JP2016204551A - 長繊維強化樹脂ペレット、長繊維強化樹脂成形品および製造方法 - Google Patents

長繊維強化樹脂ペレット、長繊維強化樹脂成形品および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を用いて、その優れた耐熱性を維持しつつ、かつ、耐衝撃性等の機械的強度に優れた樹脂成形品および当該成形品を提供するための樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供すること。さらに成形品のなかでも特に、耐衝撃性等の機械的強度に優れつつ、かつ、耐ドローダウン性、偏肉性や内面平滑性といった成形性に優れたブロー中空成形品、当該成形品を提供するための樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】 融点170℃以上の熱可塑性樹脂と、5mm超の繊維長を有する繊維強化束とを含む長繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
融点170℃以上の熱可塑性樹脂(1)と、5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットとを、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して前記熱可塑性樹脂を溶融し、成形することを特徴とする長繊維強化樹脂成形品の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は融点170℃以上の熱可塑性樹脂を含む、長繊維強化樹脂ペレット、長繊維強化樹脂成形品およびそれらの製造方法、特に、熱可塑性樹脂としてポリアリーレンスルフィド樹脂を用いたブロー中空成形品およびその製造方法に関するものである。
近年、自動車の省資源、省エネルギー、二酸化炭素低減を目的とした低燃費化が要求される中で、自動車部品についての軽量化が特に求められるようになってきている。
金属によって形成されている各種材料の軽量化を図るには、金属よりも低比重の樹脂材料、特に、ポリアミド系材料やポリアリーレンスルフィド樹脂といった耐熱性に優れた、いわゆるエンジニアリングプラスチックへの置き換えが進んできたが、これらの樹脂材料は金属材料に比べて、耐衝撃性等の機械強度に完全の余地があった。
さらに、自動車部品としてエンジンルーム内のダクト類を従来のアルミ材料から、樹脂材料を用いたブロー中空成形品への置き換えが進んでおり、現在は、主としてポリアミド系材料が使用されている。しかし、主に排気ガスと接触する部材であることから、ポリアミド系材料では耐熱性が不十分であるため、耐熱性が高く、しかも耐薬品性、耐衝撃性も兼備したブロー中空成形用材料が求められていた。
このため、耐熱性や耐薬品性、難燃性および電気特性などに優れるエンジニアリングプラスチックとして、ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PAS樹脂と略称することがある)の使用が、自動車部品だけでなく電気・電子部品や精密機械部品などの各種用途に対し、検討されている。しかしながら、当該ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いた成形品は脆いことが知られており、各種フィラーを添加し、耐衝撃性を付与した成形品が提供されてはいるものの、いまだ金属材料を代替するには不充分であった。
特開平3−236930号公報 WO2001/148929号パンフレット
従って、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を用いて、その優れた耐熱性を維持しつつ、かつ、耐衝撃性等の機械的強度に優れた樹脂成形品および当該成形品を提供するための樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することにある。さらに成形品のなかでも特に、耐衝撃性等の機械的強度に優れつつ、かつ、耐ドローダウン性、偏肉性や内面平滑性といった成形性に優れたブロー中空成形品、当該成形品を提供するための樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、融点170℃以上の熱可塑性樹脂(以下、単に「前記熱可塑性樹脂」ということがある)に5mm超の長繊維長を有する繊維強化束を組み合わせた長繊維強化樹脂ペレットを用いて製造した長繊維強化樹脂成形品が、優れた耐熱性を維持しつつ、かつ耐衝撃性等の機械強度にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含む長繊維強化樹脂ペレットを用いて製造されたブロー中空成形品は、耐衝撃性等の機械的強度に優れつつ、かつ、耐ドローダウン性、偏肉性や内面平滑性といった成形性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、融点170℃以上の熱可塑性樹脂と、5mm超の繊維長を有する繊維強化束とを含む長繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
