本発明に係る部品供給装置は、生産ラインで作業するロボットや作業者に部品を供給するものである。例えば、本発明に係る部品供給装置は、変種変量生産に対応するセル生産方式の生産ラインに好適に使用される。しかしながら、本発明に係る部品供給装置が適用される生産ラインについては、これに限定されるものではなく任意の生産ラインに適用することができる。
なお、以下においては、説明の便宜上、生産ラインで作業するロボットに対して部品を供給する場合について説明する。しかしながら、部品供給の対象については、ロボットに限定されるものではなく、生産ラインで作業する作業者が含まれる。また、本発明に係る部品供給装置を並列して配置しておき、ロボット及び作業者の双方に部品を供給することも可能である。
変種変量生産に対応する生産ラインにおいては、多品種少量生産を実現するため、正確性、効率性の観点から作業の一部をロボットに委任する生産ラインが採用されることがある。このような生産ラインでは、作業者とロボットとが共存した環境で作業が進められる。多品種少量生産の場合、部品の種別が変わることで部品をピッキングする位置も変わるため、ロボットはピッキングする部品の位置を適切に認識することが要請される。
ところで、部品の位置は、生産ライン上の一部やロボットに備えられたカメラ(撮像装置)によって撮像される部品の撮像画像に基づいて特定される。部品を撮像する際には、部品に向かって光が照射され、撮像箇所の明度が高められている。この場合、部品の種別が変わると部品の形状等の違いによって部品に対する光の照射具合も変わってしまい、必ずしも適切な撮像環境で部品を撮像することができない。撮像画像の劣化は、ロボットによるピッキングの作業効率を低下させ、結果として生産ライン全体の生産効率に悪影響を及ぼし得る。本発明者らは、多品種少量生産を実施する生産ラインにおいては、部品の種別に応じた撮像環境の調整が生産ラインの生産効率に寄与することに着目し、本発明に想到した。すなわち、本発明においては、部品の種別に応じて撮像環境をフレキシブルに調整することにより、形状等が異なる多種類の部品に対して適切な撮像環境を提供することを骨子とする。以下、部品の撮像環境を調整する複数の態様について、それぞれ説明する。
本発明に係る部品供給装置の第1の部品供給装置は、照明手段から照射される光を乱反射させることで拡散する反射板を備え、部品の種別に応じて反射板の角度を調整することで、ピッキング対象部品に適した態様で拡散光を照射するものである。これにより、形状等の異なる多種類の部品がピッキング対象となる場合であっても、部品に適した態様の拡散光の照射を通じて適切な撮像環境を提供することができる。
図1は、本発明に係る第1の部品供給装置における概要説明図である。図1においては、説明の便宜上、第1の部品供給装置100から部品供給を受けるロボットRを示している(後述する第2〜第5の部品供給装置についても同様)。このロボットRは、部品供給装置100から供給される部品Pのピッキングを行うと共に、当該部品Pに必要な作業を実施する。図1においては、部品供給の対象となるロボットRとして、多関節型ロボットを示しているが、人型ロボットなどの任意のロボットを適用することができる。
図1に示すように、部品供給装置100は、ステージ101と、照明手段102と、反射板103と、反射板角度調整機構(反射板角度調整手段)104と、制御装置105とを含んで構成される。ステージ101には、複数の部品Pを保持するトレーTが載置される。照明手段102は、反射板103に向けて光を照射する。反射板103は、ステージ101の上方に配設されており、トレーTに配置された部品Pに向けて照明手段102からの光を乱反射させて照射する。反射板角度調整機構104は、反射板103の一端に設けられた軸部103aに連結して設けられている。反射板角度調整機構104は、制御装置105(後述する反射板角度調整部105b)からの指示に基づいて反射板103の角度を調整する。制御装置105は、部品供給装置100の全体の制御を行う。
制御装置105には、有線又は無線により操作盤106及びカメラ107が接続されている。操作盤106は、表示機能を有し、例えば、部品供給装置100におけるステータスを表示することができる。また、操作盤106は、入力機能を有し、例えば、部品Pの識別情報等を受け付けることができる。カメラ107は、ステージ101上に載置されたトレーT内の部品P(複数の部品P)を撮像する。カメラ107により撮像された撮像画像データは、制御装置105に出力される。この撮像画像データは、ロボットRにおけるピックアップ対象となる部品Pの位置の認識に利用される。
制御装置105は、記憶部(記憶手段)105a及び反射板角度調整部105bを有している。第1の部品供給装置100において、記憶部105aには、ピッキング対象となる部品Pの種別に応じた反射板103の最適な角度が記憶される。反射板103の最適な角度は、事前の実験や実績データ等に基づいて、部品Pの種別に応じて予め特定される。ここで、反射板103の最適な角度とは、トレーTに配置された部品Pの位置が認識し易い撮像環境となるような反射板103の角度をいい、より具体的には、トレーTに配置された部品P全体の輝度値差が所定値以下に抑えられる角度をいう。
反射板角度調整部105bは、反射板角度調整機構104を構成する駆動モータ104aの駆動量を制御することにより、反射板103の角度を調整する。この場合、反射板角度調整部105bは、記憶部105aに記憶されるピッキング対象の部品Pに対応する反射板103の最適な角度になるように、反射板103の角度を調整する。例えば、反射板角度調整部105bは、操作盤106から受け付けた部品Pの識別情報に応じた反射板103の最適な角度を記憶部105aから読み出すことができる。
このような構成を有し、第1の部品供給装置100においては、例えば、操作盤106から部品Pの識別情報が入力されると、反射板角度調整部105bがその識別情報に基づいて、反射板103の最適な角度を記憶部105aから読み出す。そして、反射板角度調整部105bは、読み出した反射板103の角度に基づいて、駆動モータ104aの駆動量を制御する。駆動モータ104aは、反射板角度調整部105bの制御の下、反射板103を揺動させ、反射板103を最適な角度に調整する。
反射板103の角度が調整された後、照明手段102から反射板103に向かって光を照射する。光は反射板103に反射された結果、トレーT上の部品Pに向かって照射される。このとき、照明手段102から照射された光が反射板103に乱反射されることで光が拡散されるため、トレーTの広範囲にわたって光を照射することができ、トレーT全体及び部品P全体の輝度値を上げることができる。このような撮像環境下において、カメラ107は、トレーT上の部品Pを撮像し、撮像画像データを制御装置105に出力する。制御装置105は、撮像画像データに基づいてトレーT上の部品Pの位置を特定し、その位置情報をロボットRに出力する。ロボットRは、部品Pの位置情報に基づいて部品Pをピッキングする。
このように、第1の部品供給装置100においては、部品Pの種別に応じて反射板103の角度を調整する。これにより、形状等の異なる多種類の部品Pがピッキング対象となる場合であっても、部品Pに適した態様の拡散光の照射を通じて適切な撮像環境を提供することができる。そして、適切な撮像環境でカメラ107によって撮像された部品Pの撮像画像に基づいて、部品Pの位置が適切に認識される。この結果、形状等の異なる多種類の部品Pであっても精度よくピッキング作業を実施することが可能となる。
次に、第2の部品供給装置について説明する。本発明に係る第2の部品供給装置は、部品に照射される光の照度を測定し、測定された照度が予め部品の種別ごとに設定された最適な照度になるように、照明手段の照度を調整する機能を更に備える点で第1の部品供給装置と相違する。これにより、部品に照射される光の照度が部品の種別に応じて最適な照度に調整されるため、部品に対して最適な照度で光を照射することができる。
図2は、本発明に係る第2の部品供給装置における概要説明図である。なお、図2において、図1に示す第1の部品供給装置100と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。図2に示すように、第2の部品供給装置200は、照度の調整可能な照明手段201及び照度測定手段202を有する点、並びに、記憶部203a及び照度調整部203bを制御装置203が有する点で第1の部品供給装置100と相違する。その他の点は、第1の部品供給装置100と同一であるため、説明を省略する。
照度測定手段202は、トレーTの上方側であって、反射板103によって拡散された光の照射範囲に配設されている。照度測定手段202は、反射板103によって拡散された後、部品Pに照射される光の照度を測定する。照度測定手段202によって測定された光の照度は、制御装置203に出力される。
制御装置203の記憶部203aには、部品Pの種別に応じた反射板103の最適な角度に加え、トレーT上の部品Pに照射される光の最適な照度が部品Pの種別ごとに予め記憶される。反射板103の角度と同様に、光の最適な照度は、実験や実績データ等に基づいて事前に部品Pの種別に応じて予め特定される。ここで、光の最適な照度とは、トレーTに配置された部品Pの位置が認識し易い撮像環境となるような光の照度をいい、例えば、照明手段201による光の照度と外乱光の照度(室内の蛍光灯等の外部環境から受ける光の照度)との合計値が目標の照度となるような光の照度をいう。
