JP2016204206A - 窒化ケイ素系セラミックス部材および装飾品 - Google Patents

窒化ケイ素系セラミックス部材および装飾品 Download PDF

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康武 早川
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Abstract

【課題】軽量且つ高硬度であり、研磨などの加工に対する耐性に優れ、さらには外観品質に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供すること。【解決手段】窒化ケイ素系セラミックス部材は、窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むとともにZrCをさらに含む。窒化ケイ素系セラミックス部材は少なくとも1つの鏡面研磨面を有する。鏡面研磨面の算術平均粗さRaは0.01μm以下である。少なくとも鏡面研磨面は、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が20以上26以下であり、クロマティクネス指数a*が3.5以上7.5以下であり、且つ、クロマティクネス指数b*が13以上15以下である茶色調を呈する。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ケイ素系セラミックス部材に関し、さらには、その窒化ケイ素系セラミックス部材を含む装飾品に関する。
現在市販されているスマートフォンの外装ボディ(筐体)の材料には、ステンレス、アルミニウム合金または樹脂が使用されている。しかし、ステンレスは、比重が大きい。そのため、スマートフォンの外装ボディの材料としてステンレスを使用すると、スマートフォンの外装ボディの質量増加を招くので、スマートフォンの利便性が低下する。一方、アルミニウム合金および樹脂は、比重が小さいが、硬度が低い。そのため、スマートフォンの外装ボディの材料としてアルミニウム合金または樹脂を使用すると、その外装ボディにキズが付き易くなる。
スマートフォンの外装ボディをキズの付着から保護するために、スマートフォンの使用者の多くは、樹脂またはゴムなどからなる保護ケースで外装ボディを保護している。しかし、スマートフォンを使用するにつれて、保護ケースの外観品質の低下(例えば、保護ケースに汚れまたはキズが付く、または、保護ケースの塗装が剥がれるなど)を引き起こすことがある。また、保護ケースはスマートフォンの外装ボディをキズの付着から保護する目的で使用されるので、保護ケース自体が肉厚となり、よって、スマートフォン全体の大きさが大きくなる。したがって、スマートフォンの利便性が低下する。
ところで、装飾性に優れたセラミックスが提案されている。例えば、国際公開第2009/157508号(特許文献1)では、有彩色を呈するジルコニアセラミックスが提案されており、かかるジルコニアセラミックスを用いた携帯端末用装飾品などが提案されている。また、特開平1−197364号公報(特許文献2)では、例えばジルコニアまたは窒化ケイ素などからなるセラミックスの表面に耐久性、耐摩耗性、耐食性および装飾性に優れた着色表層部が形成されてなる着色セラミックス焼結体を製造する方法が提案されている。
国際公開第2009/157508号 特開平1−197364号公報
ジルコニアは比重が大きく、その比重は例えば6.0g/cm3程度である。そのため、携帯端末用装飾部品などの装飾品の材料として特許文献1に記載のジルコニアセラミックスを使用すると、装飾品の質量増加を招くので、装飾品の利便性が低下する。
また、特許文献2には、着色表層部の厚さが0.5〜200μmの範囲内にあることが好ましいことが記載されている。しかし、着色表層部の厚さがこの範囲内であれば、特許文献2に記載の着色セラミックス焼結体に対し装飾品として使用するための加工(例えば鏡面研磨などの研磨加工)を施した場合に着色表層部が除去されることがある。一方、着色表層部を残存させるために着色表層部に対し上記加工を施さない場合には、特許文献2に記載の着色セラミックス焼結体の表面は焼き肌面となる。つまり、特許文献2に記載の着色セラミックス焼結体の表面には凹凸が残存することとなるので、着色セラミックス焼結体の表面には皮脂などの油汚れなどが付着し易くなり、また、着色セラミックス焼結体の表面に付着した油汚れなどがその表面から除去され難くなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量、高強度且つ高硬度であり、研磨などの加工に対する耐性に優れ、さらには外観品質に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供することである。
本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は、窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むとともにZrCをさらに含み、少なくとも1つの鏡面研磨面を有する。鏡面研磨面の算術平均粗さRaは0.01μm以下である。少なくとも鏡面研磨面は、CIE1976L色空間における明度指数Lが20以上26以下であり、クロマティクネス指数aが3.5以上7.5以下であり、且つ、クロマティクネス指数bが13以上15以下である茶色調を呈する。ZrCは、5質量%以上15質量%以下含まれていることが好ましい。
