JP2016205062A - 薬液注入工法 - Google Patents

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Abstract

【課題】注入する薬液材を少量ずつ予め設定した時間間隔をおいて反復注入し、地盤の内下部で注入管の吐出周辺にとどめるようにすることで、注入材と周辺土壌とによる圧密強化領域或いは注入薬剤による土壌の改善を、少量の薬液材によって有効に処置する薬液注入工法を提供する。
【解決手段】薬液材を地盤に注入するにあたり、予定する深さ位置の圧密度を調査し、この深さ位置で得た圧密度に基づいて、所定深度まで挿入した注入管10に薬液材を微量ずつ予め設定した時間間隔で供給注入し、この操作を所定回数反復して前記注入管10の設置周辺部の地中に注入薬液材を分散してとどまらせ土壌の圧密強化域Qを形成し、建造物の支持地盤を強化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、地盤への薬液材の注入を合理的に行い建造物の基礎土壌の支持力を増大させる、或いは注入材を地盤中に拡散させることなく注入部の近傍にとどめるように注入して、地盤土壌を強制圧密強化し改善させることができる薬液注入工法に関するものである。
一般に、どのような建造物であっても、その建造物を支持するには十分な支持力を有する基礎土壌が必要である。支持力が不足すると基礎土壌の沈下が上層部或いは深層部で生じるかにかかわらず、地上にある建造物の損傷を招くことになる。したがって、どのような建造物であっても基礎地盤を強化することが必要である。
通常、建造物の基礎地盤を強化して安定地盤を造成するのに深層部の安定した地層に達するように杭を打ち込んで支持力を確保する方式が採用されている。しかしながら、この杭打ちによって建造物の支持力を確保する手段では、杭を密に打設することが施工上の困難性や工費が嵩むことから、例えば構造物の支柱支持基礎対応位置にのみ打設して支持力の確保を図っている。こうすることにより、建造物自体の負荷が杭を介して地盤の深層部に位置する岩盤など硬い地層に受支されて安定維持できるという手法が採用されている。
しかしながら、前述のいわゆる杭基礎により建造物を支持する場合、その杭打設箇所以外の部分では、建造物の支持力を大きく確保する度合いが小さくなることから、多くは基礎土壌に対して杭打設箇所程の地耐力を確保されていることが少ない。例えば、工場建屋や貨物倉庫の建屋などでは独立基礎部で支柱を支持し、その独立基礎以外の箇所、いわゆる土間については地盤上層部を固めた程度でコンクリート床を造成するような構造になっている。
構造物の支持地盤において独立基礎部以外の地盤では、建造物の構築後に地盤上層部に作用する負荷によって構造物(床版)が降下するという事態が発生する。この降下状態が顕著になると、床面が波打ち状態となって障害が発生する。また、床版が大きく降下しなくとも、その下面と地盤表層部との間に空洞が発生することがある。このような事態が生じると、構造物内部での設備機器の設置状態に異常が発生するなどの問題点が回避できない。そこで、このような建造物の一部における異常(床の降下など)を解消して復元するために、構造物の下に膨張可能な物質(例えば発泡ポリウレタン樹脂など)を注入して、その膨張物質で空間の充填や床版の持上げなどを行う方法が、例えば特許文献1などによって知られている。
また、構造物の基礎下部に吐出口を対峙するようにして複数個所に設置した注入ロッドによって薬液材を設定した所定の時間間隔で供給を切換えて順次断続的に注入し、地中に薬液材によるホモゲル部を形成し、そのホモゲル部を次第に拡張させて支持層を造成するとともに、その支持層に注入反力をとって沈下した構造物を持上げ復元する工法が特許文献2によって知られている。
さらに、軟弱地盤などの強化や止水等を目的とする場合の地盤改良工法としては、多数点のグラウト注入ポイントごとに、グラウトの注入速度、注入圧、注入と停止の切換などを管理することにより、層ごとに異なる地盤状況(透水係数や間隙率など)に対応させる技術が特許文献3などによって提案されている。
また、地上から基礎土壌中深くに複数の注入孔を設けて、化学反応により膨張する物質(例えば、発泡ポリウレタン樹脂)を注入して発泡させることにより、注入孔に隣接する土壌の圧密を生じさせて基礎土壌を強化し、支持力を高めようとする技術が特許文献4によって提案されている。
