JP2016223788A - 冷却ファン用音響診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも高精度な診断が可能な冷却ファン用音響診断装置を提供する。
【解決手段】マイクロフォン30は、加振器20によって冷却ファン2が加振されたときの冷却ファン2の動作音を測定する。メモリ48は、予め正常に動作している複数の同種の冷却ファンについて加振したときの冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルを表わす基準データを記憶する。診断部49は、診断対象の冷却ファン2について加振したときの動作音の信号のパワースペクトルを表わす診断データを求め、基準データと診断データとに基づいて、診断対象の冷却ファン2が異常であるか否かを診断する。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロフォン30は、加振器20によって冷却ファン2が加振されたときの冷却ファン2の動作音を測定する。メモリ48は、予め正常に動作している複数の同種の冷却ファンについて加振したときの冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルを表わす基準データを記憶する。診断部49は、診断対象の冷却ファン2について加振したときの動作音の信号のパワースペクトルを表わす診断データを求め、基準データと診断データとに基づいて、診断対象の冷却ファン2が異常であるか否かを診断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷却ファン用音響診断装置に関し、特に電気機器の冷却に使われる冷却ファンの劣化診断装置に関する。
冷却ファンが劣化すると、風量が減ったり、本来の寿命が大幅に短縮する。その結果、冷却ファンで冷却される機器が誤動作したり、機器が停止するなどの問題が発生する。そのため、保守作業者は、冷却ファンの音を聞いて冷却ファンの状態を診断する官能検査や、冷却ファンの回転数、風量、またはファンモータの電流値などの測定結果をもとに、ある基準値と比較して点検や冷却ファンの交換を行っている。冷却ファンの交換時期を予見し効率に作業を行うためには、比較的早い段階で冷却ファンの劣化の程度を精度よく発見できる診断装置が必要である。
従来から、冷却ファンの動作音をマイクロフォンで測定し、正常に動作している同種冷却ファンの音のパワースペクトルと比較し、共振周波数の出現位置やそのレベル差で冷却ファンのベアリングの異常や風量の異常を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1(特開平5−187971号公報)を参照)。
冷却ファン用のモータは回転負荷が小さいため、劣化の主要因は軸受け部の潤滑油の硬化であることが知られている。しかし、従来のように定常状態において冷却ファンが発する音を測定しそのデータと正常品データの差から冷却ファンの劣化を推定する方法では、十分劣化が進まないと劣化時に現れる軸受け部の硬化に関わる特徴的な信号の特徴を精度よく測定することが難しかった。
また、従来のように定常状態において冷却ファンが発する音を測定しそのデータと正常品データの差から冷却ファンの劣化を推定する方法では、一般に測定データはばらつくので、劣化程度が進み、異常信号が生じるまで判断ができない場合が生じ易いという問題がある。また、従来の方法では異常かどうかを判断しており劣化の進展度合いを判断できなかった。
それゆえに、本発明の目的は、従来よりも高精度な診断が可能な冷却ファン用音響診断装置を提供することである。
本発明の冷却ファン用音響診断装置は、冷却ファンを加振することが可能な加振器と、加振器によって冷却ファンが加振されたときの冷却ファンの動作音を測定する音測定装置と、予め正常に動作している複数の同種の冷却ファンについて加振したときの冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルを表わす基準データを記憶する記憶部と、診断対象の冷却ファンについて加振したときの動作音の信号のパワースペクトルを表わす診断データを求め、基準データと診断データとに基づいて、診断対象の冷却ファンが異常であるか否かを診断する診断部とを備える。
