JP2016221526A - 熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法 - Google Patents

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【課題】フライング式のサイジングプレスを適用して熱間鋼片の幅寸法を減縮する場合に、設備の改変に多大の費用と手間をかけることなく従来の設備を利用して熱間鋼片のキャンバーを抑制できる方法を提案する。
【解決手段】熱間鋼片を左右に挟む一対のプレス金型を楕円軌道のもとに相互に接近、離隔させるとともにテーブルローラで熱間鋼片を継続的に搬送することにより、熱間鋼片を走間で幅方向に繰り返し圧下し、その際にプレス金型の少なくとも出側のサイドガイドで熱間鋼片の搬送を案内して、熱間鋼片をその全長にわたって一定幅に縮減する熱間鋼片のサイジングプレスにおいて、前記プレス金型の出側のサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めつつ前記熱間鋼片を圧下するものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱間鋼片(スラブやシートバー等)のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法、とくにプレス金型を楕円軌道のもとに相互接近、離隔させて、テーブルローラで搬送する熱間鋼片を走間で幅方向に圧下するフライング式サイジングプレスに適用して好適なキャンバー抑制方法に関するものである。
近年、熱間圧延ラインでは、エネルギーロスの低減、ラインの簡素化や短縮化等を図るために、連続鋳造から熱間圧延に至るラインの同期化操業の実現化が試みられている。
連続鋳造から熱間圧延に至るラインの同期化操業のためには、その相互間において鋼片の幅寸法を所定幅に調整することが有用であり、従来は、鋼片を左右に挟む一対のプレス金型を用い、それを相互に接近、離隔させて鋼片を幅方向に圧下することによりその全長にわたって幅寸法を縮減するサイジングプレスが適用されている。
ところで、上記サイジングプレスでは、機械の芯ずれ、機械のガタ、鋼片の偏熱(鋼片の幅方向における温度偏差)等により、鋼片にキャンバーが発生するのが避けられず、その下流側におかれている粗ミル、仕上げミルでの圧延に際して搬送不良を起こしたり、製品の絞り不良を起こしたりする原因となるため、キャンバーを抑制することが操業の安定化、製品品質の安定化を図るうえでとくに重要になっている。
キャンバーの発生原因のうち、機械の芯ずれ、ガタについては、機械の修理により対処は可能であるものの、鋼片の偏熱に関しては加熱炉の構造上、避けられない状況にあった。
ここに、鋼片の偏熱によりキャンバーが発生するのは、鋼片の幅方向における温度偏差により変形抵抗に差が生じ、サイジングプレスに際して鋼片の左右で鋼片の長手方向の延び量が異なることによる。
サイジングプレスにおいて不可避的に発生するキャンバーの抑制を図った先行技術として例えば、特許文献1には、熱間材料を、プレス中心に導き、かつ、プレス時にその位置を保持するように熱間材料の両端側面に竪形ロールを押付けるガイド装置を設けた、材料曲がり防止装置が提案されている。
また、特許文献2には、サイジングプレス装置の入側および出側の少なくとも一方にサイドガイドを設け、このサイドガイドにより熱間スラブの端面を拘束しながら幅プレスを実施することにより熱間スラブの曲がり発生の防止を図った熱間スラブの幅プレス方法が、特許文献3には、プレス出側においてプレス中の熱間スラブのキャンバーを測定し、この測定値に基づきプレス出側でピンチロールを回動することによってプレス施工中発生する熱間スラブのキャンバーを矯正するようにしたキャンバー制御方法が、さらに、特許文献4には、スラブの進行方向の何れの位置を幅圧下している時においても、プレス工具の位置以外のスラブの進行方向の2箇所以上の位置で、スラブの幅方向変位を拘束した状態で幅圧下を実施する幅圧下プレス方法、幅圧下プレス装置がそれぞれ提案されている。
特開昭62−134108号公報 特開平10−94801号公報 特開昭61−222602号公報 特開2014−76465号公報
ところで、熱間鋼片のサイジングプレスにおいては従来、以下に述べるような解決すべき課題が残されていた。
