JP2016203462A - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体収容部に注入された液体が、当該液体収容部に関連付けられている液体とは異なる種類の液体であるか否かを判定することができる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】印刷装置(液滴吐出装置)は、注入口を有する液体収容部と、駆動素子の駆動によってキャビティーの圧力を変化させることでノズルから液滴を吐出する吐出部と、駆動素子の駆動によって発生する振動を検出する検出部と、液体収容部に関連付けられた液体がキャビティーに貯留されているときの振動に関する情報(下限周期tC_L及び上限周期tC_H)を記憶する記憶部と、駆動素子を駆動することで検出される振動に関する情報(周期tC)と記憶部に記憶された振動に関する情報(下限周期tC_L及び上限周期tC_H)を比較することで(S17,S18)、液体収容部からキャビティーに供給される液体の種類が変化したか否かを判定する制御部と、を備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、インクジェット式プリンター等の液滴吐出装置に関する。
従来から、液滴吐出装置の一例として、インク(液体)を収容する複数の液体収容部と、液体収容部から収容されたインクを用紙等の媒体に吐出する吐出ヘッドと、を備え、媒体に印刷を行うインクジェット式プリンターが知られている。
こうしたプリンターの中には、液体収容部にインクを注入(補充)可能にするとともに、注入されるインクの情報が記憶されたチップを装着可能とするものがある(例えば、特許文献1)。
そして、このようなプリンターでは、チップが装着されたときに、チップに記憶されたインクの情報と、チップが装着された液体収容部に関連付けられているインクの情報とが等しいか否かを判定することで、液体収容部に関連付けられているインクとは異なる種類のインクが当該液体収容部に誤って注入されることを抑制している。
特開2014−46612号公報
ところが、上記のようなプリンターでは、チップに記憶される情報に基づいて、インクが誤注入されたか否かを判定するため、チップと対応関係を有しないインクが注入される場合には、注入されたインクが誤ったインクであるか否かを判別できない。このため、この場合には、本来のインクとは異なるインクが媒体に吐出されることで、所望の印刷結果を得ることができないという課題がある。
なお、上記実情は、インクジェット式のプリンターに限らず、媒体に向かって吐出される液体を収容する液体収容部に、液体を注入(補充)可能な液滴吐出装置においては、概ね共通する課題となっている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。その目的は、液体収容部に注入された液体が、当該液体収容部に関連付けられている液体とは異なる種類の液体であるか否かを判定することができる液滴吐出装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液滴吐出装置は、液体を注入するための注入口を有する液体収容部と、前記液体収容部から供給された液体を貯留する圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室に対応して設けられる駆動素子と、を有し、前記駆動素子の駆動によって前記圧力室の圧力を変化させることで前記ノズルから液滴を吐出する吐出部と、前記駆動素子の駆動によって発生する振動を検出する検出部と、前記液体収容部に関連付けられた液体が前記圧力室に貯留されているときの前記振動に関する基準振動情報を記憶する記憶部と、前記駆動素子を駆動することで検出される前記振動に関する検出振動情報と前記基準振動情報とを比較することで、前記液体収容部から前記圧力室に供給される液体の種類が変化したか否かを判定する判定部と、を備える。
駆動素子の駆動によって発生する振動は、吐出部に供給される液体の性質(例えば、粘度)に応じて変化する。このため、駆動素子を駆動することで得られる検出振動情報と、記憶部に記憶される基準振動情報とを比較したときに、両情報が一致していれば、液体収容部から吐出部に供給される液体の種類が変化しておらず、液体収容部に関連付けられている液体とは異なる種類の液体が誤注入されていないと判定できる。一方、両情報が異なっていれば、液体収容部から吐出部に供給される液体の種類が変化しており、液体収容部に液体が誤注入されたと判定できる。こうして、この構成によれば、液体収容部に注入された液体が、当該液体収容部に関連付けられている液体(液体収容部に収容されていた液体)とは異なる種類の液体であるか否かを判定することができる。なお、ここで言う検出振動情報と基準振動情報が一致しているとは完全一致のみを言うものではない。
上記液滴吐出装置において、前記吐出部は、複数設けられ、前記判定部は、2以上の前記吐出部の前記駆動素子を駆動することで検出される2以上の前記振動に関する前記検出振動情報の各々と前記基準振動情報とを比較することが望ましい。
駆動素子を駆動することで得られる検出振動情報は、吐出部に供給される液体の種類が変わらない場合であっても、当該液体の状態によって変化することがある。例えば、吐出部において、液体が増粘したり気泡が混入したりする場合にも、検出振動情報が変化することがある。このため、吐出部が複数設けられている場合において、一の駆動素子を駆動することで得られる一の検出振動情報と基準振動情報とが異なっている場合には、それが、吐出部に誤注入された液体が供給されたことによるものなのか、吐出部において液体の状態が変化したことによるものなのかを判別できないことがある。
ここで、液体収容部に液体が誤注入される場合には、当該液体収容部から全ての吐出部に誤注入された液体が供給され、全ての吐出部の圧力室に誤注入された液体が貯留される。一方、吐出部において、液体が増粘したり気泡が混入したりすることは、その発生要因からして、複数の吐出部のうちの一部の吐出部(特定の吐出部)で起こりやすい。
そこで、上記構成では、2以上の駆動素子を駆動することで得られる2以上の検出振動情報の各々と基準振動情報とを比較することとした。これによれば、2以上の検出振動情報の全てが基準振動情報と異なっている場合には、液体収容部に液体が誤注入されたと判定することができる。また、2以上の検出振動情報のうちの一部の検出振動情報が基準振動情報と異なっている場合には、一部の吐出部において液体の状態が変化したと判定することができる。こうして、この構成によれば、液体収容部に液体が誤注入されたか否かを判定する際の精度を高めることができる。
上記液滴吐出装置は、前記ノズルを介して前記吐出部から液体を排出させるメンテナンスを行うメンテナンス部をさらに備え、前記判定部は、前記駆動素子を駆動することで検出される前記振動に関する前記検出振動情報と前記基準振動情報とが異なる場合には、前記駆動素子を有する前記吐出部の前記メンテナンスが行われた後に、前記駆動素子を駆動することで検出される前記振動に関する前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較することが望ましい。
液体収容部に液体が誤注入された場合には、メンテナンスを行うことで、誤注入されたインクを吐出部(圧力室)から排出させたとしても、当該吐出部に供給される液体は液体収容部に誤注入された液体であるため、メンテナンスの前後で圧力室に貯留される液体の種類が変化しない。一方、吐出部において液体が増粘したり気泡が混入したりする場合には、メンテナンスを行うことで、状態が変化したインクが吐出部から排出されるとともに当該吐出部に液体収容部に収容された正常な液体が供給されるため、メンテナンスの前後で圧力室に貯留される液体の状態が変化する。
すなわち、検出振動情報と基準振動情報とが一致しない状態において、メンテナンスを行うことで、検出振動情報と基準振動情報とが一致するようになれば、吐出部において液体の状態が変化していたと判断することができる。一方、検出振動情報が基準振動情報と一致しない状態において、メンテナンスを行ったとしても、検出振動情報と基準振動情報とが一致していなければ、液体収容部に液体が誤注入されていると判断することができる。こうして、上記構成によれば、液体収容部に液体が誤注入されたか否かを判定する際の精度を高めることができる。
