JP2016219344A - ケース本体と蓋体との溶接方法および該方法を用いた電池の製造方法 - Google Patents

ケース本体と蓋体との溶接方法および該方法を用いた電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蓋体とケース本体の開口部周縁部との境界にある隙間を転移させてレーザー抜けを防止することを実現する、蓋体とケース本体との溶接方法を提供すること。【解決手段】ここで開示される溶接方法では、ケース本体30の矩形状開口部31に矩形板状の蓋体20が装着された状態で、ケース本体の開口部周縁部のうちの一対の長辺部32のそれぞれの中央部分32Aをケース本体の側方から蓋体の方向に押圧する第1の押圧工程、および、前記中央部分を押圧したままの状態で、さらに該中央部分に隣接する該長辺部の両サイド部分32B,32BBを一度に全部押圧するか又は該両サイド部分のそれぞれをさらに二又は三以上の複数部分に分けて順次押圧していく第2の押圧工程が、レーザー溶接前に行われる。【選択図】図5

Description

本発明は、ケース本体に蓋体を溶接する方法に関し、詳しくは、密閉された電池ケース等を構成するケース本体の開口部に配置される蓋体を、当該ケース本体の開口部周縁(周壁部)に溶接する方法に関する。また、該方法を用いて電池ケース本体に蓋体を溶接することを特徴とする電池の製造方法に関する。
種々の電池、例えばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池のような化学電池、或いは電気二重層キャパシタのような物理電池が電気を駆動源とする車両、パソコンその他の電気製品等に搭載される電源として利用されている。
かかる電池の典型的な一形態として、所定の電極体及び電解質が金属製である電池ケース(筐体)の内部に密閉された形式の電池が挙げられる。
この種の電池に用いられる電池ケースとしては種々の形状があり得るが、例えば車載用の電池としては限られたスペースに効率よく多数の電池を整然と配列させ得る形状が好ましく、その典型例として捲回型や積層型のような扁平形状の電極体を収容する当該電極体の形状に対応した扁平な直方体形状の角形ケース本体と、当該ケース本体の一面に設けられた矩形状の開口部に対応する矩形板状の蓋体とから構成される密閉可能な角形電池ケースが挙げられる。
このような扁平形状電極体を収容する角形電池ケースにおいて、典型的には、上記ケース本体の矩形状の開口部、即ち、ケース本体の開口部の周縁部(周壁部)が一対の長辺部、一対の短辺部、および当該長辺部と短辺部との間にある四隅部分(即ち4つのコーナーR部)から構成されることを特徴とする開口部に、当該開口部の形状に対応する矩形板状の蓋体(即ち一対の長辺部、一対の短辺部、および当該長辺部と短辺部との間にある四隅部分(4つのコーナーR部)を有する。)を嵌めることにより装着し、その蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部(周壁部)との境界部分に沿って、当該蓋体の外表面(即ち、開口部に嵌められた状態で電池ケースの外表面の一部を構成する面をいう。以下同じ。)の方向からレーザーを照射してレーザー溶接することによって、蓋体を当該開口部に溶接し、開口部を封止することが行われている。例えば、特許文献1〜4には、開口部に嵌められた蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界部分に沿って蓋体の外表面の方向からレーザー溶接することによって、当該蓋体を当該開口部周縁に溶接した密閉型電池ケースの例が記載されている。
特開2014−010936号公報 特開2014−078331号公報 特開2013−223870号公報 特開2012−146433号公報
このようなケース開口部に嵌められた蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部(周壁部)との境界部分に沿って蓋体の外表面の方向からレーザー溶接する際の問題として、当該蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界に隙間が生じ得ることが挙げられる。
