JP2016212090A - 分析用具および分析システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 分析装置の複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うとともに、不必要な空間が生じることを抑制することが可能な分析用具および分析システムを提供すること。【解決手段】 試料の分析に用いられる分析用具A1であって、分析が行われる分析部43を有する第1ユニット11と、第1ユニット11と連結可能であり、所定回数の分析に用いられる分量の特定液体としての希釈液Ldが封入された特定液体槽としての希釈液槽71を有する第2ユニット12と、を備えており、第1ユニット11と第2ユニット12とが連結された連結状態において、第1ユニット11の一部のみ、第2ユニット12の一部のみ、第1ユニット11の一部および第2ユニット12の一部のみ、のいずれかによって形成された、特定液体としての希釈液Ldを特定液体槽としての希釈液槽71から第1ユニットへ11と導入する連絡流路21が形成される。【選択図】 図5

Description

本発明は、分析用具および分析システムに関する。
液体の試料を分析する手法として、分析用具に試料を採取した後に、この分析用具を分析装置に装填し、この分析装置によって当該試料の分析を行う分析システムを構築する様々な例が提案されている。このような分析システムの一例として、たとえば電気泳動法を用いた分析システムが挙げられる。特許文献1では、キャピラリー管とこのキャピラリー管に直交する予備流路とを備える分析用具を用いた分析方法が開示されている。キャピラリー管と予備流路との連結部分に滞留した試料を、電気泳動法における分析対象とする。これにより、ごく少量の試料をより正確に定量することが意図されている。
特許文献1に開示された分析システムにおいては、分析装置に貯留された希釈液や泳動液が、分析用具に導入される。この導入は、たとえば、貯留された希釈液や泳動液を分析に必要な分量だけノズルなどによって吸引する。次いで、ノズルを分析用具の所定箇所に連結し、所定量の希釈液や泳動液をノズルから分析用具へと導入する。
上述した分析用具は、分析を行う毎に新たなものに取り替えられる。しかし、分析装置のノズル等は、繰り返し使用される。このため、ある分析を行う際に、前回行った分析における試料等がノズルの先端等に付着するおそれがある。このようなノズル等の汚染が生じると分析結果が不適切なものとなってしまう。このため、ノズルを洗浄する等の方策が強いられる。また、分析装置には、ノズル等を駆動する機構が必要となる。これにより、分析装置の複雑化、高コスト化が招来されてしまう。また、大型の分析装置を用いたシステムの場合は、希釈液や泳動液それぞれを貯蔵する専用のボトルが必要となる。このため、これらのボトルを配置することに伴って不必要な空間が不可避的に生じ、コスト増を招来することが懸念される。また、複数回の測定を行うことが可能な程度の十分な量の希釈液および泳動液を貯蔵しておく必要があるため、1回の測定当たりのコストが増加する問題があった。
特開平11−337521号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、分析装置の複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うとともに、不必要な空間が生じることを抑制することが可能な分析用具および分析システムを提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供される分析用具は、試料の分析に用いられる分析用具であって、分析が行われる分析部を有する第1ユニットと、前記第1ユニットと連結可能であり、所定回数の分析に用いられる分量の特定液体が封入された特定液体槽を有する第2ユニットと、を備えており、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが連結された連結状態において、前記第1ユニットの一部のみ、前記第2ユニットの一部のみ、前記第1ユニットの一部および前記第2ユニットの一部のみ、のいずれかによって形成された、前記特定液体を前記特定液体槽から前記第1ユニットへと導入する連絡流路が形成される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2ユニットは、前記特定液体槽を密閉する密閉部材を有しており、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットが連結される際に、前記密閉部材の開封と前記連絡流路の形成とがなされる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1ユニットは、前記第2ユニットから分離した分離状態において、前記試料を採取する試料採取部を有する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記試料採取部は、毛細管力を用いて前記試料を採取する。
