くの患者において、血糖管理を最適化し、またはアルゴリズムベースのインスリンポンプ(閉鎖型ループシステム)の安全かつ効果的な使用を可能にするには十分に迅速ではない。第二に、これらの類似体中のアミノ酸置換は、インスリンの熱力学的安定性を害し、また室温より高い温度でのフィブリル化に対する感受性を悪化させる。従って、これらの製品の安全性、有効性、及び実体面での利便性は、吸収加速と分解加速との間のトレードオフにより制限されてきた。
フィブリル化は、糖尿病治療のためのインスリン及びインスリン類似体の製造、貯蔵、並びに使用における深刻な懸念点であり、より高い温度、より低いpH、攪拌、または、尿素、グアニジン、エタノール共溶媒、もしくは疎水性表面の存在に伴って増強される。現在の米国薬剤規定は、1%またはそれより高いレベルでフィブリル化が起こる場合はインスリンが処分されることを要求する。フィブリル化はより高い温度で亢進するため、糖尿病を有する患者は、使用前はインスリンを最適に冷蔵保存しなければならない。インスリンまたはインスリン類似体のフィブリル化は、外部インスリンポンプを利用しているそのような患者にとっては格別な懸念点となりうる。外部インスリンポンプでは、一定間隔で少量のインスリンまたはインスリン類似体が患者の体内へと注射される。そのような使用法においては、インスリンまたはインスリン類似体はポンプ装置内では冷蔵保存されず、インスリンのフィブリル化は体内にインスリンまたはインスリン類似体を注射するのに用いられるカテーテルの遮断をもたらすかもしれず、潜在的にはその結果、血液グルコースレベルの予測不能な変動または危険な高血糖症さえも起こしうる。少なくとも1つの最近の報告が、インスリンLispro(KP−インスリン、B28及びB29残基が野生型ヒトインスリン中のその位置と比較して置き換えられている類似体、商標Humalog(登録商標))は、線維化及びその結果生じるインスリンポンプのカテーテルの閉塞に特に敏感であるかもしれないと指摘している。インスリンは、25℃より高い温度において10℃上昇する毎に10倍またはそれより大きい分解速度の上昇を示す。従って、指針は、<30℃の温度でのかつ好ましくは冷蔵での貯蔵を要求している。
タンパク質フィブリル化の本理論は、フィブリル化の仕組みは部分的に折り畳まれた中間状態を介して進行することを仮定している。その中間状態は次々に凝集し、アミロイド形成核を形成する。本理論においては、天然状態を安定化させるアミノ酸置換が、部分的に折り畳まれた中間状態を安定化させるまたはさせないかもしれず、また天然状態と中間状態の間の自由エネルギー障壁を増加(または減少)させるまたはさせないかもしれない可能性がある。従って、本理論は、インスリン分子中の与えられたアミノ酸置換がフィブリル化の危険性を増大または減少させる傾向は、非常に予測不能であることを示している。
アミロイド形成核の形成における初期段階は、天然型インスリン表面上に露出した、あるいは部分的なタンパク質折り畳みゆえに一過性に露出した非極性側鎖間の、非天然型疎水性相互作用を伴いうる。B1、B2、及びB3(PheB1−ValB2−AsnB3)残基は、野生型インスリンの結晶構造において顕著な露出を、またその配置において相当な変動性を示す(図2A)。H−NMR共鳴線幅、13C−NMR化学シフト、及び長距離残基間核オーバーハウザー効果(NOEs)の欠乏により示されるように、溶液中の工学的操作されたインスリン単量体のNMR実験において、B1−B3残基はまた秩序度がより低くもある(図2B)。哺乳類インスリン配列間でこれらの残基が保存されているにも関わらず、合成類似体の研究は、インスリン受容体への結合を顕著に低下させることなく、また生物学的活性を顕著に低下させることなく、B鎖から残基B1−B5が除去されうることを示した。しかしながら、野生型及び変異型プロインスリンの折り畳み及び分泌の研究は、B1−B5残基が、単独でまたは組み合わせで、小胞体中でのジスルフィド対形成の効率及び忠実性に貢献することを示した(Liu, M.,Hua,Q.X.,Hu,S.Q.,Jia, W.,Yang,Y.,Saith,S.E.,Whittaker,J.,Arvan, P.&Weiss,M.A.(2010))。Deciphering the hidden informational content of protein sequences: foldability of proinsulin hinges on a flexible arm that is dispensable in the mature hormone.J.Biol.Chem.285,30989−31001)。特に、位置B1における様々な極性または荷電アミノ酸置換は、ヒト培養細胞株においてプロインスリンの細胞折り畳み及び分泌を損なうことが分かった。従って残基PheB1は、折り畳み過程において「疎水性アンカー」とみなされうる。B鎖のB1−B5アームは、膵β細胞内の重要な折り畳み要素を意味する。
従って、迅速な六量体解体を維持しつつ、また対応する野生型インスリンの活性の少なくとも一部を示しかつその化学的及び/または物理的安定性の少なくとも一部を維持しつつ、室温より高温でのフィブリル化に対するより高い耐性を示すインスリン類似体への需要がある。
従って、迅速な六量体解体及びゆえに皮下注射後の吸収の加速を維持しながら、室温より高温でのフィブリル化に対する強化された耐性を提供するインスリン類似体を提供することは、本発明の一態様である。本発明は、速効性インスリン類似体についてのこれまでの限界、すなわちそれらのインスリン類似体が野生型インスリンと比べフィブリル化により敏感であるということを扱う。特許請求の範囲に係る発明は、製造過程でジスルフィド対形成及びタンパク質折り畳みが一度実現してしまえば、B1−B3残基がなくても構わないという性質を活用する。B1−B3残基の除去は、野生型AsnB3残基に代わって位置B3においてLysまたはArgを含有する前駆体に対するトリプシンの作用により実現する。そのような前駆体の例は、製品Apidra(Sanofi−Aventis)の有効成分である、類似体インスリンglulisineである。PheB1−ValB2−AsnB3残基を欠乏する類似体は、ゆえに、短縮型B鎖(27残基)を含有する。短縮型B鎖は、インスリン受容体への天然型様の結合を可能にしつつ、室温より高温でのフィブリル化に対する耐性を付与する。
