JP2016201441A - R−t−b系薄膜永久磁石 - Google Patents

R−t−b系薄膜永久磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】高い保磁力を有する薄膜永久磁石を提供する。
【解決手段】R(RはR1およびR2からなり、R1はHo、Gdを含まない希土類元素の少なくとも1種以上の希土類元素、R2はHoまたはGdの少なくとも1種以上の希土類元素)、T(TはFe、もしくはFeとCoを必須とする1種以上の遷移金属元素)、およびBを含むR−T−B系薄膜永久磁石であって、R14B構造を有する主相粒子の総希土類量に対するR2の割合は5.0at%以上、50.0at%以下であり、かつ前記主相粒子の平均一次粒子径Dが30nm〜600nmであり、粒界にR1−R2−Fe相(R1−R2−Fe相内の総希土類量に対するR2の割合は1.0at%以上、50.0at%以下である)を有し、磁性層全体に占めるR1−R2−Fe相の断面積割合が6.0%以上、27.0%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類薄膜永久磁石に関し、特にR−T−B系薄膜永久磁石において、HoまたはGdを含むことで高保磁力が得られる薄膜永久磁石に関する。
正方晶R14B型化合物を主相とするR−T−B系永久磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe)は優れた磁気特性を有することが知られており、1982年の発明(特許文献1)以来、代表的な高性能永久磁石である。特に、希土類元素RがNd、Pr、Dy、Ho、TbからなるR−T−B系永久磁石は異方性磁界Haが大きく、永久磁石材料として広く用いられてきた。中でも希土類元素RをNdとしたNd−Fe−B系永久磁石は、飽和磁化Is、キュリー温度Tc、異方性磁界Haのバランスが良く、資源量、耐食性において他の希土類元素を用いたR−T−B系永久磁石よりも優れているために民生、産業、輸送機器などに広く用いられている。
近年、電子機器の小型・高性能化に伴い、民生、産業、輸送機器などに使用される永久磁石の小型化、薄型化が要求されている。しかし、主に粉末冶金法で製造されるNd−Fe−B系永久磁石の小型化、薄型化には限界があり、そこで、成膜プロセスを用いた薄膜磁石の研究が活性化している。
Nd−Fe−B系永久磁石は酸素に対して活性な希土類元素を含有するため、ガス量と濃度の制御が容易な真空蒸着法が成膜プロセスとして一般的である。中でも、スパッタリング法は、他の物理的蒸着手法に比べてスパッタリング粒子の運動エネルギーが高い為に基材との密着性や磁気的性質の優れた薄膜が得られる点や、マグネストロンスパッタリング法の進歩により生産性が著しく向上したことなどから、最も有力な薄膜形成方法の一つと考えられている。
たとえば、非特許文献1では、DCマグネトロンスパッタリング法により、Nd13.0at%〜17.0at%、Fe65.5at%〜77.0at%、B10.0at%〜17.5at%の組成で、最高値で保磁力558kA/m、残留磁化0.96Tの永久磁石薄膜を得たことを報告している。
また、特許文献2では、Taからなる高融点金属相と主たる構成相がRFe14B(RはNdまたはPr)である希土類合金磁性層とが交互に積層された永久磁石薄膜が提案され、最高値で保磁力1.2MA/mの薄膜永久磁石を得ている。しかし、この薄膜磁石では交互積層する必要があるため、作製が容易ではない。また、微細構造の制御が十分ではなく、焼結磁石で得られるような高保磁力を得ることができなかった。
特開昭59−46008号公報 特開2001−237119号公報
「Nd−Fe−Bスパッタリング異方性薄膜磁石」日本応用磁気学会誌Vo1.15,No.2(1991)、P.241―244
従来のR−T−B系薄膜永久磁石では、実用に耐えうる十分な保磁力を有していなかった。本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、高保磁力を有するR−T−B系薄膜永久磁石を提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の薄膜永久磁石は、R(RはR1およびR2からなり、R1はHo、Gdを含まない希土類元素の少なくとも1種以上の希土類元素、R2はHoまたはGdの少なくとも1種以上の希土類元素)、T(TはFe、もしくはFeとCoを必須とする1種以上の遷移金属元素)、およびBを含むR−T−B系薄膜永久磁石であって、R14B構造を有する主相粒子の総希土類量に対するR2の割合は5.0at%以上、50.0at%以下であり、かつ前記主相粒子の平均一次粒子径Dが30nm〜600nmであり、粒界にR1−R2−Fe相(R1−R2−Fe相内の総希土類量に対するR2の割合は1.0at%以上、50.0at%以下である)を有し、磁性層全体に占めるR1−R2−Fe相の断面積割合が6.0%以上、27.0%以下であることを特徴とする。
本発明者らは、HoまたはGdを該膜中に含むことで、R1−R2−Fe相が形成され、R14B粒子の微細化の効果が得られる事実を見出した。この理由は定かでないが、R2が含まれない場合、R1−Fe相からR14B粒子が形成される。一方で、適切な量のR2が含まれる場合、R1−R2−Fe相からR14B粒子が形成されるとともに、R1−R2−Fe相の一部からR2Fe相が形成され、R14B粒子の粒成長が空間的に抑制されると発明者らは考える。R2としてはHoまたはGdで特に微細化効果が得られた。これは他の希土類元素と比較し、HoFe相またはGdFe相が形成されやすい為と考える。
