JP2016222807A - ポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]結晶性ポリ乳酸系樹脂を含む発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体において、
該発泡粒子成形体を構成する発泡粒子の平面視における数が、単位面積[cm2]当たり10個以上であり、発泡粒子成形体の見掛け密度[kg/m3]に対する引張強さ[kPa]の比(引張強さ/見掛け密度)が10[kPa・m3/kg]以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
[2]前記発泡粒子成形体が厚み10mm以下の薄肉部を有することを特徴とする前記1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
[3]前記見掛け密度が15〜250kg/m3であることを特徴とする前記1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
[4]前記発泡粒子の1個当たりの平均重量が0.1mg以上2mg未満であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
[5]型内成形に用いられる前記発泡粒子が、該発泡粒子1〜2mgを測定試料として、JIS K7122−1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、加熱速度10℃/minにて23℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に得られる1回目のDSC曲線と、次いで該融解ピーク終了時よりも30℃高い温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/minにて40℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/minにて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に得られる2回目のDSC曲線において、該1回目のDSC曲線には、2回目のDSC曲線の融解ピークの頂点温度を基準に、該基準の頂点温度よりも高温側(該基準の頂点温度を含まず)に頂点温度を有する融解ピークが実質的に現れない結晶構造を有すると共に、該発泡粒子の結晶化度が20%以上であり、且つ発泡粒子の表面に融着性向上層を有することを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」ともいう。)は、結晶性ポリ乳酸系樹脂を含む発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体であり、粒子径が小さな発泡粒子から形成されている。
該ポリ乳酸系樹脂は、乳酸に由来する成分単位を50モル%以上含むポリマーであることが好ましい。該ポリ乳酸系樹脂としては、例えば(a)乳酸の重合体、(b)乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、(c)乳酸と脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、(d)乳酸と脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、(e)乳酸と脂肪族多価アルコールとのコポリマー、(f)これら(a)〜(e)の何れかの組合せによる混合物等が包含される。また、該ポリ乳酸には、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ステレオブロックポリ乳酸と呼ばれるものも包含される。なお、乳酸の具体例としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はそれらの環状2量体であるL−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド又はそれらの混合物が挙げられる。
ここで結晶性ポリ乳酸とは、L−ラクチドまたはD−ラクチドを主成分とすることにより結晶性構造を有するものであって、下記測定方法により熱処理後に測定される吸熱量(Br:endo)が好ましくは25J/g以上のものをいい、より好ましくは30J/g以上、更に35J/g以上である。また、(Br:endo)の上限は、概ね70J/g、好ましくは60J/gである。
尚、ポリ乳酸と混合できる他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂以外のポリエステル系樹脂等が挙げられ、中でも脂肪族エステル成分単位を少なくとも35モル%含む生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。この場合の脂肪族ポリエステル系樹脂には、上記ポリ乳酸以外のヒドロキシ酸重縮合物、ポリカプロラクトン等のラクトンの開環重合物、及びポリブチレンサクシネート,ポリブチレンアジペート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)等の脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸との重縮合物等が挙げられる。
