JP2016205511A - 無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】インナーピンに張り出し付勢力を与えるバネ部材のバネ荷重を向上し、ベルト伝達効率の向上を達成することができる無段変速機を提供すること。【解決手段】プライマリプーリ1とセカンダリプーリ2の対向するシーブ面11,21にチェーンベルト3が掛け渡された無段変速機CVTにおいて、チェーンベルト3は、ロッカーピン32に内蔵されてピン端部33bがシーブ面21に形成した径方向凹溝23に噛み合う一対のインナーピン33,33と、ロッカーピン32に内蔵されて一対のインナーピン33,33に対し張り出し付勢力を与えるコイルバネ34と、を有する。そして、コイルバネ34を、一対のインナーピン33,33の間の内側端面空間に並列配置により介装した第1コイルバネ34aと、第2コイルバネ34bとにより構成した。【選択図】図5
Description
本発明は、プライマリプーリとセカンダリプーリの対向するシーブ面にチェーンベルトが掛け渡された無段変速機に関する発明である。
従来、リンクプレートのプーリ巻き付き側端面に設けた凹部が、プーリV溝の底部に有する軸に設置した可動噛合部と噛み合う無段変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の無段変速機にあっては、最ハイ変速比と最ロー変速比のときにのみチェーンベルトとプーリが噛み合う構成となっていた。このため、最ハイ変速比と最ロー変速比以外の変速比領域でのトルク伝達は、ロッカーピンのピン端面とシーブ面との摩擦接触による摩擦伝動トルクで行われ、ベルト伝達効率を向上できないという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ベルト伝達効率の向上を達成することができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の無段変速機は、プライマリプーリとセカンダリプーリの対向するシーブ面にチェーンベルトが掛け渡され、チェーンベルトのうち、多数のリンクプレートを連結するロッカーピンのピン端面がシーブ面に摩擦接触する。
この無段変速機において、チェーンベルトは、一対のインナーピンと、バネ部材と、を有する。一対のインナーピンは、ロッカーピンに形成したロッカーピン穴に配置され、ピン端部が前記シーブ面に形成した凹部に噛み合う。バネ部材は、ロッカーピン穴に配置され、一対のインナーピンに対してロッカーピンのピン端面から張り出す方向へ付勢力を与える。
そして、バネ部材を、ロッカーピン穴のうち、一対のインナーピンの間の内側端面空間に並列配置により介装した複数のバネ部材により構成する。
この無段変速機において、チェーンベルトは、一対のインナーピンと、バネ部材と、を有する。一対のインナーピンは、ロッカーピンに形成したロッカーピン穴に配置され、ピン端部が前記シーブ面に形成した凹部に噛み合う。バネ部材は、ロッカーピン穴に配置され、一対のインナーピンに対してロッカーピンのピン端面から張り出す方向へ付勢力を与える。
そして、バネ部材を、ロッカーピン穴のうち、一対のインナーピンの間の内側端面空間に並列配置により介装した複数のバネ部材により構成する。
よって、本発明の無段変速機では、チェーンベルトによるトルク伝達を、ロッカーピンのピン端面とシーブ面との摩擦接触による摩擦伝動トルクに、インナーピンのピン端部とシーブ面に形成した凹部との噛み合によるせん断伝動トルクを加えたものとすることができる。ここで、せん断伝動トルクは、インナーピンのピン端部とシーブ面の凹部との噛み合いにより得られる。このため、せん断伝動トルクを得る変速比領域は、最ハイ変速比や最ロー変速比に限定されず、全変速比領域でベルト伝達効率を向上することも可能である。加えて、せん断伝動トルクを得るには、インナーピンがシーブ面に向かって張り出し、凹部との噛み合いを確保する必要がある。
これに対し、バネ部材が、ロッカーピン穴の内側端面空間に並列配置した複数のバネ部材により構成されている。このため、内側端面空間内に占めるバネ部材の占有割合を大きくでき、バネ部材のバネ荷重を向上させることができる。この結果、インナーピンの押し出し力を高くすることができる。ここで、インナーピンとシーブ面との間のせん断伝動トルクは、バネ荷重に比例して増大する。そのため、バネ部材のバネ荷重を向上することで、インナーピンがシーブ面の凹部に噛み合った際のせん断伝動トルクを増大させることができる。
このように、バネ部材のバネ荷重を向上させて、プーリ回転時にインナーピンとシーブ面の凹部とが噛み合った際のせん断伝動トルクを増大させることで、ベルト伝達効率の向上を達成することができる。
これに対し、バネ部材が、ロッカーピン穴の内側端面空間に並列配置した複数のバネ部材により構成されている。このため、内側端面空間内に占めるバネ部材の占有割合を大きくでき、バネ部材のバネ荷重を向上させることができる。この結果、インナーピンの押し出し力を高くすることができる。ここで、インナーピンとシーブ面との間のせん断伝動トルクは、バネ荷重に比例して増大する。そのため、バネ部材のバネ荷重を向上することで、インナーピンがシーブ面の凹部に噛み合った際のせん断伝動トルクを増大させることができる。
このように、バネ部材のバネ荷重を向上させて、プーリ回転時にインナーピンとシーブ面の凹部とが噛み合った際のせん断伝動トルクを増大させることで、ベルト伝達効率の向上を達成することができる。
以下、本発明の無段変速機を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、実施例1の無段変速機の構成を、「全体構成」、「ロッカーピンの詳細構成」、「インナーピンの詳細構成」に分けて説明する。
まず、実施例1の無段変速機の構成を、「全体構成」、「ロッカーピンの詳細構成」、「インナーピンの詳細構成」に分けて説明する。
[全体構成]