上記液滴吐出装置において、前記判定部は、前記液体収容部の液量が増大した場合に、前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較することが望ましい。
上記構成によれば、液体収容部に液体が注入(補充)されたタイミング、すなわち、誤注入が起こり得るタイミングで、液体収容部に液体が誤注入されたか否かを判定することができる。
上記液滴吐出装置において、前記判定部は、前記液体収容部の液量が少ない場合には、当該液量が多い場合よりも、前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較する頻度を高くすることが望ましい。
液体収容部の液量が少ない場合には、当該液量が多い場合よりも、ユーザーによって液体が注入(補充)される可能性が高くなる。そこで、液体収容部の液量が少ないほど、検出振動情報と基準振動情報とを比較する頻度を高める(間隔を早める)ことで、液体が注入されたタイミングと近いタイミングで検出を行うことができる。
上記液滴吐出装置において、前記液体収容部と前記吐出部とを含んで液滴吐出ユニットとしたとき、当該液滴吐出ユニットは、種類の異なる色材を含む液滴を吐出できるように複数設けられ、複数の前記液滴吐出ユニットのうちの一の前記液滴吐出ユニットは、白色の色材を含む液滴を吐出するものであって、前記判定部は、白色の色材を含む液滴を吐出する一の前記液滴吐出ユニットが有する前記吐出部を、他の前記液滴吐出ユニットが有する前記吐出部よりも優先して、前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較することが望ましい。
上記構成によれば、白色の色材を含む液体を用いて媒体に下地を形成することができる。このため、下地の上に他の種類の色材を含む液滴を吐出することで、媒体の色に関わらず当該媒体に画像を形成することができる。また、この場合において、下地を形成している間に、白色の色材を含む液滴を吐出する液滴吐出ユニットを除いた他の液滴吐出ユニットが有する吐出部について、検出振動情報と基準振動情報との比較を行うことができる。このため、画像形成の時間的な効率を高めることができる。
プリンターの概略構成を示す斜視図。 液体収容部の概略構成を示す斜視図。 吐出ヘッドにおけるノズルの形成態様を示す底面図。 吐出ヘッドの断面図。 プリンターの電気的構成を示すブロック図。 (a)〜(h)は、制御部及び印刷部における各種信号の一例を示すタイミングチャート。 残留振動に応じた電気信号の変化の一例を示すグラフ。 液体収容部にインクが誤注入されたか否かを判定するために制御部が実施する処理ルーチン(検査処理)を示すフローチャート。 吐出部の検査を行うタイミングを決定するために制御部が実施する処理ルーチンを示すフローチャート。 液体収容部の液量に応じて検査間隔を決定するためのマップ。 吐出部の検査を行うタイミングを決定するために制御部が実施する処理ルーチンを示すフローチャート。
以下、液滴吐出装置を印刷装置に具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。印刷装置は、用紙等の媒体に液体の一例としてのインクを吐出することで、文字や画像を形成するインクジェット式プリンターである。
図1に示すように、印刷装置10は、制御部100と、ユーザーインターフェイス110と、通信インターフェイス120と、印刷部200とを備える。
印刷装置10のユーザーインターフェイス110は、ディスプレイや操作ボタンを備え、印刷装置10のユーザーとの間で情報のやり取りを行う。通信インターフェイス120は、印刷装置10と電気的に接続可能なパーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ及びメモリーカード等の外部機器との間で情報のやり取りを行う。
印刷装置10の制御部100は、印刷装置10の各部を制御する。例えば、制御部100は、通信インターフェイス120を介して入力されるデータに基づいて、印刷部200及び媒体Mを相対的に移動させながら、印刷部200からインク滴を吐出させる制御を行う。これによって、媒体Mに対する印刷が実現される。
本実施形態では、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイス等を備える装置であり、制御部100による各種の機能は、CPUがコンピュータープログラムに基づいて動作することによって実現される。なお、制御部100による機能の少なくとも一部は、制御部100が備える電気回路がその回路構成に基づいて動作することによって実現されてもよい。
図1に示すように、印刷部200は、キャリッジ210と、液体収容部220と、吐出ヘッド230とを備える。印刷部200のキャリッジ210は、制御部100とフレキシブルケーブル130を介して接続され、液体収容部220及び吐出ヘッド230を搭載した状態で移動可能に構成されている。
印刷部200の液体収容部220は、インクを内部に収容し、そのインクを吐出ヘッド230に供給する。本実施形態では、インクの色(ホワイト、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの5色)毎に用意された複数の液体収容部220がキャリッジ210に搭載されている。すなわち、複数の液体収容部220は、それぞれに関連付けられた異なる色のインクを収容する。
印刷部200の吐出ヘッド230は、媒体Mに対向可能な部位であり、液体収容部220から吐出ヘッド230に供給されたインクは、吐出ヘッド230から媒体Mに向けて液滴状に吐出される。
また、印刷装置10は、媒体Mを支持する媒体支持部140と、印刷部200及び媒体Mを相対的に移動させる主走査送り機構150及び副走査送り機構160を備える。主走査送り機構150は、キャリッジモーター152及び駆動ベルト154を備え、駆動ベルト154を介してキャリッジモーター152の動力を印刷部200に伝達することによって、印刷部200を主走査方向に往復移動させる。
副走査送り機構160は、搬送モーター162及び搬送ローラー(不図示)を備え、搬送モーター162の動力を搬送ローラーに伝達することによって、主走査方向に交差する副走査方向に媒体Mを搬送する。主走査送り機構150のキャリッジモーター152及び副走査送り機構160の搬送モーター162は、制御部100からの制御信号に基づいて動作する。
なお、本実施形態の説明では、印刷部200を往復移動させる主走査方向に沿った座標軸にX軸を設定し、媒体Mを搬送する副走査方向に沿った座標軸にY軸を設定し、鉛直下方に向かう座標軸にZ軸を設定した。X軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ相互に交差(直交)する座標軸である。
図2に示すように、印刷部200の液体収容部220は、インクを収容する液体収容室222を備える。液体収容部220の鉛直上方には、インクを液体収容室222に注入するための注入口224が貫通形成され、当該注入口224には蓋体226が着脱自在に嵌るようになっている。また、液体収容室222の内部には、インクの液量(残量)を検出する液量検出部228が設けられている。なお、インクには、当該インクの色に応じて種類の異なる色材や樹脂が含まれている。このため、インクは、その色に応じて、密度や粘度といった液体としての特性が異なっている。
図3に示すように、印刷部200の吐出ヘッド230は、インクを吐出する複数のノズル20を備える。本実施形態では、インクの色(ホワイト、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの5色)毎にn個(例えば360個)のノズル20が設けられ、各色のノズル20は、主走査方向(X軸方向)に、ホワイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順に配置されている。各色のn個のノズル20は、相互に副走査方向(Y軸方向)にずらして配列され、本実施形態では、副走査方向(Y軸方向)におけるノズル20同士の間隔を狭めるため、副走査方向(Y軸方向)に沿って二列に分けて交互に配列されている。