具体的には、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミドなどの芳香族モノカルボジイミド(例えば、ラインケミー社製Stabaxol 1−LF)、芳香族ポリカルボジイミド(例えば、ラインケミー社製Stabaxol P、ラインケミー社製Stabaxol P400など)、ポリ(4−4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)などの脂肪族ポリカルボジイミド(例えば、日清紡ケミカル(株)製カルボジライトLA−1)などが挙げられる。
これらの末端封鎖剤は単独で使用しても良く、あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
また、末端封鎖剤の配合量は、ポリ乳酸100重量部あたりに0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
前記添加剤の配合量は、添加剤の種類によっても異なるが、通常、基材樹脂100重量部に対して0.001〜20重量部、更に0.01〜5重量部とすることが好ましい。
なお、発泡粒子は後記ポリ乳酸系樹脂樹脂粒子を発泡させることにより得られるものであり、発泡粒子の1個当たりの平均重量は樹脂粒子1個当たりの平均重量と等しくなる。
結晶性ポリ乳酸系樹脂を含む発泡粒子においては、小粒子化した場合、二次発泡性と融着性とのバランスを両立することが特に難しく、二次発泡性を抑制しすぎると、発泡粒子は融着しても発泡粒子間に空隙が多く残ってしまい、二次発泡性が良すぎても、発泡粒子群を均一に加熱できず、また、成形可能な温度まで発泡粒子を加熱してしまうと気泡が破泡してしまうため、従来の技術では、小粒子径の結晶性ポリ乳酸系樹脂を含む発泡粒子を型内成形して、良好な発泡粒子成形体を得ることは困難であった。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置する。次に、同恒温室内にて、10日間放置した約500mlの発泡粒子群の重量W1(g)を測定し、重量を測定した発泡粒子群を金網などの道具を使用して温度23℃の水の入ったメスシリンダー中に沈める。次に、金網等の道具の体積を差し引いた、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積V1(L)を測定し、メスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1を容積V1で割り算(W1/V1)することにより見掛け密度を求める。この見掛け密度を1.6で割算して発泡粒子の嵩密度を求める。
このような発泡粒子の1回目のDSC曲線(I)に高温ピークが現れたり、現れなくなったりする現象は、樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得る際の熱履歴により形成される二次結晶に起因するものであると考えることができる。
また、本明細書において前記2回目のDSC曲線(I)における最も面積の大きな融解ピークの頂点温度、即ち融解ピークcの頂点温度をポリ乳酸系樹脂の融点(Tm)、融解ピークの高温側の裾がベースラインに戻った点の温度を融解終了温度(Te)とする。
結晶化度が小さすぎると、型内成形時にスチーム加熱により破泡しやすくなったり、発泡粒子成形体が得られても型内成形後の収縮が大きくなり、所望される寸法精度のものが得られないおそれがある。
結晶化度=[(Bf:endo)−(Bf:exo)]/93×100 (1)
ここで、(Bf:endo)は発泡粒子についての1回目のDSC曲線における総吸熱量であり、(Bf:exo)は発泡粒子についての1回目のDSC曲線における総発熱量である。
発泡粒子の発熱量(Bf:exo)は1回目のDSC曲線(II)の発熱ピーク(結晶化ピークと同義)の低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点cとし、発熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点dとして、点cと点dとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる発熱量を示す部分の面積から求められる値とする。また、発泡粒子の吸熱量(Bf:endo)は、1回目のDSC曲線(II)の融解ピーク(吸熱ピークと同義)の低温側のベースラインから融解ピークが離れる点を点eとし、融解ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点fとして、点eと点fとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる吸熱量を示す部分の面積から求められる値とする。但し、1回目のDSC曲線(II)におけるベースラインはできるだけ直線になるように装置を調節することとする。また、どうしてもベースラインが湾曲してしまう場合は、発熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図を行い、該湾曲した低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点c、発熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図を行い、該湾曲した高温側ベースラインへ発熱ピークが戻る点を点dとする。更に、融解ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図を行い、該湾曲した低温側のベースラインから融解ピークが離れる点を点e、融解ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図を行い、該湾曲した高温側ベースラインへ融解ピークが戻る点を点fとする。