例えば、作業効率の向上等の観点から、ケース開口部に蓋体を容易に嵌め込み装着できるようにするため、一般には、ケース開口部の面積、寸法よりも蓋体の面積、寸法の方が僅かに小さく設計される。このため、レーザー溶接を行う際、ケース開口部に嵌められた蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界部分のいずれかに隙間が生じやすい。このため、特に高速でレーザー溶接を行おうとする場合、レーザー照射を開始する前に、ケース本体の側方から開口部周縁部を蓋体の方向に押圧し、予めケース本体の開口部周縁部と蓋体の周縁部とを密接させる作業が行われる。
例えば、上記特許文献3には、ケース開口部に蓋体が嵌められて装着された状態において、電池ケース本体の側方から開口部周縁部(周壁部)を当該装着された蓋体の方向に押圧する押圧部材を当該電池ケース本体の側方を包囲するように複数配置し、レーザー照射を開始する前に、当該複数の押圧部材によって電池ケースを挟み込む(即ちクランプする)ようにして、電池ケース本体の側方から開口部周縁部をケース本体の全周にわたって当該装着された蓋体の方向に押圧することにより、蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界に隙間が生じないように拘束した状態でレーザー溶接を行う技術が開示されている。
このような押圧部材を使用する処理を行うことにより、隙間の発生頻度を低減することは可能である。しかし、ケース本体の側方から全周にわたって開口部周縁部を蓋体の方向に押圧する手段によって完全に隙間を無くすことは容易とは言えず、なお改良の余地がある。
即ち、このようなケース本体の側方から全周にわたって開口部周縁部を蓋体の方向に押圧する手段によると、蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界のいずれかの位置において撓みが生じることがあり、その撓み発生位置を制御できない。例えば、ケース本体の開口部周縁部のうち、長辺部のいずれかにおいて撓みが生じやすい。かかる撓みが生じた場合、ケース本体の側方を包囲するように複数配置した押圧部材によってケースを挟み込む(クランプする)ようにケース本体の側方から開口部周縁部をケース本体の全周にわたって一斉に当該装着された蓋体の方向に押圧すると、上記生じた撓みが解消されることがなく、隙間発生の原因となり得る。
そして、蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界のいずれかの位置に、かかる隙間が発生した状態のままレーザー照射を行うと、かかる隙間からレーザーが直接的にケース内部に進入するいわゆる「レーザー抜け」が生じ、ケース内部の収容物(例えばケースが電池ケースである場合には、典型的にはケース内に収容された電極体)を破損する虞があり好ましくない。
そこで本発明は、かかるレーザー溶接の際の問題を解決するべく創出されたものであり、矩形状の開口部を有する直方体形状のケース本体の当該開口部の周縁部(周壁部)に、当該開口部の形状に対応する矩形板状の蓋体を嵌めて装着し、その蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部(周壁部)との境界からのレーザー抜けを防止しつつ、高精度にレーザー溶接を行うことを実現する溶接方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該溶接方法により、矩形状の開口部を有する直方体形状の電池ケースの当該開口部に矩形板状の蓋体を溶接することを包含する電池の製造方法を提供することを他の目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明によって、ケース本体と、蓋体とを溶接する方法が提供される。即ち、ここで開示される溶接方法は、
矩形状の開口部と、該開口部の周縁部であって一対の長辺部、一対の短辺部および該長辺部と短辺部との間にある4つのコーナーR部を有する周縁部と、を有する直方体形状のケース本体であって、前記開口部周縁部のうち少なくとも前記4つのコーナーR部の内壁面にケース内側方向に突出する蓋体支持部が形成されているケース本体と、
前記開口部に嵌めて装着する矩形板状の蓋体と、
を溶接する方法である。そして、該溶接方法は、以下の工程:
(1)前記蓋体を、前記ケース本体の開口部に嵌めて前記蓋体支持部上に載置した状態で、前記ケース本体の開口部に装着する工程;
(2)前記開口部に蓋体が装着された状態で、前記ケース本体の開口部周縁部のうちの前記一対の長辺部のそれぞれの中央部分を、該ケース本体の側方から蓋体の方向に押圧する第1の押圧工程;