本実施形態の説明では、印刷部200におけるノズルを総称する場合には符号「20」を用い、ホワイトのノズルを特定する場合には符号「20w」、ブラックのノズルを特定する場合には符号「20k」、シアンのノズルを特定する場合には符号「20c」をそれぞれ使用する。また、マゼンタのノズルを特定する場合には符号「20m」、イエローのノズルを特定する場合には符号「20y」をそれぞれ使用する。
更に、個々のノズルを特定する場合には、ノズル番号を付加した符号を用いる。例えば、図3に示すように、イエローの1番目のノズルには符号「20y(1)」、イエローの2番目のノズルには符号「20y(2)」、イエローの3番目のノズルには符号「20y(3)」、・・・、イエローの(n−1)番目のノズルには符号「20y(n−1)」、イエローのn番目のノズルには符号「20y(n)」を用いる。
図4に示すように、印刷部200の吐出ヘッド230は、上記ノズル20と、導入路32と、リザーバー34と、供給口36と、キャビティー38と、駆動素子40と、振動板42と、を備える。
吐出ヘッド230の導入路32及びリザーバー34は、インクの色毎に設けられ、液体収容部220からノズル20にインクを流す流路の一部を形成する。液体収容部220から印刷部200に供給されたインクは、導入路32を通じてリザーバー34に貯留される。また、吐出ヘッド230における供給口36、キャビティー38、駆動素子40及び振動板42の各部は、吐出ヘッド230に形成された複数のノズル20の各々に対応して設けられる。
吐出ヘッド230の供給口36及びキャビティー38は、液体収容部220からノズル20へとインクを流す流路の一部を形成する。供給口36は、リザーバー34とキャビティー38との間を連通する流路であり、供給口36を通じてリザーバー34からキャビティー38にインクが供給される。キャビティー38は、ノズル20に連通する流路であり、供給口36及びノズル20よりも十分に大きな流路断面を有し、吐出前のインクを貯留する。この点で、本実施形態では、キャビティー38が「圧力室」の一例に相当する。
吐出ヘッド230の駆動素子40は、振動板42を介してキャビティー38に対応して設けられ、吐出ヘッド230の振動板42は、キャビティー38における流路壁面の一部を形成する。本実施形態では、駆動素子40は、二つの電極44,48の間に圧電体46を積層し電極48側に振動板42を設けたユニモルフ型圧電アクチュエーターであるが、他の実施形態において、積層型圧電アクチュエーターを駆動素子40に適用してもよい。
駆動素子40は、駆動信号の印加に基づいて重力方向(Z軸方向)に撓み、振動板42を変位させる。これによって、キャビティー38の容積を拡張してリザーバー34からインクを引き込んだ後、キャビティー38の容積を縮小してノズル20からインク滴を吐出することが可能である。
なお、以降の説明では、図4に示すように、一のインク滴の吐出に係る構成を「吐出部240」とも言う。すなわち、吐出部240は、吐出ヘッド230に複数設けられるものであって、供給口36、キャビティー38、ノズル20、駆動素子40及び振動板42を含んで構成される。このため、吐出部240は、インクの色毎に、ノズル数nに相当する数ずつ設けられる。
また、複数のインクのうちの一のインク(例えば、イエローインク)の吐出に係る構成を「液滴吐出ユニット250」とも言う。すなわち、液滴吐出ユニット250は、一のインクを収容する液体収容部220と、一のインクをリザーバー34に導入する導入路32と、一のインクを貯留するリザーバー34と、一のインクを吐出する複数の吐出部240と、を含んで構成される。このため、液滴吐出ユニット250は、インクの色毎に複数(本実施形態では5つ)設けられている。
また、図1に示すように、印刷装置10は、印刷部200の吐出ヘッド230をメンテナンスするメンテナンス部300を備える。メンテナンス部300は、ワイパー310と、キャップ320とを備える。印刷装置10のワイパー310は、吐出ヘッド230を拭き取ることによって、吐出ヘッド230に付着したインクを除去する。
キャップ320は、印刷部200の待機期間中に吐出ヘッド230に接触することで、ノズル20の開口を含む閉空間を形成する。こうして、キャップ320は、吐出ヘッド230におけるインクの乾燥を抑制する。吐出ヘッド230のノズル20が目詰まりした場合には、キャップ320は、フラッシング処理やクリーニング処理等の回復処理(メンテナンス処理)に用いられる。
また、キャップ320は、フラッシング処理では、吐出ヘッド230に対峙して吐出ヘッド230のノズル20から吐出されるインク滴を受け止め、クリーニング処理では、上記閉空間を形成するように吐出ヘッド230に接触した状態で、劣化したインクをノズル20から吸引する。キャップ320を用いた回復処理によって、気泡や増粘で劣化したインクで目詰まりしたノズル20を、インクを適切に吐出可能な状態へと回復させることができる。
次に、図5を参照して、印刷装置10の電気的構成について説明する。
図5に示すように、制御部100は、駆動制御部102と、検査部104と、記憶部106とを備える。また、印刷部200は、シフトレジスター52と、ラッチ回路54と、レベルシフター56と、スイッチ58と、共通電路62,64と、複数のスイッチ66と、検出部260とを備える。
制御部100の駆動制御部102は、印刷部200の共通電路62を介して、印刷部200における複数の駆動素子40の各駆動を制御する。本実施形態では、駆動制御部102は、駆動素子40を駆動する駆動信号COMを共通電路62に印加するとともに、駆動信号COMの印加に合わせて、シフト入力信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LATを印刷部200に出力する。
印刷部200のシフトレジスター52は、各駆動素子40の動作を指示する指示データを保持する記憶装置である。制御部100からのシフト入力信号SIには、各駆動素子40に対応する指示データがクロック信号SCKに同期して順次出力され、シフトレジスター52には、シフト入力信号SI及びクロック信号SCKに基づいて、各駆動素子40に対応する指示データが順次格納される。本実施形態では、各駆動素子40に対応する指示データは、2ビットのデータであり、[0,0]、[0,1]、[1,0]、[1,1]のいずれかを示す。
印刷部200のラッチ回路54は、制御部100からのラッチ信号LATに基づいて、シフトレジスター52に格納されている各駆動素子40の指示データを保持し、各指示データに応じた論理信号をレベルシフター56に出力する。ラッチ信号LATは、シフトレジスター52に各駆動素子40の指示データの全てが格納されるタイミングで制御部100から出力される。
本実施形態では、ラッチ回路54は、[0,0]の指示データに応じてLoレベルの論理信号を出力し、[0,1]の指示データに応じてLoレベルに続いてHiレベルの論理信号を出力し、[1,0]の指示データに応じてHiレベルに続いてLoレベルの論理信号を出力し、[1,1]の指示データに応じてHiレベルの論理信号を出力する。
印刷部200のレベルシフター56は、ラッチ回路54から出力される論理信号に応じて、各駆動素子40に接続された複数のスイッチ66の各々に、各スイッチ66をオン・オフ可能なレベルの電圧を出力する。本実施形態では、レベルシフター56は、ラッチ回路54からのLoレベルの論理信号に応じてスイッチ66をオフにするレベルの電圧を出力し、ラッチ回路54からのHiレベルの論理信号に応じてスイッチ66をオンにするレベルの電圧を出力する。
印刷部200における複数のスイッチ66は、共通電路62と各駆動素子40との間の電気的な接続をオン・オフする。印刷部200の共通電路62には、駆動素子40を駆動する駆動信号COMが制御部100から入力される。スイッチ66によって駆動素子40が共通電路62に電気的に接続されたオン状態では、駆動信号COMが駆動素子40の電極44側に印加され、スイッチ66によって駆動素子40が共通電路62から電気的に切り離されたオフ状態では、駆動信号COMは駆動素子40に印加されない。本実施形態では、スイッチ66は、トランスミッションゲートによるアナログスイッチである。