発泡粒子を略二等分した切断面を顕微鏡で撮影した拡大写真に基づき、以下のとおり求めることができる。発泡粒子の切断面拡大写真において発泡粒子の一方の表面から他方の表面に亘って、気泡切断面の略中心を通る4本の線分を引く。ただし、該線分は、気泡切断面の略中心から切断粒子表面へ等間隔の8方向に伸びる放射状の直線を形成するように引くこととする。次いで前記4本の線分と交わる気泡の数の総数N(個)を求める。4本の各線分の長さの総和L(μm)を求め、総和Lを総和Nで除した値(L/N)を発泡粒子1個の平均気泡径とする。この作業を10個の発泡粒子について行い、各発泡粒子の平均気泡径を相加平均した値を発泡粒子の平均気泡径とする。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置し養生する。次に同恒温室内にて、嵩体積約20cm3の養生後の発泡粒子を測定用サンプルとし下記の通り水没法により正確に見かけの体積Vaを測定する。見かけの体積Vaを測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン株式会社製空気比較式比重計930により測定される測定用サンプルの真の体積Vxを測定する。そして、これらの体積Va及びVxを基に、下記の(2)式により独立気泡率を計算し、N=5の平均値を発泡粒子の独立気泡率とする。
独立気泡率(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (2)
ただし、
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積、即ち、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和(cm3)
Va:発泡粒子を、水の入ったメスシリンダーに沈めて、水位上昇分から測定される発泡粒子の見かけの体積(cm3)
W:発泡粒子測定用サンプルの重量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm3)
なお、融着性向上層は、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルアミド等の、発泡粒子を構成している結晶性ポリ乳酸系樹脂よりも、融点又は軟化温度の低い重合体により構成されていることが好ましい。発泡粒子への融着性向上層の形成方法は特に限定されるものではなく、発泡粒子の表面を融着性向上層で被覆してもよく、発泡前の樹脂粒子の表面を融着性向上層で被覆し、その樹脂粒子を発泡することにより発泡粒子の表面に融着性向上層を形成してもよい。
なお、融着性向上層を構成するポリ乳酸系樹脂の軟化点(B)は、発泡粒子の取り扱い性および得られる発泡粒子成形体の高温時の機械的強度の観点から、芯層を構成するポリ乳酸系樹脂の軟化点(A)との関係が上記範囲であると共に、50℃以上、更に55℃以上、特に65℃以上が好ましい。
発泡粒子の芯層を形成している樹脂と融着性向上層を形成している樹脂との重量比が前記範囲内にあることにより、発泡粒子間の融着強度が強くなることから、得られる発泡粒子成形体は機械的物性に特に優れたものとなり、また、発泡粒子の物性向上に寄与する発泡芯層の割合が大きくなることにより更に機械的物性に優れたものとなる。
なお、発泡粒子における発泡芯層を形成している樹脂と融着性向上層を形成している樹脂の重量比の調整は、後記ポリ乳酸系樹脂粒子(以下、樹脂粒子ともいう。)の芯層を形成している樹脂と融着性向上層を形成している樹脂の重量比を調整することにより行なわれる。
なお、該融着率は、発泡粒子成形体を破断した際の破断面発泡粒子の個数に基づく材料破壊率を意味し、融着していない部分は材料破壊せず、発泡粒子の界面で剥離する。なお、融着率の測定方法については後述する。
まず、本発明における発泡粒子の製造方法としては、押出発泡方法、ガス含浸予備発泡方法、分散媒放出発泡方法、或いはこれらの方法、原理を基本としたその他の発泡方法が挙げられる。
該芯層と融着性向上層とからなる樹脂粒子は、例えば、特公昭41−16125号公報、特公昭43−23858号公報、特公昭44−29522号公報、特開昭60−185816号公報等に記載された共押出成形法技術を利用して製造することができる。
該平均重量が軽すぎる場合には、樹脂粒子の製造が特殊なものになる。一方、該平均重量が重すぎる場合には、所望される薄肉部や嵌合部を得ることができなくなるおそれがある。
該樹脂粒子の形状は、円柱状、球状、角柱状、楕円球状、円筒状等を採用することができる。かかる樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子は、発泡前の樹脂粒子形状に略対応した形状となる。
分散媒放出発泡方法においては例えば前記樹脂粒子を耐圧容器内で分散媒及び物理発泡剤と共に分散させて加熱したり、或いは樹脂粒子を耐圧容器内で分散媒と共に分散させて加熱し、次いで物理発泡剤を上記耐圧容器内へ圧入したりすることにより、樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とする。次いで、該発泡性樹脂粒子を耐圧容器内よりも低い圧力下に分散媒と共に放出することにより発泡性樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得ることができる。
