JP2016208705A - 太陽電池故障検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型軽量で商用電源が不要な可搬型で、太陽ストリング単位で太陽電池の極性を気にせず無極性で簡単に接続し、且つ、安全に故障検出作業ができ、バイパス回路断線等の故障箇所を含む太陽電池ストリングの特定を容易に行うことができる太陽電池故障検出装置を提供する。【解決手段】本発明は、交流電源と、前記交流電源からの電流を制限するための電流制限手段と、前記太陽電池ストリング端の電圧を検出する手段と、交流電圧を印加したときの前記太陽電圧ストリング端で検出される電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の少なくとも何れかを、予め得られている正常なときの電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の何れかと比較する電圧比較手段と、前記電圧比較手段による電圧及び電圧差の何れかの比較結果に基づいて太陽光発電システムの故障を判定するための判定手段とを有する太陽電池故障検出装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池を用いた太陽光発電システムの故障検知装置に関する。
太陽光発電システムは、再生可能エネルギーとして利用が促進され、大規模な太陽光発電所や家庭の屋根等に設置する太陽光発電設備が急速に普及している。この太陽光発電システムにおいて、太陽電池セルの故障、太陽電池間を接続する配線の半田付け不良や太陽光モジュール接続電線の断線、バイパス回路の故障等により発電量の低下や火災の原因となる発熱の発生が起きる場合がある。そのため、太陽光発電システムに使用する太陽電池の故障を容易に、且つ、短時間に検出することが必要となっている。
前記バイパス回路は、ダイオードにより構成され、太陽電池セル1個または複数個に1セットの割で並列に接続され、太陽電池セルのストリーム内に日陰等により発電していないセルや故障しているセルが有る場合、そのセルの影響によりそのストリーム全体の発電量が減少するのを防ぐために、そのセルをバイパスする為のものである。このバイパス回路に断線が起きると、発電量の落ちているセルの為に、太陽電池ストリーム全体の発電量が減少し、更に発電量の落ちているセルに逆電圧が印加され、発熱や破損の原因となる。また、バイパス回路に短絡が起きると、短絡の起きているブロックのセルの発電している電力が短絡状態になり、故障、発熱の原因になる。このバイパス回路の故障検出は、従来から次のようにして行われている。
第1の方法は、昼間、太陽電池ストリング端に交流信号発振器を接続し、屋根の上等に設置されている太陽電池パネルの上に慎重に乗り、交流信号の検知器を用いて検知し、その検出状況により配線の断線の状況を調べたり、太陽電池セルの一部を遮光シート等により遮光し、バイパス回路の動作を確認する方法である。第2の方法は、太陽電池の電流電圧特性を測定し、その特性により故障を検知するものである(例えば、特許文献1を参照)。第3の方法は、前記第2の方法の試験装置等を使用するとき、電流源又は電圧源の極性を間違えないようにして太陽電池ストリングに接続し、バイパス回路の故障を検知する方法である。また、第4の方法としては、バイパス回路の故障を目視で確認を行う。
前記の故障検出方法の他にも、特許文献2には、正電流(I>0)を夜間に流したときに測定する電圧(V<0)を、バイパス回路の順方向電圧の合計値(ΣVf)と比較し、|V|>(ΣVf)となる場合をバイパス回路がオープンモード故障していると判定する方法が提案されている。ここで、判定の閾値VTHOは、オープン故障の誤検出を防止するために、バイパス回路の順方向電圧の合計値(ΣVf)より大きな値が設定されている。
また、特許文献3には、負極を基準にした負の規定値V1の逆電圧を、検知対象ストリングの正極に対して印加させ、電流測定部によって測定された検知対象ストリングの電流値が規定の閾値ITHOよりも小さいか否かを判定し、電流値が閾値ITHOよりも小さい場合に検知対象ストリングに含まれるいずれかのバイパス回路の故障を検知する方法が提案されている。ここで、規定値V1は、検知対象ストリングに含まれるバイパス回路の合計の順電圧VFよりも著しく大きくないような値で、太陽電池ストリングの夜間規定値V1(低日射強度の)のI−V特性を判別できるような適切な値に予め設定される。
さらに、特許文献4には、試験対象の太陽電池ストリングに加える電圧をV1からV2に変化させたときの測定電圧の変化値ΔHおよび電流変化ΔIから算出したシャント抵抗値Rshと、あらかじめメモリに格納された規定の抵抗値Thとを比較し、Rsh<Thであれば試験対象のストリングが故障、Rsh≧Thであれば正常と判断する故障検出装置およびその方法が開示されている。
特開2011−66320号公報 特開2014−11427号公報 特開2014−11428号公報 特開2004−287787号公報
しかしながら、前記の第1〜4の従来方法は、次のような問題がある。前記第1の方法は太陽光パネルに乗る危険作業となる。前記第2の方法として前記特許文献1に記載されている診断方法は、一般的にコンデンサに高い電圧をチャージし、放電により特性を判断する方式となり、太陽電池に過剰なストレスを与えるという問題がある。前記第3の方法は、極性を確実に間違いなく接続する必要があるが、太陽電池の極性を常に把握できるとは限らないため、使用範囲が限定される。さらに、前記第2及び3の方法では商用電源が必要となり、大規模発電所では電源供給が困難で、検査が容易にできないこともある。また、前記第4の方法は太陽電池の下に直接行く必要があり、危険作業になったり、接地場所によっては検出が不可能になる。さらに、第4の方法は、目視で行うため、正確な検出が困難であり、誤って故障を検出したり、故障を見逃したりする場合がある。
前記特許文献2及び3に記載の故障検知装置は、検査の前に、正電流を流す方向又は逆電圧を印加する方向を間違えないように太陽電池の極性を知る必要があるだけでなく、バイパスダイオードの順方向電圧の合計値(ΣVf)又はバイパスダイオードの接地段数に応じて変化する閾値ITHOを求める必要があり、バイパスダイオードの設置段数が予め分かっていなければならない。そのため、検査できる太陽電池は、その特性と仕様が事前に把握できているものに限られ、適用範囲が限定されている。
