JP2016209892A - 溶接システム、溶接電源装置、および、それらの送給制御方法 - Google Patents

溶接システム、溶接電源装置、および、それらの送給制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接電源装置が、溶接電源装置に接続されたワイヤ送給装置を認識し、接続されたワイヤ送給装置に応じて、溶接ワイヤの送給速度の変化を適切に制御することができる溶接システム、溶接電源装置、および、それらの送給制御方法を提供する。
【解決手段】溶接電源装置1から出力されるワイヤ送給指令に従い、ワイヤ送給装置2から溶接トーチ3に、溶接ワイヤを送給する溶接システムAであって、溶接電源装置1は、ワイヤ送給装置2からワイヤ送給装置2に備えられた送給モータ22の性能情報を取得する。そして、溶接電源装置1は、取得した性能情報に基づき、溶接ワイヤの送給速度が変化するように、ワイヤ送給指令を生成する。生成されたワイヤ送給指令は、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に送信され、ワイヤ送給装置2は、受信したワイヤ送給指令に基づき、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送給する。
【選択図】図1

Description

溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システム、溶接電源装置、および、それらの送給制御方法に関する。
消耗電極式の溶接システムは、通常、重量があるために移動させない溶接電源装置と、溶接位置の移動に伴って作業者が持ち運びするワイヤ送給装置と、に分離されている。例えば、造船所での溶接作業などでは、複数の溶接電源装置を1箇所に集めておき、数十メートル離れた溶接箇所にそれぞれワイヤ送給装置を持ち運び、溶接作業を行っている。溶接電源装置とワイヤ送給装置とは、パワーケーブルで接続されており、溶接電源装置で発生させた溶接電力が、パワーケーブルを伝搬し、ワイヤ送給装置に接続された溶接トーチに、供給される。この溶接電力により、溶接ワイヤと母材との間でアーク溶接が行われる。例えば、特許文献1には、このパワーケーブルを介した有線通信や無線通信により、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間で、各種通信信号を送受信する溶接システムが開示されている。
また、ワイヤ送給装置には、溶接トーチに溶接ワイヤを送給するための送給モータが搭載されている。そして、ワイヤ送給装置は、溶接電源装置から送信されるワイヤ送給指令に従い、送給モータを駆動させることで、溶接ワイヤが溶接トーチに送給されるようになっている。なお、送給モータは、モータ自体、減速機、および、溶接ワイヤが巻回された送給ロールなどの送給機構全体を含めた意味で使用する。例えば、特許文献2には、溶接電源から送信された送給制御信号に基づきワイヤ送給機を駆動させる溶接ロボットが開示されている。
特開2013−184184号公報 特開2011−200867号公報
上記送給モータは、ワイヤ送給装置に予め搭載されている。そして、ワイヤ送給装置の機種毎に送給モータの性能は異なる。ワイヤ送給装置の性能の1つとして、例えば、送給モータの過渡応答性がある。図9は、この過渡応答性を説明するための図である。図9(a)は、ワイヤ送給装置が、ワイヤ送給指令に従い、送給速度Vを初期の送給速度(初期速度)Vx1から目標の送給速度(目標速度)Vy1(>Vx1)に変化させるときの送給速度の変化を示している。ワイヤ送給装置は、溶接電源装置からワイヤ送給指令を受信し、送給速度Vを初期速度Vx1から目標速度Vy1に加速させる。そして、送給速度Vが目標速度Vy1に達したとき、すぐにこの目標速度Vy1を維持できればよいが、実際には送給速度Vはしばらく加速し続け、目標速度Vy1を超過してしまう。これをオーバーシュートという。このオーバーシュートが発生している期間では、送給速度Vが目標速度Vy1より早くなるため、溶接ワイヤの送給量が多くなり、溶接ワイヤが母材に突っ込んでしまう。
反対に、図9(b)は、ワイヤ送給装置が、ワイヤ送給指令に従い、送給速度Vを初期速度Vx2から目標速度Vy2(<Vx2)に変化させるときの送給速度の変化を示している。ワイヤ送給装置は、溶接電源装置からワイヤ送給指令を受信し、送給速度Vを初期速度Vx2から目標速度Vy2に減速させる。そして、送給速度Vが目標速度Vy2に達したとき、すぐにこの目標速度Vy2を維持できればよいが、実際には送給速度Vはしばらく減速し続け、目標速度Vy2を下回ってしまう。これをアンダーシュートという。このアンダーシュートが発生している期間では、送給速度Vが目標速度Vy2より遅くなるため、溶接ワイヤの送給量が少なくなり、溶接ワイヤが早い段階で溶化してしまい、ビード幅が大きくなる。
上記目標速度からの超過量(オーバーシュートやアンダーシュートの量)は、送給モータの過渡応答性に左右され、過渡応答性が高い場合、その量は小さくなり、過渡応答性が低い場合、その量は大きくなる。一般的に、送給モータがサーボモータにより構成されている場合、過渡応答性が高く、送給モータが直流モータにより構成されている場合、過渡応答性は低い。
このようなオーバーシュートやアンダーシュートは、送給モータの過渡応答性に対してワイヤ送給指令を急激に変化させた場合に発生し易い。そこで、ワイヤ送給指令において、図9に示したように送給速度Vを初期速度Vx1(Vx2)から目標速度Vy1(Vy2)に急に変化させるのではなく、過渡応答性に応じて、送給速度Vを所定の変化の割合で徐々に変化させるようにすることで、上記のようなオーバーシュートやアンダーシュートを防止することができる。この変化の割合は、過渡応答性が高ければ大きくして、送給速度を急速に変化させることができる。一方、過渡応答性が低ければ小さくして、送給速度をなだらかに変化させる。しかし、溶接電源装置に各種ワイヤ送給装置を接続可能(着脱可能)なように構成された溶接システムにおいて、溶接電源装置は接続されたワイヤ送給装置がどのようなワイヤ送給装置であるか認識できない。そのため、溶接電源装置は、予め設定された変化の割合で送給速度を変化させるワイヤ送給指令を生成するしかできない。したがって、ワイヤ送給装置に搭載された送給モータの過渡応答性に適切なワイヤ送給指令を送信することができず、オーバーシュートやアンダーシュートが発生してしまう。これにより、溶接状態が不安定となり、溶接の品質が低下してしまう。特に、溶接開始時、溶接終了時、および、溶接条件変更時など溶接ワイヤの送給速度が変化するタイミングで生じ易い。
例えば、接続されたワイヤ送給装置に備えられた送給モータの過渡応答性が、溶接電源装置で想定している過渡応答性より低い場合、ワイヤ送給指令における送給速度の変化の割合が送給モータの送給速度の変化の割合より大きくなり、オーバーシュートやアンダーシュートが発生してしまう。一方、接続されたワイヤ送給装置に備えられた送給モータの過渡応答性が、溶接電源装置で想定している過渡応答性より高い場合、ワイヤ送給指令における送給速度の変化の割合が送給モータの送給速度の変化の割合より小さいため、オーバーシュートやアンダーシュートは発生し難いが、過渡応答性の高い送給モータの性能を十分に活用できていない。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、溶接電源装置が、溶接電源装置に接続されたワイヤ送給装置を認識し、接続されたワイヤ送給装置に応じて、溶接ワイヤの送給速度の変化を適切に制御することができる溶接システム、溶接電源装置、および、それらの送給制御方法を提供することにある。
本発明の第1の側面によって提供される溶接システムは、溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムであって、前記ワイヤ送給装置は、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段と、前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御手段と、前記送給手段に関する性能情報を記憶する送給装置側記憶手段と、を備え、前記溶接電源装置は、前記送給装置側記憶手段に記憶される前記性能情報を取得する取得手段と、当該取得手段が取得した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記制御手段に出力する送給指令手段と、を備える。
