JP2017116112A - 赤外線処理方法及び処理体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外線処理を行うにあたり塗膜の奥に赤外線を浸透しやすくする
【解決手段】少なくとも液体と粒子とを含む塗膜に赤外線を放射して該塗膜を赤外線処理する赤外線処理方法であって、粒子の平均粒径をx[μm]、赤外線の波長をλ[μm]としたときに、塗膜に対して放射する赤外線の放射ピークPの放射強度を基準とした波長の半値幅領域である放射半値幅領域Hの少なくとも一部が、波長λがλ≦1.2x及び1.0μm≦λ≦10μmを満たす特定波長領域Aの少なくとも一部と重複するように、赤外線を塗膜に放射する工程を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、赤外線処理方法及び処理体の製造方法に関する。
従来より、塗膜に赤外線(波長域0.7μm〜1000μm)を放射して乾燥などの処理を行うことが知られている。また、赤外線を放射する赤外線ヒーターとしては、種々の構造のものが開発されている。例えば、特許文献1には、発熱体と、発熱体を囲む内管及び外管と、を備えた赤外線ヒーターが記載されている。この赤外線ヒーターでは、内管及び外管が3.5μm以下の波長の赤外線を透過し、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するフィルタとして機能している。3.5μm以下の波長の赤外線は、水素結合を切断する能力に優れるといわれており、この波長の赤外線を放射することで効率的に対象物の乾燥などを行うことができるとしている。
特許第4790092号公報
ところで、液体と粒子とを含む塗膜を赤外線処理する場合において、塗膜の表面だけが赤外線処理(例えば乾燥)されてしまうなど、赤外線が塗膜の奥まで十分に到達しない場合があった。特許文献1では、このような塗膜の奥への赤外線の浸透については考慮されていなかった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、赤外線処理を行うにあたり塗膜の奥に赤外線を浸透しやすくすることを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の赤外線処理方法は、
少なくとも液体と粒子とを含む塗膜に赤外線を放射して該塗膜を赤外線処理する赤外線処理方法であって、
前記粒子の平均粒径をx[μm]、赤外線の波長をλ[μm]としたときに、前記塗膜に対して放射する赤外線の放射ピークの放射強度を基準とした波長の半値幅領域である放射半値幅領域の少なくとも一部が、波長λがλ≦1.2x(式(1))及び1.0μm≦λ≦10μm(式(2))を満たす特定波長領域の少なくとも一部と重複するように、赤外線を前記塗膜に放射する工程、
を含むものである。
この赤外線処理方法では、塗膜に対して放射する赤外線の放射半値幅領域の少なくとも一部が、上記式(1)及び上記式(2)を満たす特定波長領域の少なくとも一部と重複するように、赤外線を塗膜に放射する。これにより、特定波長領域の赤外線が比較的高い放射強度で塗膜に放射される。ここで、赤外線が塗膜中の粒子に散乱される場合、波長λが平均粒径xよりも大きいほどレイリー散乱(Rayleigh scattering)が支配的になる傾向にあり、波長λが平均粒径xと同程度であればミー散乱(Mie scattering)が支配的になる傾向にある。そして、レイリー散乱は赤外線の進行方向と逆方向への散乱が多く塗膜の表面付近で反射しやすいのに対し、ミー散乱は赤外線の進行方向への散乱が多い。そのため、上記式(1)及び上記式(2)を満たす赤外線を塗膜に放射することで、ミー散乱により塗膜の奥に赤外線が浸透しやすくなる。これにより、例えばレイリー散乱が支配的な場合には赤外線が塗膜の表面付近で反射されて奥まで到達せず表面が偏って赤外線処理される場合があるが、そのようなことを抑制できる。なお、特定波長領域が存在するためにはλ≦1.2x及び1.0μm≦λである必要があるため、平均粒径xは、x≧1.0μm/1.2(=0.833・・・μm)である。また、平均粒径xは、10μm以下としてもよい。また、前記特定波長領域は、0.7x≦λを満たしていてもよい。
