JP2016220315A - 電力変換器制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
制御装置80は、トランス201と、トランス201に正負の電圧パルスを交互に印加するようにスイッチング動作するSW1、SW2とを備えるDCDCコンバータ101に適用され、トランス201の通電を制御する。パルス幅設定部81は、次にオン動作させる動作スイッチ、及び、当該動作スイッチのオン時間であるパルス幅を設定する。ゲートパルス信号生成部82は、SW1、SW2を操作するゲートパルス信号を生成する。パルス幅設定部81は、電圧パルスの半周期以上の期間にわたってスイッチング動作が休止する「休止期間」の直前、又は、休止期間が終了しスイッチング動作を再開する復帰時において、トランス201に印加される電圧の正負のバランスを取るように動作スイッチ及びパルス幅を設定する。
【選択図】図1
Description
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、半周期以上の期間にわたってスイッチング動作が完全に休止する場合にトランスの偏磁を抑制する電力変換器制御装置を提供することにある。
パルス幅設定部は、次にオン動作させるスイッチング素子である「動作スイッチ」、及び、当該動作スイッチのオン時間である「パルス幅」を設定する。
ゲートパルス信号生成部は、パルス幅設定部が設定した動作スイッチ及びパルス幅に基づいて、複数のスイッチング素子を操作するゲートパルス信号を生成する。
復帰初回にラストパルスと同じ極性の電圧パルスを印加すると、正負の印加電圧のアンバランスが増大し、トランスが磁気飽和に至るおそれがある。そこで、復帰初回にラストパルスとは反対の極性の電圧パルスを印加することで磁気飽和を防止することができる。
さらに、パルス幅設定部は、復帰時に残存しているET積の値が所定値以下の場合、ET積がリセットされていると判定し、定常動作開始時のパルス幅を設定してもよい。
この電力変換器制御装置は、正負の電圧パルスを交互にトランスに印加して電圧を変換するプッシュプル型、フルブリッジ型等の絶縁DCDCコンバータ(電力変換器)に適用され、トランスの通電を制御する装置である。
最初に、この電力変換器制御装置が適用される電力変換器の例として、プッシュプル型絶縁DCDCコンバータの概略構成について、図1を参照して説明する。
プッシュプル型コンバータ101は、バッテリ等の電源に接続される入力端11と、モータ等の負荷に接続される出力端12との間に設けられ、トランス201、スイッチング素子SW1、SW2、ダイオード(整流素子)51、52、リアクトル7、平滑コンデンサC1、C2等を備える。
スイッチング素子SW1、SW2は、トランス201の一次コイル31、32に正負の電圧パルスを交互に印加するようにスイッチング動作する。以下の実施形態の説明中、適宜「スイッチング素子」を省略し、単に「SW1」、「SW2」と記す。
なお、他の実施形態では、スイッチング素子としてIGBT等のトランジスタを用いてもよい。また、寄生ダイオードに代えて還流ダイオードを用いてもよい。
パルス幅設定部81は、次にオン動作させるスイッチング素子である「動作スイッチ」、及び、当該動作スイッチのオン時間である「パルス幅」を設定する。すなわち、パルス幅設定部81は、どのスイッチング素子をどれだけの時間オンさせるかを設定する。
ゲートパルス信号生成部82は、パルス幅設定部81が設定した動作スイッチ及びパルス幅に基づいてゲートパルス信号を生成し、SW1及びSW2のゲートに出力する。これにより、SW1及びSW2は、同じ時間ずつ交互にスイッチング動作する。
このように、制御装置80は、定常動作時において正負の電圧パルスが交互にトランス201に印加されるように、SW1及びSW2を操作する。SW1とSW2とが1回ずつオンし正負の電圧パルスが印加される期間を、スイッチング動作の「1周期」とする。
なお、特許文献1(特開2010−161843号公報)には、半周期未満の短期間にスイッチング動作が瞬断した場合、瞬断後のパルスの幅を調整して偏磁を抑制する技術が開示されている。しかし、半周期以上の期間にわたってスイッチング動作が休止した場合の偏磁の抑制については、何ら言及されていない。
なお、停止信号Qが指令される理由、すなわち、休止期間が発生する理由は問わない。例えば、特許文献1に記載された過電流検出等のように意図しない突発現象によるものでもよく、或いは、予め決められた理由であってもよい。
