JP2016207504A - 赤外線ヒーター及び赤外線処理装置 - Google Patents

赤外線ヒーター及び赤外線処理装置 Download PDF

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毅史 小牧
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良夫 近藤
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Abstract

【課題】赤外線を放射する際のエネルギー効率を向上させる。【解決手段】赤外線ヒーター10では、フィルタ部50が、第1透過層51を含む1以上の透過層と、透過層側反射部材75と、を有している。そして、発熱体40が加熱されると赤外線が放射され、その赤外線が第1透過層51の選択反射領域53を通過して例えば対象物へ放出される(細破線矢印)。発熱体40から放射された反射波長領域の赤外線は、選択反射領域53で反射される(実線矢印)。また、第1透過層51のうち発熱体40の中央から遠い部分に向けて放射された反射波長領域の赤外線は透過領域54を透過し、傾斜した反射面76によって発熱体40に向けて反射される(白抜き矢印)。発熱体40は、選択反射領域53や透過層側反射部材75で反射された反射波長領域の赤外線を吸収する。【選択図】図2

Description

本発明は、赤外線ヒーター及び赤外線処理装置に関する。
従来、赤外線(波長域0.7〜1000μm)を放射する赤外線ヒーター及びこれを備えた装置としては、種々の構造のものが開発されている。例えば、特許文献1には、ワークに赤外線を照射する赤外線ヒーターと、ワークと赤外線ヒーターとの間に配設された赤外線選択透過フィルタと、を備えた装置が記載されている。この装置では、赤外線選択透過フィルタが、ワークに付されたシール剤に吸収が良好に行われる波長部分を選択透過させ、他の波長部分を反射する。これにより、赤外線選択透過フィルタ自身が加熱されることがなく、自身の加熱による雰囲気温度の上昇に起因するワークの劣化が生じないとしている。
特開平9−136055号公報
しかし、特許文献1に記載の装置では、赤外線選択透過フィルタで反射された赤外線のエネルギーは、シール剤の加熱硬化に利用されない不要なエネルギーとなっていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、赤外線を放射する際のエネルギー効率を向上させることを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の赤外線ヒーターは、
加熱されると赤外線を放射し、所定の反射波長領域の赤外線を吸収可能な発熱体と、
前記反射波長領域の赤外線を反射する反射特性を有し且つ前記発熱体からの赤外線の少なくとも一部を透過する選択反射領域と、前記反射波長領域の赤外線を透過する透過領域と、を有し、前記選択反射領域は前記透過領域と比べて前記発熱体の中央寄りに配置され、前記透過領域は前記選択反射領域と比べて前記発熱体の中央から遠い位置に配置されている第1透過層、を含み、前記発熱体からの赤外線の少なくとも一部を透過する1以上の透過層と、前記第1透過層からみて前記発熱体とは反対側に配設され、前記透過領域のうち前記発熱体側の表面に対して傾斜し且つ前記透過領域を透過した前記反射波長領域の赤外線を該発熱体に向けて反射する反射面を有する透過層側反射部材と、を有し、前記発熱体と外部空間に開放された第1空間を隔てて配設されたフィルタ部と、
を備えたものである。
この赤外線ヒーターでは、フィルタ部が、第1透過層を含む1以上の透過層と、透過層側反射部材と、を有している。そして、発熱体が加熱されると赤外線が放射され、その赤外線が第1透過層の選択反射領域を通過して例えば対象物へ放出される。また、発熱体から放射された反射波長領域の赤外線は、第1透過層の選択反射領域で反射されたり、第1透過層の透過領域を透過したあと透過層側反射部材で反射されたりする。そして、発熱体は、選択反射領域や透過層側反射部材で反射された反射波長領域の赤外線を吸収する。そのため、反射された赤外線を吸収することで発熱体の温度が上昇しやすくなる。なお、例えば第1透過層が透過領域を備えず全面が選択反射領域である場合、反射波長領域の赤外線が発熱体以外の方向に反射されて外部空間に放出されることがある。特に第1透過層のうち発熱体の中央から遠い部分ほどそのようなことが起きやすい。これに対し、本発明の赤外線ヒーターでは、選択反射領域と比べて発熱体の中央から遠い位置に透過領域を配置し、且つ第1透過層からみて発熱体とは反対側に傾斜した反射面を有する透過層側反射部材を配置している。そのため、第1透過層のうち発熱体の中央から遠い部分に向けて放射された反射波長領域の赤外線を、傾斜した反射面によって発熱体に向けて反射できる。その結果、反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制して発熱体の温度を上昇しやすくできる。そして、発熱体の温度が上昇しやすいことで、発熱体を使用時の温度にするために外部から投入するエネルギーが少なくてすむ。したがって、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。ここで、前記外部空間は、真空であってもよいし、真空以外の雰囲気であってもよい。
なお、この赤外線ヒーターでは、透過層は発熱体からの赤外線を透過するため、例えば反射波長領域の赤外線を吸収する場合と比較して透過層の温度が上昇しにくい。一方、発熱体は上記のように温度が上昇しやすい。さらに、発熱体とフィルタ部との間の第1空間が外部空間に開放されていることで、第1空間での熱滞留が抑制されてフィルタ部の温度上昇が抑制される。以上により、この赤外線ヒーターでは、使用時の発熱体とフィルタ部(特に発熱体に最も近い透過層)との温度差を大きくすることができる。発熱体とフィルタ部との温度差が大きくなることで、例えば透過層の温度を耐熱温度以下に保ちつつ発熱体を高温にすることができ、対象物に放射される赤外線のエネルギーを大きくすることができる。また、発熱体の温度が同じでも本発明の赤外線ヒーターではフィルタ部をより低温に保つことができ、フィルタ部の温度上昇による対象物やその周辺(例えば炉体や炉内の処理空間等)の温度上昇を抑制できる。ここで、上述した反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制するためにフィルタ部と発熱体との間に反射部材を配置することも考えられる。しかし、その場合は第1空間が外部空間に開放されていることによる上述したフィルタ部の温度上昇抑制効果を反射部材が妨げる場合がある。これに対し、本発明の赤外線ヒーターでは、第1透過層からみて発熱体とは反対側に透過層側反射部材を配置しているため、透過層側反射部材が第1空間の開放を妨げることがない。したがって、発熱体とフィルタ部との温度差が大きくなることを妨げないようにしつつ、赤外線を放射する際のエネルギー効率をより向上させることができる。
本発明の赤外線ヒーターにおいて、前記第1透過層の前記透過領域は、前記発熱体側からみて前記選択反射領域の周囲を囲むように位置していてもよい。こうすれば、反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制するという上述した効果が高まり、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。
本発明の赤外線ヒーターにおいて、前記透過層側反射部材は、前記反射面を前記第1透過層のうち前記発熱体と対向する面に垂直に投影したときに該反射面が前記選択反射領域に重ならないように配設されていてもよい。こうすれば、選択反射領域を通過した赤外線を透過層側反射部材が妨げにくいため、対象物に赤外線を放射しやすい。
