JP2016204205A - 炭素微粒子の製造方法及び炭素微粒子 - Google Patents

炭素微粒子の製造方法及び炭素微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】量産化可能で、かつ導電性に関する問題を有しない炭素微粒子の製造方法及び炭素微粒子とする。【解決手段】リグニン含有液を酸性化及び脱水して脱水ケーキとし、この脱水ケーキのスラリーに無機塩と混合し、得られた無機塩を含むスラリーを液滴化し、かつ乾燥して無機塩含有微粒子とする。そして、この無機塩含有微粒子を熱分解し、無機塩を除去して炭素微粒子とする。また、得られる炭素微粒子の平均2次粒子径を4.0μm以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、製紙工場において排出される黒液等から炭素微粒子を製造する方法及び炭素微粒子に関するものである。
従来から、製紙工場においては、蒸解工程において多量の黒液が排出されており、この黒液は蒸解薬液由来のナトリウムや硫黄等のアルカリ薬品のほか、リグニン等の有機物を含む。
現在、この黒液に含まれるリグニンの有効利用が種々検討されており、例えば、特許文献1は、リグニン含有液から炭素微粒子を製造する方法を提案する。この提案は、リグニン含有液を微小液滴化・乾燥して微粒子とし、この微粒子を熱分解して炭素微粒子を製造するというものである。同文献は、このようにして製造される炭素微粒子がカーボンブラック等の代替品になることを期待する。
また、同文献は、製造される炭素微粒子を中空状にするための提案も行っており、微小液滴化する前のリグニン含有液に無機塩を混合することを提案する。リグニン含有液に無機塩を混合する提案としては、特許文献1のほかに、リグニン含有液に炭酸リチウムを混合する提案もある(特許文献2参照)。
以上の文献には、さまざまな試験結果も開示されており、製造される炭素微粒子が有用であることを明らかにしている。しかるに、以上の文献は、いずれも実験室レベルに留まるものであり、工業化、量産化する方法までをも提案するものではない。
また、本発明者等が種々の試験を行ったところ、得られた炭素微粒子を分散させた分散液が、導電性に劣ることを知見した。
特開2009−155199号公報 特開2010−168251号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、量産化可能で、かつ導電性に関する問題を有しない炭素微粒子の製造方法及び炭素微粒子を提供することにある。
この課題を解決するための本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
リグニン含有液から炭素微粒子を製造する方法であって、
前記リグニン含有液を酸性化及び脱水して脱水ケーキとし、
この脱水ケーキのスラリーに無機塩と混合し、
得られた無機塩を含むスラリーを液滴化し、乾燥して無機塩含有微粒子とし、
この無機塩含有微粒子を熱分解し、無機塩を除去して炭素微粒子とする、ことを特徴とする炭素微粒子の製造方法。
〔請求項2記載の発明〕
前記液滴化を、前記無機塩を含むスラリーの噴霧圧が0.5MPa〜1.3MPaとなるように行う、
請求項1記載の炭素微粒子の製造方法。
〔請求項3記載の発明〕
前記無機塩を含むスラリーの固形分濃度を1.0%以下として、前記液滴化を行う、
請求項1又は請求項2記載の炭素微粒子の製造方法。
〔請求項4記載の発明〕
前記無機塩の混合を、当該無機塩が前記スラリー中のリグニンの10〜30質量倍となるように行う、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素微粒子の製造方法。
〔請求項5記載の発明〕
リグニン含有液を酸性化及び脱水して脱水ケーキとし、
この脱水ケーキのスラリーに無機塩と混合し、
得られた無機塩を含むスラリーを液滴化し、乾燥して無機塩含有微粒子とし、
この無機塩含有微粒子を熱分解し、無機塩を除去して得た炭素微粒子であり、
平均2次粒子径が4.0μm以下である、
ことを特徴とする炭素微粒子。
〔請求項6記載の発明〕
比表面積が900m2/g以上である、
請求項5記載の炭素微粒子。
〔請求項7記載の発明〕
吸油量が600ml/100g以上である、
請求項5記載の炭素微粒子。
本発明によると、量産化可能で、かつ導電性に関する問題を有しない炭素微粒子の製造方法及び炭素微粒子となる。
炭素微粒子の製造設備フロー図である(リグニン抽出工程等を示す)。 炭素微粒子の製造設備フロー図である(無機塩混合工程、液滴化及び乾燥工程、熱分解工程等を示す)。 炭素微粒子の製造設備フロー図である(洗浄工程、乾燥工程等を示す)。 洗浄工程の詳細フロー図である。 炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の外殻部分の拡大サンプル写真(2)である。 別の例に係る炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の外殻部分の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化を流量4.0L/hで行った場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化を流量2.2L/hで行った場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化を流量2.0L/hで行った場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化を流量1.6L/hで行った場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化を噴霧圧0.5MPaで行った場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化を噴霧圧1.0MPaで行った場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 液滴化するスラリーの固形分濃度を6.00%とした場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)(2)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(3)である。 