JP2016216800A - 金、銀の湿式電解採取方法および金、銀の湿式電解採取設備 - Google Patents
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Abstract
Description
第1発明の金、銀の湿式電解採取設備は、金、銀を溶解可能な溶解液を使用して鉱石から金、銀を湿式電解採取する設備であって、前記溶解液を収容する収容槽と、該収容槽内に設けられた、鉱石が載せられる鉱石保持部と、前記収容槽内に配置された一対の電極と、を備えており、該一対の電極のアノード電極は、前記鉱石保持部において鉱石が載せられる面に設置されていることを特徴とする。
第2発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第1発明において、前記アノード電極は、鉱石が載せられる面にV字状の溝が形成されていることを特徴とする。
第3発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第1または第2発明において、前記収容槽を振動させる振動手段を備えていることを特徴とする。
第4発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第1、第2または第3発明において、前記アノード電極の近傍に前記溶解液を供給する溶解液供給手段が設けられていることを特徴とする。
第5発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第4発明において、前記溶解液供給手段は、前記溶解液を前記アノード電極の近傍に供給する液供給部を複数備えていることを特徴とする。
第6発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第4または第5発明において、前記溶解液がシアン溶液であり、前記溶解液供給手段は、前記シアン溶液に酸素を添加する酸素添加部を備えていることを特徴とする。
第7発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記鉱石保持部に鉱石を供給する鉱石供給部と、前記収容槽内と外部との間を連通する鉱石排出部と、前記収容槽を振動させる振動手段と、を備えており、該鉱石排出部は、前記鉱石保持部と隣接する位置に、前記鉱石保持部から供給される鉱石を受け入れる鉱石受入口を有しており、該鉱石受入口は、前記アノード電極の表面よりも上方に設けられていることを特徴とする。
第8発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記一対の電極のカソード電極を囲むようにフィルタ膜を備えていることを特徴とする。
第9発明の金、銀の湿式電解採取設備は、第8発明において、前記フィルタ膜内のカソード電極近傍に前記溶解液を供給することを特徴とする。
(金、銀の湿式電解採取方法)
第10発明の金、銀の湿式電解採取方法は、金、銀を溶解可能な溶解液を使用して鉱石から金、銀を湿式電解採取する方法であって、前記溶解液に浸漬された一対の電極におけるアノード電極上に鉱石を配置し、前記一対の電極間に電圧を印加することを特徴とする。
第11発明の金、銀の湿式電解採取方法は、第10発明において、前記一対の電極におけるアノード電極近傍に前記溶解液を供給することを特徴とする。
第12発明の金、銀の湿式電解採取方法は、第11発明において、前記溶解液がシアン溶液であることを特徴とする。
第13発明の金、銀の湿式電解採取方法は、第12発明において、前記一対の電極におけるアノード電極近傍に供給する前記溶解液に酸素を含有させることを特徴とする。
第1発明によれば、鉱石を鉱石保持部に載せれば、金および/または銀をアノード電極に接触させることができるので、一対の電極間に電圧を印加すれば、大粒の金および/または銀であっても、溶解液に短時間で溶解させることができる。すると、本設備で処理された後の鉱石をILR工程に供給すれば、大粒の金および/または銀が鉱石中にほとんど存在しないので、ILR工程における鉱石の処理効率を高くすることができる。
第2発明によれば、V字状の溝に入った金および/または銀はアノード電極との接触面積も大きくなるので、金および/または銀への通電効率が良くなる。したがって、金および/または銀のシアン溶液への溶解性が高くなる。
第3発明によれば、振動によって重いものは下方に移動し軽いものは上方に移動するので、金および/または銀や、金および/または銀を含む鉱石は下方に移動する。すると、金および/または銀や、金および/または銀を含む鉱石をアノード電極に効果的に接触させることができるので、金および/または銀をシアン溶液に効率よく溶解させることができる。