本発明の赤外線処理方法において、前記工程では、前記特定波長領域内に放射ピークを有する赤外線を前記塗膜に放射してもよい。こうすれば、特定波長領域内に放射ピークを有しない場合と比べて特定波長領域の赤外線の放射強度が高くなるため、効率よく赤外線処理を行うことができる。
本発明の赤外線処理方法において、前記塗膜は、厚さが50μm以上500μm以下であってもよい。50μm以上と比較的厚い塗膜では、塗膜の奥まで赤外線が浸透しにくい傾向にあるため、本発明を適用する意義が高い。前記塗膜の厚さは、100μm以上としてもよいし、150μm以上としてもよいし、300μm以上としてもよい。
本発明の赤外線処理方法において、前記液体は炭化水素系溶剤,アルコール系溶剤,エステル系溶剤の少なくともいずれかを含む溶剤であり、前記粒子はシリコーン樹脂であってもよい。これらの材質は本発明の赤外線処理方法に適している。
本発明の処理体の製造方法は、上述したいずれかの態様の本発明の赤外線処理方法を用いて、前記塗膜を赤外線処理して処理体とする、
ものである。
この処理体の製造方法では、上述したいずれかの態様の本発明の赤外線処理方法を用いるため、上述した本発明と同様の効果、例えば赤外線処理を行うにあたり塗膜の奥に赤外線を浸透しやすくする効果が得られる。また、これにより、例えばより効率よく処理体を製造できる。
赤外線処理装置100の縦断面図。 赤外線ヒーター10の拡大断面図。 発熱部20の下面図。 平均粒径xが4μmである場合の特定波長領域と、赤外線ヒーター10から塗膜92に放射される赤外線の放射強度分布の一例とを示すグラフ。 実施例1及び比較例1の塗膜の厚み方向の吸収エネルギーの分布を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、複数の赤外線ヒーター10を備えた赤外線処理装置100の縦断面図である。図2は、赤外線ヒーター10の拡大断面図である。図3は、発熱部20の下面図である。なお、本実施形態において、上下方向,左右方向及び前後方向は、図1〜3に示した通りとする。
赤外線処理装置100は、半導体素子90上に形成された対象物(塗膜92)に赤外線を放射して赤外線処理(ここでは塗膜92の乾燥)を行う乾燥炉として構成されている。この赤外線処理装置100は、処理空間81を形成する炉体80と、ベルトコンベア85と、複数の赤外線ヒーター10と、を備えている。炉体80は、略直方体に形成された断熱構造体であり、内部に処理空間81を形成している。炉体80の天井部分には、複数の赤外線ヒーター10(図1では6個)が取り付けられており、この赤外線ヒーター10からの赤外線が処理空間81内に放射される。ベルトコンベア85は、炉体80の左右端を貫通し処理空間81を貫通するベルトを備えており、左から右に向かって半導体素子90を搬送する。半導体素子90上に形成された塗膜92は、液体(溶媒)としてのトルエンと、粒子としてのシリコーン樹脂と、を含む塗膜であり、乾燥後に半導体素子90の保護膜となるものである。塗膜92中では、シリコーン樹脂はトルエン中に分散されている。塗膜92の厚さは、例えば50μm以上であってもよいし、100μm以上であってもよいし、150μm以上であってもよいし、300μm以上であってもよい。塗膜92の厚さは、500μm以下であってもよい。
図1,図2に示すように、赤外線ヒーター10は、発熱部20と、発熱部20の下方に取り付けられたフィルタ部50と、を備えている。発熱部20は、赤外線ヒーター10の上側を覆うケース22と、加熱されると赤外線を放射する発熱体40と、ケース22内で発熱体40を支持する支持板30と、を備えている。
ケース22は、発熱体40等を収納する部材であり、下方に向けて開口した略直方体の箱状の部材である。ケース22は、内部に配置された支持板30を固定する図示しない固定具を備えている。また、ケース22は、赤外線ヒーター10を図示しない他の部材に取り付けて固定するための図示しない取付具を備えている。
