JP2016210519A - コンベヤベルト - Google Patents
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Description
(コンベヤベルト)
実施形態1のコンベヤベルトVは、ベルト本体1を備える。ベルト本体1は、図1に示すように、芯体層11と、この芯体層11の両面に積層された表カバーゴム層(ゴム層)12と裏カバーゴム層(ゴム層)13とを備えたものである。
次に、コンベヤベルトの製造過程について説明する。コンベヤベルトの製造工程は、芯体層形成工程、カバーゴム層形成工程、加硫工程とを備える。
ロール状に巻かれた帯状の帆布を、端から順次引き出しつつ接着用のゴムを塗布または浸潤、或いはRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)処理を行ったのち、再びロール状に巻き直す。
こうして、接着性を高める処理を行った帆布を芯体層11として、未加硫のベルト成形体を形成する。具体的には、ロールから帆布を引き出しながら、帆布の表裏両面に未加硫のゴムシートを積層するとともに、幅方向両端に未加硫の耳ゴム材料を取り付け、両耳部の余剰部分をカットすることによって、所定の幅と厚みとを備えた未加硫のベルト成形体を得る。こうして形成された未加硫のベルト成形体を順次ドラムに巻き取る。通常、未加硫のゴムシートは、搬送面側に位置するものを非搬送面に位置するものに比べて厚みを厚くしている。
カバーゴム層12,13に用いられる未架橋のゴムシートは以下のように作製する。すなわち、ゴム成分に各種のゴム配合剤を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して未架橋ゴムシート12’,13’を作製する。
加硫工程において、未加硫のベルト成形体を加硫してコンベヤベルトVを形成する。加硫工程で用いられる加硫機は、上下一対の熱盤を備え、これらの間に未加硫のベルト成形体を仕込んでプレスし、熱と圧力とを一定時間加えて加硫することにより、所望の幅と厚みを有するコンベヤベルトVを形成する。例えば、150℃〜160℃の温度で20kg/cm2の面圧を15分〜20分間かけて加硫を行なう。
以下、本発明に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態に係る急傾斜搬送用コンベヤベルトV’は、ベルト構造体2を備える。このベルト構造体2は、ベルト本体1と、ベルト本体1上の両側縁部近傍に立設された平面視波形状の一対の波桟22と、これら一対の波桟22の間に所定間隔でベルト本体1の周方向に設けられた多数の横桟23とを有している。
波桟22及び横桟23のゴム層22a,23aは、実施形態1に係るカバーゴム層12,13と同様の方法により作製することができる。また、波桟22又は横桟23のゴム層22a,23aに、セルロース系微細繊維14を含有させる方法も上述の通りである。
実施例1〜5及び比較例1として、実施形態1に係るコンベヤベルトV及び実施形態2に係る急傾斜搬送用コンベヤベルトV’のベルト本体1のカバーゴム層12,13に使用されるゴムシートを作製した。ゴムシートの配合及び各種試験結果を表1に示す。
−セルロース分散ゲル−
水に粉末セルロース(商品名:KCフロック W−50GK、日本製紙社製)を分散させた分散液を調製し、高圧ホモジナイザーを用い、その分散液同士を衝突させて粉末セルロースをセルロース微細繊維に解繊して、水にセルロース微細繊維が分散したゲル(以下、「セルロース分散ゲル」という)を得た。従って、セルロース微細繊維は、機械的解繊手段によって製造され、また、疎水化処理されていないものである。
表1に示すように、ゴムシートは、NBRゴム(品番:N230S、JSR株式会社製)100質量部を神戸製鋼社製ミクストロンBB180にて混練し、そこへ、前記セルロース分散ゲルをセルロース微細繊維の含有量が1質量部となるように添加した後、さらに混練して水分を蒸発させた。そして、補強剤としてカーボンブラックHAF(品番:シースト3、東海カーボン株式会社製)10質量部、オイルとしてDBP(品番:DBP、ミヤコ化学株式会社製)7質量部を添加し、さらに混練させた。最後に加工助剤としてのステアリン酸(品番:ビーズ ステアリン酸 つばき、サンユインダストリアル株式会社製)2質量部、加硫促進助剤としての酸化亜鉛III種(品番:亜鉛華3号A、三井金属鉱業株式会社製)5質量部、老化防止剤(品番:ノクラック6C・ノクラック224・サンノック・ノクラックAW−N、大内振興化学株式会社製)3質量部、及び、加硫促進剤(品番:ノクセラーNS−F、大内振興化学株式会社製)1.7質量部を投入し、バンバリーミキサーにて混練した。混練後のゴムはTSRにてシート状にした後、ミルブレンダーにて架橋剤としての硫黄(品番:セイミOT、ゴム工業資材株式会社製)2.5質量部を投入してゴムシート(厚さ10mm)とした。
表1に示すように、実施例2〜5は、実施例1に比べ、それぞれセルロース微細繊維の配合量及び補強剤としてのカーボンブラックの配合量が異なる。特に実施例3〜5は、カーボンブラックを含有しない。また、比較例1は、セルロース微細繊維を含有しない。
実施例6〜10及び比較例2として、実施形態2に係る波桟22のゴム層22aとして使用されるゴムシートを作製した。ゴムシートの配合及び各種試験結果を表2に示す。
表2に示すように、ゴム成分として、NRゴム(品番:SVR−L、株式会社三富商店製)及び再生ゴム(品番:TYREC−T−1、株式会社澤野商店製)を用いた点を除いて、実施例1と同様の方法によりゴムシートを製造した。
表2に示すように、実施例7〜10は、実施例6に比べ、それぞれセルロース微細繊維の配合量及び補強剤としてのカーボンブラックの配合量が異なる。特に実施例8〜10は、カーボンブラックを含有しない。また、比較例2は、セルロース微細繊維を含有しない。
実施例11〜15及び比較例3〜5として、実施形態2に係る横桟23のゴム層23aとして使用されるゴムシートを作製した。ゴムシートの配合及び各種試験結果を表3に示す。
ゴム成分として、SBRゴム(品番:SBR1712、JSR株式会社製)及びNRゴム(品番:SVR−L、株式会社三富商店製)を用いた点を除いて、実施例1と同様の方法によりゴムシートを製造した。