液滴化するスラリーの固形分濃度を1.00%とした場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)(2)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(3)である。 液滴化するスラリーの固形分濃度を0.80%とした場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)(2)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(3)である。 液滴化するスラリーの固形分濃度を0.50%とした場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)(2)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(3)である。 液滴化するスラリーの固形分濃度を0.10%とした場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)(2)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(3)である。 無機塩をリグニンの3質量倍として液滴化した場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 無機塩をリグニンの10質量倍として液滴化した場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。 無機塩をリグニンの30質量倍として液滴化した場合における炭素微粒子のサンプル写真(1)及びこの炭素微粒子の拡大サンプル写真(2)である。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明においては、原料となるリグニン含有液としてバイオエタノール抽出後の溶液等も使用することができるが、以下では、製紙工場の蒸解工程等において排出される黒液を使用する場合を例に説明する。
〔黒液の希釈等〕
製紙工場の蒸解工程において排出される黒液は、通常、濃縮工程において自燃可能な程度にまで濃縮されており、この濃縮された黒液が回収ボイラーで燃焼されて熱量の回収等が図られる。また、黒液に含まれるアルカリ薬品は、還元され、蒸解薬品として再利用される。
黒液の上記濃縮工程には、エバポレーター(蒸発器)等の濃縮装置が備えられており、当初10質量%〜20質量%程度であった黒液の固形分(トータルソリッド:TS)濃度(以下単に「濃度」ともいう。)が60質量%〜80質量%程度になるまで濃縮される。
本形態においては、上記濃縮工程において濃縮の途中である黒液を、好ましくは濃度20質量%〜35質量%の黒液を使用する。もっとも、黒液の濃縮は、処理量と設備容量との関係やスケール防止等の観点から通常多段で行われており、濃度20質量%〜35質量%の黒液が存在しない場合もある。このような場合は、濃度の高い黒液を希釈して使用する。
具体的には、例えば、図1に示すように、低濃度(例えば、濃度10質量%〜20質量%)の黒液X1、中濃度(例えば、濃度50質量%〜60質量%)の黒液X2、及び、高濃度(例えば、濃度60質量%〜80質量%)の黒液X3が存在するような場合においては、まず、中濃度の黒液X2の一部又は全部を抜き取り、配管等からなる流路R1を通して希釈槽20まで流送する。この流送は、場所的条件、例えば、黒液の濃縮を行う場所と希釈槽20が備わる場所との位置関係等によっては、コンテナ等を使用して搬送する方法に変えることもできる。
希釈槽20においては、黒液にろ過清水等の水Wを混入して黒液の濃度が20質量%〜35質量%となるまで、好ましくは25質量%〜30質量%となるまで、より好ましくは25質量%〜28質量%となるまで希釈する。黒液の濃度が20質量%を下回るまで希釈するとリグニン抽出(回収)の効率が悪化し、工業化、量産化するに適さなくなるおそれがある。他方、黒液の濃度が35質量%を上回る希釈では、後述する酸性化工程において黒液と酸性化ガスG1との接触が不均一になるおそれがある。さらに、黒液の濃度が35質量%を上回る希釈では、後述する第1の脱水ケーキC1の灰分率を十分に下げることができなくなるおそれがある。
希釈槽20内の黒液は、必要により加温することができ、例えば、30℃〜60℃、好ましくは30℃〜45℃とすることができる。
〔第1の酸性化等〕
希釈槽20において希釈した黒液は、流路R2を通して酸性化処理槽30まで流送し、この酸性化処理槽30に供給する。酸性化処理槽30においては、黒液を酸性化処理するために酸性化ガスG1を、当該槽30内に直接吹き込み、黒液のpHを低下させる(酸性化処理)。
酸性化ガスG1としては、例えば、硫酸ガス、有機酸ガス、塩化水素ガス、硝酸水素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化塩素ガス等を使用することができるが、二酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガス含有ガスを使用するのが好ましい。
また、酸性化ガスG1として二酸化炭素ガスを使用する場合は、当該二酸化炭素ガスを新たに用意することもできるが、後述するバグフィルタ91からの排ガスG4やロータリーキルン100に備わる外熱ジャケット100aからの排ガスG5を酸性化ガスG1の全部又は一部として利用するのが好ましい。この排ガスG4,G5の利用により、当該排ガスG4,G5中の二酸化炭素ガス、つまり温室効果ガスの排出を削減することができ、地球温暖化防止対策となる。