本発明の赤外線ヒーターにおいて、前記透過層側反射部材は、前記反射面が凹面になっていてもよい。こうすれば、反射面によって赤外線を発熱体に集中的に反射でき、反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制するという上述した効果が高くなりやすい。
本発明の赤外線ヒーターは、前記発熱体からみて前記透過層とは反対側に配設され前記反射波長領域の赤外線を反射する発熱体側反射部材、を備えていてもよい。こうすれば、発熱体からみて透過層とは反対側に向かう赤外線を発熱体側反射部材が透過層側に反射することで、発熱体側反射部材が反射した赤外線で発熱体を加熱することができる。そのため、発熱体の温度が上昇しやすくなり、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。
本発明の赤外線ヒーターにおいて、前記1以上の透過層のうち前記発熱体に最も近い最接近透過層は、該発熱体側の表面が前記第1空間に露出しており、前記発熱体と前記最接近透過層との距離を距離D[cm]とし、前記発熱体を前記最接近透過層に対して垂直方向に該最接近透過層に投影した領域を投影領域とし、該投影領域全体を囲む矩形又は円形の最小の領域の面積を発熱体面積S[cm2]とし(ただし、0cm2<S≦400cm2)、代表寸法L[cm]=2×√(S/π)としたときに、0.06≦D/L≦0.23であってもよい。ここで、比D/Lが小さいほど、発熱体から最接近透過層への伝熱は、第1空間内の雰囲気を介した熱伝導に依存し不可避となる。結果、第1空間での熱滞留が大きくなり、最接近透過層の温度が上昇しやすくなる。ここで、比D/Lを0.06以上とすることで、伝導熱流束の過大化を防止し、使用時の発熱体とフィルタ部との間の伝熱量を小さくして、フィルタ部(特に最接近透過層)の温度上昇を十分抑制することができる。また、比D/Lの上昇に伴い、今度は第1空間内の伝熱が対流に依存するようになり、比D/Lが過度に大きくなると、第1空間での対流損失が大きくなり、発熱体の温度が低下しやすくなる。この場合は、比D/Lを0.23以下とすることで、対流熱伝達係数の上昇を防止し、対流損失による発熱体の温度低下を十分抑制することができる。以上により、0.06≦D/L≦0.23とすることで、使用時の発熱体の温度低下を抑制しつつ、発熱体とフィルタ部(特に最接近透過層)との温度差をより大きくすることができる。結果的に、発熱体からの赤外線エネルギーは、より多くがフィルタ部の透過分に回り、対象物に放射され、効率よく対象物の赤外線処理(例えば加熱など)を行うことができる。ここで、「投影領域全体を囲む矩形又は円形の最小の領域の面積」とは、投影領域全体を囲む最小の矩形の領域と最小の円形の領域とを描いたときに、面積が小さい方の領域の面積を意味する。また、「矩形」には正方形や長方形に限らず、平行四辺形やそれ以外の四角形も含む。「円形」には、真円に限らず楕円も含む。また、0.06≦D/L≦0.23を満たした場合の上述した効果がより確実に得られるため、前記投影領域の面積/発熱体面積S≧0.5であることが好ましい。なお、0.06≦D/L≦0.23とする態様の本発明の赤外線ヒーターにおいて、「第1空間が外部空間に開放されている」状態とは、上述した効果(第1空間での熱滞留を抑制してフィルタ部の温度上昇を抑制する効果)が得られる程度以上に、第1空間と外部空間とが雰囲気の出入り自由に連通している状態を意味する。また、前記外部空間は真空以外の雰囲気であればよい。前記外部空間は大気雰囲気であってもよい。すなわち、前記第1空間は大気開放されていてもよい。
本発明の赤外線ヒーターにおいて、前記発熱体は、前記透過層に向けて赤外線を放射可能であり且つ前記反射波長領域の赤外線を吸収可能な平面を有する面状発熱体としてもよい。こうすれば、例えば発熱体が線状発熱体である場合と比較して選択反射層や透過層側反射部材で反射された赤外線を吸収しやすくなり、発熱体の温度が上昇しやすくなる。したがって、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。
本発明の赤外線処理装置は、
対象物に赤外線を放射して赤外線処理を行う赤外線処理装置であって、
上述したいずれかの態様の本発明の赤外線ヒーターと、
前記第1空間と直接には連通しておらず且つ前記発熱体から放射され前記フィルタ部を透過した後の赤外線により前記赤外線処理を行う空間である処理空間、を形成する炉体と、
を備えたものである。
この赤外線処理装置は、上述したいずれかの態様の赤外線ヒーターを備えている。そのため、上述した本発明の赤外線ヒーターと同様の効果、例えば赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する効果が得られる。
赤外線処理装置100の縦断面図。 赤外線ヒーター10の拡大断面図。 発熱部20の下面図。 投影領域と発熱体面積Sとの関係の説明図。 第1透過層51と透過層側反射部材75の位置関係の概略を示す斜視図。 第1透過層51に投影した反射面76の位置を示す上面図。 変形例の赤外線ヒーター10aの拡大断面図。 変形例の赤外線ヒーター10bの拡大断面図。 実験例1〜18における比D/Lと発熱体40,第1透過層51,対象物の温度との関係を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、複数の赤外線ヒーター10を備えた赤外線処理装置100の縦断面図である。図2は、赤外線ヒーター10の拡大断面図である。図3は、発熱部20の下面図である。図4は、発熱部20の投影領域と発熱体面積Sとの関係の説明図である。図5は、第1透過層51(本発明の透過層に相当),透過層側反射部材75の位置関係の概略を示す斜視図である。図6は、第1透過層51に投影した反射面76の位置を示す上面図である。なお、本実施形態において、上下方向,左右方向及び前後方向は、図1〜3,5,6に示した通りとする。
赤外線処理装置100は、半導体素子90上に形成された対象物(塗膜92)に赤外線を放射して赤外線処理(ここでは塗膜92の乾燥)を行う乾燥炉として構成されており、処理空間81を形成する炉体80と、ベルトコンベア85と、複数の赤外線ヒーター10と、を備えている。炉体80は、略直方体に形成された断熱構造体であり、内部に処理空間81を形成している。炉体80の天井部分には、複数の赤外線ヒーター10(図1では5個)が取り付けられており、この赤外線ヒーター10からの赤外線が処理空間81内に放射される。ベルトコンベア85は、炉体80の左右端を貫通し処理空間81を貫通するベルトを備えており、左から右に向かって半導体素子90を搬送する。半導体素子90上に形成された塗膜92は、例えばシリコーンとトルエンとを含む塗膜であり、乾燥後に半導体素子90の保護膜となるものである。
図1,図2に示すように、赤外線ヒーター10は、発熱部20と、発熱部20の下方に取り付けられたフィルタ部50と、を備えている。発熱部20は、赤外線ヒーター10の上側を覆うケース22と、加熱されると赤外線を放射する発熱体40と、ケース22内で発熱体40を支持する支持板30と、上下方向で発熱体40及び支持板30とケース22との間に配設された発熱体側反射部材23と、を備えている。
ケース22は、発熱体40等を収納する部材であり、下方に向けて開口した略直方体の箱状の部材である。ケース22は、内部に配置された発熱体側反射部材23,支持板30を固定する図示しない固定具を備えている。また、ケース22は、赤外線ヒーター10を図示しない他の部材に取り付けて固定するための図示しない取付具を備えている。
発熱体側反射部材23は、発熱体40からみて第1透過層51とは反対側(発熱体40の上側)に配置された板状部材である。発熱体側反射部材23は、発熱体40から放射される赤外線を反射する部材として構成されており、本実施形態では金属(例えばSUSやアルミニウム)で形成されている。