或いはまた、圧送時には流動性があって圧送を停止した場合速やかに粘性が増大して流動性が停止する性質を有する可塑性グラウトを地盤に、注入順番を所定のタイミングで反復するインターバル方式により注入し、注入中は可塑性グラウトが流動性を有し、注入を中断すると流動性を失い、かつ水分を失って凝固する性質を利用して注入する可塑性グラウトが横方向に圧入されて割裂を生じることなく圧密現象を重ね、削孔の軸方向上方に上昇せず、注入による地盤の隆起を避けて横方向にのみ土粒を押しやり、ステップアップして注入操作を行うことで柱状の固結体を形成し、複数注入位置での隣接する柱状固結体間の土壌を圧密して地盤の強化を行うことが特許文献5によって開示されている。
しかしながら、前記特許文献1によって開示されている技術では、基礎土壌が処理されず、地表部に沿って設けられた床版が持上げられて復元されるにとどまる。したがって、この工法によれば、一時的な表層部のレベル修正にとどまり、基礎地盤の強化に至らない。また、特許文献2で知られる技術では、構造物の支持地盤において基礎下の上層部が薬液材の注入処理で強化されるにとどまり、地盤の深部までも注入材が届けられないことから、基礎下部での地中の強化がなされないという問題点がある。
また、前記特許文献3で開示されている技術では、グラウトの注入速度、注入圧、注入と停止の切換えなどを、多数設置されたグラウト注入用ポンプの制御により行っている。そのために、地盤状況を監視することが制御の複雑化や制御の不安定化を招くことに繋がり、それが原因で制御精度も低下する問題点がある。しかも、グラウトの注入状況を管理するための検出機器を多く必要とし、制御装置や注入ポンプにも高性能のものが必要とされるなど、設備コストが高騰化する問題点もある。
前記特許文献4で開示されている技術では、地盤の深部まで掘削した注入孔に化学反応により膨張する物質を注入して発泡させることで土壌を圧密させる技術であるので、連続的に注入材(発泡物質)を注入して発泡させることから、注入地点で継続的に注入処置する必要がある。この化学反応で発泡する注入材により土壌を圧密する場合、その注入材が有機物質でしかも地盤土壌と結合するものではないので、長期にわたって注入時の状態を維持することが困難であり、何らかの外力が膨張充填部分に作用すると膨張時の状態を維持することができなくなる恐れがある。言い換えると、長期にわたり地盤支持力の安定を維持することに問題がある。
また、前記特許文献5で開示されている技術では、複数個所で注入するグラウトをインターバル方式による反復注入で、注入地点にて土粒子を横方向に押しやって地盤内にグラウトによる固結体を形成し、その固結体によって地盤を圧密して強化しようとするものである。しかしながら、この方式によるとグラウトによる固結体を形成するのであるから、特に軟弱地盤の場合、相当過大な量のグラウトの注入を必要とし、当然のことながら注入材(グラウト)の消費量が過大になりコストアップが避けられないという大きな問題点がある。
一方、既存の建造物基礎地盤、或いは工場などの撤去跡地盤において、例えば油脂や化学物質の浸透などで汚染土壌となっている場合、この汚染状態を改善して活用するために、改善するための薬剤やマイクロバブルを汚染土壌中に注入して化学的に、或いは生物学的に処理するような土壌の浄化改良処理を行う必要がある。このような汚染土壌などの浄化処理を行うには、必要とする薬剤などを注入するに当たり、注入する薬剤を土壌中にむやみに拡散することは工費が嵩むのみならず、効率よく処理できないので、薬剤の注入を拡散させることなく注入地点の土壌中にとどめるようにして反応処理を効率よく実施する方策が望まれている。
特許第4896949号公報 特許第3126896号公報 特開2003−232030号公報 特許第3916091号公報 特開2004−211543号公報
本発明では、従来技術による問題点を解決して、注入する薬液材を少量ずつ予め設定した時間間隔をおいて反復注入し、地盤の内下部で注入管の吐出周辺部にとどめて土壌内に分散させるようにしたことで、周辺土壌の強制圧密強化領域或いは注入薬剤による土壌の改善を少ない量の薬液材によって有効に処置することができる薬液注入工法を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明の薬液注入工法は、