図1は、実施例1の無段変速機を示し、図2は無段変速機においてチェーンベルトがセカンダリプーリに巻き付いている状態を示す。以下、図1及び図2に基づいて、実施例1の無段変速機の全体構成を説明する。
図1は、実施例1の無段変速機を示し、図2は無段変速機においてチェーンベルトがセカンダリプーリに巻き付いている状態を示す。以下、図1及び図2に基づいて、実施例1の無段変速機の全体構成を説明する。
実施例1の無段変速機CVTは、図1に示すように、プライマリプーリ1と、セカンダリプーリ2と、チェーンベルト3と、を備えている。この無段変速機CVTは、車両用変速機として適用され、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ2に対するチェーンベルト3の巻き付き径により、変速比を最ロー変速比から最ハイ変速比まで無段階に変更する。
前記プライマリプーリ1は、固定プーリと、プライマリ圧によりプーリ軸方向にスライド移動する可動プーリとにより構成され、図示しない駆動源(エンジンやモータ等)からの回転駆動トルクが入力される。ここで、チェーンベルト3を挟み込むプライマリプーリ1のシーブ面11は、平滑な面に形成されている。
前記セカンダリプーリ2は、固定プーリと、セカンダリ圧によりプーリ軸方向にスライド移動する可動プーリとにより構成され、図示しない終減速機構やデファレンシャル機構を介して駆動輪に回転駆動トルクを伝達する。ここで、チェーンベルト3を挟み込むセカンダリプーリ2のシーブ面21には、図1に示すように、多数の径方向凹溝23(凹部)が形成されている。この径方向凹溝23は、プーリ軸22の近傍でチェーンベルト3が最ハイ位置で接触する内周位置から、チェーンベルト3が最ロー位置で接触する外周位置まで、プーリ軸22を中心とする放射方向に延びている。
前記チェーンベルト3は、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ2のV字状に対向するシーブ面11,21に掛け渡され、多数のリンクプレート31を多数のロッカーピン32を介して連結して形成された無端チェーンである。このチェーンベルト3では、ロッカーピン32のピン端面32aがシーブ面11,21に摩擦接触する。
各ロッカーピン32は、図2に示すように、複数枚のリンクプレート31のプレート穴31aを貫通して設けられる。また、ロッカーピン32のそれぞれは、ロッカーピン32に内蔵された形態によるインナーピン33を有し、インナーピン33のピン端部33bがシーブ面21に形成された径方向凹溝23に噛み合う。
各ロッカーピン32は、図2に示すように、複数枚のリンクプレート31のプレート穴31aを貫通して設けられる。また、ロッカーピン32のそれぞれは、ロッカーピン32に内蔵された形態によるインナーピン33を有し、インナーピン33のピン端部33bがシーブ面21に形成された径方向凹溝23に噛み合う。
[ロッカーピンの詳細構成]
図3は、実施例1のチェーンベルトを示し、図4〜図6は、ロッカーピン及びインナーピンを示す。以下、図3〜図6に基づき、実施例1のロッカーピンの詳細構成を説明する。
図3は、実施例1のチェーンベルトを示し、図4〜図6は、ロッカーピン及びインナーピンを示す。以下、図3〜図6に基づき、実施例1のロッカーピンの詳細構成を説明する。
前記チェーンベルト3は、図3に示すように、リンクプレート31と、ロッカーピン32と、インナーピン33と、コイルバネ34(図5参照)と、を備えている。ここで、リンクプレート31に関しては、図3に示すように、既に知られている外形形状とプレート穴31aとを有しており、インナーピン33の追加に伴う形状変更はない。
前記ロッカーピン32は、図4に示すように、周面の一部が背面合わせにより転がり接触する楕円筒状の一対のピン要素32´,32´により構成されている。
各ピン要素32´は、他方のピン要素32´に接触する転がり接触面32bが、凸曲面に形成されている。また、転がり接触面32bの反対面であるプレート穴31aに臨むプレート対向面32cには、図4に示すように、一対のインナーピン33,33及びコイルバネ34を配置するロッカーピン溝穴35が形成されている。
各ピン要素32´は、他方のピン要素32´に接触する転がり接触面32bが、凸曲面に形成されている。また、転がり接触面32bの反対面であるプレート穴31aに臨むプレート対向面32cには、図4に示すように、一対のインナーピン33,33及びコイルバネ34を配置するロッカーピン溝穴35が形成されている。
前記ロッカーピン溝穴35は、図5に示すように、ピン軸方向に沿って延在されると共に、ロッカーピン32の両端のピン端面32a,32a及びプレート穴31aに向かって開放した溝穴構造となっている。そして、このロッカーピン溝穴35は、張り出し穴部35aと、ピン基部穴部35bと、溝側段差部35cと、を有している。
前記張り出し穴部35aは、ロッカーピン溝穴35の両端にそれぞれ形成され、ロッカーピン32のピン端面32aに開放している。前記ピン基部穴部35bは、ロッカーピン溝穴35の中間部に形成され、一対のインナーピン33,33の間であってコイルバネ34が配置される内側端面空間を区画形成する。このピン基部穴部35bは、張り出し穴部35aのプーリ径方向寸法W1よりも大きな幅寸法W2を有している。前記溝側段差部35cは、張り出し穴部35aとピン基部穴部35bとの寸法差を繋ぐ段差である。
前記張り出し穴部35aは、ロッカーピン溝穴35の両端にそれぞれ形成され、ロッカーピン32のピン端面32aに開放している。前記ピン基部穴部35bは、ロッカーピン溝穴35の中間部に形成され、一対のインナーピン33,33の間であってコイルバネ34が配置される内側端面空間を区画形成する。このピン基部穴部35bは、張り出し穴部35aのプーリ径方向寸法W1よりも大きな幅寸法W2を有している。前記溝側段差部35cは、張り出し穴部35aとピン基部穴部35bとの寸法差を繋ぐ段差である。
