JP2016210691A - 害虫を防除する方法 - Google Patents

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哲男 中島
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勇弥 伊藤
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Abstract

【課題】本発明の目的は、メタリジウム属菌の生存安定性を維持しながら、効率的に害虫を防除することができる方法を提供することにある。【解決手段】(a)メタリジウム属菌と植物油を含有する組成物と、(b)界面活性剤を含有する組成物と、水とを混合して散布液を調製し、当該散布液を害虫、その生息場所又は害虫から保護すべき植物に施用して、害虫を防除する方法を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、天敵微生物であるメタリジウム(Metharizium)属菌を長期間生存させることにより、害虫を効率的に防除する方法に関する。
特許文献1では、100%の相対湿度存在下のガス通過性、水蒸気不透過性材料中に、メタリジウム菌培養物を密閉することにより、長期間生存させる方法が提案されている。また、特許文献2では、メタリジウム・アニソプリエ菌を培養付着させたフスマを主体とする固体培地に、流動パラフィン・油脂等の不溶性粘着物を加え、これを3nm以下の粒度に粉砕した顆粒状フスマパウダーを散布して害虫を防除する方法が提案されている。
国際公開第93/24013号 特開平6−166607号公報
メタリジウム属菌は、昆虫、線虫及びダニなどの害虫に対する天敵微生物であるため、害虫の防除に適用できる。しかしながら、本菌を農薬製品中で長期間生存させることが難しく、例えば、特許文献1及び2に記載されているような生存安定性を確保する各種方法は煩雑であったり、製剤中の各成分(例えば界面活性剤等)の悪影響を受けてメタリジウム属菌が長期間生存できないなどの問題もあった。そこで、簡便で、メタリジウム属菌が長期間生存し、さらに、高い防除価で害虫を防除する方法が希求されていた。
上記のような状況下、本発明者らは、(a)メタリジウム属菌と植物油を含有する組成物と、(b)界面活性剤を含有する組成物とを併用する方法を見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、(a)メタリジウム属菌と植物油を含有する組成物と、(b)界面活性剤を含有する組成物と、水とを混合して散布液を調製し、当該散布液を害虫、その生息場所又は害虫から保護すべき植物に施用して、害虫を防除する方法に関する。
本発明の方法によれば、製剤中に界面活性剤が存在する場合には、長期間生存が難しいメタリジウム属菌を、長期間生存させることができるので、高い防除効果で、害虫を防除することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法において用いられるメタリジウム属菌としては、例えば、メタリジウム アニソプリエ(Metharhizium anisopriae)、メタリジウム フラボビリデ(Metharhizium flavovirude)、メタリジウム シリンドロスポラエ(Metharhizium cylindrosporae)、メタリジウム アクリジウム(Metharhizium acridum)等が挙げられる。これらメタリジウム属菌は菌体であっても、胞子であってもよい。
本発明の方法において使用する界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウムなどを用いることができ、HLB値は7.0〜13.0、好ましくは10.0〜12.0であるものが望ましい。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を用いるのがさらに望ましく、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いるのが最も望ましい。なお、本発明において、界面活性剤のHLB値は、グリフィン(griffin)法で測定された値を意味する。
本発明の方法において使用する植物油としては、メタリジウム属菌の生存安定性を阻害しない溶媒として機能するものであれば何れのものでもよく、例えば、大豆油、ナタネ油、トウモロコシ油、アマニ油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ヒマシ油、パーム油、アボガド油等が挙げられるが、大豆油、ナタネ油及びトウモロコシ油から成る群から選択される少なくとも一種の植物油が望ましい。
本発明の方法において、調製した散布液を施用する際には、必要により動力噴霧器、肩掛け噴霧器、ハンドスプレーヤー等の噴霧器を用い、害虫、害虫の生息場所、害虫から保護すべき植物等に散布する。また、施用に際して、メタリジウム属菌に悪影響のない他の殺虫剤、殺ダニ剤や肥料、殺菌剤、植物生長調節剤等と混合して施用することもできる。
本発明の方法を用いて防除される害虫としては、例えば、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、線虫類、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類、アザミウマ目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、隠翅目害虫、シラミ目害虫、等翅目害虫、半翅目害虫、ワラジムシ類、ムカデ類、ヤスデ類などが挙げられる。本発明の方法は、特に農園芸作物および樹木などを土壌中で加害する害虫や、農園芸作物や樹木の種子を加害する害虫、農園芸作物および樹木の葉や果実を加害する害虫、例えば、前記線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類、半翅目害虫などの防除に適している。また、本発の方法を土壌処理に適用することにより、線虫類、土壌中に生息する害虫を防除できる。土壌処理への適用方法としては、土壌混和処理や土壌灌注処理等が挙げられる。各種害虫の具体例を以下に示す。