本発明の本質は、B1−B3残基のN末端除去によるB鎖の短縮化が、室温より高温でのフィブリル化からタンパク質を保護し、また新しいトリプシン感受性部位を導入するようにPheB1、ValB2、及び位置B3においてLysもしくはArgのいずれかの残基を含有する前駆体ポリペプチドの効率良い折り畳み及びジスルフィド対形成後に実現されうることである。トリプシン産物des−[B1−B3]−des−[B23−B30]−インスリン類似体は、代わりに、C末端B23−B30区域中に1つまたはそれより多い置換または非標準型改変を含有するインスリン類似体のトリプシン媒介性半合成のための前駆体を提供する。重要なことには、トリプシン媒介性半合成は、B23−B30残基のC末端欠損を「修復」するが、B1−B3区域は復元しない。このステップの順序(つまり、トリプシン消化の前に折り畳み)は、さもなければジスルフィド対形成前のB1−B3残基除去により導入されたはずの折り畳み欠陥を回避する。出発物質は、位置B3においてLysもしくはArgを含有する成熟インスリン類似体、位置B3においてLysもしくはArgかつ位置A8において追加の置換を含有するインスリン類似体、位置B3においてLysもしくはArgを含有するプロインスリン類似体、位置B3においてLysもしくはArgかつ位置A8において追加の置換を含有するプロインスリン類似体、または位置B3においてLysもしくはArgを含有しかつその折り畳み後のトリプシン消化がdes−[B1−B3]−インスリン類似体を提供する半合成を受けることができるdes−[B1−B3]−des−[B23−B30]−インスリン類似体を生じる対応する単鎖生合成前駆体であってもよい。
一般に、本発明は、B1−B3残基を欠乏する短縮型B鎖ポリペプチド、並びにAーもしくはB鎖中に1つまたはそれより多い追加の置換を有する、インスリン類似体を提供する。別に規定されない限り、アミノ酸の位置は、野生型インスリンとの比較での位置であると理解されるべきである。従って、des−[B1−B3]−インスリン類似体においては、例えばB鎖中の7番目のアミノ酸は位置B10にあるとして表わされる。1つの実施例においては、短縮型B鎖ポリペプチドは、位置B29においてオルニチン(Orn)、ノルロイシン(Nle)、またはグルタミン酸(Glu)を組み込む。別の実施形態においては、短縮型B鎖ポリペプチドは、位置B28においてリシン(Lys)、及び位置B29においてプロリン(Pro)を含有する。また別の実施形態においては、短縮型B鎖ポリペプチドは、位置B28においてアスパラギン酸(Asp)、及び位置B29においてNleまたはOrnのいずれか含有する。さらに別の実施形態においては、インスリン類似体は、ヒトインスリンの類似体などの哺乳類インスリン類似体である。実施形態の特定の一組においては、B鎖ポリペプチドは、トリプシン処理前に配列ID番号:4のアミノ酸配列を有し、ポリペプチドは3つまたはそれより少ない追加のアミノ酸置換を有する。実施形態の別の特定の一組においては、トリプシンを用いた消化及び半合成後、生成するポリペプチドは配列ID番号:5〜7から構成される群から選択される配列を有しうる。実施形態のさらに別の特定の一組においては、それは単鎖インスリン類似体と呼ばれ、B鎖ポリペプチドは配列ID番号:9に提供されるアミノ酸配列を有する長さ51−86の長い単一ポリペプチドの一部であり、ポリペプチドは3つまたはそれより少ない追加のアミノ酸置換を有する。
さらにもしくは代わりに、インスリン類似体は、B鎖の位置24において非標準型アミノ酸置換を含有しうる。1つの特定の実施例においては、B24における非標準型アミノ酸はシクロヘキサニルアラニン(Cha)である。また別の特定の実施例においては、B24における非標準型アミノ酸はハロゲン化芳香環を含有する。例えば、ペンタ−フルオロ−Phe、2−F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4−F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Pheなどであり、ここで「2」はPheの芳香環のオルト位における単一のハロゲン置換を意味し、「4」はPheの芳香環のパラ位を意味する。さらにもしくは代わりに、インスリン類似体は位置A8においてアミノ酸置換を含有してもよく、これにより野生型インスリンにおけるβ−分岐側鎖(ThrA8)が非β−分岐極性または荷電側鎖により置換される。Arg、Gln、Glu、His、もしくはLysなどである。
B24もしくはB29またはその両方において非標準型アミノ酸を組み込むB鎖ポリペプチドを有するインスリン類似体をコードする、核酸もまた提供される。1つの実施例においては、非標準型アミノ酸は、核酸配列TAGなどの終止コドンによりコードされる。発現ベクターはそのような核酸を有してもよく、また宿主細胞はそのような発現ベクターを含有してもよい。
位置A3においてリシン(Lys)もしくはアルギニン(Arg)置換を組み込むA鎖ポリペプチド、及び位置B29においてはグルタミン酸置換もしくは位置A8においてはThr以外のアミノ酸を生じる置換などの他の置換を任意で有する、インスリン類似体をコードする、核酸もまた提供される。発現ベクターはそのような核酸を有してもよく、また宿主細胞はそのような発現ベクターを含有してもよい。
本発明はまた、患者を治療する方法も提供する。その方法は、生理的に有効な量のインスリン類似体または生理的に許容可能なその塩を患者に投与する工程を有し、そのインスリン類似体または生理的に許容可能なその塩は、上記で開示のように、B1−B3残基を欠乏する短縮型B鎖ポリペプチド、並びにB24、B28、B29、またはA8部位において1つまたはそれより多い追加の置換を含有する。1つの実施形態においては、患者に投与されるインスリン類似体中の短縮型B鎖は、位置B29においてGluを含有する。さらに別の実施形態においては、インスリン類似体は、ヒトインスリンの類似体などの哺乳類インスリン類似体である。実施形態の特定の一組においては、B鎖ポリペプチドは配列ID番号:5〜7から構成される群から選択されるアミノ酸配列を有し、ポリペプチドは3つまたはそれより少ない追加のアミノ酸置換を有する。
図1Aは、A及びB鎖、並びに、隣接する二塩基性切断部位(黒円)及びC−ペプチド(白円)と共に示された連結領域を含む、ヒトプロインスリンの配列(配列ID番号:1)の概略図である。 図1Bは、インスリン様部分及び無秩序な連結ペプチド(破線)から構成される、プロインスリンの構造モデルである。 図1Cは、B鎖中のB24残基の位置を示す、ヒトインスリンの配列(配列ID番号:2及び3)の概略図である。 図2A及び図2Bは、インスリンB鎖のN末端アームの潜在的な立体構造の可変性を示す、分子モデルを提供する。B1−B6残基が、結晶学的T−状態のプロトマー(図2A)、及びNMR由来溶液構造の集合(図2B)において示される。それぞれの場合においてアームは、1つの代表的な構造の空間充填モデルに対して棒で示される。グレースケールのコードが、図2Aの右上部に示される。図2Aにおける構造は、PDB登録4INS、1APH、1BPH、1CPH、1DPH、1G7A、1TRZ、1TYL、1TYM、及び1ZNIから得られた。図2Bにおける構造は、PDB登録1TYL及び1G7Aから得られた。 図3は、インスリン類似体の受容体結合実験の結果を示す、一組のグラフである。図2Aにおいては、インスリン受容体のBアイソフォーム(IR−B)に対する相対活性が、受容体に結合した125I−標識ヒトインスリンが、増加する濃度のヒトインスリン(■)またはその類似体であるOrnB29−インスリン(▲)及びdes−[B1−B3]−OrnB29−インスリン(▼)により置き換えられる、競合的結合測定法により測定される。図2Bにおいては、I型IGF受容体(IGF−1R)に対する相対活性が、受容体に結合した125I−標識IGF−Iが、増加する濃度のヒトインスリン(■)またはその類似体であるOrnB29−インスリン(▲)及びdes−[B1−B3]−OrnB29−インスリン(▼)により置き換えられる、競合的結合測定法により測定される。 図4は、des−[B1−B3]Apidra(登録商標)インスリン(GluB29、■)対完全長のApidra(登録商標)インスリン(LysB3、GluB29)(◆)の用量反応を示すグラフである。グラフは、ラット300gあたりのナノモルで表わされるインスリン用量に対する、投与後初めの1時間における血糖レベルの減少速度を示す。