前記コイルバネ34(バネ部材)は、ロッカーピン溝穴35のピン基部穴部35bに配置され、一対のインナーピン33,33を、それぞれ張り出し穴部35aから張り出す方向へ付勢する。このコイルバネ34は、ピン基部穴部35b内で、ロッカーピン32の長径方向に沿って並列配置された第1コイルバネ34a及び第2コイルバネ34bを有している。この第1,第2コイルバネ34a,34bは、それぞれ断面形状が矩形(角形)の線材を用いた圧縮コイルバネとなっている(図6(b)参照)。
さらに、この実施例1では、ロッカーピン溝穴35の断面が、楕円筒状のロッカーピン32の長径方向に沿った長穴形状となっており、ロッカーピン溝穴35のコイルバネ34に対向する内側面35dが、図5及び図6(a)に示すように、コイルバネ34の外形形状に合わせて湾曲されている。すなわち、この内側面35dには、並列配置した第1コイルバネ34aと第2コイルバネ34bの円筒状の外形に合わせ、ピン軸方向に沿って延在した円弧状の凹部が、ロッカーピン32の長径方向に沿って、二つ並列に形成されている(図6(a)参照)。
なお、コイルバネ34の外形形状に合わせて湾曲した内側面35dは、コイルバネ34が配置されるピン基部穴部35bだけでなく、張り出し穴部35aも同様に湾曲している(図5参照)。
なお、コイルバネ34の外形形状に合わせて湾曲した内側面35dは、コイルバネ34が配置されるピン基部穴部35bだけでなく、張り出し穴部35aも同様に湾曲している(図5参照)。
[インナーピンの詳細構成]
図7は、インナーピンを示す斜視図であり、図8及び図9は、ロッカーピン内でのインナーピンの状態を示す。以下、図7〜図9に基づき、実施例1のインナーピンの詳細構成について説明する。
図7は、インナーピンを示す斜視図であり、図8及び図9は、ロッカーピン内でのインナーピンの状態を示す。以下、図7〜図9に基づき、実施例1のインナーピンの詳細構成について説明する。
前記インナーピン33は、ロッカーピン溝穴35であってコイルバネ34を挟んだ両側位置に一対配置されている。このインナーピン33は、ピン基部33aと、ピン端部33bと、ピン側段差部33cと、を有している。
前記ピン基部33aは、図7に示すように、ロッカーピン溝穴35により区画された内側端面空間内でピン軸方向に摺動可能な方形状部材であり、一方の長手方向端部にピン先端33eが突出形成されたピン端部33bが形成され、他方の長手方向端部にコイルバネ34が接触する平坦面33dが形成されている。そして、ピン基部33aの周面のうち、ロッカーピン32の中心に向いてロッカーピン溝穴35の内側面35dに摺接する面33αは、ロッカーピン溝穴35の内側面形状に合わせて変形している。つまり、この面33αには、第1コイルバネ34aと第2コイルバネ34bとが並列した際のコイルバネ34の外形に合わせ、ピン軸方向に沿って延在した円弧状の凸部が、ロッカーピン32の長径方向に沿って、二つ並列に連続して形成されている。
前記ピン端部33bは、ピン基部33aよりもピン側段差部33cの分だけ細くなった部分であり、張り出し穴部35aに差し込まれる。このピン端部33bは、ピン先端33eがシーブ面21に形成された径方向凹溝23に対向した際、コイルバネ34の付勢力で張り出し穴部35aから突出し、ピン先端33eを径方向凹溝23に噛み合わせる(図8参照)。また、ピン先端33eがシーブ面21のうち径方向凹溝23から外れた一般面に対向した際には、このシーブ面21の一般面によりコイルバネ34の付勢力に抗してインナーピン33の張り出しが抑えられ、ピン端部33bは張り出し穴部35a内に没入する(図9参照)。
さらに、このピン端部33bのピン先端33eは、ベルト移動方向幅寸法W4が、径方向凹溝23の溝幅寸法W5(図2参照)より小さく設定されている。
さらに、このピン端部33bのピン先端33eは、ベルト移動方向幅寸法W4が、径方向凹溝23の溝幅寸法W5(図2参照)より小さく設定されている。
前記ピン側段差部33cは、ピン基部33aとピン端部33bとの寸法差を繋ぐ段差である。このピン側段差部33cは、ロッカーピン溝穴35の溝側段差部35cに干渉することで、図7に示すように、インナーピン33のロッカーピン溝穴35からの張り出し量を所定量に規定して止める張り出しストッパ構造を構成している。
次に、作用を説明する。
実施例1の無段変速機における作用を、「ベルト伝達効率の向上作用」、「他の特徴作用」に分けて説明する。
実施例1の無段変速機における作用を、「ベルト伝達効率の向上作用」、「他の特徴作用」に分けて説明する。
[ベルト伝達効率の向上作用]
実施例1の無段変速機CVTのセカンダリプーリ2におけるチェーンベルト3によるトルク伝達は、ロッカーピン32の摩擦接触による摩擦伝動トルクに、インナーピン33の噛み合いによるせん断伝動トルクを加えたものになる。
実施例1の無段変速機CVTのセカンダリプーリ2におけるチェーンベルト3によるトルク伝達は、ロッカーピン32の摩擦接触による摩擦伝動トルクに、インナーピン33の噛み合いによるせん断伝動トルクを加えたものになる。
すなわち、摩擦伝動トルクは、図10の矢印Dで指示する枠内に示すように、ロッカーピン32のピン端面32aと、シーブ面21との摩擦接触により、セカンダリプーリ2とチェーンベルト3との間で伝達されるトルクである。
一方、せん断伝動トルクは、図10の矢印Eで指示する枠内に示すように、インナーピン33のピン端部33bに形成したピン先端33eと、シーブ面21に形成した径方向凹溝23との噛み合いにより、セカンダリプーリ2とチェーンベルト3との間で伝達されるトルクである。
一方、せん断伝動トルクは、図10の矢印Eで指示する枠内に示すように、インナーピン33のピン端部33bに形成したピン先端33eと、シーブ面21に形成した径方向凹溝23との噛み合いにより、セカンダリプーリ2とチェーンベルト3との間で伝達されるトルクである。
