引き続きいくつかの具体例を説明する。
一形態に係る光学デバイスは、(a)一又は複数の光ファイバと、(b)ガイドパイプと、(c)一端面、他端面、前記一端面に向けて前記他端面から延在し前記光ファイバを支持する支持部、及び前記一端面に向けて前記他端面から延在し前記ガイドパイプを支持するガイド部を含むホルダと、を備え、前記ホルダは、第1部材及び第2部材を含み、前記光ファイバ及び前記ガイドパイプは、前記第1部材と前記第2部材との間に位置し、前記ホルダは、前記第1部材と前記第2部材とを互いに接着する接着部材を備え、前記第1部材の前記支持部は、前記光ファイバを支持する第1側面及び第2側面を有し、前記光ファイバの一端は前記他端面に位置する。
この光学デバイスによれば、光ファイバが接着部材を介してホルダに接着される。光ファイバは、第1部材と第2部材との間に位置して支持部において支持されると共に、接着部材によりホルダ内にしっかりと固定される。また、ガイドパイプは、第1部材と第2部材との間に位置して、ホルダのガイド部内にしっかりと固定される。ガイドパイプは、ガイドピンを収容可能な孔を有する。ガイド部にガイドピンを挿入する際に、ガイド部内のガイドパイプは、上記の接着部材がガイドピンの挿入を妨害することを防止できる。
一形態に係る光学デバイスでは、前記光ファイバは、石英製のシングルモード光ファイバを含み、前記第1部材及び前記第2部材が、ガラス製である。
この光学デバイスによれば、正確な寸法の第1部材及び第2部材を提供できる。
一形態に係る光学デバイスでは、前記光ファイバは、前記ホルダ内に延在する第1部分と、前記ホルダの前記一端面から延出する第2部分とを含む。
この光学デバイスによれば、ピグテール型の構造物を提供できる。
一形態に係る光学デバイスでは、前記光ファイバは、前記ホルダの前記他端面から前記ホルダの前記一端面まで延在する。
この光学デバイスによれば、スタブ型の構造物を提供できる。
一形態に係る光学デバイスでは、前記ガイドパイプは金属製である。
この光学デバイスによれば、正確な寸法のガイドパイプを提供できる。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、光学デバイス、及び光学デバイスを作製する方法に係る本実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係る光学デバイスを概略的に示す斜視図である。図1を参照すると、光学デバイス11は、一又は複数の光ファイバ13と、ガイドパイプ15と、ホルダ17とを備える。光学デバイス11は、例えば12本の光ファイバ13を備えており、しかしながら、光ファイバ13の本数は、これに限定されることはない。また、光ファイバ13は、例えば石英製シングルモード光ファイバを備えることができる。光ファイバ13はコアとその周囲に設けられたクラッドとを有する。ホルダ17は、一端面17a、他端面17b、支持部17c、及びガイド部17dを含む。ホルダ17は、第1部材19及び第2部材21を含む。光ファイバ13及びガイドパイプ15は、第1部材19と第2部材21との間に位置しており、またホルダ17は、第1部材19と第2部材21とを互いに接着する接着部材23を備える。光ファイバ13の一端13aは他端面17bに位置している。
支持部17cは、一端面17aに向けて他端面17bから延在し光ファイバ13を支持する。この支持のために、支持部17cは、少なくとも3つの面を有することが好ましい。本実施例では、第1部材19の第1支持部19aは、光ファイバ13を支持するための第1側面19aa及び第2側面19abを有する。また、第2部材21の第2支持部21aは、光ファイバ13を支持するための第1側面21aa及び第2側面21abを有する。第1支持部19aの第1側面19aa及び第2側面19ab並びに第2支持部21aの第1側面21aa及び第2側面21abは、本実施例では、一部で光ファイバ素線と直接接し、また他の部分では接着部材23を介して、光ファイバ素線の側面を支持する。