支持板30は、発熱体40が巻き付けられることで発熱体40を支持する平板状の部材であり、例えばマイカやアルミナセラミックスなどの絶縁体からなる。支持板30は、図3に示すように、前側に複数(本実施形態では6箇所)形成された前側凸部31と、後側に複数(本実施形態では5箇所)形成された後側凸部32と、を備えている。前側凸部31及び後側凸部32は、下面視で台形状をしており、左右方向に平行な面を有する頂上部分と、頂上部分の左右両側に配設され左右方向から傾斜した(例えば45°)斜面と、を有している。複数の前側凸部31及び複数の後側凸部32は、それぞれ左右方向に定ピッチで配設されており、これにより支持板30の前側及び後側は凹凸状になっている。また、前側凸部31と後側凸部32とは、互いに左右方向に1/2ピッチずれて配設されている。なお、支持板30には孔が形成されており(図3では2箇所)、発熱体40からの赤外線はこの孔を通過して上方の発熱体側反射部材23に到達可能である。
発熱体40は、リボン状の発熱体であり、いわゆる面状発熱体として構成されている。発熱体40は、例えばNi−Cr合金などの金属からなる。発熱体40は、第1透過層51側の表面(下面)において所定の反射波長領域(本実施形態では3.5μm〜4.5μm)の赤外線の少なくとも一部を吸収可能である。発熱体40は、反射波長領域の赤外線の吸収率が70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。本実施形態では、発熱体40は、波長2μm〜8μmにおける赤外線の吸収率が70%以上とした。本実施形態では、発熱体40は、セラミックス溶射膜で表面がコーティングされており、これにより赤外線の放射率及び吸収率が高められている。セラミックス溶射膜の材質としては、例えばアルミナ,クロミアなどが挙げられる。また、発熱体40は、第1透過層51側の表面(発熱体40の下面)における赤外線の放射率よりも第1透過層51とは反対側の表面(発熱体40の上面)における赤外線の放射率が低いことが好ましい。本実施形態では、発熱体40の下面のみがセラミックス溶射膜でコーティングされており、発熱体40の下面よりも上面の方が赤外線の放射率が低くなっている。発熱体40の上面の赤外線の放射率は、30%以下であることが好ましい。なお、図2,図3に示したような支持板30,発熱体40の形状は公知であり、例えば特開2006−261095号公報に記載されている。
図3に示すように、発熱体40は、左後方の折り返し端部41から右後方の折り返し端部41までに亘って、支持板30の下面側を前後方向に複数回(本実施形態では12回)通過するように、支持板30に巻き付けられている。より具体的には、発熱体40は、左後方の折り返し端部41から支持板30の下面側で前側凸部31に向かって引き回され、前側凸部31の左側の斜面に沿って折り返されて前側凸部31の上面側を通過している(図3右上の拡大部分参照)。そして、前側凸部31の上面側を通過した発熱体40は、前側凸部31の右側の斜面に沿って折り返されて支持板30の下面側で後側凸部32に向かって引き回され、後側凸部32の斜面に沿って折り返され後側凸部32の上面側を通過して、支持板30の下面側で前側凸部31に向かって引き回される。このようにして、発熱体40は支持板30の下面側を前後方向に通過しながら前側凸部31と後側凸部32とに交互に巻き付けられ、右後方の折り返し端部41まで引き回されている。なお、詳細な図示は省略するが、発熱体40は、折り返し端部41,41の部分で支持板30の上面側に折り返されてさらに引き回されており、発熱体40の両端がケース22に取り付けられた図示しない一対の入力端子にそれぞれ接続されている。この一対の入力端子を介して、発熱体40に外部から電力を供給可能である。発熱体40の下面は、第1透過層51の上面と対向しており、いずれの面も水平方向(前後左右方向)と略平行になるように配設されている。
ここで、フィルタ部50が備える1以上の透過層のうち発熱体40に最も近い最接近透過層である第1透過層51と発熱体40との距離を距離D[cm]とし(図2参照)、発熱体40を第1透過層51に対して垂直方向に第1透過層51に投影した領域を投影領域とし、投影領域全体を囲む矩形又は円形の最小の領域である発熱体領域Eの面積を発熱体面積S[cm2]とし(ただし、0cm2<S≦400cm2)、代表寸法L[cm]=2×√(S/π)としたときに、比D/Lの値が0.06≦D/L≦0.23であることが好ましく、0.12≦D/L≦0.2であることがより好ましい。本実施形態では、第1透過層51は平板状の部材であり、発熱体40と第1透過層51とは平行に配設されている。そのため、投影領域は、発熱体40を下方向(発熱体40の下面及び第1透過層51の上面に垂直な方向)から見たときの発熱体40の下面の領域(図3に示した発熱体40の形状の領域)に等しい。そして、この投影領域を囲む矩形の最小の領域は、図4に示す長方形の発熱体領域Eとなる。そして、この長方形の発熱体領域Eの面積すなわち左右方向の長さX(=発熱体40の左端から右端までの長さ)と前後方向の長さY(=発熱体40の前後方向の長さ)との積が、発熱体面積Sとなる。このように、発熱体面積Sは、前後に引き回された発熱体40の左右の隙間など、発熱体40が存在しない部分も含めた面積として定義される。また、代表寸法Lは、発熱体面積Sと同じ面積の円の直径に等しい。なお、本実施形態では発熱体領域Eは矩形としたが、例えば発熱体40が円形状に近い場合など投影領域を円形の領域で囲んだ方が発熱体面積Sが小さくなる場合には、投影領域を囲む円形の最小の領域を発熱体領域Eとし、この発熱体領域Eの面積を発熱体面積Sとする。すなわち、発熱体領域E(投影領域全体を囲む矩形又は円形の最小の領域)は、投影領域全体を囲む矩形の最小の領域と投影領域全体を囲む円形の最小の領域とのうち小さい方の領域とする。また、0.06≦比D/L≦0.23を満たすことによる効果がより確実に得られるため、投影領域の面積/発熱体面積S≧0.5であることが好ましい。すなわち、図4における発熱体領域Eのうち発熱体40(投影領域)が存在する領域が50%以上であることが好ましい。また、1cm2<S≦400cm2であってもよい。また、特にこれに限定しないが、距離Dは8mm〜30mmとしてもよい。
なお、発熱部20とフィルタ部50とは、図示しない接続部材により接続されて、互いの位置関係が固定されている。これにより、発熱体40とフィルタ部50(第1透過層51)とは第1空間47を介して離間している。また、図2に示すようにケース22は第1固定板71と上下に離間しており、第1空間47はケース22と第1固定板71との上下の隙間を介して外部空間(炉体80の外部の空間)に開放されている。発熱体40と第1透過層51は、第1空間47に露出している。なお、本実施形態では、外部空間は大気雰囲気とした。
フィルタ部50は、発熱体40からの赤外線の少なくとも一部を透過する透過層として、第1透過層51を備えている。また、フィルタ部50は、第1透過層51を載置して固定する矩形の枠状部材である第1固定板71と、第1透過層51からみて発熱体40とは反対側(第1透過層51の下側)に配設された透過層側反射部材75(第1〜第4透過層側反射部材75a〜75d)と、を備えている。第1固定板71は、炉体80の上部に取り付けられている。