本発明の第2の側面によって提供される溶接システムは、溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムであって、前記ワイヤ送給装置は、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段と、前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御手段と、前記送給手段の種別を示す識別IDを記憶する送給装置側記憶手段と、を備え、前記溶接電源装置は、前記送給装置側記憶手段に記憶される前記識別IDを取得する取得手段と、前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報を記憶する電源装置側記憶手段と、当該電源装置側記憶手段に記憶される対応情報に基づき、前記取得手段が取得した前記識別IDに対応する前記性能情報を特定する特定手段と、当該特定手段が特定した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記制御手段に出力する送給指令手段と、を備える。
好ましくは、前記第2の側面によって提供される溶接システムにおいて、前記送給手段の種別を示す識別IDは、前記ワイヤ送給装置の型式である。
前記第1の側面および前記第2の側面によって提供される溶接システムにおいて、前記送給手段は、送給モータであり、前記性能情報は、前記送給モータの過渡応答性の情報であり、前記送給指令手段は、前記過渡応答性の情報に基づき、前記溶接ワイヤを送給する送給速度を制御する前記送給指令を生成する。
詳細には、前記送給指令手段は、前記送給速度を変化させるときに、前記送給モータの過渡応答性が低いほど、前記送給速度をなだらかに変化させ、一方、前記送給モータの過渡応答性が高いほど、前記送給速度を急速に変化させるように前記送給指令を生成する。
好ましくは、前記第1の側面および前記第2の側面によって提供される溶接システムにおいて、前記取得手段は、前記溶接電源装置と前記ワイヤ送給装置とを接続する電力伝送線を介して、前記送給装置側記憶手段から取得し、前記送給指令手段は、前記電力伝送線を介して、前記制御手段に出力する。
本発明の第3の側面によって提供される溶接電源装置は、溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置であって、前記ワイヤ送給装置に備えられた送給手段に関する性能情報を、前記ワイヤ送給装置から取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記ワイヤ送給装置に出力する送給指令手段と、を備える。
本発明の第4の側面によって提供される溶接電源装置は、溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置であって、前記ワイヤ送給装置に備えられた送給手段の種別を示す識別IDを、前記ワイヤ送給装置から取得する取得手段と、前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報を記憶する電源装置側記憶手段と、当該電源装置側記憶手段に記憶される対応情報に基づき、前記取得手段が取得した前記識別IDに対する前記性能情報を特定する特定手段と、前記特定手段が特定した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記ワイヤ送給装置に出力する送給指令手段と、を備える。
本発明の第5の側面によって提供される送給制御方法は、溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムの送給制御方法であって、前記溶接電源装置が、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段に関する性能情報を、前記ワイヤ送給装置から取得する取得ステップと、当該取得ステップにより取得された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、前記ワイヤ送給装置が、前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御ステップと、を有する。
本発明の第6の側面によって提供される送給制御方法は、溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムの送給制御方法であって、前記溶接電源装置が、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段の種別を示す識別IDを、前記ワイヤ送給装置から取得する取得ステップと、前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報に基づき、前記取得ステップにより取得された前記識別IDに対応する前記性能情報を特定する特定ステップと、当該特定ステップにより特定された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、前記ワイヤ送給装置が、前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御ステップと、を有する。
本発明の第7の側面によって提供される送給制御方法は、溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置の送給制御方法であって、前記ワイヤ送給装置から、前記ワイヤ送給装置に備えられた送給手段に関する性能情報を、取得する取得ステップと、当該取得ステップにより取得された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、を有する。
本発明の第8の側面によって提供される送給制御方法は、溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置の送給制御方法であって、前記ワイヤ送給装置から前記送給手段の種別を示す識別IDを取得する取得ステップと、前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報に基づき、前記取得ステップにより取得された前記識別IDに対応する前記性能情報を特定する特定ステップと、当該特定ステップにより特定された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、を有する。
本発明によると、溶接電源装置がワイヤ送給装置に備えられた送給手段の性能情報を認識できるようになり、溶接電源装置は、この性能情報に従い、溶接ワイヤの送給指令を生成することができる。そして、生成された送給指令は、溶接電源装置からワイヤ送給装置に出力され、ワイヤ送給装置は、この送給指令に従い、溶接ワイヤを溶接トーチに送給する。これにより、溶接電源装置に接続されたワイヤ送給装置に応じて、溶接ワイヤの送給速度の変化を適切に制御することができる。したがって、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制し、溶接の品質を安定させることができるとともに、ワイヤ送給装置の性能を無駄なく活用することができる。
第1実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 ガス配管の構造を説明するための断面図である。 第1実施形態に係る溶接システムのワイヤ送給制御を説明するためのフローチャートである。 溶接システムのワイヤ送給制御におけるワイヤ送給指令を説明するための図である。 第1実施形態の変形例に係る各種識別IDテーブルの一例を示す図である。 第2実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 第3実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 第4実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す図である。 過渡応答性を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、溶接ワイヤとシールドガスが自動的に溶接トーチに供給される半自動アーク溶接を行う溶接システムを例に、図面を参照して、説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る溶接システムAの全体構成を説明するための図である。図示するように、溶接システムAは、溶接電源装置1、ワイヤ送給装置2、溶接トーチ3、パワーケーブル41,42、電源接続線51,52,52’、ガスボンベ6、および、ガス配管7を備えている。
溶接電源装置1は、ワイヤ送給装置2を介して、溶接トーチ3に溶接電力を供給する。溶接電源装置1の溶接電力用の一方の出力端子aは、パワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置2に接続されている。ワイヤ送給装置2は、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送り出して、溶接ワイヤを溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41と溶接ワイヤとは電気的に接続されている。よって、溶接電源装置1から供給された溶接電力がコンタクトチップを介して溶接ワイヤに供給される。また、溶接電源装置1の溶接電力用の他方の出力端子bは、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。これらにより、溶接電源装置1は、溶接ワイヤの先端と、被加工物Wとの間にアークを発生させ、アークに溶接電力を供給する。溶接システムAは、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。