本発明によれば、加振することによって、劣化と相関が強いパワースペクトラムを顕在化できるので、従来よりも劣化に関わるパワースペクトラムの変化を検出することができるので、高精度な冷却ファンの劣化診断が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の音響診断システム100の構成を表わす図である。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の音響診断システム100の構成を表わす図である。
図1に示すように、音響診断システム100は、冷却ファン2と、冷却ファン2のモータに電圧を与える第1電源21と、冷却ファン2を冷却ファン2の軸方向に加振するための加振器20と、マイクロフォン30と、ビーコン31と、音響診断装置40と、表示部50とを備える、
加振器20は、例えば振動モータによって構成されるが、電磁アクチュエータ、またはスピーカなどの振動装置を用いてもよい。振動モータは1kHzなどの比較的高い振動を与えることができる。一方、電磁アクチュエータは、比較的低い周波数の振動を与えることができる。小型のファンモータでは振動モータでも加振できるが、比較的大型の冷却ファンでは加振動が大きい電磁アクチュエータを使うのが望ましい。振動を与えたとき音のスペクトラムに特徴的な変化が発生する周波数はファンモータの種類について異なるので、対象とする冷却ファンに対して適当な加振器を用いる。
加振器20は、例えば振動モータによって構成されるが、電磁アクチュエータ、またはスピーカなどの振動装置を用いてもよい。振動モータは1kHzなどの比較的高い振動を与えることができる。一方、電磁アクチュエータは、比較的低い周波数の振動を与えることができる。小型のファンモータでは振動モータでも加振できるが、比較的大型の冷却ファンでは加振動が大きい電磁アクチュエータを使うのが望ましい。振動を与えたとき音のスペクトラムに特徴的な変化が発生する周波数はファンモータの種類について異なるので、対象とする冷却ファンに対して適当な加振器を用いる。
表示部50は、診断結果を表示する。
音響診断装置40は、マイクロフォンアンプ42と、 フィルタ44と、 A/D変換器46と、診断の基準となるデータを保存するメモリ48と、診断部49とを備える。
音響診断装置40は、マイクロフォンアンプ42と、 フィルタ44と、 A/D変換器46と、診断の基準となるデータを保存するメモリ48と、診断部49とを備える。
マイクロフォン30は、冷却ファン2の表面近くで冷却ファン2の風があたらない場所に設置される。
マイクロフォン30の測定位置は、冷却ファン2上の予めマーキングされた位置の近傍である。
ビーコン31は、測定対象物の予め定められた位置に取り付ける。図1では、冷却ファン2上にマークした所定の位置に取り付けているが、マイクロフォン30で音が測定できる位置ならどこでもよい。例えば、冷却ファン2で冷却する装置に取り付けてもよい。ビーコン31は、マイクロフォン30に入力される音の振幅を補正するために設けられる。ビーコン31は、一定の振幅の音を出力する。ビーコン31から出力される音の周波数は一定であっても、あるいは一定でなくてもよい。
マイクロフォン30は、ビーコン31の音と冷却ファン2の動作音の両方を同時に受信しても、別々の時刻に受信するものとしてもよい。たとえば、マイクロフォン30は、先にビーコン31の音のみを受信し、その後に、冷却ファン2の動作音を受信するものとしてもよい。
診断部49は、MT(Mahalanobis Taguchi)法に基づいて、冷却ファン2の劣化を診断する。
メモリ48は、予め測定した音のスペクトラムで作った基準データのデータを記憶する。
基準データは、MT法により診断対象の冷却ファン2のマハラノビス距離(以下、MD(Mahalanobis Distance)値)を計算するための基準となるものである。MT法は、測定データの統計的ばらつきを考慮した方法で、多変量で記述される状態を基準にして、診断対象から得た診断データがこの基準データにどれだけ似ているかをMD値で表す方法である。基準データからMD値を計算する方法の詳細は、例えば参考文献(例えば、手島昌一、 長谷川良子、「入門MTシステム 」、 日科技連出版社、2008)に記載されている。
基準データは、多次元の統計データである。具体的には、基準データは、複数の良品の冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルにおける各周波数の強度を、ビーコン31の音の信号のパワースペクトルにおける同じ周波数の強度で規格化したものである。