第1透過層51は、図5,6に示すように、上面視で四角形状をした板状の部材である。この第1透過層51は、上面視で四角形状の選択反射領域53と、選択反射領域53の周囲を囲むように位置する上面視で枠形状の透過領域54と、を備えている。選択反射領域53は、所定の反射波長領域の赤外線を反射する反射特性を有し、且つ発熱体40からの赤外線の少なくとも一部を透過する特性を有している。本実施形態では、選択反射領域53は、赤外線の透過率のピークである第1透過ピークと、第1透過ピークよりも長波長である第2透過ピークと、を有し、第1透過ピークの波長と第2透過ピークの波長との間に反射波長領域を有している。本実施形態では、選択反射領域53は干渉フィルタ(光学フィルタ)として構成され、図2に示すように基板51aと、基板51aの上面を覆う上側コート層51bと、基板51aの下面を覆う下側コート層51cと、を備えているものとした。上側コート層51bは、バンドパス層として機能する層であり、選択反射領域53の上方から入射された光のうち第1,第2透過ピークの波長及びその周辺の波長領域の赤外線を下方に透過させる。また、上側コート層51bは、反射波長領域の赤外線については上方に反射する。下側コート層51cは、反射防止膜として機能する層であり、基板51aの下面で赤外線(特に、反射波長領域以外の赤外線)が上方に反射するのを抑制する。基板51aの材質としては、シリコンが挙げられる。上側コート層51bの材質としては、セレン化亜鉛,ゲルマニウム,硫化亜鉛などが挙げられる。下側コート層51cの材質としては、ゲルマニウム,一酸化ケイ素,硫化亜鉛などが挙げられる。なお、上側コート層51b及び下側コート層51cの少なくとも一方が、複数種類の材料を積層した多層構造であってもよい。
本実施形態では、選択反射領域53の第1透過ピークの波長が2μm〜3μmであり、第2透過ピークの波長が5μm〜8.5μmであり、反射波長領域が3.5μm〜4.5μmであるものとした。例えば、上側コート層51bとして硫化亜鉛とゲルマニウムとを交互に複数層積層したものを用い、下側コート層51cとして硫化亜鉛とゲルマニウムとを交互に複数層積層したものを用い、基板51a,上側コート層51b,下側コート層51cの厚さを適宜調整することで、そのようなフィルタ特性が得られる。第1透過ピーク及び第2透過ピークの赤外線の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。反射波長領域における赤外線の反射率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。また、選択反射領域53は、反射波長領域内の少なくとも一部における赤外線の透過率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。選択反射領域53は、反射波長領域全体に亘って赤外線の透過率が10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
また、特にこれに限定するものではないが、選択反射領域53は、波長2μm〜3μmの波長領域の赤外線の透過率が40%以上であってもよい。選択反射領域53は、波長5μm〜8.5μmの波長領域の赤外線の透過率が80%以上であってもよい。選択反射領域53は、波長8.5μm〜9.5μmの波長領域の赤外線の透過率が70%以上であってもよい。選択反射領域53は、波長9.5μm〜13μmの波長領域の赤外線の透過率が60%以上であってもよい。
透過領域54は、少なくとも反射波長領域(本実施形態では3.5μm〜4.5μm)の赤外線を透過する特性を有している。本実施形態では、透過領域54は選択反射領域53と同様の構成をしており、図2に示すように選択反射領域53と共通の基板51aと、基板51aの上面を覆う上側コート層51eと、基板51aの下面を覆う下側コート層51fと、を備えているものとした。また、本実施形態では、透過領域54は、反射波長領域も含めて波長2μm〜8μmの赤外線の透過率が90%以上とした。上側コート層51e,下側コート層51fの各々の材質としては、例えば、上述した上側コート層51b,下側コート層51cの各々と同様のものを用いることができる。また、例えば上側コート層51e,下側コート層51fの各々を複数種類の材料を積層した多層構造とし且つ上側コート層51b,下側コート層51cよりも積層数を減らしたり、上側コート層51e,下側コート層51gの厚さを適宜調整したりすることで、上述した特性の透過領域54が得られる。透過領域54は、反射波長領域内の少なくとも一部における赤外線の透過率が70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。透過領域54は、反射波長領域全体に亘って赤外線の透過率が70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
なお、このような選択反射領域53と透過領域54とを有する第1透過層51は、基板51aに対して適宜マスクを用いつつ上述した材料を用いて例えば蒸着により上側コート層51b,51e、下側コート層51c,51fをそれぞれ形成することにより、一体的に形成することができる。ただし、第1透過層51は選択反射領域53と透過領域54とを一体的に形成したものに限られない。
透過層側反射部材75は、図5に示すように、第1〜第4透過層側反射部材75a〜75dを有している。第1,第2透過層側反射部材75a,75bは、第1透過層51の下方の左右に配置され、長手方向が前後方向に沿っている。第3,第4透過層側反射部材75c,75dは、第1透過層51の下方の前後に配置され、長手方向が左右方向に沿うように配置されている。第1〜第4透過層側反射部材75a〜75dは、第1固定板71の下側に取り付けられている。第1〜第4透過層側反射部材75a〜75dの各々は、発熱体40側の平面である反射面76a〜76dを有している。なお、反射面76a〜76dを反射面76と総称する。反射面76は、発熱体40から放射され透過領域54を透過した少なくとも反射波長領域の赤外線を、発熱体40に向けて反射する。反射面76a〜76dは、いずれも第1透過層51の透過領域54のうち発熱体40側の表面(上面)すなわち水平面に対して角度θだけ傾斜して、発熱体40の前後左右の中央側を向くように配置されている。角度θは、0°超過90未満であり、発熱体40に効率よく赤外線を反射できるように、発熱体40の大きさ,距離D,発熱体40と反射面76との距離や位置関係などに応じて適宜定めることができる。なお、角度θが大きすぎると反射面76から処理空間81内に反射される赤外線が多くなりやすく、角度θが小さすぎると反射面76から発熱体40に向かわず外部空間に反射される赤外線が多くなりやすい。そのため、角度θは30°以上60°以下としてもよい。本実施形態では、角度θは45°とした。透過層側反射部材75は、本実施形態では金属(例えばSUSやアルミニウム)で形成されている。反射面76は、反射波長領域全体に亘って赤外線の透過率が70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。また、透過層側反射部材75は、反射波長領域以外の赤外線についても反射してもよい。例えば、透過領域54が透過する波長2μm〜8μmの赤外線の反射率が70%以上、80%以上、90%以上としてもよい。
ここで、図6を用いて、選択反射領域53,透過領域54,発熱体領域E,及び第1透過層51のうち発熱体40に対向する面(上面)に垂直に投影した反射面76の位置関係について説明する。なお、図6では、発熱体領域Eを一点鎖線で示し、第1透過層51に投影した反射面76を破線で示した。また、本実施形態では、選択反射領域53,透過領域54,発熱体領域Eは、前後左右の中心が略一致(中心55)しているものとした。図示するように、選択反射領域53は、透過領域54と比べて発熱体40の中央寄りすなわち中心55寄りに配置されている。また、選択反射領域53は、発熱体領域Eの前後左右の中心55を含んでいる。透過領域54は選択反射領域53と比べて発熱体の中央から遠い位置すなわち中心55から遠い位置に配置されている。また、透過領域54は、発熱体領域Eの前後左右の端部を含み、発熱体領域Eのうち選択反射領域53と重複しない領域を全て含んでいる。透過領域54は、発熱体領域Eよりも外側の領域も含んでいる。すなわち、透過領域54の一部は発熱体40よりも前後左右に広がっている(図2も参照)。反射面76a〜76dは、それぞれ発熱体領域Eの左,右,前,後に位置しており、いずれも発熱体領域E及び選択反射領域53とは重ならないように位置している。すなわち、反射面76(ひいては透過層側反射部材75)は、発熱体40の真下や選択反射領域53の真下には存在しないように配設されている。反射面76a〜76dは、いずれも透過領域54に含まれる(透過領域54からはみ出さない)ように位置している。
