JP2016204830A - 洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】便器における雑菌の繁殖を抑制することができ、かつ、発生した尿石を除去することができる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置30は、酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を貯留するタンク1と、タンク1から供給された酸性水溶液を電気分解し電解水を生成する電解部4と、供給部5とを備え、供給部5は、タンク1に貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器15に供給し便器15又は排水管23を洗浄するように設けられ、かつ、電解部4により生成した電解水又は希釈した電解水を便器15又は排水管23に供給し便器15又は排水管23を洗浄するように設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、便器及び排水管を洗浄する洗浄装置並びに便器及び排水管の洗浄方法に関する。
便器及び排水管(付随するバルブ類を含む)(以下便器等という)に強固な黄色い汚れが付着することがある。この黄色い汚れは、尿石と呼ばれ、トイレの悪臭の原因となる。尿石が便器等に付着した場合、酸性洗剤を用いて便器等を洗浄する必要がある。酸性洗剤を流すだけでは尿石は容易には除去できないため、洗浄の際には、尿石を擦って削り落す作業を行う。排水管の場合はそのような作業ができないので尿石が取り切れず、尿石の成長の方が早い場合は排水管が閉塞する。このようになった場合には、配管ごと交換する必要が生じる。
このように、トイレにおいて尿石は大きな問題であり、解決が模索されている。
便器等に雑菌が繁殖すると、尿に含まれる尿素が酵素分解されアンモニアが生成する。このアンモニアにより便器等に付着した水または滞留した水がアルカリ性となり、水中のカルシウムイオンが炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウムなどとして析出し尿石が発生する。特に便器の封水、便器、配管や付随するバルブ類の水の溜まり易い箇所(以下、封水等)に尿石が発生しやすい。尿石が一旦発生すると尿石は多孔質の事が多いために、水分を含み易く雑菌の温床となり、尿石が加速度的に成長する。
雑菌の繁殖を防止する便器洗浄機構として、水道水を電気分解して生成した電解水を用いて便器を洗浄する機構(例えば、特許文献1〜3参照)や、塩化ナトリウム水溶液を電気分解して生成した電解水を用いて便器を洗浄する機構(例えば、特許文献4参照)が知られている。これらの便器洗浄機構では、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸塩(NaClO、KClOなど)などの次亜塩素酸類を含む電解水により便器を殺菌処理し雑菌の繁殖を抑制する。次亜塩素酸類は、高い殺菌性を有し、残留性が低く比較的安全であるという利点を有する。なお、次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸に比べ殺菌性が低い。また、次亜塩素酸塩の水溶液はアルカリ性を示す。
また、尿石を除去する便器洗浄機構として、酸性水を用いて便器を洗浄する機構が知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開2014−173267号公報 特開2007−332537号公報 特許第3031280号 特開平7−136660号公報 特開2007−321372号公報
しかし、水道水に含まれる塩素イオンは微量であるため、水道水を電気分解して生成した電解水の次亜塩素酸類の濃度は一般的に低く、電解水の殺菌性が低い。このため、殺菌が不十分になる場合があり、尿石が発生する場合がある。また、塩化ナトリウム水溶液を電気分解して生成した次亜塩素酸ナトリウムを含む電解水はアルカリ性を示すため、便器の封水等に含まれるカルシウムが析出しやすくなる。また、次亜塩素酸ナトリウムは殺菌性が比較的低く、便器等の殺菌が不十分になる場合がある。また、電解水を用いて便器等を洗浄する機構では雑菌の繁殖を抑制できるが、形成された尿石を除去することはできない。
また、酸性水を用いる事で理屈上は多少なりとも尿石が溶解するが、実際にどのような酸性水であれば実用上有用かは開示されていなかった。例えば、水道水程度のpHであっても多少は尿石が溶解するが、通常は尿石の成長の方が早く実用性がないと同様であり、尿石の問題が長い間専門家の間で解決が試みられてきたにも関わらず、未だ尿石除去に有効な適切な酸性水を適切に供給する、安全で実用性のある具体的なシステムは実現していなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、創意工夫と鋭意検討を重ねる事によって、便器における雑菌の繁殖を抑制することができ、かつ、形成された尿石を除去することができる洗浄装置を提供する。これにより、長年専門家の間で容易に解決できなかった課題であったトイレ尿石の抑制及び除去を実現できる発明に到達することができた。
本発明は、酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を貯留するタンクと、前記タンクから供給された酸性水溶液を電気分解し電解水を生成する電解部と、供給部とを備え、前記供給部は、前記タンクに貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられ、かつ、前記電解部により生成した電解水又は希釈した電解水を便器又は排水管に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられたことを特徴とする洗浄装置を提供する。
本発明によれば、酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を貯留するタンクと、タンクから供給された酸性水溶液を電気分解し電解水を生成する電解部とを備えるため、高濃度の次亜塩素酸類を含む電解水を生成することができる。また、タンクに貯留した酸性水溶液は酸性物質を含むため、電解水のpHが高くなることを抑制することができ、高い殺菌性を有する電解水を生成することができる。
本発明によれば、供給部は電解部により生成した電解水又は希釈した電解水を便器又は排水管に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられるため、殺菌性を有する電解水により便器を殺菌処理することができ、便器に雑菌が繁殖することを抑制することができる。このため、尿素が酵素分解されることを抑制することができ、アンモニアの発生を抑制することができる。この結果、トイレに悪臭が生じることを抑制することができ、かつ、尿石が生成することを抑制することができる。また、次亜塩素酸類を含む電解水は比較的安全性が高いため、便器の使用頻度が比較的高い時間帯においても電解水により便器又は排水管を殺菌処理することができる。
本発明によれば、供給部はタンクに貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器又は排水管に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられるため、便器に供給した酸性水溶液により便器を洗浄することができる。この洗浄により、便器の排水トラップや排水管などに付着した尿石を除去することができる。また、この酸性水溶液による洗浄を繰り返し行うことにより尿石を徐々に除去することができる。これらの効果は、発明者らが行った実験により実証された。更に適切な酸性水を適切な時間作用させる必要があることも明らかになり、これまでに開示された公知文献等からは容易に想到できない結論に至った。また、便器の使用頻度が比較的低い時間帯において酸性水溶液による洗浄を行うことにより、便器の封水を長時間酸性にすることができ、尿石を効果的に除去することができる。