更に本形態においては、酸性化処理槽30内において固形分が沈殿するのをより確実に防止するために、当該酸性化処理槽30内にモーターMを駆動源とする撹拌翼31が備えられており、この撹拌翼31によって黒液を撹拌する。
以上の酸性化工程においては、好ましくは当初pH13以上であった黒液がpH8.5〜pH10となるように、より好ましくはpH9.0〜pH9.5となるように酸性化ガスG1の吹込みを行う。黒液のpHが10を超えるような酸性化ガスG1の吹き込みでは、リグニンが十分に析出しないおそれがある。
黒液の流送過程やリグニン、ナトリウムの析出等にともなって黒液の濃度が上昇した場合は、酸性化処理槽30内に適宜ろ過清水等の水Wを供給し、黒液の濃度を調節するのが好ましい。
〔第1の脱水等〕
リグニンを析出させた黒液は、流路R3を通して脱水手段たるフィルタープレス40まで流送し、このフィルタープレス40に圧入する。フィルタープレス40に圧入した黒液は、更に圧搾して脱水する。
この圧入や圧搾にともなって排出された脱水ろ液D1は、廃液処分することもできるが、流路R4を通す等して黒液の濃縮工程10に返送するのが好ましい。この返送により、脱水ろ液D1に含まれるナトリウム等の灰分も濃縮工程10に返送されることになる。したがって、当該ナトリウム等の灰分を還元等することで、蒸解薬品として再利用することができるようになる。なお、脱水ろ液D1は、ナトリウム等の灰分を、通常20〜25質量%含む。
フィルタープレス40における脱水によって脱水ケーキC1が生成される(以下、この脱水ケーキC1を「第1の脱水ケーキC1」ともいう。)。この第1の脱水ケーキC1の灰分率は、好ましくは0質量%〜20質量%、より好ましくは0質量%〜15質量%である。第1の脱水ケーキC1の灰分率が30質量%を超えると、後述する第2の脱水ケーキC2の灰分率を十分に低下させることができないおそれがある。
フィルタープレス40における脱水は、当該第1の脱水ケーキC1の水分率が40質量%〜60質量%となるように行うのが好ましく、45質量%〜55質量%となるように行うのがより好ましい。水分率が40質量%未満となるまで脱水してもナトリウム等の灰分を第1の脱水ケーキC1から除去するにとって大きな影響がなく、費用対効果の点で好ましくない。他方、水分率が60質量%を超える脱水では、ナトリウム等の灰分を第1の脱水ケーキC1から十分に除去することができないおそれがある。
〔濃度調節及び第2の酸性化等〕
フィルタープレス40において得られた第1の脱水ケーキC1は、コンテナ等を使用してスラリー化槽50まで搬送し、このスラリー化槽50に供給する。スラリー化槽50には、第1の脱水ケーキC1とともに、ろ過清水等の水W及び硫酸等の酸Aを供給し、第1の脱水ケーキC1をスラリー化し、かつ酸性化を進める。このスラリー化は、得られるスラリーS1の固形分濃度が15質量%〜30質量%となるように、好ましくは20質量%〜25質量%となるように行う。また、酸性化(酸Aの供給)は、得られるスラリーS1がpH1.0〜pH4.0となるように、好ましくはpH1.5〜pH2.5となるように進める。
酸Aの供給は、第1の脱水ケーキC1をスラリー化する過程で行うことも、完全にスラリー化してから行うこともできる。また、酸Aとしては、例えば、pH1.0〜pH2.5のものを使用することができる。
〔第2の脱水等〕
スラリー化槽50において濃度及びpHを調節して(酸性化を進めて)得たスラリーS1は、流路R5及び前述した流路R3を通してフィルタープレス40まで再度流送し、当該フィルタープレス40に圧入する。このスラリーS1の圧入は、上記pHの調節後、可及的に迅速に行うのが好ましく、より好ましくは10時間以内、特に好ましくは5時間以内である。pHの調節後、圧入するまでの時間が24時間を超えると、第1の脱水ケーキC1の灰分率を20質量%に調節したとしても、第2の脱水ケーキC2の灰分率を3.0質量%以下にできなくなるおそれがある。本発明者等が試験したところによると、pHの調節後、圧入するまでの時間を24時間とした場合は、第2の脱水ケーキC2の灰分率が8質量%〜10質量%となった。
フィルタープレス40に圧入したスラリーS1は、更に圧搾して脱水する。この圧入や圧搾にともなって排出された脱水ろ液D2は、廃液処分することもできるが、前述した脱水ろ液D1の場合と同様に、流路R4を通して黒液の濃縮工程10に返送することができる。この返送により、脱水ろ液D2に含まれるナトリウム等の灰分を蒸解薬品として再利用することができる。ただし、この脱水ろ液D2に含まれる灰分は、通常15質量%〜18質量%にとどまる。したがって、廃液処分するのも有用な選択である。
スラリーS1の脱水が終了したら、フィルタープレス40にろ過清水等の水(洗浄水)Wを供給し、再度圧搾する。洗浄水Wの供給及び圧搾によりスラリーS1が洗浄され、得られる脱水ケーキC2(以下、この脱水ケーキC2を「第2の脱水ケーキC2」ともいう。)の灰分率が低下する。
スラリーS1の洗浄は、洗浄水Wのみによって行うこともできるが、必要により、当該洗浄水Wに硫酸等の酸Aを混合して希釈酸とし、この希釈酸を使用して行うこともできる。この希釈酸は、好ましくはpH1.0〜pH4.0、より好ましくはpH1.0〜pH2.5である。
スラリーS1の洗浄にともなって排出された洗浄ろ液D3は灰分率が通常1%以下であり、脱水ろ液D1,D2と同様に濃縮工程10に返送するのは効率が悪い。したがって、廃液処分するのが好ましい。ただし、洗浄水Wに酸Aを混合し希釈酸として洗浄した場合は、流路R6を通してスラリー化槽50に流送し、このスラリー化槽50に供給するのが好ましい。この洗浄ろ液D3の供給により、当該洗浄ろ液D3に含まれる酸(A)が再利用されるため、新たに添加する酸Aの量を減らすことができる。
洗浄水Wの供給及び再度の圧搾を行った後、フィルタープレス40には、窒素、空気等の置換ガスG2を吹き込む。この置換ガスG2の吹き込みにより、第2の脱水ケーキG2中の水分が当該置換ガスG2によって置き換えられ、更に水分率及び灰分率が低下する。
得られる二次ケーキC2の水分率は、好ましくは40質量%〜65質量%、より好ましくは45質量%〜65質量%、特に好ましくは50質量%〜65質量%である。