本発明の装飾品は、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を含む。
本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は、軽量、高強度且つ高硬度であり、研磨などの加工に対する耐性に優れ、さらには外観品質に優れる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下に限定されない。
[窒化ケイ素系セラミックス部材の構成]
本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は、窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むとともにZrCをさらに含み、少なくとも1つの鏡面研磨面を有する。鏡面研磨面の算術平均粗さRaは0.01μm以下である。少なくとも鏡面研磨面は、CIE1976L色空間における明度指数Lが20以上26以下であり、クロマティクネス指数aが3.5以上7.5以下であり、且つ、クロマティクネス指数bが13以上15以下である茶色調を呈する。これにより、本発明では、軽量、高強度且つ高硬度であり、研磨などの加工に対する耐性に優れ、さらには、外観品質に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。以下、詳細に示す。
なお、本明細書では、「窒化ケイ素系セラミックス部材」とは、窒化ケイ素系セラミックスとZrCとの混合物の焼結により得られたセラミックス焼結体に対し鏡面研磨などの加工が施されたものを意味し、鏡面研磨などの加工が何ら施されていないセラミックス焼結体と区別している。また、本明細書では、「CIE1976L色空間における明度指数L」を単に「明度指数L」と記すことがあり、「CIE1976L色空間におけるクロマティクネス指数a」を単に「クロマティクネス指数a」と記すことがあり、「CIE1976L色空間におけるクロマティクネス指数b」を単に「クロマティクネス指数b」と記すことがある。さらに、本明細書では、「CIE1976L色空間における明度指数Lが20以上26以下であり、クロマティクネス指数aが3.5以上7.5以下であり、且つ、クロマティクネス指数bが13以上15以下である茶色調」を単に「茶色調」と記すことがある。
<窒化ケイ素系セラミックス>
本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は、窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むので、窒化ケイ素と同様の特性を有する。窒化ケイ素が有する特性としては、例えば、比重が比較的小さい、強度と硬度とが高い、耐候性と耐食性とに優れる、および、絶縁性と非磁性とに優れるなどが挙げられる。そのため、本発明では、窒化ケイ素系セラミックス部材が窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むことによって次に示す効果が得られる。
窒化ケイ素の比重が比較的小さいので、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材の軽量化を図ることができる。これにより、利便性に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。
窒化ケイ素の強度および硬度が高いので、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材の高強度化および高硬度化を図ることができる。例えば、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材のビッカース硬さHvを1400以上とすることができる。これにより、物理的要因(例えば、キズ、割れ及び変形など)に対する耐性に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。よって、外観品質に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。それだけでなく、窒化ケイ素系セラミックス部材の加工時における当該窒化ケイ素系セラミックス部材の欠け又は割れなどを防止できるので、加工に対する耐性に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。加工としては、例えば、研磨(鏡面研磨または平面研磨など)、切削、研削または切断などが挙げられる。