本発明によれば、タンクに貯留した酸性水溶液を利用して、酸性水溶液による便器の洗浄と、電解水による便器の洗浄との両方を行うことができる。このため、洗浄装置を小型化することができる。また、洗浄装置のメンテナンスを簡易化することができる。
また、タンクに貯留した酸性水溶液を、作用させる時間に適したpHあるいは酸性物質濃度に希釈して、適切な時にだけ使用することでタンクに貯留した酸性水溶液を節約する事ができるとともに、希釈しながら使えるのでタンクの交換もしくは酸性水溶液の補充頻度を少なくすることができる。
また、便器全体を洗浄するフラッシュ水とは別に、封水部分だけに酸性水溶液を供給できるようにする事で、更に効率的に尿石除去が可能となり酸性水溶液を節約できる。また便器のボウル面に酸性水溶液を流さない事で更に酸性水溶液が人に触れる可能性を少なくすることができるので、安全性も更に向上する。
更に、酸性水溶液と洗浄水を事前に混合してから電解する事も可能である。これにより、タンクの内の酸性水溶液をできるだけ高濃度にしておくことで、タンク交換またはタンク内への酸性水溶液の補充の頻度を少なくすることができ、手間が省ける。
(a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図である(第1実施形態、第2実施形態)。 (a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図である(第3実施形態、第4実施形態)。 (a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図である(第5実施形態、第6実施形態)。 本発明の一実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図である(第7実施形態)。 本発明の一実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図である(第8実施形態)。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。
本発明の洗浄装置は、酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を貯留するタンクと、前記タンクから供給された酸性水溶液を電気分解し電解水を生成する電解部と、供給部とを備え、前記供給部は、前記タンクに貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器又は排水管に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられ、かつ、前記電解部により生成した電解水又は希釈した電解水を便器に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられたことを特徴とする。
本発明の洗浄装置において、制御部をさらに備えることが好ましく、前記制御部は、前記タンクに貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を用い便器又は排水管を洗浄するように前記供給部を制御し、かつ、前記電解部で生成した電解水又は希釈した電解水を用い便器又は排水管を洗浄するように前記電解部及び前記供給部を制御することが好ましい。
このような構成によれば、酸性水溶液を用いた便器又は排水管の洗浄と、電解水を用いた便器又は排水管の洗浄とを制御部により制御することができ、それぞれの洗浄を適した時間帯に行うことができる。
このように本発明では、電解水による除菌及び消臭と、除菌効果による尿石生成抑制と、更に酸性水溶液による尿石除去を同一のハード構成で行う事ができるとともに、除菌に最適な電解水と、尿石除去に最適な酸性水溶液を、容易に調整して生成することができる。更には、便器等の使用状況や状態に応じて、最適な電解水及び酸性水溶液の濃度・pH及び便器等への流すタイミングや流す量を容易に調整する事ができる。
本発明の洗浄装置において、酸性物質は、塩酸であり、アルカリ金属塩化物は、塩化ナトリウム及び塩化カリウムのうち少なくとも一方であることが好ましい。
このことにより、酸性水溶液のpHを低くすることができる。このため、酸性水溶液で便器又は排水管を洗浄することにより尿石を効果的に除去することができる。また、このような酸性水溶液を用いると殺菌性が高く安全性の高い電解水を生成することができる。このため、生成した電解水で便器又は排水管を洗浄することにより便器等を効果的に殺菌処理することができる。
本発明の洗浄装置において、酸性水溶液は、pHが2以下であることが好ましい。
この酸性水溶液で便器等を洗浄することにより尿石を効果的に除去することができる。
本発明の洗浄装置において、希釈した酸性水溶液は、pHが3.4以下であることが好ましい。
この希釈した酸性水溶液で便器等を洗浄することにより尿石を効果的に除去することができる。
また、本発明は、タンクに貯留した酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器に供給する酸性水溶液洗浄と、前記タンクから供給された酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を電気分解して生成した電解水又は希釈した電解水を便器に供給する電解水洗浄とを行う便器又は排水管の洗浄方法も提供する。
本発明の洗浄方法によれば、酸性水溶液洗浄により便器の封水等を酸性にすることができ、便器の排水トラップなどに付着した尿石を除去することができる。また、電解水洗浄により便器等を殺菌処理することができ、便器等に雑菌が繁殖することを抑制することができる。また、本発明の洗浄方法によれば、タンクに貯留した酸性水溶液を利用して、酸性水溶液洗浄と、電解水洗浄との両方を行うことができる。このため、洗浄装置を小型化することができる。また、洗浄装置のメンテナンスを簡易化することができる。
本発明の洗浄方法において、酸性水溶液洗浄は、便器の使用頻度が低い時間帯に行われることが好ましい。
このことにより便器の封水等を長時間酸性にすることができ、排水トラップの尿石を効果的に除去することができる。
本発明の洗浄方法において、電解水洗浄に用いる電解水のpH又は希釈した電解水のpHは、3.4よりも大きく8.2以下であり、酸性水溶液洗浄に用いる酸性水溶液のpH又は希釈した酸性水溶液pHは、3.4以下であり、電解水洗浄を行った後、酸性水溶液洗浄を行うことが好ましい。
このことにより、電解水洗浄により便器及び排水管を除菌処理することができ、酸性水溶液洗浄により尿石を除去することができる。
本発明の洗浄方法において、便器使用の間隔が第1時間間隔よりも短い場合、洗浄水を便器に供給する洗浄水洗浄を行い、便器使用の間隔が第1時間間隔よりも長く第2時間間隔よりも短い場合、前記電解水洗浄を行い、便器使用の間隔が第2時間間隔よりも長い場合、前記酸性水溶液洗浄を行うことが好ましい。
このことにより、便器の使用頻度が多い場合に洗浄水洗浄を行うことができる。便器の使用頻度が多い場合には、通常の洗浄水を用いた洗浄で雑菌の繁殖を十分に抑制することができる。また、便器の使用頻度が少ない場合に電解水洗浄を行うことができる。便器の使用頻度が低くなると、通常の洗浄水を用いた洗浄では雑菌が繁殖しやすくなる。このため、電解水洗浄を行い、除菌処理することにより雑菌の繁殖を抑制することができる。また、便器がほとんど使用されない場合に酸性水溶液洗浄を行うことができる。このことにより、雑菌の繁殖を抑制することができると共に、封水やたまり水を長時間酸性にすることができ、尿石を効果的に除去することができる。例えば、第1時間間隔は、30分とすることができ、第2時間間隔は60分とすることができる。
本発明の洗浄方法において、前記酸性水溶液洗浄を行う前に、通常の洗浄水を便器に供給する洗浄水洗浄を行うことが好ましい。