ここで、チェーンベルト3によるトルク伝達が、ロッカーピン32の摩擦接触による摩擦伝動トルクのみであると、セカンダリプーリ2とチェーンベルト3との滑りをゼロにすることができない。このため、トルク伝達効率を向上させようとしても上限効率までで頭打ちとなる。これに対し、摩擦伝動トルクに、ベルト滑りを抑えるせん断伝動トルクを加えると、セカンダリプーリ2とチェーンベルト3の間の摩擦係数を大幅に向上することができる。この結果、推力(プーリクランプ力)やベルトスリップを低減することができ、摩擦伝動トルクの上限効率を超えるトルク伝達効率の向上を狙うことができて、燃費向上効果を実現することができる。
これに対し、せん断伝動トルクは、インナーピン33のピン先端33eとシーブ面21の径方向凹溝23との噛み合いにより得るようにしている。
すなわち、図11(a)に示すように、セカンダリプーリ2の一般面(平坦面)にロッカーピン32のピン端面32aが対向しているときには、インナーピン33はシーブ面21によって張り出しが抑えられ、ロッカーピン溝穴35の張り出し穴部35aに没入している。この状態では、インナーピン33のピン先端33eはシーブ面21に対して摩擦接触し、ロッカーピン32とセカンダリプーリ2の間は、摩擦伝動トルクによるトルク伝達となる。
すなわち、図11(a)に示すように、セカンダリプーリ2の一般面(平坦面)にロッカーピン32のピン端面32aが対向しているときには、インナーピン33はシーブ面21によって張り出しが抑えられ、ロッカーピン溝穴35の張り出し穴部35aに没入している。この状態では、インナーピン33のピン先端33eはシーブ面21に対して摩擦接触し、ロッカーピン32とセカンダリプーリ2の間は、摩擦伝動トルクによるトルク伝達となる。
次に、若干の回転方向の滑りによりロッカーピン32が移動していくと、ロッカーピン32のピン端面32aが径方向凹溝23に対向し始める。このとき、ロッカーピン32とシーブ面21の間には、引き続き摩擦伝動トルクが生じるが、インナーピン33が径方向凹溝23に対向すれば、図11(b)に示すように、インナーピン33はコイルバネ34の付勢力によってロッカーピン溝穴35から張り出し、ピン先端33eが径方向凹溝23に落ち込む。
なお、回転方向の滑りによるロッカーピン32の移動量は、1回の巻付きで、インナーピン33の厚さの半分程度(例えば0.5mm程度)である。
なお、回転方向の滑りによるロッカーピン32の移動量は、1回の巻付きで、インナーピン33の厚さの半分程度(例えば0.5mm程度)である。
インナーピン33のピン先端33eが径方向凹溝23に落ち込んだ後、さらに回転方向の滑りによりロッカーピン32が移動すると、図11(c)に示すように、ピン先端33eが径方向凹溝23の溝側面23aに接触し、溝側面23aの接線方向にバネ荷重の反力Kxが生じる。このバネ荷重の反力Kxによって、ピン先端33eが径方向凹溝23に対して滑ることが抑制される。また、溝側面23aの法線方向にせん断伝動トルク=Kx/tanγが作用し、このせん断伝動トルクによって動力伝達が行われる。
なお、径方向凹溝23はシーブ面21の円周方向に多数形成されており、複数の径方向凹溝23に対して複数のインナーピン33が噛み合うこととなるので、せん断伝動トルクの総和がチェーンベルト3のせん断伝動トルクになる。
なお、径方向凹溝23はシーブ面21の円周方向に多数形成されており、複数の径方向凹溝23に対して複数のインナーピン33が噛み合うこととなるので、せん断伝動トルクの総和がチェーンベルト3のせん断伝動トルクになる。
そして、このようにインナーピン33が径方向凹溝23に噛み合うことでせん断伝動トルクを得ることができるので、せん断伝動トルクを得る変速比領域は、最ロー変速比や最ハイ変速比に限定されず、シーブ面21に対する径方向凹溝23の設定領域より決まる。よって、最ロー変速比と最ハイ変速比とを含む全変速比領域でベルト伝達効率を向上することも可能であるし、また、走行中に使用頻度が高い変速比領域を狙ってベルト伝達効率を向上することも可能である。
加えて、せん断伝動トルクを得るには、インナーピン33がシーブ面21に向かって張り出し、径方向凹溝23との噛み合いを確保する必要がある。このとき、インナーピン33はコイルバネ34の付勢力(バネ荷重)によって張り出し方向に押圧されてロッカーピン溝穴35から張り出すが、コイルバネ34のバネ荷重が高いほどバネ荷重の反力が大きくなり、ピン端部33bの径方向凹溝23に対する滑りが抑制される。そして、インナーピン33と径方向凹溝23の間のせん断伝動トルクが大きくなる。
これに対し、実施例1では、図5に示すように、コイルバネ34を、ロッカーピン溝穴35内に並列配置した第1コイルバネ34a及び第2コイルバネ34bによって構成している。そのため、図12に示すように、1本のコイルバネを一対のインナーピンの間の内側端面空間に内に配置した場合と比べて、バネ荷重を向上することができる。
すなわち、1本のコイルバネ(図12参照)に替えて、第1コイルバネ34a及び第2コイルバネ34bを配置した場合には、下記式(1)に示される並列効果(複数のバネを並列に接続した際、バネ数が増えるほど全体のバネ定数が大きくなる効果)と、下記式(2)に示される外径縮小によるバネ荷重増加効果(バネを同一幅寸法のスペースに配置した際、バネ数が増えるほど各バネの外形寸法が縮小し、外形寸法が小さいほどバネ荷重が大きくなる効果)とによって、インナーピン33を張り出させる力(バネ荷重)は増加する。
K=K1+K2 ・・・(1)
K:全体バネ強さ
K1:第1のコイルバネの強さ
K2:第2のコイルバネの強さ
K:全体バネ強さ
K1:第1のコイルバネの強さ
K2:第2のコイルバネの強さ
W:バネ荷重
d:バネ線径(丸断面)
τ:応力
r:バネ外形寸法
また、一般的にバネ荷重を大きくするためには、所定の領域内にバネ部材を多く押し込め、バネ部材の各部に発生する応力を分散させる必要がある。言い換えると、所定の領域内におけるバネの占有割合を大きくすることが望ましいことになる。
