JP2016211370A - 突合せ接着継手構造、構造物の補強方法、及び、補強構造を有する構造物 - Google Patents

突合せ接着継手構造、構造物の補強方法、及び、補強構造を有する構造物 Download PDF

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Yuya Hidekuma
佑哉 秀熊
小林 朗
Akira Kobayashi
朗 小林
誠二 五百井
Seiji Ioi
誠二 五百井
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Abstract

【課題】繊維強化樹脂材、金属材料などから成る接合部材同士の突合せ接着継手構造における突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善した突合せ接着継手構造を提供する。【解決手段】互いに接合される平板状の二つの接合部材11をその端面11aにて突合せ、接合部材11の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板12を接着剤で接着して設けた突合せ接着継手構造10であり、突合せた接合部材11の端面11aの間に12mm以上の間隙Gを設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂材、金属材料などとされる接合部材を突合せて接合する突合せ接着継手構造に関するものであり、更には、土木、建築、機械等の、例えばコンクリート構造物、鋼製の構造物等(以下、単に「構造物」という。)の補修、補強を行う際の繊維強化樹脂材、金属材料などとされる補強材に対して突合せ接着継手構造を利用して構造物を補強する構造物の補強方法に関するものである。更に、本発明は、上記補強方法にて補強された補強構造を有する構造物に関するものである。
従来、繊維強化樹脂材、金属材料などとされる接合部材同士を接合する継手構造としては、重ね合わせ接着継手(シングルラップ接合)及び突合せ接着継手(ダブルストラップ接合)が広く利用されている。
重ね合わせ接着継手は、非特許文献1に示すように、偏芯荷重によるモーメントにより端部から剥離し、継手強度が低い。これに対して、突合せ接着継手は、重ね合わせ接着継手におけるような偏芯荷重によるモーメントは発生しない。
特許文献1には、突合せ接着継手を利用した構造物のFRP補強工法を開示している。このFRP補強工法によると、構造物表面に高弾性炭素繊維補強プラスチックから成る帯状の補強板をその長さ方向の端部同士を突き合わせて接着し、次いで、補強板の突合せ部位に対して高弾性炭素繊維補強プラスチックから成る継ぎ手板を重ね合わせて接着し、更に、炭素繊維シートを接着して継ぎ手板を被覆することが行われている。また、特許文献2に記載のFRP補強工法において、補強板の突合せ部位において補強板の各端部の間に隙間を設けることを教示しているが、この隙間としては、1〜10mm、好ましくは3〜8mm程度とされている。
特許第4893328号公報
「複合材料ハンドブック」第197頁〜第207頁(1989年11月20日発行)、編者:日本複合材料学会、発行者:藤吉敏生、発行所:日刊工業新聞社
一方、本発明者らも又、特に、土木、建築、機械等の構造物の、例えばコンクリート構造物、鋼製の構造物等の補修、補強を行う場合に、繊維強化樹脂材、金属材料などとされる補強材を構造物に接着する際に各補強材を接合するのに適した継手として突合せ接着継手に着目して、研究実験を行った。その結果、突合せ接着継手においては、上記先行技術文献に記載されるように、偏芯荷重によるモーメントは発生しないものの突き合わせる接合部材間の間隙(ギャップ)が0mmとされる突合せ部において当て板(ストラップ)に応力集中が発生し、継手強度が低下することが確認された。この問題は、補強材にて構造物を補強する際にも同様に起こる問題であり、更に研究実験を行った。その結果、接合部材或いは補強材の突合せ部に特許文献1が教示する10mm以上の所定量のギャップを設けることで更に突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善し得ることが分かった。
本発明は、斯かる本発明者らの新規な知見に基づくものである。
本発明の目的は、繊維強化樹脂材、金属材料などから成る接合部材同士の突合せ接着継手構造における突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善した突合せ接着継手構造を提供することである。
本発明の他の目的は、特に、土木、建築、機械等の構造物の補修、補強を行う際に繊維強化樹脂材、金属材料などから成る補強材同士の突合せ接着継手構造における継手強度を改善し、従って、補強材による補強強度を向上させた構造物の補強方法、及び、斯かる補強方法にて補強された補強構造を有する構造物を提供することである。
上記目的は本発明に係る突合せ接着継手構造、及び、斯かる突合せ接着継手構造を利用した構造物の補強方法、及び、斯かる補強方法にて補強された補強構造を有する構造物にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、互いに接合される平板状の二つの接合部材をその端面にて突合せ、前記接合部材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着剤にて接着して設けた突合せ接着継手構造であって、