すなわち、熱間鋼片のサイジングプレスには、特許文献1〜4記載のようにプレス金型を相互に接近、離隔する向きに駆動して熱間鋼片の幅圧下を行い、その際に熱間鋼片をピンチロールにより間欠的に搬送するスタート&ストップ式のサイジングプレスと、プレス金型を楕円軌道のもとに相互に近接、離隔させるとともにテーブルローラで熱間鋼片を継続的に搬送することにより熱間鋼片を走間で幅方向に繰り返し圧下し、その際にプレス金型の少なくとも出側のサイドガイドで熱間鋼片の搬送を案内するフライング方式のサイジングプレスとがあり、特にフライング式のサイジングプレスでは、設備の複雑化を招くことなしに効率的なサイジングプレスが実施できる利点があるところ、上記の如き従来技術を適用してキャンバーを抑制するのは難しい状況にあった。
というのは、フライング式のサイジングプレスは、ピンチロールでなく、熱間鋼片を載せたテーブルローラを駆動することによって熱間鋼片をテーブルローラとの間の摩擦力で搬送することから、既存のピンチロールで熱間鋼片を挟み込んで熱間鋼片の曲がりを矯正するということができず、ピンチロールを追加して曲がりを矯正しようとすると、設備の改変に多大の費用と手間がかかってしまうことになるからである。
本発明の課題は、特に、フライング式のサイジングプレスを適用して熱間鋼片の幅寸法を減縮する場合において、設備の改変に多大の費用と手間をかけることなく従来の設備を利用してキャンバーを抑制できるキャンバー抑制方法を提案するところにある。
本発明の熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法は、熱間鋼片を左右に挟む一対のプレス金型を楕円軌道のもとに相互に接近、離隔させるとともにテーブルローラで熱間鋼片を継続的に搬送することにより、熱間鋼片を走間で幅方向に繰り返し圧下し、その際にプレス金型の少なくとも出側のサイドガイドで熱間鋼片の搬送を案内して、熱間鋼片をその全長にわたって一定幅に縮減する熱間鋼片のサイジングプレスにおいて、
前記プレス金型の出側のサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めつつ前記熱間鋼片を圧下することによりキャンバーを抑制することを特徴とするものである。
上記の構成からなる本発明の熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法においては、前記プレス金型の入側にて前記熱間鋼片の幅方向両端部における温度を測定し、測定された温度が低い方の幅方向端部側に位置するサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めることが望ましい。
また、上記の構成からなる本発明の熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法においては、前記プレス金型の出側のサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止める際に、前記サイドガイドを、あらかじめ前記熱間鋼片の先端の幅方向端部に近づけて設定した待機位置から所定のガイド位置まで移動させることが望ましい。
本発明のキャンバー抑制方法によれば、プレス金型の出側に設置されたサイドガイドにより熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めながら圧下するようにしたため、設備の改変に多大の費用と手間をかけることなく従来の設備を利用してキャンバーを抑制することができる。
なお、本発明のキャンバー抑制方法において、プレス金型の入側にて熱間鋼片の幅方向の両端部における温度を測定し、測定された温度が低い方の幅方向端部側に位置するサイドガイドにて該熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めるようにすれば、熱間鋼片が曲がる方向のサイドガイドにより該熱間鋼片を確実に受け止めることができる。
さらに、本発明のキャンバー抑制方法において、前記プレス金型の出側のサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止める際に、前記サイドガイドを、あらかじめ前記熱間鋼片の先端の幅方向端部に近づけて設定した待機位置から所定のガイド位置まで移動させるようにすれば、熱間鋼片の曲がりが小さいうちにサイドガイドにより該熱間鋼片を受け止めることができる。