このことにより、電解水が便器等に残っている状態で酸性水溶液が流れる事を防ぐ事ができるので、電解水中に残っている有効塩素が酸性水溶液によって塩素になって塩素ガスを発生する事を防ぐ事ができる。また、電解水の作用によって除菌された菌の残留物、汚れ等の物質、作用後の電解水を一旦洗い流す事ができるので、酸性水溶液を効率的に尿石に作用させることができる。また、酸性水溶液を流す前に、アルカリ性になった封水等や、アルカリ性になった尿石表面から、洗浄水を流す事でできるだけアルカリ分を除去できる。これにより酸性水溶液をできるだけpHを高くならない状態で尿石に作用させることができるので、尿石溶解除去の効果を高める事ができる。
以下、図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
図1(a)は、第1実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図1(b)は、第2実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図2(a)は、第3実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図2(b)は、第4実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図3(a)は、第5実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図3(b)は、第6実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図4は、第7実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図であり、図5は、第8実施形態の洗浄装置を備えた便器の概略断面図である。なお、第1〜8実施形態の洗浄装置を本実施形態の洗浄装置という。
本実施形態の洗浄装置30は、酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液2を貯留するタンク1と、タンク1から供給された酸性水溶液2を電気分解し電解水を生成する電解部4と、供給部5とを備え、供給部5は、タンク1に貯留した酸性水溶液2又は希釈した酸性水溶液2を便器15又は排水管23に供給し便器15又は排水管23を洗浄するように設けられ、かつ、電解部4により生成した電解水又は希釈した電解水を便器15に供給し便器15又は排水管23を洗浄するように設けられたことを特徴とする。
本実施形態の便器又は排水管の洗浄方法は、タンク1に貯留した酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液2又は希釈した酸性水溶液2を便器15に供給する酸性水溶液洗浄と、タンク1から供給された酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液2を電気分解して生成した電解水又は希釈した電解水を便器15に供給する電解水洗浄とを行うことを特徴とする。
以下、本実施形態の洗浄装置30及び洗浄方法について説明する。
本実施形態の洗浄装置30は、酸性水溶液2を貯留するタンク1を備える。タンク1は、交換可能に設けられてもよく、タンク1に酸性水溶液2を補給できるように設けられてもよい。このことにより、タンク1に酸性水溶液2を補給できる。
図1(a)(b)、図2(a)、図3(a)(b)及び図5に示した第1〜3、5、6実施形態の洗浄装置30では、電解水生成部24を便器15の上に設置し、更にタンク1を電解水生成部24の上に設置しているが、このような形態に限定されない。新たに便器15を設置する際に、図4に示した第7実施形態の洗浄装置30のように、便器15の背面の壁内に電解水生成部24及びタンク1を設置すれば便器15の上の空間を占有せずに済む。また狭い空間に便器15を設置する場合などで、便器15の上のスペースが少ない場合にも対応できる。タンク1は図2(b)に示した第4実施形態の洗浄装置30のように電解水生成器24に内蔵する事も可能である。ただし便器15の背面の壁内にタンク1を配置する場合、タンク1の補給口を人がアクセスしやすい所に引き出す必要がある。したがって、タンク1は、便器15の上に設置してタンク1の交換もしくはタンク1への酸性水溶液の補充をし易いようにする事が好ましい。
または、壁面のアクセスしやすい場所に扉を取り付けて、その中にタンク1を備える事は好ましい。これにより狭いトイレ空間でも、空間を犠牲にする事なく洗浄装置30を備える事ができる。
タンク1に貯留する酸性水溶液2は、電解部4に供給される電解液と便器15の洗浄液との両方に用いられる。
タンク1に貯留する酸性水溶液2は、酸性物質とアルカリ金属塩化物とを含む。酸性物質は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、フッ化水素酸などである。酸性物質は、希塩酸や、酢酸、クエン酸のように比較的安全な物が好ましく、更には希塩酸であることが好ましい。塩酸を含む酸性水溶液2を電解部4において電気分解することにより、塩酸から次亜塩素酸類を生成することができ、電解水の次亜塩素酸類の濃度を高くすることができる。
タンク1に貯留する酸性水溶液2のpHは2以下が好ましい。また、タンク1に貯留する酸性水溶液2のpHは1以下である事が更に好ましい。このことにより、酸性水溶液2を便器15及び排水管23の洗浄液に用いた際、便器15及び排水管23の尿石を効果的に除去することができる。酸性水溶液2のpHは、酸性物質の濃度により変化させることができる。酸性水溶液2の酸性物質の濃度は、例えば、0.1%以上10%以下とすることができ、安全性と効率を両立させるためには0.3%以上1%以下とすることが好ましい。
タンク1をボックス内に収容し、鍵をかける等、タンク交換または補充を行う作業以外が容易にタンク1にアクセスできないようにしておく事等で安全性を確保できるならば、酸性水溶液2の酸性物質の濃度はできるだけ高い方がタンク交換や酸性水溶液2の補充の頻度が少なくて良い。更に好ましくはタンク1ごと交換する事で作業者が酸性水溶液2に触れる危険なく交換作業ができる事が好ましい。
アルカリ金属塩化物は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどである。酸性水溶液2がアルカリ金属塩化物を含むことにより、酸性水溶液2から生成される電解水の次亜塩素酸類の濃度を高くすることができ、除菌効果を高くする事ができる。タンク1に貯留する酸性水溶液2のアルカリ金属塩化物濃度は、例えば、3%以上15%以下とすることができる。
アルカリ金属塩化物を含む水溶液を電気分解すると次亜塩素酸塩(次亜塩素酸ナトリウムなど)が生成し電解水のpHが大きくなるが、酸性水溶液2が酸性物質を含むことにより、電解水のpHが大きくなりすぎることを抑制することができ、ほぼ中性の電解水を生成することができる。このことにより、殺菌力の高い電解水を生成することができる。また、電解水で便器15及び排水管23を洗浄した際、封水22等がアルカリ性となることを抑制することができ、尿石が形成されることを抑制することができる。
古い便器等で、すでに雑菌が繁殖しており、尿石以外のぬめりや有機系の汚れ等が多く付着している場合には、pHが高めの電解水を生成し、便器15及び排水管23へ供給する事は、有機系の汚れ等を除去する効果を高くできるので好ましい。更にpHが高めの場合は有効塩素濃度を高くできるので菌の量が多い場合には特に好ましい。
除菌効果よりも尿石除去効果の方を優先した場合等には、アルカリ金属塩化物の濃度を低くし、例えば0%以上3%未満とする事ができる。電解水のpHを低くすることで封水等のpHをアルカリ性よりも低くすることで尿石抑制効果を高める事ができる。
例えば、pHが高めの電解水−pHが低めの電解水―酸性水溶液の順番に便器等に流す事は好ましく、本実施形態の洗浄装置30ではこのようなシーケンスを容易に実現する事ができる。
あるいは、pHが高めの電解水から徐々にpHを低くしながら、便器15及び排水管23に流す事も可能である。例えば有機系の汚れが付いている時にいきなりpHが低い電解水や酸性水溶液を流すと有機物が酸化して汚れが取れにくくなる事がある。したがって、pHが高い電解水をpHが低い電解水や酸性水溶液の前に、便器15及び排水管23に流す事は好ましい。また、pHが高い電解水、特に有効塩素濃度が高い電解水を流した後に、いきなりpHが低い電解水や酸性水溶液を流すと、残留している有効塩素濃度が高い場合には塩素ガスが発生する危険性を生じる。したがって、段階的または、徐々にpHを低くするように電解水を生成して流す事は好ましい。段階的にpHが異なる電解水または酸性水溶液を流す場合には、段階の間に通常の洗浄水を流す事もできる。