支持板30は、発熱体40が巻き付けられることで発熱体40を支持する平板状の部材であり、例えばマイカやアルミナセラミックスなどの絶縁体からなる。支持板30は、図3に示すように、前側に複数(本実施形態では6箇所)形成された前側凸部31と、後側に複数(本実施形態では5箇所)形成された後側凸部32と、を備えている。前側凸部31及び後側凸部32は、下面視で台形状をしており、左右方向に平行な面を有する頂上部分と、頂上部分の左右両側に配設され左右方向から傾斜した(例えば45°)斜面と、を有している。複数の前側凸部31及び複数の後側凸部32は、それぞれ左右方向に定ピッチで配設されており、これにより支持板30の前側及び後側は凹凸状になっている。また、前側凸部31と後側凸部32とは、互いに左右方向に1/2ピッチずれて配設されている。
発熱体40は、リボン状の発熱体であり、いわゆる面状発熱体として構成されている。発熱体40は、例えばNi−Cr合金などの金属からなる。
図3に示すように、発熱体40は、左後方の折り返し端部41から右後方の折り返し端部41までに亘って、支持板30の下面側を前後方向に複数回(本実施形態では12回)通過するように、支持板30に巻き付けられている。より具体的には、発熱体40は、左後方の折り返し端部41から支持板30の下面側で前側凸部31に向かって引き回され、前側凸部31の左側の斜面に沿って折り返されて前側凸部31の上面側を通過している(図3右上の拡大部分参照)。そして、前側凸部31の上面側を通過した発熱体40は、前側凸部31の右側の斜面に沿って折り返されて支持板30の下面側で後側凸部32に向かって引き回され、後側凸部32の斜面に沿って折り返され後側凸部32の上面側を通過して、支持板30の下面側で前側凸部31に向かって引き回される。このようにして、発熱体40は支持板30の下面側を前後方向に通過しながら前側凸部31と後側凸部32とに交互に巻き付けられ、右後方の折り返し端部41まで引き回されている。なお、詳細な図示は省略するが、発熱体40は、折り返し端部41,41の部分で支持板30の上面側に折り返されてさらに引き回されており、発熱体40の両端がケース22に取り付けられた図示しない一対の入力端子にそれぞれ接続されている。この一対の入力端子を介して、発熱体40に外部から電力を供給可能である。発熱体40の下面は、透過層51の上面と対向しており、いずれの面も水平方向(前後左右方向)と略平行になるように配設されている。
なお、発熱部20とフィルタ部50とは、図示しない接続部材により接続されて、互いの位置関係が固定されている。これにより、発熱体40とフィルタ部50(透過層51)とは空間47を介して離間している。また、図2に示すようにケース22は固定板71と上下に離間しており、空間47はケース22と固定板71との上下の隙間を介して外部空間(炉体80の外部の空間)に開放されている。発熱体40と透過層51は、空間47に露出している。なお、本実施形態では、外部空間は大気雰囲気とした。
フィルタ部50は、発熱体40からの赤外線の少なくとも一部を透過する透過層51と、透過層51を載置して固定する矩形の枠状部材である固定板71と、を備えている。固定板71は、炉体80の上部に取り付けられている。
透過層51は、下面視で四角形状をした板状の部材である。本実施形態では、透過層51は干渉フィルタ(光学フィルタ)として構成され、図2に示すように基板51aと、基板51aの上面を覆う上側コート層51bと、基板51aの下面を覆う下側コート層51cと、を備えているものとした。上側コート層51bは、バンドパス層として機能する層であり、透過層51の上方から入射された光のうち所望の波長領域の赤外線を下方に透過させる。下側コート層51cは、反射防止膜として機能する層であり、基板51aの下面で赤外線が上方に反射するのを抑制する。基板51aの材質としては、シリコンが挙げられる。上側コート層51bの材質としては、セレン化亜鉛,ゲルマニウム,硫化亜鉛などが挙げられる。下側コート層51cの材質としては、ゲルマニウム,一酸化ケイ素,硫化亜鉛などが挙げられる。なお、上側コート層51b及び下側コート層51cの少なくとも一方が、複数種類の材料を積層した多層構造であってもよい。
透過層51は、上述したように所望の波長領域の赤外線を透過するフィルタ特性を持つものである。例えば、上側コート層51bとして硫化亜鉛とゲルマニウムとを交互に複数層積層したものを用い、下側コート層51cとして硫化亜鉛とゲルマニウムとを交互に複数層積層したものを用い、基板51a,上側コート層51b,下側コート層51cの厚さを適宜調整することで、所望のフィルタ特性が得られる。