印刷部200のスイッチ58は、各駆動素子40の電極48側に電気的に接続された共通電路64を接地ラインGLに電気的に接続(接地)する。接地ラインGLは、印刷装置10における基準電位点に接続されている電気伝導体であり、本実施形態では、印刷装置10の筐体(図示しない)に接続されている。
共通電路64と接地ラインGLとの間には、スイッチ58と電気的に並列に抵抗59が接続されている。そして、制御部100から出力される検出実施信号DSELに基づいて、スイッチ58が共通電路64を接地ラインGLから電気的に切り離している間、検出部260は、抵抗59に流れる電流に基づく電圧変化をオペアンプで増幅することによって、共通電路64から出力される電気信号HGNDを検出する。これによって、検出部260は、共通電路64の電気信号HGNDと接地ラインGLとの間の電圧変化に基づいて、各駆動素子40から共通電路64に印加される起電力を効果的に検出することができる。
印刷部200の検出部260は、駆動素子40の駆動によって発生する振動(本実施形態では振動板42の振動)を検出する。本実施形態では、検出部260は、駆動素子40の駆動に起因して駆動素子40の駆動後に残留する振動である残留振動を検出する。また、駆動素子40は、残留振動を感知して残留振動に応じた電気信号SWを出力する感知部として機能し、共通電路64には、残留振動に伴う起電力によって各駆動素子40から出力される電気信号SWが印加される。
すなわち、検出部260は、共通電路64の電気信号HGNDを測定することによって、電気信号SWを残留振動として検出する。こうして、検出部260は、制御部100から出力される検出実施信号DSELに従って電気信号SWを検出し、その検出結果として残留振動の検出値を示す検出信号POUTを制御部100に出力する。
次に、図6(a)〜(h)を参照して、制御部100及び印刷部200における各種信号の一例について説明する。なお、図6(a)〜(d)は、ラッチ信号LAT、切替信号CH、駆動信号COM、及び検出実施信号DSELの各時間変化を図示し、図6(e)〜(h)は、シフト入力信号SIの指示データに応じて駆動素子40に印加される印加電圧の時間変化を図示している。
図6(a)に示すように、ラッチ信号LATは、駆動周期TDに応じて立ち上がる論理信号であり、制御部100からラッチ回路54に入力される。駆動周期TDは、吐出部240の駆動素子40を駆動して媒体M上に1画素を生成する期間に相当する。
図6(b)に示すように、切替信号CHは、ラッチ信号LATに基づいて印刷部200において生成される信号であり、ラッチ信号LATの立ち上がりから規定時間の経過に応じて立ち上がる論理信号である。ラッチ回路54は、ラッチ信号LATの立ち上がりから切替信号CHの立ち上がりまでの第1期間T1の間、シフトレジスター52から受け取った2ビットの指示データにおける1ビット目に応じた論理信号を出力する。また、ラッチ回路54は、切替信号CHの立ち上がりからラッチ信号LATの次の立ち上がりまでの第2期間T2の間、指示データの2ビット目に応じた論理信号を出力する。
図6(c)に示すように、駆動信号COMは、駆動周期TDに同期して周期的に出力される電圧信号であり、制御部100から共通電路62及びスイッチ66を通じて駆動素子40に供給される。駆動信号COMは、第1期間T1では、中間電圧Vcを維持した状態から、中間電圧Vcよりも高い電圧V1にまで立ち上がった後、中間電圧Vcよりも低い電圧V2にまで立ち下がり、再び中間電圧Vcになる。その後の第2期間T2では、駆動信号COMは、中間電圧Vcから、中間電圧Vcよりも高い電圧V1にまで立ち上がった後、中間電圧Vcを維持した状態になる。
ここで、第1期間T1における駆動信号COMは、ノズル20からインク滴を吐出させる印加レベルの信号である。また、第2期間T2における駆動信号COMは、ノズル20からインク滴を吐出させることなく振動を発生させる印加レベルの信号である。
図6(d)に示すように、検出実施信号DSELは、残留振動に基づいて吐出部240を検査する場合に、第2期間T2において駆動信号COMが電圧V1から中間電圧Vcに復帰したタイミングから、第2期間T2が終了する前のタイミングまでの間に立ち下がる論理信号である。検出実施信号DSELが立ち下がると、印刷部200のスイッチ58は、共通電路64をグランドから電気的に切り離し、印刷部200の検出部260は、共通電路64の電気信号HGNDを検出する。
図6(e)に示すように、シフト入力信号SIの指示データが[0,0]の場合、駆動素子40に印加される印加電圧は、駆動周期TDの間、中間電圧Vcを維持した状態となる。これによって、その駆動素子40に対応する吐出部240においてインク滴は吐出されず、振動も発生しない。シフト入力信号SIの指示データ[0,0]は、印刷時に画素を形成しない吐出部240や、残留振動に基づいた検査の実施対象ではない吐出部240に対して設定される。
図6(f)に示すように、シフト入力信号SIの指示データが[0,1]の場合、駆動素子40に印加される印加電圧は、第1期間T1において中間電圧Vcを維持した後、第2期間T2において電圧V1に立ち上がる。これによって、その駆動素子40に対応する吐出部240において、インク滴を吐出することなく振動を発生させることができる。シフト入力信号SIの指示データ[0,1]は、画素を形成することなく検査を実施する際に、残留振動に基づいた検査の実施対象となる吐出部240に対して設定される。
図6(g)に示すように、シフト入力信号SIの指示データが[1,0]の場合、駆動素子40に印加される印加電圧は、第1期間T1において電圧V1及び電圧V2に変化した後、第2期間T2において中間電圧Vcを維持した状態となる。これによって、その駆動素子40に対応する吐出部240においてインク滴が吐出される。シフト入力信号SIの指示データ[1,0]は、印刷時に画素を形成する吐出部240に対して設定される。
図6(h)に示すように、シフト入力信号SIの指示データが[1,1]の場合、駆動素子40に印加される印加電圧は、第1期間T1において電圧V1及び電圧V2に変化した後、第2期間T2において電圧V1に変化する。これによって、その駆動素子40に対応する吐出部240において、インク滴を吐出させつつ、吐出部240の検査に適した振動を発生させることができる。シフト入力信号SIの指示データ[1,1]は、画素を形成しつつ検査を実施する際に、残留振動に基づいた検査の実施対象となる吐出部240に対して設定される。
図5の説明に戻り、制御部100の検査部104は、印刷部200の検出部260から検出信号POUTを受け取り、その検出信号POUTに示された残留振動の検出値の一例としての残留振動の周期に基づいて吐出部240を検査する。
また、検査部104は、吐出部240の状態を、正常状態、気泡混入による不吐出状態、増粘による不吐出状態の中から特定する。正常状態は、規定の着滴位置及び着滴形状でインクを吐出可能な状態である。気泡混入による不吐出状態は、キャビティー38内のインクの気泡混入によってインクを吐出できない状態である。増粘による不吐出状態は、キャビティー38内のインクの増粘によってインクを吐出できない状態である。こうした点で、本実施形態では、検査部104(制御部100)が「判定部」の一例に相当する。
制御部100の記憶部106は、判定基準データ111及び検査結果データ112を記憶する。記憶部106の判定基準データ111は、電気信号SWに基づいて吐出部240の状態を判定するための判定基準を示すデータである。本実施形態では、印刷装置10の工場出荷時にインクの種類毎に記憶部106に記憶される。
また、記憶部106の検査結果データ112は、検査部104による吐出部240の検査結果を示すデータであり、検査部104による検査の実施に応じて記憶部106に記憶される。
次に、図7を参照して、残留振動に応じた電気信号SWの変化の一例について説明する。なお、図7には、縦軸を電圧、横軸を時間とし、基準電圧Vrefに対する電気信号SWg,SWb,SWvの時間的変化を図示している。