薬液材を地盤に注入するにあたり、予定する深さ位置の圧密度を調査し、この深さ位置で得た圧密度に基づいて、所定深度まで挿入した注入管に薬液材を微量ずつ予め設定した時間間隔で供給注入し、この操作を所定回数反復して前記注入管の設置周辺部の地中に注入薬液材を分散してとどまらせ土壌の圧密強化域を形成させることを特徴とする。
前記発明において、前記対象となる地盤では、調査した圧密度データと予定注入量とに基づいて注入ポイントまわりで最初に注入薬液材が地中で分散する分散半径を予測して、その予測分散半径の2倍を超える間隔を相互に離して複数個所に注入ポイントを設定し、前記注入ポイントにて注入管を前記調査で取得した圧密度データに基づいた深さ位置まで挿入させ、薬液材の注入に際して、一回の注入量を微量として初回注入後、所定時間待機した後次回の注入を行う操作を所要回数反復して行われるようにするのがよい。
また、前記発明において、前記地盤に設定深度まで挿入設置した注入管は、所定量の薬液材を注入するごとにステップアップして前記注入操作を繰り返すようにするのが好ましい。
前記注入管による薬液材の注入操作において、一回の注入操作後に待機する時間は、注入された薬液材のゲル化および所定強度発現時間に対応させるのが好ましい。また、前記薬液材を微量ずつ注入する一回の注入量としては、0.6〜4.0リットルの範囲で選択された量であるのが好ましい。
薬液材の注入対象地において、地盤の層厚方向に地質調査を行い、強化すべき深さ領域内の圧密度の高い高密度層とその下層側で圧密度の低い低密度層とが積層して存在することを見出したときには、低密度層を薬液材の注入深さ位置として設定するのがよい。
前記注入管は複数個所に配置して、その注入管での薬液材注入は、複数の注入管の配置順に従って供給と停止とを順次入れ替わりのタイミングで切換えるようにし、一巡したら次の注入順に移行して所定注入量に至るまで巡回し反復注入するのがよい。
本発明の薬液注入工法によれば、地盤の圧密度の調査結果に基づいて所定深度まで挿入設置した注入管により、注入する薬液材を一回当たり微量ずつ所定の時間間隔をおいて注入する操作を繰り返すことで、注入材が注入管の吐出周辺部で木の根状に土壌と結び付けてとどまらせることができ、散逸することなく注入点の周辺部で地盤を有効に圧密強化させることができる。したがって、注入管の挿入深度を適正に設定することにより、注入する薬液材を減量して地盤の深い位置までの圧密強化を図ることができる。
また、本発明では、地質調査によって得られた地層の高密度層の下側に低密度層が積層して存在する場合、その低密度層において薬液材の注入を行うようにして圧密強化を有効に実施することができ、薬液材の注入量を適正に保って地盤を合理的に強化することができるのである。
本発明の薬液注入工法の一実施形態を表す概要図である。 注入ポイントの配置の一態様を示す図である。 本発明の薬液注入工法の実施フローシートである。 本発明に係る薬液注入工法の実施に使用する薬液供給装置とその設置状況を模式的に表す図である。
本発明の薬液注入工法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
次に本発明による薬液注入工法は、対象となる地盤の内下部に薬液材(グラウト)を微量ずつ間欠的に注入する操作を繰り返し、薬液材を予定箇所以外に拡散させることなく注入地点の周辺部にとどまらせて土壌との結び付きを高めることにより、地盤の圧密強化を行う工法である。本発明の薬液注入工法によれば、既存建造物の基礎下部での地盤強化のみならず、建造物の存在しない地盤や軟弱地盤などでの地盤強化をも達成することができる。
本発明の薬液注入工法では、図3のフローシートで示すように、強化処置の対象地となる地盤Gにおいて地表面から地下に向けて地質調査を行う(ステップS1)。この地質調査としては、例えばスウェーデン式サウンディング試験方法などが採用される。この地質調査で地盤G内部の地層(地質)の分布を探り、圧密度の高い高密度層がどの深さに存在するか探し出し、この高密度層の深さに応じて薬液材の注入予定深さ位置を設定する(予定する深度以下に高密度層が存在する場合は、その高密度層までの範囲で注入予定深さ位置を設定する)。