上記発泡助剤のうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンワックス、架橋ポリスチレン等が好ましく、更に、疎水性のポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
この場合には、ポリ乳酸系樹脂の加水分解を十分に抑制しつつ、見掛け密度の低下(発泡倍率の向上)及び気泡径の均一化を図ることができる。
なお、押出発泡法と比較して見掛け密度が低い発泡粒子を得ることができ、型内成形性に優れ、物性の良好な発泡粒子が得られるという観点から、発泡粒子の製法としては、上記のガス含浸予備発泡方法や分散媒放出発泡方法が好ましく、特に分散媒放出発泡方法が好ましい。
該分散剤としては、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン、マイカ、及びクレー等の無機物質や、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどの水溶性高分子保護コロイド剤が挙げられる。また、分散助剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤などを分散媒に添加することもできる。
これら分散剤は、樹脂粒子100重量部あたり0.05〜3重量部使用することができ、これら分散助剤は、樹脂粒子100重量部あたり0.001〜0.3重量部使用することができる。
なお、無機系物理発泡剤を主成分とするとは、全物理発泡剤100モル%中の無機系物理発泡剤が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含まれることを意味する。
例えば、従来公知の発泡粒子成形金型を用いる、圧縮成形法、クラッキング成形法、加圧成形法、圧縮充填成形法、常圧充填成形法(例えば、特公昭46−38359号公報、特公昭51−22951号公報、特公平4−46217号公報、特公平6−22919号公報、特公平6−49795号公報等参照)などが挙げられる。
多層樹脂粒子製造用の装置として、内径65mmの芯層形成用押出機および内径30mmの融着性向上層形成用押出機の出口側に多層ストランド形成用の共押ダイを付設した押出機を用いた。
芯層形成用押出機および融着性向上層形成用押出機に、それぞれ表1に示す芯層および融着性向上層を形成するための基材樹脂、末端封止剤としてのカルボジイミド(Bioamide100、ラインケミー製)を、表2に示す割合で、夫々の押出機に供給し、200〜220℃で溶融混練した。その溶融混練物を前記の共押ダイに導入してダイ内で合流して押出機先端に取り付けた口金の細孔から、芯層の側面に融着性向上層が形成された多層ストランドとして共押出し、共押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーで重量が表2に記載の重量となるように切断し、乾燥して多層樹脂粒子を得た。
なお、芯層のポリ乳酸系樹脂には気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(商品名:TFW−1000、(株)セイシン企業製)を含有量が1000重量ppmとなるようにマスターバッチで供給した。融着性向上層のポリ乳酸系樹脂にはフタロシアニングリーン系顔料を含有量が100重量ppmとなるようにマスターバッチで添加した。また、実施例7においては、融着性向上層に、ポリブチレンサクシネート(品名:ビオノーレ#1001、昭和電工(株)製、融点114℃)を30重量%配合した。
原料の結晶化度は前記方法により(1)式により算出した。
まず、前記のようにして得られた樹脂粒子1kgを分散媒としての水3Lと共に撹拌機を備えた5Lのオートクレーブ内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤として酸化アルミニウム0.45重量部、界面活性剤(商品名:ネオゲンS−20F、第一工業製薬社製、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を有効成分量として0.01重量部を添加した。次いで、二酸化炭素をオートクレーブ内の圧力が1.0MPa(G)となるまでオートクレーブ内に圧入した。そして、撹拌下で表1に示す発泡温度まで昇温し、表2に示す圧力になるまで二酸化炭素をさらに圧入し、表2に示す発泡温度で15分間保持した。その後、窒素にて背圧を加えながらオートクレーブ内の内容物を大気圧下に放出して表2に示す見掛け密度のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。なお、分散剤、界面活性剤の添加量(重量部)は、ポリ乳酸系樹脂粒子100重量部に対する量である。
また、得られた発泡粒子の諸物性を測定した。結果を表2に示す。
得られた発泡粒子を250mm×200mm×20mmの平板状成形体を成形するための型に充填し(クラッキング4mm)、スチーム加熱による加圧成形により型内成形を行なって平板状の発泡粒子成形体を得た。なお、実施例5においては、0.05MPa(G)の内圧を付与した発泡粒子を用いた。
加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを8秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、両面のドレン弁を閉止した状態で両面より8秒間、表3に記載の圧力のスチームにより加熱した。
また、同様にして、5mmの薄肉部を有する筐型成形体(外形寸法40mm×60mm×85mm)を成形するための型を用いて、発泡粒子成形体を得た。
