JP2016223954A - 貫通孔内遮蔽構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】貫通孔の形状を複雑にすることなく放射線を遮蔽するとともに、従来よりも円滑に空気等が流れる構造とし、さらに放射線照射装置から比較的近い位置に貫通孔が設置された場合であっても管理区域境界を拡張する必要がない貫通孔内遮蔽構造を提供する。
【解決手段】貫通孔内遮蔽構造は、貫通孔30における遮蔽構造である。貫通孔30は、放射線を利用する放射線施設を構成する外周壁20に設けられるもので、放射線施設内から外部まで貫通する「通し孔」である。貫通孔の中心軸、すなわち流路線形は、略直線(直線含む)である。貫通孔30内には、貫通軸方向に並ぶように2以上の遮蔽体40aが設置され、しかもこれらの遮蔽体は、貫通孔30を形成する内壁のうち上面と下面(あるいは左側面と右側面)に交互に配置される。
【選択図】図3

Description

本願発明は、放射線医療施設や、原子力施設、放射線を用いた研究施設など、放射線が発生する施設(以下、「放射線施設」という。)において放射線を遮蔽する技術に関するものであり、より具体的には、放射線施設に設けられる貫通孔から漏出する放射線を、遮蔽体を利用して遮蔽する貫通孔内遮蔽構造に関するものである。
放射線には、X線をはじめ、放射性物質の原子核が崩壊して放出されるアルファ線、ベータ線、ガンマ線、そして中性子線など、様々な種類があり、人体に影響を与える一方で、それぞれ医療分野等で有効利用されている。例えば、X線やガンマ線は癌を対象とした放射線療法に利用され、中性子線はやはり癌を対象とした中性子捕捉療法に利用されている。
ところで、放射線を利用する放射線施設は、外部に放射線が漏れないよう壁体等で閉鎖した構造とされるのが一般的である。図8は、放射線施設を説明するための図であり、(a)は放射線照射装置MCと貫通孔VPが比較的離れて配置される放射線施設を示す平面図、(b)は放射線照射装置MCと貫通孔VPが比較的近付いて配置される放射線施設を示す平面図である。この図に示すように放射線施設には、放射線を照射する放射線照射装置MCが設置され、また放射線施設の外周は、例えばコンクリート製の外周壁CWによって閉鎖されている。
放射線漏出を考えると放射線施設は完全に閉鎖されることが望ましいが、空気調和(以下、「空調」という。)換気のため、あるいは電気配線のため、外周壁CWの一部には外部まで貫通する貫通孔VPが設けられる。つまり、放射線施設は完全に閉鎖されるわけではなく、したがって放射線照射装置MCから照射された放射線が、貫通孔VPから外部へ漏出するおそれがあるわけである。そこで、放射線施設に設けられる貫通孔VPは、特別な形状とされることが多い。
図9は、放射線施設に設けられる貫通孔VPを説明するための図であり、(a)は従来の貫通孔VP設置位置における外周壁CWの鉛直断面図であり、(b)は従来の貫通孔VP設置位置における外周壁CWを放射線施設内から見た正面図である。なお、図9(a)の左側に示すように、貫通孔VPの放射線施設側を入口ENとし、図9(b)の右側に示すように、貫通孔VPの外部側を出口EXとする。
図9に示すように、従来の貫通孔VPは迷路状の複雑な形状をなしている。これは、図9(b)から分かるように、入口ENから出口EXが直視できない構造としたものであり、この効果により、放射線が貫通孔VPを通じて外部へ漏出することを防いでいる。
しかしながら図9に示すような複雑な形状の貫通孔VPは、外周壁CWの欠損ボリューム(体積)が大きくなり、構造的な補強を行うため相当の補強筋を設置する必要があった。また、図9(a)の形状を完成させるためには、相当の補強筋の組立工に加え、複雑な箱抜き工なども行わなければならず、著しく施工性が悪かった。
そこで下記の特許文献1〜2では、貫通孔VPの形状をそれほど複雑にすることなく、放射線を遮蔽する技術を提案している。