融点170℃以上の熱可塑性樹脂(1)と、5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットとを、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して前記熱可塑性樹脂を溶融し、成形することを特徴とする長繊維強化樹脂成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットであって、
前記長繊維強化樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(2)と前記繊維強化束を含み、熱可塑性樹脂(2)と前記繊維強化束の合計100質量部に対して、熱可塑性樹脂(2)が99〜20質量部の範囲であり、前記繊維強化束が1〜80質量部の範囲であることを特徴とする長繊維強化樹脂ペレットに関する。
本発明によれば、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を用いて、その優れた耐熱性を維持しつつ、かつ、耐衝撃性等の機械的強度に優れた樹脂成形品および当該成形品を提供するための樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することができる。さらに成形品のなかでも特に、耐衝撃性等の機械的強度に優れつつ、かつ、耐ドローダウン性、偏肉性や内面平滑性といった成形性に優れたブロー中空成形品、当該成形品を提供するための樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することができる。
本発明の長繊維強化樹脂成形品の製造方法は、融点170℃以上の熱可塑性樹脂と、5mm超の繊維長を有する繊維強化束とを含む長繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
融点170℃以上の熱可塑性樹脂と、5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットとを、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して前記熱可塑性樹脂を溶融し、続いて成形することを特徴とする。
まず始めに、本発明に用いられる熱可塑性樹脂について説明する。
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂としては、電気絶縁性に優れ、かつ近年の電気出力向上に伴う発熱量の増加に対して充分に対応可能な耐熱性を有する点から、融点が170℃以上、好ましくは170〜390℃の範囲の熱可塑性樹脂が好ましい樹脂として挙げられ、具体的にはポリアミド6(6−ナイロン)、ポリアミド66(6,6−ナイロン)またはポリアミド12(12−ナイロン)などの脂肪族骨格を有するポリアミドや、ポリアミド6T(6T−ナイロン)、ポリアミド9T(9T−ナイロン)などの芳香族骨格を有するポリアミドなど融点が170℃以上、好ましくは170〜310℃の範囲であるポリアミドや、ポリブチレンテレフタレート、ポリイソブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリシクロヘキセンテレフタレートなどの融点が220℃以上、好ましくは220〜280℃の範囲であるポリエステル樹脂や、融点が265℃以上、好ましくは265〜350℃の範囲、さらに好ましくは280〜300℃の範囲であるポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィドや、融点が300〜390℃の範囲であるポリエーテルエーテルケトンや、パラヒドロキシ安息香酸を骨格中に有する融点が300℃以上、好ましくは300℃〜熱分解温度(380℃)未満である液晶ポリマーや、融点が220℃以上、好ましくは220〜280℃の範囲であるシンジオタクチックポリスチレン等の融点が170〜390℃の範囲の熱可塑性樹脂といった、いわゆる汎用エンジニアリングプラスチックないしスーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられ、このうち、優れた難燃性や寸法安定性を有するポリアリーレンスルフィドが好ましい。
次に、本発明に好ましく使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂について説明する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
Figure 2016204551
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記式(2)
Figure 2016204551
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。下記式(8)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して、0.001〜3モル%が好ましく、0.01〜1モル%であることがより好ましい。
