JP2016221454A - フッ素樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とするフッ素樹脂シートを、同様のフッ素樹脂シートにリサイクルする技術を提供する。【解決手段】ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とする使用済みのフッ素樹脂シートを粉砕して、第1粉末を得て、その第1粉末を水に拡散させて得たディスパージョンであるREを、PTFEのディスパージョンと混合して第2ディスパージョンを得る。次いで、ガラス繊維基材に対して、PTFEのディスパージョンを塗布してから焼成する過程と、第2ディスパージョンを塗布してから焼成する過程とを少なくとも1回ずつ実行する。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素樹脂シートの製造方法に関し、より詳細には使用済みのフッ素樹脂シートをリサイクルすることによって新たなフッ素樹脂シートを製造する方法に関する。
例えば膜構造物を構築するための建材として用いられる膜材料の中に、フッ素樹脂を主な材料とするフッ素樹脂シートが存在する。フッ素樹脂シートは、剛性の高い板等とは異なり、滑らかな曲面を構成することが可能であり、また、必要に応じてある程度の透光性を与えることが可能である等の理由により、広く普及している。
フッ素樹脂シートには様々なものがあるが、その中の1つに、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材を有しており、その少なくとも一方の面をフッ素樹脂の一種であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆したものがある。
かかるガラス繊維基材と、PTFEの組合せによるフッ素樹脂シートは、不燃性及び耐久性の観点から見て優れており、日本においては、建築基準法によってA種膜材料として分類されている。日本の分類では、ガラス繊維基材とPTFEの組合せをその主な構造としているのであれば、PTFEの層に例えばその素材をガラスとするフィラーを加えたり、或いはPTFE層の表面に、他の樹脂、例えば四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)による層や、光触媒を有する層が設けられていても、A種膜材料であることに影響がないとされている。
かかるA種膜材料は、建築基準法において、建造物の屋根にも用いることができるものとされており、球技場、陸上競技場等の大規模なドーム状構造物の屋根等に応用されている。
上述のように、日本ではA種膜材料に分類されるガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とするフッ素樹脂シートは、多く使われていると共に、国外においてもA種膜材料と同等品が多く使用されている。
しかしながら、使用済みのフッ素樹脂シートは、そのまま廃棄されている。他方、上述の如きフッ素樹脂シートに使用されるPTFEは非常に高価であり、また安定性が高いというその特性上経年劣化の少ないものであるから、コスト的に見合うのであれば、そのリサイクルを行うのが好ましい。
しかしながら、PTFEは、その安定性の高さが仇となり、リサイクルを行うのが難しく、現状では、使用済みのフッ素樹脂シートを新たなフッ素樹脂シートに再生するということは少なくとも行われていないし、もっと言えば、そのような提案すら行われていないのが現状である。
本願発明は、ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とするフッ素樹脂シートを材料の一部として、ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とするフッ素樹脂シートを製造する技術、言い換えれば、ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とするフッ素樹脂シートを、ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とするフッ素樹脂シートにリサイクルする技術を提供することをその課題とする。
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材と、前記ガラス繊維基材の少なくとも一方の面を覆うPTFEの層とを有する、使用済みのフッ素樹脂シートを粉砕して第1粉体を得る粉体生成過程、前記第1粉体を、固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョンに加えて撹拌することにより、第2ディスパージョンを得るディスパージョン生成過程、固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョン、又は前記第2ディスパージョンを、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の面に塗布して焼成する層形成過程、を含んでおり、前記PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程、及び前記第2ディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程を、それぞれ少なくとも1回ずつ行う、フッ素樹脂シートの製造方法である。
