JP2016224290A - 偏光板用離型フィルム - Google Patents

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一弘 椚原
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Abstract

【課題】 例えば、高画質用のパネルに用いられる偏光板のクロスニコルによる自動検査において、異物等の欠点検出が容易となる離型フィルムを提供する。【解決手段】 粘着剤層を介して偏光板に貼り合わされる離型フィルムであり、当該離型フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層が設けられた構成からなり、偏光板を重ね合わせてクロスニコル状態にした際に、下記式(1)で示される、背景部と欠陥部における明度の比率が1.5〜3.5であることを特徴とする偏光板用離型フィルム。明度の比率=欠陥部の明度/(欠陥部の明度−背景部の明度) …(1)【選択図】 なし

Description

本発明は離型フィルムに関するものであり、特に自動検査機での欠点検出が容易な離型フィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種の用途において使用されている。
しかし、ポリエステルフィルムの優れた特性を出すためには、二軸延伸等による延伸工程が不可欠であり、その延伸による分子配向が偏光板用の離型フィルムに用いられた場合は、偏光板の検査性を悪くする場合がある。
近年、家庭用テレビや、各種コンピューター等の各種ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わり、そのLCDに関する技術は、更なる薄膜化、低消費電力、高画質化の技術進歩は著しい。特に高画質化は、汎用タイプのLCDとの差別化を図る技術として重要な位置を占めている。
特に、高画質化のためには、従来問題にならない欠点も問題となるため、LCD製造工程における異物の混入を防ぐ一方で、万一異物が混入した場合であっても欠陥として確実に認知できるような検査精度の向上が益々、重要となってきている。
例えば、偏光板の欠陥検査としては、クロスニコル法による目視検査が一般的であり、さらに40インチ以上の大型TV用途に使用する偏光板等では、クロスニコル法を利用した自動異物検査器による検査が実施されている。
当該検査方法によれば、2枚の偏光板をその配向主軸を直交させて消光状態とし、異物や欠陥があればそこが輝点として現れるので、目視による欠陥検査、または、ラインセンサカメラ等による自動欠陥検査ができる。
ここで、通常、偏光板には粘着剤層が設けられ、そのための離形フィルムとして離型層を設置したポリエステルフィルムが使用されている。かかる構成の製品を検査する場合、2枚の偏光板の間に離型ポリエステルフィルムが挟み込まれた状態でクロスニコル検査を実施することになる。
一般に、延伸されたポリエステルフィルムを用いた離型フィルムをこれに用いた場合には、クロスニコル法の検査において、ポリエステルフィルムの分子配向が影響し、異物や欠陥が見にくくなり、それらを見逃しやすくなるという不具合が生じる場合がある。
さらに、偏光板と貼りあわせた離型フィルムにおいて、構成部材である、ポリエステルフィルムのリタデーション値がある範囲内である場合に検査性が向上するといったもの(特許文献5参照)が開示されているが、近年、偏光板メーカーで裁断された偏光板をパネルメーカーに納入する方法から、偏光板メーカーよりパネルメーカーに偏光板をロール状態で納入するRoll to Panelと呼ばれる方法が提案されており、偏光板がRoll to Panelでパネルメーカーに納入される場合は、偏光板メーカーでの裁断品の目視検査が省略されるため、クロスニコルによる自動検査機の更なる精度向上が求められ、前記フィルムを使用しても、欠陥を確実に見いだすための検査精度が不十分な場合がある。
特開2011−152704号公報 特開2013−167894号公報 特開2004−341515号公報 特開2012−179870号公開 特開平7−101026号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、例えば、高画質用のパネルに用いられる偏光板のクロスニコルによる自動検査において、異物等の欠点検出が容易となる離型フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、粘着剤層を介して偏光板に貼り合わされる離型フィルムであり、当該離型フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層が設けられた構成からなり、偏光板を重ね合わせてクロスニコル状態にした際に、下記式(1)で示される、背景部と欠陥部における明度の比率が1.5〜3.5であることを特徴とする偏光板用離型フィルムに存する。
明度の比率=欠陥部の明度/(欠陥部の明度−背景部の明度) …(1)