ガイド部17dは、一端面17aに向けて他端面17bから延在しガイドパイプ15を支持する。本実施例では、ガイド部17dは、一部でガイドパイプ15の側面15aと直接接し、また他の部分では接着部材23を介してガイドパイプ15の側面15aを支持する。この支持のために、ガイド部17dは、少なくとも3つの面を有することが好ましい。本実施例では、第1部材19のガイド部19bは、ガイドパイプ15を支持するための第1側面19ba及び第2側面19bbを有する。具体的には、第1部材19のガイド部19bの第1側面19ba及び第2側面19bbは、一部でガイドパイプと直接接し、また他の部分では接着部材23を介してガイドパイプ15の側面を支持する。また、本実施例では、第2部材21のガイド部21bは、ガイドパイプ15を支持するための第1側面21ba及び第2側面21bbを有する。
この光学デバイス11によれば、光ファイバ13が接着部材23によりホルダ17に接着される。光ファイバ13は、第1部材19と第2部材21との間に位置して支持部17cにおいて支持されると共に、接着部材23によりホルダ17内にしっかりと固定される。また、ガイドパイプ15は、第1部材19と第2部材21との間に位置して、接着部材23によりホルダ17のガイド部17d内にしっかりと固定される。ガイドパイプ15は、位置合わせのためのガイドピンを収容可能な孔15bを有する。ガイド部17dにガイドピンを挿入する際に、ガイド部17d内のガイドパイプ15は、上記の接着部材23がガイドピンの挿入を妨害することを防止できる。ガイドパイプ15は、孔15bを規定する側壁を有しており、この側壁が孔15b内に接着部材23が進入することを防止している。ガイドパイプ15は、他端面17bに位置する端部15cを有しており、この端部15cの反対に別端(図2の別端15d)を有する。ガイドパイプ15の側壁は、端部15cから別端15dまで連続している。
第1部材19は、接着部材23を受ける接着面19cを有する。本実施例では、第1支持部19a及びガイド部19bは、接着面19cに設けられている。本実施例では、接着面19cは、第1部材19の一側19d及び他側19eの一方から他方までに延在すると共に、第1部材19の第1一端面19fに到達しており、第1他端面19gに到達していてもよい。また、第2部材21は、接着部材23を受ける接着面21cを有する。本実施例では、第2支持部21a及びガイド部21bは、接着面21cに設けられている。本実施例では、接着面21cは、第2部材21の一側21d及び他側21eの一方から他方までに延在すると共に、第2部材21の第2一端面21fに到達しており、第2他端面21gに到達してもよい。
本実施例では、光ファイバ13及びガイドパイプ15は、第1方向に延在すると共に、この延在を可能にするために、第1方向に交差する第2方向に配列された第1部材19及び第2部材21によって、光ファイバ13及びガイドパイプ15を挟む。この挟持のために、第1部材19は、第2方向に交差する方向に延在する接着面19cに設けられた第1支持部19a及びガイド部19bを有すると共に、第2部材21は、第2方向に交差する方向に延在する接着面21cに設けられた第2支持部21a及びガイド部21bを有する。接着部材23は、接着面19cと接着面21cとの間において延在して、第1部材19及び第2部材21を互いにしっかりと接着すると共に、光ファイバ13及びガイドパイプ15は、それぞれ、第1支持部19a及びガイド部19bに支持されながら、第1部材19及び第2部材21を備えるホルダ17によってしっかりと保持される。この構造により、接着部材23は、ガイドパイプ15の側面15aを介してガイド部19bを横切って一体に延在するけれども、ガイドパイプ15の孔15b内には進入しない。
光ファイバ13は、例えば石英製のシングルモード光ファイバを含むことができる。第1部材19及び第2部材21が、例えばホウケイ酸ガラスといったガラス製である。ガラス材は、正確な寸法の第1部材19及び第2部材21を提供できる。ガイドパイプ15は金属製であることができる。金属材の利用は、正確な寸法のガイドパイプ15を提供できる。