本発明は、室温より高温でのフィブリル化に対する耐性を提供するインスリン類似体を対象とする。その類似体は、迅速な六量体解体を保持し、かつ対応する非改変型インスリンまたはインスリン類似体の生物学的活性の少なくとも一部を維持する。
本発明は、フィブリル化開始前の時間差に関するインスリン類似体の特性を向上させるための、前駆体分子の折り畳み及びジスルフィド対形成後における、残基B1−B3の除去に関する。1つの事例においては、残基B1−B3の除去は、B23−B30区域における、とくに位置B24、B28、及び/またはB29における、1つまたはそれより多いアミノ酸置換または改変と組み合わせられる。
1つの実施形態においては、本発明は、シクロヘキサニルアラニン(Cha)、または芳香環の4位においてハロゲン原子(F、Cl、またはBr)を含有するフェニルアラニン誘導体などの非標準型アミノ酸による位置B24におけるフェニルアラニン置換によって、より迅速な六量体解体を提供する、インスリン類似体を提供する。別の特定の実施形態においては、des−[B1−B3]類似体は、 芳香環の2位においてハロゲン原子(F、Cl、またはBr)を含有する誘導体によるPheB24の置換により、熱力学的安定性に関して強化される。さらに別の実施形態においては、des−[B1−B3]類似体は、より迅速な六量体の解体速度を付与するために、位置B28及び/またはB29において置換を含有する。当技術分野で既知の例は、(Novolog(登録商標)における)AspB28、(Humalog(登録商標)における)LysB28−ProB29、及び(Apidra(登録商標)における)GluB29である。ゆえに本発明は、これらの類似体のdes−[B1−B3]型を提供する。しかしながら、本発明はヒトインスリン及びその類似体に限定されない。これらの置換は、非限定的な例として、ブタ、ウシ、ウマ、及びイヌのインスリンなどの、動物インスリンにおいてもなされることもまた想定される。さらにもしくは代わりに、本発明のインスリン類似体は、野生型インスリンにおいてはリシン(Lys)であるB鎖の位置29において非標準型アミノ酸置換を含有しうる。1つの特定の実施例においては、B29における非標準型アミノ酸はオルニチン(Orn)である。B29における非標準型アミノ酸は、ノルロイシン(Nle)であってもまたよい。B1−B3残基の除去は、単独でまたは位置B24、B28、もしくはB29における上記改変との組み合わせで、位置A8における非β分岐側鎖によるA鎖置換と組み合わせられてもまたよい。
des−[B1−B3]−OrnB29−インスリンが、インスリン受容体への結合を損ねることなく、野生型インスリンまたはOrnB29−インスリンと比較して、フィブリル化からの保護を付与することもまた発見された。
さらに、ヒト及び動物インスリン間の類似性、並びに糖尿病を有するヒト患者における動物インスリンの過去の使用をふまえると、インスリン配列中のマイナーな改変、とくに「保存的」とみなされる置換が導入されうることもまた想定される。例えば、本発明から逸脱することなく、類似する側鎖を有するアミノ酸群内で追加のアミノ酸置換がなされうる。これらは、中性疎水性アミノ酸である、アラニン(AlaまたはA)、バリン(ValまたはV)、ロイシン(LeuまたはL)、イソロイシン(IleまたはI)、プロリン(ProまたはP)、トリプトファン(TrpまたはW)、フェニルアラニン(PheまたはF)、及びメチオニン(MetまたはM)を含む。同様に、中性極性アミノ酸は、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)、チロシン(TyrまたはY)、システイン(CysまたはC)、グルタミン(GluまたはQ)、及びアスパラギン(AsnまたはN)の群内でそれぞれお互いと置換されうる。塩基性アミノ酸は、リシン(LysまたはK)、アルギニン(ArgまたはR)、及びヒスチジン(HisまたはH)を含むと考えられる。酸性アミノ酸は、アスパラギン酸(AspまたはD)、及びグルタミン酸(GluまたはE)である。別に特筆されない限り、または文脈から明らかである箇所では、本明細書で言及されるアミノ酸はL−アミノ酸であるとみなされるべきである。標準型アミノ酸は、同じ化学的分類に属する非標準型アミノ酸により置換されてもまたよい。非制限的例として、塩基性側鎖Lysは、より短い側鎖長の塩基性アミノ酸(オルニチン、ジアミノ酪酸、またはジアミノプロピオン酸)により置き換えられてもよい。Lysは中性の脂肪族同配体であるノルロイシン(Nle)により置き換えられてもまた良く、それが今度はより短い脂肪族側鎖を含有する類似体(アミノ酪酸またはアミノプロピオン酸)により置換されてもよい。
1つの実施例においては、本発明のインスリン類似体は、本発明のB1−B3残基の除去の他に、3つまたはそれより少ない保存的置換を含有する。
本明細書及び特許請求の範囲において用いられるように、インスリンまたはインスリン類似体中の様々なアミノ酸は、当該アミノ酸残基、続いて任意で上付き文字で表されるアミノ酸の位置により記述されうる。当該アミノ酸の位置は、置換が位置するインスリンのAまたはB鎖を含む。ゆえに、PheB1は野生型インスリンのB鎖の1番目のアミノ酸としてのフェニルアラニンを意味し、ValB2は、野生型インスリンのB鎖の2番目のアミノ酸を意味し、そしてC末端位置におけるThrB30まで同様である。B1−B3残基の除去(des−[B1−B3]と呼ばれる)の際は、GluB4がdes−[B1−B3]B鎖の1番目のアミノ酸となり、PheB24がdes−[B1−B3]B鎖の21番目のアミノ酸となり、以下同様となるように、この番号付けが維持される。