(3)前記第1の押圧工程による前記一対の長辺部のそれぞれの中央部分を該ケース本体の側方から蓋体の方向に押圧したままの状態で、さらに該中央部分に隣接する該長辺部の両サイド部分を一度に全部押圧するか又は該両サイド部分のそれぞれをさらに二又は三以上の複数部分に分けて順次押圧していく、第2の押圧工程、ここで該サイド部分をさらに前記複数部分に分けて順次押圧する場合は、該複数部分のうち前記中央部分に最も近い部分から押圧を開始し、該押圧された部分が該長辺部の中央部分から両端方向にあるコーナーR部に向かって次々に増えていくように、該複数部分を段階的に順次押圧していく;
および
(4)前記第1押圧工程および第2押圧工程の段階的な実施によって、前記一対の長辺部それぞれの中央部分および両サイド部分を全て押圧した状態で、前記ケース開口部に装着された蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界部分に沿って、該蓋体の外表面の方向からレーザーを照射することにより、該境界部分を溶接する工程;
を包含する。
上記構成の溶接方法によれば、上記したような蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部のうちの一対の長辺部との境界のいずれかの位置に撓みが生じている場合であっても、上述した第1押圧工程、第2押圧工程をこの順に段階的に順次実施することにより、当該撓みを長辺部の中央部分から両サイド部分のそれぞれ末端にあるコーナーR部(角R部)のいずれかに向けて、順次転移させていくことができる。従って、当該一対の長辺部において撓みが消失し、当該一対の長辺部において、蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界にレーザー抜けを生じさせるような隙間が発生するのを防止することができる。
なお、第1押圧工程、第2押圧工程をこの順に段階的に順次実施することにより、撓みがコーナーR部(角R部)に転移され、結果的に当該コーナーR部において、蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界に隙間が生じたとしても、当該コーナーR部においては、内壁面に上記蓋体支持部が形成されており、その蓋体支持部がバリアとなってコーナーR部において生じた上記隙間が、ケース本体の内部に連通するのを阻むことができる。このため、載置されている蓋体のコーナーR部において生じた隙間においては、レーザー抜けを生じさせることがない。
上記のとおり、ここで開示される溶接方法によると、蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部のうちの長辺部との境界のいずれかの位置に撓みが生じていても、その撓みに起因する隙間の発生をレーザー抜けを起こさないコーナーR部に移すことができる。このように隙間の発生する場所を制御することができるため、レーザー抜けの生じない、高精度で信頼性の高いレーザー溶接を実現することができる。
ここで開示される溶接方法の好適な一態様では、前記溶接工程を実施する前に、前記ケース本体の開口部周縁部のうちの前記一対の短辺部のそれぞれを、該ケース本体の側方から蓋体の方向に押圧する第3の押圧工程をさらに包含する。そして、前記溶接工程は、前記一対の長辺部と前記一対の短辺部とを全て押圧した状態で行われる。
かかる構成によると、上記一対の長辺部に加えて上記一対の短辺部と蓋体の周縁部との境界にも隙間の発生を防止することができる。
ここで開示される溶接方法のさらに好適な一態様では、前記ケース本体には、前記開口部周縁部の少なくとも前記4つのコーナーR部の内壁面に加えてさらに前記一対の短辺部の内壁面にも前記蓋体支持部が形成されている。
かかる構成によると、撓みを転移させ得る部位が、4つのコーナーR部に加えて短辺部にまで拡張する。これにより、レーザー抜けを防止して、高精度で信頼性の高いレーザー溶接をより容易に行うことができる。
また、本発明は、ここで開示される溶接方法を利用する態様として、電池の製造方法を提供する。
即ち、ここで開示される電池の製造方法は、矩形状の開口部と、該開口部の周縁部であって一対の長辺部、一対の短辺部および該長辺部と短辺部との間にある4つのコーナーR部を有する周縁部と、を有する直方体形状の電池ケース本体であって、前記開口部周縁部のうち少なくとも前記4つのコーナーR部の内壁面にケース内側方向に突出する蓋体支持部が形成されている電池ケース本体と、前記開口部に嵌めて装着する矩形板状の蓋体と、前記電池ケース本体に収容される電極体と、を備える電池を製造する方法である。本製造方法は、以下の工程:
前記電極体を前記開口部から電池ケース本体内に収容する工程;および