したがって、図13(a),(b)に示す断面長方形のバネ配置領域では、バネ部材を1本配置した場合(図13(a)参照)よりも、バネ部材を2本配置した場合(図13(b)参照)の方が、バネ配置領域におけるバネ部材の占有割合が大きくなる。そして、結果として応力が分散されて、より大きなバネ荷重が得られることになる。
したがって、図13(a),(b)に示す断面長方形のバネ配置領域では、バネ部材を1本配置した場合(図13(a)参照)よりも、バネ部材を2本配置した場合(図13(b)参照)の方が、バネ配置領域におけるバネ部材の占有割合が大きくなる。そして、結果として応力が分散されて、より大きなバネ荷重が得られることになる。
ここで、コイルバネ34を配置するロッカーピン溝穴35の断面は、ロッカーピン32の長径方向に沿った長穴形状となっている。そのため、コイルバネを1本だけ配置する場合には、深さ方向の寸法(プレート穴31a側の開口から内側面35dまでの寸法)の制約により無駄な空間が生じてしまい、バネ荷重を上げることが難しい。これに対し、実施例1のように第1,第2コイルバネ34a,34bを、ロッカーピン32の長径方向に沿って並列配置することで、断面長穴形状の領域におけるバネ占有割合を大きくすることができるため、コイルバネを1本だけ配置する場合よりも、バネ荷重を向上させることができる。
なお、所定のバネ配置領域におけるバネ占有割合を大きくすることで、バネ部材の体積が増大し、バネ部材にかかる負担が分散される。そのため結果的に大きなバネ荷重にも耐えられることになり、バネ荷重の向上につながる。
このように、実施例1では、複数のバネ部材(第1コイルバネ34a、第2コイルバネ34b)を、楕円筒形のロッカーピン32の長径方向に沿って並列配置したことにより、バネ荷重を向上することができる。
そして、バネ荷重が向上したことで、インナーピン33のピン端部33bが径方向凹溝23に噛み合った際に、径方向凹溝23の溝側面23aの接線方向に生じるバネ荷重の反力が大きくなる。これにより、インナーピン33が滑りにくくなり、せん断伝動トルクも大きくすることができる。この結果、ベルト伝達効率の向上を図ることができる。
そして、バネ荷重が向上したことで、インナーピン33のピン端部33bが径方向凹溝23に噛み合った際に、径方向凹溝23の溝側面23aの接線方向に生じるバネ荷重の反力が大きくなる。これにより、インナーピン33が滑りにくくなり、せん断伝動トルクも大きくすることができる。この結果、ベルト伝達効率の向上を図ることができる。
[他の特徴作用]
上述のように、実施例1の無段変速機CVTでは、ロッカーピン32に形成したロッカーピン溝穴35において、コイルバネ34に対向する内側面35dを、コイルバネ34の外形形状に合わせて湾曲させている。すなわち、内側面35dには、第1コイルバネ34aの円筒状外形に沿った円弧凹溝と、第2コイルバネ34bの円筒状外形に沿った円弧凹溝とが、ロッカーピン32の長径方向に沿って並列に並んで形成されている(図6(a)参照)。
これにより、図14に示すように、ロッカーピン溝穴の内側面をコイルバネの外形形状に沿わせることなく形成した場合と比べて、ロッカーピン32の断面積の拡大を図ることができる。
上述のように、実施例1の無段変速機CVTでは、ロッカーピン32に形成したロッカーピン溝穴35において、コイルバネ34に対向する内側面35dを、コイルバネ34の外形形状に合わせて湾曲させている。すなわち、内側面35dには、第1コイルバネ34aの円筒状外形に沿った円弧凹溝と、第2コイルバネ34bの円筒状外形に沿った円弧凹溝とが、ロッカーピン32の長径方向に沿って並列に並んで形成されている(図6(a)参照)。
これにより、図14に示すように、ロッカーピン溝穴の内側面をコイルバネの外形形状に沿わせることなく形成した場合と比べて、ロッカーピン32の断面積の拡大を図ることができる。
ここで、ロッカーピン32は、両端がプーリに挟み込まれているためにトルク伝達時に撓みが生じる。この撓みが大きい(例えば1°以上)と、ピン端面32aがシーブ面21に対して傾斜し、端面エッジが接触してしまい、トルク伝達容量が低減する。そのため、ロッカーピン32の剛性低下を極力抑制し、ピン撓みを抑える必要がある。
これに対し、上述のように、ロッカーピン32の断面積を拡大することで、ロッカーピン32の剛性低下を抑制し、トルク伝達時のピン撓みを小さくすることができる。これにより、ロッカーピン32の端面エッジがシーブ面21に接触することを回避でき、トルク伝達容量の低減を防止することができる。
さらに、この実施例1では、インナーピン33のピン基部33aの周面のうち、ロッカーピン32の中心に向いてロッカーピン溝穴35の内側面35dに摺接する面33αは、ロッカーピン溝穴35の内側面形状に合わせて変形している。
そのため、インナーピン33とロッカーピン溝穴35に干渉することなく、円滑に摺動することができる。さらに、インナーピン33の周面のうち、ロッカーピン溝穴35の内面形状に合わせて変形しているのは面33αのみであるため、インナーピン33を組み付ける際の組み付け方向を判別しやすくなり、誤組み付けを防止することができる。
そのため、インナーピン33とロッカーピン溝穴35に干渉することなく、円滑に摺動することができる。さらに、インナーピン33の周面のうち、ロッカーピン溝穴35の内面形状に合わせて変形しているのは面33αのみであるため、インナーピン33を組み付ける際の組み付け方向を判別しやすくなり、誤組み付けを防止することができる。
また、実施例1では、コイルバネ34が、ロッカーピン32のピン軸方向に延びるロッカーピン溝穴35内に配置されている。そのため、ピン軸方向に沿ったスペースには余裕があるが、径方向(幅方向)のスペースは小さくコイル外径寸法の制約を受けてしまう。
そのため、図15(a)に示すような、断面丸形の線材を用いたコイルバネでは、コイル外径R1を一定に制限した状態でバネ荷重を増大させるために線材断面積を大きくすると、図15(b)に示すように、コイル内径R2が小さくなってしまい、現実的に許容することができなくなる。つまり、断面丸形の線材では、コイル外径を制限した状態で線材断面積を大きくしてバネ荷重を増大させることが難しい。
