JP2008190882A - 除血球機能を統合した電気泳動チップを用いた一酸化窒素最終代謝物の分析法 - Google Patents
除血球機能を統合した電気泳動チップを用いた一酸化窒素最終代謝物の分析法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】全血サンプル中の一酸化窒素の代謝物である硝酸イオン(NO3 -)及び亜硝酸イオン(NO2 -)をマイクロチップの分離検出流路内で電気泳動により分離し、検出部において光学的に検出することを特徴とし、硝酸イオンと亜硝酸イオンの合計量で体内における一酸化窒素の産生量を推定する方法。
【選択図】図1
Description
される。一酸化窒素は、細胞内の可溶型グアニル酸シクラーゼを活性化してサイクリックGMP (cGMP) を合成させることによりシグナル伝達に関与する。血管内皮は一酸化窒素を
シグナルとして周囲の平滑筋を弛緩させ、それにより動脈を拡張させて血流量を増やす。これがニトログリセリンが心臓病の治療に用いられる理由である。一酸化窒素を気管内に吸入させることにより、肺動脈の血管平滑筋を弛緩させ、肺高血圧を改善させることができる。さらに、免疫に関与する細胞の一種であるマクロファージは病原体を殺すために一酸化窒素を産生する。しかしこれは逆に悪影響を及ぼすこともある。敗血症ではマクロファージが一酸化窒素を大量に産生し、それによる血管拡張が低血圧の主因となると考えられている。
J. Chromatogr.A1051 (2004) 185-191 J. Chromatogr. A, 1109 (2006) 174-178 Clinical Chemistry, Vol.41, No.6, 892-896, 1995
1. 全血サンプル中の一酸化窒素の代謝物である硝酸イオン(NO3 -)及び亜硝酸イオン(NO2 -)をマイクロチップの分離検出流路内で電気泳動により分離し、検出部において光学的に検出することを特徴とし、硝酸イオンと亜硝酸イオンの合計量で体内における一酸化窒素の産生量を推定する方法。
2. 分離検出流路内を緩衝液で満たすことを特徴とする、項1に記載の方法。
3. 緩衝液が、ヒト血清と同様な高いイオン強度を有し、かつ、硝酸イオン及び亜硝酸イオンの紫外線吸収に基づく測定を妨げないような、紫外線領域の低い吸光度を有する、項2に記載の方法。
4. 前記検出部が紫外線透過性の材料で形成されていることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の方法。
5. 電気泳動を硝酸イオンと亜硝酸イオンの分離を行うのに適した流体制御を得るための条件下で行う、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
6. 血球と硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを含むサンプルを、これらがアニオンで存在する条件下で電気泳動にかけて、移動度の違いにより血球を硝酸イオンおよび亜硝酸イオンから分離する、除血球方法。
7. 電気泳動を血球と硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの分離を行うのに適した流体制御を得るための条件下で行う、項6に記載の方法。
血サンプルは、必要に応じて2〜10倍程度に希釈した後、電気泳動に供してもよい。
ンと酸素から合成されるが、一酸化窒素の半減期が極めて短いため、血液中では亜硝酸イオン及び硝酸イオンに代謝される。血液中の亜硝酸イオンと硝酸イオンはいずれも一酸化窒素に由来するため、本発明では、亜硝酸イオンと硝酸イオンの合計量により一酸化窒素
の産生量を推定する。硝酸イオンは安定であるが、亜硝酸イオンはアミンと反応性を有する比較的不安定なイオンであるので、迅速に分析する必要がある。本発明によれば、硝酸イオンだけでなく、亜硝酸イオンを正確に分析することができる。
薄い透明フィルム)から構成され、紫外線などの光学的な検出を可能にするのが望ましい
。なお、分離検出流路全体がこのような材料から構成されてもよく、硝酸イオンと亜硝酸イオンが検出可能であれば、分離検出流路の一部のみが光学的検出が可能な材料で構成されてもよい。光透過性の材料としては、石英ガラス以外に、樹脂、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオ
レフィン・コポリマー(COC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などが挙げられる。
出することができる。
白質の吸着抑制や流体制御などのために両性イオンやポリマーなどを添加して用いてもよい。
〜30 ℃程度である。
るが、本発明で使用するマイクロチップでは、分離検出流路の両側に1対の電極は必要であるが、試料導入流路及び試料リザーバーと試料廃液リザーバーは必ずしも必要ない。すなわち、マイクロチップを泳動液リザーバーと廃液リザーバー、さらに分離検出流路で構成し、全血サンプルを該流路上に滴下し、電気泳動を行う方法でも、全血サンプル中の硝酸イオンと亜硝酸イオンの分離検出にほとんど影響はなく、一酸化窒素の分析を問題なく行えることが明らかになった。図1のB〜Jには、本発明の方法に使用する種々の実施形態
のマイクロチップが示されている。
分離検出流路から構成されている。このチップ形状では泳動液リザーバーと廃液リザーバーに設置された2つの電極で流体制御を行う。
。
ルにすること)で引き戻すための電圧を印加しなくても流れ込みを防ぐことができ、流体
制御をより簡便に行うことが可能となる。
てもよく、一つのマイクロチップに複数の分離検出流路を設け、複数のサンプルを同時に分析するようにしてもよい。全血サンプルを適用した場合、血球又は血液中の蛋白質が分離検出流路に付着し汚染することが考えられるが、このような構成のマイクロチップは使い捨てにすればよい。
オン、1 mM EDTAとなるように硝酸イオンと亜硝酸イオンの標準溶液とEDTA水溶液を添加
した85%の全血を図1-Aのマイクロチップを用いて分離したときの結果を示す。
具体的には、泳動液として、2.00 mM Na2HPO4, 12.0 mM KCl, 412 mM NaCl, 5.43 mM 尿
素, 4.72 mM ブドウ糖を含み、0.1 M 塩酸でpH 7.4に調節された溶液を用いる。泳動条件は、試料導入時には試料廃液リザーバーに0.4 kV、泳動液と廃液リザーバーに0.2 kV、試料リザーバーに0 kVを25秒間印加し、分離時には廃液リザーバーに1.8 kV、試料と試料廃液リザーバーに0.15 kV、泳動液リザーバーに0 kVを6.5秒間印加する。
Claims (7)
- 全血サンプル中の一酸化窒素の代謝物である硝酸イオン(NO3 -)及び亜硝酸イオン(NO2 -)をマイクロチップの分離検出流路内で電気泳動により分離し、検出部において光学的に検出することを特徴とし、硝酸イオンと亜硝酸イオンの合計量で体内における一酸化窒素の産生量を推定する方法。
- 分離検出流路内を緩衝液で満たすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 緩衝液が、ヒト血清と同様な高いイオン強度を有し、かつ、硝酸イオン及び亜硝酸イオンの紫外線吸収に基づく測定を妨げないような、紫外線領域の低い吸光度を有する、請求項2に記載の方法。
- 前記検出部が紫外線透過性の材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 電気泳動を硝酸イオンと亜硝酸イオンの分離を行うのに適した流体制御を得るための条件下で行う、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 血球と硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを含むサンプルを、これらがアニオンで存在する条件下で電気泳動にかけて、移動度の違いにより血球を硝酸イオンおよび亜硝酸イオンから分離する、除血球方法。
- 電気泳動を血球と硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの分離を行うのに適した流体制御を得るための条件下で行う、請求項6に記載の方法。
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