JP2016216276A - 硫酸アンモニウムの製造方法および硫酸アンモニウム結晶の溶解方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫酸アンモニウムを晶出させるのに要する時間を短縮して設備の稼働率を向上させるとともに、少ないエネルギー使用量で硫酸アンモニウムを製造することができる硫酸アンモニウムの製造方法を提供する。【解決手段】硫酸アンモニウム水溶液Lが導入される晶析槽11と硫酸アンモニウム水溶液Lから水を蒸発させて濃縮する蒸発槽13とを備える晶析装置10内で、硫酸アンモニウム水溶液Lから硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する方法である。この硫酸アンモニウムの製造方法は、晶析工程で蒸発槽13から硫酸アンモニウム水溶液Lを移液管19を介して晶析槽11に移液する際に、移液管19内の硫酸アンモニウム水溶液Lを加熱して硫酸アンモニウム水溶液Lの温度を上昇させ、移液管19の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程を備える。【選択図】図1
Description
本発明は硫酸アンモニウムの製造方法および硫酸アンモニウム結晶の溶解方法に関する。
コークス炉から排出されるコークス炉ガスを精製して燃料ガスを製造する際には、コークス炉ガスに希硫酸を接触させてアンモニアを除去するが、この脱アンモニア工程において硫酸アンモニウム水溶液(以下「硫安母液」と記すこともある)が生成する。生成した硫安母液を晶析装置で濃縮し硫酸アンモニウムを晶出させて、硫酸アンモニウムの結晶を製造している(特許文献1、2、3、4及び5を参照)。
晶析装置は、硫安母液中の水分を蒸発させ、硫安母液を濃縮する蒸発槽と、濃縮された硫安母液から硫酸アンモニウムを晶出させる晶析槽とを備え、蒸発槽からの濃縮された硫安母液を晶析槽に移液管によって移液するようにしている。
ここで、晶析装置を操業していると内部に硫酸アンモニウムの結晶が付着して、晶析装置内部の閉塞が生じるおそれがある。特に、蒸発槽から晶析槽に硫安母液を移液する移液管の内部において、硫酸アンモニウムの結晶が析出し、その析出した硫酸アンモニウムの結晶が移液管の内壁に付着して閉塞が発生しやすい。このように、移液管に硫酸アンモニウムの結晶が付着して閉塞が発生すると、蒸発槽内の硫安母液が晶析槽に移液されなくなり、運転不能となるため、1〜2週間ごとに移液管内の硫酸アンモニウムの結晶を溶解させる必要がある。そのため、設備の稼働率が80〜90%程度にとどまり、全溶解時間短縮による稼働率の向上が課題となっている。
ここで、晶析装置を操業していると内部に硫酸アンモニウムの結晶が付着して、晶析装置内部の閉塞が生じるおそれがある。特に、蒸発槽から晶析槽に硫安母液を移液する移液管の内部において、硫酸アンモニウムの結晶が析出し、その析出した硫酸アンモニウムの結晶が移液管の内壁に付着して閉塞が発生しやすい。このように、移液管に硫酸アンモニウムの結晶が付着して閉塞が発生すると、蒸発槽内の硫安母液が晶析槽に移液されなくなり、運転不能となるため、1〜2週間ごとに移液管内の硫酸アンモニウムの結晶を溶解させる必要がある。そのため、設備の稼働率が80〜90%程度にとどまり、全溶解時間短縮による稼働率の向上が課題となっている。
一方、移液管内の硫酸アンモニウムの結晶の溶解に際しては、晶析装置の系内に水を添加して硫酸アンモニウムを溶解させることが行われている。しかしながら、硫酸アンモニウムを再び晶出させるには、全溶解で添加した水を蒸発させる必要があるため、硫酸アンモニウムを晶出させるのに時間を要するだけでなく、添加する水1tに対し、572Mcal(蒸発槽圧力:−690mmHg)のエネルギーを必要としていた。
従って、本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、硫酸アンモニウムを晶出させるのに要する時間を短縮して設備の稼働率を向上させるとともに、少ないエネルギー使用量で硫酸アンモニウムを製造することができる硫酸アンモニウムの製造方法および析出した硫酸アンモニウム結晶を簡単に溶解できる硫酸アンモニウム結晶の溶解方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明の一態様に係る硫酸アンモニウムの製造方法は、硫酸アンモニウム水溶液が導入される晶析槽と硫酸アンモニウム水溶液から水を蒸発させて濃縮する蒸発槽とを備える晶析装置内で、硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する方法であって、晶析槽から硫酸アンモニウム水溶液を抜き出し、加熱し昇温した上で負圧下の蒸発槽に送液して、蒸発槽内で硫酸アンモニウム水溶液を濃縮する濃縮工程と、濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