図2は、本実施形態に係る光学デバイスの典型的な外観を示す図面である。図2の(a)部に示されるように、光学デバイス11は、ホルダ17の一端面17aから延出するピグテールを有することができる。光学デバイス11は、ピグテール型を有することができる。この構造では、光ファイバ13は、ホルダ17内に延在する第1部分と、ホルダ17の一端面17aから延出する第2部分とを含む。或いは、図2の(b)部に示されるように、光学デバイス11は、スタブ構造を有することができる。この構造では、光ファイバ13は、ホルダ17の一端面17aから他端面17bまでに延在する。
図3は、ガイドパイプを作製する方法の一例を示す図面である。例示される作製方法は、電鋳法を用いる。ガイドピンの径に対応した金属芯材を準備する。このような金属芯材は、例えばNC加工によって作製される。一例を示せば、準備された金属芯材の径の公差は、例えば−0.5μm〜+0.5μmである。金属芯材は、例えばニッケル、銅、ステンレス、超硬合金であることができる。
電鋳法においては、金属芯材51を準備した後に、図3の(a)部に示されるように、金属芯材51を治具53に取り付ける。治具53に取り付けられた金属芯材51は、電解槽55内の電解液57に浸される。電気メッキ法において、電解液57に供給される電荷量を正確に制御しながら、電気メッキにより金属芯材51に金属を析出させる。電荷量の制御により、金属芯材51の側面に析出する金属量を正確に制御することができ、この結果、図3の(b)部に示されるように、金属芯材51及び析出金属壁59を作製することができる。析出金属壁59は、金属芯材51の側面に所望の厚さの析出金属を備える。次いで、図3の(c)部に示されるように、金属芯材51及び析出金属壁59を一緒に、所望の長さに切断して、中間生産物61を形成する。中間生産物61は、芯材63と、芯材63の側面に設けられた金属パイプ65とを含む。図3の(d)部に示されるように、中間生産物61から芯材63を抜き取ると、金属パイプ、つまり金属製のガイドパイプ部品を得ることができる。ガイドパイプ部品の外径の公差は、例えば−0.5μm〜+0.5μmである。金属パイプ65の外径の公差は、電解液に供給される電荷量の正確な制御の程度に対応する。
光ファイバ13としてシングルモードファイバ(SMF)を用いる光デバイスでは、シングルモードファイバのモードフィールド径が例えば7〜8μmである。光学デバイス11に光学的に結合される光部品の光導波路又は光素子と当該光学デバイス11との接続ロスがこの光接続において低減されるように、光学デバイス11のホルダ17の支持部17cに位置決めされる光ファイバ13の位置が−1.0μm〜+1.0μm程度の精度であることが好ましい。また、これに加えて、ガイド部17dに位置決めされるガイドパイプ15の位置が−1.0μm〜+1.0μm程度の精度であることが好ましい。ガイドピンの支持溝に替えてガイドパイプ15の支持溝を設けると共に、このガイドパイプ用支持溝にガイドピンに替えてガイドパイプ15を設ける。部品の数が、ガイドパイプ15の利用のために増加する。発明者の見積もりによれば、この部品数の増加を考慮しても、ガイドパイプ15のためのガイド部17d及びガイドパイプ15を用いる光学デバイス11は、ガイドピン支持溝及びガイドピンを用いるデバイスに比べて小さくでき、光学デバイス11の光接続における接続ロスを所望の範囲に抑えることができる。
光学デバイス11では、ガイドパイプ15の追加によって、接着剤の分量に関係なく、ガイドピンが挿入されるべき部分(ガイドパイプ15の孔15b)に接着部材23が付着することはなくなる。このため、第1部材19及び第2部材21(本実施例では、加工されたガラス板)を貼り合せるために十分の量の接着剤を使用でき、十分の量の接着部材23はホルダ17の貼り付け強度を確保することを可能にする。また、第1部材19及び第2部材21が、ガラス材のような脆性を示す材料で成るとき、ガイドピンをガイドパイプ15に挿入した際に加えられる力が、第1部材19及び/又は第2部材21の一部に、また直接に加わることがない。その力は、ガイドパイプ15(例えば金属製のガイドパイプ)に加わり、ガイドパイプ15を介して分散されて最終的に第1部材19及び/又は第2部材21に加わる。これ故に、第1部材19及び/又は第2部材21の割れの発生を低減できる。具体的には、ガイドパイプ15を支持するガイド部17dは、例えばV溝として形成される。このV溝の底のくさび状のくぼみにヒビが入りやすい。