ここで、従来のフッ素樹脂シートの製造方法について簡単に説明する。
従来のフッ素樹脂シートを製造する場合には、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の表面に、固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョンを塗布して焼成する、という過程を繰返し行うことによって製造される。PTFEのディスパージョンをガラス繊維基材の表面に厚く塗布するのは難しいので、従来のフッ素樹脂シートの製造方法では、PTFEのディスパージョンをガラス繊維基材の表面に塗布して焼成することで、PTFEのディスパージョンに含まれていた固形分としてのPTFEをガラス繊維基材の表面に付着させることによりPTFEの薄い層をまず1層形成し、次にそのPTFEの薄い層の表面にPTFEのディスパージョンを塗布して焼成することにより、PTFEの薄い層を2層形成し…、という処理を繰返し、ガラス繊維基材の表面を覆うPTFEの層が所望の厚さになるまで、ガラス繊維基材の表面にPTFEの薄い層を複数積層することにより所望の厚さのPTFE層を形成する、という方法が実用されている。PTFEの層の上に、フィラーの入ったPTFEの層が更に付されたり、或いはFEPの層が更に付されたりすることもあるが、ガラス繊維基材に、上述したPTFEの薄い層を積層することによってPTFEの層を設けるということは、従来のフッ素樹脂シートの製造方法の基本となっている。
本願発明者が見出したのは、ガラス繊維基材と、PTFEの組合せをその基本構造とする、日本ではA種膜材料に分類される従来から使用されているフッ素樹脂シートは、それが、フィラーを含むPTFEの層を有していたとしても、FEPによる層を有していたとしても、それを粉体にすることによって、新たなフッ素樹脂シートを製造する場合における材料に用いることができるということである。より詳細には、使用済みのフッ素樹脂シートから得られた粉体、つまり本願発明でいう第1粉体を新たなフッ素樹脂シートの材料として用いることができる、ということを本願発明者は見出したのである。
第1粉体は、それを溶液中に分散させることにより、PTFEの粉体と、ガラスの粉体とを主に含むディスパージョンとすることができる。本願発明者は、このディスパージョンを、従来技術におけるフッ素樹脂シートの製造方法においてPTFEの薄い層を用いるために用いられたPTFEのディスパージョンの代わりに使用できるのではないか、と考えた。しかしながら、PTFEの粉体と、ガラスの粉体とを主に含む上述のディスパージョンを、ガラス繊維基材に塗布して焼成しても(特に、焼成の際に、従来と同様の加熱条件(加熱の温度と時間)を採用しても)、それらディスパージョン中の固体成分のガラス繊維基材への固定が不十分となった。それに対して、第1粉体を、従来用いられていたPTFEのディスパージョンに混合して第2ディスパージョンを生成し、その第2ディスパージョンを従来のPTFEのディスパージョンの代わりに用いた場合には、詳細な機序は不明であるが、PTFEのディスパージョンに固形分として含まれているPTFEが、第1粉体に含まれているPTFEの粉体と、ガラスの粉体とに対してバインダとして機能するからなのか、第1粉体はガラス繊維基材に十分に固定されることが判明した。これにより、使用済みのフッ素樹脂シートは、新たなフッ素樹脂シートの製造に再利用できることになった。
つまり、本願発明は、従来のフッ素樹脂シートの製造方法において複数回にわたって繰り返されることとなっていた、PTFEのディスパージョンをガラス繊維基材の表面に塗布して焼成することで、PTFEのディスパージョンに含まれていた固形分としてのPTFEをガラス繊維基材の表面に付着させることによりPTFEの薄い層を作る、という処理のうちの少なくとも一回(ただし、複数回の処理のすべてではない)を、第2ディスパージョンを、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の面に塗布して焼成する層形成過程に置き換えるというものである。
これにより、使用済みのフッ素樹脂シートのリサイクルが可能となる。更に言えば、使用済みのフッ素樹脂シートとして、本願発明のフッ素樹脂シートの製造方法で製造されたフッ素樹脂シートを用いることも可能である。これによれば、若干大げさな言い方をすれば、使用済みのフッ素樹脂シートを新たなフッ素樹脂シートにするというリサイクルの輪を、永続的なものとすることもできる。
なお、本願発明のフッ素樹脂シートの製造方法では、従来のフッ素樹脂シートの製造方法において複数回にわたって繰り返されることとなっていた、PTFEのディスパージョンをガラス繊維基材の表面に塗布して焼成することで、PTFEのディスパージョンに含まれていた固形分としてのPTFEをガラス繊維基材の表面に付着させることによりPTFEの薄い層を作る、という処理のうちのすべての回を、第2ディスパージョンを、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の面に塗布して焼成する層形成過程に置き換えることはせず、層形成過程の少なくとも一回を、従来と同じ方法、つまり、PTFEのディスパージョンをガラス繊維基材の表面に塗布して焼成する層形成過程とする。これは、薄い層のすべてを第2ディスパージョンを、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の面に塗布して焼成する層形成過程によって形成することとすると、最終的に得られるフッ素樹脂シートの機能に影響が生じるおそれを否定できないからである。
