JP2016211471A - 内燃機関の凝縮水排出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関のガス通路内において発生した凝縮水を排出する凝縮水排出装置に対し、凝縮水と共にEGRガスが排出されてしまうことを防止できる構成を提供する。【解決手段】吸気通路11aにサイクロントラッパ71を設け、EGRガス中に含まれる水分が凝縮することにより生成される凝縮水をサイクロントラッパ71によって捕集する。サイクロントラッパ71の下部に凝縮水タンク72を一体形成すると共に、この凝縮水タンク72に排出管74を介してポンプディスペンサ73を接続する。ポンプディスペンサ73内に対する過給圧の導入と非導入とを切り替えるディスペンサ内圧切替バルブ76aを設ける。この切替バルブ76aを開放し、凝縮水タンク72内における凝縮水貯留量が所定量に達すると、切替バルブ76aを閉鎖して、凝縮水タンク72内の凝縮水を、排出管74を経てポンプディスペンサ73に排出する。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関のガス通路内において発生した凝縮水を、燃焼室内に流れ込ませることなく排出する凝縮水排出装置の改良に関する。
従来、内燃機関(以下、エンジンという場合もある)において、窒素酸化物(NOx)の排出量の低減や燃料消費率の改善を図るべく、排気ガスの一部をEGR通路によって吸気通路に再循環する排気再循環装置(EGR装置)が知られている。
排気ガスの再循環時には、この排気ガスが冷却される等して凝縮水が発生することがある。この凝縮水は、燃焼室内に流れ込んだ場合にエンジンの失火原因になったりする。
特許文献1には、凝縮水を、燃焼室内に流れ込ませることなく排出する凝縮水排出装置が開示されている。この特許文献1に開示されている凝縮水排出装置は、EGR通路に、凝縮水を捕集するトラッパを備えさせ、このトラッパに連結路を介してタンクを接続し、この連結路に、タンクからトラッパへの凝縮水の流れ(凝縮水の逆流)を阻止する逆止弁を設けた構成となっている。これにより、EGR通路への凝縮水の逆流を抑えつつ、EGR通路で発生した凝縮水をタンクから安定して排出できるようにしている。
しかしながら、特許文献1に開示されている凝縮水排出装置では、逆止弁が開放した際に、凝縮水と共にEGRガスもタンクに排出されてしまう可能性がある。このタンクに排出されたEGRガスは吸気系へ戻すことができない。このため、タンクから凝縮水を排出する動作を行う際に、EGRガスもタンクから排出されてしまうといった状況を招く可能性がある。つまり、トラッパからタンクへの凝縮水の排出動作と、タンクからの凝縮水の排出動作とが繰り返される度に、この凝縮水と共にEGRガスも排出されてしまう可能性がある。このような状況では、気筒内に導入されるEGRガス量が変動してしまい目標EGR率を達成することが難しくなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関のガス通路内において発生した凝縮水を排出する凝縮水排出装置に対し、凝縮水と共にEGRガスが排出されてしまうことを防止できる構成を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、EGRガスが流れるガス通路内において発生した凝縮水をEGRガスから分離して捕集する気液分離手段と、前記気液分離手段で捕集した前記凝縮水を、前記気液分離手段から回収して貯留する凝縮水タンクと、前記凝縮水タンクの下部に接続され、この凝縮水タンクの内部に貯留された前記凝縮水を前記凝縮水タンクの外部に排出する排出経路とを備えた内燃機関の凝縮水排出装置を前提とする。この凝縮水排出装置に対し、前記気液分離手段の内部から前記凝縮水タンクの内部への凝縮水の流入を許容し且つ前記凝縮水タンクの内部から前記排出経路への凝縮水の流出を制限する第1の切替状態と、前記凝縮水タンクの内部から前記排出経路への凝縮水の流出を許容する第2の切替状態とを切り替え可能な切替手段を設けている。そして、この切替手段が、前記第1の切替状態から前記第2の切替状態への切り替えを、前記凝縮水タンクにおける凝縮水貯留量が、この第2の切替状態において前記凝縮水タンク内のガスが前記排出経路に流出されない所定量に達した後に行う構成としている。
前記「EGRガスが流れるガス通路」としては、排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路に限らず、このEGR通路からEGRガスが流れ込む吸気通路も含む。
前記特定事項により、切替手段によって第1の切替状態が成立している際には、気液分離手段で捕集された凝縮水が凝縮水タンクの内部に回収されていく。この際、凝縮水タンクの内部から排出経路への凝縮水の流出は制限されているので、この凝縮水回収時に、ガス通路内のEGRガスが排出経路から流出してしまうことは防止される。そして、切替手段によって第2の切替状態が成立すると、凝縮水タンクの内部に回収されていた凝縮水が排出経路から流出される。これにより、凝縮水を燃焼室内に流れ込ませることなく排出することができる。そして、この第1の切替状態から第2の切替状態への切り替えは、凝縮水タンクにおける凝縮水貯留量が所定量(第2の切替状態において凝縮水タンク内のガスが排出経路に流出されない所定量)に達した後に行われる。このため、第2の切替状態が成立している状態において、凝縮水タンクの内部から排出経路へ流出する凝縮水と共にEGRガスが流出してしまうといったことが防止される。このように、本解決手段によれば、凝縮水を排出する状態が切り替えられた際(第1の切替状態から第2の切替状態へ切り替えられた際)に凝縮水と共にEGRガスが排出経路に流出してしまうといったことを防止できる。
本発明では、気液分離手段の内部から凝縮水タンクの内部への凝縮水の流入を許容し且つ凝縮水タンクの内部から排出経路への凝縮水の流出を制限する第1の切替状態から、凝縮水タンクの内部から排出経路への凝縮水の流出を許容する第2の切替状態への切り替えを、凝縮水タンクにおける凝縮水貯留量が所定量に達した後に行うようにしている。このため、ガス通路内のEGRガスが排出経路に流出してしまうことを防止しながら、ガス通路内で発生した凝縮水を排出することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載された直列4気筒ガソリンエンジンに、本発明に係る凝縮水排出装置を適用した場合について説明する。なお、本発明はディーゼルエンジンに対しても適用が可能である。
−エンジン−