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2016204551
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記式(1)や式(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
Figure 2016204551
で表される構造部位を、前記式(1)と式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、ブロー成形に適した範囲のものであれば特に限定されるものではないが、300℃、剪断速度10sec−1における溶融粘度が10〜500Pa・sの範囲のものが好ましく、さらに25〜300Pa・sの範囲のものがより好ましく、さらに45〜200Pa・sの範囲のものがより好ましい。溶融粘度が10Pa・s以上であれば、ドローダウンが起こりにくくなり、一方、500Pa・s以下であれば、パリソンの押出安定性が良好となり、偏肉のない均一な成形品が得られやすくなる。
また、該ポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートン指数は、ブロー成形に適した範囲のものであれば特に限定されるものではないが、0.9〜1.2の範囲のものが好ましい。
このように本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、ポリアリーレンスルフィド樹脂自体がブロー中空成形に適した高い溶融粘度を有することに加え、リニア型構造の中でも非ニュートン指数が0.9〜1.2の分岐度の低い直鎖構造を有するものである場合には、前記繊維強化束と反応して溶融混練物の溶融粘度が過度に高くなることを防ぎ、偏肉のない優れた成形性を発揮することができ、ブロー中空成形品の機械的強度、とくに耐衝撃性を改善することができる傾向となる。
次に、本発明で用いる長繊維強化樹脂ペレットについて説明する。
該長繊維強化樹脂ペレットは、前記熱可塑性樹脂と、5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含有する。
本発明で用いる繊維強化束の種類としては公知の無機繊維強化束や有機繊維強化束を用いることできる。例えば、ガラス繊維強化材、金属繊維強化材、バサルト繊維強化材、カーボン繊維(炭素繊維)強化材、アラミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維)強化材、ナイロンMXD6繊維(m−キシリレンジアミンとアジピン酸との共縮重合体からなる繊維)強化材、PET繊維強化材、PBT繊維強化材、全芳香族ポリエステル繊維(ケブラー繊維)強化材等を挙げることができる。
これらの繊維強化束としてはモノフィラメントの多数本を集束剤で相互に集束したロービングが挙げられる。このようなロービングとしては、平均繊維径5〜50μmの範囲、好ましくは平均繊維径6〜30μmの範囲のモノフィラメントで、かつ、500〜60000本の範囲のモノフィラメントを集束したものを用いることが好ましく、さらに平均繊維径9〜24μmの範囲のモノフィラメントで、かつ1000〜20000本のモノフィラメントを集束したものを用いることがより好ましい。更にこれらのロービングを2本以上合糸した形で用いることもできる。またこれらのロービング自体に撚りが付与されたものも用いることができる。また、集束剤としては、例えば、無水マレイン酸系化合物、ウレタン系化合物、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、及びこれら化合物の共重合体から選ばれる1種以上を含有する集束剤が挙げられ、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物を含有する集束剤が好ましいものとして挙げられる。このうち、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物が好ましいものとして挙げられ、さらにエポキシ系化合物がより好ましいものとして挙げられる。エポキシ系化合物としては、ビスフェノール・エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、エポキシアルキルエステルあるいはエポキシ化不飽和化合物などが例示される。また、ウレタン系化合物としては、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)やイソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるものなどが挙げられる。
当該長繊維強化樹脂ペレットは、連続した繊維強化束に、溶融した前記熱可塑性樹脂を塗布又は含浸させ、次いで撚りを掛けた状態でストランドを形成し、適宜冷却して、得られたストランドを5mm以上の範囲の長さに切断して得ることができる。その際、溶融した熱可塑性樹脂に、必要に応じて加工安定剤、酸化安定剤、成形助剤その他の添加剤などを加えることもできる。