上述したように、本願発明では、PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程、又は第2ディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程のいずれかである層形成過程を、それらの一方が少なくとも1回は実行されるという条件下で、複数回繰り返す。PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程と、第2ディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程とは、それら2つの層形成過程を実行する毎に形成される、言い換えれば、最終的に層形成過程を終了したときに形成される積層された薄い層の合計の厚さが、所望の厚さになるまで繰り返せば良い。
これには限られないが、前記層形成過程では、前記PTFEディスパージョンを塗布して焼成する過程、及び前記第2ディスパージョンを塗布して焼成する過程を、併せて2回から12回行うことができる。この程度の回数、上述の2つの処理を繰り返せば、一般的なフッ素樹脂シートにおいて必要な積層された薄い層の合計の厚さを得ることができる。
前記粉体生成過程では、第1粉体の粒径は、層形成過程で用いられるPTFEディスパージョンにフィラーが含まれるのであればそのフィラーと同等か、あるいはフィラーよりも小さくするのがよい。一般的にフィラーの粒径は2〜60μmであるので、第1粉体の粒径はその程度の大きさかそれよりも小さくするのが好ましい。また、PTFEディスパージョンにフィラーが含まれなくても、第1粉体が2〜60μmかそれよりも小さな平均粒径を持つのであれば、第2ディスパージョンにおける第1粉体の拡散性は確保できる。なお、本願では、粒径はすべて平均粒径を意味し、また、その測定法は、レーザー式の回折・散乱法によるものとする。
この程度に第1粉体の粒径を細かくすると、第2ディスパージョンにおける第1粉体の拡散性が良くなる。
上述したように、粉体生成過程では、使用済みのフッ素樹脂シートを粉砕することにより、粒径の細かい第1粉体を得る。この場合の使用済みのフッ素樹脂シートの粉砕方法はどのようなものでも良いが、例えば、前記粉体生成過程では、使用済みのフッ素樹脂シートを破砕したものを、超微粒摩砕機に複数回かけることで前記第1粉体を得るようにしてもよい。
このようにすると、既存の超微粒磨砕装置を用いて、比較的簡単に、粒径の細かい第1粉体を得ることが可能となる。
上述したように、本願発明では、PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程、及び第2ディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程を、それぞれ少なくとも1回ずつ行う。この場合における、上記2種類の層形成過程の実行の順番は、基本的には自由に決定することができる。
もっとも、最後に行う前記層形成過程は、前記PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程にしてもよい。第2ディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程で得られる薄い層と、PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程で得られる薄い層との間では、本願発明者が分析した範囲では今のところ、物理的な特性の違いは殆ど見出されておらず、前者の層形成過程で得られた薄い層の方が、後者の層形成過程で得られた薄い層よりも若干色彩が黄味がかる、という点のみが異なる。
したがって、第2ディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程を最後に実施し、それによって得られる薄い層がフッ素樹脂シートの最外層を構成する場合には、フッ素樹脂シートの見栄えが悪くなる可能性がある。最後に行う層形成過程を、PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程とした場合には、そのような不具合が生じない。かかる効果をより良く得るためには、層形成過程のうちの最後の2回以上のすべてを、PTFEを塗布して焼成する層形成過程とすれば良い。
ディスパージョン生成過程では、上述した通り、第1粉体を、固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョンに加えて撹拌することにより、第2ディスパージョンを得る。この場合、第1粉体と、PTFEディスパージョンにおける固形分(つまり、PTFE)との重量比は、第1粉体をガラス繊維基材に十分に固定できる範囲で、適当に決定することができる。
例えば、前記ディスパージョン生成過程では、前記第2ディスパージョンに含まれる前記第1粉体と、前記PTFEディスパージョンに含まれるPTFEの固形分との重量比が、10:90〜90:10の間となるようにすることができる。この範囲であれば、第1粉体をガラス繊維基材に十分に固定できることを本願発明者は確認済みである。