図7の電気信号SWgは、インクを吐出可能な正常状態にある吐出部240における残留振動に応じた電気信号SWを示す。図7の電気信号SWbは、気泡混入による不吐出状態にある吐出部240における残留振動に応じた電気信号SWを示す。図7の電気信号SWvは、増粘による不吐出状態にある吐出部240における残留振動に応じた電気信号SWを示す。
ここで、吐出部240における振動板42を想定した単振動の計算モデルに圧力Pを与えた時のステップ応答を体積速度uについて計算すると、次の数式1a,1b,1cが得られる。
上記の数式1a,1b,1cにおいて、流路抵抗rは、供給口36、キャビティー38及びノズル20等の流路形状やこれら流路におけるインクの粘度に依拠し、イナータンスmは、供給口36、キャビティー38及びノズル20等の流路内におけるインクの質量に依拠し、コンプライアンスcは、振動板42の伸縮性に依拠する。
気泡混入による不吐出状態では、キャビティー38内のインクが少なくなるため、主にイナータンスmが減少する。イナータンスmが減少すると、数式1bからも明らかなように、角速度ωが大きくなる。そのため、図7に示すように、気泡混入による不吐出状態における電気信号SWbの周期tC_bは、正常状態における電気信号SWgの周期tC_gよりも短くなる。
増粘による不吐出状態では、キャビティー38内のインクが増粘するため、流路抵抗rが増加する。流路抵抗rが増加すると、数式1b,1cからも明らかなように、角速度ωが小さくなる。そのため、図7に示すように、増粘による不吐出状態における電気信号SWvの周期tC_vは、正常状態における電気信号SWgの周期tC_gよりも長くなるとともに、電気信号SWvの減衰量は、電気信号SWgよりも大きくなる。
そこで、本実施形態では、電気信号SWの周期(以下「周期tC」とも言う。)が下限周期tC_L以上であって上限周期tC_H未満である場合(tC_L≦tC<tC_H)、吐出部240の状態が正常状態であると判定する。また、電気信号SWの周期tCが下限周期tC_L未満である場合(tC<tC_L)、吐出部240の状態が気泡混入による不吐出状態であると判定する。また、電気信号SWの周期tCが上限周期tC_H以上である場合(tC_H≦tC)、吐出部240の状態が増粘による不吐出状態であると判定する。なお、ここで、下限周期tC_L及び上限周期tC_Hの大きさは、実験等によって任意に設定することが望ましい。
なお、図7には、電気信号SWg,SWb,SWvの第1周期として周期tC_g,tC_b,tC_vを図示したが、理論上、電気信号SWg,SWb,SWvの各周期は一定であり、第1周期以降の周期(第2周期、第3周期、・・・)についても、それぞれ周期tC_g,tC_b,tC_vの各値と同じ値となる。
さて、本実施形態の印刷装置10のように、液体収容部220に注入口224が形成され、液体収容部220にインクを注入することができる印刷装置10では、ある液体収容部220に関連付けられているインクとは異なる種類のインクを注入するおそれがある。例えば、水系のシアンインクを収容する液体収容部220に対して、水系のブラックインクを誤注入したり、水系のライトシアンインクを誤注入したり、溶剤系のシアンインクを誤注入したりするおそれがある。
そして、こうしたインクの誤注入が起こる場合には、ノズル20から本来の色とは異なる色のインクが吐出されることで、所望の印刷結果を得ることができなくなる。なお、以降の説明では、ある液体収容部220に対して関連付けられているインクとは異なる種類のインクを当該液体収容部220に注入することを単に「誤注入する」とも言う。
ここで、ある液滴吐出ユニット250の液体収容部220にインクが誤注入された場合を想定する。この場合には、液体収容部220に誤注入されたインクは、液体収容部220に連通するキャビティー38に供給されるため、キャビティー38内に貯留されるインクの種類が変化する。すなわち、キャビティー38に貯留されるインクの粘度等が変化することで、当該キャビティー38を有する吐出部240を検査対象としたときの残留振動が、誤注入の前後で変化する。
そこで、本実施形態では、吐出部240の状態が不吐出状態であるか否かを検査する場合と同様に、検査対象とした吐出部240において発生する電気信号SWの周期tCに基づいて、当該吐出部240にインクを供給する液体収容部220に対して誤注入がされたか否かを判定(検査)することとした。
詳しくは、検査対象とした吐出部240において発生する上記電気信号SWの周期tCが、下限周期tC_L以上且つ上限周期tC_H未満である場合には、インクが誤注入されていないと判定することとした。また、検査対象とした吐出部240において発生する上記電気信号SWの周期tCが下限周期tC_L未満である場合又は当該周期tCが上限周期tC_H以上である場合には、インクが誤注入されたと判定することとした。こうした点で、本実施形態では、下限周期tC_L及び上限周期tC_Hが「基準振動情報」の一例に相当する。
ところが、このようにインクの誤注入を判定すると、ある吐出部240を検査対象としたときに電気信号SWの周期tCが下限周期tC_L未満である場合、吐出部240の状態が増粘による不吐出状態であると判定することもできるし、吐出部240にインクを供給する液体収容部220においてインクの誤注入が発生したと判定することもできる。また、ある吐出部240を検査対象としたときに電気信号SWの周期tCが上限周期tC_H以上である場合、吐出部240の状態が気泡混入による不吐出状態であると判定することもできるし、吐出部240にインクを供給する液体収容部220においてインクの誤注入が発生したと判定することもできる。
ここで、液体収容部220にインクが誤注入される場合には、当該液体収容部220から供給されるインクを貯留する全てのキャビティー38において、貯留されるインクが誤注入されたインクとなる。一方、吐出部240においてインクが増粘したり気泡が混入したりすることは、複数の吐出部240のうちの特定の吐出部240(一部の吐出部240)で起こりやすい。
つまり、増粘による不吐出状態は、媒体Mに印刷を行うにあたり長期間に亘ってインクを吐出しない一部の吐出部240において起こりやすい。また、気泡混入による不吐出状態は、ノズル20を介してキャビティー38に気泡が混入したり、気泡を含むインクが吐出部240に供給されたりする場合に起こるが、こうした事態は稀に起こるものであり、全ての吐出部240において同時に気泡が混入することは起こりにくい。
そこで、本実施形態では、ある液滴吐出ユニット250が有する2以上の吐出部240を検査対象としたときに発生する2以上の電気信号SWの周期tCが、下限周期tC_L以上且つ上限周期tC_H未満である場合には、インクが誤注入されていないと判定することとした。また、ある液滴吐出ユニット250が有する2以上の吐出部240を検査対象としたときに発生する電気信号SWの周期tCが下限周期tC_L未満である場合又は当該周期tCが上限周期tC_H以上である場合には、インクが誤注入されたと判定することとした。
詳しくは、ある液滴吐出ユニット250が有する全ての吐出部240を検査対象としたときに発生する全ての電気信号SWの周期tCの平均値である平均周期tC_Aが、下限周期tC_L以上且つ上限周期tC_H未満である場合には、インクが誤注入されていないと判定することとした。また、当該平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満である場合又は当該周期tCが上限周期tC_H以上である場合には、インクが誤注入されたと判定することとした。この点で、本実施形態では、平均周期tC_Aが「検出振動情報」の一例に相当する。
次に、図8に示すフローチャートを参照して、印刷装置10の制御部100が、液体収容部220にインクが誤注入されたか否かを判定する際に実施する処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、液体収容部220に注入されたインクがキャビティー38に供給された後に実行されることが望ましく、例えば、予め設定された時期や、ユーザーからの指示に基づいて開始される処理ルーチンである。すなわち、同様のタイミングで2以上の液体収容部220にインクが注入された場合には、本処理ルーチンは液体収容部220毎(液滴吐出ユニット250毎)に複数回行われる。