本発明の好ましい実施の形態においては、ディスポーザブルタイプの分析用具として用いられる。
本発明の好ましい実施の形態においては、電気泳動法による分析に用いられ、前記分析部は、キャピラリー管である。
本発明の好ましい実施の形態においては、筒状導体部を更に備えており、前記筒状導体部の内面は、充填された液体に電圧を印加するための電圧印加流路を構成しており、前記筒状導体部の外面は、外部に露出している。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記筒状導体部は、前記第2ユニットに形成されている。
本発明の第2の側面によって提供される分析システムは、本発明の第1の側面によって提供される分析用具と、前記分析用具が装填される分析装置と、を備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記分析装置は、前記連絡流路に前記特定液体を流すことを含む液体の流動を実現するための圧力制御を行う。
本発明の一形態によれば、前記分析用具が前記分離状態から前記連結状態とされると、前記連絡流路が構成される。前記連絡流路は、前記第1ユニットの一部のみ、前記第2ユニットの一部のみ、前記第1ユニットの一部および前記第2ユニットの一部のみ、のいずれかによって構成されている。このため、前記第2ユニットに貯蔵された前記特定液体を前記第1ユニットに導入するに際し、前記分析用具以外の、例えば前記分析装置に備えられたノズルによる分注などを行う必要がない。このため、分析を行うために前記第2ユニットから前記第1ユニットへと前記特定液体を導入しても、前記分析装置は、なんら前記特定液体に触れる必要がない。したがって、前記分析装置の複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うことが可能である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
分離状態にある本発明の第1実施形態に基づく分析用具を示す要部平面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 分離状態にある図1の分析用具を示す要部拡大断面図である。 分離状態にある図1の分析用具を示す要部拡大断面図である。 連結状態にある図1の分析用具を示す断面図である。 連結状態にある図1の分析用具を示す要部拡大断面図である。 連結状態にある図1の分析用具を示す要部拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に基づく分析システムを示すシステム構成図である。 分析準備工程を示す要部平面図である。 図9のX−X線に沿う要部断面図である。 分析工程を示す要部平面図である。 図11のXII−XII線に沿う要部拡大断面図である。 分離状態にある本発明の第2実施形態に基づく分析用具を示す要部拡大断面図である。 連結状態にある図13に示す分析用具を示す要部拡大断面図である。 連結状態にある本発明の第3実施形態に基づく分析用具を示す要部拡大断面図である。 本発明の第4実施形態に基づく分析用具を示す要部拡大断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図7は、本発明の第1実施形態に基づく分析用具を示している。本実施形態の分析用具A1は、第1ユニット11および第2ユニット12を備えている。
図1は、分離状態にある分析用具A1を示す要部平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、分離状態にある分析用具A1を示す要部拡大断面図である。図4は、分離状態にある分析用具A1を示す要部拡大断面図である。図5は、連結状態にある分析用具A1を示す断面図である。図6は、連結状態にある分析用具A1を示す要部拡大断面図である。図7は、連結状態にある分析用具A1を示す要部拡大断面図である。なお、図1においては、理解の便宜上、後述する密閉部材73、密閉部材77、希釈液Ldおよび泳動液Lmを省略している。
本発明に係る分析用具は、様々な試料を対象とした種々の分析方法に用いられ、分析方法等は特に限定されない。試料としては、生体由来の血液、尿、汗等の検体や水質調査、地質調査等の環境調査の対象となる試料などが広く適用しうる。本実施形態においては、試料が、人体から採取された血液である場合を例に説明する。また、血液に含まれるヘモグロビンを分析対象として電気泳動法による分析を行う場合を例に説明する。