また、窒化ケイ素の強度および硬度が高いので、セラミックス焼結体の強度および硬度もまた高いと考えられる。そのため、セラミックス焼結体に対し所望の加工を行うことによって本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を得ることができる。これにより、所望の外形を有する窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。それだけでなく、所望の物性を有する加工面(例えば、算術平均粗さRaが0.01μm以下である鏡面研磨面など)を備えた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できるので、所望の外観品質を有し所望の色を呈する窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる(後述)。よって、外観品質に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材はZrCを含んでいるので、本発明では少なくとも鏡面研磨面が茶色調を呈することとなる。
窒化ケイ素が耐候性および耐食性に優れるので、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は耐候性および耐食性に優れる。これにより、化学的要因に対する耐性に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。例えば、色あせし難く劣化し難い窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。このことからも、外観品質に優れた窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できると言える。
窒化ケイ素が絶縁性および非磁性に優れるので、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は絶縁性および非磁性に優れる。これにより、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材による電波の遮断を防止できる。よって、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を電波による通信で使用される機器、器具または部品などとしても使用できるので、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材の用途が限定されることを防止できる。
本明細書では、窒化ケイ素系セラミックス部材が「窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含む」とは、窒化ケイ素系セラミックス部材が50質量%以上の窒化ケイ素系セラミックスを含むことを意味し、好ましくは窒化ケイ素系セラミックス部材が85質量%以上95質量%以下の窒化ケイ素系セラミックスと5質量%以上15質量%以下のZrCとを含むことを意味する。
また、本明細書では、「窒化ケイ素系セラミックス」とは、窒化ケイ素を主成分とする多結晶体(例えば窒化ケイ素を50質量%以上含む多結晶体)を意味し、好ましくは80質量%以上の窒化ケイ素と20質量%以下の焼結助剤(例えばAl23、Y23またはMgOなど)とを含み、より好ましくは85質量%以上の窒化ケイ素と15質量%以下の上記焼結助剤とを含む。また、「窒化ケイ素系セラミックス」には、窒化ケイ素のケイ素原子のうちの一部(例えば20原子%以下のケイ素原子)がケイ素原子とは異なる原子(例えばアルミニウム原子)で置換され、且つ、窒化ケイ素の窒素原子のうちの一部(例えば15原子%以下の窒素原子)が窒素原子とは異なる原子(例えば酸素原子)で置換されたセラミックス(例えばサイアロン)も含まれる。
本明細書では、窒化ケイ素系セラミックス部材の組成は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法によって分析される。窒化ケイ素系セラミックスの組成についても同様の方法によって分析される。
また、本明細書では、窒化ケイ素系セラミックス部材におけるZrCの含有量は、次に示す方法にしたがって求められたものである。蛍光X線分析法またはICP発光分析法によって、窒化ケイ素系セラミックス部材におけるZr元素の含有量を求める。求められたZr元素の含有量をその炭化物の含有量に換算して、窒化ケイ素系セラミックス部材におけるZrCの含有量とする。窒化ケイ素系セラミックスにおける窒化ケイ素(SiN)の含有量の求め方についても同様のことが言える。具体的には、蛍光X線分析法またはICP発光分析法によって窒化ケイ素系セラミックスにおけるSi元素の含有量を求め、求められたSi元素の含有量をその窒化物の含有量に換算する。
<ZrC>
本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材はZrCを含むので、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材の少なくとも鏡面研磨面は茶色調を呈することとなる。