電解水のpHを高くしたり低くしたりする方法としては、酸性水溶液を電解部4に供給する量は変えずに、電解電流を多くしたり少なくしたりする事で実現できる。電解電流を多くしたり少なくしたりするには、電解部4の電極対3に印加する電圧を高くしたり低くしたりする事で可能である。または電解電流また電極印加電圧を変えずに、酸性水溶液の電解部4への供給量を少なくしたり、多くしたりする事でも可能である。もしくは、前記電解電流を大きくしながら前記供給量を少なくしたり、前記電解電流を小さくしながら前記供給量を多くする事もできる。
このように任意のpHや濃度の電解水や、酸性水溶液を便器等に供給するためには、タンク1に貯留する酸性水溶液2の酸性物質の濃度は、例えば、0.1%以上10%以下とし、かつアルカリ金属塩化物濃度は、例えば、3%以上15%以下とすることが好ましい。
酸性物質の濃度が低すぎると、低いpHの電解水や実用的な尿石除去効果のある酸性水溶液が得られず、アルカリ金属塩化物濃度が低すぎると、高いpHの電解水や濃度(有効塩素濃度)の電解水が得られなくなる。
ここで高いpH(pHh)、低いpH(pHl)、酸性水溶液のpH(pHa)の、典型的な液性としては、アルカリ〜中性、中性〜微酸性、酸性、より具体的にはpHhが6.5以上、pHlが8.2以下、pHaが3.4以下でかつ、pHh>pHl>pHaの関係を満たす。
表1の詳細は後述するが、尿石(実験ではサンゴ砂利で代替)に各種pHの水溶液を作用させた所、水溶液のpHは最高で8.2となった。したがって、8.2以下であればごくわずかで実用性はないが尿石を溶解している。pHが8.2を超えると尿石生成を促進する恐れがあるため、便器等に流す電解水のpHは8.2以下が好ましい。
図7の詳細は後述するが、尿石(実験ではサンゴ砂利で代替)に各種pHの水溶液を作用させた場合のpH変化をグラフ化した図である。この図から、pH6.5付近から急激にpH変化が少なくなる事が分かる。したがって、pHが6.5より低ければ、6.5より高い場合よりも実用性はともかく尿石を溶解し、またアルカリ性になった封水等を多少なりとも中和する効果が期待できるので、尿石生成抑制効果が期待できる。
表1の200倍希釈酸性水溶液の場合、初期pHは3.4であるが尿石除去効果は初期pH7.4の水道水と殆ど差がなく、2倍以上の差があるのは初期pHが2の10倍希釈酸性水溶液であった。しかし、表2のように、繰り返し作用させることで、初期pH3.4の酸性水溶液でも、水道水の2倍以上の尿石を溶解させる事ができる。したがって、尿石溶解除去用の酸性水としてはpH3.4以下が好ましい。
よって最も好ましくはpHhが6.5より大きく8.2以下、pHlが3.4より大きく6.5以下、pHaが3.4以下である。
ここでは、pHを3段階に分けた場合の好適例を示したが、pHhとpHaまたはpHlとpHaの2段階でもよく、上述したように徐々に(多段階もしくは、実質的に無段階)pHを変化させても良い。
電解部4は、タンク1から供給された酸性水溶液2を電気分解し電解水を生成する部分である。また、電解部4は、酸性水溶液2を電気分解する電極対3を有する。また、制御部10が、電極対3への電圧の印加のオン・オフを制御することができる。また、制御部10が電極対3に電力を供給してもよい。
電解部4は、図1(a)(b)、図2(b)、図3(a)(b)、図4、図5に示した第1、2、4〜8実施形態の洗浄装置30のように便器15の外部に設けられた電解水生成部24に設けられてもよく、図2(a)に示した第3実施形態の洗浄装置30のように便器15に内蔵されてもよい。
電極対3は、陽極及び陰極を備え、タンク1から供給された酸性水溶液2が陽極と陰極との間を流れるように設けることができ、また、陽極と陰極との間に電圧を印加できるように設けられる。このことにより、酸性水溶液2を電解処理することができ、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩及びアルカリ金属塩化物を含む電解水を生成することができる。
また、図5に示した第8実施形態の洗浄装置30のように、電極対3は、酸性水溶液2を希釈する希釈槽(希釈部12)中に設けられてもよい。
例えば、電解部4における電解処理では、化学反応式(1)〜(3)のような陽極反応が進行し、化学反応式(4)のような陰極反応が進行すると考えられる。
2Cl-→Cl2+2e-・・・(1)
Cl2+H2O→HCl+HClO・・・(2)
2O→1/2O2+2H++2e-・・・(3)
2H2O+2e-→H2+2OH-・・・(4)
なお、アルカリ金属塩化物を含む水溶液を電気分解すると次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩が生じ電解水がアルカリ性となる場合があるが、酸性水溶液2が酸性物質を含むため、電解水はほぼ中性にすることができる。
電解部4は、タンク1から供給される酸性水溶液2が流入する流入口と、電極対3による電解処理により生成された電解水が流出する流出口とを有することができる。このことにより、電解部4により連続的に電解水を生成することができる。この電解水は、直接又は希釈して便器15に供給され便器15及び排水管23を洗浄する。
また、電極対3に電圧を印加していない状態において、タンク1から電解部4に酸性水溶液2を供給すると、電解水は生成されず、未電解の酸性水溶液2が直接又は希釈して便器15に供給され便器15及び排水管23を洗浄する。また、電極対3に電圧を印加していない状態において電解部4に酸性水溶液2を流すことにより、電極対3の陰極に付着した析出成分を除去することができ、電極対3の電解機能を高めることができる。さらに、電解部4を長時間使用しない場合に、電極対3間に酸性水溶液を保持させることができる。このことにより、電極対3の陰極に付着した析出成分をしっかりと除去することができる。
図5に示した第8実施形態の洗浄装置30のように、電極対3(電解部4)を希釈槽中に設ける場合、タンク1から希釈槽に酸性水溶液を供給し、バルブ8bから水道水を希釈槽に供給し酸性水溶液を希釈する。そして、電極対3に電圧を印加することにより、希釈された酸性水溶液を電解処理し電解水を生成する。そしてバルブ8cを開くことにより電解水を便器15に供給し便器15及び排水管23を洗浄することができる。このように、電解部4が希釈槽において電解処理することにより、電気分解の発熱により電極対3が高温になることを抑制することができる。
また、希釈槽で希釈された酸性水溶液を電解処理しないでバルブ8cを開くことにより、希釈された酸性水溶液を便器15に供給し便器15及び排水管23を洗浄することができる。
例えば、希釈槽内に希釈された酸性水溶液が入っている状態において、所定の第1時間T1以上経過すると、電極対3により電解して電解水を便器15に供給し、希釈槽は空になる。その後、酸性水溶液と通常洗浄水が希釈槽に供給、混合され、希釈された酸性水溶液が溜まる。更に所定の第2時間T2(T1より長い時間)以上の間トイレの使用がない場合に、今度は電解せずに希釈された酸性水溶液を便器15に供給する。
この時、希釈割合は変更しても良い。例えば、最初は低倍率に希釈された酸性水溶液を溜めておき、電解する場合には更に通常洗浄水を加えて高倍率に希釈された酸性水溶液にしてから電解し、酸性水溶液を便器に供給する時は低倍率のまま流してもよい。逆のパターンにする事もできる。
陽極及び陰極は、それぞれ板状とすることができ、陽極と陰極とが無隔膜で対向するように設けることができる。このことにより、電極間距離を短くすることができ、電解効率を向上させることができる。また、陽極及び陰極は、略平行で電極間距離が1mm〜5mmの範囲内となるように配置することができる。