フライング式サイジングプレス装置の構成を模式的に示した外観斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態のキャンバー抑制方法により、図1に示したフライング式サイジングプレス装置を使用して幅圧下を行う状況を示した図である。
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。ここに、図1は、本発明の実施に使用して好適なフライング式サイジングプレス装置を模式的に示した外観斜視図である。
図における符号1は、サイジングプレスを行うべき熱間鋼片、2は、熱間鋼片1を左右に挟むように配置された一対のプレス金型である。プレス金型2は、相互に接近、離隔する向きに移動可能で、かつ、プレス金型2が相互に接近している状態、すなわち熱間鋼片1を圧下しているときは、熱間鋼片1の移動に帯同して移動する一方、該プレス金型2が相互に離隔する状態、すなわち、熱間鋼片1の圧下を終えたところで初期位置へ復帰するようになっており(この動きによりプレス金型2は楕円軌道を描く)、この動きを熱間鋼片1の長手方向に沿って繰り返すことによって熱間鋼片1をその全長にわたって所定の幅寸法に減縮できるようになっている。
また、符号3は、熱間鋼片1を載せて搬送するテーブルローラである。このテーブルローラ3は例えばモーター等で回転駆動する駆動式のローラであって、その上に載った熱間鋼片1との間で生じる摩擦力で熱間鋼片1を搬送する。
さらに、符号4は、熱間鋼片1の幅方向の両端部に対応する位置に配置され、熱間鋼片1をプレス金型2の入側において誘導する入側サイドガイド、5は、熱間鋼片1の幅方向の両端部に対応する位置に配置され、熱間鋼片1をプレス金型2の出側において誘導する出側サイドガイドである。これら入側サイドガイド4および出側サイドガイド5は、いずれも、例えば油圧シリンダ等で駆動されて熱間鋼片1の搬送パスラインLに対して近接、離隔する向きに移動可能であり、その開度の調整を行うことができるようになっている。
そして、符号6は、熱間鋼片1の上下に配置され、該熱間鋼片1の動きに合わせて転動する非駆動式のローラ、7は、プレス金型2の入側に配置され、熱間鋼片1の幅方向における温度(表面温度)分布を測定する温度測定器、8は、温度測定器7の測定結果に基づいて上記油圧シリンダ等の作動を制御して出側サイドガイド5の位置を搬送パスラインLに近接する向き、あるいは該搬送パスラインLから離れる向きに変更する位置可変装置である。
本発明の一実施形態に基づいてサイジングプレスを行うには、まず、熱間鋼片1のサイジングプレスに先立ち、プレス金型2の入側で温度計測器7により熱間鋼片1の幅方向における温度分布を測定(面測定)し、測定された温度が低い方の幅方向端部側に位置する出側サイドガイド5を待機位置から所定のガイド位置まで、熱間鋼片1の幅方向端部に近づくように搬送パスラインLに向けて移動させ、次いで、プレス金型2によって所定の圧下量で熱間鋼片1の圧下を行なえばよい。
図2(a)〜(d)は、上記実施形態のキャンバー抑制方法により、図1に示した装置を使用して熱間鋼片1をサイジングプレスする場合の状況を示した図である。
本実施形態では、プレス金型2の入側で熱間鋼片1の幅方向における温度分布を測定し、その温度が低い方の幅方向端部側に位置する出側サイドガイド5を、両側の出側サイドガイド5間に熱間鋼片1の先端が入ると同時に待機位置から移動開始させて搬送パスラインLに向けて所定のガイド位置まで動かすとともに、その待機位置も所定のガイド位置も従来よりも搬送パスラインLに近づけて設定することで、熱間鋼片1の先端の幅方向端部を従来よりも早く受け止めるようにし、しかも熱間鋼片1のある程度の長さにわたる幅方向端部でなく先端の幅方向端部だけを出側サイドガイド5で受け止めることで摺動抵抗を小さく抑えてテーブルローラ3による熱間鋼片1の搬送を妨げないようにしたため、熱間鋼片1のキャンバーを最小限に抑制することができる。
なお、本実施形態では、温度の低い方の幅方向端部側に位置する出側サイドガイド5を動かすこととしたが、これは、サイジングプレスに際しては、低温側に熱間鋼片1が曲がる傾向があるからであり、温度が高い方の幅方向端部側に位置する出側サイドガイド5も、熱間鋼片1に摺接しない範囲で、あるいは搬送パスラインLに関して温度が低い方の幅方向端部側に位置する出側サイドガイド5と対称に動かすこととしてもよい。