基準データは、以下のようにして作成することができる。
マイクロフォン30が、加振器20で加振したときの良品の冷却ファンの動作音を測定する。
マイクロフォン30が、加振器20で加振したときの良品の冷却ファンの動作音を測定する。
マイクロフォンアンプ42がマイクロフォン30の信号を増幅し、フィルタ44がノイズを除去し、A/D変換器46がアナログ信号からデジタル信号に変換する。
診断部49は、A/D変換器46で得られたデジタルデータを高速フーリエ変換(以下、FFT)して、パワースペクトルを求める。
パワースペクトルの絶対値は、マイクロフォン30の設置位置により異なるので、ビーコン31の音のパワースペクトルで規格化する。
これらを多くの良品の冷却ファンについて行い、ガウス分布を仮定し各周波数に対してデータを規格化し、周波数ごとの基準データを作成する。作成した基準データは、メモリ48に保存する。複数の良品ついてのデータを用いることによって統計的なばらつきが考慮される。冷却ファンの種類によってパワースペクトルが違うので冷却ファンの種類ごとに基準データを作成する。
なお、診断部49が、FFTによってパワースペクトルを求める場合に、得られた音の時系列データのすべてに対してFFTを計算することによってパワースペクトルを求めることとしてもよい。あるいは、診断部49は、得られた音の時系列データを複数のデータに分割し、分割されたそれぞれに対してFFTを計算し、結果を平均することによってパワースペクトルを求めることもできる。
図2は、A/D変換器46の出力データの一例を示す図である。
図2の出力データをFFTすることによって、パワースペクトルを求めることができる。図3(a)は、新品の冷却ファンを加振しない場合のパワースペクトルの例を表わす図である。図3(b)は、新品の冷却ファンを160Hzで加振した場合のパワースペクトルの例を表わす図である。
図2の出力データをFFTすることによって、パワースペクトルを求めることができる。図3(a)は、新品の冷却ファンを加振しない場合のパワースペクトルの例を表わす図である。図3(b)は、新品の冷却ファンを160Hzで加振した場合のパワースペクトルの例を表わす図である。
図4(a)は、劣化品の冷却ファンを加振しない場合のパワースペクトルの例を表わす図である。図4(b)は、劣化品の冷却ファンを160Hzで加振した場合のパワースペクトルの例を表わす図である。
図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)を参照すると、加振によって、新品の冷却ファンではパワースペクトルに変化が現れるが、劣化品の冷却ファンではパワースペクトルに変化が現れない。この原因は、冷却ファンの劣化は軸受け部の潤滑油の硬化が主要因であるため、新品では軸方向に冷却ファンが動きやすく振動を吸収するのに対して、硬化すると振動を吸収しにくくなるためである。この変化はベアリング軸受けを使った冷却ファンより油を含芯したスリーブを使った冷却ファンで顕著に表れる。これはスリーブ軸受けの方がベアリング軸受けより、摩擦が生じる面積が大きいためである。
次に、MT法について説明する。
xijは、良品の冷却ファンiの動作音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度(振幅)をビーコンの音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度で除算した値とする。yiは、診断対象の冷却ファンの周波数fjの動作音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度(振幅)をビーコンの音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度で除算した値とする。ただし、i=1〜n、j=1〜mである。
xijは、良品の冷却ファンiの動作音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度(振幅)をビーコンの音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度で除算した値とする。yiは、診断対象の冷却ファンの周波数fjの動作音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度(振幅)をビーコンの音の信号のパワースペクトルの周波数fjの強度で除算した値とする。ただし、i=1〜n、j=1〜mである。