登録実用新案公報第3003656号 特開昭57−066394号公報
特許文献1で提案される技術は、ダクトスリーブ内に純ポリエチレン製又はボロン添加ポリエチレン製のスクリューを嵌め込むことで、中性子を遮蔽するものである。一方の特許文献2で提案される技術は、空調ダクトの途中に遮蔽体を設置するものである。この遮蔽体は、ポリエチレンチップを充填した金網と、ボロン化合物等を含有する遮蔽物(球体あるいは不織布)からなるもので、これらポリエチレンやボロンの効果により中性子を遮蔽する。特許文献1、特許文献2ともに、図9に示すような複雑な形状のダクト(貫通孔VP)とする必要がないため、大きな部材欠損による構造上の不利や施工性の悪さといった問題は回避されている。
しかしながら特許文献1と特許文献2で提案される技術は、いずれも種々のガス(以下、「空気等」という。)の流れを著しく阻害する構造となっている。特許文献1のスクリューは、空気等の流れを正面に受けるよう設置されるため、少なくともスクリュー配置部分ではそれ以上空気等が進むことはない。また、特許文献2の遮蔽体は、「エア流通が可能な程度」としているものの、金網の目にポリエチレンチップと遮蔽物を詰めることから、空気等の流通面積は相当に小さくなっており、極めて空気等が流れにくい構造である。これらの技術は、ダクトから漏出する中性子を遮蔽することができるものの、ダクト本来の性能が著しく劣化するという問題を抱えている。
一方、従来の放射線遮蔽技術には別の問題があることも指摘できる。図8(a)を見ると、貫通孔VPが放射線照射装置MCから十分離れた位置で設置されている。この場合の管理区域境界は、放射線施設の外周と略同じ位置(あるいは若干の余裕をもって広げた位置)で設定することができる。ところが図8(b)では、柱が障害となって放射線照射装置MCから比較的近い位置に貫通孔VPが設置されており、この場合、管理区域境界は、図8(a)よりも広い範囲で、あるいは一部を拡張して設定しなければならない。これでは、意匠設計上の不利が生じる場合がある。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、貫通孔VPの形状を複雑にすることなく放射線を遮蔽するとともに、従来よりも円滑に空気等が流れる構造とし、さらに放射線照射装置MCから比較的近い位置に貫通孔VPが設置された場合であっても管理区域境界を拡張する必要がない貫通孔内遮蔽構造を提供することである。
本願発明は、直線形状の貫通孔内に、空気等の流線に対して障害とならない形状の遮蔽体を設置することで、空気等を円滑に流通させると同時に放射線を効果的に遮蔽するという点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、貫通孔における遮蔽構造である。なお、貫通孔は、放射線を利用する放射線施設を構成する外周壁に設けられるもので、放射線施設内から外部まで貫通する「通し孔」である。また貫通孔の中心軸(以下、「貫通軸」という。)、すなわち流路線形は、略直線(直線含む)である。貫通孔内には、貫通軸方向に並ぶように2以上の遮蔽体が設置され、しかもこれらの遮蔽体は、貫通孔を形成する内壁のうち上面と下面(あるいは左側面と右側面)に交互に配置される。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、断面形状が半円である半円筒形、又は断面形状が台形である角柱形の遮蔽体を設置したものとすることもできる。この場合、遮蔽体の半円面又は台形面が、貫通孔の貫通軸方向と略平行(平行含む)となる姿勢で設置される。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、上下(あるいは左右)から突出する遮蔽体の一部が重複するものとすることもできる。具体的には、上下(あるいは左右)から突出する遮蔽体を、貫通孔の貫通軸直角方向の断面に投影したとき、それぞれ遮蔽体の一部が重なるように設置される。