JP2016205457A - トロイダル型無段変速機のトラニオン - Google Patents

トロイダル型無段変速機のトラニオン Download PDF

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Eisaku Suzuki
栄作 鈴木
西井 大樹
Daiki Nishii
大樹 西井
豊田 俊郎
Toshiro Toyoda
俊郎 豊田
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Abstract

【課題】所定の剛性を保持しつつ軽量化を図ることができるトロイダル型無段変速機のトラニオンを提供する。
【解決手段】トラニオン15Aは、枢軸14より背面側にパワーローラを支持する支持梁部16Aを有し、この支持梁部16Aの背面に、当該背面から突出する補強部60が設けられ、この補強部60の突出方向に対して交差する交差方向における当該補強部60の幅が、支持梁部16Aの前記交差方向における幅より小さくなっているので、支持梁部16Aにパワーローラの回転軸方向の力が作用しても、これに耐え得るだけの所定の剛性を保持でき、また、補強部60の幅が、支持梁部16Aの前記交差方向における幅より小さくなっているので、トラニオン15Aの重量増を小さくして、軽量化を図ることができる。したがって、所定の剛性を保持しつつトラニオン15Aの軽量化を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機のトラニオンに関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図7および図8に示すように構成されている。図7に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、二つの入力側ディスク2,2と二つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、二つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図8参照)が回転自在に挟持されている。
図7中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図7の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
図8は、図7のA−A線に沿う断面図である。図8に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図8においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図8の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図8の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図8の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図8で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図8の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図8の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
このようなトロイダル型無段変速機においては、上述のように、パワーローラ11,11が変位軸23,23の基端部23a,23aを中心に僅かに揺動することで、パワーローラ11,11を入力軸1(ディスク2,3)の軸方向に僅かに移動させて、各構成部材の弾性変形量の変化に対応させるようになっているが、より低コストにパワーローラ11,11を各構成部材の弾性変形量の変化に対応して移動可能とするトラニオンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、図9に示すように、トラニオン15は、図8に示す支持板部16に代えて、支持梁部16Aを有する。この支持梁部16Aでは、外輪(パワーローラの外輪)に対向する内側面が円筒状凸面16bとされている。円筒状凸面16bの円筒部分の中心軸は、枢軸14,14の軸方向と平行となっている。また、円筒状凸面16bの中心軸は、枢軸14,14の中心軸に対して入力側ディスク2および出力側ディスク3の径方向外側となっている。すなわち、円筒状凸面16bの中心軸は、枢軸14,14の中心軸よりパワーローラから離れる側(図9において左側)に偏芯した状態となっている。
また、パワーローラの外輪の支持梁部16Aに対向する外側面側には、円筒状凸面16bの外径とほぼ同じ内径となる円筒状凹面が設けられ、当該円筒状凹面の内周面を円筒状凸面16bの外周面に係合した状態で、前記円筒状凸面16bの中心軸を回転中心としてパワーローラとともに外輪を左右に揺動可能となっている。
これにより、パワーローラを入力軸(ディスクの回転中心軸)の軸方向に僅かに移動させて、各構成部材の弾性変形量の変化に対応させることが可能となる。