好ましくは、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は5質量%以上15質量%以下のZrCを含む。本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材が5質量%以上のZrCを含むことにより、鏡面研磨面が茶色調を呈し易くなり、また、鏡面研磨面が光沢感を示し易くなる。また、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材が15質量%以下のZrCを含むことにより、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材における窒化ケイ素系セラミックスの含有量を確保できる。よって、窒化ケイ素系セラミックス部材が窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むことにより得られる効果を効果的に得ることができる。
<鏡面研磨面>
本明細書では、「鏡面研磨面」とは、セラミックス焼結体に対し鏡面研磨を施すことによって形成された面を意味する。セラミックス焼結体には鏡面研磨などの研磨が施されていないので、セラミックス焼結体の表面は焼き肌面となる。そのため、鏡面研磨が施されたか否かについては目視により確認できる。
(算術平均粗さRa)
鏡面研磨面の算術平均粗さRaは、0.01μm以下であり、好ましくは0.005μm以下である。鏡面研磨面の算術平均粗さRaが小さくなるにつれて、鏡面研磨面には汚れなどが付着し難くなるので、窒化ケイ素系セラミックス部材の外観品質を高めることができる。そのため、鏡面研磨面の算術平均粗さRaは小さい方が好ましい。しかし、鏡面研磨面の算術平均粗さRaを0.003μm未満とすることは技術上の困難を伴うので、鏡面研磨面の算術平均粗さRaは0.003μm以上であることが好ましい。
また、鏡面研磨面の算術平均粗さRaが0.01μm以下であれば、鏡面研磨面での光の反射率が高くなる。これにより、鏡面研磨面が呈する色の明度指数Lの値が大きくなるので、鏡面研磨面の色調が明るくなる。よって、光沢感のある窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。
本明細書では、「算術平均粗さRa」は、JIS B 0601:2001に準拠して測定されたものである。例えば、触針式の表面粗さ計を用いて鏡面研磨面の算術平均粗さRaを測定する場合には、測定長さを5mmとし、カットオフ値を0.8mmとし、直径が10mm以上20mm以下である鏡面研磨面に対し先端半径が2μmである触針を接触させ、触針の走査速度を0.5mm/秒とする。このような測定方法で得られた5箇所の算術平均粗さの平均値が本明細書における「算術平均粗さRa」となる。
鏡面研磨の条件の最適化、または、トライボケミカル反応を利用した加工の条件の最適化などによって、鏡面研磨面の算術平均粗さRaを0.01μm以下とすることができる。
(色調)
少なくとも鏡面研磨面は、茶色調を呈する。詳細には、少なくとも鏡面研磨面は、明度指数Lが20以上26以下であり、クロマティクネス指数aが3.5以上7.5以下であり、且つ、クロマティクネス指数bが13以上15以下である茶色調を呈する。本発明者らは、今般、窒化ケイ素系セラミックス部材におけるZrCの含有量の変更によって鏡面研磨面の色調が変化することを確認している(後述の実施例)。
「明度指数L」とは、色調の明暗を示す指数である。明度指数Lの値が大きくなると、色調は明るくなる。一方、明度指数Lの値が小さくなると、色調は暗くなる。明度指数Lが20以上26以下であれば、鏡面研磨面の色調が適度に明るくなるので、適度な光沢感のある窒化ケイ素系セラミックス部材を提供できる。
「クロマティクネス指数a」とは、色調の赤から緑の度合いを示す指数である。クロマティクネス指数aの値がプラス方向に大きいと色調は赤色になり、その絶対値が小さいと色調は鮮やかさに欠けたくすんだ色調になる。また、クロマティクネス指数aの値がマイナス方向に大きいと色調は緑色になる。クロマティクネス指数aが3.5以上7.5以下であれば、色調の鮮やかさを落とすことなく赤味を抑えることができる。
「クロマティクネス指数b」とは、色調の黄から青の度合いを示す指数である。クロマティクネス指数bの値がプラス方向に大きいと色調は黄色になり、その絶対値が小さいと色調は鮮やかさに欠けたくすんだ色調になる。また、クロマティクネス指数bの値がマイナス方向に大きいと色調は青色になる。クロマティクネス指数bが13以上15以下であれば、色調の鮮やかさを落とすことなく茶色調を呈することができる。
明度指数L、クロマティクネス指数aおよびクロマティクネス指数bは、JIS Z 8722:2000に準拠して測定される。例えば、鏡面研磨面からの反射光をSCE(正反射光除去)方式で分光色彩計(日本電色工業株式会社製の品番「SD 7000」など)で検知すれば、鏡面研磨面の明度指数L、クロマティクネス指数aおよびクロマティクネス指数bを求めることができる。
[窒化ケイ素系セラミックス部材の製造]
例えば次に示す方法にしたがって本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を製造することができる。
まず、窒化ケイ素系セラミックスとZrCとを混合する。このとき、窒化ケイ素系セラミックスの質量とZrCの質量との合計に対しZrCの質量を5質量%以上15質量%以下とすることが好ましい。窒化ケイ素系セラミックスとZrCとを混合させる方法としては、2種類以上の粉末を混合させる方法として従来公知の方法を使用できる。