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、ポリエチレン又はホウ素含有物による密実体の遮蔽体を設置したものとすることもできる。遮蔽体をポリエチレン製あるいはホウ素含有物生とすることで、放射線のうち特に中性子線を利用する放射線施設に有効となる。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、鉄又はコンクリートといった重量物による密実体の遮蔽体を設置したものとすることもできる。遮蔽体を重量物とすることで、放射線のうち特にガンマ線や中性子線を利用する放射線施設に有効となる。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造には、次のような効果がある。
(1)貫通孔を直線形状とすることができることから、大きな部材欠損による構造上の不利もなく、極めて容易に施工することができる。
(2)放射線を効果的に遮蔽することができるため、貫通孔が放射線照射装置の近くにあっても、管理区域境界を拡張する必要がない。
(3)図8(a)に示すように、入り口ではない孔脇から、つまり外周壁を通過して貫通孔に入射する放射線に対しても的確に遮蔽することができる。
(a)は放射線施設を説明する平面図、(b)は放射線施設を構成する外周壁のうち貫通孔設置位置における鉛直断面図。 (a)は半円筒形の遮蔽体を示す斜視図、(b)は角柱形の遮蔽体を示す斜視図。 (a)は半円筒形の遮蔽体が上下に設置された貫通孔の鉛直断面図、(b)は半円筒形の遮蔽体が上下に設置された貫通孔を放射線施設の室内側から見た鉛直断面図。 貫通孔に角柱形の遮蔽体が上下に設置された外周壁の鉛直断面図。 (a)は円筒形の遮蔽体が左右に設置された貫通孔の水平断面図、(b)は円筒形の遮蔽体が左右に設置された貫通孔を放射線施設の室内側から見た鉛直断面図。 貫通孔の寸法と遮蔽体の曲がり半径によって設定される局所抵抗係数を示す説明図。 本願発明の遮蔽体を設置した場合とガラリを設置した場合の圧力損失を、種々の流過速度で計算した結果を示す説明図。 (a)は放射線照射装置と貫通孔が比較的離れて配置される放射線施設を示す平面図、(b)は放射線照射装置と貫通孔が比較的近付いて配置される放射線施設を示す平面図。 (a)は従来の貫通孔設置位置における外周壁の鉛直断面図、(b)は従来の貫通孔設置位置における外周壁を放射線施設内から見た正面図。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
(放射線施設)
既述のとおりここでいう放射線施設10とは、放射線医療施設や、原子力施設、放射線を用いた研究施設など、放射線が発生する施設である。図1は、この放射線施設10を説明する図であり、(a)は放射線施設10の平面図、(b)は放射線施設10を構成する外周壁20のうち貫通孔30設置位置における鉛直断面図である。
図1(a)に示すように、放射線施設10の周囲は外周壁20で囲まれ、その囲まれた空間(以下、「室内」という。)には放射線を照射する照射装置MCが設置されている。外周壁20は鉄筋コンクリート構造とされるのが一般的であるが、もちろん他の建築構造を利用した外周壁20とすることもできる。また、照射装置MCから照射方向(図中の矢印方向)を見たとき、直視できない位置に貫通孔30が設けられている。この貫通孔30は、空調ダクトや換気用ダクト、あるいは電気配線のために設けられる空間であり、図1(b)に示すように外周壁20をくり抜いた「通し孔」である。
貫通孔30は、放射線施設10の室内にある「入口31」から外部に接する「出口32」へと繋がる空間であり、つまり照射装置MCからの放射線はここを通って外部へと漏出するおそれがある。なお、図1(b)から分かるように貫通孔30は、断面寸法に比して軸方向寸法が大きい(長い)、いわゆる筒状を呈しており、例えば上下及び左右の4つの内壁で内部空間を形成するもの、あるいは円形の内壁で内部空間を形成するものとすることができる。また、貫通孔30が筒状を呈していることから、その断面中心を貫く「貫通軸」を設定することができる。そして、本願発明の貫通孔内遮蔽構造を構成する貫通孔30は、その貫通軸が略直線(直線含む)となっているのが一つの特徴である。