なお、炉体80の上面(天井部分)には、赤外線ヒーター10と同じ数の複数の開口が形成されており、複数の赤外線ヒーター10はこの開口を塞ぐように炉体80の上部に取り付けられている。そのため、透過層51の下面は、処理空間81に露出している。処理空間81と空間47とは、透過層51及び固定板71で仕切られており、直接には連通していない。ただし、処理空間81,空間47はいずれも赤外線処理装置100の外部空間には連通しているため、外部空間を介してこれらは互いに連通している。また、赤外線ヒーター10は、炉体80の天井よりも上方に飛び出すように配置されている。そのため、発熱体40,空間47は炉体80の外に位置している。
この種の赤外線処理装置100の詳細については、例えば特許第5721897号公報に記載されている。
こうして構成された赤外線処理装置100を用いた赤外線処理方法の一例を以下に説明する。まず、図示しない電源を赤外線ヒーター10の入力端子に接続し、発熱体40の温度が予め設定された温度(例えば400℃,500℃,600℃,又は700℃など)になるように発熱体40に電力を供給する。通電された発熱体40は加熱により赤外線を放射する。そして、ベルトコンベア85により、予め塗膜92を上面に形成した半導体素子90を搬送する。これにより、半導体素子90は炉体80の左側から炉体80内に搬入され、処理空間81を通過して炉体80の右側から搬出される。そして、塗膜92は、処理空間81を通過する間に赤外線ヒーター10からの赤外線によって乾燥(トルエンが蒸発)され、シリコーン樹脂製の保護膜(乾燥体)となる。
ここで、赤外線ヒーター10から処理空間81(塗膜92)に放射される赤外線は、フィルタ部50を通過するため、発熱体40の放射特性及びフィルタ部50のフィルタ特性に応じた放射強度分布を有する。そして、塗膜92に放射される赤外線の放射強度分布を調整して、放射半値幅領域の少なくとも一部が特定波長領域の少なくとも一部と重複するようにする。ここで、放射半値幅領域は、赤外線ヒーター10が塗膜92に対して放射する赤外線の放射ピークの放射強度を基準とした波長の半値幅(FWHM)に含まれる領域である。また、特定波長領域は、塗膜92中の粒子(シリコーン樹脂)の平均粒径をx[μm]、赤外線の波長をλ[μm]としたときに、波長λが下記式(1)及び下記式(2)を満たす波長領域である。なお、特定波長領域が存在するためにはλ≦1.2x及び1.0μm≦λである必要があるため、塗膜92中の粒子としては、x≧1.0μm/1.2(=0.833・・・μm)を満たす粒子を用いるものとする。平均粒径xは、10μm以下としてもよい。
λ≦1.2x (1)
1.0μm≦λ≦10μm (2)
図4は、平均粒径xが4μmである場合の特定波長領域Aと、赤外線ヒーター10から塗膜92に放射される赤外線の放射強度分布の一例とを示すグラフである。図4に示すように、平均粒径xが4μmである場合、式(1)を満たす4.8μm(=1.2x)以下の波長領域且つ式(2)を満たす波長領域、すなわち1.0μm≦λ≦4.8μmの波長領域が、特定波長領域Aとなる。また、図4では、発熱体40から放射されフィルタ部50を通過する前の赤外線の放射強度分布を一点鎖線で示し、フィルタ部50を通過した後の塗膜92に放射される赤外線の放射強度分布を実線で示している。放射強度分布は、例えば透過層51の上側コート層51bと下側コート層51cの材質や積層数を調整したり、通電時の発熱体40の温度を調整したりすることにより調整する。図4では、赤外線ヒーター10からの赤外線(実線)の放射ピークPが波長3.3μmとなるように発熱体40の温度を調整し、透過層51が波長3.3μm前後の赤外線を透過しそれ以外の赤外線を反射するように上側コート層51b及び下側コート層51cを調整した場合の例を示している。そして、図4には、塗膜92に放射される赤外線の放射ピークPの放射強度を基準とした波長の半値幅(FWHM)に含まれる領域である放射半値幅領域Hも図示した。すなわち、放射ピークPにおける赤外線の放射強度をSとして、放射強度がS/2以上となる領域を、放射半値幅領域Hとして図示した。図4では、放射半値幅領域Hの少なくとも一部が特定波長領域Aの少なくとも一部と重複しており、さらに放射半値幅領域Hは特定波長領域Aに含まれている。
