JP2016222756A - 粘性硬化剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの有機過酸化物は、使用目的及び使用温度によって区分されて用いられており、低温から常温の温度領域においては、しばしば芳香族アミン類等の硬化促進剤と併用されている。
棒状に成形され、かつ該棒状成形物の全表面に亘って樹脂被覆層を有してなる硬化剤と、
粘性液体樹脂、該粘性液体樹脂に混入される粒状石骨材、有機結合剤、希釈剤、及び過酸化物と、を、不透明な円筒状の管の中に充填し、該不透明な円筒状の管の口元部に透明なプラスチックキャップを密嵌してなる、ボルト固定用固着剤(特許文献3);
硬化性重合体系をマイクロカプセル化により多区分化し、かつこれらのマイクロカプセルを固定された三次元関係にある円筒配列として構成したアンカーボルトシール用カートリッジ(特許文献4);
等が知られている。これらのカプセルは、破砕された時に、カプセルの壁材がフレーク状の破片を形成するように構成され、このフレークを「静的攪拌機」として機能させることにより、重合系の均一を達成させるというものである。
また、注入型アンカー、充填剤、接着剤等の用途に用いるラジカル硬化性樹脂の硬化剤としては、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物を、例えばジブチルテレフタレートのような有機物から成る分散剤中に分散し、更に炭酸カルシウム等の希釈剤を配合した粘性液体状の硬化剤が一般的に使用されている。
この問題を解決するために、シリコーンオイル、流動パラフィン、特定の炭化水素化合物等を希釈剤として用いる粘性液体状の硬化剤が提案されている(特許文献5及び6)。しかしながら、これらの粘性液体状の硬化剤は、希釈剤として疎水性の高い化合物を使用しているため、コンクリート表面との接着性が十分でなく、特に、湿潤面への接着、アンカーの水孔施工等において、十分な性能を発揮できない場合がある。また、例えば、硬化剤として過酸化ベンゾイルを用いる場合、安全性のため水を含んだ状態から製造される。しかし、上記特許文献5及び6の硬化剤を製造する場合には、水を置換するための工程が複雑となり、コスト的に不利になる問題がある。
すなわち、本発明は以下の実施態様を開示するものである;
1.有機過酸化物、水、及び水に対して0.5〜10.0重量%の親水性合成スメクタイトを含有することを特徴とする、ラジカル硬化性樹脂を硬化させるための粘性硬化剤組成物。
2.硬化剤組成物に含有される他の成分と反応しない粉体を更に含有する、請求項1記載の粘性硬化剤組成物。
3.B型粘度計を用いて測定した23℃における20rpmの粘度が5Pa・s以上150Pa・s以下である、請求項1又は2記載の粘性硬化剤組成物。
本発明の粘性硬化剤組成物を構成する有機過酸化物としては、例えばジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類及びパーオキシカーボネート類等が用いられる。これらの具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等が挙げられる。好ましくは、安定性に優れるベンゾイルパーオキサイドが用いられる。
水の含有量は、粘性硬化剤組成物の100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部であり、より好ましくは10〜25質量部である。
ここで、親水性合成スメクタイトとは工業的に合成した膨潤性層状粘土鉱物を親水化処理したものである。膨潤性層状粘土鉱物は、天然にはベントナイトとして産出されるが、本実施形態においては、親水性合成スメクタイトを使用する。
本実施形態において使用される親水性合成スメクタイトとしては、以下の分子式(1)及び(2)のそれぞれで表される化合物から選択される1種以上を使用することが好ましい。
Na0.33(Mg2.67Li0.33)Si4O10(OH)2 (1)
Na0.33(Mg2.67Li0.33)Si4O10F2 (2)
これらは、市販品として入手可能であり、例えばコープケミカル(株)のルーセンタイト(商品名)のうちの、SWN(上記分子式(1)に該当)及びSWF(上記分子式(2)に該当)を例示できる。
親水性合成スメクタイトは、粘性硬化剤組成物を調製する際の生産性を考慮すると、予め水に溶解したうえで調製に供することが好ましい。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の有機高分子粉体;
等が用いられる。これらのうち、無機化合物の紛体を用いることが好ましい。無機化合物の紛体は、親水性であってもよいし、疎水化されていてもよい。粘性硬化剤組成物の粘度及び揺変度の調節効果を重視すると、上記粉体として親水性の無機化合物の紛体を使用することが最も好ましい。
上記粉体の粒径は、1〜100μmの範囲で適宜に調整することが好ましい。
本実施形態の粘性硬化剤組成物における上記紛体の使用割合は、粘性硬化剤組成物の100質量部に対して、70質量部以下とすることが好ましく、20〜70質量部とすることがより好ましく、30〜60質量部とすることが更に好ましい。
脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ピリジニウム塩等の陽イオン界面活性剤;
カルボキシベンダイン型、スルホベンダイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤;
エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、親油性及び親水性の両方ともが大きなものが好ましく、特に、表面張力低下能が極めて優れている非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが最も好ましく用いられる。
これら界面活性剤は、粘性硬化剤組成物中に、0.5質量%〜5.0質量%の範囲で添加することが好ましい。
本実施形態の粘性硬化剤組成物は、一般的なコンクリート母材の施工に適用されることが多いため、ラジカル硬化性樹脂としては耐アルカリ性に優れる樹脂が好ましい。耐アルカリ性の程度としては、JIS K6919の耐アルカリ性試験において、重量変化±10%以下のものが好ましく、特に好ましくはエポキシアクリレート樹脂等のビニルエステル樹脂である。
この反応性単量体とは、分子内に1個以上の重合性二重結合を有する化合物を意味する。該反応性単量体が有する重合性二重結合の数は、好ましくは1〜4個である。
ここで、反応性単量体としては、例えばスチレン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリ レート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、フタル酸ジアリル、トリメット酸トリアリル等が挙げられる。これらのうち、引火点100℃以上のメタクリレートが好ましい。また、反応性単量体は、その有害性等を考慮して選定することが望まれる。
これら反応性単量体は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
反応性単量体は、ラジカル硬化性樹脂100質量部に対して、30〜70質量部とすることが好ましく、40〜60質量部にすることが更に好ましい。
ここで用いられる樹脂の硬化促進剤としては、例えば金属石鹸類、金属キレート化合物、第3級芳香族アミン類等が挙げられる。これらの具体例としては、金属石鹸類として、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸バナジル、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等を;
金属キレート化合物として、例えばバナジルアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート等を;
第3級芳香族アミン類として、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N−フェニルジエタノールアミン、 N−p−トリールジエタノールアミン、N,N−ビスヒドロキシブチル−p−トルイジン等を;
それぞれ挙げることができる。これらは、単独で使用してもよいし、或いは2種以上併用しても構わない。その添加量は、ラジカル硬化性樹脂の100質量部に対して、0.3〜2質量%とすることが好ましい。
重合禁止剤の添加量は、ラジカル硬化性樹脂の100質量部に対して、1質量%以下とすることが好ましい。
アクリル酸、メタクリル酸重合体ナトリウム塩等の有機化合物(特に高吸水性樹脂)
等が挙げられる。
吸水性化合物としての無機化合物は、自重の10質量%以上の水を吸うことができる。無機化合物としては、平均粒径1μm〜500μmのものを使用するのが好ましい。
吸水性化合物の使用割合は、水100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは3〜8質量部である。
両者の使用割合としては、ラジカル硬化性樹脂100質量部に対する有機過酸化物の使用割合として、1〜15質量部とすることが好ましく、3〜12質量部とすることがより好ましく、5〜10質量部とすることが更に好ましい。
混合後、一定時間静置することにより、ラジカル硬化性樹脂が硬化して硬化物を得ることができる。この静置の際の温度は、−10〜40℃とすることが好ましい。本実施形態の粘性硬化剤組成物は、上記の広い温度範囲において、安定した硬化性能を発揮することができる。
上記静置時間は、10分〜48時間とすることが好ましい。
硬化に必要な静置時間は、硬化温度に依存する。すなわち、硬化温度が低い場合にはより長い静置時間を要し、硬化温度が高い場合にはより短い静置時間で十分な硬度の硬化物を得ることができる。ある硬化温度においてどの程度の静置時間を要するかは、当業者による僅かの予備実験によって、上記の範囲で容易に定めることができる。
(1)粘性硬化剤組成物の調製