溶接システムAは、溶接時にシールドガスを用いる。ガスボンベ6のシールドガスは、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2を通るように設けられているガス配管7によって、溶接トーチ3の先端に供給される。ガス配管7は、ガスボンベ6と溶接電源装置1とを接続する配管、溶接電源装置1の内部に配置されている配管、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する配管、および、ワイヤ送給装置2の内部に配置されている配管を備えている。図2は、ガス配管7のうち、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する配管が、溶接電源装置1の内部に配置されている配管に接続された接続金具1a、および、ワイヤ送給装置2の内部に配置されている配管に接続された接続金具2aに接続されている部分の断面図である。例えばゴム製のガス配管7は、接続金具1a(2a)に嵌め込むようにして、接続されている。なお、ガス配管7の素材は限定されず、各区間によって異なっていてもよいが、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する部分は、ゴムなどの絶縁体としている。
溶接ワイヤを送り出すための送給モータ22(後述)などを駆動するための電力(駆動用電力)は、電源接続線51およびパワーケーブル41を介して、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に供給される。溶接電源装置1が備える、ワイヤ送給装置2の駆動用電力の電源(後述する送給装置用電源部12)の一方の出力端子は、電源接続線51を介して、ワイヤ送給装置2の電源(後述する電源部21)の一方の入力端子に接続されている。
電源接続線51は、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間では、ガス配管7の内側に配置されている。図2に示すように、溶接電源装置1の内部で、電源接続線51は導電性の接続金具1aに接続しており、ワイヤ送給装置2の内部で、電源接続線51は導電性の接続金具2aに接続している。そして、ガス配管7の内側に配置された電源接続線51が、ガス配管7と接続金具1a(2a)との間に挟まれて固定され、接続金具1a(2a)と電気的に接続されている。つまり、接続金具1aが、溶接電源装置1の内部の電源接続線51と、ガス配管7の内側に配置された電源接続線51とを接続するコネクタとして機能し、接続金具2aが、ワイヤ送給装置2の内部の電源接続線51と、ガス配管7の内側に配置された電源接続線51とを接続するコネクタとして機能している。
また、送給装置用電源部12の他方の出力端子とパワーケーブル41とが、溶接電源装置1の内部で、電源接続線52によって接続されており、電源部21の他方の入力端子とパワーケーブル41とが、ワイヤ送給装置2の内部で、電源接続線52’によって接続されている。これにより、送給装置用電源部12の他方の出力端子と電源部21の他方の入力端子とが、電気的に接続されている。送給装置用電源部12から出力される駆動用電力は、電源接続線51およびパワーケーブル41によって、電源部21に供給される。また、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とは、電源接続線51とパワーケーブル41との間に信号を重畳させて通信を行う。
次に、溶接システムAを構成する各装置の機能構成について説明する。
溶接電源装置1は、アーク溶接のための溶接電力(直流電力)を溶接トーチ3に供給するものである。また、溶接電源装置1は、ワイヤ送給装置2との間で、各種通信信号の送受信を行う。溶接電源装置1は、ワイヤ送給装置2から送給モータ22の性能情報(例えば、過渡応答性の情報)を取得し、この性能情報に基づいて、ワイヤ送給指令を生成する。溶接電源装置1は、溶接トーチ3のトーチスイッチの押下に応じて、溶接電力を溶接トーチ3に供給するとともに、ワイヤ送給指令をワイヤ送給装置2に送信する。図1に示すように、溶接電源装置1は、溶接用電源部11、送給装置用電源部12、通信部13、制御部14、および、記憶部15を備えている。また、溶接電源装置1は、メイン電源を備えており、このメイン電源が投入される(オンされる)ことで各部が動作できる状態になる。
溶接用電源部11は、商用電源から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した直流電力に変換して出力するものである。溶接用電源部11に入力される三相交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、インバータ回路によって交流電力に変換される。そして、トランスによって降圧(または昇圧)され、整流回路によって直流電力に変換されて出力される。なお、溶接用電源部11の構成は、上記したものに限定されない。
送給装置用電源部12は、ワイヤ送給装置2の送給モータ22などを駆動するための駆動用電力を出力するものである。送給装置用電源部12は、電力系統から入力される単相交流電力をワイヤ送給装置2に適した直流電力に変換して出力する。送給装置用電源部12は、いわゆるスイッチングレギュレータである。送給装置用電源部12に入力される単相交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、DC/DCコンバータ回路によって降圧(または昇圧)されて出力される。送給装置用電源部12は、電圧が例えば48Vに制御された直流電力を、電源接続線51およびパワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置2に供給する。なお、送給装置用電源部12の構成は、上記したものに限定されない。例えば、溶接用電源部11と同様の構成であってもよいし、電力系統から入力される交流電力をトランスで降圧(または昇圧)してから、整流回路で直流電力に変換して出力するようにしてもよい。
溶接用電源部11は、出力端子aが出力端子bより電位が高くなるようにして、パワーケーブル41の電位がパワーケーブル42の電位より高くなるように、電圧を印加する。送給装置用電源部12は、電源接続線51の電位が電源接続線52の電位より低くなるように、電圧を印加する。電源接続線52はパワーケーブル41に接続しているので、電源接続線51の電位は、パワーケーブル41の電位より低くなる。つまり、電源接続線51およびパワーケーブル42の電位をどちらもパワーケーブル41より低くすることで、電源接続線51とパワーケーブル42との電位差が大きくならないようにしている。例えば、溶接用電源部11が出力する無負荷電圧が90V、送給装置用電源部12が出力する電圧が48Vの場合、電源接続線51とパワーケーブル42との電位差は42Vになる。仮に、電源接続線51の電位を電源接続線52の電位より高くした場合は、電源接続線51とパワーケーブル42との電位差は138Vになる。なお、電源接続線51とパワーケーブル42との電位差を気にしない場合は、送給装置用電源部12が印加する電圧を逆極性(電源接続線51の電位が電源接続線52の電位より高くなるように、電圧を印加する)にしてもよい。
通信部13は、電源接続線51およびパワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。通信部13は、結合回路を備えている。当該結合回路は、通信部13の入出力端に接続されたコイルと、電源接続線51,52に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、通信部13が出力する通信信号を電源接続線51,52に重畳し、また、電源接続線51,52に重畳された通信信号を検出する。すなわち、通信部13は、電力線搬送通信(Power Line Communication通信;PLC通信)を行う。電源接続線52は、溶接電源装置1の内部で、パワーケーブル41に接続しているので、通信信号は、電源接続線51とパワーケーブル41との間に重畳される。
通信部13は、ワイヤ送給装置2から受信した通信信号を復調して、制御部14に出力する。ワイヤ送給装置2から受信する通信信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号(溶接条件設定信号)、溶接用電源部11の起動を指示する信号(起動信号)、ワイヤ送給装置2において電圧センサで検出された溶接電圧の検出値、および、送給モータ22の性能情報などがある。また、通信部13は、制御部14から入力される信号を変調して、通信信号としてワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2に送信する通信信号には、例えば、溶接電源装置1において図示しない電流センサで検出された溶接電流の検出値、溶接電源装置1内に発生した異常を示す信号(異常信号)、および、溶接ワイヤのワイヤ送給指令やシールドガスのガス供給指令などの信号などがある。なお、ワイヤ送給装置2との間で送受信される通信信号は、上記したものに限定されない。