突合せた前記接合部材の端面の間に12mm以上の間隙を設けることを特徴とする突合せ接着継手構造が提供される。一実施態様では、前記接合部材及び前記当て板は、繊維強化樹脂材又は金属材料である。ここで、前記繊維強化樹脂材は、繊維シートとマトリックス樹脂を含み、前記マトリックス樹脂を硬化させて作製される。また、前記繊維シートは、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、前記マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であり、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂が使用され、又、前記熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂、ナイロン、又はビニロンが使用される。
第2の本発明によれば、互いに接合される平板状の複数の補強材を構造物の表面に並置して、接着剤にて接着して補強する構造物の補強方法において、
前記各補強材はその端面を突合せ、前記補強材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着剤で接着して突合せ接着継手構造とし、
前記突合せた接着継手構造における前記突合せた前記補強材の端面の間に12mm以上の間隙を設けることを特徴とする構造物の補強方法が提供される。一実施態様では、前記補強材及び前記当て板は、繊維強化樹脂材又は金属材料である。
第3の本発明によれば、平板状の複数の補強材を構造物の表面に並置して、接着剤にて接着して補強する構造物の補強方法において、
前記各補強材は、厚さが0.01〜30mmとされ、その端面を突合せて配置して補強材層を形成し、前記補強材層を層状に複数積層して前記構造物の表面に接着剤で接着し、
隣接する二つの補強材層は、一つの補強材層における補強材の端面突合せ位置と、他の補強材層における補強材の端面突合せ位置とは一致することがないように積層し、
前記各補強材の突合せた端面の間に12mm以上の間隙を設けることを特徴とする構造物の補強方法が提供される。一実施態様では、前記補強材は、繊維強化樹脂材又は金属材料である。
ここで、前記繊維強化樹脂材は、繊維シートとマトリックス樹脂を含み、前記マトリックス樹脂を硬化させて作製され、前記繊維シートは、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、前記マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であり、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂が使用され、又、前記熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂、ナイロン、又はビニロンが使用される。
上記本発明にて、一実施態様によれば、前記接着剤は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂である。
第4の本発明によれば、上記補強方法にて補強された補強構造を有する構造物が提供される。
本発明によれば、繊維強化樹脂材、金属材料などから成る接合部材同士の突合せ接着継手構造における突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善することができる。また、本発明によれば、特に、土木、建築、機械等の構造物の補修、補強を行う際に繊維強化樹脂材、金属材料などから成る補強材同士の突合せ接着継手構造における継手強度を改善し、従って、補強材による補強強度を向上させることができる。
図1(a)は従来の突合せ接着継手構造を説明する図であり、図1(b)、(c)は、本発明に係る突合せ接着継手構造を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造に使用する繊維強化樹脂材を作製するための繊維シートの一実施例を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造に使用する繊維強化樹脂材の一実施例を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造に使用する繊維強化樹脂材を作製するための繊維シートの他の実施例を説明する図である。 図4に示す繊維シートを構成する繊維強化樹脂線材の断面図である。 本発明の突合せ接着継手構造に使用する繊維強化樹脂材を作製するための繊維シートの他の実施例を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造の継手強度を実証するための突合せ接着継手引張試験体を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造の継手強度を実証するための突合せ接着継手引張試験結果を示すグラフである。 本発明の突合せ接着継手構造を使用した構造物の補強方法を説明する図であり、図9(a)、(b)は、従来の補強方法における接着継手構造を説明する図であり、図9(c)、(d)は、本発明に係る補強方法における突合せ接着継手構造、及び、補強された構造物の一実施例を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造を使用した補強方法を実証するための突合せ接着継手引張試験体を説明する図である。 本発明の突合せ接着継手構造を使用した補強方法における突合せ接着継手引張試験結果を示すグラフである。 本発明の突合せ接着継手構造を使用した構造物の補強方法及び補強された構造物の他の実施例を説明する図である。