図8に示すように、本処理ルーチン(検査処理)において、制御部100は、フラグFLGに「0(零)」をセットする(ステップS11)。フラグFLGは、検査対象とする液滴吐出ユニット250が有する複数の吐出部240おける残留振動が正常でない場合に、その要因が誤注入によるものか他の要因によるものかを特定するための変数である。続いて、制御部100は、液滴吐出ユニット250が備える複数の吐出部240の中から一つの吐出部240を検査対象として選定する(ステップS12)。
そして、制御部100は、選定した一つの吐出部240の駆動素子40を駆動させる(ステップS13)。具体的には、検査対象である吐出部240に対応するシフト入力信号SIの指示データに[0,1]を設定し、その他の吐出部240に対応するシフト入力信号SIの指示データに[0,0]を設定して、シフト入力信号SI及びクロック信号SCKとともに、ラッチ信号LAT、駆動信号COM及び検出実施信号DSELを印刷部200に出力する。
これによって、検査対象の吐出部240における駆動素子40から残留振動に応じた電気信号SWが共通電路64に印加される。その際に、印刷部200の検出部260によって検出される共通電路64の電気信号HGNDは、検査対象の吐出部240における残留振動に応じた電気信号SWとなる。また、検出部260は、その検出結果として電気信号SWの検出値を示す検出信号POUTを制御部100に出力する。
続いて、制御部100は、電気信号SWを受信した検出部260から出力される電気信号SWの検出値である検出信号POUTを取得する(ステップS14)。なお、制御部100は、残留振動に応じた電気信号SWの検出値(検出信号POUT)として、検出実施信号DSELの立ち下がり期間中に検出される電気信号SWの周期tCを取得する。なお、周期tCは、記憶部106に検査結果データ112として記憶される。
そして、制御部100は、全ての吐出部240を検査したか否かを判定する(ステップS15)。全ての吐出部240を検査していない場合(ステップS15:NO)、制御部100は、その処理をステップS12に移行して、未だ検査していない吐出部240を選定する。
一方、全ての吐出部240を検査している場合(ステップS15:YES)、制御部100は、記憶部106に検査結果データとして記憶した全ての周期tCを読み出し、平均周期tC_Aを演算する(ステップS16)。続いて、制御部100は、平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満であるか否かを判定し(ステップS17)、平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満である場合(ステップS17:YES)、制御部100は、その処理を後述するステップS20に移行する。一方、平均周期tC_Aが下限周期tC_L以上である場合(ステップS17:NO)、制御部100は、平均周期tC_Aが上限周期tC_H以上であるか否かを判定する(ステップS18)。
平均周期tC_Aが上限周期tC_H以上である場合(ステップS18:YES)、制御部100は、その処理を後述するステップS20に移行する。一方、平均周期tC_Aが上限周期tC_H未満である場合(ステップS18:NO)、制御部100は、液体収容部220に収容されているインクが当該液体収容部220に関連付けられた正常なインクであると判定し(ステップS19)、その処理を一旦終了する。
ここで、ステップS19の処理が実行される場合とは、図7において電気信号SWgで示すような電気信号SWが検出される場合である。すなわち、検査対象とした液滴吐出ユニット250において、インクの誤注入が生じていないと判定され、印刷の実行が許容される。
ステップS20において、制御部100は、フラグFLGに「1」がセットされているか否かを判定する。因みに、ステップS17の判定処理が肯定判定されて、ステップS20の判定処理が実行される場合とは、検査対象としている液滴吐出ユニット250の液体収容部220に対して、当該液体収容部220に関連付けられているインクよりも粘度の高いインクが注入(補充)された可能性がある場合である。
また、ステップS18の判定処理が肯定判定されて、ステップS20の判定処理が実行される場合とは、検査対象としている液滴吐出ユニット250の液体収容部220に対して、当該液体収容部220に関連付けられているインクよりも粘度の低いインクが注入(補充)された可能性がある場合である。
ステップS20において、フラグFLGに「0(零)」がセットされている場合(ステップS20:NO)、制御部100は、本処理ルーチンにおいて、検査対象となっている液滴吐出ユニット250の全ての吐出部240を対象として、クリーニングを実行する(ステップS21)。すなわち、検査対象となっている全ての吐出部240からインクを吸引することで、吐出部240の全てのキャビティー38に、液体収容部220から新たに供給されたインクが貯留されている状態とする。
続いて、制御部100は、フラグFLGに、クリーニングを実行したことを示す「1」をセットし(ステップS22)、その処理を先のステップS12に移行する。すなわち、制御部100は、検査対象となっている液滴吐出ユニット250の全ての吐出部240を検査すべく、ステップS12からの処理をもう一度実行する。
一方、先のステップS20において、フラグFLGに「1」がセットされている場合(ステップS20:YES)、制御部100は、液体収容部220に収容されているインクが当該液体収容部220に関連付けられた正常なインクではない、誤ったインクであると判定し、その処理を一旦終了する。すなわち、この場合には、インクの誤注入が生じていると判定され、印刷の実行が制限される。
こうして、制御部100は、検出振動情報の一例としての平均周期tC_Aと、基準振動情報の一例としての下限周期tC_L及び上限周期tC_Hとを比較することで、液体収容部220から吐出部240に供給されるインクの種類が変化したか否かを判定する。
次に、本実施形態の印刷装置10の作用について説明する。
さて、印刷を行うことで、印刷装置10の何れかの液体収容部220に収容されるインクが少なくなる場合には、ユーザーによって当該液体収容部220にインクが注入(補充)される。この際、液量検出部228の検出結果に基づいて、ユーザーにインクを注入することを促す旨を報知してもよい。
ここで、ユーザーが液体収容部220にインクが注入した後に、当該液体収容部220に連通する全ての吐出部240を検査対象としたときの残留振動の平均周期tC_Aが下限周期tC_L以上であって上限周期tC_H未満である場合、液体収容部220にインクが正しく注入されているとして、印刷の実行が許容される。
一方、ユーザーが液体収容部220にインクが注入した後に、当該液体収容部220に連通する全ての吐出部240を検査対象としたときの残留振動の平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満又は上限周期tC_H以上である場合、液体収容部220にインクが誤注入されている可能性があるとして、クリーニングが実行される。
そして、クリーニングが実行された後に、インクが注入された液体収容部220に連通する全ての吐出部240を検査対象としたときの残留振動の平均周期tC_Aが上限周期tC_H未満であって下限周期tC_L以上となれば、液体収容部220にインクが正しく注入されているとして、印刷の実行が許容される。なお、この場合とは、例えば、液体収容部220から吐出部240へのインクの供給が正常にできていない等、クリーニングの実行によって回復可能な要因によって、上記平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満又は上限周期tC_H以上となっていた場合である。
一方、クリーニングが実行された後に、インクが注入された液体収容部220に連通する全ての吐出部240を検査対象としたときの残留振動の平均周期tC_Aが依然として、下限周期tC_L未満又は上限周期tC_H以上である場合、液体収容部220にインクが誤注入されているとして、印刷の実行が制限される。