本発明の長繊維強化樹脂ペレットを作製する過程においては、基材樹脂である前記熱可塑性樹脂を、適宜、加工安定剤、酸化安定剤、成形助剤その他の添加剤などと配合した上で、加熱機構を有する単軸または二軸スクリュー押出機へ投入して熱可塑性樹脂の融点以上、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲で、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲で、さらに好ましくは融点+20℃〜融点+50℃の温度範囲で、溶融混練を行なって流動可能状態へ移行させた後に含浸装置(含浸ダイス)へ所定速度で装入する。
該含浸装置は、例えば、開繊含浸装置を用いる。開繊含浸装置は溶融樹脂貯留部、上流側の境壁又は上流側の天板に穿設された繊維導入孔(導入口)を備えると共に下流側の境壁に穿設された賦形ノズルを備え、同装置中には2本以上の開繊ピン(長繊維の移動に拘わらず回転しない様に固定されている)又は開繊ロール(長繊維の移動に伴って自発的又は随伴的に回転可能)が下流側へ向けて系列的にしかも左右壁を架橋する状態で両壁に固定又は回転(回動)可能に装着されている。なお、開繊ピン又は開繊ロールが所定の間隙等を介して上下2段以上に装着されていても良い。上記の開繊含浸装置の中で連続した繊維を溶融樹脂中に導入し、開繊ピン又は開繊ロールに千鳥型に周回させるか、または上下2段に所定間隔だけ離して設置された2本の開繊ピンの中間を両者の何れにも接触させずに通過させるか、によってロービングの開繊と開繊した繊維への溶融樹脂の塗布または含浸を行えばよい。
次いで、含浸装置から撚りを掛けた状態でストランドを押し出し、無端の繊維を引抜成形したストランドが得られる。連続した繊維強化束に対して、撚りを付与する方法としては、特開2001−300935号公報、特開2013−11039、特開2006−248758号公報、特開平05−169445号公報、特開2001−049012号公報、特開2006−231922号公報、特開2011−62971号公報記載の方法など公知の方法に準拠して製造することができる。例えば、連続した繊維強化束の複数本、好ましくは2〜30本を含浸装置に通し、複数本の繊維強化束を撚りながら一本のストランドを形成することが好ましい。このように撚りを掛けた状態でストランドを形成することで、無端の繊維強化束を引抜成形したストランドが得られる。なお、ストランドの撚り回数は、本発明の効果を損ねなければ特に芸呈されないが、1〜700回/m程度であることが好ましい。
その際、熱可塑性樹脂の溶融温度未満、好ましくは室温(23℃)まで冷却しながら行うことが好ましい。本発明の長繊維強化樹脂ペレットは、得られたストランドを5mm以上の範囲、好ましくは5mm以上かつ30mm以下の範囲、より好ましくは6mm以上、かつ20mm以下の範囲、さらに好ましくは6mm以上、かつ15mm以下の範囲の長さに切断することによって柱状のペレットとして得られる。ペレット形状、すなわち、ペレット直径とペレット長は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、ペレット直径が1.0〜6.0mmの範囲とすることが好ましく、さらに1.5〜4.0mmの範囲とすることがより好ましい。また、ペレット長はストランドを切断した際の長さと同じである。
このような方法で得られたペレット中の繊維強化束は、そのアスペクト比は、250〜5000の範囲であり、好ましくは600〜4000の範囲であり、さらに好ましくは800〜3000の範囲である。また、5mm超の繊維長を有する繊維強化束に、5mm以下の繊維長を有する繊維強化材(モノフィラメントやロービング)を加えることもできるが、その場合でも、数平均で120〜3000の範囲に調整することが発明の効果を維持できる観点から好ましい。
このようにして得られた長繊維強化樹脂ペレットは、無端の繊維を引抜成形したストランドを切断して得られる柱状ペレットであることから、該ペレット中の繊維強化束の繊維長は、撚りが付与された分だけ、ペレット長よりも長いものとなる。すなわち、ストランドを5mmの長さに切断することによって、5mm超の繊維長を含む柱状ペレットとして得られる。換言すると、繊維長に対してペレット長を短縮することができ、短縮したペレット長の分だけ、ペレット体積を小さくすることができ、取扱い時の省重量化、省スペース化だけでなく、樹脂設計の自由度も向上できるため好ましい。特に、樹脂設計の自由度は、高機能性材料であるエンジニアリングプラスチックの技術分野においては、他の樹脂、充填剤、添加剤等を加えることによる、更なる機能性付与の余地が生じるため好ましい。また、このような長繊維長の繊維を用いると、溶融成形時、特に、ブロー成形時のパリソン中に長繊維同士の物理的な絡まりあいが生じ、ドローダウン性を改善することができる。さらに、繊維表面に樹脂との相互作用を高めるための反応性を付与した収束剤を塗布すると熱可塑性樹脂、特にポリアリーレンスルフィド樹脂との密着性が高まり、繊維と樹脂の界面でより強固に密着し、ドローダウン性を改善することができる。さらに長繊維長の繊維を用いることで、機械的物性、特に耐衝撃性を向上させることができる。