電極対3は、一枚の陽極と一枚の陰極とが対向するように設けられてもよく、陽極と陰極とが交互に間隔をおいて積層されるように設けられてもよく、複数の電極が積層され中間の電極の一方の面が陽極となり他方の面が陰極となるように設けられてもよい。
また、電極対3は、陽極が上側となるように鉛直方向に対して傾斜して配置し、かつ、タンク1から供給された酸性水溶液2が陽極と陰極との間を下側から上側に向かって流れるように設けることができる。このことにより、陰極で生じる気泡の浮上による流体の流れにより、陰極付近の流体と陽極付近の流体とを攪拌・混合することができ、陽極における電極反応を促進することができる。このため、除菌能力の指標となる有効塩素濃度で示すと数値が高い電解水を生成することができる。ここで有効塩素濃度は市販の呈色反応を用いて吸光度を測定する装置が表示した値である。
例えば、電極対3は、チタン板からなる電極(Ti電極という)と、チタン板に酸化イリジウムを焼結法によりコーティングした電極(Ir被覆Ti電極という)とを含むことができる。また、Ti電極が陰極となり、Ir被覆Ti電極が陽極となるように電源回路と電極対3とを接続することができる。
供給部5は、タンク1に貯留した酸性水溶液2又は希釈した酸性水溶液2を便器15及び排水管23に供給するように設けられ、かつ、電解部4により生成した電解水又は希釈した電解水を便器15及び排水管23に供給するように設けられる。
供給部5は、図1(a)、図2(a)(b)に示した第1、3、4実施形態の洗浄装置30のように、通常の洗浄水と同様に酸性水溶液、電解水などを便器15に供給するように設けられてもよい。このことにより、便器15の大部分及び排水管23を洗浄することができる。
また、供給部5は、図1(b)、図4、図5に示した第2、7、8実施形態の洗浄装置30のように、酸性水溶液、電解水などを便器15のスプレッダー19に供給するように設けられてもよい。このことにより、便器15の大部分及び排水管23を洗浄することができる。
また、供給部5は、酸性水溶液、電解水などを便器15の底部又は排水トラップ21に直接供給するように設けられてもよい。このことにより、尿石が付きやすい排水トラップ21を効果的に洗浄することができ、尿石を除去することができる。また、既存の便器に洗浄装置30を容易に設置することが可能になる。この場合、図3(a)に示した第5実施形態の洗浄装置30のように、希釈した電解水又は希釈した酸性水溶液を排水トラップ21に供給できるように供給部5を設けてもよく、図3(b)に示した第6実施形態の洗浄装置30のように、希釈していない電解水又は酸性水溶液を排水トラップ21に供給できるように供給部5を設けてもよい。図3(b)に示した第6実施形態の洗浄装置30のように供給部5を設けることにより、希釈用のラインを省略することが可能であり、洗浄装置30の製造コスト及び設置コストを低減することができる。
供給部5は、タンク1内の酸性水溶液2を電解部4に供給するポンプ6を有してもよい。ポンプ6により生じる流れにより、電解水、酸性水溶液2又はこれらの希釈液を便器15及び排水管23に供給することができる。制御部10がポンプ6のオン・オフを制御することができる。また、制御部10がポンプに電力を供給してもよい。
重力を利用して酸性水溶液2をタンク1から電解部4に供給する場合、ポンプ6は省略することができる。この場合、電磁弁などのバルブ8を設けることにより、酸性水溶液2の電解部4への供給を制御することができる。
ポンプ6は、図1(a)(b)、図2(b)に示した第1、2、4実施形態の洗浄装置30のように便器15に外付けされた電解水生成部24に設けられてもよく、図2(a)に示した第3実施形態の洗浄装置30のように便器15に内蔵されてもよい。
バルブ8により酸性水溶液2をタンク1から電解部4に供給する場合、図3(a)(b)、図4に示したような第5〜7実施形態の洗浄装置30のように、タンク1をバルブ8よりも高い位置に配置し、バルブ8を開くことにより酸性水溶液2を電解部4に供給することができる。また、この場合、希釈部12におけるベンチュリー効果により電解部4が陰圧になるように希釈部12及び電解部4を設けることができる。このことにより、電解部4を流れた酸性水溶液2又は電解部4で生成された電解水を効率よく希釈部12で希釈することができる。
供給部5は、洗浄水を便器15に供給するフラッシュバルブ7を有することができる。また、供給部5は、酸性水溶液2又は電解水を、フラッシュバルブ7から吐水された洗浄水により希釈する希釈部12を有することができる。このことにより、洗浄水により希釈された酸性水溶液2又は洗浄水により希釈された電解水を便器15に供給することができ、便器15及び排水管23を洗浄することができる。なお、フラッシュバルブ7は、水道管に接続されてもよく、トイレタンクに接続されてもよい。また、供給部5は、フラッシュバルブ7の代わりにトイレタンクに設けられたフロートバルブを備えてもよい。
制御部10がフラッシュバルブ7の起動を制御することができる。また、制御部10がフラッシュバルブ7に電力を供給してもよい。
なお、電解水及び酸性水溶液2を希釈せずに便器15及び排水管23に供給する場合、フラッシュバルブ7は省略することが可能である。また、フラッシュバルブ7の代わりに電磁弁(バルブ8)を設けてもよい。また、フラッシュバルブ7は、便器に予め備え付けられたフラッシュバルブであってもよい。また、スプレッダー19において、酸性水溶液2又は電解水を洗浄水で希釈してもよい。
フラッシュバルブ7は、図1(a)、図2(a)に示した第1、3実施形態の洗浄装置30のように、赤外線式センサー17などにより人体を感知して使用後に自動的に洗浄水を吐水する自動フラッシュバルブであってもよく、手かざしセンサーやタッチスイッチなどにより洗浄水を吐水する電装式のフラッシュバルブであってもよく、図2(b)に示した第4実施形態の洗浄装置30のように、押しボタン式のフラッシュバルブであってもよく、レバーペダル棒式のフラッシュバルブであってもよい。
フラッシュバルブ7は、図1(a)、図2(a)に示した第1、3実施形態の洗浄装置30のように便器15に内蔵されたフラッシュバルブを利用してもよい。この場合、フラッシュバルブ7が便器15に洗浄水を供給する水路に希釈部12を設けることができる。薬剤供給装置(サニタイザー)が連結された便器の場合、薬剤供給装置の代わりに電解水生成部24を設置してもよい。
フラッシュバルブ7又は電磁弁(バルブ8)は、図1(b)、図3(a)、図4に示した第2、5、7実施形態の洗浄装置30のように便器15の外部に設けられた電解水生成部24に設けることができる。この場合、希釈部12は、電解水生成部24内に設けることができる。また、この場合、希釈した電解水又は希釈した酸性水溶液を電解水生成部24から直接便器15に供給することが可能になり、既存の便器に洗浄装置30を容易に設置することが可能である。なお、電解水生成部24内にフラッシュバルブ7又は電磁弁を設ける場合、1つの電解水生成部24が複数の便器15に、酸性水溶液、希釈した酸性水溶液、電解水又は希釈した電解水を供給してもよい。この場合、電解水生成部24は、複数の便器に接続される。
フラッシュバルブ7は、図2(b)に示した第4実施形態の洗浄装置30のように、便器15の外部(便器15の上部、周辺、壁内など)に設けられたフラッシュバルブ7を利用してもよい。この場合、フラッシュバルブ7が便器15に洗浄水を供給する水路に希釈部12を設けることができる。薬剤供給装置(サニタイザー)が連結された便器の場合、薬剤供給装置の代わりに電解水生成部24を設置してもよい。
洗浄装置30は、制御部10を備えてもよい。制御部10は、ポンプ6、電解部4、フラッシュバルブ7、バルブ8などを制御する部分である。ポンプ6、電解部4、フラッシュバルブ7、バルブ8などを手動により制御する場合、制御部10は省略することが可能である。