前記蓋体を、前記電極体が収容された電池ケース本体の開口部に嵌めて前記蓋体支持部上に載置した状態で、前記電池ケース本体の開口部に装着し、該蓋体の周縁部と電池ケース本体の開口部周縁部との境界部分をレーザー溶接する工程;
を包含する。そして、前記溶接工程は、ここで開示されるいずれかの態様の溶接方法によって行われることを特徴とする。
かかる構成の電池の製造方法によると、電池ケース本体と、蓋体との溶接において、レーザー抜けが生じるのを防止し、高精度の溶接によって電池ケース本体の開口部に蓋体を封止することができる。このため、レーザー抜けによる電極体の破損等を未然に防止して信頼性の高い電池を提供することができる。
一実施形態に係る扁平な直方体形状の電池(リチウムイオン二次電池)の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 図1におけるIII−III線断面図である。 一実施形態に係る電池のケース本体の開口部周縁部の一部を示す部分的な斜視図(A)および平面図(B)であり、コーナーR部および短辺部の内壁面に形成された蓋体支持部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る溶接方法の各工程を示す説明図であり、(A)は蓋体をケース本体開口部に嵌めて装着した状態を示しており、(B)は第1押圧工程を示しており、(C)は第2押圧工程を示している。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、使用するケース本体や蓋体の形状、押圧工程の詳細)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、蓋体とケース本体とを溶接する際のレーザー照射の条件、電極体や電解質の構成、電池構築のために行われる種々のプロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
以下、ここで開示されるケース本体と蓋体の溶接方法の好適な一実施形態として、電池のケース本体と蓋体との溶接を、電池の構築(製造)プロセスに関連づけつつ説明する。
なお、以下の説明では、扁平な電極体を電池ケース内に備える密閉型のリチウムイオン二次電池を例にするが、電解質や電極体の種類や構成に限定されない。本発明により提供される電池としては、リチウムイオン二次電池の他にニッケル水素二次電池、電気二重層キャパシタ等が挙げられるがこれらに限定されない。
図1は、本実施形態に係る扁平な直方体形状の密閉型電池(リチウムイオン二次電池)10の外形を示す斜視図である。図示されるように、本実施形態に係る直方体形状の電池10は、電池ケースを構成する金属製の直方体形状のケース本体30と、同じく金属製の矩形板状の蓋体20とを備える。ケース本体30は、直方体形状の筐体であり、蓋体20の形状に対応する矩形状に開口したケース開口部31の周縁部からみて、対向する一対の長辺部32と、対向する一対の短辺部36と、これら長辺部32と短辺部36との間にある4つのコーナーR部38とを有する。
なお、用いられる電池ケース本体30および蓋体20の材質は特に限定されない。本発明の目的から金属製のケース本体および蓋体が適当である。例えば、アルミニウム又はその合金製、あるいは、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等の鉄材からなるケース本体および蓋体に対して本発明を好適に適用することができる。また、ケース本体および蓋体のサイズは特に限定されない。形状としては、ケース本体の開口部31の形状が矩形状であればよく、特に長辺部32の長さと短辺部36の長さとが著しく異なる扁平な直方体形状のケース本体とその内部に収容された扁平な電極体を備える電池に対して好適に本発明を適用することができる。
電池ケース内に収容される電極体18は、一般に用いられる電極体と同様でよく特に限定されない。例えば、車載用電池に装備される捲回型の電極体、典型的には、予め適当な正極活物質層が形成された長尺状の正極集電体(アルミ箔等)と、予め適当な負極活物質層が形成された長尺状の負極集電体(銅箔等)とを、長尺状のセパレータ(例えば多孔質ポリオレフィン系樹脂製シート)とともに捲回し扁平形状に成形したいわゆる捲回電極体が収容される。
なお、本発明は、電極体の構成(例えば、正負極集電体やセパレータの材質、正負極活物質層の組成等)により特徴付けられるものではないため、これ以上の電極体の詳細な説明は省略する。