血液に含まれる成分のうち電気泳動法における分析対象となる成分としては、ヘモグロビン(Hb)、アルブミン(Alb)、グロブリン(α1、α2、β、γグロブリン)、フィブリノーゲン等が挙げられる。前記ヘモグロビンとしては、たとえば、正常ヘモグロビン(HbA0)、糖化ヘモグロビン、修飾ヘモグロビン、胎児ヘモグロビン(HbF)、変異ヘモグロビン等が挙げられる。前記糖化ヘモグロビンとしては、たとえば、ヘモグロビンA1a(HbA1a)、ヘモグロビンA1b(HbA1b)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、GHbLys等が挙げられる。前記ヘモグロビンA1cとしては、たとえば、安定型HbA1c(s−HbA1c)、不安定型HbA1c(l−HbA1c)等が挙げられる。前記修飾ヘモグロビンとしては、たとえば、カルバミル化Hb、アセチル化Hb等が挙げられる。
分析用具A1は、第1ユニット11と第2ユニット12とが互いに分離した分離状態と、第1ユニット11と第2ユニット12とが互いに連結された連結状態と、をとる。図2〜図4は、分離状態にある分析用具A1を示している。図5〜図7は、連結状態にある分析用具A1を示している。
第1ユニット11は、第1上基材111および第1下基材112からなる。第1上基材111および第1下基材112は、各々がたとえば略長矩形状の板状部材であり、互いに貼り合わされている。第1上基材111および第1下基材112は、例えば、ガラス、溶融シリカ、プラスチック等からなる。なお、本実施形態とは異なり、第1ユニット11が一体的に形成されていてもよい。
第1ユニット11は、連結部31,32,33,34、試料採取部41、導入流路42、分析部43、導入流路44、入射凹部51および出射凹部52を有している。
連結部31,32,33,34は、各々が第2ユニット12の適所と連結する部位であり、第1ユニット11と第2ユニット12との連結を各部において実現するためのものである。図2および図4に示すように、本実施形態においては、連結部31,32,33,34は、各々が図中上方に突出する凸状部分とされており、各々を図中上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。
試料採取部41は、分離状態において所定量の試料を採取し、且つ分析用具A1が連結状態となるまでこの所定量の試料を維持するための部位である。本実施形態においては、試料採取部41は、連結部31に繋がる微細流路であり、特に本実施形態においては、毛細管力を利用して、所定量の試料を試料採取部41に留まらせることが意図されている。
試料採取部41のサイズは特に限定されないが、その一例を挙げると、その幅が100μm〜1000μm、その深さが100μm〜1000μm、その長さが1mm〜20mmである。また、試料採取部41によって採取される試料の量は、0.01μL〜20μLである。また、本実施形態においては、試料採取部41は、第1下基材112に形成された微細な溝を第1上基材111が塞ぐことによって設けられている。
導入流路42は、試料採取部41から分析部43の一端を経由して連結部32へと繋がる流路である。導入流路42は、後述する試料Saが希釈液Ldによって希釈された希釈試料Smを分析部43および連結部31へと導入するための流路である。本実施形態においては、導入流路42は、分析用具A1の長手方向に対して直角である幅方向(図1における図中上下方向)に沿う部分を有しており、この幅方向に沿う部分に分析部43が連結されている。導入流路42は、たとえば、第1上基材111に形成された屈曲状の溝を第1下基材112が塞ぐことによって設けられている。
分析部43は、分析が行われる場であり、電気泳動法が採用された本実施形態においては、いわゆるキャピラリー管として機能する。分析部43は、分析用具A1の長手方向に沿って直線状に延びている。分析部43の一端は、導入流路42に繋がっており、分析部43の他端は、導入流路44に繋がっている。
分析部43のサイズは特に限定されないが、その一例を挙げると、その幅が25μm〜100μm、その深さが25μm〜100μm、その長さが5mm〜150mmである。また、本実施形態においては、分析部43は、第1下基材112に形成された微細な溝を第1上基材111が塞ぐことによって設けられている。
導入流路44は、途中部分に分析部43の他端が連結されており、一端が連結部32に繋がり、他端が連結部34に繋がる。導入流路44は、後述する泳動液Lmを分析部43および連結部32へと導入するための流路である。本実施形態においては、導入流路44は、第1上基材111に形成された屈曲状の溝を第1下基材112によって塞ぐことによって設けられている。
入射凹部51は、電気泳動法による分析を行う際に、分析に供される光を入射させるためのものである。本実施形態においては、入射凹部51は、第1上基材111の図中上面から内部へと凹んでおり、平面視において、分析部43と重なっている。入射凹部51は、たとえば略円柱形状の凹部である。
出射凹部52は、電気泳動法による分析を行う際に、分析に供される光を出射させるためのものである。本実施形態においては、出射凹部52は、第1下基材112の図中下面から内部へ凹んでおり、平面視において分析部43と重なっており、入射凹部51と互いの中心が一致している。出射凹部52は、たとえば略円錐形状の凹部である。