診断部49は、以下の手順でMD値を求める。
(1)ステップS1
xijを、以下のように規格化してXijとする。
(1)ステップS1
xijを、以下のように規格化してXijとする。
Xij=[xij-Mean(xij)]/σj・・・(1)
ただし、Mean(xij)はxijのiについての平均値、σjはxijのiについての標準偏差である。
ただし、Mean(xij)はxijのiについての平均値、σjはxijのiについての標準偏差である。
(2)ステップS2
Xijの相関係数から構成される相関行列Rを作成する。
Xijの相関係数から構成される相関行列Rを作成する。
(3)ステップS3
相関行列Rの逆行列Aを基準空間とする。
相関行列Rの逆行列Aを基準空間とする。
(4)ステップS4
以下の式に従って、MD値の2乗を求める。
以下の式に従って、MD値の2乗を求める。
YT=(y1, y2, ・・・ym)・・・(2)
MD2=YTAY/m・・・(3)
(5)ステップS5:
ステップ4の結果の平方根からMD値を求める。
MD2=YTAY/m・・・(3)
(5)ステップS5:
ステップ4の結果の平方根からMD値を求める。
次に、診断部49の診断方法について説明する。
図5は、複数の劣化品の冷却ファンおよび良品の冷却ファンに対して、MT法によりMDを求めた結果を表わす図である。図5において、横軸はMD値、 縦軸はその度数を表わす。図5に示すように劣化品の冷却ファンのMD値は、良品の冷却ファンのMD値よりも大きく、良品の分布より離れるという特性がある。
図5は、複数の劣化品の冷却ファンおよび良品の冷却ファンに対して、MT法によりMDを求めた結果を表わす図である。図5において、横軸はMD値、 縦軸はその度数を表わす。図5に示すように劣化品の冷却ファンのMD値は、良品の冷却ファンのMD値よりも大きく、良品の分布より離れるという特性がある。
定常運転状態でも、劣化が進むとパワースペクトルが変わり、新品のものと大きく変わるので、MD値は大きくなる。さらに、冷却ファンを加振すると、冷却ファンが加振しない場合と比べて、特徴的なスペクトル分布になる。即ち、早期に冷却ファンの劣化を顕在化できる。つまり、劣化時に現れる軸受け部の硬化に関わる特徴的な信号の特徴を精度よく測定することができる。
例えば、冷却ファンの交換となるMD値の目安を図5に示す閾値TH1に設定することができる。
診断部49は、診断対象の冷却ファン2のMD値が閾値TH1を超えると、冷却ファン2が劣化していると判断して、冷却ファン2の交換が必要である旨のメッセージを表示部50に表示する。
診断部49は、診断対象の冷却ファン2のMD値が閾値TH1を超えていないときでも、MD値と閾値TH1とを表示部50に表示することによって、交換までの余裕を検査員に知らせることもできる。
以上のように、本実施の形態の方法では、統計的なデータを使っているので、劣化の程度がばらついても精度の高い診断をすることができる。
[実施の形態1の変形例]
(1)パワースペクトル
実施の形態1では、パワースペクトルを計算するのにFFTを使ったが、自己回帰モデル(AR)からパワースペクトルを計算してもよい。
(1)パワースペクトル
実施の形態1では、パワースペクトルを計算するのにFFTを使ったが、自己回帰モデル(AR)からパワースペクトルを計算してもよい。
図6は、自己回帰モデルによって計算したパワースペクトルの例を示す図である。自己回帰モデルを適用することによって、FFTに比べて、パワースペクトルを滑らかにすることができる。
(2)ビーコン
実施の形態1では、ビーコン31は測定対象物の所定の位置に取り付けたが、冷却ファンが複数ある場合はいずれか1つに取り付けても、全ての冷却ファンに取り付けてもよい。あるいは、冷却ファン以外の位置に取り付けてもよい。マイクロフォン30による音の振幅は、測定位置によって変わるので、ビーコン31の強度で補正するが、ビーコンの周波数は重要な特徴を示すパワースペクトルの周波数の近傍に選ぶこともできる。これにより、測定位置による音測定のばらつきを小さくすることができる。