以上説明した本実施形態の印刷装置10によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)駆動素子40の駆動によって発生する残留振動の周期tCの変化に基づいて、液体収容部220にインクを誤注入したか否かを判定することができる。詳しくは、当該残留振動の平均周期tC_Aと、下限周期tC_L及び上限周期tC_Hとを比較することで、液体収容部220にインクが誤注入されたか否かを判定することができる。これによれば、液体収容部220に注入されたインクが、当該液体収容部220に関連付けられているインクとは異なる種類のインクであるか否かを判定することができる。
また、例えば、液体収容部220が着脱可能であって、インクの情報が記憶されたチップが液体収容部220に設けられている場合においては、チップに記憶されたインクの情報と異なるインクが液体収容部220に収容されていることを検出することができる。
(2)液体収容部220にインクが誤注入されたか否かを判定するにあたって、当該液体収容部220に連通する全ての吐出部240を検査対象とした。このため、液体収容部220に連通する一つの吐出部240のみを検査対象とした場合に比較して、当該吐出部240においてインクが増粘したり気泡が混入したりすることに起因する周期tCの変化に基づいて、インクの誤注入があったと判定することを抑制することができる。言い換えれば、インクの誤注入があったか否かを判定する際の精度を高めることができる。
(3)平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満となる場合又は上限周期tC_H以上となる場合、すなわち、インクが誤注入された可能性が高い場合には、検査対象としている液滴吐出ユニット250の吐出部240を対象としてクリーニングを行い、再度インクの誤注入があったか否かの判定を行うこととした。このため、例えば、液体収容部220から吐出部240へのインクの供給不良等、インクの誤注入以外の要因で、平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満となったり上限周期tC_H以上となったりする場合に、インクの誤注入がされたと判定することを抑制することができる。言い換えれば、インクの誤注入があったか否かを判定する際の精度を高めることができる。
なお、上記実施形態は、以下に示すように変更してもよい。
・図8に示す検査処理を実施するタイミングを、液体収容部220の液量に応じて決定してもよい。以下、図9に示すフローチャートを参照して、制御部100が図8に示す検査処理を実施するタイミングを決定するために実行する処理ルーチンについて説明する。
図9に示すように、制御部100は、液量検出部228の検出結果に基づいて、液体収容部220の今回の液量Laを取得し(ステップS31)、液体収容部220の前回の液量Lbを取得する(ステップS32)。ここで、今回の液量Laとは今回の本処理ルーチンの実行を開始したタイミングにおける液体収容部220の液量Lを示し、前回の液量Lbとは前回の本処理ルーチンの実行を開始したタイミングにおける液体収容部220の液量Lを示している。
続いて、制御部100は、今回の液量Laが前回の液量Lbよりも増大したか否かを判定する(ステップS33)。今回の液量Laが前回の液量Lb以下である場合(ステップS33:NO)、すなわち、液体収容部220の液量Lが減少している場合、制御部100はその処理を一旦終了する。一方、今回の液量Laが前回の液量Lbよりも多い場合(ステップS33:YES)、すなわち、液体収容部220の液量Lが増大している場合、制御部100は、図8に示す検査処理を行い(ステップS34)、その後、その処理を一旦終了する。
なお、この処理ルーチンは、液体収容部220毎に実行される処理ルーチンである。このため、この処理ルーチンによれば、複数の液体収容部220のうち、液量Lが増大した液体収容部220からインクの供給を受ける複数の吐出部240が、図8に示す検査処理において検査対象とされる。
これによれば、液体収容部220にインクが注入(補充)されたタイミング、すなわち、誤注入が起こり得るタイミングで、液体収容部220にインクが誤注入されたか否かを判定することができる。
なお、実際には、液量Lが増大した後であっても、液体収容部220に収容されたインクがキャビティー38に供給されるまでは、当該液体収容部220からインクの供給を受ける吐出部240を検査対象としても、インクが誤注入されていると判定することができない。このため、液体収容部220に注入されたインクがキャビティー38に供給された後にステップS34の処理が実行されることが望ましい。例えば、液量Lが増大した後に、当該液量Lが減少したタイミングにおいて、ステップS34の処理をすればよい。
・図8に示す検査処理を実行する間隔(検査間隔Ti)を、液体収容部220の液量Lに応じて決定してもよい。以下、図10及び図11を参照して、制御部100が図8に示す検査処理を実施する間隔(検査間隔Ti)を決定するために実行する処理ルーチンについて説明する。
図10に示すように、液体収容部220に収容される液量Lが少ない場合には、当該液量Lが多い場合よりも検査間隔Tiが短くなるようなマップを用意してもよい。このマップによれば、液体収容部220に収容される液量Lが第1の液量Llである場合の第1の検査間隔Tilは、当該液量Lが第1の液量Llよりも多い第2の液量Lhである場合の第2の検査間隔Tihよりも短くなる。
そして、図11に示すように、制御部100は、前回の検査処理を実行してからの経過時間Tpを取得し(ステップS41)、液体収容部220の液量Lを取得する(ステップS42)。続いて、制御部100は、図10に示すマップを参照して、ステップS42で取得した液量Lに応じた検査間隔Tiを取得する(ステップS43)。そして、制御部100は、経過時間Tpが検査間隔Ti以上であるか否かを判定し(ステップS44)、経過時間Tpが検査間隔Ti未満である場合(ステップS44:NO)、その処理を一旦終了する。一方、経過時間Tpが検査間隔Ti以上である場合(ステップS44:YES)、制御部100は、図8に示す検査処理を行い(ステップS45)、その後、その処理を一旦終了する。
液体収容部220に収容される液量Lが少ない場合には、当該液量Lが多い場合よりも、インクが注入(補充)される可能性が高くなる。このため、液体収容部220の液量Lが少ないほど、吐出部240の検査間隔Tiを短くすることで、インクが注入されたタイミングと近いタイミングで当該吐出部240の検査を行うことができる。
・制御部100は、図9のステップS33において、ユーザーから液体収容部220にインクを注入した旨の入力があったことをもって、今回の液量Laが前回の液量Lbよりも増大したと判定してもよい(ステップS33:YES)。この場合、液体収容部220に液量検出部228を設けなくてもよい。
・制御部100は、図11のステップS42において、液滴吐出ユニット250が吐出したインク滴をカウントすることで液体収容部220の液量Lを予想してもよい。この場合、液体収容部220に液量検出部228を設けなくてもよい。
・上述したように、液体収容部220に液量検出部228を設けない場合、図9のフローチャートに示す処理と、図11のフローチャートに示す処理とを合わせて行ってもよい。
・制御部100は、複数の液滴吐出ユニット250のうちホワイトインクに係る液滴吐出ユニット250の吐出部240を他の液滴吐出ユニット250の吐出部240よりも優先して、インクの誤注入があったか否かの検査(検査処理)を行ってもよい。
これによれば、ホワイトインクを用いて媒体Mに下地(白色画像)を形成することができる。このため、下地の上に他のインクを吐出することで、媒体Mの色に関わらず画像を形成することができる。また、この場合において、下地の形成を開始してから他のインクの吐出を開始するまでの間に、当該他のインクを吐出する液滴吐出ユニット250が有する吐出部240を検査対象として、インクの誤注入があったか否かを判定することができる。このため、印刷装置10における画像形成の効率を高めることができる。