第2ユニット12は、第2基材121を備えている。第2基材121は、例えば、ガラス、溶融シリカ、プラスチック等からなる。なお、本実施形態とは異なり、第2ユニット12が複数の部材の集合体によって形成されていてもよい。
第2ユニット12は、貫通孔122、希釈液槽71、泳動液槽75、密閉部材72,73,76,77、筒状導体部81,85および電極用凹部82,86を有している。
貫通孔122は、第2基材121を厚さ方向に貫通している。貫通孔122は、平面視において第1ユニット11の入射凹部51と重なっており、入射凹部51とともに一体的な空間を規定している。
希釈液槽71は、第2ユニット12の長手方向一端寄りに設けられており、本発明で言う特定液体の一例としての希釈液Ldが封入された特定液体槽の一例に相当する。本実施形態においては、希釈液槽71は、第2基材121に形成された貫通孔を利用して構成されている。
ここで、希釈液Ldは、試料Saと混合されることにより、希釈試料Smを生成するためのものである。希釈液Ldの主剤は特に限定されず、水、生理食塩水が挙げられ、好ましい例として後述する泳動液Lmと類似の成分の液体が挙げられる。また、希釈液Ldは、たとえば、前記主剤に、陰極性基含有化合物が添加されたものである。前記陰極性基含有化合物は、たとえば、陰極性基含有多糖類である。前記陰極性基含有多糖類は、たとえば、硫酸化多糖類、カルボン酸化多糖類、スルホン酸化多糖類およびリン酸化多糖類からなる群から選択される少なくとも一つの多糖類である。前記カルボン酸化多糖類は、アルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)が好ましい。前記硫酸化多糖類は、たとえば、コンドロイチン硫酸である。コンドロイチン硫酸は、A、B、C、D、E、H、Kの七種類があり、いずれを用いてもよい。前記陰極性基含有化合物(コンドロイチン硫酸)の濃度は、例えば、0.01〜5重量%の範囲である。
希釈液槽71は、密閉部材72および密閉部材73によって密閉されている。密閉部材72および密閉部材73は、第2基材121の表面に対して、接着などの密閉状態を維持しうる手法によって固定されている。密閉部材72および密閉部材73の具体的構成は特に限定されず、板状部材や膜状部材が適宜作用される。本実施形態においては、密閉部材72および密閉部材73として膜状部材が採用された場合を例に説明する。このような膜状部材としては、例えば樹脂層とアルミ層とが積層された、いわゆるラミネートフィルムが挙げられる。
連結部61は、希釈液槽71の下方に設けられており、第1ユニット11の連結部31と連結する部位である。本実施形態においては、連結部61は、図中下方に突出しており、内部を図中上下方向に貫通する貫通孔が設けられている。本実施形態においては、連結部61の下端に密閉部材72が固定されている。
泳動液槽75は、第2ユニット12の長手方向他端寄りに設けられており、本発明で言う特定液体の他の例としての泳動液Lmが封入された特定液体槽の他の例に相当する。本実施形態においては、泳動液槽75は、第2基材121に形成された貫通孔を利用して構成されている。
ここで、泳動液Lmは、電気泳動法による分析工程において、分析部43に充填され、電気泳動法における電気浸透流を生じさせる媒体である。泳動液Lmは、特に制限されないが、酸を用いたものが望ましい。前記酸は、例えば、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、こはく酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、リンゴ酸がある。また、泳動液Lmは、弱塩基を含むことが好ましい。前記弱塩基としては、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、トリス等がある。泳動液LmのpHは、例えば、pH4.5〜6の範囲である。泳動液Lmのバッファーの種類は、MES、ADA、ACES、BES、MOPS、TES、HEPES等がある。また、泳動液Lmにも、希釈液Ldの説明で述べた前記陰極性基含有化合物が添加されてもよい。前記陰極性基含有化合物(コンドロイチン硫酸等)の濃度は、例えば、0.01〜5重量%の範囲である。
泳動液槽75は、密閉部材76および密閉部材77によって密閉されている。密閉部材76および密閉部材77は、第2基材121の表面に対して、接着などの密閉状態を維持しうる手法によって固定されている。密閉部材76および密閉部材77の具体的構成は特に限定されず、板状部材や膜状部材が適宜作用される。本実施形態においては、密閉部材76および密閉部材77として膜状部材が採用された場合を例に説明する。このような膜状部材としては、例えば樹脂層とアルミ層とが積層された、いわゆるラミネートフィルムが挙げられる。
連結部62は、泳動液槽75の下方に設けられており、第1ユニット11の連結部32と連結する部位である。本実施形態においては、連結部62は、図中下方に突出しており、内部を図中上下方向に貫通する貫通孔が設けられている。本実施形態においては、連結部62の下端に密閉部材76が固定されている。