本発明のフィルムは、偏光板がロールの状態で偏光板メーカーから、パネルメーカーに納入されるRoll to Panel方式の偏光板用に貼り合せる離型フィルムとして、クロスニコル検査機での欠点検出精度や、コストの優位性が高く、その工業的価値は高い。
本発明における、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
本発明における、離型フィルムの表面粗度(SRa)は、通常10〜30nm、好ましくは10〜20nmの範囲である。表面粗度(SRa)が10nm未満では、フィルム表面の突起が小さく、フィルムの滑り性が悪くなり、ロールで巻いた時の外観が悪くなったり、製膜工程でロールと接触した場合にフィルム表面が傷ついたりすることがある。離型層の表面粗度(SRa)が30nmを超えた場合は、離型フィルムを貼り合せた偏光板のクロスニコル検査機で、離型フィルムの表面突起が欠点として検出され、自動検査に支障をきたす恐れがある。
ポリエステルフィルム中に含有される粒子の平均粒径は、通常0.2〜1μmの範囲である。粒径が0.2μm未満の場合には、フィルム表面が平坦化し、フィルム製造工程における巻き特性が劣る傾向がある。粒径が1μmを超える場合には、偏光板離型用フィルムとして用いられた場合、フィルム表面の突起がクロスニコル検査機で欠点として検出され、自動検査に支障をきたす恐れがある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、3重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、用途上、取扱い性を良好とするために、30〜75μmの範囲であることが好ましい。フィルム厚みが30μm未満の場合には、偏光板の更なる薄膜化に伴い、フィル積層体としての強度が不足し、取扱い性が低下する場合がある。一方、75μmを超える場合には、コストパフォーマンスが悪くなったり、ロール状製品における巻長さの長尺化が困難となったりして、連続生産においてはロール状製品の交換頻度が増加して、作業性が低下する場合がある。
本発明は、クロスニコルによる自動検査での検査精度を向上させ、より高品質な偏光板を生産するためには、本発明の偏光板用離型フィルムを設けた偏光板を、クロスニコル状態に重ね合せた時の背景部と欠点部における明度の比率(下記式(1))を1.5〜3.5の範囲とする必要がある。
明度の比率=欠陥部の明度/(欠陥部の明度−背景部の明度) …(1)
背景部と欠点部の明度の比率が、上記範囲を外れた場合は、クロスニコル自動検査機での欠点検出能力が低くなり、欠点の少ない高品質の偏光板が得られない場合や、問題の無い、本来は検出する必要がないものまでを欠点として検出するため、偏光板の生産歩留が低下するようになる。
前記した、背景部と欠点部における明度を特定の範囲とするためには、例えば、離型フィルムに用いる基材の二軸ポリエステルフィルムの延伸条件をコントロールすればよい。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍、さらに好ましくは5.0〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
次に、本発明における離型フィルムを構成する離型層について以下に説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、本発明の主旨を損なわない範囲において、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、X−62−5039、X−62−5040、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコ−ニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常、0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量(乾燥後)が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていないフィルム面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
かくして得られた離型フィルムにおいて、離型フィルムを設けた偏光板を重ね合せたクロスニコル状態での、背景部と欠点部における明度の差を本発明の範囲とするためには、離型フィルムの配向主軸の傾き(配向角)を最適化することが好ましく、そのためには、離型フィルムにおいては、配向主軸の傾き(配向角)を通常8度以下、好ましくは6度以下とする。配向角が8度よりも大きい場合には、クロスニコル状態が不十分となり、クロスニコル状態での光漏れにより背景部が明るくなるため、欠点部の明度の差が小さくなる問題が生じることがある。
本発明の離型フィルムの配向主軸の傾き(配向角)の範囲を満足するための具体的手段として、例えば、製膜時の延伸条件において、生産性を損なわない範囲において、延伸倍率比、延伸温度を調整する等の手法が挙げられる。
次に本発明における離型フィルムの離型層と貼り合わされる粘着層について、以下に説明する。本発明における粘着層とは粘着性を有する材料から構成される層を意味し、本発明における主旨を損なわない範囲において、従来から公知の材料を用いることができる。具体例の一つとして、アクリル系粘着剤を使用する場合について、以下に説明する。