理論により拘束されることを望まないが、本発明は、B1−B3残基がアミロイド形成核の形成メカニズムにおける非天然型分子間相互作用に携わる非極性アームを定義し、ゆえにその除去は室温より高温でのフィブリル化開始を遅らせるまたは防止することを想定する。塩基性側鎖(LysまたはArg)による野生型B3残基(Glu)の置換は、前駆インスリン類似体のB鎖中に、または前駆単鎖ポリペプチドのB−ドメイン中に、新規のトリプシン感受性部位を付与する。本発明は、前駆ポリペプチドの折り畳み及び天然型ジスルフィド対形成が完遂された後のみにB1−B3残基のトリプシン性除去が起こると特定するため、これら折り畳み及び対形成の工程におけるB1−B3残基の重要な役割は保持される。さらに、このアームは受容体結合または生物学的活性には必要とされないため、皮下注射によるまたは外部もしくは内部ポンプを用いる継続的注入による糖尿病の治療法として意図される成熟類似体産物からは除去されてもよい。
我々は、B1−B3区域がトリプシン消化によりインスリンglulisine([LysB3、GluB29]−インスリン、Apidra(登録商標)の有効成分)から容易に除去され、des−[B1−B3]−des−[B23−B30]−インスリンを生成しうることを発見した。後者の種は、過剰量のオクタペプチドGFFYTPOT(配列ID番号:10)の存在下でのトリプシン媒介性半合成による、des−[B1−B3]−OrnB29−インスリンの半合成のための出発物質を提供することが分かった。Oはオルニチン(Orn)を表わす。存在するいくつかのインスリン類似体のいずれにおいても、本発明のN末端B鎖欠損がなされうることもまた想定される。例えば、B1−B3区域が、インスリンlispro([LysB28、ProB29]−インスリン、本明細書ではKP−インスリンと略される)、インスリンaspart(AspB28−インスリン)から、これらの製品の類似体またはB3においてLysもしくはArgを含有する対応する単鎖前駆体を介して、除去されうる。これらの類似体は米国特許第5,149,777号、及び第5,474,978号において開示される。これらの類似体はそれぞれ、速効性インスリンとして既知である。
ヒトプロインスリンのアミノ酸配列が、比較目的で配列ID番号:1として提供される。
配列ID番号:1(ヒトプロインスリン)
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr−Arg−Arg−Glu−Ala−Glu−Asp−Leu−Gln−Val−Gly−Gln−Val−Glu−Leu−Gly−Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Ser−Leu−Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Ser−Leu−Gln−Lys−Arg−Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn
ヒトインスリンのA鎖のアミノ酸配列は、配列ID番号:2として提供される。
配列ID番号:2(ヒトA鎖)
Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn
ヒトインスリンのB鎖のアミノ酸配列は、配列ID番号:3として提供される。
配列ID番号:3(ヒトB鎖)
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr
ヒトインスリンの前駆B鎖のアミノ酸配列は、位置B3においてリシン(Lys)またはアルギニン(Arg)、及び位置B29においては任意でグルタミン酸(Glu)の置換によって、改変されうる。そのような配列の例が、配列ID番号:4として提供される。
配列ID番号:4
Phe−Val−Xaa−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Xaa−Thr
[XaaはArgまたはLys。XaaはLysまたはGlu。]
位置B3においてArgまたはLysを含有する前駆体類似体または前駆単鎖インスリン類似体の折り畳み及びトリプシン消化の後、並びに改変型オクタペプチドを用いたトリプシン媒介性半合成の後、生じるdes−(B1−B3)改変は、配列ID番号:5〜7に提供されるように、B24などの他の位置における非標準型置換と任意で組み合わされてもよい。
配列ID番号:5
Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−Xaa−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Pro−Xaa−Thr
[XaaはPhe、Cha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。XaaはGlu、Lys、オルニチン、ジアミノ酪酸、ジアミノプロピオン酸、ノルロイシン、アミノ酪酸、またはアミノプロピオン酸。XaaはHis、Asp、Pro、またはGlu。]
配列ID番号:6
Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−Xaa−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Xaa−Pro−Thr
[XaaはPhe、Cha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。XaaはLys、Arg、Ala、Glu、Gln、またはVal。XaaはHis、Asp、Pro、またはGlu。]
配列ID番号:7
Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−Xaa−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Pro−Glu−Thr
[XaaはPhe、Cha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。XaaはHis、Asp、Pro、またはGlu。]
配列ID番号:5〜7により特定された変異型B鎖は、配列ID番号:8に示される、位置A8における置換を任意で含有するA鎖と組み合わせられてもよい。
配列ID番号:8(ヒトA鎖)
Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Xaa4−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn
[XaaはArg、Gln、Glu、His、Lys、またはThr。]
同時係属中の国際出願第PCT/US07/00320及び号及び米国出願第12/160,187号により十分に開示されるように、B1−B3残基の欠損は、A4、A8、及び/またはB1残基においてHis置換を含有するヒトインスリンの類似体との関連においても、また実行されうる。これらの出願の開示内容は、本参照により本明細書に組み込まれる。例えば、位置B3におけるArgまたはLysのトリプシン感受性置換は、配列ID番号:9により表わされるアミノ酸配列を有する単鎖インスリン類似体またはプロインスリン類似体中に、HisA8及び/またはHisB1置換とともに存在しうる。