して晶析槽に移液し、晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる晶析工程と、該晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を前記移液管を介して前記晶析槽に移液する際に、前記移液管内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、前記移液管の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程と、前記晶析工程で晶出した硫酸アンモニウムの結晶が沈降することにより生成したスラリーを前記晶析槽から排出する排出工程とを備えていることを要旨とする。
また、本発明の一態様に係る硫酸アンモニウム結晶の溶解方法は、硫酸アンモニウム水溶液が導入される晶析槽と硫酸アンモニウム水溶液から水を蒸発させて濃縮する蒸発槽とを備える晶析装置内で、硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する際に、前記晶析装置内で析出する硫酸アンモニウムの結晶を溶解する方法であって、
前記晶析槽から硫酸アンモニウム水溶液を抜き出し、加熱し昇温した上で負圧下の蒸発槽に送液して、前記蒸発槽内で硫酸アンモニウム水溶液を濃縮する濃縮工程と、
該濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して前記晶析槽に移液し、前記晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる晶析工程と、該晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を前記移液管を介して前記晶析槽に移液する際に、前記移液管内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、前記移液管の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程とを備えていることを要旨とする。
前記晶析槽から硫酸アンモニウム水溶液を抜き出し、加熱し昇温した上で負圧下の蒸発槽に送液して、前記蒸発槽内で硫酸アンモニウム水溶液を濃縮する濃縮工程と、
該濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して前記晶析槽に移液し、前記晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる晶析工程と、該晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を前記移液管を介して前記晶析槽に移液する際に、前記移液管内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、前記移液管の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程とを備えていることを要旨とする。
本発明によれば、硫酸アンモニウムを晶出させるのに要する時間を短縮して稼働率を向上させるとともに、少ないエネルギー使用量で硫酸アンモニウムを製造することができる硫酸アンモニウムの製造方法および析出した硫酸アンモニウム結晶を簡単に溶解する硫酸アンモニウム結晶の溶解方法を提供できる。
本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態の硫酸アンモニウムの製造方法は、晶析装置内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する方法であり、濃縮工程と晶析工程と溶解工程と排出工程とを備えている。また、硫酸アンモニウム結晶の溶解方法は、濃縮工程と晶析工程と溶解工程とを備えている。ここで、晶析装置は、アンモニア飽和器から硫酸アンモニウム水溶液が導入される晶析槽と、硫酸アンモニウム水溶液から水を蒸発させて濃縮する蒸発槽と、を備えている。
本実施形態の硫酸アンモニウムの製造方法は、晶析装置内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する方法であり、濃縮工程と晶析工程と溶解工程と排出工程とを備えている。また、硫酸アンモニウム結晶の溶解方法は、濃縮工程と晶析工程と溶解工程とを備えている。ここで、晶析装置は、アンモニア飽和器から硫酸アンモニウム水溶液が導入される晶析槽と、硫酸アンモニウム水溶液から水を蒸発させて濃縮する蒸発槽と、を備えている。
濃縮工程は、晶析槽から硫酸アンモニウム水溶液を抜き出し、加熱し昇温した上で負圧下の蒸発槽に送液して、蒸発槽内で硫酸アンモニウム水溶液を濃縮する工程である。