図1は、本実施形態に係るエンジン(内燃機関)1およびその吸排気系を凝縮水排出装置7と共に示す概略構成図である。この図1に示すエンジン1は、4つの気筒を有している。このエンジン1には、各気筒に吸入空気を分配するためのインテークマニホールド11と、各気筒から排出される排気ガスを集合させるためのエキゾーストマニホールド12とが設けられている。
図1は、本実施形態に係るエンジン(内燃機関)1およびその吸排気系を凝縮水排出装置7と共に示す概略構成図である。この図1に示すエンジン1は、4つの気筒を有している。このエンジン1には、各気筒に吸入空気を分配するためのインテークマニホールド11と、各気筒から排出される排気ガスを集合させるためのエキゾーストマニホールド12とが設けられている。
インテークマニホールド11には、空気を大気中から取り込むための吸気通路(後述するようにEGRガスが流れるガス通路)11aが接続されている。吸気通路11aには、吸入空気(新気)をろ過するエアクリーナ11b、後述するターボチャージャ(過給機)13のコンプレッサインペラ13b、ターボチャージャ13による過給によって昇温した吸入空気を冷却するためのインタークーラ11c、および、吸入空気量を制御するためのスロットルバルブ11dなどが配置されている。
スロットルバルブ11dは、スロットルモータ63により開閉制御されるように構成されており、ECU(Electronic Control Unit)4によりアクセルペダル(図示省略)の操作とは独立してスロットル開度を制御することが可能である。
エキゾーストマニホールド12には、排気ガスを排出するための排気通路12aが接続されている。排気通路12aには、ターボチャージャ13のタービンホイール13a、および、排気ガスを浄化するための三元触媒12bなどが配置されている。
また、エンジン1には、気筒毎に吸気ポート(図示省略)が設けられており、その各吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ61(図2参照)が配置されている。また、エンジン1の各気筒(燃焼室)には点火プラグ(図示省略)が配置され、その点火プラグの点火時期はイグナイタ62(図2参照)によって調整される。
また、エンジン1には、排気ガスのエネルギを利用して吸入空気を過給するターボチャージャ13が設けられている。
ターボチャージャ13は、排気通路12aに配置された前記タービンホイール13aと、吸気通路11aに配置された前記コンプレッサインペラ13bと、タービンホイール13aおよびコンプレッサインペラ13bを回転一体に連結する連結シャフト13cとを含んでいる。このターボチャージャ13は、排気ガスのエネルギによりタービンホイール13aが回転し、それに伴いコンプレッサインペラ13bが回転することによって、吸入空気が過給されるように構成されている。
また、ターボチャージャ13には、タービンホイール13aの上流側と下流側とを連通(タービンホイール13aをバイパス)する排気バイパス通路14と、排気バイパス通路14を開閉するウェイストゲートバルブ(WGV)14aとが設けられている。このため、ターボチャージャ13では、WGVアクチュエータ64によりウェイストゲートバルブ14aの開度を調整し、タービンホイール13aをバイパスする排気ガス量を調整することにより、過給圧を制御することが可能である。
また、エンジン1には、吸入空気に排気ガスの一部を導入するためのEGR装置として、HPL−EGR機構(高圧EGR機構)15およびLPL−EGR機構(低圧EGR機構)16を備えている。これらEGR機構15,16を利用した排気ガスの再循環によって、NOx排出量の低減や燃料消費率の改善が図れる。
HPL−EGR機構15は、前記ターボチャージャ13のタービンホイール13aよりも上流の排気通路12aから、コンプレッサインペラ13bよりも下流(スロットルバルブ11dよりも下流)の吸気通路11aへ排気ガスの一部(高圧EGRガス)を導く高圧EGR通路15aと、この高圧EGR通路15aの流路面積を変更可能とする高圧EGRバルブ15bと、高圧EGR通路15aを流れる高圧EGRガスを冷却する高圧EGRクーラ15cとを備えている。このHPL−EGR機構15により還流(再循環)される高圧EGRガスの量は、前記高圧EGRバルブ15bの開度により調量される。
一方、LPL−EGR機構16は、前記三元触媒12bよりも下流の排気通路12aから、コンプレッサインペラ13bよりも上流の吸気通路11aへ排気ガスの一部(低圧EGRガス)を導く低圧EGR通路16aと、この低圧EGR通路16aの流路面積を変更可能とする低圧EGRバルブ16bと、低圧EGR通路16aを流れる低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ16cとを備えている。このLPL−EGR機構16により還流(再循環)される低圧EGRガスの量は、前記低圧EGRバルブ16bの開度により調量される。
−凝縮水排出装置−
本実施形態の特徴として、エンジン1には凝縮水排出装置7が備えられている。以下、この凝縮水排出装置7の構成について説明する。
本実施形態の特徴として、エンジン1には凝縮水排出装置7が備えられている。以下、この凝縮水排出装置7の構成について説明する。
凝縮水排出装置7は、吸気系で発生した凝縮水や吸気系に流入した凝縮水を、吸入空気およびEGRガスから分離して排出するためのものであって、サイクロントラッパ(気液分離手段)71、凝縮水タンク72、および、ポンプディスペンサ73を備えている。
サイクロントラッパ71は、前記コンプレッサインペラ13bよりも上流の吸気通路11aに配設されており、このサイクロントラッパ71の内部に流れ込んだ凝縮水や、このサイクロントラッパ71の内部で発生した凝縮水を捕集する機能を有している。
LPL−EGR機構16によって排気ガス(EGRガス)が再循環される際、このEGRガスが、前記エアクリーナ11bを経て吸気通路11aに導入された新気(吸入空気)と混合されることで冷却され、EGRガス中に含まれる水分が凝縮して凝縮水が発生することがある。この凝縮水は、燃焼室内に流れ込んだ場合にエンジン1の失火原因になるばかりでなく、リキッドコンプレッションを招く原因にもなる。また、この凝縮水は、エンジン1の構成部材の各部(コンプレッサインペラ13b、燃焼室の内壁面、インジェクタ61、インタークーラ11c等)の腐食や、コンプレッサインペラ13bの摩耗や破損、図示しないPCVポートの凍結、インタークーラ11cの閉塞等といった不具合の原因にもなる。