また、第2の脱水ケーキC2の灰分率は、好ましくは0.0質量%〜3.0質量%、より好ましくは0.0質量%〜1.0質量%、特に好ましくは0.0質量%〜0.5質量%である。本形態においては、フィルタープレス40において得られた第1の脱水ケーキC1をいったんスラリー化し、当該フィルタープレス40において再度脱水等をし、もって第2の脱水ケーキC2の灰分率を著しく低くすることを意図するものである。したがって、灰分率を十分に低くすることができるのであれば、以上のスラリー化や脱水を繰り返さなくてもよい。なお、灰分率を低くすることによる作用効果は、後述する。
第2の脱水ケーキC2は、リグニンを主成分(例えば、35質量%〜60質量%、好ましくは45質量%〜50質量%)として含み、いわゆる黒液からリグニンが抽出された状態になっている。したがって、リグニン含有液たる黒液をそのままの状態で以下に説明する工程に供する場合と比較して、著しく量産化し易いものとなる。
本形態においては、脱水ケーキC1を得る脱水手段と脱水ケーキC2を得る脱水手段とを同一としており、当該脱水手段としてフィルタープレス40を使用している。
この点、設備設置面積等の観点からは脱水ケーキC1を得る脱水手段と脱水ケーキC2を得る脱水手段とを同一にする方が好ましいが、被脱水物のpHが異なることや連続運転適性という観点からは脱水ケーキC1を得る脱水手段と脱水ケーキC2を得る脱水手段とを別にする方が好ましい。
なお、脱水手段としては、フィルタープレスに変えて、例えば、ベルトプレス等を使用することも考えられる。
〔無機塩の添加等〕
第2の脱水ケーキC2は、図2に示すように、コンテナ等を使用して撹拌槽70まで搬送し、この撹拌槽70に供給する。また、撹拌槽70には、無機塩X及びろ過清水等の水Wを供給する。無機塩X及び水Wは、各別に撹拌槽70に直接供給することもできる。ただし、撹拌槽70における処理の安定化を図るために、両者X,Wをいったん予備槽60に供給し混合したうえで、流路R7を通して撹拌槽70まで流送し、当該撹拌槽70に供給するのが好ましい。
無機塩Xとしては、メタ珪酸ナトリウムを使用するのが好ましく、メタ珪酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを組み合わせて使用するのがより好ましい。
第2の脱水ケーキC2中のリグニンとメタ珪酸ナトリウム等の無機塩Xとの混合質量割合は、最終的に得られる炭素微粒子の吸油量を重視する場合は、1:10〜30とするのが好ましく、1:10〜15とするのがより好ましい。
無機塩Xの混合質量割合が10質量倍を下回ると、吸油量を十分に向上させることができなくなる。なお、無機塩Xを高配合にすると、最終的に得られる炭素微粒子自体の導電性は若干低下するが、分散性が向上するため、炭素微粒子を分散させて得る分散液は、導電性に関して大きな問題を有するものではなくなる。
他方、無機塩Xの混合質量割合が30質量倍を上回ると、当該無機塩Xを除去するのが困難になり(本形態においては、この除去を後述するフィルタープレス120において行う。)、無機塩Xの残留を原因とする伝導性低下の問題が生じる。
本形態の撹拌槽70には、モーターMを駆動源とする撹拌翼71が備えられている。この撹拌翼71による撹拌によって、第2の脱水ケーキC2中のリグニン及び無機塩Xが均等に混合される。また、撹拌槽70、あるいは上記した予備槽60には、高濃度での処理を可能とするために、加温装置を備えるのが好ましい。
〔液滴化及び乾燥等〕
撹拌槽70において得られたリグニン及び無機塩Xを含むスラリーS2は、流路R8を通して液滴化・乾燥手段であるスプレードライヤ80まで流送し、このスプレードライヤ80において液滴化及び乾燥する。このスプレードライヤ80内には、例えば、送風手段Fから送風が行われ、また、スラリーS2が図示しないスプレーノズルから噴霧される。なお、スプレーノズルとしては、例えば、二流体ノズルや四流体ノズル等を使用することができる。
スラリーS2をスプレードライヤ80に流送するに際しては、フィルターたるスリーン75を通すのが好ましい。スクリーン75を通すことで、スラリーS2中の未溶解物によってスプレーノズルが詰まるのが防止される。
スクリーン75としては、例えば、150〜250メッシュのものを、好ましくは200メッシュのものを使用することができる。
スプレードライヤ80にはスラリーS2とともに熱風G3を吹き込み、スラリーS2を液滴化及び乾燥して無機塩含有微粒子とする。
スプレードライヤ80に吹き込むスラリーS2のリグニン濃度は、リグニンと無機塩Xとの比率が一定であることを前提に、4質量%〜10質量%であるのが好ましく、6質量%〜8質量%であるのがより好ましい。リグニン濃度が4質量%を下回ると、粒径が維持できないおそれがある。他方、リグニン濃度が10質量%を上回ると、後述するフィルタープレス120において無機塩Xを除去するのが困難になるおそれがある。
また、リグニン濃度4質量%〜8質量%の範囲内においては、リグニン濃度と最終的に得られる炭素微粒子の嵩比重とが連動しており、リグニン濃度を高くするとスプレードライ80によって得られる粉末の嵩比重が低くなり、他方、リグニン濃度を低くするとスプレードライ80によって得られる粉末の嵩比重が高くなる傾向がある。したがって、リグニン濃度を調節することで最終的に得られる炭素微粒子の嵩比重や外殻の厚さを制御することができる。
以上の液滴化に際しては、無機塩Xを含むスラリーS2の固形分濃度を1.0質量%以下にするのが好ましく、0.1質量%〜0.4質量%にするのがより好ましい。固形分濃度が1.0質量%を超えると、最終的に得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が十分に小さくならないおそれがある。他方、固形分濃度が0.1質量%を下回ると、粒子が形成できないおそれがある。
また、液滴化に際しては、無機塩Xを含むスラリーS2の流量を限定するものではないが、1.3L/h〜1.9L/hとするのが好ましく、1.3L/h〜1.5L/hとするのがより好ましい。流量が1.3L/hを下回ると、粒子の形成に問題を生じる可能性がある。他方、流量が1.9L/hを超えると、最終的に得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が十分に小さくならないおそれがある。