図4は、別の形態に係る光学デバイスの他端面を示す図面である。光学デバイス11における支持部17c及びガイド部17dは、図1に示された形態に限定されることはない。図4に示されるように、第2部材21の第2支持部21aは、接着面21cとして提供されることができる。光ファイバ13は、本実施例では第2支持部21aの接着面21cによって支持される。第2部材21のガイド部21bは、底面21k及び側面21i、21jを有することができる。ガイドパイプ15は、ガイド部21bの底面21kによって支持される。
図5〜図11を参照しながら、光学デバイスを作製する方法を説明する。図5の(a)部に示されるように、金属パイプ65、光ファイバ部品67、並びにホルダのための第1部品69及び第2部品71を準備する。本実施例では、光ファイバ部品67は光ファイバ素線であることができる。また、第1部品69及び第2部品71は、図5の(b)部の平面図に示されるように、同一の形状を有している。記述の簡素のために、第1部品69及び第2部品71の引き続く説明において、第1部品69の説明を行うと共に、第1部品69の参照符合の後ろの丸括弧内に第2部品71の対応部分の参照符合を記載する。第1部品69(第2部品71)は、接着材を受ける第1接着面69c(71c)を有する。本実施例では、第1支持溝69a(71a)及び第1ガイド溝69b(71b)は、第1接着面69c(71c)に設けられている。第1接着面69c(71c)は、第1部品69(71)の一側69d(71d)及び他側69e(71e)の一方から他方までに延在すると共に、第1部品69(71)の第1一端面69f(第2一端面71f)に到達しており、また第1他端面69g(第2他端面71g)に到達していてもよい。
第1支持溝69a(第2支持溝71a)は、第1一端面69f(71f)に向けて第1他端面69g(71g)から延在し光ファイバ部品67を支持する。この支持のために、第1支持溝69a及び第2支持溝71aは、総計で、少なくとも3つの面を有することが好ましく、本実施例では4つの面を有する。本実施例では、第1支持溝69a(71a)は、光ファイバを支持するための第1側面69aa(71aa)及び第2側面69ab(71ab)を有する。また、本実施例では、第1支持溝69a又は第2支持溝71aに光ファイバ部品67を配置したときに、第1側面69aa(71aa)及び第2側面69ab(71ab)は、光ファイバ素線の側面に接して、光ファイバ素線を支持する。
第1ガイド溝69b(第2ガイド溝71b)は、第1一端面69f(71f)に向けて第1他端面69g(71g)から延在し、金属パイプ65を支持する。第1ガイド溝69b(71b)に金属パイプ65を配置すると、第1ガイド溝69b(71b)は、金属パイプ65を支持する。この支持のために、第1ガイド溝69b及び第2ガイド溝71bは、総計で、少なくとも3つの面を有することが好ましく、本実施例では4つの面を有する。具体的には、第1ガイド溝69b(71b)は、金属パイプ65を支持するための第1側面69ba(71ba)及び第2側面69bb(71bb)を有する。第1部品69(71)の第1ガイド溝69b(71b)の第1側面69ba(71ba)及び第2側面69bb(71bb)は、本実施例では、金属パイプ65の側面に接して、金属パイプ65の側面を支持する。