同様に、前記特許文献4に記載の故障検出装置も、直流電源装置に、太陽電池ストリング内のバイパスダイオードの順方向降下電圧Vfに、パイパスダイオードの直列数を掛けた電圧を出力させる必要があり、太陽電池の極性及びバイパスダイオードの設置段数を予め把握しておく必要がある。そのため、前記特許文献2及び3に記載の故障検知装置と同様に、適用範囲が限定されるという問題がある。
それら以外にも、太陽電池故障検出装置に対して、(1)昼間は一般的に発電を売電しているため検査ができないことから、夜間に使用できる装置であること、(2)大量に設置された太陽電池の故障を迅速に検出するために、太陽電池ストリング単位で故障検出ができること、(3)事前に設備しないで、急な故障診断の要求に対応する場合に備えて容易に持ち運びでき、できれば小型軽量のものであること、等が求められている。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、小型軽量で商用電源が不要な可搬型で、太陽電池ストリング単位で、太陽電池の極性を気にせず無極性で簡単に接続し、且つ、安全に故障検出作業ができ、故障箇所を含む太陽電池ストリングの特定を容易に行うことができる太陽電池故障検出装置を提供することにある。
本発明者は、故障検知に必要な電圧を発生させる交流電源、好ましくは乾電池等を用いた低電圧電源の昇圧によって発生させる交流電源と、太陽電池ストリングに交流電圧を印加したときの前記太陽電圧ストリング端で検出される電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の少なくとも何れかを、予め得られている正常なときの電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の何れかと比較し、その比較結果に基づいて前記太陽光発電システムの故障を判定するための各手段とを有する太陽電池故障検出装置を用い、バイパス回路の不良状況に応じた独自の解析方法を使って故障の判定を行うことによって上記課題を解決できることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、太陽光発電システムを構成する太陽電池ストリング端に接続し故障を検出する装置であって、交流電源と、前記交流電源からの電流を制限するための電流制限手段と、前記太陽電池ストリング端の電圧を検出する手段と、前記太陽電池ストリングに交流電圧を印加したときの前記太陽電圧ストリング端で検出される電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の少なくとも何れかを、予め得られている正常なときの電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の何れかと比較する電圧比較手段と、前記電圧比較手段による電圧及び電圧差の何れかの比較結果に基づいて前記太陽光発電システムの故障を判定するための判定手段と、を有することを特徴とする太陽電池故障検出装置を提供する。
[2]本発明は、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路の故障判定を行う太陽電池故障検出装置であって、前記電圧比較手段及び前記判定手段において、前記太陽電池ストリング端で検出される電圧の正負の電圧差が、正常なときの前記バイパス回路の段数による電圧差の変化に基づいて予め設定された電圧差の閾値よりも小さくなるときにバイパス回路の断線と判断し、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路に故障があると判定することを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池故障検出装置を提供する。本発明において、バイパス回路とは、故障または日陰等により発電量の少ない太陽電池セルを他の正常な太陽電池セルにより発電された電流が通過しない様にバイパスする為に太陽電池セル1個または複数個に1セットの割に並列に接続したダイオード回路のことである。
[3]本発明は、前記電圧比較手段及び前記判定手段において、前記太陽電池ストリング端のバイパス回路に対して順方向の電圧の値が、バイパス回路の段数が既知の場合に予め設定した電圧以下であるときにバイパス回路の短絡と判断し、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路に故障があると判定することを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池故障検出装置を提供する。
[4]本発明は、前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置が、さらに、発電量検出部と、該発電量検出部により検出される電圧値に基づいて、太陽電池が発電状態である場合に前記太陽電圧ストリング端で電圧検出を行わないようにする保護回路とを有することを特徴とする太陽電池故障検出装置を提供する。
[5]本発明は、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置が、電圧検出結果、故障判定結果、及び太陽電池が発電状態である場合に前記太陽電圧ストリング端で電圧検出が不能であることを示す結果の少なくとも何れかの結果を表示するための表示手段及び音によって知らせるための報知手段の少なくとも何れかの手段を有することを特徴とする太陽電池故障検出装置を提供する。
[6]本発明は、前記交流電源が乾電池又は蓄電池により交流を発生させたものであり、昇圧用交流電源回路によって前記太陽電圧ストリング端の電圧検出に必要な交流電圧を出力することを特徴とする前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置を提供する。
[7]本発明は、交流電圧の増加に伴って正負の電圧差が増し始めた電圧を、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路順電圧で除算することにより、前記バイパス回路の段数を把握できる自動検出手段を有することを特徴とする前記[1]〜[6]の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置を提供する。