制御部10は、図1(a)(b)、図2(b)、図3(a)(b)、図4、図5に示した第1、2、4〜8実施形態の洗浄装置30のように、便器15の外部に配置された電解水生成部24に設けてもよい。便器15に備え付けられたフラッシュバルブ7を利用する場合、フラッシュバルブ7の起動を検知するセンサーを設け、このセンサーと制御部10を接続することができる。このことにより、フラッシュバルブ7の起動とポンプ6やバルブ8や電解部4の起動とを連動させることができ、酸性水溶液2や電解水をフラッシュバルブ7から吐水される洗浄水により希釈して便器15及び排水管23に供給することができる。このセンサーは、例えば、赤外線式センサー17からの赤外線を検知するものであってもよく、フラッシュバルブ7から吐水される洗浄水の流れを検知するものであってもよく、フラッシュバルブ7の起動ボタンが押されたことを検知するものであってもよい。
また、制御部10は、自動フラッシュバルブの制御部と信号線などで接続されてもよい。このことにより、フラッシュバルブ7の起動とポンプ6や電解部4の起動とを連動させることができる。
また、制御部10は、図2(a)に示した第3実施形態の洗浄装置30のように、自動フラッシュバルブの制御部を利用してもよい。
制御部10は、タンク1に貯留した酸性水溶液2又は希釈した酸性水溶液2を用い便器15及び排水管23を洗浄するように供給部6を制御する。
酸性水溶液2を用い便器15及び排水管23を洗浄する場合、制御部10は、ポンプ6を起動させタンク1に貯留した酸性水溶液2の所定の量を便器15に供給する。この際、電解部4の電極対3には電圧を印加しない。このことにより未電解の酸性水溶液2が便器15に供給され、酸性水溶液2が便器内を流れ、排水トラップ21に溜まった封水22に流れ込む。そして、封水22を酸性にすることができる。排水トラップ21には常に封水22が溜まっており、雑菌が繁殖しやすく、尿石が形成されやすい。この封水22を酸性とすることにより、排水トラップ21に付着した尿石を封水22に溶かすことができ、尿石を除去することができる。また、排水トラップ21を流れた酸性水溶液2は、排水管23に流入し、排水管23の尿石を除去することができる。酸性水溶液2を希釈せずに便器15に供給することにより、封水22、排水管23のたまり水などのpHをより小さくすることができ、尿石を効果的に除去することができる。
このような酸性水溶液洗浄は、便器15の使用頻度が低い時間帯(例えば夜間など)に行うことができる。このことにより、封水22、排水管23のたまり水などのpHが低い状態を長時間維持することができ、尿石を効果的に除去することができる。
この場合、タイマーを用いて定時に酸性水を流すようにすることや、人が手動で流すようにすることもできる。
希釈した酸性水溶液2を用い便器15及び排水管23を洗浄する場合、制御部10は、フラッシュバルブ7の起動に連動させてポンプ6を起動させタンク1に貯留した酸性水溶液2の所定の量を希釈部12に供給し、フラッシュバルブ7から吐水された洗浄水で希釈された酸性水溶液を便器15に供給する。この際、電解部4の電極対3には電圧を印加しない。このことにより希釈された未電解の酸性水溶液2が便器15に供給され、便器15内を流れ、排水トラップ21に溜まった封水22に流れ込む。そして、封水22を酸性とすることができる。このことにより、排水トラップ21に付着した尿石を封水22に溶かすことができ、尿石を除去することができる。また、排水トラップ21を流れた酸性水溶液2は、排水管23に流入し、排水管23の尿石を除去することができる。酸性水溶液2を希釈して便器15に供給することにより、タンク1に貯留した酸性水溶液2の消費を少なくすることができる。
このような酸性水溶液洗浄は、便器15の使用頻度が低い時間帯(例えば夜間など)に行うことができる。このことにより、封水22、排水管23のたまり水などのpHが低い状態を長時間維持することができ、尿石を効果的に除去することができる。
また、便器15に供給する希釈した酸性水溶液のpHは、5未満とすることができ、好ましくは3未満とすることができ、さらに好ましくは2未満とすることができる。ポンプ6で送液する酸性水溶液の量の調整すること又はフラッシュバルブ7の吐水量の調整することなどにより、希釈した酸性水溶液のpHを調整することができる。これらの調整は制御部10により行ってもよい。
制御部10は、電解部4で生成した電解水又は希釈した電解水を用い便器15及び排水管23を洗浄するように電解部4及び供給部5を制御する。
電解水を用い便器15及び排水管23を洗浄する場合、制御部10は、ポンプ6を起動させタンク1に貯留した酸性水溶液2の所定の量を電解部4に供給し、電極対3に電圧を印加する。このことにより、酸性水溶液2が電気分解され次亜塩素酸類を含む電解水が生成される。生成された電解水は、便器15に供給され、便器15内を流れ、排水トラップ21に溜まった封水22に流れ込む。このことにより、殺菌性を有する次亜塩素酸類により便器15内及び排水トラップ21を殺菌処理することができ、便器15内及び排水トラップ21に雑菌が繁殖することを抑制することができる。このことにより、悪臭を抑制することができると共に尿石が生成することを抑制することができる。また、排水トラップ21を流れた電解水は、排水管23に流入し、排水管23を殺菌処理することができる。電解水を希釈せずに便器15に供給することにより、電解水の殺菌性を高くすることができ、雑菌の繁殖を効果的に抑制することができる。
このような電解水洗浄は、便器15の使用頻度が高い時間帯に定期的に行うことができる。例えば1時間に一度行うことができる。また、便器15が使用される度少量の電解水により電解水洗浄を行ってもよい。このことにより、便器15に雑菌が繁殖することを効果的に抑制することができる。また、電解水洗浄は、雑菌が繁殖しやすい長時間不使用の時間帯に行うこともできる。
この場合、タイマーを用いて定時に酸性水を流すようにすることや、人が手動で流すようにすることもできる。
希釈した電解水を用い便器15及び排水管23を洗浄する場合、制御部10は、フラッシュバルブ7の起動に連動させてポンプ6を起動させタンク1に貯留した酸性水溶液2の所定の量を電解部4に供給し、電極対3に電圧を印加する。このことにより、酸性水溶液2が電気分解され次亜塩素酸類を含む電解水が生成される。生成された電解水は、希釈部12においてフラッシュバルブ7が吐水する洗浄水で希釈され、便器15内を流れ、排水トラップ21に溜まった封水22に流れ込む。このことにより、殺菌性を有する次亜塩素酸類により便器15内及び排水トラップ21を殺菌処理することができ、便器15内及び排水トラップ21に雑菌が繁殖することを抑制することができる。また、排水トラップ21を流れた電解水は、排水管23に流入し、排水管23を殺菌処理することができる。このことにより、悪臭を抑制することができると共に尿石が生成することを抑制することができる。電解水を希釈して便器15に供給することにより、タンク1に貯留した酸性水溶液2の消費を少なくすることができる。
このような電解水洗浄は、定期的に行うことができる。例えば1時間に一度行うことができる。また、便器15が使用される度少量の電解水により電解水洗浄を行ってもよい。このことにより、便器15及び排水管23に雑菌が繁殖することを効果的に抑制することができる。
なお、図1、2、4、5に示した第1〜4、7、8実施形態の洗浄装置30では、通常の洗浄水と同様に便器15全体に電解水や酸性水溶液を供給する例を示したが、図3(a)(b)に示した第5、6実施形態の洗浄装置30のように、封水22に電解水または酸性水溶液を直接供給するラインを備えて、供給する事もできる。この方法であれば、電解水や酸性水溶液が便器15を流れている時に使用者が便器15に触れたり、電解水や酸性水溶液が跳び跳ねたりして、人が電解水や酸性水溶液に触れる可能性を低くすることができる。また、便器15のボウル面は水が滞留する箇所が少ないので尿石も付きにくいうえ、比較的清掃しやすいので尿石が付いても除去しやすい。
よって、図3(a)(b)に示した第5、6実施形態の洗浄装置30のように封水22に電解水又は酸性水溶液を直接供給する事で、ボウル面で電解水や酸性水溶液の洗浄力(電解水の場合は有効塩素濃度、酸性水溶液の場合は水素イオン濃度)が低下しないので封水22やそれ以降の配管内の尿石抑制及び除去効果を更に高める事ができる。なお図1、2、4、5に示したような構成の第1〜4、7、8実施形態の洗浄装置30でも電解水又は酸性水溶液を封水22へ直接供給するようにする事ができる。反対に、図3(a)(b)に示したような構成の第5、6実施形態の洗浄装置30でも、封水22ではなく通常の洗浄水と同様に便器15のボウル面に電解水又は酸性水溶液を供給する事ができる。