また、電極体とともに電池ケース本体に収容する電解質としては、従来のリチウムイオン二次電池で使用されるものと同様でよく、その内容は特に制限されない。例えば、適当な非水電解液(例えばLiPF等のリチウム塩を適当量含むジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒のような非水電解液)を好適に使用することができる。本発明は電解質の構成により特徴付けられるものではないため、これ以上の電解質の詳細な説明は省略する。
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る蓋体20は、ケース開口部31の形状に対応する矩形板状に形成されている。そして、図1に示すように、電池10の構築プロセスにおいて、適当な電極体および電解質をケース本体30内に収容するとともにケース開口部31を塞ぐように、蓋体20が該ケース開口部31に嵌められて装着される。
このとき、図4の(A)および(B)に示すように、開口部31の周縁部のうち、4つのコーナーR部38および一対の短辺部36の内壁面には、蓋体支持部40がケース内側方向に突出するようにして形成されている。これにより、開口部31に嵌められた蓋体20は、蓋体支持部40上に載置されることとなり、開口部31からケース本体30の内部深くに沈み込むことがなく、図示されるように、蓋体20の外表面が、隣接するケース本体30の周縁部分の上面とほぼ面一となるように配置される。
また、図1に示すように、蓋体20には外部接続用の正極端子12と負極端子14とが設けられており、それら端子12,14の一部は蓋体20の外表面側に突出している。正極端子12及び負極端子14は、それぞれ、ケース内部に収容された電極体の正極集電体および負極集電体と電気的に接続される。
次に、図5を参照しつつ、本実施形態に係るケース本体30と蓋体20とを溶接する方法の具体例を説明する。
上述したように、ケース本体30の開口部31に蓋体20が嵌められ、蓋体20の一部が蓋体支持部40上に載置された装着状態(図3および図5(A)参照)において、溶接を開始する。なお、図5(A)では、説明のため、ケース開口部31に装着された蓋体20の周縁部とケース本体30の開口部周縁部(長辺部32,短辺部36,コーナーR部38)との境界部分の全周にわたって隙間CLが形成されているが、実際の電池10では、図示されるような大きな隙間CLは通常は存在しない。
本実施形態に係る溶接方法では、図5(A)に示すように、予め電池ケース本体30の周囲に、長辺部32および短辺部36をケース本体30の側方から蓋体20の方向に押圧可能な押圧部材(クランプ)50A〜50E,51A〜51E,60,61を配置している。これら複数の押圧部材(クランプ)50A〜50E,51A〜51E,60,61は、図示しない駆動機関と連結されており、ケース本体30の開口部31周縁部(周壁部)を相互に独立して押圧可能に配置されている。
具体的には、一対の長辺部32の開口部31に近い位置(外壁面)と向かい合うようにして、一つの長辺部32に対して5つの押圧部材(クランプ)50A〜50E(または51A〜51E)が、長辺部32に沿って対向、配置されている。また、一対の短辺部36の開口部31に近い位置(外壁面)と向かい合うようにして、一つの短辺部36に対して1つの押圧部材(クランプ)60(または61)が、短辺部36に対向、配置されている。
そして、先ず、本実施形態に係る溶接方法における第1押圧工程を実施する。具体的には、図5(B)に示すように、一対の長辺部32それぞれの中央部分32Aを、該部分32Aに対向配置している押圧部材50C,51Cによって該ケース本体30の側方から蓋体20の方向に押圧する。これにより、当該中央部分32Aに存在していた撓みや隙間CLは、まだ、押圧部材によって押圧されていない中央部分32Aに隣接するサイド部分32Bに転移することができる。換言すれば、当該中央部分32Aに存在していた撓みや隙間CLを当該部分32Aから消失させることができる。
なお、押圧部材50C,51Cによる押圧力の程度は、当該中央部分32Aに存在していた撓みや隙間CLが消失(サイド部分へ転移)することを実現できればよく、特に限定はない。ケース本体30および蓋体20の材質、サイズ、形状、撓み強度等を考慮して適宜決定することができる。後述する第2押圧工程で用いる押圧部材による押圧力の程度も同様である。