本発明の太陽電池故障検出装置は、交流電源を使用することによって、太陽電池のストリング単位で、太陽電池の極性を気にせず無極性で簡単に接続することができる。また、乾電池や蓄電池等の低い電圧を故障判定に必要な高い電圧に昇圧して発生させる電圧によって、小型軽量で商用電源が不要な可搬型の太陽電池故障検出装置とすることができる。
本発明の太陽電池故障検出装置は、太陽電池ストリング端で検出される電圧の正負の電圧差を、予め設定された正常なときの電圧差の閾値との比較によって、太陽電池ストリングに備わるバイパス回路の段数が不明な場合においても、1個以上のバイパス回路の断線故障を検出できる。また、自動検出手段によってバイパス回路の段数を把握することも可能である。他方、バイパス回路段数が既知であれば、太陽電池ストリング端のバイパス回路に対して順方向の電圧の検知によって容易にバイパス回路の短絡を判断することができる。さらに、太陽電池の発電状態のときには電圧検出を行わないように保護する回路を有するため、故障検出装置の故障を未然に防止することができる。
本発明の太陽電池故障検出装置の基本構成を示す図である。 本発明の太陽電池故障検出装置を太陽光発電システムの太陽電池ストリング端に接続したときの模式図である。 本発明において、正負電圧差を検出する方法を模式的に示す図である。 バイパス回路及び太陽電池セルにおいて、正常時及び故障時の電圧波形を示す図である。 本発明の太陽電池故障検出装置で検出した正負の電圧差とバイパス回路段数との関係を示す模式図である。 本発明の太陽電池故障検出装置において判定用の閾値を階層的に複数個設定したときの故障検出方法の例を示す図である。 本発明の太陽電池故障検出装置の別の構成を示す図である。 本発明の太陽電池故障検出装置によるバイパス回路段数の自動検出方法の例を示す図である。 本発明の実施の形態1においてシミュレーション結果をグラフで示す図である。 本発明の実施の形態2による乾電池を電源として用いた太陽電池検出装置の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態3による乾電池を電源として用いた太陽電池検出装置の別の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態4によるバイパス回路テスターの構成例とその外観を示す図である。 本発明の実施の形態4によるバイパス回路テスターの動作可否検出回路の例を示す図である。
図1は、本発明の太陽電池故障検出装置の基本構成を示す図である。また、図2は、本発明の太陽電池故障検出装置を太陽光発電システムの太陽電池ストリング端に接続したときの模式図である。
図1に示すように、本発明の太陽電池故障検出装置1は、基本的に、交流電源2と、交流電源2からの電流を制限するための電流制限手段3と、太陽電池ストリング端4、5の電圧を検出する電圧検出手段6と、太陽電池ストリング端4、5に交流電圧を印加したときの太陽電圧ストリング端4、5で検出される電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の少なくとも何れかを、予め得られている正常なときの電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の何れかと比較する電圧比較手段7と、前記電圧比較手段による電圧及び電圧差の何れかの比較結果に基づいて前記太陽光発電システムの故障を判定するための故障判定手段8とを有する。電圧比較手段7及び故障判定手段8はそれぞれ明確に区分けされず、両者の機能をまとめて電圧比較判定手段9として備えることもできる。さらに、本発明の太陽電池故障検出装置1は判定結果を表示及び報知の少なくとも何れかを行う表示報知手段10を備えることが好ましい。図2に示すように、太陽電池故障検出装置1は、太陽光発電システムを構成する太陽電池ストリング端4、5にそれぞれ接続され、太陽電池の故障を検出するために使用される。図1に示す基本構成の各手段とその機能について、次に説明する。
本発明の太陽電池故障検出装置は、太陽電池の極性を気にせずに使用することができるようにするため、交流電源2によって交流電圧を印加することが大きな特徴である。交流電源2は、太陽光発電システムの故障判定を数十V〜100V、場合によってはそれ以上の高い電圧で行うため、高電圧を出力できるものが必要となる。交流電源2としては、例えば、商用電源や、インバータ等で必要な交流電源を作り出す等が考えられる。
さらに、本発明の太陽電池故障検出装置は、従来のものと比べて小型軽量で商用電源が不要な可搬型とすることを目的としており、より小型軽量な、例えば、携帯型の検査機器等に使用されている電池や蓄電池を使用することが好ましい。そのときの交流電源2は、図1に示すように、小型軽量電源11及び昇圧用交流電源回路12から構成される。
判定を行うための携帯型の検査機器に一般的に使用される電池や蓄電池等の小型軽量電源11は、太陽光発電システムの故障判定を行うときに出力する電圧に比べてかなり低いため、電圧を高くする必要がある。例えば、一般的な電池は電圧が数ボルトから24V程度であるが、故障判定にはそれ以上の電圧が必要となる。乾電池では1.5Vの電池を複数個使用しても10数ボルトを得るのが限界である。そこで、本発明は、昇圧用交流電源回路12によって、乾電池や充電池を用いて交流電圧を発生させ、乾電池や充電池等の低い電圧から、故障判定に必要な高い電圧に、より簡単に昇圧することが可能となる。本発明においては、昇圧を構造的に簡単な変圧トランス等を使用して行ってもよい。それにより、電池を用いた携帯型で軽量な故障検出装置を実現することができる。また、交流を使用することにより、太陽電池の極性を気にせず、使用することができる。
図1に示す電流制限手段3は、交流電源2からの電流を制限し、太陽電池に規格外の電流が流れるのを防止するために設けるものであり、数100オームから数キロオームの抵抗や同じ範囲の抵抗を有する素子又はデバイスを使用するのが実用的である。また、電流制限手段3は周波数依存性を有すると、交流電流2の周波数によって電流値が変化するため、一定の条件で電圧検出及び故障判定を行うことが困難になる。そのため、電流制限手段3としては、周波数に依存しない直列抵抗又は定電流ICを含む定電流素子を使用することが好ましい。この電流制限手段3により太陽電池ストリング端4,5にて検査する為の電圧を取り出すことができる。