図6に示す透過領域54と発熱体領域Eとの重複部分の幅(発熱体領域Eの中心55から第1透過層51の上面において外に向かう方向の大きさ)Wa〜Wdは、小さいほど選択反射領域53が大きく塗膜92に放射される赤外線のエネルギーが増大する傾向にある。一方、幅Wa〜Wdは、大きいほど反射面76から発熱体40に反射される赤外線のエネルギーが増大する傾向にある。そのため、両者を考慮して幅Wa〜Wdを定めることが好ましい。具体的には、幅Wa,Wbは、それぞれ発熱体領域Eの左右方向の長さXの10〜20%とすることが好ましい。幅Wc,Wdは、それぞれ発熱体領域Eの前後方向の長さYの10〜20%とすることが好ましい。幅Wa〜Wdは、上述した代表寸法Lの10〜20%としてもよい。幅Wa〜Wdは、上述した距離Dの90%〜110%としてもよい。幅Wa〜Wdは、10mm以上30mm以下としてもよい。また、透過領域54と発熱体領域Eとの重複部分の面積は、例えば発熱体領域Eの面積(発熱体面積S)の30%〜65%とすることが好ましい。
なお、炉体80の上面(天井部分)には、赤外線ヒーター10と同じ数の複数の開口が形成されており、複数の赤外線ヒーター10はこの開口を塞ぐように炉体80の上部に取り付けられている。そのため、第1透過層51の下面や透過層側反射部材75は、処理空間81に露出している。処理空間81と第1空間47とは、第1透過層51及び第1固定板71で仕切られており、直接には連通していない。ただし、処理空間81,第1空間47はいずれも赤外線処理装置100の外部空間には連通しているため、外部空間を介してこれらは互いに連通している。また、赤外線ヒーター10は、炉体80の天井よりも上方に飛び出すように配置されている。そのため、発熱体40,第1空間47は炉体80の外に位置している。
こうして構成された赤外線処理装置100の使用例を以下に説明する。まず、図示しない電源を赤外線ヒーター10の入力端子に接続し、発熱体40の温度が予め設定された温度(ここでは700℃とする)になるように発熱体40に電力を供給する。通電された発熱体40は加熱により赤外線を放射する。また、ベルトコンベア85により、予め塗膜92を上面に形成した半導体素子90を搬送する。これにより、半導体素子90は炉体80の左側から炉体80内に搬入され、処理空間81を通過して炉体80の右側から搬出される。そして、塗膜92は、処理空間81を通過する間に赤外線ヒーター10からの赤外線によって乾燥(トルエンが蒸発)し、保護膜となる。
ここで、発熱体40が加熱されると、主に発熱体40の下面からの赤外線が、下方のフィルタ部50(第1透過層51)に向かって放出される。発熱体40から放射された赤外線のうち選択反射領域53に向かう反射波長領域の赤外線は、選択反射領域53で反射されて上方に向かい、発熱体40に吸収される(図1,2の実線矢印参照)。また、発熱体40からの赤外線のうち透過領域54に向かう反射波長領域の赤外線は、透過領域54を透過したあと反射面76で反射されて発熱体40に吸収される(図1,2の白抜き矢印参照)。そのため、反射された赤外線を吸収することで発熱体40の温度が上昇しやすくなり、発熱体40を700℃にするために外部から投入するエネルギー(電力)が少なくてすむ。したがって、赤外線ヒーター10から赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。なお、例えば第1透過層51が透過領域54を備えず全面が選択反射領域53である場合、反射波長領域の赤外線が発熱体40以外の方向に反射されて外部空間に放出されることがある(図2の太破線参照)。特に第1透過層51のうち発熱体40の中央から遠い部分ほどそのようなことが起きやすく、この外部空間に放出された赤外線のエネルギーは利用できない。これに対し、本実施形態の赤外線ヒーター10では、選択反射領域53と比べて発熱体40の中央から遠い位置に透過領域54を配置し、且つ第1透過層51からみて発熱体40とは反対側に傾斜した反射面76を有する透過層側反射部材75を配置している。そのため、第1透過層51のうち発熱体40の中央から遠い部分に向けて放射された反射波長領域の赤外線を、傾斜した反射面76によって発熱体75に向けて反射できる。その結果、反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制して発熱体40の温度を上昇しやすくでき、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。また、本実施形態では、反射波長領域だけでなく波長2μm〜8μmの赤外線について、透過領域54が透過し反射面76が反射して発熱体40が吸収可能である。そのため、発熱体40から透過領域54に向かう波長2μm〜8μmの赤外線のエネルギーを発熱体40の温度上昇に利用することができている。
また、第1透過層51は反射波長領域の赤外線を選択反射領域53で反射し透過領域54で透過するため、例えば反射波長領域の赤外線を吸収する場合と比較して第1透過層51の温度が上昇しにくい。一方、発熱体40は上記のように温度が上昇しやすい。さらに、発熱体40と第1透過層51との間の第1空間47が外部空間に開放されていることで、第1空間47での熱滞留が抑制されて第1透過層51の温度上昇が抑制される。このように、赤外線ヒーター10は、発熱体40の温度が上昇しやすく、且つ第1透過層51の温度が上昇しにくくなっている。そのため、赤外線ヒーター10では、使用時の発熱体40と第1透過層51との温度差が大きくなりやすい。ここで、上述した反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制するために第1透過層51と発熱体40との間に反射部材を配置することも考えられる。しかし、その場合は第1空間47が外部空間に開放されていることによる上述した第1透過層51の温度上昇抑制効果(熱滞留を抑制する効果)を反射部材が妨げる場合がある。これに対し、本実施形態の赤外線ヒーター10では、発熱体40とは反対側に透過層側反射部材75を配置しているため、透過層側反射部材75が第1空間47の開放を妨げることがない。したがって、発熱体47と第1透過層51との温度差が大きくなることを妨げないようにしつつ、赤外線を放射する際のエネルギー効率をより向上させることができる。
また、発熱体40からの赤外線のうち選択反射領域53に向かう反射波長領域以外の波長領域の赤外線は、選択反射領域53を通過して(図1,2の細破線矢印参照)、処理空間81内に放射される。そして、処理空間81内に放射される赤外線は、フィルタ部50(第1透過層51)の上述したフィルタ特性により、2つの放射ピークを有し、反射波長領域(3.5μm〜4.5μm)の赤外線をほとんど含まない。ここで、トルエンは、例えば波長3.3μm,波長6.7μmなどに赤外線の吸収ピークを有する。そのため、この2つの吸収ピーク付近の波長の放射ピークを有する赤外線を赤外線ヒーター10が処理空間81内に放射することで、塗膜92から効率よくトルエンを蒸発させることができる。そして、トルエンが蒸発することで、半導体素子90の表面にシリコーンからなる保護膜を形成することができる。