制御装置203の照度調整部(照度調整手段)203bは、照明手段201の出力を制御することにより、照度を調整する。この場合、照度調整部203bは、制御装置203に入力される部品Pの識別情報に基づいて、記憶部203aから照明手段201の最適な照度を読み出す。また、照度調整部203bは、読み出された最適な照度と照度測定手段202が測定した照度とに基づいて照明手段201の照度調整量を算出し、照明手段201に出力する。これにより、照明手段201の照度が調整される。照明手段201の照度は、照度測定手段202によって測定される照度が目標の照度(記憶部203aに記憶された最適な照度)に達するまで調整される。この結果、トレーT上の部品Pに照射される光が最適な照度に調整される。
このような構成を有し、第2の部品供給装置200においては、例えば、操作盤106から部品Pの識別情報が制御装置203に入力されると、その識別情報に基づいて、記憶部203aに記憶された反射板103の最適な角度と照明手段201の最適な照度が読み出される。反射板角度調整部105bは、読み出した反射板103の角度に基づいて、反射板103を最適な角度に調整する。一方、照度調整部203bは、読み出した最適な照度と照度測定手段202が測定した照度とに基づいて照明手段201の照度を調整する。この結果、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及び部品Pに照射される光の照度が最適な値に調整される。
このように、第2の部品供給装置200においては、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及び照明手段201の照度を調整する。これにより、形状等の異なる多種類の部品Pがピッキング対象となる場合であっても、部品Pに適した態様の拡散光及び最適な照度の光の照射を通じて適切な撮像環境を提供することができる。
次に、第3の部品供給装置について説明する。本発明に係る第3の部品供給装置は、部品の種別に応じて照明手段による光の最適な照射角度を予め記憶しておき、部品の種別に応じてその照射角度を調整する機能を更に備える点で第1の部品供給装置と相違する。これにより、部品に照射される光の照射角度が部品の種別に応じて最適な照射角度に調整されるため、部品に対して最適な照射角度で光を照射することができる。
図3は、本発明に係る第3の部品供給装置における概要説明図である。なお、図3において、図1に示す部品供給装置100と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。図3に示すように、第3の部品供給装置300は、照射角度の調整可能な照明手段301及び照射角度調整機構302を有する点、並びに、記憶部303a及び照射角度調整部303bを制御装置303が有する点で第1の部品供給装置100と相違する。その他の点は、第1の部品供給装置100と同一であるため、説明を省略する。
照射角度調整機構(照射角度調整手段)302は、照明手段301の中央近傍に設けられた軸部301aに連結して設けられている。照射角度調整機構302は、制御装置303(後述する照射角度調整部303b)からの指示に基づいて照明手段301の角度を調整する。照射角度調整機構302による照明手段301の角度の調整により、反射板103に照射される光の照射角度が調整される。
制御装置303の記憶部303aには、部品Pの種別に応じた反射板103の最適な角度に加え、照明手段301から反射板103に照射される光の最適な照射角度が部品Pの種別ごとに予め記憶されている。反射板103の角度と同様に、照明手段301の最適な照射角度は、実験や実績データ等に基づいて事前に部品Pの種別及び反射板103の角度に応じて予め特定される。ここで、照明手段301の最適な照射角度とは、トレーTに配置された部品Pの位置が認識し易い撮像環境となるような照明手段301の照射角度をいい、より具体的には、トレーTに配置された部品Pに照射される光が最適になるような照明手段301の照射角度をいう。
制御装置303の照射角度調整部303bは、照射角度調整機構302を構成する駆動モータ302aの駆動量を制御することにより、照明手段301の照射角度を調整する。この場合、照射角度調整部303bは、制御装置303に入力される部品Pの識別情報に基づいて、記憶部303aから照明手段301の最適な照射角度を読み出す。また、照射角度調整部303bは、読み出された最適な照射角度に基づいて、駆動モータ302aの駆動量を制御する。駆動モータ302aは、照射角度調整部303bの制御の下、照明手段301の照射角度を最適な角度に調整する。
このような構成を有し、第3の部品供給装置300においては、例えば、操作盤106から部品Pの識別情報が制御装置303に入力されると、その識別情報に基づいて、記憶部303aに記憶された反射板103の最適な角度と照明手段301の最適な照射角度が読み出される。反射板角度調整部105bは、読み出した反射板103の角度に基づいて反射板103を最適な角度に調整する。一方、照射角度調整部303bは、読み出した最適な照射角度に基づいて照明手段301の照射角度を調整する。この結果、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及び照明手段301の照射角度が最適になるように調整される。
このように、第3の部品供給装置300においては、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及び照明手段301の照射角度を調整する。これにより、形状等の異なる多種類の部品Pがピッキング対象となる場合であっても、部品Pに適した態様の拡散光及び最適な照射角度の光の照射を通じて適切な撮像環境を提供することができる。
次に、第4の部品供給装置について説明する。本発明に係る第4の部品供給装置は、部品の種別に応じて撮像面に撮像装置の焦点が合うトレーの高さを予め記憶しておき、部品の種別に応じてトレーの高さを調整する機能を有する点で、第1の部品供給装置と相違する。これにより、撮像装置が所定位置に固定された場合であっても、部品の種別に応じて撮像面を撮像装置の焦点位置に位置合わせすることができる。このため、オートフォーカス機能を有さない撮像装置でピッキング対象となる部品を撮像することができ、撮像装置に要するコストを低減することができる。
図4は、本発明に第4の部品供給装置における概要説明図である。なお、図4においても、図1に示す部品供給装置100と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。図4に示すように、部品供給装置400は、上下動可能に構成されたステージ401、部品Pを保持したトレーTを昇降するトレー昇降機構(昇降手段)402及びトレー高さ測定手段403を有する点、並びに、記憶部404a及びトレー高さ調整部404bを制御装置404が有する点で第1の部品供給装置100と相違する。その他の点は、第1の部品供給装置100と同一であるため、説明を省略する。
トレー昇降機構402は、ステージ401の下方側に連結して設けられている。例えば、トレー昇降機構402は、駆動モータ402aと、この駆動モータ402aの駆動量をステージ402に伝達する伝達機構(不図示)と、トレーTを上下方向に案内するガイド部材(不図示)とから構成される。トレー昇降機構402は、制御装置404(後述するトレー高さ調整部404b)からの指示に基づいてトレーTを昇降させる。トレー昇降機構402によるトレーTの昇降により、トレーT上の部品Pの撮像面(例えば、上面)がカメラ107の焦点位置に位置合わせされる。
トレー高さ測定手段403は、トレーTの上方に設けられている。トレー高さ測定手段403は、トレー昇降機構402によって上下方向に移動されるトレーTの高さを測定する。例えば、トレー高さ測定手段403は、光学式のレーザー変位計で構成されるが、これに限定されない。駆動モータ402aが有するエンコーダーをトレー高さ測定手段403として機能させてもよい。トレー高さ調整部404bは、エンコーダーの値から演算によりトレー高さを把握することができる。
制御装置404の記憶部404aには、部品Pの種別に応じた反射板103の最適な角度に加え、カメラ107の焦点距離が合うトレーTの高さが部品Pの種別ごとに予め記憶される。ここで、焦点距離が合うトレーTの高さは、カメラ107の光学系(不図示)から焦点位置までの距離をいう。焦点位置は、例えば、撮像対象となる部品Pの上面位置に設定される。
制御装置404のトレー高さ調整部(トレー高さ調整手段)404bは、トレー昇降機構402の駆動モータ402aを制御することにより、トレーTの高さを調整する。この場合、トレー高さ調整部404bは、制御装置404に入力される部品Pの識別情報に基づいて、記憶部404aから部品Pの種別に応じたトレーTの高さを読み出す。また、トレー高さ調整部404bは、読み出されたトレーTの高さとトレー高さ測定手段403が測定したトレーTの高さとに基づいてトレーTの高さ調整量を算出し、駆動モータ402aに出力する。これにより、駆動モータ402aが駆動され、トレーTの高さが調整される。また、トレー高さ調整部404bは、制御装置404に入力される部品Pの識別情報に基づいてトレーT上の部品Pにおける焦点の調整位置を特定し、カメラ107で撮像された画像に基づき既存のオートフォーカス技術を用いて焦点が合うように、トレーTの高さを決定してもよい。