表3に示すように、実施例12〜15は、実施例11に比べ、それぞれセルロース微細繊維の配合量及び補強剤としてのカーボンブラックの配合量が異なる。特に実施例13〜15は、カーボンブラックを含有しない。また、比較例3〜5は、セルロース微細繊維を含有せず、比較例3はカーボンブラックのみ、比較例4はセルロース微細繊維の代わりにナイロン短繊維を含むと共にカーボンブラックを含まず、比較例5はナイロン短繊維及びカーボンブラック共に含む構成とした。
(平均繊維径・繊維径分布)
実施例2について、架橋させたゴムシートの試料を凍結粉砕した後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると共に、50本の繊維を任意に選択して繊維径を測定し、その数平均を求めて平均繊維径とした。
比重は、JIS K 6268に基づいて密度D(g/cm3)を測定することにより求めた。実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により各々評価した。
省エネ性は、JIS K 6394に基づいて損失正接tanδを測定することにより求めた。試験機として、株式会社レオロジー製「FT−レオスペクトラDVE−V4」を使用した。試験条件は、周波数1.0Hz,温度25℃,サンプル厚さ2.0mm,サンプル長さ8.00mm、サンプル幅5mmとした。損失正接tanδの測定値は、長さに対するサンプル歪み量を0.1〜10%の範囲で測定したときの最大値とした。実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値の逆数(1/tanδ)を100として、1/tanδの相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた1/tanδを100として、その相対値により各々評価した。
弾性率は、JIS K 6394に基づいて貯蔵弾性率E’(MPa)を測定することにより求めた。実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により各々評価した。
耐候性は、JIS K 6259に基づいて亀裂状態観察を行った。ゴムシート表面の所定倍率の光学顕微鏡写真について、撮影範囲のゴムシート表面全体のクラックの数をカウントした。実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により各々評価した。
耐摩耗性の試験は、JIS K 6264(1993)「加硫ゴムの摩耗試験方法」に準拠した。試験機として、KARL FRANK GMBH製 DIN摩耗試験機「Type584c」(商品名)を使用した。試験片は直径16mm、厚さ6.0mmとした。なお、実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により各々評価した。
耐クラック性は、JIS K 6260に基づいてデマッチャ式における亀裂発生時回数を測定することにより求めた。実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により各々評価した。
耐衝撃性(チップカット性)は、以下の方法により測定した。すなわち、1面の1片が45mmの正三角形からなる鉄製の六面体の各面に径5mmの鉄製焼き入れピン3本を埋め込んだ針山ブロックを、内径が155mm、高さ177mmの円筒状鉄製容器内面に、成形枠を使用して架橋成形し、予め質量を測定した120mm×82mm×5mm(厚み)のサンプルゴムを6枚ドラム内に固定する。その後ドラムに100V×200Wの赤外線ランプを用いてドラム内温を約70℃に保持して7日間、36rpmの速度で回転させたのち、針山ブロックを取り出し、サンプルゴムをドラムから外して付着しているゴム屑を完全に除去してその質量を測定し、比重から体積に換算し下記の式(1)にて体積変化率を求めた。実施例1〜5は比較例1のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。同様に、実施例6〜10は比較例2、実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により各々評価した。
{(前体積−後体積)÷(前体積)}×100 …(1)
破断伸びは、JIS K 6251に基づいてEb(%)を測定することにより求めた。実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値を100として、その相対値により評価した。
耐屈曲疲労性は、JIS K 6260に基づいてデマッチャ式における50000回屈曲時の亀裂長さ(mm)を測定することにより求めた。実施例11〜15及び比較例4,5は比較例3のゴムシートについて得られた測定値の逆数を100として、その測定値の逆数の相対値により評価した。
[コンベヤベルトのベルト本体について]
表1によれば、実施例2のゴムシートについて、セルロース微細繊維の平均繊維径は90nmであった。また、実施例2のゴムシートについて、セルロース微細繊維の繊維径の最小値及び最大値は、それぞれ3nm及び150nmであった。
表2によれば、実施例6〜10のゴムシートでは、比較例2に比べ、比重が軽くなっているため、軽量化することができる。
表3によれば、実施例11〜15のゴムシートでは、比較例3に比べ、比重が軽くなっているため、軽量化することができる。
V’ 急傾斜搬送用コンベヤベルト(コンベヤベルト)
1 ベルト本体
12 表カバーゴム層(ゴム層)
13 裏カバーゴム層(ゴム層)
22 波桟
22a ゴム層
23 横桟
23a ゴム層
Claims (4)
- ゴム層を備えたベルト本体を有するコンベヤベルトであって、
前記ゴム層は、セルロース系微細繊維を含有するコンベヤベルト。 - 請求項1に記載されたコンベヤベルトにおいて、
波桟と横桟とをさらに有し、
前記波桟及び前記横桟のうち少なくとも一方は、セルロース系微細繊維を含有するゴム層を備えるコンベヤベルト。 - 請求項1又は2に記載されたコンベヤベルトにおいて、
前記セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲が3〜500nmを含むコンベヤベルト。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載されたコンベヤベルトにおいて、
前記セルロース系微細繊維の含有量は、前記ゴム層のゴム成分100質量部に対し、1〜25質量部であるコンベヤベルト。
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