上述したように、本願発明によるフッ素樹脂シートの製造方法では、層形成過程を、ガラス繊維基材の少なくとも一方の面に対して行う。前記層形成過程を、前記ガラス繊維基材の両面に対して行うことももちろん可能である。
本願発明の実施形態において材料として用いられる使用済みのフッ素樹脂シートの構成を概略的に示す断面図。 本願の実施形態において製造されたフッ素樹脂シートの構成を概略的に示す断面図。 本願の実施形態において製造された他のフッ素樹脂シートの構成を概略的に示す断面図。 本願の試験例において製造されたフッ素樹脂シートの構成を概略的に示す断面図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態を説明する。
この実施形態では、使用済みのフッ素樹脂シートを材料の一部として用いて、新しいフッ素樹脂シートを製造する。
使用済みのフッ素樹脂シートは、これには限られないが、日本におけるA種膜材料である。
A種膜材料は、市販のもので良く、海外製のA種膜材料と同等品であってもよい。
A種膜材料は、図1に示されたように、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材10と、ガラス繊維基材10の少なくとも一方の面を覆うPTFEによる層である、PTFE層20を有している。ガラス繊維基材10のうち、11は縦糸であり、12は横糸である。PTFE層20は、これには限られないが、図1に示した例では、ガラス繊維基材10の両面を被覆している。
A種主膜材料であるフッ素樹脂シートのPTFE層20は、図示を省略の薄い層に分かれているが、その中の少なくとも1つの層は、フィラーを含むPTFEでできた層であるフィラー層であっても良い。フィラーは、ガラス製であり、適宜の粒径とされ、適宜の量だけ、フィラー層に混入される。フィラー層は、フィラーによる嵩増しによって、高価なPTFEの使用量を減少させるのを主な目的とするものである。また、フィラー層が存在するか否かに関わらず、フッ素樹脂シートの例えば表面には、FEPでできた層であるFEP層21が設けられている場合がある。FEP層21は、主にフッ素樹脂シート同士を接合するのに用いられる層であり、その目的からして大抵はフッ素樹脂シートの表面に設けられる。FEPの融点はPTFEの融点より低いので、FEP層21をフッ素樹脂シートの表面に設けることにより、フッ素樹脂シートの例えば縁部同士の融着が容易になるのである。なお、FEP層21と同じ目的で、FEP層21に代えて、これもPTFEよりも融点の低いフッ素樹脂であるPFAでできたPFA層が設けられる場合もある。
PTFE層20を構成する薄い層の中にフィラー層が存在する場合には、このフッ素樹脂シートを後述するようにして粉砕したときには、それによって得られる後述する第1紛体には、フィラー層内のフィラーに由来するガラスが混じることになるが、第1紛体にはそもそも、ガラス繊維基材10に由来するガラスが混入しているのであるから、第1紛体にフィラーに由来するガラスが混じることは、後述するディスパージョン生成過程以下の各過程においても問題を生じない。
また、PTFE層20の上にFEP層21が存在する場合には、このフッ素樹脂シートを後述するようにして粉砕したときには、それによって得られる後述する第1紛体には、FEP層21由来のFEPが混ざることになる。しかしながら通常、PTFE層20はその厚さが20から300μm程度、フィラー層はその厚さが5から15μm程度であるのに対して、FEP層21はその厚さが5から10μm程度であり、第1紛体に含まれることになるFEPの量はPTFEの量に比較して非常に少ないため、後述するディスパージョン生成過程以下の各過程においても問題を生じない。なお、FEPの融点は上述した通りPTFEの融点よりも低いため、第1紛体にFEP層21に由来するFEPが混ざったとしても、PTFEを焼成するに十分な温度で焼成を行う限りにおいてFEPは溶融するのであるから、後述する層形成過程に含まれる焼成が行われる場合においても問題を生じない。これは、FEP層21がPFA層であったとしても同様である。
この実施形態では、以上で説明したフッ素樹脂シートを用いて新たなフッ素樹脂シートを製造するにあたり、まず、紛体生成過程を実行する。
紛体生成過程は、以上で説明した使用済みのフッ素樹脂シートを粉砕して第1紛体を得る過程である。
紛体生成過程は、使用済みのフッ素樹脂シートを粉砕できるものである限り、そして、第1紛体の粒径が好ましくは後述するような範囲となる限り、どのような方法で行っても構わない。これには限られないが、この実施形態では、使用済みのフッ素樹脂シートを破砕したものを、超微粒摩砕機に複数回かけることで第1紛体を得るようにしている。
フッ素樹脂シートの破砕は、例えば、ダイコー精機株式会社製粉砕機のDASシリーズにフッ素樹脂シートを投入し、粗破砕を行えばよい。このときの粗破砕されたフッ素樹脂シートの大きさは、超微粒摩砕機にかけられるような大きさであればよく、例えば、1cm角内外である。
次いで、粗破砕されたフッ素樹脂シートを、超微粒摩砕機にかける。超微粒摩砕機は公知の或いは市販のものでよく、例えば、増幸産業株式会社が製造・販売を行うスーパーマスコロイダー(商標)を、用いることができる。この実施形態では、これには限られないが、破砕されたフッ素樹脂シートを、繰返し、複数回超微粒摩砕機にかける。
それにより、使用済みのフッ素樹脂シートを紛体にしたものである第1紛体が得られる。