通信部13は、直接スペクトル拡散(Direct Sequence Spread Spectrum:DSSS)通信方式を用いて通信を行う。DSSS通信方式では、送信側は、送信する信号に対して拡散符号による演算を行い、元の信号のスペクトルをより広い帯域に拡散して送信する。受信側は、受信した信号を共通する拡散符号を用いて逆拡散することで、元の信号に戻す。通信信号にノイズが重畳された場合でも、逆拡散によってノイズのスペクトルが拡散されるので、フィルタリングによって元の通信信号を抽出することができる。また、溶接システムAごとに異なる拡散符号を用いていれば、別の溶接システムAで送受信される通信信号を誤って受信したとしても、当該通信信号は異なる拡散符号で逆拡散されて、ノイズとして除去される。したがって、高い通信品質で通信を行うことができる。
制御部14は、溶接電源装置1の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現される。制御部14は、溶接電源装置1から出力される溶接電流が設定電流になるように、また、溶接トーチ3の先端と被加工物Wとの間に印加される溶接電圧が設定電圧になるように、溶接用電源部11のインバータ回路を制御する。さらに、送給装置用電源部12から出力される電圧が所定電圧になるように、送給装置用電源部12のDC/DCコンバータ回路を制御する。制御部14は、図示しない設定ボタンの操作に応じて、溶接条件(設定電流や設定電圧)を変更したり、図示しない起動ボタンの操作に応じて溶接用電源部11を起動させたりする。また、制御部14は、図示しない電流センサによって検出された溶接電流の検出値を図示しない表示部に表示させたり、異常が発生した場合に図示しない報知部に報知させたりする。
さらに、制御部14は、通信部13から入力される信号に基づき、溶接電源装置1の各部を制御する。また、制御部14は、ワイヤ送給装置2に送信する各種信号を通信部13に出力する。よって、制御部14は、通信部13を介して、ワイヤ送給装置2と各種信号の送受信を行う。
制御部14は、通信部13から溶接条件設定信号が入力されると、この信号に基づき、溶接条件を設定する。また、制御部14は、通信部13から起動信号が入力されると、この信号が入力されている間、溶接用電源部11を起動(動作)させる。これにより、溶接電力が、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2を介して、溶接トーチ3に供給される。
制御部14は、図示しない電流センサにより検出された溶接電流の検出値や異常信号、および、溶接ワイヤのワイヤ送給指令やシールドガスのガス供給指令などを、通信部13に出力する。ワイヤ送給指令は、例えば、溶接電流が所定電流(例えば100A)において、所定時間(例えば1分)当たりの溶接ワイヤの送給量(例えば、2.3m)、すなわち、溶接ワイヤの送給速度V[m/min](2.3m/min)に関する情報である。この送給速度は、設定される溶接条件に基づき、設定される。なお、上記各数値は一例である。
さらに、制御部14は、通信部13を介して、ワイヤ送給装置2に記憶される送給モータ22の性能情報を取得する。制御部14は、取得した性能情報を記憶部15に記憶させる。記憶部15は、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部15に記憶される性能情報としては、例えば、送給モータ22の過渡応答性の情報がある。過渡応答性の情報は、オーバーシュートやアンダーシュートを発生させずに、溶接ワイヤの送給速度Vを変化させることができる、送給速度Vの変化の割合(以下、「変化率」という。)を示したものである。制御部14は、溶接ワイヤの送給速度を変化させるとき(例えば、溶接開始時や溶接停止時、および、溶接条件の変更時など)に、記憶部15に記憶した過渡応答性の情報に基づき、送給モータ22に適した変化率Rで送給速度が変化するように、ワイヤ送給指令を生成する。
このとき、制御部14は、送給モータ22の過渡応答性が低いほど、すなわち、送給速度Vの変化率Rが低いほど、送給速度がなだらかに変化するように、ワイヤ送給指令を生成する。一方、送給モータ22の過渡応答性が高いほど、すなわち、送給速度Vの変化率Rが高いほど、送給速度が急速に変化するように、ワイヤ送給指令を生成する。そして、制御部14は、生成したワイヤ送給指令を、通信部13に出力することで、ワイヤ送給装置2に送信する。これにより、溶接ワイヤの送給速度が送給モータ22の過渡応答性に応じて変化されるように、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2を制御することができる。
ワイヤ送給装置2は、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送り出すものである。また、ワイヤ送給装置2は、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給する。さらに、ワイヤ送給装置2は、溶接電源装置1との間で、各種通信信号の送受信を行う。ワイヤ送給装置2は、図1に示すように、電源部21、送給モータ22、記憶部23、通信部24、制御部25、および、ガス電磁弁26を備えている。
電源部21は、送給モータ22、制御部25、および、ガス電磁弁26に電力を供給するものである。電源部21は、電源接続線51,52’を介して、溶接電源装置1(送給装置用電源部12)から駆動用電力が供給され、送給モータ22、制御部25、および、ガス電磁弁26のそれぞれに適した電圧に変換して出力する。電源部21は、溶接電源装置1から供給される駆動用電力を蓄積するコンデンサ、コンデンサから電源接続線51,52’に電流が逆流するのを防ぐためのダイオード、送給モータ22、制御部25、および、ガス電磁弁26に出力する電圧を調整するためのDC/DCコンバータを備えている。なお、電源部21の構成は、上記したものに限定されない。
送給モータ22は、溶接トーチ3に溶接ワイヤの送給を行うものである。送給モータ22は、溶接ワイヤが巻回された送給ロール、送給ロールを回動させるモータや減速機などを含んで構成される。送給モータ22は、後述する制御部25から入力される駆動信号に従い、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送り出す。駆動信号は、例えば、送給モータ22を所定の角速度で回動させるための電流値や電圧値などの情報である。また、送給モータ22は、さらにエンコーダを含んで構成され、エンコーダによって検出されたモータの回転数を制御部25に出力する。なお、モータが電機子により構成されている場合は、電機子電圧に基づき、回転数を検出するようにしてもよい。検出したモータの回転数の情報は、制御部25が行うフィードバック制御に利用される。
記憶部23は、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶媒体であり、送給モータ22の性能情報を記憶するものである。送給モータ22の性能情報としては、例えば、送給モータ22の過渡応答性の情報が記憶されている。また、記憶部23には、溶接電流や溶接電圧、溶接電力などの溶接条件も記憶されている。
通信部24は、電源接続線51およびパワーケーブル41を介して、溶接電源装置1との間で通信を行うためのものである。通信部24は、結合回路を備えている。当該結合回路は、通信部24の入出力端に接続されたコイルと、電源接続線51,52’に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、通信部24が出力する通信信号を電源接続線51,52’に重畳し、また、電源接続線51,52’に重畳された通信信号を検出する。すなわち、通信部24もPLC通信を行う。電源接続線52’は、ワイヤ送給装置2の内部で、パワーケーブル41に接続しているので、通信信号は、電源接続線51とパワーケーブル41との間に重畳される。
通信部24は、溶接電源装置1から受信した通信信号を復調して、制御部25に出力する。溶接電源装置1から受信する通信信号には、例えば、溶接電流の検出値、異常信号、および、ワイヤ送給指令やガス供給指令などの信号などがある。また、通信部24は、制御部25から入力される信号を変調して、通信信号として溶接電源装置1に送信する。溶接電源装置1に送信する通信信号には、例えば、起動信号、溶接条件設定信号、溶接電圧の検出値、および、送給モータ22の性能情報などがある。なお、溶接電源装置1との間で送受信される通信信号は、上記したものに限定されない。また、通信部24も、通信部13と同様に、DSSS通信方式を用いて通信を行う。