このような構成を有し、第4の部品供給装置400においては、例えば、操作盤106から部品Pの識別情報が制御装置404に入力されると、その識別情報に基づいて、記憶部404aに記憶された反射板103の最適な角度とトレーTの高さが読み出される。反射板角度調整部105bは、読み出した反射板103の角度に基づいて、反射板103を最適な角度に調整する。一方、トレー高さ調整部404bは、読み出したトレーTの高さと、トレー高さ測定手段403で測定されたトレーTの高さに基づいて、トレーTの高さを調整する。この結果、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及びトレーTの高さが最適になるように調整される。
このように、第4の部品供給装置400においては、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及びトレーTの高さを調整する。これにより、形状等の異なる多種類の部品Pがピッキング対象となる場合であっても、部品Pに適した態様の拡散光の照射及び最適なトレーTの配置を通じて適切な撮像環境を提供することができる。
次に、第5の部品供給装置について説明する。本発明に係る第5の部品供給装置は、トレー上の部品の位置がロボットに接近するように、トレーの角度を調整する機能を有する点で、第1の部品供給装置と相違する。これにより、トレーに配置される部品とロボット等との間の距離が短くなるため、トレーから部品を取り出す際のロボット等の移動量を短くすることができる。この結果、ロボット等によりトレーから部品を取り出す際の作業時間を短縮することができ、部品毎のタクトタイムを短縮して生産ライン全体の生産効率を向上することができる。
図5は、本発明に係る第5の部品供給装置における概要説明図である。なお、図5においても、図1に示す部品供給装置100と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。図5に示すように、部品供給装置500は、回動可能に構成されたステージ501及びトレー角度調整機構(トレー角度調整手段)502を有する点、並びに、記憶部503a及びトレー角度調整部503bを制御装置503が有する点で第1の部品供給装置100と相違する。その他の点は、第1の部品供給装置100と同一であるため、説明を省略する。
トレー角度調整機構502は、ステージ501の中央近傍に設けられた軸部501aに連結して設けられている。トレー角度調整機構502は、制御装置503(後述するトレー角度調整部503b)からの指示に基づいてトレーT(より具体的には、ステージ501に載置されたトレーT)の角度を調整する。トレー角度調整機構502によるトレーTの角度の調整により、トレーT上の部品Pの位置が、ロボットR側に接近される。
制御装置503の記憶部503aには、部品Pの種別に応じた反射板103の最適な角度に加え、トレーTの最適な角度が部品Pの種別ごとに予め記憶されている。反射板103の角度と同様に、トレーTの最適な角度は、事前に部品Pの種別に応じて予め特定される。ここで、トレーTの最適な角度とは、ロボットRがトレーTから部品PをピッキングするときのトレーTの角度をいい、より具体的には、トレーTに配置される部品Pの位置とロボットRとの間の距離が短くなるようなトレーTの角度をいう。
制御装置のトレー角度調整部503bは、トレー角度調整機構502を構成する駆動モータ502aの駆動量を制御することにより、トレーTの角度を調整する。この場合、トレー角度調整部503bは、制御装置503に入力される部品Pの識別情報に基づいて、記憶部503aからトレーTの最適な角度を読み出す。また、トレー角度調整部503bは、読み出された最適な角度に基づいて駆動モータ502aの駆動量を算出し、駆動モータ502aに出力する。駆動モータ502aは、算出された駆動量に基づいてトレーTを最適な角度に調整する。
このような構成を有し、第5の部品供給装置500においては、トレーTに配置される部品Pの識別情報が制御装置503に入力されると、その識別情報に基づいて、記憶部503aに記憶された反射板103の最適な角度とトレーTの最適な角度が読み出される。反射板角度調整部105bは、読み出した反射板103の角度に基づいて反射板103を最適な角度に調整する。一方、トレー角度調整部503bは、読み出したトレーTの角度に基づいてトレーTを最適な角度に調整する。この結果、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及びトレーTの角度が最適になるように調整される。
このように、第5の部品供給装置500においては、部品Pの種別に応じて反射板103の角度及びトレーTの角度を調整する。これにより、形状等の異なる多種類の部品Pがピッキング対象となる場合であっても、部品Pに適した態様の拡散光の照射を通じて適切な撮像環境を提供することができる。また、第5の部品供給装置500においては、部品Pの位置がロボットRに接近するようにトレーTの角度が調整されることから、トレーTから部品Pを取り出す際のロボットRの移動量を短くすることができる。よって、トレーTから部品Pを取り出す際の作業時間を短縮することができる。
以下、本発明に係る部品供給装置の複数の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す複数の実施の形態においては、上述した第1〜第5の部品供給装置100〜500のいずれかを組み合わせた場合について説明する。しかしながら、実施の形態においては、必ずしも第1〜第5の部品供給装置100〜500を組み合わせる必要はない。任意の部品供給装置100〜500のいずれかのみで実施することも可能である。また、以下に示す複数の実施の形態において、説明の便宜上、図1〜図5に示す部品供給装置100〜500と共通の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
さらに、以下に示す複数の実施の形態においては、説明の便宜上、部品供給装置から部品供給を受けるロボットRを示している。ロボットRは、例えば、任意の方向に駆動されるアームを備える。このアームの先端に取り付けられるエンドエフェクタを交換することにより、多種類の作業に対応することができる。また、ロボットRは、所定位置(例えば、アームの先端部や頭部)にステレオカメラを搭載することができる。例えば、ロボットRは、ステージ101上に配置されたトレーTをステレオカメラで撮影し、取り出し作業(ピッキング作業)の対象となる部品Pを認識することができる。
(第1の実施の形態)
図6は、第1の実施の形態に係る部品供給装置の構成の説明図である。図7は、第1の実施の形態に係る部品供給装置が有する反射板及び反射板角度調整機構の構成の説明図である。図7Aにおいては、反射板及び反射板角度調整機構の上面図を示し、図7Bにおいては、図7Aに示す一点鎖線Aにおける側断面図を示している。図8は、第1の実施の形態に係る部品供給装置が有する照明手段及び照射角度調整機構の正面模式図である。
第1の実施の形態に係る部品供給装置600においては、第1〜第3の部品供給装置100〜300の機能を組み合わせて備えている。すなわち、第1の実施の形態に係る部品供給装置600は、部品Pの種別に応じて、角度調整可能な反射板601と、角度及び照度調整可能な照明手段602と、反射板601及び照明手段602を調整制御可能な制御装置603とを含んで構成されている。
反射板601は、図6及び図7に示すように、部品供給装置600の筐体部分に固定される固定板611に第1、第2の反射板612、613を揺動可能に連結して構成される。固定板611は、上面視矩形状に形成され、長手方向(図7Aに示す左右方向)の両端から上方に立ち上がる一対の側壁部611aを備えた断面視略U字状を有している。第1、第2の反射板612、613も同様に、固定板611と同一幅の上面視矩形状に形成され、長手方向の両端から上方に立ち上がる一対の側壁部612a、613aを備えた断面視略U字状を有している。固定板611及び第1、第2の反射板612、613は、断面が一致するように並べられ、固定板611の一端に第1の反射板612の一端が第1の回転軸614によって連結され、第1の反射板612の他端に第2の反射板613の一端が第2の回転軸615によって連結される(図7A参照)。
固定板611の一方の側壁部611aには、反射板角度調整機構を構成する駆動モータ616が設けられており、駆動モータ616から他方の側壁部611aに向かって駆動軸617が設けられている。駆動軸617は、ベアリングBを介して側壁部611aに支持されている。第1の反射板612の側壁部612aには、第2の反射板613寄りの位置に2本の従動軸618、619が設けられている。これらの従動軸618、619は、一方の側壁部612aから他方の側壁部612aに向かって延びており、それぞれベアリングBを介して側壁部612aに支持されている。
また、駆動軸617及び第1の回転軸614の一端側(図7の紙面左側)には、第1のベルト620が巻き掛けられており、第1の回転軸614及び従動軸618の他端側(図7の紙面右側)には、第2のベルト621が巻き掛けられている。また、従動軸618、619及び第2の回転軸615には、それぞれギヤ622、623、624が取り付けられており、それぞれのギヤ622、623、624がそれぞれの従動軸618、619及び第2の回転軸615に対して一体回転可能に構成されている。ギヤ622はギヤ623に噛み合っており、ギヤ623はギヤ624に噛み合っている。なお、第1の反射板612に対する第2の反射板613の傾斜角度は、各ギヤ622、623、624の比によって適宜変更が可能である。また、従動軸618(ギヤ622)と第2の回転軸615(ギヤ624)との間に従動軸619(ギヤ623)を設けて従動軸618の回転方向を反転させることにより、従動軸618と第2の回転軸615とを同じ方向に回転させることができる。