得られた第1粉体の粒径は、後述する層形成過程で用いられるPTFEのディスパージョンにフィラーが含まれるのであれば、そのフィラーの粒径と同じかそれよりも小さいのが好ましい。層形成過程で用いられるPTFEのディスパージョンにフィラーが含まれるか否かによらず、第1粉体の粒径は、2〜60μmか或いはそれより小さくするのが好ましい。この実施形態では、レーザー式の回折・散乱法を用いて第1粉体の平均粒径の測定を行い、第1粉体の平均粒径が2〜60μmかそれ以下となるようにした。この実施形態において、レーザー式の回折・散乱法による平均粒径の測定を実行するのに用いたのは、ベックマン・コールター株式会社が製造・販売するレーザー回折散乱粒度分布測定装置(商品名:LS200(商標))である。
次いで、第1紛体を用いて、第2ディスパージョンを生成するディスパージョン生成過程を実行する。
ディスパージョン生成過程では、第1紛体を、PTFEディスパージョンに混合し、撹拌することで、第2ディスパージョンを生成する。
PTFEのディスパージョンは、既存のA種膜材料を製造するのに用いられているものでよく、公知、或いは市販のもので良い。
PTFEのディスパージョンとしては、例えば、三井・デュポン フロロケミカル株式会社が製造販売する、31-JR(商標)を用いることができる。
第1粉体は、そのままPTFEのディスパージョンに混合させることも可能ではあるが、この実施形態では、第1粉体を水と公知又は周知の分散剤に拡散することにより、第1粉体に含まれていたPTFEの粉末とガラスの粉末とを水に分散させたディスパージョンである、リサイクルディスパージョン(以下、「RD」という。)を生成してから、そのRDを、PTFEのディスパージョンに添加して撹拌することとしている。
こうして作られたディスパージョンが、本願発明でいう第2ディスパージョンである。
これには限られないが、ディスパージョン生成過程では、第2ディスパージョンに含まれる第1粉体と、PTFEディスパージョンに含まれるPTFEの固形分との重量比が、10:90〜90:10の間となるようにすることができ、この実施形態ではそうしている。
次いで、第2ディスパージョンに加え、ガラス繊維基材と、PTFEのディスパージョンとを準備する。ここで準備するPTFEのディスパージョンは、A種膜材料を初めとする従来のフッ素樹脂シートを製造するのに用いられていたものでよく、第2ディスパージョンを生成するときに用いたPTFEのディスパージョンと同じものでも良いしそうでなくても良いが、この実施形態では、第2ディスパージョンを生成するときに用いたPTFEのディスパージョンと同じものである。ガラス繊維基材は、A種膜材料を初めとする従来のフッ素樹脂シートを製造するのに用いられていたものと同じで構わず、この実施形態ではそうしている。
次いで、この実施形態では、ガラス繊維基材に対して、層形成過程を連続して行う。層形成過程は、ガラス繊維基材に第2ディスパージョンを塗布して、焼成する過程、または、ガラス繊維基材にPTFEのディスパージョンを塗布して、焼成する過程、のいずれかである。
なお、層形成過程に先立って、ガラス繊維基材に対する両ディスパージョンの接着性を上げるために、メチル珪酸塩、フェニール珪酸塩等を用いた公知のシリコーン処理を、ガラス繊維基材に対して行っても構わない。
両ディスパージョンをガラス繊維基材に塗布する方法、両ディスパージョンをガラス繊維基材に塗布した後に焼成する際の条件(焼成の時間と温度)はいずれも、A種膜材料を初めとする従来のフッ素樹脂シートを製造をする場合における、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の表面に、固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョンを塗布して焼成する、という過程におけるそれらと同じで構わない。また、両ディスパージョンをガラス繊維基材に塗布する方法、両ディスパージョンをガラス繊維基材に塗布した後に焼成する際の条件のうちの少なくとも一方は、異なるものとしても良いが、この実施形態ではいずれも同じものとしている。
層形成過程は、複数回実行される。その回数は例えば、2回から12回とすることができる。また、複数回実行される層形成過程には、ガラス繊維基材に第2ディスパージョンを塗布して、焼成する過程と、ガラス繊維基材にPTFEのディスパージョンを塗布して、焼成する過程が、それぞれ少なくとも1回は含まれる。
また、必ずしもこの限りではないが、複数回実行される層形成過程のうち、最後に行う層形成過程は、PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程とすることができる。
複数回の層形成過程を行った後のフッ素樹脂シートの一例の断面を、図2に示す。図2に示した例によれば、ガラス繊維基材100の両面に、第2ディスパージョンの中の固形成分によってできている第2ディスパージョン層210と、PTFEによってできているPTFE層220と、が多層に積層されている。
図2に示した例では、縦糸110と横糸120とを有するガラス繊維基材100の両面にそれぞれ設けられた第2ディスパージョン層210と、PTFE層220とは、この実施形態では、併せて10層ずつとされている。これら各層が、従来技術によって製造されるフッ素樹脂シートにおける「薄い層」である。第2ディスパージョン層210は、ガラス繊維基材100に第2ディスパージョンを塗布して、焼成することによって形成される。PTFE層220は、ガラス繊維基材100にPTFEのディスパージョンを塗布して、焼成することによって形成される。当然に、ガラス繊維基材100に近い層から順に形成されていく。PTFE層220のうちの少なくとも1つには、公知のフィラーが含まれていても良い。フィラーは、公知の量だけPTFE層220に含めることができる。
