近年、ペットブームとして犬や猫のような愛玩動物を飼育する家庭が増加している。このような愛玩動物を飼育することは、飼い主の精神的癒しや子供の情操教育にもつながることから、家族の一員として深く愛情を注いでいる家庭も存在する。このような家庭にとって、ペットの健康維持・管理は家族の健康維持と共に大変重要な事項である。
一方、愛玩動物を連れて散歩をすることは愛玩動物の運動ばかりか飼い主の運動にもなり、特に高齢者の運動不足の解消や健康維持にも役立つものといえる。しかし、愛玩動物の大小や飼い主の年齢等により、愛玩動物ばかりでなく飼い主にも適正な運動量があり、過度な運動による疲労を防がなければならない。さらに、散歩の途中の交通事故、特に夜間における散歩の事故を避ける必要がある。
この点で、特許文献1においては、夜間の散歩での事故を防ぐため、ペット(愛玩動物)に装着する首輪に電池及び発光ダイオード(LED)を組み込んで、ペットの位置を遠方から確認できることによりペット散歩中の交通事故を避けるという技術思想が開示されている。
また特許文献2においては、ペットの首輪ばかりでなく、首輪に繋いだリード(引き綱)も発光させて、夜間の事故を防止するような技術思想が開示されている。
上記2つの特許文献に開示されるのは、夜間、愛玩動物との散歩での事故防止には優れた技術思想ではあるが、愛玩動物の適正運動量や、愛玩動物を連れて歩く飼育者(飼い主)の健康についての考慮はなされていない。また、首輪もリードも夜間での事故を防止するために単に光るというだけで、光り方や発光色による情報の表示という思想にまでは言及していない。
上述のように、愛玩動物と飼育者とが長く共生していくためには、両者の健康維持をしていくことが重要である。この健康維持のためには両者が一緒に適度な散歩をすることが有効な手段である。しかし、健康維持のための散歩が過度になり、かえって愛玩動物や飼育者の健康を害してしまう恐れがある。
このような弊害を避けるためにも、本願は、愛玩動物及び飼育者の運動量を知ることが可能な、また、愛玩動物と飼育者の運動量とその推移を知って健康管理に役立てることも可能な動物用装着装置及び動物用装着装置システムを提供することを課題とする。
さらに、夜間の愛玩動物及び飼育者の散歩の危険防止も可能とし、また、愛玩動物と飼育者を結ぶリードを通しての情報伝達も可能な動物用装着装置及び動物用装着装置システムを提供することを課題とする。
上記のような各課題を解決するために、本発明に係る愛玩動物用装着装置においては、動物装着装置を、歩数センサ、外光センサ、演算装置(コンピュータ(CPUと略)、メモリ、インターフェースを含む)、電波送信機、電波受信機、表示器、リードとの機械的/電気的接続を行うリード接続部、電源を備えて構成させる。より詳細には、動物をつなぐためのリードに接続するための接続部と、前記接続部にインターフェースを介して接続され演算及び制御を行うための演算部と、前記演算部に接続され歩数をカウントするための歩数センサ部と、前記演算部に接続されリード付き持ち手との間で電波の送受信を行うための送受信部と、前記演算部による制御に基づき情報を表示するための表示部と、前記各項に電力を供給するための電源とを具備する動物用装着装置として実現する。
また、上記構成の動物装着装置において、歩数センサの情報から、愛玩動物の歩行による消費エネルギーを概算し、該エネルギーに相当する表示を当該表示器に行う。
また、上記の愛玩動物用装着装置において、概算した消費エネルギー情報を、電波送信機にて送信する。
さらに、上記の愛玩動物用装着装置において、携帯端末よりの制御情報を含む電波信号を電波受信機にて受信した該制御情報、或いはリードとの電気的接続を行うリード接続部を介しての制御情報により上記消費エネルギーの演算基準の変更及びあるいは表示方法を変更するようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために本願は、上述のいずれかの構成を有する動物用装着装置と、リードを介して前記接続部と接続可能である前記リード付き持ち手とを具備する動物用装着装置システムとして実現することもできる。この場合に、上記動物装着装置のリードとの機械的/電気的接続を行うリード接続部に、リード付き持ち手のリードが接続可能であるようにしてもよい。
さらに、上記リード付き持ち手は、歩数センサ、外光センサ、演算装置(CPU、メモリ、インターフェースを含む)、電波送信機、表示器、リードとの機械的/電気的接続を行うリード接続部、コントローラ、リード、電源を備えて構成されるようにする。