なお、本発明の長繊維強化樹脂ペレットにおいて、前記熱可塑性樹脂と、前記繊維強化束との割合は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に限定されないが、以下の通りである。
すなわち、前記熱可塑性樹脂と前記繊維強化束の合計100質量部に対して、前記熱可塑性樹脂が99〜20質量部の範囲であり、前記繊維強化束が1〜80質量部の範囲であることが好ましく、さらに前記熱可塑性樹脂が95〜30質量部の範囲であり、前記繊維強化束が5〜70質量部の範囲であることがより好ましい。
この範囲の配合割合を採用することによって溶融成形性に優れ、耐熱性、耐薬品性、特に耐衝撃性に代表される機械物性に優れた成形品が得られる傾向となるが、特に、ブロー中空成形品用に好ましいものとなり、ブロー中空成形時パリソンのドローダウンが起こりにくくなり良好なブロー成形性を示し、かつ耐熱性、耐薬品性、特に耐衝撃性に代表される機械物性に優れたブロー中空成形品が得られる傾向となる。
また、本発明の長繊維強化樹脂ペレットは、本発明の効果を損ねない範囲で、更に強度、耐熱性、寸法安定性等の性能を更に改善するために、各種の充填材を含有していてもよい。このような充填材としては、本発明の効果を損なうものでなければ公知慣用の材料を用いることができ、例えば、粒状、繊維状などさまざまな形状の充填材等が挙げられる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化珪素、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム等の繊維、ウォラストナイト等の天然繊維等の、繊維長が6mm未満の繊維状の充填材が使用できる。また硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等が使用できる。本発明で用いる充填剤は必須成分ではないが、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0質量部より多く、通常は10質量部以上、500質量部以下を加えることによって、強度、剛性、耐熱性、放熱性および寸法安定性など、加える充填剤の目的に応じて各種性能を向上させることができるため、好ましい。
また、本発明に用いる長繊維強化樹脂ペレットには、本発明の効果を損ねない範囲で公知の添加剤を配合していてよい。このような公知の添加剤としては、離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、滑剤、また用途に応じて、適宜、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂、あるいは、ポリオレフィン系ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等のエラストマ、シランカップリング等のカップリング剤等を配合してもよい。
本発明で用いる添加剤は必須成分ではないが、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して0質量部より多く、通常は10質量部以上、500質量部以下を加えることによって、加える添加剤の目的に応じて各種性能を向上させることができるため、好ましい。
この様にして得られた本発明の長繊維強化樹脂ペレットは、用いる熱可塑性樹脂、該繊維強化材の種類や割合に応じて種々調製する。特に、熱可塑性樹脂としてポリアリーレンスルフィド樹脂を用いたブロー中空成形をする場合には、メルトフローレート値を10〜100g/10分の範囲とすることが好ましく、さらに20〜80g/10分の範囲とすることがより好ましく、さらに30〜60g/10分の範囲とすることがさらに好ましい。当該範囲とすることで、成形品肉厚のばらつきを抑え、均一性にすぐれたブロー成形品となる傾向となり、また、10g/10分以上の範囲とすることでゲル化を抑制できる傾向となり好ましい。
なお、メルトフローレート値はシリンダー温度316℃、オリフィス径3mmのメルトインデクサーに該ドライブレンド物を投入し、10kgの荷重を掛け、5分間の予熱後にメルトフローレート(g/10分)を測定した際のMFR値を用いるものとする。
本発明の長繊維強化樹脂ペレットは、前記熱可塑性樹脂の優れた耐熱性を維持しつつ、長繊維長の繊維強化束を含むことから耐衝撃性等の機械特性に優れた成形品が得られるが、特に、熱可塑性樹脂としてポリアリーレンスルフィド樹脂を用いたブロー中空成形を行う際の耐ドローダウン性や偏肉性といった成形性に優れ、さらに耐衝撃性等の機械的強度に優れたブロー中空成形品を提供することができ、ブロー中空成形品用途に好ましく用いることができる。
次に、本発明の長繊維強化樹脂成形品について説明する。
本発明の長繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品は、前記熱可塑性樹脂と、本発明の5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットとを、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して前記熱可塑性樹脂を溶融し、成形することにより製造することができる。