金属パイプ65、光ファイバ部品67、第1部品69及び第2部品71を準備した後に、図5の(a)部の正面図に示されるように、第1部品69及び第2部品71のいずれか一方、例えば第2部品71を基準にして、金属パイプ65及び光ファイバ部品67を位置決めすると共に、これらの部材の位置決めの後に第1部品69を位置決めする。第1部品69及び第2部品71の間隔の最小値は、1μm〜2μm程度であることが好ましく、固定前及び固定後において、第1部品69及び第2部品71は接触していない。また、金属パイプ65の端及び光ファイバ部品67の端は、第1部品69及び第2部品71の縁から約0.02mm~0.3mm程度の値で突き出されている。金属パイプ65の突出により、第1部品69及び第2部品71に接着剤を塗布する際に、塗布された接着剤が流れて金属パイプ65の孔内に付着することを避けることができる。このような突出により、接着剤の供給量の正確さの供給を緩和できる。
図6の(a)部の正面図に示されるように、金属パイプ65及び光ファイバ部品67が第1部品69及び第2部品71を挟まれると共に、第1部品69の第1接着面69c及び第2部品71の第2接着面71cの間に接着剤73が設けられる。接着剤73は、例えば第2部品71の第2接着面71cにおける一方の第2ガイド溝71bの外側から、両方の第2ガイド溝71bの間に設けられた第2支持溝71aを経由して、他方の第2ガイド溝71bの外側までわたって塗布されている。接着剤73は、第1支持溝69a及び第2支持溝71a内の光ファイバ部品67の側面、並びに第2支持溝71a及び第2ガイド溝71b内の金属パイプ65の側面に接触して、接着剤73の固化の後に、光ファイバ部品67及び金属パイプ65をそれぞれ第1支持溝69a(71a)及び第1ガイド溝69b(71b)に固定することを可能にする。上記の位置決めが完了した後に、接着剤73を硬化させる。硬化によって組立体75が形成される。組立体75は、金属パイプ65及び光ファイバ部品67が第1部品69及び第2部品71に挟まれて一体の物体になる。一例として、液体状の接着剤73を、毛細管現象を利用して、第1部品69及び第2部品71の間の間隙に供給することができる。液体状の接着剤73は、表面張力の作用により第1部品69及び第2部品71の間の間隙に染み込んでいき、接着剤73の塗布が完了する。金属パイプ65を備えない形態に比較して、接着剤の量の制御の精密さは、金属パイプ65の利用により緩和される。接着剤73は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ系接着剤等であることができる。固定作業の観点から、短時間のUV硬化により仮固定を行うと共に、仮固定の後に熱硬化により本硬化を行いことが望ましい。
図6の(b)部は、図6の(a)部に示されたVIb−VIb線にそって取られた断面を示す。例えば第2部品71に金属パイプ65及び光ファイバ部品67を位置決めする際に、金属パイプ65及び光ファイバ部品67の各々は、第2部品71の第2一端面71fから外側に延出する第1余長部及び第2部品71の第2他端面71gから外側に延出する第2余長部を有する。
図7の(a)部に示されるように、研磨部材77を用いて組立体75の一方の端面を研磨して、組立体75に研磨面を形成する。この研磨により、光学デバイスのための他端面17bを形成できる。図7の(b)部は、図7の(a)部に示されたVIIb−VIIb線にそって取られた断面を示す。本実施例では、他端面17bに、金属パイプ65の一端及び光ファイバ部品67の一端が位置しており、金属パイプ65及び光ファイバ部品67の一端が他端面17bの位置にそろっている。金属パイプ65の一端は研磨面を有し、及び光ファイバ部品67の一端は研磨面を有する。金属パイプ65の研磨面及び光ファイバ部品67の研磨面の間には、ホルダ部品の他端面17b(研磨面)が延在している。