さらに、液滴化は、無機塩Xを含むスラリーS2の噴霧圧が0.7MPa〜1.3MPaとなるように行うのが好ましく、0.5MPa〜1.0MPaとなるように行うのがより好ましい。噴霧圧が0.5MPaを下回ると、最終的に得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が十分に小さくならないおそれがある。他方、噴霧圧が1.3MPaを超えると、粒子が回収設備内で回収できないことがある。
加えて、スプレードライヤ80に吹き込む熱風G3の温度は、280℃〜330℃とするのが好ましく、280℃〜320℃とするのがより好ましい。このように温度調節することによって、スプレードライヤ80からの排風温度が120℃となるようにすると特に好適である。
スプレードライヤ80において得られる無機塩含有微粒子は粉末状であり、ファンにより流路R9を通してサイクロン90まで風送し、このサイクロン90で捕集するのが好ましい。
サイクロン90においては、無機塩含有粒子が集塵され、底部から排出される。他方、無機塩含有粒子が集塵された後の排ガスは、流路R11を通してバグフィルタ91まで風送される。このバグフィルタ91においては、排ガス中に残存する微細な無機塩含有粒子が集塵される。
バグフィルタ91において微細な無機塩含有粒子が集塵された後の排ガスG4は、大気中に排気することもできるが、排風ファンF2が備わる流路R12を通して酸性化処理槽30に送り、酸性化ガスG1として使用するのが好ましい。排ガスG4は、二酸化炭素ガスを含んでおり、また、熱を有する。したがって、排ガスG4を酸性化ガスG1として使用することで、二酸化炭素ガスの有効利用及び排出量削減が実現され、また、排ガスG4が有する熱が有効利用される。
なお、バグフィルタ91に変えてスクラバー等を使用することもできるが、排ガスG4が有する熱(排ガスG4は、例えば、120℃程度の温度を有する。)の有効利用という観点からは、バグフィルタ91を使用する方が好ましい。
〔熱分解等〕
サイクロン90及びバグフィルタ91において集塵された無機塩含有微粒子は、流路R10を通して熱分解手段たる外熱ジャケット100aが備わる外熱式のロータリーキルン100まで送り、このロータリーキルン100内に供給して熱分解する。
この熱分解は、600℃〜1400℃で行うのが好ましく、950℃〜1400℃で行うのがより好ましく、また、得られる炭素微粒子の電気伝導度を効率良く向上させる場合は1000℃〜1200℃で行うのが好ましい。
さらに、この熱分解は、1時間〜6時間かけて行うのが好ましく、2時間〜3時間かけて行うのがより好ましい。本形態の無機塩含有微粒子は中空状であるところ、この熱分解を急速に行うと系内の水蒸気濃度が上昇し、リグニン成分が溶融して中空状を維持できないおそれがある。また、無機塩含有微粒子に含まれる水分や結晶水がロータリーキルン100内に留まることを防止するためには、熱分解処理前に温度を100℃〜200℃として1時間〜4時間放置するのが好ましい。
熱分解に際して発生した熱分解ガスN1は、外熱ジャケット100aに熱風を供給する熱風炉101の燃焼用ガスとして使用する。この熱分解ガスN1の使用により、熱風炉101に新たに供給するLPGガス等の燃料N2の使用量を減らすことができる。
熱風炉101で生成した燃焼ガスは、外熱ジャケット100a内に供給し、ロータリーキルン100の外熱源として利用する。さらに、外熱源として利用した後の外熱ジャケット100aから排出された排ガスG5は、上記排ガスG4の同様に、二酸化炭素ガスを含んでおり、また、熱を有する。したがって、排ガスG5も、流路R13を通して酸性化処理槽30に送り、前述した酸性化ガスG1として使用するのが好ましい。排ガスG5を酸性化ガスG1として使用することで、二酸化炭素ガスの有効利用及び排出量削減を実現することができ、また、排ガスG5が有する熱が有効利用される。
ロータリーキルン100において熱分解した無機塩含有微粒子C3は、有機物が熱分解され炭化されているものの、第2の脱水ケーキC2と混合した無機塩X由来の無機塩を含有する。そこで、次に、無機塩含有微粒子C3を洗浄して当該無機塩含有微粒子C3から無機塩を除去する。以下、詳細に説明する。
〔スラリー化等〕
熱分解した無機塩含有微粒子C3は、図3に示すように、コンベア等を使用してスラリー化槽110まで搬送し、このスラリー化槽110に供給する。スラリー化槽110には、無機塩含有微粒子C3とともに、ろ過清水等の水Wを供給し、無機塩含有微粒子C3をスラリー化する。このスラリー化は、得られるスラリーS3の固形分濃度が10質量%〜30質量%となるように、好ましくは15質量%〜20質量%となるように行う。
スラリー化槽110には、モーターMを駆動源とする撹拌翼111が備えられている。この撹拌翼111による撹拌によって、無機塩含有微粒子C3の分散が迅速に行われ、また、分散濃度が均一化される。
スラリー化槽110内のスラリーS3は、必要により、例えば60℃に加温することができる。この加温は、スラリー化槽110に供給する水Wを加温することによって、あるいはスラリー化槽110自体を加温することによって、あるいは熱分解後の無機塩含有微粒子C3が保持する熱を利用して行うこと等ができる。
〔脱水等〕
スラリー化槽110において得られたスラリーS3は、流路R15を通して脱水手段たるフィルタープレス120まで流送し、このフィルタープレス120に圧入する。ただし、このスラリーS3の流送に際しては、その途中においてスラリーS3をフィルターたるスクリーン115に通すのが好ましい。スラリーS3をスクリーン115に通すことによってフィルタープレス120における無機塩の除去を均一に行うことができ、一部無機塩が除去されていない炭素微粒子が製造されてしまう事態を防ぐことができる。