本発明において、アクリル系粘着剤とは、アクリル系モノマーを必須の単量体(モノマー)成分として形成されるアクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着層のことを意味する。当該アクリル系ポリマーは、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として(さらに好ましくは、主たるモノマー成分として)形成されるアクリル系ポリマーであることが好ましい。さらに、アクリル系ポリマーは、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
本発明における離型フィルムを用いた積層体を構成する粘着層厚みとして、作業性あるいは粘着性能を考慮し、5〜50μmの範囲であることが好ましい。粘着層厚みが5μm未満の場合、所望する粘着力を得るのが困難になり、本来、剥離する必要のない場面において、容易に剥離する等の不具合を生じることがある。一方、粘着層厚みが50μmをこえる場合には、粘着力が飽和状態であり、粘着剤層のはみ出し等、取扱い面で不具合を生じることがある。
本発明において、離型フィルムを貼りわさせる相手方の偏光板に関して、その厚みは、各種用途における薄型化、あるいは軽量化対応の観点より、通常100μm以下である。偏光板厚みの下限に関しては特に限定されるわけではないが、取扱い性等を考慮して、50μm以上とするのが好ましい。当該偏光板厚みが50μm未満の場合には取扱い性が困難になる場合がある。一方、100μmを超える場合には、用途により、薄型化、あるいは軽量化対応が困難になることがある。
次に本発明における偏光板の製造に関して以下に説明する。
本発明における偏光板は、従来公知の手法を採用して製造することができる。本発明においては、二色性色素を含有したポリビニルアルコール系樹脂のフィルム(偏光子と記載する場合がある。)の両面に接着剤層を介して、保護フィルムが貼り合わされた偏光板構成を具体例に挙げる
本発明において使用する偏光板を構成する偏光子に関しては、従来公知の手法を採用することができる。例えば、特許文献3に記載されているように、ポリビニルアルコール系樹脂のフィルムを膨潤させた後、ヨウ素、あるいは二色性染料などの二色性色素に染色しながら、延伸させることにより得ることができる。
本発明において、偏光板を構成する保護フィルムは、従来公知のフィルムを使用することができる。具体例として、富士写真フィルム社製フジタックシリーズ(TAC(トリアセチルセルロース)フィルム(TD40,TD40UF等))、コニカミノルタオプト社TAC(トリアセチルセルロース)フィルム(KC4UA、KC6UA、KC8UX2MW等)、オプテス社製ゼオノアシリーズ、JSR社製アートンシリーズ等が例示される。例えば、特許文献2に記載がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)中心面平均粗さ(SRa)の測定
3cm角のフィルム試料の表面にAl蒸着を行い、直接位相検出干渉法である、いわゆる2光束干渉法を用いた非接触3次元粗さ計(マイクロマップ社製512)で、測定波長:554nm、対物レンズ倍率:20倍の条件にて、突起高さ分布曲線より、232μm×177μmの測定領域におけるA面、およびC面の中心面平均粗さSRaを50点にわたり測定し、50点のSRa値を平均し、フィルムのSRaを算出した。
(4)離型フィルムの配向主軸の向き(配向角)の測定
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムの幅方向に対して何度傾いているかを測定し配向角とした。この測定を得られたフィルムの中央部と両端の計3カ所について実施し、3カ所の内で最も大きい配向角の値を最大配向角とした。
(5)欠点部と背景部の明度差
配向軸が直交するクロスニコル状態で重ね合せた2枚の偏光板(日東電工製:偏光度99.95%)の間に、偏光板のどちらか一方の配向軸と、フィルムの幅方向が直交する方向に離型フィルムを入れ、重ね合せた偏光板/離型フィルム/偏光板の片側より白色光を照射し、反対面側より写真撮影と目視検査を行った、
撮影した写真を、Image metrology社製画像解析ソフト SPIPVer6.3を用いて、欠陥部と背景部との明度を下記式(1)により算出した。
明度の比率=欠陥部の明度/(欠陥部の明度−背景部の明度) …(1)
上記(1)式において、この数値が大きくなるほど、背景部がぼやけて、欠陥が見にくくなる傾向にある。一方、この数値が1に近くなるほど、背景部の明度がはっきりしており、本来、見える必要のない欠陥までもが見えるようになる。
(6)偏光板生産時の検査性
(5)で実施した目視検査で、欠点と地合いの見え方を観察し、次のような基準で判断した。
《判定基準》
◎:欠点だけが明確に確認でき、偏光板生産工程の自動検査機で、高精度に欠点を検出できる
△:欠点だけでなく、離型フィルム表面突起の一部も確認でき、偏光板生産工程の自動検査機で、検査機の条件調整や場合によっては、目視検査が必要