図1および図4に示すように、筒状導体部81,85、電極用凹部82,86および連結部63,64は、それぞれ構成が略共通している。以下においては、筒状導体部81、電極用凹部82および連結部63について説明する。筒状導体部81は、第2基材121に形成された厚さ方向に貫通する貫通孔に設けられている。筒状導体部81は、導電性材料からなりたとえば金属からなる。筒状導体部81は、筒状であればその形状は特に限定されず、本実施形態においては、円筒形である場合を例に説明する。
電極用凹部82は、第2基材121の幅方向一端面から内部に凹んでいる。電極用凹部82は、筒状導体部81の長手方向中央寄りの一部を収容している。一方、筒状導体部81の両端は、電極用凹部82を避けた第2基材121の内部に位置している。電極用凹部82の形状は特に限定されず、本実施形態においては、平面視三角形状とされている。
筒状導体部81の内面は、電圧印加流路811を構成している。電圧印加流路811は、内部を流れる液体である希釈試料Smに対して電圧を印加するための流路である。筒状導体部81は、外面812を有している。筒状導体部81が、上述した電極用凹部82に収容されていることにより、外面812の一部は、外部に露出している。
連結部63は、第1ユニット11の連結部33と連結する部位である。本実施形態においては、連結部63は、図中下方に突出しており、貫通孔を有する。
図2および図3は、第1ユニット11および第2ユニット12が互いに分離された分離状態において、試料採取部41に試料Saが採取された状態を示している。試料Saの採取は、人体から採取した血液を収容したスポイト等(図示略)から、試料採取部41の一端に向けて試料Saを点着させることによって行う。あるいは、試料Saの採取は、指先血等を試料採取部41の一端に直接点着することによって行う。上述したように、試料採取部41が毛細管力を発揮しうる微細流路とされているため、所定量の試料Saが試料採取部41内に毛細管力によって採取される。採取された所定量の試料Saは、試料採取部41内に留まる。
図5〜図7は、試料採取部41に試料Saを採取した後に、第1ユニット11と第2ユニット12とが連結された連結状態を示している。図5に示すように、第1ユニット11と第2ユニット12とは、一体的な長細形状の分析用具A1を構成するように連結される。また、図6に示すように、第1ユニット11の連結部31と第2ユニット12の連結部61とが連結される。より具体的には、本実施形態においては、連結部61に設けられた貫通孔に連結部31が進入するようにして連結される。この際、連結部61の図中下面に設けられた密閉部材72を連結部31が突き破るようにして連結部61内に進入する。また、連結部31に設けられた貫通孔は、希釈液槽71から試料採取部41へと希釈液Ldを導入しうる連絡流路21を構成する。このように、第1ユニット11と第2ユニット12とが連結される際に、密閉部材72の開封と、連絡流路21の形成とがなされる。なお、本実施形態においては、連絡流路21は、第1ユニット11の一部である連結部31のみによって構成されている。
このような連結に際しての構成は、泳動液槽75、密閉部材76、連結部32および連結部62についても同様である。すなわち、第1ユニット11と第2ユニット12とが連結される際に、密閉部材76の開封と、泳動液Lmを第1ユニット11へと導入しうる連絡流路22の形成とがなされる。なお、本実施形態においては、連絡流路22は、第1ユニット11の一部である連結部32のみによって構成されている。
また、図7に示すように、第1ユニット11の連結部33,34と第2ユニット12の63,64とが連結される。これにより、筒状導体部81,85の電圧印加流路811,815は、第1ユニット11の導入流路42,44に繋がる流路として構成される。また、本実施形態においては、電圧印加流路811,815の上端は、開放状態、あるいは後述する分析装置Bの適所に連結される。
図8は、分析用具A1を用いた本発明の第1実施形態に基づく分析システムを示している。本実施形態の分析システムCは、分析用具A1および分析装置Bを備えている。
分析装置Bは、分析用具A1が装填されることにより、電気泳動法による分析を行う装置である。分析装置Bは、電極91、電極92、発光部93、受光部94、圧力ノズル95、圧力ノズル96、ポンプ97および制御部98を備えている。
電極91および電極92は、電気泳動法においてキャピラリー管としての分析部43に所定の電圧を印加するためのものである。電極91は、分析用具A1の筒状導体部81の外面812に接触することによって電圧を印加するものである。電極92は、分析用具A1の筒状導体部85の外面852に接触することによって電圧を印加するものである。電極91および電極92に印加される電圧は特に限定されないが、たとえば0.5kV〜20kVである。なお、図8における電極91および電極92の配置は、模式的に示している。実際には、電極91および電極92は、分析用具A1に対して幅方向から接近動および離間動が自在に構成されている。