脱水手段としては、フィルタープレス120に変えて、例えば、ベルトプレス等を使用することも考えられる。また、スクリーン75としては、例えば、150メッシュ〜250メッシュのものを、好ましくは200メッシュのものを使用することができる。さらに、スラリーS3をフィルタープレス120に圧入するに先立っては、当該スラリーS3に含まれる無機塩を沈殿させ、沈殿した無機塩を除去することもできる。
スラリーS3をフィルタープレス120に圧入した際に発生する圧入ろ液D4は、廃液処分することもできるが、前述した予備槽60に返送し、この予備槽60に供給するのが好ましい。フィルタープレス120は無機塩Xの除去を行う手段であり、圧入ろ液D4は無機塩Xを含む。したがって、圧入ろ液D4を予備槽60に返送することで、圧入ろ液D4に含まれる無機塩Xが再利用されることになり、予備槽60に新たに供給する無機塩Xの量を減らすことができる。
ところで、本形態においては、前述したように第2のケーキC2の灰分率が3.0%以下とされている。したがって、圧入ろ液D4には、蒸解薬品由来の灰分がほとんど含まれておらず、したがって圧入ろ液D4の返送、つまり再利用を繰り返したとしても当該灰分が直ぐに高濃度化するおそれがない。したがって、圧入ろ液D4の返送を複数回繰り返すことができ、工業化するうえで大きな利点となる。なお、本発明者等は、第2の脱水ケーキC2の灰分率3%とした場合において、圧入ろ液D4を30回程度繰り返し使用できることを確認している。
圧入ろ液D4は、ただちに予備槽60に返送することもできるが、図4にも示すように、検知手段121においてpH及び電気伝導度を検知し、圧入ろ液D4の状態を確認したうえで予備槽60に返送するのが好ましい。この際の圧入ろ液D4は、通常pH12〜pH14、好ましくはpH13〜pH14である。また、電気伝導度は、通常13S/m〜20S/m、好ましくは18S/m〜20S/mである。
フィルタープレス120に圧入したスラリーS3は、ろ過清水等の水Wによって正洗浄した後、一次圧搾する。この正洗浄及び一次圧搾に際して排出された一次ろ液D5は、無機塩Xを含むものの正洗浄に利用した水Wによって無機塩Xの濃度が極めて薄くなっている。したがって、予備槽60に返送するのは効率的ではなく、スラリー化槽110に返送するのが好ましい。なお、この工程において排出される一次ろ液D5は、続いて行う二次洗浄において無機塩Xが溶解し易いpHに維持するという観点から、pH12〜pH14とするのが好ましく、pH13〜pH14とするのがより好ましい。また、電気伝導度は、通常8S/m〜12S/m、好ましくは10S/m〜12S/mである。
一次圧搾が終了したら、水Wを使用して逆洗浄を行い、更に二次圧搾を行って脱水ケーキC4を得る。また、この二次圧搾が終了したら、フィルタープレス120に窒素、空気等の置換ガスG6を吹き込む。この置換ガスG6の吹き込みにより、脱水ケーキC4中の無機塩Xを含む水分が置換ガスG6によって置き換えられ、水分率及び無機塩Xの含有率がより低下する。
逆洗浄、二次圧搾及びガス置換に際して排出された二次ろ液D6は、ただちに廃液処理することもできるが、検知手段121においてpH及び電気伝導度を検知し、無機塩Xが除去されているか否か、つまり洗浄の進み具合を確認するのが好ましい。なお、この工程において排出される二次ろ液D6は、通常pH8.0〜pH9.5、好ましくはpH8.0〜pH9.0である。また、電気伝導度は、通常100μS/m〜1200μS/m、好ましくは100μS/m〜500μS/mである。
この点、無機塩Xの除去が十分に進んでいない場合は、更にフィルタープレス120における処理を繰り返し、あるいは次いで説明する乾燥等を行った後、乾燥品をスラリー化し、再度、フィルタープレス120等を利用して無機塩Xの除去を進めることができる。
〔乾燥等〕
脱水ケーキC4は、コンテナ等を使用して、自然対流式、定温式、循環式等の各種形式からなる乾燥機130へ搬送し、この乾燥機130で乾燥する。ただし、炭素微粒子は非常に嵩密度が低いため、熱風による飛散を防止するという観点から、定温式の乾燥機を使用して乾燥するのが好ましい。この乾燥の温度は、好ましくは100℃〜130℃、より好ましくは110℃〜130℃である。この乾燥によって炭素微粒子の乾燥品が得られる。
以上のようにして得られる炭素微粒子は、平均2次粒子径が、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは1.0μm〜2.0μm、特に好ましくは1.0μm〜1.5μmである。平均2次粒子径が4.0μmを超えると、分散性が悪くなり、得られた炭素微粒子を分散させた樹脂等の導電性が劣るものになる。
ここで、炭素微粒子の平均2次粒子径は、前述した液滴化における流量、噴霧圧、固形分濃度、無機塩Xの配合割合等を調節することによって調節することができる。具体的には、流量を少なくし、噴霧圧を強くし、固形分濃度を低くし、無機塩Xの配合割合を多くすると平均2次粒子径が小径化する。
なお、2次粒子径とは、1次粒子の集合粒子の径を意味する。ちなみに、ストラクチャとは、1次粒子が単に繋がった構造を意味し、有姿とは、粉砕や分散する前における炭素微粒子の形状を意味する。
また、得られる炭素微粒子は、比表面積が、好ましくは900m2/g以上、より好ましくは900m2/g〜980m2/g、特に好ましくは900m2/g〜960m2/gである。比表面積が900m2/gを下回ると、炭素微粒子同士の接触性が悪くなり、得られた炭素微粒子を分散させた分散液の導電性が劣るものになる。
さらに、得られる炭素微粒子は、吸油量が、好ましくは600ml/100g以上、より好ましくは600ml/100g〜1000ml/100g、特に好ましくは600ml/100g〜800ml/100gである。吸油量が600ml/100gを下回ると、分散性が悪くなり、得られた炭素微粒子を分散させた分散液の導電性が劣るものになる。
なお、例えば、ゴム用途、顔料用途、電材用途等においては、得られる炭素微粒子の分散性が良いこと、導電性が良いこと等が求められ、したがって、炭素微粒子は、中空状構造であるよりも、中実構造である方が好ましい。