晶析工程は、濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して晶析槽に移液し、晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる工程である。
晶析工程は、濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して晶析槽に移液し、晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる工程である。
溶解工程は、晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して晶析槽に移液する際に、移液管内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、移液管の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する工程である。
排出工程は、晶析工程で晶出した硫酸アンモニウムの結晶が沈降することにより生成したスラリーを晶析槽から排出する工程である。
排出工程は、晶析工程で晶出した硫酸アンモニウムの結晶が沈降することにより生成したスラリーを晶析槽から排出する工程である。
このような本実施形態の硫酸アンモニウムの製造方法によれば、硫酸アンモニウムを晶出させるのに要する時間を短縮して稼働率を向上させるとともに、少ないエネルギー使用量で硫酸アンモニウムを製造することができ、本実施形態の硫酸アンモニウム結晶の溶解方法によれば、析出した硫酸アンモニウム結晶を簡単に溶解することができる。
次に、本実施形態の硫酸アンモニウムの製造方法および硫酸アンモニウム結晶の溶解方法について、図1を参照しながら以下にさらに詳細に説明する。
次に、本実施形態の硫酸アンモニウムの製造方法および硫酸アンモニウム結晶の溶解方法について、図1を参照しながら以下にさらに詳細に説明する。
コークス炉の炭化室で石炭を乾留する際に発生するコークス炉ガスは、水素、メタン、一酸化炭素等の燃料成分を多く含み、20000kJ/m3を超える高い熱量を有しているため、回収して高炉、コークス炉、加熱炉、ボイラー等の燃料ガスとして再利用されている。
ただし、コークス炉から排出された状態のコークス炉ガスにはタール分、水分、アンモニア、硫化水素、シアン等の様々な燃焼阻害物質、有害物質が混入しているため、燃料ガスとして使用するためには、これらの燃焼阻害物質及び有害物質を除去する必要がある。そのため、これらの燃焼阻害物質及び有害物質を除去する精製を経て燃料ガスとするのが通例である。
ただし、コークス炉から排出された状態のコークス炉ガスにはタール分、水分、アンモニア、硫化水素、シアン等の様々な燃焼阻害物質、有害物質が混入しているため、燃料ガスとして使用するためには、これらの燃焼阻害物質及び有害物質を除去する必要がある。そのため、これらの燃焼阻害物質及び有害物質を除去する精製を経て燃料ガスとするのが通例である。
コークス炉ガスの精製は、例えば以下のように行われる。まず、コークス炉から排出されたコークス炉ガスを冷却し、続いて設備閉塞の原因となるナフタレンを回収した後に、コークス炉ガスを脱硫設備に導入して硫化水素を除去する(脱硫工程)。次いで、硫化水素を除去したコークス炉ガスを脱アンモニア設備に導入して、コークス炉ガスから窒素酸化物(NOx)の原因となるアンモニアを除去する(脱アンモニア工程)。その後、アンモニアを除去したコークス炉ガスを冷却し、コークス炉ガス中の軽油分を回収する(軽油回収工程)。
脱アンモニア工程においては、コークス炉ガスに希硫酸を接触させてアンモニアと硫酸を反応させることにより、コークス炉ガスからアンモニアを除去する。この脱アンモニア工程において硫酸アンモニウム水溶液(硫安母液)が生成するので、この硫安母液を晶析装置に導入し、濃縮し硫酸アンモニウムを晶出させて、硫酸アンモニウムの結晶を製造している。
図1は、脱アンモニア工程で用いられるアンモニア飽和器1と、アンモニア飽和器1で生成した硫安母液Lを濃縮し硫酸アンモニウムを晶出させる晶析装置10とを示す概念図である。
脱硫工程で硫化水素を除去したコークス炉ガスを、コークス炉ガス導入用配管2を介してアンモニア飽和器1の下部よりアンモニア飽和器1に導入するとともに、硫安母液排出配管3から分岐した複数(本実施形態にあっては4個)の硫安母液導入用配管3a〜3dを介して結晶析出母液である硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)Lをアンモニア飽和器1に導入する。
脱硫工程で硫化水素を除去したコークス炉ガスを、コークス炉ガス導入用配管2を介してアンモニア飽和器1の下部よりアンモニア飽和器1に導入するとともに、硫安母液排出配管3から分岐した複数(本実施形態にあっては4個)の硫安母液導入用配管3a〜3dを介して結晶析出母液である硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)Lをアンモニア飽和器1に導入する。