制御部25は、ワイヤ送給装置2の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現される。制御部25は、通信部24から入力される信号に基づき、ワイヤ送給装置2の各部を制御する。また、制御部25は、溶接電源装置1に送信する各種信号を通信部24に出力する。よって、制御部25は、通信部24を介して、溶接電源装置1と各種信号の送受信を行う。
制御部25は、溶接電源装置1のメイン電源が投入され、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に駆動用電力が供給されると、記憶部23から送給モータ22の性能情報を読み出し、通信部24に出力する。あるいは、制御部25は、溶接電源装置1から通信部24を介して、性能情報出力要求が入力されると、記憶部23から送給モータ22の性能情報を読み出し、通信部24に出力するようにしてもよい。
制御部25は、溶接トーチ3に設けられているトーチスイッチから入力される起動のための操作信号に応じて、起動信号を生成し、通信部24に出力する。この起動信号は、トーチスイッチが押下されている間、常時生成され、通信部24に出力される。さらに、制御部25は、図示しない操作部から入力される溶接条件を変更するための操作信号に応じて、記憶部23に記憶されている溶接条件を変更する。そして、予め設定された送信周期ごとに、記憶部23に記憶されている溶接条件を読み出して、溶接条件設定信号として、通信部24に出力する。
制御部25は、通信部24から入力される溶接電流の検出値、または、図示しない電圧センサによって検出された溶接電圧の検出値を図示しない表示部に表示させたり、通信部24から入力される異常信号に基づき、異常を図示しない報知部に報知(例えば、警告音や振動)させたりする。さらに、制御部25は、通信部24から入力されるワイヤ送給指令に応じて、送給モータ22を駆動させる駆動信号を送給モータ22に出力し、送給モータ22を制御する。具体的には、ワイヤ送給指令として、溶接ワイヤの送給速度情報が入力されるため、制御部25は、この送給速度で溶接ワイヤが送給されるように、送給モータ22を回動させるための駆動信号(例えば、PWM信号)を生成し、送給モータ22に出力する。制御部25は、駆動信号を生成するとき、送給モータ22から入力されるモータの回転数の情報に基づき、フィードバック制御を行い、所定の角速度で回動するようにしている。
ガス電磁弁26は、ガスボンベ6と溶接トーチ3とを接続するガス配管7に設けられており、制御部25からの開放信号に基づき、開閉されることで、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端から放出させるものである。制御部25から開放信号が入力されている間、ガス電磁弁26は開放され、溶接トーチ3へシールドガスの供給が行われる。一方、制御部25から開放信号が入力されていないときは、ガス電磁弁26は閉鎖され、溶接トーチ3へのシールドガスの供給が行われない。
このように構成された第1実施形態に係る溶接システムAにおけるワイヤ送給制御について、図3を用いて説明する。なお、溶接電源装置1のメイン電源はオフの状態であり、溶接電源装置1にはワイヤ送給装置2が接続されているものとする。本実施形態における送給モータ22の性能情報が、過渡応答性の情報である場合を例に説明する。
上記のような溶接システムAにおいて、作業者が溶接電源装置1のメイン電源を投入する(オンにする)と(ステップS101)、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に駆動用電力の供給が開始される。それと同時に、溶接電源装置1は、自装置に接続されたワイヤ送給装置2から送給モータ22の過渡応答性の情報を取得する(ステップS103)。
具体的には、溶接電源装置1のメイン電源が投入されると、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に駆動用電力が供給される。ワイヤ送給装置2は、駆動用電力が供給されると、記憶部23から過渡応答性の情報を読み出し、溶接電源装置1に送信する。あるいは、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2に過渡応答性の情報の出力要求を送信し、それを受けたワイヤ送給装置2が過渡応答性の情報を記憶部23から読み出し、溶接電源装置1に送信するようにしてもよい。これにより、溶接電源装置1は過渡応答性の情報を取得する。
溶接電源装置1は、ワイヤ送給装置2から過渡応答性の情報を取得すると、取得した過渡応答性の情報を記憶部15に記憶しておく(ステップS105)。
続いて、溶接電源装置1は、溶接の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS107)。具体的には、溶接電源装置1は、溶接トーチ3のトーチスイッチが押下され、溶接トーチ3から起動信号を受信することで、溶接の開始が指示されたと判断する。
溶接電源装置1は、溶接の開始が指示されると、ステップS105で記憶部15に記憶した送給モータ22の過渡応答性の情報を読み出す(ステップS109)。
そして、送給開始前の送給速度V0(=0m/min)から、設定された溶接電力に対応した送給速度V1になるまで、読み出した過渡応答性の情報に基づき加速するように、ワイヤ送給指令を生成する(ステップS111)。溶接電源装置1は、生成したワイヤ送給指令をワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、受信したワイヤ送給指令に従い、送給モータ22を制御することで、送給速度をV0(=0m/min)からV1に変化(加速)させ、溶接ワイヤの送給を開始する。また、溶接電源装置1は、設定されている溶接条件に応じた溶接電力を、ワイヤ送給装置2を介して溶接トーチ3に供給する。
具体的には、溶接電源装置1は、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RHであったとき、図4(a−1)に示すように、送給速度を変化率RHで変化(変化率RHで加速)させたワイヤ送給指令を生成する。一方、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RLであったとき、図4(a−2)に示すように、送給速度を変化率RLで変化(変化率RLで加速)させたワイヤ送給指令を生成する。ここで、図4(a−1),(a−2)において、過渡期間Tは、送給速度V0から送給速度V1になるまでの期間であり、この過渡期間Tにおける傾きが、変化率RH(a−1)、変化率RL(a−2)に相当する。これにより、溶接システムAは、溶接が開始され、送給速度が変化するときに、送給モータ22の過渡応答性に従った溶接ワイヤの送給速度の制御が可能となる。
以後、溶接電源装置1は、後述するステップS113で溶接条件の変更が指示される、あるいは、後述するステップS119で溶接の終了が指示されるまで、溶接ワイヤを送給速度V1で送給するように、ワイヤ送給指令を生成し、ワイヤ送給装置2に送信し続ける。
その後、溶接電源装置1は、溶接が開始されてから、溶接条件の変更が指示されたか否かを判断する(ステップS113)。具体的には、溶接電源装置1は、ワイヤ送給装置2から溶接条件設定信号を受信することで、溶接条件の変更が指示されたと判断する。
溶接電源装置1は、溶接条件の変更が指示されると、ステップS105で記憶部15に記憶した送給モータ22の過渡応答性の情報を読み出す(ステップS115)。
そして、溶接条件変更前の送給速度V1から、溶接条件変更後の送給速度V2(≠V1)になるまで、読み出した過渡応答性の情報に基づき加速あるいは減速するように、ワイヤ送給指令を生成する(ステップS117)。溶接電源装置1は、生成したワイヤ送給指令をワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、受信したワイヤ送給指令に従い、送給モータ22を制御することで、送給速度V1から送給速度V2に変化(加速あるいは減速)させる。また、溶接電源装置1は、変更後の溶接条件に応じた溶接電力を、ワイヤ送給装置2を介して溶接トーチ3に供給する。
例えば、溶接条件の変更に伴い、送給速度V1から送給速度V2(V2>V1)に加速させる場合、溶接電源装置1は、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RHであったとき、図4(b−1)に示すように、送給速度を変化率RHで変化(変化率RHで加速)させたワイヤ送給指令を生成する。一方、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RLであったとき、図4(b−2)に示すように、送給速度を変化率RHで変化(変化率RHで加速)させたワイヤ送給指令を生成する。ここで、図4(b−1),(b−2)において、過渡期間Tは、送給速度V1から送給速度V2になるまでの期間であり、この過渡期間Tにおける傾きが、変化率RH(b−1)、変化率RL(b−2)に相当する。