実施の形態1では、ビーコン31は測定対象物の所定の位置に取り付けたが、冷却ファンが複数ある場合はいずれか1つに取り付けても、全ての冷却ファンに取り付けてもよい。あるいは、冷却ファン以外の位置に取り付けてもよい。マイクロフォン30による音の振幅は、測定位置によって変わるので、ビーコン31の強度で補正するが、ビーコンの周波数は重要な特徴を示すパワースペクトルの周波数の近傍に選ぶこともできる。これにより、測定位置による音測定のばらつきを小さくすることができる。
(3)加振
実施の形態1では、冷却ファン2の軸方向に振動を加えたが、それ以外の方向から加えてもよい。例えば、冷却ファン2のモータ軸に対して垂直な方向から振動を与える。これにより他の共振モードを誘起することができるので、パワースペクトルが変化する。加振器としては大きな振動を与えることができる電磁アクチュエータを用いるのが望ましい。
実施の形態1では、冷却ファン2の軸方向に振動を加えたが、それ以外の方向から加えてもよい。例えば、冷却ファン2のモータ軸に対して垂直な方向から振動を与える。これにより他の共振モードを誘起することができるので、パワースペクトルが変化する。加振器としては大きな振動を与えることができる電磁アクチュエータを用いるのが望ましい。
(4)風量の測定
実施の形態1では、マイクロフォン30は、冷却ファン2の表面近くで冷却ファンの風があたらない場所に設置されるものとしたが、風があたる場所に設置されるものとしてもよい。マイクロフォン30に風を当てることにより、風の音の強度から風量を測定し、MT法のデータに加えることができる。
実施の形態1では、マイクロフォン30は、冷却ファン2の表面近くで冷却ファンの風があたらない場所に設置されるものとしたが、風があたる場所に設置されるものとしてもよい。マイクロフォン30に風を当てることにより、風の音の強度から風量を測定し、MT法のデータに加えることができる。
実施の形態1における良品の冷却ファンについての基準データを作成するときに、冷却ファン2が動作音を発していないときに、マイクロフォン30によって冷却ファン2から送られる風の音の強度が測定されて、基準データに加えられる。
また、実施の形態1における診断対象の冷却ファンについての診断データを作成するときに、冷却ファン2が動作音を発していないときに、マイクロフォン30によって冷却ファン2から送られる風の音の強度が測定されて、診断データに加えられる。
診断部49は、xim+1を良品の冷却ファンiから発せられる風の音の強度、ym+1を診断対象の冷却ファンから発せられる風の音の強度として、j=1〜mをj=1〜m+1に変更して、実施の形態1で説明したステップS1〜S5を実行することによって、MD値を求める。診断部49は、実施の形態1と同様に、求めたMD値が予め定めた、実施の形態1と異なる閾値を超えるときに、冷却ファン2に異常があると判断する。
また、2本のマイクロフォンを使い、一方を風があたる箇所に設置し、他方を風が当たらない箇所に設置して、同時に冷却ファンの動作音を取得することとしてもよい。両方のデータを用いてMT法により冷却ファンの診断を行なうことによって、精度を向上させることができる。
(5)MD値の閾値の設定
図7は、運転時間と冷却ファンの風量(%)のとの関係を定めたマップの例を示す図である。このマップは、複数の冷却ファンについて、温度と運転時間と風量とを調べることによって作成することができる。
図7は、運転時間と冷却ファンの風量(%)のとの関係を定めたマップの例を示す図である。このマップは、複数の冷却ファンについて、温度と運転時間と風量とを調べることによって作成することができる。
図8は、MD値と冷却ファンの風量(%)との関係を定めたマップの例を示す図である。図8のマップは、図7のマップから作成することが可能である。
たとえば、図7のマップにおいて、温度が30度、運転時間がt0、風量がX%である冷却ファンについて、実施の形態1と同様にして、加振器20、マイクロフォン30、ビーコン31、マイクロフォンアンプ42、フィルタ44、A/D変換器46、メモリ48内の基準データ、診断部49によって、基準データと診断データとの間のMD値を計算する。計算されたMD値がYのときに、図8のマップにおいて、温度が30度、MD値がY、風量がX%の点をプロットする。以上のようにして、MD値と風量(%)との関係を定めた図8のようなマップを得ることができる。
診断部49は、図8のマップを用いて、診断対象の冷却ファン2の劣化を診断する。ある温度Tのときに、風量がA%未満に達したときを寿命と定めたときに、図8のマップにおいて、温度の風量がA%に対応するMD値がBであるとする。