発光部93は、電気泳動法において吸光度測定するための光を発する部位である。発光部93は、たとえば所定の波長域の光を出射するLEDチップ等、光学フィルタおよびレンズを具備する。この光学フィルタは、LEDチップ等からの光のうち所定の波長の光を減衰させつつ、その余の波長の光を透過させるものである。レンズは、光学フィルタを透過した光を分析用具A1の分析部43の分析箇所へと集光するためのものである。また、発光部93は、スリットを具備していてもよい。スリットは、光学フィルタによって集光された光のうち、散乱などを引き起こしうる余分な光を除去するためのものである。
受光部94は、分析用具A1の分析部43を透過してきた光を受光するものであり、たとえばフォトダイオードやフォトICなどを具備して構成されている。
圧力ノズル95は、分析用具A1の希釈液槽71に密着し、且つ希釈液槽71に対して所定の圧力(正圧あるいは負圧)を付与する部位である。圧力ノズル95自体に、あるいは圧力ノズル95に加えて、分析装置Bは、分析用具A1の密閉部材73を開封するための開封手段を備える。
圧力ノズル96は、分析用具A1の泳動液槽75に密着し、且つ泳動液槽75に対して所定の圧力(正圧あるいは負圧)を付与する部位である。圧力ノズル96自体に、あるいは圧力ノズル96に加えて、分析装置Bは、分析用具A1の泳動液槽75を開封するための開封手段を備える。
ポンプ97は、圧力ノズル95および圧力ノズル96に接続されており、圧力ノズル95および圧力ノズル96からの圧力付与を実現するための圧力発生源である。また、ポンプ97は、圧力ノズル95および圧力ノズル96以外に、分析用具A1の別の箇所から圧力付与するための圧力ノズル(図示略)に接続されていてもよい。
制御部98は、分析装置Bにおける各部を制御するものである。制御部98は、たとえばCPU、メモリおよびインターフェースなどを具備する。
次に、分析システムCを用いた本発明の第1実施形態に基づく分析方法について、以下に説明する。本分析方法は、たとえば、試料採取工程、泳動液充填工程、混合導入工程、および電気泳動工程を有する。
<試料採取工程>
まず、試料Saを用意する。本実施形態においては試料Saは、人体から採取された血液である。血液としては、全血、または溶血処理が施された溶血等であってもよい。上述した毛細管力を用いた手法によって、図1〜図4に示すように、分離状態の分析用具A1に、試料採取部41に所定量の試料Saが採取されている。そして、図5〜図7に示すように、分析用具A1が連結状態とされることにより、密閉部材72および密閉部材76の開封と、連絡流路21および連絡流路22の形成とがなされる。図8においては、この連結状態の分析用具A1が分析装置Bに装填されている。
<泳動液充填工程>
次いで、泳動液Lmを分析部43に充填する。具体的には、図9および図10に示すように、連結状態の分析用具A1において連絡流路22が形成された状態で、開封された密閉部材77を通して圧力ノズル96から正圧を付与する。これにより、泳動液槽75内の泳動液Lmが、連絡流路22を通って第1ユニット11の導入流路44へと導入され、さらに分析部43に充填される。
<混合導入工程>
次いで、試料Saと希釈液Ldとを混合する。具体的には、図9および図10に示すように、連結状態の分析用具A1において連絡流路21が形成された状態で、開封された密閉部材73を通して圧力ノズル95から正圧を付与する。これにより、希釈液槽71内の希釈液Ldが連絡流路21を通って第1ユニット11の試料採取部41へと導入される。試料採取部41には、所定量の試料Saがとどまっている。このため、希釈液Ldの流動に伴って、希釈液Ldと試料Saとが混合される。これにより、試料Saが希釈液Ldによって希釈された希釈試料Smが得られる。この希釈試料Smは、圧力ノズル95からの正圧によって、導入流路42に充填される。また、この希釈試料Smは、導入流路42jから連結部31を経由して筒状導体部81に到達する。なお、試料Saと希釈液Ldとの混合は、いかなる手法によってなされてもよい。たとえば、圧力ノズル95から正圧と負圧とを交互に付与することによって、試料採取部41および導入流路42において往復流動を発生させてもよい。あるいは、本実施形態とは異なり、試料採取部41と分析部43の一端との間に、試料Saと希釈液Ldとを混合させるための混合槽を備えた構成であってもよい。
<電気泳動工程>