撹拌機を装着した容器中に、過酸化ベンゾイル36質量%品(11質量%水湿体、53質量%水酸化アルミニウム品)100g、3.5質量%ルーセンタイトSWN(商品名、コープケミカル株式会社製、親水性合成スメクタイト)水分散液97.4g、ジプロピレングリコール22.1g、水酸化アルミニウム87.8g、シリカ381.2g、界面活性剤12.6g、水4.7g、及び四三酸化鉄1.3gを添加後、30分混合して粘性硬化剤を調製した。この粘性硬化剤組成物について、B型粘度計 TV−35(東機産業(株)製)を用いて23℃において測定した20rpmの粘度は35Pa・sであった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合して、粘度1Pa・S(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、硫酸カルシウム58.6g、アエロジル(商品名、日本アエロジル株式会社製、超微粒子シリカ)0.6g、及び炭酸カルシウム97.6gを添加した後、攪拌機で20分混合・撹拌することにより、モルタル状の主剤成分を調製した。
(3−1)液分離量の測定
上記で調整した粘性硬化剤をガラス製容器中に60g計量し、遠心分離機(条件:25℃、60min×1,000rpm)にかけて、液分離量を測定した。その結果を表1に示した。
(3−2)固着強度の測定
ミックスパック社製の500cc用カートリッジに、上記で調製した主剤成分及び硬化剤成分を、体積比2:1でそれぞれ区分して充填し、封止して、カートリッジを試作した。
サイズ500×500×1,000mm、圧縮強度21N/mm2のコンクリートブロックに、穿孔径18mm及び穿孔長100mmの孔を穿孔し、ブロワー及びナイロンブラシを用いて孔内清掃を行った後、上記カートリッジから主剤及び硬化剤主剤及び硬化剤を孔内に充填し、外径16mmの全ネジボルト(材質SNB7)を挿入して固着させた。
その後、25℃において24時間静置して硬化させた後に、固着強度を測定した。
固着強度は、アンカーボルト引張耐力検査装置 ANSER−5−IV(旭化成ケミカルズ(株)製)を用いて行った。測定は、3個の試料を用いて繰り返し数n=3として行った。更に、これら繰り返し測定における固着強度の最大値から最小値を減じた値を、ばらつきRとして求めた。
評価結果を表1に示した。
主剤成分としては、実施例1と同様の主剤成分を用いた。
粘性硬化剤組成物としては、ルーセンタイトSWN水分散液の濃度を1.0質量%に希釈し、配合量は同量として使用した以外は、実施例1と同様にして粘性硬化剤組成物を調製した。
上記の主剤成分及び粘性硬化剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、液分離量の測定、充填、ボルト固着、及び固着強度測定を行った。その結果を表1に示した。
主剤成分としては、実施例1と同様の主剤成分を用いた。
粘性硬化剤組成物としては、ルーセンタイトSWN水分散液の濃度を6.0質量%とし、配合量は同量として使用した以外は、実施例1と同様にして粘性硬化剤組成物を調製した。
上記の主剤成分及び粘性硬化剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、液分離量の測定、充填、ボルト固着、及び固着強度測定を行った。その結果を表1に示した。
(1)粘性硬化剤組成物の調製
撹拌機を備えた容器中に、過酸化ベンゾイル36質量%品(11質量%水湿体、53質量%水酸化アルミニウム品)100g、ジプロピレングリコール22.1g、水酸化アルミニウム87.8g、シリカ381.2g、界面活性剤12.6g、水102.1g、及び四三酸化鉄1.3gを添加した後、30分混合することにより、粘性硬化剤を調整した。この粘性硬化剤組成物について、B型粘度計 TV−35(東機産業(株)製)を用いて23℃において測定した20rpmの粘度は、7・5Pa・sであった。
撹拌機を備えた容器中に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂に、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートを混合し、粘度1Pa・S(25℃、E 型粘度計)にした樹脂100gに、硫酸カルシウム58.6g、アエロジル0.6g、及び炭酸カルシウム97.6gを添加した後、20分混合・撹拌することにより、モルタル状の主剤成分を調製した。
(3)評価
上記の主剤成分及び粘性硬化剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、液分離量の測定、充填、ボルト固着、及び固着強度測定を行った。その結果を表1に示した。
Claims (3)
- 有機過酸化物、水、及び水に対して0.5〜10.0質量%の親水性合成スメクタイトを含有することを特徴とする、ラジカル硬化性樹脂を硬化させるための粘性硬化剤組成物。
- 硬化剤組成物に含有される他の成分と反応しない粉体を更に含有する、請求項1記載の粘性硬化剤組成物。
- B型粘度計を用いて測定した23℃における20rpmの粘度が5Pa・s以上150Pa・s以下である、請求項1又は2記載の粘性硬化剤組成物。
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