このようにして得られた発泡粒子成形体について、諸物性を測定、評価した。結果を表3に示す。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置して養生する。次に、同恒温室内にて、約500mlの養生後の発泡粒子群の重量W1(g)を測定し、重量を測定した発泡粒子群を金網などの道具を使用して温度23℃の水の入ったメスシリンダー中に沈めた。次に、金網等の道具の水面下の体積を差し引いた、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の体積V1(L)を測定し、メスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1を体積V1で割り算(W1/V1)することにより見掛け密度(kg/cm3)を求めた。この見掛け密度を1.6で割算した値を発泡粒子の嵩密度(kg/cm3)とした。
前記の方法により測定した。
前記の方法により測定した。
前記の方法により測定した。
発泡粒子成形体の表面を観察し、4cm×4cmの正方形内に存在する発泡粒子数を求め、単位換算した。
これを5回繰り返して、1cm2内に存在する発泡粒子の相加平均値を求めた。
発泡粒子成形体の表面を肉眼で観察し以下の基準にて評価した。
◎:発泡粒子成形体の表面に粒子間隙が少なく凹凸がなく良好な表面状態を示す。
○:発泡粒子成形体の表面に粒子間隙および/又は凹凸がやや認められる。
△:発泡粒子成形体の表面に粒子間隙及び/又は凹凸が明らかに認められる。
×:発泡粒子成形体の表面に粒子間隙および/又は凹凸が著しい。
融着率は下記の方法により測定し評価した。発泡粒子成形体を折り曲げて破断し、破断面に存在する発泡粒子の数(C1)と破壊した発泡粒子の数(C2)とを求め、上記発泡粒子に対する破壊した発泡粒子の比率(C2/C1×100)を材料破壊率として算出した。異なる試験片を用いて前記測定を5回行いそれぞれの材料破壊率を求め、それらの算術平均値を融着率とした。
平板成形型の寸法に対する養生後の発泡粒子成形体の横方向の寸法変化を、下式にて求めた。
収縮率(%)=(1−(養生後の発泡粒子成形体の横方向の最小寸法(mm)/250mm))×100
発泡粒子成形体の重量を発泡粒子成形体の体積で割算することにより求めた。なお、発泡粒子成形体の体積は水没法によって求めた。
得られた発泡粒子成形体表面に皺、収縮があり、金型形状を保持していないものを不合格と判定し、×と記載した。発泡粒子成形体表面に皺や収縮がなく、金型形状を保持しているものを合格と判定し、○と記載した。
平板状の発泡粒子成形体から切出した測定試料(JIS K6251に規定するダンベル状1号、厚み10mm(片面に成形スキン付))を23℃、湿度50%の条件下、24時間放置後、JIS K6767(1999年)に準拠し、試験速度500mm/minで引張試験を5回実施し、切断にいたるまでの最大荷重から各試験片における引張強さを求め、それらの相加平均値として記載した。
引張強さ/見掛け密度は、引張強さ[kPa]を前記見掛け密度[kg/m3]で割算して求めた。
Claims (5)
- 結晶性ポリ乳酸系樹脂を含む発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体において、
該発泡粒子成形体を構成する発泡粒子の平面視における数が、単位面積[cm2]当たり10個以上であり、発泡粒子成形体の見掛け密度[kg/m3]に対する引張強さ[kPa]の比(引張強さ/見掛け密度)が10[kPa・m3/kg]以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
- 前記発泡粒子成形体が厚み10mm以下の薄肉部を有することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
- 前記見掛け密度が15〜250kg/m3であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
- 前記発泡粒子の1個当たりの平均重量が0.1mg以上2mg未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
- 型内成形に用いられる前記発泡粒子が、該発泡粒子1〜2mgを測定試料として、JIS K7122−1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、加熱速度10℃/minにて23℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に得られる1回目のDSC曲線と、次いで該融解ピーク終了時よりも30℃高い温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/minにて40℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/minにて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に得られる2回目のDSC曲線において、該1回目のDSC曲線には、2回目のDSC曲線の融解ピークの頂点温度を基準に、該基準の頂点温度よりも高温側(該基準の頂点温度を含まず)に頂点温度を有する融解ピークが実質的に現れない結晶構造を有すると共に、該発泡粒子の結晶化度が20%以上であり、且つ発泡粒子の表面に融着性向上層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体。
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