そのため、図15(a)に示すような、断面丸形の線材を用いたコイルバネでは、コイル外径R1を一定に制限した状態でバネ荷重を増大させるために線材断面積を大きくすると、図15(b)に示すように、コイル内径R2が小さくなってしまい、現実的に許容することができなくなる。つまり、断面丸形の線材では、コイル外径を制限した状態で線材断面積を大きくしてバネ荷重を増大させることが難しい。
これに対し、実施例1のコイルバネ34の第1コイルバネ34a及び第2コイルバネ34bは、それぞれ断面形状が矩形(角形)の線材を用い、この断面矩形の線材をコイル状に巻回することで形成されている(図16(a)参照)。
このように断面矩形の線材を用いたコイルバネでは、コイル外径R1を一定に制限した状態で線材断面積を大きくする場合、図16(b)に示すように、コイル軸方向に線材断面を拡大すれば、コイル内径R2が小さくなることはない。そのため、コイル外径を制限した状態であっても、コイル内径R2を小さくすることなく線材断面積を大きくすることができる。
このように断面矩形の線材を用いたコイルバネでは、コイル外径R1を一定に制限した状態で線材断面積を大きくする場合、図16(b)に示すように、コイル軸方向に線材断面を拡大すれば、コイル内径R2が小さくなることはない。そのため、コイル外径を制限した状態であっても、コイル内径R2を小さくすることなく線材断面積を大きくすることができる。
ここで、断面矩形の線材を用いたコイルバネのバネ荷重は、下記式(3)によって示される。そのため、線材のコイル軸方向寸法を大きくすることで、バネ荷重を増大させることができる。すなわち、径方向スペースが制限されていても、コイル内径を小さくすることなく大きなバネ荷重を得ることができる。そして、バネ荷重が高くなれば反力も大きくなり、インナーピン33とシーブ面21の間に生じるせん断伝動トルクも大きくすることができて、トルク伝達容量を増大させることができる。
W:バネ荷重
k:係数
a:線材コイル径方向寸法
b:線材コイル軸方向寸法
τ:応力
r:バネ外形寸法
W:バネ荷重
k:係数
a:線材コイル径方向寸法
b:線材コイル軸方向寸法
τ:応力
r:バネ外形寸法
また、インナーピン33を有するチェーンベルト3は、トルク伝達の際に駆動源や駆動輪から振動等の外力を受ける。加えて、インナーピン33にはコイルバネ34から張り出し方向への付勢力が与えられている。このため、ロッカーピン32からインナーピン33が脱落することが懸念される。
これに対し、実施例1の無段変速機CVTでは、ロッカーピン溝穴35に形成した溝側段差部35cと、インナーピン33に形成したピン側段差部33cとによって、ロッカーピン溝穴35からのインナーピン33の張り出し量を所定量までに規制して止める張り出しストッパ構造を構成している。これにより、チェーンベルト3によりトルク伝達する際、付勢力が与えられているインナーピン33が、チェーンベルト3から脱落することを防止できる。
これに対し、実施例1の無段変速機CVTでは、ロッカーピン溝穴35に形成した溝側段差部35cと、インナーピン33に形成したピン側段差部33cとによって、ロッカーピン溝穴35からのインナーピン33の張り出し量を所定量までに規制して止める張り出しストッパ構造を構成している。これにより、チェーンベルト3によりトルク伝達する際、付勢力が与えられているインナーピン33が、チェーンベルト3から脱落することを防止できる。
また、この実施例1では、ロッカーピン32に形成されてインナーピン33を配置するロッカーピン穴を、ピン軸方向に沿って形成した溝穴構造のロッカーピン溝穴35とする構造としている。
ここで、例えば、ロッカーピン穴を貫通穴構造とした場合には、小さい部品に対して精度の高い穴加工を必要とする。また、貫通穴構造とした場合は、ロッカーピン穴がロッカーピン32のピン端面32aの中央寄りに設けられることになり、シーブ面21との摩擦接触面積を減少させてしまう。この摩擦接触面積の減少を抑えるには、ロッカーピンの形状変更を要する。
これに対し、ロッカーピン穴を溝穴構造としたことで、穴加工に比べて容易な溝成形や溝加工により形成することができ、インナーピン33の組付作業も簡単にすることができる。また、溝穴構造とすることで、ロッカーピン穴がピン端面32aの端っこに設けられることになり、シーブ面21との摩擦接触面積の減少を抑制することができる。したがって、良好な製造・組付性が得られると共に、ロッカーピンの基本形状を変更することなく、ロッカーピン溝穴35にインナーピン33を配置することができる。
ここで、例えば、ロッカーピン穴を貫通穴構造とした場合には、小さい部品に対して精度の高い穴加工を必要とする。また、貫通穴構造とした場合は、ロッカーピン穴がロッカーピン32のピン端面32aの中央寄りに設けられることになり、シーブ面21との摩擦接触面積を減少させてしまう。この摩擦接触面積の減少を抑えるには、ロッカーピンの形状変更を要する。
これに対し、ロッカーピン穴を溝穴構造としたことで、穴加工に比べて容易な溝成形や溝加工により形成することができ、インナーピン33の組付作業も簡単にすることができる。また、溝穴構造とすることで、ロッカーピン穴がピン端面32aの端っこに設けられることになり、シーブ面21との摩擦接触面積の減少を抑制することができる。したがって、良好な製造・組付性が得られると共に、ロッカーピンの基本形状を変更することなく、ロッカーピン溝穴35にインナーピン33を配置することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の無段変速機にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