第4発明によれば、電極近傍に溶解液を供給することによって、電極近傍の金イオンおよび/または銀イオンの濃度を低下させることができる。すると、金イオン濃度および/または銀イオン濃度の上昇に起因する金および/または銀の溶解効率の低下を防ぐことができる。
第5発明によれば、アノード電極の表面における溶解液の状態を調整できるので、金および/または銀を効率よく溶解させることができる。
第6発明によれば、電極近傍に供給するシアン溶液の酸素濃度を高くできるので、電極に印加する電圧を低くしても、金および/または銀のシアン溶液への溶解性を維持できる。すると、砒素などの不純物の溶解を低く抑えることができる。
第7発明によれば、振動によって鉱石が鉱石受入口に向かって移動すれば、鉱石を鉱石受入口に供給することができる。しかも、鉱石受入口がアノード電極の表面よりも上方に設けられているので、大粒の金および/または銀や、金および/または銀を含む鉱石は鉱石受入口に供給されにくくなる。すると、大粒の金および/または銀や、金および/または銀を含む鉱石の滞留時間が長くなるので、金および/または銀を効果的に溶解させることができる。
第8発明によれば、カソード電極で金および/または銀が還元される際に、不純物が混入することを防ぐことができる。
第9発明によれば、カソード電極近傍における金イオンおよび/または銀イオンの濃度をある程度高くできるので、金および銀の回収効率の低下を防ぐことができる。
(金、銀の湿式電解採取方法)
第10発明によれば、アノード電極に接触した金および/または銀は溶解液に溶解しやすくなる。したがって、大粒の金および/または銀であっても、短時間で溶解液に溶解させることができる。そして、本方法で処理された後の鉱石をILR工程に供給すれば、大粒の金および/または銀が鉱石中にほとんど存在しないので、ILR工程における鉱石の処理効率を高くすることができる。
第11発明によれば、カソード電極近傍における金イオンおよび/または銀イオンの濃度をある程度高くできるので、金および銀の回収効率の低下を防ぐことができる。
第12発明によれば、硫砒鉄鉱はシアン溶液には溶解しにくいので、金および/または銀を硫砒鉄鉱から容易に分離して回収することができる。
第13発明によれば、酸素を富化したシアン溶液をアノード電極近傍に供給できるので、金や銀の溶解を促進することができる。しかも、電極に印加する電圧を低くしても、金および/または銀のシアン溶液への溶解性を維持できる。すると、砒素などの不純物の溶解を抑えることができる。
そして、本発明の金、銀の湿式電解採取設備では、金や銀を溶解液に溶解させる際に、溶解液中の金や銀に電圧を印加して、金や銀を酸化するようにしたことに特徴を有するものである。
なお、本発明の金、銀の湿式電解採取設備において使用される溶解液はとくに限定されない。金や銀と反応して、金や銀を溶解させることができる成分を含むものであればよい。例えば、シアン化カリウムやシアン化ナトリウム、シアン化カルシウム等を含むシアン溶液やチオ尿素、ヨウ素ヨウ化カリウム等を使用することができる。つまり、溶解液中において、金や銀を電極(アノード電極)に接触させて電圧を印加すると、上記溶解液に含まれる成分と金や銀が反応して錯体を形成するものであればよい。
(金の反応式)
4Au+8NaCN+2H2O+O2→4NaAu(CN)2+4NaOH・・(1)
(銀の反応式)
4Ag+8NaCN+2H2O+O2→4NaAg(CN)2+4NaOH・・(2)
また、本発明の金、銀の湿式電解採取設備によって、金や銀を回収する物質(処理物質)はとくに限定されない。例えば、破砕した鉱石を浮遊選鉱等によって選別して得られた精鉱や、かかる精鉱をテーブル選鉱した後の鉱石などを処理物質として挙げることができる。
また、鉱石には、金粒および/または銀粒、金および/または銀を含む鉱石、金、銀をいずれも含まない鉱石、が混在している。以下では、金粒、銀粒、金および/または銀を含む石を合せて金銀含有粒という。
図1は、本実施形態の金、銀の湿式電解採取設備1(以下、単に湿式電解採取設備1という)を示している。この湿式電解採取設備1では、溶解液Sが収容され鉱石Tが処理される収容槽2と、収容槽2に鉱石Tを供給する鉱石供給部3と、処理後の鉱石を収容槽2から排出する鉱石排出部4と、を備えている。また、収容槽2内には、鉱石Tに電圧を印加する一対の電極11,12が浸漬されている。この一対の電極11,12のうち、アノード電極11は、その表面に鉱石T(つまり金銀含有粒)が載せられた状態となるように配置されている。そして、収容槽2には、収容槽2に振動を加える振動手段20が設けられている。