また、上記リード付き持ち手において、上記歩数センサの情報から、上記持ち手を保持する飼育者の歩行による消費エネルギーを概算し、該消費エネルギーに相当する表示を上記表示器に行うと共に、上記発光表示器をあるいは発光装置に該エネルギーに相当する表示を行うようにする。
さらに、上記リード付き持ち手において、上記飼育者の歩行による消費エネルギー情報を上記電波送信機によって送信する。
また、上記動物装着装置において、上記演算装置に振動装置を連接させ、同演算装置に接続する電波受信機からの受信信号あるいは上記リード付き持ち手からの信号により上記振動装置を動作させるようにする。
さらに、上記リード付き持ち手において、上記リード接続部に接続するリードに発光表示器をあるいは発光装置を組み込むようにしてもよい。
また、上記動物装着装置システムにおいて、上記演算装置に振動装置を連接させ、同演算装置に接続する電波受信機からの受信信号あるいは上記リード付き持ち手からの信号により上記振動装置を動作させるようにする。
さらに、上記システムにおいて、上記リード接続部に接続するリードに発光表示器をあるいは発光装置を組み込むようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る動物用装着装置及び/もしくは同システムは、愛玩動物及び飼育者両者の歩行歩数による消費エネルギーを概算することにより、愛玩動物及び飼育者の健康管理に役立つという新しい効果を生み出すことができる。この効果は、従来愛玩動物あるいは飼育者どちらか一方の健康のみに着目していたものを、本発明により飼育者と愛玩動物とが共に健康に生活をし、同じ家族として生きていくという、ペットがもたらす究極の共存、共生生活をもたらすものである。
以上に加えて、外光が暗い夜間の散歩には消費エネルギーを表示する表示器を発光させ、他の歩行者や車両の邪魔になることなく、事故を起こすことを防止することができる。
また、上記の消費エネルギー情報を外部のパソコンや携帯端末に無線伝送できるため、現在広く用いられている健康管理ソフトを用いて、飼育者及び愛玩動物の適正な健康管理を行うことができる。
さらに、愛玩動物へ装着する首輪のような装着装置に振動装置(バイブレータ)を組込み、リード或いは無線によって該振動装置を操作することにより、飼育者が愛玩動物にある程度の命令を伝達することが可能になる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る愛玩動物用装着装置1の概略図である。本発明1は、犬や猫のような愛玩動物に装着する首輪や胴帯のような動物装着装置2と装着装置2に接続するリード付き持ち手3から構成される。
図2は、本発明の一実施形態に係る愛玩動物用装着装置1を構成する動物装着装置2の外形概略図である。同図に示されるように、動物装着装置2は、通常の愛玩動物用首輪あるいは胴バンドと類似の外形としてもよく、表示器を見やすい形態としてもよい。動物装着装置2の外側には表示器2−2とリード接続部2−1とが装着されている。
また、後述する充電可能電池2−3が脱着可能な状態で装着されており、同じく後述する回路部分2−5〜2−10が動物装着装置2の内部に装着されている。動物装着装置2の愛玩動物への取付けは通常の首輪の取り付けと同様な取付け方法で行われる。図2においてはピンバックルによる装着例を示すが、ピン穴なしのバックルや結び紐等による装着方法としてもよく、これらは全て本発明の技術思想に含まれるものである。
図3は、本発明の一実施形態に係る愛玩動物用装着装置1の動物装着装置2に係るブロックダイヤグラムである。同図に示されるように、動物装着装置2には、CPU2−5(以下、より厳密に、「(CPU+メモリ)2−5」とも呼ぶ。)に表示器2−2、歩数センサ2−6、外光センサ2−7、インターフェース2−10、電波送受信機2−8が接続されて内包され、これらの電源として機能する電池2−3、及びインターフェース2−10を介して接続される振動装置2−11、温度センサ2−12が内包されて形成される。振動検出センサあるいは衝撃検出センサを用いた歩数センサ2−6によって愛玩動物の歩数が計測され、該歩数に基づいて愛玩動物の方向による消費エネルギーが(CPU+メモリ)2−5によって概算され表示器2−2に表示されるようになっている。
表示例としては図2の表示器2−2のように消費エネルギーを段階的なレベルによって表示してもよいし、表示器2−2全体の点灯色を変化させて消費エネルギーの程度を表示したり、これらの両表示法を組み合わせてもよい等、色々な表示方法・態様が考えられる。これらは全て本発明の技術思想に含まれるものである。
また、表示器2−2は、LEDのような発光素子自体あるいは発光素子バックの液晶表示器としてもよく、点灯表示は電源電池の消耗を少なくするため間欠点灯とし、外光センサ2−7の情報によって一定の外光照度以下になったとき点灯してもよい。