特開2008−25821号公報
ところで、近年、車体の軽量化・省燃費化が市場要求としてあり、トロイダル無段変速機も軽量化が進められており、これに伴ってパワーローラを支持するトラニオンについても軽量化が検討されている。
ところが、トラニオンにおいては、パワーローラが入出力側ディスクに挟み込まれることによって、当該パワーローラに押付力Fcが発生し、図9(b)に示すように、トラニオン15に当該押付力Fcの分力Fpr(=2Fc×cоsθ)が作用するため、これに耐え得るだけの剛性が求められるが、剛性を大きくするとトラニオンの重量が大きくなる。このため、所定の剛性を保持しつつ大幅な軽量化を図るのは限界があり、困難であった。
なお、前記θは、押付力Fcの方向と、パワーローラの中心軸との成す角度(半頂角)であり、押付力Fcの分力Fprはパワーローラの回転軸方向の力である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、所定の剛性を保持しつつ軽量化を図ることができるトロイダル型無段変速機のトラニオンを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機のトラニオンは、トロイダル型無段変速機の入力側ディスクと出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラを回転自在に支持し、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転するトロイダル型無段変速機のトラニオンにおいて、
前記トラニオンは、前記枢軸より背面側に前記パワーローラを支持する支持部を有し、
この支持部の背面に、当該背面から突出する補強部が設けられ、
この補強部の突出方向に対して交差する交差方向における当該補強部の幅が、前記支持部の前記交差方向における幅より小さくなっていることを特徴とする。
本発明においては、パワーローラを支持する支持部の背面に、当該背面から突出する補強部が設けられているので、支持部にパワーローラの回転軸方向の力(押付力Fcの分力Fpr)が作用しても、これに耐え得るだけの所定の剛性を保持できる。
また、補強部の突出方向に対して交差する交差方向における当該補強部の幅が、支持部の前記交差方向における幅より小さくなっているので、トラニオンの重量増を小さくして、軽量化を図ることができる。
したがって、所定の剛性を保持しつつトラニオンの軽量化を図ることができる。
本発明によれば、パワーローラを支持する支持部の背面に、当該背面から突出する補強部が設けられているので、支持部にパワーローラの回転軸方向の力が作用しても、これに耐え得るだけの所定の剛性を保持できるとともに、補強部の幅が、支持部の幅より小さくなっているので、トラニオンの重量増を小さくして、軽量化を図ることができる。したがって、所定の剛性を保持しつつトラニオンの軽量化を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係るトラニオンを示すもので、(a)はトラニオンの斜視部、(b)はトラニオンの平面図である。 第1の実施の形態に係るトラニオンをバリエータに組み込んだ状態を示す要部の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るトラニオンを示す側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るトラニオンを示す側面図である。 本発明の第4の実施の形態に係るトラニオンを示す側面図である。 本発明の第5の実施の形態に係るトラニオンを示す側面図である。 従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。 図7におけるA−A線に沿う断面図である。 従来のトラニオンの一例を示すもので、(a)はトラニオンの斜視部、(b)はトラニオンの縦断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態のトロイダル型無段変速機のトラニオンの特徴は、トラニオンの支持部の背面に設けられた補強部であるので、以下においては、この実施の形態の特徴部分について説明し、それ以外の共通部分については、図9示す従来のトラニオン15と同一の符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係るトラニオン15Aを示すもので、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図1に示すように、トラニオン15Aは、従来のトラニオン15の支持板部16に代えて、支持梁部(支持部)16Aを有している。支持梁部16Aはパワーローラを支持するものであり、この支持梁部16Aの両端部に、この支持梁部16Aの内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20が設けられている。この折れ曲がり壁部20,20によって、トラニオン15Aには、図示しないパワーローラを収容するための凹状のポケット部Pが形成されている。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