成形法としては本発明の効果を損ねなければ公知の方法でよく、例えば、前記熱可塑性樹脂と、長繊維強化樹脂ペレットを、単軸スクリューを備えた溶融押出機に供給し、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して溶融し、押出した後、成形することが好ましい。前記熱可塑性樹脂がポリアリーレンスルフィド樹脂の場合には、好ましくは290〜320℃の範囲に加熱して溶融し、押出した後、成形することが好ましい。
より詳しくは、例えば、スクリュー回転数50〜250rpm、吐出5〜25kg/hの範囲の条件で溶融押出した後、目的とする成形品に成形する方法などが挙げられる。ブロー成形の場合は、溶融押出した後、ダイギャップ1〜10mmの範囲でパリソンを成形せしめ、その後目的とする2〜3次元的中空成形品に成形する方法などが挙げられる。
スクリュー形態としては、例えば、フルフライト型単軸スクリューや、ダルメージ型、マドック型、ピン付型等のミキシング機構を有する単軸スクリューが挙げられる。樹脂の溶融時における剪断による繊維強化材の破砕を抑制できるため、圧縮比2以下の単軸スクリューを用いることが好ましく、さらに圧縮比2以下、かつ1以上の範囲の単軸スクリューを用いることがよりこのましく、さらにフルフライト型でかつ圧縮比2以下の単軸スクリューを用いることが特に好ましい。
有効長(L/D)は、通常の前記熱可塑性樹脂を成形する際に用いられる値であれば特に限定されることはなく、例えば、1〜100の範囲、好ましくは5〜50の範囲である。
また、成形法としては射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に耐ドローダウン性や偏肉性といった成形性に優れることから、ブロー成形法が好ましい。ブロー成形法の代表例としてはダイレクトブロー法、アキエームレーターブロー法および多次元ブロー法などを挙げることができ、また他材料との組合せにおいて用いられる多層ブロー成形法やエクスチェンジブロー成形法などを適用することももちろん可能である。
この様にして得られた本発明の長繊維強化樹脂成形品は、前記熱可塑性樹脂と5mm超の範囲、好ましくは5mm以上、かつ30mm以下の範囲、より好ましくは6mm以上かつ20mm以下の範囲、さらに好ましくは10mm以上かつ15mm以下の範囲の繊維長を有する繊維強化束とを含み、特に、前記熱可塑性樹脂としてポリアリーレンスルフィド樹脂を用いたブロー中空成形品では、前記ブロー中空成形品用に調製した長繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物と同様のメルトフローレート値し、より具体的には10〜100g/10分の範囲とすることが好ましく、さらに20〜80g/10分の範囲とすることがより好ましく、さらに30〜60g/10分の範囲とすることがさらに好ましい。
本発明の長繊維強化樹脂成形品における前記熱可塑性樹脂と前記繊維強化束との割合は、上記製造方法で原料として添加した各成分の割合と同様である。すなわち、前記熱可塑性樹脂と前記繊維強化束の合計100質量部に対して、前記熱可塑性樹脂が99〜25質量部の範囲であり、前記繊維強化束が1〜75質量部の範囲であることが好ましく、さらに前記熱可塑性樹脂が95〜35質量部の範囲であり、前記繊維強化材が5〜65質量部の範囲であることがより好ましい。
本発明の長繊維強化樹脂成形品は優れた成形性を有し、かつ融点170℃以上の熱可塑性樹脂が本来有する耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、耐衝撃性、耐冷熱衝撃性等の機械的強度等の優れた諸性能も具備しているので、コネクタ、プリント基板及び封止成形品等の電気・電子部品、ランプリフレクター及び各種電装品部品などの自動車部品、各種建築物、航空機及び自動車などの内装用材料、OA機器部品、カメラ部品及び時計部品などの精密部品等の射出成形品や圧縮成形品、金属インサート成形品だけでなく、特に、ボトル、タンク、ダクトなど中空成型品として薬液用容器、空調ダクト、自動車など内燃機関や燃料電池から排出される高温ガス用ダクトおよびパイプなどに幅広く用いることができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
〔実施例1〜2〕
(繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造)
表1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂を2軸押出機に投入し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、シリンダー設定温度310℃で溶融混練しながら、押出機先端に設置した含浸ダイスに、表1に記載のガラス繊維からなる連続した3本のロービング(繊維径10μm)を、ポリアリーレンスルフィド樹脂とガラス繊維の合計100質量部に対し40質量部の割合で被覆されるよう、連続的に供給し、引取装置で引き抜きながら、ガラス繊維を溶融したポリアリーレンスルフィド樹脂で被覆したストランド状物を製造した。その際、3本の該ストランド状物を撚り合わせながら引き抜きつつ、23℃に空冷してストランドを得て、さらにストランドカッターで2〜20mmの長さにカッティングして、繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを得た。