次に、必要に応じて、窒化ケイ素系セラミックスとZrCとの混合物に水または成形用バインダー(例えばパラフィンワックスなど)を加える。このようにして得られた混合物を所望の形状に成形して成形体を得る。成形体を得る方法としては、粉末を所望の形状に成形する方法として従来公知の方法を使用できる。
続いて、成形体に対し、必要に応じて非酸化性雰囲気下(例えば真空雰囲気下、窒素雰囲気下または不活性ガス雰囲気下)で脱脂処理した後、焼結を行う。脱脂処理の方法としては、成形体を脱脂する方法として従来公知の方法を使用できる。また、焼結方法としては、成形体(好ましくは、脱脂処理された成形体)を焼結する方法として従来公知の方法を使用できる。
続いて、得られたセラミックス焼結体の表面の少なくとも一部に対し研磨(好ましくは鏡面研磨)を行う。鏡面研磨の方法としては、セラミックス焼結体を鏡面研磨する方法として従来公知の方法を使用できる。好ましくは、鏡面研磨によって形成される面(上述の鏡面研磨面)の算術平均粗さRaが0.01μm以下となるように、鏡面研磨の方法または鏡面研磨の条件を決定する。このようにして本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材が得られる。
[窒化ケイ素系セラミックス部材の用途]
以上説明したように、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は、軽量、高強度且つ高硬度であり、研磨などの加工に対する耐性に優れ、さらには外観品質に優れる。そのため、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材は、例えば次に示す装飾品として使用され得る。すなわち、本発明の装飾品は、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を含む。
本発明の装飾品には、時計用装飾部品(例えば、ケース、バンド駒、裏蓋又はベゼルなど)、釣糸案内用装飾部品(例えばガイドリングなど)、装飾が施された生活用品(生活用品の一例としては、石鹸ケース、コーヒーカップセット、爪切り、耳かき、とげぬき又はピンセットなどが挙げられる)、装飾が施された車両用品(車両用品の一例としては、各種エンブレム、コーナーポール又はシフトノブなどが挙げられる)、スポーツ用品用装飾部品(例えば、ゴルフクラブ用アクセサリー又はスパイクシューズ用スタッドなど)、楽器用装飾部品(例えばギターのベースプレートなど)、装飾が施された装身具(装身具の一例としては、イヤホンユニットケース、メガネ用ブリッジ、ブローチ、ネックレス、イヤリング、リング、ネクタイピン、メダル、タイタック又は各種ボタンなどが挙げられる)、装飾が施された建材(建材の一例としては、床用タイル、壁用タイル、天井用タイル又はドア用取手などが挙げられる)、装飾が施されたキッチン用具(キッチン用具の一例としては、スプーン又はフォークなどが挙げられる)、および、各種携帯端末用装飾部品(例えば、スマートフォンの外装ボディ、携帯電話の外装ボディ、携帯型音楽再生機器の外装ボディ又は補聴器の外装ボディなど)などが含まれる。このように、本発明の装飾品には、実用品の部品であって当該部品の外面の少なくとも一部に装飾が施されたもの(例えば上記時計用装飾部品など)だけでなく、実用品そのものであって当該実用品の外面の少なくとも一部に装飾が施されたものも含まれる。本明細書では、「装飾が施された」とは、茶色調を呈することを意味し、「外面の少なくとも一部に装飾が施された」とは、外面の少なくとも一部が茶色調を呈することを意味する。
例えば、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を含むスマートフォンの外装ボディでは、スマートフォンを保護ケースで保護しなくてもスマートフォンをキズの付着から保護できる。そのため、スマートフォンの大型化を防止できるので、スマートフォンの利便性をさらに高めることができる。
なお、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材を装飾品として使用する場合には、本発明の窒化ケイ素系セラミックス部材の鏡面研磨面を装飾品の装飾面として使用することが好ましい。ここで、装飾品の装飾面とは、装飾品において装飾的価値が要求される面を意味する。例えば、本発明の装飾品を各種携帯端末用装飾部品として用いる場合には、各種携帯端末の外装ボディの外面の少なくとも一部が装飾品の装飾面となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に限定されない。
[実施例1]
<窒化ケイ素系セラミックス部材の製造>
まず、Si34(電気化学工業株式会社製の品番「SN9−FWS」)と燃焼合成サイアロン(株式会社燃焼合成製の品番「CSC−β0.5−F05」)とAl23(住友化学株式会社製の品番「AKP−30」)とY23(H.C.Starck製の品番「Grade C」)とZrC(共立マテリアル株式会社製)とを表1に示す配合比率で配合した。このようにして得られた混合粉末に対し成形用バインダーとエタノールとを添加し、ボールミルで混合した。
