JP2016210844A - 汚れ付着防止剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間、汚れ付着を防止できる。
【解決手段】フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、汚れ付着防止機能を有する組成物に関し、特に、建築物の内外装の壁面に存在する目地等の隙間に充填されるシーリング材の表面に塗布し、シーリング材に汚れが付着することを防止する汚れ付着防止剤組成物に関する。
建築物の内外装は、外観を良くするために多数のパネルやタイルなどで壁の表面を仕上げることが多い。シーリング材は、パネルやタイルなどの接合部や目地等の隙間に充填するものであり、水密性、気密性などを保持する目的として変性シリコーン系、変性ポリサルファイド系、ポリウレタン系のものなどが用いられている。このようなシーリング材を例えば目地に充填すると、シーリング材の表面が外部に露出するようになる。露出したシーリング材の表面は、べたついており、埃、塵等の汚れが付着しやすく、建築物の美観を損ねたり、付着したものによってはシーリング材を劣化させるといった様々な問題が生じる。そこで、シーリング材への汚れの付着を防止することが求められ、かかるシーリング材への汚れ付着防止方法について、特許文献1及び特許文献2に開示されているが、より長期間にわたって塗布面に埃や塵等の汚れの付着が防止されることが望まれる。
特開平7−82548号公報 特開平7−118572号公報
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、劣化が抑えられ、塗布面に埃や塵等の汚れが付着することを長期間防止できる汚れ付着防止剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の樹脂と、撥水撥油機能を有する添加剤と、溶剤とを組み合わせることで、汚れ付着防止効果が得られることを見出した。
すなわち、本発明の一態様に係る汚れ付着防止剤組成物は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有することを特徴とする。
樹脂は、常温乾燥型であり、その配合量が当該汚れ付着防止剤組成物全体の10〜40重量%であることが好ましい。
撥水撥油剤の配合量は、汚れ付着防止剤組成物全体の0.1〜1.5重量%であることが好ましい。
溶剤は、炭化水素系、ケトン系、アルコール系、フッ素系からなる群から選択される少なくとも1種であり、その配合量が汚れ付着防止剤組成物全体の60〜90重量%であることが好ましい。
本発明の一態様に係る汚れ付着防止剤組成物は、外壁の目地に充填されたシーリング材の表面に塗布することが好ましい。
本発明によれば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有させることで、劣化が抑えられ、塗布した面に埃や塵等の汚れが付着することを長期間防止することができる。
以下、本発明に係る汚れ付着防止剤組成物の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において変更が可能である。
本発明の一実施形態に係る汚れ付着防止剤組成物(以下、単に組成物という。)は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有する。組成物は、汚れの付着を防止したい部分に塗布して、その部分に埃や塵等の汚れが付着することを防止するものである。例えば、組成物は、建築物の壁面の目地に充填されたシーリング材の表面に塗布して、シーリング材の表面を覆い、シーリング材が汚れることを防止するコーティング剤である。
樹脂は、シーリング材の耐候性、耐光性、密着性等を向上させるため添加する。樹脂としては、常温乾燥型の樹脂であり、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。これらの樹脂の中でも、アクリル系樹脂は、耐光性が高いため好ましい。
具体的に、フッ素系樹脂としては、フリリース(ネオス社製)、Novec1700(3M社製)等を用いることができる。アクリル系樹脂としては、ダイヤナール(三菱レイヨン社製)、アクリディック(DIC社製)、アクリット(大成ファインケミカル社製)等を用いることができる。ウレタン樹脂としては、バーノック(DIC社製)、ユリアーノ(荒川化学工業社製)等を用いることができる。
樹脂の配合量は、組成物全体に対して10〜40重量%とすることが好ましい。配合量が10重量%よりも少ないと、組成物が劣化しやすく、耐候性、耐光性や密着性等が不十分となり、時間の経過とともに汚れの付着防止効果が低下したり、剥がれてしまう。また、組成物が劣化することにより、変色して外観が悪くなってしまう。一方、配合量が40重量%よりも多いと、耐候性、耐光性及び密着性が頭打ちとなるため、添加することによりコストが高くなるため好ましくない。
撥水撥油剤は、撥水及び撥油機能を有し、塵や埃等の汚れが付着することを防止する。例えばモディパー(日油社製)、フルオマート(FT-Net社製)、フロロサーフ(フロロテクノロジー社製)、シリコーンレジンパウダー(信越化学工業社製)、シリカパウダー(信越化学工業社製)を用いることができる。