上述のように、動物装着装置2の(CPU+メモリ)2−5には電波送受信機2−8が連接されることから、消費エネルギー情報を電波送受信機2−8及びアンテナ2−9によって送信することができる。また、愛玩動物と離れた場所のパソコンや携帯端末によって受信し、愛玩動物の消費エネルギーを観測することができる。電波形態としては特定小電力無線、Wi−Fi(登録商標)を用いてもよいが、たとえば2.4GHzのZigBee(登録商標)を用いればアンテナ2−9をたいへん小型にできる。なお、電波による情報送受信は公知の技術によるので、詳細は省略する。
さらに、上述のように、動物装着装置2の(CPU+メモリ)2−5にはインターフェース部2−10が接続され、愛玩動物と飼育者とはインターフェース部2−10を介して、リード3−1及びリード接続部2−1と電気的に接続される。一方、リード3−1は動物装着装置2そのもの及びリード接続部2−1によって機械的にも接続されている。
また、インターフェース部2−10を介して愛玩動物の体温を計測する温度センサ2−12や振動装置2−11を動物装着装置2中に組み込むことが可能であり、愛玩動物の体温を観測したり、振動装置2−11の振動の断続によって愛玩動物に若干の命令をすることが可能となる。なお、(CPU+メモリ)2−5とインターフェース部2−10とが、いわゆる演算装置を構成している。
また、動物装着装置2の外面には機械的/電気的接続を行うリード接続部2−1が設けられており、インターフェース2−10を介してCPU2−5に接続されている。このリード接続部2−1を介して、後述するリード付き持ち手より、或いはパソコンや携帯端末の電波信号により、表示器の表示方法の変更や消費エネルギーの計算方法の変更等をすることができる。例えば、愛玩動物として犬を例に取れば、大型犬と中型犬や小型犬では、健康維持のための適正消費エネルギーが異なるので、エネルギー限度の表示等を変える必要がある。こうした場合に上記変更可能手段を設けるのが好適である。
図4は、リード付き持ち手3の外観概略図の一例である。リード付き持ち手3は片手で握りやすい形状をしており、一方にはリード接続部3−4を介して愛玩動物と結ぶリード3−1が取り付けられている。リード持ち手3の電源は充電可能な電池3−3によって供給され、電池3−3は充電に便利なように着脱式であることが望ましい。また、動物装着装置2とリード付き持ち手3とがリード接続部3−4を介してリード3−1で結合されているときは、リード3−1を介してリード付き持ち手3から動物装着装置2に電源を供給することも可能である。
一方、リード付き持ち手3には動物装着装置2の表示器2−2と同様な表示器3−5と、愛玩動物及び飼育者の消費エネルギーの表示切替や振動装置2−11のON/OFF等の制御を行うためのコントローラ3−6とが組み込まれている。
図5は、本発明の一実施形態に係る愛玩動物用装着装置1のリード付き持ち手3に係るブロックダイヤグラムである。同図に示されるように、リード付き持ち手3には、CPU5−3に表示器3−5、歩数センサ5−1、外光センサ5−2、インターフェース5−5、電波送信器5−4が接続して内包され、これらの電源として機能する電池3−3、及びインターフェース5−5を介して接続されるコントローラ3−6が内包されて形成される。振動あるいは衝撃検出センサを用いた歩数センサ5−1によってリード付き持ち手3を保持する飼育者の歩数が計測されて、該歩数に基づいて飼育者による消費エネルギーがCPU5−3によって概算されて表示器3−5に表示される。表示例としては図2の表示器2−2のように消費エネルギーを段階的なレベル的に表示してもよいし、表示器3−5全体の点灯色を変化させて消費エネルギーの程度を表示したり、数値表示をしたり、これらの表示方法を組み合わせる等してもよく、色々な表示方法・態様が考えられる。これらは全て本発明の技術思想に含まれるものである。
表示器3−5による点灯表示は電源電池の消耗を少なくするため間欠点灯とする。コントローラ3−6により飼育者が点灯のON/OFFを行うことができ、外光センサ5−2の情報によって一定の外光照度以下になったとき点灯することもできる。
リード3−1は、通常の愛玩動物の首輪に接続するリードと略同の材質の光ファイバーを沿わせたり、或いは間隔をあけて発光ダイオードを設置した電線を沿わせる等によってリードが発光可能なる構造としている。光ファイバーの光源や発光ダイオードの電源はリード持ち手3中に設置する。なお、発光可能なリードについては各種の方法があるが、公知の技術であるため詳細説明は省略する。