この実施形態では、ガラス繊維基材100の両面に、同じ順序で第2ディスパージョン層210と、PTFE層220とが積層されている。例えば、長尺のガラス繊維基材100を送りながら、その両面を第2ディスパージョン又はPTFEのディスパージョンにディッピングしてから、焼成を行うと、ガラス繊維基材100の両面に、第2ディスパージョン層210又はPTFE層220を同時に形成することができる。ガラス繊維基材100の両面に、同じ順序で第2ディスパージョン層210と、PTFE層220とが形成された図2に示したようなフッ素樹脂シートは、例えばそのような方法を実行することにより製造することができる。
他方、バーコーター等の機器を用いることにより、ガラス繊維基材100の片面にのみ第2ディスパージョン又はPTFEのディスパージョンを塗布することも可能である。ガラス繊維基材100の片面にのみ第2ディスパージョン又はPTFEのディスパージョンを塗布してから焼成を行うことにより、ガラス繊維基材100の片面にのみ第2ディスパージョン層210又はPTFE層220を形成することも可能である。
図2の例では、併せて10層ずつとされているガラス繊維基材100の両面に設けられている上述の「薄い層」のうち、表面に近い3層ずつがPTFE層220となっている。これは、ガラス繊維基材100の両面に対して10回ずつ行われた層形成過程のうちの最後の3回ずつがともに、ガラス繊維基材にPTFEのディスパージョンを塗布して、焼成する過程であったことを示している。フッ素樹脂シートの表面にPTFE層220を位置させることによって、更に言うのであれば、フッ素樹脂シートの表面に近い部分の「薄い層」のすべて(例えば、表面側から3層目までのすべて)をPTFE層220にすることによって、フッ素樹脂シートの表面が白くなるので、フッ素樹脂シートの見栄えを良くすることができる。かかる効果は、フッ素樹脂シートの表面に近い部分の「薄い層」の少なくとも2層の双方をPTFE層220とすれば得られる。
また、フッ素樹脂シートは、図2に示した状態で完成品としても良いが、図3に示したように、その表面に、FEPによってできている層であるFEP層230を設けても良い。かかるFEP層230は、従来のフッ素樹脂シートの表面にFEP層を設けるときに用いられている公知の技術を用いて形成することができ、FEPのディスパージョンをガラス繊維基材100の任意の表面に塗布して、焼成することにより形成することができる。
FEPのディスパージョンに代えてPFAのディスパージョンを用いることにより、FEP層230に代えて、PFAによりできているPFA層をフッ素樹脂シートの表面に設けることも可能である。
なお、以上の例では、ガラス繊維基材100の両面に対して第2ディスパージョン層210及びPTFE層220を積層することとしたが、ガラス繊維基材100の片面にのみ第2ディスパージョン層210及びPTFE層220を積層することも可能である。
<実験例>
以下、実験例について説明する。実験例では、使用済みのフッ素樹脂シートを材料の一部としてフッ素樹脂シートを作成し、作成したそのフッ素樹脂シートの幾つかの物理的な特性についての評価を行った。
まず、使用済みのフッ素樹脂シートと見做すことにした新品のフッ素樹脂シート(商品名、Sheerfill-II(商標))に対して紛体生成過程を実施した。
粉体生成過程では、フッ素樹脂シートをダイコー精機株式会社製粉砕機のDASシリーズを用いることにより、細断した。細断後のフッ素樹脂シートの大きさは、約1cm×5mmである。
次いで、細断したフッ素樹脂シートを、増幸産業株式会社が製造・販売を行う超微粒摩砕機であるスーパーマスコロイダーに2回かけることにより、第1粉体とした。細断されたフッ素樹脂シートは、スーパーマスコロイダーに1回かけた状態では、ガラス繊維とフッ素樹脂の大きさは500μm程度となり、綿状となった。それをもう一度、スーパーマスコロイダーにかけると、ガラス繊維とフッ素樹脂の大きさ(平均粒径)が15μm程度の粉末となった。これが、第1粉体である。なお、かかる平均粒径の測定方法は、既に述べた方法と同じである。
次いで、第1紛体を用いて、第2ディスパージョンを生成するディスパージョン生成過程を実行した。
ディスパージョン生成過程では、まず、上述の第1粉体を水に拡散させることにより、第1粉体に含まれていたPTFEの粉末とガラスの粉末とを水に分散させたディスパージョンである、RDを生成した。
次いで、このRDを、PTFEのディスパージョンである、三井・デュポン フロロケミカル株式会社が製造販売する、31-JR(商標)に加え、撹拌することにより、第2ディスパージョンとした。
第2ディスパージョンは、以下の4種類を生成した。
まず、第2ディスパージョン(1)である。これは、RD中の固形分(PTFE+ガラス)の重量と、PTFEのディスパージョン中の固形分(PTFE)の比率が、100:0となるように調整したものである。なお、第2ディスパージョン(1)は、比較実験のために準備したものであり、実際のところはRDそのものであるが、便宜上、これを第2ディスパージョン(1)と称するものとする。