撥水撥油剤の配合量は、組成物全体に対して0.1〜1.5重量%とすることが好ましい。配合量が0.1重量%よりも少ない場合には、撥水及び撥油機能が十分に得られず、汚れが付きやすくなる。一方、配合量が1.5重量%よりも多い場合には、汚れ付着防止効果が頭打ちとなり、コストが高くなるため好ましくない。
溶剤は、樹脂及び撥水撥油剤を分散させるためのものである。溶剤としては、特に限定されないが、炭化水素系、ケトン系、アルコール系、フッ素系からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの溶剤は、樹脂や撥水撥油剤との相溶性が良いことが望ましい。その反面シーリング材に影響(変色、クラック)が少ない溶剤であることが好ましい。具体的には、炭化水素系はイソヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等を用いることができる。ケトン系はジメチルカーボネート、アセトン等を用いることが出来る。アルコール系はエタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロパノール等を用いることが出来る。フッ素系はハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等を用いることが出来る。
溶剤の配合量は、組成物全体に対して60〜90重量%とすることが好ましい。配合量が60重量%より少ない場合には、樹脂や撥水撥油剤の配合量が多くなり過ぎ、配合量が90重量%よりも多いと、樹脂や撥水撥油剤の配合量が少なくなり過ぎるため好ましくない。
その他、組成物には、防錆剤、腐食防止剤、撥油剤、撥水剤等のその他各種の添加剤を任意に選択して配合することができる。
組成物は、上述した樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを所定の割合で混合することで作製できる。混合方法は、特に限定されず、例えば一般的な撹拌装置を用いて混合してもよい。組成物を塗布する方法は、汚れが付着することを防止したい部分にヘラ等で塗布したり、スプレー等で吹き付けることができる。
組成物は、汚れの付着を防止したい部分に塗布することで、その部分をコーティングする。例えば、建築物の壁面の目地に充填したシーリング材の表面に塗布する場合には、シーリング材が乾く前に、シーリング材の表面全体を覆うように組成物をヘラやスプレー等で塗布する。そして、塗布した組成物がシーリング材よりも早く乾燥して、シーリング材の表面は組成物で覆われる。この組成物で形成されたコーティング層は、組成物に含まれている樹脂や撥水撥油剤により撥油性及び撥水性を示し、目地に塵や埃等の汚れが付着することを防止できる。また、このコーティング層は、シーリング材との密着性が高く、耐候性及び耐光性が高く、変色したり、雨や風等に曝されても劣化が抑えられるため、長期間、シーリング材に汚れが付着することを防止できる。特に、シリコーン系のシーリング材の場合には、シーリング材中の可塑剤が時間の経過と共にシーリング材の表面に出てきて汚れが付きやすくなるが、組成物を塗布して覆うことにより、可塑剤が表面に出ないようになり、汚れの付着を防止することができる。
以上のような構成の組成物は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有することによって、耐候性及び耐光性が高く、塗布した部分との密着性も高いため、塗布した部分に埃や塵等の汚れが付着することを長期間防止することができる。
以下に本発明の優位性をより明確にする目的で、本発明の一実施形態を適用した実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
先ずは、評価方法について説明する。
「汚れ付着評価1・・・親水性汚れ」
汚れ付着評価1では、変性シリコーン系シーリング材と火山灰(市販品)を用い、塗布後のシリコーン材に対する火山灰の付着評価を行った。先ず、変性シリコーン系シーリング材を高さ10mm×直径20mmの容器に充填し、表面をヘラで均した直後に汚れ付着防止剤を塗布する。その後、室温で12時間以上養生した後に、汚れ付着防止剤を塗布した面を評価面とし、その評価面に一定量の火山灰を散布した。火山灰の散布後、評価面を地面と垂直にして、地面に対して軽く叩き、評価面に付着した火山灰を除去する。火山灰の付着度合いを目視で確認する。得られた結果を下記の表1に示す。
「汚れ付着評価2・・・疎水性汚れ」
汚れ付着評価1では、変性シリコーン系シーリング材とカーボン水溶液を用い、塗布後のシリコーン材に対するカーボンの付着評価を行った。先ず、変性シリコーン系シーリング材を高さ10mm×直径20mmの容器に充填し、表面をヘラで均した直後に汚れ付着防止剤を塗布する。その後、室温で12時間以上養生した後に、汚れ付着防止剤を塗布した面を評価面とし、その評価面に一定量のカーボン水溶液を滴下した。カーボン水溶液を滴下後、評価面を地面と垂直にする。評価面に付着したカーボンの付着度合いを目視で確認する。得られた結果を下記の表2に示す。