×:欠点の検出ができず、離型フィルム表面突起と欠点の区別もできず、偏光板生産工程の自動検査機で、欠点検出能力が悪く、目視検査が必要
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
実施例1:
<ポリエステルの製造>
(ポリエステルAの製造)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後系内を常圧に戻し、実質的に微粒子を含まないポリエステルAを得た。このポリエステルの固有粘度は0.70であった。
(ポリエステルBの製造)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒子径0.7μmの合成炭酸カルシウム粒子を1.0部含有するエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、さらにエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻しポリエステルBを得た。得られたポリエステルBの合成炭酸カルシウム粒子含有量は1.0重量%であった。またこのポリエステルの固有粘度は0.65であった。
(ポリエステルCの製造)
ポリエステルBの製造方法において、平均粒子径0.70μmの合成炭酸カルシウム粒子に変えて、平均粒子径2.4μmのシリカ粒子を用いた以外は、ポリエステルBの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルCを得た。得られたポリエステルCのシリカ粒子含有量は1.0重量%であった。またこのポリエステルの固有粘度は0.65であった。
(ポリエステルDの製造)
ポリエステルBの製造方法において、合成炭酸カルシウム粒子に変えて、平均粒子径60nmのδ型の酸化アルミニウム粒子を用いた以外は、ポリエステルBの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルDを得た。得られたポリエステルDの炭酸カルシウム粒子含有量は1.0重量%であった。またこのポリエステルの固有粘度は0.65であった。
<ポリエステルフィルムの製造>
ポリエステルA〜Dを表1に示す配合比でA層、B層の混合原料とし、2台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(外層)、B層を中間層として、全厚みに対して、A層/B層/A層=8%/84%/8%の厚み比となるように、2種3層の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に2.9倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て125℃で5.4倍の横延伸を施した後、180℃で10秒間の熱処理を行い、その後160℃で幅方向に6.0%の弛緩を加え、幅4000mm、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。
<離型フィルムの製造>
得られた、厚さ38μmのポリエステルフィルムに、下記離型層組成を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるように、オフラインにて、リバースグラビアコート方式により、前記塗布層上に塗布した後、120℃、30秒間熱処理した。
(離型層組成)
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
実施例2〜3:
原料配合、製膜条件、フィルム厚みを表1記載のようにした以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムは、クロスニコル自動検査機の欠点検査で、欠点を高精度に検出し高品質で、コスト優位性に優れた偏光板の生産に適した離型フィルムであった。
比較例1〜4:
原料配合、製膜条件、フィルム厚みを表2記載のようにした以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムは、クロスニコル自動検査機の欠点検査精度が劣り、高品質な偏光板の生産には、不向きであった。
Figure 2016224290
Figure 2016224290
本発明のフィルムは、偏光板用離型フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 粘着剤層を介して偏光板に貼り合わされる離型フィルムであり、当該離型フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層が設けられた構成からなり、偏光板を重ね合わせてクロスニコル状態にした際に、下記式(1)で示される、背景部と欠陥部における明度の比率が1.5〜3.5であることを特徴とする偏光板用離型フィルム。
    明度の比率=欠陥部の明度/(欠陥部の明度−背景部の明度) …(1)
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