サイクロントラッパ71は、これらの不具合を回避するために、この凝縮水を遠心分離によってEGRガスから分離して捕集する構成となっている。より具体的に、このサイクロントラッパ71には、前記LPL−EGR機構16の低圧EGR通路16aの下流端が接続されており、この低圧EGR通路16aからEGRガスが流入するようになっている。この低圧EGR通路16aからサイクロントラッパ71に流入したEGRガスは、このサイクロントラッパ71内で新気と混合されることで冷却され、これによって凝縮水が発生する場合がある。また、低圧EGR通路(ガス通路)16a内で凝縮水が発生する場合もあり、この場合、凝縮水は低圧EGR通路16aからサイクロントラッパ71に流れ込むことになる。そして、サイクロントラッパ71内では、遠心分離により、この凝縮水をEGRガスから分離して捕集する(EGRガスが流れるガス通路内において発生した凝縮水をEGRガスから分離して捕集する)。サイクロントラッパ71の内部構成としては、図示しないが、内部に円筒形状のトラップパイプが収容されており、吸気通路11aから流れ込んでEGRガスと混合された吸気を、このトラップパイプの円形断面の接線方向からその内部に流入させるようになっている。これにより、トラップパイプの内部で旋回流を発生させ、これによって凝縮水を遠心分離する。そして、分離された凝縮水は、トラップパイプの内壁面を流下し、サイクロントラッパ71の下部に配置されている前記凝縮水タンク72に回収される一方、凝縮水が分離された後の吸入空気およびEGRガスは、吸気通路11aを経てコンプレッサインペラ13bに向けて流されることになる。
前記凝縮水タンク72は、直方体形状の容器で成り、サイクロントラッパ71の下部に一体形成されている。つまり、サイクロントラッパ71の底板と凝縮水タンク72の天板とが共通化されており、この板に開口が形成されていることにより、サイクロントラッパ71内で捕集された凝縮水が凝縮水タンク72内に流れ落ちて回収される(気液分離手段(サイクロントラッパ71)で捕集した凝縮水を、気液分離手段から回収して貯留する)構成となっている。
また、この凝縮水タンク72の内部には、この凝縮水タンク72の内部における凝縮水の水位が所定水位に達したことを検出する水位センサ72a(図2参照)が収容されている。この水位センサ72aによって検出可能な水位としては、凝縮水タンク72内の比較的上側に位置する第1の所定水位と、凝縮水タンク72内の下端部近傍に位置する第2の所定水位とがある。
第1の所定水位としては、後述するポンプディスペンサ73からの凝縮水の排出動作において、1回当たりに排出される凝縮水の排出量に相当する量、または、この1回当たりに排出される凝縮水の排出量よりも所定量だけ多い量に対応する水位に設定されている。また、第2の所定水位としては、凝縮水タンク72内の残留凝縮水量が略「0」となる凝縮水量に対応する水位に設定されている。
なお、この水位センサ72aとしては周知のものが適用可能である。例えばフロート式、超音波式、静電容量式、圧力式等の水位センサが適用可能である。凝縮水タンク72内の水位が所定水位に達した際、この水位センサ72aからECU4に検出信号が出力される。
凝縮水タンク72とポンプディスペンサ73とは排出管74を介して接続されている。つまり、凝縮水タンク72の底板(下部)およびポンプディスペンサ73の天板(上部)それぞれに開口が形成されており、これら開口の縁部同士が排出管74によって接続されている。これにより、排出管74の内部空間が、凝縮水タンク72の内部空間とポンプディスペンサ73の内部空間とを連通している。
ポンプディスペンサ73は、本発明でいう排出経路(凝縮水タンク72の下部に接続され、この凝縮水タンク72の内部に貯留された凝縮水を凝縮水タンク72の外部に排出する排出経路)を構成するものであって、その内部には、凝縮水タンク72から流れ落ちて排出管74から流入した凝縮水を貯留するための貯留空間が備えられている。このポンプディスペンサ73と排気通路12aとは凝縮水噴き出し管75を介して接続されている。つまり、ポンプディスペンサ73の底板に形成された開口と排気通路12aとが凝縮水噴き出し管75によって接続されており、このポンプディスペンサ73の内部空間と排気通路12aとが連通している。
前記ポンプディスペンサ73の内部に備えられている貯留空間は、凝縮水噴き出し管75との接続部分に、内径寸法が比較的小さいノズル部(図示省略)を備えており、このノズル部から凝縮水噴き出し管75に向けて凝縮水が圧送される際(後述する過給圧の導入によって凝縮水が圧送される際)には、この凝縮水が噴霧となって凝縮水噴き出し管75に噴出し、この噴霧が排気通路12aに流れ出す構成となっている。
前記ポンプディスペンサ73の上面と、コンプレッサインペラ13bよりも下流(インタークーラ11cよりも上流)の吸気通路11aとの間は、過給圧導入配管76によって接続されている。また、この過給圧導入配管76には、電磁バルブで成るディスペンサ内圧切替バルブ76aが設けられている。このディスペンサ内圧切替バルブ76aは、前記ECU4によって開閉制御される。
このため、エンジン1の運転状態においてディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖している場合には、ポンプディスペンサ73内には過給圧は導入されず、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的低く設定される。この場合、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水は、その自重によって排出管74を経てポンプディスペンサ73内に流れ込むようになっている。また、この際、ポンプディスペンサ73から排気通路12aへの凝縮水の流出が制限されるように、前記凝縮水噴き出し管75の内径寸法は設定されている。つまり、ポンプディスペンサ73の内圧と排気通路12a内の排気圧との差圧(ポンプディスペンサ73の内圧<排気通路12a内の排気圧)と、前記凝縮水噴き出し管75の内径寸法に応じて設定されるこの凝縮水噴き出し管75における圧力損失とによって、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖している期間中は、ポンプディスペンサ73から排気通路12aへの凝縮水の流出が制限されるようになっている。
一方、エンジン1の運転状態においてディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放している場合には、ポンプディスペンサ73内に過給圧が導入され、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的高く設定される。この場合、ポンプディスペンサ73内に貯留されている凝縮水の上面が前記過給圧を受け、この凝縮水が前記ノズル部を通過する際に噴霧となって凝縮水噴き出し管75を経て排気通路12aに排出されることになる。また、この際、ポンプディスペンサ73の内圧は凝縮水タンク72の内圧よりも所定値以上高くなり、その差圧によって、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水は、ポンプディスペンサ73内に流れ込むことなしに、凝縮水タンク72内に貯留された状態が維持されることになる。つまり、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放状態となっている期間中は、凝縮水タンク72内に凝縮水が貯留されていく状態が継続される。