以下、本発明に係る突合せ接着継手構造、及び、斯かる突合せ接着継手構造を利用した構造物の補強方法、及び、該補強方法にて補強された補強構造を有する構造物を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
先ず、本発明に係る突合せ接着継手構造について説明する。
図1(a)は、従来の突合せ接着継手構造10Aを示しており、平板状の二つの接合部材11(11A、11B)は、その端面11a、11aにて突合せ、更に、この接合部材11(11A、11B)の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に、本例では、両側の側面に当て板(ストラップ)12(12A、12B)が接着剤50にて接着して設けられる。
接合部材11及び当て板12は、強化繊維に樹脂を含浸させて作製される板状の繊維強化樹脂材(以下、「FRP材」又は「繊維強化プラスチック材」と言うこともある。)であっても良く、また、板状の鋼、アルミ等の金属材料とすることもできる。
接合部材11と当て板12とを接着する接着剤50としては、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂を使用するのが好ましく、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用される。また、接合部材11、当て板12がFRP材とされる場合には、接着剤としてはFRP材のマトリックス樹脂と同じものを使用するのが好ましい。なお、接着剤の塗布量は50〜3000g/m2とされる。
FRP材について更に説明すれば、FRP材は、強化繊維を使用して作製した繊維シートにマトリックス樹脂を含浸し、硬化したものである。図2〜図6を参照して、本発明にて使用し得る繊維シート1(1A、1B)について説明すると、本発明においては種々の形態の繊維シート1を使用することができる。本実施例にて好適に使用し得る繊維シート1の実施例を具体的に具体例1、2(繊維シート1A、1B)として説明するが、本発明で使用する繊維シート1の形態は、これら具体例に限定されるものではない。
具体例1
図2に、本発明にて使用することのできる繊維シート1の一具体例を示す。本具体例にて繊維シート1は、連続した強化繊維fを一方向に引き揃えてシート状に構成される樹脂未含浸の繊維シート1Aとされる。
即ち、繊維シート1Aは、一方向に引き揃えた連続した強化繊維fから成る強化繊維シートをメッシュ状の支持体シートなどとされる線材固定材3にて保持した構成とすることができる。例えば、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜24000本収束した樹脂未含浸の単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。炭素繊維シート1Aの繊維目付は、通常、30〜1000g/m2とされる。
線材固定材3としてのメッシュ状の支持体シートを構成するガラス繊維等の糸条とされる縦糸4及び横糸5の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3をシート状に配列した炭素繊維の片面或いは両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸4及び横糸5の部分を炭素繊維シートに溶着する。
メッシュ状支持体シート3は、上記2軸構成のほかに、ガラス繊維等の糸条を3軸に配向して形成することができる。また、一方向に配列された炭素繊維に対して直交する横糸5のみを配置した、所謂、1軸に配向して前記シート状に引き揃えた炭素繊維に接着することもできる。
又、上記線材固定材3の糸条としては、例えばガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維も又好ましく用いられる。
上記構成の繊維シート1Aは、図3に示すように、樹脂(即ち、マトリックス樹脂)Reを含浸し、前記樹脂が硬化されたFRP板1Pとされる。このFRP板1Pは、単層或いは複数層とすることができ、通常、板厚(T)は、0.01〜30mm程度とされる。
上記具体例1で説明した繊維シート1A(及びFRP板1P)において、強化繊維fとしては、炭素繊維に限定されるものではなく、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。
また、FRP板1Pのマトリックス樹脂Reとしては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、繊維体積含有率(Vf)は、40〜75%、好ましくは、50〜70%とされる。
具体例2
更には、図4及び図5に示すように、繊維シート1としては、樹脂(即ち、マトリクス樹脂)Rが含浸され硬化された細径の連続した繊維強化樹脂線材、即ち、繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定した繊維シート1Bを使用することもできる。
繊維強化プラスチック線材2は、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状(図5(a))であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状(図5(b))とし得る。勿論、必要に応じて、その他の種々の断面形状とすることができる。