なお、撚りの付与手段は、以下の加撚装置を用いた。内部にストランドを掛けるフックが取り付けられた円筒を備えており、円筒片側末端は開放端とし、もう一方には、リング状のストランド導入部が取り付けられている。また、モータとストランド導入部のリング外周にはベルトが装着されており、モータ回転がリングに伝達され、ストランドを撚った。なお、撚り回数30回/mで実施した。
〔実施例3〜4〕
実施例1〜2と撚りの付与方法以外は同様に繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを得た。撚りの付与手段は、ベルトニップツイスターで、引取装置に互いに、外周面で接触する上下一対の引取ベルトを有しており、これら上下一対の引取ベルトが、ストランドを挟んで下流側に送り出せるように互いに異なる回転方向に回転しており、当該引取ベルトがストランドの引取り方向に対して、上下の引取ベルトが45°で傾斜した方向を向くよう設置した。
〔実施例5〜8〕
実施例1〜2と撚りの付与方法以外は同様に繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットを得た。撚りの付与手段は、引取装置に互いに、外周面で接触する上下一対の引取ロールを有しており、これら上下一対の引取ロールが、ストランドを挟んで下流側に送り出せるように互いに異なる回転方向に回転しており、当該引取ロールがストランドの引取り方向に対して、上下の引取ロールが45°で傾斜した方向を向くよう設置した。
(ブロー成形品の製造)
前記樹脂組成物ペレットを、45mmφ押出機(フルフライト型でかつ圧縮比1の単軸スクリュー、有効長L/D比30)を具備するブロー成形機に供給し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、シリンダー設定温度290℃で押出を行い、外径30mm、肉厚4mmのパリソンを成形した後、金型内で空気を吹込み、高さ250mm、外径50mm、肉厚約2〜3mmの円筒型容器を成形した。また、同押出機を2台接続した2層ブロー成形機でも同様に円筒型容器を成形した。
〔比較例1、2〕
(繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットの製造)
ポリアリーレンスルフィド樹脂と、サイドフィーダからガラス繊維をポリアリーレンスルフィド樹脂組成物とガラス繊維の合計100質量部に対し40質量部の割合で2軸押出機に供給しながら、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、シリンダー設定温度310℃で溶融混練したのち、押出して、ガラス繊維を含むストランド状物を製造した。その後、該ストランド状物を23℃に空冷してストランドを得て、さらにストランドカッターで約5mmの長さにカッティングし、繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ペレットを得た。
(ブロー成形品の製造)
前記樹脂組成物ペレットを、45mmφ押出機(フルフライト型でかつ圧縮比1の単軸スクリュー、有効長L/D比30)を具備するブロー成形機に供給し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、シリンダー設定温度290℃で押出を行い、外径30mm、肉厚4mmのパリソンを下型に横置きにし、上型で挟み込み、成形した後、金型内で空気を吹込み、高さ250mm、外径50mm、肉厚約2〜3mmの円筒型容器を成形した。
各種試験は以下の通り行った。
[溶融粘度/耐ドローダウン性/押出安定性]
実施例1〜8、比較例1、2で得られた繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂ペレットをメルトインデクサー(シリンダー温度316℃、オリフィス系3mm)に投入し、10kgの荷重を掛け、5分間の予熱後にメルトフローレートを測定した。
得られた溶融粘度をブロー成形時の耐ドローダウン性および押出安定性の指標とし、100〜10g/10分のものを「〇」(耐ドローダウン性および押出安定性が伴に良好)、10g/10分未満のものを「△」(押出安定性が不良)、100g/10分を超えるものを「×」(耐ドローダウン性が不良)と評価した。
[内面平滑性]
実施例1〜8、比較例1、2で得られたブロー成形品胴部の上部(上端から30mm)および下部(下端から30mm)の任意の各5ケ所の内面最大高さRyを以下の基準で判定した。
最大高さRyが0.2mm以下のものを「◎」
最大高さRyが0.2を超え0.5mm以内のものを「○」
最大高さRyが0.5を超え1.0mm以内のものを「△」
最大高さRyが1.0mmを超えるものを「×」
[均一性]
実施例1〜8、比較例1、2で得られたブロー成形品胴部の上部(上端から30mm)および下部(下端から30mm)の任意の各5ケ所の厚みを測定し、その均一性を以下の基準で判定した。