次いで、図11および図12に示すように、電極91を筒状導体部81に接触させ、電極92を筒状導体部85に接触させる。続いて、制御部98からの指示により筒状導体部81および筒状導体部85に電圧を印加する。この電圧は、たとえば0.5kV〜20kVである。これにより電気浸透流を生じさせ、キャピラリー管としての分析部43中において希釈試料Smを徐々に移動させる。この際、導入流路42に希釈試料Smが充填されているため、分析部43において希釈試料Smが連続的に供給されている状態で電気泳動させることとなる。また、発光部93からの発光を開始し、受光部94による吸光度の測定を行う。そして、電極91および電極92からの電圧印加開始時から経過時間と吸光度との関係を測定する。ここで、希釈試料Sm中の移動速度が比較的速い成分に対応した吸光度ピークは、前記電圧印加開始時からの経過時間が比較的短い時点で現れる。一方、希釈試料Sm中の移動速度が比較的遅い成分に対応した吸光度ピークは、前記電圧印加開始時からの経過時間が比較的長い時点で現れる。これにより、希釈試料Sm中の各成分の分析(分離測定)が行われる。さらに、測定された前記吸光度を演算処理(たとえば、制御部98による微分処理、差分処理等)することによりエレクトロフェログラムを作成する。このエレクトロフェログラムのピーク高さやピークの面積を計算することにより、希釈試料Sm中の成分比率等を求める。以上の工程を経ることにより、試料Sa(希釈試料Sm)を対象とした分析が完了する。
次に、分析用具A1および分析装置Bの作用について説明する。
本実施形態によれば、図3および図6に示すように、分析用具A1が分離状態から連結状態とされると、連絡流路21が構成される。連絡流路21は、第1ユニット11の一部である連結部31のみによって構成されている。このため、第2ユニット12に貯蔵された特定液体としての希釈液Ldを第1ユニット11に導入するに際し、分析用具A1以外の、例えば分析装置Bに備えられたノズルによる分注などを行う必要がない。このため、分析を行うために第2ユニット12から第1ユニット11へと希釈液Ldを導入しても、分析装置Bは、なんら希釈液Ldに触れる必要がない。したがって、分析装置Bの複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うことが可能である。また、希釈液Ldや泳動液LMそれぞれを貯蔵する専用のボトルは不要である。したがって、これらのボトルを配置することに伴って不必要な空間が生じることを抑制し、コスト増を回避することができる。また、複数回の測定を行い得る量の希釈液Ldや泳動液LMを貯蔵する必要がないため、1回の測定当たりのコストを低減することができる。
また、分析用具A1を分離状態から連結状態とすることにより、密閉部材72の開封と第2ユニット12との連結とが同時になされる。これにより、分離状態において、希釈液槽71の希釈液Ldを密閉状態で適切に貯蔵可能である一方、分析に臨む連結状態においては、希釈液槽71の密閉状態を直ちに開放することができる。しかも、分析装置Bには、密閉部材72を開封するための専用の開封手段を設ける必要がないという利点がある。これは、泳動液槽75の密閉部材76の開封についても同様である。
分析用具A1を電気泳動法を用いた分析に用いられるディスポーザブルタイプの分析用具とすることにより、第2ユニット12に貯蔵される希釈液Ldおよび泳動液Lmは、一回の分析に必要な量を貯蔵すれば済む。また、電気泳動法を用いた分析を行うには、希釈液Ldおよび泳動液Lmを用意すれば達成可能であり、より他種類の液体や試薬等をさらに用意する必要が無いという利点がある。
毛細管力を用いて試料採取部41に試料Saを採取することにより、所定量の試料Saを正確に採取することができる。また、電気泳動法を用いた分析に供される分析用具A1は、キャピラリー管としての分析部43が形成されている。このような分析部43は、微細な流路であり、試料採取部41と同様の加工手順によって設けることができる。
筒状導体部81の外面812に接触させた電極91から、筒状導体部81の内面によって構成された電圧印加流路811に電圧を印加する。これにより、分析装置Bにおいて電圧を印加するための末端部材である電極91は、希釈試料Sm等には一切触れる必要がない。このため、ある分析を終えた後に次の分析を行う場合に、電極91の洗浄や交換を行うことが強いられない。したがって、分析装置Bの汚染を防止するとともに、複数回の分析を効率よく行うことができる。この点は、筒状導体部85に接触する電極92についても同様である。
図13〜図16は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図13および図14は、本発明の第2実施形態に基づく分析用具を示している。本実施形態の分析用具A2は、連絡流路21、連結部31および連結部61の構成が上述した実施形態と異なっている。図13は、分離状態の分析用具A2を示しており、図14は、連結状態の分析用具A2を示している。本実施形態においては、連結部31および連結部61には、内径が略同じである貫通孔がそれぞれに形成されている。図14に示す連結状態においては、連結部31と連結部61とが密閉部材72を挟んで互いに押し付けられる。そして、分析装置Bに備えられたたとえばレーザ照射デバイスなどの開封手段によって、密閉部材72が開封される。すると、連結部31の貫通孔と連結部61の貫通孔とによって、連絡流路21が形成される。このように、本実施形態においては、連絡流路21が第1ユニット11の一部である連結部31と第2ユニット12の一部である連結部61とによって構成される。