次に、各実施例及び比較例で用いた汚れ付着防止剤組成物を説明する。
(実施例1)
実施例1では、樹脂としてアクリル系樹脂(アクリット、大成ファインケミカル社製)が10重量%、ウレタン系樹脂(ユリアーノ、荒川化学工業社製)が10重量%、撥水撥油剤(フルオマート、FT-Net社製)1.2重量%、溶剤としてジメチルカーボネート、イソプロピルアルコールの混合溶剤が78.8重量%となるように混合して、汚れ付着防止剤組成物を作製した。
(実施例2)
実施例2では、樹脂としてアクリル系樹脂(アクリディック、DIC社製)が10.0重量%、撥水撥油剤(フルオマート、フロロテクノロジー社製)が1.0重量%、溶剤としてジメチルカーボネート、ノルマルプロパノール、イソヘキサンの混合溶剤が89.9重量%となるように混合して、汚れ付着防止剤組成物を作製した。
(実施例3)
実施例3では、樹脂としてフッ素系樹脂(フリリース、ネオス社製)が29.5重量%、撥水撥油剤(オルガノポリシロキサン、信越化学工業社製)が0.5重量%、溶剤としてハイドロフルオロエーテルが70.0重量%となるように混合して、汚れ付着防止剤組成物を作製した。
(比較例1)
比較例1では、樹脂としてアクリル系樹脂(アクリディック、DIC社製)が5.0重量%、撥水撥油剤(フルオマート、フロロテクノロジー社製)が0.5重量%、溶剤としてジメチルカーボネート、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサンの混合溶剤が94.5重量%となるように混合して、汚れ付着防止剤組成物を作製した。
(比較例2)
比較例2では、樹脂としてアクリル系樹脂(アクリディック、DIC社製)が30.0重量%、撥水撥油剤(フルオマート、フロロテクノロジー社製)が0.05重量%、溶剤としてジメチルカーボネート、エチルシクロヘキサンが69.95重量%となるように混合して、汚れ付着防止剤組成物を作製した。
(比較例3)
比較例3では、樹脂としてアクリル系樹脂(アクリディック、DIC社製)が30.0重量%、撥水撥油剤(フルオマート、フロロテクノロジー社製)が2.0重量%、溶剤としてジメチルカーボネート、アセトン、エタノールが68.0重量%となるように混合して、汚れ付着防止剤組成物を作製した。
(比較例4)
比較例4では、市販の汚れ付着防止剤スプレーA(シリコーン系樹脂)を用いた。
(比較例5)
比較例5では、市販の汚れ付着防止剤スプレーB(フッ素系樹脂)を用いた。
(比較例6)
比較例6では、汚れ付着防止剤を使用しなかった。
これらの実施例1乃至3、及び比較例1乃至6に関して、汚れ付着防止剤組成物の火山灰付着試験結果について表1に示し、汚れ付着防止剤組成物のカーボン付着試験結果について表2に示した。
Figure 2016210844
Figure 2016210844
表1、2に示す結果から、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有する実施例1〜3は、火山灰及びカーボンが付着せず、付着したとしても若干であり、汚れの付着が防止できている。
一方、比較例1〜5では、火山灰及びカーボンが付着し、比較例6では、著しく付着した。比較例1〜3と実施例とを比較すると、樹脂の配合量を10〜40重量%、撥水撥油剤の配合量を0.1〜1.0重量%、溶剤の配合量を60〜90重量%の範囲内にすることによって、火山灰及びカーボンの付着を防止できることがわかる。また、比較例4及び5、実施例と比較すると、市販されている汚れ付着防止剤よりも本発明を適用した汚れ付着防止剤組成物の方が付着防止効果が高いことがわかる。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。

Claims (5)

  1. フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、撥水撥油剤と、溶剤とを含有することを特徴とする汚れ付着防止剤組成物。
  2. 前記樹脂は、常温乾燥型であり、その配合量が当該汚れ付着防止剤組成物全体の10〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の汚れ付着防止剤組成物。
  3. 前記撥水撥油剤の配合量は、当該汚れ付着防止剤組成物全体の0.1〜1.5重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚れ付着防止剤組成物。
  4. 前記溶剤は、炭化水素系、ケトン系、アルコール系、フッ素系からなる群から選択される少なくとも1種であり、その配合量が当該汚れ付着防止剤組成物全体の60〜90重量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の汚れ付着防止剤組成物。
  5. 外壁の目地に充填されたシーリング材の表面に塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の汚れ付着防止剤組成物。
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