HoFe14BまたはGdFe14BはNdFe14Bより高い結晶化温度を有する事が知られている。しかし、本発明者らは、R1とHoまたはGdを該膜中に含むことで、NdFe14Bと同等の温度でR14Bが形成できる事実を見出した。この理由は定かではないが、R1とHoまたはGdが共存する事で、NdFe14Bと同等の共晶温度が存在すると発明者らは考える。NdFe14Bと同等の温度でR14Bを形成することにより、R1−R2−Fe相の微細化効果が顕著に得られる。これは、より低い温度にすることで粒成長よりも核生成が促進されるためと考えられる。
本発明者らは、[0010]と[0011]の効果により、微細化がより促進されると考える。また、[0010]と[0011]の効果は、薄膜永久磁石の成膜温度プロセスに反映させることによって、より顕著に得られると考えられる。
本件発明は、R−T−B系薄膜永久磁石において、所定量のHoまたはGdを含有せしめ、また、R−T−B主相粒子内のHoまたはGd比率、粒界相のHoまたはGd比率を制御することにより、高い保磁力を得ることが可能となり、従来のNd−Fe−B系薄膜永久磁石より保磁力を高くすることができる。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係るR−T−B系薄膜永久磁石は、組成がR(RはR1およびR2からなり、R1はHo、Gdを含まない希土類元素の少なくとも1種以上の希土類元素、R2はHoまたはGdの少なくとも1種以上の希土類元素)、T(TはFe、もしくはFeとCoを必須とする1種以上の遷移金属元素)、およびBからなる薄膜永久磁石であり、R14B構造を主相とする。ここで、R14B構造をもつ粒子を、R−T−B主相粒子と記載する。
本実施形態に係るR−T−B系薄膜永久磁石は、R−T−B主相粒子と、Rリッチ相及びB相を含む粒界相で構成される。さらに、本発明は、粒界にR1−R2−Fe相、R2Fe相を含む。
本実施形態において、R1はHo、Gdを含まない希土類元素の少なくとも1種以上の希土類元素である。なお、R1は、高い異方性磁界を得ることを考慮すると、Nd、Pr、Dy、Tbであることが好ましく、また、原料価格と耐食性の観点から、Ndが更に好ましい。
本実施形態において、R2はHoまたはGdの少なくとも1種を含有する。R−T−B系薄膜永久磁石中にHoまたはGdの少なくとも1種を含有する事で、該薄膜中のR−T−B主相粒子の成長が抑制できる。R2としては、微細化効果の大きさからHoが好ましい。
本実施形態において、TはCoを10.0at%以下含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
本実施形態において、Bは、その一部をCで置換してもよい。Cの置換量はBに対して10.0at%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る薄膜永久磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.01〜1.2at%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる薄膜永久磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。また、本実施形態に係る薄膜永久磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることが出来る。
本実施形態に係る元素は、原料に由来する不純物、又は製造時に混入する不純物としての他の成分を含んでもよい。
本実施形態において、係る薄膜永久磁石の主相粒子の組成は、原子比率で総希土類量に対するR2の割合が5.0at%以上、50.0at%以下である。50.0at%より大きくした場合には主相粒子から粒界相へR2が拡散するため、粒界相のR2の割合が50.0at%より大きくなってしまい、保磁力の低下がおきる。一方、5.0at%未満の場合には、R1−R2−Fe相が十分に得られず、微細化の効果が得られない。
本実施形態に係る薄膜永久磁石は、主相粒子の平均1次粒子径が30nm〜600nmである。30nm未満では、表面欠陥の影響が大きくなり、保磁力が低下する。600nmより大きい場合も保磁力が低下する。
本実施形態において、係る薄膜永久磁石のR1−R2−Fe粒界相の組成は、原子比率で総希土類量に対するR2の割合が1.0at%以上、50.0at%以下である。R2の割合が増加するに従って微細化効果により主相粒子径が減少するが、50.0at%より大きいと、微細化効果が促進しすぎ、主相粒子の表面積が大きくなるため、表面欠陥の影響により、保磁力の低下がおきる。さらに、R2割合が1.0at%未満の場合では、R1−R2−Fe相が十分に得られず、微細化の効果が得られない。
本実施形態において、係る薄膜永久磁石の磁性層全体における粒界相の断面積割合は、6.0%以上、27.0%以下である。断面積割合が27.0%以上だと、微細化効果が制御できなくなり、保磁力が低下する。一方、粒界相の断面割合が6.0%未満と極端に小さい場合には、十分な微細化効果が得られず、保磁力の低下がおきる。なお、磁性層とは、基材と下地膜、保護膜を含まないR−T−B系化合物相であって、R14B構造を有する主相粒子と粒界相で構成される。ここで、粒界相は非磁性であっても良い。
以下、本件発明の製造方法の好適な例について説明する。R−T−B系永久磁石の製造方法は、スパッタリングやレーザーデポジション等の物理的成膜方法などがあるが、スパッタリングによる製造方法の一例について説明する。