等脚類としては、ダンゴムシ、ワラジムシなどが挙げられる。
鞘翅目害虫としては、ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類;ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類;メイズウィービル(Sitophiluszeamais)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、アリモドキゾウムシ(Cylas formicarius)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera pastica)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類;オキナワカンシャクシコメツキ(Melanotus okinawensis)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes ogurae fusciollis)、クシコメツキ(Melanotus legatus)等のハリガネムシ類;チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類;ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)等のハムシ類;ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ類;ナガシンクイムシ類;アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等が挙げられる。
鱗翅目害虫としては、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、シバツトガ(Parapediasia teterrella)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類;ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類;モンシロチョウ(Pierisrapae)等のシロチョウ類;アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類;モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類;リオネティア属等のハモグリガ類;リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類;コナガ(Plutellaxylostella)等のスガ類;ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等のキバガ類;アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等が挙げられる。
線虫類としては、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、チャネグサレセンチュウ(Pratylenchus loosi)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のネグサレセンチュウ類;ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)等のシストセンチュウ類;キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)等のネコブセンチュウ類;イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴセンチュウ(Aphelenchoides fragarieae)等のアフェレンコイデス類;イシュクセンチュウ類;ワセンチュウ類;ピンセンチュウ類;ロンギドルス類;トリコドルス類;イチゴメセンチュウ;マツノザイセンチュウなどが挙げられる。
腹足類としてはマイマイ、ナメクジなどが挙げられる。
直翅目害虫としては、ケラ、バッタ、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)などが挙げられる。
ハシリダニ科のムギダニ(Penthaleus major)等、ホコリダニ科のシクラメンホコリダニ(Phytonemus pallidus)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等、シラミダニ科のシラミダニの一種(Siteroptes sp.)等、ヒメハダニ科のブドウヒメハダニ(Brevipalpus lewisi)等、ケナガハダニ科のナミケナガハダニ(Tuckerella pavoniformis)等、ハダニ科のアンズアケハダニ(Eotetranychus boreus)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)等、ナガクダフシダニ科のマツフシダニ(Trisetacus pini)等、フシダニ科のミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)、チャノナガサビダニ(Acaphylla theavagrans)、ナシサビダニ(Epitrimerus pyri)、シトラスラストマイト(Phyllocoptruta oleivora)等、ハリナガフシダニ科のイヌツゲフシダニ(Diptacus crenatae)等、コナダニ科のムギコナダニ(Aleuroglyphus ovatus)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)等が挙げられる。