このように凝縮水の流れが切り替えられるため、前記過給圧導入配管76および前記ディスペンサ内圧切替バルブ76aによって本発明でいう切替手段が構成されている。
−制御系−
図2に示すように、前記インジェクタ61、イグナイタ62、スロットルモータ63、WGVアクチュエータ64、各EGRバルブ15b,16b、ディスペンサ内圧切替バルブ76aは、ECU4と電気的に接続されている。
図2に示すように、前記インジェクタ61、イグナイタ62、スロットルモータ63、WGVアクチュエータ64、各EGRバルブ15b,16b、ディスペンサ内圧切替バルブ76aは、ECU4と電気的に接続されている。
ECU4は、A/Fセンサ80、エアフローメータ81、吸気温センサ82、吸気圧センサ83、排気温センサ84、水温センサ85、クランクポジションセンサ86、アクセル開度センサ87、スロットルバルブ開度センサ88、EGRバルブ開度センサ89、前記水位センサ72a等の各種センサと電気的に接続されている。各センサ80〜89の機能は周知であるため、ここでの説明は省略する。また、水位センサ72aは、前述したように、凝縮水タンク72内の水位が所定水位(前記第1の所定水位および第2の所定水位)に達した際にECU4に検出信号を出力する。
ECU4は、前記各種センサ80〜89,72aの検出値や測定値に基づいて、インジェクタ61、イグナイタ62、スロットルモータ63、WGVアクチュエータ64、各EGRバルブ15b,16b、ディスペンサ内圧切替バルブ76aを制御する。
−凝縮水排出制御−
次に、前記凝縮水排出装置7において実施される凝縮水排出制御について説明する。この凝縮水排出制御は、前記ディスペンサ内圧切替バルブ76aを閉鎖状態と開放状態との間で切り替えることによって行われるものである。
次に、前記凝縮水排出装置7において実施される凝縮水排出制御について説明する。この凝縮水排出制御は、前記ディスペンサ内圧切替バルブ76aを閉鎖状態と開放状態との間で切り替えることによって行われるものである。
前述したように、ECU4からの指令信号によってディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放状態になると、ポンプディスペンサ73内に過給圧が導入され、このポンプディスペンサ73の内圧は凝縮水タンク72の内圧よりも所定値以上高くなり、その差圧によって、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水は、ポンプディスペンサ73内に流れ込むことなしに、凝縮水タンク72内に貯留された状態が維持されることになる。つまり、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放状態となっている期間中は、凝縮水タンク72内に凝縮水が貯留されていく状態が継続される。この状態が本発明でいう第1の切替状態であって、サイクロントラッパ(気液分離手段)71の内部から凝縮水タンク72の内部への凝縮水の流入を許容し且つ凝縮水タンク72の内部からポンプディスペンサ(排出経路)73への凝縮水の流出を制限する切替状態である。
一方、ECU4からの指令信号によってディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖状態になると、ポンプディスペンサ73内には過給圧は導入されず、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的低くなる。この場合、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水は、その自重によって排出管74を経てポンプディスペンサ73内に流れ込むことになる。この状態が本発明でいう第2の切替状態であって、凝縮水タンク72の内部からポンプディスペンサ(排出経路)73への凝縮水の流出を許容する切替状態である。
そして、その後、ECU4からの指令信号によってディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放状態になると、ポンプディスペンサ73内に過給圧が導入され、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的高くなる。ポンプディスペンサ73内に貯留されている凝縮水の上面がこの過給圧を受け、この凝縮水が前記ノズル部を通過する際に噴霧となって凝縮水噴き出し管75を経て排気通路12aに排出されることになる。この状態が、ポンプディスペンサ73内のガスが凝縮水噴き出し管75に流出する状況となる前に(ポンプディスペンサ73内の凝縮水が全て排出されてしまう前に)終了される。
この状態は、前述した第1の切替状態と同じ状態であるので、噴霧状態の凝縮水を、凝縮水噴き出し管75を経て排気通路12aに排出する動作と並行して、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水がポンプディスペンサ73内に流れ込むことなしに凝縮水タンク72内に貯留された状態が維持されることになる。
以下、この凝縮水排出制御の具体的な手順について図3のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、エンジン1の始動後、前記ECU4において所定時間毎に実行される。なお、特に、前記凝縮水は、エンジン1の冷間始動初期時に発生する可能性が高いので、この凝縮水排出制御は、エンジン1の暖機が完了するまでの期間中に実施される。
まず、ステップST1において、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放される。これにより、前述した如く、ポンプディスペンサ73内に過給圧が導入され、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的高くなる。この場合、ポンプディスペンサ73の内圧は凝縮水タンク72の内圧よりも所定値以上高くなり、その差圧によって、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水は、ポンプディスペンサ73内に流れ込むことなしに、凝縮水タンク72内に貯留された状態が維持されることになる。つまり、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放状態となっている期間中は、凝縮水タンク72内に凝縮水が貯留されていく状態が継続される。