次いで、第2ディスパージョン(2)である。これは、RD中の固形分(PTFE+ガラス)の重量と、PTFEのディスパージョン中の固形分(PTFE)の比率が、90:10となるように調整したものである。
次いで、第2ディスパージョン(3)である。これは、RD中の固形分の重量と、PTFEのディスパージョン中の固形分の比率が、75:25となるように調整したものである。
次いで、第2ディスパージョン(4)である。これは、RD中の固形分の重量と、PTFEのディスパージョン中の固形分の比率が、50:50となるように調整したものである。
次いで、第2ディスパージョン(5)である。これは、RD中の固形分の重量と、PTFEのディスパージョン中の固形分の比率が、0:100となるように調整したものである。なお、第2ディスパージョン(5)は、比較実験のために準備したものであり、実際のところはPTFEのディスパージョンそのものであるが、便宜上、これを第2ディスパージョン(5)と称するものとする。
次いで、第2ディスパージョンに加え、ガラス繊維基材と、PTFEのディスパージョンとを準備する。
ガラス繊維基材は、ガラス繊維を織ったものである。ガラス繊維の太さはECDE75であり、ガラス繊維基材の繊維密度は、縦方向44本/インチであり、横方向34本/インチである。また、ガラス繊維織物の重量は250g/mである。
準備したPTFEのディスパージョンは、三井・デュポン フロロケミカル株式会社が製造販売する、31-JRである。
次いで、ガラス繊維基材に対して層形成過程を行った。上述したように、層形成過程は、ガラス繊維基材に第2ディスパージョンを塗布して、焼成する過程、または、ガラス繊維基材にPTFEのディスパージョンを塗布して、焼成する過程、のいずれかである。
この実験例では、以下のような層形成過程を実施した。
まず、ガラス繊維基材をPTFEのディスパージョンにディッピングして、PTFEのディスパージョンによってガラス繊維基材の両表面を被覆した。次いで、105℃で3分間乾燥させた後、380℃で3分間焼成し、その後室温まで空冷することにより、ガラス繊維基材の両面にPTFE層を形成した。
次いで、ガラス繊維基材の一方側の面のみに、バーコーターにて第2ディスパージョンを塗布して、ガラス繊維基材の一方側の面のみを第2ディスパージョンで被覆した。次いで、105℃で3分間乾燥させた後、380℃で3分間焼成し、その後室温まで空冷することにより、ガラス繊維基材の一方側の面に第2ディスパージョン層を形成した。
次いで、ガラス繊維基材の一方側の面のみに、バーコーターにてPTFEのディスパージョンを塗布して、ガラス繊維基材の一方側の面のみをPTFEのディスパージョンで被覆した。次いで、105℃で3分間乾燥させた後、380℃で3分間焼成し、その後室温まで空冷することにより、ガラス繊維基材の一方側の面にPTFE層を形成した。この処理をもう一度繰返し、ガラス繊維基材の一方側の面にPTFE層をもう1層形成した。
これにより得られたフッ素樹脂シートの構成を、図4に示す。図4中の符号は、図2に倣っている。
なお、第2ディスパージョン層を形成する場合には、第2ディスパージョンとして、上述の第2ディスパージョン(1)〜(5)をそれぞれ用いることにより、第2ディスパージョンの組成の異なる、つまり第2ディスパージョン層の組成が異なる5種類のフッ素樹脂シートである試料1〜5を得た。ただし、第2ディスパージョン層の成膜ができなかったため、試料1を得ることはできなかった。
したがって、得られた試料は試料2〜5の4種類である。このうち、試料5は、第2ディスパージョン層が事実上PTFE層であり、ガラス繊維基材を覆うすべての薄い層がPTFE層であるので、従来製法で製造されたフッ素樹脂シートと同一視することができる。
これら試料2〜5について、以下の2つの試験を行った。
まず、第1の試験である。
第1の試験では、幅1.5cm、長さ15cmに成形した試料2〜5の引張試験による破断強度を、繰り返し屈曲試験の前後で測定することにより、製造直後における試料2〜5の破断強度の比較を行うとともに、試料2〜5の屈曲試験の前後における破断強度の維持の程度として求めた強度保持率の比較とを行うことにした。
破断強度は、上述の形状に成形した試料2〜5を、その長さ方向に7cm/minで引っ張ることにより求めた。単位は、N/1.5cmである。
屈曲試験は、株式会社東洋精機製作所が製造・販売を行うMIT屈曲試験機であるMIT−DA(商標)を用いて、荷重1kgfで、試料2〜5の長さ方向の中程を長さ方向に直交する方向で、それぞれ、連続して1000回屈曲させることにより行った。なお、いずれの場合も屈曲の曲率半径は3mmである。
試験の結果を、表1に示す。
Figure 2016221454
表1に示したように、屈曲試験前の状態において、試料2〜4は、事実上従来と同様のフッ素樹脂シートである試料5と破断強度の点で遜色なく、特に試料4に関して言えばその破断強度は、試料5を超えている。
また、屈曲試験後の破断強度について言えば、試料2〜4では破断強度が落ちてはいるものの、その強度保持率は87%〜94%の間であって、破断強度に大きな変化は見られない。また、試料5については、試験結果のバラつきによるものと思われるが、本来であれば低下すべき破断強度が上昇しているが、この結果も、少なくとも大幅な強度保持率の低下が試料5にも生じないことを示している。以上のように、この程度の破断強度の保持率であれば、フッ素樹脂シートに求められる性能としては十分であると言える。
次に、第2の試験である。