アザミウマ目害虫としては、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ハナアザミウマ(Thrips hawaiiensis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、カキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi)等が挙げられる。
双翅目害虫としては、アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等のイエカ類;Aedes aegypti、Aedes albopictus等のエーデス属;Anopheles sinensis等のアノフェレス属;ユスリカ類;イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類;クロバエ類;ニクバエ類;ヒメイエバエ類;タネバエ(Deliaplatura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類;マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類;ミバエ類;ショウジョウバエ類;チョウバエ類;ブユ類;アブ類;サシバエ類等が挙げられる。
膜翅目害虫としては、アリ類;アシナガバチ類;スズメバチ類;アリガタバチ類;カブラハバチ(Athalia rosae)等のハバチ類;チュウレンジハバチ(Arge pagana)等のミフシハバチ類等が挙げられる。
隠翅目害虫としては、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)等が挙げられる。
シラミ目害虫としては、コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ(Phthirus pubis)、ヒトジラミ等が挙げられる。
等翅目害虫としては、ヤマトシロアリ、イエシロアリなどが挙げられる。
半翅目害虫としては、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類;ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類;ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ミカンミドリアブラムシ(Aphis citricola)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis pserudobrassicae)、ナシミドリオオアブラムシ(Nippolachnus piri)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera ciidius)等のアブラムシ類;アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)等のカメムシ類;オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類;アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、オリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、ミカンノカキカイガラムシ(Lepidosaphes beckii)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類;グンバイムシ類;キジラミ類等が挙げられる。
ワラジムシ類としては、ワラジムシ(Porcellio scaber)、ホソワラジムシ(Porcellionides pruinosus)、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等が挙げられる。
ムカデ類としては、トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)、アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)、アカズムカデ(Scolopendra subspinipes multidens)、ゲジ(Thereuopoda hilgendorfi)等が挙げられる。
ヤスデ類としては、ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、オビババヤスデ(Parafontarialaminata laminata)等が挙げられる。
また、本発明の方法によって、上記害虫から保護すべき植物としては、例えば、ミカン、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチジク、オウトウ等の果樹、茶及びナス、キュウリ、トマト、ホウレンソウ、キャベツ、パセリ等の蔬菜類、イチゴ、メロン、スイカ等の果物類、バラ、キク、カーネーション、サクラ、ツバキ等の花木類、ベゴニア等の観葉植物等が挙げられる。
本発明の方法で使用する組成物(a)に含まれる各成分の組成物中での配合重量割合(重量部)は、メタリジウム属菌が0.01〜20重量%、望ましくは0.5〜20重量%、さらに望ましくは1〜15重量%であり;植物油が60〜99.05重量%、望ましくは75〜98重量%である。また、組成物(a)には、メタリジウム属菌が生存するための栄養源を添加してもよい。
本発明の方法で使用する組成物(b)に含まれる界面活性剤の配合重量割合(重量%)は、0.01〜90重量%、望ましくは1〜50重量%である。また、組成物(b)は界面活性剤を植物油に溶解させたものであるのが望ましく、その場合の植物油の配合重量割合(重量%)は、10〜99.99重量%、望ましくは50〜99重量%である。
一方、組成物(a)及び(b)の各々には、必要に応じてメタリジウム属菌の殺虫活性及び生存安定性を喪失させない範囲において、通常農薬に使用される副資材、例えば、メタリジウム属菌の栄養源、固体担体、水、pH調整剤、凍結防止剤、酸化防止剤等を適宜添加することができる。