図1に示す電圧検出手段6は、太陽電圧ストリング端4,5で検出される電圧の正側と負側の電圧値を検出し、両者の電圧値の差を検出する機能を有する。ここで、太陽電池ストリング端の電圧については、バイパス回路に対して順方向を負電圧、逆方向を正電圧とする。
本発明の電圧検出手段6において、正負電圧差の検出は、図3に示すように、基本的に次の3つの方法の何れかによって行う。図3において、太い横線は電圧ゼロの基準値(0V)を意味し、細い横線は次の方法で求めた電圧の値である。また、細い横線が基準値(太い横線)より上に位置する場合は正の電圧、他方、下に位置する場合は負の電圧であることを意味する。
(i)太陽電池ストリング端の電圧を積分回路にて平均化することにより電圧差を検出する方法(図3の(a)を参照)。
(ii)正電圧時及び負電圧時のピークホールド回路をそれぞれ設け、それを加算することによって電圧差を検出する方法(図3の(b)を参照)。
(iii)正電圧側及び負電圧側の電圧を検波して取り出し、それぞれを平均化し、平均化した電圧の和又は絶対値の差によって電圧差を検出する方法(図3の(c)を参照)。
上記の方法のいずれかで検出される電圧及び電圧差は、AD変換器及びマイクロコンピュータを用いてデジタル処理を行うこともできる。正負電圧値の差の検出は、例えば、電圧検出手段6に具備される差分検出回路等によって行われる。
上記(i)〜(iii)の何れかの方法で検出された正負電圧値の差を用いて、図1に示す電圧比較手段7及び故障判定手段8の両者の機能を有する電圧比較判定手段9によって太陽電池のバイパス回路断線又は短絡の検出を行う。本発明では、バイパス回路段数が未知の場合でも故障検出を行うことができる。電圧比較判定手段9によって行うバイパス回路断線又は短絡の検出方法を、故障検出時の電圧波形図(図4)、及び検出した正負の電圧差とバイパス回路段数との関係を示す模式図(図5)を用いて説明する。
図4は、バイパス回路及び太陽電池セルにおいて、正常時及び故障時の電圧波形を示す図である。図4の(a)に示すように、本発明の故障検出装置は、交流電源出力において正負とも同じ電圧波形を有する。この故障検出装置を太陽電池ストリング端に接続したときの電圧波形は、図4の(b)及び(c)の最左側に示すように、正常時において、負側が正側よりも絶対値が小さな電圧となる正負電圧波形を示す。この正常時の正負電圧波形は、バイパス回路又は太陽電池セルが故障したとき、故障モード(断線又は短絡)に応じて、図4の(b)及び(c)の中央に示すように、それぞれ異なった波形を示すようになる。その中で、図4の(b)に示すバイパス回路の故障時の電圧波形に着目して説明する。
バイパス回路が断線による故障の場合、電圧波形は正側で同じであるのに対して、負側で正常時の値(図において点線で示す値)よりも絶対値が大きくなるため、図4の(b)の最右側に示すように、正負電圧値の差が正常時の値よりも小さくなる。他方、バイパス回路が短絡による故障の場合、電圧波形は正側で正常時と同じであるのに対して、負側で正常時の値(図において点線で示す値)よりも絶対値がわずかに小さな電圧値となるため、図4の(b)の最右側に示すように、短絡時は正負電圧値の差が正常時と比べてやや大きくなるが、正常時との差異は非常に小さい。したがって、短絡故障の有無は、このわずかな差異を検出することによって判断することになる。
バイパスコンデンサが断線による故障の場合について、本発明の太陽電池故障検出装置によって検出した正負の電圧差とバイパス回路段数との関係を模式的に示したのが図5である。ここで、バイパス回路は、実際の太陽電池システムと同じように直列に接続されている場合を考える。
図5に示すように、バイパス回路が1個断線しているときの正負電圧差(図においてBで示す曲線)は、正常時の正負電圧差(図においてAで示す曲線)よりも小さくなる。バイパス回路の断線の数が増すと、正負電圧差(図においてCで示す曲線)はさらに小さくなり、正常時の正負電圧差との差が拡大する。したがって、正常時の正負電圧差とバイパス回路が1個断線しているときの正負電圧差との間に、故障検出のための判定用の閾値(図においてTで示す直線)を設けることによって、バイパス回路の段数に関わらず、バイパス回路の断線故障を検知することができる。
実際の太陽電池システムにおいて、正常時の正負電圧差を表す曲線Aはバイパス回路の段数が多くなると徐々に小さい値を示すようになり、バイパス回路が1個断線しているときの正負電圧差を表す曲線Bにおいて段数の少ない側で観測される極大値よりも低い値になる。この値は、曲線Aをバイパス回路の段数が増える軸の右側で外挿した点線上の点(X)に相当する。このように、本発明の太陽電池故障検出装置は、一つの閾値を設定するだけでは、バイパス回路段数が未知である太陽電池について段数が非常に多い場合には故障検出が困難になる。しかしながら、一つの閾値を設定しただけであっても未知のバイパス回路の段数が所定の範囲であれば、1個以上のバイパス回路の断線故障の検出を容易に行うことができる。
一方、検出可能なバイパス回路段数の幅が大きい場合、一つの閾値では対応できなくなることが有る。そこで、本発明の太陽電池検出装置は、図6に示すように、バイパス回路の段数をグループに分け、それぞれのグループに適当な判定用の閾値を設け、該閾値をバイパス回路の段数に応じて階層的に配列することによって、故障判定を行う。それによって、一台の検出装置で幅広いバイパス回路の段数での断線故障検出が可能になり、使い勝手の良い太陽電池故障検出装置を得ることができる。
本発明の太陽電池故障検出装置は、さらに、交流電源2の電圧を変更することにより、断線故障を検出できるバイパス回路の段数を増やすこともできる。図5において、交流電源2で印加する電圧を高くすることによって、曲線Aが曲線Bの極大点よりも低い正負電圧差を有するバイパス回路の段数が増え、検出できるバイパス回路段数の範囲をより広くできるという効果が得られる。そのため、印加電圧を高くできる交流電源を使用する場合は、未知のバイパス回路の段数が多くても、広い範囲に亘って故障検出を行うことができる。ただし、不用意に電圧を上げると、検査を行う太陽電池パネルに損傷を与えることがあり、検査を行う太陽電池ストリングに対して適切な印加電圧を選ぶ必要がある。印加電圧が適切であれば、被検査対象物に損傷を与えることなく、検査の汎用性を高めることができ、バイパス回路の段数が未知の太陽電池について幅広い利用が可能である。