一方、脱水ケーキC4は、分散槽141まで搬送し、この分散槽141において、ろ過清水等の水Wや有機溶剤等と混合して炭素微粒子の分散液とすることができる(スラリー化)。この炭素微粒子の分散液は、流路R21を通してビーズミル等の湿式粉砕機140へ流送し、この湿式粉砕機140において炭素微粒子を湿式粉砕する。この湿式粉砕によって、例えば、1μm〜20μmであった炭素微粒子が50μnm〜200nmとなるまで粉砕される。
この湿式粉砕後の炭素微粒子は、そのまま液体品として製品化することも、流路R22を通して乾燥機130に流送等し、この乾燥機130において乾燥して乾燥品として製品化することもできる。
次に、本発明が量産化可能であることを明らかにする。
製紙工場の蒸解工程において排出される黒液(pH14,固形分濃度50質量%〜60質量%)を使用して試験を行った。この黒液は、まず、ろ過清水を使用して濃度20質量%及び濃度30質量%の二種類に希釈した。
次に、希釈した黒液に二酸化炭素ガスを吹き込み、pHを9〜10まで低下させた(第1の酸性化)。この酸性化に際して、黒液の温度は25℃とした。また、この酸性化に際しては、黒液を撹拌して液が均質化するように留意した。
酸性化した黒液は、フィルタープレス(ろ過面積0.6m2、ろ室容積7.8L、ろ布:ポリプロピレン製)に圧入し、圧搾して第1の脱水ケーキ(一次ケーキ)を得た。圧入圧力は0.5MPa、圧搾圧力は1.5MPaとした。この際、置換ガスによるガス置換は行わなかった。一次ケーキは、pH9〜pH10、水分率40質量%,50質量%であった。
一次ケーキは、固形分濃度が30質量%となるようにろ過清水でスラリー化した。また、この際、濃度22質量%の硫酸を添加してスラリーのpHを1.0〜4.0まで低下させた(第2の酸性化)。
酸性化を進めたスラリーは、上記フィルタープレスに再度圧入し、更に一次圧搾、洗浄及び二次圧搾して第2の脱水ケーキ(二次ケーキ)を得た。圧入圧力は0.5MPa、一次圧搾圧力及び二次圧搾圧力は1.5MPaとした。洗浄水としてはろ過清水を使用した。このろ過清水の供給圧力は0.5MPaとした。二次ケーキは、pH1.0〜pH2.5、水分率40質量%〜50質量%、灰分率が0.5質量%〜3.0質量%であった。二次ケーキの灰分率が予定値(3.0質量%)以下であったので、洗浄等を繰り返すことなく次の工程に進んだ。
二次ケーキは、固形分濃度が14.3(質量/容量)%、28.6(質量/容量)%となるようにスラリー化した。このスラリー化に際しては、無機塩としてメタ珪酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを添加した。この添加は、リグニン1.0kgに対して、メタ珪酸ナトリウムが2.96kg、水酸化ナトリウムが0.18kgとなるように行った。なお、この添加量によると、固形分濃度が16.5(質量/容量)%の場合においてはリグニンの濃度が約4(質量/容量)%となり、固形分濃度が33.1(質量/容量)%の場合においてはリグニンの濃度が約8(質量/容量)%となる。
無機塩を添加した後のスラリーは、スプレードライヤで液滴化及び乾燥し、無機塩含有微粒子とした。スプレードライヤに供給する際のスラリーの温度は40℃〜80℃、スプレードライヤに供給する熱風の温度は320℃、スプレードライヤから排気されるガスの温度は120℃であった。無機塩含有微粒子はサイクロンを使用して集塵(回収)した。集塵した無機塩含有微粒子の成分構成は、質量基準でリグニン:無機塩:水=2:6.28:0.82であった。
無機塩含有微粒子は、外熱式のロータリーキルンを使用して有機分を熱分解(焼成)した。熱分解温度は700℃、焼成時間は2時間とした。熱分解後の無機塩含有微粒子は、質量基準でリグニン:無機塩:水=0.5:4.5:0.0となった。
熱分解後の無機塩含有微粒子は、加温したろ過清水を使用してスラリー化した。このスラリー化は、固形分濃度が10質量%及び20質量%の二種類となるように行った。得られたスラリーは、いずれも温度が60℃であった。
無機塩含有微粒子のスラリーは、フィルタープレス(ろ過面積0.6m2、ろ室容積7.8L、ろ布:ポリプロピレン製)に圧入し、更に正洗浄、一次圧搾、逆洗浄、二次圧搾、ガス置換をして脱水ケーキを得た。圧入圧力は0.2MPa、一次圧搾圧力及び二次圧搾圧力は1.5MPa、洗浄液の供給圧力は0.1MPa、置換ガスの供給圧力は0.5MPaとした。洗浄液としてはろ過清水を使用し、置換ガスとしては空気を使用した。脱水ケーキの成分構成は、質量基準でリグニン:無機塩:水分=0.48:0.01:3.8であった。この結果から無機塩が十分に除去されていることが分かる。
無機塩を除去した後の脱水ケーキは、定温式乾燥機を使用して乾燥した。この乾燥速度は、0.12kg/日とした。また、乾燥温度は、120℃とした。このようにして得られた炭素微粒子(乾燥品)のサンプル写真を、図5及び図6に示した。図5の(1)は得られた炭素微粒子(二次粒子)のサンプル写真であり、(2)は当該炭素微粒子の外殻部分を拡大したサンプル写真である。また、図6は別のサンプル写真である。これらの写真から、得られた炭素微粒子(二次粒子)は中空状であり、外殻がナノスケール一次粒子によって多孔質状となっている(図6参照)こと等が分かる。したがって、自動車用タイヤの充填材等として使用可能である。
次に、本発明が量産化可能であり、かつ導電性に関する問題を有しないことを明らかにする。
表1に示す製造条件で炭素微粒子を製造した。得られた炭素微粒子の物性を表2に、導電性及び分散性に関する評価を表3に示した。なお、分散性に関しては、樹脂と混練した断面図を観察し、粒子が凝集していない場合を「良」とし、凝集している場合を「悪」とした。
以上の結果から、本発明によると、炭素微粒子を円滑・確実に製造することができ、量産化可能であることが分かった。また、実施例1と比較例1との対比から、液滴化する際におけるスラリーの流量や噴霧圧、固形分濃度を調節すれば、最終的に得られる炭素微粒子の平均2次粒子径を小さくすることができ、当該炭素微粒子自体の導電性を向上させることができることが分かった。炭素微粒子自体の導電性の向上は、炭素微粒子を分散させた分散液の導電性向上につながると考える。