また、タンク1と電解部4の間の流路にはポンプ6またはバルブ8が設ける事ができるが、ポンプ6でなくバルブ8のみの方がコストが安くなり好ましい。電解水の濃度やpHをかなり正確に制御する必要がある場合は、定量ポンプを用いる事ができる。
ポンプ6を用いずにバルブ8だけを用いる場合は、タンク1より低い位置に電解部4を設け、タンク1と電解部4の間の流路にバルブ8を設け、電解部4の流出口は流入口より高い位置に配置し、電解部4より低い位置に、便器等への供給口20を設ける事が好ましい。
例えば、タンク1の形状は、水平面におけるタンク1の断面の広さが、底面に近い方が小さくなっている形状とすることができる。この場合のタンク1と電解部4の位置関係は、タンク1の実質的に最低液面レベルが、電解部4の流出口の位置より高い位置にあれば良く、タンク1の最底部が電解部4の流出口の位置より低くても良い。実質的に最低液面レベルは、それ以下では洗浄装置の使用が禁止されたり、液面検知されて動作制限がかかったり、目印が付いていたりする。電解部4の流入口より便器等への供給口20が低い位置にある。便器等への供給口20は例えば図1,2,4,5のスプレッダー19や図3の封水の位置を指す。
図5に示した第8実施形態の洗浄装置30の如く、貯留電解方式の場合は、タンク1より低い位置に希釈部12を設け、タンク1と希釈部12の間の流路にバルブ8を設け、希釈部12の流出口は流入口より低い位置に配置され、希釈部12より低い位置に、便器等への供給口20が設けられることが好ましい。
希釈液13を希釈貯留する希釈部12への酸性水溶液の流入口は、例えばバルブ8a、またはバルブ8aと希釈部12を繋ぐ配管の希釈部12側の端に設けることができる。また、希釈部12の電解水又は酸性水溶液の流出口は、バルブ8c、またはバルブ8cと希釈部12を繋ぐ配管の希釈部12側の端、または、希釈部12の底面または、実質的に最低液面レベルとする事ができる。
このような構成にする事で、逆流する事を抑制しながら、ポンプを省略する事ができるので好ましい。また貯留式にすることで、電解に必要な最大電流量を少なくすることができ、電極も小さくする事ができるので更に好ましい。
実験
酸性水溶液2による尿石の除去を実証する実験を行った。酸性水溶液2として、約4.6%NaCl、約0.3%HCl水溶液を調製した。また、尿石の代わりにサンゴ砂利を用いた。尿石とサンゴ砂利は、共に主成分が炭酸カルシウムである。実際の尿石は実験に十分な量の入手が困難であるとともに、生成する場所や環境によって炭酸カルシウム以外の成分や割合が違ったりその他の汚れの付着状況が違ったりするため実験に用いるのは妥当ではない。また純粋な炭酸カルシウムの試薬は粉末状なので実際の尿石とは条件が違いすぎる。サンゴ砂利は多孔質であり容易に多量に入手可能なので尿石の代替実験として適している。
容器に約20gのサンゴ砂利を入れ、水分による誤差が含まれないように45℃の恒温槽で十分乾燥させた。次に表1に示した薬液80gを容器に注ぎ、表1に示した浸漬時間だけサンゴ砂利を薬液に浸漬した。その後、サンゴ砂利を水で十分にすすいで薬液成分が残らないようにし、最後に45℃の恒温槽で乾燥させて水分を除去した。また、サンゴ砂利の重量変化、サンゴ砂利の重量減少率、実験前の薬液のpH及び実験後の薬液のpHを測定した。測定結果を表1、図6に示す。
なお、薬液には、調製した酸性水溶液2、調製した酸性水溶液2を10〜200倍に希釈した水溶液又は水道水を用いた。
サンゴ砂利をpHが0.9の酸性水溶液2に浸漬した場合、浸漬時間が長くなると、サンゴ砂利の重量減少率は大きくなった。また、浸漬時間が長くなると、実験後の薬液のpHは徐々に高くなった。これは、サンゴ砂利に含まれる炭酸カルシウムの溶解反応が進行するためと考えられる。これらの結果から、pHが1以下の酸性水溶液2を用いて便器15を洗浄することにより尿石を効果的に除去できると考えられる。
ただし実用上は便器等が何日も使用されない状況が常態的にはない。例えば頻繁に便器が使用される場合、例えば使用間隔が10分以下の場合は、未希釈の酸性水はpHがまだ十分尿石除去できる状態なのに洗い流されてしまう事になる。1日後でもpHが1台なので1日放置後でもまだ十分尿石除去できる状態である。よって、酸性水溶液の補充の手間やタンクスペースの節約等を考えると、pH0.9より大きくなるように希釈して使う事が好ましい。また便器等への材質への影響を考えると、pHはできるだけ中性に近い方が好ましいが、高過ぎると尿石除去効果がなくなる。pHの上限値としては後述するようにpH3.4程度以下が好ましい。
また、調製した酸性水溶液2を10〜200倍に希釈した水溶液を用いた実験では、10倍に希釈した水溶液を用いた場合、水道水を用いた場合のサンゴ砂利の重量減少率に比べ約2倍のサンゴ砂利の重量減少率が測定された。この結果から、pHが2程度の水溶液を用いて便器15を洗浄することにより尿石を除去できると考えられる。50倍〜100倍に希釈した水溶液を用いた場合は、水道水に比べると多少の差異は見られ、多少の尿石抑制効果は得られると考えられる。よってpH2.7から3.0程度以下の酸性水溶液を用いる事は好ましい。
しかし、200倍に希釈した水溶液を用いた場合の重量変化率は、本実験で用いた水道水を用いた場合とほぼ同じであった。
日本の水道水の基準値はpHが5.8〜8.6であるから、アルカリ性の場合、尿石の形成を促進する可能性さえもある。更に地下水や海外の水道水をトイレの水に使用している場合は、ミネラル分が多かったり、アルカリ性であったりするために、更に尿石の形成が促進される可能性がある。
よって、200倍希釈の水溶液、つまりpH3.4の酸性水であっても尿石生成を抑制する効果は期待できる。実際には常時酸性水に漬けておく事はできないので、実用上尿石の抑制や除去効果が得られるかは、便器等の使用状況や便器等にどのように酸性水溶液を供給するかによる。例えば、どの程度の間隔で、どの程度の時間、酸性水溶液を尿石に接触させておくかによる。
次に、容器に約20gのサンゴ砂利を入れ、45℃の恒温槽で乾燥させた。そして、80gの薬液(50倍希釈酸性水溶液、100倍希釈酸性水溶液、200倍希釈酸性水溶液又は水道水)を容器に注ぎ、各浸漬時間における薬液のpHを測定した。測定結果を図7に示す。希釈した酸性水溶液を用いた場合、薬液を容器に注いだ後5時間において、薬液のpHが急激に上昇した。そしてpHが7以上、より詳細には6.5付近以上になるとpHの上昇は鈍化した。これは、炭酸カルシウムの溶解反応が主に初期の5時間に進行するためと考えられる。
この結果から、便器15の封水22に希釈した酸性水溶液を0.5〜5時間滞留させることにより尿石を効果的に除去できると考えられる。
また、むやみに長く(本実施の形態では約0.5〜5時間以上)浸漬させておいても、pHが6.5付近より高くなってしまった後は尿石の溶解除去効果は実用上殆ど期待できない事を示している。したがって、多少なりともpHを下げて尿石生成の抑制を優先したい場合は、pH6.5付近以下の電解水または酸性水溶液を用いる事は好ましい。電解水で除菌や有機物汚れの除去及び消臭効果を主目的としたい場合は、有効塩素濃度が高くでき、有機物の除去効果が高くなるようpHをできるだけ高くした方が良いが、高過ぎると尿石の生成を促進してしまうのでpHは8.0〜8.2程度より低い方が好ましい。またpHが低すぎると便器等に使用されている材料への影響を考えるとpHは中性付近が好ましい。よって、特に酸性にする必要がない場合は、電解水のpHは6.5〜7.5付近が好ましい。
また、酸性水溶液を流す間隔を0.5〜5時間になるようにタイマーで自動制御することは好ましい。
また電解水の場合も、尿石の多孔質内にしみ込んで除菌をしっかり行うには時間がかかるので、便器等が頻繁に使用される場合は毎回、通常の洗浄水にかえて電解水を流すのは無駄が多い。したがって、電解水の場合も一定間隔の時間で流すようにタイマー制御するか、便器等の使用頻度が低くなるような時間帯に流すようにすることが好ましい。具体的には、使用状況をモニタリングしたり使用状況のログをフィードバックしたりして時間帯を自動的に選ぶか、簡単な方法としては、ある一定時間(例えば30分等)使用がなかった場合に使用頻度が低くなったと判断して、電解水が自動的に供給されるようにすることは好ましい。