なお、図5に示す正負の電圧差とバイパス回路段数との関係、及び前記の昇圧電圧の変更によるバイパス回路の段数増加の効果については、後述の実施の形態1で行ったシミュレーション結果に基づいて詳細に述べる。
本発明の太陽電池故障検出装置は、バイパス回路段数が既知であれば、バイパス回路の短絡を検出することができる。バイパス回路段数が既知の場合、正常時の負電圧はダイオード特性により予め知ることができる。図4の(b)に示す電圧波形から変わるように、バイパス回路短絡時には、検出した負の電圧値の絶対値は、正常時における既知の電圧絶対値よりわずかに小さくなる。仮に、検出した負の電圧値の絶対値が、正常時の負電圧の絶対値より予め設定した電圧の範囲を超えて低下する場合に、バイパス回路の短絡と判断することができる。ここで、予め設定する電圧の範囲は検出精度に基づいて決められるが、正常時の負電圧の絶対値よりも絶対値で0.1〜1Vの範囲で低下するように設定するのが実用的である。
以上が、検出した正負電位差を閾値と比較するために行う電圧比較手段7、及び電圧比較結果に基づいて異常の有無の判定を行う故障判定手段8の機能であり、電圧比較判定手段9としてまとめることができる。正負電位差と閾値との比較は、電圧比較器(コンパレータ)やマイクロコンピュータを用いて行う。
本発明の太陽電池故障検出装置は、上記で説明した手段の他にも、図7に示す太陽電池故障検出装置13のように、太陽電池発電量検出手段14、交流電圧設定手段15、制御回路16及びバイパス回路段数設定手段17の少なくとも何れかを具備してもよい。図7に示す制御回路16は、電圧検出手段6、電圧比較判定手段9及び表示報知手段10の間で、データのやり取り、データの処理・解析及び検出条件や検出結果等の表示報知を短時間に適切に行うため、前記の各手段6、9及び10とリンクして接続されている。
図7に示す太陽電池発電量検出手段14は、太陽電池が発電状態のときには正しく電圧検出が行えないことから、発電状態の場合には太陽電池ストリング端4、5で電圧検出動作を行わないようにするために設けるものである。太陽電池発電量検出手段14は、太陽電池が発電状態のときに検出を行うと、正確な故障検出ができないと同時に検出装置の故障の原因になるので、保護スイッチ18と連動させることによって保護回路としても機能する。例えば、太陽電池ストリング端4、5に所定以上の電圧値が検出される場合、太陽電池が発電状態にあるものとして保護スイッチ18によって故障検出装置との接続を切断する。また、太陽電池ストリング端4、5と並列に太陽電池ストリング端の電圧が一定以上の場合、太陽電池が発電状態にあるものとして保護スイッチ18によって故障検出装置との接続を切断する方法であってもよい。このように、太陽電池発電量検出手段14により電圧値を検出し、それらの値に基づいて電圧検出動作を行うか否かが決められる。
図7に示す交流電圧設定手段15は、電圧の設定を交流電源2及び昇圧交流電源回路19のどちらかの側で行うことができるように設けるものである。ここで、昇圧交流電源回路19は、電池や蓄電池等の小型軽量電源の昇圧を行うときに選択される。また、電圧の設定は、電圧検出手段6、電圧比較判定手段9及び表示報知手段10に接続した制御回路16で行ってもよい。
図7に示す太陽電池故障検出装置13は、上記で説明した特徴の他にも、バイパス回路段数設定手段17によって、故障検出を行う太陽電池ストリングのバイパス回路段数を自動で検出することができる。稼働しているそれぞれの太陽光発電所の太陽ストリングはバイパス回路段数が未知の場合が多い。未知のバイパス回路段数は、バイパス回路段数設定手段17と接続した制御回路を介して出力交流電圧を変化させることによって容易に検出することが可能になる。
図8は、本発明の太陽電池故障検出装置によるバイパス回路段数の自動検出方法の例を示す図である。図8の上段に、正常時及びバイパス回路が1個断線している場合についてダイオードの順電圧の波形をそれぞれ示し、図8の下段には、両者の状態においてそれぞれ検出される正負電圧差と入力電圧との関係を示している。
図8の下段に示すように、交流電圧を増していくと、正負の電圧差は、ある電圧から発生し始め、その電圧差が大きくなっていく。バイパス回路の1個が断線している場合をバイパス回路断線の無い正常時と比較すると、前者は正負電圧差が発生するときの入力電圧がバイパス回路1個とほぼ同じ電圧分だけ小さくなり、さらに、正負電圧差の入力電圧に対する傾きが小さくなることが分かる。バイパス回路は等価的にダイオード及びダイオードに並列接続された抵抗と見なされ、それが複数個を直列に接続した形となる。バイパス回路の段数はメーカや型式により異なるため、より精度の高い故障検出を行うためには、バイパス回路段数の自動検出機能が必要になる。そこで、図8において正負の電圧差が発生し始めた電圧をダイオード順電圧で除算することにより、おおよそのバイパス回路の段数を知ることができる。
図8に示す例において、例えば、試験のための交流電圧が正常時において12Vp-pの場合でダイオードの順電圧が0.6Vの場合、バイパス回路段数は(12V÷2)÷0.6V=10の計算式から10段となる。仮に、バイパス回路が1個断線している場合、正常時の場合のように正確なバイパス回路段数を求めることは困難であるが、図8の下段に示す正負電圧差と入力電圧との関係から分かるように、おおよその段数を推定することが可能となる。このようにして得られるバイパス回路段数により、試験交流電圧を設定するとともに、閾値を選定することができる。その条件を使って故障診断を行うことにより、太陽電池に対して過大な試験電圧を与えることなく、精度の高い故障検出が可能になる。
図1及び図7に示す電圧比較判定手段9によって判定された結果を、表示報知手段10に表示する。表示報知手段10は、(a)電圧検出結果、(b)故障判定結果、及び(c)太陽電池が発電状態である場合に前記太陽電圧ストリング端で電圧検出が不能であることを示す結果の少なくとも何れかの結果を表示するための表示手段及び音等によって知らせるための報知手段の少なくとも何れかの手段を有するものである。表示報知は、例えば、文字表示、液晶LEDによるグラフィック表示又はLED等のランプ点灯やブザー、音声、電子音等の音声によって行う。表示報知する判定内容としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