配列ID番号:9
Phe−Val−Xaa−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Xaa−Xaa−Thr−Xaa−Gly−Ile−Val−Xaa−Gln−Cys−Cys−Xaa−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn
配列中、XaaはArgまたはLys。配列中、XaaはPhe、Cha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。配列中、XaaはPro、Lys、またはAsp。配列中、XaaはLysまたはPro。配列中、XaaはHisまたはGlu。配列中、XaaはHis、Lys、Arg、Glu、Gln、またはThr。配列中、Xaaは、0−34のあらゆるアミノ酸であり、あるいは、C末端残基がThrとなるようにアミノ酸鎖の中断である。また、配列中、XaaはGlu、His、Arg、またはLysである。
トリプシン媒介性半合成は、配列ID番号:10〜15の合成オクタペプチドを利用する。それらは、完全なインスリンの重要な受容体結合決定因子を含有し、トリプシン消化部位を含有しない特性を共有する。
配列ID番号:10
Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Orn−Thr
[配列中、Ornはオルニチンを表す]
配列ID番号:11
Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Glu−Thr
配列ID番号:12
Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Lys−Pro−Thr
配列ID番号:13
Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Lys−Pro−Thr
[配列中、XaaはCha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。]
配列ID番号:14
Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Pro−Orn−Thr
[配列中、XaaはCha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。]
配列ID番号:15
Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Pro−Glu−Thr
[配列中、XaaはCha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。]
配列ID番号:16
Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Asp−Xaa−Thr
[配列中、XaaはCha、ペンタ−フルオロ−Phe、2F−Phe、2−Cl−Phe、2−Br−Phe、4F−Phe、4−Cl−Phe、または4−Br−Phe。また配列中、Xaaは、オルニチン、ジアミノ酪酸、ジアミノプロピオン酸、ノルロイシン、アミノ酪酸、またはアミノプロピオン酸。]
B1−B3残基を欠乏するインスリンの類似体は、インスリンglulisine(配列ID番号:2及び配列ID番号:4、LysB3、GluB29)を出発物質として用いて調製された。この類似体の完全なトリプシン消化はdes−[B1−B3]−des−[B23−B30]−インスリンを生成し、これは逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製された。野生型インスリンの3つの天然型ジスルフィド架橋を含有するこの断片から、改変B23−B30ペプチド区域がトリプシン触媒性半合成により接合され、また高速液クロマトグラフィーにより精製された(Mirmira, R.G., and Tager, H.S., 1989. J. Biol. Chem. 264: 6349−6354.)。本プロトコルは、(i)(N)−GFFYTPTまたは(N)−GFFYTPT残基(置換は下線、それぞれ配列ID番号:10及び11)を表わす合成オクタペプチド、及び(ii)短縮型類似体des−トリペプチド[B1−B3]−des−オクタペプチド[B23−B30]−インスリン、またはGluA8−インスリン類似体の場合はGluA8−des−トリペプチド[B1−B3]−des−オクタペプチド[B23−B30]−インスリンを用いる。トリプシンは、Ornの後は切断しない。簡潔には、des−オクタペプチド(15mg)及びオクタペプチド(15mg)が、10mM酢酸カルシウム及び1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有するジメチルアセトアミド/1,4−ブタンジオール/0.2M酢酸トリス(pH8)の混合物(35:35:30、v/v、0.4mL)に溶解された。最終pH値は、10μLのN−メチルモルホリンを用いて7.0に調節された。その溶液は12℃にまで冷却され、1.5mgのTPCK−トリプシンが加えられ12℃で2日間放置された。24時間後、1.5mgのさらなるトリプシンが加えられた。反応は、0.1%トリフルオロ酢酸で酸性化され、分取逆相HPLC(C4)で精製された。マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI−TOF、Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いた質量分析は、それぞれの事例において予想された値を与えた(表示は無し)。固相合成用の概ねのプロトコルは、開示されている通りである(Merrifield et al., 1982. Biochemistry 21: 5020−5031)。9−フルオレン−9−イル−メトキシ−カルボニル(F−moc)で保護されたフェニルアラニン類似体は、Chem−Implex International(Wood Dale, IL)から購入された。
上記のプロトコルは、位置B29においてオルニチンまたはグルタミン酸を含有する、ヒトインスリンのdes−トリペプチド[B1−B3]類似体を調整するためにもまた用いられた。これらの類似体の調製方法は、位置28におけるプロリンを維持しつつ、B鎖のC末端オクタペプチド内に普通は存在するトリプシン感受性部位(つまり、LysB29とThrB30との間)を除去するために、位置29において非標準型アミノ酸置換を活用する。ProB28はインスリン六量体内の二量体境界面の安定性に貢献し、このため調製の本方法は、厄介な側鎖保護の必要なくその他の改変が簡便に組み込まれうる野生型インスリンの近同配体モデルを提供する。