このように、本実施形態の赤外線ヒーター10では、赤外線処理(塗膜92の乾燥)を効率よく行うための波長領域の赤外線についてはフィルタ部50(選択反射領域53)を透過して塗膜92に放射することができる。一方、反射波長領域の赤外線は、トルエンの吸収ピークから外れており蒸発にあまり寄与しない不要な波長領域の赤外線である。そのため、赤外線ヒーター10は、赤外線処理にあまり寄与しない反射波長領域の赤外線については処理空間81内に放射せず発熱体40に反射して発熱体40の加熱に用いるようにしている。なお、選択反射領域53のフィルタ特性が同じであっても、発熱体40の温度が異なることで処理空間81内に放射される赤外線は放射ピークなどの波長特性が変化する。そのため、発熱体40の使用時の温度を変えることで処理空間81内に放射される赤外線の2つの放射ピークの波長はある程度調整することができる。使用時の発熱体40の温度は、例えば対象物の吸収ピークの波長と処理空間81内に放射される赤外線の放射ピークとがなるべく近くなるように、対象物に応じて適宜定めることができる。
以上説明した本実施形態の赤外線処理装置100によれば、選択反射領域53や反射面76で反射された赤外線を吸収することで発熱体40の温度が上昇しやすくなる。また、第1透過層51のうち発熱体40の中央から遠い部分に向けて放射された反射波長領域の赤外線を、傾斜した反射面76によって発熱体に向けて反射できる。その結果、反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制して発熱体40の温度を上昇しやすくできる。したがって、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。
また、赤外線ヒーター10では、フィルタ部50(特に第1透過層51)と発熱体40との温度差を大きくすることができる。発熱体40とフィルタ部50との温度差が大きくなることで、例えば第1透過層51の温度を耐熱温度以下に保ちつつ発熱体40を高温にすることができ、塗膜92に放射される赤外線のエネルギーを大きくすることができる。また、発熱体40の温度が同じでも赤外線ヒーター10ではフィルタ部50をより低温に保つことができ、フィルタ部の温度上昇による塗膜92やその周辺(例えば炉体80や処理空間81等)の温度上昇を抑制できる。また、透過層側反射部材75は第1透過層51よりも下方に配置されており第1空間47の開放を妨げない。したがって、発熱体40とフィルタ部50との温度差が大きくなることを妨げないようにしつつ、赤外線を放射する際のエネルギー効率をより向上させることができる。
さらに、透過領域54は、発熱体40側からみて選択反射領域53の周囲を囲むように位置している。そのため、反射波長領域の赤外線の外部空間への放出を抑制するという上述した効果が高まり、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。また、透過層側反射部材75は、反射面76を第1透過層51のうち発熱体40と対向する面に垂直に投影したときに、透過領域54のうち左側,右側,前側,後側の部分の各々と反射面76a〜76dとが重複するように配設されている。また、反射面76は、発熱体40側からみて選択反射領域53の周囲を囲むように位置している。そのため、赤外線ヒーター10が例えば反射面76a〜76dのうち1〜3個を備えない場合と比較して、反射波長領域の赤外線を発熱体に向けて反射する効果が高まり、発熱体の温度がより上昇しやすくなる。したがって、赤外線を放射する際のエネルギー効率がより向上する。
さらにまた、透過層側反射部材75は、反射面76を第1透過層51のうち発熱体40と対向する面に垂直に投影したときに反射面76が選択反射領域53に重ならないように配設されている。そのため、選択反射領域53を通過した赤外線を透過層側反射部材75が妨げにくいため、塗膜92に赤外線を放射しやすい。
そしてまた、赤外線ヒーター10は、発熱体40からみて第1透過層51とは反対側に配設され反射波長領域の赤外線を反射する発熱体側反射部材23を備えている。そのため、発熱体40からみて第1透過層51とは反対側(上方)に向かう赤外線を発熱体側反射部材23が第1透過層51側(下方)に反射することで、発熱体側反射部材23が反射した赤外線で発熱体40を加熱することができる。そのため、発熱体40の温度が上昇しやすくなり、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。
そしてまた、赤外線ヒーター10において、フィルタ部50が備える1以上の透過層のうち発熱体40に最も近い最接近透過層(第1透過層51)は、発熱体40側の表面(上面)が第1空間47に露出している。そして、赤外線ヒーター10は、0.06≦D/L≦0.23を満たしている。ここで、比D/Lが小さいほど、発熱体40から最接近透過層(第1透過層51)への伝熱は、第1空間47内の雰囲気を介した熱伝導に依存し不可避となる。結果、第1空間47での熱滞留が大きくなり、最接近透過層(第1透過層51)の温度が上昇しやすくなる。ここで、比D/Lを0.06以上とすることで、伝導熱流束の過大化を防止し、使用時の発熱体40とフィルタ部50との間の伝熱量を小さくして、フィルタ部50(特に第1透過層51)の温度上昇を十分抑制することができる。また、比D/Lの上昇に伴い、今度は第1空間47内の伝熱が対流に依存するようになり、比D/Lが過度に大きくなると、第1空間47での対流損失が大きくなり、発熱体40の温度が低下しやすくなる。この場合は、比D/Lを0.23以下とすることで、対流熱伝達係数の上昇を防止し、対流損失による発熱体40の温度低下を十分抑制することができる。以上により、0.06≦D/L≦0.23とすることで、使用時の発熱体40の温度低下を抑制しつつ、発熱体40とフィルタ部50(特に第1透過層51)との温度差をより大きくすることができる。結果的に、発熱体40からの赤外線エネルギーは、より多くがフィルタ部50の透過分に回り、対象物(塗膜92)に放射され、効率よく塗膜92の赤外線処理を行うことができる。
そしてまた、発熱体40は、第1透過層51に向けて赤外線を放射可能であり且つ反射波長領域の赤外線を吸収可能な平面を有する面状発熱体である。そのため、例えば発熱体40が線状発熱体である場合と比較して選択反射領域53や透過層側反射部材75で反射された赤外線を吸収しやすくなり、発熱体40の温度が上昇しやすくなる。したがって、赤外線を放射する際のエネルギー効率が向上する。
そしてまた、赤外線処理装置100は、赤外線ヒーター10と、第1空間47と直接には連通しておらず且つ発熱体40から放射されフィルタ部50を透過した後の赤外線により赤外線処理を行う空間である処理空間81、を形成する炉体80と、を備えている。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、フィルタ部50は第1透過層51を備えているが、フィルタ部50は第1透過層51を含む1以上の透過層を備えていればよい。例えば、発熱体40からの赤外線の少なくとも一部を透過する1以上の別の透過層をフィルタ部50がさらに備えてもよい。例えば、フィルタ部50は、第1透過層51に加えて、第1透過層51よりも発熱体40に近い透過層を備えていてもよい。この場合、第1透過層51ではなく発熱体40に最も近い透過層が最接近透過層となる。また、第1透過層51よりも発熱体40に近い透過層が存在する場合、この透過層は、透過領域54と同様に少なくとも反射波長領域の赤外線を透過する特性を有していてもよいし、反射波長領域を含む少なくとも波長2μm〜8μmの波長領域の赤外線を透過する特性を有していてもよい。あるいは、フィルタ部50は、第1透過層51に加えて、第1透過層51からみて発熱体40とは反対側に位置する透過層を備えていてもよい。例えば、透過層側反射部材75からみて第1透過層51とは反対側(図2における透過層側反射部材75の下側)に透過層を備えていてもよい。この透過層は、選択反射領域53と同様の特性を有していてもよいし、透過領域54と同様の特性を有していてもよい。