実施例1の無段変速機にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) プライマリプーリ1とセカンダリプーリ2の対向するシーブ面11,21にチェーンベルト3が掛け渡され、前記チェーンベルト3のうち、多数のリンクプレート31を連結するロッカーピン32のピン端面32aが前記シーブ面11,21に摩擦接触する無段変速機CVTにおいて、
前記チェーンベルト3は、
前記ロッカーピン32に形成したロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)に配置され、ピン端部33bが前記シーブ面21に形成した凹部(径方向凹溝23)に噛み合う一対のインナーピン33,33と、
前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)に配置され、前記一対のインナーピン33,33に対して前記ロッカーピン32のピン端面32aから張り出す方向へ付勢力を与えるバネ部材(コイルバネ34)と、を有し、
前記バネ部材(コイルバネ34)を、前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)のうち、前記一対のインナーピン33,33の間の内側端面空間に並列配置により介装した複数のバネ部材(第1コイルバネ34a、第2コイルバネ34b)により構成することとした。
これにより、バネ部材(コイルバネ34)のバネ荷重を向上させ、インナーピン33とシーブ面21の間に生じるせん断伝動トルクを大きくしてベルト伝達効率の向上を達成することができる。
前記チェーンベルト3は、
前記ロッカーピン32に形成したロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)に配置され、ピン端部33bが前記シーブ面21に形成した凹部(径方向凹溝23)に噛み合う一対のインナーピン33,33と、
前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)に配置され、前記一対のインナーピン33,33に対して前記ロッカーピン32のピン端面32aから張り出す方向へ付勢力を与えるバネ部材(コイルバネ34)と、を有し、
前記バネ部材(コイルバネ34)を、前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)のうち、前記一対のインナーピン33,33の間の内側端面空間に並列配置により介装した複数のバネ部材(第1コイルバネ34a、第2コイルバネ34b)により構成することとした。
これにより、バネ部材(コイルバネ34)のバネ荷重を向上させ、インナーピン33とシーブ面21の間に生じるせん断伝動トルクを大きくしてベルト伝達効率の向上を達成することができる。
(2) 前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)は、前記バネ部材(コイルバネ34)に対向する内側面35dを、前記バネ部材(コイルバネ34)の外径形状に合わせて湾曲させる構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、ロッカーピン32の断面積の拡大を図ることができ、ピン撓みを抑えてトルク伝達容量の低減を防止することができる。
これにより、(1)の効果に加え、ロッカーピン32の断面積の拡大を図ることができ、ピン撓みを抑えてトルク伝達容量の低減を防止することができる。
(3) 前記バネ部材(コイルバネ34)を、断面形状が矩形の線材を用いたコイルバネ(第1コイルバネ34a、第2コイルバネ34b)によって構成することとした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、径方向のスペースに制限があっても、バネ部材(コイルバネ34)のバネ荷重の増大を図ることができる。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、径方向のスペースに制限があっても、バネ部材(コイルバネ34)のバネ荷重の増大を図ることができる。
(4) 前記インナーピン33は、前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)に摺接する側面(面α)を、前記ロッカーピン穴(ロッカーピン溝穴35)の内側面形状に合わせて湾曲させる構成とした。
これにより、インナーピン33の摺動を円滑に行うことができる上、インナーピン33の誤組み付けを防止することができる。
これにより、インナーピン33の摺動を円滑に行うことができる上、インナーピン33の誤組み付けを防止することができる。
以上、本発明の無段変速機を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
上記実施例1では、コイルバネ34を、2本のコイルバネ、つまり第1コイルバネ34aと第2コイルバネ34bによって構成する例を示したが、これに限らない。例えば、図17に示すように、3本のコイルバネX,Y,Zによって構成してもよい。この場合であっても、ロッカーピン32に形成したロッカーピン溝穴35の内側面35dを、3本のコイルバネX,Y,Zの外径形状に合わせて湾曲させることで、ロッカーピン32の断面積の低下を抑え、ピン撓みを抑制することができる。
また、実施例1では、インナーピン33が噛み合う凹部として、セカンダリプーリ2のシーブ面21の内周位置から外周位置まで延びる複数の径方向凹溝23を形成する例を示した。しかし、インナーピンが噛み合う凹部としては、シーブ面のうち、ベルト伝達効率の向上を狙う変速比領域のみに部分的に径方向凹溝を形成する例であってもよい。また、プライマリプーリ1のシーブ面11に径方向凹溝を形成する例であってもよい。
また、実施例1では、バネ部材として、ロッカーピン溝穴35のピン基部穴部35bに配置されたコイルバネ34によって構成する例を示した。しかし、バネ部材としては、コイルバネ以外にも板バネや複合バネ等のように他の種類のバネ部材を用いる例であってもよい。