円二色性(CD)スペクトルは、4℃及び/または25℃においてAviv分光偏光計を用いて得られた(Weiss et al., Biochemistry 39: 15429−15440)。試料は、50mMリン酸カリウム(pH7.4)中に約25μMのDKP−インスリンまたは類似体を含有した。試料は、25℃におけるグアニジン誘発性の変性実験のために、5μMまで希釈された。変性の自由エネルギーを取り出すため、Sosnick et al., Methods Enzymol. 317: 393−409により開示されているように、変性の変遷は、非線形最小二乗法により二状態モデルに当てはめられた。簡潔には、xが変性剤の濃度を表わすとして、CDデータΘ(x)が
Figure 2016506927
に従い非線形最小二乗法プログラムにより当てはめられた。式中、xはグアニジンの濃度であり、Θ及びΘは天然型及び変性型状態におけるベースライン値である。ベースラインは、前−及び後−転移線、Θ(x)=Θ H2O+mx及びΘ(x)=Θ H2O+mxに接近した。変異型変性転移を当てはめて得られたm値は、野生型変性曲線を当てはめて得られたm値よりも低い。完全に変性した状態からCDシグナルを測定することが不可能であることからこの差及びΔGの見かけの変化が生じるのかを調べるため、より高濃度のグアニジンにおけるプラトーCD値にデータが外挿されたシミュレーションが行われた。本質的には同一のΔG及びmの推定値が得られた。
相対活性は、125I−ヒトインスリンを用いた競合的置換測定法より測定される、野生型ヒトインスリンに対する類似体のホルモン−受容体解離定数の比として定義される。マイクロタイターストリッププレート(Nunc Maxisorb)は、4℃においてAU5 IgG(40mg/リン酸緩衝生理食塩水中mlが100μl/ウェル)とともに一晩放置された。結合データは、二点逐次モデルにより解析された。データは、非特異的結合(ヒトインスリン1μMの存在下での、膜に結合したままの放射能量)について補正がなされた。すべての分析において、競合するリガンドの非存在下で結合したトレーサーの百分率は、リガンド枯渇の人為的結果を回避するべく15%より低かった。代表的なデータは、図3Aに提供されている。I型IGF受容体(IGF−1R)を用いて行われた対応する分析は、図3Bに示される。
des−トリペプチド[B1−B3]類似体の遠紫外円二色性(CD)スペクトルは、親類似体のそれに類似する。25℃における変性の自由エネルギー(ΔG)は、二状態モデルに基づき、変性剤濃度ゼロに外挿して推定された。時間差は、無亜鉛のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で30℃において穏やかな攪拌とともに起こる、タンパク質フィブリル化の開始に必要とされる時間(日数)を表わす。
野生型インスリン及びOrnB29−インスリンのベースライン熱力学的安定性は、25℃での変性の二状態モデルから推測されるように、区別不可能である。それぞれ、3.5±0.1kcal/モル及び3.5±0.1kcal/モルである。CD検出性グアニジン変性実験は、OrnB29−インスリンでは、B1−B3残基の欠損は熱力学的安定性の小さな減少と関連することを示す。ΔG3.2±0.1kcal/モルで、ΔΔG0.3±0.2kcal/モルを示唆する。けれども、des−[B1−B3]類似体の物理的安定性は、穏やかな攪拌下30℃におけるpH7.4の300μmリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中での温置の間にトリプリケートで評価すると、野生型インスリンまたはOrnB29−インスリンのそれよりも大きいことが分かった。試料は、10日間、または沈殿の兆候もしくはガラス瓶の着霜が観察されるまで、観察された。野生型インスリンの3チューブ及びOrnB29−インスリンの3チューブは4日より早く曇ったが、des−[B1−B3]−OrnB29−インスリンの3チューブは少なくとも7日は澄んだままだった。des−[B1−B3]−GluB29−インスリンと[LysB3、GluB29]−インスリン(Apidra(登録商標)の有効成分)との間のフィブリル化の時間差の似たような比較は、B1−B3残基の除去が時間差を少なくとも2倍長くすることを示した。
解離定数(K)は、小さな改変を加えたマイクロタイタープレート抗体捕捉測定法において125I−TyrA14−インスリン(Novo−Nordiskにより好意で提供を受けた)及び精製可溶化インスリン受容体(アイソフォームBまたはA)を用いて、競合的置換測定法により、Whittaker及びWhittaker(2005.J. Biol. Chem. 280: 20932−20936)により開示されるように決定された。トランスフェクションされた受容体は、そのC末端においてFLAGエピトープ(DYKDDDDK)のトリプルリピートによりタグ付けされ、マイクロタイタープレートは抗FLAG M2モノクローナル抗体(Sigma)によりコーティングされた。競合するリガンドの非存在下で結合したトレーサーの百分率は、リガンド枯渇の人為的結果を回避するべく15%より低かった。結合データは、解離定数を得るため、異種競合モデルを用いて非線形回帰により解析された(Wang, 1995. FEBS Lett. 360: 111−114)。結果は表1に提供される。解離定数は、ナノモル濃度の単位で提供される。興味深いことに、B1−B3残基の除去は、受容体結合を少なくとも2倍増強させるようだ。
Figure 2016506927
図4を参照して、Glulisine−インスリン(Apidra(登録商標)、配列ID番号:2及び4、◆)及びdes−[B1−3]glulisineインスリン(配列ID番号:2及び5、■)が、HPLCにより精製され、粉末へと凍結乾燥され、それからインスリン希釈剤中に溶解された。雄Lewisラットに、時刻=0において、希釈剤100μl中0.875、3.5、または8.75mMのいずれかのglulisineまたはdes−[B1−3]glulisineが皮下注射された。高い方の用量は野生型インスリン用量反応曲線のプラトーにあり、低い方の用量は最大初期グルコース消失速度の約40%に相当する。ネガティブコントロールとしては、希釈剤単独の注射が行われた。各グループにおいて6匹のラットが実験に用いられた。血液は、時刻0から120分まで定期的な間隔で、切断された尾の先端から得られた。血糖は、Hypoguard Advance Micro−Drawメータを用いて測定された。血糖濃度は減少することが観察された。初期速度または持続期間のいかなる差も統計学的には有意でなかった。