硫安母液は、アンモニア飽和器1内に配された硫安母液導入用配管3a〜3dの先端の噴霧口3eから噴霧され、コークス炉ガスと向流に接触する。すると、コークス炉ガスに含有されているアンモニアが硫安母液Lに吸収されるため、コークス炉ガスからアンモニアが除去される。アンモニアが除去されたコークス炉ガスは、コークス炉ガス排出用配管4を介してアンモニア飽和器1から排出される。
アンモニアを吸収した硫安母液Lは、アンモニア飽和器1の下部に流下し、アンモニア飽和器1の下部に滞留する。
アンモニア飽和器1の下部に滞留する硫安母液Lを、硫安母液用配管5を介してアンモニア飽和器1から排出し、晶析装置10の晶析槽11に導入する。そして、晶析槽11内の硫安母液Lを、送液用配管12を介して、晶析槽11の上方に配された蒸発槽13に送液する。その際には、送液用配管12の途中に配された加熱器14(例えば水蒸気を用いた加熱器)によって硫安母液Lを加熱して昇温させ、昇温させた硫安母液Lを蒸発槽13に送液する。
アンモニア飽和器1の下部に滞留する硫安母液Lを、硫安母液用配管5を介してアンモニア飽和器1から排出し、晶析装置10の晶析槽11に導入する。そして、晶析槽11内の硫安母液Lを、送液用配管12を介して、晶析槽11の上方に配された蒸発槽13に送液する。その際には、送液用配管12の途中に配された加熱器14(例えば水蒸気を用いた加熱器)によって硫安母液Lを加熱して昇温させ、昇温させた硫安母液Lを蒸発槽13に送液する。
蒸発槽13内は真空ポンプ等の減圧装置15によって負圧とされているので、硫安母液Lから水が蒸発して、硫安母液Lが濃縮される(濃縮工程)。蒸発した水である水蒸気は蒸気用配管16を介して蒸発槽13の頂部から排出され、凝縮器17によって凝縮されて凝縮水となる。得られた凝縮水は、排水用配管18を介して図示しない排水処理設備に送られて処理される。
蒸発槽13内の圧力は例えば-690mmHgとすることができる。この場合には、蒸発槽13内の硫安母液Lの温度は50℃程度に低下する。よって、硫安母液Lは加熱器14によって蒸発槽13内温度+1〜2℃程度に昇温すればよい。
濃縮された硫安母液Lは、移液管19を介して蒸発槽13から晶析槽11に戻される。晶析槽11に戻されると、濃縮された硫安母液Lの温度が低下するため、硫酸アンモニウムの結晶が晶出し、晶析槽11の底部に沈降する(晶析工程)。よって、晶析槽11の底部の硫安母液Lは硫酸アンモニウムの結晶を含有するスラリーとなる。図1の晶析槽11の底部のドット(点)はスラリーを示している。
濃縮された硫安母液Lは、移液管19を介して蒸発槽13から晶析槽11に戻される。晶析槽11に戻されると、濃縮された硫安母液Lの温度が低下するため、硫酸アンモニウムの結晶が晶出し、晶析槽11の底部に沈降する(晶析工程)。よって、晶析槽11の底部の硫安母液Lは硫酸アンモニウムの結晶を含有するスラリーとなる。図1の晶析槽11の底部のドット(点)はスラリーを示している。
晶析槽11の底部のスラリーは、スラリー排出用配管20を介して晶析槽11の下部から排出する(排出工程)。そして、排出したスラリーを図示しない脱水乾燥設備に搬送して、遠心分離器、乾燥機等を用いてスラリーを脱水、乾燥させ、硫酸アンモニウムの粉末を得る。
一方、晶析槽11内の上澄みの硫安母液Lは、配管21を介して循環槽22に送られ、循環槽22から硫安母液排出配管3に排出される。そして、硫安母液排出配管3に排出された硫安母液Lは、硫安母液排出配管3から分岐した複数の硫安母液導入用配管3a〜3dを介してアンモニア飽和器1に導入される。
一方、晶析槽11内の上澄みの硫安母液Lは、配管21を介して循環槽22に送られ、循環槽22から硫安母液排出配管3に排出される。そして、硫安母液排出配管3に排出された硫安母液Lは、硫安母液排出配管3から分岐した複数の硫安母液導入用配管3a〜3dを介してアンモニア飽和器1に導入される。
このように、アンモニア飽和器1から晶析槽11への硫安母液Lの導入を連続的に又は逐次的に行えば、晶析装置10による硫酸アンモニウムの粉末の製造を連続的に又は逐次的に行うことができる。
そして、硫酸アンモニウムの粉末の製造を連続的に又は逐次的に行っていると、晶析装置10の内部(例えば晶析槽11、蒸発槽13、移液管19等の内部)に硫酸アンモニウムの結晶が付着して、晶析装置10の内部の閉塞が生じるおそれがある。特に、蒸発槽13から晶析槽11に硫安母液Lを移液する移液管19の内部には、硫酸アンモニウムの結晶が析出し、その析出した結晶が移液管19の内壁に付着して閉塞が発生しやすい。移液管19に閉塞が発生した場合には、蒸発槽13内の硫安母液Lの液面が上昇し、蒸発槽13内の硫安母液Lがオーバーフローを起こすおそれがある。