診断部49は、診断対象の冷却ファン2の診断データと基準データとの間のMD値を求め、求めたMD値がBを超えるときに、診断対象の冷却ファン2が寿命に達していると判定する。
なお、風量が低下した劣化した冷却ファンは、以下のようにして作ることができる。図9に示すように加速温度と90%期待寿命の関係を示すデータが冷却ファン2のモータではよく使われている。冷却ファンの劣化の主要因は潤滑油の硬化であることがよく知られている。(例えば、 J.Xiaohang Jinl、 Eden W. M. Mal、 Tommy W. S. Chow、 Michael Pecht、” An investigation into fan reliability”、 Prognostics & System Health Management Conference、 MU3274、(2012))。同様に、運転時間と風量低下の関係と、加熱時の運転時間と風量低下の関係を知ることができる。従って、熱加速をすることで比較的短時間で風量が低下した冷却ファンを作ることができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、診断部49は、MT法を用いて、冷却ファン2の劣化を診断したが、これに限定するものではない。
実施の形態1では、診断部49は、MT法を用いて、冷却ファン2の劣化を診断したが、これに限定するものではない。
本実施の形態の診断部49は、診断データを構成する各周波数でのパワースペクトルの変化を用いる。
図10は、運転時間に対する周波数ごとにパワースペクトルの振幅の変化を表わす図である。
例えば、冷却ファン2が劣化すると初期には現れていない周波数のパワースペクトルが増加するので、閾値とパワースペクトルの振幅とを比較することによって、冷却ファン2の劣化診断が可能となる。
診断部49は、いずれかの周波数において、診断データのパワースペクトルの振幅が予め定めた閾値を超えた場合に、冷却ファン2が劣化していると判断して、冷却ファン2の交換が必要である旨のメッセージを表示部50に表示する。
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3の音響診断システム200の構成を表わす図である。
図11は、実施の形態3の音響診断システム200の構成を表わす図である。
実施の形態3の音響診断システム200は、実施の形態1の音響診断システム100の構成要素に加えて、電流測定部60を備える。
電流測定部60は、冷却ファン2のモータに流れる電流を測定する。
実施の形態1における良品の冷却ファンについての基準データを作成するときに、マイクロフォン30によって冷却ファン2の動作音を収集している間に、冷却ファン2のモータに流れる電流が電流測定部60によって測定されて、基準データに加えられる。
実施の形態1における良品の冷却ファンについての基準データを作成するときに、マイクロフォン30によって冷却ファン2の動作音を収集している間に、冷却ファン2のモータに流れる電流が電流測定部60によって測定されて、基準データに加えられる。
また、実施の形態1における診断対象の冷却ファンについての診断データを作成するときに、マイクロフォン30によって冷却音の動作音を収集している間に、冷却ファン2のモータに流れる電流が電流測定部60によって測定されて、診断データに加えられる。
診断部49は、xim+1を良品の冷却ファンiに流れる電流の値、ym+1を診断対象の冷却ファンに流れる電流の値として、j=1〜mをj=1〜m+1に変更して、実施の形態1で説明したステップS1〜S5を実行することによって、MD値を求める。診断部49は、実施の形態1と同様に、求めたMD値が予め定めた、実施の形態1と異なる閾値を超えるときに、冷却ファン2に異常があると判断する。
これにより新品と劣化品の特徴量を示すデータ量が増えるので、MT法による精度が上がる。なお、特徴を増やすとMT法の精度が上がることは一般的によく知られている。
[実施の形態4]
図12は、実施の形態4の音響診断システム300の構成を表わす図である。
図12は、実施の形態4の音響診断システム300の構成を表わす図である。
実施の形態4の音響診断システム300は、実施の形態1の音響診断システム100の構成要素に加えて、第2電源22と、重畳部23とを備える。