次に、容器に約20gのサンゴ砂利を入れ、45℃の恒温槽で乾燥させた。次に表2に示した薬液80gを容器に注ぎ、20日間、サンゴ砂利を薬液に浸漬した。また、この20日間に11回の薬液交換を行った。その後、サンゴ砂利を水道水ですすぎ、45℃の恒温槽で乾燥させた。また、サンゴ砂利の重量変化、サンゴ砂利の重量減少率及び薬液のpHを測定した。測定結果を表2に示す。
なお、薬液には、調製した酸性水溶液2を50〜200倍に希釈した水溶液又は水道水を用いた。
サンゴ砂利をpH2.7〜3.4の水溶液に浸漬し水溶液の交換を繰り返した場合、水道水を用いた場合のサンゴ砂利の重量減少率に比べ約2〜5倍のサンゴ砂利の重量減少率が測定された。この結果から、pHが3.4以下の水溶液を用いて便器15を繰り返し洗浄することにより尿石を除去できると考えられる。
よって、pH3.4以下の酸性水溶液であれば繰り返し継続的に便器等に流す事で尿石溶解除去効果が期待できる。ただし、繰り返し間隔が短いと酸性水溶液の使用量に比べて尿石除去効果は大きくならないので、0.5〜5時間程度の酸性水溶液を流した後便器等が使用されない時間帯に酸性水溶液を流す事が好ましい。好適な時間帯は便器等の環境によって異なるので、便器等の使用状況をモニタリングして時間帯を設定する事は可能である。また、一定時間、例えば30分〜1時間以上便器の利用が無かった場合に、便器の利用が少ない時間帯と判断して酸性水溶液を流す事もできる。この方法は、便器等の使用状況をモニタリングして個別に時間帯を設定する必要がなく、また環境が変化しても再度時間帯を設定する必要がないので、好ましい。
例えば、直近便器等が使用されたと検出された時から、便器等が再度使用されたと検出された時までの時間がT1未満(例えば30分未満)の場合は、通常の洗浄水を供給し、T1以上トイレの使用が検出されなかった場合は、前記電解水又は希釈した電解水を便器に供給し、更にそのまま使用されない状態が続いてT2以上(例えば1時間以上)便器等の使用が検出されなかった場合は、前記酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器に供給するようにできる。なお、酸性水溶液の供給の際に、直前に通常の洗浄水を流す事は好ましい。
このようにすれば、タンクの酸性水溶液を効率的に使用する事ができる。
また通常の洗浄水で取れる菌や汚れ、尿成分を除去した後に、電解水を流すので、電解水が無駄なく除菌や消臭、あるいは有機系の汚れ除去に効果を発揮できる。
更に電解水によって除菌や汚れが軽減された後に、酸性水溶液を流す事で、酸性水溶液が無駄なく尿石の溶解除去に効果を発揮できる。
なお、酸性水溶液を流す場合、洗浄水を流した後に酸性水溶液を流すようにする事は好ましい。
これにより、電解水が便器等に残っている状態で酸性水溶液が流れる事を防ぐ事ができるので、電解水中に残っている有効塩素が酸性水によって塩素になって塩素ガスが発生する事を防ぐ事ができる。また、電解水の作用によって除菌された菌の残留物、汚れ等の物質、作用後の電解水を一旦洗い流す事ができるので、酸性水溶液を効率的に尿石に作用させることができる。また、酸性水溶液を流す前に、アルカリ性になった封水等や、アルカリ性になった尿石表面から、洗浄水を流す事でできるだけアルカリ分を除去できる。これにより酸性水をできるだけpHを高くならない状態で尿石に作用させることができるので、尿石溶解除去の効果高める事ができる。
1: タンク 2:酸性水溶液 3:電極対 4:電解部 5:供給部 6:ポンプ 7、7a、7b:フラッシュバルブ 8、8a、8b、8c:バルブ 10、10a、10b:制御部 12:希釈部 13:希釈液 15:便器 17:赤外線式センサー 19:スプレッダー 20:供給口 21:排水トラップ 22:封水 23:排水管 24:電解水生成部 25:押しボタン 30:洗浄装置 31:洗浄装置付き便器

Claims (11)

  1. 酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を貯留するタンクと、前記タンクから供給された酸性水溶液を電気分解し電解水を生成する電解部と、供給部とを備え、
    前記供給部は、前記タンクに貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器又は排水管に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられ、かつ、前記電解部により生成した電解水又は希釈した電解水を便器又は排水管に供給し便器又は排水管を洗浄するように設けられたことを特徴とする洗浄装置。
  2. 制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記タンクに貯留した酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を用い便器又は排水管を洗浄するように前記供給部を制御し、かつ、前記電解部で生成した電解水又は希釈した電解水を用い便器又は排水管を洗浄するように前記電解部及び前記供給部を制御する請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 前記酸性物質は、塩酸、酢酸、クエン酸のうち少なくとも一つであり、
    前記アルカリ金属塩化物は、塩化ナトリウム及び塩化カリウムのうち少なくとも一方である請求項1又は2に記載の洗浄装置。
  4. 前記酸性水溶液は、pHが2以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の洗浄装置。
  5. 前記希釈した酸性水溶液は、pHが3.4以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載の洗浄装置。
  6. 前記タンクは、前記電解部よりも高い位置に配置され、
    前記供給部は、前記タンクと前記電解部との間の流路に設けられたバルブと、便器又は排水管に電解水又は酸性水溶液を供給する供給口とを備え、
    前記電解部は、前記タンクと接続した流入口と、前記流入口よりも高い位置に設けられた流出口とを備え、
    前記供給口は、前記電解部よりも低い位置に配置された請求項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄装置。
  7. タンクに貯留した酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液又は希釈した酸性水溶液を便器又は排水管に供給する酸性水溶液洗浄と、前記タンクから供給された酸性物質及びアルカリ金属塩化物を含む酸性水溶液を電気分解して生成した電解水又は希釈した電解水を便器又は排水管に供給する電解水洗浄とを行う便器又は排水管の洗浄方法。
  8. 前記酸性水溶液洗浄は、便器の使用頻度が低い時間帯に行われる請求項7に記載の洗浄方法。
  9. 前記電解水洗浄に用いる前記電解水のpH又は前記希釈した電解水のpHは、3.4よりも大きく8.2以下であり、
    前記酸性水溶液洗浄に用いる前記酸性水溶液のpH又は前記希釈した酸性水溶液pHは、3.4以下であり、
    前記電解水洗浄を行った後、前記酸性水溶液洗浄を行う請求項7又は8に記載の洗浄方法。
  10. 便器使用の間隔が第1時間間隔よりも短い場合、洗浄水を便器又は排水管に供給する洗浄水洗浄を行い、
    便器使用の間隔が第1時間間隔よりも長く第2時間間隔よりも短い場合、前記電解水洗浄を行い、
    便器使用の間隔が第2時間間隔よりも長い場合、前記酸性水溶液洗浄を行う請求項7〜9のいずれか1つに記載の洗浄方法。
  11. 前記酸性水溶液洗浄を行う前に、洗浄水を便器又は排水管に供給する洗浄水洗浄を行う請求項7〜10のいずれか1つに記載の洗浄方法。
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