(遮蔽体)
図2は、本願発明の貫通孔内遮蔽構造を構成する遮蔽体40を説明する図であり、(a)は半円筒形の遮蔽体(以下、「円形遮蔽体40a」という。)を示す斜視図であり、(b)は角柱形の遮蔽体(以下、「角形遮蔽体40b」という。)を示す斜視図である。この図に示すように遮蔽体40は、同じ断面形状が軸方向に連続する柱状であり、円形遮蔽体40aは断面形状が半円である半円筒形で、角形遮蔽体40bは断面形状が台形である角柱形である。
後に説明するように遮蔽体40は、貫通孔30を構成する内壁に設置される。このとき、図2に示すように、遮蔽体40の断面の向きが貫通軸方向と略平行(平行含む)となるよう設置される。つまり、貫通孔30を流過する空気等は、遮蔽体40の断面形状を乗り越えるように流れていく。貫通孔30内における空気等の流れは円滑であることが望ましいケースが多く、したがって貫通孔30は円滑な流れを阻害しないものとするのがよい。そこで、本願発明に用いられる遮蔽体40は、その断面形状を半円あるいは台形としているわけである。もちろん、空気等を円滑に流過させる形状であれば、円形や台形に限らず、他の断面形状とした遮蔽体40を採用することもできる。
どころで、ポリエチレンやホウ素(特に10B)には、熱中性子をはじめとする低エネルギーの中性子と大きく反応する性質があることが知られている。したがって、特に中性子線が使用される放射線施設10には、ポリエチレン又はホウ素含有物を材料として使用した遮蔽体40を採用すると良い。この場合、より多くのポリエチレンやホウ素を含有させるため、遮蔽体40は内部が中空ではない「密実体」とするとよい。
一方、ガンマ線をはじめとする多くの放射線は、衝突した物質内にある電子を弾き飛ばして電離させ、全てのエネルギーが消費されたとき放射線はその物体に留まる。つまり、多くの電子を有する物体ほど放射線を留めやすく、換言すれば、物質の質量が大きいほど放射線を留めやすい。したがって、特にガンマ線等が使用される放射線施設10には、鉄やコンクリートといった重量物(単位体積重量が大きい)とされる材料を使用した遮蔽体40を採用すると良い。この場合も、より重量をかせぐため、遮蔽体40は密実体とするとよい。
(全体構造)
図3は、貫通孔30内に円形遮蔽体40aを上下に設置した状態を説明する図であり、(a)は円形遮蔽体40aが設置された貫通孔30の鉛直断面図、(b)は円形遮蔽体40aが設置された貫通孔30を放射線施設10の室内側から見た鉛直断面図であり、図3(a)に示すX−X矢視の断面図である。
図3(a)に示すように、複数の円形遮蔽体40aが貫通孔30の内壁に設置される。この図では、上面の内壁に2個、下面の内壁に1個、合計3個の円形遮蔽体40aが設置されている。もちろん、2個の円形遮蔽体40aを設置することも、4個以上の円形遮蔽体40aを設置することもできる。いずれにしろ2以上の円形遮蔽体40aが貫通軸方向に並べられ、しかも上下交互に設置される。この図では、入口31から出口32に向かって上面〜下面〜上面の順とされているが、もちろん下面〜上面〜下面の順とすることもできる。なお、既に述べたように円形遮蔽体40aは、その断面の向きが貫通軸方向と略平行となる姿勢で配置される。図3(a)から分かるように、円形遮蔽体40aの断面形状の効果によって、空気等は貫通孔30を円滑に流過することができる。