メタリジウム属菌の栄養源としては、澱粉、ポテトエキス、寒天、糖類、窒素栄養源等が挙げられる。上記した固体担体としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉等が挙げられる。
これら副資材を添加する場合、その添加量は合計で、各々の組成物の全重量に対して、通常0.1〜50重量%、望ましくは0.5〜20重量%である。
組成物(a)及び組成物(b)は、通常の農薬製剤の製造方法を適用して調製することができる。
例えば、メタリジウム属菌の菌体又は胞子と、植物油を、さらに必要に応じて他の構成成分若しくは残部として各種副資材を混合することにより、組成物(a)を調製することができる。
また、界面活性剤と、植物油、動物油、鉱物油、鉱物質担体等の他の構成成分、さらに必要に応じて残部として各種副資材を混合することにより、組成物(b)を調製することができる。混合は、乳鉢・乳棒、薬さじ等を用いて混合することもできるし、例えば、リボンミキサー、ナウタミキサー等の混合機を用いて混合することもできる。
本発明の方法では、例えば、(1)組成物(a)と組成物(b)の混合物に水を混合するか、(2)組成物(b)と水の混合物に、組成物(a)を添加するか、(3)組成物(a)と水の混合物に、組成物(b)を添加するか、又は(4)水に、組成物(a)と組成物(b)の混合物を添加するかして、組成物(a)と、組成物(b)と、水とを混合した散布液を調製することができる。
散布液は、メタリジウム属菌が分散した乳濁液であるのが望ましい。得られた散布液は、通常、害虫、害虫の生息場所又は害虫から保護すべき植物等に施用することができる。
本発明の方法における散布液の施用量は、通常1000m2当たり、メタリジウム属菌の菌体又は胞子の量で、1010〜1018CFU/mlであり、望ましくは1012〜1016CFU/mlである。また、散布液中の界面活性剤の濃度は、散布液の分散安定性を考慮すると、散布液全重量に対して、通常0.001〜10重量%、望ましくは0.01〜10重量%、さらに望ましくは0.01〜0.1重量%となり、植物油の量は通常0.01〜10重量%となる。さらに、散布液中には、通常メタリジウム属菌の菌体又は胞子が10〜1.0×108CFU/ml含まれる。
以下に本発明における望ましい態様の一例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(1)(a)メタリジウム属菌と植物油を含有する組成物と、(b)界面活性剤を含有する組成物と、水とを混合して散布液を調製し、当該散布液を害虫、その生息場所又は害虫から保護すべき植物に施用して、害虫を防除する方法。
(2)メタリジウム(Metharizium)属菌が、メタリジウム アニソプリエ(Metharhizium anisopriae)、メタリジウム フラボビリデ(Metharhizium flavovirude)、メタリジウム シリンドロスポラエ(Metharhizium cylindrosporae)又はメタリジウム アクリジウム(Metharhizium acridum)である(1)に記載の方法。
(3)界面活性剤がポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む(1)又は(2)に記載の方法。
(4)界面活性剤がポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを含む(3)に記載の方法。
(5)界面活性剤のHLB値が7.0〜13.5である(1)〜(4)に記載の方法。
(6)界面活性剤のHLB値が10.0〜12.0である(1)〜(5)に記載の方法。
(7)植物油が大豆油、ナタネ油及びトウモロコシ油から成る群から選択される少なくとも一種の植物油を含む(1)〜(6)に記載の方法。
(8)組成物(a)がメタリジウム属菌を植物油中に分散させた組成物である(1)〜(7)に記載の方法。
(9)組成物(b)が植物油を更に含有する(1)〜(8)に記載の方法。
(10)(1)組成物(a)と組成物(b)の混合物に水を添加するか、
(2)組成物(b)と水の混合物に、組成物(a)を添加するか、
(3)組成物(a)と水の混合物に、組成物(b)を添加するか、又は
(4)水に組成物(a)と組成物(b)の混合物を添加するかして、
散布液を調製する、(1)〜(9)に記載の方法。
(11)散布液が、メタリジウム属菌が分散した乳濁液である(1)〜(10)に記載の方法。
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
予備試験1(各種植物油中のメタリジウム胞子の生菌数の経時変化)
インディカ米を水に15時間浸漬した後、オートクレーブで45分間蒸煮した。この米にメタリジウム アニソプリエを接種した後、26℃、10日間培養した。培養した米に植物油を注ぎ入れた。植物油中に分散したメタリジウム アニソプリエの胞子数を血球計算盤で計数して、植物油中の胞子粒子数が1.0×1010個/mlになるように調製した(以下「調製液」と称する)。調製液を供試植物油で108倍〜106倍希釈した液0.1mlをポテト−デキストロース寒天培地(ポテトエキス末0.4%, ブドウ糖2%, 寒天1.5%, pH5.6)に均一に塗布し、26℃にて、3〜5日間培養した。寒天培地に生育したコロニーの数を計数し、調製液1ml当りの菌数を算出した。この値を0日目の供試溶媒中に含まれるメタリジウム アニソプリエの生菌数(CFU=Colony Forming Unit:コロニー形成単位)とした。調製液は5℃で保存して、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目にもCFUを算出した。結果を第1表に示す。
試験の結果から、大豆油、ナタネ油及びトウモロコシ油中に含まれるメタリジウム アニソプリエ生菌数は42日目後まで大きく減少しなかった。
Figure 2016210691
予備試験2(各種界面活性剤を含有した油性懸濁剤組成物(OD剤)に含まれる生菌数の経時的変化)