上述のように、一方向に引き揃えスダレ状とされた繊維シート1において、各線材2は、互いに間隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して、線材固定材3にて固定される。また、このようにして形成された繊維シート1Bの長さ(L)及び幅(W)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(W)は、100〜1000mmとされる。又、長さ(L)は、1〜5m程度の短冊状のもの、或いは、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。
また、繊維シート1Bの長さ(L)を1〜5m程度として、幅Wをこれより長く1〜10m程度として製造することも可能である。
繊維シート1Bの場合においても、強化繊維fとしては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。また、繊維強化プラスチック線材2に含浸されるマトリクス樹脂Rは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、繊維体積含有率(Vf)は、40〜75%、好ましくは、50〜70%とされる。
又、各線材2を線材固定材3にて固定する方法としては、図4に示すように、例えば、線材固定材3として横糸を使用し、一方向にスダレ状に配列された複数本の線材2から成るシート形態とされる線材、即ち、連続した線材シートを、線材に対して直交して一定の間隔(P)にて打ち込み、編み付ける方法か、或いは、織り込む方法を採用し得る。横糸3の打ち込み間隔(P)は、特に制限されないが、作製された繊維シート1の取り扱い性を考慮して、通常10〜100mm間隔の範囲で選定される。
このとき、横糸3は、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねた糸条とされる。又、有機繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステルなどが好適に使用される。
各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図6(a)に示すように、線材固定材3としてメッシュ状支持体シートを使用することができる。つまり、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた複数本の線材2、即ち、線材シートの片側面、又は、両面を、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維にて作製した、上記具体例1で説明したと同様の構成とされるメッシュ状の支持体シート3により支持した構成とすることもできる。
更に、各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図6(b)に示すように、線材固定材3として、例えば、粘着テープ又は接着テープなどとされる可撓性帯材を使用することができる。可撓性帯材3は、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた各繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に、複数本の繊維強化プラスチック線材2の片側面、又は、両面を貼り付けて固定する。つまり、可撓性帯材3として、幅(w1)2〜30mm程度の、塩化ビニルテープ、紙テープ、布テープ、不織布テープなどの粘着テープ又は接着テープが使用される。これらテープ3を、通常、10〜100mm間隔(P)で各繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に貼り付ける。
更に、可撓性帯材3としては、ナイロン、EVA樹脂などの熱可塑性樹脂を帯状に、線材2の長手方向に対して垂直方向に片側面、又は、両面に熱融着させることによっても達成される。
上記構成の繊維シート1Bも又、図3に示すFRP板1Pと同様に、更に、繊維シート1Bに樹脂(即ち、マトリックス樹脂)Reを塗布し、各繊維強化プラスチック線材2、2間においても樹脂Reを含浸させ、前記樹脂が硬化されたFRP板1Pとされる。樹脂Reは、繊維強化プラスチック線材2に含浸された樹脂Rと同じ樹脂であっても良い。このFRP板1Pは、単層或いは複数層とすることができ、通常、板厚(T)は、0.1〜30mm程度とされる。又、FRP板1Pとしては、繊維体積含有率(Vf)は、30〜70%、好ましくは、40〜60%とされる。
次に、図1(a)、(b)、(c)を参照して、本発明の突合せ接着継手構造の特徴部について説明する。
図1(a)に示すように、従来、突合せ接着継手構造10Aにて、突合せた接合部材11(11A、11B)の端面11a、11aの間の間隙(ギャップG)は実質的に0mm、即ち、ギャップ無しとされている。
上述したように、突合せ接着継手構造10Aにおいては、偏芯荷重によるモーメントは発生しないものの突き合わせる接合部材端面11a、11a間のギャップ(G)が0mmとされる突合せ部において当て板12(12A、12B)に応力集中部14が発生し、継手強度が低下することが分かった。この問題は、本発明者らの研究実験の結果、図1(b)に示すように、接合部材11(11A、11B)の突合せ部に所定量のギャップGを設けることで解決し、突合せ部における当て板12(12A、12B)の応力集中を緩和し、特に、ギャップGを10mm以上の特定値とすることにより継手強度を改善し得ることを見出した。