第2電源22は、冷却ファン2のモータの電源電圧を変動させるための電圧を出力する。
重畳部23は、第2電源22で発生した電圧を、第1電源21で発生した正弦波電圧に重畳して冷却ファン2のモータに印加する。
通常は、第1電源21により印加される正弦波電圧により冷却ファン2は定常運転している。第2電源22によって正弦波電圧が変調されると、変調された電圧と相関した回転トルクが冷却ファン2に加わる。冷却ファン2の主要な劣化は軸受け部の摩擦増加である。従って、冷却ファン2のトルクを変動させることによって、冷却ファン2の回転数が変化し、これによって、冷却ファン2の回転音が変わる。
実施の形態1と同様にして、この回転音の信号に基づいて、冷却ファン2の劣化が診断される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 冷却ファン、20 加振器、21 第1電源、22 第2電源、23 重畳部、30 マイクロフォン、31 ビーコン、40 音響診断装置、42 マイクロフォンアンプ、44 フィルタ、46 A/D変換器、48 メモリ、49 診断部、50 表示部、60 電流測定部、100,200,300 音響診断システム。
Claims (7)
- 冷却ファンを加振することが可能な加振器と、
前記加振器によって前記冷却ファンが加振されたときの前記冷却ファンの動作音を測定する音測定装置と、
予め正常に動作している複数の同種の冷却ファンについて加振したときの前記冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルを表わす基準データを記憶する記憶部と、
診断対象の冷却ファンについて加振したときの動作音の信号のパワースペクトルを表わす診断データを求め、前記基準データと前記診断データとに基づいて、前記診断対象の冷却ファンが異常であるか否かを診断する診断部とを備えた、冷却ファン用音響診断装置。 - 前記診断部は、前記基準データと前記診断データとのマハラノビス距離が閾値を超えるときに、前記診断対象の冷却ファンが異常であると判断する、請求項1記載の冷却ファン用音響診断装置。
- 前記加振器は、前記冷却ファンの軸上で前記冷却ファンを加振する、請求項1記載の冷却ファン用音響診断装置。
- 前記冷却ファンのモータに流れる電流を測定する測定部を備え、
前記基準データは、前記予め正常に動作している複数の同種の冷却ファンのモータへ流れる電流値を含み、
前記診断データは、前記測定部によって測定された前記診断対象の冷却ファンのモータへ流れる電流値を含む、請求項1記載の冷却ファン用音響診断装置。 - 前記冷却ファンのモータに与える電圧を変調することが可能な電源を備え、
前記音測定装置は、前記冷却ファンのモータに印加される電圧が変調されている間に、前記加振器によって前記冷却ファンが加振されたときの前記冷却ファンの動作音を測定する、請求項1記載の冷却ファン用音響診断装置。 - 一定の音の振幅を出力するビーコンを備え、
前記基準データを構成する前記冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルが、前記ビーコンの音の信号のパワースペクトルで補正され状態で前記記憶部に記憶され、
前記診断部は、前記診断データを構成する前記冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトルを前記ビーコンの音の信号のパワースペクトルで補正する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却ファン用音響診断装置。 - 冷却ファンを加振する加振器と、
前記加振器による加振によって前記冷却ファンの動作音を測定する音測定装置と、
診断対象の冷却ファンの動作音の信号のパワースペクトル求め、いずれかの周波数における動作音の信号の強度が閾値を超えるときに、前記診断対象の冷却ファンが異常であると診断する診断部とを備えた、冷却ファン用音響診断装置。
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- 2015-05-27 JP JP2015107278A patent/JP2016223788A/ja active Pending
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