その後、ステップST2に移り、前記水位センサ72aによって検出されている凝縮水タンク72内の水位が、前記第1の所定水位以上に達したか否かが判定される。この第1の所定水位は、前述したように、ポンプディスペンサ73からの凝縮水の排出動作において、1回当たりに排出される凝縮水の排出量に相当する量、または、この1回当たりに排出される凝縮水の排出量よりも所定量だけ多い量に対応する水位に設定されている。
凝縮水タンク72内の水位が第1の所定水位未満であり、ステップST2でNO判定された場合には、そのままリターンされる。つまり、凝縮水タンク72内に回収されている凝縮水量は比較的少なく、未だポンプディスペンサ73への排出動作を行う必要はないとしてリターンされる。
一方、凝縮水タンク72内の水位が第1の所定水位以上に達しており、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移り、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖される。これにより、前述した如く、ポンプディスペンサ73内には過給圧は導入されず、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的低くなる。この場合、凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水は、その自重によって排出管74を経てポンプディスペンサ73内に流れ込むことになる。
このようにしてディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖された際、ステップST4において、前記ECU4に備えられた第1タイマのカウントが開始される。この第1タイマがカウントアップするまでの時間は、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖されることに伴って凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水がポンプディスペンサ73内に流れ込み始めた後、この流れ込み量が前記第1の所定水位に相当する凝縮水量だけ凝縮水がポンプディスペンサ73内に流れ込む時間として設定されている。この時間は、予め実験またはシミュレーションによって求められている。
ステップST5では第1タイマがカウントアップしたか否かを判定する。第1タイマがカウントアップするまでの期間中はステップST5でNO判定され、第1タイマがカウントアップするのを待つ。
第1タイマがカウントアップし、ステップST5でYES判定された場合には、ステップST6に移り、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放される。これにより、前述した如く、ポンプディスペンサ73内に過給圧が導入され、このポンプディスペンサ73の内圧は比較的高くなる。この圧力によって、ポンプディスペンサ73内に貯留されている凝縮水の上面がこの過給圧を受け、この凝縮水が前記ノズル部を通過する際に噴霧となって凝縮水噴き出し管75を経て排気通路12aに排出されることになる。このようにして排気通路12aに排出された噴霧状の凝縮水は、排気通路12aを流れる高温の排気ガスの熱を受けて蒸発する。つまり、凝縮水は排気ガスと共に大気中に排出される。このようにして、前記凝縮水は、燃焼室内に流れ込むことなく、水蒸気となって大気中に排出されることになる。
このようにしてディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放された後、ステップST7において、前記ECU4に備えられた第2タイマのカウントが開始される。この第2タイマがカウントアップするまでの時間は、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放されることに伴ってポンプディスペンサ73内の凝縮水が凝縮水噴き出し管75に向けて圧送される状態が開始された後、このポンプディスペンサ73内の凝縮水の略全量が凝縮水噴き出し管75から排出される時間として設定されている。この時間も、予め実験またはシミュレーションによって求められている。つまり、前述したように第1タイマがカウントアップするまでの期間中において凝縮水タンク72からポンプディスペンサ73に流れ込んだ凝縮水の略全量が凝縮水噴き出し管75から排出される時間として設定されている。
ステップST8では第2タイマがカウントアップしたか否かを判定する。第2タイマがカウントアップするまでの期間中はステップST8でNO判定され、第2タイマがカウントアップするのを待つ。この第2タイマがカウントアップするのを待っている期間中は、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放されているので、前述したように、凝縮水タンク72内に凝縮水が貯留されていく状態となる。つまり、ポンプディスペンサ73内の凝縮水が凝縮水噴き出し管75を経て排気通路12aに排出される動作と、凝縮水タンク72内に凝縮水が貯留されていく動作とが並行されることになる。
第2タイマがカウントアップし、ステップST8でYES判定された場合には、ステップST9に移り、凝縮水タンク72内の水位が、前記第2の所定水位以下となっているか否かが判定される。この第2の所定水位は、前述したように、凝縮水タンク72内の残留凝縮水量が略「0」となる凝縮水量に対応する水位に設定されている。
凝縮水タンク72内の水位が第2の所定水位を超えており、ステップST9でNO判定された場合にはステップST3に戻る。つまり、凝縮水タンク72内に残留凝縮水量が存在していることに伴い、前述した凝縮水排出を繰り返すべくステップST3に戻る。このような動作が、ステップST9でYES判定されるまで(凝縮水タンク72内の残留凝縮水量が略「0」となるまで)繰り返されることになる。
一方、凝縮水タンク72内の水位が第2の所定水位以下となっており、ステップST9でYES判定された場合にはリターンされる。この場合、前記水位センサ72aによって検出されている凝縮水タンク72内の水位が、前記第1の所定水位以上に達するまで(ステップST2でYES判定されるまで)、ディスペンサ内圧切替バルブ76aの開放状態が継続され、凝縮水タンク72内に凝縮水が貯留されていく状態が継続されることになる。なお、この場合、過給圧導入配管76を通過した吸気が排気通路12aへ排出される可能性があるが、この吸気の排出量がエンジン性能に影響を与えない程度の少量となるように、前記凝縮水噴き出し管75の内径(凝縮水噴き出し管75での圧力損失)は設定されている。