地盤表層部に近く高密度層が存在しても、その高密度層の層厚が不足と判断される場合や表層部が低密度層でその下側に存在する高密度層が層厚不足と判断されるような地層の場合は、高密度層の下層側に存在する低密度層に薬液材の注入予定位置(注入ポイントP)を設定する(ステップS2)。なお、わざわざ地質調査を行わなくとも当初から薬液材の注入深さを設定できる場合には、必要に応じ事前に地質調査を行って数値データとして注入深度の圧密度を取得しておく。
一方、薬液材注入は、一回の注入量としてごく少量を数秒の注入時間で注入して、設定した時間空けて間欠的に注入する。この一回の注入量としては、作業現場の状況により異なるが、0.6〜4.0リットルの範囲で選択された量、注入間隔となる供給停止時間としては注入された薬液材のゲル化および所定強度発現時間に相応するものとして設定される。
前述のような注入条件の設定で地盤Gの強化予定領域に対して複数個所で注入ポイントPを設定する。この注入ポイントの設定は、注入する薬液材の粘度,注入量,注入圧や地質などの条件を勘案して、その注入ポイントPでの薬液材の注入による周辺への分散半径rを予測し、この分散半径rのほぼ2倍を超える(ただし、これに限定されない。)間隔Lで複数個所に注入穴を削孔して決める(ステップS3)。なお、この各注入ポイントPの配置は、図示省略するが対象地の状態により例えば建造物の基礎に対して所定の間隔でマス目配置とし、ときには千鳥配置としてもよい。また、必要に応じて横長(縦長)方向に複列配置してもよい。
前記注入ポイントPでは、先に地質調査で得られた注入する深さ位置まで例えばボーリングマシンを使用して注入穴を掘削し、この注入穴に注入管10を挿入する。この注入穴は地上に既設建造物がある場合、その建造物の床面上から地盤中に穿孔して注入管10を挿入植設する(ステップS4)。建造物床上からの穿孔ができない場合は建造物の周囲から基礎下部に対して穿孔して注入管10を挿入設置する。この注入管10としては二重管ロットが用いられ、所定長さのロッドを挿入深さに応じて順次継ぎ手により複数本継ぎ足して行う。
設置された各注入管10に対しては、別位置に薬液供給装置20を設置する(ステップ5)。そして、この薬液供給装置20から制御盤25によって制御されるように関係付けられている各注入ポイントP当たり1箇の液分配切換弁23を介して配管(主にホースによる)接続する(ステップS6)。前記各液分配切換弁23が薬液供給装置20に付属した制御盤25からの指令で、順次設定される時間間隔(前記薬液材のゲル化および所定強度発現時間に相当)で切換えられて一カ所の液分配切換弁23のみを開いて対応する注入管10に給液されるように注入条件を設定する(ステップS7)。ここで配置する前記液分配切換弁23は、薬液供給装置20のA液およびB液の送液ポンプ22A、22Bから直列に配管24(24A、24B)にて接続され、制御手段によって所定の順序で一カ所ごとに順次切換えられて各注入ポイントPに所定量の薬液材(A液とB液)が供給されるようにする。
各注入ポイントPでは、薬液材の注入が開始されると、注入管10に供給された薬液材が一回当たりごく少量であるので、吐出端から地中に吐出されると木の根状に分散してその周辺部の土壌と結び付いてとどまり、吐出された薬液材がゲル化および所定強度に発現する時間を待ち時間とし、この待ち時間中に他の注入ポイントへの薬液材の供給が順次切換えられて注入が行われる(ステップS8)。切換えが一巡して先に注入された注入ポイントPの注入管10に再び薬液材が供給されると、吐出される薬液材は先に吐出して土壌中に分散されて結び付き、土壌を圧密化する部分を注入圧によって圧入されて流動し、前記圧密化した部分の外側に流出し、周辺の土壌と結び付くとともに枝状に分布される。この状態が後続の注入によって所定回数繰り返されると、一回の注入量がごく少量であるから、大きく拡張することなく注入ポイントの吐出周辺部でとどまることになる。
各注入ポイントでの注入が所定回数繰り返されると注入操作を一旦停止する(ステップS9)。こうして、最初に挿入設置された注入管10の吐出部深さ位置周辺で所定量の薬液材が注入されて土壌の圧密強化部分(以下、「圧密強化部Q」という)が形成されると、次にパイプ引き上げ手段(ジャッキ装置、くい抜き器など)でもって所定寸法注入管をステップアップする(ステップS10)。