スタブ構造を形成する製造方法では、引き続き、図8の(a)部に示されるように、研磨部材77を用いて組立体75の他方の端面を研磨して、組立体75に別の研磨面を形成する。この研磨により、光学デバイス11のための一端面17aを形成できる。図8の(b)部は、図8の(a)部に示されたVIIIb−VIIIb線にそって取られた断面を示す。本実施例では、一端面17a及び他端面17bの各々に、ガイドパイプ15の一端及び光ファイバ13の一端が位置しており、金属パイプ65の両端及び光ファイバ部品67の両端は研磨されて消失すると共に、ガイドパイプ15の一端及び他端並びに光ファイバ13の一端及び他端が形成される。スタブ構造では、ガイドパイプ15の一端及び光ファイバ13の一端が一端面17aの位置にそろっており、ガイドパイプ15の他端及び光ファイバ13の他端が他端面17bの位置にそろっている。ガイドパイプ15の研磨面及び光ファイバ13の研磨面の間には、ホルダ部品の一端面17a(研磨面)が延在している。本実施例では、ガイドパイプ15及び光ファイバ13は、第1基準面R1に沿って配列されている。一端面17aは、第1基準面R1に直交する面から傾斜した第2基準面R2に沿って延在しており、他端面17bは、第1基準面R1に直交する第3基準面R3に沿って延在している。一端面17aの傾斜は、例えば8度程度である。
ピグテール構造を作製する方法では、他端面17bのための研磨を完了すると、光学デバイスのための実質的な作製工程は完了して、図9の(a)部に示されるように、ピグテール構造を有する光学デバイス11が提供される。図9の(b)部は、図9の(a)部に示されたIXb−IXb線にそって取られた断面を示す。本実施例では、ガイドパイプ15の長さに合わせて金属パイプ65の長さ及び位置決めを行った。この予備的な位置決め(金属パイプ65の位置決め)によれば、一端面17a及び他端面17bからガイドパイプ15が突き出すことを避けることができる。
必要な場合には、ホルダ17の作製されるべき一端面17a及び他端面17bの間隔よりも短い長さの金属パイプ65を準備することができる。また、このような金属パイプ65を第1部品69又は第2部品71に位置決めして、金属パイプ65の一端及び他端が、それぞれ、ホルダ17の作製されるべき一端面17a及び他端面17bの少なくともいずれか一方の位置から離れるようにしてもよい。図10は、図9の(a)部に示されたIXb−IXb線に示される断面線に対応する断面を示す。図10に示される光学デバイス11では、ガイドパイプ15の一端及び他端が、それぞれ、ホルダ17の一端面17a及び他端面17bの位置から離れている。上記の予備的な準備及び位置決めによれば、一端面17a及び他端面17bからガイドパイプ15が突出することを避けることができる。
図11は、本実施形態に係る光学デバイスの分解図を示す。この図面では、ホルダ17を第1部材19及び第2部材21に分解して光学デバイス11が示されている。この実施例では、例えば第1部材19が第1一端面19fから第1他端面19gの方向に第1一端面19fから延在する窪み19hを有することができる。窪み19hは、第1支持部19aと出会ったところで終端し、同様に、第1支持部19aも終端する。窪み19hは、余剰な接着剤のための樹脂溜まりとして利用される。
窪み19hの長さ:0.6mm。
窪み19hの深さ:0.2mm。
図12は、本実施形態の一利用態様の光処理装置を示す。図12を参照すると、光処理装置10では、シリコンフォトニクス素子85に接続される光学デバイス11pig及び光学デバイス11stabを示す。光学デバイス11pigは、例えば図2の(a)部に示されたピグテール構造のデバイスを備え、また光学デバイス11stabは例えば図2の(b)部に示されたスタブ構造のデバイスを備える。また、図12では、光ファイバとシリコンフォトニクス素子85との光結合のために、光学デバイス11stab及び光学デバイス11stabの両方が用いられているけれども、光学デバイス11stab及び光学デバイス11stabのいずれか一方が光結合のために用いられることができる。光結合の対象となるシリコンフォトニクス素子85は、光送信のための変調素子85a及びこれに付随する信号処理回路85b、並びに光受信のための受光素子85c及びこれに付随する信号処理回路85dを備えると共に、外部デバイスに光学的な結合を成すためのカプラ(例えばグレーティングカプラ85e)を更に備える。シリコンフォトニクス素子85上において、変調素子85a及び受光素子85cとグレーティングカプラ85eとは光導波路を介して互いに接続される。変調素子85aは、信号処理回路85bに金属配線層を介して接続され、また受光素子85cは、信号処理回路85dに金属配線層を介して接続される。