次に、得られた混合物を、スプレードライヤーを用いて粒径が50μm以上80μm以下である粒子に成形した(造粒)。このようにして得られた粒子をプレス成形によって板状部材に成形した(成形)。成形された板状部材に対し、CIP(Cold Isostatic Pressing)処理を施した後、600℃での熱処理を施した。この熱処理によって、成形用バインダー(バインダー成分)が板状部材から除去された(脱脂)。
続いて、板状部材を、0.8MPaの窒素雰囲気で、1700〜1800℃で、6時間、焼結させた(常圧焼結)。平面研削盤を用いて、得られたセラミックス焼結体を研削した。バフ研磨機を用いて、上記研削によって形成された面(研削面)の一部分に対しバフ研磨(鏡面研磨)を行った。このようにして、焼き肌面と研削面と鏡面研磨面とを有する窒化ケイ素系セラミックス部材を得た。
<評価:表面粗さ>
上述の方法にしたがって、窒化ケイ素系セラミックス部材の焼き肌面、研削面および鏡面研磨面のそれぞれの算術平均粗さRaを求めた。その結果を表1に示す。
<評価:色相>
上述の方法にしたがって、窒化ケイ素系セラミックス部材の鏡面研磨面の明度指数L、クロマティクネス指数aおよびクロマティクネス指数bを求めた。また、目視によって、窒化ケイ素系セラミックス部材の焼き肌面、研削面および鏡面研磨面のそれぞれの面が呈する色とそれぞれの面の光沢感とを確認した。その結果を表1に示す。
(ビッカース硬さ)
JIS Z 2244:2009に記載の方法に準拠して、窒化ケイ素系セラミックス部材のビッカース硬さを求めた。その結果を表1に示す。
[実施例2、3、5、6および比較例1〜2]
表1に示す配合比率でSi34と燃焼合成サイアロンとAl23とY23とZrCとを配合したことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、実施例2〜6(実施例4を除く)および比較例1〜2の窒化ケイ素系セラミックス部材を得た。得られた窒化ケイ素系セラミックス部材を実施例1に記載の方法で評価した。なお、比較例2では、焼結不良となったため、窒化ケイ素系セラミックス部材を得ることはできなかった。
[実施例4]
表1に示す配合比率でSi34と燃焼合成サイアロンとAl23とY23とZrCとを配合したこと、および、次に示す方法で焼結を行ったことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、窒化ケイ素系セラミックス部材を得た。得られた窒化ケイ素系セラミックス部材を実施例1に記載の方法で評価した。
実施例4では、脱脂処理が行われた板状部材を、0.8MPaの窒素雰囲気で、1700〜1800℃で、6時間、焼結させた(常圧焼結)。その後、200MPaの窒素雰囲気で、1700℃で、1時間、HIP(Hot Isostatic Pressing)を行った。その後、実施例1に記載の方法にしたがって平面研削盤による研削とバフ研磨とを順次行って、窒化ケイ素系セラミックス部材を得た。
Figure 2016204206
[考察]
実施例1〜6では、鏡面研磨面は、茶色または赤茶色を呈した。一方、比較例1では、鏡面研磨面は、0.01μm以下の算術平均粗さRaを有するにも関わらず、茶色および赤茶色を呈さなかった。また、比較例2では、焼結不良となった。このような結果から、ZrCの配合量は5質量%以上15質量%以下であることが好ましいことが分かった。
実施例4では、常圧焼結の後にHIP処理を行った。実施例5では、Si34の代わりに燃焼合成サイアロンを用いた。実施例6では、Si34の代わりにSi34と燃焼合成サイアロンとの混合物を用いた。このような場合であっても、鏡面研磨面は、赤茶色を呈した。よって、ZrCの配合量が最適化されていれば、焼結の条件に依らず、また、窒化ケイ素系セラミックスの組成に依らず、茶色調を呈する窒化ケイ素系セラミックス部材が得られることが分かった。
なお、実施例1〜6および比較例1のいずれにおいても、窒化ケイ素系セラミックス部材のビッカース硬さが大きかった。このような結果から、窒化ケイ素系セラミックス部材が窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むことが好ましいことが分かった。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (3)

  1. 窒化ケイ素系セラミックスを主成分として含むとともにZrCをさらに含み、
    少なくとも1つの鏡面研磨面を有し、
    前記鏡面研磨面の算術平均粗さRaが0.01μm以下であり、
    少なくとも前記鏡面研磨面は、CIE1976L色空間における明度指数Lが20以上26以下であり、クロマティクネス指数aが3.5以上7.5以下であり、且つ、クロマティクネス指数bが13以上15以下である茶色調を呈する窒化ケイ素系セラミックス部材。
  2. 前記ZrCは、5質量%以上15質量%以下含まれている請求項1に記載の窒化ケイ素系セラミックス部材。
  3. 請求項1または2に記載の窒化ケイ素系セラミックス部材を含む装飾品。
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