このような実施形態によっても、分析装置Bの複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うことが可能である。
図15は、本発明の第3実施形態に基づく分析用具を示している。本実施形態の分析用具A3は、連結状態において、連結部31の貫通孔に連結部61が進入する。また、密閉部材72は、連結部61よりも図中上方の希釈液槽71の部位に設けられている。上述したレーザ照射デバイス等の開封手段によって密閉部材72を開封すると、連結部61の貫通孔が連絡流路21を構成する。このように、本実施形態においては、連絡流路21が第2ユニット12の一部である連結部61のみによって構成されている。
このような実施形態によっても、分析装置Bの複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うことが可能である。
図16は、本発明の第4実施形態に基づく分析用具を示している。本実施形態の分析用具A4は、筒状導体部81,85の構成が上述した分析用具A1と異なっている。本実施形態においては、筒状導体部81,85は、第1ユニット11に設けられている。これに対応して、筒状導体部81,85を収容する電極用凹部82,86も、第1ユニット11に形成されている。第1ユニット11のうち筒状導体部81,85の図中上方には、開口部が設けられており、第2ユニット12の貫通孔(あるいは流路)に繋がっている。
このような実施形態によっても、分析装置Bの複雑化や汚染を回避しつつ、適切に分析を行うことが可能である。
本発明に係る分析用具および分析システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る分析用具および分析システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
C 分析システム
A1〜A4 分析用具
21,22 連絡流路
11 第1ユニット
111 第1上基材
112 第1下基材
31 連結部
41 試料採取部
42 導入流路
43 分析部
44 導入流路
51 入射凹部
52 出射凹部
32〜34 連結部
12 第2ユニット
121 第2基材
122 貫通孔
71 希釈液槽
72 密閉部材
73 密閉部材
61 連結部
75 泳動液槽
76 密閉部材
77 密閉部材
62 連結部
81 筒状導体部
811 電圧印加流路
812 外面
82 電極用凹部
63 連結部
85 筒状導体部
851 電圧印加流路
852 外面
86 電極用凹部
64 連結部
B 分析装置
91,92 電極
93 発光部
94 受光部
95 圧力ノズル
96 圧力ノズル
97 ポンプ
98 制御部
Sa 試料
Sm 希釈試料
Ld 希釈液
Lm 泳動液

Claims (10)

  1. 試料の分析に用いられる分析用具であって、
    分析が行われる分析部を有する第1ユニットと、
    前記第1ユニットと連結可能であり、所定回数の分析に用いられる分量の特定液体が封入された特定液体槽を有する第2ユニットと、を備えており、
    前記第1ユニットと前記第2ユニットとが連結された連結状態において、前記第1ユニットの一部のみ、前記第2ユニットの一部のみ、前記第1ユニットの一部および前記第2ユニットの一部のみ、のいずれかによって形成された、前記特定液体を前記特定液体槽から前記第1ユニットへと導入する連絡流路が形成される、分析用具。
  2. 前記第2ユニットは、前記特定液体槽を密閉する密閉部材を有しており、
    前記第1ユニットおよび前記第2ユニットが連結される際に、前記密閉部材の開封と前記連絡流路の形成とがなされる、請求項1に記載の分析用具。
  3. 前記第1ユニットは、前記第2ユニットから分離した分離状態において、前記試料を採取する試料採取部を有する、請求項1または2に記載の分析用具。
  4. 前記試料採取部は、毛細管力を用いて前記試料を採取する、請求項3に記載の分析用具。
  5. ディスポーザブルタイプの分析用具として用いられる、請求項1ないし4のいずれかに記載の分析用具。
  6. 電気泳動法による分析に用いられ、
    前記分析部は、キャピラリー管である、請求項1ないし5のいずれかに記載の分析用具。
  7. 筒状導体部を更に備えており、
    前記筒状導体部の内面は、充填された液体に電圧を印加するための電圧印加流路を構成しており、
    前記筒状導体部の外面は、外部に露出している、請求項6に記載の分析用具。
  8. 前記筒状導体部は、前記第2ユニットに形成されている、請求項7に記載の分析用具。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の分析用具と、
    前記分析用具が装填される分析装置と、
    を備える、分析システム。
  10. 前記分析装置は、前記連絡流路に前記特定液体を流すことを含む液体の流動を実現するための圧力制御を行う、請求項9に記載の分析システム。
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