(a)電圧検出結果として、正負の電圧差および判定用の閾値
(b1)太陽電池正常の判定結果
(b2)太陽電池パイパスダイオード断線の判定結果
(b3)太陽電池バイパス回路短絡又はその他の故障の判定結果
(b4)バイパス回路断線検出以外の警告として逆接続警告
(c)太陽光発電量が大きく、正常に検出できないときの使用不可
本発明の太陽電池故障検出装置は、日時、判定結果、使用電圧等の検出条件を記憶装置に保存し、パソコン等によって取出す手段や機能を有してもよい。それにより、検査結果の確認が可能になる。これらの手段や機能は、図7に示すように、電圧検出手段6、電圧比較判定手段9及び表示報知手段10を制御するための制御回路16の一部として具備させても良い。
以上が本発明の太陽電池検出装置の基本構成及び拡張構成の各手段とその機能である。本発明を実施するための形態を、次に示す実施の形態に基づいて図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施の形態によって何ら限定されるものではない。
<実施の形態1>
本発明の太陽電池故障検出装置の機能と効果を確認するために、バイパス回路の直列段数に応じた、正常時の正負電圧差、及びバイパス回路が1個断線している場合の正負電圧差についてシミュレーションを実施した。図9に、そのシミュレーション結果をグラフで示す。図9は、バイパス回路の直列段数を最大40とし、それぞれ太陽電池ストリング端に印加する電圧を30V、50V、70V及び100Vと変えたときのシミュレーション結果である。
図9において、正常時の正負電圧差を示す曲線(A)及びバイパス回路が1個断線している場合の正負電圧差を示す曲線(B)のそれぞれが示す正負電圧差の範囲に着目する。ここで、太陽電池ストリング端の電圧について、バイパス回路に対して順方向を負電圧、逆方向を正電圧とする。図9に示す30Vのシミュレーション結果において、曲線(A)は、正常時において正電圧を示す曲線(A)から負電圧を示す直線(A)を差し引いた電圧を示す曲線である。他方、曲線(B)は、バイパス回路が1個断線している場合の異常時において正電圧を示す曲線(B)から負電圧を示す直線(B)を差し引いた電圧を示す曲線である。図9に示すように、曲線(A)と曲線(B)は同じ曲線となる。同様にして、50V、70及び100Vの場合についても曲線(A)及び曲線(B)が得られる。
例えば、図9に示す印加電圧が30Vの場合には、曲線(B)は、バイパス回路の直列段数が20段までは曲線(A)より低い正負電圧差が検出される。仮に、正負電圧差の値として曲線(B)の極大値よりやや高い9〜10Vの範囲に注目し、その間にある正負電圧差の値を閾値とすれば、バイパス回路の直列段数が20段までは、曲線AとBとが異なる正負電圧差として検知されるため、両者を明確に区別することができる。以下、図9に示す50V、70V及び100Vの場合についても、曲線A及びBを異なる値で区別して検知することができる正負電圧差の閾値を、例えば、それぞれ17V、25V及び33Vに設定すると、1個断線箇所が含まれるバイパス回路群において検知できる直列段数は、前記の閾値に応じて、それぞれ30段、40段及び40段以上となることが分かる。
以上のように、幅広いバイパス回路の段数を有する太陽電池であっても、所定の印加電圧において判定可能な閾値を設定し、太陽電池ストリング端で測定された正負電圧から求めた正負電圧差の値を前記閾値と比較することによって、バイパス回路の段数が不明でも、バイパス回路の断線故障を検知することが可能になる。ここで、正負電圧差が前記閾値より小さいときに、バイパス回路のダイオード断線故障と判定する。
図9に示す印加電圧が50Vについて注目すると、閾値を17V(図中の一点鎖線)に設定する場合は、故障検出がバイパス回路の段数が30段まで可能となる。さらに、別の閾値として、例えば10V(図中の点線)を新たに設定することによって、故障検出できるバイパス回路の段数を38段にまで増やすことができる。以下、印加電圧70V又は100Vの場合も同様に値が異なる複数個の閾値を設定することによって、故障検出できるバイパス回路の段数の範囲を広げることが可能になる。このように、バイパス回路の段数が未知の太陽電池システムにおいて、いくつかの段数グループに分け、それぞれに適当な閾値を設けることで、本発明の故障検出装置の一台で幅広いバイパス回路の段数での断線故障検出が可能になる。
さらに、図9に示すように、印加電圧を高くし、その印加電圧に対応した閾値を設定することにより、より多くの段数を有するバイパス回路であっても、故障を検知することができる。このように、印加電圧に応じた閾値をそれぞれ設定することにより、幅広いバイパス回路段数に対応できる故障検知装置を構築することができる。
図9に示す曲線(A)及び(B)は、正負電圧差のパイパス回路の段数に対する関係が直線的になっておらず、段数が少なくなるに伴い、正負電圧差が低下する傾向にあり、段数が低い側に極大値を有する。これは、電源の出力インピーダンスと電流制限用の直列抵抗の抵抗値の和が、電源と太陽電池ストリング間の電流を電圧に変換するための直列抵抗となり、段数が少ない場合、流れる電流が増し、それにより直列に接続される抵抗による電圧降下が増加し、正電圧が低下するためである。その結果、曲線(B)から閾値を決めるとき小さな閾値を設定することが可能となり、未知のバイパス回路段数においても、故障検出できる段数の幅を広げることができる。本発明の故障検出装置の場合と異なり、仮に、曲線(A)及び(B)がパイパス回路の段数に対して直線となる場合[例えば、図9の印加電圧30Vにおいて点線で示す曲線(A’)及び(B’)の場合]は、印加電圧30Vにおいて設定できる閾値が約13Vとなる。その場合は故障を検知できるバイパス回路の段数が12段又は13段に制限され、本発明の故障検出装置で検知可能な20段と比べて故障検出できる段数の範囲が狭くなる。したがって、本発明の故障検出装置を使用することにより、30Vと低い印加電圧でも、故障を検知できるバイパス回路の段数を増やすことができる。