駆動モータ616の回転軸616aには、ワイヤ625が巻き掛けられおり、ワイヤ625の一端は第2の反射板613の先端に固定されている(図7に不図示、図6参照)。このワイヤ625は、第2の反射板613の先端のブレ防止の役割を果たす。また、固定板611と第1の反射板612との連結部分、第1の反射板612と第2の反射板613との連結部分には、それぞれトーションバネ626a、626bが設けられている。これらのトーションバネ626a、626bにより、第1、第2の反射板612、613は、重力と反対方向に付勢されている。なお、初期状態においては、トーションバネ626a、626bにより、固定板611及び第1、第2の反射板612、613が水平方向で一直線となるように保持されている。第1の実施の形態では、駆動モータ616が回転駆動されることにより、第1、第2の反射板612、613が連動して揺動する。これにより、第1、第2の反射板612、613それぞれの角度が調整され、照明手段602から照射される光の反射角度が調整される。
例えば、反射板601(第1、第2の反射板612、623)の表面(下面)には、光を効率的に反射させて拡散させることができるように、発泡体(不図示)が設けられている。発泡体としては、例えば、古河電気工業株式会社製のMCPET(登録商標)が挙げられる(拡散反射率97%)。反射板601の表面に発泡体が設けられることにより、照明ムラを抑えて光の照度を高めることができ、効率的な反射及び拡散を実現することができる。なお、反射板601の表面の構成は、上述した発泡体に限定されるものではなく、照明手段602からの光を反射するものであれば、どのような材質で構成されてもよい。
照明手段602は、LED等の光源で構成される棒状の発光部631を有している。この発光部631は、図8に示すように、水平方向(図6に示す紙面奥行き方向)に延びるように配置されている。また、発光部631は、その両端に設けられた固定ブラケット632やシャフト633、駆動モータ634を介して筐体部635に揺動可能に連結されている。筐体部635は、発光部631より長く水平方向に延びており、両端部分が発光部631側に向かって僅かに屈曲された形状を有している。また、発光部631の両端には、一対の固定ブラケット632が取り付けられている。一方の固定ブラケット632には、発光部631の軸心からずれた位置にシャフト633が取り付けられている。また、他方の固定ブラケット632には、一方の固定ブラケット632と同様に発光部631の軸心からずれた位置に駆動モータ634のシャフト634aが取り付けられている。
発光部631の一端(図8に示す右端)は、固定ブラケット632及びシャフト633を介して筐体部635の一方の屈曲部分に連結される。発光部631の他端(図8に示す左端)は、固定ブラケット632及び駆動モータ634を介して筐体部635の他方の屈曲部分に連結される。これにより、発光部631は、駆動モータ634のシャフト634a及びシャフト633を軸に揺動可能に構成される。発光部631(照明手段602)は、駆動モータ634が回転駆動されることで、シャフト634a、633を支点に揺動され、反射板601に対する光の照射角度が調整される。
図6に示すように、制御装置603は、記憶部603a、反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b及び照度調整部203bを備えている。記憶部603aには、反射板601の最適な角度、照明手段602(発光部631)の最適な照射角度及びトレーT上の部品Pに照射される光の最適な照度が、部品Pの種別ごとに予め記憶されている。第1の実施の形態では、これら3つのパラメータ(反射板601の角度、照明手段602の照射角度、光の照度)が相互に関連して最適な値となるように、部品Pの種別に応じて予め実験データや過去の実績データ等に基づいて特定されている。反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b及び照度調整部203bは、上述した第1〜第3の部品供給装置100〜300と共通する機能を有するため、説明を省略する。
また、第1の実施の形態において、制御装置603は、種別判定部(種別判定手段)603bを備えている。種別判定部603bは、トレーT上の部品Pの種別を判定する。種別判定部603bが部品Pの種別を判定することにより、例えば、操作盤106からの部品Pの識別情報の入力を省略することができる。以下、種別判定部603bによる部品Pの種別判定を実現するための構成部品の一例について説明する。なお、種別判定部603bによる部品Pの種別判定について、以下に説明する内容に限定されるものではなく適宜変更が可能である。
第1の実施の形態において、部品Pを保持するトレーTの側面には、バーコードBCが貼付されている。ステージ101上に配置されたトレーTの側面(より具体的には、バーコードBC)に対向する位置には、バーコードBCに表示された情報を読み込む読み込み装置641が設けられている。読み込み装置641は、トレーTに配置される部品Pの種別を判定する際に利用され、例えば、上記したバーコードBCを読み込むバーコードリーダで構成される。
例えば、トレーTの側面に貼付されるバーコードBCには、トレーTに配置される部品Pの種別を示す識別情報が含まれている。読み込み装置641により読み込まれた部品Pの識別情報は、制御装置603の種別判定部603bに出力される。なお、読み込み装置641は、トレーTの側面に貼付されたQRコード(登録商標)を読み込むQRコードリーダで構成することもできる。さらに、識別情報はトレーTの側面だけでなく、底面に配置されていてもよい。この場合には、読み込み装置641はステージ101の上面に対向して設けられる。
種別判定部603bは、読み込み装置641(バーコードリーダ)から出力される識別情報に基づいて部品Pの種別を判定する。種別判定部603bによって判定された部品Pの種別は、各種調整部(反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b及び照度調整部203b)に出力され、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び光の照度の調整に利用される。なお、ここでは、判定された部品Pの種別が各種調整部に出力される場合について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、判定された部品Pの種別を記憶部603aに出力して記憶させておき、必要に応じて各種調整部が読み出す構成としてもよい。
このような構成を有し、第1の実施の形態に係る部品供給装置600においては、ステージ101にトレーTが載置されると、読み込み装置641により、バーコードBCが読み込まれる。そして、このバーコードBCに含まれる部品Pの識別情報が種別判定部603bに出力される。種別判定部603bは、この識別情報から部品Pの種別を判定する。種別判定部603bにより判定された部品Pの種別は、各種調整部(反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b及び照度調整部203b)に出力される。このとき、照明手段602から光が反射板601に向かって照射されている。
各種調整部は、種別判定部603bから部品Pの種別を受け取ると、部品Pの種別に応じて記憶部603aから必要な情報を読み出す。反射板角度調整部105bは、記憶部603aから反射板601の最適な角度を読み出し、その角度に応じた駆動モータ616の駆動量を算出して駆動モータ616に出力する。駆動モータ616は、算出された駆動量に基づいて反射板601を揺動させ、反射板601を最適な角度に調整する。
駆動モータ616が駆動されると、駆動軸617の回転力が第1のベルト620を介して第1の回転軸614に伝達される。これにより、第1の反射板612は、固定板611に対して傾斜される。また、第1の回転軸614の回転力は、第2のベルト621を介して従動軸618に伝達される。従動軸618の回転力は、ギヤ622、623を介して従動軸619に伝達される。そして、従動軸619の回転力がギヤ623、624を介して第2の回転軸615に伝達される。これにより、第2の反射板613が、第1の反射板612に対して傾斜される。
以上のように、第1、第2の反射板612、613がそれぞれ駆動モータ616の駆動量に応じた角度で傾斜される。反射板601が分割された第1、第2の反射板612、613を有することから、反射板601は、部品Pを包み込むような態様となる。これにより、ドーム照明のように部品Pに対して多数の角度から拡散光を照射することが可能となる。また、駆動モータ616の回転に合わせてワイヤ625が巻き取られ、反射板601の傾斜角度に合わせてワイヤ625のテンションが調整される。これにより、第2の反射板613の先端部分のブレが防止される。
照射角度調整部303bは、記憶部603aから照明手段602(発光部631)の最適な照射角度を読み出す。そして、照射角度調整部303bは、その角度に応じた駆動モータ634の駆動量を算出して駆動モータ634に出力する。駆動モータ634は、算出された駆動量に基づいて照明手段602を揺動させ、照明手段602を最適な角度に調整する。
照度調整部203bは、記憶部603aから照明手段602(発光部631)の最適な照度を読み出す。一方、照度調整部203bには、照度測定手段202から測定される光の照度が入力される。照度調整部203bは、記憶部603aから読み出した最適な照度と照度測定手段202が測定した照度とに基づいて照明手段602の照度調整量を算出し、照明手段602に出力する。照明手段602は、その照度調整量に基づいて光の照度を最適な照度に調整する。