一方、実施例2と実施例1及び比較例1との対比から、無機塩の割合を増やすと炭素微粒子自体の導電性が向上しないことが分かった。しかるに、この形態においては、炭素微粒子の分散性が向上し、故に、分散液の導電性向上につながると考えられる。なお、導電性を向上させるのみであれば、実施例1による方が(無機塩の割合を増やさない方が)好ましいが、実施例2の炭素微粒子は吸油量が著しく高いため、分散液が、最低限の導電性を有しつつ、吸油量が高いことも求められる技術分野に使用される場合は、実施例2の炭素微粒子の方が好ましいと考えられる。
次に、本発明の製造方法によると、炭素微粒子の平均2次粒子径を制御できることを明らかにする。
(粒径と流量との関係)
無機塩を含むスラリーを液滴化する際の、当該スラリーの流量を、4.0L/h、2.2L/h、2.0L/h、1.6L/hと変化させて炭素微粒子を製造した。液滴化する際の噴霧圧は0.5MPaとした。また、無機塩としてメタ珪酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを使用し、配合比率(リグニン:メタ珪酸ナトリウム:水酸化ナトリウム)を1:3:0.18とした。さらに、無機塩を含むスラリーの固形分濃度を6.0%とした。
得られた炭素微粒子のサンプル写真を図7〜図10に示した。
この試験の結果、無機塩を含むスラリーの流量を減らすと、得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が小さくなることが分かった。
(粒径と噴霧圧との関係)
無機塩を含むスラリーを液滴化する際の、当該スラリーの噴霧圧(噴霧圧力)を、0.5MPa、1.0Mpaと変化させて炭素微粒子を製造した。液滴化する際の流量は1.6L/hとした。また、無機塩としてメタ珪酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを使用し、配合比率(リグニン:メタ珪酸ナトリウム:水酸化ナトリウム)を1:3:0.18とした。さらに、無機塩を含むスラリーの固形分濃度を1.0%とした。
得られた炭素微粒子のサンプル写真を図11及び図12に示した。
この試験の結果、無機塩を含むスラリーの噴霧圧を強くすると、得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が小さくなることが分かった。
(粒径と濃度との関係)
無機塩を含むスラリーを液滴化する際の、当該スラリーの固形分濃度を、6.00%、1.00%、0.80%、0.50%、0.10%と変化させて炭素微粒子を製造した。液滴化する際の流量は1.6L/hとした。また、噴霧圧は0.5MPaとした。さらに、無機塩としてメタ珪酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを使用し、配合比率(リグニン:メタ珪酸ナトリウム:水酸化ナトリウム)を1:3:0.18とした。
得られた炭素微粒子のサンプル写真を図13〜図17に示した。
この試験の結果、無機塩を含むスラリーの固形分濃度を低くすると、得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が小さくなることが分かった。
(粒径と無機塩との関係)
液滴化するスラリーについて、リグニンに対する無機塩の混合割合を、3質量倍、10質量倍、30質量倍と変化させて炭素微粒子を製造した。無機塩としては、メタ珪酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを使用した。また、液滴化の条件は、流量1.6L/h、噴霧圧1.0MPaとした。
得られた炭素微粒子のサンプル写真を図18〜図20に示した。
この試験の結果、無機塩の割合を多くすると、得られる炭素微粒子の平均2次粒子径が小さくなることが分かった。
本発明は、製紙工場において排出される黒液等から炭素微粒子を製造する方法及び炭素微粒子として適用可能である。
10…濃縮工程、20…希釈槽、30…酸性化処理槽、40…フィルタープレス、50…スラリー化槽、60…予備槽、70…撹拌槽、80…スプレードライヤ、90…サイクロン、91…バグフィルタ、100…ロータリーキルン、110…スラリー化槽、120…フィルタープレス、130…乾燥機、140…湿式粉砕機、141…分散槽、C1…第1の脱水ケーキ、C2…第2の脱水ケーキ、G1…酸性化ガス。

Claims (7)

  1. リグニン含有液から炭素微粒子を製造する方法であって、
    前記リグニン含有液を酸性化及び脱水して脱水ケーキとし、
    この脱水ケーキのスラリーに無機塩と混合し、
    得られた無機塩を含むスラリーを液滴化し、乾燥して無機塩含有微粒子とし、
    この無機塩含有微粒子を熱分解し、無機塩を除去して炭素微粒子とする、
    ことを特徴とする炭素微粒子の製造方法。
  2. 前記液滴化を、前記無機塩を含むスラリーの噴霧圧が0.5MPa〜1.3MPaとなるように行う、
    請求項1記載の炭素微粒子の製造方法。
  3. 前記無機塩を含むスラリーの固形分濃度を1.0%以下として、前記液滴化を行う、
    請求項1又は請求項2記載の炭素微粒子の製造方法。
  4. 前記無機塩の混合を、当該無機塩が前記スラリー中のリグニンの10〜30質量倍となるように行う、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素微粒子の製造方法。
  5. リグニン含有液を酸性化及び脱水して脱水ケーキとし、
    この脱水ケーキのスラリーに無機塩と混合し、
    得られた無機塩を含むスラリーを液滴化し、乾燥して無機塩含有微粒子とし、
    この無機塩含有微粒子を熱分解し、無機塩を除去して得た炭素微粒子であり、
    平均2次粒子径が4.0μm以下である、
    ことを特徴とする炭素微粒子。
  6. 比表面積が900m2/g以上である、
    請求項5記載の炭素微粒子。
  7. 吸油量が600ml/100g以上である、
    請求項5記載の炭素微粒子。
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