そして、硫酸アンモニウムの粉末の製造を連続的に又は逐次的に行っていると、晶析装置10の内部(例えば晶析槽11、蒸発槽13、移液管19等の内部)に硫酸アンモニウムの結晶が付着して、晶析装置10の内部の閉塞が生じるおそれがある。特に、蒸発槽13から晶析槽11に硫安母液Lを移液する移液管19の内部には、硫酸アンモニウムの結晶が析出し、その析出した結晶が移液管19の内壁に付着して閉塞が発生しやすい。移液管19に閉塞が発生した場合には、蒸発槽13内の硫安母液Lの液面が上昇し、蒸発槽13内の硫安母液Lがオーバーフローを起こすおそれがある。
このため、本実施形態においては、蒸発槽13で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管19を介して晶析槽11に移液する際に、移液管19内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、移液管19の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する(溶解工程)。
この溶解工程について具体的に述べると、図1に示すように、移液管19の回りをスチームで加熱、保温する加熱保温器23を設ける。この加熱保温器23としては、例えば、移液管19の外側に設置した保温トレースが挙げられる。そして、加熱保温器23で移液管19の回りをスチームで加熱、保温し、蒸発槽13で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管19を介して晶析槽11に移液する際に、移液管19内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させる。
この溶解工程について具体的に述べると、図1に示すように、移液管19の回りをスチームで加熱、保温する加熱保温器23を設ける。この加熱保温器23としては、例えば、移液管19の外側に設置した保温トレースが挙げられる。そして、加熱保温器23で移液管19の回りをスチームで加熱、保温し、蒸発槽13で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管19を介して晶析槽11に移液する際に、移液管19内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させる。
ここで、蒸発槽13内の硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)Lの温度が50℃程度であれば、移液管19内の硫安母液Lの温度は65〜85℃にまで上昇する。
硫酸アンモニウムの水への溶解度は温度に大きく依存するので、温度が上昇した硫安母液Lは、硫酸アンモニウムをさらに溶解可能な状態となっている。例えば、硫安母液Lの温度50℃から70℃に上昇させた場合は、飽和溶液100g中の硫酸アンモニウム量は45.7gから47.5gとなり、溶解度が上昇する。これにより、移液管19の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶が溶解されるので、移液管19での硫酸アンモニウムの結晶析出による詰りを防止することができる。
硫酸アンモニウムの水への溶解度は温度に大きく依存するので、温度が上昇した硫安母液Lは、硫酸アンモニウムをさらに溶解可能な状態となっている。例えば、硫安母液Lの温度50℃から70℃に上昇させた場合は、飽和溶液100g中の硫酸アンモニウム量は45.7gから47.5gとなり、溶解度が上昇する。これにより、移液管19の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶が溶解されるので、移液管19での硫酸アンモニウムの結晶析出による詰りを防止することができる。
そして、溶解された硫酸アンモニウムを含む硫安母液Lは、晶析槽11に戻され、濃縮された硫安母液Lの温度が低下するため、硫酸アンモニウムの結晶が晶出し、晶析槽11の底部に沈降する。そして、晶析槽11の底部の硫安母液Lは硫酸アンモニウムの結晶を含有するスラリーとなってスラリー排出用配管20を介して晶析槽11の下部から排出される。
このように、本実施形態の硫酸アンモニウムの製造方法においては、晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を移液管19を介して晶析槽11に移液する際に、移液管19内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、移液管19の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程を備えている。
これにより、移液管19での硫酸アンモニウムの結晶析出による詰りを防止することができるので、従来のように、晶析装置の系内に水を添加して硫酸アンモニウムを溶解させることが不要となり、全溶解で添加した水を蒸発させる必要がなくなるので、硫酸アンモニウムを晶出させるのに長時間要しない。このため、硫酸アンモニウムを晶出させるのに要する時間を短縮して設備の稼働率を向上させることができる。