続いて、第2押圧工程を実施する。具体的には、長辺部32の中央部分32Aを押圧部材50C,51Cで該ケース本体30の側方から蓋体20の方向に押圧したままの状態で、さらに該中央部分に隣接する該長辺部の両サイド部分32B,32BBを押圧する。このとき、一度に両サイド部分32B,32BBの全体を一斉に押圧してもよいが、好ましくは本実施形態のように、両サイド部分32B,32BBのそれぞれをさらに二又は三以上の複数部分に分け、中央部分32Aに近い方から順にコーナーR部38に向かうようにして順次押圧していく(押圧部分を増やしていく)とよい。
本実施形態では、両サイド部分32B,32BBのそれぞれをさらに2つの複数部分に分けており、先ず、図5(B)に示すように、中央部分32Aに近い部分32Bを押圧部材50B、50D,51B、51Dによって該ケース本体30の側方から蓋体20の方向に押圧する。これにより、当該部分32Bに存在していた撓みや隙間CLは、まだ、押圧部材によって押圧されていない、よりコーナーR部38に近いサイド部分32BBに転移することができる。このとき、中央部分32Aは押圧されたままであるため、中央部分32Aに撓みや隙間CLが戻ることはない。換言すれば、当該サイド部分32Bに存在していた撓みや隙間CLを当該部分32Bから消失させることができる。
そして、図5(C)に示すように、該押圧された部分が長辺部32の中央部分32Aから両端方向にあるコーナーR部38に向かって次々に増えていくように、よりコーナーR部38に近いサイド部分32BBを段階的に次に押圧する。即ち、中央部分32Aならびにサイド部分のうちの中央部分に近い部分32Bを押圧したままの状態で、押圧部材50A、50E,51A、51EによってよりコーナーR部38に近いサイド部分32BBを該ケース本体30の側方から蓋体20の方向に押圧する。これにより、当該部分32BBに存在していた撓みや隙間CLは、押圧部材によって押圧されていないコーナーR部38に転移することができる。このとき、当該サイド部分32BBよりも中央寄りの部分32A,32Bは押圧されたままであるため、こちらの方向に撓みや隙間CLが戻ることはない。
換言すれば、上述したように、順次段階的に押圧を行うことによって、長辺部32のいずれか部位に存在していた撓みや隙間CLを当該長辺部から消失させることができる。
上述したように第1押圧工程および第2押圧工程を段階的に実施した後、本実施形態では、さらに第3押圧工程を実施する。具体的には、押圧部材60,61によって短辺部36を該ケース本体30の側方から蓋体20の方向に押圧する。これにより、短辺部36に存在していた撓みや隙間CLについても、押圧部材によって押圧されていないコーナーR部38に転移させることができる。なお、第3押圧工程については、第1押圧工程および第2押圧工程と連動させることなく、これら第1および第2の押圧工程の前後において独立に実施することができる。
而して、第1押圧工程および第2押圧工程、さらに第3押圧工程を実施した後、ケース開口部31に嵌められた蓋体20の周縁部とケース本体30の開口部31周縁部、即ち一対の長辺部32および短辺部34ならびにコーナーR部38を含む境界部分の全周に、蓋体20の外表面の方向から所定のレーザー照射器70を用いてレーザーLBを照射することにより、該境界部分を溶接することができる。
このとき、本実施形態においては、上記のように、第1押圧工程および第2押圧工程を段階的に実施することにより、撓みや隙間CLがコーナーR部38に転移されている。その結果、図2に示すような、蓋体支持部が形成されていない長辺部32において、隙間CLを介してのレーザー抜けが生じるのを防止することができる。その一方で、コーナーR部38においては、内壁面に蓋体支持部40が形成されているため、図3に示すように、蓋体20の周縁部とコーナーR部38との境界に隙間CLが生じたとしても、当該コーナーR部38における蓋体支持部40がバリアとなって隙間CLが、ケース本体30の内部にまで連通することがなく、レーザー抜けを防ぐことができる。
なお、溶接の技法自体は、従来の電池ケース本体と蓋体とを溶接する場合に用いる手段(例えばYAGレーザー、COレーザー等を熱源とするレーザー溶接)と同様でよく、特に本発明を特徴付けるものではないので詳細な説明は省略する。
以上に説明したとおり、ここで開示される溶接方法によると、蓋体20の周縁部とケース本体30の開口部周縁部のうちの少なくとも蓋体支持部40が形成されておらず、レーザー抜けが生じやすい長辺部32との境界のいずれかの位置に撓みや隙間が生じていても、その撓みや隙間に起因するレーザー抜けを防止することができる。ここで開示される溶接方法によると、隙間CLの発生する場所を制御することができるため、レーザー抜けの生じない、高精度で信頼性の高いレーザー溶接を実現することができる。