さらに、収容槽2を振動させてアノード電極11の表面に配置された鉱石Tに振動が加わると、鉱石Tは、重いもの(比重の大きいもの)が下方に、軽いもの(比重の小さいもの)が上方に移動する。例えば、金銀含有粒はそれ以外の粒よりも重いので下方に移動し、金銀含有粒以外の軽い粒は上方に移動する。すると、アノード電極11の表面上には、下から上に向かって重いものから軽いものとなるように、鉱石Tが積層された状態となる。
また、アノード電極11の表面に、収容槽2内において、アノード電極11から離れた位置の溶解液Sを供給するようになっていることが望ましい。この場合、アノード電極11の表面における金や銀の溶解性の低下を抑制することができる。その理由を、溶解液Sとしてシアン溶液を使用した場合を例にして説明する。
また、アノード電極11の表面近傍に供給管31から溶解液Sを供給した場合、アノード電極11の表面に形成される液流によって、堆積した鉱石Tが移動しやすい状態となる。すると、収容槽2を振動させた際に、上述したような鉱石Tの置換を生じさせやすくなる。
また、溶解液供給手段30は、吸引した溶解液Sをそのままアノード電極11の近傍に供給してもよい。溶解液Sとしてシアン溶液を用いた場合には、酸素が富化された溶解液Sを供給すれば、金や銀の溶解を促進することができる。酸素が富化されたシアン溶液をアノード電極11の近傍に供給すれば、以下の式(3)に示す反応式において、右方向への反応が促進されるので、金や銀の溶解を促進することができる。
4Au+8NaCN+2H2O+O2→4NaAu(CN)2+4NaOH・・(3)
つぎに、上述した湿式電解採取設備1の各部の構成を詳細に説明する。
まず、図1および図2に示すように、収容槽2は、底面が平坦面に形成された平面視略矩形状に形成された容器である。この収容槽2は、溶解液Sを収容するものであり、溶解液Sによって損傷しない(腐食などしない)素材(例えば、ポリエチレン(PE)、塩化ビニール等)によって形成されている。
図1に示すように、鉱石供給部3は、漏斗状の収容部3aとバルブV等を備えた供給管3bとを備えている。鉱石供給部3の供給管3bは、その下端が収容槽2の内底面に設けられたアノード電極11の上方に配置されている。したがって、バルブV等を開閉すれば、収容部3a内の鉱石Tを、間欠的に収容槽2内のアノード電極11の表面上に供給することができる。
この収容槽2の内底面には、堰部2sによって鉱石保持部2gと分離された鉱石排出部4が設けられている。この鉱石排出部4は、上部に開口(鉱石受入口)を有する収容空間4aを有しており、この収容空間4aは鉱石排出部4の下端に接続されたバルブV等を備えた配管4bによって外部と連通されている。
図1に示すように、湿式電解採取設備1は、収容槽2を振動させる振動手段20を備えている。この振動手段20は、収容槽2を振動させることができるものであればよく、その構成や収容槽2に振動を発生させる方法等は限定されない。例えば、収容槽2に打撃を加えて振動させるものや、モータ等の主軸に偏心した回転体を取り付けた振動発生源を有するもの等を振動手段20として採用することができる。
図1に示すように、湿式電解採取設備1は、一対の電極11,12を備えている。この一対の電極11,12は、いずれも収容槽2の溶解液Sに浸漬するように設けられており、電源装置B(図示せず)に電気的に接続されている。このため、電源装置Bから一対の電極11,12間に所定の電圧を印加すれば、アノード電極11の表面では金属等を酸化することができ、カソード電極12の表面では金属等を還元することができる。
一対の電極11,12のうち、アノード電極11は、収容槽2の内底面に配置されている。具体的には、堰部2sによって鉱石排出部4と分離された鉱石保持部2gに配置されている(図2参照)。このアノード電極11は略平板状に形成されており、その裏面が収容槽2の内底面に密着し、その表面が上方を向いた状態となるように配置されている。したがって、鉱石供給部3から鉱石保持部2gに鉱石Tが供給されれば、アノード電極11の表面上に鉱石Tを載せることができる。
一対の電極11,12のうち、カソード電極12は、アノード電極11からある程度離れた位置に配置されている。例えば、カソード電極12は、その下部が溶解液Sに浸漬された状態となるように、収容槽2の上部に配置されている。
一対の電極11,12間に印加する電圧は、金および/または銀を溶解させることができる電圧であればよく、とくに限定されない。しかし、一対の電極11,12間に印加する電圧を高くし過ぎると、金および/または銀以外の金属(不純物)も溶解してしまう可能性がある。逆に、一対の電極11,12間に印加する電圧が低すぎると、金および/または銀が十分に溶解しなくなる。したがって、一対の電極11,12間に印加する電圧は、鉱石Tに含まれる不純物を考慮して、適切な電圧に調整することが望ましい。