このように、本実施形態の赤外線処理方法では、放射半値幅領域Hの少なくとも一部が特定波長領域Aの少なくとも一部と重複するようにして、上記式(1)及び上記式(2)を満たす特定波長領域Aの赤外線を比較的高い放射強度で塗膜92に放射する。すなわち、平均粒径xと同程度の波長λの成分を比較的高い割合で含む赤外線を塗膜92に放射する。ここで、赤外線が塗膜92中の粒子に散乱される場合、波長λが平均粒径xよりも大きいほどレイリー散乱が支配的になる傾向にあり、波長λが平均粒径xと同程度であればミー散乱が支配的になる傾向にある。そして、レイリー散乱は赤外線の進行方向と逆方向(本実施形態では上方)への散乱が多く塗膜92の表面付近で反射しやすいのに対し、ミー散乱は赤外線の進行方向(本実施形態では下方)への散乱が多い。そのため、上記式(1)及び式(2)を満たす赤外線を塗膜92に放射することで、ミー散乱により塗膜92の奥に赤外線が浸透しやすくなる。これにより、例えばレイリー散乱が支配的な場合には赤外線が塗膜92の表面付近で反射されて奥まで到達せず、塗膜92の表面が偏って赤外線処理される場合があるが、そのようなことを抑制できる。
なお、レイリー散乱が支配的になるのは、例えば平均粒径xの10倍以上などの非常に大きい波長λの赤外線を塗膜92に放射する場合である。そのため、λ>1.2xの赤外線であっても波長λがそれほど大きくない場合には、ミー散乱が支配的になる。しかし、同じミー散乱でも波長λが平均粒径xより相対的に小さいほど、赤外線の進行方向への散乱が多くなる傾向にある。そのため、上記式(1)のようにλ≦1.2xを満たす赤外線を塗膜92に放射することで、赤外線が塗膜92の奥により浸透しやすくなる。
なお、図4の例では放射半値幅領域Hが特定波長領域Aの中に含まれているが、放射半値幅領域Hの少なくとも一部が特定波長領域Aの少なくとも一部と重複していればよい。例えば、逆に特定波長領域Aが放射半値幅領域Hの中に含まれていてもよい。あるいは、放射半値幅領域Hが特定波長領域Aから短波長側又は長波長側に一部はみ出していてもよい。また、図4に示すように、塗膜92に放射される赤外線の放射ピークPが特定波長領域A内に位置していることが好ましい。こうすれば、特定波長領域A内に放射ピークPを有しない場合と比べて特定波長領域Aの赤外線の放射強度がさらに高くなるため、さらに効率よく赤外線処理を行うことができる。
なお、塗膜92に放射される赤外線は、特定波長領域の範囲外の波長の放射強度が小さくなるようにしてもよい。例えば、塗膜92に放射される赤外線のうち特定波長領域よりも波長λが小さい波長領域(図4ではλ<1.0μmの領域)の赤外線の放射強度が、塗膜92に放射される赤外線の最大放射強度(図4では放射強度S)の20%以下であってもよく、10%以下であってもよい。同様に、塗膜92に放射される赤外線のうち特定波長領域よりも波長λが大きい波長領域(図4では4.8μm<λの領域)の赤外線の放射強度が、塗膜92に放射される赤外線の最大放射強度(図4では放射強度S)の20%以下であってもよく、10%以下であってもよい。
また、特定波長領域は、下記式(3)をさらに満たすようにしてもよい。例えば、図4では、式(1)〜式(3)を全て満たす波長領域は、2.8μm(=0.7x)≦λ≦4.8μm(=1.2x)の波長領域Bであるため、この波長領域Bを特定波長領域としてもよい。すなわち、放射半値幅領域Hの少なくとも一部が特定波長領域Aの少なくとも一部と重複していればよいが、さらに、放射半値幅領域Hの少なくとも一部が波長領域Bの少なくとも一部と重複していてもよい。図4の例では放射半値幅領域Hが波長領域Bの中に含まれているが、逆に波長領域Bが放射半値幅領域Hの中に含まれていてもよい。あるいは、放射半値幅領域Hが波長領域Bから短波長側又は長波長側に一部はみ出していてもよい。また、図4に示すように、塗膜92に放射される赤外線の放射ピークPが波長領域B内に位置していてもよい。
0.7x≦λ (3)