以上説明したように、本実施形態では、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが開放状態である際(本発明でいう切替手段によって第1の切替状態が成立している際)には、サイクロントラッパ71で捕集された凝縮水が凝縮水タンク72の内部に回収されていく。この際、凝縮水タンク72の内部からポンプディスペンサ(排出経路)73への凝縮水の流出は制限されているので(ポンプディスペンサ73内と凝縮水タンク72内との差圧によって制限されているので)、この凝縮水回収時に、吸気通路11a内のEGRガスが排出管74からポンプディスペンサ73内へ流出してしまうことは防止される。
そして、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖状態になると(本発明でいう切替手段によって第2の切替状態が成立すると)、凝縮水タンク72の内部に回収されていた凝縮水が排出管74からポンプディスペンサ73に排出される(ポンプディスペンサ73内と凝縮水タンク72内とが均圧され、凝縮水タンク72内の凝縮水の自重によってポンプディスペンサ73に排出される)。そして、この第1の切替状態から第2の切替状態への切り替えは、凝縮水タンク72における凝縮水貯留量が所定量(第2の切替状態において凝縮水タンク72内のガスが排出管74に流出されない所定量)に達した後に行われている。つまり、前述したように、第1タイマがカウントアップするまでの時間が、ディスペンサ内圧切替バルブ76aが閉鎖されることに伴って凝縮水タンク72内に貯留されている凝縮水がポンプディスペンサ73内に流れ込み始めた後、この流れ込み量が前記第1の所定水位に相当する凝縮水量だけ凝縮水がポンプディスペンサ73内に流れ込む時間として設定されているため、第1の切替状態から第2の切替状態への切り替えは、第2の切替状態において凝縮水タンク72内のガスが排出管74に流出されない所定量に達した後に行われていることになる。
このため、第2の切替状態が成立している状態において、凝縮水タンク72の内部からポンプディスペンサ73へ流出する凝縮水と共にEGRガスが流出してしまうといったことが防止される。このように、本実施形態によれば、凝縮水を排出する状態が切り替えられた際(第1の切替状態から第2の切替状態へ切り替えられた際)に凝縮水と共にEGRガスがポンプディスペンサ73に流出してしまうといったことを防止しながら、凝縮水を排出することができる。従って、目標EGR率を容易に達成可能としながら、凝縮水を排出することが可能となる。
(変形例)
次に変形例について説明する。本変形例は、凝縮水タンクおよびポンプディスペンサの構成が前記実施形態のものと異なっている。具体的には、凝縮水タンクとして機能する部分とポンプディスペンサとして機能する部分とが一体的に構成されたタンクユニットを備えている点に特徴がある。以下では、前記実施形態の相違点について主に説明する。
次に変形例について説明する。本変形例は、凝縮水タンクおよびポンプディスペンサの構成が前記実施形態のものと異なっている。具体的には、凝縮水タンクとして機能する部分とポンプディスペンサとして機能する部分とが一体的に構成されたタンクユニットを備えている点に特徴がある。以下では、前記実施形態の相違点について主に説明する。
図4および図5は、本変形例におけるタンクユニット9を示す断面図である。図4はタンクユニット9が第1の切替状態にある場合を示し、図5はタンクユニット9が第2の切替状態にある場合を示している。
タンクユニット9は、略円筒形状のケーシング91内に、ピストン部材92およびバルブ部材93が収容されて成っている。
ケーシング91は、上端部に比較的小径の凝縮水流入孔91aが設けられている。この凝縮水流入孔91aは、ケーシング91の上端部に備えられた弁座部材91bの中心部に形成されている。この弁座部材91bは、その下面がケーシング91の中央側に向かうに従って上側に傾斜する擂り鉢状の座面91cとして形成されている。この座面91cに対して、前記バルブ部材93が当接した場合には凝縮水流入孔91aが閉鎖され(図5に示す状態を参照)、バルブ部材93が後退(下側に移動)した場合には凝縮水流入孔91aが開放されるようになっている(図4に示す状態を参照)。
ケーシング91の上部には前記実施形態の場合と同様のサイクロントラッパ71(図4および図5では仮想線で示している)が取り付けられており、凝縮水流入孔91aは、サイクロントラッパ71の内部空間に連通している。
また、ケーシング91の内周面における上下方向の略中央位置には、ピストン部材92の可動範囲を規制するための規制部材91dが備えられている。この規制部材91dは、ケーシング91の内周面から内周側に向けて水平方向に延びる水平部91eと、この水平部91eの内側端から上方に延びる鉛直部91fとを備えている。
さらに、ケーシング91の側面には、このタンクユニット9から凝縮水を排出するための排出口91gが形成されている。この排出口91gは、前記実施形態の場合と同様に、凝縮水噴き出し管75を介して排気通路12a(図4および図5では図示省略)に接続されている。
ピストン部材92は、ケーシング91の内径寸法に略一致する外径寸法を有する円筒形状の部材であって、ケーシング91内の下部に挿入され、ケーシング91の中心線に沿って往復移動自在(図4および図5における上下方向に往復移動自在)となっている。このピストン部材92の上面92aと、ケーシング91の弁座部材91bの座面91cと、ケーシング91の内周面とで囲まれた空間がタンク室94として構成されている。
ピストン部材92の内部には、凝縮水排出経路92bが形成されている。この凝縮水排出経路92bは、後述するバルブ部材93のシャフト部93aが挿通する挿通孔92cと、この挿通孔92cに連続し、ケーシング91の中央側に向かうに従って上側に傾斜する擂り鉢状の座面92eを有する弁座部92dと、この弁座部92dの下側に形成されたメイン空間92fと、このメイン空間92fから側方(図4および図5では右側方)に延びる排出路92gとを備えている。