つまり、本発明にて間隙(G)は、後述の実験結果にて理解されるように、突合せ間隔(G)が10mm以下では強度の改善に十分ではなく、12mm以上、望ましくは15mm以上、とすることが必要である。これは、間隔(G)が10mm以下では突合せ部の応力集中の緩和が不十分であるためと考えられる。つまり、間隙(G)が12mm未満、特に10mm以下では、応力集中を十分には緩和することができず、強度の改善には十分ではなく、一方、間隙(G)が12mm以上では、30mmを超えても、応力集中緩和効果が増大することはない。従って、突合せ接着継手構造10Aを必要とする構造物によっては、間隙(G)を500mm程度にまで広げることもできるが、実際上、500mmを超える間隙(G)を必要とする場合は少ないと思われる。従って、通常、間隙(G)は、12mm以上、50mm程度以下とされる。
尚、実際の施工を考えると、突合せ間隔(G)が12mm未満、特に10mm以下では、施工誤差等により実施の突合せ間隔がそれ以下になることが考えられ。その場合、応力集中により継手強度が想定より低くなることがあるので、突合せ間隔(G)は15mm以上取るのが望ましい。
また、当て板12の寸法形状は、接合部材11の寸法形状に対応して種々に設定可能であるが、当て板12の幅(W12)は接合部材11の幅(W11)と同じ程度とされ、通常5〜500mm、長さ(L12)は100〜500mmとされる。当て板12の厚さ(T12)は、0.01〜30mm程度とされる。厚さが0.01mm未満の場合には、十分な継手強度を得るのが困難となる。また、当て板12の厚さが30mmを超えると、接合部材11に対し互いに離間する方へと引張力が作用した場合に、当て板12の両端縁部12Aa、12Ba(図1(b)、(c)参照)に応力集中が起こり接合部材11に対する当て板12の端部剥離を発生し易くなる。
次に、本発明者らが行った実験及びその結果について以下に説明する。
実験例1
(突合せ継手引張試験体)
本実験では、接合部材11及び当て板12は、FRP材とした。FRP材は、図4に示す構成の繊維シート1Bに、更に樹脂を含浸させて作製した。
繊維シート1Bは、図4に示すように、マトリクス樹脂Rが含浸され硬化された細径の連続した繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定した繊維シート(ストランドシート)1Bを使用した。
本実験で使用した繊維シート1Bは、新日鉄マテリアルズ株式会社製:商品名(FSS−HM900)とされるストランドシートであり、目付量は、900g/m2であった。
上記繊維シート1Bの諸物性は、次の通りである。
弾性係数:640kN/mm2
引張強度:1900N/mm2
設計厚:0.429mm
更に具体的には、本実験で使用した上記繊維シート1Bの概略構成は、次の通りである。
つまり、繊維シート1Bの繊維強化プラスチック線材2は、強化繊維fとして平均径7μm、収束本数12000本のPAN系炭素繊維ストランドを用い、マトリクス樹脂Rとして常温硬化型のエポキシ樹脂を含浸し、硬化して作製した。繊維体積含有率(Vf)は、60%であり、硬化後の繊維強化プラスチック線材2は、直径(d)1.1mmの円形断面を有するものである。
このようにして得た繊維強化プラスチック線材2を、一方向に引き揃えてスダレ状に配置した後、ポリエステル繊維を横糸3として平織りによりシート状に保持した。横糸3の間隔(P)は50mmであった。また、各線材2、2間の間隙(g)は、0.1〜0.3mmとされた。
上記構成の繊維シート1Bに対して、線材2に含浸された樹脂と同じエポキシ樹脂を含浸させて硬化し、FRP材1Pを得た。FRP材1P(図3)における目付量は、900g/m2であった。
次に、このようにして作製したFRP材1Pを、図7(a)、(b)に示すように、2枚重ねて接着し、接合部材11(11A、11B)を作製した。接合部材11(11A、11B)の幅(W11)は12.5mm、長さ(L11)は300mm、厚さ(T11)は4mmであった。同様に、上記FRP材1Pにて当て板12(12A、12B)を作製した。当て板12の幅(W12)は、接合部材11の幅(W11)と同じとし12.5mm、長さ(L12)は300mm、厚さ(T12)は2mmであった。
次に、接合部材11(11A、11B)の端面間隙Gを種々に変えて突合せ、接合部材11(11A、11B)の両面に当て板12(12A、12B)を接着剤50にて接着して接合部材11(11A、11B)を接合し、突合せ継手10を作製した。接着剤50は、エポキシ樹脂を使用し、塗布量は2500g/m2とした。
接合部材11(11A、11B)の両端部には、上記FRP材1Pを両側から接着剤にて接着し、引張り試験のためのチャック用のタブ13を形成した。
(試験方法)
試験体のタブ13を引張試験機(インストロン55R1185型万能試験機)に固定し、その後5mm/minの等速度で引張り、荷重−変位曲線を得た。破壊形態は全て当て板12の繊維破断であった。
上記実験を、接合部材11(11A、11B)の間隙Gを、0mm(間隙なし)、5mm、10mm、20mm、30mm、として行い、図8の結果を得た。
この実験結果から、間隙(G)を12mm以上設けることにより、継手強度が増大し、間隙(G)が12mmを超えると30mm程度にまで大きくしたとしても、継手強度はそれ以上の増大はなく、一定となることが分かった。その理由は、継手部に間隙(G)を設けることにより、間隙(G)を設けない場合に発生する接合部材11A、11Bの接合部に位置して当て板12に発生する応力集中が緩和されるからであると思われる。