このパイプ引き上げ手段により注入管10をステップアップさせた後には、注入操作の継続か否かを判断する(ステップS11)。ここで継続する(yes)ときは、注入開始時点(ステップS8)に戻って再び前記要領で薬液材の注入を順次繰り返して行うことになる。こうして一ステップで所定量の薬液材を注入して前記圧密強化部Qが形成されると、次のステップアップを行い、以後所定注入量に応じた圧密強化部Qが形成されるごとに、順次前記ステップアップと注入の操作を繰り返すことにより、地盤Gの深部から上層部まで隣接する注入ポイントPでの同様の処理でもって横方向に、相互に周辺の土壌が圧密されて地盤Gを強化することができる。ステップアップして注入する操作を継続しないとき(no)は、以後の注入操作を終了する(ステップS12)。こうして各注入ポイントPでの注入操作が終了すると、注入管の撤去を行い作業が終了する(ステップS13)。
なお、この各注入ポイントPでの注入操作を実施する過程では、地表部においてレーザーレベルなどの計測器を設置して注入ポイント近傍での隆起状態を監視し、異常の発生がないようにする。もしも、隆起現象が察知される場合には、当該箇所での注入操作を停止して異常状態を未然に防止することができる。
このようにして設定された間隔で複数個所の注入ポイントPで薬液材の注入が行われると、各注入ポイントPで地中における圧密強化部Qによって、隣接する圧密強化部Q間で相互に中間の土壌に押圧力が作用し、その結果、対象領域の地盤が全般的に圧密強化されることになる。
この薬液注入工法を実施する領域が広い場合には、対象地内を複数の区画に区分して、各区画で注入ポイントの一連の注入サークルをグループ化し、複数のグループごとにそれぞれ薬液供給装置から薬液材を供給する方式を採用することにより、合理的に支持地盤の安定化を図ることができる。
この薬液注入工法では、大型の機器を全く使用することなく既存建造物の基礎下部に薬液材を注入して支持地盤の圧密強化を図ることができる。
本実施形態では、注入する薬液材として水ガラス系注入材(A液)とセメント系注入材(B液)とを混合させて用いるものが採用される。そのために、注入管10にはA液とB液とを目的の注入管まで別個に送り込まれるようにして注入管先端部で混合吐出するようにした二重管ロッドが採用される。したがって、薬液供給装置20の送液ポンプ22A、22Bから注入管10までは、A液とB液とを別個の配管24A、24Bで供給され、前記液分配切換弁23もA液用とB液用のものが採用される。また、液分配切換弁23としては、三方弁、スプール弁、ニードル弁などが採用される。そして、前記液分配切換弁23は各注入管10に対して個別に接続されるために複数必要とされるので、各注入管に対応するA液用とB液用とを1組として設置用の支持フレームに組み込んでおくと設置作業能率が向上して好都合である。
また、前記薬液供給装置20におけるA液用の送液ポンプ22AとB液用の送液ポンプ22Bおよび液分配切換弁23は、コンピュータによる制御手段(制御盤25)によって制御可能にされている。前記制御手段は各注入管10に対する薬液材の注入条件や各注入管10に対する薬液材の供給順などを任意設定できるものとする。
制御手段(制御盤25)での薬液材の注入条件としては、注入材の1回の注入量を注入する時間の設定(例えば3秒)や注入量の設定(例えば1リットル)などを設定する。そして、注入条件の各設定値が満足されたことを検出したときに、当該注入ポイントでの薬液材の供給停止と、次に選択された他の注入ポイントへの薬液材の供給開始とを行うような設定とする。
また、薬液材の供給順の設定としては、注入ポイントの所定数をグループ化して、各注入ポイントPの配置順に従って供給と停止とを順次入れ替えながらグループ内のすべての注入ポイントPを一巡させ、それを1サイクルとする。そして、1サイクルが終了したタイミングでそのまま次のサイクルへ移行できる設定とすればよい。
なお、地盤内へ注入した薬液材が完全に固化してしまうと、次の薬液材を注入させることが困難となるので、注入した薬液材のゲル化および所定強度発現時間(例えば30〜60秒)の範囲でグループ内を一巡できるように、1グループ内に設定する注入ポイントの設置数を調整するのがよい。