また、支持梁部16Aの、パワーローラの外輪に対向する内側面は円筒状凸面16bとなっている。この円筒状凸面16bの円筒部分の中心軸は、枢軸14,14の軸方向と平行となっている。
また、円筒状凸面16bの中心軸は、枢軸14,14の中心軸に対して入力側ディスク2および出力側ディスク3の径方向外側となっている。すなわち、円筒状凸面16bの中心軸は、枢軸14,14の中心軸よりパワーローラから離れる側(図1(a)において右側)に偏芯した状態となっている。
また、円筒状凸面16bの上下方向の略中央部には、円筒状凸面16bの周方向に沿って延在する突条16cが設けられている。
また、パワーローラの外輪の支持梁部16Aに対向する外側面側には、円筒状凸面16bの外径とほぼ同じ内径となる円筒状凹面が設けられ、この円筒状凹面の上下方向略中央部には、円筒状凹面の周方向に沿って延在する凹条が設けられている。
そして、パワーローラの外輪は、その円筒状凹面の内周面をトラニオン15Aの円筒状凸面16bの外周面に係合するとともに、凹条をトラニオン15Aの突条16cに係合した状態で、円筒状凸面16bの中心軸を回転中心としてパワーローラとともに左右に揺動可能となっている。
これにより、パワーローラを入力軸(ディスクの回転中心軸)の軸方向に僅かに移動させて、各構成部材の弾性変形量の変化に対応させることが可能となる。
また、支持梁部(支持部)16Aは背面視において上下に長い長方形状になっており、この支持梁部16Aの背面に、当該背面から突出する補強部60が設けられている。
この補強部60は、支持梁部16Aの背面の左右方向略中央部から突出しており、上下に長い形状に形成されている。
また、補強部36の上端面は上側の折れ曲がり壁部20の上面と面一になっており、下端面は下側の折れ曲がり壁部20の下面と面一になっている。
上述したように、補強部36は上下に長い形状に形成されており、その背面は上下の折り曲り壁部20,20の上下面に対して傾斜する傾斜面60a,60aと、当該傾斜面60a,60a間に設けられて、支持梁部16Aの背面と軸がほぼ平行な緩やかな円弧面状の後面60bとから構成されている。
また、補強部60の左右の側面60c,60cはそれぞれ、支持梁部16Aの背面の上下方向に沿う縁より若干内側の部分から円弧面状に立上る円弧面60dと、この円弧面60dの他方の縁から立ち上がる台形状の平面60eとによって構成されている。
そして、対向する側面60c,60c間の距離、すなわち、補強部60の突出方向に対して交差(直交)する交差方向(直交方向)における当該補強部60の幅は、支持梁部16Aの前記交差方向における幅(支持梁部16Aの背面の短辺方向の長さ)より小さくなっており、特に、対向する平面60e,60e間の距離は、十分に小さく(例えば支持梁部16Aの背面の短辺方向の長さの約1/5程度に)なっている。
また、補強部60の支持梁部16Aの背面からの突出長さは以下の(1)および(2)のように設定されていている。
(1)すなわち、図2に示すように、パワーローラ11を支持しているトラニオン15Aを入力側ディスク2と出力側ディスク3Aとの間に配置し、パワーローラ11を入力側ディスク2の断面円弧状の内側面2aと、出力側ディスク3Aの断面円弧状の内側面3aとに接触させた状態において、補強部60の先端60fが、図2において二点鎖線で示す円弧状の仮想線Kより外側に位置するように、補強部60の突出長さが設定されている。
前記仮想線Kは、入力側ディスク2の内側面2aの断面円弧状の曲線と、出力側ディスク3Aの内側面3aの断面円弧状の曲線と、これらの延長線で構成される円弧状の仮想線である。
また、補強部60の先端60fとは、パワーローラ11の中心軸Oとトラニオン15Aの傾転軸(枢軸14)とを含む平面と、補強部60の後面60bとの交点60fのことを意味する。
(2)また、図2に示すように、トラニオン15Aの低速側における最大傾転時、つまりパワーローラ11が入力側ディスク2の内径側の内側面2aに接触するとともに、出力側ディスク3Aの外径側の内側面3aに接触している場合に、トラニオン15Aの背面の一部(補強部60の側面60c)と入力側ディスク2の外周部とが入力軸1の軸方向に長さLだけオーバーラップするように、かつ、トラニオン15Aの高速側における最大傾転時、つまりパワーローラ11が入力側ディスク2の外径側の内側面2aに接触するとともに、出力側ディスク3Aの内径側の内側面3aに接触している場合に、トラニオン15Aの背面の一部(補強部60の側面60c)と出力側ディスク3Aの外周部が入力軸1の軸方向にオーバーラップするようにして、補強部60の突出長さが設定されている。
このように、オーバーラップさせることによって、トラニオン15Aの剛性を向上させることができ、さらに、剛性を向上させたままトラニオン15Aの軽量化を図ることができる。
本実施の形態によれば、パワーローラ11を支持する支持梁部16Aの背面に、当該背面から突出する補強部60が設けられているので、支持梁部16Aにパワーローラ11の回転軸方向の力(押付力Fcの分力Fpr)が作用しても、これに耐え得るだけの所定の剛性を保持できる。