(第1、第2実施形態)
本発明の第1、第2実施形態について、図2、図3を参照して説明する。第1、第2実施形態は、休止期間の直前におけるパルス幅設定部81の作用に特徴を有する。
図2、図3のタイムチャートでは、休止期間の前後におけるSW1、SW2のスイッチング動作と、それによって発生するトランス印加電圧のパルス、及びトランス励磁電流Im、並びに停止信号Qのタイミングを示す。SW1がオンすると正電圧のパルスが印加され、トランス励磁電流Imは増加する。SW2がオンすると負電圧のパルスが印加され、トランス励磁電流Imは減少する。SW1及びSW2がいずれもオフのとき、電圧パルスは発生せず、トランス励磁電流Imは、ほぼ変化しない。
以下の各実施形態を通じて、休止期間の前後で電源及び負荷の条件は大きく変化しないことを前提とする。そのため、電圧電流制御系演算によって設定されるパルス幅Toは、休止期間の前後で一定であるものとする。
図2に示す第1実施形態では、「正負の電圧パルスがいずれもオフの期間中(時刻t92〜t94)のタイミング(実線矢印)」、又は、「正負いずれかの電圧パルス(本例ではSW1による正電圧パルス)のオン期間(時刻t94〜)における中間時t95以前のタイミング(破線矢印)」に停止信号Qを受信する。
また、休止期間後の復帰初回には、励磁電流Imがゼロの状態からの開始を前提とした「定常動作開始時のパルス幅」を設定する。すなわち、中間時に相当する時刻t11から時刻t12まで、例えばSW2のパルス幅を(To/2)に設定する。以後、定常動作時のパルス幅Toで時刻t14〜t16にSW1をオン、時刻t20〜t22にSW2をオン・・・というようにスイッチング動作を繰り返す。
(To/2)<Tinc<To ・・・(1.1)
また、Tincと(To/2)との差分を「超過時間Tex」とすると、Tincは、式(1.2)で表される。
Tinc=(To/2)+Tex ・・・(1.2)
次に、本発明の第3〜第5実施形態は、休止期間後の復帰時におけるパルス幅設定部81の作用に特徴を有する。まず、第3実施形態について、図4を参照して説明する。
図4において、制御装置80は、時刻t90〜t92にSW2を定常動作時のパルス幅Toでオンし、時刻t94〜t96にSW1を定常動作時のパルス幅Toでオンした後、休止期間に移行している。第1、第2実施形態のように、休止期間直前にはラストパルスのパルス幅を調整しないため、休止期間の開始時刻t96のトランス励磁電流Im0は、0でない値(図4の例では正の値)となっている。
なお、第3実施形態では、主にラストパルスの極性情報に基づいて復帰初回の動作スイッチが設定される。一方、次の第4実施形態に記憶装置85が適用される場合、さらに、ラストパルスのタイミング情報に基づいて復帰初回のパルス幅が設定される。
本発明の第4実施形態について、図5〜図10を参照して説明する。第4実施形態は、復帰初回の動作スイッチの設定に関する第3実施形態の特徴を共有する。さらに、パルス幅設定部81は、休止期間前に電圧パルスの印加によってトランス201に発生した励磁電流Im及び磁束について、休止期間中の励磁電流Imの絶対値の減少によって生じる磁束の正負のアンバランスを補償するように復帰初回のパルス幅を設定する。
図5に示すように、休止期間初期の励磁電流の絶対値Im0は動作停止信号時間TQに伴って漸減し、復帰時t10にはImrにまで減少する。
定常動作中、SW1、SW2のスイッチング動作に伴い、リアクトル電流ILは、定常値IL_constを中心として脈動する。また、ET積は正負の値が交番する。
期間IIでは、「リアクトル電流IL<励磁電流Im」の関係になる。リアクトル電流ILより大きい分の励磁電流Imは一次側を流れる。その結果、トランス201に電圧が印加され、ET積の値、すなわち磁束が変化する。また、SW1及びSW2のDS間電圧は共振する。
期間IIIでは、リアクトル電流ILはゼロになる。また、SW1及びSW2のDS間電圧の共振振幅が抑制される。
(1)二次側のダイオード51、52を流れるダイオード電流ID1、ID2について、ID1=0又はID2=0の検出後、所定時間が経過したとき
(2)リアクトル電流IL=0の検出後、所定時間が経過したとき
(3)SW1及びSW2のDS間電圧が共振を開始してから所定時間経過したとき、又は、共振振幅が抑制されてから所定時間経過したとき