上述した実施形態では、第1透過層51の上面が第1空間47に露出しているが、これに限られない。フィルタ部50が発熱体40と第1空間47を隔てて配設されていればよい。例えば、フィルタ部50が第1透過層51とは別に最接近透過層を有する場合には、最接近透過層の上面が第1空間47に露出していてもよい。
上述した実施形態では、反射面76は平面としたが、透過領域54のうち発熱体40側の表面に対して傾斜していれば(平行でなければ)、平面に限られない。例えば、図7の変形例の赤外線ヒーター10aに示すように、反射面76は曲面(凹面)であってもよい。反射面76を曲面とする場合、反射面76は例えば断面形状がパラボラ,楕円の弧,円弧等の曲線形状としてもよい。反射面76の曲面の焦点の位置は、反射面76から発熱体40に効率よく赤外線を反射できるように定めればよい。
選択反射領域53,透過領域54,発熱体領域E,及び第1透過層51の上面に投影した反射面76の位置関係や形状、発熱体40,第1透過層51,反射面76の互いの上下方向の距離などは、上述した実施形態に限られない。これらは、反射面76から発熱体40に効率よく赤外線を反射できるように例えば実験により適宜定めることができる。例えば、透過領域54は選択反射領域53の周囲を囲んでいるものとしたが、これに限られない。例えば、透過領域54が選択反射領域53の左右のみや前後のみに位置していてもよい。第1透過層51に投影した反射面76は発熱体領域E及び選択反射領域53と重ならないものとしたが、発熱体領域E及び選択反射領域53の少なくともいずれかと重なる部分があってもよい。また、発熱体40側から見たときに反射面76の少なくとも一部が透過領域54よりも前後左右の外側にはみ出していてもよい。透過領域54は発熱体領域Eと重複していなくてもよいし、発熱体領域Eの内部に含まれていてもよい。選択反射領域53,透過領域54,発熱体領域Eのうち1以上が、他と前後左右の中心が一致しなくてもよい。幅Wa〜Wdは、全て同じ値でもよいし、少なくとも1つが他と異なる値であってもよい。
上述した実施形態では、選択反射領域53は基板51aの表面に上側コート層51b及び下側コート層51cを形成したものとしたが、これに限られない。選択反射領域53が上述したフィルタ特性を少なくとも有していれば、上側コート層51bと下側コート層51cとの少なくとも一方を省略したりしてもよい。透過領域54についても同様である。また、第1透過層51は、選択反射領域53,透過領域54以外の特性を有する領域をさらに備えていてもよい。
上述した実施形態では、フィルタ部50の第1透過ピークの波長が2μm〜3μmであり、第2透過ピークの波長が5μm〜8.5μmであり、反射波長領域が3.5μm〜4.5μmであるものとしたが、これに限られない。例えば選択反射領域53の基板51a,上側コート層51b,下側コート層51cの膜厚などを適宜調整して、第1透過ピークの波長、第2透過ピークの波長、反射波長領域、のうち1以上を上述した実施形態とは異ならせてもよい。第1透過ピークの波長及び第2透過ピークの波長は、赤外線処理を行う対象物に放射したい波長(対象物の赤外線の吸収ピークなど)になるべく近付くようにすることが好ましい。また、反射波長領域は、赤外線処理に不要な波長領域とすることが好ましい。
発熱体40は、上述した実施形態に限定されない。例えば、発熱体40は下面がセラミックス溶射膜でコーティングされたものとしたが、下面及び上面がコーティングされていてもよいし、セラミックス溶射膜を備えないものとしてもよい。また、発熱体40は支持板30に巻き付けられたリボン状の面状発熱体としたが、これに限られない。例えば、発熱体40が金属板を打ち抜き加工することで形成されたジグザグの面状発熱体であってもよい。あるいは、発熱体40が線状の発熱体であってもよい。また、発熱体40は支持板30に巻き付けられて支持されるものとしたが、発熱体40を貫通するボルトなどを介して発熱体40が支持板30に取り付けられていてもよい。
上述した実施形態では、第1透過層51は下面視で四角形状をした板状の部材としたが、これに限らず例えば円板状の部材であってもよい。選択反射領域53や透過領域54の形状についても同様である。
上述した実施形態では、透過層側反射部材75は金属で形成されていたが、反射面76が赤外線を反射できればよい。例えば、反射面76が赤外線を反射する反射コートで覆われていてもよい。この場合、透過層側反射部材75全体が赤外線を反射可能な材質である必要はない。発熱体側反射部材23についても同様に、下面が反射コートで覆われていてもよい。
上述した実施形態では、赤外線ヒーター10は4個の透過層側反射部材75を備えるが、これに限らず透過層側反射部材75を1以上備えていればよい。また、本実施形態では、反射面76a〜76dの角度θは全て同じ値としたが、これに限られない。反射面76a〜76dの角度θの少なくとも1つが他と異なる値であってもよい。第1〜第4透過層側反射部材75a〜76dや反射面76a〜76aの形状も、全て同じである必要はない。
上述した実施形態では、赤外線ヒータ10は発熱体側反射部材23を備えるものとしたが、発熱体側反射部材23の代わりに又は発熱体側反射部材23に加えて、ケース22が赤外線を反射する材料で構成されていてもよい。ケース22が赤外線を反射可能な場合、図8の変形例の赤外線ヒーター10bに示すように、ケース22が透過領域54のうち発熱体40側の表面に対して傾斜し且つ下面視で発熱体40よりも外側に少なくとも一部がはみ出した反射面22aを有していてもよい。こうすれば、反射面76で反射した後に発熱体40に向かわない赤外線がある場合に、その赤外線を反射面22aでさらに反射し、その後にケース22の天井面又は発熱体側反射部材23でさらに赤外線を反射して、赤外線を発熱体40に吸収させることができる。なお、反射部材23を備えず且つケース22が赤外線を反射しないなど、赤外線ヒーター10は発熱体40の上方に発熱体側反射部材を備えなくてもよい。
上述した実施形態では、赤外線処理装置100において、赤外線ヒーター10を炉体80の上部に配設し、処理空間81に第1透過層51が露出するようにしたが、これに限られない。例えば、赤外線ヒーター10を炉体80の内側に配置してもよい。この場合も、例えば配管や仕切り部材などを用いて第1空間47が処理空間81と直接には連通せず且つ外部空間には開放されるようにすればよい。
以下には、赤外線ヒーター及びこれを備えた赤外線処理装置を具体的に作製した例を実施例として説明する。実験例1〜9が本発明の実施例に相当し、実験例10〜18が本発明の比較例に相当する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1〜9]
実験例1〜9では、比D/Lを表1に示すように種々変更しつつ、赤外線ヒーターを備えた赤外線処理装置を作成した。なお、赤外線ヒーターは、図1〜図6に示した赤外線ヒーター10と同様の構成とした。第1透過層51は、いずれも上述した実施形態の選択反射領域53と透過領域54の双方を面内に有するものとし、Wa、Wb、Wc、Wdはいずれも20mmとした。発熱体領域Eは左右方向の長さX=120mm、前後方向の長さY=120mmの矩形状とした。選択反射領域53の反射波長領域の赤外線の透過率は10%とし、反射波長領域の赤外線の反射率は80%とし、反射波長領域の赤外線の吸収率は10%とした。選択反射領域53の第1透過ピークは波長2.5μmとし、第1透過ピークの赤外線の透過率は80%とし、第1透過ピークの赤外線の反射率は10%とし、第1透過ピークの赤外線の吸収率は10%とした。選択反射領域53の第2透過ピークは波長5.5μmとし、第2透過ピークの赤外線の透過率は80%とし、第2透過ピークの赤外線の反射率は10%とし、第2透過ピークの赤外線の吸収率は10%とした。透過領域54の反射波長領域の赤外線の透過率は80%とし、反射波長領域の赤外線の反射率は15%とし、反射波長領域の赤外線の吸収率は5%とした。透過領域54の波長2〜8μmの赤外線の透過率は80%とし、波長2〜8μmの赤外線の反射率は15%とし、波長2〜8μmの赤外線の吸収率は5%とした。また、赤外線処理装置は、炉体80に赤外線ヒーターが1つだけ取り付けられている状態とした。発熱体40は、図3,4に示した形状とし、代表寸法Lを135.4mmとした。発熱体40は、Ni−Cr合金製とし、第1透過層51側の表面がアルミナのセラミックス溶射膜でコーティングされているものとした。外部空間は大気雰囲気とした。