また、このピストン部材92の外周面における上下方向の略中央位置には、この外周面が中央側に凹陥されて成る小径部92hが形成されている。この小径部92hの内部に、前記ケーシング91の規制部材91dが位置している。この小径部92hにおける上下方向の寸法は、規制部材91dの鉛直部91fの上下方向の寸法よりも長く設定されており、これらの寸法差の分だけ、ピストン部材92は、ケーシング91内において上下方向に移動可能となっている。図4に示す状態は、小径部92hの上面が鉛直部91fの上端に当接した状態であって、ピストン部材92がその可動範囲において最も下側に移動した状態である。図5に示す状態は、小径部92hの下面が鉛直部91fの下端に当接した状態であって、ピストン部材92がその可動範囲において最も上側に移動した状態である。
ピストン部材92に形成されている排出路92gは、このピストン部材92が最も上側に移動した場合に、前記ケーシング91の排出口91gに連通する。つまり、この場合に、メイン空間92fから排出路92gを経て排出口91gに凝縮水が排出されるようになっている。
バルブ部材93は、前記ピストン部材92の挿通孔92cに挿通されたシャフト部93aと、このシャフト部93aの上部に設けられて前記タンク室94内に位置する上側弁体93bと、シャフト部93aの下部に設けられて前記凝縮水排出経路92b内に位置する下側弁体93cとを備えている。
上側弁体93bは、略半球形状となっており、その外径寸法は、前記弁座部材91bの凝縮水流入孔91aの内径寸法よりも大きく設定されている。このため、図5に示すように、バルブ部材93が上方へ移動した状態では、上側弁体93bの上部(略半球形状の外面)が弁座部材91bの座面91cに当接して凝縮水流入孔91aが閉鎖される。この状態では、サイクロントラッパ71で捕集された凝縮水はタンク室94に流れ込まない。一方、図4に示すように、バルブ部材93が下方へ移動した状態では、上側弁体93bの上部が弁座部材91bの座面91cから後退して(下側に離れて)凝縮水流入孔91aが開放される。この状態では、サイクロントラッパ71で捕集された凝縮水がタンク室94に流れ込む。なお、この上側弁体93bとピストン部材92の上面92aとの間には圧縮コイルバネ95が介在されており、バルブ部材93には上向きの付勢力が作用している。
下側弁体93cは、その上部に、前記弁座部92dの座面92eの形状に略一致する傾斜面を有している。このため、図4に示すように、ピストン部材92が下方へ移動した状態では、ピストン部材92の弁座部92dの座面92eと下側弁体93cの上部とが当接し、ピストン部材92の挿通孔92cが閉鎖される。この状態では、タンク室94に貯留されている凝縮水は凝縮水排出経路92bに流れ込まない。また、この状態では、前述したように、上側弁体93bの上部が弁座部材91bの座面91cから後退して凝縮水流入孔91aが開放される。このように、バルブ部材93の長さ寸法(上下方向の寸法)は、ピストン部材92が下方へ移動した状態において、上側弁体93bの上部が弁座部材91bの座面91cから後退する(上側弁体93bの上部が弁座部材91bの座面91cに届かない)ように設定されている。
一方、図5に示すように、ピストン部材92が上方へ移動した状態では、ピストン部材92の弁座部92dの座面92eと下側弁体93cの上部とが離間し、ピストン部材92の挿通孔92cが開放される。この状態では、タンク室94に貯留されている凝縮水が凝縮水排出経路92bに流れ込む。
このように、ピストン部材92の移動位置に応じて、凝縮水流入孔91aが開放し且つ挿通孔92cが閉鎖する状態(図4に示す状態を参照)と、凝縮水流入孔91aが閉鎖し且つ挿通孔92cが開放する状態(図5に示す状態を参照)とが切り替え可能となっている。
また、ケーシング91内でピストン部材92を移動させる手段としては、前記コンプレッサインペラ13bの下流側の過給圧が利用される。つまり、ピストン部材92の下側空間と、コンプレッサインペラ13bの下流側の吸気通路11aとの間が過給圧導入配管(図示省略)によって接続されており、この過給圧導入配管に備えられた電磁バルブで成るケーシング内圧切替バルブの開閉制御によって、ケーシング91内でピストン部材92の位置が、最も上側に移動した位置と最も下側に移動した位置との間で切り替えられることになる。このケーシング内圧切替バルブは、前記ECU4によって開閉制御される。
本例における凝縮水排出制御は、ピストン部材92の位置を、最も上側に移動した位置と最も下側に移動した位置との間で切り替えることによって行われる。
ECU4からの指令信号によってケーシング内圧切替バルブが閉鎖状態になると、ピストン部材92の下側に過給圧が導入されず、ピストン部材92は、図4に示すように最も下側に移動する。この場合、上側弁体93bの上部が弁座部材91bの座面91cから後退して(下側に離れて)凝縮水流入孔91aが開放される。この状態で、サイクロントラッパ71で捕集された凝縮水がタンク室94に流れ込む。一方、ピストン部材92の弁座部92dの座面92eとバルブ部材93の下側弁体93cの上部とが当接し、ピストン部材92の挿通孔92cが閉鎖される。この状態では、タンク室94に貯留されている凝縮水は凝縮水排出経路92bに流れ込まない。つまり、ピストン部材92が最も下側に移動している状態となっている期間中は、タンク室94内に凝縮水が貯留されていく状態が継続される。この状態が本発明でいう第1の切替状態であって、サイクロントラッパ(気液分離手段)71の内部からタンク室(凝縮水タンク)94の内部への凝縮水の流入を許容し且つタンク室94の内部からメイン空間(排出経路)92fへの凝縮水の流出を制限する切替状態である。この状態では、ピストン部材92の挿通孔92cが閉鎖されているので、吸気通路11a内のEGRガスがメイン空間92f内へ流出してしまうことは防止される。
一方、ECU4からの指令信号によってケーシング内圧切替バルブが開放状態になると、ピストン部材92の下側に過給圧が導入され、ピストン部材92は、図5に示すように最も上側に移動する。この場合、上側弁体93bの上部が弁座部材91bの座面91cに当接して凝縮水流入孔91aが閉鎖される。この状態で、サイクロントラッパ71で捕集された凝縮水はタンク室94に流れ込まない。一方、ピストン部材92の弁座部92dの座面92eとバルブ部材93の下側弁体93cの上部とが離間し、ピストン部材92の挿通孔92cが開放される。この状態では、タンク室94に貯留されている凝縮水が凝縮水排出経路92bに流れ込むことになる。この際、タンク室94の容積が小さくなって、このタンク室94の内圧が上昇するため、タンク室94内に貯留されている凝縮水の上面がこの圧力を受け、この凝縮水が前記挿通孔92cを通過する際に噴霧となってメイン空間92fおよび排出路92gを経て排出口91gに排出される。この排出された噴霧状の凝縮水は、凝縮水噴き出し管75を経て排気通路12aに排出されることになる。この状態では、凝縮水流入孔91aが閉鎖されているので、吸気通路11a内のEGRガスがメイン空間92f内へ流出してしまうことは防止される。