また、図3(b)に示すように、入口31や出口32から貫通孔30を貫通軸方向に見たとき、上側の円形遮蔽体40aの一部(下部)と、下側の円形遮蔽体40aの一部(上部)が重なるように設置される。言い換えれば、上側の円形遮蔽体40aと下側の円形遮蔽体40aを、それぞれ貫通孔30の貫通軸直角方向の断面に投影すると、上下から突出する円形遮蔽体40aの一部が重なるように設置される。このように円形遮蔽体40aの一部が重複する配置とすることで、図3(b)から分かるように、照射装置MCからの放射線は確実に円形遮蔽体40aに衝突し、この結果、放射線を遮蔽することができる。
図3では貫通孔30内に円形遮蔽体40aを設置した場合を示しているが、もちろん図4に示すように角形遮蔽体40bを貫通孔30内の内壁に設置することもできる。この場合も、複数の角形遮蔽体40bが上下交互となるよう貫通軸方向に並べられ、その断面の向きが貫通軸方向と略平行となる姿勢で配置され、さらに上下から突出する円形遮蔽体40aの一部が重なるように設置される。
また、図3や図4に示す上下交互配置に限らず、左右交互配置とすることもできる。図5は、貫通孔30内に円形遮蔽体40aを左右に設置した状態を説明する図であり、(a)は円形遮蔽体40aが設置された貫通孔30の水平断面図(上方から見た図)、(b)は円形遮蔽体40aが設置された貫通孔30を放射線施設10の室内側から見た鉛直断面図であり、図5(a)に示すY−Y矢視の断面図である。この図に示すように左右交互配置では、複数の円形遮蔽体40aが左側面の内壁と右側面の内壁に設置され、円形遮蔽体40aが左右交互となるよう配置される。この場合も上下交互配置と同様、複数の円形遮蔽体40aが貫通軸方向に並べられ、その断面の向きが貫通軸方向と略平行となる姿勢で配置される。また、入口31(出口32)から貫通孔30を貫通軸方向に見たとき、左側の円形遮蔽体40aの一部(右側部)と、右側の円形遮蔽体40aの一部(左側部)が重なるように設置される。
(解析結果)
本願発明者は、本願発明の効果を確認するための解析を行った。解析で設定した条件は以下に示すとおりである。
放射線施設:陽子線治療施設(平面形状は図1(a)のとおり)
貫通孔:断面600mm×600mmの矩形で、貫通軸は直線
遮蔽体:ポリエチレン製の円形遮蔽体40aを、上面に1個、下面に2個配置
解析手法:粒子・重イオン輸送計算コードPHITS(Particle and Heavy Ion Transport code System )による放射線シミュレーション解析
なおPHITSは、汎用の粒子・重イオン輸送のモンテカルロ計算コードの1つであり、放射線施設の許認可申請にも用いられる信頼性のある解析コードである。
上記条件のもと、遮蔽体40を設置した場合と、設置しない場合で、それぞれ貫通孔30の出口32における被ばく線量を計算したところ、次のような結果が得られた。
遮蔽体を設置した場合:71.7μSv/week
遮蔽体を設置しない場合:114.1μSv/week
一般に基準値としては100μSv/weekが採用され、すなわち本願発明の貫通孔内遮蔽構造は基準値を満たす程度に線量を低減することができ、その効果を確認することができた。
また、遮蔽体40を設置したとしても、空気等を円滑に流過できることを確認するため、貫通孔30における圧力損失についても計算した。なお、比較のため従来採用されるガラリを設置した場合も計算している。ここで計算に用いた空気等の流過速度は2.5m/sである。
(本願発明の遮蔽体を設置した場合)
遮蔽体40を設置した場合の圧力損失は、「最新 建築環境工学(田中俊六ら著)」によれば次の式により求められる。ここでは図3に示すように、略90度に曲がる遮蔽体40を3箇所設置した場合で計算する。
p=ζ×ρ×v÷2
ここで、Pは圧力損失(Pa)、ζは局所抵抗係数、ρは空気密度(kg/m)、vは流速(m/s)である。また局所抵抗係数ζは図6により求められ、貫通孔30の寸法を600mm×600mm、遮蔽体40の曲がり半径Rを350mmとすれば、局所抵抗係数ζは1.00である。ただし、遮蔽体40が遮蔽するため流路は半分になると仮定した。さらに、空気密度ρを1.2、空気等の流過速度vを2.5m/s(該当エリア通過時風速は6.0m/s)とすると、圧力損失Pは下記のとおり求められる。