患者を治療する方法は、当技術分野で既知であるまたは本明細書において開示される、短縮型des−トリペプチド[B1−B3]B鎖を含有するインスリン類似体を投与する工程を有する。天然型ジスルフィド対形成を実現させるための二本鎖または単鎖前駆ポリペプチドの折り畳みに続くそのトリプシン消化により、des−トリペプチド[B1−B3]−des−ペンタペプチド[B23−B30]−インスリンが容易に得られうることは、本発明のまた別の態様である。非標準型アミノ酸置換の利用が、無保護のオクタペプチドを用いるトリプシン媒介性半合成による迅速で効率の良いインスリン類似体の調製方法を可能にすることは、本発明のさらに別の態様である。
さらに別の実施例においては、インスリン類似体は外部または埋め込み型インスリンポンプにより投与される。本発明のインスリン類似体は、同時係属中の米国特許出願第12/419,169号においてより十分に開示されるB鎖のC末端とA鎖のN末端との間のなどのテザーなどの、他の改変を含有してもよい。その出願の開示内容は、本参照により本明細書に組み込まれる。
医薬組成物は、そのようなインスリン類似体を有してもよく、任意で亜鉛を含んでもよい。亜鉛イオンは、インスリン類似体の六量体あたり2.2から3.0の間のモル濃度比レベルで、そのような組成物に含まれてもよい。そのような製剤においては、インスリン類似体の濃度は一般に約0.1から約3mMの間であろう。インスリンポンプのリザーバーにおいては、最大3mMの濃度が使用されうる。摂食時インスリン類似体の改変型は、(a)Humulin(登録商標)(Eli Lilly and Co.)、Humalog(登録商標)(Eli Lilly and Co.)、Novalin(登録商標)(Novo−Nordisk)、Novalog(登録商標)(Novo−Nordisk)、及びヒトでの使用が現在承認されている他の速効性インスリン製剤の「標準」製剤、(b)上記及び他のインスリン類似体の「NPH」製剤、並びに(c)そのような製剤の混合物に対して開示されるように製剤化されうる。B1−B3残基を欠乏しかつGluB29を含有するインスリンの類似体は、当技術分野においてはインスリンglulisineの製剤に対して既知であるように、亜鉛イオン無しで製剤化されてもまたよい。
賦形剤は、グリセロール、グリシン、アルギニン、Tris、他の緩衝液及び塩、並びにフェノール及びメタクレゾールなどの抗微生物性保存剤を含みうる。後者の保存剤は、インスリン六量体の安定性を増大させることが知られている。そのような医薬組成物は、当該患者に生理学的に有効な量の組成物を投与することにより、糖尿病または他の医学的状態を有する患者を治療するのに用いられうる。
位置B3におけるArgまたはLysを位置B24における非標準型アミノ酸と共に伴うインスリンの少なくともB鎖をコードする配列を含有する、インスリン類似体をコードするポリペプチドをコードする配列を有する核酸もまた想定される。後者は、位置B24における終止コドン(アンバーコドンTAGなど)の導入、それと共に、サプレッサーtRNA(アンバーコドンが使用される場合のアンバーサプレッサー)及び対応するtRNA合成酵素により、実現しうる。以前に開示されたように、終止コドンに応答してポリペプチド中に非標準型アミノ酸を組み込むのである(Furter,1998.Protein Sci.7:419−426、Xie,et al.,2005.Methods.36:227−238)。具体的な配列は、核酸配列が導入されることになる種の、好んで用いられるコドン使用法に依存しうる。核酸はまた、野生型インスリンの他の改変をコードしてもよい。核酸配列は、ポリペプチドまたは改変プロインスリン類似体の至る所に無関係の置換または伸長を含有する、改変型AまたはB鎖配列をコードしてもよい。核酸はまた発現ベクターの一部であってもよく、またそのベクターは、E.coli細胞株のような原核生物宿主細胞などの宿主細胞、あるいはS.cereviciaeまたはPichia pastoris系統もしくは細胞株などの真核生物細胞株に挿入されても良い。
例えば、合成遺伝子は、酵母菌Pichia pastoris及び他の微生物においてB鎖ポリペプチドの発現を指揮するように合成されうることが想定される。位置B24においてその位置でシクロヘキサニルアラニンまたはPheのハロゲン誘導体を組み込むことを目的として終止コドンを用いるB鎖ポリペプチドのヌクレオチド配列は、以下のものまたはその変異型のいずれかでありうる。
(a)ヒトで好まれるコドンを用いて
TTTGTGXXXCAACACCTGTGCGGCTCACACCTGGTGGAAGCTCTCTACCTAGTGTGCGGGGAACGAGGCTAGTTCTACACACCCAAGACC
(配列ID番号:17)
[配列中、XXXは、AGG、AGA、CGGもしくはCGC(Argをコードする)、またはAAGもしくはAAA(Lysをコードする)。]
(b)Pichiaで好まれるコドンを用いて
TTTGTTXXXCAACATTTGTGTGGTTCTCATTTGGTTGAAGCTTTGTACTTGGTTTGTGGTGAAAGAGGTTAGTTTTACACTCCAAAGACT
(配列ID番号:18)
[配列中、XXXは、AGA、CGU、もしくはAGG(Argをコードする)、またはAAGもしくはAAA(Lysをコードする)。]
同様に、位置B3においてArgまたはLysをコードし、かつ位置B24においてその位置でシクロヘキサニルアラニンまたはPheのハロゲン化誘導体を組み込むことを目的として終止コドンを用いる、ヒトで好まれるコドンを有する完全長のプロインスリンcDNAは、配列ID番号:19の配列を有しうる。
TTTGTXXXCC AACACCTGTG CGGCTCACAC CTGGTGGAAG CTCTCTACCT AGTGTGCGGG GAACGAGGCT AGTTCTACAC ACCCAAGACC CGCCGGGAGG CAGAGGACCT GCAGGTGGGG CAGGTGGAGC TGGGCGGCGG CCCTGGTGCA GGCAGCCTGC AGCCCTTGGC CCTGGAGGGG TCCCTGCAGA AGCGTGGCAT TGTGGAACAA TGCTGTACCA GCATCTGCTC CCTCTACCAG CTGGAGAACT ACTGCAACTA G (配列ID番号:19)
[配列中、XXXは、AGG、AGA、CGGもしくはCGC(Argをコードする)、またはAAGもしくはAAA(Lysをコードする)。]
同様に、位置B24においてその位置でシクロヘキサニルアラニンまたはPheのハロゲン化誘導体を組み込むことを目的として終止コドンを用い、かつP. pastorisにより好まれるコドンを有する、完全長のヒトプロインスリンcDNAは、配列ID番号:20の配列を有しうる。
TTTGTTXXXC AACATTTGTG TGGTTCTCAT TTGGTTGAAG CTTTGTACTT GGTTTGTGGT GAAAGAGGTT AGTTTTACAC TCCAAAGACT AGAAGAGAAG CTGAAGATTT GCAAGTTGGT CAAGTTGAAT TGGGTGGTGG TCCAGGTGCT GGTTCTTTGC AACCATTGGC TTTGGAAGGT TCTTTGCAAA AGAGAGGTAT TGTTGAACAA TGTTGTACTT CTATTTGTTC TTTGTACCAA TTGGAAAACT ACTGTAACTA A (配列ID番号:20)