上述したように、間隙(G)が12mm未満では、応力集中を十分には緩和することができない。また、間隙(G)が12mm以上では、30mmを超えても、応力集中緩和効果が増大することはない。従って、間隙(G)の上限値は特になく、例えば、突合せ接着継手構造10を必要とする構造物によっては、間隙(G)を500mm程度にまで広げることもできる。しかし、実際上、500mmを超える間隙(G)を必要とする場合は少ないと思われる。そこで、通常、間隙(G)は、12mm以上(望ましくは15mm以上)、通常50mm程度以下とされる。
このように、本発明によれば、平板状の二つの接合部材11(11A、11B)をその端面11a、11aにて突合せ、接合部材11(11A、11B)を突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に当て板12(12A、12B)を接着して設けた突合せ接着継手10の構造にて、突合せた接合部材11(11A、11B)の端面11a、11aの間に12mm以上(望ましくは15mm以上)、50mm以下のギャップ(G)を設けることにより、突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善することができる。
実施例2
次に、上記実施例1で説明した突合せ接着継手構造10を利用した土木、建築、機械等の構造物の補強方法、及び、該補強方法により補強された補強構造を有する構造物について説明する。
図9に示すように、例えば、連続した強化繊維を含むシート状の或いは板状の強化繊維含有材料、即ち、繊維シート1(1A、1B)から成る補強材21(21A、21B)などを使用して、梁及び桁部材、更には、壁、柱、床版等のスラブ部材など、建築、土木建造物であるコンクリート構造物又は鋼構造物等の構造物100を補強することが行われている。
このような補強工事に際して使用する補強材21などは、可搬性、作業性等を考慮してその寸法には制限があり、必要に応じて補強材21を接合する必要がある。
従来、例えば複数の補強材は、図9(a)に示すように、隣り合う補強材21(21A、21B)の端部を所定長さにて重ね合わせる方法によるか、図9(b)に示すように、隣り合う補強材21(21A、21B)の端面を突合せ、突合せ領域に当て板(ストラップ)22を接合する方法にて実施されていた。
図9(a)、(b)に示すいずれの方法も、問題を有していることは上記にて説明した通りである。
そこで、本発明では、図9(c)、(d)に示すように、実施例1で説明した突合せ接着継手構造10を利用して、構造物の補強を行う。
つまり、本発明によれば、平板状の複数の補強材21(21A、21B)を構造物100の表面に並置して、接着剤50にて接着して補強する構造物の補強方法において、各補強材21A、21Bはその端面21a、21aを突合せて構造物100の表面に接着剤50にて接着される。また、補強材21A、21Bを突合せた領域には、該領域を被覆して少なくとも一側の側面に当て板22が接着剤50にて接着される。この時、突合せた補強材21A、21Bの端面21a、21aの間には、12mm以上(望ましくは15mm以上)、通常50mm以下の間隙(ギャップG)を設ける。当て板22の寸法形状は、接合部材21の寸法形状に対応して種々に設定可能であるが、幅(W22)は接合部材11の幅(W21)と同じ程度とされ、通常、5〜500mm、長さ(L22)は100〜500mmとされる。厚さ(T22)は、0.01〜30mm程度とされる。
つまり、本実施例においても、実施例1と同様に、補強材21(21A、21B)の突合せ部に所定量のギャップG(12mm以上、望ましくは15mm以上)を設けることで突合せ部における当て板22の応力集中を緩和し、継手強度を改善することができ、補強強度を増大させ得る。ギャップGが12mm以上(望ましくは15mm以上)とされる理由、及び、当て板22の厚さ(T22)が0.01〜30mmとされることの理由は、実施例1にて説明した通りである。次に、本発明者らが行った実験及びその結果について以下に説明する。
実験例2
(突合せ接着継手引張試験体)
図10に示すように、本実験では、構造物(被補強体)としての鋼板100に突合せ接着継手構造にて接着した補強材21(21A、21B)及び当て板22の引張強度試験を行った。
鋼板100に接着する補強材21(21A、21B)及び当て板22は、実施例1にて説明した実験例1におけるFRP材1Pと同じFRP材にて作製した。
従って、FRP材1Pについての説明は、実験例1の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
鋼板100は、幅(W100)は60mm、長さ(L100)は800mm、厚さ(T100)は9mmであった。補強材21(21A、21B)は、幅(W21)が50mm、長さ(L21)は250mm、厚さ(T21)は2mmであった。同様に、上記FRP材1Pにて当て板22(22A、22B)を作製した。当て板22の幅(W22)は50mm、長さ(L22)は300mm、厚さ(T22)は2mmであった。
次に、補強材21(21A、21B)の端面間隙(G)を種々に変えて突合せ、補強材21(21A、21B)の外面に当て板22(22A、22B)を接着剤50にて接着して補強材21(21A、21B)を接合し、突合せ継手構造10を作製した。接着剤は、エポキシ樹脂を使用し、塗布量は2500g/m2とした。
(試験方法)
鋼板100の長手方向端部を引張試験機(インストロン55R1185型万能試験機)に固定し、その後5mm/minの等速度で引張り、荷重−変位曲線を得た。
上記実験を、補強材21(21A、21B)の間隙(G)を、0mm(間隙なし)、5mm、10mm、20mm、30mm、として行い、図11の結果を得た。破壊形態は全て当て板22の繊維破断であった。