p=1.0×1.2×6.0÷2×3箇所=64.8Pa
(ガラリを設置した場合)
ガラリを設置した場合の圧力損失は、次式により求められる。
△P=ζ・γ・v/2g
なお上式に用いられる各記号は、次のとおりであり、以下に示す数値は3層式のガラリを使用した場合の各値である。
P:圧力損失値(mmAq)
γ:空気密度(1.2kg/m
g:重力加速度(9.8m/s
v:空気等の流過速度(2.5m/s)
ζ:抵抗係数(有効開口面風速基準76.9) ζ=ζ・f
f:有効開口率(50%)
ζ:抵抗係数(ガラリ面風速基準19.23) α=1/√ζ
α:流量係数(0.114)
上記式により、ガラリを設置した場合の圧力損失Pは288.4Paとなる。
ここまで説明したように、空気等の流過速度vを2.5m/s(該当エリア通過時風速は6.0m/s)とした場合、本願発明の場合の圧力損失は64.8Paであり、ガラリを設置した場合は288.4Paである。なお、図7に示すように、流過速度を変えて計算してもやはり本願発明の場合の方が圧力損失は小さい。以上の結果から、本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、従来に比して著しく圧力損失が小さく、すなわち遮蔽体40を設置したとしても空気等が円滑に流過できることを確認した。
本願発明の貫通孔内遮蔽構造は、放射線療法や中性子捕捉療法、陽子線治療法等を実施する医療機関をはじめ、使用済み核燃料の保管施設や廃棄施設などで、特に有効に利用することができる。また、空調ダクトや換気ダクトのみならず、電気配線等のために設けられる貫通孔にも利用することができる。本願発明は、放射線を使用する施設が抱えている課題を解決するものであり、結果的に放射線の有効活用を促進することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
10 放射線施設
20 外周壁
30 貫通孔
31 (貫通孔の)入口
32 (貫通孔の)出口
40 遮蔽体
40a 円形遮蔽体
40b 角形遮蔽体
CW 外周壁
VP 貫通孔
EN (貫通孔の)入口
EX (貫通孔の)出口
MC 放射線照射装置

Claims (5)

  1. 放射線を利用する放射線施設を構成する外周壁に設けられ、外部まで貫通する貫通孔の遮蔽構造において、
    前記貫通孔の貫通軸は、直線又は略直線の線形であり、
    前記貫通孔内に、該貫通孔の貫通軸方向に並ぶ2以上の遮蔽体が設置され、
    2以上の前記遮蔽体は、前記貫通孔を形成する内壁のうち上面と下面に交互に配置され、又は左側面と右側面に交互に配置された、ことを特徴とする貫通孔内遮蔽構造。
  2. 前記遮蔽体は、断面形状が半円である半円筒形、又は断面形状が台形である角柱形であり、
    前記遮蔽体の半円面又は台形面が、前記貫通孔の貫通軸方向と平行又は略平行となる姿勢で、該遮蔽体が設置された、ことを特徴とする請求項1記載の貫通孔内遮蔽構造。
  3. 2以上の前記遮蔽体を、前記貫通孔の貫通軸直角方向の断面に投影すると、上下から突出する該遮蔽体の一部、又は左右から突出する該遮蔽体の一部が、重なっている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の貫通孔内遮蔽構造。
  4. 前記遮蔽体は、ポリエチレン又はホウ素含有物による密実体である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の貫通孔内遮蔽構造。
  5. 前記遮蔽体は、鉄又はコンクリートによる密実体である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の貫通孔内遮蔽構造。
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