[配列中、XXXは、AGA、CGUもしくはAGG(Argをコードする)、またはAAGもしくはAAA(Lysをコードする)。]
遺伝コードにおいて同義であるならば、同じポリペプチド配列をコードするこれらの配列の他の変異型も可能である。
前述の開示に基づけば、今となっては、提供されたインスリン類似体が、本明細書で先に述べられた目的を成し遂げるであろうことが明らかであるはずだ。つまり、これらのインスリン類似体は、六量体解体による速効作用を保持し、かつ野生型インスリンの生物学的活性の少なくとも一部を維持しつつ、フィブリル化に対する増強された耐性を示す。従って、特許請求の範囲に係る発明の範囲内に明らかに入るいかなる変化、またゆえに特定の成分要素の選択は、本明細書で開示及び記述された本発明の真髄から逸れることなく決定されうると理解されるべきである。
本明細書において開示される試験及び分析法が当業者により理解されるであろうことを示すために、以下の文献が引用される。
Furter, R., 1998. Expansion of the genetic code: Site−directed p−fluoro−phenylalanine incorporation in Escherichia coli. Protein Sci.7:419−426.
Merrifield, R.B., Vizioli, L.D., and Boman, H.G. 1982.Synthesis of the antibacterial peptide cecropin A (1−33). Biochemistry 21: 5020−5031.
Mirmira, R.G., and Tager, H.S., 1989. Role of the phenylalanine B24 side chain in directing insulin interaction with its receptor: Importance of main chain conformation. J. Biol. Chem.264: 6349−6354.
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Wang, Z.X., 1995. An exact mathematical expression for describing competitive binding of two different ligands to a protein molecule FEBS Lett. 360: 111−114.
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Whittaker, J., and Whittaker, L. 2005. Characterization of the functional insulin binding epitopes of the full length insulin receptor. J. Biol. Chem. 280: 20932−20936.
Xie, J. and Schultz,P.G.2005. An expanding genetic code. Methods. 36: 227−238.

Claims (17)

  1. インスリン類似体であって、B1−B3残基を欠乏する短縮型インスリンB鎖ポリペプチドを有し、かつB鎖B23−B30区域内に少なくとも1つの他のアミノ酸置換または改変を選択的に含有する、インスリン類似体。
  2. 請求項1記載のインスリン類似体であって、さらに、Glu、Gln、His、Lys、またはArgの群から選択されるA8置換を有する、インスリン類似体。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項記載のインスリン類似体であって、GluB29置換を有する、インスリン類似体。
  4. 請求項1〜2のいずれか1項記載のインスリン類似体であって、OrnB29置換を有する、インスリン類似体。
  5. 請求項1記載のインスリン類似体において、前記類似体が哺乳類インスリンの類似体である、インスリン類似体。
  6. 請求項1記載のインスリン類似体において、前記類似体が哺乳類プロインスリンの類似体である、インスリン類似体。
  7. 請求項1記載のインスリン類似体であって、配列ID番号:5のポリペプチド配列を有する、インスリン類似体。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインスリン類似体をコードする核酸。
  9. 請求項7記載の核酸配列を有する発現ベクター。
  10. 請求項8記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
  11. 患者の血糖を低下させる方法であって、生理的に有効な量のインスリン類似体または生理的に許容可能なその塩を患者に投与する工程を有し、前記インスリン類似体または生理的に許容可能なその塩がB1−B3残基を欠乏するB鎖ポリペプチドを含有するものである、方法。
  12. 請求項10記載の方法において、前記インスリン類似体または生理的に許容可能なその塩が、さらに、B鎖B23−B30区域内に少なくとも1つの他のアミノ酸置換または改変を有するものである、方法。
  13. 請求項11記載の方法において、前記インスリン類似体または生理的に許容可能なその塩が、さらに、オルニチン置換及びグルタミン酸置換から選択されるB29位における置換を有するものである、方法。
  14. B1−B3残基を欠乏するインスリン類似体を調製する方法であって、B3位においてArgまたはLysを含有する折り畳まれた単鎖または二本鎖インスリン関連前駆ポリペプチドをトリプシン消化する工程であって、中間生成物des−トリペプチド[B1−B3]−des−ペンタペプチド[B23−B30]−インスリンを生成する、前記トリプシン消化する工程を有する、方法。
  15. 請求項14記載の方法であって、さらに、トリプシン触媒性半合成によって前記des−トリペプチド[B1−B3]−des−ペンタペプチド[B23−B30]−インスリンにB23−B30ペプチド区域を付加する工程であって、des−[B1−B3]インスリン類似体を生成する、前記付加する工程を有する、方法。
  16. 請求項14または15記載の方法において、前記折り畳まれた単鎖または二本鎖インスリン関連前駆ポリペプチドが配列ID番号:9のポリペプチドを有する、方法。
  17. 配列ID番号:4の配列を有するポリペプチド。
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