また、補強部60の突出方向に対して交差する交差方向における当該補強部60の幅が、支持梁部16Aの前記交差方向における幅より小さくなっているので、トラニオン15Aの重量増を小さくして、軽量化を図ることができる。
したがって、所定の剛性を保持しつつトラニオン15Aの軽量化を図ることができる。
また、トラニオン15Aの支持梁部16Aが前記のような力(押付力Fcの分力Fpr)を受けると、支持梁部16Aの背面が背面側(後側)に変形(または移動)するが、補強部60の幅が上述のように小さくなっているので、トラニオン15Aの傾転時に入力側ディスク2や出力側ディスク3Aに補強部60が干渉するのを防止できる。
(第2〜第5の実施の形態)
図3は第2の実施の形態に係るトラニオン15B、図4は第3の実施の形態に係るトラニオン15C、図5は第4の実施の形態に係るトラニオン15D、図6は第5の実施の形態に係るトラニオン15Eをそれぞれ示す側面図である。
なお、トラニオン15B〜15Eでは、補強部60の支持梁部16Aの背面からの突出長さはトラニオン15Aと同様、つまり前記(1)および(2)に示したように、設定されている。
図3に示すトラニオン15Bでは、パワーローラからの力はトラニオン15Bの上下方向略中央部に作用するので、これに効果的に抵抗し、さらに軽量化を図るため、トラニオン15Bの支持梁部16Aの上下方向の略中央部に向かうほど、補強部60の突出長さを長く設定したものである。
具体的には、図1に示すトラニオン15Aの補強部60の台形状の平面60eを、図3に示すように、三角形状の平面60e1としたものである。なお、トラニオン15Aと同一の構成には同一符号を付して、その説明を省略する。
図4に示すトラニオン15Cでは、図3に示すトラニオン15Bよりさらに軽量化を図るため、補強部60の上下方向の略中央部のみの突出長さを長く設定したものである。
具体的には、図3に示すトラニオン15Bの三角形状の平面60e1を、図4に示すように、前記三角形より小さいほぼ矩形の平面60e2としたものである。
なお、トラニオン15A,15Bと同一の構成には同一符号を付して、その説明を省略する。
図5に示すトラニオン15Dでは、補強部60の一部をトラス構造としたものである。
具体的には、図1に示すトラニオン15Aの補強部60の台形状の平面60eを、図5に示すように、長方形状の平面60e3とするとともに、この部分に三角形状の貫通孔60gを形成したものである。
このような貫通孔60gを形成することによって、軽量化を図るとともに、トラス構造によって、パワーローラからトラニオン15Dの上下方向略中央部に作用する力に対して、引張応力と圧縮応力を作用させて、剛性を向上させることができる。
なお、トラニオン15A〜15Cと同一の構成には同一符号を付して、その説明を省略する。
第1〜第4の実施の形態に係るトラニオン15A〜15Dでは、補強部60が支持梁部16Aに一体的に形成されていたのに対し、図6に示す第5の実施の形態に係るトラニオン15Eでは、補強部60を支持梁部16Aとは、別体に形成(加工)し、この加工された補強部60を支持梁部16Aの背面に溶接等によって固定したものである。
本実施の形態では、第1〜第4の実施の形態に比して、トラニオン15Eの製作が容易であるという利点がある。
なお、第1〜第5の実施の形態では、補強部60の支持梁部16Aの背面からの突出長さを前記(1)および(2)のように設定したが、このように設定しなくても、トラニオンの支持部の背面に、当該背面から突出する補強部が設けられ、この補強部の突出方向に対して交差する交差方向における当該補強部の幅が、支持部の前記交差方向における幅より小さくなっていればよい。
また、本発明は、シングルキャビティ式やダブルキャビティ式などのハーフトロイダル型無段変速機のトラニオンに適用することができ、特に、トラニオンが支持板部または支持梁部等で構成された支持部と、この支持部の両端部に設けられた折り曲り壁部とを備えたトラニオンに好適に適用することができる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15A〜15E トラニオン
16A 支持梁部(支持部)
60 補強部

Claims (1)

  1. トロイダル型無段変速機の入力側ディスクと出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラを回転自在に支持し、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転するトロイダル型無段変速機のトラニオンにおいて、
    前記トラニオンは、前記枢軸より背面側に前記パワーローラを支持する支持部を有し、
    この支持部の背面に、当該背面から突出する補強部が設けられ、
    この補強部の突出方向に対して交差する交差方向における当該補強部の幅が、前記支持部の前記交差方向における幅より小さくなっていることを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン。
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