(4)励磁電流Im=0を検出したとき
(1)、(2)ダイオード電流ID1、ID2、及びリアクトル電流ILは、例えば、各素子に直列接続されたシャント抵抗65、66、67の両端電圧を検出する。検出電圧は、必要に応じて、アイソレータ86を介して制御装置80に入力してもよい。また、シャント抵抗に代えてホール素子を用いてもよい。
(4)励磁電流Imは、一次コイル31、32及び二次コイル33、34の4本の配線をクランプ型電流センサ60に通して検出する。
ET積がリセットされている場合、パルス幅設定部81は、定常動作開始時のパルス幅を設定してスイッチング動作を復帰する。つまり、第1、第2実施形態の図2、図3と同様に、復帰初回のパルス幅を定常動作のパルス幅の2分の1(To/2)に設定する。
一方、ET積がリセットされていない場合、パルス幅設定部81は、復帰初回のパルス幅として補正パルス幅T*を算出し設定する。続いて、補正パルス幅T*の算出方法について説明する。
励磁電流Imの変化分α、βに対応する時間をTα、Tβとすると、補正パルス幅T*は、時間TαとTβの和で表される。また、Tβは、電圧電流制御系演算によって設定されたパルス幅Toの2分の1(To/2)に相当する。そこで、パルス幅設定部81は、時間Tαを以下のように算出し、復帰初回の補正パルス幅T*を算出する。
ダイオード51、52のオン電圧をVf1、Vf2、トランス201及び配線の抵抗成分をR、動作停止時間TQにおける残存ET積の値をETQとする。また、励磁電流Im及び残存ET積の値ETQを、スイッチング動作を停止してからの時間tの関数で表すと、式(2)のようになる。
ETQ(t)=(Vf1+Vf2+Im(t)×R)×TQ ・・・(2)
つまり、ダイオード51、52のオン電圧Vf1、Vf2、及び、抵抗Rによるドロップ電圧がトランス201に印加される。
T*=Tα+Tβ
=ETQ/E+(To/2) ・・・(3)
なお、演算時と復帰時とに時差がある場合は、時差分を補正するようにしてもよい。
ET=Lm×Im ・・・(4.1)
T*=Tα+Tβ
=(Lm×Imr)/E+(To/2) ・・・(4.2)
また、ET積が既にリセットされている場合には偏磁を抑制する必要がないため、定常動作開始時のパルス幅を設定してスイッチング動作を復帰する。式(3)、(4.2)において、ETQ≒0、Imr≒0とみなしても同様の結果となる。これにより、制御装置80の演算を簡素化することができる。
本発明の第5実施形態について、図11を参照して説明する。第5実施形態は、復帰初回の動作スイッチの設定に関する第3実施形態の特徴を共有する。さらに、休止期間後の復帰時に「ソフトスタート」として、パルス幅設定部81が復帰初回以後の複数回のパルス幅を徐々に増加させるように設定することを特徴とする。
ただし、ソフトスタートを行う「複数回」とは最低2回を意味し、少なくとも復帰初回と2回目、すなわち一周期分のパルス幅を、定常動作時のパルス幅Toよりも短く設定すればよい。これにより、負荷の駆動を緩やかに開始することができる。
本発明の電力変換器制御装置が適用される電力変換器の他の例として、図13に、フルブリッジ型の絶縁DCDCコンバータを示す。フルブリッジ型コンバータ102では、トランス202の入力側に、二対の上下アームのスイッチング素子SW1〜SW4によってフルブリッジ回路が構成されている。フルブリッジ回路の一方の対角線のスイッチング素子SW1、SW4と他方の対角線のスイッチング素子SW2、SW3とが交互にオンオフし、トランス202の一次コイル35に正負の電圧Vtrが交互に印加される
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
102・・・フルブリッジ型コンバータ(電力変換器)、
11・・・入力端、 12・・・出力端、
201、202・・・トランス、
51、52・・・ダイオード(整流素子)、
7 ・・・リアクトル、
80・・・制御装置(電力変換器制御装置)、
81・・・パルス幅設定部、
82・・・ゲートパルス信号生成部、
SW1、SW2、SW3、SW4・・・スイッチング素子。
Claims (11)
- 電源に接続される入力端(11)と負荷に接続される出力端(12)との間で電力を変換するトランス(201、202)と、
前記トランスに正負の電圧パルスを交互に印加するようにスイッチング動作する複数のスイッチング素子(SW1、SW2、SW3、SW4)と、