第2の試験では、幅1.5cm、長さ15cmに成形した試料2〜5の引張試験による破断強度を、促進暴露試験の前後で測定することにより、製造直後における試料2〜5の破断強度の比較を行うとともに、試料2〜5の促進暴露試験の前後における破断強度の維持の程度として求めた強度保持率の比較とを行うことにした。
引張試験による破断強度の測定は、第1の試験と同様にして行った。
促進暴露試験は、スガ試験機株式会社が製造・販売を行う超促進耐候試験機である、メタリングバーチカルウェザー(商標)を用いて、波長300−400nmの光を、放射照度530W/mの強度で、試料2〜5にそれぞれ354時間照射することにより行った。かかる紫外線照射量は、通常のフッ素樹脂シートの使用態様に照らせば屋外暴露5年間分に相当する。
試験の結果を、表2に示す。
Figure 2016221454
表2に示したように、促進暴露試験前の状態において、試料2〜4は、事実上従来と同様のフッ素樹脂シートである試料5と破断強度の点で遜色なく、特に試料4に関して言えばその破断強度は、試料5を超えている。
また、促進暴露試験後の破断強度について言えば、試料2〜5のすべてで破断強度が落ちているものの、試料2〜4の破断強度はいずれも試料5の破断強度よりも大きく、また試料2〜4の保持率はいずれも、試料5の強度保持率を上回っている。試料2〜4の促進暴露試験後の破断強度も、十分なものといえる。
以上の試験結果から明らかなように、RD中の固形分(PTFE+ガラス)の重量と、PTFEのディスパージョン中の固形分(PTFE)の比率が、90:10かそれよりもPTFEのディスパージョン中の固形分が多いのであれば、使用済みのフッ素樹脂シートから製造した第1粉末は、従来のフッ素樹脂シートのPTFE層を製造するのに用いられていたPTFEのディスパージョンに混入することにより、従来のフッ素樹脂シートのPTFE層に相当する第2ディスパージョン層を製造するのに使用可能であることが判明した。
また、従来のフッ素樹脂シートのPTFE層の一部を第2ディスパージョン層に置き換えたフッ素樹脂シートは、従来のフッ素樹脂シートと、特に引張試験における破断強度という点においては見劣りせず、また繰返しの屈曲後において或いは紫外線暴露後の破断強度の低下の程度も、従来のフッ素樹脂シートと大きな違いがないということが判明した。
100 ガラス繊維基材
210 第2ディスパージョン層
220 PTFE層

Claims (8)

  1. ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材と、前記ガラス繊維基材の少なくとも一方の面を覆うPTFEの層とを有する、使用済みのフッ素樹脂シートを粉砕して第1粉体を得る粉体生成過程、
    前記第1粉体を、固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョンに加えて撹拌することにより、第2ディスパージョンを得るディスパージョン生成過程、
    固形分としてPTFEを含むPTFEディスパージョン、又は前記第2ディスパージョンを、ガラス繊維を織って作られたガラス繊維基材の少なくとも一方の面に塗布して焼成する層形成過程、
    を含んでおり、
    前記層形成過程では、前記PTFEディスパージョンを塗布して焼成する過程、及び前記第2ディスパージョンを塗布して焼成する過程を、それぞれ少なくとも1回ずつ行う、
    フッ素樹脂シートの製造方法。
  2. 前記層形成過程では、前記PTFEディスパージョンを塗布して焼成する過程、及び前記第2ディスパージョンを塗布して焼成する過程を、併せて2回から12回行う、
    請求項1記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  3. 前記粉体生成過程では、第1粉体の粒径が、60μmよりも小さくなるようにする、
    請求項1記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  4. 前記粉体生成過程では、使用済みのフッ素樹脂シートを破砕したものを、超微粒摩砕機に複数回かけることで前記第1粉体を得る、
    請求項1記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  5. 最後に行う前記層形成過程は、前記PTFEディスパージョンを塗布して焼成する層形成過程である、
    請求項1記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  6. 前記ディスパージョン生成過程では、前記第2ディスパージョンに含まれる前記第1粉体と、前記PTFEディスパージョンに含まれるPTFEの固形分との重量比が、10:90〜90:10の間となるようにする、
    請求項1記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  7. 前記層形成過程を、前記ガラス繊維基材の両面に対して行う、
    請求項1記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
  8. 使用済みのフッ素樹脂シートとして、請求項1〜7のいずれかのフッ素樹脂シートの製造方法で製造されたフッ素樹脂シートを用いる、
    請求項1〜7記載のフッ素樹脂シートの製造方法。
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