以上により、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び照度が最適な状態に調整される。照明手段602から照射される光は、反射板601に反射された後、トレーT上の部品Pに向かって照射される。このとき、照明手段602から照射された光が反射板601に乱反射されることで光が拡散されるため、トレーTの広範囲にわたって光を照射することができ、トレーT全体及び部品P全体の輝度値を上げることができる。このように、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び照度が最適な状態に調整される結果、トレーTに配置された部品Pの種別に応じて適切な撮像環境を提供することができる。
そして、適切な撮像環境の下でトレーT上の部品Pがカメラ107によって撮像される。部品Pの画像データは制御装置603に出力される。制御装置603は、画像データに基づいて部品Pの位置を算出し、ロボットRに出力する。ロボットRは、算出された部品Pの位置に基づいてアームを駆動させ、部品Pをピッキングする。上述したように、部品Pの位置を特定しやすい適切な撮像環境で撮像された部品Pの画像データに基づいて部品Pの位置が特定されるため、ロボットRは、精度よくピッキング作業を実施することができる。また、トレーTに配置される部品Pの種別に応じて撮像環境が調整されることにより、多品種少量生産の生産ラインにおいても、効率的な部品Pのピッキング作業が可能になる。
特に、第1の実施の形態に係る部品供給装置600においては、種別判定部603bが判定した部品Pの種別と記憶部603aが記憶する部品Pの種別とが関連付けられている。これにより、種別判定部603bにより判定された部品Pの種別に応じて部品供給装置600を制御することが可能になる。この結果、種別判定部603bにより判定された部品Pの種別に応じて撮像環境を調整することができ、部品Pの種別に応じた最適な撮像環境を提供することができる。
次に、図9を参照して、第1の実施の形態の変形例について説明する。図9は、第1の実施の形態の変形例に係る反射板及び反射板角度調整機構の構成の説明図である。なお、図9においては、反射板651の角度を調整する構成のみが第1の実施の形態と相違する。図9において、図6及び図7と共通する機能を有する構成要素については、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
第1の実施の形態の変形例に係る反射板651において、反射板角度調整機構を構成する駆動モータ616の駆動力をワイヤ652を介して第2の反射板613に伝達することで反射板651(第1、第2の反射板612、613)の傾斜角度を調整する点で、第1の実施の形態と相違する。駆動モータ616は、第1の実施の形態と同様に、固定板611の一方の側壁部611aに設けられている。駆動モータ616の回転軸616aには、ワイヤ652の一端が巻き掛けられている。ワイヤ652の多端は、第2の反射板613の先端に固定されている。
第1の実施の形態の変形例に係る反射板651においても、固定板611の一端に第1の反射板612の一端が第1の回転軸614によって連結され、第1の反射板612の他端に第2の反射板613の一端が第2の回転軸615によって連結される。なお、第1の反射板612は、第1の実施の形態に係る第1の反射板612と異なり、固定板611の側壁部611a及び第2の反射板613の側壁部613aの内側に配置されている(図9B参照)。
第1の反射板612の側壁部612aの略中央には、2本の従動軸653、654が設けられている。これらの従動軸653、654は、一方の側壁部612aから他方の側壁部612aに向かって延びており、ベアリングBを介して側壁部612aに支持されている。また、従動軸653、654には、それぞれギヤ655、656が取り付けられており、それぞれのギヤ655、656がそれぞれの従動軸653、654に対して一体回転可能に構成されている。ギヤ655は、ギヤ656に噛み合っている。
第1の回転軸614及び従動軸653には、第1のベルト657が巻き掛けられており、第2の回転軸615及び従動軸654には、第2のベルト658が巻き掛けられている。また、固定板611と第1の反射板612との連結部分、第1の反射板612と第2の反射板613との連結部分には、それぞれトーションバネ659a、659bが設けられている(図9A参照)。これらのトーションバネ659a、659bにより、第1、第2の反射板612、613は、重力と反対方向に付勢されている。なお、変形例においても同様に、初期状態においては、トーションバネ659a、659bにより、固定板611及び第1、第2の反射板612、613が水平方向で一直線となるように保持されている。
この反射板651においては、駆動モータ616が回転駆動されることにより、ワイヤ652が巻き取られる。第2の反射板613は、ワイヤ652に引っ張られることで、第2の回転軸615と共に回動する。第2の回転軸615の回転力は、第2のベルト658を介して従動軸654に伝達される。従動軸654の回転力は、ギヤ656、655を介して従動軸653に伝達される。そして、従動軸653の回転力が第1のベルト657を介して第1の回転軸614に伝達され、第1の反射板612は、固定板611に対して傾斜される。このようにして、反射板651の角度が調整される。なお、傾斜角度を戻す場合は、駆動モータ616を反対に回転させると、トーションバネ659a、659bの付勢力によりワイヤ652が引っ張られ、第2の反射板613の先端が上方に向かうように回動される。このように、図9に示す変形例においても、反射板651の角度を調整することができる。そして、第1の実施の形態と同様に、部品Pの種別に応じて反射板651の角度を調整することにより、部品Pに適した撮像環境を提供することが可能となる。
次に、図10を参照して、第1の実施の形態の他の変形例について説明する。図10は、第1の実施の形態の他の変形例に係る部品供給装置の構成の説明図である。図10に示す部品供給装置660においては、反射板661が単一の反射板662を有する点で第1の実施の形態に係る部品供給装置600と相違する。図10において、図6と共通する機能を有する構成要素については、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図10に示すように、固定板611の一端には、反射板662が揺動可能に連結されており、固定板611の他端には、反射板角度調整機構を構成する駆動モータ616が設けられている。駆動モータ616の回転軸616aには、ワイヤ663が巻き掛けられており、ワイヤ663の一端は反射板662の先端に固定されている。また、固定板611と反射板662との連結部分には、トーションバネ664が設けられている。トーションバネ664により、反射板662は、重力と反対方向に付勢されている。
駆動モータ616が回転駆動されることにより、ワイヤ663が巻き取られる。反射板662は、ワイヤ663に引っ張られることで、固定板611の一端(図10に示す右端)に設けられる回動軸611bを支点として回動する。このようにして、反射板662の角度が調整される。なお、傾斜角度を戻す場合は、駆動モータ616を反対に回転させると、トーションバネ664の付勢力によりワイヤ663が引っ張られ、反射板662の先端が上方に向かうように回動される。このように、変形例においても、反射板661の角度を調整することができる。そして、第1の実施の形態と同様に、部品Pの種別に応じて反射板661の角度を調整することにより、部品Pに適した撮像環境を提供することが可能となる。
(第2の実施の形態)
図11は、第2の実施の形態に係る部品供給装置の構成の説明図である。なお、図11において、図6に示す第1の実施の形態に係る部品供給装置600と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
第2の実施の形態に係る部品供給装置700においては、第1〜第4の部品供給装置100〜400の機能を組み合わせて備えている。すなわち、第2の実施の形態に係る部品供給装置700は、第1の実施の形態に係る部品供給装置100に加え、部品Pの種別に応じて、トレーTの高さを調整可能なトレー昇降機構701と、反射板601、照明手段602及びトレー昇降機構701を調整制御可能な制御装置702とを含んで構成されている。
トレー昇降機構701は、トレーTが載置されるステージ401を昇降可能に構成されている。トレー昇降機構701は、パンタグラフ機構711と、パンタグラフ機構711を駆動させるための駆動機構721とで構成される。パンタグラフ機構711は、ステージ401の下方に対向するベース712と、ステージ401及びベース712を連結する一対のリンクアーム713a、713bとを備えている。ベース712は、部品供給装置700の筐体(不図示)に固定されている。一対のリンクアーム713a、713bは、長手方向の中央部分で交差するようにピン714によって揺動可能に連結されている。各リンクアーム713a、713bの一端(下端)はベース712にピン715a、715bで揺動可能に連結される一方、各リンクアーム713a、713bの他端(上端)はステージ401にピン716a、716bで揺動可能に連結される。
リンクアーム713aの他端が連結されるステージ401の連結部分(図11の紙面右側の連結部分)には、水平方向に延びる長穴401aが形成されており、ピン716aが長穴401aに沿って水平方向に摺動可能に構成されている。同様に、リンクアーム713bの一端が連結されるベース712の連結部分(図11の紙面右側の連結部分)にも、水平方向に延びる長穴712aが形成されており、ピン715bが長穴712aに沿って水平方向に摺動可能に構成されている。