また、溶接条件の変更に伴い、送給速度V1から送給速度V2(V2<V1)に減速させる場合、溶接電源装置1は、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RHであったとき、図4(c−1)に示すように、送給速度を変化率「−RH」で変化(変化率RHで減速)させたワイヤ送給指令を生成する。一方、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RLであったとき、図4(c−2)に示すように、送給速度を変化率「−RL」で変化(変化率RLで減速)させたワイヤ送給指令を生成する。ここで、図4(c−1),(c−2)において、過渡期間Tは、送給速度V1から送給速度V2になるまでの期間であり、この過渡期間Tにおける傾きが、変化率「−RH」(c−1)、変化率「−RL」(c−2)に相当する。これにより、溶接システムAは、溶接条件が変更され、送給速度が変化するときに、送給モータ22の過渡応答性に従った溶接ワイヤの送給速度の制御が可能となる。
以後、溶接電源装置1は、後述するステップS119で溶接の終了が指示されるまで、溶接ワイヤを送給速度V2で送給するように、ワイヤ送給指令を生成し、ワイヤ送給装置2に送信し続ける。
ステップS113で溶接条件の変更が指示されていないと判断した場合には、ステップS115,S117の処理は行われない。
続いて、溶接電源装置1は、溶接の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS119)。具体的には、溶接電源装置1は、溶接トーチ3のトーチスイッチが押下されなくなり、溶接トーチ3から起動信号が受信されなくなることで、溶接の終了が指示されたと判断する。
溶接電源装置1は、起動信号を受信しなくなると、ステップS105で記憶部15に記憶した過渡応答性の情報を読み出す(ステップS121)。
そして、溶接終了前の送給速度V1(あるいは溶接条件が変更されている場合は送給速度V2)から溶接終了時の送給速度V0(=0m/min)になるまで、読み出した過渡応答性の情報に基づき減速するように、ワイヤ送給指令を生成する(ステップS123)。溶接電源装置1は、生成したワイヤ送給指令を、ワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、受信したワイヤ送給指令に従い、送給モータ22を制御することで、送給速度をV1(あるいはV2)からV0(=0m/min)に変化(減速)させ、溶接ワイヤの送給を停止する。また、溶接電源装置1は、溶接トーチ3への溶接電力の供給を停止する。
具体的には、溶接電源装置1は、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RHであったとき、図4(d−1)に示すように、送給速度を変化率「−RH」で変化(変化率RHで減速)させたワイヤ送給指令を生成する。一方、送給モータ22の過渡応答性の情報を確認し、変化率R=RLであっとき、図4(d−2)に示すように、送給速度を変化率「−RL」で変化(変化率RLで減速)させたワイヤ送給指令を生成する。ここで、図4(d−1),(d−2)において、過渡期間Tは、送給速度V1(あるいはV2)から送給速度V0になるまでの期間であり、この過渡期間Tにおける傾きが、変化率「−RH」(d−1)、変化率「−RL」(d−2)に相当する。これにより、溶接システムAは、溶接が終了し、送給速度が変化するときに、送給モータ22の過渡応答性に従った溶接ワイヤの送給速度の制御が可能となる。
なお、ステップS123により溶接が終了した後、溶接電源装置1のメイン電源が切られることがないまま(オフにされないまま)、作業者が再度トーチスイッチを押下し、溶接を開始する場合は、ステップS107の処理から実行される。
以上で説明したように、本発明の第1実施形態に係る溶接システムAによれば、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2からワイヤ送給装置2に備えられる送給モータ22の性能情報(過渡応答性の情報)を取得し、接続されたワイヤ送給装置2の過渡応答性を認識するようにした。そして、溶接電源装置1は、送給モータ22の過渡応答性の情報に基づきワイヤ送給指令を生成し、ワイヤ送給装置2に送信するようにした。これにより、溶接システムAは、送給モータ22の過渡応答性に適切なワイヤ送給指令を生成することができ、溶接電源装置1に接続されたワイヤ送給装置2に応じて、溶接ワイヤの送給速度を適切に制御することができる。したがって、送給速度が変化するタイミングで発生し易いオーバーシュートやアンダーシュートを抑制し、溶接の品質を安定させることができるとともに、ワイヤ送給装置(送給モータ22)の性能を無駄なく活用することができる。
上記第1実施形態において、溶接電源装置1は、取得した性能情報を記憶部15に記憶しておき、記憶部15から性能情報を読み出すようにしたが、これに限られるものではない。例えば、溶接電源装置1が、溶接ワイヤの送給速度を変化させるときに、毎回ワイヤ送給装置2から性能情報を取得するようにしてもよい。この場合、溶接電源装置1に記憶部15を必ずしも備えておく必要はない。
また、上記第1実施形態において、溶接開始時に、送給速度V0から送給速度V1に加速させる場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、スローダウン送給制御を実行する溶接システムにおいては、まず、送給速度V0からスローダウン送給速度まで変化させるときに、変化率Rに応じて変化させ、その後、スローダウン送給速度から目的の送給速度V1まで変化させるときに、再度変化率Rに応じて変化させるようにしてもよい。ただし、スローダウン送給速度は最低速度に近く、スローダウン送給速度に偏移するまでの期間は非常に短期間であり、送給モータ22の過渡応答性の違いが大きく表れないため、送給速度V0からスローダウン送給速度に変化させるときは、変化率Rに応じて変化させないようにしてもよい。
さらに、上記第1実施形態において、ワイヤ送給装置2の記憶部23に送給モータ22の性能情報(過渡応答性の情報)を記憶しておき、溶接電源装置1が、この性能情報を取得する場合を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、送給モータ22の種別ごとに固有に割り当てられた識別ID(モータID)を記憶しておき、溶接電源装置1が、このモータIDを取得するようにしてもよい。この場合、記憶部15に、モータIDと性能情報が対応付けられた識別IDテーブル(対応表)(図5(a)参照)を記憶しておく。そして、制御部14は、取得したモータIDから性能情報(過渡応答性の情報)を特定する。これにより、上記と同様に、送給モータ22の過渡応答性に応じたワイヤ送給指令の生成、送信が、実現される。
また、ワイヤ送給装置2に対して送給モータ22が一意に決定される場合、ワイヤ送給装置2の種別ごとに固有に割り当てられた識別ID(送給装置ID)を記憶しておき、溶接電源装置1が、この送給装置IDを取得するようにしてもよい。この場合、記憶部15に、送給装置IDと性能情報が対応付けられた識別IDテーブル(対応表)(図5(b)参照)を記憶しておく。そして、制御部14は、取得した送給装置IDから性能情報(過渡応答性の情報)を特定する。これにより、上記と同様に、送給モータ22の過渡応答性に応じたワイヤ送給指令の送信が実現される。なお、送給装置IDの代わりに、ワイヤ送給装置2の型式(型番)を用いてもよい(図5(c)参照)。
さらに、上記のように、溶接電源装置1が識別ID(モータIDや送給装置ID、型式など)を取得し、取得した識別IDから性能情報を特定する場合、溶接電源装置1の記憶部15には予め識別IDテーブルが記憶されている。そのため、新たに発売された送給モータ22やワイヤ送給装置2に関する情報は記憶されていない。よって、溶接電源装置1は、新たに発売されたワイヤ送給装置2が接続された場合、取得した識別IDに対する送給モータ22の性能情報を特定することができない。これを考慮して、溶接電源装置1の操作部やワイヤ送給装置2の操作部、あるいは、リモコンなどを用いて、識別IDテーブルを自由に追加、更新できるように構成しておくことが望ましい。
上記第1実施形態において、通信部13と通信部24とが、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で、電源接続線51とパワーケーブル41とを用いてPLC通信を行う場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、パワーケーブル41の代わりにパワーケーブル42を用いて、電源接続線51とパワーケーブル42とを用いてPLC通信を行うようにしてもよい。この場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