材料として、先ず単元素ターゲット材を準備する。複数個のR1、R2、T、B各々の単元素ターゲット材を準備し、所望の割合でスパッタリングすることもできる。また、R1、R2、T−Bのように、合金ターゲット材を用いて、所望の割合でスパッタリングすることもできる。ここで、ターゲット材の組成比とスパッタリングで作製した薄膜の組成比は、各元素のスパッタ率が異なるためにずれる場合があり、調整が必要である。他の元素、例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等を適宜含有させたい場合も同様に、単元素ターゲット材、合金ターゲット材の両方の方法で含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、ターゲット材中の不純物含有量も極力低減する。
ターゲット材は、保管中に表面から酸化する。特に、希土類ターゲット材の場合は酸化の速度が速い。そのため、これらのターゲット材の使用前には、スパッタリングを十分に行い、ターゲット材の清浄表面を出しておく必要がある。
スパッタリングにて成膜を行う基材は、各種の金属、ガラス、シリコン、セラミックスなどを選択して使用することができる。ただし、所望の結晶組織を得るために高温での処理を行う必要上、高融点な材料を選択することが望ましい。なお、高温処理における耐性の他に、R−T−B系薄膜永久磁石との密着性が不足する場合があり、その対策としてCrやTi、Ta,Moなどの下地膜を設けることにより密着性を向上することが通常行われる。R−T−B系薄膜永久磁石の上部には、R−T−B系薄膜永久磁石の酸化を防ぐため、Ti、Ta、Moなどの保護膜を設けることができる。
スパッタリングを行う成膜装置は、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、10−6Pa以下、より好ましくは10−8Pa以下となるまで真空槽内が排気されていることが望ましい。高い真空状態を保つため、成膜室と繋がった基材導入室を有することが望ましい。また、ターゲット材の使用前には、スパッタリングを十分に行い、ターゲット材の正常表面を出しておく必要があるため、成膜装置は、基材とターゲット材の間に真空状態で操作可能な遮蔽機構を有することが望ましい。スパッタリングの方法は、不純物元素を極力低減するという目的で、より低圧のAr雰囲気でスパッタリングが可能となるマグネトロン・スパッタリング法が好ましい。ここで、Fe、Coを含むターゲット材は、マグネトロン・スパッタリングの漏れ磁束を大きく低減させ、スパッタリングを困難にするため、ターゲット材の厚みを適切に選択することが必要である。スパッタリングの電源は、DC、RFどちらでも使用可能であり、ターゲット材に応じて適宜選択できる。
仕込み組成のR1とR2を調整することによって、主相粒子内の総希土類量に対するR2の割合と、R1−R2−Fe相内の希土類量に対するR2の割合を制御することができる。仕込み量のR/Tを調整することによって、磁性層全体におけるR1−R2−Fe相の断面積割合を制御することができる。所望の仕込み組成の薄膜を得るためには、成膜レートおよび成膜時間を調整してスパッタリングを行う。複数のターゲット材を用いてスパッタリングする際、多元同時スパッタリング、もしくは各ターゲットを単独で交互にスパッタリングする積層スパッタリングのどちらを選択しても良い。
成膜レートは、0.25Å/s以下の範囲で設定する。また、スパッタリング中は、基材を450℃〜550℃の範囲で管理する必要がある。成膜レートが早すぎると、元素の拡散が十分にされず、R1−R2−Fe相が形成出来ない。また、基材の加熱温度を450℃より低温にすると、R−T−B主相粒子が形成出来ない。基材の加熱温度を550℃より高温にすると、スパッタリング中に粒成長してしまい高保磁力が望めない。
仕込み組成および成膜条件を適切に選択することで、主相粒子の平均1次粒子径は30nmから600nmの範囲で制御が可能である。
以上、本件発明を好適に実施するための製造方法に関する形態を説明したが、次いで、本件発明のR−T−B系薄膜永久磁石について、平均1次粒子径の測定方法、主相粒子と粒界相、磁気特性の評価方法について説明する。
平均1次粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)で観察する。画像解析法により、観察像中の50個の主相粒子の面積円相当径を計算し、その平均値を平均1次粒子径とする。
R−T−B系薄膜永久磁石の主相粒子組成は、エネルギー分散型X線分析(EDS:Energy Dispersive Spectroscopy)にて決定することが可能である。X線回折法(XRD:X−ray Diffraction)によって主たる生成相が正方晶R14B型に帰属されることを確認した後に、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置にて厚さ100nmの薄片状に加工し、走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)に備えられたEDS装置にて主相粒子の中央近傍を分析し、薄膜補正機能を用いることによって主相粒子の組成を定量化できる。一方、粒界にはRリッチ相、B相、R1−R2−Fe相、R2Fe相が含まれるが、同様の方法にて、各相が同定でき、さらにR1−R2−Fe相の定量化も可能である。
EDS装置を用いて、組成の定量分析と、元素の分布をマッピングする。R1−R2−Fe相の存在を確認し、磁性層全体に対するR1−R2−Fe相の断面積割合を測定する。
また、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用い、膜面の垂直方向に±4Tの磁界を加えて測定する。50個の試料を測定し、平均を保磁力HcJの値とする。