フィルタ膜13fは必ずしも設けなくてもよいが、フィルタ膜13fを設けておけば、上述したような効果を得ることができる。かかるフィルタ膜13fの素材は、とくに限定されない。例えば、液中を浮遊するような細かな不純物が無い場合であれば、一般的な素材で形成された布などをフィルタ膜13fとして使用することができる。この場合でも、布の目よりも大きなゴミ等がカソード電極12に接近することを防止することができる。
上記例では、鉱石供給部3と鉱石排出部4を設けて、鉱石Tをほぼ連続的(間欠供給、間欠排出も含まれる)に処理する場合を説明した。しかし、湿式電解採取設備1は、バッチ処理で鉱石Tを処理してもよい。例えば、所定の量の鉱石Tを収容槽2に供給して、処理が完了した後、収容槽2の鉱石Tを全量排出して、再度所定の量の鉱石Tを収容槽2に供給するような構成としてもよい。かかるバッチ処理を行う場合に、湿式電解採取設備1は上記のような鉱石供給部3や鉱石排出部4を設けなくてもよくなるので、設備を簡素化できる。もちろん、バッチ処理を行う場合でも、鉱石供給部3や鉱石排出部4を湿式電解採取設備1に設けてもよい。
2 収容槽
3 鉱石供給部
4 鉱石排出部
11 アノード電極
11h 溝
12 カソード電極
13f フィルタ膜
20 振動手段
30 溶解液供給手段
32 液供給部
35 酸素添加部
S 溶解液
T 鉱石
Claims (13)
- 金、銀を溶解可能な溶解液を使用して鉱石から金、銀を湿式電解採取する設備であって、
前記溶解液を収容する収容槽と、
該収容槽内に設けられた、鉱石が載せられる鉱石保持部と、
前記収容槽内に配置された一対の電極と、を備えており、
該一対の電極のアノード電極は、
前記鉱石保持部において鉱石が載せられる面に設置されている
ことを特徴とする金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記アノード電極は、
鉱石が載せられる面にV字状の溝が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記収容槽を振動させる振動手段を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記アノード電極の近傍に前記溶解液を供給する溶解液供給手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記溶解液供給手段は、
前記溶解液を前記アノード電極の近傍に供給する液供給部を複数備えている
ことを特徴とする請求項4記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記溶解液がシアン溶液であり、
前記溶解液供給手段は、
前記シアン溶液に酸素を添加する酸素添加部を備えている
ことを特徴とする請求項4または5記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記鉱石保持部に鉱石を供給する鉱石供給部と、
前記収容槽内と外部との間を連通する鉱石排出部と、
前記収容槽を振動させる振動手段と、を備えており、
該鉱石排出部は、
前記鉱石保持部と隣接する位置に、前記鉱石保持部から供給される鉱石を受け入れる鉱石受入口を有しており、
該鉱石受入口は、
前記アノード電極の表面よりも上方に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記一対の電極のカソード電極を囲むようにフィルタ膜を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 前記フィルタ膜内のカソード電極近傍に前記溶解液を供給する
ことを特徴とする請求項8記載の金、銀の湿式電解採取設備。 - 金、銀を溶解可能な溶解液を使用して鉱石から金、銀を湿式電解採取する方法であって、
前記溶解液に浸漬された一対の電極におけるアノード電極上に鉱石を配置し、前記一対の電極間に電圧を印加する
ことを特徴とする金、銀の湿式電解採取方法。 - 前記一対の電極におけるアノード電極近傍に前記溶解液を供給する
ことを特徴とする請求項10記載の金、銀の湿式電解採取方法。 - 前記溶解液がシアン溶液である
ことを特徴とする請求項11記載の金、銀の湿式電解採取方法。 - 前記一対の電極におけるアノード電極近傍に供給する前記溶解液に酸素を含有させる
ことを特徴とする請求項12記載の金、銀の湿式電解採取方法。
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