上掲図1に示した構成からなるフライング式のサイジングプレス装置を適用して、加熱炉から抽出した幅方向両端の温度偏差が20℃の熱間鋼片1としてのスラブ(厚さ235mm、幅1000mm、OP側幅方向端部の温度1200℃、DR側幅方向端部の温度1180℃)につき、圧下量300mmのサイジングプレスを実施し、キャンバーの抑制状況についての調査を行った。
その結果、両側の出側サイドガイド5の開度(ガイド位置)を圧下後のスラブの幅方向端部から幅方向に50mmの位置に設定してサイジングプレスを行った場合(左右対称に動かす場合(比較例))では、スラブにその温度が低い方(DR側)に曲がった60mmを超える大きなキャンバーが生じた。これに対して、温度が高い方(OP側)の出側サイドガイド5は開度(ガイド位置)を圧下後のスラブの幅方向端部から幅方向に50mmの位置に設定する一方、温度が低い方(DR側)の出側サイドガイド5は開度(ガイド位置)を圧下後のスラブの幅方向端部から幅方向に10mmの位置に設定してサイジングプレスを行った場合(実施例)では、出側サイドガイド5によってスラブのキャンバーが10mmに抑制され、60mmを超えるような大きなキャンバーを抑制できることが確認された。
以上、図示例に基づき本発明を説明したが、本発明はこの例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、温度が低い方(DR側)の出側サイドガイド5の開度(ガイド位置)は、上記実施例では圧下後のスラブの幅方向端部から幅方向に10mmの位置に設定しているが、これに限られず、従来よりもスラブの幅方向端部に近ければ良く、例えば圧下後のスラブの幅方向端部から幅方向に25mmの位置に設定しても良い。
本発明によれば、フライング式のサイジングプレスを適用して熱間鋼片の幅寸法を減縮する場合において、設備の改変に多大の費用と手間をかけることなく従来の設備を利用して熱間鋼片のキャンバーを抑制することができる。
1 熱間鋼片
2 プレス金型
3 テーブルローラ
4 入側サイドガイド
5 出側サイドガイド
6 非駆動式のローラ
7 温度測定器
8 位置可変装置

Claims (3)

  1. 熱間鋼片を左右に挟む一対のプレス金型を楕円軌道のもとに相互に接近、離隔させるとともにテーブルローラで熱間鋼片を継続的に搬送することにより、熱間鋼片を走間で幅方向に繰り返し圧下し、その際にプレス金型の少なくとも出側のサイドガイドで熱間鋼片の搬送を案内して、熱間鋼片をその全長にわたって一定幅に縮減する熱間鋼片のサイジングプレスにおいて、
    前記プレス金型の出側のサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めつつ前記熱間鋼片を圧下することによりキャンバーを抑制することを特徴とする熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法。
  2. 前記プレス金型の入側にて前記熱間鋼片の幅方向両端部における温度を測定し、測定された温度が低い方の幅方向端部側に位置するサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止めることを特徴とする請求項1記載の熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法。
  3. 前記プレス金型の出側のサイドガイドにて前記熱間鋼片の先端の幅方向端部を受け止める際に、前記サイドガイドを、あらかじめ前記熱間鋼片の先端の幅方向端部に近づけて設定した待機位置から所定のガイド位置まで移動させることを特徴とする請求項1または2記載の熱間鋼片のサイジングプレスにおけるキャンバー抑制方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH04172101A (ja) * 1990-11-07 1992-06-19 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd スラブの幅圧下方法及び装置
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