スパッタリング法で作製した試料は、磁気特性の評価後に誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)を行い、全体の仕込み組成が±1.5at%の範囲の原子組成比になっていることを確認する。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ターゲット材は、スパッタリングによって形成した膜の主相粒子が(R11−xR2Fe14Bとなるように調整し、表1に記載の組成となるよう、R1をNd、あるいはPr、R2をHo、あるいはGdとした。ターゲット材のサイズは3インチ、基材のサイズは10mm×10mmとし、膜の面内均一性が十分に保たれるよう、スパッタ装置の回転機構で基材を回転させながらスパッタリングを行った。
成膜装置は、10−8Pa以下まで排気が可能であり、同一槽内に複数のスパッタリング機構を有する装置を用いた。この成膜装置内にNdまたはPr、HoまたはGd、Fe、Bの単元素ターゲット材、さらに下地膜、保護膜に用いるMoターゲット材を、作製する試料の構成に応じて装着した。スパッタリングは、マグネトロン・スパッタリング法を用いることにより、1PaのAr雰囲気とし、RF、DC電源を使用した。尚、RF、DC電源のパワーと成膜時間は、成膜レートが0.20Å/sとなるよう設定し、試料の構成に応じて調整した。
基材には熱酸化膜付Si基板を使用し、膜構成は、先ず下地膜としてMoを200℃で50nm成膜した。次に、各々の表1記載の実施例及び比較例に応じて磁性層の仕込み組成比を調整し、熱酸化膜付Si基板を450℃に加熱し、磁性層厚みを1000nm狙いで成膜を行った。磁性層成膜後に酸化防止のため、保護膜として再び、Moを200℃で50nm成膜した。その後、真空中で室温まで冷却した後に成膜装置から取り出した。
主相粒子内の総希土類量に対するR2の割合と、R1−R2−Fe相内の希土類量に対するR2の割合は、仕込み量のR1とR2を調整することによって制御した。また、磁性層全体におけるR1−R2−Fe相の断面積割合は、仕込み量のR/T比を調整することによって制御した。
作製した試料は、XRDによって主たる生成相が正方晶R14B型に帰属されることを確認した後、VSMを用いて保磁力HcJを求めた。その後、FIBにて試料の加工を行い、STEM−EDSにて主相、粒界相の組成を確認した。また、TEMを用いて試料の断面観察を行い、観察試料中の50個の主相粒子の面積円相当径を計算し、その平均を平均1次粒子径とした。ICP−AESにて、全体の組成が設計通りの原子組成比になっていることを確認した。表1に分析した組成比と主相粒子内の総希土類に対するR2の割合と平均1次粒子径と、R1−R2−Fe相内の総希土類に対するR2の割合と断面積割合と保磁力HcJを示す。
Figure 2016201441
(比較例1)
表1に示す通り、RとしてNdを選択し、仕込み量で15.0at%R−75.0at%Fe−10.0at%BのNd−Fe−B薄膜を前記述の成膜方法にて薄膜永久磁石を得た。得られた薄膜永久磁石は、前記述の評価方法にて評価を行った。この結果を表1に示す。
(比較例2)
仕込み組成のR1をNd、R2をHoとし、仕込み量で総希土類量に対するR2の割合を2.0at%とする以外は、比較例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例1)
仕込み量で総希土類量に対するR2の割合を5.0at%とする以外は、比較例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例3)
成膜温度を400℃とする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例4)
成膜温度を600℃とする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例2)
仕込み量で総希土類量に対するR2の割合を30.0at%とする以外は、比較例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例3)
仕込み量で総希土類量に対するR2の割合を50.0at%とする以外は、比較例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例5)
仕込み量で総希土類量に対するR2の割合を70.0at%とする以外は、比較例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例6)
仕込み量で総希土類量に対するR2の割合を95.0at%とする以外は、比較例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例7)
仕込み組成のR1をNd、R2をHoとし、仕込み量で12.0at%R−80.0at%Fe−8.0at%Bとする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例4)
仕込み組成のR1をNd、R2をHoとし、仕込み量で20.5at%R−68.0at%Fe−11.5at%Bとする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例5)
仕込み組成のR1をNd、R2をHoとし、仕込み量で22.8at%R−65.0at%Fe−12.2at%Bとする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例8)
仕込み組成のR1をNd、R2をHoとし、仕込み量で25.0at%R−62.5at%Fe−12.5at%Bとする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例6)