駆動機構721は、水平方向(図11の紙面に対して垂直方向)に回転軸を有する駆動モータ722と、駆動モータ722の上方で駆動モータ722に対向配置される従動ローラ723と、駆動モータ722の回転軸と従動ローラ723に巻き掛けられるベルト724と、ベルト724に固定され、ステージ401の一端に連結される連結部725とを備えている。従動ローラ723の回転軸は、駆動モータ722の回転軸と平行に配置されている。駆動モータ722が駆動されると連結部725はベルト724を介して上下方向に移動され、連結部725に連結されるステージ401も一緒に上下方向に移動される。
図11に示すように、制御装置702は、記憶部702a及びトレー高さ調整部404bを備える点で、第1の実施の形態に係る部品供給装置600と相違する。記憶部702aには、反射板601の最適な角度、照明手段602(発光部631)の最適な照射角度、トレーT上の部品Pに照射される光の最適な照度及びトレーTの最適な高さが、部品Pの種別ごとに予め記憶されている。第2の実施の形態では、これら4つのパラメータ(反射板601の角度、照明手段602の照射角度、光の照度、トレーTの高さ)が相互に関連して最適な値となるように、部品Pの種別に応じて予め実験データや過去の実績データ等に基づいて特定されている。
トレー高さ調整部404bは、制御装置702に入力される部品Pの識別情報に基づいて、記憶部702aから当該部品Pの種別に応じたトレーTの高さを読み出す。また、トレー高さ調整部404bは、読み出されたトレーTの高さとトレー高さ測定手段403が測定したトレー高さとに基づいてトレーTの高さ調整量を算出し、駆動モータ722に出力する。これにより、トレー昇降機構701が駆動され、トレーT上の部品Pの撮像面(例えば、上面)がカメラ107の焦点位置に合致する位置にトレーTの高さが調整される。
このような構成を有し、第2の実施の形態に係る部品供給装置700においては、ステージ401にトレーTが載置されると、読み込み装置641により、バーコードBCが読み込まれ、部品Pの識別情報が種別判定部603bに出力される。種別判定部603bは、この識別情報から部品Pの種別を判定する。判定された部品Pの種別は、各種調整部(反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b、照度調整部203b、トレー高さ調整部404b)に出力される。
各種調整部は、種別判定部603bから部品Pの種別を受け取ると、部品Pの種別に応じて記憶部702aから必要な情報を読み出す。ここで、反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b及び照度調整部203bの動作は第1の実施の形態と同一のため、説明を省略する。トレー高さ調整部404bは、記憶部702aから部品Pの種別に応じたトレーTの高さを読み出す。一方、トレー高さ調整部404bには、トレー高さ測定手段403によって測定されるトレーTの高さが出力される。トレー高さ調整部404bは、記憶部702aから読み出したトレーTの高さとトレー高さ測定手段403が測定したトレーTの高さに基づいて、トレーTの高さ調整に必要な駆動モータ722の駆動量を算出する。そして、トレー高さ調整部404bは、算出した駆動量を駆動モータ722に出力する。
駆動モータ722は、算出された駆動量に基づいて駆動され、駆動モータ722及び従動ローラ723に巻回されたベルト724も駆動モータ722に合わせて駆動される。駆動モータ722及び従動ローラ723の間でベルト724に連結された連結部725及びステージ401は、ベルト724の駆動に合わせて上昇又は下降される。このとき、ステージ401とベース712とを連結する一対のリンクアーム713a、713bは、ピン714を支点に回動する。これにより、ベース712に対してステージ401が離間又は接近される。
例えば、ベース712からステージ401が離間する場合(すなわち、ステージ401が上昇する場合)には、水平方向に並ぶ2つのピン716a、716bの間隔が狭くなるように、ピン716aが長穴401aに沿ってスライドする。一方、ベース712に対してステージ401が接近する場合(すなわち、ステージ401が下降する場合)には、水平方向に並ぶ2つのピン716a、716bの間隔が広くなるように、ピン716aが長穴401aに沿ってスライドする。このように、ステージ401が昇降されることで、部品Pの撮像面がカメラ107の焦点位置に合致する位置にトレーTの高さが調整される。
以上により、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び照度及びトレーTの高さが最適な状態に調整される。照明手段602から照射される光は反射板601に反射された後、トレーT上の部品Pに向かって照射される。このとき、照明手段602から照射された光が反射板601に乱反射されることで光が拡散されるため、トレーTの広範囲にわたって光を照射することができ、トレーT全体及び部品P全体の輝度値を上げることができる。また、トレーTの高さが調整されることで、部品Pの撮像面(例えば、上面)がカメラ107の焦点位置に位置合わせされる。このように、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び照度及びトレーTの高さが最適な状態に調整された結果、トレーTに配置された部品Pの種別に応じて適切な撮像環境を提供することができる。
次に、図12を参照して、第2の実施の形態の変形例について説明する。図12は、第2の実施の形態の変形例に係る部品供給装置の構成の説明図である。図12に示す部品供給装置750においては、トレー昇降機構751が直動式のアクチュエータ(直動アクチュエータ)752を有する点で第2の実施の形態に係る部品供給装置700と相違する。図12において、図11に示す部品供給装置700と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
図12に示す部品供給装置750では、トレーTが第1のトレーT1と第2のトレーT2によって構成されている。第1のトレーT1は、上面が開口された箱形状を有しており、第1のトレーT1の底面中央には、開口T11が形成されている。第2のトレーT2は、第1のトレーT1の内底面より面積の小さい板形状を有している。部品Pは、第2のトレーT2上に配置され、第2のトレーT2は、第1のトレーT1上に載置される。トレーTが載置されるステージ101は、トレーTの大きさに対応した箱形状を有しており、上面中央に開口101bが形成されている。トレーTは、ステージ101の開口101bと、上記した第1のトレーT1の開口T11とが一致するように、ステージ101に載置される。
ステージ101の内部には、開口T11、101bの直下に直動アクチュエータ752が設けられている。直動アクチュエータ752は、鉛直方向に伸縮可能な可動軸753を有している。可動軸753の先端は、第2のトレーT2の下面に当接している。直動アクチュエータ752が駆動されることにより第2のトレーT2が可動軸753を介して昇降される。
このように構成される部品供給装置750では、トレーTのバーコードBCから部品Pの識別情報が読み込まれ、部品Pの種別が判定された結果、部品Pの種別がトレー高さ調整部404bに出力される。トレー高さ調整部404bは、記憶部702aから部品Pの種別に応じたトレーTの高さを読み出す。一方、トレー高さ調整部404bには、トレー高さ測定手段403によって測定されるトレーTの高さが出力される。トレー高さ調整部404bは、記憶部702aから読み出したトレーTの高さとトレー高さ測定手段403が測定したトレーTの高さに基づいて、トレーTの高さ調整に必要な直動アクチュエータ752の駆動量を算出する。そして、トレー高さ調整部404bは、算出した駆動量を直動アクチュエータ752に出力する。
直動アクチュエータ752は、算出された駆動量に基づいて駆動され、可動軸753を伸縮させる。例えば、可動軸753が上方に延びる場合、部品Pが載置された第2のトレーT2は、可動軸753によって押し上げられて上昇される。一方、可動軸753が縮む場合、第2のトレーT2は、可動軸753と共に下降される。このように、第2のトレーT2が昇降されることで、変形例においても、部品Pの撮像面がカメラ107の焦点位置に合致する位置にトレーTの高さが調整される。
(第3の実施の形態)
図13は、第3の実施の形態に係る部品供給装置の構成の説明図である。なお、図13において図6に示す第1の実施の形態に係る部品供給装置600と共通の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
第3の実施の形態に係る部品供給装置800においては、第1〜第3及び第5の部品供給装置100〜300、500の機能を組み合わせて備えている。すなわち、第3の実施の形態に係る部品供給装置800は、第1の実施の形態に係る部品供給装置100に加え、部品Pの種別に応じて、トレーTの角度を調整可能なトレー角度調整機構801と、反射板601、照明手段602及びトレー角度調整機構801を調整制御可能な制御装置802とを含んで構成されている。