この実験結果から、間隙(G)を設けることにより、間隙(G)が12mm以上にて継手強度が増大し、間隙が30mmを超えても継手強度はそれ以上の増大はなく、一定となることが分かった。その理由は、上述した通りである。
このように、本発明によれば、平板状の複数の補強材を構造物の表面に並置して、接着剤にて接着して補強する構造物の補強方法において、各補強材はその端面を突合せ、補強材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着し突合せ接着継手構造とする。ここで、突合せた接着継手構造において、突合せた補強材の端面の間に12mm以上(望ましくは15mm以上)、通常50mm以下のギャップを設ける。
本発明は、このように、突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善した突合せ接着継手構造を利用して構造物の補強を行うことにより、補強強度を向上させることができる。
実施例3
図12に、本発明に従って構成される構造物の補強方法、及び、該補強方法により補強された補強構造を有する構造物の他の実施例を示す。
本実施例によると、例えば、補強領域が26mとされる構造物100の表面に長さ3mとされる補強材21、31、41を利用して補強する場合を示す。
つまり、本実施例では、図3に示すFRP材1P、或いは、図2、図4に示す繊維シート1(1A、1B)などとされる平板状の複数の補強材21、31、41を構造物の表面に並置して、接着剤50にて接着する。
このとき、各補強材21、31、41は、厚さが0.01〜30mmとされ、その端面を突合せて配置して複数の補強材層21S、31S、41Sを形成する。すなわち、本実施例では、先ず、補強材21(21A、21B、21C、21D、・・・・・)がその端面を突合せて配置され、構造物100の表面に接着剤50にて接着して、第1の補強材層21Sを形成する。次いで、第1の補強材層21Sの上に、第1の補強材層21Sと同様に、平板状の複数の補強材31(31A、31B、31C、31D、・・・・・)がその端面を突合せて配置して、第1の補強材層21S上に接着剤50にて接着して、第2の補強材層31Sを形成する。次いで、第2の補強材層31Sの上に、第1、第2の補強材層21S、31Sと同様に、平板状の複数の補強材41(41A、41B、41C、41D、・・・・・)がその端面を突合せて配置して、第2の補強材層31S上に接着剤50にて接着して、第3の補強材層41Sを形成する。本実施例では、3層構造とされるが、これに限定されるものではない。
ここで、隣接する二つの補強材層、即ち、第1の補強材層21Sと第2の補強材層31S、及び、第2の補強材層31Sと第3の補強材層41Sは、隣接する一方の補強材層における補強材の端面突合せ位置と、他方の補強材層における補強材の端面突合せ位置とは一致することがないように積層する。つまり、隣接する二つの補強材層の間隙(G)が一致することはない。
このように、各補強材の端面突合せ位置には、実施例1で説明したと同様の突合せ接着継手構造10が形成される。本発明によれば、各補強材の突合せた端面の間に12mm以上(望ましくは15mm以上)、通常50mm以下のギャップ(G)が設けられる。
本実施例においても、突合せ部の応力集中を緩和し、継手強度を改善した突合せ接着継手構造を利用して構造物の補強を行うことにより、補強強度を向上させることができる。
上記実施例、実験例は、接合部材、補強材、当て板として繊維強化樹脂材を使用した例について説明したが、金属材料とした場合も同様の作用効果を達成し得る。
1(1A、1B) 繊維シート
1P 繊維強化樹脂材
2 繊維強化樹脂線材
10 突合せ接着継手構造
11(11A、11B) 接合部材
12(12A、12B) 当て板
21(21A、21B) 補強材
22 当て板
21、31、42 補強材
21S、31S、41S 第1、第2、第3補強材層
50 接着剤
100 構造物
特許文献1には、突合せ接着継手を利用した構造物のFRP補強工法を開示している。このFRP補強工法によると、構造物表面に高弾性炭素繊維補強プラスチックから成る帯状の補強板をその長さ方向の端部同士を突き合わせて接着し、次いで、補強板の突合せ部位に対して高弾性炭素繊維補強プラスチックから成る継ぎ手板を重ね合わせて接着し、更に、炭素繊維シートを接着して継ぎ手板を被覆することが行われている。また、特許文献に記載のFRP補強工法において、補強板の突合せ部位において補強板の各端部の間に隙間を設けることを教示しているが、この隙間としては、1〜10mm、好ましくは3〜8mm程度とされている。
上記目的は本発明に係る突合せ接着継手構造、及び、斯かる突合せ接着継手構造を利用した構造物の補強方法、及び、斯かる補強方法にて補強された補強構造を有する構造物にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、互いに接合される平板状の二つの接合部材をその端面にて突合せ、前記接合部材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着剤にて接着して設けた突合せ接着継手構造であって、