本実施例では、光学デバイス11stabは、シリコンフォトニクス素子85のグレーティングカプラ85eに光学的に結合を成すようにシリコンフォトニクス素子85に取り付けられている。光学デバイス11pigは、光学デバイス11stabに光学的に結合されている。この結合の位置合わせのために、ガイドピン81a、81bが、光学デバイス11pigのガイドパイプ15内及び光学デバイス11stabのガイドパイプ15内を貫通する。必要な場合には、光学デバイス11pigと光学デバイス11stabとの光学的結合を維持するように光学デバイス11pigを光学デバイス11stab、シリコンフォトニクス素子85又は基板83に配置した後に、ガイドピン81a、81bを取り除くことができる。一方で、必要な場合には、ガイドピン81a、81bがそのまま残されていても良い。
図13は、本実施形態に係る光学デバイスの一実施例を示す図面である。図13の(a)部は、光ファイバ13のためのシングルモード光ファイバ素線SMFを示し、このシングルモード光ファイバ素線SMFの直径は、0.125mmである。また、図13の(b)は、ホルダ17のための第1部材19及び第2部材21ためのガラス部品(例えば、ホウケイ酸ガラス)を示す。MTコネクタに接続可能な構造の実施例を示す。
ホルダの横幅W:7mm。
ホルダの奥行き:3mm。
ホルダの第1部材の高さH1:1.2mm。
ホルダの第2部材の高さH2:1.2mm。
ガイドパイプのためのガイド部の中心間隔L1:4.6mm(公差−0.001mm〜+0.001mm)。
光ファイバのための支持部の中心間隔L2:0.25mm(公差−0.001mm〜+0.001mm)。
ガイドパイプのためのガイド部の孔サイズL3:0.9mm(公差−0.001mm〜+0.001mm)。
ガイドパイプの外径:0.8995mm(公差−0.0005mm〜+0.0005mm)。
ガイドパイプに挿入されるガイドピンの外径:0.699mm。
光ファイバのためのV溝の頂角:70度。
光ファイバのためのV溝のピッチ:0.25mm。
光ファイバ用のV溝の配列の両側に、ガイドパイプ用のV溝が設けられる。
ガイドパイプ用のV溝の頂角:70度。
ガイドパイプ用の2つのV溝の頂部の間の長さ:4.6mm。
光ファイバのためのV溝の位置及びガイドパイプ用のV溝の位置の精度は、所望の位置に対して−1.0μm〜+1.0μmの範囲にあることが良い。また、ガイドパイプの内径及び外形が精密に制御されている。既に説明したように、このようなガイドパイプは、例えば電鋳法を用いて作製されることができる。
図14は、ガイドピンを用いるスタブ型の接続デバイスの一実施例を示す図面である。図14の(a)部を参照すると、ホルダ91のための第1ガラス部品91a及び第2ガラス部品91bの間に光ファイバ93のアレイが構成されている。多めの接着剤95を用いたので、ホルダ91に設けられたガイド孔99内にも接着剤95がはみ出してきて、接着部材片を形成する。ガイド孔99にはみ出した接着剤95は、ガイドピンの挿入を妨げる。
図14の(b)部を参照すると、ホルダ91のための第1ガラス部品91a及び第2ガラス部品91bの間に光ファイバ93のアレイが構成されている。少なめの接着剤95を用いたので、ホルダ91に設けられたガイド孔99内に接着剤95がはみ出していないけれども、第1ガラス部品91a及び第2ガラス部品91bのいくつかの場所に、接着剤95によって満たされていない空隙GAPが形成されている。ガイド孔99にガイドピンを挿入する際に第1ガラス部品91a及び第2ガラス部品91bに加わる力によって、部材の破損97が生じる。