植物油として大豆油を用い、界面活性剤として2種類のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル(HLB値が11.0又は11.5)を用い、界面活性剤を0.2、0.4、0.6、0.8、1.0又は10重量%含有するOD剤を調製し、予備試験1と同様の方法で、各OD剤に含まれる生菌数を算出した。第2表に結果を示すように、界面活性剤として2種類のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル(HLB値が11.0又は11.5)を用いたOD剤は49日間保存すると大きく生菌数が低下することが明らかとなった。
Figure 2016210691
参考例(散布液の分散安定性評価試験)
(1)精白済みのインディカ米を水に15時間浸漬した後、オートクレーブで45分間蒸煮した。このインディカ米にメタリジウム アニソプリエを接種した。接種後、一度攪拌して、26℃で、10日間培養した。培養後直ちに、インディカ米から大豆油へメタリジウム アニソプリエの胞子を移した。次いで、大豆油中の胞子数を血球計算盤で計数して、大豆油中の胞子数が1.0×1010個/mlになるように、組成物(a)を調製した。また、所定重量%の界面活性剤を含む大豆油を調製し、組成物(b)とした。
(2)組成物(a)10mlと組成物(b)10mlを混合して得た混合液1mlを、3度硬水(CaCl2/2H2O 0.452g、Mgcl2/6H20 0.464g、蒸留水10L) 100mlに加えて、試験管の口をポリ塩化ビニリデンフィルムで覆い30回倒立してふりまぜ、散布液を調製した(散布液調製法A)。次いで、散布液を20℃の恒温機内に設置し、所定時間後に分散安定性(油状物分離性、乳濁液の均一性)の観察を行った。
(3)3度硬水100mlに組成物(b)0.5mlを添加した。すぐに、組成物(a)0.5mlを加えて、試験管の口をポリ塩化ビニリデンフィルムで覆い30回倒立してふりまぜ、散布液を調製した(散布液調製法B)。次いで、散布液を20℃の恒温機内に設置し、所定時間後に分散安定性(油状物分離性、乳濁液の均一性)の観察を行った。
結果を以下の第3表に示す。なお、第3表中の散布液の油状物分離性評価の指標は、油状物が分離しなかった場合を○で、分離した場合を×とし、均一性評価の指標は、均一な場合を○、不均一な場合を×とした。
Figure 2016210691
実施例(ミカンキイロアザミウマ殺虫試験)
参考例と同様にして、大豆油中のメタリジウム アニソプリエの胞子数が1.0×1010個/mlとなるように、組成物(a)を調製した。また、大豆油中に界面活性剤が所定濃度(重量%)含まれるように、組成物(b)を調製した。組成物(b)が所定希釈倍率になるように、3度硬水1Lに添加し、これに加えて、組成物(a)が所定希釈倍率になるように、添加して、散布液を調製した。
このようにして得られた散布液100mlをワグネルポット1/5000aに入れた滅菌土に潅注処理した。滅菌土に十分に水分が行渡った後、表層1cmから滅菌土を採取して、供試土壌とした。蓋付き容器(SPL #3 10050、直径50mm×高さ15 mm)に供試土壌とミカンキイロアザミウマ第一蛹20頭を導入した。供試虫を導入後26℃の恒温機で飼育した。導入後7日後に羽化した生存成虫数と死亡個体数(成虫、蛹)を計数して死亡率を算出し、結果を第4表に示した。
なお、比較のため、組成物(a)のみを100倍に希釈した場合(試験No.4)、組成物(b)のみを所定希釈倍率とした場合(試験No.5〜7)及び3度硬水100mlのみを用いた場合(試験No.8)についても、同様の試験を行い、結果を第4表にあわせて示した。
Figure 2016210691
本発明の方法によれば、メタリジウム属菌の生存安定性を維持しながら、散布時に効率的に害虫を防除することができる。

Claims (11)

  1. (a)メタリジウム属菌と植物油を含有する組成物と、(b)界面活性剤を含有する組成物と、水とを混合して散布液を調製し、当該散布液を害虫、その生息場所又は害虫から保護すべき植物に施用して、害虫を防除する方法。
  2. メタリジウム(Metharizium)属菌が、メタリジウム アニソプリエ(Metharhizium anisopriae)、メタリジウム フラボビリデ(Metharhizium flavovirude)、メタリジウム シリンドロスポラエ(Metharhizium cylindrosporae)又はメタリジウム アクリジウム(Metharhizium acridum)である請求項1に記載の方法。
  3. 界面活性剤がポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む請求項1に記載の方法。
  4. 界面活性剤がポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを含む請求項3に記載の方法。
  5. 界面活性剤のHLB値が7.0〜13.5である請求項1に記載の方法。
  6. 界面活性剤のHLB値が10.0〜12.0である請求項1に記載の方法。
  7. 植物油が大豆油、ナタネ油及びトウモロコシ油から成る群から選択される少なくとも一種の植物油を含む請求項1に記載の方法。
  8. 組成物(a)がメタリジウム属菌を植物油中に分散させた組成物である請求項1に記載の方法。
  9. 組成物(b)が植物油を更に含有する請求項1に記載の方法。
  10. (1)組成物(a)と組成物(b)の混合物に水を添加するか、
    (2)組成物(b)と水の混合物に、組成物(a)を添加するか、
    (3)組成物(a)と水の混合物に、組成物(b)を添加するか、又は
    (4)水に組成物(a)と組成物(b)の混合物を添加するかして、
    散布液を調製する、請求項1に記載の方法。
  11. 散布液が、メタリジウム属菌が分散した乳濁液である請求項1に記載の方法。
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