上部平均厚みと下部平均厚みの差が0.2mm以内のものを「◎」
上記厚みの差が0.2を超え0.5mm以内のものを「○」
上記厚みの差が0.5mmを越え1.0mm以内のものを「△」
上記厚みの差が1.0mmを超えるものを「×」。
[耐熱性]
実施例1〜8、比較例1、2で得られた繊維強化ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ペレットを、45mmφ押出機(フルフライト型でかつ圧縮比1の単軸スクリュー、有効長L/D比20)を具備する射出成形機に供給し、シリンダー温度300℃、金型温度140℃で、引張試験用ダンベル形状試験片を射出成形した。この試験片を260℃のオーブンで3000時間加熱し、取り出した後の引張強さを測定し、加熱していない試験片の引張強さからの低下を保持率(%)で表した。この保持率が80%以上のものを「◎」、60以上〜80未満%ものを「○」、40%以上〜60%未満のものを「△」、40%未満のものを「×」と判定した。
[ペレットまたは成形品中の繊維強化材の繊維の測定]
該樹脂組成物ペレットまたはブロー中空成形品をマッフル炉中550℃で2h暴露させ、その灰分に含まれるガラス繊維を無作為に500本選出し、デジタルマイクロスコープにて繊維長および繊維直径を測定し、数平均繊維長および数平均繊維径を算出した。また、得られた数平均繊維長と数平均繊維直径の各値から、数平均繊維長/数平均繊維直径を算出してアスペクト比とした。
Figure 2016204551
Figure 2016204551
表中の各原料は以下の通り。
PPS(1);DIC株式会社製「DIC.PPS」(V6溶融粘度50Pa・s、非NT指数1.2)
PPS(2);DIC株式会社製「DIC.PPS」(V6溶融粘度150Pa・s、非NT指数1.2)
PPS(3);DIC株式会社製「DIC.PPS」(V6溶融粘度30Pa・s、非NT指数1.2)
※PPS樹脂のV6溶融粘度は島津製作所製フローテスター、CFT−500Cを用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10/1にて、6分間保持した後に測定した値による。
繊維強化材(1);ガラス繊維ロービング(Eガラス、繊維直径10μm、エポキシ系収束剤)
繊維強化材(2);ガラス繊維チョップドストランド(Eガラス、繊維直径10μm、繊維長3mm、エポキシ系収束剤)

Claims (8)

  1. 融点170℃以上の熱可塑性樹脂と、5mm超の繊維長を有する繊維強化束とを含む長繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
    融点170℃以上の熱可塑性樹脂(1)と、5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットとを、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して前記熱可塑性樹脂を溶融し、成形することを特徴とする長繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記長繊維強化樹脂ペレットは、連続した繊維強化束に、溶融混練した熱可塑性樹脂(2)を塗布又は含浸させ、次いで撚りを掛けた状態で形成したストランドを5mm以上の長さに切断して得られたものである請求項1記載の長繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項1又は2記載の長繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記長繊維強化樹脂成形品が、シリンダー温度316℃、オリフィス径3mmのメルトインデクサーで測定されたMFR値が10〜100〔g/10分〕の範囲にある、請求項3記載の長繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  5. 5mm超の繊維長を有し、かつ撚りが付与されている繊維強化束を含む長繊維強化樹脂ペレットであって、
    前記長繊維強化樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(2)と前記繊維強化束を含み、熱可塑性樹脂(2)と前記繊維強化束の合計100質量部に対して、熱可塑性樹脂(2)が99〜20質量部の範囲であり、前記繊維強化束が1〜80質量部の範囲であることを特徴とする長繊維強化樹脂ペレット。
  6. 前記強化繊維束は、ペレット長よりも長いものである請求項5記載の長繊維強化樹脂ペレット。
  7. 前記熱可塑性樹脂(2)が、ポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項5記載の長繊維強化樹脂ペレット。
  8. 請求項5記載の長繊維強化樹脂ペレットの製造方法であって、連続した繊維強化束に、溶融混練した熱可塑性樹脂(2)を塗布又は含浸させ、次いで撚りを掛けた状態で形成したストランドを5mm以上の長さに切断することを特徴とする長繊維強化樹脂ペレットの製造方法。
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