以上のように、本発明の故障検出装置においては、印加電圧が大きくなるほど図9に示す曲線(A)と(B)との差が広がり、故障を検知できるバイパス回路の段数を増やすことができる。さらに、曲線(A)及び(B)で表されるように、正負電圧差のパイパス回路の段数に対する関係が直線的になっておらず、印加電圧をそれ程高めなくても故障を検知できるバイパス回路の段数を増やすことができる。そのため、前記閾値を印加電圧に応じて数多く設定する必要がなくなり、結果的に設定する閾値の数を減らすことが可能になる。
従来の方法のように負電圧の値のみを使用する場合は、段数毎又は段数の幅毎に閾値を設定する必要があり、故障検知を行うための処理が煩雑になっていた。また、一般的に、太陽電池発電設備において、バイパス回路の直列段数はパネルの種類やパネルストリング数が設備毎に変わり、その段数を予め知る手段はほとんど無く、従来方式によるバイパス回路の電流電圧特性を用いた検出装置では、不特定の設備での故障検出は困難であり、適用範囲が大きく制限されていた。それに対して、本発明の太陽電池故障検出装置は、前記で説明したように、故障を検出できるバイパス回路の段数を広げることができるだけでなく、設定する閾値の数を減らすことができる。そのため、故障検知を行うときの処理が簡単であり、且つ、正確な検知を行うことができる。さらに、不特定の設備での故障検出にも使用することができ、適用範囲を広げることが可能になる。
<実施の形態2>
図10に、本実施の形態による乾電池を電源として用いた太陽電池故障検出装置の構成例を示す。図10に示すように、乾電池を小型軽量電源11として用い、発振器20及び電流増幅回路又はスイッチング回路21を用いて矩形波等の交流を発生させ、昇圧トランス22を用い昇圧回路で検出に必要な電圧の交流電圧を発生させ、太陽電池ストリングに接続した端において、電圧検出手段として機能する電圧検出回路23で正側及び負側の電圧を検出する。検出した両側の電圧は、電圧検出回路23を用いて電圧差を得て、その電圧差と比較電圧範囲設定手段24からの情報に基づいた判定用の閾値とを比較し、電圧比較回路25によってバイパス回路の断線を検出する。ここで、電圧比較回路25には故障判定手段の機能が含まれており、比較電圧範囲設定手段24及び電圧比較回路25が、図1又は図7に示す電圧比較判定手段9に相当する。そして、その検出結果を表示報知手段26によって作業者に表示報知する。
太陽電池ストリング端に交流電圧を印加する前に、その端の設定電圧以上か否かを図10に示す発電中検出回路に接続した電圧比較器により判定し、設定値以上の電圧が出力されている場合は、太陽電池が発電中とし故障検出を行わず、警告灯やブザー等により検出不可であることを報知する。
<実施の形態3>
図11に、本実施の形態による乾電池を電源として用いた太陽電池故障検出装置の別の構成例を示す。図11に示すように、乾電池を小型軽量電源11として用い、矩形波等の交流発生回路で交流を発生させ、昇圧トランス22によって昇圧回路で検出に必要な交流電圧を発生させ、太陽電池ストリングの端に接続し、その端の正負の電圧をAD変換器27でデジタル変換し、マイクロコンピュータ28に取り込み。マイクロコンピュータ28に繰り込まれたソフトウエアにより、正負の電圧差を予め設定した判定用の閾値と比較し故障判定を行った後、その判定結果を表示報知手段26にて表示報知するとともに、記憶装置29に記憶させる。後から記憶装置に記憶させた検査結果を確認することができる。
<実施の形態4>
図12は、本実施の形態によるバイパス回路テスターを示す図である。図12の(a)及び(b)には、それぞれバイパス回路テスターの構成例及びその外観を示している。図12に示すバイパス回路テスターは、交流のテスト電圧源及び電流制限手段として直列抵抗を用い、小型の携帯用太陽電池故障検出装置として使用するため、機能の簡略化を図っている。
図12の(a)に示すように、動作可否検出回路によって太陽電池パネル(Solar−Panel)が発電中でないことを確認後、LPF(ローパスフィルタ)を有する正側及び負側の電圧検出手段によって正側及び負側の電圧値をそれぞれ検出し、次いで、正負電圧値差を、閾値として設定した基準電圧と比較することによってバイパス回路の断線を検出し、被測定対象である太陽電池パネルの良否を判定する。バイパス回路の短絡については、正常時における既知の電圧絶対値を基準電圧とし、検出した負の電圧値の絶対値と前記基準電圧とを比較することにより太陽電池パネルの良否を判定してもよい。このようにして得られる良否の結果は、良否インジケータによって表示する。
本実施の形態によるバイパス回路テスター30は、乾電池より交流を発生させる交流電源を内蔵する。装置の外側には、図12の(b)の外観図に示すように、検査時に太陽電池パネルのストリング端に接触させるテスター端子31,32、検査を開始するときに押して使用するTESTボタン33、太陽電池パネル(Solar−Panel)が発電中であるか否かを表示する検査可能表示ランプ34、太陽電池パネルの良否を示すためにGood(良)ランプ35及びNG(否)ランプ36が配置されている。これらGoodランプ35及びNGランプ36が良否インジケータに相当するものであるが、ランプ点灯の他にも、太陽電池の良否を具体的に表示する方法や声等によって報知する方法を採用しても良い。また、被測定用の太陽電池パネルストリングの枚数に応じ基準電圧の変更を行う必要があるため、その場合に対応して太陽電池パネルの数を選択するためのパネル枚数切替用スイッチ37を設けることもできる。例えば、1〜2枚、3〜4枚及び5枚以上を、それぞれ左側、右側及び上側に位置するように表示し、測定前にスイッチをそれらの何れかの位置に傾けてから測定を開始する。
本実施の形態によるバイパス回路テスター30を使用するときは、正及び負にテスター端子31,32を太陽電池パネルのストリング端に接触させ、TESTボタン33を押すことにより太陽電池パネル(Solar−Panel)が発電中であるか否かを検査可能表示ランプ34の点灯に有無によって確認し、検査可能表示ランプ34が発電中には点灯し、発電中でなければ点灯しないようにする。発電中でないことを確認後、太陽電池パネルの故障の検出が開始され、断線や短絡等の故障がない場合はGoodランプ35が点灯する。仮に、太陽電池パネルのバイパス回路に断線や短絡等の故障が検出される場合はNGランプ36が点灯する。このようにして、太陽電池パネルの故障の有無を容易に検出することができる。このとき、被測定用の太陽電池パネルの枚数が1枚の場合は、パネル枚数切替用スイッチ37の設定を、パネル1枚の位置に合せるようにする。なお、本実施の形態によるバイパス回路テスタは図12の(b)に示す外観に限定されず、バイパス回路テスタの機能に応じて外観デザインを自由に変えることができる。