前記トランスの出力経路に接続される整流素子(51、52)と、
前記整流素子と前記出力端との間に接続されるリアクトル(7)と、
を備える電力変換器(101、102)に適用され、前記トランスの通電を制御する電力変換器制御装置であって、
次にオン動作させる前記スイッチング素子である動作スイッチ、及び、当該動作スイッチのオン時間であるパルス幅を設定するパルス幅設定部(81)と、
前記パルス幅設定部が設定した動作スイッチ及びパルス幅に基づいて、前記複数のスイッチング素子を操作するゲートパルス信号を生成するゲートパルス信号生成部(82)と、
を有し、
前記パルス幅設定部は、
電圧パルスの半周期以上の期間にわたって前記スイッチング素子の動作が休止する休止期間の直前、又は、前記休止期間が終了し動作を再開する復帰時において、前記トランスに印加される電圧の正負のバランスを取るように動作スイッチ及びパルス幅を設定することを特徴とする電力変換器制御装置。 - 前記パルス幅設定部は、
現在のスイッチング動作を停止して前記休止期間に移行するように指令する停止信号を受信したとき、
電圧パルスの印加により前記トランスに発生する磁束をゼロに近づけた状態で前記休止期間に移行するように、前記休止期間前における最後の電圧パルスであるラストパルスのパルス幅を設定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換器制御装置。 - 正負の電圧パルスがいずれもオフの期間中、又は、正負いずれかの電圧パルスのオン期間における中間時以前のタイミングに前記停止信号を受信したとき、
前記パルス幅設定部は、
前記ラストパルスのパルス幅を通常時のパルス幅の2分の1に設定することを特徴とする請求項2に記載の電力変換器制御装置。 - 正負いずれかの電圧パルスのオン期間における中間時を過ぎたタイミングに前記停止信号を受信したとき、前記停止信号の受信と同時に現在の電圧パルスを途中でオフし、
前記パルス幅設定部は、
前記ラストパルスである次の反対極性の電圧パルスのパルス幅を、前記現在の電圧パルスが中間時を過ぎてオンした時間に相当するパルス幅に設定することを特徴とする請求項2に記載の電力変換器制御装置。 - 前記パルス幅設定部は、
前記休止期間を終了してスイッチング動作を再開するように指令する復帰信号を受信したとき、
復帰初回のスイッチング動作において、前記休止期間前における最後の電圧パルスであるラストパルスとは反対の極性の電圧パルスを前記トランスに印加するように動作スイッチを設定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換器制御装置。 - 前記パルス幅設定部は、
前記休止期間前に電圧パルスの印加によって前記トランスに発生した励磁電流及び磁束について、前記休止期間中の励磁電流の絶対値の減少によって生じる磁束の正負のアンバランスを補償するように復帰初回のパルス幅を設定することを特徴とする請求項5に記載の電力変換器制御装置。 - トランス印加電圧と前記スイッチング素子のオン時間との積であるET積について、
前記パルス幅設定部は、
復帰時に残存しているET積の値に基づいて復帰初回のパルス幅を設定することを特徴とする請求項6に記載の電力変換器制御装置。 - 前記パルス幅設定部は、
復帰時における励磁電流の値に基づいて、復帰初回のパルス幅を設定することを特徴とする請求項6に記載の電力変換器制御装置。 - トランス印加電圧と前記スイッチング素子のオン時間との積であるET積について、
前記パルス幅設定部は、
復帰時に残存しているET積の値が所定値以下の場合、ET積がリセットされていると判定し、定常動作開始時のパルス幅を設定することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の電力変換器制御装置。 - 前記パルス幅設定部は、
復帰初回以後の複数回のパルス幅を徐々に増加させるように設定することを特徴とする請求項5に記載の電力変換器制御装置。 - 前記ラストパルスの情報を保存する記憶装置(85)を有し、
前記パルス幅設定部は、
前記休止期間終了後の復帰時、前記記憶装置から読み出した前記ラストパルスの情報に基づいて動作スイッチ及びパルス幅を設定可能であることを特徴とする請求項5〜10に記載の電力変換器制御装置。
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