[実験例10〜18]
実験例10〜18では、比D/Lを表1に示すように種々変更しつつ、赤外線ヒーターを備えた赤外線処理装置を作成した。なお、実験例10〜18の赤外線ヒーターは、第1透過層51全体が選択反射領域53であり、加えて透過層側反射部材75(第1〜第4透過層側反射部材75a〜75d)を備えない点以外は、赤外線ヒーター10と同様の構成とした。なお、実験例10〜18の各々の比D/Lの値は、実験例1〜9の各々と対応させて同じ値とした。
[評価試験]
実験例1〜18の赤外線処理装置において、処理空間81内の赤外線ヒーターの真下の位置に対象物を配置した。そして、発熱体40に約300Wの電力を通電した状態で温度が安定するのを待った後、発熱体40,第1透過層51,対象物の温度を測定した。実験例1〜18の距離D,比D/L,測定した各温度を、表1にまとめて示す。なお、対象物としてはポリイミドフィルムを用いた。また、第1透過層51の温度の測定箇所は、前後左右方向の中央部分の温度とした。
図9は、実験例1〜18における比D/Lと発熱体40,第1透過層51,対象物の温度との関係を示すグラフである。表1及び図10からわかるように、実験例1〜18のいずれも、使用時の発熱体40とフィルタ部50(第1透過層51)との温度差を大きくすることができていた。また、比D/Lが大きいほど、第1透過層51の温度が低下し発熱体40と第1透過層51との温度差が大きくなる傾向が見られた。しかしながら、透過領域54及び透過層側反射部材75を備える実験例1〜9においては、いずれの場合も、それぞれ対応する実験例10〜18に比べると、発熱体40の温度,第1透過層51の温度,対象物の温度がともに上回っていた。すなわち、実験例1〜9では、発熱体40に外部から投入するエネルギー(通電電力)が同等の場合の加熱能力(エネルギー効率)が向上していることが確認された。また、比D/Lが値0.06以上である実験例3〜9では、第1透過層51の温度上昇をより抑制できており、比D/Lを値0.06以上とすることがより好ましいと考えられる。また、比D/Lが0.12以下の領域では比D/Lが大きいほど第1透過層51の温度上昇を抑制する効果が急激に高くなっており、比D/Lが値0.12以上では第1透過層51の温度上昇をさらに抑制できていた。また、比D/Lが大きいほど、発熱体40の温度が低下する傾向が見られた。比D/Lが値0.23以下である実験例1〜7では、発熱体40の温度低下をより抑制できており、比D/Lを値0.23以下とすることがより好ましいと考えられる。また、比D/Lが0.2以下では、対象物の温度を150℃を超えた水準に上昇させることができており、より高い加熱効果での赤外線ヒーターの運用が可能になると考えられる。以上より、比D/Lは0.06以上が好ましく、0.12以上がより好ましいと考えられる。また、比D/Lは0.23以下が好ましく、0.2以下がより好ましいと考えられる。
10,10a〜10b 赤外線ヒーター、20 発熱部、22 ケース、22a 反射面、23 発熱体側反射部材、30 支持板、31 前側凸部、32 後側凸部、40 発熱体、41 折り返し端部、47 第1空間、50 フィルタ部、51 第1透過層、51a 基板、51b,51e 上側コート層、51c,51f 下側コート層、53 選択反射領域、54 透過領域、55 中心、71 第1固定板、75 透過層側反射部材、75a〜75d 第1〜第4透過層側反射部材、76 反射面、76a〜76d 第1〜第4反射面、80 炉体、81 処理空間、85 ベルトコンベア、90 半導体素子、92 塗膜、100 赤外線処理装置、E 発熱体領域。

Claims (8)

  1. 加熱されると赤外線を放射し、所定の反射波長領域の赤外線を吸収可能な発熱体と、
    前記反射波長領域の赤外線を反射する反射特性を有し且つ前記発熱体からの赤外線の少なくとも一部を透過する選択反射領域と、前記反射波長領域の赤外線を透過する透過領域と、を有し、前記選択反射領域は前記透過領域と比べて前記発熱体の中央寄りに配置され、前記透過領域は前記選択反射領域と比べて前記発熱体の中央から遠い位置に配置されている第1透過層、を含み、前記発熱体からの赤外線の少なくとも一部を透過する1以上の透過層と、前記第1透過層からみて前記発熱体とは反対側に配設され、前記透過領域のうち前記発熱体側の表面に対して傾斜し且つ前記透過領域を透過した前記反射波長領域の赤外線を該発熱体に向けて反射する反射面を有する透過層側反射部材と、を有し、前記発熱体と外部空間に開放された第1空間を隔てて配設されたフィルタ部と、
    を備えた赤外線ヒーター。
  2. 前記第1透過層の前記透過領域は、前記発熱体側からみて前記選択反射領域の周囲を囲むように位置している、
    請求項1に記載の赤外線ヒーター。
  3. 前記透過層側反射部材は、前記反射面を前記第1透過層のうち前記発熱体と対向する面に垂直に投影したときに該反射面が前記選択反射領域に重ならないように配設されている、
    請求項1又は2に記載の赤外線ヒーター。
  4. 前記透過層側反射部材は、前記反射面が凹面になっている、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線ヒーター。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線ヒーターであって、
    前記発熱体からみて前記透過層とは反対側に配設され、前記反射波長領域の赤外線を反射する発熱体側反射部材、
    を備えた赤外線ヒーター。
  6. 前記1以上の透過層のうち前記発熱体に最も近い最接近透過層は、該発熱体側の表面が前記第1空間に露出しており、
    前記発熱体と前記最接近透過層との距離を距離D[cm]とし、前記発熱体を前記最接近透過層に対して垂直方向に該最接近透過層に投影した領域を投影領域とし、該投影領域全体を囲む矩形又は円形の最小の領域の面積を発熱体面積S[cm2]とし(ただし、0cm2<S≦400cm2)、代表寸法L[cm]=2×√(S/π)としたときに、
    0.06≦D/L≦0.23である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外線ヒーター。
  7. 前記発熱体は、前記透過層に向けて赤外線を放射可能であり且つ前記反射波長領域の赤外線を吸収可能な平面を有する面状発熱体である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外線ヒーター。
  8. 対象物に赤外線を放射して赤外線処理を行う赤外線処理装置であって、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の赤外線ヒーターと、
    前記第1空間と直接には連通しておらず且つ前記発熱体から放射され前記フィルタ部を透過した後の赤外線により前記赤外線処理を行う空間である処理空間、を形成する炉体と、
    を備えた赤外線処理装置。
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