なお、本例における第1の切替状態から第2の切替状態への切り替えは、前記実施形態の場合と同様に水位センサによって検出される水位に基づいて行うようにする。つまり、タンク室94に水位センサを備え、この水位センサによって検出されるタンク室94内の水位が所定水位に達すると、第1の切替状態から第2の切替状態へ切り替えるようにする。
このような動作が繰り返されることにより、本変形例においても、凝縮水と共にEGRガスが凝縮水排出経路92bに流出してしまうといったことを防止しながら、凝縮水を排出することができる。
(他の実施形態)
以上説明した実施形態および変形例は、吸気通路11aにおける凝縮水をサイクロントラッパ71によって捕集する構成としていた。つまり、サイクロントラッパ71を吸気通路(ガス通路)11aに配設した場合について説明した。本発明はこれに限らず、低圧EGR通路16aで発生した凝縮水を吸気通路11aに流れ込ませることなくサイクロントラッパによって捕集する構成としてもよい。つまり、サイクロントラッパを低圧EGR通路(EGRガスが流れるガス通路)16aに配設する構成としてもよい。
以上説明した実施形態および変形例は、吸気通路11aにおける凝縮水をサイクロントラッパ71によって捕集する構成としていた。つまり、サイクロントラッパ71を吸気通路(ガス通路)11aに配設した場合について説明した。本発明はこれに限らず、低圧EGR通路16aで発生した凝縮水を吸気通路11aに流れ込ませることなくサイクロントラッパによって捕集する構成としてもよい。つまり、サイクロントラッパを低圧EGR通路(EGRガスが流れるガス通路)16aに配設する構成としてもよい。
また、前記実施形態および変形例は、水位センサ72aによって検出されている水位が所定水位に達すると第1の切替状態から第2の切替状態への切り替えを行うようにしていた。本発明はこれに限らず、所定時間毎に、第1の切替状態と第2の切替状態とを切り替えるようにしてもよい。この場合、この第1の切替状態を維持する時間としては、凝縮水タンク72(タンク室94)における凝縮水貯留量が、第2の切替状態において凝縮水タンク72(タンク室94)内のガスがポンプディスペンサ73(凝縮水排出経路92b)に流出されない所定量に達する時間となるように実験またはシミュレーションによって求めておく。
また、前記実施形態におけるポンプディスペンサ73からの凝縮水の排出動作としては、このポンプディスペンサ73内における凝縮水の貯留量が貯留可能限界量に達した後に行うようにしてもよい。
また、前記変形例では、過給圧を利用してピストン部材92を移動させるようにしていたが、電磁ソレノイドを利用してピストン部材92を移動させるようにしてもよい。
また、前記実施形態および変形例は、EGR装置としてHPL−EGR機構15およびLPL−EGR機構16を備えたエンジン1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、EGR装置としてLPL−EGR機構16のみを備えたエンジン1に対しても適用可能である。
本発明は、自動車用エンジンに搭載され、吸気系の凝縮水を燃焼室内に流れ込ませることなく排出する凝縮水排出装置に適用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
11a 吸気通路(ガス通路)
16a EGR通路(ガス通路)
7 凝縮水排出装置
71 サイクロントラッパ(気液分離手段)
72 凝縮水タンク
73 ポンプディスペンサ(排出経路)
76 過給圧導入配管(切替手段)
76a ディスペンサ内圧切替バルブ(切替手段)
92f メイン空間(排出経路)
11a 吸気通路(ガス通路)
16a EGR通路(ガス通路)
7 凝縮水排出装置
71 サイクロントラッパ(気液分離手段)
72 凝縮水タンク
73 ポンプディスペンサ(排出経路)
76 過給圧導入配管(切替手段)
76a ディスペンサ内圧切替バルブ(切替手段)
92f メイン空間(排出経路)
Claims (1)
- EGRガスが流れるガス通路内において発生した凝縮水をEGRガスから分離して捕集する気液分離手段と、
前記気液分離手段で捕集した前記凝縮水を、前記気液分離手段から回収して貯留する凝縮水タンクと、
前記凝縮水タンクの下部に接続され、この凝縮水タンクの内部に貯留された前記凝縮水を前記凝縮水タンクの外部に排出する排出経路とを備えた内燃機関の凝縮水排出装置において、
前記気液分離手段の内部から前記凝縮水タンクの内部への凝縮水の流入を許容し且つ前記凝縮水タンクの内部から前記排出経路への凝縮水の流出を制限する第1の切替状態と、前記凝縮水タンクの内部から前記排出経路への凝縮水の流出を許容する第2の切替状態とを切り替え可能な切替手段が設けられており、この切替手段は、前記第1の切替状態から前記第2の切替状態への切り替えを、前記凝縮水タンクにおける凝縮水貯留量が、この第2の切替状態において前記凝縮水タンク内のガスが前記排出経路に流出されない所定量に達した後に行うよう構成されていることを特徴とする内燃機関の凝縮水排出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015097083A JP2016211471A (ja) | 2015-05-12 | 2015-05-12 | 内燃機関の凝縮水排出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=57549483
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JP (1) | JP2016211471A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10920719B2 (en) | 2018-04-27 | 2021-02-16 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal combustion engine |
-
2015
- 2015-05-12 JP JP2015097083A patent/JP2016211471A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10920719B2 (en) | 2018-04-27 | 2021-02-16 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal combustion engine |
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