一方、ホルダ17の第1部材19及び第2部材21のためのガラス板を準備する。第1部材19及び第2部材21のためのガラス板の少なくともいずれか一方に、光ファイバ及びガイドパイプ(例えばガイドパイプ15)のためのV溝(断面V字型の溝)を支持部17c及びガイド部17dとして形成することができる。支持部17cの形状として、光ファイバ13を支持可能な様々な形状を適用することができ、またガイド部17dの形状として、ガイドパイプ15を支持可能な様々な形状を適用することができる。これ故に、支持部17c及びガイド部17dの形状は、実施例として示された具体的な形状に限定されない。
一実施例では、実施形態の光学デバイス11は、光コネクタとして用いられる。この光コネクタは、下記に示す製造工程により作製されることが可能である。2つのガラス板上に、光ファイバ用およびガイドパイプ用の、所定の加工精度を有するV溝を加工により形成して、溝付きガラス板を準備する工程;一方の溝付きガラス板のV溝内に光ファイバ芯線及びガイドパイプをそれぞれ配置して、他方のV溝付きガラス板で一方の溝付きガラス板を覆って、2つの溝付きガラス板を接着剤で固着する工程;接着された溝付きガラス板の端面及び光ファイバの端面を一緒に研磨して、光コネクタのための平坦な端面を形成する工程を備える。より具体的には、上記のような簡易な工程を通して、機械的に強固な光コネクタを製造できる。
上記の工程においては、溝付きガラス板のV溝内に光ファイバ芯線及びガイドパイプを入れて光ファイバ芯線及びガイドパイプを挟み込む際に、ガイドパイプの端部は、溝付きガラス板の縁から約0.1〜0.3μm程度の値で突き出すことが良い。また、光ファイバの端部は、溝付きガラス板の縁から約0.1〜0.3μm程度の値で突き出すことが良い。これらの突出により、溝付きガラス板のガラス面を接着するための接着剤を塗布する際に、当該接着剤が、光ファイバ芯線の端及びガイドパイプの端に付着することを防ぐことができる。突出した光ファイバ芯線及びガイドパイプの端部を溝付きガラス板と一緒に研磨して、光コネクタのための平坦な端面を形成することができる。光ファイバ芯線及びガイドパイプの端部の位置決めに加えて、平坦な端面を得ることができる。必要な場合には、研磨面は、光ファイバの延伸方向に対して垂直な面として形成されることができ、或いは垂直面から6度〜8度程度の角度で傾いた面として形成されることができる。また、研磨によれば、平坦面だけでなく、僅かに突状の曲面を形成することもできる。
なお、溝付きガラス板のV溝は、両方のガラス板でなく一方のガラス板に形成するようにしてもよい。ホルダにおいて光ファイバ及びガイドパイプが配列される配列面を基準に上下対称に光ファイバ用のV溝およびガイドパイプ用のV溝を備える2つホルダ用ガラス部材を説明したけれども、V溝は片方のガラス部材に形成されると共に他方のガラス部材には溝形成の加工を行わないようにしてもよい。
このような形態においても、V溝付きガラス部材の貼り付け用接着剤の分量を十分使用できることにより、V溝付きガラス部材の貼り付け強度を増すことができる。また、ガイドパイプにガイドピンを挿入するので、ガイドピンの挿入時に生じる可能性があるピンの軸ずれに起因する力が、ガラス部材を備えるホルダに直接に加わらない。これ故に、V溝の底を起点に生じるガラス部材の板割れの発生を抑制できる。
以上説明したように、2つのガラス部材のV溝に光ファイバ素線が接触するよう、2つのガラス部材の接続面は互いに接触することになく、接着前においては、2つのガラス部材のうちの一方は他方に光ファイバを介して支持されている。光ファイバを介する支持によって形成される隙間に接着部材が設けられて、2つのガラス部材が固定される。これらの距離の大きさは、数μm〜数十μmと小さいので、大きな粘性の接着剤を用いてこれらの間隙を埋めることは容易ではないけれども、大きな粘性の接着剤は、塗布された接着剤が、塗布した場所から広がり難いという利点を有する。接着部材の粘性に関係なく、2つのガラス部材を確実に貼り合わせることが求められる。ガイドパイプの利用は、この点において技術的な寄与を提供できる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。