・上記実施形態では、吐出部240における残留振動の検出に駆動素子40を利用したが、駆動素子40とは別に、残留振動を感知する専用のセンサーを設けてもよい。
・上記実施形態では、インク滴を吐出させることなく残留振動を発生させる印加レベルで駆動素子40を駆動させて残留振動を検出したがインク滴を吐出させる印加レベルで駆動素子40を駆動させて残留振動を検出してもよい。
・上述実施形態では、残留振動の周期tCに基づいてインクの誤注入があったか否かを判定したが、残留振動の位相や振幅に基づく判定に用いられる判定閾値を判定基準データ111に設定しておき、残留振動の周期tCに加え、位相及び振幅の少なくとも一つに基づいて検査処理を実施してもよい。また、残留振動の振動波形そのものを判定基準データ111に設定しておき、振動波形同士を比較することで検査処理を実施してもよい。これらの場合、検査処理において比較する値(波形)が、基準振動情報及び検出振動情報に相当することとなる。
・上述実施形態では、各吐出部240における駆動素子40を駆動させる駆動信号の信号レベルは電圧V1の一つであったが、他の実施形態において、ランク毎に更に駆動信号の信号レベル(例えば、電圧、電流、電力量等)に応じた判定基準を判定基準データ111に設定しておき、駆動信号の信号レベルに応じて検査処理を実施してもよい。これによって、駆動信号の信号レベルに応じて変化する残留振動の特性を考慮して、残留振動に基づく検査の誤判定を一層抑制することができる。
・検出部260によって検出する振動は、駆動素子40の駆動に起因する振動であればよく、例えば、駆動素子40の駆動によるキャビティー38内のインクの振動を検出してもよいし、駆動素子40の駆動後における駆動素子40の振動を検出してもよい。
・駆動素子40の駆動に起因する振動を感知する手段を、ノズル20毎に設けてもよいし、2個以上のノズル20に設けてもよい。また、駆動素子40の駆動に起因する振動を感知する手段を、キャビティー38に設けてもよいし、供給口36やリザーバー34に設けてもよい。
・駆動素子40の駆動に起因する振動を検出するタイミングは、駆動素子40の駆動後に限るものではなく、駆動素子40の駆動前でもよいし、駆動と同時でもよいし、駆動中であってもよい。
・液体収容部220に関連付けられたインクとは異なる種類のインクが誤注入されないように、ユーザーがインクを液体収容部220に注入する作業を行う場合には、印刷装置10はユーザーにその旨の注意を促してもよい。
・図8に示す検査処理は、印刷装置10の電源をオンする度に実行してもよい。
・吐出部240においてインクが増粘したりや気泡が混入したりするか否かを判定する際に用いる下限周期tC_L及び上限周期tC_Hと、液体収容部220にインクが誤注入されたか否かを判定する際に用いる下限周期tC_L及び上限周期tC_Hとは、異なる値であってもよい。
・上記実施形態では、ステップS20の判定処理によって、クリーニングを1度実行しても平均周期tC_Aが下限周期tC_L未満である場合又は上限周期tC_H以上である場合には、液体収容部220にインクが誤注入されたと判定することとしたが、クリーニングの回数は任意に変更してもよい。すなわち、フラグFLGの代わりにクリーニング回数を記憶する変数を設け、当該クリーニング回数が任意の回数を超えた場合に、液体収容部220にインクが誤注入されたと判定してもよい。
・ステップS21においてクリーニングを実行する代わりに、フラッシングを実行してもよいし、他のメンテナンスを実行してもよい。
・印刷装置10は、上記実施形態のように媒体Mの幅方向Xに往復移動しつつインクを吐出するシリアルプリンターでなくてもよい。例えば、吐出部240が媒体Mの幅全体と対応した長さを有し固定配置された状態でインクを吐出するラインプリンターであってもよい。
・印刷装置10は、印刷以外の目的で媒体支持部140に支持された媒体Mに液滴を吐出する液滴吐出装置であってもよい。
・吐出部240が吐出する液滴はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体等であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造等に用いられる電極材や色材(画素材料)等の材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出するものであってもよい。
・媒体Mは用紙の他、Tシャツ等の布帛であってもよいし、プラスチックフィルムや薄い板材等でもよいし、他の材料であってもよい。
10…印刷装置(液滴吐出装置の一例)、20(20y,20m,20c,20k,20w)…ノズル、38…キャビティー(圧力室の一例)、40…駆動素子、100…制御部(判定部の一例)、106…記憶部、200…印刷部、220…液体収容部、224…注入口、240…吐出部、250…液滴吐出ユニット、260…検出部、300…メンテナンス部、L…液量、M…媒体、tC_A…平均周期(基準振動情報の一例)、tC_L…下限周期(検出振動情報の一例)、tC_H…上限周期(検出振動情報の一例)。

Claims (6)

  1. 液体を注入するための注入口を有する液体収容部と、
    前記液体収容部から供給された液体を貯留する圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室に対応して設けられる駆動素子と、を有し、前記駆動素子の駆動によって前記圧力室の圧力を変化させることで前記ノズルから液滴を吐出する吐出部と、
    前記駆動素子の駆動によって発生する振動を検出する検出部と、
    前記液体収容部に関連付けられた液体が前記圧力室に貯留されているときの前記振動に関する基準振動情報を記憶する記憶部と、
    前記駆動素子を駆動することで検出される前記振動に関する検出振動情報と前記基準振動情報とを比較することで、前記液体収容部から前記圧力室に供給される液体の種類が変化したか否かを判定する判定部と、を備える
    ことを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記吐出部は、複数設けられ、
    前記判定部は、2以上の前記吐出部の前記駆動素子を駆動することで検出される2以上の前記振動に関する前記検出振動情報の各々と前記基準振動情報とを比較する
    ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記ノズルを介して前記吐出部から液体を排出させるメンテナンスを行うメンテナンス部をさらに備え、
    前記判定部は、前記駆動素子を駆動することで検出される前記振動に関する前記検出振動情報と前記基準振動情報とが異なる場合には、前記駆動素子を有する前記吐出部の前記メンテナンスが行われた後に、前記駆動素子を駆動することで検出される前記振動に関する前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記判定部は、前記液体収容部の液量が増大した場合に、前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記判定部は、前記液体収容部の液量が少ない場合には、当該液量が多い場合よりも、前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較する頻度を高くする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記液体収容部と前記吐出部とを含んで液滴吐出ユニットとしたとき、当該液滴吐出ユニットは、種類の異なる色材を含む液滴を吐出できるように複数設けられ、
    複数の前記液滴吐出ユニットのうちの一の前記液滴吐出ユニットは、白色の色材を含む液滴を吐出するものであって、
    前記判定部は、白色の色材を含む液滴を吐出する一の前記液滴吐出ユニットが有する前記吐出部を、他の前記液滴吐出ユニットが有する前記吐出部よりも優先して、前記検出振動情報と前記基準振動情報とを比較する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液滴吐出装置。
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