また、かかる溶接方法を電池の製造方法に適用し、電池ケース本体と蓋体との溶接を行うことにより、ケース本体内の電極体等に障害を与えかねないレーザー抜けが生じるのを防止し、高精度の溶接によって電池ケース本体の開口部に蓋体を封止することができる。このため、レーザー抜けによる電極体の破損等を未然に防止して信頼性の高い電池を提供することができる。
10 リチウムイオン二次電池
12 正極端子
14 負極端子
18 電極体
20 蓋体
30 ケース本体
31 ケース開口部
32 長辺部
32A 中央部分
32B,32BB サイド部分
36 短辺部
38 コーナーR部
40 蓋体支持部
50A〜50E、51A〜51E 押圧部材
60,61 押圧部材
70 レーザー照射器
LB レーザー
CL 隙間

Claims (4)

  1. 矩形状の開口部と、該開口部の周縁部であって一対の長辺部、一対の短辺部および該長辺部と短辺部との間にある4つのコーナーR部を有する周縁部と、を有する直方体形状のケース本体であって、前記開口部周縁部のうち少なくとも前記4つのコーナーR部の内壁面にケース内側方向に突出する蓋体支持部が形成されているケース本体と、
    前記開口部に嵌めて装着する矩形板状の蓋体と、
    を溶接する方法であって、以下の工程:
    前記蓋体を、前記ケース本体の開口部に嵌めて前記蓋体支持部上に載置した状態で、前記ケース本体の開口部に装着する工程;
    前記開口部に蓋体が装着された状態で、前記ケース本体の開口部周縁部のうちの前記一対の長辺部のそれぞれの中央部分を、該ケース本体の側方から蓋体の方向に押圧する第1の押圧工程;
    前記第1の押圧工程による前記一対の長辺部のそれぞれの中央部分を該ケース本体の側方から蓋体の方向に押圧したままの状態で、さらに該中央部分に隣接する該長辺部の両サイド部分を一度に全部押圧するか又は該両サイド部分のそれぞれをさらに二又は三以上の複数部分に分けて順次押圧していく、第2の押圧工程、
    ここで該サイド部分をさらに前記複数部分に分けて順次押圧する場合は、該複数部分のうち前記中央部分に最も近い部分から押圧を開始し、該押圧された部分が該長辺部の中央部分から両端方向にあるコーナーR部に向かって次々に増えていくように、該複数部分を段階的に順次押圧していく;および
    前記第1押圧工程および第2押圧工程の段階的な実施によって、前記一対の長辺部それぞれの中央部分および両サイド部分を全て押圧した状態で、前記ケース開口部に装着された蓋体の周縁部とケース本体の開口部周縁部との境界部分に沿って、該蓋体の外表面の方向からレーザーを照射することにより、該境界部分を溶接する工程;
    を包含する、溶接方法。
  2. 前記溶接工程を実施する前に、前記ケース本体の開口部周縁部のうちの前記一対の短辺部のそれぞれを、該ケース本体の側方から蓋体の方向に押圧する第3の押圧工程をさらに包含し、
    前記溶接工程は、前記一対の長辺部と前記一対の短辺部とを全て押圧した状態で行われる、請求項1に記載の溶接方法。
  3. 前記ケース本体には、前記開口部周縁部の少なくとも前記4つのコーナーR部の内壁面に加えてさらに前記一対の短辺部の内壁面にも前記蓋体支持部が形成されている、請求項1又は2に記載の溶接方法。
  4. 矩形状の開口部と、該開口部の周縁部であって一対の長辺部、一対の短辺部および該長辺部と短辺部との間にある4つのコーナーR部を有する周縁部と、を有する直方体形状の電池ケース本体であって、前記開口部周縁部のうち少なくとも前記4つのコーナーR部の内壁面にケース内側方向に突出する蓋体支持部が形成されている電池ケース本体と、
    前記開口部に嵌めて装着する矩形板状の蓋体と、
    前記電池ケース本体に収容される電極体と、
    を備える電池を製造する方法であって、以下の工程:
    前記電極体を前記開口部から電池ケース本体内に収容する工程;および
    前記蓋体を、前記電極体が収容された電池ケース本体の開口部に嵌めて前記蓋体支持部上に載置した状態で、前記電池ケース本体の開口部に装着し、該蓋体の周縁部と電池ケース本体の開口部周縁部との境界部分をレーザー溶接する工程;
    を包含し、
    ここで、前記溶接工程は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶接方法によって行われることを特徴とする、電池の製造方法。
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