第3の実施の形態において、トレーTが載置されるステージ501には、中央に回転軸501aが設けられている。トレー角度調整機構801により、この回転軸501aを中心にステージ501が回動するように構成されている。トレー角度調整機構801は、ステージ501に連結されるリンク機構811と、リンク機構811に駆動力を付与する直動アクチュエータ812とを備えている。リンク機構811は、直線形状を有する一対のリンク813a、813bの端部同士をピン814で揺動可能に連結して構成される。上方側に配置されるリンク813aの一端は、ステージ501の一部にピン815によって揺動可能に連結されている。一方、下方側に配置されるリンク813bの一端は、部品供給装置800の筐体(不図示)の一部にピン816を介して揺動可能に支持されている。直動アクチュエータ812は、部品供給装置800の筐体に揺動可能に支持されており、直動方向(図13では左右方向)に伸縮可能な可動軸817を有している。可動軸817の先端は、ピン814に連結されている。
図13に示すように、制御装置802は、記憶部802a及びトレー角度調整部503bを備える点で、第1の実施の形態に係る部品供給装置600と相違する。記憶部802aには、反射板601の最適な角度、照明手段602(発光部631)の最適な照射角度、トレーT上の部品Pに照射される光の最適な照度及びトレーTの最適な角度が、部品Pの種別ごとに予め記憶されている。第3の実施の形態では、これら4つのパラメータ(反射板601の角度、照明手段602の照射角度、光の照度、トレーTの角度)が相互に関連して最適な値となるように、部品Pの種別に応じて予め実験データや過去の実績データ等に基づいて特定されている。
トレー角度調整部503bは、制御装置802に入力される部品Pの識別情報に基づいて、記憶部802aからトレーTの最適な角度を読み出す。また、トレー角度調整部503bは、読み出したトレーTの最適な角度に基づいて直動アクチュエータ812の駆動量を算出し、直動アクチュエータ812に出力する。これにより、トレー角度調整機構801が駆動され、トレーTの角度が、部品Pの種別に応じて最適な角度に調整される。
このような構成を有し、第3の実施の形態に係る部品供給装置800においては、ステージ501にトレーTが載置されると、読み込み装置641により、バーコードBCが読み込まれ、部品Pの識別情報が種別判定部603bに出力される。種別判定部603bは、この識別情報から部品Pの種別を判定し、部品Pの種別は、各種調整部(反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b、照度調整部203b、トレー角度調整部503b)に出力される。
各種調整部は、種別判定部603bから部品Pの種別を受け取ると、部品Pの種別に応じて記憶部802aから必要な情報を読み出す。ここで、反射板角度調整部105b、照射角度調整部303b及び照度調整部203bの動作は第1の実施の形態と同一のため、説明を省略する。トレー角度調整部503bは、記憶部802aから部品Pの種別に応じた最適なトレーTの角度を読み出す。また、トレー角度調整部503bは、記憶部802aから読み出したトレーTの最適な角度に基づいて、トレーTの角度調整に必要な直動アクチュエータ812の駆動量を算出する。そして、トレー角度調整部503bは、算出した駆動量を直動アクチュエータ812に出力する。
直動アクチュエータ812が駆動され、可動軸817が直動方向に伸縮されると、リンク機構811が駆動される。より具体的には、リンク機構811のピン814が駆動される。このピン814の駆動に伴ってリンク813aとリンク813bとの間の角度が変更され、この角度に応じてステージ501が揺動する。これにより、ステージ501に載置されたトレーTは、部品PがロボットRに接近するような角度に調整される。
以上により、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び照度及びトレーTの角度が最適な状態に調整される。照明手段602から照射される光は反射板601に反射された後、トレーT上の部品Pに向かって照射される。このとき、照明手段602から照射された光が反射板601に乱反射されることで光が拡散されるため、トレーTの広範囲にわたって光を照射することができ、トレーT全体及び部品P全体の輝度値を上げることができる。このように、反射板601の角度、照明手段602の照射角度及び照度が最適な状態に調整された結果、トレーTに配置された部品Pの種別に応じて適切な撮像環境を提供することができる。また、部品PがロボットRに接近するような角度にトレーTの角度が調整されることで、トレーTから部品Pを取り出す際のロボットRの移動量を短くすることができる。よって、トレーTから部品Pを取り出す際の作業時間を短縮することができる。
次に、図14〜図16を参照しながら、本発明に係る部品供給装置の構成部品の具体的な位置関係について説明する。図14〜図16は、本発明に係る部品供給装置の構成部品の位置関係の説明図である。なお、図14においては、部品Pが配置されたトレーTが手動で部品供給台に配置される部品供給装置900の具体例を示している。図15及び図16においては、部品Pが配置されたトレーTが自動で部品供給台に配置される部品供給装置1000の具体例を示している。図14〜図16において、説明の便宜上、装置本体の前方側をFRと示し、装置本体の後方側をREと示している。
なお、図14〜図16においては、部品供給装置900、1000に対峙して配置されるロボットRが備えるカメラにより部品Pの画像認識を行う場合について示している。すなわち、図6に示すカメラ107は、ロボットRの所定位置(頭部やアームの所定位置)に設けられている。ロボットRは、このカメラ107によって撮像した部品Pの撮像画像に基づいてピックアップ対象となる部品Pの位置を認識し、当該部品Pのピッキングを行うことができる。
図14A及び図14Bは、それぞれ部品供給装置900の正面図及び側面図を示している。なお、図14においては、2箇所の部品Pの供給箇所が設けられる部品供給装置900の具体例を示している。図14に示すように、部品供給装置900は、装置の後方側に配置された枠体901と、枠体901の前方側に配置された作業台902とを有する。作業台902は、枠体901の下方側部分に配置され、ロボットRのサイズに応じて高さ調整可能に構成されている。
作業台902の上方には、一対の部品供給台903a、903bが設けられている。部品供給台903a、903bには、部品Pを保持するトレーTが載置される。すなわち、これらの部品供給台903a、903bは、上述したステージ101として機能する。これらの部品供給台903a、903bは、ロボットRが部品Pを取り出し易いように傾斜した構成となっている(図14B参照)。なお、これらの部品供給台903a、903bは、トレーT上の部品Pの種別に応じて角度を調整することができる。
部品供給台903a、903bの近傍であって、これらの内側には照度計904a、904bが設けられている。これらの照度計904a、904bは、上述した照度測定手段202として機能する。照度計904aは、部品供給台903aよりも部品供給装置900の中央側の位置に配置されている。照度計904bは、部品供給台903bよりも部品供給装置900の中央側の位置に配置されている。これらの照度計904a、904bは、部品供給台903a、903b上に載置されたトレーTにおける上下方向の中央近傍に対応する位置に配置されている。
枠体901の上端部には、一対の反射板905a、905bが設けられている。これらの反射板905a、905bは、枠体901に固定された固定部906a、906bを有している。反射板905a、905bの側方側であって、固定部906a、906bの端部近傍には、反射板角度調整機構907a、907bが設けられている(図14Bにおいては、反射板角度調整機構907bのみを示している)。これらの反射板角度調整機構907a、907bは、固定部906a、906bの端部を支点に反射板905a、905bの角度を調整可能に構成される。
また、枠体901における反射板角度調整機構907a、907bの近傍には、ブラケット908を介して一対の照明909a、909bが支持されている。照明909a、909bは、それぞれ反射板905a、905bに対して光を照射する。これらの照明909a、909bは、照射角度調整機構910a、910bを介してブラケット908に取り付けられている(図14Bにおいては、照射角度調整機構910bのみを示している)。これらの照射角度調整機構910a、910bは、照明909a、909bからの光の照射角度を調整可能に構成される。
図14に示す部品供給装置900においては、部品供給台903a、903bに載置された部品Pの種別に応じて、照射角度調整機構910a、910bにより照射角度が調整される一方、反射板角度調整機構907a、907bにより反射板905a、905bの角度が調整される。
図14においては、反射板905a、905bから反射した光の照射範囲を一点鎖線で示している。照度計904a、904bは、それぞれ反射板905a、905bから反射した光の照射範囲内に配置されている。このため、照度計904a、904bは、それぞれ反射板905a、905bから反射した光の照度を適切に計測することができる。これらの照度計904a、904bの計測結果に応じて、更に照明909a、909bによる照射角度及び照度、並びに、反射板905a、905bの角度が調整される。このように照明909a、909bによる照射角度及び照度、並びに、反射板905a、905bの角度が調整されることで、ピッキング対象となる部品Pの種別に応じた適切な撮像環境を提供することが可能となる。