また、実施例1では、インナーピン33の張り出し量を所定量に規制して止める張り出しストッパ構造として、溝側段差部35cとピン側段差部33cにより構成した例を示した。しかし、張り出しストッパ構造としては、ストッパピン等の他の構造を用いる例であってもよい。
さらに、実施例1では、ロッカーピン穴として、ロッカーピン32を構成する一対のピン要素32´,32´に形成したロッカーピン溝穴35とする例を示した。しかし、ロッカーピン穴としては、ロッカーピン貫通穴やロッカーピン有底穴等を用いる例であってもよい。また、ロッカーピンを構成する一対のピン要素のうち、片方のみに形成したロッカーピン穴にインナーピンを配置する例としてもよい。
そして、実施例1では、本発明の無段変速機として、車両に搭載された車両用無段変速機の例を示した。しかし、本発明の無段変速機は、エンジン車やハイブリッド車等の車両以外であって、無段変速機が用いられる産業用機械等に対しても適用することができる。要するに、プライマリプーリとセカンダリプーリの対向するシーブ面にチェーンベルトが掛け渡される無段変速機であれば適用することができる。
CVT 無段変速機
1 プライマリプーリ
11 シーブ面
2 セカンダリプーリ
21 シーブ面
22 プーリ軸
23 径方向凹溝(凹部)
3 チェーンベルト
31 リンクプレート
32 ロッカーピン
32a ピン端面
33 インナーピン
33a ピン基部
33b ピン端部
34 コイルバネ(バネ部材)
34a 第1コイルバネ
34b 第2コイルバネ
35 ロッカーピン溝穴(ロッカーピン穴)
35a 張り出し穴部
35b ピン基部穴部
35d 内側面
1 プライマリプーリ
11 シーブ面
2 セカンダリプーリ
21 シーブ面
22 プーリ軸
23 径方向凹溝(凹部)
3 チェーンベルト
31 リンクプレート
32 ロッカーピン
32a ピン端面
33 インナーピン
33a ピン基部
33b ピン端部
34 コイルバネ(バネ部材)
34a 第1コイルバネ
34b 第2コイルバネ
35 ロッカーピン溝穴(ロッカーピン穴)
35a 張り出し穴部
35b ピン基部穴部
35d 内側面
Claims (4)
- プライマリプーリとセカンダリプーリの対向するシーブ面にチェーンベルトが掛け渡され、前記チェーンベルトのうち、多数のリンクプレートを連結するロッカーピンのピン端面が前記シーブ面に摩擦接触する無段変速機において、
前記チェーンベルトは、
前記ロッカーピンに形成したロッカーピン穴に配置され、ピン端部が前記シーブ面に形成した凹部に噛み合う一対のインナーピンと、
前記ロッカーピン穴に配置され、前記一対のインナーピンに対して前記ロッカーピンのピン端面から張り出す方向へ付勢力を与えるバネ部材と、を有し、
前記バネ部材を、前記ロッカーピン穴のうち、前記一対のインナーピンの間の内側端面空間に並列配置により介装した複数のバネ部材により構成する
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1に記載された無段変速機において、
前記ロッカーピン穴は、前記バネ部材に対向する内側面を、前記バネ部材の外形形状に合わせて湾曲させる
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1又は請求項2に記載された無段変速機において、
前記バネ部材を、断面形状が矩形の線材を用いたコイルバネによって構成する
ことを特徴とする無段変速機。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された無段変速機において、
前記インナーピンは、前記ロッカーピン穴の内側面に摺接する側面を、前記ロッカーピン穴の内側面形状に合わせて湾曲させる
ことを特徴とする無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015087391A JP2016205511A (ja) | 2015-04-22 | 2015-04-22 | 無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015087391A JP2016205511A (ja) | 2015-04-22 | 2015-04-22 | 無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016205511A true JP2016205511A (ja) | 2016-12-08 |
Family
ID=57489310
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015087391A Pending JP2016205511A (ja) | 2015-04-22 | 2015-04-22 | 無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016205511A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113236757A (zh) * | 2021-05-18 | 2021-08-10 | 璞灵(上海)汽车技术有限公司 | 离心动齿无级变速消隙机构及其方法 |
-
2015
- 2015-04-22 JP JP2015087391A patent/JP2016205511A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113236757A (zh) * | 2021-05-18 | 2021-08-10 | 璞灵(上海)汽车技术有限公司 | 离心动齿无级变速消隙机构及其方法 |
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