これにより、移液管19での硫酸アンモニウムの結晶析出による詰りを防止することができるので、従来のように、晶析装置の系内に水を添加して硫酸アンモニウムを溶解させることが不要となり、全溶解で添加した水を蒸発させる必要がなくなるので、硫酸アンモニウムを晶出させるのに長時間要しない。このため、硫酸アンモニウムを晶出させるのに要する時間を短縮して設備の稼働率を向上させることができる。
また、全溶解で添加した水を蒸発させる必要がなくなるので、その水を蒸発させるエネルギーが不要となり、少ないエネルギー使用量で硫酸アンモニウムを製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、加熱保温器23としては、移液管19内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱できればよく、移液管19の外側に設置された保温トレースで移液管19の回りをスチームで加熱、保温するものに限られない。
また、コークス炉ガスからアンモニアを除去するに際しては、結晶析出母液である硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)Lをアンモニア飽和器1に導入する場合に限らず、希硫酸をアンモニア飽和器1に導入してコークス炉ガスに接触させるようにしてもよい。
また、コークス炉ガスからアンモニアを除去するに際しては、結晶析出母液である硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)Lをアンモニア飽和器1に導入する場合に限らず、希硫酸をアンモニア飽和器1に導入してコークス炉ガスに接触させるようにしてもよい。
10 晶析装置
11 晶析槽
13 蒸発槽
19 移液管
23 加熱保温器
L 硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)
11 晶析槽
13 蒸発槽
19 移液管
23 加熱保温器
L 硫安母液(硫酸アンモニウム水溶液)
Claims (2)
- 硫酸アンモニウム水溶液が導入される晶析槽と硫酸アンモニウム水溶液から水を蒸発させて濃縮する蒸発槽とを備える晶析装置内で、硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する方法であって、
前記晶析槽から硫酸アンモニウム水溶液を抜き出し、加熱し昇温した上で負圧下の蒸発槽に送液して、前記蒸発槽内で硫酸アンモニウム水溶液を濃縮する濃縮工程と、
該濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して前記晶析槽に移液し、前記晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる晶析工程と、
該晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を前記移液管を介して前記晶析槽に移液する際に、前記移液管内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、前記移液管の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程と、
前記晶析工程で晶出した硫酸アンモニウムの結晶が沈降することにより生成したスラリーを前記晶析槽から排出する排出工程とを備えていることを特徴とする硫酸アンモニウムの製造方法。 - 硫酸アンモニウム水溶液が導入される晶析槽と硫酸アンモニウム水溶液から水を蒸発させて濃縮する蒸発槽とを備える晶析装置内で、硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムを晶出させて硫酸アンモニウムの粉末を製造する際に、前記晶析装置内で析出する硫酸アンモニウムの結晶を溶解する方法であって、
前記晶析槽から硫酸アンモニウム水溶液を抜き出し、加熱し昇温した上で負圧下の蒸発槽に送液して、前記蒸発槽内で硫酸アンモニウム水溶液を濃縮する濃縮工程と、
該濃縮工程で濃縮した硫酸アンモニウム水溶液を移液管を介して前記晶析槽に移液し、前記晶析槽内で硫酸アンモニウム水溶液から硫酸アンモニウムの結晶を晶出させる晶析工程と、
該晶析工程で硫酸アンモニウム水溶液を前記移液管を介して前記晶析槽に移液する際に、前記移液管内の硫酸アンモニウム水溶液を加熱して硫酸アンモニウム水溶液の温度を上昇させ、前記移液管の内部に析出した硫酸アンモニウムの結晶を溶解する溶解工程とを備えていることを特徴とする硫酸アンモニウム結晶の溶解方法。
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