図6は、第2実施形態に係る溶接システムBの全体構成を示した図である。なお、図6においては、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2の内部構成の一部の記載を省略している。また、本発明の第1実施形態と同一あるいは類似の構成については、同一の符号番号を付して、その説明を省略する。図6に示す溶接システムBは、パワーケーブル42がワイヤ送給装置2の内部を通っており、電源接続線52および電源接続線52’が、パワーケーブル41ではなくパワーケーブル42に接続している点で、図1に示す溶接システムAと異なる。よって、通信部13と通信部24とは、電源接続線51とパワーケーブル42とを介して、PLC通信を行う。送給装置用電源部12から電源部21への駆動用電力供給にパワーケーブル42を用いる場合、パワーケーブル41を用いる場合(図1参照)とは逆に、電源接続線51の電位が電源接続線52より高くなるように、送給装置用電源部12は電圧を印加する。これにより、電源接続線51とパワーケーブル41との電位差が大きくならないようにしている。なお、電源接続線51とパワーケーブル41との電位差を気にしない場合は、送給装置用電源部12が印加する電圧を逆極性にしてもよい。
このように構成された第2実施形態に係る溶接システムBにおいて、溶接電源装置1は、電源接続線51とパワーケーブル42とを介し、ワイヤ送給装置2から送給モータ22の性能情報を取得する。そして、溶接電源装置1は、取得した性能情報に基づき、ワイヤ送給指令を生成し、生成したワイヤ送給指令を、電源接続線51とパワーケーブル42とを介し、ワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、取得したワイヤ送給指令に基づき、送給モータ22を駆動させ、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送給する。
以上のように、第2実施形態に係る溶接システムBにおいても、第1実施形態と同様に、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2に搭載される送給モータ22の性能情報(過渡応答性の情報)を認識することができ、溶接電源装置1に接続されたワイヤ送給装置2に応じて、溶接ワイヤの送給速度を適切に制御することができる。したがって、溶接システムBも、第1実施形態に係る溶接システムAと同様に、送給速度が変化するタイミングで発生し易いオーバーシュートやアンダーシュートを抑制し、溶接の品質を安定させることができるとともに、ワイヤ送給装置(送給モータ22)の性能を無駄なく活用することができる。
また、上記第1実施形態において、電源接続線51が、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で、ガス配管7の内側に配置されている場合について、説明したが、これに限られない。例えば、溶接時にシールドガスを用いない場合などには、ガス配管7が設けられていない。このように、電源接続線51がガス配管7の内側に配置されない場合について、第3実施形態として以下に説明する。
図7は、第3実施形態に係る溶接システムCの全体構成を説明するための図である。なお、図7においては、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2の内部構成の一部の記載を省略している。また、本発明の第1実施形態と同一あるいは類似の構成については、同一の符号番号を付して、その説明を省略する。図7に示す溶接システムCは、ガスボンベ6およびガス配管7が設けられておらず、送給装置用電源部12と電源部21とが直接電源接続線51および電源接続線51’とで接続されている。なお、この電源接続線51,51’は、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間でむき出しになっている。よって、電源接続線51,51’は、その被覆を厚くするなどして、断線しにくいように補強しておくことが望ましい。溶接電源装置1は、電源接続線51,51’を介して、ワイヤ送給装置2の駆動用電力を、ワイヤ送給装置2に供給する。また、通信部13は、電源接続線51,51’に接続されており、通信部24も、電源接続線51,51’に接続されている。よって、通信部13と通信部24とは、電源接続線51,51’とを介して、PLC通信を行う。
このように構成された第3実施形態に係る溶接システムCにおいて、溶接電源装置1は、電源接続線51,51’を介し、ワイヤ送給装置2から送給モータ22の性能情報を取得する。そして、溶接電源装置1は、取得した性能情報に基づき、ワイヤ送給指令を生成し、生成したワイヤ送給指令を、電源接続線51,51’を介し、ワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、取得したワイヤ送給指令に基づき、送給モータ22を駆動させ、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送給する。
以上のように、第3実施形態に係る溶接システムCにおいても、第1実施形態と同様に、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2に搭載される送給モータ22の性能情報(過渡応答性の情報)を認識することができ、溶接電源装置1に接続されたワイヤ送給装置2に応じて、溶接ワイヤの送給速度を適切に制御することができる。したがって、溶接システムCも、第1実施形態に係る溶接システムAと同様に、送給速度が変化するタイミングで発生し易いオーバーシュートやアンダーシュートを抑制し、溶接の品質を安定させることができるとともに、ワイヤ送給装置(送給モータ22)の性能を無駄なく活用することができる。なお、ガス配管7が設けられていても、電源接続線51および電源接続線51’をむき出しにしておいてもよい。
上記第1実施形態ないし第3実施形態において、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で、PLC通信により、各種通信信号の送受信を行う場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)といった無線通信を用いて、各種通信信号の送受信を行うようにしてもよい。この場合を、第4実施形態として、以下に説明する。
図8は、第4実施形態に係る溶接システムDの全体構成を示した図である。なお、図8において、本発明の第1実施形態と同一あるいは類似の構成については、同一の符号番号を付して、その説明を省略する。図8に示す溶接システムDは、第1実施形態に係る溶接システムAの通信部13を通信部13’に、通信部24を通信部24’に代えたものである。通信部13’と通信部24’とはともに、送受信アンテナを備えた無線通信モジュール(例えば、無線LANモジュール)により構成される。この通信部13’,24’は、同一の無線通信規格により、無線通信を行い、各種通信信号の送受信を行う。
このように構成された第4実施形態に係る溶接システムDにおいて、溶接電源装置1は、通信部13’および通信部24’による無線通信を用いて、ワイヤ送給装置2から送給モータ22の性能情報を取得する。そして、溶接電源装置1は、取得した性能情報に基づき、ワイヤ送給指令を生成し、生成したワイヤ送給指令を、通信部13’および通信部24’による無線通信を用いて、ワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、取得したワイヤ送給指令に基づき、送給モータ22を駆動させ、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送給する。
以上のように、第4実施形態に係る溶接システムDにおいても、第1実施形態と同様に、溶接電源装置1がワイヤ送給装置2に搭載される送給モータ22の性能情報(過渡応答性の情報)を認識することができ、溶接電源装置1に接続されたワイヤ送給装置2に応じて、溶接ワイヤの送給速度を適切に制御することができる。したがって、溶接システムDも、第1実施形態に係る溶接システムAと同様に、送給速度が変化するタイミングで発生し易いオーバーシュートやアンダーシュートを抑制し、溶接の品質を安定させることができるとともに、ワイヤ送給装置(送給モータ22)の性能を無駄なく活用することができる。
なお、上記第4実施形態に係る溶接システムDは、上記第1実施形態に係る溶接システムAの通信部13,24を、通信部13’,24’に代えた場合を例に説明したが、第2実施形態や第3実施形態においても同様に、通信部13,24を通信部13’,24’に代えることで、同様の効果を奏することができる。
さらに、上記第2実施形態ないし第4実施形態においても、第1実施形態の変形例のように、ワイヤ送給装置2から送給モータ22の性能情報を取得する代わりに、識別IDを取得する構成であってもよい。この場合、上記と同様に、溶接電源装置1に識別IDテーブルを記憶させておき、溶接電源装置1は、識別IDテーブルを参照し、取得した識別IDに対応する性能情報を特定することで、性能情報を認識することができる。
本発明の実施の形態として、半自動アーク溶接を行う溶接システムを例に説明したが、これに限定されるものではない。溶接電源装置、ワイヤ送給装置、および、溶接トーチを備え、ワイヤ送給装置が溶接電源装置に着脱可能な溶接システムであれば、各種溶接システムに適用することができる。例えば、ロボット溶接などに適用可能である。