図13は、本実施の形態によるバイパス回路テスターの動作可否検出回路の例を示す図である。図13に示すように、動作可否検出回路は、太陽電池パネルのストリング端と並行に電流を流せるような回路を設け、この回路に十分な電流が流せるような場合は太陽電池が発電状態にあるものとして判定しフォトカップラー経由で試験回路を動作させないようにしている。本実施の形態において、動作可否検出回路は図13に示す例に限定されない。太陽電池パネルの電圧を検出することによって、太陽電池が発電状態を確認してもよい。
以上のように、本発明の太陽電池故障検出装置は、交流電源を使用することによって、太陽ストリング単位で、太陽電池の極性を気にせず無極性で簡単に接続することができる。また、乾電池や蓄電池等の低い電圧を故障判定に必要な高い電圧に昇圧することによって、小型軽量で商用電源が不要な可搬型の太陽電池故障検出装置とすることができる。さらに、太陽電池ストリング端で検出される電圧の正負の電圧差を、予め設定された正常なときの電圧差の閾値との比較によって、太陽電池ストリングに備わるバイパス回路の段数が不明な場合においても、1個以上のバイパス回路に断線故障の検出ができる等の従来の故障検出装置にはない機能を有する。本発明の太陽電池検出装置は、軽量小型であり、使い勝手にも優れるため、商用及び個人用を含めて様々な形態の太陽電池システムに適用できるため、その有用性は極めて高い。
1・・・太陽電池故障検出装置、2・・・交流電源、3・・・電流制限装置、4,5・・・太陽電池ストリング端、6・・・電圧検出手段、7・・・電圧比較手段、8・・・故障判定手段、9・・・電圧比較判定手段、10・・・表示報知手段、11・・・小型軽量電源、12・・・昇圧用交流電源回路、13・・・太陽電池故障検出装置、14・・・太陽電池発電量検出手段、15・・・交流電圧設定手段、16・・・制御回路、17・・・バイパス回路段数設定手段、18・・・保護スイッチ、19・・・昇圧用交流電源回路、20・・・発振器、21・・・電流増幅回路又はスイッチング回路、22・・・昇圧トランス、23・・・電圧検出回路、24・・・比較電圧範囲設定手段、25・・・電圧比較回路、26・・・表示報知手段、27・・・AD変換器、28・・・マイクロコンピュータ、29・・・記憶装置、30・・・バイパス回路テスター、31,32・・・テスター端子、33・・・TESTボタン、34・・・検査可能表示ランプ、35・・・Goodランプ、36・・・NGランプ、37・・・パネル枚数切替用スイッチ。

Claims (7)

  1. 太陽光発電システムを構成する太陽電池ストリング端に接続し故障を検出する装置であって、
    交流電源と、
    前記交流電源からの電流を制限するための電流制限手段と、
    前記太陽電池ストリング端の電圧を検出する手段と、
    前記太陽電池ストリングに交流電圧を印加したときの前記太陽電圧ストリング端で検出される電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の少なくとも何れかを、予め得られている正常なときの電圧の正と負の電圧値及び正負の電圧差の何れかと比較する電圧比較手段と、
    前記電圧比較手段による電圧及び電圧差の何れかの比較結果に基づいて前記太陽光発電システムの故障を判定するための判定手段と、を有することを特徴とする太陽電池故障検出装置。
  2. 前記太陽電池システムに備わるバイパス回路の故障判定を行う太陽電池故障検出装置であって、
    前記電圧比較手段及び前記判定手段において、前記太陽電池ストリング端で検出される電圧の正負の電圧差が、正常なときの前記バイパス回路の段数による電圧差の変化に基づいて予め設定された電圧差の閾値よりも小さくなるときにバイパス回路の断線と判断し、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路に故障があると判定することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池故障検出装置。
  3. 前記電圧比較手段及び前記判定手段において、前記太陽電池ストリング端のバイパス回路に対して順方向の電圧の値が、バイパス回路の段数が既知の場合に予め設定した電圧以下であるときにバイパス回路の短絡と判断し、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路に故障があると判定することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池故障検出装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置は、さらに、発電量検出部と、該発電量検出部により検出される電圧値に基づいて、太陽電池が発電状態である場合に前記太陽電圧ストリング端で電圧検出を行わないようにする保護回路とを有することを特徴とする太陽電池故障検出装置。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置は、電圧検出結果、故障判定結果、及び太陽電池が発電状態である場合に前記太陽電圧ストリング端で電圧検出が不能であることを示す結果の少なくとも何れかの結果を表示するための表示手段及び音によって知らせるための報知手段の少なくとも何れかの手段を有することを特徴とする太陽電池故障検出装置。
  6. 前記交流電源が乾電池又は蓄電池により交流を発生させたものであり、昇圧用交流電源回路によって前記太陽電圧ストリング端の電圧検出に必要な交流電圧を出力することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置。
  7. 交流電圧の増加に伴って正負の電圧差が増し始めた電圧を、前記太陽電池システムに備わるバイパス回路順電圧で除算することにより、前記バイパス回路の段数を把握できる自動検出手段を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の太陽電池故障検出装置。
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