以上説明した本実施形態の赤外線処理方法によれば、放射半値幅領域Hの少なくとも一部が上記式(1)及び上記式(2)を満たす特定波長領域Aの少なくとも一部と重複するように赤外線を塗膜92に放射する工程を行うため、赤外線処理を行うにあたり塗膜92の奥に赤外線を浸透しやすくできる。また、これにより、例えばより効率よく処理体を製造できる。なお、赤外線が塗膜92の奥に浸透しやすいことで、例えば、厚さ方向で塗膜92の状態が偏るのを抑制しつつ赤外線処理(乾燥処理)を行いやすい。また、これにより製造された処理体(保護膜)を厚さ方向で状態が偏りにくくしやすくなり、より高品質な処理体を製造しやすい。
また、特定波長領域A内に放射ピークPを有する赤外線を塗膜92に放射するため、効率よく赤外線処理を行うことができる。また、塗膜92の厚さが50μm以上と比較的厚い場合は、塗膜の奥まで赤外線が浸透しにくい傾向にあるため、本実施形態の赤外線処理方法を適用する意義が高い。また、塗膜92に含まれる液体はトルエンであり、粒子はシリコーン樹脂であり、これらの材質は本実施形態の赤外線処理方法に適している。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、塗膜92中の粒子は1種類としたが、これに限らず複数種類であってもよい。この場合、塗膜92中の全粒子の平均粒径を、平均粒径xとする。
上述した実施形態では、赤外線処理装置100を用いて赤外線処理を行ったが、これに限らずどのような装置を用いてもよい。例えば、赤外線処理装置10は塗膜92を搬送しながら処理する連続炉としたが、塗膜92を炉内で停止した状態で処理するバッチ炉としてもよい。発熱体40は面状発熱体としたが、線状発熱体であってもよい。赤外線ヒーター10はフィルタ部50を備えていたが、特定波長領域の赤外線を塗膜に放射できればよく、フィルタ部50を備えなくてもよい。また、上述した実施形態では、塗膜92の上方からのみ赤外線を放射したが、塗膜を支持する基材が赤外線を透過可能な場合には、下方から赤外線を放射したり、上方及び下方から赤外線を放射したりしてもよい。
上述した実施形態では、塗膜92は液体としてのトルエンと、粒子としてのシリコーン樹脂と、を含んでいたが、液体及び粒子の材質はこれに限られない。例えば、塗膜92に含まれる液体は、トルエンに限らずトルエン以外の炭化水素系溶剤であってもよい。また、塗膜92に含まれる液体は、炭化水素系溶剤に限らずアルコール系溶剤又はエステル系溶剤であってもよい。また、塗膜92に含まれる液体は、炭化水素系溶剤,アルコール系溶剤,エステル系溶剤の少なくともいずれかを含む溶剤であってもよい。
上述した実施形態では、赤外線処理はトルエンを蒸発させる乾燥処理としたが、これに限らず、赤外線により塗膜を処理する赤外線処理であればよい。「赤外線処理」には、蒸発,乾燥,脱水などを含む物理変化をさせる処理や、イミド化などの化学反応をさせる処理、昇温などの温度変化をさせる処理などが含まれる。塗膜中の液体や粒子の材質も、上述した実施形態に限られない。
上述した実施形態では、塗膜中の粒子の屈折率について特に言及しなかったが、粒子の屈折率は値1超過値3以下としてもよい。
上述した実施形態では特に説明しなかったが、塗膜中に赤外線がどの程度奥まで浸透するかは、塗膜中の液体や粒子などの材質などによっても変化する。例えば、塗膜中の材質による吸収率が高い波長の赤外線ほど、塗膜の表面で赤外線が吸収されてしまい、赤外線が奥まで浸透しにくくなる。また、塗膜中の粒子の粒径分布,屈折率及び粒子の偏析などによっても、赤外線の浸透のしやすさは変化する。同様に、液体の屈折率などによっても、赤外線の浸透のしやすさは変化する。そのため、これらのパラメータと赤外線の浸透のしやすさとの関係を実験により調べることで、赤外線がより奥まで浸透しやすくなる波長領域や、厚さ方向で塗膜の状態が偏るのをより抑制できる波長領域を新たに見いだすこともできる。そして、そのような知見に基づいて、例えば特定波長領域の中でもより好ましい一部の波長領域の赤外線を放射したり、特定波長領域以外の波長領域の赤外線も塗膜に放射するようにしたりしてもよい。また、上記の知見に基づくことで、赤外線がより奥まで浸透しやすくなる波長領域や塗膜の状態が偏るのをより抑制できる波長領域として、特定波長領域の上下限の少なくとも一方が異なる他の波長領域が見いだされる場合もあり得る。