突合せた前記接合部材の端面の間に10mmを超えた大きさの間隙を設け、前記間隙は、当該間隙を設けた場合の継手強度が、間隙が10mmとされるときの継手強度より大とされるが、当該間隙を更に大きくしても増大せず一定となる間隙であることを特徴とする突合せ接着継手構造が提供される。一実施態様では、前記接合部材及び前記当て板は、繊維強化樹脂材又は金属材料である。ここで、前記繊維強化樹脂材は、繊維シートとマトリックス樹脂を含み、前記マトリックス樹脂を硬化させて作製される。また、前記繊維シートは、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、前記マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であり、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂が使用され、又、前記熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂、ナイロン、又はビニロンが使用される。
第2の本発明によれば、互いに接合される平板状の複数の補強材を構造物の表面に並置して、接着剤にて接着して補強する構造物の補強方法において、
前記各補強材はその端面を突合せ、前記補強材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着剤で接着して突合せ接着継手構造とし、
前記突合せ接着継手構造における前記突合せた前記補強材の端面の間に10mmを超えた大きさの間隙を設け、前記間隙は、当該間隙を設けた場合の継手強度が、間隙が10mmとされるときの継手強度より大とされるが、当該間隙を更に大きくしても増大せず一定となる間隙であることを特徴とする構造物の補強方法が提供される。一実施態様では、前記補強材及び前記当て板は、繊維強化樹脂材又は金属材料である。

Claims (11)

  1. 互いに接合される平板状の二つの接合部材をその端面にて突合せ、前記接合部材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着剤にて接着して設けた突合せ接着継手構造であって、
    突合せた前記接合部材の端面の間に12mm以上の間隙を設けることを特徴とする突合せ接着継手構造。
  2. 前記接合部材及び前記当て板は、繊維強化樹脂材又は金属材料であることを特徴とする請求項1に記載の突合せ接着継手構造。
  3. 前記繊維強化樹脂材は、繊維シートとマトリックス樹脂を含み、前記マトリックス樹脂を硬化させて作製され、
    前記繊維シートは、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、
    前記マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であり、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂が使用され、又、前記熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂、ナイロン、又はビニロンが使用されることを特徴とする請求項2に記載の突合せ接着継手構造。
  4. 前記接着剤は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の突合せ接着継手構造。
  5. 互いに接合される平板状の複数の補強材を構造物の表面に並置して、接着剤にて接着して補強する構造物の補強方法において、
    前記各補強材はその端面を突合せ、前記補強材の突合せた領域を被覆して少なくとも一側の側面に0.01〜30mm厚さの当て板を接着剤で接着して突合せ接着継手構造とし、
    前記突合せた接着継手構造における前記突合せた前記補強材の端面の間に12mm以上の間隙を設けることを特徴とする構造物の補強方法。
  6. 前記補強材及び前記当て板は、繊維強化樹脂材又は金属材料であることを特徴とする請求項5に記載の構造物の補強方法。
  7. 平板状の複数の補強材を構造物の表面に並置して、接着剤にて接着して補強する構造物の補強方法において、
    前記各補強材は、厚さが0.01〜30mmとされ、その端面を突合せて配置して補強材層を形成し、前記補強材層を層状に複数積層して前記構造物の表面に接着剤で接着し、
    隣接する二つの補強材層は、一つの補強材層における補強材の端面突合せ位置と、他の補強材層における補強材の端面突合せ位置とは一致することがないように積層し、
    前記各補強材の突合せた端面の間に12mm以上の間隙を設けることを特徴とする構造物の補強方法。
  8. 前記補強材は、繊維強化樹脂材又は金属材料であることを特徴とする請求項7に記載の構造物の補強方法。
  9. 前記繊維強化樹脂材は、繊維シートとマトリックス樹脂を含み、前記マトリックス樹脂を硬化させて作製され、
    前記繊維シートは、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、
    前記マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であり、前記熱硬化性樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂が使用され、又、前記熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂、ナイロン、又はビニロンが使用されることを特徴とする請求項8に記載の構造物の補強方法。
  10. 前記接着剤は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。
  11. 請求項5〜10のいずれかの項に記載の補強方法により補強された補強構造を有することを特徴とする構造物。
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