仕込み組成のR1をPr、R2をHoとする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例9)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、比較例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例7)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、実施例1と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例8)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、実施例2と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例9)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、実施例3と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例10)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、比較例5と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例11)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、比較例6と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例12)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、比較例7と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例10)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、実施例4と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例11)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、実施例5と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(比較例13)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、比較例8と同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
(実施例12)
仕込み組成のR2をGdとする以外は、実施例6同様に薄膜永久磁石を作製した。そして、比較例1と同様に、評価を行った。結果は表1に示す通りである。
[実施例1〜3、比較例1、2、5、6]
Nd15.0Fe75.010.0に対し、Hoを添加した。主相粒子内の希土類量に対するR2の割合が5.0at%〜50.0at%かつ、R1−R2−Fe相内の総希土類に対するR2の割合が1.0at%〜50.0at%の場合(実施例1、2、3)、保磁力向上の効果が得られた。Hoを添加する事で、R−T−B主相粒子の粒成長が抑制され、保磁力が向上する事がわかった。一方、Ho置換量を過剰に増やすと、R−T−B主相粒子が微細化しすぎてしまい、保磁力が低下した。
[実施例1、4、5、比較例7、8]
R/Tが0.2未満では、磁性層全体におけるR1−R2−Fe相の断面積割合が低いため、微細化効果が得られず、保磁力は向上しない。また、R/Tが0.4以上では、R1−R2−Fe相の断面積割合が高いため、極端に微細化してしまい、保磁力が低下した。
[比較例3、4]
基材の加熱温度を400℃とした場合では、XRD評価にてRFe14B相ピークが観測されなかった。そのため、主相粒子内の総希土類量に対するR2の割合などの評価は行わず未評価とした。また、基材の加熱温度を600℃とした場合では、スパッタリング中に粒成長してしまい、平均1次粒子径が600nmを超えたため、保磁力が低下した。
[実施例7〜11、比較例9〜13]
R2をGdで置換した場合にも、Ho同様の効果が得られる事が確認できた。
[実施例6,12]
R1にNd以外の希土類元素に含有される場合でも、HoまたはGdは同様の効果が得られる事が確認できた。

Claims (1)

  1. R(RはR1およびR2からなり、R1はHo、Gdを含まない希土類元素の少なくとも1種以上の希土類元素、R2はHoまたはGdの少なくとも1種以上の希土類元素)、T(TはFe、もしくはFeとCoを必須とする1種以上の遷移金属元素)、およびBを含むR−T−B系薄膜永久磁石であって、R14B構造を有する主相粒子の総希土類量に対するR2の割合は5.0at%以上、50.0at%以下であり、かつ前記主相粒子の平均一次粒子径Dが30nm〜600nmであり、粒界にR1−R2−Fe相(R1−R2−Fe相内の総希土類量に対するR2の割合は1.0at%以上、50.0at%以下である)を有し、磁性層全体に占めるR1−R2−Fe相の断面積割合が6.0%以上、27.0%以下であるR−T−B系薄膜永久磁石。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106920619A (zh) * 2017-04-05 2017-07-04 东莞市嘉达磁电制品有限公司 一种含钆的钕铁硼永磁材料及其加工方法

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