図15は、部品供給装置1000の斜視図を示している。図16A及び図16Bは、それぞれ部品供給装置1000の正面図及び側面図を示している。なお、図15及び図16においては、3箇所の部品Pの供給箇所が設けられる部品供給装置1000の具体例を示している。図15及び図16に示す部品供給装置1000において、部品Pに対して光を照射するための構成部品(照明、照射角度調整機構、反射板及び反射板角度調整機構)は、その設置数を除き、図14に示す部品供給装置900と共通の構成を有する。このため、図15及び図16においては、これらの構成部品の詳細な説明を省略する。
図15及び図16に示すように、部品供給装置1000は、筐体1001と、筐体1001の前方に配置された作業台1002a〜1002cとを有する。筐体1001の上方には、トレー供給路1003a〜1003cが設けられている。これらのトレー供給路1003a〜1003cの表面(上面)には、前方側に下がるように傾斜面が設けられている。また、トレー供給路1003a〜1003cの下面部の側方には、それぞれ一対のレール1004a、1004bが設けられている。これらのレール1004a、1004bには、図示しない複数のローラが配置され、部品Pを保持するトレーTを装置本体の前方に搬送する役割を果たす。
トレー供給路1003a〜1003cの前方側には、部品供給台1005a〜1005cが設けられている。部品供給台1005a〜1005cの前端部には、一対のストッパ1005d、1005eが設けられている。これらのストッパ1005d、1005eは、トレー供給路1003a〜1003cから搬送されるトレーTを停止すると共に、トレーTを排出するまでトレーTを一定位置に保持する役割を果たす。
部品供給台1005a〜1005cは、前端部がそれぞれ作業台1002a〜1002cに設けられた一対の支持片1006a、1006bに支持されている。また、部品供給台1005a〜1005cの後端側の下面には、昇降機構1007が連結されている(図15においては、部品供給台1005cに対応する昇降機構1007のみを示している)。この昇降機構1007は、上述したトレー角度調整機構502として機能する。
昇降機構1007は、筐体1001の上面から伸縮ロッド1007aが露出するように配置されている。この伸縮ロッド1007aが伸縮することにより、部品供給台1005a〜1005cは、前端部を回動支点として後端部が揺動可能に構成されている。このような揺動動作により、部品供給台1005a〜1005cは、例えば、ロボットRに対する部品供給位置、部品供給路1003からのトレーTの受け入れ位置(トレー受け入れ位置)及びトレーTの排出位置(トレー排出位置)に配置される。
図15においては、部品供給台1005aの後端が昇降機構1007により所定位置まで持ち上げられ、部品供給台1005cの後端が昇降機構1007により所定位置まで引き下げられた場合について示している。また、図15においては、部品供給台1005bの表面が、昇降機構1007によりトレー供給路1003bの表面(傾斜面)と略同一平面上に配置された場合について示している。ここでは、部品供給台1005a、1005b及び1005cは、それぞれ部品供給位置、トレー受け入れ位置及びトレー排出位置に配置された場合について示している。
トレー排出位置に配置された部品供給台1005a〜1005cの後方には、トレー排出路1008a〜1008cが設けられている(図15においては、部品供給台1005cに対応するトレー排出路1008cのみを示している)。これらのトレー排出路1008a〜1008cの表面(上面)には、後方側に下がるように傾斜面が設けられている。ロボットRにより全ての部品Pが取り出されると、昇降機構1007により部品供給台1005a〜1005cは、トレー排出位置に配置される。この場合、トレーTは、自重によりトレー排出路1008a〜1008cに進み、図示しないトレー回収ボックスに収容される。
部品供給台1005a〜1005cの近傍であって、これらの前方側には照度計1009a〜1009cが設けられている。例えば、照度計1009a〜1009cは、部品供給台1005a〜1005cの中央近傍で前方に突出する舌片部に設置することができる。
なお、ここでは、照度計1009a〜1009cを部品供給台1005a〜1005cの前方に設ける場合について説明している。しかしながら、照度計1009a〜1009cの位置については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、破線で示すように、作業台1002a〜1002cの上面に照度計1009a〜1009cを設けることもできる。また、後述する反射板1010a〜1010cから反射される光の照度を精度良く計測できることを条件として、部品供給台1005a〜1005cの側方に設けるようにしてもよい。
図16に示すように、部品供給台1005a〜1005cの上方には、反射板1010a〜1010cが設けられている。例えば、これらの反射板1010a〜1010cは、図14に示す部品供給装置900と同様に、筐体1001に固定される枠体に支持される。図14に示す部品供給装置900と同様に、反射板1010a〜1010cの周辺には、反射板1010a〜1010cの角度をそれぞれ調整する反射板角度調整機構と、反射板1010a〜1010cにそれぞれ光を照射する照明と、これらの照明による照射角度を調整する照射角度調整機構とが設けられている。
図15及び図16に示す部品供給装置1000においても、図14に示す部品供給装置900と同様に、部品供給台1005a〜1005cに載置された部品Pの種別に応じて、照射角度調整機構により照射角度が調整される一方、反射板角度調整機構により反射板1010a〜1010cの角度が調整される。
図16においては、反射板1010a〜1010cから反射した光の照射範囲を一点鎖線で示している。図16に示すように、照度計1009a〜1009cは、それぞれ反射板1010a〜1010cから反射した光の照射範囲内に配置されている。このため、照度計1009a〜1009cは、それぞれ反射板1010a〜1010cから反射した光の照度を適切に計測することができる。これらの照度計1009a〜1009cの計測結果に応じて、更に照明による照射角度及び照度、並びに、反射板1010a〜1010cの角度が調整される。このように照明による照射角度及び照度、並びに、反射板1010a〜1010cの角度が調整されることで、ピッキング対象となる部品Pの種別に応じた適切な撮像環境を提供することが可能となる。
なお、以上のように説明した各種の部品供給装置は、部品供給装置のステージ101等に配置されたトレーTから部品Pを取り出すロボットRと共にロボットピッキング装置を構成することができる。このロボットピッキング装置においては、部品Pの種別に応じた適切な撮像環境で撮像された部品Pの撮像画像に基づいて、部品Pの位置を適切に認識することができる。この結果、形状等の異なる多種類の部品であっても精度よくピッキング作業を実施することができる。
また、このロボットピッキング装置を任意の生産ラインに適用することにより、ロボット組立システムを構成することができる。このロボット組立システムにおいては、例えば、生産ライン上の各工程に上述したロボットピッキング装置が配備される。それぞれのロボットピッキング装置では、ロボットRが、部品供給装置から部品Pをピッキングし、製品を組み立てるために割り当てられた作業を行う。このロボット組立システムにおいては、各工程に配備されたロボットピッキング装置にて、形状等の異なる多種類の部品を精度よくピッキングして製品を組み立てることができるため、生産ライン全体の生産効率を向上することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
例えば、上記実施の形態においては、トレーTに配置された部品Pの種別に応じて撮像環境をフレキシブルに調整する場合について示している。しかしながら、撮像環境を調整する際の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、部品Pの種別に加え、トレーTにおける部品Pの保持形態に応じて撮像環境を調整するようにしてもよい。この場合には、トレーTにおける部品Pの保持形態を含めて撮像環境が調整されるので、トレーTに保持された部品Pにより適した撮像環境を提供することができる。
また、トレーTのサイズが複数存在する場合においては、部品Pの種別に加え、そのトレーTのサイズに応じて撮像環境を調整するようにしてもよい。この場合には、トレーTのサイズを含めて撮像環境が調整されるので、トレーTに保持された部品Pにより適した撮像環境を提供することができる。
さらに、上記実施の形態においては、反射板103(601、651、661)に対して光を照射する照明手段102(201、301、602)を1つずつ備える場合について説明している。しかしながら、照明手段102の数については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、反射板103(601、651、661)に対して2つ以上の照明手段102を備えるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態においては、第1、第2の反射板612、613を有する反射板601を備える場合について説明している。しかしながら、反射板601の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、反射板601を3つ以上の反射板で構成することも可能である。3つ以上の反射板で構成する場合には、2つの反射板を有する場合に比べて更に部品Pを包み込むような態様とすることができる。これにより、部品Pに対して更に多数の角度から拡散光を照射することが可能となる。