以下には、赤外線処理方法の具体例を実施例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
塗膜に放射する赤外線の波長と、塗膜の厚み方向の吸収エネルギーの分布との関係を調べた。実施例1では、厚さ0.05mmのPETフィルムを基材とし、この基材上に形成されトルエンとシリコーン樹脂とを含む塗膜に対して、ピーク波長が3.3μmの赤外線を上方から放射した場合の、塗膜の厚み方向(上下方向)の吸収エネルギーの分布を調べた。なお、トルエンの屈折率は値1.5であり、シリコーン樹脂の屈折率は値1.4であり、シリコーン樹脂の平均粒径xは4μmとした。塗膜中のシリコーン樹脂の体積濃度は50%とし、塗膜の厚さは300μmとした。サイズパラメータα(=π×平均粒径x/ピーク波長)は値3.81であった。実施例1では特定波長領域は1.0μm〜4.8μmであり、塗膜に放射する赤外線のピーク波長(3.3μm)はこの特定波長領域内に位置している。
[比較例1]
塗膜に放射する赤外線のピーク波長を6.8μmとした点以外は、実施例1と同様にして塗膜の厚み方向での吸収エネルギーの分布を調べた。比較例1では、サイズパラメータαは値1.85であった。比較例1では、塗膜に放射する赤外線のピーク波長(6.8μm)は特定波長領域内にはない。また、比較例1で塗膜に放射する赤外線は、特定波長領域内の赤外線を含まないものとした。より具体的には、特定波長領域内の赤外線の放射強度が、最大放射強度を基準としてほぼ0%とした。
実施例1及び比較例1の塗膜の厚み方向の吸収エネルギーの分布を図5に示す。なお、吸収エネルギーは、塗膜の単位体積当たりの電磁波の吸収エネルギー(電磁波の減衰エネルギー)であり、単位はkW/m3で示した。図5に示すように、塗膜のうち塗膜の表面(上面)からの厚さ方向の距離が0μm〜100μmまでの領域では、実施例1と比較例1とで塗膜の吸収エネルギーに違いはほとんどなかった。一方、厚さ方向の距離が100μmを超える領域では、特定波長領域内の赤外線を放射している実施例1の方が、塗膜の吸収エネルギーが大きい傾向が見られた。特に厚さ方向の距離が150μmを超える領域では、実施例1と比較例1とで吸収エネルギーに顕著な差が見られた。この結果から、特定波長領域内の赤外線を塗膜に放射することで、塗膜のより奥まで赤外線が浸透することが確認できた。
10 赤外線ヒーター、20 発熱部、22 ケース、30 支持板、31 前側凸部、32 後側凸部、40 発熱体、41 折り返し端部、47 空間、50 フィルタ部、51 透過層、51a 基板、51b 上側コート層、51c 下側コート層、71 固定板、80 炉体、81 処理空間、85 ベルトコンベア、90 半導体素子、92 塗膜、100 赤外線処理装置。

Claims (5)

  1. 少なくとも液体と粒子とを含む塗膜に赤外線を放射して該塗膜を赤外線処理する赤外線処理方法であって、
    前記粒子の平均粒径をx[μm]、赤外線の波長をλ[μm]としたときに、前記塗膜に対して放射する赤外線の放射ピークの放射強度を基準とした波長の半値幅領域である放射半値幅領域の少なくとも一部が、波長λがλ≦1.2x(式(1))及び1.0μm≦λ≦10μm(式(2))を満たす特定波長領域の少なくとも一部と重複するように、赤外線を前記塗膜に放射する工程、
    を含む赤外線処理方法。
  2. 前記工程では、前記特定波長領域内に放射ピークを有する赤外線を前記塗膜に放射する、
    請求項1に記載の赤外線処理方法。
  3. 前記塗膜は、厚さが50μm以上500μm以下である、
    請求項1又は2に記載の赤外線処理方法。
  4. 前記液体は炭化水素系溶剤,アルコール系溶剤,エステル系溶剤の少なくともいずれかを含む溶剤であり、
    前記粒子はシリコーン樹脂である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線処理方法を用いて、前記塗膜を赤外線処理して処理体とする、
    処理体の製造方法。
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