また、注入サイクルの繰り返し回数は、予め設定した1注入ポイントでの注入設定量によって定めるようにしてもよく、供給薬液材の注入圧を検出して設定値に到達すると注入を停止するようにしてもよい。
以上の説明においては、既存建造物が地上に設置された状態での基礎下部地盤の圧密強化、言い換えると支持地盤の支持力強化を図る工法について記載した。本発明に係る薬液注入工法によれば、大型の設備機材を用いることなく地盤の支持力を容易に高めることができる効果を奏するものである。この発明に係る薬液注入工法は、地盤の支持力強化のほかに地盤の汚染土壌浄化処理などについても採用することができる。
汚染土壌の浄化処理については、基本的に前記地盤支持力の強化に関する工法と同様であり、地盤への注入薬液材として対象地の処理条件に対応したものを用いるのがよい。
例えば、油脂などの土壌汚染物質が地中に存在する場合、浄化処理として原位置浄化が必要となる。そこで、浄化処理として微生物処理、化学酸化処理などを行うことになり、使用する薬液材としては、微生物材、微生物の栄養剤、pH調整剤、酸素発生剤、酸化剤、重金属不溶化剤および吸着剤のいずれか一種もしくは二種以上を組み合わせた、水溶液又は懸濁液が使用される。これら薬液材を用いることにより。汚染物質を無害で安定した無機物に酸化分解したり、安定化することができる。
このような薬液材を用いて浄化処理するに際して、一回の注入量をごく少量ずつ注入して、薬液材が地中で一挙に散逸することなく、注入ポイントの周辺部にてとどまるとともに、次回の注入によって先に注入された部分から次第に周辺に広がるようにすることで、無理なく地中に分布させ、汚染物質を安定物質に変化させることができる。
このほか、注入材にマイクロバブル液を混在させて、地盤の不飽和化処理を実施するような工法にも利用することが可能である。
10 注入管
20 薬液供給装置
22A,22B 送液ポンプ
23 液分配切換弁
24A,24B
25 制御盤
G 地盤
Q 圧密強化部

Claims (7)

  1. 薬液材を地盤に注入するにあたり、予定する深さ位置の圧密度を調査し、この深さ位置で得た圧密度に基づいて、所定深度まで挿入した注入管に薬液材を微量ずつ予め設定した時間間隔で供給注入し、この操作を所定回数反復して前記注入管の設置周辺部の地中に注入薬液材を分散してとどまらせ土壌の圧密強化域を形成させることを特徴とする薬液注入工法。
  2. 前記対象となる地盤では、調査した圧密度データと予定注入量とに基づいて注入ポイントまわりで最初に注入薬液材が地中で分散する分散半径を予測して、その予測分散半径の2倍を超える間隔を相互に離して複数個所に注入ポイントを設定し、前記注入ポイントにて注入管を前記調査で取得した圧密度データに基づいた深さ位置まで挿入させ、薬液材の注入に際して、一回の注入量を微量として初回注入後、所定時間待機した後次回の注入を行う操作を所要回数反復して行われるようにする請求項1に記載の薬液注入工法。
  3. 前記地盤に設定深度まで挿入設置した注入管は、所定量の薬液材を注入するごとにステップアップして前記注入操作を繰り返すようにする請求項1または2に記載の薬液注入工法。
  4. 前記注入管による薬液材の注入操作において、一回の注入操作後に待機する時間は、注入された薬液材のゲル化および所定強度発現時間に対応させる請求項1または2に記載の薬液注入工法。
  5. 前記薬液材を微量ずつ注入する一回の注入量としては、0.6〜4.0リットルの範囲で選択された量である請求項1〜4のいずれか1に記載の薬液注入工法。
  6. 前記薬液材の注入対象地において、地盤の層厚方向に地質調査を行い、強化すべき深さ領域内の圧密度の高い高密度層とその下層側で圧密度の低い低密度層とが積層して存在することを見出したときには、低密度層を薬液材の注入深さ位置として設定することを特徴とする請求項1または2に記載の薬液注入工法。
  7. 前記注入管は複数個所に配置して、その注入管での薬液材注入は、複数の注入管の配置順に従って供給と停止とを順次入れ替わりのタイミングで切換えるようにし、一巡したら次の注入順に移行して所定注入量に至るまで巡回し反復注入することを特徴とする請求項1または2に記載の薬液注入工法。
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