また、本発明に係る溶接システム、溶接電源装置、および、それらの送給制御方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しなければ、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A,B,C,D 溶接システム
1 溶接電源装置
11 溶接用電源部
12 送給装置用電源部
13,13’ 通信部
14 制御部
15 記憶部
2 ワイヤ送給装置
21 電源部
22 送給モータ
23 記憶部
24,24’ 通信部
25 制御部
26 ガス電磁弁
3 溶接トーチ
41,42 パワーケーブル
51,51’,52,52’ 電源接続線
6 ガスボンベ
7 ガス配管

Claims (12)

  1. 溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムであって、
    前記ワイヤ送給装置は、
    前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段と、
    前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御手段と、
    前記送給手段に関する性能情報を記憶する送給装置側記憶手段と、を備え、
    前記溶接電源装置は、
    前記送給装置側記憶手段に記憶される前記性能情報を取得する取得手段と、
    当該取得手段が取得した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記制御手段に出力する送給指令手段と、を備える、
    溶接システム。
  2. 溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムであって、
    前記ワイヤ送給装置は、
    前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段と、
    前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御手段と、
    前記送給手段の種別を示す識別IDを記憶する送給装置側記憶手段と、を備え、
    前記溶接電源装置は、
    前記送給装置側記憶手段に記憶される前記識別IDを取得する取得手段と、
    前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報を記憶する電源装置側記憶手段と、
    当該電源装置側記憶手段に記憶される対応情報に基づき、前記取得手段が取得した前記識別IDに対応する前記性能情報を特定する特定手段と、
    当該特定手段が特定した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記制御手段に出力する送給指令手段と、を備える、
    溶接システム。
  3. 前記送給手段の種別を示す識別IDは、前記ワイヤ送給装置の型式である、
    請求項2に記載の溶接システム。
  4. 前記送給手段は、送給モータであり、
    前記性能情報は、前記送給モータの過渡応答性の情報であり、
    前記送給指令手段は、前記過渡応答性の情報に基づき、前記溶接ワイヤを送給する送給速度を制御する前記送給指令を生成する、
    請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の溶接システム。
  5. 前記送給指令手段は、前記送給速度を変化させるときに、前記送給モータの過渡応答性が低いほど、前記送給速度をなだらかに変化させ、一方、前記送給モータの過渡応答性が高いほど、前記送給速度を急速に変化させるように前記送給指令を生成する、
    請求項4に記載の溶接システム。
  6. 前記取得手段は、前記溶接電源装置と前記ワイヤ送給装置とを接続する電力伝送線を介して、前記送給装置側記憶手段から取得し、
    前記送給指令手段は、前記電力伝送線を介して、前記制御手段に出力する、
    請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の溶接システム。
  7. 溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置であって、
    前記ワイヤ送給装置に備えられた送給手段に関する性能情報を、前記ワイヤ送給装置から取得する取得手段と、
    前記取得手段が取得した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記ワイヤ送給装置に出力する送給指令手段と、を備える、
    溶接電源装置。
  8. 溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置であって、
    前記ワイヤ送給装置に備えられた送給手段の種別を示す識別IDを、前記ワイヤ送給装置から取得する取得手段と、
    前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報を記憶する電源装置側記憶手段と、
    当該電源装置側記憶手段に記憶される対応情報に基づき、前記取得手段が取得した前記識別IDに対する前記性能情報を特定する特定手段と、
    前記特定手段が特定した前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成し、前記ワイヤ送給装置に出力する送給指令手段と、を備える、
    溶接電源装置。
  9. 溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムの送給制御方法であって、
    前記溶接電源装置が、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段に関する性能情報を、前記ワイヤ送給装置から取得する取得ステップと、
    当該取得ステップにより取得された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、
    当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、
    前記ワイヤ送給装置が、前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御ステップと、を有する、
    溶接システムの送給制御方法。
  10. 溶接電源装置から出力される送給指令に従い、ワイヤ送給装置から溶接トーチに、溶接ワイヤを送給する溶接システムの送給制御方法であって、
    前記溶接電源装置が、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを送給する送給手段の種別を示す識別IDを、前記ワイヤ送給装置から取得する取得ステップと、
    前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報に基づき、前記取得ステップにより取得された前記識別IDに対応する前記性能情報を特定する特定ステップと、
    当該特定ステップにより特定された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、
    当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、
    前記ワイヤ送給装置が、前記送給指令に従い、前記送給手段を制御する制御ステップと、を有する、
    溶接システムの送給制御方法。
  11. 溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置の送給制御方法であって、
    前記ワイヤ送給装置から、前記ワイヤ送給装置に備えられた送給手段に関する性能情報を、取得する取得ステップと、
    当該取得ステップにより取得された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、
    当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、を有する、
    溶接電源装置の送給制御方法。
  12. 溶接トーチに溶接ワイヤを送給させる送給指令を、ワイヤ送給装置に出力する溶接電源装置の送給制御方法であって、
    前記ワイヤ送給装置から前記送給手段の種別を示す識別IDを取得する取得ステップと、
    前記識別IDと前記送給手段に関する性能情報とを対応付けた対応情報に基づき、前記取得ステップにより取得された前記識別IDに対応する前記性能情報を特定する特定ステップと、
    当該特定ステップにより特定された前記性能情報に基づき、前記送給指令を生成する生成ステップと、
    当該生成ステップにより生成された前記送給指令を前記ワイヤ送給装置に出力する出力ステップと、を有する、
    溶接電源装置の送給制御方法。
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